JP2015008043A - 負極合材及びこれを含む電池 - Google Patents

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博道 小鹿
陽太 前川
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陽太 前川
樋口 弘幸
Hiroyuki Higuchi
弘幸 樋口
明果 亀井
Akika Kamei
明果 亀井
千裕 榊原
Chihiro Sakakibara
千裕 榊原
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Toshio Takenaka
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Abstract

【課題】高い放電容量を確保しつつ、サイクル特性の優れた全固体リチウム電池を作製することができる負極合材、及びそれを用いた電池
【解決手段】第1のシリコン層、リチウムイオン伝導性を有しない金属層、及び第2のシリコン層をこの順に含む、少なくとも3層の積層構造を有する薄片状負極材料と、無機固体電解質と、を含む負極合材。
【選択図】なし

Description

本発明は、負極合材及びこれを含む電池に関する。
現行のリチウムイオン電池には、電解質として有機系電解液が主に用いられている。有機系電解液は高いイオン伝導度を示すものの、電解液が液体でかつ可燃性であることから、電池として用いた場合に、漏洩、発火等の危険性が懸念されている。従って、次世代リチウムイオン電池用電解質として、より安全性の高い固体電解質の開発が期待されている。
かかる課題を解決するために、イオウ元素、リチウム元素及びリン元素を主成分として含有するイオン伝導度が高い硫化物系固体電解質が開発された。この硫化物系固体電解質を用いた電池として全固体リチウム電池が開発された(特許文献1)。
固体電解質を用いた全固体リチウム電池は、負極に炭素を用いたものが一般的である(特許文献2)。
しかし、炭素の理論容量は372mAh/gと小さく、十分ではなかった。
一方、シリコンを負極に用いた全固体電池が提案されているが、単なるシリコン粉末のままではサイクル特性が十分ではないため、特許文献3では導電性物質と複合化させている。
特許文献4には、電解液を用いたリチウムイオン電池においてはサイクル特性に優れた薄膜状負極材料が提案されているが、全固体電池向け負極合材用として有用な構成については明らかでなかった。
特開2005−228570号公報 特開2003−68361号公報 特開2012−146479号公報 特開2011−65983号公報
本発明の課題は、高い放電容量を確保しつつ、サイクル特性の優れた全固体リチウム電池を作製することができる負極合材、及びそれを用いた電池を提供することである。
本発明によれば、以下の負極合材等が提供される。
1.第1のシリコン層、リチウムイオン伝導性を有しない金属層、及び第2のシリコン層をこの順に含む、少なくとも3層の積層構造を有する薄片状負極材料と、
無機固体電解質と、を含む負極合材。
2.前記無機固体電解質が、硫化物系固体電解質である1記載の負極合材。
3.前記無機固体電解質が、Li、P及びSを含む硫化物系固体電解質である1又は2記載の負極合材。
4.前記無機固体電解質が、下記式(1)を満たすリチウムイオン伝導性硫化物系固体電解質である、1〜3のいずれか記載の負極合材。
Li (1)
(式中、MはB、Zn、Si、Cu、Ga又はGeであり、a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:d=1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
5.bが0である4記載の負極合材。
6前記無機固体電解質が、ガラスセラミックスである1〜5のいずれか記載の負極合材。
7.前記金属層が、ニッケル、銅、チタン、マンガン、鉄、クロム、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、及びタングステンから選択される1以上を含む金属層である1〜6のいずれか記載の負極合材。
8.前記薄片状負極材料が下記式(2)を満たす1〜7のいずれか記載の負極合材。
0<(T/T)≦0.5 (2)
(Tは前記金属層の平均厚さであり、Tは前記第1のシリコン層と前記第2のシリコン平均層の厚さの合計値である。)
9.前記第1のシリコン層の平均厚さと、前記第2のシリコン層の平均厚さが等しい1〜8のいずれか記載の負極合材。
10.前記薄片状負極材料の平均厚みが500nm以下である1〜9のいずれか記載の負極合材。
11.前記薄片状負極材料及び前記無機固体電解質の重量比が、薄片状負極材料の重量:無機固体電解質の重量=95:5〜30:70を満たす1〜10のいずれか記載の負極合材。
12.1〜11のいずれか記載の負極合材を含む負極を備える電池。
高い放電容量を確保しつつ、サイクル特性の優れた全固体リチウム電池を作製する負極合材、及びそれを用いた電池を提供することができる。
1.負極合材
本発明の負極合材は、第1のシリコン層、リチウムイオン伝導性を有しない金属層、及び第2のシリコン層をこの順に含む、少なくとも3層の積層構造を有する薄片状負極材料と、無機固体電解質とを含む。
(1)薄片状負極材料
積層構造は少なくとも3層構造である。
第1のシリコン層と第2のシリコン層は、共にシリコンからなる層である。
