JP6478705B2 - 有機薄膜トランジスタ及び有機電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ及び有機電子デバイスに関し、さらに詳しくは、キャリア移動度が高く、しきい値電圧など性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタ及び有機電子デバイスに関する。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特長を有することから近年注目されている。
この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。
そして、有機半導体デバイスの性能は、この有機半導体層を構成する有機材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機材料の出現が所望されている。
有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法等の方法が一般的に知られている。塗布は高温高真空条件を用いることなく印刷技術を用いても実施することができるため、経済的に好ましいプロセスと考えられており、塗工性が高く、キャリア移動度に優れた有機半導体層が望まれている。
また、従来知られている印刷型有機薄膜トランジスタは、性能のばらつきが大きいという重要な課題を抱えており(例えば、特許文献1、特許文献2参照)、性能のばらつきの小さい印刷型有機薄膜トランジスタが望まれている。一般に、キャリア移動度と性能のばらつきはトレードオフの関係にあり、結晶性の高い低分子系半導体では高い移動度が得られやすい一方で性能のばらつきが大きい傾向があり、高分子半導体では逆の傾向となる。
特定の低分子系半導体を用いることで、有機薄膜トランジスタの諸性能のうち、キャリア移動度のばらつきを小さくした印刷型有機薄膜トランジスタが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、特許文献3に記載の印刷型有機薄膜トランジスタは、印刷による有機半導体膜の形成をした後に、熱などの外部刺激により分子構造を変換する必要があるため、プロセス的な制約があるものである。また、特許文献3には、有機薄膜トランジスタの性能として重要なしきい値電圧について何らの記載がない。
高いキャリア移動度としきい値電圧を含む諸性能のばらつきの小さい印刷型有機TFTの実現がデバイス応用上必要不可欠となっている。
特開2011−233724号公報 特開2008−066439号公報 特開2013−201363号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリア移動度が高く、しきい値電圧など性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタ、及びかかる有機薄膜トランジスタを使用した有機薄膜トランジスタアレイ、電子機器を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討の結果、キャリア移動度が高くしきい値電圧など性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタが形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、及び有機半導体膜を有する有機薄膜トランジスタであって、該有機半導体膜が一般式(1)
[式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、3〜12員環のシクロヘテロアルキル基、5〜14員環のヘテロアリール基、又は一般式(2)
(式中、Rは、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、3〜12員環のシクロヘテロアルキル基、又は5〜14員環のヘテロアリール基を示し、Yは炭素数1〜6の2価アルキル基、又は炭素数1〜6の2価ハロアルキル基を示す。)
で表される基を示す。]
で表される有機半導体を含み、該ゲート絶縁膜に用いられる材料と該有機半導体との間の界面エネルギーが2.0mJ/m以下であり、かつ該有機半導体膜が印刷プロセスで製膜して得られることを特徴とする有機薄膜トランジスタに関するものである。
また、本発明は、上記印刷プロセスが、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スリットコート印刷又はスクリーン印刷から選ばれる印刷プロセスであることを特徴とする有機薄膜トランジスタに関するものである。
また、本発明は、上記有機薄膜トランジスタを用いて得られる有機薄膜トランジスタアレイ、差動増幅回路、該差動増幅回路を用いた有機電子デバイスに関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタで用いられるゲート電極には特に制限がなく、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、酸化モリブデン、クロム、チタン、タンタル、クロム、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機材料;ドープされた導電性高分子(例えばPEDOT−PSS)等の有機材料を挙げることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタで用いられるゲート絶縁膜は、該ゲート絶縁膜に用いられる材料と有機半導体との間の界面エネルギーが2.0mJ/m以下であり、好ましくは1.8mJ/m以下であり、さらに好ましくは0.001〜1.5mJ/mである。かかる界面エネルギーを上記の範囲にすることにより、ゲート絶縁膜の表面に形成される有機半導体膜が均一な結晶(層状結晶)として得られ、有機薄膜トランジスタにおけるしきい値電圧など性能のばらつきが小さくなる。
本発明において、ゲート絶縁膜に用いられる材料と有機半導体との間の界面エネルギーは、次の式(a)で算出される。
γ12=γ+γ−(γ γ 1/2−2(γ γ 1/2 (a)
(式中、γ12は界面エネルギー、γはゲート絶縁膜に用いられる材料の表面エネルギー、γ はゲート絶縁膜に用いられる材料の分散力、γ はゲート絶縁膜に用いられる材料の極性成分、γは有機半導体の表面エネルギー、γ は有機半導体の分散力、γ は有機半導体の極性成分を示す。なお、これらの値はゲート絶縁膜、有機半導体材料それぞれの薄膜を用いて、水の接触角及びヨードメタンの接触角をθ/2法で測定し、Owens−Wendtの方法により算出できる。
本発明において、ゲート絶縁膜に用いられる材料は、蒸着型材料や塗工型材料であることができる。ここで、「蒸着型材料」とは蒸着されることでゲート絶縁膜として得られる材料をいい、「塗工型材料」とは塗工されることでゲート絶縁膜として得られる材料をいう。一般に、蒸着型材料は、蒸着前の物質の溶剤への溶解性が低いため、塗工プロセスから得られることは極めて困難であり、塗工型材料は、蒸着前の物質の蒸気圧が低いため、蒸着プロセスから得られることは極めて困難である。
本発明において、ゲート絶縁膜の製造の際に塗工プロセスが採用でき、生産性高く有機薄膜トランジスタを製造するのに好適であることから、ゲート絶縁膜に用いられる材料が塗工型材料であることが好ましい。また、塗工型材料の中でも、塗工後の塗工液の硬化を架橋操作とすることができ、生産性高く有機薄膜トランジスタを製造するのにより好適であることから、架橋点を有する有機低分子又は架橋点を有する有機高分子を用いて得られる塗工型材料(有機塗工型材料)であることがさらに好ましい。ここで、架橋操作は、該架橋点を有する有機低分子又は該架橋点を有する有機高分子を塗工後、熱又は光処理により行うことができる。
