JP2015010435A - 基礎構造及び基礎構造の設計方法 - Google Patents

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【課題】免震装置に支持された構造物に入力される地震動の短周期成分を低減させることが課題である。【解決手段】基礎構造100では、軟弱地盤20に造成(形成)した剛性の高い地盤改良体150によって地震動の入力損失が生じ、免震ピット110に入力される地震動の短周期成分が低減する。よって、免震装置200を構成するダンパー220の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物10の二次振動モードの振動が低減する。【選択図】図1

Description

本発明は、基礎構造及び基礎構造の設計方法に関する。
特許文献1には、支持層の地盤の上に、液状化または軟弱な地盤と支持層の地盤との中間層の地盤と、液状化または軟弱な地盤とが順に積層される地盤上に構築する上部躯体の基礎構造が開示さている。この先行技術では、支持層まで達する杭基礎を上部躯体に設け、液状化するまたは軟弱な地盤の部分では該杭基礎周囲非改良部を残し、地震時の上部躯体の側からのせん断力、一部の軸方向応力をせん断耐力によってさらに下方に位置する前記中間層の地盤に伝達し処理するよう、上部躯体に接合し、かつ、前記中間層の地盤に達する地盤改良部を形成している。
特許文献2には、固化工法を用いた高水平耐力基礎工法が開示されている。この先行技術では、液状化する可能性ある表層地盤中に、深層混合処理機により安定剤を撹拌混合させて、該表層地盤の下端部から上端部に達する平面格子状の難透水性壁構造体を形成すると共に、該構造体の格子目状部分が囲む複数表層地盤部分に、上記表層地盤下方の支持力を有してかつ液状化しない中層乃至深層支持地盤まで下端を貫入させて基礎杭を構築している。
特許文献3には、軟弱地盤上に構築される構造物の基礎構造が開示されている。この先行技術では、構造物に接合して下方より支持する杭と、構造物下方の軟弱地盤内に所定の深さをもって形成された固化壁体をなし杭の周囲の軟弱地盤に水平抵抗を与える地盤改良壁と、を備えた基礎構造となっている。
ここで、軟弱地盤(地盤の軟弱層)の揺れは、地表面に近づくにつれて大きく増幅し、地表面の地震動が大きくなることが知られている。しかし、このような地震動の増幅成分は主に短周期であり、免震装置によって支持された一次周期が長い構造物では、地震動の短周期成分による影響は受けにくいと考えられていた。
しかしながら本発明者らの研究によって、免震装置によって支持された構造物の振動(揺れ)の最大値は、免震装置を構成する履歴ダンパー等の非線形性により励起される「短周期の卓越成分による二次振動モード」によって支配されることが判った。そして、免震装置を支持する基礎部に入力される地震動は地表面の地震動に近い入力となり、このため免震装置によって支持された構造物は、短周期の卓越成分による二次周期(二次振動モード)で大きく揺れることが判った。
特許第3946848号 特許第2645899号 特開2007−9421号公報
本発明は、上記事実に鑑み、免震装置に支持された構造物に入力される地震動の短周期成分を低減させることが課題である。
請求項1の発明は、軟弱地盤に設けられた基礎部と、前記基礎部に設置され、構造物を支持する免震装置と、前記軟弱地盤に形成され、前記軟弱地盤よりも剛性が高い地盤改良体と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、免震装置によって構造物の一次周期を長周期にすることで、地震時に構造物が受ける影響が低減する。また、軟弱地盤に形成した剛性の高い地盤改良体によって地震動の入力損失が生じ、基礎部に入力される地震動の短周期成分が低減する。よって、免震装置を構成する履歴ダンパー等の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物の二次振動モードの振動が低減する。
請求項2の発明は、前記地盤改良体は、前記軟弱地盤の下層部分を構成する過圧密層に到達するように形成されている。
請求項2に記載の発明では、地盤改良体を軟弱地盤の下層部分を構成する過圧密層に到達するように形成することで、基礎部に入力される地震動の短周期成分が効果的に低減する。よって、免震装置を構成する履歴ダンパー等の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物の二次振動モードの振動が効果的に低減する。
請求項3の発明は、前記地盤改良体は、前記軟弱地盤よりも下層で、該軟弱地盤よりも固い支持層の剛性よりも高い材料で構成されている。
