JP2015011128A - 偏波変換素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】互いに平行な入力側光導波路11及び出力側光導波路12を備えた方向性結合器13を有する偏波変換素子であって、方向性結合器13は、入力側光導波路11から出力側光導波路12に結合する際に、偏波方向の異なるモード間で結合可能であり、入力側光導波路11と出力側光導波路12のコアの高さが互いに等しく、入力側光導波路11及び出力側光導波路12のいずれか一方又は両方の光導波路のコアは、矩形状の下部コア11aと、下部コア11aの上に幅の方向の一つの側端が一致するように配置され、かつ、下部コア11aよりも幅が小さい、上部コア11bとからなる。
【選択図】図3
Description
この問題を解決する方法として、所望の基本TEモードに対して最適化された基板型光導波路素子を作製し、その入力として基本TEモードを用い、その出力を基本TMモードに偏波変換する方法が挙げられる。ここで偏波変換とは、基本TEモードから基本TMモードへの変換、又は基本TMモードから基本TEモードへの変換を表すものとする。偏波変換の操作を行うためには、基板上で偏波変換を行う基板型光導波路素子が必要となる。
前記一方の光導波路における前記下部コア及び前記上部コアの前記幅の方向の側端が一致する側に、前記他方の光導波路が存在することが好ましい。
前記他方の光導波路の長手方向の一端又は両端に、徐々に幅が変化するテーパ状の光導波路が配置されていることが好ましい。
前記下部コア及び前記上部コアの前記幅の方向の側端が一致する側が、それぞれ向かい合うように配置されていることが好ましい。
前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のうち、コアが前記下部コアと前記上部コアとからなる光導波路の長手方向の一端又は両端に、前記下部コアと前記上部コアとの幅が徐々に等しくなる光導波路が配置されていることが好ましい。
前記入力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率と、前記出力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率との差の絶対値が、0.2以上であることが好ましい。
前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路が基板上に形成され、前記幅が前記基板に平行な方向の寸法であり、前記高さが前記基板に垂直な方向の寸法であることが好ましい。
また、本発明は、前記偏波変換素子を備えた偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機を提供する。
また、本発明は、前記偏波変換素子を備えた偏波ダイバーシティ方式を提供する。
本実施形態の偏波変換素子は、互いに平行な入力側光導波路及び出力側光導波路を備えた方向性結合器を有し、入力側光導波路から出力側光導波路に結合する際に、偏波方向の異なるモード間で結合可能である偏波変換素子である。方向性結合器の入力側光導波路及び出力側光導波路のいずれか一方又は両方の光導波路のコアは、図1に示すように、矩形状の下部コア1aと、下部コア1aの上に幅の方向の一つの側端1cが一致するように配置され、かつ、下部コア1aよりも幅が小さい、上部コア1bとからなる、階段状コア1の形状を有する。これにより、基本TEモード又は基本TMモードの一方又は両方のモードの電界を回転させ、基本TEモードと基本TMモードとの間の結合効率を高めることができる。このように階段状コア形状とすることにより、上部クラッドと下部クラッドの屈折率を変えることなく、上下の非対称性をつくり、より短距離で、かつ効率的に偏波変換を行うことが可能になる。
入力側光導波路と出力側光導波路のコアの高さが互いに等しいことが好ましい。コアの高さHとは、図1に示すような階段状コア1の場合は下部コア1aと上部コア1bを含む全体の高さであり、図2に示すような矩形状コア2の場合はコアの高さである。入力側光導波路及び出力側光導波路が基板P上に形成されている場合は、幅W,Wa,Wbとは基板Pに平行な方向の寸法であり、高さH,Ha,Hbとは基板Pに垂直な方向の寸法をいう。図1において、上部コア1bの幅Wbは下部コア1aの幅Waより小さく、側端1cの反対側には両者の幅の差に対応した段部1dが形成されている。図に示す基板Pの位置は、下部クラッドの上面を示す。下部クラッドの上とコアの上面及び両側端の周囲には、上部クラッドが形成される。
入力側光導波路に基本TEモードを入力させ、基本TMモードとして出力側光導波路に結合させる場合は、入力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率と、出力側光導波路を導波する基本TMモードの実効屈折率とが実質的に等しいことが望ましい。
入力側光導波路に基本TMモードを入力させ、基本TEモードとして出力側光導波路に結合させる場合は、入力側光導波路を導波する基本TMモードの実効屈折率と、出力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率とが実質的に等しいことが望ましい。
以上より、式(1)からχが大きいと結合効率Tが高まり、より短い距離で結合が可能であることが分かる。
続いて、本発明により結合定数χが大きくなる理由について述べる。結合定数χは次式(3)のような依存関係がある。
