JP2015004036A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種機械装置のチェーン部等の極めて高温の厳しい実機環境下に適用した場合であっても、殆どスラッジ化せず、かつ長時間連続運転する場合において自動給油が可能な分散安定性や再分散性に優れる潤滑油組成物を提供する。【解決手段】ポリオールエステルを基油とし、ポリブテンと、金属系分散剤と、グラファイトと、ハードケーキ防止剤とを含有し、ポリブテンは、その数平均分子量が900以上1350以下であり、そのポリブテンの含有量が潤滑油組成物全量基準で1質量%以上30質量%以下であり、金属系分散剤の含有量がグラファイト100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であり、ハードケーキ防止剤の含有量が潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上0.5質量%以下である潤滑剤組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関し、より詳しくは、連続式スチーマー、焼成オーブン、ヒートセッターテンター等の各種機械装置のチェーン部等に対する潤滑油として使用し、使用する温度範囲として極めて高温の200℃を超えて250℃程度の環境下での使用に好適な潤滑油組成物に関する。
ポリオールエステルを基油とした潤滑油は、固化時間(流動性を失う時間)が比較的長く、蒸発損失も低いので、熱安定性に優れている。このため、この種の潤滑油は、連続式スチーマー、焼成オーブン、ヒートセッターテンター等の各種乾燥装置の開放系チェーン部等に適用され、200℃前後の高温で使用される潤滑油として各種商品化されている。
本発明者は、既に、特許文献1や特許文献2に開示しているように、ポリオールエステルや芳香族エステルを基油として、種々の酸化防止剤等を配合することで、これらの高温での使用に適した潤滑油を提案している。
しかしながら、使用条件の過酷化は更に進みつつあり、搬送チェーンのピン及びブッシュ間の摩耗面でチェーン寿命の問題が見られる場合がある。例えば、製パン工場の搬送チェーンでは、雰囲気温度が250℃付近の環境でチェーン潤滑が要求され、なおかつ長期的に固体潤滑剤を含有しないタイプの潤滑剤を使用することでチェーン寿命が短くなることにならないことも要求されている。
これらのような厳しい要求に応えるために、ポリオールエステルを基油とした潤滑油を使用する場合であっても、完全な金属間摩耗を防止すること、つまり油膜切れを防止することは200℃を越える高温下では限界があり、混合潤滑領域から境界潤滑領域に移行するには、固体潤滑剤による摩耗防止が必要であると考えられている。
このため、連続式スチーマー、焼成オーブン、ヒートセッターテンター等の各種機械装置における高温の開放系チェーン部等に適用した場合であっても、摩耗防止性に優れる固体潤滑剤を含有する潤滑油、特にグラファイトを含有する潤滑油が求められている。
なお、このような要求を満たすために種々の固体潤滑剤が検討され、例えば、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、炭酸カルシウム、メラミンシアヌレート、窒化ホウ素、タルク等も有効であると考えられた。
しかしながら、例えば二硫化モリブデンでは、約350℃で三酸化モリブデンとなってしまうため、潤滑性を失ってしまうという問題がある。また、ポリテトラフルオロエチレンでは、260℃以上でポリマーフューム熱の原因となる粒子状物質が発生し、約400℃で有毒なフッ化水素及びフッ化カルボニルが発生するという問題がある。また、メラミンシアヌレートでは、燃焼時に有毒なシアンガスが発生し、その他の固体潤滑剤では、潤滑効果が確認されていない等、何れも上述した要求を一気に解決できていないのが現状である。
このような実情から、高温かつ荷重状態での各種機械装置のチェーン部において、安定して使用することができるグラファイト含有耐熱性潤滑油の開発が切望されている。しかしながら、油中、特にエステル油中にグラファイトを分散させる技術は、市場でも見かけられず非常に困難な技術であり、エステル油にグラファイトを配合した潤滑剤は散見されるものの、グラファイトが一旦沈降してしまうと再度分散しないといったように、自動給油装置を用いて自動給油するには不向きな潤滑油が多い。
特開2009−263462号公報 特開2011−184604号公報