請求項3に記載の発明では、地盤改良体を支持層よりも剛性が高い材料で構成することで、基礎部に入力される地震動の短周期成分が効果的に低減する。よって、免震装置を構成する履歴ダンパー等の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物の二次振動モードの振動が効果的に低減する。
請求項4の発明は、前記地盤改良体は、平面視にて格子状に構成されている。
請求項4に記載の発明では、地盤改良体を平面視にて格子状に形成することで、地盤改良体全体の剛性を効果的に高くすることできる。よって、基礎部に入力される地震動の短周期成分が効果的に低減し、この結果、免震装置を構成する履歴ダンパー等の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物の二次振動モードの振動が効果的に低減する。
請求項5の発明は、構造物を支持する免震装置の非線形性によって励起される地震動の短周期の卓越成分を計算する第一工程と、前記第一工程で求められた短周期の卓越成分による前記構造物の二次周期の応答を小さくするように、前記免震装置が設置された基礎部が設けられた軟弱地盤に形成する地盤改良体の構造を計算する第二工程と、を備えている。
請求項5に記載の発明では、免震装置によって構造物の一次周期を長周期にすることで、地震時に構造物が受ける影響が低減する。また、軟弱地盤に形成した剛性の高い地盤改良体によって地震動の入力損失が生じ、基礎部に入力される地震動の短周期成分が低減する。よって、免震装置を構成する履歴ダンパー等の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物の二次振動モードの振動が低減する。
本発明によれば、免震装置に支持された構造物に入力される地震動の短周期成分を低減させることができる。
本発明の一実施形態に係る基礎構造を模式的に示す垂直断面図である。 基礎構造を構成する地盤改良体及び杭を示す(A)は拡大斜視図であり、(B)は水平断面図である。 (A)は基礎構造を構成する免震装置を構成する積層ゴムの斜視図であり、(B)は基礎構造を構成する免震装置を構成するダンパーの斜視図である。 (A)は本発明が適用されていな比較例の基礎構造を示す垂直断面図であり、(B)は図1に示す垂直断面図である。 フロアレスポンススペクトルを示す模式図(グラフ)である。 本実施形態の基礎構造における、(A)は免震ピットの底部上の水平加速度を示すグラフであり、(B)は表層の水平加速度を示すグラフである。 (A)は表層(地表面付近)の水平加速度、免震ピットの底部上の水平加速度、構造物の1階の水平加速度、及び構造物の12階の水平加速度のそれぞれのフーリエ振幅を示すパルツェン窓がある場合のグラフであり、(B)は表層(地表面付近)の水平加速度及び免震ピットの底部上の水平加速度のフーリエ振幅を示すパルツェン窓等の平滑化処理がない場合のグラフである。 (A)は免震ピットの水平加速度のフーリエスペクトルと表層の水平加速度のフーリエスペクトルとの比を実測値を元に模式的に示す図であり、(B)は構造物の水平加速度のフーリエスペクトルと免震ピットの水平加速度のフーリエスペクトルとの比を実測値を元に模式的に示す図であり、(C)は構造物の水平加速度のフーリエスペクトルと表層の水平加速度とのフーリエスペクトルの比を実測値を元に模式的に示す図である。 (A)は免震ピットの直上の構造物の1階の水平加速度と構造物の最上階である12階の加速度とのそれぞれの時刻歴波形を示すグラフであり、(B)は(A)のBで囲った部分を拡大した図である。 (A)は構造物の東西方向における免震ピットの底部上の水平加速度応答スペクトルと表層の水平加速度応答スペクトルとの比を示すグラフであり、(B)は構造物の東西方向における免震ピットの底部上の水平加速度応答スペクトルと表層の水平加速度応答スペクトルとの比を示すグラフである。
<実施形態>
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(地盤)
図1に示すように、構造物10は、液状化する可能性のある軟弱な軟弱地盤20の上に構築されている。軟弱地盤20は、表層(地表面付近)22と、上層部分を構成する軟弱層24と、下層部分を構成する軟弱層24よりも剛性が高い過圧密層26と、の三層構造となっている。また、軟弱地盤20の下には支持層(非液状化層)28が存在している(図2(A)も参照)。なお、本地盤構成は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、表層22が明確には存在しない地盤構成であってもよい。
(基礎構造)