N1は、導波路1のみが存在するときのコア断面の屈折率分布である。同様に、N2を、導波路2のみが存在するときのコア断面の屈折率分布として定義できる。
Nは、導波路1,2が存在するときのコア断面の屈折率分布である。E1及びE2は、それぞれ導波路1又は導波路2を導波するモードの電界ベクトルである。xは幅方向の位置であり、yは高さ方向の位置である。
屈折率差が大きくない場合としては、例えば、他の光導波路で上部クラッドと下部クラッドに異なる材料を使用しており、これらの材料が偏波変換素子における上部クラッドと下部クラッドに流用することが可能である場合や、同一の材料を母材とする上部クラッドと下部クラッドでドーピング条件を変えることにより屈折率差をつける等、余分なプロセスの手間が少ない場合が挙げられる。本発明によれば、これらの場合においても、基板型光導波路上で小型かつ高効率に偏波変換を行う方法という課題も解決することができる。
階段状コアを用いない場合、非特許文献1に記載されているように、上部クラッドと下部クラッドの屈折率差が大きくないと、上下の非対称性が小さくなり、モードの回転が十分に起こらず、偏波変換が困難になる。
方向性結合器13の導波方向の前後には、曲がり導波路14,15,16,17が配置されている。図3の場合、入力側光導波路11及び出力側光導波路12のそれぞれの長手方向の両端に曲がり導波路14,15,16,17が配置されている。導波方向の前側では、入力側光導波路11に接続された曲がり導波路14と出力側光導波路12に接続された曲がり導波路15とが、方向性結合器13に向かって互いに接近している。導波方向の後側では、入力側光導波路11に接続された曲がり導波路16と出力側光導波路12に接続された曲がり導波路17とが、方向性結合器13から離れる向きで互いに離間する。このように、曲がり導波路14,15,16,17を配置することにより、方向性結合器13の前後における2つの導波路間隔を大きくし、光の結合を抑制することができる。
曲がり導波路14,15,16,17は、入力側光導波路11及び出力側光導波路12のいずれか一方のみに設けてもよく、また、入力側光導波路11又は出力側光導波路12の前後のいずれか一端のみに設けてもよい。曲がり導波路を設けない端では、方向性結合器13の各導波路から直線状に導波路を延長することができる。
出力側光導波路12において方向性結合器13の出力端とは反対側から別の基本TEモード(基本TEモード′)を多重させる場合は、基本TEモード′の入力端でも矩形状コアを階段状コアに変換する構造が必要になるため、より素子サイズは大きくなる。
なお、2つの光導波路11,12の実効屈折率差が大きくなると、上述の式(1)において、δが大きくなるため、結合効率が低下し、好ましくない。
また、図6に示すように、両方の光導波路に階段状コアを設ける場合は、下部コア11a,12aと上部コア11b,12bの側端11c,12cが一致する側が、それぞれ向かい合うように配置されていることが好ましい。
偏波を回転させる効果に対しては、階段状コアの上下で一致する側端11c,12cと段部11d,12dの向きがどちらでも構わないが、結合効率が低下したり、製造において隣接する導波路の内側に高さの薄い導波路が配置されると製造精度が下がったりする場合がある。そのため、図4〜6に示すように、一致する側端11c,12cが内側で、段部11d,12dが外側の向きにすることが好ましい。
階段状コアの光導波路を矩形状コアの光導波路と接続するため、下部コアと上部コアとの幅が徐々に等しくなる光導波路を設けることが好ましい。下部コアと上部コアとの幅が徐々に等しくなる光導波路は、曲がり導波路14,16の一端の直線部(図3の範囲外)に設けてもよく、曲がり導波路14,16の途中に設けてもよい。
偏波変換と偏波ビームコンバイナを同時に行う素子は、2つの光導波路に偏波方向が同じモードの光が入力されたとき、方向性結合器で一方の光導波路を伝送する光を、他方の光導波路における偏波方向の異なるモードに結合させ、他方の光導波路において、偏波方向の異なる2つのモードが同時に伝送される偏波多重信号を出力することができる。入力されるモードは、基本TEモードが好ましいが、他のモードとすることもできる。
図3では、図4に示すように一方の光導波路11のみに階段状コアを用いているが、図5や図6に示すように他方の光導波路12に階段状コアを用いても、偏波変換と偏波ビームコンバイナを同時に実現することは可能である。
偏波変換と偏波ビームスプリッタを同時に行う素子は、偏波方向の異なる2つのモードが同時に伝送される偏波多重信号が入力されたとき、方向性結合器で一方の光導波路を伝送する1つのモードを、他方の光導波路における偏波方向の異なる別のモードに結合させ、その結果、2つの光導波路から偏波方向が同じモードを出力することができる。出力されるモードは、基本TEモードが好ましいが、他のモードとすることもできる。
図3では、図4に示すように一方の光導波路11のみに階段状コアを用いているが、図5や図6に示すように他方の光導波路12に階段状コアを用いても、偏波変換と偏波ビームスプリッタを同時に実現することは可能である。