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、各種機械装置のチェーン部等の極めて高温の厳しい実機環境下に適用した場合であっても、殆どスラッジ化せず、かつ長時間連続運転する場合においても自動給油が可能な分散安定性や再分散性に優れる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオールエステルを基油とし、所定分子量のポリブテンと、金属系分散剤と、グラファイトと、ハードケーキ防止剤とを、それぞれ所定の割合で含有させた潤滑油組成物とすることで、高温環境下でもスラッジ化せずに、また自動給油が可能な分散安定性や再分散性に優れるものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る潤滑油組成物は、ポリオールエステルを基油とし、ポリブテンと、金属系分散剤と、グラファイトと、ハードケーキ防止剤とを含有し、前記ポリブテンは、その数平均分子量が900以上1350以下であり、該ポリブテンの含有量は、潤滑油組成物全量基準で1質量%以上30質量%以下であり、前記金属系分散剤の含有量は、グラファイト100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であり、前記ハードケーキ防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする。
ここで、前記ポリオールエステルは、その酸成分が3,5,5−トリメチルヘキサン酸を主成分とするものであることが好ましい。また、アルコール成分が多価アルコールであることが好ましい。
また、前記金属系分散剤は、金属スルフォネートであることが好ましい。
また、前記グラファイトは、天然グラファイト又は人造グラファイトであることが好ましい。
また、前記ハードケーキ防止剤は、有機ベントナイトであることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物では、各種機械装置のチェーン部等の極めて高温の環境下においても、殆どスラッジ化せず、かつ長時間連続運転する場合であっても自動給油が可能な分散安定性や再分散性に優れる。したがって、例えば、連続式スチーマー、焼成オーブン、ヒートセッターテンター等の各種乾燥機のチェーン部等に適用され、特に150℃〜250℃程度の高温実機環境下で用いられる潤滑油として好適に用いることができる。
以下、本発明に係る潤滑油組成物の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
本実施の形態に係る潤滑油組成物は、ポリオールエステルを基油とし、さらにポリブテンと、金属系分散剤と、グラファイトと、ハードケーキ防止剤とを含有してなる潤滑油組成物である。
そして、この潤滑油組成物は、ポリブテンが、その数平均分子量で900以上1350以下のものであり、潤滑油組成物全量基準で1質量%以上30質量%以下の割合で含有されてなる。また、金属系分散剤は、グラファイト100質量部に対して1質量部以上5質量部以下の割合で含有されてなる。また、ハードケーキ防止剤は、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上0.5質量%以下の割合で含有されてなる。
このような構成からなる潤滑油組成物によれば、各種機械装置のチェーン部等の極めて高温の環境下において適用した場合であっても、殆どスラッジ化せず、かつ長時間連続運転する場合でも自動給油が可能な優れた分散安定性や再分散性を発揮する。特に、開放系で200℃〜250℃程度の高温実機環境下において、潤滑性を維持して好適に用いることができる。
以下、潤滑油組成物を構成する各成分について、より具体的に説明する。
(基油)
本実施の形態に係る潤滑油組成物は、その基油として、ポリオールエステルを含有する。このポリオールエステルは、固化し難く、蒸発損失が少なく、高温安定性に優れており、引火点が高い等の特性を有する。
ポリオールエステルとしては、従来から高温用潤滑油の基油として用いられてきたものを用いることができ、その中でも、特にアルコール成分が多価アルコールであるものが好ましい。具体的に、その多価アルコールとしては、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール等であるポリオールエステルが好適に用いられる。
また、ポリオールエステルの酸成分としては、特に限定されないが、その大部分がイソノナン酸(3,5,5−トリメチルヘキサン酸)により構成されるものであることが好ましい。このイソノナン酸は、耐熱性に優れており、酸成分の主成分として好適に用いることができる。また、イソノナン酸を主成分として、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸等から選ばれる酸をさらに含有する混合物を酸成分とするポリオールエステルであることが特に好ましい。
ここで、基油に求められる粘度グレードとしては、好ましくはISOグレードのVG220又はVG320であり、この粘度グレードを満たすという観点からすると、アルコール成分がジペンタエリスリトール又はペンタエリスリトールであり、酸成分が炭素数7〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸であるポリオールエステルが好ましい。
