JP2015003522A - 造形装置 - Google Patents

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【課題】層状構造体が積層されてなる立体の形状の精度を高めることが可能な造形方法を提供する。【解決手段】層状構造体を有する立体の造形方法は、硬化性を有した液状層を第1基板の描画領域に描画する描画工程(ステップS20)と、液状層を半硬化させる半硬化工程(ステップS30)と、液状層に第2基板を接触させた状態で該液状層を本硬化させる本硬化工程(ステップS40)と、第1基板と第2基板との間隔を広げることによって液状層の硬化物である層状構造体を第2基板に転写する転写工程(ステップS50)とを有する。【選択図】図11

Description

本発明は、基板上に形成された層状構造体を他の基板に転写して該他の基板に層状構造体を順次積層することにより立体を造形する造形方法に関する。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、立体を造形する造形方法の一つとして、描画用基板上に形成された層状構造体を転写用基板に転写することを繰り返して層状構造体が積層されてなる立体を造形する、いわゆる積層法が知られている。特許文献1では、まず、紫外線硬化樹脂を含む液状体が形成材料として用いられるとともに、該液状体に対する撥液性が付与された描画用基板に該液状体からなる液状層が形成される。次いで、転写用基板を液状層に接触させた後に、描画用基板と転写用基板とによって挟持された上記液状層に紫外光を照射する。これによって、液状層が硬化されてなる層状構造体が描画用基板と転写用基板との間に形成される。この層状構造体と転写用基板との接着力は、上記撥液性を有した描画用基板と層状構造体との接着力よりも大きく、転写用基板が描画用基板から遠ざけられると転写用基板に接着した状態で層状構造体が描画用基板から剥離される。このようにして層状構造体が転写用基板に転写される。そして転写用基板に転写された層状構造体に対する他の層状構造体の転写が繰り返されることによって、複数の層状構造体からなる立体が造形される。
特開平10−34752号公報
しかしながら、上述した造形方法では、描画用基板の描画面に撥液性が付与されているため、また液状層と同系統の材料で構成された層状構造体と液状層との親和性が一般には高いため、以下のような問題が生じる。図15は、層状構造体と描画用基板とによって液状層が挟持された状態を示す図である。図15に示されるように、描画用基板201の描画面と転写用基板202に形成された層状構造体203とによって液状層204が挟持されると、層状構造体203と液状層204との高い親和性によって、液状層204の一部が層状構造体203に引き寄せられる。そして液状層204の一部が層状構造体203へ流動する結果、層状構造体203及び液状層204がその形状を維持し難くなる。つまり液状層204が流動する分、該液状層204が硬化してなる層状構造体や液状層の流動先である層状構造体203、ひいてはこれら層状構造体が積層されてなる立体の形状が設計上の形状とは異なるものとなってしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされてものであり、その目的は、層状構造体が積層されてなる立体の形状の精度を高めることが可能な造形方法を提供することにある。
本発明の造形方法は、硬化性を有した液状層を第1基板の描画領域に描画する描画工程と、前記液状層に第2基板を接触させた状態で該液状層を硬化させる硬化工程と、前記第1基板と前記第2基板との間隔を広げることによって前記液状層の硬化物である層状構造体を前記第2基板に転写する転写工程とを含み、前記層状構造体を有する立体を造形する造形方法であって、前記硬化工程では、前記液状層に前記第2基板を接触させる前に前記液状層を半硬化させ、その後、前記半硬化した前記液状層に前記第2基板を接触させて、前記半硬化した前記液状層を本硬化させることを要旨とする。
本発明の造形方法によれば、硬化工程において、半硬化した液状層に対して第2基板が接触する。液状層を半硬化させることによって、該液状層の流動性が抑えられることになる。そのため、液状層に第2基板を接触させたときに、第2基板側に液状層が濡れ広がることを抑えることができる。つまり、硬化工程における液状層の形状の変化が抑えられる結果、層状構造体の形状の精度を高めることができ、ひいては立体の形状の精度を高めることができる。
この造形方法は、前記硬化工程では、前記液状層を半硬化させるエネルギーを前記第1基板における前記液状層とは反対側から与えることを要旨とする。
この造形方法によれば、液状層における第1基板側の硬化が第2基板側の硬化よりも進行しやすくなる。そのため、液状層の流動性を抑えつつ、液状層と第2基板との接合性、液状層と第2基板が有する層状構造体との接合性、これらの接合性をより確実に得ることができる。
この造形方法において、前記液状層は、光硬化性を有し、前記硬化工程では、1つの光源を用いて、前記液状層を半硬化させる光の強度と、前記液状層を本硬化させる光の強度とを同じにすることを要旨とする。
この造形方法によれば、液状層に光を照射するだけで該液状層を硬化させることができる。ここで、光硬化性の液状層は、照射される光の強度や照射時間に応じて硬化度合いが変化する。すなわち、照射する光の強度や照射時間を変えることで液状層の硬化度合いを変えることができる。上述した構成であれば、光の照射時間のみを調整するだけで液状層の硬化度合いを調整することができる。これにより、例えば、照射時間を一定として、1つの光源が強度の異なる光を出射することによって、あるいは、強度の異なる光を出射する複数の光源を用いることによって、液状層の半硬化及び本硬化を行う場合に比べて、装置の構成を簡素化することができる。