金属層は、リチウムイオンを脱挿入せず、電子伝導性が確保できればよい。具体例としては、銅、ニッケル、チタン、マンガン、鉄、クロム、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、タングステン等の金属単体、及びこれら金属の合金、並びにこれら金属に他の元素又は化合物とを組合せた合金が挙げられる。
より好ましくは銅単体、ニッケル単体、チタン単体、及びこれら金属を含む合金であり、さらに好ましくは銅単体又はニッケル単体、及びこれらを含む合金である。
さらに、金属層の平均厚さ(以下単に厚さ又は厚みともいう)をT1、第1のシリコン層の平均厚さと第2のシリコン層の平均厚さの合計値をT2としたとき、T1/T2は、0<(T1/T2)≦0.5が好ましい。
(T1/T2)>0.5では、電池反応に関与しない金属層の割合が多くなり、電池のエネルギー密度が小さくなる場合がある。
薄片状負極材料の平均厚みは500nm以下が好ましい。平均厚みが500nm以下であれば、サイクル特性が高くなる。平均厚みはSEM等により測定することができる。
サイクル特性が良好で、エネルギー密度も大きく、また、シリコン層内のリチウムイオンの拡散を容易にする観点から、より好ましくは0<(T1/T2)≦0.4、さらに好ましくは0<(T1/T2)≦0.25、特に好ましくは0<(T1/T2)≦0.1である。より好ましくは平均厚み350nm以下、さらに好ましくは平均厚み250nm以下、特に好ましくは平均厚み150nm以下である。
薄片状負極材料を構成する各層の厚みはそれぞれ独立して3nm以上が好ましい。より好ましくは5nm以上である。
また、シリコン層の厚みはそれぞれ独立して好ましくは5〜70nm、より好ましくは10〜60nm、さらに好ましくは20〜50nmである。第1及び第2のシリコン層は同じ厚みでも異なってもよい。
金属層の厚みは好ましくは3〜70nm、より好ましくは4〜60nm、さらに好ましくは5〜50nmである。
また、薄片状負極材料の平均長径は、好ましくは0.5μm〜15μmである。
薄片状負極材料は、基材上に、剥離層と、3層以上の積層体である薄膜層とを形成し、剥離層を溶解可能な溶剤を用いて溶解して薄膜層を剥離し、薄膜層をさらに粉砕することによって製造することができる。
基材は、平滑な表面を有する基材を用いることができるが、好ましくは可撓性、耐熱性、耐溶剤性及び寸法安定性を有する高分子樹脂フィルムである。
基材の表面上に、通常樹脂からなる剥離層を各種のコーティング方法によって形成する。
剥離層上に形成する薄膜層は、真空蒸着法又はスパッタ法等の薄膜形成法によって形成する。薄膜層は、まず、第1のシリコン層を形成し、その上にリチウムイオン伝導性を有しない金属層を形成し、さらにその上に第2のシリコン層を形成する。
薄膜層全体の平均厚みと、シリコン層及び金属層の各層の平均厚みは、薄片状負極材料と同様である。
(2)無機固体電解質
本発明の負極合材を構成する無機固体電解質は、例えば酸化物系固体電解質又は硫化物系固体電解質である。
(i)酸化物系固体電解質
酸化物系固体電解質として、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶、NASICON型構造を有するLiTi12、これらを結晶化した電解質等が挙げられる。
(ii)硫化物系固体電解質
硫化物系固体電解質は、好ましくはLi、P、Sを含む硫化物系固体電解質であり、より好ましくは下記式(I)に示す組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質である。
Li…(I)
式(I)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga又はGeから選択される元素を示す。
a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c及びdの比(a:c:d)がa:c:d=1〜9:1:3〜7、さらに好ましくは、a:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。
各元素の組成比は、下記するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系固体電解質は、非晶質(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス)していてもよく、一部のみ結晶化していてもよい。
ここで、結晶化させると非晶質よりもイオン伝導度が高くなる場合があり、その場合には結晶化させることが好ましい。
硫化物系固体電解質の結晶構造として、例えば、特開2002−109955に開示されているLiPS構造、Li構造、LiPS構造、LiSiS構造、LiSiS構造、特開2005−228570及びWO2007/066539に開示されているLi11構造が好ましく、これら結晶構造であれば、非晶体よりイオン伝導度を高めることができる。
ここで、硫化物系固体電解質の結晶化された部分は、1つの結晶構造のみからなっていてもよく、複数の結晶構造を有していてもよい。
イオン伝導度が高いため、硫化物系固体電解質の結晶構造はLi11が最も好ましい。
Li11構造は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する。
硫化物系固体電解質の結晶化度(非晶体よりイオン伝導度が高い結晶構造の結晶化度)は、50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上である。
硫化物系固体電解質の結晶化度が50%未満の場合は、結晶化によってイオン伝導度が高くなるという効果が少なくなるためである。
