JP2015003341A - ワークピースの表面を仕上げる方法、およびワークピース - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザによるマシニングを用いた、ワークピースの表面仕上げの方法を提供する。
【解決手段】ワークピースの表面を仕上げる方法は、以下の工程を有する。表面に対して垂直方向に向けられるレーザを提供する。除去しないほうがよい材料を表面から除去することなく、表面から突出した突起を除去するのに、レーザのエネルギー密度が十分となるように、レーザの焦点を表面上又は表面に隣接して合わせる。
【選択図】図10
【解決手段】ワークピースの表面を仕上げる方法は、以下の工程を有する。表面に対して垂直方向に向けられるレーザを提供する。除去しないほうがよい材料を表面から除去することなく、表面から突出した突起を除去するのに、レーザのエネルギー密度が十分となるように、レーザの焦点を表面上又は表面に隣接して合わせる。
【選択図】図10
Description
本発明は、一般に表面仕上げ及び形状を改善するためのレーザによるナノマシニングに関する。本発明は、より具体的には、スピンドル・モータの部品表面のナノマシニングに関する。
磁化可能な媒体を備えた磁気ディスクが、大半のコンピュータシステムのデータ格納に使用されている。現行の磁気ハード・ディスク・ドライブは、読取り/書込みヘッドがディスク表面よりわずか2、3ナノメートル上にあり、一般に毎秒2、3メートルのかなり速い速度で動作する。
一般に、ディスクは、その表面を読取り/書込みヘッドの下に通すために、スピンドル・モータで回転するスピンドルに取り付けられる。スピンドル・モータは一般に、ベース・プレートに固定されたシャフトと、シャフトが挿入されるスリーブを有するハブを備えており、スピンドルは、そのハブに取り付けられる。ハブに取り付けられた永久磁石が、ベース・プレートに溶接されたステータと相互作用して、ハブをシャフトに対して回転させる。この回転を促進させるために、1つ又は複数の軸受が通常ハブとシャフトの間に配設されている。代替設計では、回転シャフト構造が使用される。ここでは、スリーブはベース・プレートに取り付けられる。
図1に、本発明の方法及び装置によって製造された流体動圧軸受を有するスピンドル・モータが特に役立つ磁気ディスク・ドライブが、略図で示されている。図1を参照すると、ディスク・ドライブが通常通りに、シールでカバーに封止されたベース有するハウジングを備える。ディスク・ドライブは、複数のディスクが取り付けられたスピンドルを有し、このディスクは、情報を磁気的に格納するための磁気媒体(図示せず)で覆われた表面を有する。スピンドル・モータ(この図には図示せず)がディスクを回転させて、そのディスク表面の上にサスペンション・アーム組立体で吊るされた読取り/書込みヘッドを通過させる。動作時は、サスペンション・アーム組立体が、径方向に隔置された複数のトラック(図示せず)うちの1つのトラック上方に、読取り/書込みヘッドを移動させ位置決めさせると同時に、スピンドル・モータが、ディスクを高速で回転させて読取り/書込みヘッドを通過させる。これによって、読取り/書込みヘッドは、選択された場所のディスク表面上にある磁気媒体に、磁気的にコード化された情報を、読取り及び書込むことができる。
図2に示すように、スピンドル・モータは、スリーブに当接する外側表面を有するシャフトを含む。シャフトはスリーブに対して回転し、スリーブはシャフトに対して回転する。シャフトは、円筒形(図のように)及び円錘形を含む様々な形状を有することができる。
何年にもわたって、記憶密度は上昇傾向にあり、記憶システムのサイズは縮小傾向にあった。この傾向により、磁気記憶ディスクの製造及び動作の精度は高く、公差は小さくなった。例えば、記憶密度の向上を達成するには、読取り/書込みヘッドを記憶ディスクの表面にさらに近づけて配置しなければならない。このように近接させるには、ディスクをほぼ単一平面で回転させる必要がある。ディスク回転にわずかなぐらつき又は偏心があると、ディスク表面が読取り/書込みヘッドに接触する可能性がある。これは「クラッシュ」として知られており、読取り/書込みヘッド及び記憶ディスクの表面に損傷を与え、その結果データが失われる可能性がある。
