JP2015007021A - 脂質粒子、核酸送達キャリア、核酸送達キャリア製造用組成物、脂質粒子の製造方法及び遺伝子導入方法 - Google Patents

脂質粒子、核酸送達キャリア、核酸送達キャリア製造用組成物、脂質粒子の製造方法及び遺伝子導入方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞毒性が低く、細胞外(血中)で核酸分子を安定に保持することができ、かつエンドソームから脱出して、速やかに細胞質中で核酸を放出できる脂質粒子、核酸送達キャリア、核酸送達キャリア製造用組成物、脂質粒子の製造方法及び遺伝子導入方法を提供すること。
【解決手段】1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および核酸を構成成分として含む脂質粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、miRNA、aiRNA又はsiRNA等の核酸を細胞内に送達するのに有用な脂質粒子、核酸送達キャリア、核酸送達キャリア製造用組成物、脂質粒子の製造方法、及び遺伝子導入方法に関する。
核酸医薬は、疾患に対する作用機序が明確で、副作用も少なく、次世代の医薬品として期待されている。例えば、RNA干渉(RNAi)を用いた核酸医薬は、細胞に存在する標的遺伝子のmRNAの分解を惹起し、標的遺伝子の発現を阻害することができる。その結果、特定の遺伝子又は遺伝子群の異常な発現が原因となって生じる疾患症状を軽減又は治療することができる。このようなRNA干渉を利用した核酸医薬においては、例えば、miRNA、aiRNA又はsiRNAなどの核酸が利用されるが、これらの核酸に機能を発現させるためには、核酸を細胞内に送達することが必要である。
核酸を細胞内に効果的に送達する方法として一般にキャリア(ベクター)が用いられる。キャリア(ベクター)には、ウイルス性キャリアと非ウイルス性キャリアがある。ウイルス性キャリアは、病原性、免疫原生及び細胞毒性の安全性の面で不明点が多いため、臨床的な応用には非ウイルス性キャリアの使用が望まれている。
非ウイルス性キャリアとしては、核酸がアニオン性であることから、静電相互作用により核酸を保持できるカチオン性キャリアが用いられる。カチオン性キャリアの例としては、特定構造のカチオン脂質を用いたカチオン性リポソームやカチオン性ポリマーを用いた複合体などが一般に知られている。カチオン性リポソームの例として、核酸を脂質二分子膜の表面に静電相互作用で結合したリポソームや脂質二分子膜の表面、およびその間に挟んだリポプレックスなどが挙げられる。
例えば、非特許文献1には、カチオン脂質とDOPE(1,2−ジオレオイル−3−sn−ホスファチジルエタノールアミン)とポリエチレングリコール脂質からなるリポソームが記載されている。また、特許文献1には50mol%から85mol%のカチオン脂質を含むことを特徴とする脂質粒子が記載され、特許文献2には複数のカチオン脂質を用いることを特徴とする脂質粒子が記載されている。さらに特許文献3には、第一のカチオン脂質、第二のカチオン脂質、中性脂質、ポリエチレングリコール脂質からなる脂質粒子が記載されている。カチオン性ポリマーを用いた複合体も様々なものが知られている(非特許文献2)。
またカチオン性キャリアの更なる改良手段として、例えば、特許文献4には、カチオン性脂質とアニオン性脂質を組み合わせた両性リポソームが記載され、特許文献5には両性の両親媒性脂質からなる両性リポソームが記載されている。
国際公開WO2012/000104A1 国際公開WO2011/0756556A1 米国特許公開US2013/0017223A1 特開2011−21026号公報 特表2005−517739号公報
Gene Therapy, Vol.6, page 271, 1999 Journal of Controlled Release 114 (2006) 100-109
核酸と細胞膜はともにアニオン性であり電気的に反発し合うため、DNA又はRNAなどの核酸を単独で直接細胞内に導入することは非常に困難であり、有効な治療効果が得られないという問題がある。さらに、核酸は、血中で不安定であり、体内に直接投与した場合、容易に分解してしまうという問題を有している。核酸を細胞内に効果的に送達する手段としては、非ウイルス性のカチオン性キャリアが使用されている。しかし、一般にカチオン脂質を用いたキャリアは細胞毒性が強いものが多く、例えば、市販の遺伝子導入剤であるLipofectamine2000(登録商標)も細胞毒性は非常に高い。同様に、カチオン性ポリマーを用いた複合体についても、カチオン性ポリマーの細胞毒性に問題があり、その解決が望まれている。カチオン性キャリアの問題を解決する手段として、カチオン性脂質とアニオン性脂質を組み合わせた両性リポソームや両性の両親媒性脂質からなる両性リポソームも検討されているが、まだ実用には至っていない。
本発明は、核酸医薬において、又は遺伝子導入試薬として使用する核酸キャリアの性能を向上させることを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、細胞毒性が低く、細胞外(血中)で核酸分子を安定に保持することができ、かつエンドソームから脱出して、速やかに細胞質中で核酸を放出できる脂質粒子、核酸送達キャリア、核酸送達キャリア製造用組成物、脂質粒子の製造方法及び遺伝子導入方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および核酸を構成成分として脂質粒子を調製することによって、上記課題を解決した脂質粒子を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および核酸を構成成分として含む脂質粒子が提供される。
好ましくは、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質は、1以上のアミノ基と1以上のイミダゾリル基を有するリン脂質である。
好ましくは、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質は、ヒスチジンのカルボキシル基とアミノ基を持つリン脂質のアミノ基が結合した構造を有する。
好ましくは、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基を有するリン脂質は、下記一般式(I)で表される脂質又はその塩である。
一般式(I)
Figure 2015007021
(一般式(I)において、Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。WとVは、それぞれ独立して単結合、−O−、−NH−、−CO−、又はこれらの組み合わせからなる連結基を示す。RとRはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1から4のアルコキシカルボニル基を示し、RとRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアルコキシカルボニル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数1から4のグアニジノアルキル基、炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基を示す。RとRはそれぞれ独立して水素原子、アミノ基、炭素数1から4のアルコキシカルボニル基を示す。nが1の場合、RとRの内の少なくとも一つはアミノ基を示す。nが2から4の整数の場合、一般式(I)に含まれる複数のRと複数のRの内の少なくとも一つはアミノ基を示す。lは2から4の整数、mは0から4の整数、nは1から4の整数を示す。)