この造形方法において、前記第1基板の描画領域には、前記液状層を構成する液状体に対して相対的に高い撥液性を示す撥液領域と、前記撥液領域内に点在して、前記液状体に対して相対的に低い撥液性を示す親液領域とが形成されていることを要旨とする。
この造形方法のように、液状層を構成する液状体に対する撥液性を描画領域に付与することによって、転写工程において層状構造体を描画領域から剥離させやすくすることができる。一方、描画領域の全域にわたって撥液性が付与されているとなれば、描画領域上において液状層が移動しやすくなるため、該液状層の形状及び位置が維持され難くなる。
これに対して、上述した造形方法によれば、描画領域には、液状体に対して高い撥液性を示す撥液領域内に、液状体に対して低い撥液性を示す親液領域が点在していることから、描画領域上に形成された液状層の一部を親液領域に保持させることができる。そのため、撥液領域のみで構成される描画領域に形成される液状層に比べて、液状層の形状及び位置が維持されやすくなる。つまり、上述した造形方法によれば、層状構造体を描画領域から容易に剥離させることができるとともに、液状層の形状の精度を高めることができる。
この造形方法において、前記描画工程では、前記液状層を構成する液状体を液滴にして吐出する液滴吐出法を用いて、前記描画領域に前記液状層が描画されることを要旨とする。
この造形方法のように、液状体を液滴にして吐出する液滴吐出法を用いて描画領域に液状層を描画することで描画領域に高精細な液状層を形成することができる。しかも、撥液領域内に親液領域が点在している場合には、描画領域に着弾した液滴の移動が制限されることから、より高精細な液状層を描画することができる。
本発明の造形方法を具体化した一実施形態に用いられる造形システムの構成を示す図。 造形システムを構成する造形装置の斜視構造を示す斜視図。 造形装置が有する液滴吐出ヘッドの側面構造を示す側面図。 液滴吐出ヘッドが有するノズル形成面の平面構造を示す平面図。 液滴吐出ヘッドの内部構造を示す側断面図。 描画用基板の描画面の一部を模式的に示す部分拡大図。 造形装置が有する露光部及び転写部の斜視構造を示す斜視図。 露光部及び転写部の側面構造を示す側面図。 造形装置の電気的構成を示すブロック図。 造形システムによって造形される立体の積層構造の一例を示す図。 本発明の造形方法を具体化した手順を示すフローチャート。 描画用基板と転写用基板とによって第1層目の液状層が挟持された状態の一例を模式的に示す図。 描画用基板と転写用基板とによって第2層目の液状層が挟持された状態の一例を模式的に示す図。 描画用基板と転写用基板とによって第k層目の液状層が挟持された状態の一例を模式的に示す図。 従来例において、描画用基板と転写用基板とに挟まれた液状層の状態を模式的に示す図。
以下、本発明を具体化した一実施形態における造形方法について図1〜図14を参照して説明する。まず、造形方法に用いられる造形システムについて説明する。図1は、造形システムの概略構成を示す図である。図1に示されるように、造形システム1は、コンピューター3と、造形装置5とで構成されている。コンピューター3は、立体7を複数の層状構造体からなる積層体として取り扱うために、立体7の形状を示すデータに基づいて各層状構造体の形状を示すデータを生成する。コンピューター3は、層状構造体の形状を示すデータである層形状データを造形装置5に出力する。造形装置5は、コンピューター3から出力される層形状データに基づいて該層形状データが示す形状の層状構造体を形成するとともに、層状構造体を順次積層することによって立体7を造形する。
次に、造形システム1を構成する造形装置5について図2を参照して説明する。図2は、造形装置の斜視構造を示す斜視図である。図2に示されるように、造形装置5は、基板搬送部10と、キャリッジ搬送部20と、露光部70と、転写部80とを有している。
基板搬送部10は、一つの方向に沿って延びる基台12を有している。基台12の上面12aには、基台12が延びる方向である搬送方向Xに沿って延びる一対のガイドレール13a,13bが敷設されている。一対のガイドレール13a,13bには、基板搬送モーター16(図9参照)の駆動軸に伝達機構を介して連結された搬送テーブル14が配設されている。そして基板搬送モーター16が駆動されると、ガイドレール13a,13bに沿って、転写部80と対向する転写エリアと該転写エリアとは反対側の待機エリアとの間で搬送テーブル14が移動する。
搬送テーブル14は、露光部70が出射する紫外光71(図8参照)に対して透過性を有した例えばガラスや石英などで構成されている。搬送テーブル14の上面14aには、矩形状の描画面15aを有した第1基板としての描画用基板15が載置されている。描画用基板15は、これもまた露光部70が出射する紫外光71(図8参照)に対して透過性を有した例えばガラスや石英などで構成されている。
キャリッジ搬送部20は、基台12が延びる方向と直交する方向であるヘッド移動方向Yにおける基台12の両側に立設された支柱21a,21bと、該支柱21a,21bに架設されたガイド部材22とを有している。なお、搬送方向X及びヘッド移動方向Yに直交する方向を鉛直方向Zという。ガイド部材22には、ガイド部材22が延びる方向に沿ってガイドレール23が配設されている。ガイドレール23には、キャリッジモーター27(図9参照)の駆動軸に伝達機構を介して連結されたキャリッジ24が配設されている。そしてキャリッジモーター27が駆動されると、ガイドレール23に沿ってキャリッジ24が移動する。このキャリッジ24には、ヘッドプレート25を介して液滴吐出ヘッド30が搭載されている。なお、本実施形態の造形装置5においては、搬送テーブル14が移動する経路のうち、液滴吐出ヘッド30が移動する経路と相対向する領域を描画エリアという。
