JP6478307B2 - ミトコンドリア活性化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、カルノシンおよび/またはアンセリンを有効成分とする剤に関する。本発明の剤は、ミトコンドリア活性化およびミトコンドリアの活性化に関連した生体機能の維持・向上のために用いることができる。本発明は、一般食品、健康食品、化粧品、医薬品、健康、スポーツおよび医療に関連する分野で有用である。
骨格筋は収縮速度が遅い遅筋(Slow-twitch, ST)繊維と、収縮速度が速い速筋(Fast-twitch, FT)繊維とに大別される。持久力が必要とされる長距離走等のスポーツ種目のアスリートの筋繊維組成においてはST繊維の占める割合が高く、瞬発力が求められるスポーツ種目のアスリートでは速筋の占める割合が高いことが知られている。ST繊維では、酸化系酵素(ミトコンドリア内のTCA回路や電子伝達系を担う酵素であり、糖質等の代謝物からATPを合成する反応を触媒する酵素)の活性が非常に高い。またST繊維は、酸素を多く消費してATPを作り出すために、ミオグロビン含量が多く、赤く見える。
一方、カルノシンは、β-アラニンとヒスチジンからなるジペプチドであり、鶏肉等に含まれることが知られている。カルノシンについては、β-アラニンとメチル化ヒスチジンのジペプチドであるアンセリンと共に、皮膚代謝促進(特許文献1)、ストレス緩和(特許文献2)、ならびに学習機能向上および抗不安(特許文献3)作用について検討されてきた。
スポーツとの関連では、カルノシンについて、骨格筋での代謝やβ-アラニンの補給との関連、無酸素運動における利用が報告されており(非特許文献1および2、特許文献4および5)、カルノシンおよびアンセリンを含有する鶏肉加工品について、ラットにおける運動による過酸化脂質発生の抑制効果および筋障害の抑制効果、ならびにマウスにおける遊泳疲労回復効果、および無酸素運動に近い強度の運動負荷を与える条件下での遊泳持久力向上効果が検討されてきた(特許文献6、非特許文献3および4)。さらに、カルノシンおよび/またはアンセリンと、抗酸化素材等の運動能力向上素材とを組み合わせて含有する、運動機能向上性食品も提案されてきた(特許文献7)。アンセリンについては抗疲労剤の有効成分として用いる検討もされている(特許文献8および9)。
特開2000-201649公報 特開2007-70316公報 特開2000-116987公報 USP6,680,294公報 USP8,129,422公報 特開2002-51730公報 WO2006/123436公報 特開2002-173442公報(特許第4873778号) WO2004/032652公報(特許第4484058号)
Sports Med, 40(3), 247-263, 2010 Nutrients, 4, 585-601, 2012 日本栄養・食糧学会誌, 55(2), 73-78, 2002 日本栄養・食糧学会誌, 55(4), 209-214, 2002
食品は、エネルギー源および必須栄養素源であること(栄養性)に加えて、食べる楽しさを与え(嗜好性)、健康的な生活に貢献する(機能性)ものでもある。食品または食品由来の機能性成分を含む製品は、健康や美容に役立つことが期待され、健康食品等として広く一般に受け入れられてきている。食経験のある生物資源の利用は、安全・安心の観点からも好ましいと考えられる。
本発明者らは、生物資源を活用して、健康に役立つ食品・素材の研究開発に取り組んできた。その中で、今般、カルノシンにミトコンドリア活性化作用があることを見出し、本
発明を完成した。
本発明は以下を提供する。
[1]カルノシンおよび/またはアンセリンを有効成分として含有する、ミトコンドリア活性化剤。
[2]カルノシンおよび/またはアンセリンを有効成分とする、ミトコンドリアの活性化に関連する疾患または状態の処置のための剤。
[3]遅筋の増強のためのものである、[2]に記載の剤。
[4]持久力増強のためのものである、[2]または[3]に記載の剤。
[5]100 mg/day以上のカルノシンおよび/またはアンセリンを摂取させるための、[1]〜[4]のいずれか一に記載の剤。
[6]1,000 mg/100 g以上のカルノシンおよび/またはアンセリンを含有する、または200 mg/day以上のカルノシンおよび/またはアンセリンを含有する、ミトコンドリアの活性化が望ましい対象に摂取させるための、栄養組成物。
