JP2015007001A - ワーキングメモリー改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワーキングメモリー改善効果を示す組成物として有効な食品や医薬品を提供すること。【解決手段】sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有するワーキングメモリー改善剤。当該ワーキングメモリー改善剤は、好適には、身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)以上の身体活動と併用される。【選択図】なし
Description
本発明は、ワーキングメモリーを改善するための剤及びキットに関する。
近年の高齢者人口の増加は、世界的な傾向であるが、特に日本において著しいものがある。65歳以上の高齢者人口は、2012年末には2975万人であり全人口の24.3%に相当する(非特許文献1)。この高齢者人口の割合は、高齢化の指標として用いられ、7%以上を高齢社会、14%以上を高齢社会、21%以上が超高齢社会と定義される(非特許文献2)。これが、2055年になると、3626万人、39.4%に達する見込みである(非特許文献3)。「超高齢」をさらに超えて、人口のほぼ二人に一人が高齢者である社会を何と称するかは、未だ定義は無い。
この超高齢社会において、介護・看護の問題が重くのしかかってきている。要介護者の介護が必要となるに至った原因を上から順に挙げると、1位:脳血管疾患(脳卒中)[21.5%]、2位:認知症[15.3%]、3位:高齢による衰弱[13.7%]、4位:関節疾患[10.9%]、5位:骨折・転倒[10.2%]、6位:心疾患(心臓病)[3.9%]、およびその他となっている(非特許文献4)。認知機能の問題は、2位に直接に挙げられているが、それに止まらない。5位の骨折・転倒にいたる背景には、認知の問題がある場合が多いとされるが、それだけでなくその他の器質的損傷からの機能回復訓練(いわゆるリハビリ)が成功しない原因としても、背景に認知機能の問題がある。複雑な課題遂行に必要な、脳内の情報の保持と処理が高齢者にとっては非常に難しいのである。
脳内では、背外側前頭前野(DLPFC)と前部帯状回(ACC)とが協調作用し、日常生活の動作における複雑な課題の遂行をつかさどっており、ここでワーキングメモリー(短期記憶、作業記憶)と呼ばれる機能によって、情報保持と並列的に情報処理が行われる(非特許文献5)。このワーキングメモリーの働きは加齢によって衰え、その容量が減少するとともに保持も短くなり、動作に支障が出てくる。
これに対して、認知機能の維持・向上を目的として、さまざまな生理活性成分の探索が行われてきた。旧来は大きな分子は脳関門を通ることが出来ないとされていたが、この定説が打ち破られて以来、油水への両親媒性を有するグリセロリン脂質等の脂質成分も着目されている(特許文献1、2)。また、ある種のコリン化合物も着目されている(特許文献3)。しかしながら、ワーキングメモリーを十分に満足できるほどに維持・向上する生理活性成分は未だ見出されていない。
中・高年者の日常生活動作(ADL)を良好に保ち、要介護に至る道を断ち、出来る限り長きに渡って生活の質(QOL)を保ちながら、快適な高齢生活を送るために、ワーキングメモリー改善剤が求められているのである。
総務省統計局,「人口推計」,2013年5月(http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201305.pdf)
経済同友会,「創造的高齢化社会」,p.9,2006年(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2006/pdf)
社会保障・人口問題研究所,「日本の将来推計人口」,p.11,2012年(http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/gh2401.pdf)
内閣府,「平成24年版高齢社会白書」,p.2,2013年(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s1s_1.pdf)
苧坂直行,「ワーキングメモリーの脳内表現」京都大学学術出版会,2008年
本発明は、ワーキングメモリー改善効果を示す組成物として有効な食品や医薬品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを摂取することによって、ワーキングメモリーが改善することを見出した。更に、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを適度な運動と併用することにより、ワーキングメモリー改善効果が向上することを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は次の通りである。
[1]sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有するワーキングメモリー改善剤。
[2]身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)以上の身体活動と併用される、前項[1]記載のワーキングメモリー改善剤。
[3]当該身体活動の開始の1時間前から開始時の間に投与される、前項[2]記載のワーキングメモリー改善剤。