ディスク・ドライブ製造の際に、マシニングをより精密にすることによって、公差をより小さくできることが望ましい。レーザ・ホーニング(すなわち仕上げ)に特に適した、ディスク・ドライブの一領域は、スピンドル・モータのシャフト及びスリーブである。旋削又はフライス加工などの、ディスク・ドライブのマシニングの際に使用する従来の材料除去プロセスでは、マシニング跡(例えば、ピークや谷間)が残る。こういったマシニング跡は以下の理由によるものの可能性がある:(1)切削工具形状、(2)送り、切削の深さ、速度、スピンドルの偏心などのマシニングパラメータ、(3)部品及び切削工具の動きによって引き起こされる振動(これは構造上の共振によって増幅されることがある)、及び(5)切削荷重及び熱変化による部品のたわみ及び歪み。さらに、電気化学的なマシニング・プロセスでは、周囲の金属を腐食する一方で、機械加工表面から突出する硫化物系介在物が残ること、研削などのプロセスでは、部品及び砥石の摩耗が不均一にもたらされるために、ワークピースのばらつきが引き起こされることが知られている。
ホーニング加工は、マシニング跡を除去し、それによって機械加工表面を改善するために使用される。砥粒などの、他のタイプのホーニング、及びワイヤなどの研磨材を担持する転削工具の使用が知られている。マシニング跡を除去できる、ワークピースに対して垂直方向に向けられたレーザの適用も知られているが、これは一般的にはワークピース表面に陥凹部を作成するために使用される。
本発明は、パルス波形と表面からの突起除去に十分なエネルギーとを有するレーザを提供するステップと、レーザを表面にかすめ入射で向け、その結果レーザが表面から突起を除去するステップとを含む、表面を仕上げる方法に関する。かすめ入射は、表面が湾曲している場合(例えば円筒)、仕上げるべき表面に対してほぼ接線方向を、時にはその表面のすぐ上を意味し、或いは表面が平坦な場合、仕上げるべき表面に対してほぼ平行なことを、時にはその表面のすぐ上を意味する。
本発明はまた、ディスク・ドライブの構成部品をマシニングする方法に関し、その方法は、パルス波形と構成部品からの突起除去に十分なエネルギーとを有するレーザを提供するステップと、構成部品の表面を所望の形状にマシニングし、仕上げるようにレーザを向けるステップとを含む。
本発明はさらに、ワークピースの表面を仕上げる方法に関し、その方法は、表面に垂直なレーザを提供するステップと、除去しないほうがよい材料を表面から除去することなく、表面から突出した突起を除去するのに、レーザのエネルギー密度が十分となるように、レーザの焦点を表面上又はそれに隣接して合わせるステップとを含む。
本発明はさらに、マシニング跡をほぼ有しない仕上げ表面を含み、このマシニング跡は超高速パルス・レーザによって除去されたワークピースに関する。
本発明の更なる利点は、以下の詳細な説明から、当分野の技術者に容易に理解されるであろう。その説明では、本発明を実施するよう企図された最良の形態の単なる例示として、本発明の好ましい実施例のみを示し説明する。当然のことながら、本発明は他の様々な実施例が可能であり、本発明から全く逸脱することなく、その細部を様々な自明な点から変更することができる。したがって、図及び説明は、限定的なものではなく例示的な性質のものであるとみなされたい。
以下の説明は、当業者が本発明の様々な態様及び実施例を製作し使用できるようにするために提示する。特定の材料、技術、及び用途の説明を単なる例として提供する。この例に対する本明細書に記載の様々な変更は、当分野の技術者に容易に理解されるであろう。本明細書で規定した一般的な原理は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、他の実施例及び適用例に適用することができる。
本発明は、ワークピースの表面に残されたマシニング跡を除去するために、レーザを使用するよう企図されている。レーザは、ワークピース表面に入射する方に向けられるのが好ましく、(ワークピースの表面に沿った)かすめ入射に向けられるのが特に好ましい。好ましい実施例では、レーザは、マシニング跡の融解ではなく除去を可能にする、超高速パルス・レーザである。本発明の特に好ましい実施例では、レーザはフェムト秒レーザである。
