JP2005062346A - 光導波路素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光通信などに用いられる光導波路を安価に作製する方法として、フォトリソグラフィー法を利用して金型を作り、その金型を使って射出成形で溝部を有するクラッド基板を作成し、基板上にコア材料を塗布して、溝部以外の部分のコア材料を除去する方補が知られている。この方法ではコア材料除去が不完全になりやすく、また、基板も傷つきやすいため、迷光が発生しやすい。
【解決手段】液滴吐出ヘッド1と透明基板2を相対移動させながら、ヘッド1により、透明基板2の上に、透明基板2の屈折率より大きい屈折率を有する液体状コア材料10を描画し、少なくとも1つのコア部3を形成し、例えばUV光を照射してコア部3を固化させる。次いで、上部クラッド部となるべき樹脂材料4でコア部3を被覆し、基板5を載せてUV照射し、樹脂材料4を固化させ光導波路素子6を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主として光通信などに用いられる光導波路に関し、特に光導波路の作製方法に関する。
フォトリソグラフィー法を利用して金型を作り、そこから光導波路を作製する技術がある(例えば、特許文献1 参照。)。それによれば、フォトレジストにマスクを介して導波路パターンを露光してフォトリソグラフィー法により断面が逆台形形状の凹状パターンを形成し、このフォトレジストパターンを母型としてメッキにより成形用の金型を作成する。この金型を使い射出成形によりクラッド基板を作成する。クラッド基板の上にコア材料を塗布してからスキージにより基板のコア凹部のみにコア材料が残るようにする。次に紫外線照射してコア材料を固化し、基板上にクラッド材料を塗布する。その上に透明な補強基板を乗せてから上面より紫外線照射をおこない、補強基板を接着する。なお、本発明では、コア材料の屈折率はクラッド材料の屈折率より高いことを前提としている。したがって、高屈折率、低屈折率という表現は両者の相対的な関係を意味する。
この作製法によれば、光導波路の作成を金型を使った射出成形等の方法でおこなうことができ、低コストに作製できるメリットはある。しかし、以下に述べる問題点を有している。
特開平11−305055号公報(第3頁、第1図)
上記従来技術では、射出成形等で作成したクラッド基板のコア溝部のみにコア材料を残す必要があり、そのためにスキージ工程でコア溝部以外のコア材料を除去するのであるが、実際には十分な除去ができないのが実情である。
射出成形等でクラッド基板を作成しているので、基板の表面は必ずしも平坦ではない。このような基板上をスキージしても基板表面の平坦性不足によりコア溝部以外の箇所にもコア材料が残留してしまう。コア部以外へのコア材料残留により、光を導波させたときに散乱等が生じ性能上の問題が生じる。また、クラッド基板成形材料としてプラスチック材料を用いると前記スキージ工程により、基板表面に細かい傷が発生する。これはやはり導波光の散乱原因となり性能上の問題が生じる。
本発明は、作製工程に起因する導波光の散乱などが生じない、低コストで光導波路を形成する方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明では、下部クラッド層を構成する透明部材の上に、該透明部材の屈折率より高い屈折率を有し光もしくは熱により硬化する液体状コア材料を、液滴を吐出する吐出手段を用い、該吐出手段と前記透明部材との間の相対移動により、前記液体状コア材料を前記透明基板上に描画することにより少なくとも1つのコア部を形成する光導波路素子の作製方法を特徴とする光導波路素子の作製方法。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の光導波路素子の作製方法において、前記下部クラッド層は任意の基板上に形成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の光導波路素子の作製方法において、前記液体状コア材料の前記透明部材に対する接触角が70°以上、120°以下になる組み合わせの材料を用いることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記相対移動を複数回行って1つのコア部を形成することを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記液体状コア材料を光硬化型樹脂とし、描