好ましくは、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質は、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される脂質あるいはそれらの塩である。
一般式(II)
Figure 2015007021
(一般式(II)において、Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。)
一般式(III)
Figure 2015007021
(一般式(III)において、Rは炭素数1から4のヒドロキシアルキル基又は炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基を示す。Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。)
好ましくは、含窒素複素環基を含まない中性脂質がホスファチジルエタノールアミン類である。
好ましくは、含窒素複素環基を含まない中性脂質が、その相転移点が0℃以下のホスファチジルエタノールアミン類である。
好ましくは、ステロール類がコレステロールである。
好ましくは、本発明の脂質粒子は、ポリエチレングリコール含有脂質をさらに含む。
好ましくは、本発明の脂質粒子は、抗体又はリガンドを有する脂質をさらに含む。
好ましくは、抗体又はリガンドを有する脂質は、ポリエチレングリコール鎖を有する脂質である。
好ましくは、核酸はmiRNA、aiRNA又はsiRNAである。
好ましくは、本発明の脂質粒子は、非リポソーム型である。
本発明によればさらに、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、およびステロール類を含む、核酸送達キャリアが提供される。
本発明の核酸送達キャリアは、好ましくは、遺伝子導入試薬として使用するか、又は核酸医薬における核酸送達キャリアとして使用する。
本発明によればさらに、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および有機溶媒を構成成分として含む核酸送達キャリア製造用組成物が提供される。
本発明によればさらに、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質およびステロール類を含む有機溶媒溶液と、核酸を含む溶液とを混合して、核酸と脂質との分散液を製造する工程、及び分散液から有機溶媒を除去する工程を含む、本発明の脂質粒子の製造方法が提供される。
本発明によればさらに、本発明の脂質粒子をインビトロで細胞に導入する工程を含む、細胞への遺伝子導入方法が提供される。
本発明の脂質粒子は、低い細胞毒性を有する。また、本発明の脂質粒子によれば、標的細胞内で効率よく核酸本来の機能を発揮させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、脂質粒子中の各成分に該当する物質は複数種存在してもよく、その場合には、脂質粒子を構成する総脂質量(ステロール類を含む)に対する各成分の量は、特に断らない限り、脂質粒子中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
(1)脂質粒子の成分について
本発明の脂質粒子は、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および核酸を構成成分として含む。
(a)1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質
本発明で使用する1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質において、含窒素複素環基とは、少なくとも一つの窒素原子を含む5員環、6員環、あるいはその縮合環である複素環基を示す。具体的には、例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジノ基、キノリノ基、イソキノリノ基等が挙げられ、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリジル基が好ましく、イミダゾリル基が特に好ましい。複素環基は置換基を有していてもよい。複素環基上における置換基は特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基などが挙げられる。
好ましくは、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質が、ヒスチジンのカルボキシル基とアミノ基を持つリン脂質のアミノ基が結合した構造を有する。
1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質の好ましい形態としては、下記一般式(I)で表される脂質又はその塩が挙げられる。
Figure 2015007021
一般式(I)において、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子であることが好ましい。Yはリン脂質を形成する一般的な疎水基を示す。具体的には、例えば、炭素数8から24のアルキル基、炭素数8から24のアルキル基、炭素数8から22のアシル基、炭素数16から54の1,2−ジアルキルオキシプロピル基、炭素数16から54の1,3−ジアルキルオキシプロピル基、炭素数16から54の1,2−ジアシルオキシプロピル基、炭素数16から54の1,3−ジアシルオキシプロピル基等が挙げられ、1,2−ジアシルオキシプロピル基、炭素数16から54の1,3−ジアシルオキシプロピル基等が好ましい。より具体的には、1,2−ジテトラデシルオキシプロピル基、1,2−ジヘキサデシルオキシプロピル基、1,2−ジオクタデシルオキシプロピル基、1,2−ジミリストイルイルオキシプロピル基、1,2−ジパルミトイルオキシプロピル基、1,2−ジステアロイルオキシプロピル基、1,2−ジオレオイルオキシプロピル基、1,2−ジリノレオイルオキシプロピル基、1,2−ジフィタノイルオキシプロピル基、1−パルミトイルオキシ−2−ジオレオイルオキシプロピル基等が特に好ましい例として挙げられる。
