JP2015010211A - 不純物除去方法及び脱硫方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コストを増加させることなく脱硫剤を効率良く使用して硫黄成分を確実に除去する。【解決手段】 石炭ガス化ガスが流通する第1の処理塔31、第2の処理塔32、第3の処理塔33のそれぞれに脱硫能力、コストが異なる第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35を配し、処理塔31、32、33のそれぞれで、脱硫処理、還元処理、パージ処理を実施して処理塔31、32、33の処理の切換えを順次繰り返す。【選択図】 図2
Description
本発明は、不純物除去方法及び脱硫方法に関する。
石炭は世界の広い地域に存在し、可採埋蔵量が多く、価格が安定しているため、供給安定性が高く発熱量あたりの価格が低廉である。かかる石炭を燃料とする火力発電の一つの方式として、石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal GasficationCombined Cycle)が知られている。石炭ガス化複合発電では、石炭ガス化ガスを燃料としてガスタービンを駆動して電力を得ると共に、ガスタービンの排気熱を回収して蒸気を発生させ、発生した蒸気により蒸気タービンを駆動して電力を得ている(例えば、特許文献1参照)。
石炭ガス化炉で発生する石炭ガス化ガスには硫黄化合物(硫化物)等の不純物や後続機器に対して影響を与える不純物、微量成分が含まれるため、ガス精製設備により石炭ガス化ガスの不純物を除去して燃料ガスとしている。
ガス精製設備として、温度や圧力の昇降を抑制し、主に硫化物を除去して、高温の石炭ガス化ガスを精製する乾式ガス精製設備が種々検討されている。乾式で石炭ガス化ガスを精製することで石炭ガス化ガスを高温のまま精製することができるので、温度や圧力の昇降を抑えて燃料ガスを得ることができる。
乾式ガス精製設備では、不純物除去剤を除去能力に応じて効率良く使用することで、コストを抑えて不純物や微量成分を確実に除去することができる。このため、不純物除去剤を効率良く使用する試みが種々行われているのが現状であり、不純物除去剤の最適な運用の確立が望まれているのが実情である。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、コストを増加させることなく不純物除去剤を効率良く使用して不純物を確実に除去することができる不純物除去方法を提供することを目的とする。
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、コストを増加させることなく脱硫剤を効率良く使用して硫黄成分を確実に除去することができる脱硫方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の不純物除去方法は、処理ガスが流通する2つの処理塔により不純物を除去する不純物除去方法において、前記処理塔に、上流側の不純物除去能力に比べ下流側の不純物除去能力が高くなるように除去剤を直列に配置し、一方の前記処理塔の上流側から処理ガスを流通させて前記処理ガスに含まれる不純物を除去すると共に、他方の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記除去剤から不純物を放出し、前記除去剤の不純物の蓄積状況により、一方の前記処理塔での不純物の除去と、他方の前記処理塔での不純物の放出を切替えることを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、不純物除去能力が異なるように除去剤が配置された、一方の処理塔の上流側から処理ガスを流通させて処理ガスに含まれる不純物を除去すると共に、他方の処理塔の下流側からパージガスを流通させて除去剤から不純物を放出し、除去剤の不純物の蓄積状況により、一方の処理塔での不純物の除去と、他方の処理塔での不純物の放出を切替える。この場合、下流側に配置する不純物除去能力が高い除去剤よりも、上流側に配置する不純物除去能力が相対的に低い除去剤の方が安価に調達できる。
このため、不純物除去能力が異なる組み合わせで配置された除去剤に対するガスの流通のさせ方を選択することでコストを抑制し、コストを増加させることがなく、除去剤を効率良く使用して不純物を確実に除去することが可能になる。
そして、請求項2に係る本発明の不純物除去方法は、請求項1に記載の不純物除去方法において、上流側の処理能力に比べ下流側の処理能力が高くなるように除去剤を直列に配置した第3の処理塔を備え、不純物の除去、及び、除去剤の化学処理調整を実施できるようにし、第3の処理塔の前記除去剤から不純物が放出された後、第3の処理塔の下流側から除去剤調整ガスを流通させて、前記除去剤を化学処理調整し、化学処理調整した後の第3の処理塔を不純物の除去のために切替えることを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、第3の処理塔の除去剤から不純物が放出された後、不純物の除去、及び、除去剤の化学処理調整を行い、一方の処理塔、第3の処理塔、他方の処理塔での不純物除去、不純物の放出、除去剤の化学処理調整を可能にする。