上記結晶化度は、NMRスペクトル装置を用いることにより測定できる。具体的には、硫化物系固体電解質の固体31P−NMRスペクトルを測定し、得られたスペクトルについて、70−120ppmに観測される共鳴線を、非線形最少二乗法を用いたガウス曲線に分離し、各曲線の面積比を求めることにより測定できる。
硫化物系固体電解質は、以下の方法により製造することができる。
硫化物系固体電解質の原料は、LiS(硫化リチウム)、P(三硫化二リン)、P(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、LiSiO(オルト珪酸リチウム)、Al(硫化アルミニウム)、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、LiPO(リン酸リチウム)、LiGeO(ゲルマン酸リチウム)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)等を用いることができる。
好ましい硫化物系固体電解質の原料は、LiS(硫化リチウム)、P(五硫化二リン)である。
以下、硫化物系固体電解質の原料として、LiS(硫化リチウム)、P(五硫化二リン)を用いた硫化物系固体電解質について説明する。
硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−084438号公報に記載の方法により製造することができる。
特開2010−163356号公報に記載の方法では、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。また、特開2011−084438号公報に記載の方法では、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。
硫化物系固体電解質の製造に用いる硫化リチウムは、特に制限ないが、高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる硫化物系固体電解質は、ガラス状の硫化物系固体電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。
このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高いイオン伝導度を有する硫化物系固体電解質が得られる。
特開平7−330312号及び特開平9−283156号に記載の硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
硫化リチウムを精製する場合、好ましい精製法としては、例えば国際公開WO2005/40039号に記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄することで精製する。
尚、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに硫化物系固体電解質の製造に用いることができる。
硫化物系固体電解質の製造に用いる五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
硫化リチウムと五硫化二リンを用いて硫化物系固体電解質を製造する場合、硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、通常、LiS:P=50:50〜80:20であり、好ましくは60:40〜75:25であり、さらに好ましくは65:35〜78:22であり、最も好ましくは68:32〜76:24である。
硫化リチウム(LiS)と五硫化二リン(P)を用いたガラス状の硫化物系固体電解質の製造方法としては、溶融急冷法、メカニカルミリング法(MM法)、有機溶媒中で原料を反応させるスラリー法等がある。
(a)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049号公報、WO2005/119706に記載されている。具体的には、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、ガラス状の硫化物系固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(b)メカニカルミリング法
メカニカルミリング法は、例えば、特開平11−134937号公報、特開2004−348972公報、及び特開2004−348973号公報に記載されている。
例えば、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、ガラス状の硫化物系固体電解質が得られる。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。メカニカルミリング法によれば、室温でガラス状の硫化物系固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状の硫化物系固体電解質を得ることができるという利点がある。また、メカニカルミリング法では、ガラス状の硫化物系固体電解質の製造と同時に、ガラス状の硫化物系固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
メカニカルミリング法は回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。尚、特開2010−90003号公報に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