一般式(I)において、WとVは、それぞれ独立して単結合、−O−、−NH−、−CO−、又はこれらの組み合わせからなる連結基を示すが、単結合、−O−基、−NH−基、−CO−基、−COO−基、−OCO−基、−CO−NH−基、−NH−CO−基、−NH−CO−NH−基等が好ましい例として挙げられ、単結合、−COO−基、−OCO−基、−CO−NH−基、−NH−CO−基が特に好ましい例として挙げられる。R、Rは、それぞれ独立して水素原子、あるいは炭素数1から4のアルコキシカルボニル基を示すが、水素原子が好ましい。R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアルコキシカルボニル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数1から4のグアニジノアルキル基、炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基を示すが、水素原子、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基が好ましい。RとRはそれぞれ独立して水素原子、アミノ基、炭素数1から4のアルコキシカルボニル基を示す。nが1の場合、RとRの内の少なくとも一つはアミノ基を示す。nが2から4の整数の場合、一般式(I)に含まれる複数のRと複数のRの内の少なくとも一つはアミノ基を示す。lは2から4の整数を示すが、lは2が好ましい。mは0から4の整数を示すが、0あるいは2から4の整数が好ましい。nは1から4の整数を示すが、2から3の整数が好ましい。
一般式(I)で表される脂質又は塩は、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される脂質あるいはそれらの塩であることが好ましい。
一般式(II)
Figure 2015007021
(一般式(II)において、Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。)
一般式(III)
Figure 2015007021
(一般式(III)において、Rは炭素数1から4のヒドロキシアルキル基又は炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基を示す。Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。)
一般式(II)の化合物の合成は、ウイルス感染の予防、治療薬として特開昭61−43193に合成法と共に開示されており、この合成法により合成することができる。
また、一般式(II)の化合物の合成は、下記のスキーム1によっても合成することができる。アミノ基とイミダゾリル基が適当なアミノ保護基で保護されたヒスチジン、あるいはヒスチジンの活性エステルとホスファチジルエタノールアミンを縮合した後、脱保護することにより合成することができる。アミノ保護基としては、Boc基、Fmoc基などの一般的なアミノ保護基を採用することができる。アミノ保護基で保護されたヒスチジンの活性エステルを用いる場合、例えば、ニトロフェノール、N−ヒドロキシスクシンイミド、ペンタフルオロフェノール等とのエステルを用いることができる。
アミノ保護基で保護されたヒスチジンとホスファチジルエタノールアミンの縮合は、一般的な方法、例えば、N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド (DIPCDI)、カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC、あるいはWSC)等を縮合剤として用いる方法を採用することができる。この時、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール (HOBt)や3、4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1、2、3−ベンゾトリアジン(HOOBt)などの添加剤をエピマー化(epimerization)の防止のために添加してもよい。反応は、有機溶媒、水系溶媒、あるいはその混合溶媒中で行うことができ、必要に応じてトリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基、あるいは炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を用いることができる。
アミノ保護基で保護されたヒスチジンの活性エステルの縮合は、一般的な方法、例えば、アミノ保護基で保護されたヒスチジンの活性エステルとホスファチジルエタノールアミンを有機溶媒、水系溶媒、あるいはその混合溶媒中で縮合させればよい。このとき、必要に応じてトリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基、あるいは炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を用いることができる。
上記の方法で得られた一般式(II)の化合物の保護体を脱保護することにより、目的とする化合物(II)の化合物を得ることができる。脱保護工程は、採用したアミノ保護基に適した方法が採用される。例えば、Boc基をアミノ保護基として用いた場合、ジオキサンの塩酸溶液やトリフルオロ酢酸により脱保護することができる。
スキーム1
Figure 2015007021
式中、PGは保護基、LGは水酸基、あるいは活性エステルを構成する脱離基を示す。X,Yは前記と同様である。
一般式(III)の化合物は、同様に下記のスキーム2によって合成することができる。保護されたヒスチジン誘導体とホスファチジルエタノールアミンを縮合する工程、および一般式(III)の化合物の保護体を脱保護する工程は上記の一般式(II)の記載と同様である。
スキーム2
Figure 2015007021
式中、PG、LG、X,Yは前記と同様である。
1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質が塩を形成する場合、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩など医学的に許容される塩を形成することが好ましい。
1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質の光学活性中心に関しては、S体、R体、およびラセミ体のいずれでもよい。
1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質の特に好ましい例を以下に具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物1−1
Figure 2015007021
化合物1−2
Figure 2015007021
化合物1−3
Figure 2015007021
化合物1−4
Figure 2015007021
化合物1−5
Figure 2015007021
化合物1−6
Figure 2015007021
化合物1−7
Figure 2015007021
化合物1−8
Figure 2015007021
化合物1−9
Figure 2015007021
化合物1−10
Figure 2015007021
化合物3−1
Figure 2015007021
化合物3−2
Figure 2015007021
本発明において、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質は、脂質粒子を構成する総脂質量(ステロール類を含む)の1mol%から60mol%であることが好ましく、3mol%から50mol%であることがより好ましく、5mol%から40mol%であることがさらに好ましい。
(b)含窒素複素環基を含まない中性脂質
