JP2015000678A - 船外機の吸気構造 - Google Patents

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庄村 伸行
Nobuyuki Shomura
伸行 庄村
映紀 山▲崎▼
Akinori Yamazaki
映紀 山▲崎▼
利典 狐野
Toshinori Kono
利典 狐野
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Abstract

【課題】吸気から水を効率よく分離させることができる船外機の吸気構造を提供する。【解決手段】船外機用内燃機関12に吸気を供給する船外機の吸気構造であって、船外機用内燃機関12を覆うエンジンカバー42と、エンジンカバー42の外側に配置されたインナカバー55と、インナカバー55を覆うトップカバー65と、を有し、インナカバー55とトップカバー65とにより船外機用内燃機関12に吸気を供給する吸気通路56を形成することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、船外機用内燃機関に吸気を供給する船外機の吸気構造に関するものである。
一般的に、船外機は船体の後部に搭載される。船体の後部では、船舶の後進時や急減速時に波が船外機の後面に当たって上昇したり、降りかかったりすることがある。特に、波やうねりなどの水面の状態、船体形状あるいは後進時の速度によっては船外機が大量に被水してしまう。船外機が被水した場合、水が船外機内に浸入し船外機に不具合が生じるおそれがある。船外機の吸気系では被水に対応できるように吸気から水を分離する水分離機能を備えている。
特許文献1は、エンジンの底部を覆うボトムカウルと、エンジンの上部を覆うトップカウルとを備えたカウリングを有している。カウリング内には、水分離構造を有する空気導入室と、エンジン収容室とを画成するモールディングが配置されている。また、モールディングの下流にはエアフィルタが配置され、エアフィルタにより空気のみをエンジン収容室への通過を許容し、水分、塩分、ゴミ等の通過を阻止する。
特開2007−331666号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたモールディングは、カウリング内に配置されているためにカウリング内に配置できる形状に限定されてしまう。すなわち、モールディングの形状を変更して空気と水とを効率よく分離させるような形状にしようとした場合、カウリング内に収まる形状にしなければならない。したがって、モールディングの形状が規制されてしまい、吸気から水を効率よく分離させる形状にすることが容易ではないという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、吸気から水を効率よく分離させることができる船外機の吸気構造を提供することを目的とする。
本発明に係る船外機の吸気構造は、船外機用内燃機関に吸気を供給する船外機の吸気構造であって、前記船外機用内燃機関を覆うエンジンカバーと、前記エンジンカバーの外側に配置されたインナカバーと、前記インナカバーを覆うトップカバーと、を有し、前記インナカバーと前記トップカバーとにより前記船外機用内燃機関に吸気を供給する吸気通路を形成することを特徴とする。
本発明によれば、吸気から水を効率よく分離させることができる。
船外機の左側面図である。 船外機の平面図である。 船外機の左側断面図である。 図3に示すII−II線の断面図である。 吸気ダクトの一部拡大図である。 図5Aに示すIII−III線の断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図では、必要に応じて、船外機10の前側(船外機10が搭載される船体1の前進方向)を矢印Frで示し、船外機10の後側(船外機10が搭載される船体1の後進方向)を矢印Rrで示し、船外機10の右側を矢印Rで示し、船外機10の左側を矢印Lで示している。
図1は、船体1に搭載される船外機10の左側面図である。船外機10は、船体1の後部に位置するトランサム2にブラケット装置3を介して搭載される。
図1に示すように、船外機10はエンジンホルダ11を備え、このエンジンホルダ11の上側にエンジン(船外機用内燃機関)12が設置される。また、エンジンホルダ11の下側にはオイルパン13が配置される。船外機10のエンジン12、エンジンホルダ11およびオイルパン13の周囲は、上部カバー40および下部カバー41からなる合成樹脂製のカバー14によって覆われる。また、エンジン12は、例えば前側からクランクケース15、シリンダブロック16、シリンダヘッド17が連接して構成され、クランクシャフト18を略垂直に配置したバーティカル(縦)型のエンジンである。本実施形態では、例えば水冷4サイクル四気筒エンジンを用いている。