また、本発明において、蒸着型材料を用いる場合、膜厚制御の容易さから、有機低分子を蒸着して得られる蒸着型材料(有機蒸着型材料)であることが好ましい。
ゲート絶縁膜に用いられる材料としては、有機半導体との間の界面エネルギーが2.0mJ/m以下であれば特に制限がない。具体的には、例えば、塗工型の無機系酸化物を用いた無機塗工型材料;架橋ポリメチルメタクリレート系樹脂、架橋ポリメチルアクリレート系樹脂、架橋ポリイミド系樹脂(環化点を有するポリアミド酸を前駆体として、該ポリアミド酸におけるアミド酸基が脱水環化反応することで、耐溶剤性が付与された架橋ポリイミド系樹脂)、架橋ポリカーボネート系樹脂、架橋ポリ(ジイソプロピルフマレート)系樹脂、架橋ポリ(ジエチルフマレート)系樹脂、架橋ポリエチレンテレフタレート系樹脂、架橋ポリエチレンナフタレート系樹脂、架橋ポリエーテルスルホン系樹脂、架橋環状ポリオレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリ−α−メチルスチレン系樹脂、架橋ポリエチレン系樹脂、架橋ポリプロピレン系樹脂、架橋ポリ(エチレン−プロピレン)共重合体系樹脂、架橋ポリ(エチレン−ノルボルネン)共重合体系樹脂、BCB樹脂(塗工前の物質:ビスビニルシロキサンベンゾシクロブテン(BCB))等の有機塗工型材料;蒸着型の無機系酸化物を用いた無機蒸着型材料;ポリ(パラキシリレン)(蒸着前の物質:ジパラキシリレン)、ポリ(クロロパラキシリレン)(蒸着前の物質:ジクロロジパラキシリレン)、ポリ(ジクロロパラキシリレン)(蒸着前の物質:テトラクロロジパラキシリレン)等の有機蒸着型材料等を挙げることができる。
本発明において、塗工型材料としては、有機塗工型材料であり、かつ、より界面エネルギーが小さく性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタを得るのに好適であるため、BCB樹脂が特に好ましい。また、蒸着型材料としては、有機蒸着型材料であり、かつ、より界面エネルギーが小さくより性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタを得るのに好適であるため、ポリ(クロロパラキシリレン)が特に好ましい。
ゲート絶縁膜に有機塗工型材料を用いる場合、例えば、クロロホルム、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコール、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどの溶媒に溶解させて塗工した膜をゲート絶縁膜として使用することができる。
また、ゲート絶縁膜の表面は、例えば、オクタデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用することができる。
一般的にゲート絶縁膜の表面処理を行うことにより、有機半導体膜を構成する材料の結晶粒径の増大及び分子配向の向上が起こるため、キャリア移動度及び電流オン・オフ比の向上、及びしきい値電圧の低下という好ましい結果が得られる。
本発明の有機薄膜トランジスタで用いられるソース電極及びドレイン電極の材料には特に制限がなく、ゲート電極と同様の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極材料に表面処理を実施することもできる。電極材料の表面処理剤として例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオールを挙げることができる。
電極の表面処理を行う際、表面処理剤を溶媒で希釈して使用してもよい。希釈する溶媒に特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶剤;o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタで用いられる有機半導体膜は、特定の有機半導体を含むものである。
該有機半導体は、下記一般式(1)
で表される構造を有している。
式(1)中、R〜Rは、各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などの炭素数が1〜20、好ましくは4〜8のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基などの炭素数が2〜20、好ましくは4〜8の内部又は末端アルケニル基;エチニル基、プロペニル基、ブチニル基、ペンチニル基などの炭素数が2〜20、好ましくは4〜8の内部又は末端アルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素数が1〜20、好ましくは4〜8のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、tert−ブチルチオ基などの炭素数が1〜20、好ましくは4〜8のアルキルチオ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、ペンタクロロエチル基などの1個以上のハロゲン置換基を有する炭素数が1〜20、好ましくは4〜8のハロアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプタトリエニル基、ノルボルニル基、ノルビニル基、ノルカリル基、アダマンチル基、スピロ[4,5]デカニル基などの炭素数3〜10のシクロアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラセニル基、フェナンスレニル基などの炭素数が6〜14、好ましくは6〜10のアリール基;3〜12員環、好ましくは4〜8員環のシクロヘテロアルキル基、5〜14員環、好ましくは5〜8員環のヘテロアリール基、又は一般式(2)
(式中、Rは、炭素数が3〜10、好ましくは4〜8のシクロアルキル基、炭素数が6〜14、好ましくは6〜10のアリール基、3〜12員環、好ましくは4〜8員環のシクロヘテロアルキル基、又は5〜14員環、好ましくは5〜8員環のヘテロアリール基を示し、Yは炭素数が1〜6、好ましくは2〜4の2価アルキル基、又は炭素数が1〜6、好ましくは2〜4の2価ハロアルキル基を示す。)で表されるアルキル−シクロアルキル基、ベンジル基などのアルキルアリール基;アルキルシクロヘテロアルキル基;アルキルヘテロアリール基などを示す。
なお、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、3〜12員環のシクロヘテロアルキル基、又は5〜14員環のヘテロアリール基は、1〜4個のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、水酸基、NH、炭素数1〜20のアミノ基、炭素数6〜14のアリールアミノ基、スルホニル基、ホルミル基、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素数6〜14のアリールカルボニル基、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキルオキソカルボニル基、炭素数6〜14のアリールオキソカルボニル基、イミド基、炭素数1〜20のアルキルイミド基、炭素数6〜14のアリールイミド基、チオイミド基、炭素数1〜20のアルキルチオイミド基、炭素数6〜14のアリールチオイミド基、スルホニルイミド基、炭素数1〜20のアルキルスルホニルイミド基、炭素数6〜14のアリールスルホニルイミド基、シリル基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、ハロアリール基、3〜12員環のシクロヘテロアルキル基、及び/又は5〜14員環のヘテロアリール基で置換されていてもよい。
