以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における雄コネクタ及び雌コネクタの接続前の状態を示す斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態における雄コネクタの層構造を示す分解図、図3は本発明の第1の実施の形態における雄コネクタの要部断面図であって、図1におけるX−X矢視断面図である。
図において、1は本実施の形態における接続装置の一方である第1接続装置としての雄コネクタであり、101は本実施の形態における相手方の接続装置である第2接続装置としての雌コネクタ101である。前記雄コネクタ1及び雌コネクタ101は、図示されない実装部材に各々実装されるとともに、互いに嵌合して電気的に接続される。
なお、前記実装部材は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等であるが、必ずしも基板に限定されるものでなく、いかなる種類のものであってもよい。ここでは、説明の都合上、前記雄コネクタ1は、プリント回路基板の端縁(エッジ)、細長い帯状のフレキシブルフラットケーブルの先端等に実装されるものとして説明し、前記雌コネクタ101は、プリント回路基板の表面、フレキシブル回路基板の表面等に実装されるものとして説明する。
本実施の形態において、雄コネクタ1、雌コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、雄コネクタ1、雌コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、雄コネクタ1、雌コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
前記雄コネクタ1は、平面形状が矩(く)形の平板状の本体部11と、該本体部11の前端部11aに接続された嵌合部としての平板状のブレード部12とを有する。図に示される例において、該ブレード部12は、4つであり、所定のピッチで互いに平行に並んで本体部11の前端部11aから前方に向けて延出するように配設され、隣接するブレード部12同士の間にはスリット状の空間部13が形成されているが、前記ブレード部12の数は、単数であってもよいし、複数であってもよいし、いくつであってもよく、ピッチも適宜変更することができる。
なお、前記雄コネクタ1は、例えば、幅方向(図1における左上と右下を結ぶ方向)の寸法が約5〜10〔mm〕、前後方向(図1における左下と右上を結ぶ方向)の寸法が約3〜5〔mm〕、厚さ方向の寸法が約0.3〜0.5〔mm〕程度の寸法の部材であるが、その寸法は適宜変更することができる。
そして、前記雄コネクタ1は、図2に示されるような層構造を有し、図2における上方から順に、導電性金属から成る平板状の第1導電層51A、絶縁性材料から成る絶縁層としてのベースフィルム15、及び、導電性金属から成る平板状の第2導電層51Bが積層されている。なお、前記第1導電層51A及び第2導電層51Bは、ほぼ同様の構成を備え、互いに表裏逆向きとなるように配設されたものであり、統合的に説明する場合には、導電層51として説明する。
前記ベースフィルム15は、例えば、ポリイミド等の樹脂から成るが、絶縁性を備えるものであれば、いかなる種類の材質であってもよい。なお、前記ベースフィルム15は、例えば、接着剤が付与されることによって、その両面が接着性を備え、接着剤層としても機能するものとする。そして、前記ベースフィルム15は、前記本体部11に対応する矩形の本体対応部15aと、前記ブレード部12に対応して本体対応部15aから前方に向けて延出するブレード対応部17とを含んでいる。
また、前記導電層51は、前記本体部11に対応する矩形の本体対応部58と、前記ブレード部12に対応して本体対応部58から前方に向けて延出するブレード対応部57とを含み、雄コネクタ1の端子として機能する部材であって、複数層(図に示される例では2層)が積層されている。さらに、前記導電層51は、ベースフィルム15と反対側の面から積層方向に突出する突出部53を備える。なお、前記導電層51のベースフィルム15側の面は、平坦(たん)である。図に示される例において、前記突出部53の数は、4つであるが、適宜変更することができる。また、各突出部53は、本体対応部58上に位置する幅広部54と、ブレード対応部57上に位置する中間部55及び幅狭部56とを含んでいる。該幅狭部56は、雌コネクタ101が有する相手方端子としての受容端子153と係合する部分であり、先端部を除いて、ほぼ一定の幅を備える。また、前記中間部55は、幅広部54と幅狭部56とを連結する部分であって、その幅は幅広部54よりは狭く、幅狭部56よりは広くなっている。
