JP2015010806A - 製氷皿及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不活性ガス雰囲気下においてフラックスを用いることなく製造することができるとともに、安価でかつ大量生産が可能である製氷皿を提供すること。【解決手段】 製氷皿1は、アルミニウム合金製の心材11とろう材層12a、12bとを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるベースプレート10を備える。ベースプレート10の一方の面10aには製氷室2を区画形成する隔壁部材20が、他方の面10bには冷媒流路31を形成する流路形成部材30が、それぞれろう材層12a、12bを介してろう付け接合されている。ろう材層12a、12bは、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。【選択図】図5
Description
本発明は、製氷皿及びその製造方法に関する。
従来、アルミニウム合金からなる製氷皿として、アルミニウム合金製のプレートの一方の面に複数の製氷室を格子状に区画形成する隔壁を接合するとともに、当該プレートの他方の面に冷媒が流通する冷媒流路を形成する部材を接合したものがある。例えば、特許文献1には、隔壁を接合するプレートとして、表面にろう材層を備えるアルミブレージングシートを使用し、そのろう材層を介して、隔壁及び冷媒流路を形成する部材をろう付け接合した構成が開示されている。
特許文献1では、不活性ガス雰囲気下において上記ろう付け接合を行っており、フラックスを用いて接合部に形成された酸化皮膜を除去している。しかしながら、食品用の氷の作製に用いる製氷皿においては、作製された氷にフラックスが混入することを防止するために、製氷皿からフラックスを除去する必要がある。そのため、製造工程数が増加していた。さらに、成形後の製氷皿の細部において、フラックスを完全に除去するには、手間がかかっていた。
一方、ろう付け接合を真空雰囲気において行うこととすれば、接合部に酸化皮膜が形成されないため、フラックスを用いる必要がない。しかし、かかる真空ろう付けは、大量の電力を消費する大型の真空ろう付け用の炉を用いて行われるため、コスト面で不利であった。また、真空ろう付けは、通常はバッチ処理で行われるため、大量生産には不向きであった。
一方、ろう付け接合を真空雰囲気において行うこととすれば、接合部に酸化皮膜が形成されないため、フラックスを用いる必要がない。しかし、かかる真空ろう付けは、大量の電力を消費する大型の真空ろう付け用の炉を用いて行われるため、コスト面で不利であった。また、真空ろう付けは、通常はバッチ処理で行われるため、大量生産には不向きであった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、不活性ガス雰囲気下においてフラックスを用いることなく製造することができるとともに、安価でかつ大量生産が可能である製氷皿を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設されたろう材層とを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるベースプレートと、
該ベースプレートの一方の面に格子状に立設されて、複数の製氷室を区画形成している隔壁部材と、
上記ベースプレートの他方の面に設けられているとともに、上記複数の製氷室を冷却するための冷媒が流通する冷媒流路を形成している流路形成部材と、
を有し、
上記隔壁部材及び上記流路形成部材は、それぞれ上記ろう材層を介して上記ベースプレートにろう付け接合されており、
上記ろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする製氷皿にある。
該ベースプレートの一方の面に格子状に立設されて、複数の製氷室を区画形成している隔壁部材と、
上記ベースプレートの他方の面に設けられているとともに、上記複数の製氷室を冷却するための冷媒が流通する冷媒流路を形成している流路形成部材と、
を有し、
上記隔壁部材及び上記流路形成部材は、それぞれ上記ろう材層を介して上記ベースプレートにろう付け接合されており、
上記ろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする製氷皿にある。
本発明の他の態様は、アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設されたろう材層とを備えてなる三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるベースプレートの一方の面に、複数の製氷室を区画形成するように格子状に形成された隔壁部材が当接するとともに、上記ベースプレートの他方の面に、冷媒が流通する冷媒流路を形成する流路形成部材が当接するように、上記隔壁部材及び上記流路形成部材を上記ベースプレートにそれぞれ組み付ける組み付け工程と、
上記隔壁部材、上記流路形成部材及び上記ベースプレートを、フラックスを用いることなく、上記ろう材層によりろう付け接合するろう付け工程と、を含み、
上記ろう材層が、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有していることを特徴とする製氷皿の製造方法にある。
上記隔壁部材、上記流路形成部材及び上記ベースプレートを、フラックスを用いることなく、上記ろう材層によりろう付け接合するろう付け工程と、を含み、