[4]前項[1]から[3]のいずれか1つに記載のワーキングメモリー改善剤、及び身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)の運動を実施するためのトレーニング器具又は設備を含む、ワーキングメモリー改善促進用キット。
[1]sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有するワーキングメモリー改善剤。
[2]身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)以上の身体活動と併用される、前項[1]記載のワーキングメモリー改善剤。
[3]当該身体活動の開始の1時間前から開始時の間に投与される、前項[2]記載のワーキングメモリー改善剤。
[4]前項[1]から[3]のいずれか1つに記載のワーキングメモリー改善剤、及び身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)の運動を実施するためのトレーニング器具又は設備を含む、ワーキングメモリー改善促進用キット。
本発明のワーキングメモリー改善剤は、単独摂取および適度な運動との併用によってワーキングメモリーを効果的に改善する。
本発明は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなるワーキングメモリー改善剤を提供する。
本発明において用いられるsn−グリセロ(3)ホスホコリンは、リン脂質であるホスファチジルコリンから2個の脂肪酸(オレイン酸及びパルミチン酸)を脱アシル化した水溶性化合物であり、「α−GPC」とも称される。sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、具体的には以下の化学式で表される。
本発明においてsn−グリセロ(3)ホスホコリンには、ワーキングメモリー改善活性を有する限り、上記化学式に基づく光学異性体及び当該光学異性体との混合物も含まれる。
本発明において用いられるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、動植物のホスファチジルコリンを脱アシル化することにより得ることができる。ホスファチジルコリンの脱アシル化の方法は、特に限定されないが、例えば、酵素法(例、ホスホリパーゼとの酵素反応)や化学法(例、アルカリけん化分解)等を用いて脱アシル化を実施することができる。
理論には拘束されないが、sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対し、コリン作動性細胞において神経伝達物質であるアセチルコリンの前駆物質になる。従って、sn−グリセロ(3)ホスホコリンの有効量を哺乳動物(特に、ヒト)に投与することにより、当該哺乳動物の中枢機能の認知機能などに影響を及ぼし、ワーキングメモリーを改善することができる。よって、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有する本発明のワーキングメモリー改善剤は、哺乳動物のワーキングメモリーを改善するための食品、又は医薬品(食品組成物又は医薬組成物)、として提供され得る。
本発明における「ワーキングメモリー」とは、認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。そのため、ワーキングメモリーは短い間情報を蓄えておく記憶ではあるが、一般的な短期記憶とは異なる。ワーキングメモリーは情報を保持している間に他の情報処理を行なうことである。つまり、ワーキングメモリーは同時に複数の情報処理を実施する時に機能する。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。
ワーキングメモリー改善効果は、「色−語マッチングストループ試験」(Color-Word Matching Stroop Test, Zysset, S., Muller, K., Lohmann, G. & von Cramon,D. Y., "Color-word matching stroop task: separating interference and response conflict.”, Neuroimage, 2001, 13, pp.29-36.)や、「ワーキングメモリーを測定するための記憶テスト」(國見充展,「ワーキングメモリー課題と短期記憶課題遂行能力の加齢変化」,人間社会環境研究,2007年,第13巻,pp.203-210)等により評価することができる。
従って、本発明のワーキングメモリー改善剤は、作業記憶、作動記憶を改善するための食品又は医薬品として有用である。
本発明のワーキングメモリー改善剤は、常法にしたがって製剤化することができる。製剤としては固体製剤であってもよく、或いは液体製剤であってもよい。かかる製剤としては、例えば錠剤、丸剤、顆粒剤、糖衣剤、カプセル、乳剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物等が挙げられる。また、製剤化においては、製剤上の必要に応じて、賦形剤等の添加剤を加えることができる。賦形剤としては、目的によって、充填剤、結合剤、凝固剤、滑たく剤、崩壊剤、色素、甘味料、香料、コーティング剤等を単独、もしくはこれらを組み合わせて使用することができる。
本発明のワーキングメモリー改善剤のsn−グリセロ(3)ホスホコリン含有量は、製剤の形態によって相違するが、製剤全体に対して、通常0.01〜90重量%、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%である。尚、sn−グリセロ(3)ホスホコリンが塩、水和物又は溶媒和物である場合、その含有量については、遊離体に換算した上で計算を行うものとする。