画中に前記樹脂の硬化に必要な光を照射して、描画された前記液体状コア材料の流動を阻止することを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記描画されたコア部に熱もしくは光を与えて硬化させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項1または6のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記コア部を、前記透明部材の屈折率とほぼ等しい屈折率を有し、光もしくは熱により硬化し得る樹脂材料で被覆して上部クラッド層とすることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の光導波路素子の作製方法において、上部クラッド層を形成後、光もしくは熱により、該上部クラッド層を硬化させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記上部クラッド層の上に上部基板を重ねた後、光もしくは熱により、前記上部クラッド層を硬化させることによって前記上部基板を接着することを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法によって作製された光導波路素子を特徴とする。
本発明によれば、低コストな光導波路の作成方法が提供でき、しかも、作製工程において基板等に傷が付くことがない。また、コア材料が目的の位置以外に付着することがないため、不所望な導波光の散乱が発生しない。
任意の基板上にまず低屈折率の樹脂層を形成し、液滴吐出ヘッドを用いて、紫外線硬化型の高屈折率液体状コア材料を吐出しながら紫外線を照射し、基板とヘッドを相対的に移動させて複数のコア部を形成、固化した後、紫外線硬化型低屈折率樹脂材料でコア部を被覆し、任意の上部基板を載せて加熱により該樹脂材料を固化させ、光導波路素子を得る。
以下に本発明を実施形態に従って説明する。
図1は本発明の実施形態による光導波路の作製工程を示す正面断面の模式図である。
図2は図1に示す光導波路の側面図である。
両図において符号1は液滴吐出ヘッド、2は透明基板、3は導波路コア、4は樹脂材料、5は上部基板、6は導波路素子、10はコア材料をそれぞれ示す。
図1(a)において液滴吐出ヘッド1(以下単にヘッドと呼ぶ)はインクジェット記録のヘッドのように圧電あるいは静電トランスジューサにより間歇的に液体を噴射する液滴吐出型のヘッド、あるいは熱電極によるバブル生成により間歇的に液体を噴射する液滴吐出型のヘッドである。
ガラスあるいはプラスチックなどの透明基板2上に、ヘッド1から透明基板2の屈折率より高い屈折率を有する液体状のコア材料10を吐出して、導波路コア3のパターンを描画する。導波路コアは1本に限らず、目的によって複数本描画しても良い。ヘッド1の描画時移動方向は、図1(a)では紙面と垂直方向、図1(a)に対して側面図である図2では矢印A方向に移動して導波路パターンを描画していく。
液滴は間歇噴射であるから、矢印A方向への移動が速すぎるとパターンがつながらなくなってしまう。単につながるだけとなるような早さで移動すると、液の載りが一様でなくなり導波路として適さなくなる。したがって、液の粘度との兼ね合いではあるが、ヘッドの相対移動はかなり遅くして、結果的に導波路としての厚さがほぼ均一になるようにする。なお描画から硬化までの間に若干時間をおくと、液の流動性のため凹凸が重力により均されてほぼ一定厚さになることが期待できる。
このとき導波路のコア部の断面の大きさによって、ヘッド1による描画は1回の場合もあり複数回にわたる場合もある。シングルモード導波路のようにコア部の断面積が小さい場合はヘッド1による描画は1回で良い場合がある。しかしマルチモード導波路の場合は断面積を大きくするために複数回描画して導波路厚さを厚くし、また基板面で導波路の光伝播方向に直交する方向(矢印B方向)にヘッドを移動させながら複数回描画する場合もある。
なお、図では導波路コア3の断面を便宜上正方形で表しているが、実際の断面はコア材料の粘度によって様々になり、特に上部は円弧に近い形状になることが多い。また、基板との接触部も、基板に対するコア材料の接触角によって変わる。接触角が小さいと、コア材料が回りに広がりやすくなって描画精度が劣化し、また、接触部近傍のコア材料の断面形状がくさび状になってその部分で迷光の生ずるおそれがある。したがって、できるだけ接触角が90°付近、望ましくは70°以上になる組み合わせを選ぶと迷光の心配が少なくてよい。特に前記シングルモード用のように1回描画の場合なら、90°より少し大きくなる組み合わせを用いると、断面がより円に近くなり、接触部における迷光の生ずる心配がなくなる。ただし、接触角をあまり大きくすると、コア部が扁平になり易く、かえって断面が円から外れるので、望ましくは120°以内に留めるのがよい。
