JP2015006791A - サーマルヘッドおよびこれを備えるサーマルプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐摩耗性の向上したサーマルヘッドおよびこれを備えるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】 サーマルヘッドX1は、基板7と、基板7上に設けられた電極17,19と、基板7上に設けられ、電極17,19に接続された発熱部9と、電極17,19上および発熱部9上に設けられた保護層25と、を備え、保護層25は、珪素窒化物または珪素酸窒化物を含む第1層25aと、第1層25a上に設けられ、タンタル酸化物および珪素炭化物を含む第2層25bとを有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、サーマルヘッドおよびこれを備えるサーマルプリンタに関する。
従来、ファクシミリあるいはビデオプリンタ等の印画デバイスとして、種々のサーマルヘッドが提案されている。例えば、基板と、基板上に設けられた電極と、基板上に設けられ、電極に接続された発熱部と、電極上および発熱部上に設けられた保護層とを備えるサーマルヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、電極上および発熱部上にSiOからなる第1層が設けられ、かつ第1層上にTaからなる第2層が設けられた保護層が記載されている。
特開昭58−72477号公報
しかしながら、特許文献1に記載のサーマルヘッドでは、保護層の滑り性は良いものの、耐摩耗性が低い。
本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドは、基板と、該基板上に設けられた電極と、前記基板上に設けられ、前記電極に接続された発熱部と、前記電極上および前記発熱部上に設けられた保護層とを備えている。また、該保護層は、珪素窒化物または珪素酸窒化物を含む第1層と、該第1層上に設けられ、タンタル酸化物および珪素炭化物を含む第2層とを有する。
本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタは、上記に記載のサーマルヘッドと、前記発熱部上に記録媒体を搬送する搬送機構と、前記発熱部上に前記記録媒体を押圧するプラテンローラと、を備える。
本発明によれば、滑り性および耐摩耗性の向上した保護層を提供することができる。
本発明のサーマルヘッドの一実施形態を示す平面図である。 図1のサーマルヘッドのI−I線断面図である。 図2に示す領域Qの拡大図である。 本発明のサーマルプリンタの一実施形態の概略構成を示す図である。 図2に示す領域Qにおいて、本発明のサーマルヘッドの他の実施形態を示す拡大図である。 図2に示す領域Qにおいて、本発明のサーマルヘッドのさらに他の実施形態を示す拡大図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明のサーマルヘッドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図
1,2に示すように、本実施形態のサーマルヘッドX1は、放熱体1と、放熱体1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続されたフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)とを備えている。なお、図1では、FPC5の図示を省略し、FPC5が配置される領域を一点鎖線で示す。
放熱体1は、板状に形成されており、平面視で長方形状を有している。放熱体1は、例えば、銅、鉄またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱する機能を有している。また、放熱体1の上面には、両面テープあるいは接着剤等(不図示)によってヘッド基体3が接着されている。
ヘッド基体3は、平面視で長方形状の基板7と、基板7上に設けられ、基板7の長手方向に沿って配列された複数の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7上に並べて配置された複数の駆動IC11とを備えている。
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
基板7の上面には、蓄熱層13が形成されている。蓄熱層13は、下地部13aと隆起部13bとを有している。下地部13aは基板7の上面全体に形成されている。隆起部13bは複数の発熱部9の配列方向に沿って帯状に延び、断面が略半楕円形状をなしており、印画する記録媒体を後述する保護層25に良好に押し当てるように機能する。
また、蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めるように機能する。蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の上面に塗布し、焼成することで形成される。
図2に示すように、蓄熱層13の上面には、電気抵抗層15が設けられている。電気抵抗層15は、蓄熱層13と、後述する共通電極17、個別電極19および接続電極21との間に介在している。図1に示すように、電気抵抗層15は、平面視して、これらの共通電極17、個別電極19および接続電極21と同形状の領域(以下、介在領域という)と、共通電極17と個別電極19との間から露出した複数の領域(以下、露出領域という)とを有している。なお、図1では、電気抵抗層15の介在領域は、共通電極17、個別電極19および接続電極21で隠れている。