本発明のワーキングメモリー改善剤を食品として構成する場合、その態様に特に制限はなく、一般の加工食品のほかに、健康食品、機能性食品、濃厚流動食、栄養補助食品、飲料及び食品を含む飲食物、または、これらの添加物とすることができる。具体的には、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを、サプリメント、清涼飲料に配合することができるが、特に限定されるものではない。
また、本発明の食品においては、sn−グリセロ(3)ホスホコリンをそのまま食品に添加してもよく、或いは食品の原材料として加工して添加してもよい。
本発明の食品の形態としては、液状、ゲル状、粉末状あるいは固形状等の食品が挙げられる。本発明の食品の具体例としては、飲料(スポーツドリンク、茶、スープ等)、ゼリー飲料、ヨーグルト、フローズンヨーグルト、調味料(ドレッシング、マヨネーズ、ふりかけ、味噌、醤油、焼肉のたれ等)、麺類、畜肉魚肉加工食品(ハム、ソーセージ等)、ジャム、乳製品(牛乳、クリーム、バター、チーズ、マーガリン等)、パン、菓子類(ゼリー、アイスクリーム、シャーベット、プリン等)等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の食品は極めて多種類の形態にわたり、前記の例示に限定されるものではない。
sn−グリセロ(3)ホスホコリンを含む食品は、食品の形態に応じて他の添加物を含むものであってもよい。このような添加物として、賦形剤、増量剤、結合剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。食品添加物としてはビタミン類、ミネラル、キチン、キトサン、レシチン、ローヤルゼリーなどが挙げられる。調味料としては、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料;アルコール;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料;香料;色素などが挙げられ、本発明の食品を好みの味や色に調整するために用いることができる。また、本発明の目的と関連する公知の素材を併用してもよい。
本発明の食品は、当業者が通常行う方法により製造することができる。例えば、粉末状の食品を得るには、sn−グリセロ(3)ホスホコリンに、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤を必要に応じて添加して、凍結乾燥、噴霧乾燥などの乾燥方法により粉末とすることにより得ることができる。また、賦形剤の他にも、必要に応じて、ビタミン、ミネラル、動植物や魚介類の油脂、タンパク質、糖質、色素、香料、その他の食用添加剤等をさらに添加することができる。
本発明の食品は、他の生理活性物質または健康食品素材と組み合わせても構わない。このような物質としては、例えば、青汁、健康酢、健康茶、ローヤルゼリー、アロエ、ブルーベリー、プロポリス、イソフラボン、ノニ、核酸、にんにく、ウコン、酵素、高麗ニンジン、雑穀、納豆、イチョウ葉、発芽玄米、マカ、メシマコブ、ブドウ種子、スピルリナ、明日葉、フコイダン、牡蠣、馬油、桑葉、サラシア、ハナビラタケ、田七ニンジン、カシス、シジミ、キクイモ、コラーゲン、クロレラ、グルコサミン、キトサン、カルニチン、CoQ10、セラミド、オクタコサノールなどが挙げられる。
sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、食経験も充分ある極めて安全な物質である。コリンの摂取量は3g/日とされている。コリンに比べてsn−グリセロ(3)ホスホコリンは分子量が約2倍であるため、6g/日程度の摂取量が想定される。この点から、本発明の食品の摂取量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は目的に応じた効果を発揮しうる最低量を、上限は摂取のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、経口投与の場合、通常、成人1日あたり、sn−グリセロ(3)ホスホコリンとして、約10mg〜約5g、好ましくは約100mg〜約2gを摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年齢、体重、症状、服用期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて摂取することもできる。
本発明の食品の摂取期間は、ワーキングメモリー改善効果を発揮しうる限り特に限定されないが、長期間摂取するほど、高いワーキングメモリー改善効果が期待される。このような観点から、本発明の食品(sn−グリセロ(3)ホスホコリン)は、例えば、1週間以上、好ましくは4週間以上の期間に亘り摂取される。
本発明の食品の摂取頻度は、ワーキングメモリー改善効果を発揮しうる限り特に限定されないが、高頻度で摂取するほど、高いワーキングメモリー改善効果が期待される。このような観点から、本発明の食品(sn−グリセロ(3)ホスホコリン)は、例えば、2日に1回以上、好ましくは1日に1回以上の頻度で、摂取される。
好ましい態様において、本発明の食品(sn−グリセロ(3)ホスホコリン)は、1日に1回以上の頻度で、4週間以上の期間に亘り摂取される。