オイルパン13の下部にはドライブシャフトハウジング19が設置される。エンジンホルダ11、オイルパン13およびドライブシャフトハウジング19内にはドライブシャフト20が略垂直に配置され、その上端部がクランクシャフト18の下端部に連結される。ドライブシャフト20はドライブシャフトハウジング19内を下側に向かって延び、ドライブシャフトハウジング19の下部に設けられたギヤケース21内のベベルギヤ22およびプロペラシャフト23を介してプロペラ24を駆動するように構成される。
ギヤケース21内には遠隔操作によってプロペラシャフト23の回転方向を正・逆(フォワード・リバース)または中立状態(ニュートラル)に切り換えるシフト装置25が設けられる。このシフト装置25からはシフトロッド26が上側に向かって延び、リンク27を介して操作ロッド28に連結される。
ブラケット装置3は主にスイベルブラケット29およびトランサムブラケット30から構成され、スイベルブラケット29は船外機10に、トランサムブラケット30は船体1のトランサム2にそれぞれ固定される。
スイベルブラケット29は左右一対のトランサムブラケット30間に架設されたチルト軸31を介して上下方向に傾動可能に軸支され、このスイベルブラケット29内にパイロットシャフト32が鉛直方向に、且つ回動自在に軸支される。また、このパイロットシャフト32の上下端にアッパーマウントブラケット33およびロアーマウントブラケット34がそれぞれ回動一体に設けられる。そして、アッパーマウントブラケット33にはステアリングブラケット35が設けられ、図示しないケーブルなどに連結される。
一方、エンジンホルダ11の前部には左右一対のアッパーマウントユニット36が設けられ、アッパーマウントブラケット33に連結される。また、ドライブシャフトハウジング19の両側部には一対のロアーマウントユニット37が設けられ、ロアーマウントブラケット34に連結される。
次に、上部カバー40について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、船外機10の平面図である。図3は、図2に示すI−I線を切断して矢印方向から見た断面図である。図4は、図3に示すII−II線を切断して矢印方向から見た断面図である。
図3に示すように、本実施形態の上部カバー40は、エンジン12の上部の周囲を覆うエンジンカバー42と、エンジンカバー42の上側およびエンジンカバー42の一部前側を覆うように配置された吸気ダクト54とを有している。
エンジンカバー42は、エンジン12およびエンジン12の周囲に配置される、インテークマニホールド131(図4を参照)、消音器135、スロットルボディ139(図4を参照)および発電装置140(図3を参照)などを覆うように形成されている。ここで、図4に示すように、インテークマニホールド131は、シリンダヘッド17の右側面に配置された吸気ポート134に結合され、エンジン12の右側を通って前側に向かって湾曲して形成されている。インテークマニホールド131とエンジン12との間には、合成樹脂製の第1遮熱部材120が配置されている。
消音器135は、エンジン12の前側であってエンジン12の上下方向における略中央に配置され、クランクケース15に固定されている。消音器135とクランクケース15の前面との間には上下方向および左右方向に沿った合成樹脂製の第2遮熱部材121が配置されている。消音器135は、上下寸法がエンジン12の上下寸法内に収まる大きさであり、幅寸法(左右方向)が前側に向かうにしたがって小さくなるように形成されている。消音器135の右側面には、スロットルボディ139が接続される開口部136が形成されている。図3に示すように、開口部136は消音器135の下面よりも上側に位置し、吸気と共に消音器135に浸入した水が開口部136からスロットルボディ139に流入することを防止する。また、消音器135の上面には、吸気ダクト54から吸気を吸入するための吸入部137が上側に突出して形成されている。
スロットルボディ139は、エンジン12の前斜め右側であって、インテークマニホールド131と消音器135との間に配置される。スロットルボディ139は、図示しないスロットルバルブを開閉することによりインテークマニホールド131に流入させる吸気の量を調整する。
発電装置140は、エンジン12の上側であって一部がエンジン12の前端よりも前側に突出して配置されている。本実施形態では、発電装置140のフライホイールとフライホイールカバーとによって遠心ファン構造の換気ファン141を構成する。換気ファン141は、クランクシャフト18に連動して回転し、エンジン12および発電装置140などからの放熱により高温になったエンジンカバー42内の空気を換気する。