上記目的を達成するための請求項3に係る本発明の脱硫方法は、
ガス化ガスが流通する第1の処理塔、第2の処理塔、第3の処理塔のそれぞれに、上流側の脱硫能力に比べ下流側の脱硫能力が高くなるように脱硫剤を直列に配置し、
第1の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施し、
第1の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施し、
第2の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施し、
第3の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔で脱硫処理を実施すると共に、第2の前記処理塔で還元処理を実施し、更に、第3の前記処理塔のパージ処理を実施し、
前記処理塔の処理の切換えを順次繰り返すことを特徴とする。
ガス化ガスが流通する第1の処理塔、第2の処理塔、第3の処理塔のそれぞれに、上流側の脱硫能力に比べ下流側の脱硫能力が高くなるように脱硫剤を直列に配置し、
第1の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施し、
第1の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施し、
第2の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施し、
第3の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔で脱硫処理を実施すると共に、第2の前記処理塔で還元処理を実施し、更に、第3の前記処理塔のパージ処理を実施し、
前記処理塔の処理の切換えを順次繰り返すことを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、ガス化ガスが流通する第1の処理塔、第2の処理塔、第3の処理塔のそれぞれに脱硫能力(コスト)が異なるように脱硫剤が配され、処理塔のそれぞれで、脱硫処理、還元処理、パージ処理が実施され、処理塔の処理の切換えを順次繰り返すことで、コストを増加させることなく脱硫剤を効率良く使用して硫黄成分を確実に除去することができる。
そして、請求項4に係る本発明の脱硫方法は、請求項3に記載の脱硫方法において、前記還元ガスは、脱硫処理が行われた処理塔の出口ガスの一部であることを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、脱硫処理が終了した後のガスの一部を還元ガスとして用いることができる。
また、請求項5に係る本発明の脱硫方法は、請求項3もしくは請求項4に記載の脱硫方法において、還元処理が行われている前記処理塔の出口の還元出口ガスに硫黄分が含まれている際には、パージ処理を実施している前記処理塔の途中段に前記還元出口ガスを導入し、前記還元出口ガスに硫黄分が含まれていない場合には、脱硫処理を行ったガスに前記還元出口ガスを導入し、もしくは、脱硫処理の途中に前記還元出口ガスを導入することを特徴とする。
請求項5に係る本発明では、還元処理が行われた処理塔の出口のガスに硫黄分が含まれている際には、硫黄分を放出する処理を行う処理塔の途中段に出口のガスが導入され、残留している硫黄分を適切に処理(回収)することができる。出口のガスに硫黄分が含まれていない時には、脱硫処理が行われる処理塔の途中段、もしくは、脱硫処理が行われる処理塔の出口側の経路にガスが導入され、燃料成分が含まれるガスを有効に回収することができる。
本発明の不純物除去方法は、コストを増加させることなく不純物除去剤を効率良く使用して不純物を確実に除去することが可能になる。
本発明の脱硫方法は、コストを増加させることなく脱硫剤を効率良く使用して硫黄成分を確実に除去することが可能になる。
図1に基づいて石炭ガス化複合発電設備を説明する。
図1には本発明の一実施例に係る脱硫方法を実施する乾式ガス精製設備を備えた石炭ガス化複合発電設備の全体の構成を説明するための概略系統を示してある。
図に示した石炭ガス化複合発電設備1は、石炭ガス化炉2を備え、石炭ガス化炉2では石炭と酸化剤(酸素、空気)の反応により石炭ガス化ガスgが生成される。石炭ガス化ガスgは図示しない除塵手段により除塵されて熱交換器3で所定の温度に調整され、乾式ガス精製設備4で不純物が除去されて精製され、燃料ガスfとされる。
