JP2015002342A - 有機半導体及びその用途、並びに半導体層形成用インク - Google Patents

有機半導体及びその用途、並びに半導体層形成用インク Download PDF

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Abstract

【課題】キャリア移動度が向上したトランジスタ用の有機半導体、及び、塗布や印刷等の溶液プロセスによる半導体層の形成が可能であり、キャリア移動度が向上した有機半導体を提供する。【解決手段】トランジスタ用の有機半導体は、トランジスタ用のp型の有機半導体であって、2種類以上の異なる化合物で構成される固溶体である。有機半導体は、下記一般式(上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である。【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体、特にトランジスタ用の有機半導体と、その有機半導体を用いた半導体層及びその形成方法と、その半導体層の形成に使用する半導体層形成用インクと、その半導体層を用いた有機エレクトロニクスデバイス、特に電界効果トランジスタと、その電界効果トランジスタの製造方法に関するものである。
従来より、トランジスタ用の有機半導体が知られている。例えば、特許文献1には、半導体材料として下記式
Figure 2015002342
(式中、X1及びX2はそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R及びR’はそれぞれ独立に無置換またはハロゲノ置換C1−C36脂肪族炭化水素基を表す。)
で表される化合物を、半導体材料として電界効果トランジスタに用いることが記載されている。
上記化合物は、優れたキャリア移動度等の半導体特性を有する半導体材料であるが、さらなるキャリア移動度の向上が求められている。
さらに、特許文献1には、上記式で表される化合物の数種類を混合して半導体層の材料として用いてもよいことが記載されている。
しかしながら、特許文献1には、上記式で表される2種類以上の特定の化合物を混合することは記載されていない。また、本願発明者の検討によれば、上記式で表される多数の化合物の中から任意に2種類以上を選んで混合した場合、2種類以上の化合物の組み合わせとして適切な組み合わせを選択しなかった場合には、2種類以上の化合物が相分離した状態となる。このような相分離した状態の混合物では、キャリア移動度の向上効果が得られない。
また、非特許文献1には、電界効果トランジスタ中で高いキャリア移動度を示すペンタセン及びフルオロペンタセンを真空共蒸着することにより作製した薄膜が記載されており、この薄膜は「結晶で(分子長スケールで)混合したペンタセン及びフルオロペンタセンの薄膜」であると記載されている。
しかしながら、上記薄膜は、X線回折スペクトル(非特許文献1の図3(a))において、ペンタセン及びフルオロペンタセンそれぞれの単体のX線回折スペクトルのピークに対応する位置にピークが存在していることから、ペンタセンとフルオロペンタセンとが相分離した状態にあると考えられる。そのため、キャリア移動度の向上効果が得られない。
また、従来より、トランジスタ用の有機半導体以外の有機半導体として、2種類以上の有機半導体化合物を混合したものが知られている。
例えば、非特許文献2には、用途不明な有機半導体として、α−セキシチオフェン及びα,ω−ジヘキシルセキシチオフェンを共蒸着することにより作製した薄膜が記載されている。
しかしながら、上記薄膜は、キャリア移動度がそれほど高くない。また、上記薄膜は、有機溶媒への溶解度が低いα−セキシチオフェンを用いているために、塗布や印刷等の溶液プロセスによる形成が不可能である。なお、非特許文献2には、上記薄膜をトランジスタに用いることについて、開示も示唆もない。
また、非特許文献3には、太陽電池用の有機半導体として、銅フタロシアニン及びフッ素化銅フタロシアニンを共蒸着することにより作製した混晶膜が記載されている。
しかしながら、上記混晶膜は、キャリア移動度が低い。また、上記混晶膜は、有機溶媒への溶解度が低い銅フタロシアニンを用いているために、塗布や印刷等の溶液プロセスによる形成が不可能である。なお、非特許文献3には、上記混晶膜をトランジスタに用いることについて、開示も示唆もない。
国際公開第2008/047896号
I. Salzmann, et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, pp 12870-12871 J. Vogel, et al., J. Phys. Chem. B, 2007, 111, pp 14097-14101 A. Opitz, et al., Organic Electronics, 10, 2009, pp 1259-1267
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、キャリア移動度が向上したトランジスタ用の有機半導体、及び、塗布や印刷等の溶液プロセスによる半導体層の形成が可能であり、キャリア移動度が向上した有機半導体を提供することにある。本発明の他の目的は、キャリア移動度が向上した半導体層及びその形成方法、キャリア移動度が向上した半導体層を形成できる半導体層形成用インク、キャリア移動度が向上した有機エレクトロニクスデバイス、特に電界効果トランジスタ、及びキャリア移動度が向上した電界効果トランジスタを製造できる電界効果トランジスタの製造方法を提供することにある。
本発明のトランジスタ用の有機半導体は、トランジスタ用のp型の有機半導体であって、2種類以上の異なる化合物で構成される固溶体であることを特徴としている。
上記構成によれば、2種類以上の異なる化合物で構成される固溶体であるため、それぞれの化合物単体からなるトランジスタ用の有機半導体と比較してキャリア移動度が向上する。
本発明の有機半導体は、下記一般式(1)
Figure 2015002342
(上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す)
で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体であることを特徴としている。
上記構成によれば、上記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体であるため、上記一般式(1)で表される化合物単体からなる有機半導体と比較してキャリア移動度が向上する。さらに、上記構成によれば、上記一般式(1)で表される化合物は有機溶媒への溶解度が高いため、塗布や印刷等の溶液プロセスによって上記有機半導体からなる半導体層の形成が可能であり、良好な作業性かつ低コストで製造が可能である。
本発明の半導体層は、本発明の有機半導体からなることを特徴としている。
上記構成によれば、キャリア移動度が向上した本発明の有機半導体からなるので、キャリア移動度が向上する。
本発明の半導体層形成用インクは、本発明の半導体層の形成に使用する半導体層形成用インクであって、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物と、溶媒とを含むことを特徴としている。
上記構成の半導体層形成用インクを使用することで、塗布や印刷等の方法により、キャリア移動度が向上した本発明の半導体層を容易に形成することができる。
本発明の半導体層の形成方法は、半導体層を形成しようとする表面上に、本発明の半導体層形成用インクを塗布し、乾燥させることを特徴としている。
上記方法によれば、キャリア移動度が向上した本発明の半導体層を容易に形成することができる。
本発明の有機エレクトロニクスデバイスは、上記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である本発明の有機半導体からなる半導体層を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、溶液プロセスによる半導体層の形成が可能であり、キャリア移動度が向上した本発明の有機半導体からなる半導体層を含むので、キャリア移動度が向上し、また、良好な作業性かつ低コストで製造が可能である。
本発明の電界効果トランジスタは、本発明の半導体層を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、キャリア移動度が向上した本発明の半導体層を含むので、キャリア移動度が向上する。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、本発明の電界効果トランジスタを製造する方法であって、前記半導体層を形成する第1の工程と、第1の工程の後に半導体層を熱処理する第2の工程とを含むことを特徴としている。
上記方法によれば、キャリア移動度が向上した本発明の半導体層を形成した後に半導体層を熱処理することによって、電界効果トランジスタの特性の向上や安定化を図ることができる。
本発明によれば、キャリア移動度が向上したトランジスタ用の有機半導体、及び、塗布や印刷等の溶液プロセスによる半導体層の形成が可能であり、キャリア移動度が向上した有機半導体を提供できる。
また、本発明によれば、キャリア移動度が向上した半導体層及びその形成方法、キャリア移動度が向上した半導体層を形成できる半導体層形成用インク、キャリア移動度が向上した有機エレクトロニクスデバイス、特に電界効果トランジスタ、及びキャリア移動度が向上した電界効果トランジスタを製造できる電界効果トランジスタの製造方法を提供できる。
本発明の電界効果トランジスタの幾つかの態様例を示す概略断面図であり、(a)はボトムコンタクト−ボトムゲート型電界効果トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(b)はトップコンタクト−ボトムゲート型電界効果トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(c)はボトムコンタクト−トップゲート型電界効果トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(d)はトップ&ボトムコンタクト型電界効果トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(e)は静電誘導トランジスタの態様例を示す概略断面図である。 本発明の電界効果トランジスタの一態様例としてのボトムコンタクト−ボトムゲート型電界効果トランジスタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)〜(f)は上記製造方法の各工程を示す概略断面図である。 本発明の一例に係る有機半導体の薄膜の面外(Out−of−Plane)X線回折スペクトルを、その有機半導体を構成する2種類の化合物それぞれの単体の面外X線回折スペクトルと共に示すグラフである。 本発明の一例に係る有機半導体の薄膜の面外X線回折スペクトルを、その有機半導体を構成する2種類の化合物それぞれの単体の面外X線回折スペクトルと共に示すグラフである。 比較例に係る固溶体でない状態の混合物である有機半導体の薄膜の面外X線回折スペクトルを、その混合物を構成する2種類の化合物それぞれの単体の面外X線回折スペクトルと共に示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のトランジスタ用の有機半導体は、トランジスタ用のp型の有機半導体であって、固溶体である。