電気抵抗層15の各露出領域は、上記の発熱部9を形成している。そして、複数の露出領域が、図1に示すように、蓄熱層13の隆起部13b上に列状に配置されて発熱部9を構成している。複数の発熱部9は、説明の便宜上、図1においては簡略化して記載しているが、例えば、100dpi〜2400dpi(dots per inch)の密度で配置されてい
る。
電気抵抗層15は、例えば、タンタル窒化物系(TaN系)、タンタル珪素酸化物系(TaSiO系)、タンタル珪素酸窒化物系(TaSiNO系)、チタン珪素酸化物系(TiSiO系)、チタン珪素炭酸化物系(TiSiCO系)またはニオブ珪素酸化物系(NbSiO系)等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極17と個別電極19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1,2に示すように、電気抵抗層15の上面には、共通電極17、複数の個別電極19および複数の接続電極21が設けられている。これらの共通電極17、個別電極19および接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
共通電極17は、複数の発熱部9とFPC5とを接続している。図1に示すように、共通電極17は、主配線部17aと副配線部17bとリード部17cとを有している。主配線部17aは、基板7の一方の長辺に沿って延びている。副配線部17bは、基板7の一方の短辺および他方の短辺のそれぞれに沿って延び、一端部が主配線部17aに接続され、他端部がFPC5に接続されている。リード部17cは、主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延び、先端部が各発熱部9に接続されている。そして、共通電極17は、副配線部17bの他端部がFPC5に接続されることにより、FPC5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
複数の個別電極19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続している。図1,2に示すように、各個別電極19は、一端部が発熱部9に接続され、他端部が駆動IC11の配置領域に配置されるように、各発熱部9から駆動IC11の配置領域に向かって個別に帯状に延びている。そして、各個別電極19の他端部が駆動IC11に接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数の接続電極21は、駆動IC11とFPC5とを接続するためのものである。図1,2に示すように、各接続電極21は、一端部が駆動IC11の配置領域に配置され、他端部が基板7の他方の長辺の近傍に配置されるように、帯状に延びている。そして、複数の接続電極21は、一端部が駆動IC11に接続されるとともに、他端部がFPC5に接続されることにより、駆動IC11とFPC5との間を電気的に接続している。なお、各駆動IC11に接続された複数の接続電極21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。
駆動IC11は、図1,2に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極19の他端部と接続電極21の一端部とに接続されている。駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有している。
各駆動IC11は、各駆動IC11に接続された各個別電極19に対応するように、内部に複数のスイッチング素子(不図示)が設けられている。そして、図2に示すように、各駆動IC11は、各スイッチング素子に接続された一方の接続端子11aが個別電極19に接続されており、各スイッチング素子に接続された他方の接続端子11bが接続電極21の上記のグランド電極配線に接続されている。
上記の電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19および接続電極21は、例えば、各々を構成する材料層を蓄熱層13上に、例えばスパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、共通電極17、個別電極19および接続電極21は、同じ工程によって同時に形成することができる。
図1〜3に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆する保護層25が形成されている。なお、図1では、説明の便宜上、保護層25の形成領域を一点鎖線で示し、これらの図示を省
略している。図示例では、保護層25は、蓄熱層13の上面の左側の領域を覆うように設けられている。これにより、発熱部9、共通電極17の主配線部17a、副配線部17bの一部、リード部17cおよび個別電極19上に、保護層25が形成されている。
保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食あるいは、印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。
より詳細には、保護層25は、図3に示すように、発熱部9、共通電極17および個別電極19上に設けられた第1層25aと、第1層25a上に設けられた第2層25bとを備えている。
図1,2に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、共通電極17、個別電極19および接続電極21を部分的に被覆する被覆層27が設けられている。なお、図1では、説明の便宜上、被覆層27の形成領域を一点鎖線で示し、これらの図示を省略している。