本発明による導波路のコアパターンは直線状の導波路の他、任意の曲線状の導波路パターンに適用できる。
ヘッド1の移動はヘッド自体を移動しながら描画する他に、ヘッド1は固定して基板2を移動させて描画する方法もある。要するに、両者を相対的に移動して描画すれば良い。
コア3を形成する材料は基板より屈折率の高い透明材料で、光硬化型材料、例えば紫外線硬化できる、アクリル系、ポリイミド系、エポキシ系などのモノマーを吐出描画するのに適した粘度に調製して使用する。
コア3を描画した結果、例えば、図1(b)のような導波路コア3、3’ が形成される。
次に図1(c)のように、基板に光、この場合紫外光(図ではUV光と表示)を照射してコアパターンを固化する。次に図1(d)のように、上部基板5を接着層を兼ねる光硬化型樹脂材料4を介して積層する。図1(e)のように、これに再び紫外光を照射して樹脂材料4を固化し、図1(f)に示すような光導波路素子6を得る。
樹脂材料4は固化後の屈折率が基板2と略同じであることが好ましく、特に材料は限定されないが、アクリル、あるいはエポキシ系などの紫外線硬化樹脂が使われる。この場合は基板2と接着層4がコア部より屈折率が低く、導波路のクラッド部となる。
本実施形態によれば、導波路素子のコア部を間歇的液体吐出手段の相対的移動により描画形成することにより、インクジェット記録技術で確立された高精度パターン描画が非常に簡易な装置で実現でき、高精度な導波路を非常に低コストに作成することができる。
間歇的液体吐出手段を複数回相対移動させてコア部を描画することにより、シングルモード光導波路のみならず、任意のマルチモード光導波路の形成も可能となる。
クラッド部の形成のうち、コア下部はコア部より屈折率の低い透明基板より成り、それ以外は透明基板と屈折率が略等しいクラッド材料の塗布により形成でき、少ない部品構成、簡易な工程により低コストに導波路素子を作成できる。
図3は本発明の他の実施形態を説明するための正面断面の模式図である。
ヘッド1からコア材料10を吐出して基板2上にコア部3を形成するとき、UV光を照射しながらコア部3を描画していくことが特徴である。これはヘッド1で精度良くコアパターンを描画するためには、コア材料10はある程度粘度が小さいことが要求されるが、粘度が小さいとヘッド1から吐出されたコア材料10により描画されたコアパターンが、材料の粘度が低いために流動してしまい、正確にコアパターンを形成できない場合がある。このときはヘッド1によりコアパターンを描画しながらUV光を照射して、描画したコアパターンが流動化しないようにすることができる。
このようにUV光を照射しながら図3(b)に示すコアパターンを形成し、この後更に図3(c)に示すようにコアパターン形成後にUV光を照射してコアパターンを完全に固化する方法も場合により必要となる。以後の工程は図1(d)以下に準ずる。
また、図1(c)あるいは図3(c)においてUV光を照射してコア部を固化するのに代えて、加熱によりコア部を固化しても良い。更に図1(e)のクラッド部の固化工程においても、UV光を照射する代わりに加熱により固化しても良い。このときは図1に示す上部基板5は必ずしも透明基板でなくても良い。
本実施形態によれば、流動性の高いコア材料を用いて精度の高いパターン形成をしながら、流動性のためにパターンが乱れるということもなく、性能の高い光導波路を得ることができる。
図4はさらに他の実施形態を説明するための正面断面の模式図である。
同図において符号7は導波路素子を示す。
同図に示す導波路素子7は、透明基板2上にコア部3を吐出型のヘッド1で描画形成し、クラッド部4を回転塗布(スピンコート)あるいは浸漬塗布(ディッピング)などにより形成し、UV光照射あるいは加熱によりクラッド部を固化して作製される。図4の場合は図1における上部基板はないが導波路素子としての機能は問題ない。この構成は作製工程が簡略化でき、部品数も減らせる。
図5はさらに他の実施形態を説明するための正面断面の模式図である。
同図において符号8は下部クラッド層、9は導波路素子をそれぞれ示す。