メカニカルミリング法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。この際、原料が60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
特開2009−110920号公報及び特開2009−211950号公報に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをメカニカルミリング処理してもよい。また、特開2010−30889号公報に記載のようにメカニカルミリング処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
(c)スラリー法
スラリー法は、例えばWO2004/093099及びWO2009/047977に記載されている。
具体的には、所定量の五硫化二リン(P)粒子と硫化リチウム(LiS)粒子を有機溶媒中で所定時間反応させることにより、ガラス状の硫化物系固体電解質が得られる。
ここで、特開2010−140893号公報に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。また、WO2009/047977に記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。この他、特開2011−136899号公報に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーネート、アセトニトリル)に所定時間浸漬してもよい。
スラリー法に用いる有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒は、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性極性有機化合物(例えばアミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を含み、単独溶媒として、又は混合溶媒として、好適に使用することができる。
非プロトン性有機溶媒である炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素溶媒、不飽和炭化水素溶媒又は芳香族炭化水素溶媒が使用でき、飽和炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられ;不飽和炭化水素溶媒しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられ;芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これらのうち炭化水素系溶媒のうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
原料の有機溶媒への添加量は、原料である硫化リチウムと五硫化二リンが、溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は、0.001kg以上1kg以下程度であり、好ましくは0.005kg以上0.5kg以下であり、より好ましくは0.01kg以上〜0.3kgである。
スラリー法において、反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは20℃以上60℃以下である。また、反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは2時間以上14時間以下である。
上記溶融急冷法、メカニカルミリング法及びスラリー法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
結晶性の硫化物系固体電解質の製造方法は、特開2005−228570号公報、WO2007/066539、特開2002−109955号公報に開示されている。
具体的には、上述の方法で得られたガラス状硫化物系固体電解質を所定の温度で熱処理することで、結晶性硫化物系固体電解質が得られる。
ガラス状硫化物系固体電解質の加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であっても減圧下であってもよく、加熱時の雰囲気は、空気であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。さらに特開2010−186744号公報に記載されているように溶媒中で加熱してもよい。
Li11結晶構造を有する硫化物系固体電解質を製造する場合の加熱条件としては、以下が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは180℃以上330℃以下、より好ましくは200℃以上320℃以下、特に好ましくは210℃以上310℃以下である。180℃より低いと結晶化度の高い硫化物系固体電解質が得られにくい場合があり、330℃より高いとイオン伝導度の低い結晶構造を有する硫化物系固体電解質が生じるおそれがある。
熱処理時間は、熱処理温度が180℃以上210℃以下の場合は、3時間以上240時間以下が好ましく、特に4時間以上230時間以下が好ましい。また、熱処理温度が210℃より高く330℃以下の場合は、0.1時間以上240時間以下が好ましく、0.2時間以上235時間以下がより好ましく、0.3時間以上230時間以下がさらに好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、結晶化度の高い硫化物系固体電解質が得られにくい場合があり、240時間より長いと、結晶化度の低い硫化物系固体電解質が生じるおそれがある。