本発明の偏波変換素子は、参考文献1(P. Dong, C. Xie, L. Chen, L. L. Buhl, and Y.-K. Chen, “112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon,” European Conference and Exhibition on Optical Communication, Vol. 1, p. Th.3.B.1, June 16, 2012)で開示されているような偏波多重4値位相変調(DP−QPSK:Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)に使用することが可能である。図7にDP−QPSK変調器の一例を模式的に示す。このDP−QPSK変調器20は、通常の光導波路に基本TEモードと基本TMモードの2つのモードが存在できることを利用して、基本TEモード/基本TMモードの両モードに独立したQPSK信号を有する、DP−QPSK変調を行う。具体的には、入力部21から基本TEモードで入力した光を2つの光導波路22,22に分岐し、QPSK変調器23,23により各々QPSK信号に変調した後、光導波路24,24の片側の基本TEモードを偏波変換素子25により基本TMモードに変換させて、2つのモードを偏波ビームコンバイナで同一の光導波路上に合成し、基本TEモードと基本TMモードに独立した信号を出力部26に出力する。
なお、基本TEモードを変調する方式はQPSKに限らず、複雑な構成を持つ変調器であっても、本発明の偏波変換素子を用いて偏波多重を行うことが可能である。
本発明の偏波変換素子は、参考文献2(C. Doerr et al., “Packaged Monolithic Silicon 112-Gb/s Coherent Receiver,” IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 23, pp. 762-764, 2011)で開示されているような、基本TEモードと基本TMモードを同時に伝送した偏波多重信号のSi光導波路上のコヒーレント受信機に使用することが可能である。図8に、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機の一例を模式的に示す。このコヒーレント受信機30は、基本TEモードと基本TMモードを同時に伝送した偏波多重信号の光導波路31を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子32に接続し、光導波路33,33の一方には基本TEモードの信号を、また、光導波路33,33の他方には基本TMモードから変換した基本TEモードの信号を分岐させる。局発光34として、一般的に用いられる半導体レーザ光源は片偏波のみ、例えば基本TEモード(local)の出力を用いる。このような光源を用いる場合、従来では局発光の偏波変換が必要となる。しかし、図8のコヒーレント受信機30では、信号光は偏波分離後にいずれも基本TEモードの信号(signal)となるので、局発光の偏波変換が不要になる。信号光と局発光は、光合波部35を経て、結合部36から出力される。
偏波変換素子32に光導波路型の構造を用いる場合、結合部36における素子外部との光の結合には、基板側方より結合する逆テーパ型のモードフィールド変換器など、偏波分離機能を持たない結合器を利用することが可能である。結合器には、例えば参考文献3(Qing Fang, et al., “Suspended optical fiber-to-waveguide mode size converter for silicon photonics,” Optics Express, Vol. 18, Issue 8, pp. 7763-7769 (2010))に開示されている、逆テーパ型の構造が開示できる。
本発明の偏波変換素子は、参考文献4(Hiroshi Fukuda et al., “Silicon photonic circuit with polarization diversity,” Optics Express, Vol. 16, Issue 7, pp. 4872-4880 (2008))で開示されているような、基本TEモードと基本TMモードが同時に伝送される偏波多重伝送や、片方の偏波がランダムに伝送されるときに、両モードに対して同様の操作を与えるための素子を利用したい場合、図9に示すような偏波ダイバーシティ方式を実行するために用いることができる。図9に示す偏波ダイバーシティ方式40では、基本TEモードと基本TMモードが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路41を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子42に接続し、光導波路43,43の一方には基本TEモードの信号を、また、光導波路43,43の他方には基本TMモードから変換した基本TEモードの信号を分岐させる。素子44,44で操作された基本TEモードの信号光は、光導波路45,45から偏波変換素子46で合成して、基本TEモードと基本TMモードが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路47に出力する。
偏波変換素子46には、図7に示すDP−QPSK変調器と同様に、偏波変換と偏波ビームコンバイナが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
本発明で用いられる方向性結合器において、入力側光導波路と出力側光導波路とは、基板に対して垂直など、任意の方向に並べることができる。この場合は、光の導波方向に垂直な断面において、入力側光導波路と出力側光導波路とが向かい合う方向の寸法を幅とし、向かい合う方向に垂直な方向の寸法を高さとするもし、2つの光導波路が基板に対して垂直に向かい合う場合は、基板に垂直な方向の寸法を「幅」とし、基板に平行な方向の寸法を「高さ」とする。