上記ろう材層が、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有していることを特徴とする製氷皿の製造方法にある。
上記製氷皿においては、ベースプレートの一方の面に複数の製氷室を区画形成する隔壁部材が設けられ、他方の面に冷媒流路を形成する流路形成部材が設けられており、隔壁部材、流路形成部材及びベースプレートは該ベースプレートのろう材層により、ろう付け接合されている。当該ろう付け接合におけるろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有している。このような特殊な化学成分組成よりなるろう材層を積極的に採用することにより、ろう材層は、アルミニウム合金の酸化皮膜を脆弱化させる効果を奏することとなる。そのため、フラックスを用いることなく、不活性ガス雰囲気下においてろう付け接合することができる。その結果、成形後にフラックスを除去する工程が不要となるため、製造工程を簡略化できる。また、真空雰囲気を必要としないため、安価でかつ大量生産が可能となる。また、ベースプレートが上記三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなることから、製氷皿を容易に作製することができる。
また、上記製氷皿の製造方法においては、ベースプレートとして、三層クラッド構造を有するブレージングシートを用いるとともに、当該ブレージングシートのろう材層が、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有している。これにより、上述と同様に、フラックスを用いることなく、不活性ガス雰囲気下においてろう付け接合することができる。その結果、成形後にフラックスを除去する工程が不要となるため、製造工程を簡略化できる。また、真空雰囲気を必要としないため、安価でかつ大量生産が可能となる。また、上記三層クラッド構造を有するブレージングシートを用いることにより、容易に製氷皿を作製することができる。
以上のごとく、本発明によれば、安価でかつ大量生産が可能であるとともに、フラックスを用いることなく製造することができる製氷皿を提供することができる。
上記製氷皿において、アルミニウム合金とは、狭義のアルミニウム合金だけでなく、純アルミニウムも含むアルミニウムを主成分とする金属の総称である。
上記ベースプレートは、アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設された皮材とを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなる。そして、ろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
すなわち、ろう材層は、6〜13%のSiを含有している。これにより、溶融したろう材の流動性が向上するため、ろう材が接合部の細部にまで侵入しやすくなり、ろう付け接合の健全性が向上する。
すなわち、ろう材層は、6〜13%のSiを含有している。これにより、溶融したろう材の流動性が向上するため、ろう材が接合部の細部にまで侵入しやすくなり、ろう付け接合の健全性が向上する。
Siの含有量が6%未満の場合には、溶融したろう材の流動性が低下し、ろう付け接合の健全性が低下するおそれがある。一方、Siの含有量が13%を超える場合には、過剰にろう材層が溶融するおそれがある。また、ろう材層中に粗大な初晶Siが形成されやすくなる。そのため、ろう付け接合の際にろう材層に溶融穴が発生するおそれがある。
上述のように、ろう材層は、Li:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有している。これにより、ろう材層は、アルミニウム合金の酸化皮膜を脆弱化させる効果を奏する。その結果、不活性ガス雰囲気下でフラックスを用いることなく、ろう付け接合を行うことができる。
Liが上記含有量でろう材層に含有されることにより、上述のアルミニウム合金の酸化皮膜を脆弱化させる効果に加えて、溶融したろう材の流動性を高める効果を奏する。これにより、ろう付け接合の健全性を高めることができる。また、Mgも同様に、溶融したろう材の流動性を高める効果を奏し、ろう付け接合の健全性の向上に寄与する。
Liの含有量が0.004%未満の場合には、溶融したろう材の流動性が不十分となるおそれがあり、また、酸化皮膜の脆弱化が不十分となるおそれがある。そのため、この場合にはろう付け接合の健全性が低下するおそれがある。一方、Liの含有量が0.1%を超える場合には、ろう付け接合中に形成されるLi2Oが過剰となるため、ろう付け接合の健全性が低下するおそれがある。
なお、Be、Ba、Ca及びMgの含有量についても、それぞれの含有量が上記特定の範囲の下限に満たない場合には、酸化皮膜の脆弱化が不十分となりやすく、ろう付け接合の健全性を向上させる効果を得にくくなる。一方、これらの化学成分の含有量が上記特定の範囲の上限を超える場合には、ろう材層の表面が過剰に酸化するおそれがあり、場合によってはろう付け接合の健全性が低下するおそれがある。
なお、Li、Be、Ba、Ca及びMgこれらの化学成分がアルミニウム合金の酸化皮膜を脆弱化させるメカニズムは完全に解明されているわけではないが、Mgについては、以下のメカニズムが現時点において妥当と考えられている。