前記突出部53は、導電層51の表面から突出するように形成された部材であり、例えば、フォトリソグラフィ技術を利用したエッチング等の方法によって、導電層51と一体的に形成されている。なお、前記突出部53の高さ方向の寸法は、例えば、0.1〜0.3〔mm〕程度であるが、適宜変更することができる。また、前記突出部53を含む導電層51は、例えば、銅、銅合金、銅又は銅合金とその他の金属(例えば、ニッケル)とのクラッド材等の金属から成るが、いかなる種類の導電性金属から成るものであってもよい。さらに、必要に応じて、突出部53を含む導電層51の表面の任意の箇所に金等の他の金属の被膜をメッキ等の方法によって形成することもできる。
前記導電層51は、本体対応部58に形成された前後方向に延在するパターン分離空間52によって複数の区画に分離されている。
図に示される例において、第1導電層51Aは、ブレード部12に対応して、4つの区画に分離されている。したがって、各区画には、突出部53が1つずつ含まれている。そして、各区画の本体対応部58には、本体部11の後端部11bよりも後方に突出するように形成されたテール部58aが一体的に接続されている。該テール部58aは、雄コネクタ1が実装されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル等の表面に形成された端子接続部、すなわち、導電トレースの表面又は導電トレースと導通する接続パッドにはんだ付等によって接続される。
また、第2導電層51Bは、幅方向のほぼ中心に形成された1つのパターン分離空間52によって2つの区画に分離され、各区画には2つのブレード部12が対応する。したがって、各区画には、突出部53が2つずつ含まれている。なお、第2導電層51Bの本体対応部58にはテール部58aが接続されていないので、前記本体対応部58は、直接、雄コネクタ1が実装されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル等の表面に形成された導電トレースの表面又は導電トレースと導通する接続パッドにはんだ付等によって接続される。
このように、前記第1導電層51Aの各区画は、比較的幅が狭いので、例えば、信号線として使用され、前記第2導電層51Bの各区画は、比較的幅が広いので、例えば、電源線及びグランド線として使用されるが、これに限定されるものでなく、いかなる用途にも使用することができる。また、前記第1導電層51A及び第2導電層51Bの区画の形態は、図に示される例に限定されるものでなく、適宜変更することができ、例えば、第1導電層51A及び第2導電層51Bの区画の形態を同一のものにすることもできる。
前記突出部53の一部である幅狭部56の横断面の形状は、図3に示されるように、略きのこ状となっている。具体的は、前記幅狭部56は、導体層51の一部である基部としてのブレード対応部57よりも幅が狭くなるように形成されている。そして、前記幅狭部56において、ブレード対応部57の表面57aに接続されている部分である基端部56aの幅寸法は、突出方向の先端に位置する上端部としての先端部56bの幅寸法と同等又はそれ以上であり、基端部56aと先端部56bとの間の側面部56cは、基端部56a及び先端部56bよりもその幅方向内側に向けて凹入するような形状の滑らかでスムーズな面となっていて、その途中に、幅寸法が最小となる極小部56dを含んでいる。換言すると、幅狭部56の幅寸法は、基端部56aにおいて最大であり、上に行くに従って徐々に減少し、極小部56dにおいて最小となり、更に上に行くに従って増加し、先端部56bにおいて基端部56aと同一又はそれより小さな寸法となる。なお、前記側面部56cの形状は、緩やかに連続した曲面であることが望ましいが、複数の斜面が連続した屈曲面であってもよい。
前記幅狭部56が、雌コネクタ101の受容端子153と係合すると、該受容端子153の一対の接触腕部153aによって側面部56cが両側から弾性的に挟持された状態となる。そして、受容端子153が薄肉の部材であり、接触腕部153aの厚さ寸法(上下方向の寸法)が幅狭部56の高さ寸法(上下方向の寸法)よりも小さいので、外力を受けたり、振動を受けたりした場合に、接触腕部153aは、側面部56cに沿って幅狭部56の上下方向に移動する可能性がある。しかし、側面部56cが滑らかな凹面であって極小部56dを含むので、側面部56cに弾性的に押圧された接触腕部153aの位置は、常に極小部56dに収斂(れん)し、かつ、該極小部56dから離れると弾性的な押圧力が大きくなるので、接触腕部153aが側面部56cから離間してしまうことがない。つまり、側面部56cが凹面なので、外力を受けたり、振動を受けたりしても、側面部56cと接触腕部153aとの接触が確実に維持されるので、突出部53と受容端子153との瞬断が生じることがない。
ここでは、幅狭部56の横断面の形状についてのみ説明したが、中間部55及び幅広部54の横断面の形状も、幅狭部56の横断面の形状と同様のものとすることができる。
前述のように、第1導電層51A及び第2導電層51Bは、ほぼ同様の構成を備え、互いに表裏逆向きとなるように配設されて積層されたものなので、図3に示されるように、第1導電層51Aの幅狭部56及びブレード対応部57と第2導電層51Bの幅狭部56及びブレード対応部57とは、ベースフィルム15のブレード対応部17を間に挟んで、上下対称の形状となっている。
