JP2015000537A - 液体吐出ヘッド用基板の製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド用基板の製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱エネルギー発生素子を有する液体吐出ヘッド用基板の熱エネルギー発生素子上に、精度良く第2の保護層を形成することができる液体吐出ヘッド用基板の製造方法を提供する。【解決手段】有機金属化合物を含むガス雰囲気中において熱エネルギー発生素子によって熱エネルギーを発生させて有機金属化合物を熱分解することで、第1の保護層の上側の熱エネルギー発生素子に対応する位置に第2の保護層を形成することにより、保護層形成後にパターニング工程を必要とせず、有効発泡領域の面積の減少を抑えた保護層を備えた液体吐出ヘッド。【選択図】図5

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド用基板の製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを用いた記録方式の中で、熱エネルギーを利用してインクを発泡、吐出させる記録方式は、インクを吐出するインク吐出口を高密度に集積させることができ、高精度且つ高速な記録を実現出来る。この記録方式で採用されるインクジェットヘッドの構成としては、インク吐出口と、インク吐出口に連通する流路、インクを発泡させる熱エネルギーを発生する電気熱変換素子とを有する構成が一般的である。また、電気熱変換素子は電気的絶縁性を有する保護層(第1の保護層とも称する)により、インクや各電気熱変換素子間の絶縁性が確保されている。
この電気熱変換素子は駆動されることで熱エネルギーを発生し、電気熱変換素子の上方のインクとの接触部分(熱作用部)においてインクが急激に加熱されて発泡が生じ、インクが吐出されて記録媒体に記録が行われる。
その際、インクジェットヘッドの熱作用部は、インクの発泡、収縮に伴うキャビテーションによる衝撃といった物理的作用や、インクによる化学的作用を複合的に受ける。これらの影響から電気熱変換素子を保護するために、熱作用部にタンタル(Ta)からなる上部保護層(第2の保護層とも称する)を設ける構成が知られている。また、近年の記録の高速化や高品位化の要望よって、更なる耐久性が重視されるようになってきたため、その観点からTaより化学的に安定なイリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)等の白金族元素を用いることも考えられている。
上記の上部保護層を形成する方法として、特許文献1には、スパッタ法を用いて基板全面に成膜した後、フォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程、レジスト剥離工程を経て、所定のパターンにパターニングすることが記載されている。
ここで、インクの発泡に直接寄与する領域(以下、有効発泡領域という)を上部保護層で確実に覆うために、フォトリソグラフィー工程のレジスト露光の際のアライメント精度・寸法のばらつきや、エッチング工程の寸法ばらつき等を考慮する必要がある。そのため、上部保護層のパターンは、有効発泡領域の外周に対して数μm以上大きく設計される。
特開2012−101557号公報
このように上部保護層のパターンを大きく設計すると、インクが発泡する際に熱伝導率が大きい上部保護層を介して、所望の有効発泡領域から外側へ熱が逃げて、有効発泡領域の面積が小さくなる可能性がある。特に、上部保護層を数100nm以上に厚くした場合や、熱伝導率が比較的高いIr、Pt等の白金族元素を含む材料で上部保護層を形成した場合は、熱の逃げがより顕著になる。したがって、所望の有効発泡領域の面積を得るために、上部保護層を精度よく形成することが求められる。
そこで、本発明は、液体吐出ヘッド用基板に精度良く第2の保護層を形成することを目的とする。
本発明の液体吐出ヘッド用基板の製造方法は、液体を吐出するための熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生素子と、前記熱エネルギー発生素子の上側に配され、前記熱エネルギー発生素子を覆う第1の保護層と、を有する液体吐出ヘッド用基板の製造方法において、有機金属化合物を含むガス雰囲気中において前記熱エネルギー発生素子によって熱エネルギーを発生させて前記有機金属化合物を熱分解することで、前記第1の保護層の上側の前記熱エネルギー発生素子に対応する位置に第2の保護層を形成することを特徴とする。
本発明によると、液体吐出ヘッド用基板に精度良く第2の保護層を形成することが可能となる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の斜視図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドユニットの斜視図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド用基板、インクジェットヘッドの製造方法の説明図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド用基板の製造装置の模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド用基板の有効発泡領域の説明図である。 実施例1のインクジェットヘッド用基板の製造方法の説明図である。 実施例2、実施例3の説明図である。 上部保護層を形成するために本実施例で用いた有機金属化合物の前駆体の説明図である。 上部保護層を形成するために電気熱変換素子に印加する電圧パルスの説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