(実施例1)
図3及び図4に、本実施例の構造を示す。図3には上部から見た図を示し、図4には、方向性結合器における屈折率断面形状を示す。本実施例の光導波路素子の製造は、Si−SiO2−SiからなるSOI(Silicon on insulator)基板をもとに形成する。中間のSiO2層を下部クラッドとし、上部のSi層をコアとして用いる。コア形成後、上部クラッドとしてSiO2を設ける。クラッドの材料であるSiO2の屈折率は1.44、コアの材料であるSiの屈折率は3.48とした。
図4において、入力側光導波路11のコアの断面寸法は、上部コア11bの高さHb1を125nm、上部コア11bの幅Wb1を200nm、下部コア11aの高さHa1を95nm、下部コア11aの幅Wa1を300nm、コア全体の高さH1は220nmとした。出力側光導波路12のコアの断面寸法は、コアの高さH2を220nm、幅W2を336nmとした。また、入力側光導波路と出力側光導波路の方向性結合器13における間隔を250nmとした。
方向性結合器13の前後には、それぞれ曲がり導波路14,15,16,17を設け、方向性結合器13の付近で2つの光導波路を接近させている。各曲がり導波路は、曲率半径70μm、曲げ角度7.5°の円弧を2つつなげたS字カーブである。1つの円弧からなる範囲を符号Cで示す。曲がり導波路15の端から曲がり導波路17の端までの距離は約44μmであり、非常に小型である。
なお、実施例1の矩形状コアを持つ出力側光導波路を導波する基本TMモードの実効屈折率は、約1.625892で、階段状コアを持つ入力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率(neff=1.625665)と同程度になっている。このとき上述のδ(式(1)参照)が0.000460rad/μmとなり、結合定数0.145rad/μmに比べ十分小さく、偏波変換の機能を有するのに十分であることが分かる。
図10と図11の対比により、階段状コアのほうがEy成分(基本TEモードにおいては主電界成分に直交する成分)が増加していることが分かる。したがって、入力側光導波路11に階段状コアを持たせることにより、結合効率を大きくし、偏波変換効率を高めることが可能である。
矩形状コア形状では、図12(b)に示すようにEy成分の最大値が±7×10−4程度であるのに対し、階段状コア形状では、図12(a)に示すようにEy成分の最大値が約0.01と大きくなっている。なお、上述したように、電界成分の値は、主電界成分(ここではEx成分)の最大振幅で規格化された値である。これから、階段状コア形状では中心から離れた位置にも電界は広く分布し、隣接する導波路への結合が高まることが分かる。
なお、出力側光導波路を導波する基本TEモード(基本TEモード′)の実効屈折率は約1.98712であり、入力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率(neff=1.625665)との差の絶対値が、0.2以上であり、偏波ビームコンバイナとしての機能を有するのに十分であることが分かる。
図5に示すように出力側光導波路12が階段状コアを持ち、入力側光導波路11が矩形状コアを持つ光導波路素子を、実施例1と同様の方法で作製した。入力側光導波路11のコアの断面寸法は、コアの高さH1を220nm、幅W1を282nmとした。出力側光導波路12のコアの断面寸法は、上部コア12bの高さHb2を125nm、上部コア12bの幅Wb2を420nm、下部コア12aの高さHa2を95nm、下部コア12aの幅Wa2を600nm、コア全体の高さH2は220nmとした。入力側光導波路と出力側光導波路の幅方向の間隔を400nmとすると、結合定数は0.0315rad/μmとなる。
なお、実施例2の矩形状コアを持つ入力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率は約1.733459で、階段状コアを持つ出力側光導波路を導波する基本TMモードの実効屈折率(neff=1.737666)と同程度になっている。このときδ=0.00853rad/μmとなり、結合定数0.0315rad/μmに比べ十分小さく、偏波変換の機能を有するのに十分であることが分かる。
図15と図16の対比により、階段状コアのほうがEx成分(基本TMモードにおいては主電界成分に直交する成分)が増加していることが分かる。したがって、出力側光導波路12に階段状コアを持たせても、実施例1と同様に、結合効率を大きくし、偏波変換効率を高めることが可能である。
図6に示すように入力側光導波路11と出力側光導波路12の両方が階段状コアを持つ光導波路素子を、実施例1と同様の方法で作製した。入力側光導波路11のコアの断面寸法は、実施例1と同様に、上部コア11bの高さHb1を125nm、上部コア11bの幅Wb1を200nm、下部コア11aの高さHa1を95nm、下部コア11aの幅Wa1を300nm、コア全体の高さH1は220nmとした。出力側光導波路12のコアの断面寸法は、上部コア12bの高さHb2を125nm、上部コア12bの幅Wb2を304nm、下部コア12aの高さHa2を95nm、下部コア12aの幅Wa2を608nm、コア全体の高さH2は220nmとした。入力側光導波路と出力側光導波路の幅方向の間隔を250nmとすると、結合定数は0.154rad/μmとなる。
実施例3の階段状コアを持つ出力側光導波路に基本TMモードを導波させたときの電界を求めた結果を、Ex成分は図18(a)に、Ey成分は図18(b)に示す。実効屈折率neffは約1.625885である。