式(1)で表される有機半導体は、高い溶解度を得られ、かつ、よりしきい値などの性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタを得られるため、一般式(3)
で表される構造であることが好ましい。
式(3)中、R、Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などの炭素数が1〜20好ましくは4〜8のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素数が1〜20好ましくは4〜8のアルコキシ基等を示すものであり、本発明においてさらに好ましい構造としては、一般式(3)中、R、Rが各々独立して、炭素数が1〜20好ましくは4〜8のアルキル基を示すものである。
本発明で用いる有機半導体の具体的な例として、2,7−ジ(n−メチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−エチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−プロピル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(イソプロピル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ブチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(sec−ブチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(tert−ブチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(イソブチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ペンチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(イソペンチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ネオペンチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ヘプチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−オクチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−デシル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ドデシル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−テトラデシル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(エテニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(プロペニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ブテニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ペンテニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ヘキセニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ブタジエニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ペンタジエニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ヘキサジエニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(エチニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(プロペニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ブチニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(ペンチニル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(メトキシ)ジチエノベンゾジチオフェン、ジ(エトキシ)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−プロポキシ)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(イソプロポキシ)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(tert−ブトキシ)ジチエノベンゾジチオフェンなどを例示することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタ中の有機半導体膜は、印刷プロセスで製膜することを特徴とする。印刷プロセスで有機半導体膜を製膜することで、高い生産性を発揮するのみならず、キャリア移動度が高くしきい値電圧のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタの形成が可能となる。
かかる有機半導体膜は、例えば、上記の一般式(1)で表される有機半導体の基板への印刷により製造することができる。このとき、基板上に有機半導体の溶液を印刷した後、加熱、気流及び/又は自然乾燥等の方法により溶剤を気化させることで有機半導体膜が形成される。
本発明で用いられる有機半導体を溶解する溶媒に特に制限はない。例えば、o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;THF、ジオキサン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられる。また、これら溶剤は1種又は2種以上の混合物を用いても良い。中でも、本発明で用いられる有機半導体の溶解度が高く、かつ一般的な印刷プロセスに利用されているため、好ましくはクロロベンゼン、トルエン、メシチレン、テトラリンである。
上記溶液中の有機半導体の濃度は特に限定はないが、有機半導体の溶解度と印刷プロセスの効率から、0.01〜10.0重量%が好ましく、0.05〜7重量%がさらに好ましい。印刷時の温度は特に限定はないが、印刷時に特殊な装置を使用する必要がないため、20〜200℃の間で好適に実施することができる。
本発明で有機半導体膜を作製する際、印刷プロセスは、有版印刷、無版印刷のどちらも可能である。そして、該印刷プロセスは、有機半導体膜を作製する際、有機半導体の溶液を基板に塗布後、結晶化することが可能なプロセスであれば特に制限はないが、生産性の高さやパターニングのしやすさから、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スリットコート印刷、スクリーン印刷が好ましい。
なかでも、量産性や精度の点から、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スリットコート印刷がさらに好ましい。
ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、及び有機半導体膜を有する有機薄膜トランジスタの構造として、例えば、図1に示す断面構造を挙げることができる。