1.インクジェット記録装置
本発明の実施形態に係る液体吐出装置としてのインクジェット記録装置の模式的斜視図を図1に示す。キャリッジ500はインクジェットヘッドユニット410を取り付けて印字を行うために、ガイド502によって支持されている。ガイド502は、シャーシに取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して直角方向にキャリッジ500を往復走査させるように案内支持している。ガイド502は、シャーシに一体に形成されており、キャリッジ500の後端を保持してインクジェットヘッドユニット410と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。
キャリッジ500は、シャーシに取り付けられたキャリッジモータ504によりタイミングベルト501を介して駆動される。また、タイミングベルト501は、アイドルプーリ503によって張設、支持されている。
上記構成において記録媒体に画像形成する場合、行位置に対しては、不図示の搬送ローラおよびピンチローラからなるローラ対が、記録媒体を搬送して位置決めする。また、列位置に対しては、キャリッジモータ504によりキャリッジ500を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、インクジェットヘッドユニット410を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされたインクジェットヘッドユニット410が記録媒体に対してインクを吐出する。前者の記録主走査においては、インクジェットヘッドユニット410により記録を行いながらキャリッジ500が列方向に走査し、後者の副走査においては、搬送ローラ511により記録媒体が行方向に搬送される。本実施形態の記録装置は、記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成する構成となっている。
2.インクジェットヘッドユニット
図2は本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドユニット410の斜視図である。インクジェットヘッドユニット410は、インクジェットヘッド20と、電気配線テープ(可撓性の配線基板)402、及びインクジェット記録装置本体と電気的に接続するための電気コンタクト部403を有している。
また、インクジェットヘッドユニット410は、インクを一旦貯留し、そこからインクジェットヘッド20に供給するためのインクタンク404を備えている。なお、インクジェットヘッドユニット410は、インクジェットヘッドユニット410とインクタンク404とが別体として構成されていてもよい。
インクジェットヘッドユニットは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、更には各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、このインクジェットヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど種々の記録媒体に記録を行うことができる。
3.インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド用基板
図3は本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド20の斜視図である。インクジェットヘッド20は、液体吐出ヘッド用基板としてのインクジェットヘッド用基板100と吐出口形成部材120とを有している。
インクジェットヘッド用基板100は、シリコン基板上に半導体製造技術を用いてインクを発泡するための熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生素子としての電気熱変換素子8や、それを駆動させる駆動回路などが形成されている。また、インクジェットヘッド用基板100の両面を連通するインク供給口13がシリコン異方性エッチングにより形成されている。
また、樹脂材からなる吐出口形成部材120にはインクを吐出するインク吐出口121が形成されており、インク吐出口121と電気熱変換素子8との位置が対応するように、インクジェットヘッド用基板100と吐出口形成部材120とが接合される。これにより、インク供給口13とインク吐出口121とを連通するインク流路122が形成される。インク吐出口121に対応した電気熱変換素子8を駆動させ、インクを発泡することによりその圧力を利用してインクを吐出させ印字を行うことができる。