本発明のワーキングメモリー改善剤を医薬品として構成する場合、一つの実施態様において、本発明の医薬品は経口投与に好適な製剤として提供される。経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水のような希釈液に有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを溶解させた液剤、有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、顆粒剤、散剤又は錠剤、適当な分散媒中に有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを懸濁させた懸濁液剤、有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
別の実施態様において、本発明の医薬品は非経口的な投与に好適な製剤として提供される。非経口的な投与(例、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、局所注入など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および薬学的に許容され得る担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解又は懸濁すればよい状態で保存することもできる。
患者への負担を軽減する観点から、本発明の医薬品は、対象に対して経口投与することが好ましい。
本発明の医薬品において、有効成分であるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの投与量は、投与形態、投与対象の種類、投与ルート、投与期間、体重、年齢等によって異なるが、上述した本発明の食品の摂取量と同様な範囲とすることができる。もちろん、上述したように投与量は種々の条件で変動するため、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
また、本発明の医薬品において、有効成分であるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの投与期間及び投与頻度も、投与形態、投与対象の種類、投与ルート、体重、年齢等によって異なるが、上述した本発明の食品の摂取期間及び摂取頻度と同様な範囲とすることができる。
後述の実施例に示されるように、sn−グリセロ(3)ホスホコリンのワーキングメメモリー改善活性は、身体活動と併用することにより促進される。身体活動とは、安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての動きを意味する。身体活動には運動及び生活活動が包含される。運動とは、身体活動のうち、体力の維持又は向上を目的として計画的又は意図的に実施するものを意味する。生活活動とは、身体活動のうち、運動以外のものをいい、職業活動上のものも含む。本発明のワーキングメモリー改善剤は、好ましくは身体活動(好ましくは、運動)と併用される。
本明細書において、身体活動の強さ及び量を表す単位として、運動所要量・運動指針の策定検討会が平成18年7月に示した「健康づくりのための運動指針2006」に記載された、「メッツ」及び「エクササイズ」が用いられる。本発明のワーキングメモリー改善剤と併用される身体活動(好ましくは、運動)は、生体内の脂質を消費するのに十分であるが軽度な身体活動、例えば、強度が3メッツ以上6メッツ以下(好ましくは、4メッツ)、且つ量が1エクササイズ以上の身体活動が好ましい。3メッツの生活活動としては歩行等が挙げられるが、これに限定されない。3メッツの運動としては、50ワットでの自転車エルゴメータ、ボーリング、バレーボールなどが挙げられるが、これらに限定されない。4メッツの生活活動としては、自転車、庭掃除等が上げられるが、これらに限定されない。4メッツの運動としては、速歩、ゴルフ、水中運動、卓球等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のワーキングメモリー改善剤の身体活動(好ましくは、運動)との併用は、具体的には、当該身体活動を開始する前又は後(例えば、身体活動開始12時間前〜12時間後の間、好ましくは3時間前〜3時間後の間、より好ましくは1時間前〜1時間後の間、更に好ましくは30分前〜30分後の間)に、本発明のワーキングメモリー改善剤を投与(又は摂取)することにより行われる。即ち、本発明は、身体活動を開始する前又は後(例えば、身体活動開始12時間前〜12時間後の間、好ましくは3時間前〜3時間後の間、より好ましくは1時間前〜1時間後の間、更に好ましくは30分前〜30分後の間)に、sn−グリセロ(3)ホスホコリンの有効量を対象に投与することを含む、当該対象におけるワーキングメモリー改善方法を提供するものである。
好ましい態様において、本発明のワーキングメモリー改善剤の身体活動(好ましくは、運動)との併用は、具体的には、当該身体活動を開始する前(例えば、身体活動開始1時前〜開始時の間、好ましくは身体活動開始30分前〜開始時の間)に、本発明のワーキングメモリー改善剤を投与(又は摂取)することにより行われる。即ち、本発明は、身体活動を開始する前(例えば、身体活動開始1時前〜開始時の間、好ましくは身体活動開始30分前〜開始時の間)に、sn−グリセロ(3)ホスホコリンの有効量を対象に投与することを含む、当該対象におけるワーキングメモリー改善方法を提供するものである。このようなタイミングで、本発明のワーキングメメモリー改善剤を投与又は摂取することにより、ワーキングメモリーを効率的に改善することができる。