燃料ガスfはタービン設備5の燃焼器6に送られる。即ち、タービン設備5は圧縮機16及びガスタービン7を備え、圧縮機16で圧縮された圧縮空気と燃料ガスfが燃焼器6に送られる。燃焼器6では燃料ガスfが燃焼され、燃焼ガスがガスタービン7に送られて膨張されて動力が得られる。ガスタービン7の排気ガスは排熱回収ボイラー8で熱回収され、排煙脱硝装置9で窒素酸化物成分が除去された後、煙突10から大気に放出される。
一方、圧縮機16及びガスタービン7と蒸気タービン11が同軸状態で接続され、蒸気タービン11には発電機12が接続されている。排熱回収ボイラー8には、蒸気タービン11の排気蒸気を図示しない復水器で凝縮した復水が給水され、排熱回収ボイラー8ではガスタービン7の排気ガスにより蒸気を発生させる。排熱回収ボイラー8で発生した蒸気は蒸気タービン11に送られて動力が得られる。
直列に接続されたガスタービン7及び蒸気タービン11の動力により発電機12が駆動され、ガスタービン7と蒸気タービン11による複合発電が行われる。
上述した石炭ガス化複合発電設備1では、石炭ガス化炉2の酸化剤として圧縮機16の圧縮空気が抽気されて供給される。熱交換器3には、排熱回収ボイラー8に送られる復水の一部が給水され、石炭ガス化ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、発生した蒸気は蒸気タービン11に送られる。このため、タービン設備5の圧縮空気の一部を酸化剤として使用し、排熱回収ボイラー8及び熱交換器3からの発生蒸気で蒸気タービン11の出力を得ることができる。
上記構成の石炭ガス化複合発電設備1では、乾式ガス精製設備4により石炭ガス化ガスgが乾式精製により精製されて燃料ガスfを得ている。つまり、本発明の不純物除去方法(脱硫方法)が実施されて燃料ガスfを得ている。
図2に基づいて乾式ガス精製設備4の具体的な構成を説明する。図2には乾式ガス精製設備の具体的な構成を説明する系統を示してある。
熱交換器3(図1参照)で所定温度に調整された石炭ガス化ガスgは、ダストフィルタ19で固形の不純物が除去された後、ハロゲン化物除去装置21に導入される。ハロゲン化物除去装置21には、例えば、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)のペレットが充填されてハロゲン化物吸収剤22とされている。ハロゲン化物吸収剤22を流通してハロゲン化物が除去された石炭ガス化ガスgは脱硫装置25に送られる。
脱硫装置25は、第1の処理塔、第2の処理塔、第3の処理塔である3塔の反応塔31、32、33が並列に配され、反応塔31、32、33は図中上下方向に4つの脱硫剤ブロック(ハニカム形状化された触媒)が配されている。
反応塔31、32、33は図中上方が上流側とされ、反応塔31、32、33には、3つの第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cが上流側にそれぞれ配されている。反応塔31、32、33の下流(下方)には、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cよりも脱硫能力が高く高価な第1脱硫剤ブロック36がそれぞれ配されている。
つまり、反応塔31、32、33には、上流側の脱硫能力に比べ下流側の脱硫能力が高くなるように脱硫剤(第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35)が直列に配置されている。尚、上流側の脱硫能力に比べ下流側の脱硫能力が高くなるように脱硫剤を直列に配置する形態は、劣化具合が異なる同一の脱硫剤を直列に配することも可能である。この場合、運転に応じて新品の脱硫剤の充填と、使用途中の脱硫剤の配置位置の変換とを組み合わせて劣化具合が異なる同一の脱硫剤を直列に配することができる。
第1脱硫剤ブロック36、及び、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cは、亜鉛フェライトがハニカム形状化された触媒を集合させた触媒ブロックとされている。第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cに石炭ガス化ガスgが接触することにより、亜鉛フェライト(ZnFe2O4)の鉄と亜鉛が相乗して硫化水素(H2S)や硫化カルボニル(COS)等が除去される。
第1脱硫剤ブロック36は、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cに比べて硫黄の含有量が大幅に少ない亜鉛フェライト脱硫剤で構成され、硫化水素(H2S)や硫化カルボニル(COS)等が第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cに比べて精密に除去される。第1脱硫剤ブロック36は高価で性能が高い脱硫剤であり、第2脱硫剤ブロック35は安価で性能が低い脱硫剤とされている。
図示の状態は、図中左の反応塔31が第1の処理塔(一方の処理塔)とされて上流側に脱硫経路28が接続され、上流側から下流側に石炭ガス化ガスgが流され、硫黄成分が除去される。反応塔31の出口は処理ガス経路38が接続され、処理ガス経路38は後述する水銀除去装置41に繋がっている。