ここで、「固溶体」とは、2種類以上の元素が互いに溶け合い、全体が均一の固相となっているものをいう。したがって、本発明の有機半導体を構成する固溶体は、有機半導体として機能する2種類以上の異なる化合物からなる混合物であって、2種類以上の異なる化合物が互いに溶け合い、全体が均一の固相になっているものである。
本発明の有機半導体が固溶体であるかは、以下の方法によって確認できる。まず、本発明の有機半導体が2種類以上の異なる化合物からなる混合物であるかは、1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトル、1C−NMRスペクトル、マススペクトル(MS)等のスペクトルを用いる一般的な分子構造分析法を用いて、2種類以上の異なる化合物のそれぞれに対応するピークがスペクトル中に含まれているかを判別することによって確認できる。また、2種類以上の異なる化合物からなる混合物が固溶体の状態となっているかは、面外X線回折スペクトルにおいて、混合物を構成する各単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置の何れにもピークが存在せず、かつ、これら位置の中間位置に単一のピークが存在しているかを判別することによって確認できる。言い換えると、本出願書類において、「固溶体」とは、上記確認方法によって固溶体と判別されるものを意味する。
本発明のトランジスタ用の有機半導体は、正孔移動度が0.01cm2/V・s以上であることが好ましく、正孔移動度が0.1cm2/V・s以上であることがより好ましい。これにより、実用的な特性を有するトランジスタを実現できる。
ここで、本発明のトランジスタ用の有機半導体の正孔移動度は、トランジスタ用の有機半導体を用いてチャネル長200μmの半導体層を有する電界効果トランジスタを作製し、この電界効果トランジスタのドレイン電流−ゲート電圧特性から算出される値であるものとする。
本発明のトランジスタ用の有機半導体を構成する2種類以上の異なる化合物としては、固溶体を形成できる程度に類似した分子構造を有するものであればよく、特に限定されないが、下記一般式(1)
Figure 2015002342
(上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す)
で表される化合物が好ましい。
また、本発明の有機半導体は、上記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である。
本発明の有機半導体は、上記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物に、電界効果トランジスタの特性を改善したり他の特性を付与するために他の有機半導体化合物が混合されたものであってもよいが、その場合、本発明の有機半導体における一般式(1)で表される化合物の含有量は基本的には50重量%以上であり、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上である。
本発明の有機半導体は、上記一般式(1)中の上記ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基が、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基である場合、上記一般式(1)で表される2種類以上の化合物に含まれる直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基の鎖長は、最長の鎖長と最短の鎖長との差が4未満であることが好ましい。これにより、上記一般式(1)で表される2種類以上の化合物の混合物が固溶体の状態を実現し易くなる。
本発明の有機半導体は、上記一般式(1)で表される鎖長の異なる直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を有する2種類の異なる化合物を含有する固溶体である場合、鎖長がより短い直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を有する化合物を30〜85質量%含むことが好ましく、50〜80質量%含むことがより好ましい。
本発明の有機半導体を製造する方法としては、例えば、有機半導体を構成する2種類以上の異なる化合物を溶媒に溶解して溶液を作製した後、溶媒を除去する(乾燥する)方法;有機半導体を構成する2種類以上の異なる化合物を共蒸着する方法等を用いることができる。
〔一般式(1)で表される化合物〕
次に、上記一般式(1)で表される化合物について、以下に詳細に説明する。
上記一般式(1)中のR1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基である。すなわち、上記脂肪族炭化水素基は、直鎖の飽和脂肪族炭化水素基、分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基、環状の飽和脂肪族炭化水素基、直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基、分岐鎖の不飽和脂肪族炭化水素基、又は環状の不飽和脂肪族炭化水素基である。上記脂肪族炭化水素基は、好ましくは直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは直鎖の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは直鎖の飽和脂肪族炭化水素基(直鎖のアルキル基)である。
上記脂肪族炭化水素基の炭素数は、通常、1〜36であり、好ましくは2〜24であり、より好ましくは4〜20である。上記脂肪族炭化水素基の炭素数がこれら数値範囲の上限以下である場合、有機溶媒に対する上記一般式(1)で表される化合物の溶解性をより高くすることができる。また、上記脂肪族炭化水素基の炭素数が2以上、より好ましくは4以上である場合、有機溶媒に対する上記一般式(1)で表される化合物の溶解性をより高くすることができる。
上記直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、n−トリアコンチル基、n−ドトリアコンチル基、n−ヘキサトリアコンチル基等が挙げられる。
上記分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基の例としては、iso−プロピル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、iso−ペンチル基、t−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ヘキシル基、sec−ヘプチル基、sec−ノニル基、5−(n−ペンチル)デシル基等が挙げられる。
上記環状の飽和脂肪族炭化水素基の例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基には、飽和脂肪族炭化水素基、すなわちアルキル基と、不飽和脂肪族炭化水素基とが含まれる。上記不飽和脂肪族炭化水素基には、炭素−炭素二重結合を含むアルケニル基と、炭素−炭素三重結合を含むアルキニル基とが含まれる。上記不飽和脂肪族炭化水素基には、これらが組み合わされたもの、すなわち脂肪族炭化水素基中の一部に炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合を同時に含む場合も含まれる。上記脂肪族炭化水素基は、好ましくはアルキル基又はアルキニル基であり、より好ましくはアルキル基である。
上記直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基の例としては、ビニル基、アリル基、エイコサジエニル基(例えば11,14−エイコサジエニル基)、4−ペンテニル基等の直鎖のアルケニル基;1−プロピニル、1−ヘキシニル、1−オクチニル、1−デシニル、1−ウンデシニル、1−ドデシニル、1−テトラデシニル、1−ヘキサデシニル、1−ノナデシニル等の直鎖のアルキニル基が挙げられる。
上記分岐鎖の不飽和脂肪族炭化水素基の例としては、ゲラニル基(トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−イル基)、ファルネシル基(トランス,トランス−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−イル基)等の分岐鎖のアルケニル基等が挙げられる。
上記一般式(1)中のR1又はR2で表される脂肪族炭化水素基が不飽和脂肪族炭化水素基である場合、その不飽和脂肪族炭化水素基中の不飽和炭素−炭素結合が(R1又はR2が置換した)ベンゼン環と共役する位置に存在すること、すなわち不飽和炭素−炭素結合の一方の炭素原子が該ベンゼン環に直結していることが好ましい。この場合も、上記と同様に、上記不飽和脂肪族炭化水素基として、アルケニル基よりもアルキニル基の方がより好ましい。
上記一般式(1)中のR1又はR2で表される脂肪族炭化水素基は、ハロゲン原子を有しない脂肪族炭化水素基(無置換の脂肪族炭化水素基)、特に炭素数1〜36の無置換の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)であることが好ましいが、ハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基、すなわちハロゲン置換脂肪族炭化水素基であってもよい。上記ハロゲン置換脂肪族炭化水素基とは、上記脂肪族炭化水素基の任意の位置の水素原子が、任意の数かつ任意の種類のハロゲン原子で置換されているものを意味する。
上記ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であり、さらに好ましくはフッ素原子又は臭素原子である。
上記ハロゲン置換脂肪族炭化水素基の例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−パーフルオロプロピル基、n−パーフルオロブチル基、n−パーフルオロペンチル基、n−パーフルオロオクチル基、n−パーフルオロデシル基、n−(ドデカフルオロ)−6−ヨードヘキシル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基等が挙げられる。
〔一般式(1)で表される化合物の製造方法〕