そして、導電層51のブレード対応部57の幅は、ベースフィルム15のブレード対応部17の幅よりも狭く形成されることが望ましい。つまり、導電層51のブレード対応部57の側縁部57bよりも、ベースフィルム15のブレード対応部17の側縁部17bのほうが幅方向外側に位置することが望ましい。これにより、第1導電層51Aの幅狭部56と第2導電層51Bの幅狭部56との間の沿面距離が長くなるので、第1導電層51Aの幅狭部56と第2導電層51Bの幅狭部56と間の絶縁性が高くなる。
仮に、導電層51のブレード対応部57の幅とベースフィルム15のブレード対応部17の幅とが等しいとすると、第1導電層51Aの幅狭部56と第2導電層51Bの幅狭部56との間の沿面距離は、図3におけるベースフィルム15のブレード対応部17の側縁部17bの長さとなる。しかし、導電層51のブレード対応部57の幅がベースフィルム15のブレード対応部17の幅よりも狭くすれば、前記沿面距離は、図3におけるベースフィルム15のブレード対応部17の露出表面部17aの2倍の長さをも含むこととなり、比較的長いものとなる。
また、本実施の形態における雌コネクタ101は、平面形状が略コ字状の平板状の本体部111を有する。該本体部111は、雌コネクタ101の幅方向(図1における左上と右下を結ぶ方向)に延在する横枠部111a、及び、該横枠部111aの両端から前方(図1における左下方)に向けて延出する縦枠部111bを備える。
そして、前記本体部111によって周囲を画定された矩形状の平面形状を備える扁(へん)平な凹部は、雄コネクタ1を収容する接続空間部114である。該接続空間部114内には、前記横枠部111aから前方に向けて延出する仕切部113が配設されている。図に示される例において、該仕切部113は、3つであり、前記雄コネクタ1の空間部13に対応するピッチで互いに平行に並んで配設され、隣接する仕切部113同士の間及び仕切部113と縦枠部111bとの間には、合計4つの嵌合空間部112が形成されている。前記雄コネクタ1と雌コネクタ101とが接続された状態において、前記仕切部113は雄コネクタ1の空間部13に進入し、前記嵌合空間部112には雄コネクタ1のブレード部12が進入する。したがって、前記仕切部113及び嵌合空間部112の数及びピッチは、雄コネクタ1の空間部13及びブレード部12の数及びピッチに適合するように変更することができる。
なお、前記雌コネクタ101は、例えば、幅方向の寸法が約6〜12〔mm〕、前後方向(図1における左下と右上を結ぶ方向)の寸法が約5〜7〔mm〕、厚さ方向の寸法が約0.3〜0.5〔mm〕程度の寸法の部材であるが、その寸法は適宜変更することができる。
そして、各嵌合空間部112内には、一対の接触腕部153aを含む受容端子153が積層されて配設されている。該受容端子153は、雄コネクタ1の積層された導電層51の数(図に示される例では、2つ)に対応する数だけ積層されている。なお、一対の接触腕部153aの間における前方寄りの部分には、前記導電層51の突出部53の幅狭部56が進入する入口空間部154が形成されている。
また、前記雌コネクタ101は、横枠部111aより後方に突出するテール部158a及び縦枠部111bより側方に突出する補助テール部158cを有する。前記テール部158a及び補助テール部158cは、受容端子153と導通する部材であって、雌コネクタ101が実装されるプリント回路基板、フレキシブル回路基板等の表面に形成された端子接続部、すなわち、導電トレースの表面又は導電トレースと導通する接続パッドにはんだ付等によって接続される。
さらに、前記雌コネクタ101は、縦枠部111bの前後両端より前方及び後方に突出する固定用テール部118dを有する。該固定用テール部118dは、雌コネクタ101が実装されるプリント回路基板、フレキシブル回路基板等の表面に形成された固定用接続部にはんだ付等によって接続され、これにより、雌コネクタ101のプリント回路基板、フレキシブル回路基板等の表面への実装が強固なものとなる。
次に、前記雌コネクタ101の構成について詳細に説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における雌コネクタの層構造を示す分解図である。
本実施の形態における雌コネクタ101は、図4に示されるような層構造を有し、図4における上方から順に、第1補強層118A、絶縁層としての第1カバーフィルム116A、第1導電層151A、絶縁層としての第1ベースフィルム117A、スペーサ層115、絶縁層としての第2ベースフィルム117B、第2導電層151B、絶縁層としての第2カバーフィルム116B、及び、第2補強層118Bが積層されている。なお、前記第1補強層118A及び第2補強層118Bは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、補強層118として説明する。また、前記第1カバーフィルム116A及び第2カバーフィルム116Bは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、カバーフィルム116として説明する。さらに、前記第1導電層151A及び第2導電層151Bは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、導電層151として説明する。さらに、前記第1ベースフィルム117A及び第2ベースフィルム117Bは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、ベースフィルム117として説明する。