図1中、(A)ボトムゲート−トップコンタクト型、(B)ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(C)トップゲート−トップコンタクト型、(D)トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタとして分類することができ、図1中の1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示している。
有機薄膜トランジスタに用いることが可能な基板の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテート等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板等を挙げることができる。なお、ハイドープシリコンを基板に用いた場合、その基板は本発明にかかるゲート電極を兼ねることができる。
使用する基板の材料は特に限定はなく、結晶性、非結晶性の種々の材料を用いることができる。基板の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマル酸)、ポリ(ジエチルフマル酸)、ポリ(ジイソプロピルマレイン酸)等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン等の金属基板等が挙げられる。またこれらの基板の表面は、例えば、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等のシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用できる。さらに、基板は絶縁性又は誘電性を有する材料であっても良い。印刷した後の溶剤は、常圧又は減圧で乾燥除去することができ、加熱又は窒素気流により乾燥除去することもできる。
一般に、回路に用いられるトランジスタのしきい値電圧にばらつきが確認される場合、回路の動作が不安定となり望みどおりの回路特性を得ることが難しい。また、一般に安定した望みどおりの回路特性を得るためには、トランジスタのしきい値電圧のばらつきの指標である標準偏差σを用い、3σでも安定した回路特性を得ることができるように回路設計を行なうため、しきい値電圧の標準偏差σが小さいトランジスタが望まれる。本発明の有機薄膜トランジスタは、しきい値電圧のばらつきが小さい特徴を有しているため、回路に本発明の有機薄膜トランジスタを用いることで、安定した動作を示す回路を形成可能となる。
本発明の有機薄膜トランジスタのしきい値は、有機トランジスタのしきい値を求める方法として一般に知られている方法であれば、如何なる方法を用いて求めても良いが、例えば、有機トランジスタの伝達特性図から、飽和電流の平方根をゲート電圧に対してプロットして得られる直線のX軸切片から求めることが可能である。
本発明の有機薄膜トランジスタはキャリア移動度が高いことを特徴とするものであり、その中でも、良好な性能を有する有機電子デバイスを得るためには、移動度が0.001〜100cm/Vsの範囲であることが好ましい。
有機薄膜トランジスタは、良好な有機電子デバイスを得るため、電流オン・オフ比が10以上であること、すなわち、電流オン・オフ比の常用対数値(以下、電流オン・オフ比の常用対数値を「log10AR」という)が5以上であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタはしきい値電圧のばらつきが小さいことを特徴とするものであり、また、複数個の素子を配置して有機薄膜トランジスタアレイを作製するとき、該有機薄膜トランジスタアレイに係るしきい値電圧の標準偏差σが小さくなることを特徴とする。そして、この中でも、電圧の微小変化を有機電子デバイスに用いるため、例えば100個以上の素子を配置して有機薄膜トランジスタアレイを作製した際、有機薄膜トランジスタアレイに係るしきい値電圧の標準偏差σが0.25以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2以下であり、特に好ましくは0.1以下である。
本発明の有機薄膜トランジスタはキャリア移動度のばらつきが小さいことが好ましく、また、複数個の素子を配置して有機薄膜トランジスタアレイを作製するとき、該有機薄膜トランジスタアレイに係るキャリア移動度の変動係数CV=|標準偏差σ/平均値|(以下、「変動係数CV(キャリア移動度)」という)が小さいことが好ましい。そして、この中でも、安定して有機薄膜トランジスタアレイを作製するため、例えば100個以上の素子を配置して有機薄膜トランジスタアレイを作製した際、変動係数CV(キャリア移動度)が25%以下であることがさらに好ましく、20%以下であること特に好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタは電流オン・オフ比のばらつきが小さいことが好ましく、また、複数個の素子を配置して有機薄膜トランジスタアレイを作製するとき、該有機薄膜トランジスタアレイに係るlog10ARの変動係数CV=|log10ARの標準偏差σ/log10ARの平均値|(以下、「変動係数CV(log10AR)」という)が小さいことが好ましい。そして、この中でも、安定した有機薄膜トランジスタアレイを作製するため、例えば100個以上の素子を配置して有機薄膜トランジスタアレイを作製した際、変動係数CV(log10AR)が20%以下であることがさらに好ましく、15%以下であることが特に好ましく、10%以下が最も好ましい。
有機薄膜トランジスタを用いて差動増幅回路を形成するとき、より高い検出感度を得るため、増幅度が1〜1000であることが好ましい。
本発明により、キャリア移動度が高くしきい値電圧など性能のばらつきが小さい有機薄膜トランジスタを提供することが可能となる。また、本有機薄膜トランジスタを用いることで、出入力差の小さい理想的な印刷型の有機薄膜トランジスタアレイ、特に理想的な入出力特性を示す差動増幅回路の形成が可能となり、各種センサへの応用が可能となる。
;有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す図である。 ;伝達特性図を示す図である。 ;移動度のヒストグラムを示す図である。 ;しきい値電圧のヒストグラムを示す図である。 ;差動増幅回路を示す図である。 ;伝達特性図を示す図である。 ;移動度のヒストグラムを示す図である。 ;しきい値電圧のヒストグラムを示す図である。 ;伝達特性図を示す図である。 ;移動度のヒストグラムを示す図である。 ;しきい値電圧のヒストグラムを示す図である。 ;伝達特性図を示す図である。 ;移動度のヒストグラムを示す図である。 ;しきい値電圧のヒストグラムを示す図である。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
合成例
(1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器にイソプロピルマグネシウムブロマイド(東京化成工業社製、0.80mol/l)のTHF溶液4.5ml(3.6mmol)及びTHF10mlを添加した。この混合物を−75℃に冷却し、2,3−ジブロモチオフェン(和光純薬工業社製)873mg(3.61mmol)を滴下した。−75℃で30分間熟成後、塩化亜鉛(シグマ−アルドリッチ社製、1.0mol/l)のジエチルエーテル溶液3.6ml(3.6mmol)を滴下した。徐々に室温まで昇温した後、生成した白色スラリー液を減圧濃縮し、10mlの軽沸分を留去した。
