JP2015008167A - シリコン基板のエッチング方法およびシリコン基板のエッチング液 - Google Patents

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裕介 白柳
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Abstract

【課題】アルカリ性エッチング液によるシリコン基板の異方性エッチングにおいて、エッチング品質の安定性に優れ、良質のエッチングが可能なシリコン基板のエッチング方法およびシリコン基板のエッチング液を得ること。
【解決手段】シリコン基板の表面にアルカリ水溶液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面を異方性エッチングするシリコン基板のエッチング方法であって、前記アルカリ水溶液が、水酸基を有するアルキルアミンを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコン基板のエッチング方法およびシリコン基板のエッチング液に関する。
太陽光発電装置においては、太陽光を効率良く吸収するために、シリコン基板に照射される太陽光をシリコン基板内部に浸透させる必要がある。すなわち、シリコン基板の表面での光反射率を極力小さくする必要がある。このため、エッチングによってシリコン基板の表面にテクスチャーを形成している。ここで、テクスチャーとはシリコン基板の表面に形成される微小凹凸の総称である。テクスチャーは、高温のアルカリ水溶液にイソプロピルアルコール等の添加剤を加えたアルカリ性エッチング液を用いてエッチング形成される。このようなエッチング液を用いることにより、特定の結晶方位に対してエッチングが進まない異方性エッチングがシリコン基板表面で生じ、シリコン結晶の安定な(111)面からなる微小なピラミッド構造が形成され、低反射率が実現される。
特開2010−74102号公報 特開2010−135591号公報
しかしながら、アルカリ性エッチング液によるテクスチャー形成などのシリコンを異方性エッチングする工程においては、量産工程における品質の安定性が問題になることが多い。例えば、量産に伴うエッチング液の組成変化や、シリコン基板やエッチングに使用する部材からエッチング液に持ち込まれる金属イオン等によるエッチング液の汚染などの原因により、エッチング条件が変化して不良が増加する。このため、テクスチャー形成において、安定性の高い生産が可能なエッチング方法やエッチング液が必要とされている。
エッチング液の液組成の安定化に関しては、たとえば特許文献1に示されるように、蒸発しやすい成分を低揮発性のものに代えるなどの対策が有効である。特許文献1では、水、アルカリ試薬、およびアルコール誘導体を含むエッチング液により、シリコン基板の表面に凹凸を形成している。
また、金属イオンによるエッチング液の汚染に対する対策としては、たとえば特許文献2に示されるように、一般的なキレート剤であるヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を添加したエッチング液が開示されている。特許文献2では、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を含有するアルカリ水溶液のシリコンウェハーエッチング剤にシリコン基板を浸漬させることで、エッチング処理を行っている。ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸のような一般的なキレート剤を添加することにより、エッチング後のシリコン基板表面のNi、Cu、Feなどの金属不純物が低減する。
しかしながら、本発明者らが、テクスチャー形成におけるキレート剤の効果について検討を行った結果、特許文献2に示されるキレート剤を含む一般的なキレート剤については、テクスチャー形成後のシリコン基板の金属汚染を低減する効果は得られるものの、金属イオンがテクスチャーの光反射率上昇等の品質低下やテクスチャーの形状そのものが形成されていない欠陥発生を引き起こす現象を抑制することができず、金属イオンの影響を完全に抑制することができないことが判明した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アルカリ性エッチング液によるシリコン基板の異方性エッチングにおいて、エッチング品質の安定性に優れ、良質のエッチングが可能なシリコン基板のエッチング方法およびシリコン基板のエッチング液を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるシリコン基板のエッチング方法は、シリコン基板の表面にアルカリ水溶液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面を異方性エッチングするシリコン基板のエッチング方法であって、前記アルカリ水溶液が、水酸基を有するアルキルアミンを含むこと、を特徴とする。
本発明によれば、アルカリ性エッチング液によるシリコン基板の異方性エッチングにおいて、エッチング品質の安定性に優れ、良質のエッチングが可能である、という効果を奏する。
図1は、シリコン基板の表面へのテクスチャー形成のためのシリコン基板のウェットエッチング処理工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンを添加したエッチング液(実施例1)を使用してシリコン基板をエッチング処理したときのキレート剤の濃度とエッチング後のシリコン基板における波長700nmの光の光反射率との関係を示す特性図である。 図3は、実施例1のエッチング液を使用してシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング液におけるシリコン溶解量の総量とエッチング処理後のシリコン基板の波長700nmにおける光反射率との関係を示す特性図である。 図4は、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンとアミノカルボン酸とを添加したエッチング液(実施例2)、実施例1のエッチング液および比較例2のエッチング液を使用してシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング後のシリコン基板における波長700nmの光の光反射率を示す特性図である。 図5は、キレート剤として有機アミンとアミノカルボン酸とを添加したエッチング液(実施例3)、比較例2のエッチング液、キレート剤として有機アミンのみを添加したエッチング液(比較例3)を使用してシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング後のシリコン基板における波長700nmの光の光反射率を示す特性図である。
以下に、本発明にかかるシリコン基板のエッチング方法およびシリコン基板のエッチング液の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
実施の形態1.
