JP2015007759A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
カルボキシル基含有感光性樹脂は、特に限定されず、例えば、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂の例として、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を挙げることができる。
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーは、分子内に疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーであり、疎水性骨格を有するアルコールにラジカル重合性不飽和モノカルボン酸である(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものである。後述する無機陽イオン交換体とともに、疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーを含有することで、絶縁信頼性、特に、硬化塗膜の膜厚方向の絶縁信頼性に優れた硬化物を得ることができる。なお、ウレタンの構造を有しない点で、後述するウレタン(メタ)アクリレートモノマーと相違する。
ウレタン(メタ)アクリレートモノマーは、ウレタンにラジカル重合性不飽和モノカルボン酸である(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものである。ウレタン(メタ)アクリレートモノマーを含有することで、柔軟性(フレキシブル性)に優れた硬化塗膜等の硬化物を得ることができる。
エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて、十分な機械的強度を有する硬化塗膜等の硬化物を得るためのものである。エポキシ化合物には、例えば、エポキシ樹脂がある。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
無機陽イオン交換体(陽イオンキャッチャー)は、陽イオンを取り込むので、本発明の感光性樹脂組成物中に残っているナトリウムイオン等の陽イオン不純物を捕捉固定するとともに、電圧を印加することで陽イオンとなり移動する金属イオンを捕捉固定する。これにより、高温多湿条件下であっても、感光性樹脂組成物の硬化物中におけるイオンマイグレーション現象を防止できる。このイオンマイグレーション現象が防止されることで、例えば、感光性樹脂組成物をフレキシブル配線板の硬化塗膜(ソルダ−レジスト膜)に使用すると、硬化塗膜に起因する電極間のショートを防止でき、結果、硬化塗膜の絶縁信頼性、特に、膜厚方向の絶縁信頼性が向上する。
本発明の感光性樹脂組成物が難燃剤を含有することで、硬化物に難燃性を付与することができる。難燃剤は特に限定されず、公知のものを使用できる。難燃剤としては、例えば、リン元素含有化合物、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。リン元素含有化合物の具体例としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート等のノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、3−グリシジルオキシプロピレンジフェニルホスフィンオキシド、3−グリシジルオキシジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィンオキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合物などのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、環状フェノキシホスファゼン、環状シアノフェノキシホスファゼンなどの、置換若しくは非置換のフェノキシ基または置換若しくは非置換のナフトキシ基を有する環状若しくは鎖状のホスファゼン系化合物、トリアリルホスフィン等が挙げられる。
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜16、比較例1〜4にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。そして、調製した感光性樹脂組成物を以下のように塗工して試験片を作製した。なお、下記表1中の数字は、特に断りのない限り、質量部を示す。また、下記表1中の配合割合の空欄部は、0質量部を意味する。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
・ZFR−1122、ZAR−2000、FLX−2089:いすれも、日本化薬(株)製。
(B)光重合開始剤
・chemcure DETX:日本シイベルヘグナー社製。
・イルガキュア907:チバ スペシャルティケミカルズ社製。
(C)疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー
・R−684:日本化薬(株)製。
・ライトアクリレート1,9ND:共栄社化学製。
・STA:大阪有機化学工業社製。
(D)ウレタン(メタ)アクリレートモノマー
・KRM8296:ダイセル・サイテック(株)製。
・EBECRYL8405:ダイセル・サイテック(株)製。
(E)エポキシ化合物
・EPICRON 860:DIC社製。
(F)無機陽イオン交換体
・IXE−100:東亞合成(株)製。
・ゼオライト643NHA:東ソー(株)製。
(G)難燃剤
・エクソリットOP−935:クラリアントジャパン社製。
・HCA−HQ:三光(株)製。
・Rabitle FP−300:(株)伏見製薬所製。
無機両イオン交換体
・IXEPLAS−A2:東亞合成(株)製。
着色剤
・LIONOL BLUE FG7351:東洋インキ製造(株)製。
・クロモフタルイエロー AGR::チバ スペシャルティ ケミカルズ社製。
体質顔料
・RHC−730 クリアー:粒径5〜7μm、大日精化工業製。
・ハイジライトH−42STV:昭和電工(株)製。
希釈剤
・EDGAC:三洋化成品製。
添加剤
・DICY−7:三菱化学(株)製。
・メラミン:日産化学工業(株)製。
消泡剤
・KS−66:信越化学工業(株)製。
・ライトアクリレート4EG−A:共栄社化学製。
・IXE−700F:東亞合成(株)製。