図中中央の反応塔32が第2の処理塔とされて下流側に還元ガス経路29が接続されている。還元ガス経路29は処理ガス経路38から分岐して設けられ、反応塔32の下流側から上流側に還元ガスとして、反応塔31で硫黄成分が除去されたガスの一部が流され、第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35が還元処理される(化学処理調整処理される)。
反応塔32出口は導入ガス経路39が接続され、導入ガス経路39は反応塔33の第1脱硫剤ブロック36と第2脱硫剤ブロック35の間、及び、処理ガス経路38に繋がれている。経路の切替えは、図示しない切替え手段により行われる。
また、図中右側の反応塔33が第3の処理塔(他方の処理塔)とされて下流側にパージ経路30が接続されている。パージ経路30には、外部からのエアがブロア等により昇圧され、所定の温度に調整されて吹き込まれ(開閉弁の操作等による)、下流側から上流側にパージガスを流通させて第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35から硫黄成分が放出される。放出された硫黄成分を含むガスは熱回収され、硫黄回収装置40に送られて硫黄成分が回収される。例えば、石灰・石膏法により、石膏として回収される。
反応塔31、32、33に対する脱硫経路28、還元ガス経路29、パージ経路30の接続は、運転状況に応じて接続が切替えられ、脱硫処理、還元処理、放出処理が順次切換えられる。
上述した脱硫装置25では、脱硫処理を行うと同時に、亜鉛フェライト脱硫剤(第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35)の再生である還元処理、放出処理をオンラインで実施し、連続運転の過程で脱硫剤ブロックを再生して再利用することができる。これにより、廃棄物の排出量を大幅に減らして環境負荷を低減することができる。尚、脱硫剤としてハニカム形状化された触媒を用いた例を説明したが、装置や設備の規模、石炭ガス化ガスgの流量に応じて他の形態の触媒にすることも可能である。
脱硫装置25で硫黄成分が除去されたガスは、熱交換装置45で降温されて水銀除去装置41の水銀除去塔46に送られる。水銀除去塔46には、銅を主体として水銀を吸収する銅系吸収剤が充填され、例えば、約180℃のガスが導入されて水銀が吸収される。銅系吸収剤の最適な運転温度で、ガスに含まれる水が凝縮しない約180℃のガスが導入されるため、銅の吸収容量を確保して水分の凝縮を抑制することができる。水銀除去装置41には水銀回収手段47が備えられ、水銀除去塔46の銅系吸収剤に吸収された水銀を放出し、水銀吸収性能を回復させている。
水銀除去装置41で水銀が除去されたガスはダストフィルタ48に送られる。ダストフィルタ48では、水銀除去装置41で水銀が除去されたガスに含まれる固体析出物、微粒子、粉体を含む不純物が物理的に濾過される。ダストフィルタ48で不純物が物理的に濾過されたガスは、図示しない熱交換装置で所定の温度に昇温され、高温の燃料ガスfとされる。高温の燃料ガスfはタービン設備5の燃焼器6(図1参照)に供給される。
上述した乾式ガス精製設備4の脱硫装置25では、性能が高く高価な脱硫剤である第1脱硫剤ブロック36と、比較的性能が低く安価な脱硫剤である第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cを有効に使用し、コストを増加させることなく脱硫剤を効率良く使用して硫黄成分を確実に除去する運転が実施されている。
第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cおよび第1脱硫剤ブロック36の除去性能を記号で表した図3から図8に基づいて本発明の不純物除去方法(脱硫方法)の一実施例を説明する。
図中白抜きの四角(□)は脱硫剤が十分に硫化性能(除去性能)を有している状態、図中白抜きの三角(△)は脱硫剤の除去性能が低下している状態、図中黒四角(■)は脱硫剤の除去能力が殆どなくなった状態である。
図3、図4には反応塔31で硫黄成分が除去される処理(脱硫処理)が実施され、反応塔32で硫黄成分が放出された後の第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35が還元される処理(還元処理)が実施され、反応塔33で硫黄成分を放出する処理(パージ処理)が実施されている状態を示してある。
図3(a)に示すように、反応塔31で脱硫処理が開始される。
反応塔31では脱硫処理が実施される。反応塔31の上流側から石炭ガス化ガスが送られ、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cで硫黄成分が除去される。これにより、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cの脱硫剤の除去性能が低下する。最下流の第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下しない。