本発明者らは、シリコン基板表面の光反射率を低減するために、添加剤を添加したアルカリ性エッチング液を用いてシリコン基板の表面にテクスチャーを形成するウェットエッチング処理について検討した。
図1は、シリコン基板の表面へのテクスチャー形成のためのシリコン基板のウェットエッチング処理工程の一例を模式的に示す斜視図である。シリコン基板の表面にテクスチャーを形成するには、用意したシリコン基板1(図1(a))を、エッチング槽2に貯留されたアルカリ性のエッチング液3に浸漬させることでウェットエッチング処理を行う(図1(b))。これにより、エッチング処理後のシリコン基板5の表面には、テクスチャー6がランダムに形成される(図1(c))。
ここで、アルカリ性のエッチング液3は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの強アルカリ試薬を水に溶解したアルカリ水溶液を用いている。エッチング液3におけるアルカリ濃度は例えば0.5wt%〜25wt%である。エッチング液におけるアルカリ濃度が0.5wt%未満である場合は、シリコンのエッチングが進みにくく好ましくない。エッチング液におけるアルカリ濃度が25wt%を超える場合は、テクスチャーそのものが形成されにくいため好ましくない。
エッチング液3には、シリコン基板1の表面におけるエッチング反応を適度に阻害してテクスチャーを形成するために添加剤が添加される。エッチング液3に添加する添加剤としては、例えば以下の化学式(1)で示されるアルコール系添加剤を用いる。
X−(OH)n ・・・(1)
(Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn)
このようなアルコール系添加剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、エチレングリコール(EG)、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、各種ヘキサントリオールやその混合物などが使用できる。
また、エッチング液3に添加する添加剤としては、界面活性剤も利用できる。界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤が好ましく、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が10以上のものが好ましい。HLB値が10未満の場合は、エッチングが抑制されすぎ、シリコン基板表面の光反射率を低減に有効な良好なテクスチャーが形成されにくい。
上述したいずれの添加剤を用いる場合も、エッチング液3への添加量は、たとえば0.05g/L〜20g/Lが好ましい。エッチング液3への添加量が0.05g/L未満の場合は、シリコン基板表面にテクスチャーが形成されない。エッチング液3への添加量が20g/Lを超える場合は、シリコンのエッチング速度が遅くなりすぎ、好ましくない。
エッチング液3の温度は、たとえば40℃〜100℃が好ましく、60℃〜95℃がより好ましい。エッチング液3の温度が40℃未満である場合は、エッチング時間が長くなりすぎるため好ましくない。エッチング液3の温度が100℃を超える場合は、エッチング液3を貯留するために加圧容器等が必要になる場合があり、さらにエッチング液3の蒸発によりエッチング3の液組成の安定性が損なわれやすい。
エッチング時間は、例えば10分〜60分である。エッチング時間が10分未満の場合は、シリコンのエッチングが進まず、シリコン基板表面にテクスチャーが形成されない。エッチング時間が60分を超える場合は、シリコンのエッチングが進みすぎてテクスチャー形成に悪影響を及ぼす。
本発明者らは、上記添加剤を含むアルカリ性のエッチング液3によるシリコン基板1のウェットエッチング処理において、エッチング処理枚数の増加によるエッチング液3中のシリコン溶解量の増加や、シリコン基板・アルカリ試薬・上記添加剤等に由来する銅(Cu)、鉄(Fe)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mg)などの金属や、シリコン基板に由来するリン(P)、ホウ素(B)などが、エッチング処理後のシリコン基板5の表面に形成されるテクスチャー6の質に悪影響を及ぼしていることを見出した。
シリコン基板1の珪素(Si)は、エッチング液3の液中で水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリと反応してエッチング液3の液中に溶出し、これによりエッチング処理後のシリコン基板5の表面にテクスチャー6が形成される。このエッチング反応は以下の式(2)で示され、その際、水素ガス4が発生し、ケイ酸塩が析出される。また、この反応をより活性化させるためには、高アルカリもしくは高温化の条件化で実施される必要がある。
Si + 2OH + 4HO → Si(OH) 2− + 2H↑ ・・・(2)
エッチング液3に上記添加剤が存在することで、シリコン基板1の表面における式(2)のエッチング反応が阻害される。より具体的には、シリコン基板1の表面は疎水性であるため、疎水基である添加剤の炭素鎖部分がシリコン基板1の表面に吸着し、式(2)のエッチング反応を阻害する。この阻害反応を利用することで、エッチング処理後のシリコン基板5の表面にランダムにテクスチャー6を形成させることが可能となる。なお、添加剤の材料によって、エッチング処理後のシリコン基板5の表面に形成されるテクスチャー6の質が変わってくる。
本発明者等は、このようなエッチングにおいてエッチング液3の液中の金属イオンおよびエッチング液3の液中に溶解したシリコンがテクスチャー6の質に悪影響を及ぼしていることを明確にし、その影響を抑制するためにキレート剤をエッチング液3に添加することを検討した。その結果、発明者等は、アルカリ性のエッチング液3にキレート剤として水酸基を有するアルキルアミンを添加することにより、テクスチャー6の質に対する金属イオンおよびエッチング液3の液中に溶解したシリコンの悪影響を除去・抑制できることを見出した。これにより、光反射率が低く品質の高いテクスチャー6を形成でき、またテクスチャー6の欠陥発生を抑制することができる。