図4(a)から図4(e)は、本発明の実施形態におけるインクジェットヘッド用基板100およびインクジェットヘッド20の製造工程を示す模式図である。図4(a)から図4(c)、図4(e)は、図3のX−X´線における断面模式図である。図4(d)は、インクジェットヘッド用基板100の電気熱変換素子8付近を上面から見た上面図である。なお、本明細書において、インクジェットヘッド用基板100の「上側」とは、インクジェットヘッド用基板100に対するインク流路122の側を意味する。
まず、図4(a)に示されるように、トランジスタ等の駆動素子が設けられたシリコンからなる基体1を用意する。この基体1の上には、その一部を熱酸化して設けた熱酸化層2(好ましくは、500nm〜2μm)が設けられている。また、それらの上側にはシリコン化合物からなる蓄熱層4(好ましくは、500nm〜2μm)が設けられている。さらに、後の工程でインク供給口13となる領域に犠牲層3が設けられている。
蓄熱層4の上には、通電することで発熱する材料(例えばTaSiNやWSiNなど)からなる発熱抵抗層5(好ましくは、シート抵抗100〜500Ω/□)が設けられている。さらに、発熱抵抗層5に接するように、発熱抵抗層5より抵抗の低いアルミニウムなどを主成分とする材料からなる一対の電極6(好ましくは、100nm〜2μm)が設けられている。一対の電極6の間に電圧を供給し、発熱抵抗層5の一対の電極6の間に位置する部分を発熱させることで、発熱抵抗層5のこの部分を電気熱変換素子8として用いる。
なお、発熱抵抗層5が一対の電極6の上に設けられた構成であってもよい。
これらの発熱抵抗層5と一対の電極6は、インクなどの吐出に用いられる液体との絶縁を図るために、SiN等のシリコン化合物などの絶縁性材料からなる第1の保護層としての絶縁層7(好ましくは、100nm〜500nm)で被覆されている。
次に、図4(b)に示すように、パッド部9上の絶縁層7をドライエッチングにより除去し、アルミニウムなどを主成分とする材料からなる、外部との電気接続のための電極部としてのパッド部9を露出する。
次に、図4(c)に示すように、絶縁層7の上の電気熱変換素子8に対応する位置に、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)等の白金族元素からなる上部保護層11を形成する。なお、本明細書では、上部保護層11を第2の保護層とも称する。
ここで、本実施形態の上部保護層11の形成方法を、図5に示す成膜装置の概略図を用いて説明する。本実施形態では、有機金属化合物を前駆体として用い、熱分解を利用した化学気相成長法を用いて上部保護層11を形成する。
酸素ガスまたは水素ガスからなる反応ガスは、反応ガス導入配管201から、シャワーヘッド204を経由し成膜チャンバー205内に導入される。アルゴンガスからなるキャリアガスは、キャリアガス導入配管202からIrやPt等の白金族元素の前駆体が入った気化容器203に導入される。気化容器203内で、前駆体が気化し、キャリアガスとともに、シャワーヘッド204を経由し成膜チャンバー205に導入される。反応ガス導入配管201、および、キャリアガス導入配管202は、気化した前駆体が凝縮しないように加熱されており、それぞれのガス流量は、マスフローコントローラー206、207により制御されている。
一般的な有機金属気相成長法では、数百℃に加熱したステージ上に基板を設置して基板上に成膜を行うため、基板の全面に金属膜を形成する。
しかし、本実施形態では、上部保護層11の材料となる金属を含むガス雰囲気中で、上部保護層11を形成する前の図4(b)の状態のインクジェットヘッド用基板100の電気熱変換素子8を発熱させる。これにより、有効発泡領域10上で前駆体の熱分解を加速させて、上部保護層11を形成する。
インクジェットヘッド用基板100は、サーマルヘッドと比較して、蓄熱層4や絶縁層7の膜厚が薄いため、非常に熱の応答性が良く、また、有効発泡領域10とその周辺領域の温度差が大きいという特長を持つ。
本実施形態において電気熱変換素子8に印加する電圧パルスの条件の一例を図10に示す。印加するパルス電圧を10〜40V、パルス幅301を0.1〜0.5μ秒、インターバル時間302を0.4〜2.0μ秒として、電気熱変換素子8にパルスを印加する。
図6(a)に、電気熱変換素子8に図10に示したパルス電圧を印加した際のインクジェットヘッド用基板100上の熱分布を、図6(b)に、インクジェットヘッド用基板100の電気熱変換素子8近傍の断面図を示す。
図6(a)のように、絶縁層7の有効発泡領域10では300℃程度の高温になるが、有効発泡領域10の周辺部14とその外側とでは表面温度の差が大きく、周辺部14の外側では表面温度はほとんど上昇しない。
そこで、電圧パルス発生装置208とインクジェットヘッド用基板100のパッド部9を電気的に接続し、有効発泡領域10上の表面温度を200℃〜500℃になるように、電気熱変換素子8にパルスを印加することで上部保護層11の成膜を行う。すると、基板の表面温度が前駆体の熱分解が可能となる温度以上になった領域のみ、前駆体は熱と反応ガスにより分解され、基板表面上に上部保護層11が堆積していく。