[7]散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液状製剤、ゲル状製剤、飲料、菓子、食肉加工品、魚介加工品、野菜加工品、惣菜、調味料組成物、食品添加物の形態である、[6]に記載の栄養組成物。
[8]カルノシンおよび/またはアンセリンを、有酸素運動における能力の増強または遅筋増強が望ましい対象に摂取させる工程を含む、遅筋増強のための運動トレーニング方法。
[9]カルノシンおよび/またはアンセリンを、有酸素運動における能力の増強または遅筋増強が望ましい対象に摂取させる工程を含む、遅筋増強のための食餌方法。
Caco-2細胞内に存在するミトコンドリアの数(3連)。WellC-10, 11 12はそれぞれ3連の結果を示す。縦軸は1細胞当たりのミトコンドリアの数を示す。 ミトコンドリアの総面積(3連)。WellC-10, 11 12はそれぞれ3連の結果を示す。縦軸は1細胞当たりのミトコンドリアの総面積を示す。 一細胞あたりのミトコンドリアの数およびその総面積(3連)。ドットは一つ一つの細胞に対応しており、灰色のドットはミトコンドリアの数と総面積がある一定の閾値を越えている細胞を表す。縦軸:ミトコンドリアの数。横軸:ミトコンドリアの総面積。 図3の結果を平均化した円グラフ(3連)。灰色の部分はミトコンドリアの数と総面積がある一定の閾値以上になった細胞の割合。
〔有効成分〕
本発明は、カルノシンまたはアンセリンを有効成分とする剤に関する。
カルノシンはβ-アラニンとヒスチジンからなるジペプチドである。構成するヒスチジンの立体構造により、カルノシンにはL体とD体とが存在する。本発明およびその説明において、単に「カルノシン」というときは、特に記載した場合を除き、L-カルノシン、D-カルノシンまたはそれらの混合物を指す。L-カルノシンはヒトなどの哺乳類では、筋肉や神経組織に比較的高い濃度で存在していることが知られている。
L-カルノシン(L-carnosine、IUPAC名:(2S)-2-[(3-Amino-1-oxopropyl)amino]-3-(3H-imidazol-4-yl)propanoic acid)の構造を下記に示す。
一部の動物では、β-アラニンとメチル化ヒスチジンとからなるL-アンセリンが多く見られる。本発明およびその説明において、単に「アンセリン」というときは、特に記載した場合を除き、L-アンセリン、D-アンセリンまたはそれらの混合物を指す。L-アンセリン(L-anserine、IUPAC名:(2S)-2-[(3-amino-1-oxopropyl)amino]-3-(3-methyl-4-imidazolyl)propanoic acid)の構造を下記に示す。
カルノシンとアンセリンは、いずれも水溶性である(カルノシン 1g/3.1ml at 25℃)。
本発明で「カルノシンおよび/またはアンセリン」というときは、特に記載した場合を除き、カルノシンとアンセリンのうち、少なくともいずれか一方を指す意図である。例えば、「カルノシンおよび/またはアンセリンを有効成分として含む」というときは、カルノシンを有効成分とし、アンセリンを含まない場合と、アンセリンを有効成分とし、カルノシンを含まない場合と、カルノシンおよびアンセリンを有効成分とする場合との、いずれかである。また、「カルノシンおよび/またはアンセリン」に関し、量または濃度をいう場合は、特に記載した場合を除き、カルノシンとアンセリンの双方が存在する場合はカルノシンとアンセリンとを合計した量または濃度をいう。
本発明においては、有効成分であるカルノシンおよび/またはアンセリンとして、合成物、単離されたもの、精製されたものを用いることができ、また鶏肉のようなカルノシンおよび/またはアンセリンが比較的多く含まれる食品や天然物の、抽出物、濃縮物、粗精製物等を用いることができる。
〔用途、機能〕
本発明の剤は、ミトコンドリアの活性化のために用いることができる。本発明でミトコンドリアの活性化というときは、特に記載した場合を除き、細胞当たりのミトコンドリアの数および面積のうち、少なくとも一方が増すことをいう。ミトコンドリアの活性化は、ミトコンドリアの生合成の促進と言い換えることもできる。