金属イオンや溶解したシリコンで汚染されたエッチング液3を用いてシリコン基板1のエッチングを行った場合、エッチング後のシリコン基板5に形成されたテクスチャー6では、ピラミッド構造の稜が鈍った状態や、ピラミッドの平坦面が形成されていない状態が発生する。また、エッチング後のシリコン基板5に形成されたテクスチャー6に、ピラミッドそのものが形成されていない欠陥部分が頻出するようになる。これらの原因は、エッチング液3の液中に存在する金属イオン、エッチング中にシリコン基板が溶解して生成するケイ酸塩、アルコール等の添加剤に起因して生成する流動性の低いゲル状物質などがシリコン基板表面に形成されることでテクスチャー形成を阻害しているためである、と推定される。
一般的なキレート剤を使用した場合は、このような現象を抑制することはできないばかりか、逆に形成を促進する。一般的なキレート剤は、複数個のアミノ基やカルボキシル基を分子内に有している。このようなキレート剤は、エッチング液中における強アルカリ環境下や高濃度のケイ酸塩が存在する環境下では十分な溶解性がない。このため、一般的なキレート剤は、シリコン基板表面の近傍の金属イオンやケイ酸塩を補足することが困難である。また、一般的なキレート剤が金属イオンやケイ酸塩を捕捉した場合や、シリコン基板表面の近傍に拡散してきた場合は、前記流動性の低いゲル状物質の流動性をさらに低下させる。
これに対して、本実施の形態における水酸基を有するアルキルアミンは、エッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩を囲い込むように結合してキレート化合物を形成し、金属イオンやケイ酸塩がエッチング処理後のシリコン基板5の表面に形成されるテクスチャー6の質に悪影響を及ぼすことを除去・抑制することができる(キレート効果)。したがって、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンが添加されたエッチング液3を用いてシリコン基板1のエッチングを行うことにより、光反射率が低く品質の高いテクスチャー6が形成され、ピラミッドそのものが形成されないテクスチャー6の欠陥発生を抑制することができる。
また、本実施の形態で用いる水酸基を有するアルキルアミンは、一般的なキレート剤と異なり、強アルカリ環境や高濃度のケイ酸塩が存在する環境のエッチング液3中での溶解性が高いため、流動性の低いゲル状物質の形成を促進することはなく、金属イオンまたはケイ酸塩と相互作用することでゲル状物質が形成される現象を軽減することができる。したがって、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンが添加されたエッチング液3を用いてシリコン基板1のエッチングを行うことにより、光反射率が低く品質の高いテクスチャー6が形成され、ピラミッドそのものが形成されないテクスチャー6の欠陥発生を抑制することができる。
また、本実施の形態における水酸基を有するアルキルアミンは、親水性が高い他に、揮発性が低いという性質を有し、高温のエッチング液3からの揮発が少ないという利点もある。したがって、水酸基を有するアルキルアミンをキレート剤としてエッチング液3に添加することにより、量産工程においてもエッチング液3の液組成変化が抑制され、安定性の高いテクスチャー形成が可能である。これらの効果は、特許文献1のように低揮発成分や分解性の高い成分を含まない安定性の低いエッチング液においても得られる。
本実施の形態における水酸基を有するアルキルアミンは、窒素原子1個に対して炭素原子が6個以下であり、少なくとも1つの水酸基を有する分子構造を有するものである。窒素原子1個に対して炭素原子が7個以上の場合は、親水性が悪くなりエッチング液3に溶解しにくくなり、上述した効果が十分に得られない。
このような水酸基を有するアルキルアミンとしては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン等、およびこれらに挙げた物質以外の異性体(同一炭素数で直鎖または側鎖のあるものおよび/または水酸基、アミノ基の位置が異なるもの)が挙げられる。なお、キレート剤は、上述した物質に限らず、CとCとの結合は単結合に加えて二重結合や三重結合が存在してもよい。
水酸基を有するアルキルアミンのエッチング液3における添加量は、エッチング液3の金属汚染の程度により最適な値は異なるが、0.01wt%〜1.00wt%の範囲が好ましく、0.2wt%〜0.8wt%の範囲がより好ましい。エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度が0.01wt%未満の場合は、キレート剤濃度が少なすぎるためエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩の除去による光反射率の低減効果が得られない。エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度が1.00wt%よりも大である場合は、キレート剤濃度が高すぎるため、エタノールアミンがシリコン基板1の表面におけるエッチング反応を大幅に阻害する働きをして、エッチングによって形成されるテクスチャー6の質を悪くする。
つぎに、エッチング液3への本実施の形態にかかるキレート剤の添加による効果を検証した結果について説明する。図2は、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンであるエタノールアミンを添加したエッチング液3(実施例1)を使用し、エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度(wt%)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときのキレート剤(エタノールアミン)の濃度(wt%)とエッチング後のシリコン基板5における波長700nmの光の光反射率(%)との関係を示す特性図である(実際には、波長300〜1200nmのシリコン基板の光反射率を測定し、シリコン基板の光反射率が他のシリコン基板にかぶらない(=交差しない)ため、代表的な波長として700nmを採用)。なお、テクスチャー6の質は、エッチング後のシリコン基板5における光反射率が低いほど良い。