次に、キャリッジ24に搭載される液滴吐出ヘッド30について図3〜図5を参照して説明する。図3は、キャリッジ24が移動する方向から見た液滴吐出ヘッドの側面図である。図4は、ノズル形成面の平面構造を示す平面図である。図5は、液滴吐出ヘッドの内部構造を示す側断面図である。
図3に示されるように、液滴吐出ヘッド30は、ヘッドプレート25に連結されるヘッド本体31と、ヘッド本体31の底部に設けられたノズルプレート32とを有している。ノズルプレート32は、液滴吐出ヘッド30と描画用基板15とが対向するときに、ノズル形成面32aと描画用基板15の描画面15aとが略平行になるように配置されている。そしてノズル形成面32aと描画面15aとが相対向するとき、液滴吐出ヘッド30は、これらの間に液滴55(図5参照)が飛行する空間を形成する。またノズルプレート32のノズル形成面32aは、ヘッド本体31と描画用基板15とが相対向している間、ノズル形成面32aと描画面15aとの距離であるプラテンギャップが所定の距離に維持される。ノズル形成面32aには、鉛直方向Zに沿ってノズルプレート32を貫通するノズル33が複数形成されている。
図4に示されるように、ノズルプレート32には、描画用基板15が移動する方向に沿ってピッチ寸法Pで配列された複数のノズル33からなる2本のノズル列34a,34bが液滴吐出ヘッド30の移動する方向に並設されている。このノズル列34a,34bを構成する複数のノズル33は、液滴吐出ヘッド30が移動する方向から見て、ノズル列34aにおけるノズル33の間を補うようにノズル列34bにおけるノズル33が配置されている。そして、これら2本のノズル列34a,34bによってノズル群35Kが構成されている。なお、ノズルプレート32には、ノズル群35Kと同様の構成からなるノズル群35C、ノズル群35M、ノズル群35Y、ノズル群35W、及びノズル群35Tが液滴吐出ヘッド30の移動する方向に併設されている。
図5に示されるように、ヘッド本体31は、ノズルプレート32に接合されるとともに、各ノズル33に連通した複数のキャビティ45を有したキャビティプレート41と、各キャビティ45を覆うようにキャビティプレート41に接合された振動板42とを有している。またヘッド本体31は、各キャビティ45に対向するように振動板42に接合された複数の圧電素子43を有している。このような構成からなる液滴吐出ヘッド30では、駆動電圧を受けた圧電素子43が鉛直方向Zに伸縮すると、各キャビティ45に収容された液状体50の一部が駆動電圧に応じたサイズや速度を有する液滴55としてノズル33から吐出された後に描画面15aに着弾する。そして描画面15aには、着弾した液滴55によって液状層58(図13参照)が描画される。なお、このような液滴吐出ヘッド30を用いて液状層58を描画する構成であれば、ディスペンサ法を用いて形成されたものよりも高精細な液状層58を描画することが可能である。
次に、ノズル33から液滴55として吐出される液状体50について説明する。本実施形態の液状体50は、紫外光によって硬化が進行する光硬化性を有した光硬化剤が樹脂材料に添加されてなる液状体である。こうした液状体50を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂材料など採用することが可能である。また光硬化剤としては、例えば、ラジカル重合型の光重合開始剤や、カチオン重合型の光重合開始剤などが採用することが可能である。なお、ラジカル重合型の光重合開始剤としては、例えば、イソブチルベンゾインエーテルや、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。カチオン重合型の光重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩誘導体や、アリルヨードニウム塩誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤などが挙げられる。
上述した液状体50は、それに照射させる紫外光の強度及び照射時間に応じて、該液状体50の硬化の進行する度合いが異なる。例えば、液状体50に照射される紫外光の強度が一定ならば、紫外光の照射時間が長くなるほど、液状体50の硬化がより進行することになる。また、液状層に照射させる紫外光の照射時間が一定ならば、紫外光の強度が高くなるほど、液状体50の硬化がより進行することになる。それゆえに、液状体50に照射する紫外光の強度や照射時間を変えることによって、液状体50の硬化度合いを変えることが可能である。
また、上記構成の液状体50に顔料や染料等の色素や、親液性あるいは撥液性を示す表面改質材料などの機能性材料を添加することによって、固有の機能を有する液状体50を生成することも可能である。なお本実施形態の造形装置5には、液状体50として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)及びホワイト(W)の各色で構成された5種類の液状体50Y,50M,50C,50K,50Wと、光透過性を有する樹脂材料で構成された液状体50Tとが用いられている。そしてノズル群35K,35C,35M,35Y,35W,35Tの各々には、それに対応する液状体50K,50C,50M,50Y,50W,50Tが供給される。
次に、液滴55が着弾する描画用基板15の描画面15aについて説明する。図6は、描画用基板の描画面の一部を模式的に示す部分拡大図である。