すなわち、溶融状態のろう中に存在するMgは、不活性ガス雰囲気のため酸化されにくく、反応性の高い状態となっている。そして、上記溶融液内のMgは、接合するべき部分に存在する酸化皮膜(Al2O3)と接触すると、酸化皮膜と反応してAlMgO4のスピネル型化合物を生成する。これにより、酸化皮膜を脆弱化させることができると考えられる。
上記ろう材層は、Si:6〜13%、Li:0.004〜0.1%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分組成からなることが好ましい。この場合には、アルミニウム合金の酸化皮膜を脆弱化させるとともに、溶融したろう材の流動性を高める効果を奏し、ろう材層によるろう付け接合の健全性が一層向上する。
上記心材は、6000系(Al−Mg−Si系)のアルミニウム合金よりなることが好ましい。従来のフラックスを使用したろう付け接合では、6000系のアルミニウム合金を心材とするブレージングシートを使用すると、6000系のアルミニウム合金に含まれているMgがフラックスと反応してしまい、ろう付け性が低下する。そのため、従来、フラックスを使用したろう付け接合をする場合には、ろう付け性を確保するために、3000系のアルミニウム合金を心材とするブレージングシートを使用していた。
しかし、本発明の製氷皿では、ろう材層が上述の化学成分組成を有することで、フラックスを用いることなく、不活性ガス雰囲気中でろう付け接合を行うことを可能としている。そのため、ろう付け性を低下させることなく、6000系のアルミニウム合金を心材とするブレージングシートを使用することができる。
6000系のアルミニウム合金は、3000系のアルミニウム合金に比べて、熱伝導性が良い。そのため、ベースプレートとして、6000系のアルミニウム合金を心材とするブレージングシートを使用することにより、製氷皿の製氷能力を向上することができる。また、6000系のアルミニウム合金は、3000系のアルミニウム合金に比べて、強度に優れるため、ベースプレートを薄肉化することができ、これによっても製氷皿の製氷能力を向上することができる。
また、ろう付け後の強度についても、6000系のアルミニウム合金を心材とすることにより、3000系のアルミニウム合金に比べて、向上することができる。
また、ろう付け後の強度についても、6000系のアルミニウム合金を心材とすることにより、3000系のアルミニウム合金に比べて、向上することができる。
心材は、6000系のアルミニウム合金の中でも、Si:0.2〜0.6%、Mg:0.4〜0.9%の化学成分を含有していることが好ましい。
Mgの含有量が0.9%を超える場合には、心材の融点が下がるおそれがあり、ろう付け性が低下するおそれがある。一方、Mgの含有量が0.4%未満の場合には、ろう付け接合の健全性を向上させる作用効果を得にくくなる場合がある。
また、Siの含有量が0.6%を超える場合には、心材の融点が下がるおそれがあり、ろう付け性が低下するおそれがある。一方、Siの含有量が0.2%未満の場合には、ろう付け接合の健全性を向上させる作用効果を得にくくなる場合がある。
Mgの含有量が0.9%を超える場合には、心材の融点が下がるおそれがあり、ろう付け性が低下するおそれがある。一方、Mgの含有量が0.4%未満の場合には、ろう付け接合の健全性を向上させる作用効果を得にくくなる場合がある。
また、Siの含有量が0.6%を超える場合には、心材の融点が下がるおそれがあり、ろう付け性が低下するおそれがある。一方、Siの含有量が0.2%未満の場合には、ろう付け接合の健全性を向上させる作用効果を得にくくなる場合がある。
上記隔壁部材及び上記流路形成部材は、アルミニウム合金よりなることが好ましい。これにより、製氷皿を軽量化することができる。また、製氷皿全体がアルミニウム合金製となるため、異種材料で形成する場合に比べて、廃棄する際における分別の手間が省けてリサイクル性が向上する。上記隔壁部材及び上記流路形成部材を形成するアルミニウム合金の化学成分組成は、成形性、耐腐食性、熱伝導性、耐腐食性などを考慮して適宜選択することができる。
上記隔壁部材の内、少なくとも上記複数の製氷室の外壁を形成している外側隔壁部は、アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設されたろう材層とを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるとともに、上記外側隔壁部における上記ろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることが好ましい。隔壁部材をベースプレートにろう付け接合する際に、外側隔壁部におけるろう材層が溶融して両者のろう付け性が向上するからである。
上記隔壁部材の内、少なくとも上記複数の製氷室の外壁を形成している外側隔壁部を三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるものとする場合には、外側隔壁部における心材を6000系のアルミニウム合金よりなるものとすることが好ましい。上述の通り、6000系のアルミニウム合金は、3000系のアルミニウム合金に比べて、熱伝導性が良いため、製氷皿の製氷能力を向上することができるからである。また、6000系のアルミニウム合金は、3000系のアルミニウム合金に比べて、強度に優れるため、製氷皿の強度が向上するからである。
なお、製氷室の外壁を形成する外側隔壁部に加えて、製氷室の内壁を形成する内側隔壁部も外側隔壁部と同様に、上記三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなることとしてもよい。この場合には、製氷皿の強度が更に向上するとともに、各製氷室に対する冷却効果も高まる。また、ベースプレート及び外側隔壁部とのろう付け性も向上する。