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、K. Takimiya, et al., J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, pp 3044-3050に記載の公知の方法により合成することができる。また、上記一般式(1)で表される化合物は、例えば国際公開第2006/077888号に記載の方法に準じて得ることもできる。
すなわち、下記一般式(2)
Figure 2015002342
(上記式中、Xはハロゲン原子を表す)
で表される化合物、例えば上記一般式(2)においてXがヨウ素原子である化合物を原料として、この化合物にアセチレン誘導体を作用させてカップリング反応を行うことにより、下記一般式(3)
Figure 2015002342
(上記式中、R3及びR4はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す)
で表される化合物を得ることができる。上記一般式(3)で表される化合物は、上記一般式(1)で表される化合物のうちで、R1又はR2がベンゼン環と共役する位置に炭素−炭素三重結合を有する炭素数3以上のアルキニル基(ただしハロゲン原子を有していてもよい)である場合に相当する。したがって、この場合の一般式(1)で表される化合物は、上記カップリング反応により得ることができる。
さらに、得られた一般式(3)で表される化合物を定法により還元(水素付加)することにより、上記一般式(1)においてR1またはR2がハロゲン原子を有していてもよい炭素数3以上のアルケニル基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3以上の飽和の脂肪族炭化水素基(アルキル基)である化合物が得られる。
上記一般式(3)で表される化合物の還元反応の条件、例えば還元反応に用いる反応試薬の種類及び量、及び反応溶媒、及びこれらの組合せを適宜選択すれば、還元反応を炭素−炭素三重結合が炭素−炭素二重結合となるまで進行させた状態で止めることも、還元反応を炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基が飽和脂肪族炭化水素基となるまで進行させることも可能である。
上記一般式(2)で表される化合物とエチレン誘導体とのカップリング反応も、上記一般式(2)で表される化合物とアセチレン誘導体とのカップリング反応と同様に進行する。この場合には、上記一般式(3)における炭素−炭素三重結合を炭素−炭素二重結合に置き換えたアルケニル化合物が得られる。このアルケニル化合物は、上記一般式(1)で表される化合物のうちで、R1又はR2がベンゼン環と共役する位置に炭素−炭素二重結合を有する炭素数3以上のアルケニル基(ただしハロゲン原子を有していてもよい)である場合に相当する。したがって、この場合の一般式(1)で表される化合物は、上記カップリング反応により得ることができる。
上記一般式(1)で表される化合物の精製方法としては、特に限定されず、再結晶、カラムクロマトグラフィー、及び真空昇華精製等の公知の方法が採用でき、必要に応じてこれらの方法を組合わせて用いてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下の表1〜3に示す。
Figure 2015002342
Figure 2015002342
Figure 2015002342
〔半導体層及びその形成方法、並びにそれに用いる半導体層形成用インク〕
本発明の半導体層は、本発明の有機半導体からなる。
本発明の有機半導体からなる半導体層の形成方法としては、各種の方法を用いることができる。半導体層の形成方法は、真空プロセスによる形成方法と、溶液プロセスによる形成方法とに大別され、何れを用いてもよい。真空プロセスによる半導体層の形成方法としては、スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法、真空蒸着法等が挙げられる。溶液プロセスによる半導体層の形成方法としては、ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法;インクジェット法;スクリーン印刷法;オフセット印刷法;マイクロコンタクト印刷法等が挙げられる。以下、半導体層の形成方法について詳細に説明する。
まず、本発明の有機半導体を含む有機材料を用いた真空プロセスによって本発明の有機半導体からなる半導体層を形成する方法について説明する。
この方法としては、前記有機材料を、ルツボや金属ボート等の容器中で真空下に加熱することで蒸発させ、蒸発した有機材料を、半導体層を形成しようとする物体(以下「被着物」と称する)の表面(以下「被着面」と称する)に付着(蒸着)させる方法(真空蒸着法)が好ましく採用される。この蒸着の際の真空度は、通常は1.0×10-1Pa以下であり、好ましくは1.0×10-4Pa以下である。また、蒸着時の被着物の温度に依って、半導体層の特性が変化し(半導体層が電界効果トランジスタの半導体層である場合には、これにより電界効果トランジスタの特性が変化する)ので、蒸着時の被着物の温度を注意深く選択するのが好ましい。蒸着時の被着物の温度は、通常は0〜200℃であり、好ましくは10〜150℃である。また、蒸着速度は、通常は0.001〜10nm/秒であり、好ましくは0.01〜1nm/秒である。有機材料から形成される半導体層2の厚みは、通常は0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。
なお、半導体層の形成のための有機材料を加熱し蒸発させて被着面に付着させる方法に代えて、加速したアルゴン等のイオンを材料ターゲットに衝突させて材料原子を叩きだし基板に付着させるスパッタリング法を用いてもよい。
次に、本発明の有機半導体を含む溶液(インク)を用いた溶液プロセスによって本発明の有機半導体からなる半導体層を形成する方法について説明する。
本発明の半導体層の形成方法としては、半導体層を形成しようとする表面(被着面)上に、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物と溶媒とを含む半導体層形成用インクを塗布し、乾燥させる方法が好適である。
本発明の有機半導体のうち、前記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である有機半導体は、有機溶媒に溶解しやすいために溶液プロセスに好適であり、この溶液プロセスにより半導体層を形成したときに実用的な半導体特性を持つ半導体層が得られる。塗布による半導体層の形成方法は、製造時の環境を真空や高温状態にする必要が無いため、大面積の電界効果トランジスタを良好な作業性かつ低コストで製造できるため有利であり、各種の半導体層の形成方法の中でも好ましい。
溶液プロセスによる半導体層の形成方法では、まず、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物を溶媒に溶解させることで、半導体層形成用のインクを調製する。本発明の半導体層形成用インクは、本発明の有機半導体からなる半導体層の形成に使用する半導体層形成用インクであって、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物と、溶媒とを含んでいる。
上記半導体層形成用インクに使用する溶媒としては、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物がその溶媒に溶解でき、かつインクを用いた被着体上への半導体層の形成が可能となるのあれば、特に限定されるものではない。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましい。上記有機溶媒としては、具体的には、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒;オクタフルオロペンタノール、ペンタフルオロプロパノール等のフッ化アルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、炭酸ジエチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、ジイソブチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
上記半導体層形成用インク中における、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物の濃度は、溶媒の種類や、形成する半導体層の厚みによって異なるが、通常は0.001〜50質量%であり、好ましくは0.01〜20質量%である。
上記半導体層形成用インクが前記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含むものである場合、半導体層の成膜性の向上や、後述のドーピング等のために、添加剤や、前記一般式(1)で表される化合物以外の半導体材料を、上記半導体層形成用インクに含有させることも可能である。
上記半導体層形成用インクを調製する際には、上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物を溶媒に溶解させ、必要であれば加熱溶解処理(加熱によって溶媒への化合物の溶解を促進させる処理)を行い、溶液を得る。さらに、得られた溶液をフィルターを用いて濾過することによって、不純物等の固形分を除去する。これにより、半導体層形成用インクが得られる。このような半導体層形成用インクを用いると、半導体層の成膜性の向上が見られ、半導体層を形成する上で好ましい。
上記半導体層形成用インクを用いることにより、インクジェット記録方法を用いた有機半導体のパターニング及び回路の作成も可能となる。
次に、上記半導体層形成用インクを、被着面上に塗布し、乾燥させる(溶媒を除去する)。上記半導体層形成用インクの塗布の方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷等の印刷法;マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法;これらの手法を複数組み合わせた方法等を採用できる。
さらに、塗布方法に類似した半導体層の形成方法として、水面上に上記半導体層形成用インクを滴下することにより半導体層の単分子膜を作製し、その半導体層の単分子膜を被着面上に移し積層させるラングミュアプロジェクト法;液晶状態や融液状態の有機半導体を2枚の基板で挟む方法;液晶状態や融液状態の有機半導体を毛管現象で基板間に導入する方法等も採用できる。
この方法により形成される半導体層の厚みは、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。半導体層の厚みが大きくなると、半導体層が電界効果トランジスタの半導体層である場合に漏れ電流が大きくなる懸念がある。半導体層の厚みは、通常は0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。
〔電界効果トランジスタ〕