実施例1に用いるエッチング液3は、濃度4.0wt%のNaOH水溶液に添加剤としてIPAを10g/Lの添加量で添加し、キレート剤としてエタノールアミンを0.5wt%の濃度で添加して調整した。そして、エッチング液3の温度75℃、エッチング時間20分の条件でシリコン基板1をエッチング処理した。
比較のため、水酸基を有するアルキルアミンや一般のキレート剤を添加しないこと以外は実施例1の場合と同様にして調整したエッチング液(比較例1)を使用してシリコン基板1をエッチング処理したときの、エッチング後のシリコン基板5における波長700nmの光の光反射率(%)を図2に併せて示す。
また、比較のため、一般的に用いられるキレート剤としてアミノ基およびカルボキシル基を有する化合物(アミノカルボン酸)であるヒドロキシエチレンジアミン三酢酸をエタノールアミンの代わりに添加すること以外は実施例1の場合と同様にして調整したエッチング液(比較例2)によりシリコン基板1をエッチング処理したときの、エッチング後のシリコン基板5における波長700nmの光の光反射率(%)を図2に併せて示す。比較例1および比較例2におけるエッチング条件は、実施例1の場合と同様である。
図2において比較例1と比較例2とを比較することにより、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸といった一般的に用いられるキレート剤をエッチング液に添加することでは(比較例2)、キレート剤を添加していないエッチング液3を用いた場合に比べて(比較例1)、エッチング後のシリコン基板5に形成されるテクスチャー6の質を高める効果を得ることができないことがわかる。一方、実施例1と比較例1とを比較することにより、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンであるエタノールアミンをエッチング液3に添加した場合は(実施例1)、キレート剤を添加していないエッチング液3を用いた場合に比べて(比較例1)光反射率の低減が認められる。
この実施例1における光反射率の低減は、エッチング液3にエタノールアミンを添加したことによる、エッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板が溶解して生成するケイ酸塩に対するキレート効果、およびゲル状物質の形成現象を低減する効果によるものである。
図2より、特にテクスチャー6の質を高めてエッチング後のシリコン基板5の光反射率を下げるためには、エタノールアミンの添加量は、エッチング液3に対しての重量比で0.01wt%〜1.00wt%とすることが好ましく、より好ましくは0.2wt%〜0.8wt%である。そして、エタノールアミンの添加量は、0.5wt%とすることが最も好ましい。
エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度が0.01wt%未満の場合は、キレート剤濃度が少なすぎるためエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩に対するキレート効果による光反射率の低減効果が得られていない。エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度が1.00wt%よりも大である場合は、キレート剤濃度が高すぎるため、エタノールアミンがシリコン基板1の表面におけるエッチング反応を大幅に阻害する働きをして、エッチングによって形成されるテクスチャー6の質を悪くしている。
なお、ここでは、水酸基を有するアルキルアミンとしてエタノールアミンを用いる場合について示したが、エタノールアミン以外の上記の水酸基を有するアルキルアミンについても、上記と同様にエッチング後のシリコン基板5の光反射率の低減効果が得られることが確認されている。また、上述した本実施の形態にかかるキレート剤の添加量の範囲は、エッチング液3の温度、エッチング時間、エッチング液3のアルカリ濃度、添加剤濃度等のエッチング条件が変わっても変わらないことを確認済みである。
つぎに、シリコン基板1のエッチングによりエッチング液3中に発生するケイ酸塩の影響を検証した結果について説明する。エッチング液3によりシリコン基板1のアルカリ性エッチングを繰り返して実施すると、上記式(1)で示される化学反応により珪素がエッチング液3に溶解したことによって発生するケイ酸塩(Si(OH) 2−)が、エッチング液3に溶解している珪素の量の増加に伴って増加し、エッチング液3中に蓄積していく。そして、エッチング液3中のケイ酸塩の濃度が上昇することで、シリコン基板1表面に流動性の低いゲル状物質が形成されやすくなり、エッチング液3によるエッチングによって形成されるテクスチャー6の質に、悪い影響を与えやすくなる。そこで、エッチング液3中のケイ酸塩の影響を抑制するために、エッチング液3への本実施の形態にかかるキレート剤の添加が与える影響を検証した。
図3は、上記の実施例1のエッチング液を使用して複数枚のシリコン基板1をエッチング処理したときの、エッチング液におけるシリコン溶解量の総量(g/L)とエッチング処理後のシリコン基板5の波長700nmにおける光反射率(%)との関係を示す特性図である。エッチング処理枚数が増えるにしたがって、エッチング液におけるシリコン溶解量は増加していく。シリコン溶解量は、シリコン基板1のエッチング前後の重量の差から算出している。エッチング液におけるエタールアミンの濃度は、0.5wt%である。
また、比較のため、上記の比較例1のエッチング液を使用してシリコン基板1をエッチング処理したときの、エッチング液におけるシリコン溶解量の総量(g/L)とエッチング処理後のシリコン基板5の波長700nmにおける光反射率(%)との関係を図3に併せて示す。
図3から分かるように、キレート剤が添加されていない比較例1のエッチング液を使用した場合は、エッチング液におけるシリコン溶解量が増加するにしたがって光反射率が高くなり、テクスチャー6の質が悪くなっている。一方、キレート剤として水酸基を有するアルキルアミンであるエタノールアミンを添加した実施例1のエッチング液を使用した場合は、シリコン溶解量の増加による光反射率の増加が抑制されている。