柔軟性(フレキシブル性)と難燃性と反り性を評価する試験片作製工程であり、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、「カプトン100H」)にDRY膜厚が20μmとなるようスクリーン印刷法にて感光性樹脂組成物を塗布し、BOX炉内にて、70℃、20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗布した感光性樹脂組成物上に、露光装置(オーク社製、「HMW‐680GW」)にて400mJ/cm2の紫外線を照射した。照射後、BOX炉内にて、150℃、60分のポストキュアを行って熱硬化させることにより硬化塗膜を得て、試験片を作製した。
試験片作製工程2
絶縁信頼性と耐微小クラック性を評価する試験片作製工程であり、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、「カプトン100H」)に、銅体厚9μm、ライン幅100μm、スペース幅100μmの櫛形の回路パターンを設けたフレキシブル配線板について、3%硫酸水溶液で表面処理後、導体上のDRY膜厚が20μmとなるようスクリーン印刷法にて感光性樹脂組成物を塗布し、BOX炉内にて、70℃、20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗布した感光性樹脂組成物上に、露光装置(オーク社製、「HMW‐680GW」)にて400mJ/cm2の紫外線を照射した。照射後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液によりスプレー圧0.1MPaで60秒間現像を行った。現像後、BOX炉内にて、150℃、60分のポストキュアを行って熱硬化させることにより硬化塗膜を得て、試験片を作製した。
(1)柔軟性(フレキシブル性)
試験片作成工程1にて作製した試験片について、ハゼ折りにより180°折り曲げを数回繰り返して行い、その際の硬化塗膜におけるクラック発生状況を目視及び×200の光学顕微鏡で観察し、クラックの発生しなかった回数を測定した。
測定結果については、5回以上を「◎」、2〜4回を「○」、1回を「△」、0回を「×」と評価した。
試験片作成工程1にて作製した試験片について、UL94規格に準拠した垂直燃焼試験を行った。評価は、UL94規格に基づいて、VTM−0〜燃焼で表した。
試験片作成工程2にて作製した試験片について、硬化塗膜の上に銀を蒸着した硬化塗膜の上面を陽極に、上記フレキシブル配線板の銅を陰極に、それぞれ、接続した。次いで、60℃、湿度95%の恒温恒湿槽の中で、50V印加を行い、イオンマイグレーションテスター(IMV社製、「MIG−8600B/128」)を用いて抵抗値の連続測定を行った。
50V印加時を測定開始時間とし、抵抗値が1.0E+6(1.0×106)Ω未満に低下するまでの時間を計測し、これを絶縁破壊時間とした。絶縁破壊時間2000時間以上を「◎」、絶縁破壊時間1000時間以上2000時間未満を「○」、絶縁破壊時間500時間以上1000時間未満を「△」、絶縁破壊時間500時間未満を「×」として、厚さ方向(Z軸方向)の絶縁信頼性を評価した。
試験片作成工程2にて作製した試験片について、はぜ折りにより、回路パターンのラインの長手方向に対して直交方向に180°折り曲げを1回行い、その際の硬化塗膜における微小クラック発生状況を×500の光学顕微鏡で観察し、微小クラックの発生の有無を測定した。微小クラックとは、クラックの長さが100μm未満のクラックを意味する。測定結果については、微小クラックの発生が無い場合を「◎」、微小クラックの発生が1~3箇所の場合を「○」、微小クラックの発生が3箇所より多く、回路パターンのライン周辺部のみに発生している場合を「△」、硬化塗膜全体に微小クラックが発生している場合を「×」と評価した。
試験片作製工程1にて作製した試験片を3cm×3cmに切り出した後、切り出した試験片を、水平な台上に上が凹になるよう静かに置き、外力を加えないようにして、試験片の4か所の角部と台との間の垂直な隔たりを直尺で測定し、その最大値を採用した。測定結果については、1mm以下を「◎」、1mm超〜3mmを「○」、3mm超〜5mmを「△」、5mm超を「×」と評価した。
Claims (9)
- (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーと、(D)ウレタン(メタ)アクリレートモノマーと、(E)エポキシ化合物と、(F)無機陽イオン交換体と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 前記(C)疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーの疎水性骨格が、炭素数6〜22からなる炭化水素のみの構造であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(C)疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーの疎水性骨格が、トリシクロデカン構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(C)疎水性骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーが、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、3.0質量部〜40質量部含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)ウレタン(メタ)アクリレートモノマーが、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、3.0質量部〜50質量部含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(F)無機陽交換体が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜40質量部含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(F)無機陽イオン交換体に代えて、または前記(F)無機陽イオン交換体とともに、無機両イオン交換体を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、(G)難燃剤を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られた皮膜を有するフレキシブル配線板。
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