本発明の電界効果トランジスタ(Field effect transistor、以下「FET」と略することがある)は、本発明の有機半導体からなる半導体層を含むものである。本発明の電界効果トランジスタは、より詳細には、本発明の有機半導体からなる半導体層を含む少なくとも1つの半導体層と、該半導体層に接して互いに離間するように配設された2つの電極、すなわちソース電極及びドレイン電極と、上記半導体層におけるソース電極に接する表面とドレイン電極に接する表面との間の領域(チャネル領域)に対向するように配設されたゲート電極と呼ばれるもう1つの電極とを備え、ソース電極及びドレイン電極間に流れる電流を、ゲート電極に印加する電圧によって制御するものである。
一般に、電界効果トランジスタとして、ゲート電極が絶縁体層で半導体層と絶縁されている構造(Metal−Insulator−Semiconductor;MIS構造)の電界効果トランジスタがよく用いられる。MIS構造のうちで絶縁体層として金属酸化膜を用いたものは、MOS(Metal−Oxide−Semiconductor)構造と呼ばれる。他の構造の電界効果トランジスタとしては、半導体層に対してショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造(Metal−Semiconductor;MES構造)のものもあるが、有機半導体を用いた電界効果トランジスタの場合、MIS構造がよく用いられる。
以下、図1を用いて本発明の電界効果トランジスタについてより詳細に説明するが、本発明はこれらの構造には限られない。
図1に、本発明の電界効果トランジスタの幾つかの態様例を模式図として示す。図1(a)〜図1(d)に示す各例の電界効果トランジスタ10A〜10Dは、ソース電極1、本発明の有機半導体からなる半導体層を含む少なくとも1つの半導体層2、ドレイン電極3、絶縁体層4、ゲート電極5、及び基板6を備えている。図1(e)に示す例の電界効果トランジスタ10Eは、ソース電極1、本発明の有機半導体からなる半導体層を含む少なくとも1つの半導体層2、ドレイン電極3、及びゲート電極5を備えている。なお、各層2,4及び電極1,3,5の配置は、電界効果トランジスタの用途により適宜選択できる。
電界効果トランジスタ10A〜10Dは、基板6、ソース電極1、及びドレイン電極3と平行な方向に電流が流れるので、横型FETと呼ばれる。電界効果トランジスタ10A及び電界効果トランジスタ10Cは、半導体層2の下面(基板6側の面)上にソース電極1及びドレイン電極3が配置された構造となっており、この構造はボトムコンタクト構造と呼ばれる。電界効果トランジスタ10Bは、半導体層2の上面(基板6から遠い側の面)上にソース電極1及びドレイン電極3が配置された構造となっており、この構造はトップコンタクト構造と呼ばれる。電界効果トランジスタ10Dは、ソース電極1及びドレイン電極3の一方が半導体層2の上面上に配置され、他方が半導体層2の下面上に配設された構造となっており、この構造はトップ&ボトムコンタクト構造と呼ばれる。
電界効果トランジスタ10A、電界効果トランジスタ10B、及び電界効果トランジスタ10Dは、半導体層2の下側(基板6側)にゲート電極5が配置された構造となっており、この構造はボトムゲート構造と呼ばれる。ボトムゲート構造では、単一の導電性基板(例えばシリコンウェハー)がゲート電極5と基板6とを兼ねてもよい。電界効果トランジスタ10Cは、半導体層2の上側(基板6から遠い側)にゲート電極5が配置された構造となっており、この構造はトップゲート構造と呼ばれる。
電界効果トランジスタ10Aは、ボトムコンタクト−ボトムゲート型電界効果トランジスタと呼ばれるものである。電界効果トランジスタ10Aは、基板6と、基板6の上面上に配設されたゲート電極5と、ゲート電極5の上面上に配設された絶縁体層4と、絶縁体層4の上面の一端部上に配設されたソース電極1と、絶縁体層4の上面の他端部上に配設されたドレイン電極3と、絶縁体層4の上面の中央部(両端部を除く部分)、ソース電極1の上面の一部、及びドレイン電極3の上面の一部の上に配設された半導体層2とを備えている。
電界効果トランジスタ10Bは、トップコンタクト−ボトムゲート型電界効果トランジスタと呼ばれるものである。電界効果トランジスタ10Bは、基板6と、基板6の上面上に配設されたゲート電極5と、ゲート電極5の上面上に配設された絶縁体層4と、絶縁体層4の上面上に配設された半導体層2と、半導体層2の上面の一部の上に互いに離間するように配設されたソース電極1及びドレイン電極3とを備えている。
電界効果トランジスタ10Cは、ボトムコンタクト−トップゲート型電界効果トランジスタと呼ばれるものである。電界効果トランジスタ10Cは、有機単結晶半導体を用いた電界効果トランジスタによく用いられる構造である。電界効果トランジスタ10Cは、基板6と、基板6の上面上に配設された半導体層2と、半導体層2の上面の一部の上に互いに離間するように配設されたソース電極1及びドレイン電極3と、絶縁体層4の上面(ただしソース電極1及びドレイン電極3が配設されている部分を除く)、ソース電極1の上面、及びドレイン電極3の上面の上に配設された絶縁体層4と、絶縁体層4上に配設されたゲート電極5とを備えている。
電界効果トランジスタ10Dは、トップ&ボトムコンタクト型電界効果トランジスタと呼ばれるものである。電界効果トランジスタ10Dは、基板6と、基板6の上面上に配設されたゲート電極5と、ゲート電極5の上面上に配設された絶縁体層4と、絶縁体層4の上面の一端部上に配設されたソース電極1と、絶縁体層4の上面(ただしソース電極1が配設されている部分を除く)及びソース電極1の上面の上に配設された半導体層2と、半導体層2の上面におけるソース電極1から遠い側の端部上に配設されたドレイン電極3とを備えている。
電界効果トランジスタ10Eは、ソース電極1及びドレイン電極3と垂直な方向に電流が流れる、縦型の構造をもつ電界効果トランジスタの1種であって、静電誘導トランジスタ(SIT)である。電界効果トランジスタ10Eは、互いに平行にかつ離間するように配設されたソース電極1及びドレイン電極3と、ソース電極1及びドレイン電極3の間に挟持されるように配設された半導体層2と、ソース電極1及びドレイン電極3に平行なメッシュ状に半導体層2中に埋め込まれた複数のゲート電極5とを備えている。この静電誘導トランジスタ(電界効果トランジスタ10E)は、半導体層2中の電流の流れが平面状に広がるので、図1(e)中に矢印で示すように一度に大量のキャリア8がソース電極1側からドレイン電極3側へ移動できる。また、この静電誘導トランジスタ(電界効果トランジスタ10E)は、ソース電極1及びドレイン電極3が縦方向(半導体層2に垂直な方向)に並ぶように配されているので、ソース電極1とドレイン電極3との間の距離を短くできるため、応答が高速である。従って、この静電誘導トランジスタ(電界効果トランジスタ10E)は、大電流を流す、あるいは高速のスイッチングを行う等の用途に好ましく適用できる。なお、図1(e)には、基板を示していないが、通常の場合、電界効果トランジスタ10Eにおけるソース電極1及びドレイン電極3の外側には、基板6と同様の基板が設けられる。
次に、各態様例の電界効果トランジスタ10A〜10Dにおける各構成要素について以下に説明する。
基板6は、その上に形成される各構成要素を剥離することなく保持できることが必要である。基板6の材料としては、例えば、樹脂板、樹脂フィルム、紙、ガラス板、石英板、セラミック板等のような絶縁性基板;金属又は合金等からなる導電性基板上にコーティング等により絶縁層を形成した基板;樹脂と無機材料との組み合わせ等のような各種組み合わせからなる基板;半導体基板(例えばシリコンウェハー)等の導電性基板等を使用することができる。上記樹脂板及び樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド等が挙げられる。基板6として樹脂フィルム又は紙を用いると、電界効果トランジスタ10A〜10Dに可撓性を持たせることができ、電界効果トランジスタ10A〜10Dがフレキシブルで軽量となり、電界効果トランジスタ10A〜10Dの実用性が向上する。基板6の厚みは、通常は1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。
ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5には、導電性を有する材料が用いられる。上記導電性を有する材料としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウム等の金属及びそれらを含む合金;InO2、ZnO2、SnO2、ITO(酸化インジウムスズ)等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料等が使用できる。また、導電性高分子化合物や半導体は、ドーピングが施されたものであってもよい。そのドーピングに用いるドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン;リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属等が用いられる。また、これら材料(ただし後述する粒子とは異なる材料)中に、カーボンブラックや金属粒子(金粒子、白金粒子、銀粒子、銅粒子等)等の粒子を分散した導電性の複合材料も用いられる。
ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5には、図1には示していないが、配線が連結される。上記配線は、ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5に用いられるのとほぼ同様の導電性を有する材料により作製される。
絶縁体層4としては、絶縁性を有する材料(絶縁体材料)が用いられる。上記絶縁性を有する材料としては、例えば、ポリパラキシリレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー及びこれらポリマーの構成単位を2種類以上組み合わせた共重合体;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の(強誘電性でない)酸化物;SrTiO3、BaTiO3等の強誘電性酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化物;硫化物;フッ化物等の誘電体を使用できる。また、上記絶縁性を有する材料として、ポリマー中に上記誘電体(ただし上記ポリマーとは異なる材料)の粒子を分散させた材料も使用できる。絶縁体層4の厚みは、絶縁体層4を構成する材料によって異なるが、通常は0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
半導体層2は、本発明の有機半導体からなる少なくとも1つの半導体層であってもよく、本発明の有機半導体からなる少なくとも1つの半導体層と他の有機半導体からなる少なくとも1つの半導体層とを積層したものであってもよい。