このような傾向は、エッチング液3へのシリコンの溶解によって析出されるケイ酸塩に対して、エッチング液3に水酸基を有するアルキルアミンであるエタノールアミンを添加したことによるキレート効果が発揮され、ケイ酸塩の影響を抑制していることを示している。また、キレート剤であるエタノールアミンが、流動性の低いゲル状物質の形成を促進することはなく、ケイ酸塩と相互作用することでゲル状物質が形成される現象を低減していることを示している。なお、上記のエタノールアミン以外の水酸基を有するアルキルアミンについても、上記と同様にエッチング後のシリコン基板5の光反射率の低減効果が得られることが確認されている。
上述したように、実施の形態1においては、添加剤を添加したアルカリ性のエッチング液を用いてシリコン基板の表面にテクスチャーを形成するウェットエッチング処理において、エッチング液にキレート剤として水酸基を有するアルキルアミンを添加するため、エッチング液中の金属イオン、ケイ酸塩や流動性の低いゲル状物質がテクスチャー形成に及ぼす悪影響を除去・抑制することができる。これにより、光反射率が低く品質の高いテクスチャー6を形成することができ、またテクスチャー6の欠陥発生を抑制することができる。
また、実施の形態1における水酸基を有するアルキルアミンは、親水性が高い他に、揮発性が低いという性質を有し、高温のエッチング液3からの揮発が少ないため、量産工程においてもエッチング液3の液組成変化が抑制され、安定性の高いテクスチャー形成が可能である。
したがって、実施の形態1によれば、欠陥発生が抑制され、光反射率が低く、品質の高いテクスチャー6を安定して形成できる、という効果が得られる。
実施の形態2.
実施の形態2では、シリコン基板1のエッチングにおけるエッチング液3中の金属イオン等がエッチングに与える影響を抑制してテクスチャー6の質を高めるために、実施の形態1で示した水酸基を有するアルキルアミンと、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物(アミノカルボン酸)とをキレート剤としてエッチング液3に添加する場合について説明する。
実施の形態2においてキレート剤としてエッチング液3に添加する水酸基を有するアルキルアミンは、実施の形態1で示したものである。実施の形態2においてキレート剤としてエッチング液3に添加するアミノカルボン酸としては、例えばヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、ピコリン酸などが挙げられる。
実施の形態1において説明したように、水酸基を有するアルキルアミンをキレート剤としてエッチング液3に添加することにより、光反射率が低く質の高いテクスチャー6が形成され、またテクスチャー6の欠陥が抑制される。
ここで、水酸基を有するアルキルアミンと一般的なキレート剤を組み合わせて使用することで、さらに良好な効果が得られる。水酸基を有するアルキルアミンとアミノカルボン酸とをキレート剤としてエッチング液3に添加することにより、水酸基を有するアルキルアミンによるキレート効果および流動性の低いゲル状物質の形成を抑制する効果が得られる。
また、アミノカルボン酸はエッチング液中に遊離しているケイ酸塩および金属イオンを囲い込むように結合してキレート化合物を形成し、金属イオンやケイ酸塩がエッチング処理後のシリコン基板5の表面に形成されるテクスチャー6の質に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。水酸基を有するアルキルアミンだけでは、エッチング液中の金属イオンを十分に影響の小さい状態とすることができない場合があるが、エッチング液3に水酸基を有するアルキルアミンとアミノカルボン酸とを共存させることで、エッチング液3における金属イオンおよびケイ酸塩の溶解量をより低減して金属イオンおよびケイ酸塩によるテクスチャー6の質に及ぼす影響を抑制することができ、より光反射率が低く質の高いテクスチャー6を形成することができる。
エッチング液3における水酸基を有するアルキルアミンの添加量は、エッチング液3の金属汚染の程度により最適な値は異なるが、0.01wt%〜1.00wt%の範囲が好ましい。エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度が0.01wt%未満の場合は、キレート剤濃度が少なすぎるためエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩の除去による光反射率の低減効果が得られない。エッチング液3におけるエタノールアミンの濃度が1.00wt%よりも大である場合は、キレート剤濃度が高すぎるため、エタノールアミンがシリコン基板1の表面におけるエッチング反応を大幅に阻害する働きをして、エッチングによって形成されるテクスチャー6の質を悪くする。
また、エッチング液3におけるアミノカルボン酸の添加量は、エッチング液3の金属汚染の程度により最適な値は異なるが、0.05wt%〜1.00wt%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5wt%である。エッチング液3におけるアミノカルボン酸の濃度が0.05wt%未満の場合は、キレート剤濃度が少なすぎるためエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩の除去による光反射率の低減効果が十分に得られない。エッチング液3におけるアミノカルボン酸の濃度が1.00wt%よりも大である場合は、キレート剤濃度が高すぎるため、アミノカルボン酸がシリコン基板1の表面におけるエッチング反応を大幅に阻害する働きをして、エッチングによって形成されるテクスチャー6の質を悪くする。
図4は、濃度4.0wt%のNaOH水溶液に添加剤としてIPAを10g/Lの添加量で添加し、さらにキレート剤として水酸基を有するアルキルアミンとアミノカルボン酸とを添加したエッチング液3(実施例2)、上記の実施例1のエッチング液3および上記の比較例2のエッチング液3のそれぞれを使用してシリコン基板1をエッチング処理したときの、エッチング後のシリコン基板5における波長700nmの光の光反射率(%)を示す特性図である。実施例2のエッチング液3においては、水酸基を有するアルキルアミンとしてエタノールアミンを0.5wt%の濃度で、アミノカルボン酸としてヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を0.5wt%の濃度で添加した。また、実施例1のエッチング液3におけるエタールアミンの添加量は、0.5wt%である。比較例2のエッチング液3におけるヒドロキシエチレンジアミン三酢酸の添加量は0.5wt%である。