ミトコンドリアの活性化作用の有無および程度は、本明細書の実施例の項に示したように、培養細胞を用い、生細胞中のミトコンドリアが識別可能となるように染色して評価することができる。培養細胞としては、各種の動物由来の、各種の組織に由来する種々のものを用いることができるが、例えば、有効成分の経口摂取による効果を確認するという観点からは腸管由来の細胞を用いることが好ましい。また持久力において重要な筋繊維における効果を確認するとの観点からは、筋組織由来の細胞を用いることが好ましい。本発明の剤がミトコンドリアの活性化のために有効であることは、有効成分を供試した系におけるミトコンドリア生合成に関わる遺伝子PGC1αに対する効果、ミトコンドリアDNA量の増強効果等によっても確認することができる。
筋組織由来の細胞でも効果が期待できるとの観点からは、本発明の剤はまた、加齢に伴う筋萎縮の処置のために、またサルコペニアの処置のために有用であろう。
本発明の剤は、有酸素運動における能力の増強のために用いることができる。ミトコンドリアは、細胞中では主に酸素を使ってエネルギーを生産する役割を担っている。有酸素性のエネルギー代謝はこのミトコンドリアで行われる。すなわち、有酸素運動の能力はミトコンドリアを活性化することで高めることができる。有酸素運動には、ランニング、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、クロスカントリースキー、エアロビクスダンス、STEPエクササイズ、水泳、アクアビクスが含まれる。
またミトコンドリアの活性化は、持久力トレーニングと同様の効果があると考えられるから、本発明の剤は、有酸素運動における持久力の増強に役立ち、また有酸素運動における持久力が必要とされる競技、例えば長距離走、競泳、競歩、トライアスロン、ロードレース、サッカーにおける能力の増強のために用いることができる。なお、有酸素運動とは、有酸素系(酸化系)、すなわちミトコンドリア内のTCA回路とそれに続く電子伝達系により、酸素を用いてATPを生産する系から供給されたATPを主に利用して行う運動をいい、ATP-CP系や乳酸系といった無酸素系から産生されたATPを主に利用して行う無酸素運動に対する概念である。持久力とは、ある一定強度の運動を長時間持続する能力であり、局所的な筋肉の運動を長時間持続する能力である筋持久力と、全身運動を長く続けられる能力である全身持久力とが含まれる。
本発明の剤が有酸素運動における持久力を増強する効果を有することは、当業者であれば、有酸素運動における持久力を評価するための各種の試験により、または類似の目的で使用されている既存の試験を適宜改変したものにより、評価することができる。参考になる試験として、例えば、雄のマウス(体重約30g)を流水プールにて、50%VO2maxの負荷に相当する流速で疲労困ぱいにおちいるまで遊泳させ、その遊泳時間を持久力の指標とする試験、前掲特許文献6および7、ならびにFOOD Style 21, 11(4), 46-48, 2007等に記載されている試験が挙げられる。
本発明の剤はまた、ミトコンドリアの活性化が関連する疾患または状態(病的な状態と、病的ではない状態、例えば、健常人における身体活動・運動に伴う状態とを含む。)の処置のために用いることができる。ミトコンドリアは、近年の研究により、メタボリックシンドロームと強く関連する糖尿病および循環器疾患、認知症およびパーキンソン病に代表される神経変性疾患、がんの発症と進行に関与していることが分かってきている。したがって、本発明の剤は、より具体的にはこれらの疾患または状態の処置のために、用いることができる。
本発明で疾患または状態について「処置」というときは、発症リスクの低減、発症の遅延、予防、治療、進行の停止、遅延を含む。処置には、医師が行う、病気の治療を目的とした医療行為と、医師以外の者、例えば栄養士(管理栄養士、スポーツ栄養士を含む。)、スポーツ指導員、プロスポーツ選手(アスリート)、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、美容部員、エステティシャン、食品製造者、食品販売者等が行う、非医療的行為とが含まれる。また処置には、特定の食品の投与または摂取の推奨、食餌方法指導、保健指導、栄養指導(傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、および健康の保持増進のための栄養の指導を含む。)、給食管理、給食に関する栄養改善上必要な指導を含む。本発明における処置の対象は、ヒト(個体)を含み、好ましくは、上述したいずれかの処置を施すことが望ましいか、または上述したいずれかの処置を施す必要のあるヒトである。