被覆層27は、蓄熱層13の上面の保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。被覆層27は、共通電極17、個別電極19および接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。なお、被覆層27は、共通電極17および個別電極19の保護をより確実にするため、図2に示すように保護層25の端部に重なるようにして形成されている。
被覆層27は、例えば、エポキシ樹脂、あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、被覆層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図1,2に示すように、後述するFPC5を接続する共通電極17の副配線部17bおよび接続電極21の端部は、被覆層27から露出しており、FPC5が接続されるようになっている。
また、被覆層27は、駆動IC11を接続する個別電極19および接続電極21の端部を露出させるための開口部(不図示)が形成されており、開口部を介してこれらの配線が駆動IC11に接続されている。また、駆動IC11は、個別電極19および接続電極21に接続された状態で、駆動IC11自体の保護、および駆動IC11とこれらの配線との接続部の保護のため、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材29によって被覆されることで封止されている。
FPC5は、図1,2に示すように、基板7の長手方向に沿って延びており、上記のように共通電極17の副配線部17bおよび各接続電極21に接続されている。FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に複数のプリント配線5bが配線された周知のものであり、各プリント配線がコネクタ31を介して外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されている。
図1,2に示すように、FPC5は、ヘッド基体3側の端部において、プリント配線5bが、導電性接合材料である半田材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方性導電フィルム(ACF)等からなる接合材32(図2参照)によって、共通電極17の副配線部17bの端部、および各接続電極21の端部に接続されている。
FPC5と放熱体1との間には、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂またはガラスエポキシ樹脂等の樹脂からなる補強板33が設けられている。補強板33は、FPC5の下面に両面テープあるいは接着剤等(不図示)によって接着されることにより、FPC5を補強するように機能している。また、補強板33が放熱体1の上面に両面テープあるいは接着剤等(不図示)によって接着されることにより、FPC5が放熱体1上に固定されている。
図3を用いて保護層25について詳細に説明する。保護層25は、第1層25aと、第1層25a上に設けられた第2層25bとにより構成されている。
第1層25aは、珪素窒化物(以下、SiNと称する場合がある)または珪素酸窒化物(以下、SiONと称する場合がある)を含み、電気絶縁性を有する電気絶縁層である。第1層25aは、図3に示すように、共通電極17および個別電極19の双方に接触しているが、電気絶縁性を有していることにより、共通電極17と個別電極19との短絡を防止している。
第1層25aは、SiNを主成分として形成する場合、例えば、Nを57原子%以上含有するSiNで形成することができる。そして、第1層25aの厚さは、例えば、0.5μm〜12μmとされている。なお、SiNを主成分とするとは、第1層25a中に含有されるSiおよびNの含有率をあわせて80原子%以上であることを示している。SiNとしては、化学式でSiとなるものを例示することができる。なお、SiNは非化学量論的組成を有するものであり、Siに限定されるものではない。
第1層25aは、SiNを主成分として形成されていることにより、第1層25aがOを含有しない構成となる。それにより、第1層25aに接する各種電極および発熱部9が酸化する可能性を低減することができる。
また、第1層25aは、SiONを主成分として形成することもできる。SiONは珪素酸窒化物であり、例えば、SiONを例示することができる。なお、SiONは非化学量論的組成を有するものであり、SiONに限定されるものではない。なお、第1層25aは、SiNまたはSiON以外に1〜5原子%のAl等の添加元素を含有していてもよい。
第1層25aは、SiONを主成分として形成されていることにより、SiONの硬度がSiNの硬度より低いため、第1層25aをバイアススパッタリングにより製膜することで緻密な層とすることができ、第1層25aの封止性を向上させることができる。
第2層25bは、第1層25a上に形成されており、発熱部9は、保護層25の第2層25bを介して記録媒体と接触する構成となっている。そのため、第2層25bは、第1層25aとの密着性が要求される。また、第2層25bは、記録媒体と接触するため耐摩耗性、硬度、および滑り性が要求される。
耐摩耗性は、保護層25の記録媒体と接触することにより生じる摩耗に対する強さを示すものであり、機械摩耗および熱化学摩耗に対する耐性である。機械摩耗は、記録媒体と保護層25との接触に起因する摩耗であり、熱化学摩耗は、保護層25の温度の上昇に伴って、保護層25がメディアと化学的に反応し、保護層25が溶解することに起因する摩耗である。
密着性は、保護層25を構成する第1層25aと第2層25bとの密着性であり、保護層25を構成する各層の密着性が低いと、保護層25を構成する各層が剥離してしまい、