図4から分かるように、実施例1のエッチング液3を使用した場合は、比較例2のエッチング液3を使用した場合よりもエッチング後のシリコン基板5における光反射率が低減され、エッチング後に形成されるテクスチャー6の質が高くなっている。そして、実施例2のエッチング液3を使用した場合は、実施例1のエッチング液3を使用した場合よりもさらにエッチング後のシリコン基板5における光反射率が低減され、エッチング後に形成されるテクスチャー6の質が高くなっている。
この実施例1における光反射率の低減は、エッチング液3に水酸基を有するアルキルアミン(エタノールアミン)を添加したことによる、エッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板が溶解して生成するケイ酸塩に対するキレート効果、およびゲル状物質の形成現象を低減する効果によるものである。
実施例2のエッチング液3を使用した場合は、エッチング液3に水酸基を有するアルキルアミン(エタノールアミン)を添加したことにより、実施例1の場合と同様にエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板が溶解して生成するケイ酸塩に対するキレート効果、およびゲル状物質の形成現象を低減する効果が得られる。すなわち、エッチング液3において水酸基を有するアルキルアミンが金属イオンやケイ酸塩と結合してキレート化合物を形成することにより、エッチング液3における金属イオンおよびケイ酸塩の溶解量を低減することでキレート効果が得られる。
さらに、実施例2のエッチング液3を使用した場合は、キレート剤としてアミノカルボン酸(ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸)をエッチング液3に添加したことによりキレート効果(エッチング液3中の金属イオンおよびケイ酸塩の除去)が得られる。すなわち、エッチング液3においてアミノカルボン酸が金属イオンやケイ酸塩と結合してキレート化合物を形成することにより、エッチング液3における金属イオンおよびケイ酸塩の溶解量を低減することでキレート効果が得られる。
アミノカルボン酸によるキレート効果は、水酸基を有するアルキルアミンによるキレート効果よりは劣る。しかし、実施例2のエッチング液3では、これら水酸基を有するアルキルアミンのキレート効果とアミノカルボン酸とによるキレート効果とにより、実施例1の場合よりもより高いキレート効果が得られる。これにより、実施例2のエッチング液3を使用した場合は、実施例1のエッチング液3を使用した場合よりもさらにエッチング後のシリコン基板5における光反射率が低減され、エッチング後に形成されるテクスチャー6の質が高くなっている。
なお、ここでは、アミノカルボン酸としてヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を用いる場合について示したが、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸以外の上記のアミノカルボン酸についても、上記と同様にエッチング後のシリコン基板5の光反射率の低減効果が得られることが確認されている。
上述したように、実施の形態2においては、添加剤を添加したアルカリ性のエッチング液を用いてシリコン基板の表面にテクスチャーを形成するウェットエッチング処理において、エッチング液にキレート剤として水酸基を有するアルキルアミンとアミノカルボン酸とを添加するため、エッチング液中の金属イオン、ケイ酸塩や流動性の低いゲル状物質がテクスチャー形成に及ぼす悪影響をより効果的に除去・抑制することができる。これにより、光反射率がより低く品質の高いテクスチャー6を形成することができ、またテクスチャー6の欠陥発生をより抑制することができる。
また、本実施の形態における水酸基を有するアルキルアミンは、親水性が高い他に、揮発性が低いという性質を有し、高温のエッチング液3からの揮発が少ないため、量産工程においてもエッチング液3の液組成変化が抑制され、安定性の高いテクスチャー形成が可能である。
したがって、実施の形態2によれば、より欠陥発生が抑制され、光反射率がより低く、品質の高いテクスチャー6を安定して形成できる、という効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態3では、シリコン基板1のエッチングにおけるエッチング液3中の金属イオン等がエッチングに与える影響を抑制してテクスチャー6の質を高めるために、有機アミンとアミノカルボン酸とをキレート剤としてエッチング液3に添加する場合について説明する。
キレート剤として、上記の水酸基を有するアルキルアミンの代わりに、水酸基を有しない有機アミンをエッチング液3に添加した場合においても、水酸基を有するアルキルアミンを添加した場合と同様の効果が得られる。有機アミンもエッチング液中に遊離しているケイ酸塩および金属イオンを囲い込むように結合してキレート化合物を形成し、金属イオンやケイ酸塩がエッチング処理後のシリコン基板5の表面に形成されるテクスチャー6の質に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
有機アミンは、水酸基を有するアルキルアミンに比べて揮発性が高いため液組成の安定性が少し劣る可能性があり、金属イオンの影響を低減する効果も劣るものの、他のキレート剤が存在する場合においては、十分な効果が得られる。すなわち、エッチング液3に有機アミンとアミノカルボン酸とを共存させることで、エッチング液3における金属イオンおよびケイ酸塩の溶解量をより低減して金属イオンおよびケイ酸塩によるテクスチャー6の質に及ぼす影響を抑制することができ、より光反射率が低く質の高いテクスチャー6を形成することができる。
エッチング液3にキレート剤が存在する場合においては、最終的には金属イオンはキレート剤により安定化される。このため、水酸基を有しない有機アミンによる弱い安定化効果(キレート効果)でも、シリコン基板1の表面近傍での一時的な安定化に寄与することで、シリコン基板1の表面での流動性の低いゲル状物質の生成を抑制できる。また、有機アミンは、キレート剤が流動性の低いゲル状物質と相互作用して流動性をさらに悪化させる効果を抑制できる。