本発明のワーキングメモリー改善剤を身体活動(好ましくは、運動)と併用する際の、身体活動(好ましくは、運動)を行う期間は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンのワーキングメメモリー改善活性を向上させる限り、特に限定されないが、より長期間身体活動(好ましくは、運動)を行うことにより、より高いワーキングメメモリー改善効果が期待される。このような観点から、身体活動(好ましくは、運動)は、例えば、1週間以上、好ましくは4週間以上の期間に亘り行われる。
身体活動(好ましくは、運動)を行う頻度は、n−グリセロ(3)ホスホコリンのワーキングメメモリー改善活性を向上させる限り特に限定されないが、高頻度で身体活動(好ましくは、運動)を行うほど、高いワーキングメモリー改善効果が期待される。このような観点から、身体活動(好ましくは、運動)は、例えば、1週間に1日以上、好ましくは1週間に2日以上、より好ましくは、1週間に3日以上の頻度で、行われる。
好ましい態様において、本発明のワーキングメモリー改善剤は、1日に1回以上の頻度で、4週間以上の期間に亘り摂取され、この間、軽度な身体活動(例えば、強度が3メッツ以上6メッツ以下(好ましくは、4メッツ)、且つ量が1エクササイズ以上の身体活動)が、週3日以上の頻度で行われる。
より好ましい態様において、本発明のワーキングメモリー改善剤は、1日に1回以上の頻度で、4週間以上の期間に亘り摂取され、この間、軽度な身体活動(例えば、強度が3メッツ以上6メッツ以下(好ましくは、4メッツ)、且つ量が1エクササイズ以上の身体活動)が、週3日以上の頻度で行われ、軽度な身体活動を行う際には、その開始1時前〜開始時の間に本発明のワーキングメモリー改善剤が投与(又は摂取)される。
ワーキングメモリーの働きは加齢によって衰え、その容量が減少するとともに保持も短くなり、動作に支障が出てくる。従って、一態様において、本発明のワーキングメモリー改善剤は、中高齢者(例えば、40歳以上、50歳以上、60歳以上、70歳以上の成人)に投与(又は摂取)される、その認知機能を維持又は向上する。
一実施態様において、本発明のワーキングメモリー改善剤(好ましくは、本発明の食品)は、強度が3メッツ以上6メッツ以下(好ましくは、4メッツ)、且つ量が1エクササイズ以上の運動を実施するためのトレーニング器具又は設備を少なくとも1つ備えるスポーツ施設において提供される。当該運動を実施するための器具としては、自転車エルゴメータ、ルームランナー、ウェイトトレーニングマシン、ダンベル、卓球台等を挙げることができるが、これらに限定されない。当該運動を実施するための設備としては、競泳用プール、陸上トラック、運動場、サッカーコート、テニスコート、ゴルフ練習場、体育館等を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明のワーキングメモリー改善剤は、当該スポーツ施設内において、自動販売機、ドリンクサーバ、カウンターでの手渡し等の設備を介して、施設利用者に提供される。施設利用者は、上記トレーニング器具又は設備を用いて運動を開始する前又は後(例えば、身体活動開始1時前〜開始時の間、好ましくは身体活動開始30分前〜開始時の間)に、当該スポーツ施設内の設備を介して入手した本発明のワーキングメモリー改善剤を摂取することにより、効率的にワーキングメモリー改善を促進させることができる。即ち、本発明は、上記本発明のワーキングメモリー改善剤(好ましくは、本発明の食品)を提供する設備、及び3メッツ以上6メッツ以下、且つ1エクササイズ以上の運動を実施するためのトレーニング器具又は設備を少なくとも1つ備える、スポーツ施設(ワーキングメモリー改善促進用スポーツ施設)をも提供する。
運動に関しては、歩行(速歩のウォーキング)30分程度の運動で日常生活の中でも簡便に行える運動強度でもsn−グリセロ(3)ホスホコリン摂取との併用でワーキングメモリー改善を促進させる。従って、一態様において、本発明のワーキングメモリー改善剤と併用される身体活動には30分以上の歩行が含まれる。安静時の酸素摂取量が3.75mL/min/kg程度であるのに対して、ウォーキング時は15mL/min/kgになる。そのため、酸素摂取量が安静時の4倍であるので、4メッツ程度となる。この運動を30分間継続した場合、体重60kgで換算すると15(mL/min/kg)×30(min)×60(kg)=27Lになる。酸素摂取量1L当たりを5kcalで計算すると、約135kcalの運動をしたことになる。
また、本発明は、上記本発明のワーキングメモリー改善剤、及び3メッツ以上6メッツ以下、且つ1エクササイズ以上の運動を実施するためのトレーニング器具又は設備を含む、ワーキングメモリー改善用キットを提供する。当該キットは上記トレーニング施設等で用いられる。当該キットを用いることにより、効率的にワーキングメモリー改善を促進することが出来る。
中高齢者におけるα−GPC慢性摂取および有酸素性運動の併用が認知機能に及ぼす影響について試験を行った。
[対象]
中高齢者(65.6±3.0歳、身長156.5±3.7cm、体重50.4±6.0kg、体脂肪率28.3±7.0%)女性10名を対象に以下の、[実験1]と[実験2]の2つの縦断的な介入研究を実施した。実験1の終了後に、引き続き同一被験者について実験2を実施した。