保護層25の耐摩耗性が低くなる可能性がある。
硬度は、保護層25の機械的な硬さを示し、指標として、ビッカース硬度を例示することができる。
滑り性は、記録媒体およびインクリボンの搬送しやすさを示し、滑り性が悪いと記録媒体およびインクリボンにしわが生じてしまう可能性がある。
第2層25bは、タンタル酸化物(以下、TaOと称する場合がある)、および珪素炭化物(以下、SiCと称する場合がある)を含む層である。第2層25bは、TaOを17〜75体積%含有し、SiCを83〜25体積%含有することが好ましく、TaOを50〜75体積%含有し、SiCを25〜50体積%含有することがさらに好ましい。そして、第2層25bの厚さは、例えば、1μm〜10μmとされている。
TaOとしては、Taを例示することができる。なお、TaOは非化学量論的組成を有するものであり、Taに限定されるものではない。また、SiCとしては、化学式でSiCとなるものを例示することができる。なお、SiCは非化学量論的組成を有するものである。
なお、第2層25bは、TaOおよびSiC以外に他の金属元素を添加元素として含有していてもよい。添加元素としては、Ba、Ca、Cr、Mg、Mn、Mo、Nb、Sr、Ti、W、Y、Zn、Zrを例示することができる。
第2層25bは、TaOおよびSiCの混合層として設けられているため、第2層25bの機械摩耗に対する耐性を向上させることができ、保護層25の機械摩耗に対する耐性を向上させることができる。
さらに、SiCを83〜25体積%含有することから、保護層25の耐摩耗性および硬度を向上させることができるとともに、TaOを17〜75体積%含有することから、滑り性も確保することができる。
なお、記録媒体に合わせてTaOの含有量を増加させてもよい。例えば、滑りにくい記録媒体を用いる場合には、TaOの含有量を増加させることにより、第2層25bに含有されるTaの含有量を増加させることができ、第2層25bの滑り性を向上させることができる。なお、滑りにくい記録媒体とは、例えば、昇華型インクリボン等を例示することができ、記録媒体の保護層25と接する面の摩擦係数が高い記録媒体である。
さらに、本実施形態では、第2層25bを形成するTaOの有する次の特性によって、サーマルヘッドX1での印画時に、機械摩耗に対する耐性を有しつつ、紙等の記録媒体が第2層25bに引っ掛かりながら搬送される現象(いわゆるスティッキング)の発生を低減することができる。
つまり、スティッキングが発生する要因の一つとして、第2層上に紙粉等の異物が焦げ付くことで、焦げ付いた異物と記録媒体との間に大きな抵抗力が生じることが挙げられる。
これに対して、本実施形態のサーマルヘッドX1では、第2層25bがTaを含む材料層で形成されており、第2層25bの表面が適度に摩耗することに伴って、第2層25bの表面に焦げ付いた異物が、第2層25bから離脱することとなる。そのため、焦げ付いた異物に起因するスティッキングの発生を低減することができる。そして、第2層
25bは機械摩耗に対する耐性のあるSiCを含むことから、第2層25bの滑り性を向上させつつ、機械摩耗に対する耐性の向上した保護層25とすることができる。
これに加え、本実施形態のサーマルヘッドX1では、第2層25bが、純Taではなく、Ta酸化物であるTaOによって形成されている。これにより、第2層25bが純Taで形成されている場合に比べて、第2層25bが化学的に安定した層となっているため、熱化学摩耗に対する耐性を向上させることができる。したがって、本実施形態では、サーマルヘッドX1での印画時の耐摩耗性を向上させつつ、スティッキングの発生を低減することができる。
第2層25bは、Siを23〜45原子%、Oを4〜34原子%、Cを25〜48原子%、Taを2〜18原子%含有することが好ましい。第2層25bを構成する元素が上記範囲にあることにより、第2層25bの機械摩耗に対する耐性を向上することができる。また、第2層25bの滑り性を向上させることができる。
また、第2層25bは、第2層25bに含まれるタンタルの珪素に対する原子比が、0.05〜0.76原子%であることから、滑り性を有しつつ、機械摩耗に対する耐性の向上した保護層25とすることができる。
なお、第2層25bに含有されている各種元素の含有量は、例えばX線光電子分光法(XPS)解析にて確認することができる。例えば、第2層25bのXPS解析を複数個所にて行い、その平均値を算出して求めることができる。
上記の第1層25a、および第2層25bを有する保護層25は、例えば、次のように作製することができる。
まず、発熱部9、共通電極17および個別電極19上に第1層25aを形成する。具体的には、SiNを主成分とする焼結体をスパッタリングターゲットとしてスパッタリングを行い、SiNを含む第1層25aを形成する。なお、SiONを含む第1層25aを形成する場合には、SiONを主成分とする焼結体をスパッタリングターゲットとすればよい。また、SiNを主成分とする焼結体をスパッタリングターゲットとし、スパッタリングを行う際に酸素を供給して、SiONを含む第1層25aを形成してもよい。
次に、第1層25a上に第2層25bを形成する。具体的には、例えば、SiCの焼結体と、Taの焼結体とをスパッタリングターゲットとして、2つのスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行い、SiCおよびTaOを含む第2層25bを形成する。なお、第2層25bにおけるSiCおよびTaOの含有率は、例えば、スパッタリングターゲットに印加するRF電圧の値を変化させることにより、制御することができる。例えば、SiCのスパッタリングターゲットに印加するRF電圧の値を大きくすることで、第2層25b中SiCの含有率を高くすることができる。なお、SiCおよびTaOが所定の比率で混合された焼結体をスパッタリングターゲットとしてもよく、他の元素を添加物として添加したスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行ってもよい。
