JP2015004188A - 緊張材の緊張接続方法及び緊張材の一部交換方法 - Google Patents

緊張材の緊張接続方法及び緊張材の一部交換方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軸線方向に配置された2つの緊張材を接続するとともに、この接続部分で双方の緊張材に緊張力を導入して双方の緊張材に連続する緊張力を導入する。【解決手段】第1の緊張材5a及び第2の緊張材5bの端部に、第1の緊張材保持体11a及び第2の緊張材保持体11bを装着する。これらの緊張材保持体に緊張力導入装置を係止し、双方の緊張材の端部を互いに引き寄せるように緊張力を導入する。互いに対向する第1の緊張材と第2の緊張材の端面間に連結鋼棒14を配置し、双方の緊張材に緊張力が導入された状態で、第1の緊張材及び第2の緊張材と連結鋼棒と連結鋼棒とを、連結鋼棒の両端に予め螺合された接続具15a,15bによって接続する。上記第1の緊張材及び第2の緊張材は、損傷が生じた既存の緊張材の一部を切断除去した後に再び連結する緊張材、又は既存の緊張材と新たに配置した新規緊張材とすることができる。【選択図】図4

Description

本発明は、軸線方向に配置された2つの緊張材を接続するとともに、双方の緊張材に連続するように接続部分で緊張力を導入する緊張材の緊張接続方法、及びこの方法を用いた緊張材の一部交換方法に関するものである。
コンクリート部材にプレストレスを導入するために用いられる緊張材は、一本の長さが大きくなったときや、コンクリート構造物を段階的に形成するときに、接続具によって接続して用いられる。このように接続具を用いて接続された緊張材であっても、一般的に緊張力は接続された緊張材の端部において導入される。しかし、緊張材の端部がコンクリート部材内に埋め込まれている場合、緊張材の端部では他の構造物等によって緊張力を導入するためのジャッキが装着できない場合、既にプレストレスが導入されているプレキャストコンクリート部材を接続してプレストレスを連続するように導入する場合等においては、2つの緊張材を接続する部分で緊張力を導入し、これらを緊張力が連続するように接続することが望まれる場合がある。
例えば、既存のプレストレストコンクリート部材に埋め込まれた緊張材の一部に損傷が生じ、緊張材の一部をはつり出して交換しようとするときには、緊張材の端部を含む大部分がコンクリー部材内に埋め込まれており、交換部分で緊張力を導入することが求められる。
特許文献1には、プレストレスが導入された2つのコンクリート部材の緊張材を接続するともに、接続部分を越えて双方の緊張材間で連続する緊張力を導入する方法が記載されている。
特開平8−209811号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、それぞれのコンクリート部材に配置された緊張材には予め緊張力が導入されており、緊張材の接続部分では特殊定着具を介挿しておく必要がある。このため、緊張材に損傷等が生じたときの補修に用いることができない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸線方向に配置された2つの緊張材を接続するとともに、双方の緊張材に連続するように接続部分で緊張力を導入する方法、及びこの方法を用いて緊張材の一部を交換する方法を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 第1の緊張材と該第1の緊張材の軸線の延長線上において一方の端面が前記第1の緊張材の一方の端面と対向するように配置された第2の緊張材とを接続するとともに、双方の緊張材に連続するように緊張力を導入する緊張材の緊張接続方法であって、 前記第1の緊張材の一方の端部に、該第1の緊張材に軸線方向の力を伝達することができる第1の緊張材保持体を装着し、前記第2の緊張材の一方の端部に、該第2の緊張材に軸線方向の力を伝達することができる第2の緊張材保持体を装着し、 前記第1の緊張材の他方の端部及び前記第2の緊張材の他方の端部は構造部材に定着した状態で、前記第1の緊張材保持体及び前記第2の緊張材保持体の双方に緊張力導入装置を係止して、双方の緊張材の端部を互いに引き寄せるように双方の緊張材に緊張力を導入し、 互いに対向する前記第1の緊張材の端面と前記第2の緊張材の端面との間に連結鋼棒を配置し、 前記第1の緊張材及び前記第2の緊張材に緊張力が導入された状態で、前記連結鋼棒の一端に螺合された第1の接続具によって前記第1の緊張材と該連結鋼棒と接続し、該連結鋼棒の他端に螺合された第2の接続具によって前記第2の緊張材と該連結鋼棒とを接続する緊張材の緊張接続方法を提供する。