レーザ・タイプに関していうと、「超高速」は、そのレーザがおよそ10ピコ秒より幾分小さい(通常はコンマ数ピコ秒)持続時間を有する超短パルスを放射することを意味する。それに対して、長パルス・レーザは、およそ10ピコ秒より長いパルスを有する。長いパルス領域の材料相互作用における最も基本的な特徴は、レーザによって材料内に蓄積された熱が、パルス持続時間中に拡散することである。この拡散は、レーザ溶接作業中の場合には望ましいが、たいていのマイクロマシニング作業では、周囲の材料へ熱拡散することはいくつかの理由から望ましくない。理由の1つは、長パルス・レーザにより熱が拡散すると、熱が焦点から拡散し、焦点よりはるかに大きい領域を融解させるので、マイクロ/ナノマシニング操作の精度が低減するということである。したがって、非常に微細なマシニングを行うことが困難である。もう1つの理由は、熱拡散によってマシニングスポットの周りの大きなゾーンが影響を受けると、機械的応力が引き起こされ、周囲の材料に微視的亀裂(又は場合によっては巨視的亀裂)が生じることである。
超高速レーザを使用すると、レーザによって材料内に蓄積された熱は、材料内部又は材料上の加工スポットから離れる時間を有せず、加工スポット位置に蓄積される。加工スポットの温度は即上昇して材料の融点を超え、そのまま急速に上昇しさらには気化点も超える。実際は、この温度はいわゆるプラズマ領域まで上昇し続ける。
フェムト秒レーザは、大きなピーク出力を送達する超高速レーザである。ピーク出力とは、単位面積当たりの瞬間のレーザ・ビーム出力のことである。こういったシステムでは周期的に5〜10ギガワットのピーク出力が供給され、その結果得られるレーザ強度は、加工スポットで容易に数百テラワット/平方センチメートルに達する。切削される材料をイオン化する−原子を1つずつ除去する−ことによって、フェムト秒レーザで多くの材料を精密にマシニングすることができる。こういったレーザの各パルスは極めて短く、ほんの50〜1,000フェムト秒(すなわち1秒の10の15乗分の1)だけ持続する。こういった超短波のパルスでは時間が短過ぎて、切削している材料に熱又は衝撃が伝達しない。つまり、周囲の材料への損傷を最小にしながら、切削、ドリル加工、及びマシニングが行われる。超高速レーザでは、周囲表面に材料が飛び散らないように、融解段階なしにマシニングが行われる。
本発明は、突起をイオン化することで表面から除去するのに十分なパルス・エネルギーを有する、他のタイプのレーザを使用するよう企図され、かかるレーザを使用して、例えばスピンドル・シャフト175などのスピンドル・モータの多くの部品をマシニングし、ホーニングするよう企図されている。他のタイプのレーザには一般に、チタンサファイア・レーザ、ダイオード励起レーザ、及びファイバ・レーザが含まれてもよい。
図3に、超高速レーザをワークピースにかすめ入射に向けられたホーニングステップと、その結果得られるワークピース上の表面突起の除去又は最小化ステップとが略図で示されている。図に示されているように、レーザは、ワークピース表面に入射するが、除去する突起に対して概ね垂直になる。図3に示すように直線レーザ・ビームでワークピースの平坦な表面をホーニングするには、図4の矢印で示すように、レーザをワークピースの表面一面にわたって掃引してもよく、或いはレーザをそのまま静止させ、ワークピースをレーザに対して移動させてもよい。本発明はまた、レーザ及び表面の両方を動かすようにも企図されている。
図5に、ワークピースにかすめ入射に向けられた超高速平面レーザ・ビームの断面が略図で示されている。平面レーザ・ビームは、ワークピースのより大きい表面積から突起を除去することができる。平坦な表面を有するワークピースで適切なサイズのレーザ・ビームを使用した場合は、レーザとワークピースの相対運動を何ら必要とせずに、そのレーザでワークピース表面から突起を除去できる。図5に示す円筒形のワークピース(スピンドル・シャフトなど)で超高速レーザ・ビームを使用した場合は、そのビームは、突起を除去するために、円筒形表面に対して接線の方に向けられる。次いで、超高速レーザ・ビームがその表面に入射したまま(接線方向)、円筒が回転するのが好ましい。接線方向のビームは、図のように平面ビームでも、直線ビームでもよい。
本発明はまた、相補的形のレーザ・ビームでワークピースの周辺部をマシニングするよう企図されている。例えば、図6に示すように、円筒形のワークピースの外周を取り囲むように、コリメートされた超高速レーザ・リングを向けることができる。
図7に示すように、超高速パルス・レーザはさらに、電極などに見られる溝又はスロットを整えるために使用することができる。このビームは、各溝の1つ又は複数の表面に沿ったかすめ入射に向けられることができる。