半導体層2の厚みは、必要な機能を失わない範囲で薄いほど好ましい。電界効果トランジスタ10A、10B及び10D等のような横型の電界効果トランジスタにおいては、半導体層2が所定以上の厚みを有していれば電界効果トランジスタの特性は半導体層2の厚みに依存しない一方、半導体層2の厚みが厚くなると漏れ電流が増加してくることが多いため、半導体層2の厚みが適当な範囲にあることが好ましい。半導体層2の厚みは、半導体層2に必要とされる機能を半導体層2が果たすために、通常は0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。
本発明の電界効果トランジスタでは、上述した各構成要素の間や、上述した各構成要素の露出した表面に、必要に応じて他の層を設けてもよい。例えば、本発明の電界効果トランジスタにおける半導体層上に直接または他の層を介して保護層を形成してもよい。これにより、電界効果トランジスタの電気的特性に対する湿度等の外気の影響を小さくして電界効果トランジスタの電気的特性を安定化でき、また、電界効果トランジスタのON/OFF比等の電気的特性を向上させることができる。
上記保護層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜;窒化膜等の誘電体が好ましく、酸素の透過率、水分の透過率、及び吸水率の小さい樹脂(ポリマー)がより好ましい。上記保護層を構成する材料として、近年、有機ELディスプレイ用に開発されている保護材料も使用できる。上記保護層の厚みは、その目的に応じて任意の厚みを採用できるが、通常は100nm〜1mmである。
また、半導体層が形成される表面(基板表面、絶縁体層表面等)に、半導体層の形成前に表面処理を行うことにより、電界効果トランジスタの特性を向上させることが可能である。例えば、半導体層が形成される表面の親水性/疎水性の度合いを調整することにより、その表面の上に形成される半導体層の質を改良しうる。特に、有機半導体からなる半導体層は、分子の配向等のような層の状態によってその特性が大きく変わることがある。そのため、半導体層が形成される表面への表面処理によって、半導体層が形成される表面とその表面上に形成される半導体層との界面部分における分子の配向が制御されると共に、半導体層が形成される基材(基板や絶縁体層等)中のトラップ部位が低減され、これらにより電界効果トランジスタのキャリア移動度等の特性が改良されるものと考えられる。トラップ部位とは、未処理の基材中に存在する水酸基等の官能基を指す。半導体層が形成される基材中にこのような官能基が存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果として、電界効果トランジスタのキャリア移動度が低下する。従って、半導体層が形成される基材中のトラップ部位を低減することも、電界効果トランジスタのキャリア移動度等の特性改良には有効な場合が多い。このような半導体層が形成される基材の表面処理としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等による疎水化処理;塩酸、硫酸、酢酸等の酸による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリによるアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素プラズマやアルゴンプラズマ等のプラズマによるプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体や半導体の薄膜を形成する処理;機械的処理;コロナ放電等の電気的処理;繊維等を利用したラビング処理等が挙げられる。
本発明の電界効果トランジスタの各層及び各電極を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法(インクジェット印刷等)、ゾルゲル法等を適宜採用することができる。上記各層及び各電極を形成する方法としては、コストや手間の問題を考慮すると、塗布法、又は、インクジェット印刷等の印刷法が好ましい。
〔電界効果トランジスタの製造方法〕
次に、本発明の電界効果トランジスタの製造方法について、図1(a)に示す態様例のボトムコンタクト−ボトムコンタクト型の電界効果トランジスタ(FET)10Aを例として、図2に基づき以下に説明する。
この製造方法は、前述した電界効果トランジスタ10B〜10E等の他の態様の電界効果トランジスタにも同様に適用しうるものである。
(基板6の用意及び基板6の表面処理)
電界効果トランジスタ10Aの製造方法では、まず基板6を用意し(図2(a)参照)、基板6上に必要な各種の層や電極を設けることで電界効果トランジスタ10Aを作製する。基板6としては、前述したものが使用できる。この基板6上に前述の表面処理などを行うことも可能である。基板6の厚みは、必要な機能を妨げない範囲で薄い方が好ましい。基板6の厚みは、基板6を構成する材料によっても異なるが、通常は1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。また、必要により、基板6に電極の機能を持たせるようにしてもよい。
(ゲート電極5の形成)
次に、基板6上にゲート電極5を形成する(図2(b)参照)。ゲート電極5を形成する方法としては、各種の方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等を採用できる。ゲート電極5を構成する材料(電極材料)の層を形成する時、又はその層を形成した後に、必要に応じて所望の形状になるよう層をパターニングするのが好ましい。層のパターニングの方法としても、各種の方法を用いうるが、例えば、フォトレジストのパターニングとエッチングとを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法;又はこれら手法を複数組み合わせた手法を利用して、層をパターニングすることも可能である。ゲート電極5の厚みは、ゲート電極5を構成する材料によっても異なるが、通常は0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。また、単一の導電性基板がゲート電極5と基板6とを兼ねる場合には、その単一の導電性基板の厚みは、上述したゲート電極5の厚みの範囲より厚くてもよい。
(絶縁体層4の形成)
次に、ゲート電極5上に絶縁体層4を形成する(図2(c)参照)。絶縁体層4の形成には、各種の方法を用いることができる。絶縁体層4の形成に用いることができる方法としては、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティング等の塗布法;スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット等の印刷法;真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD(化学蒸着)法等のドライプロセス法等の各種の方法が挙げられる。、絶縁体層4の形成方法として、その他、ゾルゲル法や、アルミニウム上にアルマイトを形成する方法のように金属の表層を酸化して酸化物膜を形成する方法等も採用できる。
なお、絶縁体層4と半導体層2とが接する部分においては、絶縁体層4と半導体層2との界面で半導体層2を構成する化合物の分子、例えば上記一般式(1)で表される化合物の分子を良好に配向させるために、絶縁体層4に所定の表面処理を行うこともできる。絶縁体層4の表面処理の手法としては、基板6の表面処理の手法と同様のものを用いうる。絶縁体層4の厚みは、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。絶縁体層4の厚みは、通常は0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
(ソース電極1及びドレイン電極3の形成)
次に、絶縁体層4上にソース電極1及びドレイン電極3を形成する(図2(d)参照)。ソース電極1及びドレイン電極3の形成方法等は、ゲート電極5の形成方法等に準じたものとすることができる。
(半導体層2の形成)
次に、絶縁体層4の上面における露出している部分、ソース電極1の上面の一部、及びドレイン電極3の上面の一部の上に、半導体層2を形成する(図2(e)参照)。半導体層2を形成するにあたっては、前述した半導体層の形成方法を用いることができる。この工程では、半導体層2が形成される物体(被着物)は、図2(d)に示す、ソース電極1、ドレイン電極3、絶縁体層4、ゲート電極5、及び基板6で構成されるものであり、半導体層2が形成される表面(被着面)は、絶縁体層4の上面における露出している部分、ソース電極1の上面の一部、及びドレイン電極3の上面の一部である。
(半導体層2の後処理)
このようにして形成された半導体層2は、後処理によりさらに特性を改良することが可能である。例えば、半導体層2の後処理として熱処理を行うことにより、半導体層2の半導体特性の向上や安定化を図ることができる。この理由は、半導体層2の形成時に生じた半導体層2中の歪みが緩和されること、半導体層2中のピンホール等が低減されること、半導体層2中の分子の配列・配向が制御できると考えられていること等による。
したがって、本発明の電界効果トランジスタの製造時には、上記熱処理を行うことが電界効果トランジスタの特性の向上のためには効果的である。すなわち、電界効果トランジスタの特性の向上のためには、電界効果トランジスタの製造方法は、半導体層2を形成する第1の工程と、第1の工程の後に半導体層2を熱処理する第2の工程とを含むことが好ましい。
上記熱処理は、半導体層2を形成した後に、半導体層2を含む積層体(ここでは図2(e)に示す電界効果トランジスタ10A)を加熱することによって行う。上記熱処理の温度は、特に制限はないが、通常、室温以上150℃以下であり、好ましくは40〜120℃であり、より好ましくは45〜100℃である。上記熱処理の時間は、特に制限は無いが通常は1分以上24時間以下であり、好ましくは2分以上3時間以下である。上記熱処理の雰囲気に関しては、大気中で熱処理を行ってもよく、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で熱処理を行ってもよい。
上記熱処理は、半導体層2が形成されていればどの段階で行ってもよい。例えば、この製造方法をトップコンタクト型の電界効果トランジスタ10B,10C等に適用する場合には、半導体層2に加えてソース電極1及びドレイン電極3を形成した後に熱処理を行ってもよく、半導体層2の形成後、ソース電極1及びドレイン電極3の形成前に熱処理を行ってもよい。
半導体層2に好適に使用される上記一般式(1)の化合物は、R1及びR2で表されるハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基の長さにより融点が変化し、さらに場合により2つの熱相転移点を有する。融点については、ホットプレート型融点測定器(株式会社ヤナコ機器開発研究所製)等を用い、通常の方法で目視により測定すればよい。また、熱相転移点については、示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名「EXSTAR DSC6200」)等の機器により、示差熱分析を行うことにより測定することができる。