この方法では、緊張材のそれぞれに装着された緊張材保持体に緊張力導入装置を係止し、接続しようとする端部で双方の緊張材を引き寄せるように緊張力を導入することができる。緊張力の導入によって緊張材に伸びが生じ、双方の緊張材の対向する端面間の間隔が変動するが、緊張力を導入したときの間隔に合わせて長さを調整した連結鋼棒を介挿することにより、双方の緊張材に緊張力を導入した状態で、連結鋼棒の両端部をそれぞれ緊張材と接続することができる。接続後、緊張力導入装置による引き寄せる力を解放すると、双方の緊張材の緊張力が連結鋼棒を介して互いに伝達され、双方の緊張材に連続して緊張力が導入される。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の緊張材の緊張接続方法において、 前記第1の緊張材保持体と前記第2の緊張材保持体との少なくとも一方は、 円筒状となった外周部に雄ねじが形成され、軸線方向の中空孔内に前記第1の緊張材又は第2緊張材が挿通される雌コーンと、 前記雌コーンの中空孔の内周面と前記第1の緊張材又は第2緊張材の外周面との間に押し入れられるくさび形状の雄コーンと、を有するものであり、 前記緊張力導入装置は、前記雌コーンに係止して緊張材に緊張力を導入するものであり、 前記第1の接続具又は前記第2の接続具は、前記雌コーンの外周部に形成された雄ねじと螺合されるものとする。
この方法では、緊張材が鋼線、鋼より線であっても良いし、鋼棒であって端部にナット等を螺合するためのねじ山が形成されていないものであっても、緊張材保持体を装着して緊張力の導入及び接続を行うことが可能となる。また、緊張材を保持するためにくさび形状の雄コーンが用いられるが、緊張材との間に雄コーンが押し入れられた雌コーンを介して緊張力を導入するので、連結鋼棒を接続して緊張力導入装置による引き寄せる力を解放するときに、緊張材に緩みが生じるのを抑制することができる。
請求項3に係る発明は、 両端が構造部材に定着された一連の緊張材の中間部分の一部を切り取り、 分割された緊張材の一方を第1の緊張材、他方を第2の緊張材として請求項1又は請求項2に記載の緊張材の緊張接続方法を適用し、これらの緊張材に緊張力を導入した状態で接続する緊張材の一部交換方法を提供する。
この方法では、緊張材の中間部分における一部に損傷が生じたときに、この部分を切り取った後、両側の緊張材を接続して一連の緊張材に戻すとともに、接続部分で緊張力を導入し、一連の緊張材に連続した緊張力が導入された状態に復元することができる。
請求項4に係る発明は、 両端が構造部材に定着された一連の緊張材の中間部分の一部を切り取り、 分割された緊張材の一方に、切り取った緊張材に代えて配置した新規緊張材を接続し、 分割された他方の緊張材を第1の緊張材、前記新規緊張材を第2の緊張材として、請求項1又は請求項2に記載の緊張材の緊張接続方法を適用し、分割された双方の緊張材及び前記新規緊張材に緊張力を導入した状態で接続する緊張材の一部交換方法を提供する。
この方法では、緊張材の中間部分における一部に損傷が生じ、この部分を切り取ったときに、この切除部分が長くなっていても切除部分の両側の緊張材を一連の緊張材となるように繋ぐとともに、接続部分で緊張力を導入して一連となった緊張材に連続した緊張力を導入することができる。
請求項5に係る発明は、 両端が構造部材に定着された一連の緊張材の中間部分を切断し、 分割された前記緊張材の一方を除去し、該緊張材に代えて新規緊張材を配置し、 該新規緊張材の、除去した緊張材が定着されていた側の端部を構造部材に定着し、 分割された前記緊張材の他方を第1の緊張材、前記新規緊張材を第2の緊張材として請求項1又は請求項2に記載の緊張材の緊張接続方法を適用し、これらの緊張材に緊張力を導入した状態で接続する緊張材の一部交換方法を提供する。
この方法では、構造部材に配置されている緊張材の一方の端部を含む一部に交換の必要が生じたときに、緊張部材の中間部分で切断し、切断された一方を新たな緊張材と交換して接続するとともに、接続部分で緊張力を導入して一連の緊張材に連続した緊張力を導入することができる。したがって、緊張材を交換した側の端部で、緊張材に緊張力を導入するためのスペースを確保できない場合にも、端部を含む緊張材の一部を交換して緊張材に連続する緊張力が導入された交換前の状態に復元することができる。