前記補強層118は、例えば、ステンレス鋼等の金属から成るが、その材質は、樹脂であってもよいし、ガラス繊維、炭素繊維等を含む複合材であってもよいし、いかなる種類のものであってもよい。そして、前記補強層118は、前記横枠部111aに対応する横枠対応部118aと、前記縦枠部111bに対応して横枠対応部118aの両端から前方に向けて延出する縦枠対応部118bと、前記仕切部113に対応して横枠対応部118aから前方に向けて延出する仕切対応部118cとを含んでいる。図に示される例において、第1補強層118Aは、縦枠部111bの前後両端より前方及び後方に突出する固定用テール部118dを有するが、該固定用テール部118dは、省略することもできる。
前記カバーフィルム116及びベースフィルム117は、例えば、ポリイミド等の樹脂から成るが、絶縁性を備えるものであれば、いかなる種類の材質であってもよい。なお、前記カバーフィルム116及びベースフィルム117は、例えば、接着剤が付与されることによって、その両面が接着性を備え、接着剤層としても機能するものとする。そして、前記カバーフィルム116及びベースフィルム117は、前記横枠部111aに対応する横枠対応部116a及び117aと、前記縦枠部111bに対応して横枠対応部116a及び117aの両端から前方に向けて延出する縦枠対応部116b及び117bと、前記仕切部113に対応して横枠対応部116a及び117aから前方に向けて延出する仕切対応部116c及び117cとを含んでいる。
前記スペーサ層115は、例えば、ステンレス鋼等の金属から成るが、その材質は、樹脂であってもよいし、ガラス繊維、炭素繊維等を含む複合材であってもよいし、いかなる種類のものであってもよい。そして、前記スペーサ層115は、前記横枠部111aに対応する横枠対応部115aと、前記縦枠部111bに対応して横枠対応部115aの両端から前方に向けて延出する縦枠対応部115bと、前記仕切部113に対応して横枠対応部115aから前方に向けて延出する仕切対応部115cとを含んでいる。
前記導電層151は、例えば、銅、銅合金、銅又は銅合金とその他の金属(例えば、ニッケル)とのクラッド材等の金属の板又は箔(はく)から成るが、いかなる種類の導電性金属の板又は箔から成るものであってもよい。そして、前記導電層151は、前記横枠部111aに対応する横枠対応部158と、前記縦枠部111bに対応して横枠対応部158の両端から前方に向けて延出する縦枠対応部151bと、前記仕切部113に対応して横枠対応部158から前方に向けて延出する仕切対応部151cとを含んでいる。さらに、前記縦枠対応部151b及び仕切対応部151cには、受容端子153の接触腕部153aが一体的に接続されている。
前記導体層151は、例えば、厚さが数〔μm〕〜数10〔μm〕の板又は箔に、フォトリソグラフィ技術を利用したエッチング加工等を施してパターニングすることによって形成されたものである。なお、前記導体層151は、板又は箔に打抜き加工を施して形成されたものであってもよい。さらに、必要に応じて、受容端子153を含む導電層151の表面の任意の箇所に、金等の他の金属の被膜を、メッキ等の方法によって形成することもできる。
また、前記導電層151は、横枠対応部158及び仕切対応部151cに形成された前後方向に延在するパターン分離空間152によって複数の区画に分離されている。具体的には、第1導電層151Aは、雄コネクタ1の第1導電層51Aに対応して4つの区画に分離され、第2導電層151Bは、雄コネクタ1の第2導電層51Bに対応して2つの区画に分離されている。
図に示されるように、第1導電層151Aは、各仕切対応部151cを前後方向に通過するように形成されたパターン分離空間152によって、嵌合空間部112に対応するように、4つの区画に分離されている。したがって、各区画には、左右一対の接触腕部153aが含まれている。そして、各区画の横枠対応部158には、横枠部111aよりも後方に突出するように形成されたテール部158aが一体的に接続されている。該テール部158aは、雌コネクタ101が実装されるプリント回路基板、フレキシブル回路基板等の表面に形成された導電トレースの表面又は導電トレースと導通する接続パッドにはんだ付等によって接続される。