図6に示されるように、描画面15aの描画領域には、液状体50に対して撥液性を示す材料がコーティングされていることによって、撥液領域60が形成されている。描画面15aに撥液性を持たせることにより、描画面15aにおいて硬化した液状体50を該描画面15aから剥離させやすくすることができる。液状体50に対して撥液性を示す材料としては、例えば、フッ素やフッ素化合物を含有する材料が挙げられる。撥液領域60は、フッ素やフッ素化合物を含有するガス中に基板を曝す気相法、フッ素やフッ素化合物を含有する溶液中に基板を浸す浸液法、該溶液を基板に吹き付けるスプレー法、該溶液を基板の表面で伸ばすスピンコート法などによって形成される。また、フッ素やフッ素化合物を含有するガス中で基板をプラズマ処理することによっても形成される。本実施形態では、フッ素化合物の1つであるフルオロアルキルシラン化合物を含む材料が描画面15aにコーティングされている。
また、撥液領域60には、撥液領域60よりも液状体50に対して低い撥液性を示す親液領域61が複数設けられている。親液領域61は、例えば、撥液領域60が形成された描画面15aにレーザー光を照射することにより形成される。親液領域61は、互いに直交するとともに所定間隔の仮想線63,64によって形成される正方格子の交点を中心に液滴55の外径と略等しい径で形成されている。親液領域61は、隣接する親液領域61との離間距離fx,fyが液滴55の外径の1.25倍以下になるように配置される。こうした親液領域61を形成することによって、親液領域61に着弾した液滴55を該親液領域61に保持させることができる。また隣接する親液領域61との離間距離fx,fyが液滴55の外径の1.25倍以下になるように配置することによって、隣接する親液領域61の隙間に着弾した液滴55が描画面15a上で濡れ広がったときに該液滴55を隣接する親液領域61で保持させることが可能である。つまり、液状層58を構成する液状体50の一部を親液領域61に保持させることが可能になる。これにより、撥液領域60のみで構成される描画面15aに形成された液状層58に比べて、液状層58を構成する液状体50が描画面15a上を移動し難くすることができる。その結果、液状層58の位置ずれや形状の変化といった不具合を抑えることができる。
次に、液状層58の硬化を進行させる露光部70について図7及び図8を参照して説明する。図7は、露光部及び転写部の斜視構造を示す斜視図である。図8は、描画用基板15が移動する方向から見た露光部及び転写部の側面図である。
図7及び図8に示されるように、露光部70は、基台12が延びる方向における該基台12の一端部に設けられている。露光部70は、基台12におけるガイドレール13a,13b間に設けられた凹部12b内に配設されるとともに、該凹部12bの開口部に向けて所定の波長及び強度を有した紫外光71を光源73から出射する。凹部12bの開口部には、光源73から出射された紫外光71を透過する蓋板75が配設されている。紫外光71としては、描画面15aに形成されたコーティング膜が破壊されないように、200nmよりも長い波長の紫外光が好ましい。光源73としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等を用いることができる。そして搬送テーブル14が転写エリアに位置しているときに光源73から紫外光71が出射されると、蓋板75、搬送テーブル14、及び描画用基板15を通過した紫外光71が描画面15aに描画された液状層58に到達する。
次に、転写部80について同じく図7及び図8を参照して説明する。図7及び図8に示されるように、転写部80は、液滴吐出ヘッド30が移動する方向における基台12の両側に立設された支柱81a,81bと、露光部70と相対向するように支柱81a,81bに架設された架設部材82とを有している。液滴吐出ヘッド30が移動する方向において架設部材82の中央部には、露光部70に向かって延びる支持部材83が鉛直方向Zに移動するように取り付けられている。この支持部材83の基端は、昇降モーター86の駆動軸に伝達機構を介して連結されるとともに、該昇降モーター86に駆動されて鉛直方向Zに移動する。また支持部材83の先端には、第2基板を構成する矩形状の転写用基板85が固定されている。転写用基板85は、描画用基板15の描画面15aに対して平行な造形面85aを有している。造形面85aは、搬送テーブル14が転写エリアに配置されているときに、描画用基板15の描画面15aにおける中心と該造形面85aにおける中心とが鉛直方向Zで一致するかたちで、描画用基板15の描画面15aと相対向する。ちなみに、転写用基板85の造形面85aは、描画用基板15の描画面15aよりも液状体50に対する撥液性が低くなるように構成されている。
次に、造形装置5の電気的構成について図9を参照して説明する。図9は、造形装置の電気的構成を示すブロック図である。図9に示されるように、造形装置5は、造形装置5を統括制御する制御部101を有している。制御部101は、CPU102と、駆動制御部103と、記憶部104とを有している。CPU102、駆動制御部103及び記憶部104は、バス111を介して互いに接続されている。
駆動制御部103は、モーター制御部131、位置検出制御部133、吐出制御部135、露光制御部137から構成されている。駆動制御部103の各構成部は、CPU102からの指令に基づいて、基板搬送部10、キャリッジ搬送部20、液滴吐出ヘッド30、露光部70、転写部80における駆動の態様を制御する。記憶部104は、RAMやROMなどで構成されて、造形装置5における各種制御プログラム105を記憶する領域や、各種のデータが一時的に展開された展開データ106を記憶するための領域を有する。
制御部101には、インターフェース113(以下では、I/F113とよぶ)を介して上記コンピューター3が接続されている。コンピューター3は、立体7を複数の層状構造体からなる積層体として取り扱うために、立体7の形状を示すデータに基づいて各層状構造体の形状を示すデータを生成して制御部101に出力する。また、コンピューター3は、紫外光71の照射時間に関わる情報が規定されたデータである照射時間データを生成して制御部101に出力する。照射時間に関わる情報とは、光源73を用いて液状体50を半硬化させるための照射時間Th、及び光源73を用いて半硬化させた液状体50を完全に硬化させるための照射時間Tfに関わる情報である。