[実験1](長期摂取による脳機能の改善)
1,000mg α−GPCを1日1回4週間もの長期にわたり摂取することによる脳機能(抑制およびワーキングメモリー)の改善に及ぼす影響についての検討。
[実験2](有酸素性運動の長期併用による脳機能の改善)
1日1回の1,000mg α−GPC摂取および週3日の有酸素性運動を4週間もの長期にわたり併用することによる脳機能(抑制およびワーキングメモリー)の改善に及ぼす影響についての検討。
中高齢者(65.6±3.0歳、身長156.5±3.7cm、体重50.4±6.0kg、体脂肪率28.3±7.0%)女性10名を対象に以下の、[実験1]と[実験2]の2つの縦断的な介入研究を実施した。実験1の終了後に、引き続き同一被験者について実験2を実施した。
[実験1](長期摂取による脳機能の改善)
1,000mg α−GPCを1日1回4週間もの長期にわたり摂取することによる脳機能(抑制およびワーキングメモリー)の改善に及ぼす影響についての検討。
[実験2](有酸素性運動の長期併用による脳機能の改善)
1日1回の1,000mg α−GPC摂取および週3日の有酸素性運動を4週間もの長期にわたり併用することによる脳機能(抑制およびワーキングメモリー)の改善に及ぼす影響についての検討。
α−GPCと有酸素性運動との併用試験においては、被験者は、午前10時に大学構内に集合した。集合後30分間安静にした。α−GPCは試験期間中継続的に被験者個人が飲み忘れの無いように1日1000mg摂取した。有酸素性運動としては、30分のウォーキングを行った。詳細には、最初3METsの運動を行った後、主運動として速歩(95m/min)を含む4〜6METsの運動を行った。その後、クールダウンとしてゆっくりな3METsの運動を行った。運動は10分毎に心拍数等を測りながら30分間続けて行った。運動の強度は平均すると4METsで、心拍数は90〜120拍/分であった。運動後30分間は座位の状態で安静にするように指示をした。
α−GPCは、運動開始の1時間前に摂取した。運動を実施しない日においては、α−GPCは食間に摂取した。
実験1、実験2の各々について、介入実施前後において、前頭葉の抑制機能を測定するため、次の2種の実験プロトコール;
1.色−語マッチングストループ試験
2.記憶課題
に基づき実験を行った。各々の実験プロトコールの詳細について、次に示す。
1.色−語マッチングストループ試験
2.記憶課題
に基づき実験を行った。各々の実験プロトコールの詳細について、次に示す。
1.色−語マッチングストループ試験
色−語マッチングストループ試験をColor-Word Matching Stroop Test, Zysset, S., Muller, K., Lohmann, G. & von Cramon,D. Y., "Color-word matching stroop task: separating interference and response conflict.”, Neuroimage, 2001, 13, pp.29-36.に基づき実施した。
色−語マッチングストループ試験をColor-Word Matching Stroop Test, Zysset, S., Muller, K., Lohmann, G. & von Cramon,D. Y., "Color-word matching stroop task: separating interference and response conflict.”, Neuroimage, 2001, 13, pp.29-36.に基づき実施した。
色−語マッチングストループ試験では、上の段に視覚提示された文字の色が、下の段に示された文字と同じであるかを判断するものである。課題のタイプは、図1で示すように三種類ある。
(1)一致条件: 上の段の文字と色が一致している(例;「赤色」で、「あか」と書かれている);
(2)不一致条件: 上の段の文字と色が一致していない(例;「青色」で、「あか」と書かれている);及び
(3)filler: 上の段の文字の代わりに、×記号が提示される。
本研究においては、提示される色名は、「あか」・「あお」・「き」・「みどり」で、提示される色は、「赤色」・「青色」・「黄色」・「緑色」のそれぞれ四色を用いた。不一致条件の場合は、文字と色が一致していないため、適切に解答するためには、文字情報を抑制し、色情報を優先する必要があるため、前頭前野の抑制機能の検査として、報告されている。
(1)一致条件: 上の段の文字と色が一致している(例;「赤色」で、「あか」と書かれている);
(2)不一致条件: 上の段の文字と色が一致していない(例;「青色」で、「あか」と書かれている);及び
(3)filler: 上の段の文字の代わりに、×記号が提示される。
本研究においては、提示される色名は、「あか」・「あお」・「き」・「みどり」で、提示される色は、「赤色」・「青色」・「黄色」・「緑色」のそれぞれ四色を用いた。不一致条件の場合は、文字と色が一致していないため、適切に解答するためには、文字情報を抑制し、色情報を優先する必要があるため、前頭前野の抑制機能の検査として、報告されている。
2.記憶課題
記憶課題の試験は、「ワーキングメモリーを測定するための記憶テスト」(國見充展,「ワーキングメモリー課題と短期記憶課題遂行能力の加齢変化」,人間社会環境研究,2007年,第13巻,pp.203-210)を参考に実施した。