また、第2導電層151Bは、中央の仕切対応部151cを前後方向に通過するように形成された1つのパターン分離空間152により、それぞれ、2つの嵌合空間部112を含むような2つの区画に分離されている。したがって、各区画には、接触腕部153aが2対ずつ含まれている。そして、各区画の横枠対応部158には、横枠部111aよりも後方に突出するように形成されたテール部158aが一体的に接続されている。なお、図に示される例においては、第2導電層151Bのテール部158aの幅が、第1導電層151Aのテール部158aの幅よりも広くされているが、テール部158aの幅は、適宜変更することができ、例えば、第2導電層151Bのテール部158aの幅と第1導電層151Aのテール部158aの幅とを等しくすることもできるし、第2導電層151Bのテール部158aの幅を、第1導電層151Aのテール部158aの幅よりも狭くすることもできる。
さらに、各区画の縦枠対応部151bには、縦枠部111bよりも側方に突出するように形成された補助テール部158cが一体的に接続されている。前記テール部158a及び補助テール部158cは、雌コネクタ101が実装されるプリント回路基板、フレキシブル回路基板等の表面に形成された導電トレースの表面又は導電トレースと導通する接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記補助テール部158cは、省略することもできる。
このように、前記第1導電層151Aの各区画は、雄コネクタ1の第1導電層51Aと同様に、比較的幅が狭いので、例えば、信号線として使用され、前記第2導電層151Bの各区画は、雄コネクタ1の第2導電層51Bと同様に、比較的幅が広いので、例えば、電源線及びグランド線として使用されるが、これに限定されるものでなく、いかなる用途にも使用することができる。また、前記第1導電層151A及び第2導電層151Bの区画の形態は、雄コネクタ1の第1導電層51A及び第2導電層51Bと同様に、図に示される例に限定されるものでなく、適宜変更することができ、例えば、第1導電層151A及び第2導電層151Bの区画の形態を同一のものにすることもできる。
前記受容端子153の各々は、隣接する仕切対応部151c同士の間又は仕切対応部151cと縦枠対応部151bとの間において導電層151を厚さ方向に貫通する空間、すなわち、嵌合空間部112に対応する空間内に収容された部材である。典型的には、導電層151をパターニングすることによって形成されて残存したパターンが受容端子153であり、該受容端子153の周囲の材料が除去された部分が前記空間である。したがって、受容端子153の厚さ寸法は、導電層151の厚さ寸法と同等である。そして、前記受容端子153の各々は、導電層151における受容端子153の周囲の部分、すなわち、仕切対応部151c又は縦枠対応部151bの側縁に基部が接続された一対の接触腕部153aを備える。該接触腕部153aは、ばね性を備え、雌コネクタ101の幅方向に弾性的に変形する。
また、入口空間部154は、大きな面積を備え、典型的には、その幅寸法が雄コネクタ1の突出部53の幅狭部56の幅寸法より大きい。そのため、突出部53の幅狭部56は、入口空間部154内にスムーズに進入することができる。
一方、一対の接触腕部153aの対向部分同士の間は、幅の狭い空間であり、典型的には、その幅寸法が突出部53の幅狭部56の側面部56cにおける極小部56dの幅寸法より小さい。そのため、入口空間部154内に進入した突出部53の幅狭部56が接触腕部153aの対向部分同士の間に相対的に移動すると、接触腕部153aの対向部分同士の間隔が突出部53の幅狭部56の側面部56cに当接して押広げられるので、接触腕部153aのばね性によって、接触腕部153aの対向部分は突出部53の幅狭部56の側面部56cに押圧された状態になる。つまり、一対の接触腕部153aが突出部53の幅狭部56を両側から弾性的に挟持する。
また、前記入口空間部154の形状は、接触腕部153aの対向部分同士の間に近付くと、幅寸法が漸減するような形状である。すなわち、対向する接触腕部153aは、傾斜したテーパ形状を備える。そのため、突出部53の幅狭部56は、対向する接触腕部153aの対向部分同士の間の部分にスムーズに進入することができる。
次に、前記構成の雄コネクタ1と雌コネクタ101とを接続する動作について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態における雄コネクタ及び雌コネクタの接続が完了した状態を示す斜視図、図6は本発明の第1の実施の形態における雄コネクタ及び雌コネクタの接続が完了した状態を示す平面図である。
オペレータは、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の姿勢を調整して、図1に示されるような姿勢とする。すなわち、雄コネクタ1の突出部53の上面と雌コネクタ101の本体部111の上面とが互いに平行、かつ、ほぼ同じ高さであって、雄コネクタ1のブレード部12の先端が雌コネクタ101の接続空間部114の奥に位置する嵌合空間部112を向くような姿勢とする。