なお、製氷室の外壁を形成する外側隔壁部に加えて、製氷室の内壁を形成する内側隔壁部も外側隔壁部と同様に、上記三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなることとしてもよい。この場合には、製氷皿の強度が更に向上するとともに、各製氷室に対する冷却効果も高まる。また、ベースプレート及び外側隔壁部とのろう付け性も向上する。
上記流路形成部材は、上記ベースプレート側に開口する凹部を備える板状部材からなるとともに、上記冷媒流路が該凹部と上記ベースプレートとの間に形成されていることとすることが好ましい。これにより、ベースプレートにおける製氷室と反対側の面が冷媒流路の壁面の一部を形成することとなるため、当該冷媒流路を流通する冷媒が直接ベースプレートに接することとなる。これにより、冷媒流路を流通する冷媒による製氷室の冷却効果が向上し、製氷能力が向上する。
本発明の製氷皿は、以下の製造方法により、作製することができる。
まず、上述の三層クラッド構造を有するブレージングシートを準備し、所定の大きさの矩形状に切断して、ベースプレートを作製する。次いで、隔壁部材の外側隔壁部及び内側隔壁部を準備する。外側隔壁部及び内側隔壁部にはそれぞれ、互いに嵌合して組み付けあうように形成されたスリットを予め設けておく。そして、ベースプレートの外縁に沿って、隔壁部材の外側隔壁部を組むとともに、その内側に等間隔に格子状に組んだ内側隔壁部をはめ込んで隔壁部材を組み上げる。
まず、上述の三層クラッド構造を有するブレージングシートを準備し、所定の大きさの矩形状に切断して、ベースプレートを作製する。次いで、隔壁部材の外側隔壁部及び内側隔壁部を準備する。外側隔壁部及び内側隔壁部にはそれぞれ、互いに嵌合して組み付けあうように形成されたスリットを予め設けておく。そして、ベースプレートの外縁に沿って、隔壁部材の外側隔壁部を組むとともに、その内側に等間隔に格子状に組んだ内側隔壁部をはめ込んで隔壁部材を組み上げる。
その後、隔壁部材及び流路形成部材をベースプレートにそれぞれ組み付ける組み付け工程を行う。組み付け工程では、隔壁部材を、外側隔壁部がベースプレートの外縁に沿うように、ベースプレートの一方の面に当接させて、更に、凹部が形成された流路形成部材をベースプレートの他方の面に当接させて、治具で押圧する。
次に、隔壁部材、流路形成部材及びベースプレートを該ベースプレートのろう材層によりろう付け接合するろう付け工程を行う。ろう付け工程は、不活性ガス雰囲気下においてフラックスを用いることなく行う。例えば、窒素雰囲気のろう付炉において、酸素濃度10ppm、炉温620℃として、物温600℃で、フラックスが存在しない条件下でろう付けを行い、ろう付け後、560℃までろう付炉内で徐冷する。その後、ろう付炉から取り出して、強制冷却を行う。室温まで冷却された後、治具を取り外す。
上記ろう付け工程において、ベースプレートのろう材層の一部が溶けだし、溶けだしたろう材層の一部がベースプレートと隔壁部材との間に入り込み、ベースプレートの一方の面と隔壁部材とを接合するろう材となって、両者がろう付け接合される。同様に、溶けだしたろう材層の一部がベースプレートと流路形成部材との間に入り込み、ベースプレートの他方の面と流路形成部材とを接続するろう材となって、両者がろう付け接合される。
上記製造方法において、心材は、6000系のアルミニウム合金よりなることが好ましい。心材が3000系のアルミニウム合金よりなる場合に比べて、熱伝導性が良く、強度に優れるため、製氷能力が高く、強度の高い製氷皿を製造することができるからである。
(実施例1)
本例の実施例に係る製氷皿につき、図1〜図5を用いて説明する。
本例の製氷皿1は、図1、図2に示すように、ベースプレート10、隔壁部材20、流路形成部材30を有している。
ベースプレート10は、図3に示すように、アルミニウム合金よりなる心材11と、心材11の両面に配設されたろう材層12a、12bとを備える三層クラッド構造を有するブレージングシート14よりなる。
隔壁部材20は、図1、図2に示すように、ベースプレート10の一方の面10aに格子状に立設されて、複数の製氷室2を区画形成している。
流路形成部材30は、ベースプレート10の他方の面10bに設けられているとともに、複数の製氷室2を冷却するための冷媒が流通する冷媒流路31を形成している。
隔壁部材20及び流路形成部材30が、図5に示すように、それぞれろう材層12a、12bを介してベースプレート10にろう付け接合されている。
そして、ろう材層12a、12bは、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
本例では、ろう材層12a、12bは、Si:10%、Li:0.02%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
本例の実施例に係る製氷皿につき、図1〜図5を用いて説明する。
本例の製氷皿1は、図1、図2に示すように、ベースプレート10、隔壁部材20、流路形成部材30を有している。
ベースプレート10は、図3に示すように、アルミニウム合金よりなる心材11と、心材11の両面に配設されたろう材層12a、12bとを備える三層クラッド構造を有するブレージングシート14よりなる。