本発明の一実施形態に係る基礎構造100は、軟弱地盤20に設けられた基礎部の一例としての免震ピット110と、免震ピット110に設置され構造物10を支持する免震装置200と、軟弱地盤20に造成され軟弱地盤20よりも剛性が高い平面格子状の地盤改良体150(図2も参照)と、支持層28に根入れされた杭120(図2も参照)と、を含んで構成されている。
(平面格子状の地盤改良体)
図1と図2とに示すように、平面格子状の地盤改良体150は、複数の縦壁152によって平面格子状に構成されている。地盤改良体150は、軟弱地盤20の下層部分を構成する過圧密層26に到達するように形成されている。また、地盤改良体150は、軟弱地盤20よりも剛性が高い材料で構成されている。更に、本実施形態では、地盤改良体150は軟弱地盤20よりも固い支持層28の剛性よりも高い材料で構成されている。本実施形態では、地盤改良体150はセメントを主成分とする地盤改良材で構成されている。
なお、地盤改良体150の造成(形成)方法は限定されない。一例として本実施形態では、深層混合処理機を用いて、貫入及び引抜きする際に、スラリー状のセメント系固化材を吐出しながら土と撹拌混合させて形成する深層混合処理工法(DCM工法(登録商標):Deep Cement Mixing)によって地盤改良体150を造成(形成)している。
また、過圧密層26は、十分に圧密された地盤であり、本実施形態においては、下部から地盤中を伝播してきた地震動を、上層部分の軟弱層24よりも、地盤改良体150に伝える層である。
(杭)
図1と図2とに示すように、杭120は、地盤改良体150の各格子目154部分に設けられ、下端部122は支持層28に根入れされている。なお、本実施形態では、このように、杭120の下端部122は支持層28に根入れされているが、根入れされていなくてもよい。
(免震ピット)
図1に示すように、免震ピット110は、鉄筋コンクリート製とされ、平面格子状の地盤改良体150及び杭120の上に設けられている。すなわち、免震ピット110は、地盤改良体150及び杭120によって支持されている。
免震ピット110は、底部112と周壁114とを含む構成とされ、免震ピット110の底部112の上に、免震装置200が設けられている。
(免震装置)
図1に示すように、免震装置200は、アイソレーターの一例としての積層ゴム210(図3(A))とエネルギー吸収装置の一例としてのダンパー220(図3(B))とを含んで構成されている。免震装置200(積層ゴム210及びダンパー220)は、免震ピット110の底部112と構造物10とに連結されている。また、積層ゴム210は、杭120の直上に設置されている。そして、この免震装置200(積層ゴム210及びダンパー220)の上に構造物10が構築されている。
なお、積層ゴム(アイソレーター)210は、短い周期の揺れを長い周期の揺れに変える機能を有し、ダンパー(エネルギー吸収装置)220は、長い周期の揺れに変わった構造物10を早く止めるためにエネルギー吸収する機能を有する。
図3(A)に示すように、免震装置200を構成する積層ゴム210は、ゴム板212と鋼板214とを厚み方向に交互に積層した構成とされている。なお、積層ゴムは、図3(A)に示す構成に限定されない。他の構成の積層ゴムであってもよい。更に、積層ゴム以外のアイソレーター、例えば滑り免震支承であってもよい。
図3(B)に示すように、ダンパー220は、花弁状の鋼棒222が変形することでエネルギーを吸収する鋼棒ダンパーとなっている。なお、ダンパーは、図3(B)に示す構成に限定されない。他の構成の履歴ダンパーであってもよい。更に、ダンパー以外の非線形性を示すエネルギー吸収装置であってもよい。
また、本実施形態の免震装置200は、積層ゴム(アイソレーター)210(図3(A))とダンパー(エネルギー吸収装置)220(図3(B))とが別々に設置される別置型であったが、これに限定されない。アイソレーターとエネルギー吸収装置とが一体化された一体型の免震装置であってもよい。
(構造物)
図1に示すように、構造物10は、柱12と梁14とを有するラーメン構造となっている。そして、免震装置200を構成する積層ゴム210は、柱12の直下に位置するように免震ピット110の底部112に設置されている。
<作用及び効果>
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
(比較例)
まず、本発明が適用されていない比較例について説明する。
図4(A)に示す比較例の基礎構造500は、軟弱地盤20に設けられた免震ピット110と、免震ピット110に設置され構造物10を支持する免震装置200と、杭120(図1、図4(B))よりも太い杭520と、を含んで構成されている。免震ピット110は杭520の上に設けられている。