本発明に用いられる含窒素複素環基を含まない中性脂質としては特に限定されないが、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、スフィンゴミエリン類、セラミド類が挙げられる。含窒素複素環基を含まない中性脂質としては、ホスファチジルエタノールアミン類が好ましく、その相転移点が0℃以下のホスファチジルエタノールアミン類が特に好ましい。含窒素複素環基を含まない中性脂質は単独でも、複数の異なる「含窒素複素環基を含まない中性脂質」の組み合わせでもよい。複数の異なる「含窒素複素環基を含まない中性脂質」の組み合わせる場合、少なくとも一種の「含窒素複素環基を含まない中性脂質」はホスファチジルエタノールアミン類であることが好ましく、その相転移点が0℃以下のホスファチジルエタノールアミン類であることが特に好ましい。なお、相転移点の測定は、一般的な方法により測定することができる。例えば、示唆熱走査熱量計(DSC)を用いて測定により行うことができる。
ホスファチジルコリン類としては特に限定されないが、大豆レシチン(SPC)、水添大豆レシチン(HSPC)、卵黄レシチン(EPC)、水添卵黄レシチン(EPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジリノレオイルホスファチジルコリン(DLoPC)、1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPC)等が挙げられる。
ホスファチジルエタノールアミン類としては特に限定されないが、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン(DLoPE)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(D(Phy)PE)、1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジテトラデシルホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサデシルホスファチジルエタノールアミン、ジオクタデシルホスファチジルエタノールアミン、ジフィタニルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられ、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン(DLoPE)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(D(Phy)PE)が特に好ましい。
スフィンゴミエリン類としては特に限定されないが、卵黄由来スフィンゴミエリン、牛乳由来スフィンゴミエリンなどが挙げられる。
また、セラミド類としては特に限定されないが、卵黄由来セラミド、牛乳由来セラミドなどが挙げられる。
本発明において、含窒素複素環基を含まない中性脂質は、脂質粒子を構成する総脂質量(ステロール類を含む)の5mol%から70mol%であることが好ましく、10mol%から60mol%であることがより好ましく、20mol%から50mol%であることがさらに好ましい。
(c)ステロール類
本発明に用いられるステロール類としては特に限定されないが、コレステロール、フィトステロール(シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロールなど)、エルゴステロール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2'-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4'-ヒドロキシブチルエーテル等を挙げることができるが、コレステロールが特に好ましい。
本発明において、ステロール類は、脂質粒子を構成する総脂質量(ステロール類を含む)の5mol%から70mol%であることが好ましく、10mol%から60mol%であることがより好ましく、20mol%から50mol%であることがさらに好ましい。
(d)核酸
本発明に用いられる核酸としては、公知の任意の形態の核酸が含まれる。核酸の具体例としては、一本鎖DNAもしくはRNA、二本鎖DNAもしくはRNA、またはDNA−RNAハイブリッドなどが挙げられる。二本鎖DNAの例として、例えば、構造遺伝子、制御領域および終止領域を含む遺伝子、およびウイルスDNAまたはプラスミドDNAなどが挙げられる。二本鎖RNAの例として、例えば、siRNAならびにaiRNAおよびmiRNAなどが含まれる。一本鎖核酸の例として、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム等が挙げられる。核酸としては、上記の中でも、miRNA、aiRNA又はsiRNAを使用することが好ましい。
本発明で用いられる核酸は、非天然型核酸であってもよい。非天然型核酸の例としては、2’OMe−グアノシン、2’OMe−ウリジン、2’OMe−アデノシン、および/または2’OMe−シトシンヌクレオチドなどの、少なくとも1個の2’OMeプリンまたはピリミジンヌクレオチドを有した非天然型核酸が挙げられる。また、核酸の 2’位の酸素原子と4’位の炭素原子がメチレンを介して架橋した2つの環状構造を持つ非天然型核酸(BNA、LNA)なども好ましい例として挙げられる。本発明では様々な非天然型核酸を適用でき、本発明は上記に限定されるわけではない。さらに、本発明で用いられる核酸は、例えば、Elbashir ら, Genes Dev., 15 188(2001)またはNykanenら, Cell, 107:309(2001)に記載されているようなオーバーハング構造を有していてもよい。
全脂質量に対する核酸の使用量の質量比(核酸の質量/全脂質の質量)は、特に限定されないが、0.001〜2が好ましく、0.01〜1がより好ましい。
(e)ポリエチレングリコール含有脂質
本発明において、粒子の凝集を抑える目的やキャリアの血中安定性や滞留性を高める目的でポリエチレングリコール含有脂質を併用することは好ましい形態の一つである。但し、ポリエチレングリコール(以下、PEGとも略記する)含有脂質の使用は本発明において必須ではない。PEG含有脂質の例としては、PEG修飾ホスホエタノールアミン、ジアシルグリセロールのPEG誘導体、ジアルキルグリセロールのPEG誘導体、コレステロールのPEG誘導体、セラミドのPEG誘導体等が挙げられる。PEG鎖の分子量は、500〜5000が好ましいが、500〜3000が特に好ましい。PEG鎖は分岐していてもよく、ヒドロキシメチル基のような置換基を有していてもよい。
本発明においてPEG含有脂質を使用する場合、PEG含有脂質は、脂質粒子を構成する総脂質量(ステロール類を含む)の0.01mol%から10mol%であることが好ましく、0.05mol%から7mol%であることがより好ましく、0.1mol%から5mol%であることがさらに好ましい。
(f)抗体又はリガンドを有する脂質
本発明において、核酸キャリアのターゲティング性能や細胞取り込み性能を向上させるために必要に応じて、抗体又はリガンドを有する脂質を併用することも好ましい例である。但し、抗体又はリガンドを有する脂質の使用は本発明において必須ではない。抗体又はリガンドを有する脂質は、PEG鎖を有する脂質であることも好ましい例である。例えば、それらの例として、抗体を連結した脂質、細胞膜透過性ペプチドを連結した脂質、インテグリンリガンドを連結した脂質、トランスフェリンを連結した脂質、葉酸を連結した脂質、糖リガンドを連結した脂質などを挙げることができる。