反応塔32では還元処理が実施される。反応塔32は、硫黄成分が放出された状態で、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cの除去性能は低下している。第1脱硫剤ブロック36の除去性能は低下していない。反応塔31で硫黄成分が除去されたガスが、反応塔32の下流側から上流側に送られて脱硫剤が還元処理され、硫黄成分(SO2)がわずかに含まれているガスが反応塔32の上流側から排出される(※1)。最下流(ガスの流れでは上流)の第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下しない。
反応塔33ではパージ処理が実施される。反応塔33は、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cの除去能力が殆どなくなった状態となっている。反応塔33の下流側からパージガスとしてO2含有ガスが送られ、硫黄成分が放出されて硫黄回収装置40に送られて硫黄成分が回収される。反応塔32の上流側から排出された硫黄成分(SO2)がわずかに含まれているガスは(※1)、反応塔33の第1脱硫剤ブロック36と第2脱硫剤ブロック35cの間に導入され、硫黄成分は硫黄回収装置40に送られる。最下流(O2含有ガスの流れでは上流)の第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は低下していない。
図3(b)に示すように、反応塔32での硫黄成分(SO2)の放出が完了する。
反応塔31では脱硫処理が継続して実施される。反応塔31の上流側の第2脱硫剤ブロック35aの除去能力が殆どなくなった状態になる。第2脱硫剤ブロック35b、35cの脱硫剤の除去性能が低下した状態で、第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下していない。
反応塔32では還元処理が完了した状態となっている。反応塔32は、還元処理が完了した状態で、反応塔32の下流側から上流側にガスが送られ、硫黄成分(SO2)が含まれないガスが反応塔32の上流側から排出される(※2)。最下流(ガスの流れでは上流)の第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下していない。
反応塔32の上流側から排出される硫黄成分(SO2)が含まれないガス(※2)は、反応塔31の出口側の流路に導入される。尚、硫黄成分(SO2)が含まれないガス(※2)を、反応塔31の第2脱硫剤ブロック35aと35bの間に導入することも可能である。この場合、反応塔32の内部の圧力に合わせて硫黄成分(SO2)が含まれないガス(※2)の圧力を調整(昇圧)することが好ましい。
反応塔33ではパージ処理が継続して実施される。反応塔33は、第2脱硫剤ブロック35aは除去能力が殆どなくなった状態のままで、第2脱硫剤ブロック35b、35cの除去能力が低下している状態に再生される。
図4(a)に示すように、反応塔33で硫黄成分(SO2)を放出する処理(パージ処理)が完了する。
反応塔31では脱硫処理が継続して実施される。反応塔31の上流側の第2脱硫剤ブロック35a、35bの除去能力が殆どなくなった状態になる。第2脱硫剤ブロック35cの脱硫剤の除去性能が低下した状態で、第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下していない。
反応塔32では還元処理が完了した状態となっている。反応塔32は、還元処理が完了した状態で、反応塔32の下流側から上流側にガスが送られ、硫黄成分(SO2)が含まれないガスが反応塔32の上流側から排出される(※2)。最下流(ガスの流れでは上流)の第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下していない。反応塔32の上流側から排出される硫黄成分(SO2)が含まれないガス(※2)は、反応塔31の出口側の流路に導入される。
反応塔33ではパージ処理が完了する。反応塔33の上流側からからは、O2含有ガスが排出され、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cの除去能力が低下している状態に再生される。
図4(b)に示すように、反応塔31で脱硫処理が完了する。
反応塔31で脱硫処理が完了し、反応塔31の上流側の第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cの除去能力が殆どなくなった状態になる。第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下していない。