半導体層2が、熱相転移点を有しない上記一般式(1)の化合物で構成される場合、熱処理の温度は、好ましくは上記一般式(1)の化合物の融解開始温度以下であり、通常は室温以上であり、好ましくは45℃以上であり、より好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。
半導体層2が、2つの熱相転移点(熱相転移温度)を有する上記一般式(1)の化合物で構成される場合、熱処理の温度範囲は、2つの熱相転移点の間の範囲、すなわち低温側の熱相転移点以上かつ高温側の熱相転移点以下の温度範囲であることが好ましい。この温度範囲は、上記一般式(1)の化合物の種類によって変化するため、一概にいうことは困難であるが、おおよその範囲としては、通常は80℃以上150℃以下であり、好ましくは80℃以上130℃以下であり、より好ましくは100℃以上130℃以下である。
上記熱処理は、どの段階で行うかということよりも、熱処理を行う温度の方がより重要である。上述したように適切な温度で熱処理した場合には、適切でない温度で同様に熱処理した場合よりも半導体層2の特性が優れる傾向があり、半導体層2のキャリア移動度が数倍から10倍以上も向上する場合がある。
また、半導体層2のその他の後処理方法として、酸素等の酸化性気体、水素等の還元性気体や、酸化性液体、還元性液体等で半導体層2を処理することにより、酸化又は還元による半導体層2の特性変化を誘起することもできる。これは、例えば半導体層2中のキャリア密度を増加又は減少させる目的で利用できる。
また、ドーピングと呼ばれる手法において、微量のドーパント(元素、原子団、分子、又は高分子)を半導体層2に加える(ドーピングする)ことにより、半導体層2の特性を変化させることができる。例えば、酸素等の酸化性気体;水素等の還元性気体;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを半導体層2にドーピングすることができる。これは、半導体層2にガス状態のドーパントを接触させる方法(ドーパントがガスである場合)、ドーパントが溶液である場合には溶液状態のドーパントに半導体層2を浸す方法(ドーパントが溶液状態である場合)、電気化学的なドーピング処理をする方法等により達成できる。これらのドーパントは、必ずしも半導体層2の形成後に添加しなくてもよく、半導体層2の材料の合成時に添加したり、半導体層形成用インクを用いて半導体層2を形成する場合には、その半導体層形成用インクに添加したりしてもよい。また、半導体層2を形成する材料にドーパントを添加して共蒸着したり、半導体層2を形成する時の周囲の雰囲気にドーパントを混合したり(ドーパントを存在させた環境下で半導体層2を形成する)、さらにはドーパントのイオンを真空中で加速して半導体層2に衝突させてドーピングしたりすることも可能である。
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加又は減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(p型、n型)、フェルミ準位の変化等が挙げられる。このようなドーピングは、特にシリコン等の無機系半導体材料を用いた半導体素子ではよく利用されているものである。
(保護層7の形成)
上述した半導体層2を形成する工程で電界効果トランジスタ10Aが完成する(図2(e)参照)が、必要に応じて、半導体層2の形成後に半導体層2上に保護層7を形成してもよい。半導体層2上に保護層7を形成すると、外気の影響を最小限にでき、また、有機電界効果トランジスタ10Aの電気的特性を安定化できるという利点がある。
保護層7の厚みは、その目的に応じて任意の厚みを採用できるが、通常は100nm〜1mmである。
保護層7を形成する方法としては、各種の方法を採用しうるが、保護層7が樹脂からなる場合には、例えば、樹脂を含有する溶液を塗布した後に乾燥させて樹脂層とする方法、樹脂のモノマーを塗布又は蒸着した後に重合させる方法等が挙げられる。樹脂層の形成後に架橋処理を行ってもよい。保護層7が無機物からなる場合は、保護層7を形成する方法として、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスによる形成方法;ゾルゲル法等の溶液プロセスによる形成方法等を用いることができる。
本発明の電界効果トランジスタにおいては、半導体層上の他、各構成要素の間にも、必要に応じて保護層を設けることができる。そのような保護層は、有機電界効果トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
本発明の電界効果トランジスタは、半導体層を構成する半導体材料として有機材料を用いているため、比較的低温プロセスでの製造が可能である。従って、本発明の電界効果トランジスタでは、高温にさらされる条件下では使用できなかったプラスチック板やプラスチックフィルム等のようなフレキシブルな材料も基板として用いることができる。その結果、本発明の電界効果トランジスタでは、フレキシブルな材料を基板として用いることで、軽量で柔軟性に優れた壊れにくい電界効果トランジスタを実現でき、アクティブマトリクス型のディスプレイにおけるスイッチング素子等として好適に利用できる。上記ディスプレイとしては、例えば、液晶ディスプレイ、高分子分散型液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、エレクトロクロミック型ディスプレイ、粒子回転型ディスプレイ等が挙げられる。
さらに、本発明の電界効果トランジスタは、半導体層が上記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物で構成される場合、塗布等の溶液プロセスで半導体層の形成が可能である。そのため、その場合の電界効果トランジスタは、蒸着等の真空プロセスを用いなければ半導体層を形成できない有機半導体を用いた場合と比べて、非常に低コストで製造でき、大面積ディスプレイの製造にも適している。
本発明の電界効果トランジスタは、メモリー回路素子、信号ドライバー回路素子、信号処理回路素子等の、デジタル素子又はアナログ素子としても利用できる。さらにこれらを組み合わせることによりIC(集積回路)カードやICタグの作製することもできる。さらに、本発明の電界効果トランジスタは、化学物質等の外部刺激によりその特性に変化を起こすことができるので、FETセンサーとしての利用も可能である。
電界効果トランジスタの動作特性は、半導体層のキャリア移動度、電導度、絶縁体層の静電容量、素子構成(ソース電極とドレイン電極との間の距離、ソース電極及びドレイン電極の幅、絶縁体層の厚み等)等により決まる。電界効果トランジスタに用いる有機半導体は、キャリア移動度の高いものほど好ましい。
前記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である本発明の有機半導体は、半導体層の形成に用いた場合に成膜性が良く、大面積への適用性がある。また、前記一般式(1)で表される化合物は、低コストで製造できる。さらにペンタセン誘導体等は、大気中においては大気に含まれる水分などにより分解を生じるなど、不安定で取扱が難しい化合物である。これに対し、本発明の上記一般式(1)で表される化合物を半導体層の材料として用いた場合には、前記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である本発明の有機半導体は、半導体層の形成後においても、安定性が高く寿命が長いという利点がある。
〔電界効果トランジスタ以外の有機エレクトロニクスデバイス〕
本発明に係る、前記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である有機半導体は、電界効果トランジスタ以外の有機エレクトロニクスデバイスにも利用できる。本発明の有機エレクトロニクスデバイスは、本発明に係る、前記一般式(1)で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体である有機半導体からなる半導体層を含んでいる。電界効果トランジスタ以外の有機エレクトロニクスデバイスとしては、有機エレクトロニクスデバイスとしては、例えば、光電変換素子、有機太陽電池、有機EL素子、有機発光トランジスタ素子、有機半導体レーザー素子等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(半導体層形成用インクの作製)
2,7−ジヘキシル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(表1の化合物番号12の化合物;以下「C6−BTBT」と呼ぶ)0.75質量部と、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(表1の化合物番号16の化合物;以下「C8−BTBT」と呼ぶ)0.25質量部とをトルエン99質量部に溶解させることにより、C6−BTBT75質量%及びC8−BTBT25質量%で構成される混合物(有機半導体)を1質量%の濃度で含むトルエン溶液を半導体層形成用インクとして作製した。
(ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
本実施例では、前述した図1(a)に示すボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタ10Aの一例に係る電界効果トランジスタを作製した。
本実施例では、厚み300nmのSiO2熱酸化膜(シリコンの熱酸化により形成されたSiO2膜)が片面に付けられたnドープシリコンウェハー(面抵抗0.03Ω・cm以下)を、絶縁体層4、ゲート電極5、及び基板6として使用した。本実施例の電界効果トランジスタにおいては、SiO2熱酸化膜が絶縁体層4の機能を備え、nドープシリコンウェハーが基板6及びゲート電極5の機能を兼ね備えている。
SiO2熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおけるSiO2熱酸化膜が付けられている面上に、レジスト材料を塗布し、露光パターニングし、ここにクロムを1nm蒸着し、さらに金を40nm蒸着することにより、厚み1nmのクロム層及び厚み40nmの金層からなるソース電極1及びドレイン電極3(チャネル長200μm、チャネル幅2.5mmのボトムコンタクト型電極)を形成した。次いで、レジストを剥離した。
SiO2熱酸化膜の上面における露出している部分、ソース電極1の上面の一部、及びドレイン電極3の上面の一部の上に、前記半導体層形成用インクを回転数500rpmで5秒間スピンコートし、引き続いて前記半導体層形成用インクを回転数2000rpmで20秒間スピンコートし、厚み50nm程度の有機半導体薄膜を半導体層2として形成した。この有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルの測定結果より固溶体であることが確認された。