以上説明したように、本発明の緊張材の緊張接続方法では、軸線方向に配置された2つの緊張材を接続するとともに、この接続部分で双方の緊張材に緊張力を導入して双方の緊張材に連続して緊張力が導入された状態とすることができる。また、本発明の緊張材の一部交換方法では、構造物に配置された緊張材の一部を切除し、この部分を新たな緊張材に交換した後、接続部分で緊張力を導入して一連の緊張材に再び連続した緊張力が導入された状態に復元することができる。
本願発明の一実施形態である緊張材の一部交換方法によって補修される橋桁の一部を示す概略側面図及び概略断面図である。 本願発明に係る緊張材の緊張接続方法によって接続された緊張材の接続部分の例を示す概略断面図である。 本願発明の一実施形態である緊張材の緊張接続方法によって緊張材に緊張力を導入し、緊張材を接続する工程を示す概略断面図である。 本願発明の一実施形態である緊張材の緊張接続方法によって緊張材に緊張力を導入し、緊張材を接続する工程を示す概略断面図である。 本願発明の一実施形態である緊張材の緊張接続方法によって緊張材に緊張力を導入し、緊張材を接続する工程を示す概略断面図である。 本願発明の他の実施形態である緊張材の一部交換方法によって緊張材の一部を新たな緊張材に交換する工程を示す概略断面図である。 図6示す方法において用いられる緊張材の接続構造を示す概略断面図である。 本願発明の他の実施形態である緊張材の一部交換方法によって緊張材の一部を新たな緊張材に交換する工程を示す概略断面図である。 本願発明の他の実施形態である緊張材の一部交換方法によって緊張材の一部を新たな緊張材に交換する工程を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係る緊張材の一部交換方法によって補修される橋桁の一部を示す概略側面図及び概略断面図である。
この橋桁1は、プレストレストコンクリートからなるものであり、断面は図1(b)に示すように上床版2と下床版3とこれらを上下に連結するウェブ4とで構成されている。そして、橋桁1の軸線方向にプレストレスを導入するための緊張材5がコンクリート部材内に埋め込むように配置されている。
上記緊張材5の一部に損傷部分があるときに、本発明の一実施形態である緊張材の一部交換方法を適用することができるものであり、この方法によって損傷部分を切除し、再び一連の緊張材に復元して緊張力を導入する工程について、次に説明する。
図1に示すように、緊張材5の損傷部分5cは、コンクリートをはつって緊張材を露出させる。そして、図3(a)に示すように損傷部分5cを切断して除去する。切断することによって分離された緊張材の双方5a,5bを接続して緊張力を導入するには、本願発明に係る緊張材の緊張接続方法を適用することができ、その一実施形態によって双方の緊張材5a,5bは図2に示すように接続することができる。
なお、上記緊張材5a,5bは、鋼棒であっても良いし、鋼線又は鋼より線であっても良い。
それぞれの緊張材5a,5bには緊張材保持体11a,11bが装着されており、この緊張材保持体11a,11bは、内側に緊張材5が挿通される筒状の雌コーン12と、この雌コーン12と緊張材5との間に押し入れられるくさび形状の雄コーン13とを有するものである。雄コーン13は緊張材5の切断端面側から雌コーン12内に押し入れられ、雌コーン12を緊張材5の切断端面側に移動させようとすると、くさび形状の雄コーン13が雌コーン12の内周面と緊張材5との間に強く押し入れられる。したがって、雌コーン12を介して緊張材5を保持し、緊張材5に緊張力を導入することが可能となるものである。
切断することによって分離された緊張材5a,5bの双方の対向する端面間には、切除した緊張材5cに代えて、両端部にねじ山が形成された連結鋼棒14が配置されている。そして、連結鋼棒14の両端部が上記緊張材保持体11の雌コーン12とそれぞれ接続されている。接続には、カプラー15が用いられ、該カプラー15の両端部にはそれぞれ互いに径が異なる雌ねじが形成されている。そして、緊張材5に装着された緊張材保持体11の雌コーン12の外周面に形成されたねじ山12cと上記カプラー15の一方の端部付近に形成された雌ねじとが螺合され、カプラー15の他方の端部付近に形成された雌ねじが連結鋼棒14の端部に形成されたねじ山と螺合されることによって緊張材5a,5bと連結鋼棒14とが接続されている。