具体的には、下記の周知の抗体又はリガンドを有する脂質を用いることができる。細胞膜透過性ペプチドを連結した脂質としては、Journal of Controlled Release 143 (2010) 311-317に記載のSTR-R8(化合物4−1)が具体的に挙げられる。インテグリンリガンドを連結した脂質としては、Life Sciences, 58 (1996) 2263-2270に記載のRGD関連ペプチドを連結した脂質(化合物4−3、化合物4−4)やJournal of Controlled Release 153 (2011) 141-148に記載のRGDfKを連結したPEG脂質(化合物4−5)、Journal of Controlled Release 160 (2012) 177-181に記載のRGDfSを連結したPEG脂質(化合物4−6)などが具体的に挙げられる。葉酸を連結した脂質としては、Bioconjugate Chemistry, vol. 10, no. 2, pp. 289-298, 1999.に記載の葉酸を連結したPEG脂質(化合物4−7)が具体的に挙げられる。糖リガンドを連結した脂質としては、Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 94, 2266-2275 (2005)に記載されている(化合物4−8)などが具体的に挙げられる。
本発明において、抗体又はリガンドを有する脂質は、脂質粒子を構成する総脂質量(ステロール類を含む)の0.01mol%から10mol%であることが好ましく、0.05mol%から7mol%であることがより好ましく、0.1mol%から5mol%であることがさらに好ましい。
化合物4−1
C17H35CO-Arg-Arg-Arg-Arg-Arg-Arg-Arg-Arg (STR-R8)
化合物4−2
Figure 2015007021
化合物4−3
Figure 2015007021
化合物4−4
Figure 2015007021
化合物4−5
Figure 2015007021
化合物4−6
Figure 2015007021
化合物4−7
Figure 2015007021
化合物4−8
Figure 2015007021
(g)その他の構成成分
本発明の脂質粒子は、上記(a)〜(f)に記載した構成成分以外の構成成分を、必要に応じて加えてもよい。そのような構成成分として、例えば、グリセロールエステル類、又は糖エステル類を挙げることができる。但し、グリセロールエステル類及び糖エステル類の使用は本発明において必須ではない。具体的な例としては、トリアルカノイルグリセロール、ジアルカノイルグリセロール、モノアルカノイルグリセロール、ショ糖エステル類などを挙げることができる。具体的には、トリオレオイルグリセロール(グリセリル トリオレート)、ジオレオイルグリセロール(グリセリル ジオレート)、モノオレオイルグリセロール、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
本発明においてグリセロールエステル類又は糖エステル類を使用する場合、グリセロールエステル類又は糖エステル類は、脂質粒子を構成する総脂質量(グリセロールエステル類、糖エステル類、ステロール類を含む)の0.01mol%から40mol%であることが好ましく、1mol%から35mol%であることがより好ましく、5mol%から30mol%であることがさらに好ましい。
(2)脂質粒子について
(a)脂質粒子の構造
本発明において、脂質粒子とは、脂質から構成される粒子を意味し、特に限定されない。本発明の脂質粒子には、脂質二分子膜より構成される閉鎖小胞体であるラメラ構造を持つリポソームが含まれる。リポソームとしては、多重リポソーム(MLV)、小さな一枚膜リポソーム(SUV)、巨大一枚膜リポソームなどの構造が知られているが、特に限定されるものではない。本発明の脂質粒子には、前述のリポソームのような脂質二分子膜構造(ラメラ構造)を持たない、粒子内部も構成成分が詰まった構造を持つ粒子も含まれる。脂質粒子としては、非リポソーム型のものが好ましく、脂質二分子膜構造(ラメラ構造)を持たない、粒子内部も構成成分が詰まった構造を持つ粒子が好ましい。
脂質粒子の形成は、電子顕微鏡観察やエックス線を用いた構造解析などにより確認できる。例えば、Cryo透過型電子顕微鏡観察(CryoTEM法)を用いた方法により、リポソームのように脂質粒子が脂質二分子膜構造(ラメラ構造)や内水層を持つ構造やリポソームのように脂質粒子が脂質二分子膜構造(ラメラ構造)や内水層を持たず、粒子内部に電子密度が高いコアを持っていることから脂質をはじめとする構成成分が詰まった構造を有していることを確認できる。エックス線小角散乱(SAXS)測定によっても、脂質粒子が脂質二分子膜構造(ラメラ構造)の有無を確認できる。
(b)脂質粒子の粒径
本発明の脂質粒子の粒子径は特に限定されないが、好ましくは20nm〜600nmであり、より好ましくは30nm〜590nmであり、さらに好ましくは40nm〜560nmである。脂質粒子の粒子径は、一般的な方法(例えば、動的光散乱法など)により測定できる。
(3)脂質粒子の製造
本発明の脂質粒子は、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質およびステロール類を含む有機溶媒溶液と、核酸を含む溶液とを混合して、核酸と脂質との分散液を製造する工程、及び分散液から有機溶媒を除去する工程によって製造することができる。より具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。最初に、核酸の水溶液又は緩衝液と、脂質(1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、さらに必要に応じてPEG脂質、必要に応じて抗体又はリガンドを有する脂質などのその他の構成成分)を有機溶媒に溶かした脂質溶液を調製する。次に、上記で調製した核酸の水溶液又は緩衝液に対し、上記で調製した脂質溶液を攪拌下で加え、核酸と脂質の分散液を調製する。得られた分散液から有機溶媒を除去することにより、目的とする脂質粒子の分散液を調製することができる。得られた脂質粒子の分散液は、必要に応じてサイジングや濃縮を行うことができる。
(a)核酸の水溶液又は緩衝液の調製
本発明において、緩衝液のpHは特に限定されないが、好ましくはpH2からpH10の周知の緩衝液を用いることができる。pH2.5からpH9の緩衝液が好ましく、pH3からpH8.5の緩衝液が特に好ましい。また、用いる緩衝液は医薬的に許容される緩衝液が特に好ましい。核酸の水溶液、あるいは緩衝液には、脂質粒子の核酸以外の構成成分を必要に応じて添加しておいてもよい。核酸以外の構成成分を添加する場合、その構成成分が水溶性であることが好ましい。
(b)脂質溶液の調製
本発明において、脂質溶液の調製に用いる有機溶媒は特に限定されないが、水溶性の有機溶媒が好ましく、アルコール類(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)などが特に好ましい。
(c)核酸の水溶液又は緩衝液と脂質溶液の混合
核酸の水溶液又は緩衝液と脂質溶液とを混合するためには、核酸の水溶液又は緩衝液に対し、脂質溶液を攪拌下において添加又は滴下すればよい、また、マイクロミキサーやマイクロ流路を用いて核酸の水溶液又は緩衝液と脂質溶液とを混合してもよい。混合の温度は特に限定されないが、0℃から80℃の範囲が好ましく、5℃から70℃の範囲がさらに好ましく、10℃から60℃の範囲が特に好ましい。