得られた電界効果トランジスタをプローバー内に設置し、「半導体パラメーターアナライザー4200−SCS」(ケースレーインスツルメンツ社製)を用いて、電界効果トランジスタの半導体特性を測定した。電界効果トランジスタの半導体特性は、ドレイン電圧を−100Vとし、ゲート電圧を20Vから−100Vまでで走査し、ドレイン電流−ゲート電圧特性(トランスファー特性)を測定した。得られたドレイン電流−ゲート電圧曲線より、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し、キャリア移動度(正孔移動度)が1.0cm2/V・sであり、閾値電圧が−35Vであり、オン/オフ比(オン状態の電流Ionとオフ状態の電流Ioffとの比Ion/Ioff)が108であった。
〔実施例2〕
(半導体層形成用インクの作製)
C8−BTBT0.50質量部と、2,7−ジデシル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(表1の化合物番号18の化合物;以下「C10−BTBT」と呼ぶ)0.50質量部とをトルエン99質量部に溶解させることにより、C8−BTBT50質量%及びC10−BTBT50質量%で構成される混合物(有機半導体)を1質量%の濃度で含むトルエン溶液を半導体層形成用インクとして作製した。
(ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例1と同様にして、ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。この電界効果トランジスタの有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルより固溶体であることが確認された。
得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し、キャリア移動度(正孔移動度)が0.50cm2/V・sであり、閾値電圧が−9Vであり、オン/オフ比が107であった。
〔比較例1〕
(半導体層形成用インクの作製)
C6−BTBT1.0質量部をトルエン99質量部に溶解させることにより、C6−BTBTを1質量%の濃度で含むトルエン溶液を半導体層形成用インクとして作製した。
(ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例1と同様にして、ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、キャリア移動度(正孔移動度)が0.11cm2/V・sであり、閾値電圧が−14Vであり、オン/オフ比が107であった。
〔比較例2〕
C6−BTBTに代えてC8−BTBTを用いること以外は比較例1と同様にして、半導体層形成用インクを作製しボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、キャリア移動度(正孔移動度)が0.20cm2/V・sであり、閾値電圧が−9Vであり、オン/オフ比が105であった。
〔比較例3〕
C6−BTBTに代えてC10−BTBTを用いること以外は比較例1と同様にして、半導体層形成用インクを作製しボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、キャリア移動度(正孔移動度)が0.21cm2/V・sであり、閾値電圧が−9Vであり、オン/オフ比が107であった。
〔実施例3〕
(半導体層形成用インクの作製)
実施例1と同様にして、半導体層形成用インクを作製した。
(トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
本実施例では、前述した図1(b)に示すトップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタ10Bの一例に係る電界効果トランジスタを作製した。
本実施例では、厚み300nmのSiO2熱酸化膜(シリコンの熱酸化により形成されたSiO2膜)が片面に付けられたnドープシリコンウェハー(面抵抗0.03Ω・cm以下)を洗浄し、これを、絶縁体層4、ゲート電極5、及び基板6として使用した。本実施例の電界効果トランジスタにおいては、SiO2熱酸化膜が絶縁体層4の機能を備え、nドープシリコンウェハーが基板6及びゲート電極5の機能を兼ね備えている。
SiO2熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおけるSiO2熱酸化膜が付けられている面上に、前記半導体層形成用インクを回転数500rpmで5秒間スピンコートし、引き続いて前記半導体層形成用インクを回転数2000rpmで20秒間スピンコートし、厚み50nm程度の有機半導体薄膜を半導体層2として形成した。この有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルの測定結果より固溶体であることが確認された。
次いで、このSiO2熱酸化膜及び有機半導体薄膜が付けられたnドープシリコンウェハーに対して電極作製用シャドウマスクを取り付け、真空蒸着装置内に設置し、真空蒸着装置内の真空度が1.0×10-4Pa以下になるまで排気した。そして、抵抗加熱蒸着法によって、ソース電極1及びドレイン電極3として金の電極を50nmの厚さで有機半導体薄膜上に蒸着し、トップコンタクト−ボトムゲート型である本発明の一例に係る電界効果トランジスタ(チャネル長200μm、チャネル幅2.5mm)を得た。
得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し(したがって電界効果トランジスタはp型駆動される)、キャリア移動度(正孔移動度)が1.1cm2/V・sであり、閾値電圧が−31Vであり、オン/オフ比が105であった。
〔実施例4〕
(半導体層形成用インクの作製)
C8−BTBT及びC10−BTBTの使用量を変更する以外は実施例2と同様にして、C8−BTBT75質量%及びC10−BTBT25質量%で構成される有機半導体を含む半導体層形成用インクを作製した。
(トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例3と同様にして、トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。この電界効果トランジスタの有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルより固溶体であることが確認された。
得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し、キャリア移動度(正孔移動度)が0.93cm2/V・sであり、閾値電圧が−34Vであり、オン/オフ比が106であった。
〔比較例4〕
(半導体層形成用インクの作製)
比較例1と同様にして、半導体層形成用インクを作製した。
(トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例3と同様にして、トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、キャリア移動度(正孔移動度)が1.1cm2/V・sであり、閾値電圧が−34Vであり、オン/オフ比が106であった。
〔比較例5〕
C6−BTBTに代えてC8−BTBTを用いること以外は比較例4と同様にして、半導体層形成用インクを作製しトップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、キャリア移動度(正孔移動度)が0.28cm2/V・sであり、閾値電圧が−28Vであり、オン/オフ比が104であった。
〔比較例6〕
C6−BTBTに代えてC10−BTBTを用いること以外は比較例4と同様にして、半導体層形成用インクを作製しトップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、キャリア移動度(正孔移動度)が0.30cm2/V・sであり、閾値電圧が−20Vであり、オン/オフ比が104であった。
実施例1,2及び比較例1〜3における有機半導体の組成及び電界効果トランジスタの特性を表4に、実施例3,4及び比較例4〜6における有機半導体の組成及び電界効果トランジスタの特性を表5に、それぞれまとめて示す。
Figure 2015002342
Figure 2015002342
表4における実施例1と比較例1,2との比較、及び表5における実施例3と比較例4,5との比較より、C6−BTBTとC8−BTBTとからなる固溶体を半導体層に用いた電界効果トランジスタは、C6−BTBT単体を半導体層に用いた電界効果トランジスタ、及びC8−BTBT単体を半導体層に用いた電界効果トランジスタと比較して、概ね、顕著にキャリア移動度が向上することが分かる(ただし、トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタのキャリア移動度については、C6−BTBT単体を半導体層に用いた電界効果トランジスタと同程度)。
また、表4における実施例2と比較例2,3との比較、及び表5における実施例4と比較例5,6との比較より、C8−BTBTとC10−BTBTとからなる固溶体を半導体層に用いた電界効果トランジスタは、C8−BTBT単体を半導体層に用いた電界効果トランジスタ、及びC10−BTBT単体を半導体層に用いた電界効果トランジスタと比較して、顕著にキャリア移動度が向上することが分かる。
〔実施例5〕
(半導体層形成用インクの作製)
C6−BTBT及びC8−BTBTの使用量を変更する以外は実施例1と同様にして、C6−BTBT50質量%及びC8−BTBT50質量%で構成される有機半導体を含む半導体層形成用インクを作製した。
(ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例1と同様にして、ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。この電界効果トランジスタの有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルより固溶体であることが確認された。
得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し、キャリア移動度(正孔移動度)が0.67cm2/V・sであり、閾値電圧が−52Vであり、オン/オフ比が108であった。
〔実施例6〕
(半導体層形成用インクの作製)
C8−BTBT及びC10−BTBTの使用量を変更する以外は実施例4と同様にして、C8−BTBT50質量%及びC10−BTBT50質量%で構成される有機半導体を含む半導体層形成用インクを作製した。
(トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例4と同様にして、トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。この電界効果トランジスタの有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルより固溶体であることが確認された。
得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し、キャリア移動度(正孔移動度)が0.60cm2/V・sであり、閾値電圧が−35Vであり、オン/オフ比が105であった。
〔実施例7〕
(半導体層形成用インクの作製)
C8−BTBT及びC10−BTBTの使用量を変更する以外は実施例4と同様にして、C8−BTBT25質量%及びC10−BTBT75質量%で構成される有機半導体を含む半導体層形成用インクを作製した。
(トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例4と同様にして、トップコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。この電界効果トランジスタの有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルより固溶体であることが確認された。
得られた電界効果トランジスタの特性を実施例1と同様にして測定したところ、本例の電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜がp型の有機半導体として機能し、キャリア移動度(正孔移動度)が0.41cm2/V・sであり、閾値電圧が−37Vであり、オン/オフ比が106であった。
実施例5における有機半導体の組成及び電界効果トランジスタの特性を実施例1及び比較例1,2における有機半導体の組成及び電界効果トランジスタの特性と共に表6にまとめて示す。また、実施例6,7における有機半導体の組成及び電界効果トランジスタの特性を実施例4及び比較例5,6における有機半導体の組成及び電界効果トランジスタの特性と共に表7にまとめて示す。
Figure 2015002342
Figure 2015002342
表6及び表7より、本発明の有機半導体において、鎖長がより短い直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を有する化合物(表6ではC6−BTBT、表7ではC8−BTBT)の含有率が30〜85質量%(特に50〜80質量%)である場合に、電界効果トランジスタのキャリア移動度が顕著に向上すると考えられる。
〔比較例7〕
(半導体層形成用インクの作製)
C6−BTBT0.50質量部と、C10−BTBT0.50質量部とをトルエン99質量部に溶解させることにより、C6−BTBT50質量%及びC10−BTBT50質量%で構成される混合物(有機半導体)を1質量%の濃度で含むトルエン溶液を半導体層形成用インクとして作製した。
(ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタの作製)
ここで得られた半導体層形成用インクを用いること以外は、実施例1と同様にして、ボトムコンタクト−ボトムゲート型の電界効果トランジスタを作製した。この電界効果トランジスタの有機半導体薄膜は、後述するように面外X線回折スペクトルより、固溶体でなく、相分離していることが確認された。
実施例1〜7と比較例7との比較から、固溶体を形成するためには、上記一般式(1)で表される2種類以上の化合物に含まれる直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基の鎖長は、最長の鎖長と最短の鎖長との差が4未満であることが好ましいと考えられる。
〔有機半導体薄膜の面外X線回折スペクトル〕
全ての実施例に係る有機半導体薄膜及び比較例7に係る有機半導体薄膜について、面外X線回折スペクトルを測定した。
実施例5に係る有機半導体薄膜(C6−BTBTとC8−BTBTとの混合物;図中では「C6+C8」と表記する)の面外X線回折スペクトルを、比較例1に係る有機半導体薄膜(C6−BTBT単体;図中では「C6」と表記する)及び比較例2に係る有機半導体薄膜(C8−BTBT単体;図中では「C8」と表記する)の面外X線回折スペクトルと共に図3に示す。図3に示すように、C6−BTBTとC8−BTBTとの混合物の面外X線回折スペクトルでは、C6−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置、及びC8−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置の何れにもピークが存在せず、かつ、これら2つの位置の中間位置に、単一のピークが存在している。これにより、実施例5に係る有機半導体薄膜は、全体が均一の固相となっていること、すなわち固溶体であることが確認された。
また、実施例2に係る有機半導体薄膜(C8−BTBTとC10−BTBTとの混合物;図中では「C8+C10」と表記する)の面外X線回折スペクトルを、比較例2に係る有機半導体薄膜(C8−BTBT単体;図中では「C8」と表記する)及び比較例3に係る有機半導体薄膜(C10−BTBT単体;図中では「C10」と表記する)の面外X線回折スペクトルと共に図4に示す。図4に示すように、C8−BTBTとC10−BTBTとの混合物の面外X線回折スペクトルでは、C8−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置、及びC10−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置の何れにもピークが存在せず、かつ、これら2つの位置の中間位置に、単一のピークが存在している。これにより、実施例2に係る有機半導体薄膜は、全体が均一の固相となっていること、すなわち固溶体であることが確認された。同様にして、他の実施例に係る有機半導体薄膜も、全体が均一の固相となっていること、すなわち固溶体であることが確認された。また、前記単一のピークは、2種類の化合物の混合比が変化するに従ってシフトすることが確認された。
また、比較例7に係る有機半導体薄膜(C6−BTBTとC10−BTBTとの混合物;図中では「C6+C10」と表記する)の面外X線回折スペクトルを、比較例1に係る有機半導体薄膜(C6−BTBT単体;図中では「C6」と表記する)及び比較例3に係る有機半導体薄膜(C10−BTBT単体;図中では「C10」と表記する)の面外X線回折スペクトルと共に図5に示す。図5に示すように、C6−BTBTとC10−BTBTとの混合物の面外X線回折スペクトルでは、C6−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置、及びC10−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置に、2つのピークが存在している。また、C6−BTBTとC10−BTBTとの混合物の面外X線回折スペクトルでは、特に、C6−BTBT単体の面外X線回折スペクトルのピークに対応する位置のピークが大きなピークになっていない。これは、結晶性が悪くなっていることを示している。これらにより、比較例7に係る有機半導体薄膜は、全体が均一の固相となっておらず、2つの相に相分離していることが確認された。
本発明は、有機半導体の製造及び使用、半導体層を含む製品、特に有機エレクトロニクスデバイス(例えば、電界効果トランジスタ、光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL素子、有機発光トランジスタ素子、有機半導体レーザー素子等)の製造及び使用等に利用できる。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層
10A〜10E 電界効果トランジスタ

Claims (12)

  1. トランジスタ用のp型の有機半導体であって、
    固溶体であることを特徴とするトランジスタ用の有機半導体。
  2. 請求項1に記載のトランジスタ用の有機半導体であって、
    正孔移動度が0.01cm2/V・s以上であることを特徴とするトランジスタ用の有機半導体。
  3. 下記一般式(1)
    Figure 2015002342
    (上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す)
    で表される2種類以上の異なる化合物を含有する固溶体であることを特徴とする有機半導体。
  4. 請求項3に記載の有機半導体であって、
    上記一般式(1)中のR1及びR2がそれぞれ独立に炭素数1〜36のアルキル基であることを特徴とする有機半導体。
  5. 請求項3又は4に記載の有機半導体であって、
    上記ハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基が、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、
    上記一般式(1)で表される2種類以上の化合物に含まれる直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基の鎖長は、最長の鎖長と最短の鎖長との差が4未満であることを特徴とする有機半導体。
  6. 請求項3〜5の何れか1項に記載の有機半導体であって、
    上記一般式(1)で表される鎖長の異なる直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を有する2種類の異なる化合物を含有する固溶体であり、
    鎖長がより短い直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を有する化合物を30〜85質量%含むことを特徴とする有機半導体。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の有機半導体からなることを特徴とする半導体層。
  8. 請求項7記載の半導体層の形成に使用する半導体層形成用インクであって、
    上記固溶体を構成する2種類以上の異なる化合物と、
    溶媒とを含むことを特徴とする半導体層形成用インク。
  9. 半導体層を形成しようとする表面上に、請求項8に記載の半導体層形成用インクを塗布し、乾燥させることを特徴とする半導体層の形成方法。
  10. 請求項3〜6の何れか1項に記載の有機半導体からなる半導体層を含むことを特徴とする有機エレクトロニクスデバイス。
  11. 請求項7に記載の半導体層を含むことを特徴とする電界効果トランジスタ。
  12. 請求項11記載の電界効果トランジスタの製造方法であって、
    前記半導体層を形成する第1の工程と、
    第1の工程の後に半導体層を熱処理する第2の工程とを含むことを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
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