このように比較例の基礎構造500は、本発明が適用された基礎構造100に対して軟弱地盤20に平面格子状の地盤改良体150(図1、図4(B))が造成(形成)されていない構造である。また、地盤改良体150が造成されていない分、太い杭520で免震ピット110及び構造物10を支持している。
(構造物の地震動の影響)
図4(A)の比較例の基礎構造500及び図4(B)の本実施形態の基礎構造100(図1も参照)は、免震装置200によって構造物10の一次周期を長周期にすることで、地震時に構造物10が受ける影響(損傷)が低減される。
ここで、軟弱地盤20の揺れは、表層22(地表面)に近づくにつれて大きく増幅し、表層22の地震動が大きくなることが知られている。しかし、このような地震動の増幅成分は主に短周期であり、免震装置200によって支持された一次周期が長い構造物10では、地震動の短周期成分による影響は受けにくいと考えられていた。
しかしながら本発明者らの研究によって、比較例のように免震装置200によって支持された構造物10の振動(揺れ)の最大値は、免震装置200を構成するダンパー220の非線形性により励起される「短周期の卓越成分による二次振動モード」によって支配されることが判った。なお、このことは、後述する図9に示されているように、長周期振動中は短周期(約0.4秒)で構造物10が振動していることから判る。
なお、免震装置を構成する履歴ダンパー(本実施形態ではダンパー220)等の非線形性によって短周期が励起されることは周知であり、例えば、日本建築学会の免震構造設計指針(ISBN−4−8189−0529−1)の199頁等に記載されている。これは、線形の場合は入力に高次(=短周期)の成分がなければ(加速度)応答にもその成分が出てこないが、非線形の場合、特にバイリニアのように履歴ループに角(かど)がある場合は、インパルスが発生し、全振動数を刺激することになり、短周期(=高次)が励起されるからである。
図5は、上述した日本建築学会の免震構造設計指針(ISBN−4−8189−0529−1)の121頁に示されているフロアレスポンススペクトルを示す模式図(グラフ)である。この模式図には、免震装置を介して基礎部に支持された免震構造物の一次固有周期のうち、積層ゴム(アイソレータ)のみの周期Tfと、積層ゴム(アイソレータ)とダンパーのばね定数との和から求まる周期Tsとの間の応答増幅の他に、二次周期T2があることが示されている。そして、入力地震動は、様々な周波数成分の波を有しており、この二次周期T2における免震構造物の応答加速度は、ダンパーの非線形特性によって増幅されることが示されている。また、高い振動数成分の入力地震動を低減しない場合、免震装置が非線形性を持てば、更に高次モードを励起することが示唆されている。
よって、図4(A)に示す比較例の基礎構造500では、杭520の水平剛性が小さく地盤の応答にほとんど抵抗しないことから、免震装置200を支持する免震ピット110に入力される地震動は表層22(地表面)の地震動に近い入力となり、このため免震装置200によって支持された構造物10は、短周期の卓越成分による二次周期(二次振動モード)で大きく揺れる。
これに対して、図1及び図4(B)に示す本実施形態の基礎構造100では、軟弱地盤20に造成(形成)した剛性の高い地盤改良体150によって地震動の入力損失が生じ、免震ピット110に入力される地震動の短周期成分が低減する。よって、免震装置200を構成するダンパー220の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物10の二次振動モードの振動が低減する。
すなわち、図4(A)に示すように、比較例の基礎構造500の場合は、軟弱地盤20の表層22(地表面)の加速度Aによって、免震ピット110に加速度B1が生じ、構造物10は加速度C1となる。
これに対して、図4(B)に示すように、本実施形態の基礎構造100の場合は、剛性の高い地盤改良体150で入力損失することで、免震ピット110では加速度B1よりも小さい加速度B2となり、この結果、構造物10は加速度C1よりも小さい加速度C2となる。
また、地盤改良体150を軟弱地盤20の下層部分を構成する過圧密層26に到達するように形成することで、免震ピット110に入力される地震動の短周期成分が効果的に低減し、この結果、構造物10の二次振動モードの振動が効果的に低減する。
また、地盤改良体150を支持層28よりも剛性が高い材料で構成することで、免震ピット110に入力される地震動の短周期成分が更に効果的に低減し、この結果、構造物10の二次振動モードの振動が更に効果的に低減する。
なお、このように地盤改良体150と軟弱地盤20との剛性比を高めることで、入力損失の効果が向上する。よって、地盤改良体150は、上述したようにセメント系固化材を用いている。しかし、地盤改良体の材料はセメント系固化材に限定されるものではない。