上記緊張材保持体11、連結鋼棒14及びカプラー15を用いて緊張材5a,5bを接続する工程は、まず、図3(b)に示すように、切断して分離された双方の緊張材5a,5bの端部付近に緊張材保持体11a,11bを装着する。そして、図4(a)に示すように緊張力導入装置である引き寄せジャッキ16を用い、この引き寄せジャッキの2つのアーム16a,16bを双方の緊張材5a,5bに装着された緊張材保持体11a,11bの雌コーン12a,12bに、切断端面と反対側から係止する。上記引き寄せジャッキ16は、油圧によって2つのアーム16a,16bが互いに接近するように動作させることができるものである。この引き寄せジャッキ16の作動によって、緊張材保持体11a,11bとともに双方の緊張材5a,5bの端部を互いに引き寄せ、双方の緊張材5a,5bに緊張力を導入する。このとき、緊張力の導入によって緊張材5a,5bには伸びが生じ、双方の緊張材5a,5bの端面は互いに接近する。
緊張力が導入された状態を維持したまま、図4(b)に示すように双方の緊張材5a,5bの端面間に連結鋼棒14を配置する。この連結鋼棒14は、双方の緊張材5a,5bに伸びが生じた状態で両端面が双方の緊張材5a,5bの切断端面と接触又は近接して対向するように長さを調整したものである。そして、この連結鋼棒14の両端部にはカプラー15a,15bを螺合しておき、連結鋼棒14を双方の緊張材5a,5bの端面間に配置することができるように深くねじり合わせておく。この連結鋼棒14を双方の緊張材5a,5bの軸線の延長線上に配置した状態で双方のカプラー15a,15bを回転し、図5(a)に示すように2つのカプラー15a,15bを、双方の緊張材5a,5bに装着された雌コーン12a,12bの外周面に形成されたねじ山とねじり合わせる。
このように連結鋼棒14の両端部がそれぞれ緊張材5a,5bと接続されると、引き寄せジャッキ16の引き寄せる力を解放する。これによって、導入された緊張力は連結鋼棒14を介して双方の緊張材5a,5b間で伝達され、双方の緊張材5a,5bに連続した緊張力が導入された状態となる。緊張力が導入された緊張材5a,5bは必要に応じて防錆処理等を行った後、図5(b)に示すように新たに打設するコンクリート17に埋め込んで橋桁を修復する。
このように緊張材5a,5bを緊張し、接続することによって既存の緊張材の損傷部分を連結鋼棒14に置き換えるとともに、切断した緊張材を再び一連の緊張材として機能するように接続して連続した緊張力を導入することができる。
次に、緊張材の損傷部分が広い範囲に及び、緊張材の長い部分を切除した場合における緊張材の一部交換方法について説明する。
この方法においても、図6(a)に示すように緊張材20に損傷が生じている部分のコンクリートをはつって緊張材20を露出させる。そして、緊張材20の損傷が生じている部分20cを切除する。このとき、緊張材が露出される部分、切除する部分は図1に示す例より長くなっている。
切除によって分離された緊張材の一方20bには、図6(b)に示すように切除した緊張材に代えて新規緊張材29を接続する。新規緊張材29としては鋼棒を用いることができ、一方の緊張材20bと接続する端部にはねじ山29bを設けておく。そして、接続には図2に示す例における連結鋼棒14と緊張材5との接続に用いた緊張材保持体11及びカプラー15と同様のものを用いることができる。つまり、図7(a)に示すように分離された一方の緊張材20bに緊張材保持体21bを装着する。そして、新規緊張材29の端部に形成されたねじ山29bにはカプラー25bの一方の端部を螺合するとともに、他方の端部を緊張材保持体21bが有する雌コーン22bの外周面に形成されたねじ山と螺合する。
新規緊張材29は、一方の緊張材20bと上記のように接続したときに、他端と他方の緊張材20aの端面との間隔が所定の値の範囲となるように長さを調整しておく。所定の値の範囲は、該新規緊張材29と他方の緊張材20aとに緊張材保持体を装着して引き寄せジャッキ16で引き寄せることができる範囲で設定するものである。