○・△・×・□の四種類の記号を順にそれぞれ2,000ms視覚提示し、記憶するものである。課題のタイプは、図2で示すように、記号2つから、記号5つまでを提示し、記号を提示後、「順」・「逆」を表示し、「順」の場合は、提示順に記憶した内容を復唱させ、「逆」の場合は、提示の逆順に記憶した内容を復唱させるものである。「順」課題の場合、単純に記号を記憶保持するだけだが、「逆」課題の場合、適切に解答するためには、いったん短期記憶に保持しつつ、順序を逆転する必要があるため、「ワーキングメモリー」を反映していると考えられている。
記憶課題の試験は、「ワーキングメモリーを測定するための記憶テスト」(國見充展,「ワーキングメモリー課題と短期記憶課題遂行能力の加齢変化」,人間社会環境研究,2007年,第13巻,pp.203-210)を参考に実施した。
○・△・×・□の四種類の記号を順にそれぞれ2,000ms視覚提示し、記憶するものである。課題のタイプは、図2で示すように、記号2つから、記号5つまでを提示し、記号を提示後、「順」・「逆」を表示し、「順」の場合は、提示順に記憶した内容を復唱させ、「逆」の場合は、提示の逆順に記憶した内容を復唱させるものである。「順」課題の場合、単純に記号を記憶保持するだけだが、「逆」課題の場合、適切に解答するためには、いったん短期記憶に保持しつつ、順序を逆転する必要があるため、「ワーキングメモリー」を反映していると考えられている。
[実験の結果]
[実験1(長期摂取による脳機能の改善)の結果]
1.色−語マッチングストループ試験
色−語マッチングストループ試験に関しては、文字の色と名前が一致する「一致条件」については、介入前後の正答率に変化が見られなかった(図3)。一方、文字の色と名前が一致しない「不一致条件」については、介入後の正答率の有意な上昇が認められた(図3)。
[実験1(長期摂取による脳機能の改善)の結果]
1.色−語マッチングストループ試験
色−語マッチングストループ試験に関しては、文字の色と名前が一致する「一致条件」については、介入前後の正答率に変化が見られなかった(図3)。一方、文字の色と名前が一致しない「不一致条件」については、介入後の正答率の有意な上昇が認められた(図3)。
2.記憶課題
記憶課題の試験に関しては、提示された順番通りに記憶する「正順課題」については、n=4の場合、正答率に有意差は無かった(図4)。n=5の場合、正答率が上昇する傾向が認められた(図5)。
一方、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」については、n=4の場合は、図4に示すように、介入前後で、有意に正答率が上昇した。n=5の場合も、図5に示すように、介入前後で、有意な正答率の上昇が認められた。
記憶課題の試験に関しては、提示された順番通りに記憶する「正順課題」については、n=4の場合、正答率に有意差は無かった(図4)。n=5の場合、正答率が上昇する傾向が認められた(図5)。
一方、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」については、n=4の場合は、図4に示すように、介入前後で、有意に正答率が上昇した。n=5の場合も、図5に示すように、介入前後で、有意な正答率の上昇が認められた。
3.実験1の結果のまとめ
以上の結果から、色−語マッチングストループ試験では、介入により、不一致条件の成績が向上したことから、α−GPC摂取により、前頭葉の機能である「抑制機能」が改善した可能性が考えられた。また、記憶課題では、難易度が高いn=4以上では、介入の前後で比較すると、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」について成績で向上したことから、α−GPC摂取によりワーキングメモリーが改善した可能性が考えられた。
以上の結果から、色−語マッチングストループ試験では、介入により、不一致条件の成績が向上したことから、α−GPC摂取により、前頭葉の機能である「抑制機能」が改善した可能性が考えられた。また、記憶課題では、難易度が高いn=4以上では、介入の前後で比較すると、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」について成績で向上したことから、α−GPC摂取によりワーキングメモリーが改善した可能性が考えられた。
[実験2(有酸素性運動の長期併用による脳機能の改善)の結果]
1.色−語マッチングストループ試験
色−語マッチングストループ試験に関しては、文字の色と名前が一致する「一致条件」については、介入前後の正答率が99.3%で、変化が見られなかった(図6)。一方、文字の色と名前が一致しない「不一致条件」については、図6に示すように介入前後の正答率が、85.6%→92.5%と有意に正答率が上昇した(p=0.024)。
1.色−語マッチングストループ試験
色−語マッチングストループ試験に関しては、文字の色と名前が一致する「一致条件」については、介入前後の正答率が99.3%で、変化が見られなかった(図6)。一方、文字の色と名前が一致しない「不一致条件」については、図6に示すように介入前後の正答率が、85.6%→92.5%と有意に正答率が上昇した(p=0.024)。
2.記憶課題
記憶テストに関しては、提示された順番通りに記憶する「正順課題」については、n=2の場合、介入により正答率が、99.0%→97.0%で変化が見られなかった。n=3の場合も、介入により正答率が、87.3%→97.0%と向上したものの、有意な差ではなかった。n=4の場合も、65.5%→69.0%で、正答率に有意差は無かった(図7)。n=5の場合は、図8が示すように、介入により、46.0%→61.6%と正答率が有意傾向で上昇した(p=0.096)。