上述したようなポリオールエステルは、イソステアリン酸やオレイン酸等の長鎖脂肪酸を組み合わせたものとして市販されており、引火点が高いものも存在する。ただし、加熱後にスラッジが若干発生し、ワニス状となってチェーン清掃の煩雑さを生じさせる傾向にある。そこで、加熱後の発生スラッジ量が限りなく0に近いポリブテンを配合させることによって、スラッジの発生を抑えることができる。ポリブテンについては、後述する。
ポリオールエステルの含有量としては、特に限定されるものではなく、一般的に使用される含有量の範囲とすることができ、また他の構成成分の含有量に応じて適宜決定することができるが、例えば潤滑油組成物の全量基準で60〜90質量%程度の範囲とすることができる。基油としてのポリオールエステルの含有量が少なすぎると、相対的に他の成分の含有量が多くなって、粘性の上昇や引火点の低下につながる可能性がある。一方で、基油としてのポリオールエステルの含有量が多すぎると、適正な粘度とならずスラッジ量が増加する可能性がある。
(ポリブテン)
ポリブテンは、二重結合を有するブテン類の重合によって得られる液状の低重合体であり、耐熱性に優れている。本実施の形態に係る潤滑油組成物では、このポリブテンを含有させることによって、発生するスラッジ量を効果的に極小化することができる。
本実施の形態に係る潤滑油組成物では、このポリブテンとして、その数平均分子量が900以上1350以下のものを含有させる。ポリブテンの数平均分子量が900未満であると、増粘効果が期待できない。また、引火点が200℃未満となり、高温環境下での使用に適さなくなり、さらに危険物分類が第4類第3石油類になる可能性がある。一方で、数平均分子量が1350を越えると、基油のポリオールエステルに溶解し難くなり、白濁が生じる。
なお、数平均分子量が900以上1350以下のポリブテンとしては、例えば、日油株式会社製のニッサンポリブテン10N(商品名)等の市販品を用いることができる。
また、ポリブテンの含有量としては、潤滑油組成物の全量基準で、1質量%以上30質量%以下の割合とする。ポリブテンの含有量が1質量%未満であると、増粘効果が十分に得られずスラッジ量が増加する。一方で、ポリブテンの含有量が30質量%を超えると、粘度が高くなり過ぎてしまい、後述する固体潤滑剤であるグラファイトの分散安定性を損ね、また潤滑油適用部位に対して自動給油させ難くなる。
(金属系分散剤)
金属系分散剤は、後述する固体潤滑剤であるグラファイトを潤滑油中で分散させ、潤滑性能を高めるとともに、この潤滑油組成物の自動給油を可能にする。
この金属系分散剤としては、特に限定されないが、例えば中性アルキルナフタレンナトリウムスルフォネート、中性アルキルベンゼンカルシウムスルフォネート及び過塩基性アルキルベンゼンカルシウムスルフォネート、中性アルキルナフタレンカルシウムスルフォネート、中性アルキルベンゼンマグネシウムスルフォネート、中性アルキルベンゼンバリウムスルフォネート、中性アルキルナフタレンバリウムスルフォネート等の金属スルフォネートを好適に用いることができる。これらの中でも、中性アルキルベンゼンナトリウムスルフォネートが特に好ましい。
金属系分散剤の含有量としては、グラファイト100質量部に対して1質量部以上5質量部の割合で含有する。金属系分散剤の含有量がグラファイト100質量部に対して1質量部よりも少なくなると、グラファイトの分散性が悪くなる。一方で、グラファイト100質量部に対して5質量部よりも多くなると、グラファイトの分散性は変わらないものの、スラッジ量が多くなり引火点を低下させ、高温環境下での使用に適さなくなるため好ましくない。
(グラファイト)
グラファイトは、固体潤滑剤として用いられるものであり、潤滑性能を付与し、各種機械装置のチェーン部等の潤滑油適用部位の長寿命化に寄与する。
このグラファイトとしては、天然グラファイト、人造(合成)グラファイトのいずれを用いてもよい。その中でも、比較的粒径が小さく、例えば平均粒径が4μm程度のものを用いることが好ましく、特に、そのような比較的粒径の小さい天然グラファイトを用いることがより好ましい。
なお、人造グラファイトは、例えば、コークスをタール、ピッチ等によって固めて1200℃程度の温度で一度焼成してから、黒鉛化炉等に投入して2000〜3000℃程度の高温で焼成することにより製造することができる。
グラファイトの含有量としては、特に限定されないが、例えば潤滑油組成物の全量基準で、5質量%以上15質量%以下の割合とすることができる。グラファイトの含有量が少なすぎると、潤滑油組成物の潤滑性が十分に得られない可能性がある。一方で、グラファイトの含有量が多すぎると、粘性が上昇してしまい適正な粘度とならないことがある。
(ハードケーキ防止剤)
ハードケーキ防止剤(ハードケーキ化防止剤)は、上述したグラファイトのハードケーキ化を防止して、分散安定性と再分散性を高めるとともに潤滑性能を維持させる。
ハードケーキ防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えば有機ベントナイト、二酸化珪素、金属石けん、セピオライト等が挙げられる。その中でも、有機ベントナイトを用いることが特に好ましい。