つまり、電気熱変換素子8を上記手法で発熱させた場合、有効発泡領域10とその周辺部14のみで基板温度が上昇するため、上部保護層11は、有効発泡領域10とその周辺部に形成される。一方、有効発泡領域10の周辺部14より外側の領域では、電圧パルスを印加しても基板の表面温度はほとんど上昇しないため、上部保護層11は成膜されない。
図4(c)および図4(d)は、それぞれ、上記の手法で上部保護層11を形成した時の断面図および上面図である。上部保護層11が有効発泡領域10とその周辺部14上のみに成膜されており、周辺部14よりも外側の領域では、上部保護層11が形成されていないことがわかる。
上部保護層11を形成した後、図4(e)に示すように、吐出口形成部材120、インク吐出口121およびインク供給口13を形成し、インクジェットヘッド20を形成する。
このように、電気熱変換素子8を発熱させて上部保護層11を形成することで、有効発泡領域10と周辺部14のみに上部保護層11を成膜することが可能となる。これにより、インクジェットヘッド用基板100に対して精度良く上部保護層11を形成することが可能となる。したがって、上部保護層11を数100nm以上に厚膜化した場合や、上部保護層11を熱伝導率の高いIrやPt等の白金族元素を含む材料で形成した場合でも、有効発泡領域10の面積の減少を抑えることが可能となる。
また、基板の全面ではなく、電気熱変換素子8に対応する位置に上部保護層11を選択的に形成できるため、上部保護層11の形成後にフォトリソグラフィー工程、エッチング工程等のパターニング工程を必要とせず、製造工程を簡略化することができる。
また、インクジェットヘッド用基板100は熱応答性が良く、基板の表面温度をマイクロ秒オーダーで制御することができ、成膜時の時間管理を容易に行えるため、上部保護層11の膜厚を容易に精度良く調整することが可能となる。
以下に、図面を参照して本発明を適用したインクジェットヘッド用基板の製造方法の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1の製造工程を図7を用いて説明する。図7(a)から図7(c)は、図3のX−X´で切ったときの断面模式図である。
図7(a)に示されるように、トランジスタ等の駆動素子が設けられたシリコンからなる基体1の上に、基体1の一部を熱酸化して設けた熱酸化層2を1μm、シリコン酸化膜1μmからなる蓄熱層4を形成した。
蓄熱層4の上に、TaSiN(シート抵抗300Ω/□)からなる発熱抵抗層5、および、発熱抵抗層5より抵抗の低いアルミニウム合金(Al−Cu、1μm)をスパッタ法により連続で成膜した。発熱抵抗層5とアルミニウム合金とをドライエッチングで、パターニングし、電極6を形成した。さらに、ウェットエッチングでアルミニウム合金を部分的に除去し、一対の電極6を形成した。一対の電極6の間に電圧を供給し、発熱抵抗層5の一対の電極6の間に位置する部分を発熱させることで、発熱抵抗層5のこの部分を電気熱変換素子8として用いた。本実施例では、電気熱変換素子8の大きさを、26×26μmとした。電気熱変換素子8の端部から約1μmはインクの発泡に寄与しない領域となるため、有効発泡領域10は24×24μm程度となる。これらの発熱抵抗層5と一対の電極6は、インクなどの吐出に用いられる液体との絶縁を図るために、プラズマ化学気相成長法により、ウエハ全面に、SiNからなる絶縁層7で被覆した。
次に、図7(b)に示すように、Ta膜をスパッタ法を用いて100nmウエハ全面に成膜した後、電気熱変換素子8を覆うように所定のパターンでパターニングを行い、絶縁層7と後に形成する上部保護層11との間の層となる中間層12を形成した。上部保護層11として用いるIrと絶縁層7であるSiN膜との密着性が低いため、中間層12は層間の密着性を向上するための密着層としての役割がある。このように絶縁層7としてSiC、SiO、SiCNといったシリコン化合物を用いる場合には、Ir膜との間に密着層を設けることが好ましい。
また、Ta膜は、Irの成膜時におけるシード層としての役割があり、Ta膜をシード層として絶縁層7上に形成することで、その後の工程で成膜するIrの表面モホロジーを向上することができる。なお、Taのみでなく、Taの合金など、Taを含む材料で中間層12を形成してもよい。
次に、図7(c)に示すように、パッド部9領域の絶縁層7をドライエッチングによりパターニングし、パッド部9を露出させた。
次に、図5に示した成膜装置を用い以下の成膜条件で、中間層12の上に上部保護層11の成膜を行った。また、図9に示す構造を有する前駆体を用いた。
前駆体:Ir(EtCp)(CHD)[(1,3−cyclohexadiene)(ethylcyclopentadienyl)iridium]
反応ガス:酸素(流量:25〜100sccm)
キャリアガス:アルゴン(流量:100〜200sccm)
反応ガス導入配管、および、キャリアガス導入配管:70〜100℃温調
チャンバー圧力:200〜500Pa
上部保護層11としてのIr膜を成膜する際に、パッド部9にプローブ209(図5)を当て、有効発泡領域10上の基板表面が300℃になるように連続でパルスを印加した。
印加した電圧パルスの条件を、図10を用いて説明する。本実施例においては、印加する電圧を24V、パルス幅301を0.2μ秒、インターバル時間302を0.6μ秒として、成膜時間303を20分として、電気熱変換素子8にパルスを印加した。