ここで、複数の層状構造体からなる積層体として立体7を取り扱う態様について図10を参照して説明する。図10は、造形システムによって造形される立体の積層構造の一例を示す図である。
図10に示されるように、コンピューター3は、立体7の形状を示すデータに基づいて、厚さtnを有した立体7を、膜厚tを有するn層(nは、2以上の整数)の層状構造体120に仮想的に分割する。コンピューター3は、層状構造体120の各々に対して、層状構造体120の大きさ、厚さ、形、位置、配色などを示す層形状データを生成する。
モーター制御部131は、CPU102からの指令に基づいて、基板搬送モーター16、キャリッジモーター27、及び昇降モーター86の各々を駆動する。位置検出制御部133は、CPU102からの指令に基づいて搬送テーブル14の位置、キャリッジ24の位置、及び転写用基板85の位置の各々を、テーブル位置検出装置141、キャリッジ位置検出装置143、及び転写用基板位置検出装置145に検出させる。位置検出制御部133は、テーブル位置検出装置141、キャリッジ位置検出装置143、及び転写用基板位置検出装置145の検出結果に基づいて搬送テーブル14の位置、キャリッジ24の位置、及び転写用基板85の位置を示す信号をCPU102に出力する。吐出制御部135は、CPU102からの指令に基づいて液滴吐出ヘッド30を駆動する。吐出制御部135は、記憶部104に格納された液滴55を吐出するためのデータに基づいて、圧電素子43に駆動電圧を供給することでノズル33から液滴55を吐出させる。露光制御部137は、CPU102からの指令に基づいて、光源73への電力供給とその遮断とを実行する。
また、制御部101には、バス111を介してタイマー部150が接続されている。制御部101は、タイマー部150は、CPU102からの指令に基づいて、紫外光71の照射時間を計測する。
次に、上述した構成の造形装置5による造形方法について図11を参照して説明する。図11は、造形方法の手順を示すフローチャートである。
図11に示されるように、本実施形態の造形方法は、コンピューター3によって層形状データが生成される層形状データ生成工程(ステップS10)が行われる。次いで、第1層目の層形状データに基づく液状層58が描画用基板15に描画される描画工程(ステップS20)が行われる。続いて、第1層目の液状層58を半硬化させる半硬化工程(ステップS30)が行われる。続いて、描画用基板15と転写用基板85とによって第1層目の液状層58が挟持された状態で液状体50を本硬化させる本硬化工程(ステップS40)と、転写用基板85側に層状構造体120を転写する転写工程(ステップS50)とが順に行われる。そして、全ての層状構造体120に対する転写が終了したか否かの判断がなされる(ステップS60)。全ての層状構造体120に対する転写が終了していない場合(ステップS60:NO)には、全ての層状構造体120に対する転写が終了するまで、後続する層状構造体の描画工程(ステップS20)、半硬化工程(ステップS30)、本硬化工程(ステップS40)、転写工程(ステップS50)が繰り返される。
描画工程(ステップS20)では、描画面15aに膜厚tの液状層58が描画される。この液状層58を描画する処理は、制御部101によって以下のようにして実行される。まず制御部101は、記憶部104に記憶された制御プログラムに従って、描画対象である液状層58に対応する層形状データを読み出した後、該層状構造体が形成される位置と該層状構造体の膜厚tとを該層形状データから把握する。次いで制御部101は、層状構造体の位置と該層状構造体の膜厚tとに基づいて、液状層58を描画するために必要とされる液滴の直径、数量、位置を決定する。制御部101は、該液滴の直径、数量、位置を示す液状層描画データを生成した後、該液状層描画データを記憶部104における所定の記憶領域に一旦格納する。
そして制御部101は、待機エリアから描画エリアへ描画用基板15を搬送した後、液状層描画データを用いて、液滴吐出ヘッド30と描画用基板15とを相対的に移動させながら、膜厚tからなる液状層58を描画面15aに描画する。
半硬化工程(ステップS30)では、液状層58を構成する液状体50を半硬化させる。液状体50を半硬化させる半硬化処理は、制御部101によって以下のようにして実行される。まず制御部101は、記憶部104に記憶された制御プログラムに従って、描画エリアに位置している描画用基板15を転写エリアまで搬送する。次いで制御部101は、光源73への電力供給を開始して液状層58に紫外光71を照射するとともに、タイマー部150を用いて紫外光71の照射時間を計測する。制御部101は、紫外光71の照射時間が上記照射時間Thを超えると、光源73への電力供給を遮断する。このように、液状層58を構成する液状体50に含まれるモノマーの一部について重合を開始させることで該液状体50の粘度を高める半硬化処理を施すことによって、該液状体50の流動性を抑えることができる。
本硬化工程(ステップS40)では、液状層58を描画用基板15と転写用基板85とによって挟持させた状態で、液状層58に残存しているモノマーの重合を開始させることで該液状層58を硬化させて層状構造体120を形成する。液状体50を本硬化させる本硬化処理は、制御部101によって以下のようにして実行される。まず制御部101は、記憶部104に記憶された制御プログラムに従って、硬化させる液状層58に応じた位置まで転写用基板85を降下させて、液状層58を描画用基板15と転写用基板85とによって挟持させる。次いで制御部101は、光源73への電力供給を開始して液状層58に紫外光71を照射するとともに、タイマー部150を用いて紫外光71の照射時間を計測する。制御部101は、紫外光71の照射時間が上記照射時間Tfを超えると、光源73への電力供給を遮断する。