また、実施の形態2において説明したように、アミノカルボン酸をキレート剤としてエッチング液3に添加することにより、光反射率が低く質の高いテクスチャー6が形成され、またテクスチャー6の欠陥が抑制される。
実施の形態3においてキレート剤としてエッチング液3に添加するアミノカルボン酸は、実施の形態2で示したものである。実施の形態3においてキレート剤としてエッチング液3に添加する有機アミンは、窒素原子1個に対して炭素原子が6個以下である分子構造を有するものである。窒素原子1個に対して炭素原子が7個以上の場合は、親水性が悪くなりエッチング液3に溶解しにくくなり、エッチング液3に有機アミンを添加することによる効果が十分に得られない。
このような有機アミンとしては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン等およびこれらに挙げた物質以外の異性体(同一炭素数で直鎖または側鎖のあるものおよび/またはアミノ基の位置が異なるもの)が挙げられる。なお、上述した物質に限らず、CとCとの結合は単結合に加えて二重結合や三重結合が存在してもよい。
エッチング液3におけるアミノカルボン酸の添加量は、エッチング液3の金属汚染の程度により最適な値は異なるが、0.05wt%〜1.00wt%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5wt%である。エッチング液3におけるアミノカルボン酸の濃度が0.05wt%未満の場合は、キレート剤濃度が少なすぎるためエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩の除去による光反射率の低減効果が十分に得られない。エッチング液3におけるアミノカルボン酸の濃度が1.00wt%よりも大である場合は、キレート剤濃度が高すぎるため、アミノカルボン酸がシリコン基板1の表面におけるエッチング反応を大幅に阻害する働きをして、エッチングによって形成されるテクスチャー6の質を悪くする。
エッチング液3における有機アミンの添加量は、エッチング液3の金属汚染の程度により最適な値は異なるが、0.05wt%〜1.00wt%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5wt%である。エッチング液3における有機アミンの濃度が0.05wt%未満の場合は、キレート剤濃度が少なすぎるためエッチング液3の液中に存在する金属イオンおよびエッチング中にシリコン基板溶解して生成するケイ酸塩の除去による光反射率の低減効果が十分に得られない。エッチング液3における有機アミンの濃度が1.00wt%よりも大である場合は、キレート剤濃度が高すぎるため、有機アミンがシリコン基板1の表面におけるエッチング反応を大幅に阻害する働きをして、エッチングによって形成されるテクスチャー6の質を悪くする。
図5は、濃度4.0wt%のNaOH水溶液に添加剤としてIPAを10g/Lの添加量で添加し、さらにキレート剤として有機アミンとアミノカルボン酸とを添加したエッチング液3(実施例3)、上記の比較例2のエッチング液3、濃度4.0wt%のNaOH水溶液に添加剤としてIPAを10g/Lの添加量で添加し、さらにキレート剤として有機アミンのみを添加したエッチング液3(比較例3)のそれぞれを使用してシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング後のシリコン基板5における波長700nmの光の光反射率(%)を示す特性図である。実施例3のエッチング液3においては、有機アミンとしてテトラエチレンジアミンを0.5wt%の濃度で、アミノカルボン酸としてヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を0.5wt%の濃度で添加した。また、比較例2のエッチング液3におけるヒドロキシエチレンジアミン三酢酸の添加量は、0.5wt%である。比較例3のエッチング液3においては、有機アミンとしてテトラエチレンジアミンを0.5wt%の濃度で添加した。
図5から分かるように、キレート剤として有機アミンのみをエッチング液3に添加することでは(比較例3)、キレート剤としてアミノカルボン酸のみをエッチング液3に添加する場合(比較例2)と同様に、キレート効果を十分に得ることができない。しかしながら、実施例3のエッチング液3を使用した場合は、実施例2のエッチング液3を使用した場合(図4参照)と同レベルに光反射率が低減され、比較例2および比較例3のエッチング液3を使用した場合よりもエッチング後のシリコン基板5における光反射率が低減され、エッチング後に形成されるテクスチャー6の質が高くなっている。
実施例3のエッチング液3を使用した場合は、キレート剤として有機アミン(テトラエチレンジアミン)をエッチング液3に添加したことによりキレート効果(エッチング液3中の金属イオンおよびケイ酸塩の除去)が得られる。すなわち、エッチング液3において有機アミンが金属イオンやケイ酸塩と結合してキレート化合物を形成することにより、エッチング液3における金属イオンおよびケイ酸塩の溶解量を低減することでキレート効果が得られる。
さらに、実施例3のエッチング液3を使用した場合は、キレート剤としてアミノカルボン酸(ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸)をエッチング液3に添加したことによりキレート効果(エッチング液3中の金属イオンおよびケイ酸塩の除去)が得られる。すなわち、エッチング液3においてアミノカルボン酸が金属イオンやケイ酸塩と結合してキレート化合物を形成することにより、エッチング液3における金属イオンおよびケイ酸塩の溶解量を低減することでキレート効果が得られる。
すなわち、有機アミンとアミノカルボン酸とを、キレート剤としてエッチング液3添加することにより、エッチング液3のキレート効果を高めることができ、エッチング後に形成されるテクスチャー6の質をより高めることができる。
なお、ここでは、アミノカルボン酸としてヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を、有機アミンとしてテトラエチレンジアミンを用いる場合について示したが、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸以外の上記のアミノカルボン酸およびテトラエチレンジアミン以外の上記の有機アミンについても、上記と同様にエッチング後のシリコン基板5の光反射率の低減効果が得られることが確認されている。