隔壁部材20は、図1、図2に示すように、ベースプレート10の一方の面10aに格子状に立設されて、複数の製氷室2を区画形成している。
流路形成部材30は、ベースプレート10の他方の面10bに設けられているとともに、複数の製氷室2を冷却するための冷媒が流通する冷媒流路31を形成している。
隔壁部材20及び流路形成部材30が、図5に示すように、それぞれろう材層12a、12bを介してベースプレート10にろう付け接合されている。
そして、ろう材層12a、12bは、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
本例では、ろう材層12a、12bは、Si:10%、Li:0.02%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
以下、本例の製氷皿1の構成要素について、詳述する。
ベースプレート10は、図2に示すように、矩形の板状部材である。そして、図3に示すように、ベースプレート10は、心材11とその両面に配設されたろう材層12a、12bとを備える三層クラッド構造を有するブレージングシート14よりなる。
心材11はアルミニウム合金よりなる。本例では、心材11は6000系のアルミニウム合金よりなり、6000系合金として、Mg;0.6%と、Si;0.4%とが添加されている。
ベースプレート10には、図5に示すように、各製氷室2の底部23に相当する位置に、貫通孔である空気孔13がそれぞれ設けられている。なお、空気孔13は、後述の冷媒流路31と重ならない位置に設けられている。
ベースプレート10は、図2に示すように、矩形の板状部材である。そして、図3に示すように、ベースプレート10は、心材11とその両面に配設されたろう材層12a、12bとを備える三層クラッド構造を有するブレージングシート14よりなる。
心材11はアルミニウム合金よりなる。本例では、心材11は6000系のアルミニウム合金よりなり、6000系合金として、Mg;0.6%と、Si;0.4%とが添加されている。
ベースプレート10には、図5に示すように、各製氷室2の底部23に相当する位置に、貫通孔である空気孔13がそれぞれ設けられている。なお、空気孔13は、後述の冷媒流路31と重ならない位置に設けられている。
隔壁部材20は、図2に示すように、複数の製氷室2の外壁を形成している外側隔壁部21a、21bと、内壁を形成している内側隔壁部22a、22bとを備える。外側隔壁部21a、21bは、縦方向の外側隔壁部21aと横方向の外側隔壁部21bとが、ベースプレート10の外縁に沿って、枠状に組まれている。その内側に、縦方向の内側隔壁部22aと横方向の内側隔壁部22bとが等間隔に格子状に組まれている。これにより、複数の製氷室2が区画形成されている。本例では、両内側隔壁部22a、22bはそれぞれ、4枚ずつ設けられており、製氷室2は、縦方向に5個、横方向5個に区画されて、合計25個の製氷室2が形成されている。
隔壁部材20の内、外側隔壁部21bは、図5に示すように、アルミニウム合金よりなる心材211と、心材211の両面に配設されたろう材層212とを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるとともに、外側隔壁部21bにおけるろう材層212は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。本例では、外側隔壁部21bにおける心材211及びろう材層212は、上述のベースプレート10におけるブレージングシート14の心材11及びろう材層12a、12bと同一の構成よりなる。なお、外側隔壁部21aも、外側隔壁部21bと同一の構成を有する。一方、内側隔壁部22a、22bは純アルミニウム(1050)からなる。
隔壁部材20は、図2に示すように、ベースプレート10の一方の面10a側に設けられている。図5に示すように、隔壁部材20の内、外側隔壁部21b及び内側隔壁部22bは、ベースプレート10の一方の面10aに垂直に立設している。外側隔壁部21b及び内側隔壁部22bは、ろう材層12aを介して、ベースプレート10の一方の面10aにろう付け接合されている。そして、外側隔壁部21b及び内側隔壁部22bとベースプレート10の一方の面10aとの当接部40aを覆うように、フィレット部40が形成されている。図示しないが、外側隔壁部21a及び内側隔壁部22aについても、これと同様にろう材層12aを介して、ベースプレート10の一方の面10aにろう付け接合されている。
流路形成部材30は、図4に示すように、平面視においてベースプレート10の外形と一致するように矩形の平板状を有する。流路形成部材30は、純アルミニウム(1000系)からなる。流路形成部材30には、図2に示すように、ベースプレート10側に開口した凹部311が形成されている。凹部311は、図4に示すように、平面視において内側隔壁部22aに沿うとともに蛇行するように連続して形成されている。流路形成部材30において、平面視においてベースプレート10の空気孔13と対向する位置には、貫通孔である空気孔33がそれぞれ設けられている。
流路形成部材30は、図1、図2に示すように、ベースプレート10の他方の面10b側において、平面視でベースプレート10の外形と一致するようにベースプレート10に重ね合わされている。図5に示すように、流路形成部材30は、ろう材層12bを介してベースプレート10の他方の面10bにろう付け接合されている。これにより、凹部311とベースプレート10の他方の面10bとの間に、冷媒流路31が形成されている。冷媒流路31は、図2、図4に示すように、製氷皿1の側面に開口するように形成されている接続口31a、31bを備える。図1に示すように、接続口31a、31bには、冷媒を導入又は排出する冷媒導排管32がそれぞれ溶接されている。冷媒導排管32は銅製のパイプ状部材である。