LiPS結晶構造、Li結晶構造、LiPS結晶構造、LiSiS結晶構造、又はLiSiS結晶構造を有する硫化物系固体電解質を製造する場合、これら結晶構造を有する硫化物系固体電解質は公知の方法で製造することができ、例えば特開2002−109955号公報に開示されている方法が挙げられる。
(3)その他の成分
本発明の負極合材は、薄片状負極材料及び無機固体電解質の他に、その他の成分を含んでもよく、その他の成分としてバインダー等が挙げられる。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
(4)負極合材の組成
薄片状負極材料と無機固体電解質の重量比は、例えば95:5〜30:70(重量比)であり、好ましくは85:15〜45:55(重量比)、より好ましくは75:25〜50:50である。
2.負極合材の製造方法
本発明の負極合材は、薄片状負極材料及び無機固体電解質を含む材料を混合することにより製造することができる。
材料の混合方法は、特に制限なく使用することができ、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、カッターミルを用いて混合する乾式混合;及び有機溶媒中に原料を分散させた後に、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、フィルミックスを用いて混合し、その後溶媒を除去する湿式混合を適用することができる。
3.リチウムイオン電池
本発明の負極合材は、リチウムイオン電池の負極層の材料として好適に用いることができる。本発明のリチウムイオン電池は、例えば、正極層、電解質層及び負極層をこの順に備える全固体電池であり、負極層が本発明の負極合材を含む。
以下、本発明のリチウムイオン電池の各層について説明する。
(1)負極層
負極層は、本発明の負極合材を含む層である。
負極層は、本発明の負極合材を含めばよく、本発明の負極合材のみからなってもよい。
負極層の厚さは、100nm以上5mm以下が好ましく、1μm以上3mm以下がより好ましく、5μm以上1mm以下がさらに好ましい。
負極層は公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(2)電解質層
電解質層は、固体電解質を含む層である。電解質層を構成する固体電解質としては、上述した酸化物系固体電解質及び硫化物系固体電解質の他に、ポリマー系固体電解質が挙げられる。
ポリマー系固体電解質としては、例えば特開2010−262860号公報に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、及びこれらの誘導体並びに共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
ポリマー系固体電解質であるフッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むポリマーが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマー、VdFとHFPの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体が挙げられる。
電解質層は、固体電解質のみからなってもよく、さらにバインダーを含んでもよい。当該バインダーとしては、本発明の負極合材のバインダーと同じものが使用できる。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の個体電解質粒子と一体化することを意味する。また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよく、当該板状体は、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層は、公知の方法により製造することができ例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(3)正極層
正極層は、正極活物質を含む層である。
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。
正極活物質としては、例えばV、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCoZO(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePOが挙げられる。
硫化物系正極活物質では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用でき、好ましくは、TiSである。
酸化物系正極活物質では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
また、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LiCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等も使用できる(Xは0.1〜0.9である。)
上記の他、セレン化ニオブ(NbSe)、以下に示す有機ジスルフィド化合物、以下に示すカーボンスルフィド化合物、硫黄、硫化リチウム、金属インジウム等を正極活物質として使用できる。
Figure 2015008043
Figure 2015008043