得られた白色スラリー液(3−ブロモチエニル−2−ジンククロライド)に、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン(和光純薬工業社製)272mg(1.00mmol)、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業社製)39.1mg(0.0338mmol、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンに対し3.38モル%)及びTHF10mlを添加した。60℃で8時間反応を実施した後、容器を水冷し3N塩酸3mlを添加することで反応を停止させた。トルエンで抽出し、有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサンからヘキサン/ジクロロメタン=10/1)、さらにヘキサン/トルエン=6/4から再結晶精製し、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの薄黄色固体227mgを得た(収率52%)。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=7.44(d,J=5.4Hz,2H),7.39(t,J=7.8Hz,2H),7.11(d,J=5.4Hz,2H)。
MS m/z: 436(M,100%),276(M−2Br,13)。
(ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン200mg(0.458mmol)、NMP10ml、及び硫化ナトリウム・9水和物(和光純薬工業社製)240mg(1.00mmol)を添加した。得られた混合物を170℃で6時間加熱し、得られた反応混合物を室温に冷却した。トルエンと水を添加後、分相し、有機相を2回水洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、得られた残渣をヘキサンで洗浄を2回実施し、ジチエノベンゾジチオフェンの淡黄色固体95mgを得た(収率69%)。
H−NMR(CDCl,60℃):δ=8.28(s,2H),7.51(d,J=5.2Hz,2H),7.30(d,J=5.2Hz,2H)。
MS m/z: 302(M,100%),270(M−S,5),151(M/2,10)。
(2,7−ジ(n−ヘキサノイル)ジチエノベンゾジチオフェン)
100mlシュレンク反応容器にジチエノベンゾジチオフェン86.8mg(0.286mmol)及びジクロロメタン14mlを添加した。この混合物を氷冷し、塩化アルミニウム(和光純薬工業社製)134mg(1.00mmol)及び塩化ヘキサノイル(和光純薬工業社製)115mg(0.858mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30時間攪拌後、氷冷し水を添加することで反応を停止させた。得られたスラリー混合物にトルエンを添加し分相した。黄色スラリー液の有機相を水洗浄後、減圧濃縮した。得られた残渣をヘキサン及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した後、ジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体99.8mgを得た(収率70%)。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.73(s,2H),7.26(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,8H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 498(M,100%),442(M−C+1,46),427(M−C11,13)。
(2,7−(ジn−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
50mlシュレンク反応容器にジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェン50mg(0.1mmol)、THF5mL、塩化アルミニウム(和光純薬工業社製)69mg(0.52mmol)を加え、氷冷下で水素化ホウ素ナトリウム38mg(1.00mmol)をゆっくり加えた後、加熱還流を4時間行った。室温に冷却後、水を添加することで反応を停止し、得られたスラリー混合物にトルエンを添加し、トルエン及び水を分相後、有機相の水洗浄を3回繰り返した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン/トルエン=10/1)、さらにヘキサン(和光純薬工業社製ピュアーグレード)から3回再結晶精製し、2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンの白色固体28mg(0.059mmol)を得た(収率59%)。
H−NMR(CDCl):δ=8.17(s,2H),7.00(s,2H),2.97(t,J=7.2Hz,4H),1.78(m,4H),1.28(m,12H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 470(M,100%),399(M−C11,57),328(M−2C11,47)。
融点:190.2〜190.4℃。
実施例1
(フレキシブル基板)
厚み125μmのポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム社製、Teonex)をフレキシブル基板として用いた。
(表面平滑層の形成)
グローブボックス内で10mLのサンプル管にポリビニルフェノール(シグマ−アルドリッチ社製、Mw〜25000)0.5gとプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(関東化学社製、鹿特級)4.5gを加え10時間攪拌することで得られた溶液2gと、グローブボックス内で10mLのサンプル管にポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)(シグマ−アルドリッチ社製、Mn〜432)0.5gとプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(関東化学社製、鹿特級)4.5gを加え10時間攪拌することで得られた溶液2gを混ぜて得られた溶液の内0.5mlを、上述のフレキシブル基板上にて、スピンコーター(ミカサ社製、MS−A100M)を用いてスピンコート製膜(1500rpm)を行った後、150℃×60分の熱処理により膜厚100nmの架橋ポリビニルフェノールの表面平滑層を形成した。
(ゲート電極の形成)
上述で形成した表面平滑層を、酸素プラズマ表面処理装置(サムコ社製、プラズマドライクリーナー PC−300)を用いて酸素プラズマ(100W、1分間)で処理した後、銀ナノ粒子インク水溶液(DIC社製、JAGLT−01)を10pLのカートリッジを用いたインクジェット装置(富士フィルムDimatix社製、DMP−2831、ステージ温度30℃)にて、滴下間隔60μmで描画し、テストチャンバー(エスペック社製、H−221、温度30℃、湿度95%RH)内で30分間乾燥させた後、140℃×60分焼成することで厚み100nm、線幅400μmのゲート電極を形成した。ここで、ゲート電極が形成され、かつ、ゲート絶縁膜が形成されていないプラスチック基板を「ゲート電極付プラスチック基板」という。
(ゲート絶縁膜の形成)
ジクロロジパラキシリレン(商品名:dix−C)(第三化成社製)0.9gをラボコータ(日本パリレン社製、PDS2010)にて、ゲート電極付プラスチック基板上に真空蒸着することで膜厚550nmのポリ(クロロパラキシリレン)のゲート絶縁膜を形成した。
(ソース・ドレイン電極の形成)