流路形成部材30における空気孔33は、図5に示すように、ベースプレート10の空気孔13と重なっており、各製氷室2は空気孔13、33を介して流路形成部材30側の外部と連通している。
流路形成部材30における空気孔33は、図5に示すように、ベースプレート10の空気孔13と重なっており、各製氷室2は空気孔13、33を介して流路形成部材30側の外部と連通している。
本例の製氷皿1は、以下の方法によって製造した。
まず、図3に示すように、心材11にろう材層12a、12bを接合した三層クラッド構造を有するブレージングシート14を準備した。そして、ブレージングシート14を所定の大きさの矩形状に切断して、図2に示すベースプレート10を作製した。
まず、図3に示すように、心材11にろう材層12a、12bを接合した三層クラッド構造を有するブレージングシート14を準備した。そして、ブレージングシート14を所定の大きさの矩形状に切断して、図2に示すベースプレート10を作製した。
次いで、図2に示すように、ベースプレート10の外縁に沿って外側隔壁部21a、21bを組むとともに、その内側に等間隔に格子状に組んだ内側隔壁部22a、22bをはめ込み、隔壁部材20を組み上げた。なお、外側隔壁部21a、21b及び内側隔壁部22a、22bにはそれぞれ、互いに嵌合して組み付けあうように形成された、スリット(図示せず)が予め設けられている。
その後、隔壁部材20及び流路形成部材30をベースプレート10にそれぞれ組み付ける組み付け工程を行った。組み付け工程では、隔壁部材20を、外側隔壁部21a、21bがベースプレート10の外縁に沿うように、ベースプレート10の一方の面10aに当接させて、更に、凹部311が形成された流路形成部材30をベースプレート10の他方の面10bに当接させて、治具で押圧した。
次に、ベースプレート10に隔壁部材20及び流路形成部材30を治具で押圧した状態でろう付け工程を行った。ろう付け工程は、窒素雰囲気のろう付炉において、酸素濃度10ppm、炉温620℃として、物温600℃で、フラックスを用いることなく行った。ろう付け後、560℃までろう付炉内で徐冷し、その後、ろう付炉から取り出して、強制冷却を行った。室温まで冷却した後、治具を取り外した。
上記ろう付け工程において、図3に示すベースプレート10のろう材層12aの一部が溶けだし、図5に示すように、隔壁部材20とベースプレート10の一方の面10aとの当接部40aに沿って流れ、両者の間に入り込んだ。これにより、溶けだしたろう材層12aの一部がベースプレート10の一方の面10aと隔壁部材20とを接合するろう材となって、両者がろう付け接合された。同様に、ベースプレート10のろう材層12bの一部が溶けだし、ベースプレート10の他方の面10bと流路形成部材30との当接部40bに沿って流れ、両者の間に入り込んだ。そして、溶けだしたろう材層12bの一部がベースプレート10の他方の面10bと流路形成部材30とを接合するろう材となって、両者がろう付け接合された。
その後、各製氷室2の底部23において、冷媒流路31と重ならない位置にドリルで空気孔13、33を穿孔した。また、冷媒流路31の接続口31a、31bに、冷媒導排管32をそれぞれ溶接した。
次に、製氷皿1の使用態様について、詳述する。
まず、製氷皿1は、製氷室2の開口側(流路形成部材30と反対側)が重力方向下側となった状態で、製氷装置(図示せず)内に配置される。そして、製氷装置から冷媒導排管32を介して、冷媒流路31に冷媒を供給し流通させる。これにより、各製氷室2を冷却状態とする。
次いで、各製氷室2に重力方向下側から水を供給することにより、各製氷室2内で徐々に氷が成長して、各製氷室2内が氷によって充填されることとなる。
その後、冷媒流路31に熱媒を流通させることにより、各製氷室2内に形成された氷におけるベースプレート10及び隔壁部材20と接触する部分が溶ける。そして、空気孔13、33を介して、各製氷室2に空気が流入することにより、各製氷室2に形成された氷は各製氷室2から押し出されて落下し、下方に設けられた収容箱(図示せず)に収容されることとなる。
まず、製氷皿1は、製氷室2の開口側(流路形成部材30と反対側)が重力方向下側となった状態で、製氷装置(図示せず)内に配置される。そして、製氷装置から冷媒導排管32を介して、冷媒流路31に冷媒を供給し流通させる。これにより、各製氷室2を冷却状態とする。
次いで、各製氷室2に重力方向下側から水を供給することにより、各製氷室2内で徐々に氷が成長して、各製氷室2内が氷によって充填されることとなる。
その後、冷媒流路31に熱媒を流通させることにより、各製氷室2内に形成された氷におけるベースプレート10及び隔壁部材20と接触する部分が溶ける。そして、空気孔13、33を介して、各製氷室2に空気が流入することにより、各製氷室2に形成された氷は各製氷室2から押し出されて落下し、下方に設けられた収容箱(図示せず)に収容されることとなる。
次に、製氷皿1の作用効果について、詳述する。