エンジンカバー42について更に説明する。エンジンカバー42は、上面部43、後面部44、右側面部45、左側面部46および前面部47を有している。エンジンカバー42のうち後面部44、右側面部45、左側面部46および前面部47の一部は、船外機10の外観面であり、緩やかな曲面状に形成されている。
上面部43は、前部が換気ファン141の上面の形状に沿って湾曲して形成され、後部が前部よりも低い位置でエンジン12の形状に沿った平坦状に形成されている。
前面部47は、上面部43の前端から下側に向かって上下方向に形成された第1前板48と、第1前板48の下端から前側に向かって水平方向に形成された水平板50と、水平板50の前端から下側に向かって上下方向に形成された第2前板53とを有している。
第1前板48は換気ファン141がエンジン12の前端から突出して配置された分だけ、エンジン12との間に空間が形成されている。
水平板50は、エンジン12の上下方向における略中央であって、消音器135の上面よりも上側に位置する。本実施形態では、図3に示すように水平板50の一部は、消音器135の上面の一部と上下方向に重なり合って配置されている。水平板50には、消音器135の吸入部137を上側に挿通させるために略矩形状の開口部51が形成されている。開口部51の周縁であって水平板50の下面と消音器135の上面との間には、消音器135の吸入部137を囲むようにシール部材52が取り付けられ、エンジンカバー42内への水の浸入を防止する。第2前板53は、消音器135の前端から離間して配置されている。
吸気ダクト54は、エンジンカバー42の外側に配置されたインナカバー55と、インナカバー55を外側から覆うトップカバー65とが接着などにより一体的に結合されることで、内部に吸気通路56を形成して構成されている。
インナカバー55は、エンジンカバー42の上面部43の形状に沿って形成された第1底板57と、第1底板57の前端から下側に向かって上下方向に形成された内側前板58と、内側前板58の下端から前側に向かって形成された第2底板59とを有している。
第1底板57は、エンジンカバー42の上面部43との間で隙間g1を介して上面部43と略平行に形成されている。なお、第1底板57は、エンジンカバー42の上面部43の後端まで至らず、上面部43の前部を覆っている。内側前板58は、エンジンカバー42の第1前板48との間で隙間g2を介して第1前板48と略平行に形成されている。また、第2底板59は、エンジンカバー42の水平板50との間で隙間g3を介して水平板50と略平行に形成されている。第2底板59には、消音器135の吸入部137を吸気ダクト54内に挿通させるための開口部60が形成されている。ここで、消音器135の吸入口138は吸気ダクト54の下面(第2底板59)よりも上側に位置し、吸気と共に吸気ダクト54内に浸入した水が消音器135内に流入することを防止する。また、第2底板59の下面と水平板50の上面との間には吸入部137を囲むようにシール部材61が取り付けられ、吸気ダクト54内およびエンジンカバー42内に水が浸入することを防止する。
トップカバー65は、上面部66、後面部67、右側面部68、左側面部69および前面部70を有し、外観面として緩やかな曲面状に形成されている。
上面部66は、前部がインナカバー55の第1底板57を覆い、前側に向かうにしたがって下側に傾斜して形成されている。一方、上面部66の後部は、エンジンカバー42の上面部43を覆い、後側に向かうにしたがって上側に傾斜した後、下側に傾斜し、後面部67に連続して形成されている。上面部66の後部には、開閉可能な蓋部80を備えている。
後面部67は、下側に向かって傾斜して形成されている。後面部67の後端は、エンジンカバー42の上面部43とエンジンカバー42の後面部44との境界部71から上側に離れて位置している。この後面部67の後端と境界部71との間が、外気を吸気として吸気通路56に導入するための外気導入口72を構成する。船外機10を全体で見たときに、外気導入口72は船外機10の上部かつ後部に配置される。
右側面部68および左側面部69は、インナカバー55をそれぞれ右左から覆うように形成されている。右側面部68および左側面部69の下端は上面部66および前面部70の形状と略平行に形成されている。右側面部68および左側面部69の後部の下端は、後側に向かうにしたがってエンジンカバー42から離れるように上側に傾斜し、後面部67の後端と繋がっている。
また、図1および図2に示すように、左側面部69には排気口100が外部に面して形成されている。換気ファン141はエンジンカバー42内の空気を排気口100から排気する。