ハードケーキ防止剤の含有量としては、潤滑油組成物の全量基準で、0.1質量%以上0.5質量%以下の割合で含有する。ハードケーキ防止剤の含有量が0.1質量%未満であると、含有させたグラファイトがハードケーキ化してしまい、分散安定性が損なわれるとともに潤滑性が低下する。一方で、含有量が0.5質量%よりも多くなると、粘性抵抗が多くなり自動給油をさせ難くするため好ましくない。
(その他の添加剤)
なお、本実施の形態に係る潤滑油組成物は、上述した成分のほかに、その目的に応じて、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、耐摩擦摩耗添加剤、極圧添加剤、油性剤等を添加することができる。なお、これら各種の添加剤の含有量についても、それぞれ要求される性能に応じて任意に定めることができるが、上述した構成成分の性能を損なわない範囲とする。
(潤滑油組成物の作製)
本実施の形態に係る潤滑油組成物は、通常の潤滑油組成物の作製方法と同様にして作製することができる。
具体的には、例えば、基油のポリオールエステル中に、上述した各成分を所定量添加配合させ、さらに必要に応じてその他の添加剤を加えて撹拌混合する。撹拌に際しては、公知の撹拌機等を用いることができ、基油中に各成分を撹拌混合してプレ分散させた後に、コロイドミルを用いて再分散する。このように、特に複雑な工程や作製条件の管理等を必要とせず、比較的安価な装置を用いて潤滑油組成物を作製することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る潤滑油組成物は、ポリオールエステルを基油とし、ポリブテンと、金属系分散剤と、グラファイトと、ハードケーキ防止剤とを含有してなるものである。そして、そのポリブテンは、その数平均分子量が900以上1350以下のものであって、その含有量としては、潤滑油組成物全量基準で1質量%以上30質量%以下の範囲とする。また、金属系分散剤の含有量としては、グラファイト100質量部に対して1質量部以上5質量部以下の範囲とする。また、ハードケーキ防止剤の含有量としては、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲とする。
このように、本実施の形態に係る潤滑油組成物では、基油とするポリオールエステルに添加する各成分と、それぞれの成分の相互の関係からの配合量(含有量)が重要となる。この潤滑剤組成物によれば、極めて高温の環境下においても、殆どスラッジ化せず、また固体潤滑剤のグラファイトに対して優れた分散安定性と再分散性を有し、長時間連続運転する場合であっても自動給油が可能となる。特に、各種機械装置のチェーン部等の、開放系で200℃〜250℃程度の高温実機環境下において、潤滑性を維持しながら好適に用いることができる。
以下に本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
≪実施例1〜5、比較例1〜6≫
下記表1に示す組成となるように、実施例1〜5及び比較例1〜6の潤滑油組成物を作製した。具体的には、各成分を下記表1に示す配合量(質量%)となるように秤量し、それらを基油のポリオールエステルに添加して撹拌機で混合し、その後、コロイドミルを使用して再分散させて各試料を作製した。
≪潤滑油組成物の各成分≫
本実施例では、潤滑油組成物の各成分として以下の材料を使用した。
『ポリオールエステル(基油)』:EMKARATE RL68H(Lubrizol社製)
『ポリブテン』:ニッサンポリブテン10N(日油株式会社製、数平均分子量1000)
『金属系分散剤』:中性ナトリウムスルフォネート(モレスコアンバーSN−60、モレスコ社製)
『グラファイト』:TIMREX KS−6(ティムカル社製、人造グラファイト(平均粒径4μm))
『ハードケーキ防止剤』:エスベン(ホージュン社製)
『その他添加剤』:酸化防止剤(IPGANOX L135、BASF社製)
≪潤滑油の評価≫
本実施例では、実施例1〜5及び比較例1〜6にて作製した潤滑油組成物についての評価として、「スラッジ量」、「スラッジ硬さ」、「粘度」、「分散安定性」、「再分散性」を項目に挙げて評価した。各項目の評価は、それぞれ以下のようにして行った。
(スラッジ量)
スラッジ量の評価は、アルミ皿蒸発試験を用いて行った。具体的には、先ず、直径6cm×厚さ1cmのアルミニウム製板の中央部を凹状に切削した皿に、作製した各試料油(潤滑油)をそれぞれ0.2g採取して載せ、250℃のパネルヒーター上で連続して加熱した。8時間後に皿に載せた各試料油を確認し、加熱減量して流動しなくなり(固化して)残ったスラッジの量(試料全量に対する質量%)を求め、この皿上に生じたスラッジの量から潤滑油組成物に配合させたグラファイト量を差し引いた質量を「スラッジ量(質量%)」とした。
(スラッジ硬さ)