以上のようにして、第1層25aおよび第2層25bを備える保護層25を形成することができる。なお、各層を形成する際に行うスパッタリングは、例えば、公知の高周波スパッタリング法、ノンバイアススパッタリング法あるいはバイアススパッタリング法を適宜用いることができる。
なお、第2層25bが、TaOおよびSiCにより形成される例を示したがこれに限定
されるものではない。
例えば、第2層25bに含まれるSiCが、一部が窒化した珪素炭窒化物(以下、SiCNと称する場合がある)であってもよい。SiCNは、化学式でSiCNとなるものを例示することができ、非化学量論的組成を有するものである。
第2層25bが、TaOおよびSiCNにより形成されることにより、第2層25bの滑り性を有しつつ、さらに機械摩耗に対する耐性を向上させることができる。
すなわち、第2層25bに含まれるSiの結合は、Si−C結合に加えて、硬度の高いSi−N結合を一部有することとなる。そのため、第2層25bの硬度を向上させることができ、耐摩耗性を向上させることができる。
また、第2層25bに含まれるSiCNが、一部が酸化した珪素炭窒酸化物(以下、SiCNOと称する場合がある)であってもよい。SiCNOは、化学式でSiCNOとなるものを例示することができ、非化学量論的組成を有するものである。
第2層25bが、TaOおよびSiCNOにより形成されることにより、第2層25bの機械摩耗に対する耐性を有しつつ、さらに滑り性を向上させることができる。
すなわち、第2層25bに含まれるSiの結合は、Si−C結合に加えて、硬度の高いSi−N結合、および膜応力の小さいSi−O結合を一部有することとなる。そのため、Si−N結合により第2層25bの硬度を向上させるとともに、Si−O結合により第2層25bの内部に生じた内部応力を緩和することができる。それゆえ、第2層25bは、TaOにより滑り性を確保しつつ、Si−N結合により硬度を保ち、Si−O結合により、内部応力を緩和したものとなる。その結果、耐摩耗性、および滑り性の向上した第2層25bとすることができる。
これら例示した第2層25bは、TaOのスパッタリングターゲットと、SiCNまたはSiCNOのスパッタリングターゲットとを用いて、スパッタリングすることにより作製することができる。
なお、第1層25aを下層と上層とからなる2層構造としてもよい。例えば、保護層25が、基板7側から第1層25aの下層、第1層25aの上層、および第2層25bをこの順に積層されており、第1層25aの下層をノンバイアススパッタリングにより形成し、第1層25aの上層をバイアススパッタリングにより形成することにより、第1層25aのステップカバレッジを良好にすることができ、保護層25の封止性を向上させることができる。
次に、本発明のサーマルプリンタの一実施形態について、図4を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
図4に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX1、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60および制御装置70を備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZの筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、サーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向である主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、感熱紙、インクが転写される受像紙等の記録媒体Pを図4の矢印S方
向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上に位置する保護層25上に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pとしてインクが転写される受像紙等を用いる場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧するためのものであり、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドXの発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給するためのものである。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給するためのものである。
本実施形態のサーマルプリンタZは、図4に示すように、プラテンローラ50によって記録媒体をサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧しつつ、搬送機構40によって記録媒体Pを発熱部9上に搬送しながら、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることで、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
<第2の実施形態>