(式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。)
Figure 2015008043
(式中、n、mは、それぞれ1以上の整数である。)
正極層は、さらに固体電解質及び/又は導電助剤を含んでいてもよい。
正極層が含む固体電解質は、負極層及び電解質層の固体電解質と同様のものが挙げられる。
導電助剤は、導電性を有していればよく、その電子伝導度は、好ましくは1×10S/cm以上であり、より好ましくは1×10S/cm以上である。導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質、及びこれらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、好ましくは炭素材料、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質であり、より好ましくは導電性が高い炭素単体、炭素単体以外の炭素材料;ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
尚、炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは単独でも2種以上でも併用可能である。なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
正極の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(4)集電体
本発明のリチウムイオン電池は集電体をさらに備えてもよく、当該集電体は、公知の集電体を用いることができる。
集電体は、例えばAu、Pt、Al、Cu等のように硫化物系固体電解質と反応する金属からなる層を、さらにAu,導電性カーボン等で被覆した層である。
製造例1
[固体電解質の製造]
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開公報WO2005/040039A1の実施例と同様に行った。具体的には、下記の通りである。
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得た500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
(3)固体電解質の製造
固体電解質は以下の方法で得た。上記(2)で得た高純度LiS0.6508g(0.01417mol)と、P(アルドリッチ製)1.3492g(0.00607mol)をよく混合し、混合粉末をアルミナ製ポットに投入し完全密閉した。このポットを遊星型ボールミル機に取り付けた。はじめに、出発原料を十分に混合するために数分間低速回転(85rpm)でミリングを行った。その後、徐々に回転数を上げ370rpmとし、20時間メカニカルミリングを行った。
X線測定により、得られた粉末がガラス化していることを確認した。次に、この粉末を300℃で2時間熱処理して固体電解質粉末を得た。
得られた固体電解質のイオン伝導度を交流インピーダンス法(測定周波数100Hz〜15MHz)により測定したところ、室温で1.0×10−3S/cmであった。
製造例2
[薄片状負極材料の製造]
基材として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、そのフィルムの上に、溶剤に可溶な樹脂からなる剥離層をグラビアコートで塗工し、その上に真空蒸着法を用いて、第1のシリコン層(厚さ30nm)、Ni層(30nm)、第2のシリコン層(厚さ30nm)の順に形成した。次に、剥離層及び3層からなる薄膜層を形成したフィルム面に、剥離層を溶解する溶剤として酢酸ブチルを噴霧して剥離層を溶解し、薄膜層をドクターブレードでかき落とし、得られた薄膜層を溶剤中で、超音波ホモジナイザーを用いて平均長径約4μmとなるように粉砕して、薄片状負極材を得た。
実施例1
[負極合材の調製]
製造例1で調製した固体電解質粉末0.30g、及び、製造例2で調製した各層の厚さが30nmであるシリコン/ニッケル/シリコン(30/30/30)の薄片状負極材料0.70gとを、乳鉢で混合して負極合材とした。
[ハーフセルの作製]
製造例1で調製した無機固体電解質粉末60mgを直径10mmのセラミック製の円筒に投入し、加圧成型して電解質層(電解質シート、無機固体電解質粉末目付け量:76.4mg/cm)とした。
次に調製した負極合材8.3mg(負極合材目付け量:10.6mg/cm)を電解質層と接触するように加圧成型することで、作用極とした。作用極の反対側から、参照極且つ対極として、LiIn合金箔を貼付し加圧成型した。最後にセルの周囲を90度おきに4か所ネジ締めを行うことで、積層方向に加圧した。このようにして、3層構造の2極式ハーフセルを作製した。
尚、LiIn合金は原子数比Li/Inが0.8以下であれば、Li脱挿入の反応電位が一定(0.62Vvs.Li/Li+)に保たれるため、参照極として使用することが可能となる。
[ハーフセルの評価]
作製したハーフセルを、1.0mA/cmで、電位が0.01Vvs.Li/Liになるまで、その後0.01Vvs.Li/Liで、0.127mA/cmになるまでLiイオンを挿入し、1.0mA/cmで電位1.52Vvs.Li/LiまでLiイオンを脱離させた。
この条件で充放電サイクルを繰返し、初期放電容量、および40サイクル後のLiイオン脱離容量維持率[%](40サイクル目のLiイオン脱離容量/1サイクル目のLiイオン脱離容量×100)を算出した。結果を表1に示す。