続いて、オペレータは、雄コネクタ1の突出部53の上面と雌コネクタ101の本体部111の上面とが互いに平行、かつ、ほぼ同じ高さである状態を維持したまま、ブレード部12の先端が嵌合空間部112に進入するような方向に雄コネクタ1を雌コネクタ101に対して相対的に接近させる、すなわち、嵌合方向に移動させる。そして、各ブレード部12の先端が対応する嵌合空間部112内に進入した後も、オペレータは、雄コネクタ1を雌コネクタ101に対して相対的に嵌合方向に更に移動させる。
すると、雄コネクタ1の突出部53の幅狭部56は、雌コネクタ101の嵌合空間部112内における入口空間部154内に進入し、さらに、一対の接触腕部153aの対向部分同士の間に移動する。このように、突出部53の幅狭部56が接触腕部153aの対向部分同士の間に相対的に移動すると、接触腕部153aの対向部分同士の間隔が突出部53の幅狭部56の側面部56cに当接して押広げられるので、接触腕部153aのばね性によって、接触腕部153aの対向部分は突出部53の幅狭部56の側面部56cに押圧された状態になる。つまり、一対の接触腕部153aが突出部53の幅狭部56を両側から弾性的に挟持する。
そして、各ブレード部12の先端が対応する嵌合空間部112の奥に到達すると、図5及び6に示されるような状態となり、雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続が完了する。これにより、雄コネクタ1が実装されている実装部材であるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル等の導電トレースと、雌コネクタ101が実装されている実装部材であるプリント回路基板、フレキシブル回路基板等の導電トレースとが電気的に接続される。
このように、雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続が完了した状態では、雄コネクタ1のブレード部12が雌コネクタ101の嵌合空間部112内に収容され、雌コネクタ101の仕切部113が雄コネクタ1の空間部13内に収容され、かつ、雄コネクタ1全体が雌コネクタ101の接続空間部114内に収容される。つまり、雄コネクタ1全体が本体部111によって周囲を画定された接続空間部114内に収容されるとともに、平面視において櫛歯状の複数のブレード部12と平面視において櫛歯状の複数の仕切部113とが互いに入れ子式に噛(か)み合った状態となる。したがって、図6に示されるような平面上において、雄コネクタ1と雌コネクタ101との相互の位置関係は、安定して崩れることがない。
また、本実施の形態においては、突出部53の幅狭部56が、図3に示されるように、ベースフィルム15のブレード対応部17を中心として、上下両方向にそれぞれ突出するような形状となっているところ、雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続が完了した状態では、ブレード対応部17を中心として上下両方向にそれぞれ突出する突出部53の幅狭部56の側面部56cが、それぞれ、一対の接触腕部153aによって両側から挟持される。したがって、図6に示されるような平面に鉛直な方向(雄コネクタ1及び雌コネクタ101の厚さ方向)において、雄コネクタ1と雌コネクタ101との相互の位置関係は、安定して崩れることがない。
したがって、雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続状態が確実に維持され、また、受容端子153と突出部53との接続状態が確実に維持される。その結果、雄コネクタ1が実装されている実装部材と雌コネクタ101が実装されている実装部材との電気的な接続状態も確実に維持される。
なお、雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続を解除する動作については、雄コネクタ1と雌コネクタ101とを嵌合させるための動作と逆の動作にすぎないので、説明を省略する。
このように、本実施の形態において、雄コネクタ1は、平板状の本体部11と、本体部11の前端部11aに接続された平板状のブレード部12とを備える。そして、ブレード部12は、積層された複数層の導電層51を含み、導電層51は、平板状のブレード対応部57と、ブレード対応部57と一体的に形成され、ブレード対応部57の表面57aから積層方向に突出する幅狭部56とを含む。
これにより、雄コネクタ1を多極化しても、導電層51が積層されているので、ブレード部12の数の増加を抑制することができ、雄コネクタ1の幅方向の寸法を抑制することができる。また、ブレード部12の数を増加させる必要がないので、雄コネクタ1の製造が容易となり、雄コネクタ1の構成を簡素化することができ、コストを低減することができ、小型化することができる。さらに、導電層51が積層されているので、積層方向に関するブレード部12の曲げ強度が向上し、ブレード部12の変形が防止される。