図5を用いて第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2について説明する。サーマルヘッドX2において、保護層25は、第1層25aと第2層25bとの間に、SiONを含む密着層25cを備えている。また、第1層25aはSiNにより形成されており、第2層25bはTaOおよびSiCにより形成されている。
密着層25cは、SiONにより形成されており、第1層25aと第2層25bとの密着性を高める機能を有している。密着層25cはSiONを主成分としており、Si、OおよびNをあわせて85原子%以上含有している。なお、Al等の添加元素を0.1〜5原子%含有していてもよい。
密着層25cは、SiONの焼結体をスパッタリングのターゲットとしてスパッタリングすることにより形成することができる。密着層25cの厚みは0.1〜0.5μmとすることができる。
サーマルヘッドX2において、保護層25は、第1層25aと第2層25bとの間に、SiONを含む密着層25cが介在している。そのため、密着層25cが、第1層25aと第2層25bとの間に介在しない場合に比べて、第1層25a上に位置する第2層25bの密着性を向上させることができ、第2層25bの剥離の発生を低減することができる。
それにより、本実施形態のように密着層25cが第1層25aと第2層25bとの間に介在する場合の方が、介在しない場合に比べて、第1層25aと第2層25bとの間の結合エネルギーを向上させることができるため、第1層25a上への第2層25bの密着性
を向上させることができる。その結果、第2層25bの剥離の発生を低減することができる。
上記の第1層25a、第2層25b、および密着層25cを有する保護層25は、例えば、次のように形成することができる。
まず、発熱部9、共通電極17および個別電極19上に第1層25aを形成する。次に、SiONを含む焼結体をスパッタリングターゲットとしてスパッタリングを行い、密着層25cを形成する。そして、密着層25c上に第2層25bを形成することによりサーマルヘッドX2を作製することができる。
また、第1層25aをSiONにより形成してもよい。その場合には、第1層25aと密着層25cとが、同一組成となるため、第1層25aと密着層25cとの密着性をさらに向上させることができる。この場合、SiONをスパッタリングターゲットとして、第1層25aの形成時においては、ノンバイアススパッタリングを行い、密着層25cの形成時においては、バイアススパッタリングを行うことにより、封止性が高い保護層25を作製することができる。
また、第2層25bをTaOとSiCNとにより形成してもよい。その場合、密着層25cに含まれるSiと、第2層25bに含まれるNとが結合することにより、密着層25cと第2層25bとの密着性を向上させることができる。
さらにまた、第2層25bをTaOとSiCNOとにより形成してもよい。その場合においても、密着層25cに含まれるSiと、第2層25bに含まれるNとが結合することにより、密着層25cと第2層25bとの密着性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
図6を用いてサーマルヘッドX3について説明する。サーマルヘッドX3は、蓄熱層13上に共通電極17および個別電極19を形成し、共通電極17と個別電極19との間の領域のみに電気抵抗層15を形成することにより、発熱部9を構成している。そして、保護層25は、共通電極17、個別電極19、および発熱部9上に設けられた第1層25aと、第1層25a上に設けられた密着層25cと、密着層25c上に設けられた第2層25bとを備えている。
サーマルヘッドX3は、第1層25aがSiNにより形成されており、密着層25cはSiCNにより形成されており、第2層25bがTaOおよびSiCにより形成されている。
密着層25cは、SiCNにより形成されており、第1層25aと第2層25bとの密着性を高める機能を有している。密着層25cはSiCNを主成分としており、Si、CおよびNをあわせて85原子%以上含有している。なお、Al等の添加元素を0.1〜5原子%含有していてもよい。
そのため、密着層25cが、第1層25aと第2層25bとをそれぞれ構成する各元素を含む構成となり、第1層25aおよび第2層25bと、密着層25cとの密着性を向上させることができる。
また、SiCNは、熱伝導率が0.05〜0.15W/m・Kと高く、それにより、発熱部13で発熱した熱を効率よく伝熱することができる。そのため、熱応答特性の向上したサーマルヘッドX3とすることができる。それにより、サーマルヘッドX3のドット再
現性を高めることができ、印字ムラの少ないサーマルヘッドX3とすることができる。
さらにまた、第2層25bをTaOおよびSiCNにより形成した場合、密着層25cを、SiCNにより形成することで、サーマルヘッドX1の印字する温度域において、密着層25cの熱膨張係数を、第2層25bの熱膨張係数に近づけることができる。
さらにまた、第2層25bをTaOおよびSiCNOにより形成した場合、密着層25cをSiCNOにより形成してもよい。その場合においても、密着層25cと第2層25bとの密着性を向上させることができる。
さらに、密着層25cに含まれたSiの結合は、Si−C結合に加えて、硬度の高いSi−N結合、および膜応力の小さいSi−O結合を一部有することとなる。そのため、第1層25aと第2層25bとにより生じた内部応力を密着層25cにより緩和することができる。その結果、密着層25cは、第1層25aと第2層25bとの密着性を向上するとともに応力緩和層として機能することとなる。
なお、第2層25bをTaOおよびSiCNにより形成した場合においても、密着層25cをSiCNOにより形成してもよい。それにより、第2層25bに含有される元素に、密着層25cに含有される元素を近づけることができ、密着力を向上させることができる。