記憶テストに関しては、提示された順番通りに記憶する「正順課題」については、n=2の場合、介入により正答率が、99.0%→97.0%で変化が見られなかった。n=3の場合も、介入により正答率が、87.3%→97.0%と向上したものの、有意な差ではなかった。n=4の場合も、65.5%→69.0%で、正答率に有意差は無かった(図7)。n=5の場合は、図8が示すように、介入により、46.0%→61.6%と正答率が有意傾向で上昇した(p=0.096)。
一方、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」については、n=2の場合、95.0%→97.0%で、正答率に有意差は無かったが、n=3の場合、76.6%→90.6%と正答率が有意傾向で上昇した(p=0.059)。n=4の場合は、図7が示すように、介入により、57.0%→73.5%と有意に正答率が上昇した(p=0.031)。n=5の場合も、図8が示すように、介入により、36.8%→50.8%と有意に正答率が上昇した(p=0.011)。
3.実験2の結果のまとめ
以上の通り、色−語マッチングストループ試験では、介入により、不一致条件の成績が有意に向上したことから、α−GPCと運動の併用により、前頭葉の機能である「抑制機能」が改善した可能性が考えられた。また、記憶課題では、難易度が高いn=4以上では、介入の前後で比較すると、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」について成績で有意に向上したことから、α−GPCと運動の併用によりワーキングメモリーが改善した可能性が考えられた。
以上の通り、色−語マッチングストループ試験では、介入により、不一致条件の成績が有意に向上したことから、α−GPCと運動の併用により、前頭葉の機能である「抑制機能」が改善した可能性が考えられた。また、記憶課題では、難易度が高いn=4以上では、介入の前後で比較すると、提示されたのとは逆の順番に記憶する「逆順課題」について成績で有意に向上したことから、α−GPCと運動の併用によりワーキングメモリーが改善した可能性が考えられた。
[まとめ]
中高齢女性を対象としての実験1と実験2の結果を通じて、前頭葉の機能である「抑制機能」およびワーキングメモリーが改善している可能性が考えられた。
また、α−GPCを継続的に摂取すること、さらにはα−GPC摂取と運動とを組み合わせることで、ワーキングメモリーを十分に満足できるほどに維持・向上できることが示唆された。
中高齢女性を対象としての実験1と実験2の結果を通じて、前頭葉の機能である「抑制機能」およびワーキングメモリーが改善している可能性が考えられた。
また、α−GPCを継続的に摂取すること、さらにはα−GPC摂取と運動とを組み合わせることで、ワーキングメモリーを十分に満足できるほどに維持・向上できることが示唆された。
本発明により、優れたワーキングメモリー改善剤が提供される。本発明のワーキングメモリー改善剤は、中・高年者の認知機能の維持及び向上に貢献する。
Claims (4)
- sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有するワーキングメモリー改善剤。
- 身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)以上の身体活動と併用される、請求項1記載のワーキングメモリー改善剤。
- 当該身体活動の開始の1時間前から開始時の間に投与される、請求項2記載のワーキングメモリー改善剤。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のワーキングメモリー改善剤、及び身体活動強度で3〜6METs(メッツ)、且つ身体活動量で1EX(エクササイズ)の運動を実施するためのトレーニング器具又は設備を含む、ワーキングメモリー改善促進用キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013132027A JP2015007001A (ja) | 2013-06-24 | 2013-06-24 | ワーキングメモリー改善剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013132027A JP2015007001A (ja) | 2013-06-24 | 2013-06-24 | ワーキングメモリー改善剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015007001A true JP2015007001A (ja) | 2015-01-15 |
Family
ID=52337612
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013132027A Pending JP2015007001A (ja) | 2013-06-24 | 2013-06-24 | ワーキングメモリー改善剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015007001A (ja) |
-
2013
- 2013-06-24 JP JP2013132027A patent/JP2015007001A/ja active Pending
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