新規緊張材29の他端にもねじ山29aを形成しておき、この新規緊張材29の他端に緊張材保持体として、図7(b)に示すようにナット26を螺合する。一方、他方の緊張材20aには、図2に示す例と同様に雌コーン22aと雄コーン23aとを有する緊張材保持体21aを装着する。上記新規緊張材29に装着されたナット26と他方の緊張材20aに装着された緊張材保持体21aとに2つのアーム16a,16bを係止して引き寄せジャッキ16を装着し、新規緊張材29と緊張材20aとを引き寄せる。これにより、新規緊張材29を介して双方の緊張材20a,20bに緊張力が導入される。引き寄せジャッキ16によって緊張力が導入されている状態で、新規緊張材29の端面と他方の緊張材20aの端面との間に連結鋼棒24を配置し、連結鋼棒24の両端部にそれぞれ予め螺合しているカプラー25a,25cによって連結鋼棒24の両端を他方の緊張材20a及び新規緊張材29と接続する。連結鋼棒24と他方の緊張材20aとを接続するためのカプラー25aは、図2に示す例で用いられるカプラー15と同様のものを用いることができ、回転して他方の緊張材20aに装着された緊張材保持体21aの雌コーン22aに形成されたねじ山と螺合することができる。また、連結鋼棒24と新規緊張材29とを接続するためのカプラー25cは、連結鋼棒24と新規緊張材29とに同径の鋼棒を用いているので長さ方向に一様な内径を有する長ナット状のカプラーを用いることができる。
このように双方の緊張材20a,20bを新規緊張材29及び連結鋼棒24を介して一連の緊張材として機能するように接続し、引き寄せジャッキ16による引き寄せる力を解放すると、双方の緊張材20a,20bと新規緊張材29と連結鋼棒24とに連続する緊張力が導入される。
次の本発明に係る緊張材の一部交換方法の他の実施形態について説明する。
この方法は、図8(a)に示すように橋脚32上に一方の端部が支持された橋桁31の端部31aに損傷が生じ、端桁の端部における緊張材33を交換するともに橋桁31の端部のコンクリートを打ち直そうとするものである。
橋桁31は、図8(b)に示すように仮支柱34等を設けて支持し、端部を粉砕して除去する。また、配置されている緊張材33は健全な部分のコンクリートから一部が突き出した状態として端部を切断し、除去する。そして、図9(a)に示すように修復する橋桁31の端部に型枠35を組み立て、必要な鉄筋(図示しない)を配置するとともに、切除した緊張材に代えて新規緊張材36を配置する。このとき新規緊張材36は、既存の緊張材33の延長線上に配置し、既存の緊張材33の切断端面と新規緊張材36の対向する端面との間隔を所定の範囲となるように調整しておく。また、新規緊張材36は、周囲を覆うように筒状のシースを装着した状態で配置し、橋桁の端部に打設されるコンクリートと付着しないようにする。そして、既存の緊張材33及び新規緊張材36の互いに接続する端部付近は打設するコンクリートから露出するように型枠37を設ける。
橋桁の端部を修復するコンクリート31bを打設し、コンクリートが硬化した後、上記新規緊張材36と既存の緊張材33に緊張力を導入するとともに、新規緊張材36と既存の緊張材33とを接続する。緊張力の導入は、橋桁の端部では隣接する橋桁38によって行うことができない状態となっている。
緊張力の導入及び接続は、新規緊張材36として鋼棒を用いるときには、図7に示す例と同様に新規緊張材36及び既設の緊張材33に緊張力を導入し、接続することができる。つまり、新規緊張材36の既設の緊張材33と接続する端部33aにねじ山を形成しておき、このねじ山に螺合したナット41を緊張材保持体とすることができる。また、既存の緊張材33には図7に示す例と同様に雄コーンと雌コーンとを有する緊張材保持体42を装着することができる。これらのナット41及び緊張材保持体42に2つのアームが係止されるように引き寄せジャッキを装着し、緊張力の導入、連結鋼棒43の配置及びカプラー44,45による接続を行うことができる。
一方、新規緊張材36として鋼より線が用いられるときには、図2に示す例と同様に新規緊張材にも雄コーンと雌コーンとを有する緊張材保持体を装着し、該緊張材保持体と既存の緊張材に装着された緊張材保持体とに引き寄せジャッキの2つのアームを係止して緊張力の導入、連結鋼棒の配置及び接続を行うことができる。
本発明に係る緊張材の緊張接続方法及び緊張材の一部交換方法は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において他の形態で実施することができる。
例えば、本発明に係る緊張材の緊張接続方法は、緊張材の一部を交換する場合以外にも、コンクリート部材に配置された緊張材の両端部において緊張力の導入ができない場合、二つのコンクリート部材に配置された緊張材を接続するとともに接続部分で緊張力を導入して2つのコンクリート部材を結合する場合等においても適用することができる。