また、密着層25cが、Si原子、C原子、N原子、およびO原子を含む構成としてもよい。密着層25cが上記原子を含有することにより、Si−C結合、Si−N結合、およびSi−O結合が、密着層25cの内部に形成されることとなり、第1層25aと第2層25bとの密着性を向上するとともに、第1層25aと第2層25bとの応力を緩和することができる。
さらに、密着層25cが、Si原子、C原子、N原子、およびO原子を含むことにより、Si−C結合、Si−N結合、およびSi−O結合が密着層25cの内部にランダムに混在する構成となる。
そのため、密着層25cのSi原子、C原子、N原子、およびO原子の含有率を調整することにより、密着層25cの特性を変更することができ、第1層25aおよび第2層25bの厚み、あるいは組成に合わせた密着層25cを設けることができる。
例えば、第1層25aをSiN、および第3層25bをSiCで形成した場合、密着層25aは、硬度の高い第1層25aおよび第2層25bに挟持される構造となるため、密着層25cは硬度の低いものを用いることが好ましく、密着層25cに含まれるO原子の含有率が、密着層25cに含まれるN原子の含有率よりも高くすることが好ましい。また、密着層25cに含まれるO原子の含有率が、密着層25cに含まれるC原子の含有率よりも高いことが好ましい。
それにより、比較的硬度の低いSi−O結合が、密着層25cの内部に混在することとなり、密着層25cに生じる応力を緩和することができる。なお、密着層25cに含まれる各原子の含有率は、例えば、密着層25cのXPS解析を複数個所にて行い、その平均値を算出して各種原子の原子比を算出することにより求めることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZを示したが、これに限
定されるものではなく、サーマルヘッドX2,X3をサーマルプリンタZに用いてもよい。また、複数の実施形態であるサーマルヘッドX1〜X3を組み合わせてもよい。
また、図1〜3に示すサーマルヘッドX1では、蓄熱層13に隆起部13bが形成され、隆起部13b上に電気抵抗層15が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13に隆起部13bを形成せず、電気抵抗層15の発熱部9を、蓄熱層13の下地部13b上に配置してもよい。また、蓄熱層13を形成せず、基板7上に電気抵抗層15を配置してもよい。
また、密着層25cが、タンタル窒化物(以下、TaNと称する場合がある)を主成分としてもよい。TaNは、Taを例示することができる。なお、TaNは非化学量論的組成を有するものであり、Taに限定されるものではない。
密着層25cをTaNにより形成した場合においても、第1層25a上に位置する第2層25bの密着性を向上させることができ、第2層25bの剥離の発生を低減することができる。特に、第1層25aをSiNにより形成し、第2層25bをTaOおよびSiCNにより形成した場合、密着層25cが第1層25aを構成する元素と第2層25bを構成する元素とを含有することとなり、密着性をさらに向上することができる。
なお、密着層25cをSiCおよびTaNを含む構成としてもよい。その場合においても同様の効果を奏することができる。
また、保護層25として、第1層25aおよび第2層25bの少なくとも2層構造を有する保護層25を例示したがこれに限定されるものではない。例えば、第1層25aおよび第2層25bを交互に繰り返し積層した複数層の積層構造としてもよい。この場合、保護層25を構成する第1層25aおよび第2層25bの厚みを薄くして、保護層25全体として5〜15μmとすることが好ましい。それにより、発熱部9に生じた熱を正確に記録媒体に伝熱することができる。
さらに、基板7上の各種電極を外部に引き出すためにFPC5を設けた例を示したが、硬質なリジット基板を用いてもよく、コネクタ31を基板7上の各種電極に直接電気的に接続して、外部に引き出してもよい。
さらにまた、発熱部9が、薄膜形成技術により形成された電気抵抗層15の一部である薄膜型のサーマルヘッドの例を示したが、これに限定されるものではない。発熱部9が、印刷等による厚膜形成技術により形成された電気抵抗層15の一部である厚膜型のサーマルヘッドでもよい。
発熱部9が、基板7の主面に設けられている平面ヘッドに本発明を用いてもよく、発熱部9が、基板7の端面に設けられている端面ヘッドに本発明を用いてもよい。
本発明の実施形態に係るサーマルヘッドの滑り性、耐摩耗性および密着性を調査する目的で以下の実験を行なった。
共通電極、個別電極、および接続電極の各種電極配線が形成された基板を複数準備する。そして、試料No.1〜16となる基板にスパッタリングによりSiNの第1層を5μm製膜した。また、試料No.17,18となる基板にスパッタリングによりSiONの第1層を5μm製膜した。
次に、表1に示す試料No.2〜4,6〜10用のスパッタリングターゲットを作製した。スパッタリングターゲットは、SiCの粉末、Taの粉末、SiCNの粉末、およびSiOの粉末を表1に示す体積比の割合で混合した後に焼成して作製した。
比較例として、試料No.1用のスパッタリングターゲットとしてSiCの粉末を焼成して作製した。同様に、試料No.5用のスパッタリングターゲットとして、Taの粉末を焼成して作製した。
同様に、表2に占めす密着層用のスパッタリングターゲットと、第2層用のスパッタリングターゲットを用意した。第2層用のスパッタリングターゲットは、組成が体積比で1:1となるように調整したものを準備した。
そして、試料No.1〜10用のスパッタリングターゲットをバッチ内に設置し、それぞれ試料となる第1層が5μm製膜された基板に第2層を10μm製膜した。また、試料No.11〜18は、表2に示す組成の密着層を1μm製膜し、第2層を10μm製膜した。