下部基板2’上に下部クラッド層8を回転塗布、あるいは浸漬塗布などにより形成する。このとき下部基板2’は必ずしも透明でなくても良い。ガラス、プラスチックなどの透明基板の他に、Si基板、あるいはプリント基板などの不透明な基板を用いても良い。塗布した下部クラッド層8は、UV光照射あるいは加熱により固化される。下部クラッド層8の上にコア部3を吐出型のヘッドにより形成する。UV光照射あるいは加熱によりコア部3を固化した後、上部クラッドに相当する接着層を兼ねる樹脂材料4により上部基板5を接着し、UV光照射あるいは加熱により上部基板を固定する。
本実施形態によれば、基板として透明基板の他に、Siなどの半導体基板やあるいはプリント基板などの不透明基板上に導波路を形成でき、導波路素子の適用範囲が拡張できる。
この実施形態においても、図4に示した構成に倣って上部基板5を省略することは可能であるが、導波路素子の温・湿度特性の維持、経年変化などの耐久性向上と、外部からの機械的接触による素子の破壊を防止する等のためには省略しない方がよい。
また、加熱によって樹脂材料4を固化させることができるならば、上部基板5は透明材料でなくとも良くなる。
本発明の実施形態による光導波路の作製工程を示す正面断面の模式図である。 図1に示す光導波路の側面図である。 本発明の他の実施形態を説明するための正面断面の模式図である。 さらに他の実施形態を説明するための正面断面の模式図である。 さらに他の実施形態を説明するための正面断面の模式図である。
符号の説明
1 液滴吐出ヘッド
2 透明基板
3 導波路コア
4 接着層
5 上部基板
6 導波路素子
7 導波路素子
8 下部クラッド層
9 導波路素子
10 コア材料

Claims (10)

  1. 下部クラッド層を構成する透明部材の上に、該透明部材の屈折率より高い屈折率を有し光もしくは熱により硬化する液体状コア材料を、液滴を吐出する吐出手段を用い、該吐出手段と前記透明部材との間の相対移動により、前記液体状コア材料を前記透明基板上に描画することにより少なくとも1つのコア部を形成することを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  2. 請求項1に記載の光導波路素子の作製方法において、前記下部クラッド層は任意の基板上に形成されることを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  3. 請求項1または2に記載の光導波路素子の作製方法において、前記液体状コア材料の前記透明部材に対する接触角が70°以上、120°以下になる組み合わせの材料を用いることを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記相対移動を複数回行って1つのコア部を形成することを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記液体状コア材料を光硬化型樹脂とし、描画中に前記樹脂の硬化に必要な光を照射して、描画された前記液体状コア材料の流動を阻止することを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記描画されたコア部に熱もしくは光を与えて硬化させることを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  7. 請求項1または6のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記コア部を、前記透明部材の屈折率とほぼ等しい屈折率を有し、光もしくは熱により硬化し得る樹脂材料で被覆して上部クラッド層とすることを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  8. 請求項7に記載の光導波路素子の作製方法において、上部クラッド層を形成後、光もしくは熱により、該上部クラッド層を硬化させることを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法において、前記上部クラッド層の上に上部基板を重ねた後、光もしくは熱により、前記上部クラッド層を硬化させることによって前記上部基板を接着することを特徴とする光導波路素子の作製方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の光導波路素子の作製方法によって作製されたことを特徴とする光導波路素子。
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