(d)分散液からの有機溶媒の除去
核酸の水溶液又は緩衝液と脂質溶液との混合により得られた分散液からの有機溶媒の除去は、例えば、種々の透析による方法を使用できる。透析は透析膜を用いる一般的な方法を採用できる。そのカットオフ分子量は特に限定されないが、5000から30000のものが好ましく、10000から20000のものがさらに好ましい。透析液には、水や種々のpHの緩衝液を用いることができる。所望の透析液を用いて透析することにより、分散液を所望の目的にあった液に置換することができる。
(e)サイジング
得られた脂質粒子は必要に応じてサイジングを施すことができる。サイジングには、槽内超音波処理またはプローブ超音波処理のいずれかにより粒子懸濁液を超音波処理することにより、粒子径を小さくすることができる。
(f)濃縮
得られた脂質粒子分散液は濃縮することができる。濃縮には種々の既知の方法を採用できる。例えば、限外ろ過膜を用いて濃縮する方法を採用できる。
(4)脂質粒子の利用
本発明の脂質粒子の一例としては、本発明の脂質粒子をインビトロで細胞に導入することによって、細胞に核酸(遺伝子)を導入することができる。
また、本発明の脂質粒子に含まれる核酸として、医薬用途を有する核酸を使用する場合には、本発明の脂質粒子は、核酸医薬として生体に投与することができる。
本発明の脂質粒子を核酸医薬として使用する場合には、本発明の脂質粒子は単独で、または薬学的に許容される投与媒体(例えば、生理食塩水又はリン酸緩衝液)と混合して、生体に投与することができる。薬学的に許容される担体との混合物中における脂質粒子の濃度は特に限定されず、一般的には0.05質量%から90質量%とすることができる。また、本発明の脂質粒子を含む核酸医薬には、薬学的に許容される他の添加物質、例えばpH調整緩衝剤、浸透圧調整剤などを添加してもよい。
本発明の脂質粒子を含む核酸医薬をインビボで投与する際の投与経路は特に限定されず、任意の方法で投与することができ、経口投与でもよいし、非経口投与(例えば、関節内投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、または筋肉内投与など)でもよい。本発明の脂質粒子を含む核酸医薬は、疾患部位に直接注射することにより投与することもできる。
非経口投与に適した製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および等張滅菌注射剤、懸濁化剤、溶解補助剤、粘稠化剤、安定化剤又は保存料などの添加剤を適宜含めることができる。経口投与を行う場合には、本発明の脂質粒子は、適当な賦形剤と組み合わせて、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、懸濁剤、シロップ剤などの形態で使用することができるが、特にこれらに限定されない。
脂質粒子の投与量は、治療剤である核酸と総脂質との比、使用する核酸の種類、処置される疾患、並びに患者の年齢、体重および状態などに応じて適宜決定することができる。例えば、1回の投与当たりの脂質粒子の量としては、体重1kgあたり約0.01mg〜300mgの量で投与することができる。
(5)核酸送達キャリア及び核酸送達キャリア製造用組成物
上記した、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および核酸を構成成分として含む脂質粒子によれば、標的細胞内で効率よく核酸本来の機能を発揮させることができる。これは、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、およびステロール類の組み合わせからなる組成物は、核酸送達キャリアとして有用であることを意味する。即ち、本発明によれば、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、およびステロール類を含む、核酸送達キャリアが提供される。本発明によればさらに、1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および有機溶媒を構成成分として含む核酸送達キャリア製造用組成物が提供される。1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、およびステロール類の具体例や好ましい例などは、本明細書中上記した通りである。また、核酸送達キャリア製造用組成物において使用する有機溶媒の具体例も、本明細書中上記の「(3)脂質粒子の製造」の「(b)脂質溶液の調製」において記載した通りである。
本発明の核酸送達キャリアは、例えば、核酸と混合して、得られた脂質粒子を細胞にインビトロでトランスフェクションすることにより、細胞に核酸を導入することができる。即ち、本発明の核酸送達キャリアは、遺伝子導入試薬として有用である。また、上記した通り、本発明の核酸送達キャリアは、核酸医薬における核酸送達キャリアとしても有用である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
本発明において、DOPE(1,2−Dioleoyl−s,n−glycero−3−phosphoetanolamine)は、COATSOME ME8181 NOF製 (登録商標)、DPPE(1,2−Dipalmitoyl−s,n−glycero−3−phosphoetanolamine)は、COATSOME ME6060 NOF製 (登録商標)、DLoPE(1,2−Dilinoleoyl−s,n−glycero−3−phosphoetanolamine)は、COATSOME ME6060 NOF製 (登録商標)、D(Phy)PE(1,2−Diphytanoyl−s,n−glycero−3−phosphoetanolamine)は、 Avanti製、コレステロールは、Wako製を用いた。
合成例1:化合物1−5の合成
DPPE 692mg、Boc-His(Boc)-OSu(Bachem製)680mg、トリエチルアミン(Wako製) 303mgをクロロホルム20mLに溶解し、6時間攪拌した後、減圧で濃縮、乾燥させた。残留物に水を加えて懸濁液にした後、透析、凍結乾燥して白色粉体676mgを得た。得られて白色粉体を30mLのジオキサンに溶解し、同量の4M−塩酸のジオキサン溶液を加えて15分攪拌した。次に、60度まで加温し、冷却して得られた白色個体をろ過により集め、631mgの化合物1−5(塩酸塩)を得た。
FAB-MS 828.6(M+H)+
合成例2:化合物1−7の合成
DOPE 1.49g、Boc-His(Boc)-OSu(Bachem製)1.36g、トリエチルアミン(Wako製) 0.61gをクロロホルム40mLに溶解し、一昼夜攪拌した。反応液を0%クエン酸水溶液で洗浄した後、飽和炭酸水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。反応液を減圧下で濃縮、乾燥させて得られて無色シロップを30mLのジオキサンに溶解し、同量の4M−塩酸のジオキサン溶液を加えて1時間攪拌した。次に、反応液を減圧下で濃縮、乾燥させて得られた残留物に水を加えて懸濁液にした後、透析、凍結乾燥して白色粉体として0.96gの化合物1−7(塩酸塩)を得た。