前面部70は、インナカバー55の内側前板58を前側から覆うように形成され、インナカバー55の第2底板59の前端と接続されている。前面部70は、上面部66から連続して下側に向かって傾斜し、前端がエンジンカバー42の水平板50と第2前板53との境界部73から僅かに上側に離れて位置している。この前面部70の前端と境界部73との間が、走行風を隙間g3に導入するための走行風導入口74を構成する。走行風導入口74から導入された走行風は、隙間g3、隙間g2および隙間g1を通って、外気導入口72から外部に流出される。
このように構成される吸気ダクト54では、外気導入口72から外気を導入させ、エアフィルタ82を配置させた吸気通路56を通って消音器135に吸気を流入される。なお、吸気ダクト54は、トップカバー65をエンジンカバー42に対して複数箇所で図示しない固定ねじなどで固定することにより、エンジンカバー42の上側かつ前側の一部を覆うように結合される。したがって、下部カバー41からエンジンカバー42を離脱させることにより、エンジンカバー42と共に吸気ダクト54も離脱させることができ、エンジン12などの点検を容易に行うことができる。
次に、吸気ダクト54内の構成について図3、図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5Aは、図3の一部拡大図であり、図5Bは、図5AのIII−III線断面図である。
吸気ダクト54はインナカバー55とトップカバー65とにより構成されているので、吸気通路56を設計する自由度を向上させることができる。ここでは、吸気通路56自体が吸気から水を分離する水分離機能を有している。具体的には、トップカバー65は上面部66が後側に向かうにしたがって上側に傾斜し、インナカバー55の第1底板57が後側に向かうしたがって下側に傾斜する。したがって、吸気通路56の後部には、広い空間81が形成される。
空間81内には、吸気通路56を閉塞する態様でエアフィルタ82が配置されている。エアフィルタ82は、吸気を吸入する吸入面83が下側、より具体的には後斜め下側を向くように配置されている。空間81のうちエアフィルタ82よりも上流側の空間が気液分離室84を構成する。
気液分離室84は、気液分離室84内の少なくとも一部の断面積が、外気導入口72の開口面積よりも大きく形成されている。例えば、外気導入口72の開口寸法、すなわちトップカバー65の後面部67の後端と、エンジンカバー42の境界部71と、を繋いだ仮想線L1の寸法をS1とし、外気導入口72の下流直後の気液分離室84内における仮想線L1と平行な仮想線L2の寸法をS2とする。このとき、気液分離室84は仮想線L2の距離S2が直線L1の距離S1よりも長くなるように形成されている。すなわち、気液分離室84は、外気導入口72から吸気通路56の下流に向かって上下方向に拡開するように形成されている。したがって、図5Aの矢印A1に示すように、狭い外気導入口72から吸気と共に浸入した水は、広い気液分離室84内に入ることで流速が低下する。吸気よりも重量が重い水は、流速が低下することで自重によって落下する。一方、水よりも重量が軽い吸気はエアフィルタ82を通過して吸気通路56に沿って流入する。したがって、気液分離室84では吸気から水を効率よく分離させることができる。
また、吸気通路56は、図5Aの矢印A2に示すように、吸気が気液分離室84からエアフィルタ82を通過するときに前側かつ上側に向かうように形成されている。このように、吸気通路56が少なくとも上側に向かうように形成されることで、吸気と共に浸入した水は重力によって流速が低下する。更に、エアフィルタ82は上側に向かう吸気通路56の途中に配置され、吸入面83が下側に向いていることから、流速が低下した水の通過を容易に遮断することができる。したがって、空間81内の吸気通路56では吸気から水を効率よく分離させることができる。吸気から分離された水は、エンジンカバー42の上面部43に落下した後、船外機10の外部に排水される。
このように、吸気ダクト54は、エンジンカバー42の外側に配置されることによりエンジンカバー42に規制されることなく吸気通路56を自由に形成することができる。特に、吸気ダクト54は、トップカバー65とインナカバー55とにより吸気通路56を形成することから、外気導入口72から拡開させた気液分離室84や、吸気が少なくとも上側に向かうような複雑な吸気通路56を容易に形成することができる。
また、吸気ダクト54ではエアフィルタ82の点検や交換などのメンテナンスができるように配置されている。具体的には、エアフィルタ82は、インナカバー55の後端からトップカバー65の上面部66の後端に向かって斜めに配置された取付部85に着脱自在に取り付けられている。取付部85には矩形状の開孔86が形成され、エアフィルタ82はエアフィルタ82の周囲に取り付けられたシール部材87を介して上側から開孔86に嵌め込まれる。取付部85は、エアフィルタ82のシール部材87を上側から押さえ付け、エアフィルタ82が不用意に外れるのを防止する押さえ板88を有している。押さえ板88は、上側から固定ねじ89によって取付部85に固定される。