上述のゲート絶縁膜上に銀ナノ粒子インク(ハリマ化学社製、NPS−JL)を、インクジェット装置(富士フィルムDimatix社製、DMP−2831、ステージ温度50℃)を用いて滴下間隔60μmで描画した後、120℃×60分間焼成することでチャネル長91μm、チャネル幅1100μmのソース・ドレイン電極を形成した。ここで、ゲート電極、ゲート絶縁膜及びソース・ドレイン電極が形成されたプラスチック基板を「電極形成ゲート絶縁膜付プラスチック基板」という。
(ソース・ドレイン電極修飾)
電極形成ゲート絶縁膜付プラスチック基板をペンタフルオロベンゼンチオール(シグマ−アルドリッチ社製)と2−プロパノール(和光純薬工業社製)を合わせた溶液(5mM)に3分間浸漬した後、乾燥させることでソース・ドレイン電極修飾を行った。
(隔壁層の形成)
上述の電極形成ゲート絶縁膜付プラスチック基板を30℃に保ち、その上に商品名:テフロン(登録商標)(デュポン社製、AF1600)をディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社製、描画速度20mm/s、吐出圧7kPa、ノズル温度30℃)にて描画した後、大気中で10分間乾燥させることで、厚さ200nm、線幅300μm、内径1.1mm×2.5mmのソース・ドレイン電極を囲う隔壁層を形成した。
(有機半導体層の形成と有機薄膜トランジスタの作製)
空気下10mlサンプル管に、トルエン3.0g、及び2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェン30mgを加え、50℃に加熱して溶解させることで調製した有機半導体層形成用溶液(濃度:1.0質量%)を、ディスペンサー印刷装置(武蔵エンジニアリング社製、描画速度20mm/s、吐出圧1kPa、ノズル温度30℃)を用いて、上述で作製した隔壁層(30℃に保持)内に滴下し、乾燥させることで有機半導体層を形成させ、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,7−(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びにポリ(クロロパラキシリレン)に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは1.2mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
半導体パラメーターアナライザー(ケースレー社製、4200−SCS)を用いて、作製した有機薄膜トランジスタの電気物性をドレイン電圧(V=−20V)で、ゲート電圧(V)を+10〜−20Vまで0.5V刻みで走査し、伝達物性の評価を行った。キャリア移動度は1.9cm/V・s、しきい値電圧は−0.16V、電流オン・オフ比は2.9×10であった。
実施例2
実施例1と同様の手法で有機薄膜トランジスタを作製し、該有機薄膜トランジスタを100素子配置した有機薄膜トランジスタアレイを作製した。
(半導体・電気物性の測定)
得られた有機薄膜トランジスタアレイを実施例1と同様の方法で電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した有機薄膜トランジスタアレイは100素子中100素子がトランジスタ動作し、動作した100素子の平均キャリア移動度が1.1cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.17であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は15%あった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が8.0で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.38であるため、変動係数CV(log10AR)は5%であった。また、しきい値電圧の平均が−0.011Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.086であった。
図2に得られた100素子の伝達特性図、図3に得られた100素子の移動度のヒストグラム、図4に得られた100素子のしきい値電圧のヒストグラムを示す。
以上より、非常に小さいばらつき特性を示すことが確認された。
実施例3
実施例1と同様の手法で作製した有機薄膜トランジスタを用いて差動増幅回路を作製した。作製した差動増幅回路を図5に示す。
(半導体・電気物性の測定)
半導体パラメーターアナライザー(ケースレー社製、4200−SCS)を用いて、定電流源(IDD)を500nAに設定し、入力電圧B(VINB)を6V〜20Vのいずれかに固定した値に対して入力電圧A(VINA)を0V〜30Vで掃引した際の出力電圧VOUTA及びVOUTBを測定した結果、入力電圧差0Vのときに出力電圧差0Vという理想的な入出力特性を示し、増幅度は3.5であり作製した差動増幅回路は適切な駆動を示した。
実施例4
(ゲート絶縁膜の形成)
グローブボックス内でビスビニルシロキサンベンゾシクロブテン(BCB)(商品名:サイクロテン3022−35)(ダウ・ケミカル社製)3.0gとメシチレン3.0gとを混合して得られた溶液の内0.5ml用いてスピンコーター(ミカサ株式会社製、MS−A100M)で、ゲート電極付プラスチック基板上にスピンコート製膜し(500rpm/5秒、及び2000rpm/60秒)、さらに80℃×3分、150℃×3分、210℃×40分、及び250℃×60分の熱処理により得られた膜厚525nmのBCB樹脂をゲート絶縁膜とした以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びにBCB樹脂に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは0.35mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.85cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.15であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は18%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が7.2で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.45であるため、変動係数CV(log10AR)は6%であった。また、しきい値電圧の平均が−1.5Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.093であった。
以上より、非常に小さいばらつき特性を示すことが確認された。
実施例5
(ゲート絶縁膜の形成)
グローブボックス内で環化点を有するポリアミド酸(架橋ポリイミド系樹脂の前駆体)の溶液(商品名:CT4112)(京セラケミカル社製)0.5mlをスピンコーター(ミカサ株式会社製、MS−A100M)を用いて、ゲート電極付プラスチック基板上にスピンコート製膜し(500rpm/5秒、及び6000rpm/120秒)、さらに80℃×60分、120℃×60分、及び180℃×60分の熱処理により得られた膜厚590nmの架橋ポリイミド系樹脂をゲート絶縁膜とした以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びに上述の架橋ポリイミド系樹脂に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは1.6mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行ったところ、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.55cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.051であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は9%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が6.4で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.51であるため、変動係数CV(log10AR)は8%であった。また、しきい値電圧の平均が5.8Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.19であった。