上述したように、実施の形態3においては、添加剤を添加したアルカリ性のエッチング液を用いてシリコン基板の表面にテクスチャーを形成するウェットエッチング処理において、エッチング液にキレート剤として有機アミンとアミノカルボン酸とを添加するため、エッチング液中の金属イオンやケイ酸塩や流動性の低いゲル状物質がテクスチャー形成に及ぼす悪影響を除去・抑制することができる。これにより、光反射率が低く品質の高いテクスチャー6を形成することができ、またテクスチャー6の欠陥発生をより抑制することができる。
したがって、実施の形態3によれば、欠陥発生が抑制され、光反射率が低く、品質の高いテクスチャー6を安定して形成できる、という効果が得られる。
また、上記の実施の形態においては、シリコン基板表面へのテクスチャー形成に本発明のキレート剤を添加することで効果があることを述べたが、テクスチャー形成以外にもシリコン基板を異方性エッチングする工程に本発明のキレート剤を添加することで異方性エッチングを良好にする効果がある。
以上のように、本発明にかかるシリコン基板のエッチング方法は、エッチング品質の安定性に優れ、良質のエッチングが可能なシリコン基板のエッチングに有用である。
1 シリコン基板
2 エッチング槽
3 エッチング液
4 水素ガス
5 エッチング処理後のシリコン基板
6 テクスチャー

Claims (11)

  1. シリコン基板の表面にアルカリ水溶液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面を異方性エッチングするシリコン基板のエッチング方法であって、
    前記アルカリ水溶液が、水酸基を有するアルキルアミンを含むこと、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング方法。
  2. 前記アルカリ水溶液は、前記水酸基を有するアルキルアミンを0.01wt〜1.00wt%の範囲で含有すること、
    を特徴とする請求項1に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  3. 前記アルカリ水溶液は、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物をさらに含有すること、
    を特徴とする請求項1または2に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  4. 前記アルカリ水溶液は、前記アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物を0.05wt〜1.00wt%の範囲で含有すること、
    を特徴とする請求項3に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  5. 前記アルカリ水溶液は、下記の化学式(1)で示されるアルコール系添加剤またはHLB値が10以上の界面活性剤を含み、前記シリコン基板表面にテクスチャーを形成すること、
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のシリコン基板のエッチング方法。
    X−(OH)n
    (Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(1)
  6. シリコン基板の表面にアルカリ水溶液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面を異方性エッチングするシリコン基板のエッチング方法であって、
    前記アルカリ水溶液が、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物と有機アミンとを含むこと、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング方法。
  7. 前記アルカリ水溶液は、前記アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物および前記有機アミンを0.05wt〜1.00wt%の範囲で含有すること、
    を特徴とする請求項6に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  8. 前記アルカリ水溶液は、下記の化学式(2)で示されるアルコール系添加剤またはHLB値が10以上の界面活性剤を含み、前記シリコン基板表面にテクスチャーを形成すること、
    を特徴とする請求項6または7に記載のシリコン基板のエッチング方法。
    X−(OH)n
    (Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(2)
  9. シリコン基板の表面に供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面を異方性エッチングするエッチング液であって、
    アルカリ水溶液を主成分として水酸基を有するアルキルアミンを含むこと、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング液。
  10. 前記エッチング液は、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物をさらに含有すること、
    を特徴とする請求項9に記載のシリコン基板のエッチング液。
  11. シリコン基板の表面に供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面を異方性エッチングするエッチング液であって、
    アルカリ水溶液を主成分としてアミノ基およびカルボキシル基を有する化合物と有機アミンとを含むこと、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング液。
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