図6に示したように、有効発泡領域10内では温度分布が均一であるため、前駆体の熱と酸素による分解反応が起こり、優れた膜厚分布のIr膜が形成された。また、基板の表面温度が約250℃以上の有効発泡領域10の約0.5μm外側の中間層12上にも熱と酸素による分解反応が起こり、Ir膜が形成された。さらにその外側の領域では基板表面の温度がほとんど上昇しないため、前駆体の熱による分解反応が進まず、Ir膜は形成されなかった。
このようにして図7(d)に示すように、Ir膜からなる50nmの上部保護層11が有効発泡領域10とその周辺部14との上に形成された。
以上説明したように、電気熱変換素子8を発熱させて上部保護層11を形成することで、インクジェットヘッド用基板100に対して精度良く上部保護層11を形成することが可能となった。
また、本実施例では、パッド部9を露出した後(図7(c))、吐出口形成部材120を形成する前に上部保護層11を形成したが、吐出口形成部材120の形成後やヘッド組み立て後に上部保護層11を形成することも可能である。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において上部保護層11を形成する際にその厚さを電気熱変換素子8によって異ならせた。具体的には、電気熱変換素子8に印加する電圧、パルス幅301およびインターバル時間302を一定とし、成膜時間303を電気熱変換素子8によって適宜変化させて上部保護層11の成膜を行った。
図8に本実施例のインクジェットヘッド用基板130を示す。本実施例では、実施例1の成膜方法および成膜条件で上部保護層11を形成した。ただし、インクジェットヘッド用基板130の、第1のインク供給口131の両側に配された電気熱変換素子8a(第1の熱エネルギー発生素子)には、成膜時間303を20分間としてパルスを印加した。一方、第2のインク供給口132の両側に配された電気熱変換素子8b(第2の熱エネルギー発生素子)には、成膜時間303を40分間としてパルスを印加した。
これにより、第1のインク供給口131の両側に配された電気熱変換素子8a上の上部保護層11として50nmのIr膜が形成された。一方、第2のインク供給口132の両側に配された電気熱変換素子8b上の上部保護層11として100nmのIr膜が形成された。
インクジェットヘッド用基板130に形成された上部保護層11の膜厚が異なることで、以下のようなメリットがある。
インクジェットヘッドを使用すると、上部保護層11にインクに含まれる色材等の添加物が高温加熱されることにより分解されて難溶解性の物質に変化し、熱作用部を構成する上部保護層の表面に物理吸着される現象が起こる。この現象は「コゲ」と称されている。Irを上部保護層11に用いたインクジェットヘッドにおいて、特許文献1に記載のように、上部保護層11に正の電位を印加し、インクとの電気化学反応で上部保護層11をインクに溶出させ、上部保護層11上に付着したコゲを除去する手法が知られている。
ここで、インクの種類等によって上部保護層11へのコゲの付着の程度が異なるため、上記のコゲの除去操作の回数をインクの種類によって異ならせることも考えられる。この際、コゲの除去動作によって上部保護層11の膜厚は薄くなるため、コゲが付着しやすいインク用の上部保護層11を厚くし、コゲが付着しにくいインク用の上部保護層11を熱効率の観点から薄くすることが好ましい。
上記で説明したように電気熱変換素子8を発熱させて上部保護層11を形成することで、一つのインクジェットヘッド用基板130に配される電気熱変換素子8上の上部保護層11の膜厚を異ならせることが可能となった。
(実施例3)
実施例3では、実施例2と同様に上部保護層11を形成する際にその厚さを電気熱変換素子8によって異ならせた。本実施例では、電気熱変換素子8に印加する電圧、パルス幅301および成膜時間303を一定とし、インターバル時間302を電気熱変換素子8によって適宜変化させて上部保護層11の成膜を行った。
実施例1の成膜方法および成膜条件で上部保護層11を形成するときに、インクジェットヘッド用基板130の、第1のインク供給口131(図8)の両側に配された電気熱変換素子8aには、インターバル時間302を0.6μ秒としてパルスを印加した。一方、第2のインク供給口132の両側に配された電気熱変換素子8bには、インターバル時間302を0.3μ秒としてパルスを印加した。
上記のようにパルスを印加した場合、第1のインク供給口131の両側に配された電気熱変換素子8a上の基板表面温度は約300℃となり、第2のインク供給口132の両側に配された電気熱変換素子8b上の基板表面温度は約500℃となった。そのため、第2のインク供給口132の両側に配された電気熱変換素子8bの上では、第1のインク供給口131の両側に配された電気熱変換素子8aの上よりも速い成膜速度で上部保護層11が形成された。
これにより、第1のインク供給口131の両側に配された電気熱変換素子8a上の上部保護層11として50nmのIr膜が形成された。一方、第2のインク供給口132の両側に配された電気熱変換素子8b上の上部保護層11として100nmのIr膜が形成された。