また、地盤改良体150を平面視にて格子状に形成することで、地盤改良体150全体の剛性を効果的に高くすることできる。よって、免震ピット110に入力される地震動の短周期成分が更に効果的に低減し、この結果、構造物10の二次振動モードの振動が更に効果的に低減する。
また、地盤改良体150を液状化防止や鉛直および水平支持力の増強機能と兼用することで、本実施形態の杭120は、比較例の杭520(図4(A))と比べて、規模(杭径、杭長、本数)を少なくすることが可能となり、この結果、施工コストを抑えることができる。更に、杭120が設けられていない基礎構造とすることも可能である。
(設計方法)
つぎに、基礎構造100の設計方法の一例を説明する。
まず、構造物10を支持する免震装置200の非線形性によって励起される地震動の短周期の卓越成分を計算する(第一工程)。
具体的には、免震装置200を考慮した構造物10の応答解析を行い2次モードを特定することで、励起される地震動の短周期の卓越成分が判る。
つぎに、求められた短周期の卓越成分による構造物10の二次周期の応答を小さくするように、免震装置200が設置された免震ピット(基礎部)200が設けられた軟弱地盤20に形成する地盤改良体150の構造(深さ、改良率、せん断剛性等)を計算する(第二工程)。
具体的には、地盤改良体150の配置より、地盤改良体150による原地盤(軟弱地盤20)の改良率を計算し、原地盤のせん断剛性の低下程度を適切に考慮して等価な地盤のせん断剛性を設定して、地盤の1次元応答解析などを行い地表面の加速度応答を評価するし、地盤改良体150の構造を決定する。
(検証データ)
つぎに、軟弱地盤20に剛性の高い地盤改良体150を造成(形成)することで、免震ピット110に入力される地震動の短周期成分が低減し、この結果、免震装置200を構成するダンパー220の非線形性によって励起される短周期の卓越成分による構造物10の二次振動モードの振動が低減することを検証した検証データについて説明する。
[地盤改良体と免震ピットによる入力損失効果]
本実施形態の基礎構造100においては、図6(A)に示すように、免震ピット110の底部(基礎スラブ)112(Raft)上の水平加速度は約100galであるが、図6(B)に示すように表層22(GL−1.5m)の水平加速度は約175galである。このように、免震ピット110の底部112の水平加速度は、表層22の水平加速度の約60%程度に低減されており、地盤改良体150の埋設効果による入力損失が明確にみられる。
図7(A)はパルツェン窓(Parzen window、カーネル密度推定)がある場合の、表層(GL−1.5m)の水平加速度、免震ピットの底部(Raft)上の水平加速度、構造物の1階(1F)の水平加速度、及び構造物の12階(12F)の水平加速度それぞれのフーリエ振幅を示している。図7(B)は、パルツェン窓(Parzen window、カーネル密度推定)等の平滑化処理がない場合の、表層(GL−1.5m)の水平加速度及び免震ピットの底部(Raft)上の水平加速度のフーリエ振幅を、参考として示している。
これら図7(A)及び図7(B)において、免震ピット110の底部112上の水平加速度と表層22の水平加速度のフーリエスペクトルとを比較すると、免震ピット110の水平加速度は、入力損失により1s以下の短周期成分が大幅に低減されていることが判る。
しかし、図7(A)に示すように、構造物10の1階(1F)及び12階(12F)においては、二次周期に相当する0.4s(2.5Hz)付近の低減割合は小さいことが判る。
図8(A)は、免震ピット110の底部(基礎スラブ)112上の水平加速度のフーリエスペクトル(図4(A)の比較例の加速度B1と図4(B)の本実施形態の加速度B2)と、表層22(地表面付近)の水平加速度(図4(A)及び図4(B)の加速度A)のフーリエスペクトルと、の比を、実測値を元に模式的に図示している。
これを見るとわかるように、本実施形態の基礎構造100(図4(B))は、比較例の基礎構造500(図4(A))と比較し、入力損失により1s以下(1Hz以上)の短周期成分が大幅に低減されている。
そして、図8(C)は、構造物10の1階の水平加速度のフーリエスペクトル(図4(A)の加速度C1と図4(B)の加速度C2)と、表層22(地表面付近)の水平加速度(図4(A)及び図4(B)の加速度A)とのフーリエスペクトルと、の比を、実測値を元に模式的に図示している。
これを見るとわかるように、本実施形態の基礎構造100(図4(B))は、比較例の基礎構造500(図4(A))と比較し、入力損失により1s以下(1Hz以上)の短周期成分が大幅に低減されている。
[構造物の揺れの最大値(最大加速度)が構造物の二次周期に支配されている説明]