エアフィルタ82の上側であって、トップカバー65の上面部66には、上述した蓋部80を備えている。本実施形態の蓋部80は、第1蓋部材91と、第1蓋部材91の上側に位置する第2蓋部材94による2重構造になっている。第1蓋部材91は、トップカバー65の上面から下側に段堀りされ、上下方向に沿って形成された第1開孔92を上側から閉塞する。第1蓋部材91を開放した場合、第1開孔92は、エアフィルタ82全体を確認することができる大きさおよび位置に形成されている。第1開孔92の開口縁には、シール部材93が取り付けられている。したがって、第1蓋部材91が第1開孔92を閉塞した状態では、シール部材93によってトップカバー65の外部から吸気通路56への水の浸入が防止される。
また、第2蓋部材94は、トップカバー65の上面部66に形成された第2開孔95を上側から閉塞する。第2蓋部材94を開放した場合、第2開孔95は、第1開孔92の開孔縁を確認することができる大きさおよび位置に形成されている。また、第2蓋部材94が第2開孔95を閉塞した状態では、第2蓋部材94はトップカバー65の外観面の一部を構成する。第2蓋部材94は、後端がトップカバー65との間でヒンジ構造によって上下方向に開閉する。
使用者は、蓋部80を開くことにより、上部カバー40を取り外したり分解したりすることなくエアフィルタ82のメンテナンスを行うことができる。具体的には、まず使用者は第2蓋部材94を開くことで第2開孔95を開放させる。次に、使用者は第2開孔95を通して、第1蓋部材91を上側に離脱させることで第1開孔92を開放させる。したがって、使用者は、第2開孔95および第1開孔92を通して、エアフィルタ82のメンテナンスを行うことができる。
エアフィルタ82の吸入面83には、吸気と共に通過しようとした海水の塩分やゴミなどが付着することがある。この場合、エアフィルタ82の濾過面積が減少してしまい、吸気抵抗が増加し、エンジン12の出力が低下してしまう。そのため、使用者はエアフィルタ82を清掃したり交換したりする必要がある。このとき、使用者は、上述したように、エンジンカバー42を外したり分解したりすることなく、第2開孔95および第1開孔92を通して、容易にエアフィルタ82をメンテナンスすることができる。
例えば、エアフィルタ82の吸入面83に軽微なゴミが付着している場合には、第2開孔95および第1開孔92を通して、上側からエアフィルタ82に向かって圧縮空気を噴射することでエアフィルタ82を清掃することができる。このとき、エアフィルタ82の吸入面83は下側を向いているので、吸入面83に付着したゴミを下側に落下させることができる。
また、エアフィルタ82を交換する場合には、第2開孔95および第1開孔92を通して固定ねじ89を緩め、押さえ板88を取付部85から取り外した後に、エアフィルタ82を開孔86から取り外すことで、エアフィルタ82を交換することができる。
なお、図5Bに示すように、エアフィルタ82は、複数に折り返されたひだ状に形成されている。したがって、エアフィルタ82の吸入面83は広い濾過面積を確保することができ、吸気がエアフィルタ82を通過するときの吸気抵抗を低下させることができる。エアフィルタ82は、例えば撥水性エレメントや撥水性エアフィルタなどを用いることができる。
上述したように構成される吸気ダクト54では、外気導入口72から空間81の気液分離室84に導入された吸気は、気液分離室84および吸気通路56によって水が分離された状態でエアフィルタ82を通過する。エアフィルタ82を通過した吸気は、トップカバー65の上面部66の前部とインナカバー55の第1底板57の前部との間に形成される、吸気通路56内の上下に狭い通路を通過して前側に流入する。前側に流入した吸気は、トップカバー65の前面部70とインナカバー55の内側前板58との間に形成される、吸気通路56内の広い空間96に流入する。空間96に流入した吸気は、吸入口138を通って消音器135内に流入する。このとき、吸気に水が含まれていたとしても、消音器135の吸入口138が吸気ダクト54の下面よりも上側に位置するため、水は吸気ダクト54に溜まるだけであって、吸入口138を通して消音器135内に水が流入することを防止する。
また、吸気ダクト54はエンジンカバー42との間で隙間g1〜隙間g3を介して配置されている。これらの隙間g1〜隙間g3はエアジャケットの機能を有する。したがって、吸気ダクト54の吸気通路56を流れる吸気は、エンジンカバー42からの熱が遮断された状態で、消音器135に流入する。また、本実施形態では、隙間g1〜隙間g3には、走行風導入口74から導入された走行風が流れ込む。したがって、走行風によって吸気通路56を流れる吸気が冷却され、冷却された吸気を消音器135に流入させることができる。