以上より、非常に小さいばらつき特性を示すことが確認された。
実施例6
(ゲート絶縁膜の形成)
グローブボックス内で環化点を有するポリアミド酸(架橋ポリイミド系樹脂の前駆体)の溶液(商品名:CT4200)(京セラケミカル社製)3.0gとN−メチル−2−ピロリドン3.0gを混合して得られた溶液の内0.5ml用いて、スピンコーター(ミカサ株式会社製、MS−A100M)でゲート電極付プラスチック基板上にスピンコート製膜し(500rpm/5秒、及び2500rpm/120秒)、さらに150℃×60分、250℃×30分、及び320℃×30分の熱処理により得られた膜厚490nmの架橋ポリイミド系樹脂をゲート絶縁膜とした以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びに上述の架橋ポリイミド系樹脂に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは1.7mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.42cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.087であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は20%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が3.1で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.31であるため、変動係数CV(log10AR)は10%であった。また、しきい値電圧の平均が6.2Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.19であった。
以上より、非常に小さいばらつき特性を示すことが確認された。
実施例7
(ゲート絶縁膜の形成)
ジパラキシリレン(商品名:dix−N))(第三化成社製)2.7gをラボコータ(日本パリレン社製、PDS2010)にて、ゲート電極付プラスチック基板上に真空蒸着することで膜厚431nmのポリ(パラキシリレン)をゲート絶縁膜とした以外は実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びにポリ(パラキシリレン)に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは1.5mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.75cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.072であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は9%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が6.8で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.53であるため、変動係数CV(log10AR)は8%であった。また、しきい値電圧の平均が−0.052Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.18であった。
以上より、非常に小さいばらつき特性を示すことが確認された。
比較例1
(有機半導体層の形成と有機薄膜トランジスタの作製)
有機半導体層の形成の際、0.2wt%のトルエン溶液を用いて、ドロップキャスト法(0.5μLを滴下)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.37cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.13であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は35%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が7.3で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.48であるため、変動係数CV(log10AR)は7%であった。また、しきい値電圧の平均が−0.21Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.29であった。
図6に得られた100素子の伝達特性図、図7に得られた100素子の移動度のヒストグラム、図8に得られた100素子のしきい値電圧のヒストグラムを示す。
印刷プロセスではないドロップキャスト法を用いて有機薄膜トランジスタを作製したため、ばらつき特性の小さい有機薄膜トランジスタを得ることができなかった。
比較例2
(有機半導体層の形成と有機薄膜トランジスタの作製)
有機半導体(溶質)に2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(シグマアルドリッチ社製)を用い、かつ溶媒にメシチレンを用いた以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びにポリ(クロロパラキシリレン)に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは0.79mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.10cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.030であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は30%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が7.0で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.76であるため、変動係数CV(log10AR)は11%であった。また、しきい値電圧の平均が0.85Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.35であった。
図9に得られた100素子の伝達特性図、図10に得られた100素子の移動度のヒストグラム、図11に得られた100素子のしきい値電圧のヒストグラムを示す。
有機半導体膜が一般式(1)に表される有機半導体を含んでいないため、ばらつき特性の小さい有機薄膜トランジスタを得ることができなかった。
比較例3
(有機半導体層の形成と有機薄膜トランジスタの作製)