転写工程(ステップS50)では、硬化工程(ステップS40)で形成された層状構造体120を転写用基板85に転写させる。層状構造体120を転写させる転写処理は、制御部101によって以下のようにして実行される。制御部101は、記憶部104に記憶された制御プログラムに従って、転写用基板85を上昇させる。この際、層状構造体120は、描画用基板15に対する接着力よりも転写用基板85に対する接着力の方が大きいことから、転写用基板85に接着した状態で描画用基板15から剥離される。こうして層状構造体120が転写用基板85側に積層される。
次に、液状体50の半硬化により本硬化工程にて発現される作用について図12〜図14を参照して説明する。
図12は、描画用基板と転写用基板とによって第1層目の液状層が挟持された状態の一例を模式的に示す図である。図13は、描画用基板と転写用基板とによって第2層目の液状層が挟持された状態の一例を模式的に示す図である。図14は、描画用基板と転写用基板とによって第k層目の液状層が挟持された状態の一例を模式的に示す図である。
上述した造形方法においては、まず、第1層目の層状構造体120が転写用基板85に積層される。図12に示されるように、第1層目の層状構造体120に関わる硬化工程(ステップS40)において、制御部101は、描画用基板15と転写用基板85との距離が膜厚tと等しくなる位置まで転写用基板85を降下させる。
第1層目の液状層58を構成する液状体50は、描画用基板15と転写用基板85とによって挟持されることで造形面85aに濡れ広がろうとする一方、半硬化処理によってその流動性が抑えられている。そのため、半硬化処理が行われていない液状層58を構成する液状体50に比べて、液状層58を描画用基板15と転写用基板85とで挟持させたときに、造形面85aへの液状層58の濡れ広がりが抑えられる。つまり、液状層58の形状の変化を抑えた状態で該液状層58を硬化させることができる。それゆえに、第1層目の層状構造体120における形状の精度を高めることができる。
次に、第2層目の層状構造体120が第1層目の層状構造体120に積層される。図13に示されるように、第2層目の液状層58は、第1層目の層状構造体120と同じ幅を有する膜厚tの液状層58である。第2層目の層状構造体120に関わる硬化工程(ステップS40)において、制御部101は、描画用基板15と転写用基板85との距離が距離(2×t)と等しくなる位置まで転写用基板85を降下させる。
第2層目の液状層58は、転写用基板85に積層された第1層目の層状構造体120を介して、描画用基板15と転写用基板85とによって挟持される。すなわち転写用基板85と第1層目の層状構造体120とによっての第2基板が構成される。この際、第2層目の液状層58を構成する液状体50は、第1層目の層状構造体120に濡れ広がろうとする一方、半硬化処理によってその流動性が抑えられている。そのため、半硬化処理が行われていない液状層58を構成する液状体50に比べて、液状層58を描画用基板15と転写用基板85とで挟持させたときに、第1層目の層状構造体120への第2層目の液状層58の濡れ広がりが抑えられる。これにより、第2層目における層状構造体120の形状の精度を高めることができるとともに、第2層目の液状層58の濡れ広がりに起因する第1層目の層状構造体120の形状の変化を抑えることもできる。
やがて、第k層目の層状構造体120が第(k−1)層目の層状構造体120に積層される。このとき、転写用基板85と第1層目から第(k−1)層目までの層状構造体とによって第2基板が構成される。図14に示されるように、第k層目の液状層58は、第(k−1)層目の層状構造体120よりも幅広である膜厚tの液状層58である。このような場合、第k層目の液状層58は、第(k−1)層目の層状構造体120の側面に対して濡れ広がりやすいため、第(k−1)層目及び第k層目の層状構造体120に形状の変化が生じやすい。
第k層目の層状構造体120に関わる硬化工程(ステップS40)において、制御部101は、描画用基板15と転写用基板85との距離が距離(k×t)と等しくなる位置まで転写用基板85を降下させる。第k層目の液状層58は、転写用基板85に積層された第1層目から第(k−1)層目までの層状構造体120を介して、描画用基板15と転写用基板85とによって挟持される。第k層目の液状層58を構成する液状体50は、第(k−1)層目の層状構造体120の側面に濡れ広がろうとする一方、半硬化処理によってその流動性が抑えられている。そのため、半硬化処理が行われていない液状層58を構成する液状体50に比べて、液状層58を描画用基板15と転写用基板85とで挟持させたときに、第(k−1)層目の層状構造体120の側面への第k層目の液状層58の濡れ広がりが抑えられる。これにより、第k層目における層状構造体120の形状の精度を高めることができるとともに、第k層目の液状層58の濡れ広がりに起因する第(k−1)層目の層状構造体120の形状の変化を抑えることもできる。
以上説明したように、上述した造形方法によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)液状層58を構成する液状体50を半硬化させてから、該液状層58を描画用基板15と転写用基板85とで挟持させた。こうした構成によれば、液状層58を構成している液状体50の流動性が抑えられることから、描画用基板15と転写用基板85とによって液状層58を挟持したときに、液状層58が転写用基板85あるいは層状構造体120に濡れ広がることを抑えることができる。これにより、液状層58の形状の変化を抑えることができる。それゆえに、各層状構造体120の形状の精度を高めることができ、ひいては層状構造体120の積層体である立体7の形状の精度を高めることが可能である。