反応塔32では還元処理が完了した状態となっている。反応塔32は、還元処理が完了した状態で、反応塔32の下流側から上流側にガスが送られ、硫黄成分(SO2)が含まれないガスが反応塔32の上流側から排出される(※2)。最下流(ガスの流れでは上流)の第1脱硫剤ブロック36は脱硫剤の除去性能は殆ど低下していない。反応塔32の上流側から排出される硫黄成分(SO2)が含まれないガス(※2)は、反応塔31の出口側の流路に導入される。
反応塔33ではパージ処理が完了した状態になっている。反応塔33の上流側からからは、O2含有ガスが排出され、第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cの除去能力が低下している状態に再生される。
図5、図6には反応塔31で硫黄成分を放出する処理(パージ処理)が実施され、反応塔32で硫黄成分が除去される処理(脱硫処理)が実施され、反応塔33で硫黄成分が放出された後の第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35が還元される処理(還元処理)が実施されている状態を示してある。
図5(a)(b)、及び、図6(a)(b)は、反応塔31、32、33と、脱硫経路28、還元ガス経路29、パージ経路30が切替えられる。これにより、反応塔31の状態が、図3(a)(b)、及び、図4(a)(b)に示した反応塔33の状態と同じ状況になり、反応塔32の状態が、図3(a)(b)、及び、図4(a)(b)に示した反応塔31の状態と同じ状況になり、反応塔33の状態が、図3(a)(b)、及び、図4(a)(b)に示した反応塔32の状態と同じ状況になる。
つまり、図5(a)に示した反応塔31、32、33は、図4(b)に示した状態となった後に、反応塔31、32、33と、脱硫経路28、還元ガス経路29、パージ経路30が切替えられ、順次、図5(a)(b)、及び、図6(a)(b)に示した処理が実施される。
図7、図8には反応塔31で硫黄成分が放出された後の第1脱硫剤ブロック36、第2脱硫剤ブロック35が還元される処理(還元処理)が実施され、反応塔32で硫黄成分を放出する処理(パージ処理)が実施され、反応塔33で硫黄成分が除去される処理(脱硫処理)が実施されている状態を示してある。
図7(a)(b)、及び、図8(a)(b)は、反応塔31、32、33と、脱硫経路28、還元ガス経路29、パージ経路30が、更に切替えられる。これにより、反応塔31の状態が、図5(a)(b)、及び、図6(a)(b)に示した反応塔33の状態と同じ状況になり、反応塔32の状態が、図5(a)(b)、及び、図6(a)(b)に示した反応塔31の状態と同じ状況になり、反応塔33の状態が、図5(a)(b)、及び、図6(a)(b)に示した反応塔32の状態と同じ状況になる。
つまり、図7(a)に示した反応塔31、32、33は、図6(b)に示した状態となった後に、反応塔31、32、33と、脱硫経路28、還元ガス経路29、パージ経路30が切替えられ、順次、図7(a)(b)、及び、図8(a)(b)に示した処理が実施される。
上述した運転を脱硫装置25で繰り返すことにより、即ち、本実施例の脱硫方法を実施することにより、反応塔31、32、33のいずれかで脱硫処理が実施され、脱硫処理を実施している間に、硫黄成分の放出・回収と、脱硫剤の還元処理を行うことができる。
そして、安価で性能が低い第2脱硫剤ブロック35a、35b、35cを除去能力が殆どなくなるまで繰り返して使用し、高価で性能が高い第1脱硫剤ブロック36を除去能力が十分に発揮できる状態で使用している。このため、安価な脱硫剤を効率良く使用してコストの増加を抑え、性能が高い脱硫剤により硫黄成分を確実に除去することが可能になる。
尚、上述した実施例では、脱硫装置25を例に挙げて不純物除去装置を説明したが、他の不純物を除去する装置、例えば、銅系の吸収剤を使用する水銀除去装置41に適用することも可能である。また、安価な脱硫剤である第2脱硫剤ブロック35、高価な脱硫剤である第1脱硫剤ブロック36として、別の脱硫剤を適用した例を挙げて説明したが、第1脱硫剤ブロック36を長期に使用して劣化した際に、安価な脱硫剤として適用することも可能である。
また、上述した不純物除去方法(脱硫方法)を実施する設備としては、乾式ガス精製設備4に限らず、排煙浄化設備や、各種の化学プラント等に適用することが可能である。
本発明は、不純物除去方法及び脱硫方法の産業分野で利用することができる。
1 石炭ガス化複合発電設備
2 石炭ガス化炉
3 熱交換器
4 乾式ガス精製設備
5 タービン設備
6 燃焼器
7 ガスタービン
8 排熱回収ボイラー
9 排煙脱硝装置
10 煙突
11 蒸気タービン
12 発電機
16 圧縮機
19、48 ダストフィルタ
21 ハロゲン化物除去装置
22 ハロゲン化物吸収剤
25 脱硫装置
28 脱硫経路
29 還元ガス経路
30 パージ経路
31、32、33 反応塔
35 第2脱硫剤ブロック
36 第1脱硫剤ブロック
38 処理ガス経路
39 導入ガス経路
40 硫黄回収装置
41 水銀除去装置
45 熱交換器