消音器135に流入した吸気は、開口部136を通してスロットルボディ139に流入する。このとき、吸気に水が含まれていたとしても、開口部136は消音器135の下面よりも上側に位置するため、水は消音器135に溜まるだけであって、開口部136を通してスロットルボディ139に水が流入することを防止する。スロットルボディ139に流入した吸気は、インテークマニホールド131から吸気ポート134を通してシリンダブロック16とシリンダヘッド17との間に形成される燃焼室142に流入する。このとき、燃料インジェクタ143から燃料が噴射されることにより混合気が生成され、燃焼室142内で混合気が燃焼される。混合気が燃焼されることによりピストン144が前後方向に往復運動し、コネクティングロッド145を介してクランクシャフト18を回転させる。燃焼室142により燃焼された排気ガスは排気ポート146から排気される。
また、吸気ダクト54ではトップカバー65とインナカバー55とにより形成することで、広い空間81、96などの容積変化された吸気通路56を容易に形成することができる。このような容積変化された空間81、96に吸気を流入させることにより吸気音を減衰されることができる。
このように、本実施形態によれば、吸気ダクト54をエンジンカバー42の外側に配置したので、エンジンカバー内に配置する場合に比べて、エンジンカバー42の形状に規制されることなく複雑な吸気通路56を形成することができる。したがって、吸気から水を分離することができる吸気構造を容易に形成することができる。
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更などが可能である。
上述した実施形態では、蓋部80が第1蓋部材91と第2蓋部材94とによる2重構造である場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、蓋部80は、第1蓋部材91と第2蓋部材94との何れか一方のみであってもよい。蓋部80を第2蓋部材94のみで構成する場合には、第2蓋部材94と第2開孔95との間にシール部材を介在させることが好ましい。
1:船体 10:船外機 12:エンジン(船外機用内燃機関) 14:カバー 40:上部カバー 41:下部カバー 42:エンジンカバー 43:上面部 44:後面部 45:右側面部 46:左側面部 47:前面部 54:吸気ダクト 55:インナカバー 56:吸気通路 65:トップカバー 72:外気導入口 74:走行風導入口 80:蓋部 82:エアフィルタ 83:吸入面 100:排気口 120:第1遮熱部材 211:第2遮熱部材 122:流入口 123:排出口 131:インテークマニホールド 135:消音器 137:吸入部 138:吸入口 139:スロットルボディ 141:換気ファン

Claims (6)

  1. 船外機用内燃機関に吸気を供給する船外機の吸気構造であって、
    前記船外機用内燃機関を覆うエンジンカバーと、
    前記エンジンカバーの外側に配置されたインナカバーと、
    前記インナカバーを覆うトップカバーと、を有し、
    前記インナカバーと前記トップカバーとにより前記船外機用内燃機関に吸気を供給する吸気通路を形成することを特徴とする船外機の吸気構造。
  2. 外気を前記吸気通路に導入する外気導入口を有し、
    前記外気導入口の面積は、前記外気導入口から下流直後の前記吸気通路に形成された空間の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の船外機の吸気構造。
  3. 前記吸気通路にはエアフィルタを有し、
    前記エアフィルタは、吸入面が下側に向けて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の船外機の吸気構造。
  4. 前記トップカバーは、前記エアフィルタの上側に配置され着脱可能な蓋部を有することを特徴とする請求項3に記載の船外機の吸気構造。
  5. 前記吸気通路から吸気が流入される消音器を有し、
    前記消音器の吸入口は、前記吸気通路の下面よりも上側に位置することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の船外機の吸気構造。
  6. 前記消音器から吸気が流入されるスロットルボディを有し、
    前記スロットルボディに接続される前記消音器の開口部は、前記消音器の下面よりも上側に位置することを特徴とする請求項5に記載の船外機の吸気構造。
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