初期放電容量から求めた、Si重量当たりの初期放電容量(mAh/g)と、材料(負極合材)重量当たりの初期放電容量(mAh/g)を、表1に示す。
実施例2
製造例2と同様に、第1、第2のシリコン層の厚さが30nm、金属層の厚さが5nmであるシリコン/ニッケル/シリコン(30/5/30)の薄片状負極材料を作製し、この負極材料を用い、負極合材量を5.7mg(負極合材目付け量:7.2mg/cm)とした以外、実施例1と同様にしてハーフセルを作製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例3
製造例2と同様に、第1、第2のシリコン層の厚さが42.5nm、金属層の厚さが5nmであるシリコン/ニッケル/シリコン(42.5/5/42.5)の薄片状負極材料を作製し、この負極材料を用い、負極合材量を5.3mg(負極合材目付け量:6.7mg/cm)とした以外、実施例1と同様にしてハーフセルを作製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1
負極材料として、シリコン粉末(高純度化学研究所製)を用い、負極合材量を4.3mg(負極合材目付け量:5.5mg/cm)とした以外、実施例1と同様にしてハーフセルを作製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例2
製造例2と同様に、シリコン層の厚さが100nm(金属層なし)である薄片状負極材料を作製し、この負極材料を用い、負極合材量を4.3mg(負極合材目付け量:5.5mg/cm)とした以外、実施例1と同様にしてハーフセルを作製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例3
製造例2と同様に、ニッケル/シリコン/ニッケルの構成で、ニッケル層の厚さが15nm、中央部のシリコン層の厚さが60nmのニッケル/シリコン/ニッケル(15/60/15)の薄片状負極材料を作製し、この負極材料を用い、負極合材量を8.3mg(負極合材目付け量:10.6mg/cm)た以外、実施例1と同様にしてハーフセルを作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2015008043
表1より、実施例1〜3は、比較例1より容量維持率が高くなっており、サイクル特性の観点で全固体電池の負極合材に薄片状負極材料を用いることが有効であることが分かった。
また、比較例2及び3が、非常に低い放電容量、低い容量維持率であることから、用いる薄片状負極材料の構成は、シリコン/金属/シリコンが有効であることが分かった。
特に、実施例2においては、実施例1と比較して中央部金属厚が薄くても、シリコン重量当たりで実施例1と同程度の放電容量、材料あたりでは約1.7倍の放電容量となった。
同様に、実施例3においては、実施例2よりシリコン層を厚くしても、シリコン重量当たりで実施例1と同程度の放電容量、材料あたりでは約2.3倍の放電容量となった。
以上より実施例1〜3は、有用な負極合材であることが示された。
本発明の負極合材を用いた電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。

Claims (12)

  1. 第1のシリコン層、リチウムイオン伝導性を有しない金属層、及び第2のシリコン層をこの順に含む、少なくとも3層の積層構造を有する薄片状負極材料と、
    無機固体電解質と、を含む負極合材。
  2. 前記無機固体電解質が、硫化物系固体電解質である請求項1記載の負極合材。
  3. 前記無機固体電解質が、Li、P及びSを含む硫化物系固体電解質である請求項1又は2記載の負極合材。
  4. 前記無機固体電解質が、下記式(1)を満たすリチウムイオン伝導性硫化物系固体電解質である、請求項1〜3のいずれか記載の負極合材。
    Li (1)
    (式中、MはB、Zn、Si、Cu、Ga又はGeであり、a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:d=1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
  5. bが0である請求項4記載の負極合材。
  6. 前記無機固体電解質が、ガラスセラミックスである請求項1〜5のいずれか記載の負極合材。
  7. 前記金属層が、ニッケル、銅、チタン、マンガン、鉄、クロム、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、及びタングステンから選択される1以上を含む金属層である請求項1〜6のいずれか記載の負極合材。
  8. 前記薄片状負極材料が下記式(2)を満たす請求項1〜7のいずれか記載の負極合材。
    0<(T/T)≦0.5 (2)
    (Tは前記金属層の平均厚さであり、Tは前記第1のシリコン層と前記第2のシリコン平均層の厚さの合計値である。)
  9. 前記第1のシリコン層の平均厚さと、前記第2のシリコン層の平均厚さが等しい請求項1〜8のいずれか記載の負極合材。
  10. 前記薄片状負極材料の平均厚みが500nm以下である請求項1〜9のいずれか記載の負極合材。
  11. 前記薄片状負極材料及び前記無機固体電解質の重量比が、薄片状負極材料の重量:無機固体電解質の重量=95:5〜30:70を満たす請求項1〜10のいずれか記載の負極合材。
  12. 請求項1〜11のいずれか記載の負極合材を含む負極を備える電池。
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