本例の製氷皿1によれば、ベースプレート10の一方の面10aに複数の製氷室2を区画形成する隔壁部材20が設けられ、他方の面10bに冷媒流路31が設けられており、両者はベースプレート10のろう材層12a、12bを介してそれぞれベースプレート10にろう付け接合されている。当該ろう付け接合におけるろう材層12a、12bは、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有している。本例では、ろう材層12a、12bは、Si:10%、Li:0.02%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物をからなる。ろう材層12a、12bがかかる化学成分組成を有することにより、製氷皿1の製造方法によって、フラックスを用いることなく、不活性ガス雰囲気下においてろう付け接合することができる。その結果、成形後にフラックスを除去する工程が不要となるため、製造工程を簡略化できる。また、真空雰囲気を必要としないため、安価でかつ大量生産が可能となる。また、ベースプレート10が上記三層クラッド構造を有するブレージングシート14よりなることから、製氷皿1を容易に作製することができる。
本例の製氷皿1によれば、ベースプレート10の一方の面10aに複数の製氷室2を区画形成する隔壁部材20が設けられ、他方の面10bに冷媒流路31が設けられており、両者はベースプレート10のろう材層12a、12bを介してそれぞれベースプレート10にろう付け接合されている。当該ろう付け接合におけるろう材層12a、12bは、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有している。本例では、ろう材層12a、12bは、Si:10%、Li:0.02%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物をからなる。ろう材層12a、12bがかかる化学成分組成を有することにより、製氷皿1の製造方法によって、フラックスを用いることなく、不活性ガス雰囲気下においてろう付け接合することができる。その結果、成形後にフラックスを除去する工程が不要となるため、製造工程を簡略化できる。また、真空雰囲気を必要としないため、安価でかつ大量生産が可能となる。また、ベースプレート10が上記三層クラッド構造を有するブレージングシート14よりなることから、製氷皿1を容易に作製することができる。
また、本例では、ベースプレート10の心材11として、6000系(Al−Mg−Si系)のアルミニウム合金を使用している。6000系のアルミニウム合金は3000系のアルミニウム合金にくらべて、熱伝導性が良いため、製氷皿1の製氷能力を向上することができる。また、6000系のアルミニウム合金は強度に優れるため、ベースプレート10を薄肉化することができ、これによっても製氷皿1の製氷能力を向上することができる。なお、本例では、不活性ガス雰囲気下において、フラックスを用いることなくろう付け接合しているため、6000系のアルミニウム合金を使用することに起因するろう付け性の低下は防止されている。
また、ろう付け後の強度についても、6000系のアルミニウム合金を心材とすることにより、3000系のアルミニウム合金を心材とする場合に比べて、向上することができる。3000系のアルミニウム合金(3003−O)を心材とする場合には、ろう付け後における心材の引張強さは110MPa程度であり、耐力は40MPa程度である。一方、6000系のアルミニウム合金(6063−O)を心材とする場合には、ろう付け後における空冷後の心材の引張強さは150MPa程度であり、耐力は90MPa程度であって、さらに、焼き戻し処理後の引張強さは185MPa程度であり、耐力は145MPa程度である。このように、6000系のアルミニウム合金を心材11とすることにより、3000系のアルミニウム合金を心材とする場合に比べて、強度が向上する。
また、本例では、隔壁部材20及び流路形成部材30は、いずれもアルミニウム合金よりなる。これにより、製氷皿1を軽量化することができる。また、製氷皿1全体がアルミニウム合金製となるため、異種材料で形成する場合に比べて、廃棄する際における分別の手間が省けてリサイクル性が向上する。
また、隔壁部材20の内、複数の製氷室2の外壁を形成している外側隔壁部21a、21bは、ベースプレート10と同様に三層クラッド構造を有するブレージングシートからなる。これにより、外側隔壁部21a、21bをベースプレート10にろう付け接合する際に、外側隔壁部21a、21bにおけるろう材層212が溶融して両者のろう付け性が向上する。
また、外側隔壁部21a、21bにおける心材211は、6000系のアルミニウム合金よりなる。6000系のアルミニウム合金は、3000系のアルミニウム合金に比べて、熱伝導性が良いため、製氷皿1の製氷能力が一層向上する。また、6000系のアルミニウム合金は、3000系のアルミニウム合金に比べて、強度に優れるため、製氷皿1の強度が一層向上する。
本例では、内側隔壁部22a、22bは純アルミニウムからなる。純アルミニウムは熱伝導性に優れるため、製氷室2の内側の冷却効果が高まり、製氷室2の製氷能力が向上する。
なお、製氷室2の外壁を形成している外側隔壁部21a、21bに加えて、内側隔壁部22a、22bもベースプレート10と同様にブレージングシートからなることとしてもよい。この場合には、隔壁部材20全体の強度が向上するとともに、各製氷室2に対する冷却効果も高まり、隔壁部材20全体においてベースプレート10に対するろう付け性も向上する。
また、流路形成部材30も純アルミニウム(1050)からなる。純アルミニウムは成形性が良いため、冷媒流路31の一部となる凹部311の成形が容易となる。