次に、第2層が製膜された基板に駆動ICを搭載してサーマルヘッドを作製し、以下に示す走行試験を行った。
試料No.1〜18のサーマルヘッドを搭載したサーマルプリンタに、記録媒体として昇華型インクリボン(メディアサイズA6)を用いて、印字周期0.7ms/line、印加電圧0.18〜0.30W/dot、押し圧8〜11kg×F/headの条件で1万枚分走行させた。そして、走行させたサーマルプリンタからサーマルヘッドを取り出し、摩耗量を触針式表面形状測定器あるいは非接触の表面形状測定器、または、一般的に知られている表面粗さ計を用いて測定した。
摩耗量が1μm以上のものは、耐摩耗性がないと判別して表1,2に×と記載し、摩耗量が1〜0.2μmのものは耐摩耗性があると判別して表1,2に○と記載し、摩耗量が0.1μm以下のものは、耐摩耗性が優れていると判別して表1,2に◎と記載した。また、走行試験後のサーマルヘッドの保護層を、顕微鏡で目視により第1層と第2層とが剥離を生じているか確認を行った。そして、第1層と第2層との間で剥離が生じていないものは密着性があると判別して表2に○と記載し、剥離が生じたものは密着性がないと判別して表2に×と記載した。
また、同様の走行試験を5千枚分走行して、インクリボンにしわが生じたものは、滑り性がないものと判別して表1に×と記載した。そして、滑り性を確認した後さらに走行試験を行い、のべ1万枚分の走行試験を行った。5千枚の時点ではインクリボンにしわが生じておらず、一万枚の時点でインクリボンにしわが生じたものは表1に△と記載した。なお1万枚分の走行試験を行いインクリボンにしわが生じていないものは、滑り性があるものとして表1に○と記載した。
Figure 2015006791
Figure 2015006791
表1に示すように、本発明の範囲内である試料No.2〜4,6〜10は、滑り性および耐摩耗性が良好な結果となった。
特に、第2層が、TaOを25〜50体積%含有し、SiCを50〜75体積%含有する試料No.3,4は、ある程度良好な滑り性を有しつつ、摩耗量が0.07μm以下となり、優れた耐摩耗性を有していた。
これに対して、第2層がTaOのみにより形成される試料No.1は、良好な滑り性を示すものの、摩耗量が9.0μmと大きい結果となった。
また、第2層がSiCのみにより形成される試料No.5は、良好な耐摩耗性を示すものの、滑り性が悪い結果となった。
また、第2層をTaOおよびSiCNにより形成した試料No.6、および第2層をTaOおよびSiCNOにより形成した試料No.9は、第2層をTaOおよびSiCにより形成した試料No.4に比べて滑り性が向上した結果となった。
さらに、密着層を設けた試料No.11〜18は、いずれの試料も剥離が生じておらず
、高い密着性を有し、耐摩耗性を有する結果となった。
X1〜X3 サーマルヘッド
Z サーマルプリンタ
1 放熱体
3 ヘッド基体
5 フレキシブルプリント配線板
7 基板
9 発熱部
11 駆動IC
17 共通電極
17a 主配線部
17b 副配線部
17c リード部
19 個別電極
21 接続電極
25 保護層
25a 第1層
25b 第2層
25c 密着層
27 被覆層

Claims (10)

  1. 基板と、
    該基板上に設けられた電極と、
    前記基板上に設けられ、前記電極に接続された発熱部と、
    前記電極上および前記発熱部上に設けられた保護層と、を備え、
    該保護層は、
    珪素窒化物または珪素酸窒化物を含む第1層と、
    該第1層上に設けられ、タンタル酸化物および珪素炭化物を含む第2層とを有することを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記第2層に含まれる前記珪素炭化物の一部が窒化した珪素炭窒化物である、請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記第2層に含まれる前記珪素炭窒化物の一部が酸化した珪素炭窒酸化物である、請求項2に記載のサーマルヘッド。
  4. 前記第2層に含まれるタンタルの珪素に対する原子比が、0.05〜0.76原子%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
  5. 前記第1層と前記第2層との間に、珪素酸窒化物を含む密着層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
  6. 前記第1層と前記第2層との間に、珪素炭窒化物を含む密着層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
  7. 前記第1層と前記第2層との間に、珪素炭窒酸化物を含む密着層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
  8. 前記第1層と前記第2層との間に、珪素原子、炭素原子、窒素原子、および酸素原子を含む密着層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
  9. 前記密着層に含まれる前記酸素原子の含有率が、前記密着層に含まれる前記窒素原子の含有率よりも高い、請求項8に記載のサーマルヘッド。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のサーマルヘッドと、
    前記発熱部上に記録媒体を搬送する搬送機構と、
    前記発熱部上に前記記録媒体を押圧するプラテンローラと、を備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
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