FAB-MS 881.4(M+H)+
合成例3:化合物4−5の合成
1mgのSUNBRIGHT DSPE−020GS(NOF製、登録商標)と1mgのc(RGDfK)(Bachem製)を0.5mLのPBS(pH7.4)に溶解して二日間攪拌した。反応液を、透析、凍結乾燥して白色粉体として約1mgの化合物4−5を得た。目的物の生成はTOF−MSにより、分子量が467増加していることで確認した。
合成例4:化合物4−6の合成
25mgのSUNBRIGHT DSPE−020MA(NOF製、登録商標)1mLの20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、5mgのc(RGDfC)(Bachem製)を1mLの20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解した液を室温で一日間攪拌した。反応液を、透析、凍結乾燥して白色粉体として22mgの化合物4−6を得た。目的物の生成はTOF−MSにより、分子量が556増加していることで確認した。
実施例1:脂質粒子の調製(A法)
0.5mgのsiRNAを溶解した100mMヒスチジン緩衝液(pH7)0.1mLに総脂質濃度が平均分子量で65mMになるように調製した脂質アルコール溶液1.27mLを攪拌下で加えた後、滅菌水1.65mLを加えた。得られたsiRNA、脂質の分散液をSlide−A−Lyzer G2(登録商標)を用いて100mMヒスチジン緩衝液(pH7)で透析を行い、目的とする脂質粒子分散液を得た。
ここでsiRNAは以下の配列のものを用いた。また、脂質アルコール溶液としては以下の表1に示す組成を有するA−1〜A−11を使用した。
siRNA 1
5’-GUUCAGACCACUUCAGCUUTT-3’ (sense) (配列番号1)
5’-AAGCUGAAGUGGUCUGAACTT-3’ (antisense)(配列番号2)
Figure 2015007021
実施例2:脂質粒子の調製(B法)
0.5mgのsiRNAを溶解した滅菌水0.1mLに総脂質濃度が平均分子量で65mMになるように調製した脂質アルコール溶液1.27mLを攪拌下で加えた後、滅菌水1.65mLを加えた。得られたsiRNA、脂質の分散液をSlide−A−Lyzer G2(登録商標)を用いて水で透析を行い、目的とする脂質粒子分散液を得た。
ここでsiRNAは以下の配列のものを用いた。また、脂質アルコール溶液としては以下の表2に示す組成を有するB−1〜B−4を使用した。
siRNA 1
5’-GUUCAGACCACUUCAGCUUTT-3’ (sense) (配列番号1)
5’-AAGCUGAAGUGGUCUGAACTT-3’ (antisense)(配列番号2)
Figure 2015007021
実施例3:脂質粒子の調製(B法)
グリセロール オレイン酸エステル NIKKOL DGO−80(日光ケミカルズ製、登録商標)を構成成分として含む脂質粒子(試料No.C−1)、およびショ糖オレイン酸エステル O−170(三菱化学フーズ製、登録商標)を構成成分として含む脂質粒子(試料No.C−2)は実施例2の方法により調製した。
Figure 2015007021
実施例4:Cryo透過型電子顕微鏡観察(CryoTEM法)を用いた方法により脂質粒子の確認
本発明の脂質粒子(試料No.A−2、試料No.B−4)のCryo透過型電子顕微鏡観察を行った。Cryo透過型電子顕微鏡観察に関しては、International Journal of Pharmaceutics、417(2011)、120−137に記載されている。本観察により、試料No.A−2及び試料No.B−4の脂質粒子は、脂質二分子膜構造(ラメラ構造)や内水層を持たず、粒子内部に電子密度が高いコアを持っていることから脂質をはじめとする構成成分が詰まった脂質粒子であることを確認した。
実施例5:粒径の測定
脂質粒子の粒径は、脂質粒子分散液を水、または用いた緩衝液に10〜50倍の範囲で希釈して大塚電子株式会社のゼータ電位・粒径測定システムを用いて測定した。
実施例6:細胞における標的mRNA産生抑制率の評価
(1)脂質粒子の細胞へのトランスフェクション
0.9×103個のTOV112D細胞(ヒト卵巣癌細胞株)を播種した24穴プレートに対し、翌日、培地を200μLのOpti-MEM(登録商標)に交換した。次に、処理濃度の3倍濃度になるようにOpti-MEM(登録商標)で希釈した100μLの脂質粒子分散液を24穴プレートに添加した(全液量300μl)。その後、5%COインキュベーター中で24時間から48時間培養した。また、陽性対照としては脂質粒子分散液の代わりにlipofectamine 2000 (登録商標)を使用して上記と同様の実験を行った。
(2)全RNA抽出
培養後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社、登録商標)を用いて細胞から全RNAを抽出した。抽出後の全RNA濃度の吸光度を測定後、RNA濃度が5ng/μLとなるようにRNase free水で希釈した。
(3)定量PCR反応
逆転写反応とPCR反応はQUANTIFAST PROBE RTPCR KIT(QIAGEN社、登録商標)を用いて行った。用いたsiRNA遺伝子に対するプライマー/プローブはTaqMan Gene expression assay(ABI、登録商標)を使用し、Mx3000P(アジレント・テクノロジー株式会社、登録商標)を用いて定量PCRを実施した。PCRのコンディションは50℃、30分、95℃、15分, 94℃ 15秒, 60℃ 30秒 (40 サイクル)とした。内部標準はTaqMan Encogeneous Control Human ACTB(ABI、登録商標)を使用した。得られたデータはΔΔCT法を用いTransfection未処理に対する相対定量でmRNA産生抑制率として算出した。
表1に示す試料No.A−1〜A−11及びlipofectamine 2000(登録商標)を使用した場合におけるmRNA産生抑制率を表4に示す。
表2に示す試料No.B−1〜B−4及びlipofectamine 2000(登録商標)を使用した場合におけるmRNA産生抑制率を表5に示す。
表3に示す試料No.C−1及びC−2、並びにlipofectamine 2000(登録商標)を使用した場合におけるmRNA産生抑制率を表6に示す。
Figure 2015007021
Figure 2015007021
Figure 2015007021
比較例1:比較例となる脂質粒子の調製(B法)
実施例2に記載した方法と同様にして、表7に示す脂質組成を有する脂質粒子を比較例として調製した。試料No.D−1及びD−2は、「1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環置換基を有するリン脂質」を含まない脂質粒子である。
Figure 2015007021
比較例2:細胞における標的mRNA産生抑制率の評価
実施例6に記載した方法と同様にして、「1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環置換基を有するリン脂質」を含まない脂質粒子の細胞における標的mRNA産生抑制率を比較例として評価した。結果を表8に示す。