本発明による、有効成分であるカルノシンおよび/またはアンセリンの摂取量は、当業者であれば、摂取する対象の、年齢、体重、性別、適用される疾患または状態等に応じ、適宜設計することができる。有効成分であるカルノシンおよび/またはアンセリンの摂取量は、例えば、50 mg/dayとすることができ、100 mg/dayとすることが好ましく、200 mg/day以上とすることがより好ましく、500 mg/day以上とすることがさらに好ましい。また、1,000 mg/day以上としてもよく、2,000 mg/day以上としてもよく、5,000 mg/day以上としてもよく、7,500 mg/day以上としてもよい。いずれの場合であっても、10,000 mg/day以下とすることができる。また下限値が500mg以下であるいずれの場合であっても、5,000 mg/day以下とすることができ、3,000 mg/day以下とすることが好ましく、2,000 mg/day以下とすることがよりに好ましく、1,000 mg/day以下とすることがさらに好ましい。有効成分であるカルノシンおよび/またはアンセリンとして、上記の一日当たりの摂取量を一度に摂取してもよいし、複数回に分けて摂取してもよい。
〔剤〕
本発明で「剤」というときは、特に記載した場合を除き、有効成分そのものである場合と、有効成分とそれ以外の成分とを含む場合とがあるが、カルノシンおよび/またはアンセリンを含有する既存の食品、例えば鶏肉自体は含まない。
本発明の剤には、目的の効果を発揮しうる限り、有効成分以外の他の成分を配合することができる。他の成分は、食品として許容される種々の添加剤、または医薬として許容される種々の添加剤であり得る。この例には、賦形剤、酸化防止剤抗(酸化剤)、香料、調味料、甘味料、着色料、増粘安定剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料等、酵素、光沢剤、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、結合剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、凝固剤等である。
他の成分は、有効成分以外の機能性成分であってもよい。他の機能性成分に例としては、アミノ酸類(例えば、分岐鎖アミノ酸類、オルニチン)、不飽和脂肪酸類(例えば、EPA、DHA)、ビタミン類、微量金属類、グルコサミン、コンドロイチン類等が挙げられる。
本発明の剤が有効成分と有効成分以外の他の成分からなる場合、有効成分の含有量は、当業者であれば、製造し易さ、用い易さ等の点から適宜設計でき、例えば、0.1〜99.9%とすることができ、また1〜95%とすることができ、また10〜90%とすることができ、さらに51〜90%以上とすることができる。また、カルノシンとして21%以上とすることができ、アンセリンとして31%以上とすることができる。
本発明の剤の形態は、上述したように、既存の食品を除き、種々の形態であり得る。例えば、経口医薬品または栄養組成物であり得る。また、本発明の剤は、経口医薬品または栄養組成物に添加して用いることができる。本発明で「栄養組成物」というときは、特に記載した場合を除き、固形物のみならず、液状のもの、例えば飲料を含む。また、本発明で「栄養組成物」というときは、特に記載した場合を除き、健康食品、サプリメント、保健機能食品(栄養機能食品および特定保健用食品を含む。)を含み、また治療食(治療の目的を果たすもの。医師が食事箋を出し、それに従い栄養士等が作成した献立に基づいて調理されたもの。)、食事療法食、成分調整食、減塩食、介護食、減カロリー食、およびダイエット食、並びにそれらのための素材を含む。
本発明の剤、経口医薬品または栄養組成物の形態の例として、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液状製剤(エリキシル剤、リモナーデ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、ドリンク剤を含む。)、ゲル状製剤、治療食、飲料、菓子、食肉加工品、魚介加工品、野菜加工品、惣菜、調味料組成物、食品添加物を挙げることができる。