また、幅狭部56は、ブレード対応部57の表面57aに接続されている基端部56aと、突出方向の先端に位置する先端部56bと、基端部56aと先端部56bとの間の側面部56cとを含み、側面部56cは、基端部56a及び先端部56bよりも幅方向内側に向けて凹入する。これにより、外力を受けたり、振動を受けたりしても、側面部56cと接触腕部153aとの接触が確実に維持されるので、突出部53と受容端子153との瞬断が生じることがない。
さらに、導電層51は、ベースフィルム15のブレード対応部17を介して積層され、ブレード対応部17の側縁部17bは、導電層51のブレード対応部57の側縁部57bよりも幅方向外側に位置する。これにより、ブレード対応部17の両面の導電層51間の沿面距離が長くなり、絶縁性が向上する。
さらに、導電層51は、幅狭部56の向きが逆向きとなるように積層される。これにより、積層方向に関するブレード部12の曲げ強度がより向上し、ブレード部12の変形が確実に防止される。
さらに、ブレード部12は、複数であり、平面視において櫛歯状となるように配設される。これにより、互いに接続された雄コネクタ1と雌コネクタ101との相互の位置関係は、安定して崩れることがない。
また、本実施の形態において、接続装置は、平板状の本体部11と、本体部11の前端部11aに接続された平板状のブレード部12とを備える雄コネクタ1と、平板状の本体部111と、本体部111の前方に配設され、ブレード部12が進入する嵌合空間部112とを備える雌コネクタ101とを有する。そして、ブレード部12は、積層された複数層の導電層51を含み、導電層51は、平板状のブレード対応部57と、ブレード対応部57と一体的に形成され、ブレード対応部57の表面57aから積層方向に突出する幅狭部56とを含み、嵌合空間部112は、積層された複数層の受容端子153を含み、受容端子153は、幅狭部56に接触する一対の接触腕部153aを含む。
これにより、雄コネクタ1及び雌コネクタ101を多極化しても、導電層51及び受容端子153が積層されているので、ブレード部12及び嵌合空間部112の数の増加を抑制することができ、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の幅方向の寸法を抑制することができる。また、ブレード部12及び嵌合空間部112の数を増加させる必要がないので、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の製造が容易となり、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の構成を簡素化することができ、コストを低減することができ、小型化することができる。さらに、導電層51及び受容端子153が積層されているので、積層方向に関する雄コネクタ1及び雌コネクタ101の曲げ強度が向上し、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の変形が防止される。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図7は本発明の第2の実施の形態における雄コネクタ及び雌コネクタの接続前の状態を示す斜視図、図8は本発明の第2の実施の形態における雄コネクタの層構造を示す分解図、図9は本発明の第2の実施の形態における雄コネクタの要部断面図であって、図7におけるY−Y矢視断面図、図10は本発明の第2の実施の形態における雌コネクタの層構造を示す分解図、図11は本発明の第2の実施の形態における雄コネクタ及び雌コネクタの接続が完了した状態を示す斜視図、図12は本発明の第2の実施の形態における雄コネクタ及び雌コネクタの接続が完了した状態を示す平面図である。
本実施の形態における雄コネクタ1及び雌コネクタ101では、端子として機能する部材である導電層51及び151が3層となるように積層されている。
具体的には、前記雄コネクタ1は、図8に示されるような層構造を有し、図8における上方から順に、第1導電層51A、絶縁層としての第1ベースフィルム15A、第2導電層51B、絶縁層としての第2ベースフィルム15B、第3導電層51C、絶縁層としての第3ベースフィルム15C、及び、補強層18が積層されている。
なお、前記第1導電層51A、第2導電層51B及び第3導電層51Cは、ほぼ同様の構成を備えるものであり、統合的に説明する場合には、導電層51として説明する。また、前記第1ベースフィルム15A、第2ベースフィルム15B及び第3ベースフィルム15Cは、ほぼ同様の構成を備えるものであり、統合的に説明する場合には、ベースフィルム15として説明する。
前記第1の実施の形態においては、第1導電層51A及び第2導電層51Bが、互いに表裏逆向きとなるように配設されて積層された例について説明したが、本実施の形態においては、第1導電層51A、第2導電層51B及び第3導電層51Cは、図9に示されるように、すべて同一の向きとなるように配設されて積層されている。また、本実施の形態においては、第1導電層51A、第2導電層51B及び第3導電層51Cの区画の形態が同一の例について説明したが、図に示される例に限定されるものでなく、適宜変更することができ、例えば、第1導電層51A、第2導電層51B及び第3導電層51Cの区画の形態が異なるようにすることもできる。