「1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環置換基を有するリン脂質」を含まない脂質粒子ではsiRNAの濃度依存的な標的mRNA産生抑制を示さなかった。
Figure 2015007021
上記の結果から、「1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環置換基を有するリン脂質」を含む本発明の脂質によれば、細胞外(血中)で核酸分子を安定に保持することができ、かつエンドソームから脱出して、速やかに細胞質中で核酸を放出して標的細胞内で効率よく核酸本来の機能を発揮させることができることが分かる。
実施例7:脂質粒子の細胞毒性
処理前日に1.0×104個のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を96穴プレートに播種した(培地量100μl/穴)。5%COインキュベーター内で12時間以上培養後、培地を50μl除去した。脂質粒子は終濃度の2倍濃度になるようにOPTI-MEMにて希釈を行い、この希釈液を50μl/穴で添加後、5%COインキュベーター内でさらに24時間
培養した。
24時間培養後の細胞生存性と障害性はMultiTox-Glo Multiplex Cytotoxicity Assay(Promega)により評価した。生細胞由来プロテアーゼ活性はインフィニットs200(Tecan)を用いλex/λem=405nm/488nmで測定し、死細胞由来プロテアーゼ活性はEnvision(PerkinElmer)を用い測定した。IC50またはEC50はGraphPad Prism5.0を用いて算出した。
化合物1−7/DOPE/コレステロール/化合物4−5=20/40/40/0.1の組成で、実施例2に従って調製した脂質粒子を用いて、細胞毒性を評価した。細胞毒性の評価結果を表9に示す。
Figure 2015007021
表9に示すように遺伝子導入試薬であるリポフェクタミン2000(登録商標)と比較して、本発明のキャリアは細胞毒性が低いことがわかる。

Claims (18)

  1. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および核酸を構成成分として含む脂質粒子。
  2. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質が、1以上のアミノ基と1以上のイミダゾリル基を有するリン脂質である、請求項1に記載の脂質粒子。
  3. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質が、ヒスチジンのカルボキシル基とアミノ基を持つリン脂質のアミノ基が結合した構造を有する請求項1又は2に記載の脂質粒子。
  4. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基を有するリン脂質が、下記一般式(I)で表される脂質又はその塩である、請求項1から3の何れか1項に記載の脂質粒子。
    一般式(I)
    Figure 2015007021
    (一般式(I)において、Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。WとVは、それぞれ独立して単結合、−O−、−NH−、−CO−、又はこれらの組み合わせからなる連結基を示す。RとRはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1から4のアルコキシカルボニル基を示し、RとRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアルコキシカルボニル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数1から4のグアニジノアルキル基、炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基を示す。RとRはそれぞれ独立して水素原子、アミノ基、炭素数1から4のアルコキシカルボニル基を示す。nが1の場合、RとRの内の少なくとも一つはアミノ基を示す。nが2から4の整数の場合、一般式(I)に含まれる複数のRと複数のRの内の少なくとも一つはアミノ基を示す。lは2から4の整数、mは0から4の整数、nは1から4の整数を示す。)
  5. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質が、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される脂質あるいはそれらの塩である、請求項1から4の何れか1項に記載の脂質粒子。
    一般式(II)
    Figure 2015007021
    (一般式(II)において、Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。)
    一般式(III)
    Figure 2015007021
    (一般式(III)において、Rは炭素数1から4のヒドロキシアルキル基又は炭素数4から7のイミダゾリルアルキル基を示す。Xは酸素原子または硫黄原子、Yは疎水基を示す。)
  6. 含窒素複素環基を含まない中性脂質がホスファチジルエタノールアミン類である、請求項1から5の何れか1項に記載の脂質粒子。
  7. 含窒素複素環基を含まない中性脂質が、その相転移点が0℃以下のホスファチジルエタノールアミン類である、請求項1から6の何れか1項に記載の脂質粒子。
  8. ステロール類がコレステロールである、請求項1から7の何れか1項に記載の脂質粒子。
  9. ポリエチレングリコール含有脂質をさらに含む,請求項1から8の何れか1項に記載の脂質粒子。
  10. 抗体又はリガンドを有する脂質をさらに含む、請求項1から9の何れか1項に記載の脂質粒子。
  11. 抗体又はリガンドを有する脂質が、ポリエチレングリコール鎖を有する脂質である、請求項10に記載の脂質粒子。
  12. 核酸がmiRNA、aiRNA又はsiRNAである、請求項1から11の何れか1項に記載の脂質粒子。
  13. 非リポソーム型である、請求項1から12の何れか1項に記載の脂質粒子。
  14. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、およびステロール類を含む、核酸送達キャリア。
  15. 遺伝子導入試薬として使用するか、又は核酸医薬における核酸送達キャリアとして使用する請求項14に記載の核酸送達キャリア。
  16. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質、ステロール類、および有機溶媒を構成成分として含む核酸送達キャリア製造用組成物。
  17. 1以上のアミノ基と1以上の含窒素複素環基とを有するリン脂質、含窒素複素環基を含まない中性脂質およびステロール類を含む有機溶媒溶液と、核酸を含む溶液とを混合して、核酸と脂質との分散液を製造する工程、及び分散液から有機溶媒を除去する工程を含む、請求項1から13の何れか1項に記載の脂質粒子の製造方法。
  18. 請求項1から13の何れか1項に記載の脂質粒子をインビトロで細胞に導入する工程を含む、細胞への遺伝子導入方法。
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