有機半導体(溶質)に2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(シグマアルドリッチ社製)を用い、溶媒をメシチレンとして0.2wt%の溶液とし、かつ有機半導体層の形成の際、かかる0.2wt%のメシチレン溶液を用いて、ドロップキャスト法(0.5μLを滴下)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.10cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.060であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は60%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が3.8で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが1.5であるため、変動係数CV(log10AR)は39%であった。また、しきい値電圧の平均が0.22Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.68であった。
図12に得られた100素子の伝達特性図、図13に得られた100素子の移動度のヒストグラム、図14に得られた100素子のしきい値電圧のヒストグラムを示す。
有機半導体膜が一般式(1)に表される有機半導体を含んでおらず、かつ印刷プロセスではないドロップキャスト法を用いて有機薄膜トランジスタを作製したため、ばらつき特性の小さい有機薄膜トランジスタを得ることができなかった。
比較例4
(ゲート絶縁膜の形成)
グローブボックス内で10mLのサンプル管にポリビニルフェノール(シグマ−アルドリッチ社製、Mw〜25000)1.0gとプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(関東化学社製、鹿特級)4.0gを加え10時間攪拌することで得られた溶液1gと、グローブボックス内で10mLのサンプル管にポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)(シグマ−アルドリッチ社製、Mn〜432)0.5gとプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(関東化学社製、鹿特級)4.5gを加え10時間攪拌することで得られた溶液2gを混ぜて得られた溶液の内0.5ml用いてスピンコーター(ミカサ株式会社製、MS−A100M)で、ゲート電極付プラスチック基板上にスピンコート製膜し(500rpm/5秒、及び1500rpm/30秒)、さらに90℃×10分、及び150℃×60分の熱処理により得られた膜厚535nmの架橋ポリビニルフェノールをゲート絶縁膜とした以外は、実施例1と同様の方法でボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
(界面エネルギーの算出)
2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角、並びに架橋ポリビニルフェノールに対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角から算出した界面エネルギーは3.9mJ/mであった。
(半導体・電気物性の測定)
実施例2と同様の方法で有機薄膜トランジスタアレイを作製し、該有機薄膜トランジスタアレイの電気物性の測定を行った。そして、100素子の有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び電流オン・オフ比のばらつき度合いを変動係数CVで計算し、しきい値電圧のばらつき度合いを標準偏差σで計算した。その結果、作製した100素子の平均キャリア移動度が0.32cm/Vsで、かつ、キャリア移動度の標準偏差σが0.037であるため、変動係数CV(キャリア移動度)は11%であった。また、100素子の電流オン・オフ比の常用対数の平均が4.2で、かつ、電流オン・オフ比の常用対数の標準偏差σが0.87であるため、変動係数CV(log10AR)は21%であった。また、しきい値電圧の平均が−2.7Vで、かつ、しきい値電圧の標準偏差σが0.67であった。
ゲート絶縁膜に用いられる材料と有機半導体との間の界面エネルギーが2mJ/mよりも大きいため、ばらつき特性の小さい有機薄膜トランジスタを得ることができなかった。
本発明の有機薄膜トランジスタは、キャリア移動度が高くしきい値電圧など性能のばらつきが小さい特徴を活かして、半導体pHセンサ、半導体イオンセンサ、半導体圧力センサ、半導体温度センサ、光センサなど各種高感度センサへの利用が可能である。
(A):ボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(B):ボトムゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(C):トップゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(D):トップゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
1:有機半導体層 2:基板 3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層 5:ソース電極 6:ドレイン電極

Claims (8)

  1. ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、及び有機半導体膜を有する有機薄膜トランジスタであって、該有機半導体膜が一般式(1)
    (式中、R 、R は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基からなる群から選択される基を示す。)
    で表される有機半導体を含み、前記ゲート絶縁膜に用いられる材料と前記有機半導体との間の界面エネルギーが2.0mJ/m以下であり、かつ前記有機半導体膜が印刷プロセスで製膜して得られることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. ゲート絶縁膜に用いられる材料が有機塗工型材料である、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、及び有機半導体膜を有する有機薄膜トランジスタあって、前記有機半導体膜が一般式(1)
    (式中、R 、R は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基からなる群から選択される基を示す。)
    で表される有機半導体を含み、該ゲート絶縁膜に用いられる材料がポリ(クロロパラキシリレン)であり、かつ、有機半導体膜が印刷プロセスで製膜して得られることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  4. ゲート絶縁膜に用いられる材料がポリ(パラキシリレン)、ポリ(ジクロロパラキシリレン)である、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 有機半導体膜を製膜する印刷プロセスが、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スリットコート印刷又はスクリーン印刷である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタを用いて得られる、有機薄膜トランジスタアレイ。
  7. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタを用いて得られる、差動増幅回路。
  8. 請求項に記載の差動増幅回路を用いて得られる、有機電子デバイス。
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