46 水銀除去塔
47 水銀回収手段
2 石炭ガス化炉
3 熱交換器
4 乾式ガス精製設備
5 タービン設備
6 燃焼器
7 ガスタービン
8 排熱回収ボイラー
9 排煙脱硝装置
10 煙突
11 蒸気タービン
12 発電機
16 圧縮機
19、48 ダストフィルタ
21 ハロゲン化物除去装置
22 ハロゲン化物吸収剤
25 脱硫装置
28 脱硫経路
29 還元ガス経路
30 パージ経路
31、32、33 反応塔
35 第2脱硫剤ブロック
36 第1脱硫剤ブロック
38 処理ガス経路
39 導入ガス経路
40 硫黄回収装置
41 水銀除去装置
45 熱交換器
46 水銀除去塔
47 水銀回収手段
Claims (5)
- 処理ガスが流通する2つの処理塔により不純物を除去する不純物除去方法において、
前記処理塔に、上流側の処理能力に比べ下流側の処理能力が高くなるように除去剤を直列に配置し、
一方の前記処理塔の上流側から処理ガスを流通させて前記処理ガスに含まれる不純物を除去すると共に、他方の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記除去剤から不純物を放出し、
前記除去剤の不純物の蓄積状況により、一方の前記処理塔での不純物の除去と、他方の前記処理塔での不純物の放出を切替える
ことを特徴とする不純物除去方法。 - 請求項1に記載の不純物除去方法において、
上流側の処理能力に比べ下流側の処理能力が高くなるように除去剤を直列に配置した第3の処理塔を備え、不純物の除去、及び、除去剤の化学処理調整を実施できるようにし、
第3の処理塔の前記除去剤から不純物が放出された後、第3の処理塔の下流側から除去剤調整ガスを流通させて、前記除去剤を化学処理調整し、化学処理調整した後の第3の処理塔を不純物の除去のために切替える
ことを特徴とする不純物除去方法。 - ガス化ガスが流通する第1の処理塔、第2の処理塔、第3の処理塔のそれぞれに、上流側の脱硫能力に比べ下流側の脱硫能力が高くなるように脱硫剤を直列に配置し、
第1の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施し、
第1の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施し、
第2の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔の下流側から還元ガスを流通させ硫黄成分が放出された前記脱硫剤を還元する還元処理を実施すると共に、第2の前記処理塔の下流側からパージガスを流通させて前記脱硫剤から硫黄成分を放出するパージ処理を実施し、更に、第3の前記処理塔の上流側からガス化ガスを流通させて前記ガス化ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫処理を実施し、
第3の前記処理塔での脱硫処理が終了した後、
第1の前記処理塔で脱硫処理を実施すると共に、第2の前記処理塔で還元処理を実施し、更に、第3の前記処理塔のパージ処理を実施し、
前記処理塔の処理の切換えを順次繰り返す
ことを特徴とする脱硫方法。 - 請求項3に記載の脱硫方法において、
前記還元ガスは、脱硫処理が行われた処理塔の出口ガスの一部である
ことを特徴とする脱硫方法。 - 請求項3もしくは請求項4に記載の脱硫方法において、
還元処理が行われている前記処理塔の出口の還元出口ガスに硫黄分が含まれている際には、パージ処理を実施している前記処理塔の途中段に前記還元出口ガスを導入し、
前記還元出口ガスに硫黄分が含まれていない場合には、脱硫処理を行ったガスに前記還元出口ガスを導入し、もしくは、脱硫処理の途中に前記還元出口ガスを導入する
ことを特徴とする脱硫方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013138314A JP2015010211A (ja) | 2013-07-01 | 2013-07-01 | 不純物除去方法及び脱硫方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013138314A JP2015010211A (ja) | 2013-07-01 | 2013-07-01 | 不純物除去方法及び脱硫方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 2013-07-01 JP JP2013138314A patent/JP2015010211A/ja active Pending
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JP7222718B2 (ja) | 2019-01-10 | 2023-02-15 | 一般財団法人電力中央研究所 | 不純物除去装置、及び、石炭ガス化複合発電設備 |
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