なお、製氷室2の外壁を形成している外側隔壁部21a、21bに加えて、内側隔壁部22a、22bもベースプレート10と同様にブレージングシートからなることとしてもよい。この場合には、隔壁部材20全体の強度が向上するとともに、各製氷室2に対する冷却効果も高まり、隔壁部材20全体においてベースプレート10に対するろう付け性も向上する。
また、流路形成部材30も純アルミニウム(1050)からなる。純アルミニウムは成形性が良いため、冷媒流路31の一部となる凹部311の成形が容易となる。
流路形成部材30は、ベースプレート10側に開口する凹部311を備える板状部材からなるとともに、当該凹部311とベースプレート10との間に冷媒流路31が形成されている。これにより、ベースプレート10の他方の面10bが冷媒流路31の壁面の一部を形成することとなるため、当該冷媒流路31を流通する冷媒が直接ベースプレート10に接することとなる。これにより、冷媒流路31を流通する冷媒による製氷室2の冷却効果が向上し、製氷皿1の製氷能力が向上する。
本例では、流路形成部材30を板状部材とし、これに形成した凹部311とベースプレート10により冷媒流路31を形成したが、流路形成部材30を、パイプ状の部材として、ベースプレート10の他方の面10bに蛇行するように配設し、当該パイプ状部分が冷媒流路31をなすこととしてもよい。
以上のごとく、本例によれば、安価でかつ大量生産が可能であるとともに、フラックスを用いることなく製造することができる製氷皿1を提供することができる。
1 製氷皿
2 製氷室
10 ベースプレート
11 心材
12a、12b ろう材層
20 隔壁部材
21a、21b 外側隔壁部
22a、22b 内側隔壁部
30 流路形成部材
31 冷媒流路
2 製氷室
10 ベースプレート
11 心材
12a、12b ろう材層
20 隔壁部材
21a、21b 外側隔壁部
22a、22b 内側隔壁部
30 流路形成部材
31 冷媒流路
Claims (7)
- アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設されたろう材層とを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるベースプレートと、
該ベースプレートの一方の面に格子状に立設されて、複数の製氷室を区画形成している隔壁部材と、
上記ベースプレートの他方の面に設けられているとともに、上記複数の製氷室を冷却するための冷媒が流通する冷媒流路を形成している流路形成部材と、
を有し、
上記隔壁部材及び上記流路形成部材は、それぞれ上記ろう材層を介して上記ベースプレートにろう付け接合されており、
上記ろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする製氷皿。 - 上記心材は、6000系のアルミニウム合金よりなることを特徴とする請求項1に記載の製氷皿。
- 上記隔壁部材及び上記流路形成部材は、アルミニウム合金よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の製氷皿。
- 上記隔壁部材の内、少なくとも上記複数の製氷室の外壁を形成している外側隔壁部は、アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設されたろう材層とを備える三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるとともに、上記外側隔壁部における上記ろう材層は、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製氷皿。
- 上記流路形成部材は、上記ベースプレート側に開口する凹部を備える板状部材からなるとともに、上記冷媒流路が該凹部と上記ベースプレートとの間に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製氷皿。
- アルミニウム合金よりなる心材と、該心材の両面に配設されたろう材層とを備えてなる三層クラッド構造を有するブレージングシートよりなるベースプレートの一方の面に、複数の製氷室を区画形成するように格子状に形成された隔壁部材が当接するとともに、上記ベースプレートの他方の面に、冷媒が流通する冷媒流路を形成する流路形成部材が当接するように、上記隔壁部材及び上記流路形成部材を上記ベースプレートにそれぞれ組み付ける組み付け工程と、
上記隔壁部材、上記流路形成部材及び上記ベースプレートを、フラックスを用いることなく、上記ろう材層によりろう付け接合するろう付け工程と、を含み、
上記ろう材層が、Si:6〜13%(質量%、以下同じ)を含有し、さらにLi:0.004〜0.1%、Be:0.005〜0.04%、Ba:0.007〜0.05%、Ca:0.005〜0.03%、Mg:0.05〜0.4%のうち1種または2種以上を含有していることを特徴とする製氷皿の製造方法。 - 上記心材は、6000系のアルミニウム合金よりなることを特徴とする請求項6に記載の製氷皿の製造方法。
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-
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- 2013-07-02 JP JP2013138554A patent/JP2015010806A/ja active Pending
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