前記補強層18は、例えば、ステンレス鋼等の金属から成るが、その材質は、樹脂であってもよいし、ガラス繊維、炭素繊維等を含む複合材であってもよいし、いかなる種類のものであってもよい。そして、前記補強層18は、本体部11に対応する本体対応部18aと、ブレード部12に対応して本体対応部18aから前方に向けて延出するブレード対応部18bとを含んでいる。
なお、前記雄コネクタ1のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、前記雌コネクタ101は、図10に示されるような層構造を有し、図10における上方から順に、第1補強層118A、絶縁層としての第1カバーフィルム116A、第1導電層151A、絶縁層としての第1ベースフィルム117A、第1スペーサ層115A、絶縁層としての第2カバーフィルム116B、第2導電層151B、絶縁層としての第2ベースフィルム117B、第2スペーサ層115B、絶縁層としての第3カバーフィルム116C、第3導電層151C、絶縁層としての第3ベースフィルム117C、及び、第2補強層118Bが積層されている。
なお、前記第1補強層118A及び第2補強層118Bは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、補強層118として説明する。また、前記第1カバーフィルム116A、第2カバーフィルム116B及び第3カバーフィルム116Cは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、カバーフィルム116として説明する。さらに、前記第1導電層151A、第2導電層151B及び第3導電層151Cは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、導電層151として説明する。さらに、前記第1ベースフィルム117A、第2ベースフィルム117B及び第3ベースフィルム117Cは、ほぼ同様の構成を備え、統合的に説明する場合には、ベースフィルム117として説明する。
また、前記第1導電層151A、第2導電層151B及び第3導電層151Cの区画の形態は、雄コネクタ1の第1導電層51A、第2導電層51B及び第3導電層51Cと同様に、図に示される例に限定されるものでなく、適宜変更することができ、例えば、第1導電層151A、第2導電層151B及び第3導電層151Cの区画の形態が異なるようにすることもできる。
なお、前記雌コネクタ101のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、前記雄コネクタ1と雌コネクタ101とを接続する動作及び雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続を解除する動作についても、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、本実施の形態においては、突出部53の幅狭部56が、図9に示されるように、ベースフィルム15のブレード対応部17を介して、上下方向に3層に積層された形状となっているところ、雄コネクタ1と雌コネクタ101との接続が完了した状態では、3層に積層された突出部53の幅狭部56の側面部56cが、それぞれ、一対の接触腕部153aによって両側から挟持される。したがって、図12に示されるような平面に鉛直な方向(雄コネクタ1及び雌コネクタ101の厚さ方向)において、接続が完了した雄コネクタ1と雌コネクタ101との相互の位置関係は、安定して崩れることがない。
このように、本実施の形態において、導電層51は、幅狭部56の向きが同一の向きとなるように積層される。これにより、3層以上の導電層51を容易に積層することができ、導電層51の多層化を容易に実現することができる。したがって、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の幅方向の寸法を抑制しつつ、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の多極化を実現することができる。
前記第1及び第2の実施の形態においては、雄コネクタ1及び雌コネクタ101の端子として機能する部材である導電層51及び151が2層及び3層に積層された例について説明したが、導電層51及び151の層の数は、これに限定されるものでなく、4つ以上であってもよく、いくつであってもよい。
また、前記第1の実施の形態においては、雄コネクタ1の導電層51が表裏逆向きとなるように配設された例について説明し、前記第2の実施の形態においては、雄コネクタ1の導電層51がすべて同一の向きとなるように配設された例について説明したが、これに限定されるものでなく、雄コネクタ1の導電層51は、同一の向きと逆向きとが混在するように配設することもできる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。