本発明の剤、経口医薬品または栄養組成物における、有効成分であるカルノシンおよび/またはアンセリンの量は、当業者であれば適宜設計できるが、例えば1,000 mg/100 g以上とすることができ、1,500 mg/100 g以上とすることが好ましく、2,000 mg/100 g以上とすることがより好ましく、2,500 mg/100 g以上とすることがより好ましく、3,000 mg/100 g以上とすることがより好ましく、3,500 mg/100 g以上とすることがさらに好ましい。いずれの場合であっても、50,000 mg/100 g以下とすることができ、40,000 mg/100 g以下とすることが好ましく、30,000mg/100 g以下とすることがより好ましく、20,000 mg/100 g以下とすることがさらに好ましい。
本発明の剤、経口医薬品または栄養組成物を治療食(治療の目的を果たすもの。医師が食事箋を出し、それに従い栄養士等が作成した献立に基づいて調理されたもの。)、食事療法食、成分調整食、減塩食、介護食、減カロリー食、ダイエット食、またはスポーツ食(有酸素運動における能力増強を目的とした食、有酸素運動における持久力の増強を目的とした食、競技当日までの栄養を身体に蓄積するための食、競技中に栄養補給するための食、および競技終了後の疲労を回復を目的とする食が含まれる。)とする場合、有効成分の含量は、一食としての摂取量を勘案して設計することができる。
本発明の剤、経口医薬品または栄養組成物は、繰り返し対象に摂取させることができ、また長期間にわたり、対象に摂取させることができる。特に、運動に関する能力の増強を目的とする場合は、運動の前に摂取させることが好ましく、また日常的に摂取させることが好ましいであろう。
本発明の剤、経口医薬品または栄養組成物には、ミトコンドリアの活性化のために用いることができる旨を表示することができ、また特定の対象に対して摂取を薦める旨を表示することができる。より具体的には、ミトコンドリアの活性化が望ましい対象に適している旨、アスリートに適している旨、ミトコンドリアの活性化に関連した疾患または状態の処置(例えば、メタボリックシンドロームと強く関連する糖尿病および循環器疾患、認知症およびパーキンソン病に代表される神経変性疾患、がんの処理)、有酸素運動における能力増強、有酸素運動における持久力の増強等に資する旨を表示することができる。表示は、直接的にまたは間接的にすることができ、直接的な表示の例は、製品自体、パッケージ、容器、ラベル、タグ等の有体物への記載であり、間接的な表示の例は、ウェブサイト、店頭、展示会、看板、掲示板、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、郵送物、電子メール等の場所または手段による、広告・宣伝活動を含む。
〔製造方法〕
本発明の剤、経口医薬品または栄養組成物は、種々の公知の技術を用いて製造することができる。有効成分を所定の濃度になるように調整する工程は、製造工程の種々の段階で適用できる。当業者であれば、有効成分の溶解性、安定性、揮発性等を考慮して、本発明の剤のための製造工程を、適宜設計しうる。本発明者の検討によると、アンセリンおよびカルノシンは、常温では十分に安定であり、また180℃以下の調理条件であれば十分に安定であることが確認されている。さらに、溶液状態で少なくとも2年9月は安定に保存できることが確認されている。
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の範囲は実施例に記載したものに限られない。
〔L-カルノシンのミトコンドリア活性化効果の評価〕
(1)方法
腸管のモデル細胞として、ヒト結腸ガン由来細胞株Caco-2(東京大学食糧化学研究室より供与)を用いた。添加する食肉成分としてL-カルノシン(Wako)を、ポジティブコントロールとしてレスベラトロール(シグマ)を用いた。Caco-2細胞を96ウェルブラックプレート(greiner bio-one)に2.5×103 cells/wellとなるよう播種し、10%非働化FBS含有DMEM培地(日本製薬、東京)を用いて37℃、5%CO2存在下にて培養を行った。翌日からL-カルノシンを終濃度が100 μM、1 mM、10 mMとなるよう添加し、コントロールとして1×PBSを1 μL/well、ポジティブコントロールとしてレスベラトロールを終濃度10 μMとなるよう3日間にわたり添加した。翌日MitoTracker(登録商標) Red CMXRos(Invitrogen)を、37℃で保温したDMEM培地で終濃度250 nMとなるよう調整した培地に交換し、37℃、5% CO2存在下で30分間インキュベートした。培地を吸引除去した後、DMEM培地で500倍希釈した2 μM Hoechst 33342(DOJINDO)を100 μL/well添加し、遮光下・室温で30分間放置した。溶液を吸引除去後、1×PBSを150 μL/well添加した状態でIN Cell Analyzer 1000(GE Healthcare)に供し、ミトコンドリアの検出・定量を行った。