スラッジ硬さの評価は、上述したスラッジ量の評価で皿上に生じたスラッジの硬さを評価した。スラッジの硬さは、発生したスラッジをスパテュラで擦り取ったときの触感で判断し、“かなり軟らかい”場合を「1」とし、“やや軟らかい”場合を「2」とし、“普通”の場合を「3」とし、“やや硬い”場合を「4」とし、“かなり硬い”場合を「5」とする、5段階で評価した。なお、発生したスラッジは、例えば各種機械装置のチェーン部等に堆積した場合、その硬さが硬いほどハンマリングによる除去掃除が困難となる。
(粘度)
粘度(mPs・s)の評価は、E型粘度計を使用し、温度40℃、回転数20rpmの測定条件で測定し、評価した。
(分散安定性)
分散安定性の評価は、試料油を、[温度−21℃×2h15min、70℃×4h15min、−21℃×2h15min、70℃×15h15min]を1サイクルとして、これを7サイクルの温度環境に暴露したときの試料油の変化を目視で観察して行った。目視観察の結果、変化無しの場合は「○」、変化ありの場合は「×」とした。なお、ここでは、試料油の上部にクリアー層が確認されたときに“変化あり”とした。
(再分散性)
再分散性の評価は、容量500gの缶内に各試料油を400g採取し、3ヶ月間室温放置した後に、その缶を30回振って沈殿物の生成の有無を確認することで行った。沈殿物が生成していなければ「○」、沈殿物が生成していれば「×」と評価した。
≪結果≫
下記表1に、実施例1〜5及び比較例1〜6にて作製した潤滑油組成物についての評価結果を示す。
Figure 2015004036
表1に示す評価結果から分かるように、各成分の含有量がそれぞれ一定の範囲内である(本発明に係る組成範囲とした)実施例1〜5の潤滑油組成物では、250℃の極めて高温の厳しい環境下においても殆どスラッジが発生せず、また適度な粘度を有していた。さらに、潤滑性能を付与するグラファイトは沈降することなく、また沈殿物も生じさせず、優れた分散安定性と再分散性を有しており、高温環境下で長時間連続運転する場合においても自動給油が可能であることが分かった。
一方で、成分の含有量が一定の範囲外とした比較例1〜6では、スラッジ量、分散安定性、再分散性の何れかの評価において不良となるものであった。
すなわち、比較例1では、金属系分散剤の含有量が少なかったために、グラファイトが沈降してしまい、分散安定性が不良となった。また、比較例2では、金属系分散剤の含有量が多かったために、グラファイトは分散したものの、硬いスラッジが多量に発生し、また沈殿物を形成してしまい、再分散性がなく自動給油が不可能なものであった。
また、比較例3では、金属系分散剤の含有量は実施例と同程度としたものの、ハードケーキ防止剤である有機ベントナイトの含有量が少なかったために、グラファイトがハードケーキ化し、硬いスラッジを生じさせたとともに沈殿物を形成し、再分散性が不良なものであった。また、比較例4では、有機ベントナイトの含有量が多かったために、粘性を上昇させてしまい、粘度が高い潤滑油となり、グラファイトの分散性を悪化させた。
また、比較例5では、ポリブテンを含有させたものの、その含有量が非常に多かったために、粘性を上昇させてしまい、粘度が高い潤滑油となり、グラファイトの分散性が不良なものとなった。また、比較例6では、適度な粘度となり、グラファイトの分散性安定性、再分散性は良好であったものの、ポリブテンを含有させていないことから、非常に多量の、硬いスラッジを発生させた。

Claims (5)

  1. ポリオールエステルを基油とし、ポリブテンと、金属系分散剤と、グラファイトと、ハードケーキ防止剤とを含有し、
    前記ポリブテンは、その数平均分子量が900以上1350以下であり、該ポリブテンの含有量は、潤滑油組成物全量基準で1質量%以上30質量%以下であり、
    前記金属系分散剤の含有量は、グラファイト100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であり、
    前記ハードケーキ防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上0.5質量%以下である
    ことを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 前記ポリオールエステルは、その酸成分が3,5,5−トリメチルヘキサン酸を主成分とするものであり、アルコール成分が多価アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記金属系分散剤は、金属スルフォネートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記グラファイトは、天然グラファイト又は人造グラファイトであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
  5. 前記ハードケーキ防止剤は、有機ベントナイトであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
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