本発明はまた、ワークピースを形成するために超高速パルス・レーザを使用するようにも企図されている。例えば、図8に示すように、超高速パルス・レーザを使用して、調節されたテーパを、シャフト上にも、それと関連するスリーブ(図示せず)上にもマシニングすることができる。かかるマシニングによって、既知のマシニング・プロセスで生じるマシニング跡が回避されるはずなので、マシニング突起がほぼない表面が生成されるはずである。さらに、本発明は、最終的な組立て状態の突合せ軸受部品をマシニングするために、超高速パルス・レーザを使用するように企図されている。
上記の開示は、シャフト又はその他の雄型ワークピース表面のホーニングを対象としているが、本発明は、代替方法として、或いは相補形雄型ワークピースのホーニングに加えて、スリーブなどの雌型ワークピースをホーニングするために超高速パルス・レーザを使用するよう企図されている。したがって、シャフト及び関連するスリーブは両方とも、突起の数及びサイズを低減させた相補形の表面を設けるために、レーザ・ホーニングすることができる。
レーザエネルギーが、その断面全域にわたって一貫性を有しないことは知られている。したがって、フェムト秒レーザなどの超高速パルス・レーザは、様々なパルス波形になる。図9A〜9Cを参照して下記に説明するように、いくつかのパルス波形が、レーザ・ホーニングのいくつかの適用例に対して有益になることがある。本発明の好ましい実施例では、超高速パルス・レーザ・ビームの、表面をホーニングして突起を除去するのに適切なエネルギーを有する部分が突起の方に向けられ、ワークピース表面の他の部分には影響を与えない。
図9Aに、2モード・パルス・レーザ・ビームの断面例が示されている。水平ラインは除去される材料のマシニング閾値を示す。図に示されているように、2モード・パルス・レーザ・ビームは、ワークピース表面から突起を除去するのに十分な、2つの隔置されたエネルギー・ピークを有する。したがって、2モード・パルス・レーザ・ビームは、円筒周辺部のマシニングに適している。円筒(又はレーザ)を半回転させる必要があるだけで、この円筒の外側表面をより効率的に除去することができる。2モード・ビームはまた、矩形の両側の同時ホーニングにも、2つの隔置された表面の同時ホーニングにも使用することができる。
図9Bに、頂部が平坦なパルス・レーザ・ビームの断面例が示されている。図9Cに、ガウス形パルス・レーザ・ビームの断面例が示されている。水平ラインは除去される材料のマシニング閾値を示す。図に示されているように、頂部が平坦なビームは断面が広いので、より大きな突起のホーニングが可能になり、ガウス形ビームは断面が狭いので、より制御されたホーニングが可能になる。ガウス形ビームは特に、より制御されたホーニングを可能にする力があるために、本発明の様々な実施例に適している。
図10に、ワークピース表面に対してかすめ入射ではなく垂直方向に向けられたレーザを利用する本発明の代替実施例が示されている。図に示されているように、エネルギー密度が所望の領域にある突起だけの除去に十分な大きさになるように、レンズを使用してレーザ・ビームの焦点を合わせる。例えば、図のようにレーザ・ビームの焦点を合わせることによって、このビームのエネルギー密度は、かすめ入射に向けられたビームによって影響を受けるはずの領域にある突起だけの除去に十分な大きさになる。このビームの焦点は、ワークピース表面から他の材料を除去することなく、或いは少なくとも表面から除去しないほうがよい材料を除去することなく、突起を除去するように合わせることができる。
超高速パルス・レーザは、全種類の金属及びセラミックを含む、様々な材料のホーニングに使用することができる。本発明は、複数のレーザを連続的に、又は同時に使用するよう企図されている。
Claims (6)
- ワークピースの表面を仕上げる方法であって、
前記表面に対して垂直方向に向けられるレーザを提供するステップと、
除去しないほうがよい材料を前記表面から除去することなく、前記表面から突出した突起を除去するのに、前記レーザのエネルギー密度が十分となるように、前記レーザの焦点を前記表面上又は前記表面に隣接して合わせるステップとを含む方法。 - 前記レーザが超高速パルス・レーザである、請求項1に記載の仕上げ方法。
- 前記レーザがフェムト秒レーザである、請求項1に記載の仕上げ方法。
- 前記レーザの焦点が、レンズで合わせられる、請求項1に記載の仕上げ方法。
- マシニング跡をほぼ有しない仕上げ表面を含み、前記マシニング跡は超高速パルス・レーザによって除去されたワークピース。
- 前記マシニング跡のレーザ除去が、融解段階なしに実現される、請求項5に記載のワークピース。
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