(2)結果
カルノシンを添加したCaco-2細胞内に存在するミトコンドリアの数およびその総面積をそれぞれ図1、2に示した。図1より、カルノシンによってミトコンドリアの数が増加しており、その傾向は添加した濃度が大きくなるほど顕著になることが明らかとなった。また図2より、カルノシンはミトコンドリアの数に加えてその面積をも増加させる効果を有することが示唆された。図3、4の結果からは、カルノシンによってミトコンドリアの数および面積がともに増大する細胞の数とその割合が多くなる傾向が認められた。以上のことから、カルノシンはCaco-2細胞において、ミトコンドリアの生合成を促進する働きを有することが明らかとなった。
〔製造例〕
(1)カプセル剤
カルノシン1.0重量部、プラセンタエキス(粉末)0.2重量部および乳糖1.3重量部を混合して均一化した後、常法に準じてハードカプセルに充填し、内容量250 mgのカプセル剤(カルノシン100 mg/カプセル)を製造した。
(2)錠剤
マルトース、デキストリン、デンプン、ビタミンE含有直物油、イソマルトオリゴ糖、難消化性デキストリン、貝カルシウム、トレハロース、ショ糖エステル、ビタミンC、クエン酸、リン酸カルシウム、香料、シェラック、ナイアシン、ビタミンK、甘味料、塩化カリウム、ビタミンA、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ピロリン酸鉄、ビタミンB類、ビタミンD、炭酸マグネシウム、葉酸とともに、1錠(300 mg)当たりカルノシン・アンセリン混合物60 mgを含む錠剤を製造した。
(3)スポーツ用飲料
甘味料、ビタミン類、アイソトニックミックス等を合計20重量部、クエン酸0.2g、フレーバー0.1g、カルノシン・アンセリン混合物1重量部に、水を加えて全量を100重量部とし、常法により飲料を調製し、500ml入りの容器詰飲料とした。
(4)ゲル状製剤
グラニュー糖8重量部、増粘多糖類を6重量部をあらかじめ混合し、ゼラチン加水分解物2重量部と適量の水を加え、加熱溶解した。あら熱を除去した後、アイソトニックミックス10重量部、フレーバー0.1g、カルノシン・アンセリン混合物2重量部、ビタミンミックス0.09重量部、クエン酸0.3重量部を加え、全量を100重量部とし、常法により一食150gのゲル状製剤を製造した。

Claims (8)

  1. カルノシンおよび/またはアンセリンを有効成分として含有する、ミトコンドリアの数および面積のうち、少なくとも一方を増加させるための剤、経口医薬品または栄養組成物。
  2. 100 mg/day以上のカルノシンおよび/またはアンセリンを摂取させるための、請求項1に記載の剤、経口医薬品または栄養組成物。
  3. 剤、経口医薬品または栄養組成物 100 gあたり1,000 mgのカルノシンおよび/またはアンセリンを含有する、または200 mg/day以上のカルノシンおよび/またはアンセリンを含有する、請求項1または2に記載の剤、経口医薬品または栄養組成物。
  4. 散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液状製剤、ゲル状製剤、飲料、菓子、食肉加工品、魚介加工品、野菜加工品、惣菜、調味料組成物、食品添加物の形態である、請求項3に記載の剤、経口医薬品または栄養組成物。
  5. カルノシンおよび/またはアンセリンを、対象に摂取させ、ミトコンドリアの数および面積のうち、少なくとも一方を増加させる工程を含む、運動トレーニング方法(医療行為を除く。)。
  6. カルノシンおよび/またはアンセリンを、対象に摂取させ、ミトコンドリアの数および面積のうち、少なくとも一方を増加させる工程を含む、食餌方法(医療行為を除く。)。
  7. さらにレスベラトロールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤、経口医薬品または栄養組成物。
  8. さらにレスベラトロールを摂取させるものである、請求項5または6に記載の方法。
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