図8(B)は、構造物10の1階の水平加速度のフーリエスペクトル(図4(A)の加速度C1と図4(B)の加速度C2)と、免震ピット110の底部(基礎スラブ)112上の水平加速度のフーリエスペクトル(図4(A)の加速度B1と図4(B)の加速度B2)と、の比を、実測値を元に模式的に図示している。これは図4(A)の比較例の加速度B1及び加速度C1と、図4(B)の本実施形態の加速度B2と加速度C2との比に相当する。
また、免震ピットの応答B1及びB2と建物応答C1及びC2との比は同じであるため、図8(C)で構造物10の二次周期にあたる0.4s(2.5Hz)での増幅が明確にみられる。
なお、免震装置200がない場合の構造物10の固有周期は、1階に対する12階1のフーリエスペクトル比は1.5Hz程度であり、2.5Hzは、構造物10自身の一次固有周期ではない。
図9(A)は、免震ピット110の直上の構造物10の1階の水平加速度と、構造物10の最上階である12階の加速度とのそれぞれにおける時刻歴波形が示されている。
この図9(A)の波形を図9(B)に示すように拡大すると判るように、2次モード(周期0.4秒)で位相が逆転しており、構造物10の上部構造部分(12階)の最大応答加速度が、構造物10の二次振動モード(二次周期)に支配されていることが判る。
また、図示は省略するが免震ピット110の直上の構造物10の1階と構造物10の最上階である12階とにおける加速度のフーリエスペクトルは、構造物10の二次周期にあたる0.4(2.5Hz)の増加が明確にみられることを確認した。
[地盤改良体の効果(地盤改良体がない比較例との比較)]
前述したように、図8(C)に模式的に図示しているように、本実施形態の基礎構造100(図4(B))は、比較例の基礎構造500(図4(A))と比較し、入力損失により1s以下(1Hz以上)の短周期成分が大幅に低減されている。
また、地盤改良体150がない比較例の基礎構造500(図4(A))の場合、免震ピット110の下部に入力する地震動は、表層22(地表面付近)の加速度Aとほぼ等しいことから、175gal程度と推定される。
図10は、地盤改良体150が造成(形成)されていない比較例の基礎構造500(図4(A))と、地盤改良体150が造成(形成)されている本実施形態の基礎構造100(図1、図4(B))と、の入力損失の比較をFEM解析した結果が示されている。
具体的には、図10は免震ピット110の底部(基礎スラブ)112上の水平加速度応答スペクトルと、表層22(地表面付近)の水平加速度応答スペクトルと、の比を示している。
この図10を見ると判るように、本実施形態の基礎構造100(図4(B))は、比較例の基礎構造500(図4(A))と比較し、入力損失により1s以下(1Hz以上)の短周期成分が大幅に低減されている。したがって、免震装置200を用いる場合、本実施形態の基礎構造100で支持された構造物10の上部構造部分の揺れは、比較例の基礎構造500で支持される場合と比較し、60%程度に低減されることが推定される。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 構造物
20 軟弱地盤
22 表層
24 軟弱層
26 過圧密層
28 支持層
100 基礎構造
110 免震ピット(基礎部の一例)
150 地盤改良体
200 免震装置
210 積層ゴム(アイソレーターの一例)
220 ダンパー(履歴ダンパーの一例)

Claims (5)

  1. 軟弱地盤に設けられた基礎部と、
    前記基礎部に設置され、構造物を支持する免震装置と、
    前記軟弱地盤に形成され、前記軟弱地盤よりも剛性が高い地盤改良体と、
    を備える基礎構造。
  2. 前記地盤改良体は、前記軟弱地盤の下層部分を構成する過圧密層に到達するように形成されている、
    請求項1に記載の基礎構造。
  3. 前記地盤改良体は、前記軟弱地盤よりも下層で、該軟弱地盤よりも固い支持層の剛性よりも高い材料で構成されている、
    請求項1又は請求項2に記載の基礎構造。
  4. 前記地盤改良体は、平面視にて格子状に構成されている、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の基礎構造。
  5. 構造物を支持する免震装置の非線形性によって励起される地震動の短周期の卓越成分を計算する第一工程と、
    前記第一工程で求められた短周期の卓越成分による前記構造物の二次周期の応答を小さくするように、前記免震装置が設置された基礎部が設けられた軟弱地盤に形成する地盤改良体の構造を計算する第二工程と、
    を備える基礎構造の設計方法。
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