(2)第(k−1)層目の層状構造体120よりも幅広な第k層目の液状層58は、第(k−1)層目の層状構造体120の側面に濡れ広がりやすいが、こうした場合であっても、第(k−1)層目の層状構造体120の側面に液状層58が濡れ広がることを抑えることができる。それゆえに、第k層目の層状構造体120の形状の精度を高めることができるとともに、層状構造体120の側面に濡れ広がってしまった液状体50に起因する層状構造体120の形状の変化、特に造形面85aと平行な方向における寸法の変化を抑えることができる。
(3)液状層58に対して描画用基板15側から紫外光71を照射することによって、液状層58における描画用基板15側の硬化が、転写用基板85側の硬化よりも進行しやすくなる。すなわち、本硬化工程において、描画用基板15あるいは先行して転写された層状構造体120に接触する部分は、半硬化した液状層58の中でも粘度の低い部分となる。それゆえに、液状層58と転写用基板85との接合性、液状層58と転写用基板85が有する層状構造体120との接合性、これらの接合性をより確実に得ることができる。
(4)液状体50は、紫外光71を照射されることによって硬化する光硬化性を有している。こうした構成であれば、液状層58に紫外光71を照射するだけで該液状層58を硬化させることができる。
(5)光源73から照射される所定強度の紫外光71を用いて照射時間に基づき液状層58の半硬化及び本硬化を行うことで、照射時間を一定として紫外光71の強度に基づき液状層58の半硬化及び本硬化を行う場合に比べて、造形装置5の構成を簡素化することができる。
(6)描画面15aは、撥液領域60を有している。こうした構成によれば、描画面15aにおいて硬化した液状層58を該描画面15aから剥離させやすくすることができる。
(7)また、撥液領域60内には親液領域61が点在している。こうした構成によれば、描画面15aに描画された液状層58を構成する液状体50の一部が親液領域61に保持されることになる。これにより、液状層58の位置ずれや形状の変化、層状構造体120の位置ずれや形状の変化を抑えることができる。ひいては層状構造体120の積層体である立体7の形状の精度を、より高めることが可能である。
(8)上記実施形態では、液滴吐出ヘッド30から液状体50の液滴55が吐出される液滴吐出法を用いて、描画面15aに液状層58を描画した。こうした構成によれば、描画面15a上に液状層58を高精細に形成することができる。しかも本実施形態では、描画面15aには撥液領域60内に親液領域61が点在していることから、より高精細な液状層58を形成することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、液状体50を液滴55にして吐出する液滴吐出法を用いて描画面15aに液状層58を描画した。これに限らず、描画面15aに液状層58を描画する方法は、例えばディスペンサ法などであってもよい。
・上記実施形態では、描画面15aには、撥液領域60と該撥液領域60内に点在している親液領域61とが形成されている。これを変更して、親液領域61を割愛してもよい。こうした構成であれば、転写工程(ステップS50)において、描画面15aから層状構造体120を剥離させる点について優れている。
・また、転写工程(ステップS50)において、描画用基板15と転写用基板85とで挟持された層状構造体120が転写用基板85の上昇によって転写用基板85側に転写されるのであれば、撥液領域60を割愛してもよい。
・上記実施形態では、撥液領域60にレーザー光を照射することによって、親液領域61を形成した。これに限らず、撥液領域60内に親液領域61を形成する方法としては、例えば、波長が200nmよりも短い紫外光を撥液領域60に照射することによっても親液領域61を形成することが可能である。また、親液領域61の配置に対応するレジストパターンを描画面15aに形成したのち、エッチングすることによって描画面15aに凹凸を形成する。そして、その描画面15aに撥液材料をコーティングしたのち、凸部を研磨することによっても親液領域61を形成することが可能である。
・上記実施形態では、仮想線63,64によって形成される正方格子に従って親液領域61が配置されている。これを変更して、親液領域61を例えば千鳥状に配置される構成でもよいし、親液領域61の外形や隙間の寸法を規定したうえで所定領域に該親液領域61が最密充填されるように親液領域61が配置される構成であってもよい。またフィボナッチ数列を利用した螺旋状に親液領域61を配列してもよい。千鳥状に親液領域61を配置した場合には、互いに直交する2つの直線と該2つの直線に対して傾斜した斜線とによって外形が構成される層状構造体120に好適である。最密充填されるように親液領域61を配置した場合には、外形が矩形状の層状構造体120に好適である。またフィボナッチ数列を利用して螺旋状に配列した場合には、直線だけでなく曲線で外形が構成される層状構造体120に好適である。
・上記実施形態では、光硬化性を有する液状体50によって液状層58が形成される。これを変更して、例えば熱硬化性を有する液状体によって液状層58が形成される構成であってもよい。また例えば、光硬化性を有する液状体と熱硬化性を有する液状体とが混合されてなる液状体によって液状層58が形成される構成であってもよい。この構成によれば、光硬化性に基づく硬化と熱硬化性に基づく硬化とを互いに異なるタイミングで進行させることが可能であるため、液状層58の硬化度合いの制御性、すなわち液状層58を半硬化状態にするという制御が容易にもなる。