また、緊張材保持体は、緊張材の接続する端部にねじ山が形成されていないときに、雌コーンと雄コーンとを有するものを用いたが、この他に、外周面にねじ山が形成された筒状の部材を用い、この筒状部材の中空孔に緊張材を挿入して中空孔の内周面と緊張材との間にモルタル・合成樹脂等を充填して固着させるもの等を採用することもできる。
1:橋桁, 2:上床版, 3:下床版, 4:ウェブ, 5:緊張材,
11:緊張材保持体, 12:雌コーン, 13:雄コーン, 14:連結鋼棒, 15:カプラー, 16:引き寄せジャッキ, 17:新たに打設するコンクリート,
20:緊張材, 21:緊張材保持体, 22:雌コーン, 24:連結鋼棒, 25:カプラー, 26:ナット, 29:新規緊張材,
31:橋桁, 32:橋脚, 33:緊張材, 34:仮支柱, 35:型枠, 36:新規緊張材, 37:型枠, 38:隣接する橋桁,
41:ナット, 42:緊張材保持体, 43:連結鋼棒, 44:カプラー, 45:カプラー

Claims (5)

  1. 第1の緊張材と該第1の緊張材の軸線の延長線上において一方の端面が前記第1の緊張材の一方の端面と対向するように配置された第2の緊張材とを接続するとともに、双方の緊張材に連続するように緊張力を導入する緊張材の緊張接続方法であって、
    前記第1の緊張材の一方の端部に、該第1の緊張材に軸線方向の力を伝達することができる第1の緊張材保持体を装着し、前記第2の緊張材の一方の端部に、該第2の緊張材に軸線方向の力を伝達することができる第2の緊張材保持体を装着し、
    前記第1の緊張材の他方の端部及び前記第2の緊張材の他方の端部は構造部材に定着した状態で、前記第1の緊張材保持体及び前記第2の緊張材保持体の双方に緊張力導入装置を係止して、双方の緊張材の端部を互いに引き寄せるように双方の緊張材に緊張力を導入し、
    互いに対向する前記第1の緊張材の端面と前記第2の緊張材の端面との間に連結鋼棒を配置し、
    前記第1の緊張材及び前記第2の緊張材に緊張力が導入された状態で、前記連結鋼棒の一端に螺合された第1の接続具によって前記第1の緊張材と該連結鋼棒と接続し、該連結鋼棒の他端に螺合された第2の接続具によって前記第2の緊張材と該連結鋼棒とを接続することを特徴とする緊張材の緊張接続方法。
  2. 前記第1の緊張材保持体と前記第2の緊張材保持体との少なくとも一方は、
    円筒状となった外周部に雄ねじが形成され、軸線方向の中空孔内に前記第1の緊張材又は第2緊張材が挿通される雌コーンと、
    前記雌コーンの中空孔の内周面と前記第1の緊張材又は第2緊張材の外周面との間に押し入れられるくさび形状の雄コーンと、を有するものであり、
    前記緊張力導入装置は、前記雌コーンに係止して緊張材に緊張力を導入するものであり、
    前記第1の接続具又は前記第2の接続具は、前記雌コーンの外周部に形成された雄ねじと螺合されるものであることを特徴とする請求項1に記載の緊張材の緊張接続方法。
  3. 両端が構造部材に定着された一連の緊張材の中間部分の一部を切り取り、
    分割された緊張材の一方を第1の緊張材、他方を第2の緊張材として請求項1又は請求項2に記載の緊張材の緊張接続方法を適用し、これらの緊張材に緊張力を導入した状態で接続することを特徴とする緊張材の一部交換方法。
  4. 両端が構造部材に定着された一連の緊張材の中間部分の一部を切り取り、
    分割された緊張材の一方に、切り取った緊張材に代えて配置した新規緊張材を接続し、
    分割された他方の緊張材を第1の緊張材、前記新規緊張材を第2の緊張材として、請求項1又は請求項2に記載の緊張材の緊張接続方法を適用し、分割された双方の緊張材及び前記新規緊張材に緊張力を導入した状態で接続することを特徴とする緊張材の一部交換方法。
  5. 両端が構造部材に定着された一連の緊張材の中間部分を切断し、
    分割された前記緊張材の一方を除去し、該緊張材に代えて新規緊張材を配置し、
    該新規緊張材の、除去した緊張材が定着されていた側の端部を構造部材に定着し、
    分割された前記緊張材の他方を第1の緊張材、前記新規緊張材を第2の緊張材として請求項1又は請求項2に記載の緊張材の緊張接続方法を適用し、
    これらの緊張材に緊張力を導入した状態で接続することを特徴とする緊張材の一部交換方法。
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