非特許文献1と同様に、入力側光導波路と出力側光導波路の両方が矩形状コアを持つ光導波路素子を、実施例1と同様の方法で作製した。入力側光導波路のコアの断面寸法は、幅を600nm、高さを250nmとした。出力側光導波路のコアの断面寸法は、幅を333nm、高さを250nmとした。コアを形成した後にSiO2からなる上部クラッドを設けた。つまり、上部クラッドと下部クラッドの材料は、非特許文献1とは異なり、ともにSiO2とした。
非特許文献1と同様に、入力側光導波路と出力側光導波路の両方が矩形状コアを持つ光導波路素子を、実施例1と同様の方法で作製した。入力側光導波路のコアの断面寸法は、幅を600nm、高さを250nmとした。出力側光導波路のコアの断面寸法は、幅を333nm、高さを250nmとした。コアを形成した後に上部クラッドを設ける工程を省略し、上部クラッドの材料は空気、下部クラッドの材料はSiO2とした。
Claims (13)
- 互いに平行な入力側光導波路及び出力側光導波路を備えた方向性結合器を有する偏波変換素子であって、
前記方向性結合器は、前記入力側光導波路から前記出力側光導波路に結合する際に、偏波方向の異なるモード間で結合可能であり、
光の導波方向に垂直な断面において、前記入力側光導波路と前記出力側光導波路とが向かい合う方向の寸法を幅とし、前記向かい合う方向に垂直な方向の寸法を高さとするとき、
前記入力側光導波路と前記出力側光導波路のコアの高さが互いに等しく、
前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のいずれか一方又は両方の光導波路のコアは、矩形状の下部コアと、前記下部コアの上に前記幅の方向の一つの側端が一致するように配置され、かつ、前記下部コアよりも幅が小さい、上部コアとからなることを特徴とする偏波変換素子。 - 前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のいずれか一方の光導波路のコアは、前記下部コアと前記上部コアとからなり、前記一方の光導波路とは異なる他方の光導波路のコアは、矩形状のコアからなることを特徴とする請求項1に記載の偏波変換素子。
- 前記一方の光導波路における前記下部コア及び前記上部コアの前記幅の方向の側端が一致する側に、前記他方の光導波路が存在することを特徴とする請求項2に記載の偏波変換素子。
- 前記他方の光導波路の長手方向の一端又は両端に、徐々に幅が変化するテーパ状の光導波路が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の偏波変換素子。
- 前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路の両方の光導波路のコアは、それぞれ、前記下部コアと前記上部コアとからなることを特徴とする請求項1に記載の偏波変換素子。
- 前記下部コア及び前記上部コアの前記幅の方向の側端が一致する側が、それぞれ向かい合うように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の偏波変換素子。
- 前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のそれぞれの長手方向の一端又は両端に、曲がり導波路が配置され、前記入力側光導波路に接続された曲がり導波路と前記出力側光導波路に接続された曲がり導波路とが、前記方向性結合器に向かって互いに接近し、又は、前記方向性結合器から離れる向きで互いに離間することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏波変換素子。
- 前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のうち、コアが前記下部コアと前記上部コアとからなる光導波路の長手方向の一端又は両端に、前記下部コアと前記上部コアとの幅が徐々に等しくなる光導波路が配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏波変換素子。
- 前記入力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率と、前記出力側光導波路を導波する基本TEモードの実効屈折率との差の絶対値が、0.2以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏波変換素子。
- 前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路が基板上に形成され、前記幅が前記基板に平行な方向の寸法であり、前記高さが前記基板に垂直な方向の寸法であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏波変換素子。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏波変換素子を備えたDP−QPSK変調器。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏波変換素子を備えた偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏波変換素子を備えた偏波ダイバーシティ方式。
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