・上記実施形態では、液状体50の硬化度合いを紫外光71の照射時間を用いて制御した。これに限らず、例えば、半硬化処理及び本硬化処理における照射時間を予め定めたうえで、光源73が発する紫外光71の強度を変えることによって、液状体50の硬化度合いを制御するようにしてもよい。
・上記実施形態では、光源73への電力の供給及び遮断によって紫外光71の照射の態様を制御している。これを変更して、光源73に電力を供給し続けるとともに、凹部12bの開口部を開閉するシャッターの開閉によって紫外光71の照射の態様を制御するようにしてもよい。こうした構成によれば、光源73から出射される光量の安定化を図ることが可能であるため、紫外光71の照射量の安定化、液状層58における硬化の度合いの安定化を図ることが可能である。ひいては、立体7の形状の精度を、より高めることが可能である。
・また、光源73に電力を供給し続ける場合には、液状層58を半硬化させる照射時間Thだけ経過するタイミングに合わせて、描画用基板15と転写用基板85とによって液状層58が挟持されるように転写用基板85を降下させてもよい。こうして構成であれば、半硬化工程(ステップS30)から硬化工程(ステップS40)までの処理時間の短縮が見込まれる。
・上記実施形態において、例えば転写用基板85を紫外光71に対して透過性を有する材料で形成するとともに該転写用基板85の背面に光源を設置することによって、転写用基板85側から紫外光71を液状層58に照射してもよい。
・上記実施形態における液状層58の半硬化とは、液状層58にエネルギーを与えることによって液状層58が硬化を開始してから液状層58全体が完全に硬化するまでの間における硬化状態を指すものであって、例えば液状層58が部分的に完全に硬化したものも含むものである。
・上記実施形態の造形装置5は、1つの液滴吐出ヘッド30によって液状層58が描画されている。これを変更して、複数の液滴吐出ヘッド30によって液状層58が描画されるという構成であってもよい。こうした構成であれば、描画工程(ステップS20)における処理時間の短縮が見込まれる。
・上記実施形態の造形装置5では、圧電素子駆動方式の液滴吐出ヘッド30によって液滴55が吐出されている。これを変更して、液滴吐出ヘッドから液滴55を吐出するという観点からすれば、抵抗加熱方式や静電駆動方式の液滴吐出ヘッドによって液滴55が吐出されるという構成であってもよい。
1…造形システム、3…コンピューター、5…造形装置、7…立体、10…基板搬送部、12…基台、12a…上面、12b…凹部、13a,13b…ガイドレール、14…搬送テーブル、14a…上面、15…描画用基板、15a…描画面、16…基板搬送モーター、20…キャリッジ搬送部、21a,21b…支柱、22…ガイド部材、23…ガイドレール、24…キャリッジ、25…ヘッドプレート、27…キャリッジモーター、30…液滴吐出ヘッド、31…ヘッド本体、32…ノズルプレート、32a…ノズル形成面、33…ノズル、34a,34b…ノズル列、35C,35K,35M,35T,35W,35Y…ノズル群、41…キャビティプレート、42…振動板、43…圧電素子、45…キャビティ、50…液状体、55…液滴、58…液状層、60…撥液領域、61…親液領域、63,64…仮想線、70…露光部、71…紫外光、73…光源、75…蓋板、80…転写部、81a,81b…支柱、82…架設部材、83…支持部材、85…転写用基板、85a…造形面、86…昇降モーター、101…制御部、102…CPU、103…駆動制御部、104…記憶部、105…制御プログラム、106…展開データ、111…バス、113…インターフェース、120…層状構造体、131…モーター制御部、133…位置検出制御部、135…吐出制御部、137…露光制御部、141…テーブル位置検出装置、143…キャリッジ位置検出装置、145…転写用基板位置検出装置、150…タイマー部、201…描画用基板、202…転写用基板、203…層状構造、204…液状層。

Claims (5)

  1. 硬化性を有した液状層を第1基板の描画領域に描画する描画工程と、
    前記液状層に第2基板を接触させた状態で該液状層を硬化させる硬化工程と、
    前記第1基板と前記第2基板との間隔を広げることによって前記液状層の硬化物である層状構造体を前記第2基板に転写する転写工程とを含み、
    前記層状構造体を有する立体を造形する造形方法であって、
    前記硬化工程では、
    前記液状層に前記第2基板を接触させる前に前記液状層を半硬化させ、その後、前記半硬化した前記液状層に前記第2基板を接触させて、前記半硬化した前記液状層を本硬化させることを特徴とする造形方法。
  2. 前記硬化工程では、
    前記液状層を半硬化させるエネルギーを前記第1基板における前記液状層とは反対側から与えることを特徴とする請求項1に記載の造形方法。
  3. 前記液状層は、光硬化性を有し、
    前記硬化工程では、1つの光源を用いて、
    前記液状層を半硬化させる光の強度と、
    前記液状層を本硬化させる光の強度とを同じにすることを特徴とする請求項1または2に記載の造形方法。
  4. 前記第1基板の描画領域には、
    前記液状層を構成する液状体に対して相対的に高い撥液性を示す撥液領域と、
    前記撥液領域内に点在して、前記液状体に対して相対的に低い撥液性を示す親液領域とが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の造形方法。
  5. 前記描画工程では、前記液状層を構成する液状体を液滴にして吐出する液滴吐出法を用いて、前記描画領域に前記液状層が描画されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の造形方法。
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