上記で説明したように電気熱変換素子8を発熱させて上部保護層11を形成することで、一つのインクジェットヘッド用基板130に配される電気熱変換素子8上の上部保護層11の膜厚を異ならせることが可能となった。
7 絶縁層(第1の保護層)
8 電気熱変換素子(熱エネルギー発生素子)
11 上部保護層(第2の保護層)
20 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
100 インクジェットヘッド用基板(液体吐出ヘッド用基板)

Claims (13)

  1. 液体を吐出するための熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生素子と、前記熱エネルギー発生素子の上側に配され、前記熱エネルギー発生素子を覆う第1の保護層と、を有する液体吐出ヘッド用基板の製造方法において、
    有機金属化合物を含むガス雰囲気中において前記熱エネルギー発生素子によって熱エネルギーを発生させて前記有機金属化合物を熱分解することで、前記第1の保護層の上側の前記熱エネルギー発生素子に対応する位置に第2の保護層を形成することを特徴とする液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  2. 前記第2の保護層を形成する前に、外部との電気接続のための電極部を形成し、
    前記電極部を介して前記熱エネルギー発生素子に電圧を印加し、熱エネルギーを発生させて、前記第2の保護層を形成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  3. 前記熱エネルギー発生素子は、第1の熱エネルギー発生素子と第2の熱エネルギー発生素子とを含み、
    前記第2の保護層を形成する際に、前記第1の熱エネルギー発生素子と前記第2の熱エネルギー発生素子とで、熱エネルギーを発生させる条件を変えることで、前記第1の熱エネルギー発生素子に対応する前記第2の保護層と前記第2の熱エネルギー発生素子に対応する前記第2の保護層との厚さを異ならせることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  4. 前記第1の熱エネルギー発生素子と前記第2の熱エネルギー発生素子とで、熱エネルギーを発生させる時間を変えることで、前記第2の保護層の厚さを異ならせることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  5. 前記第1の熱エネルギー発生素子と前記第2の熱エネルギー発生素子とで、前記熱エネルギー発生素子に対応する位置の温度を変えることで、前記第2の保護層の厚さを異ならせることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  6. 前記第1の熱エネルギー発生素子と前記第2のエネルギー発生素子とには、異なる種類のインクが供給されることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  7. 前記第1の保護層の上に中間層を形成し、前記中間層の上の前記熱エネルギー発生素子に対応する位置に前記第2の保護層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  8. Taを含む材料で前記中間層を形成する請求項7に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  9. 前記有機金属化合物は白金族元素を含み、前記白金族元素を含む材料からなる前記第2の保護層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  10. 前記第1の保護層は、シリコン化合物で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  11. 液体を吐出するための熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生素子と、前記熱エネルギー発生素子の上側に配され、前記熱エネルギー発生素子を覆う第1の保護層と、を有する基板を備えた液体吐出ヘッドの製造方法において、
    有機金属化合物を含むガス雰囲気中において前記熱エネルギー発生素子によって熱エネルギーを発生させて前記有機金属化合物を熱分解することで、前記第1の保護層の上側の前記熱エネルギー発生素子に対応する位置に第2の保護層を形成する工程と、
    前記基板の上側に吐出口を形成する吐出口形成部材を設ける工程と、
    を有する液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記第2の保護層を形成する前に、外部との電気接続のための電極部を形成し、
    前記電極部を介して前記熱エネルギー発生素子に電圧を印加し、熱エネルギーを発生させて、前記第2の保護層を形成することを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記熱エネルギー発生素子は、第1の熱エネルギー発生素子と第2の熱エネルギー発生素子とを含み、
    前記第2の保護層を形成する際に、前記第1の熱エネルギー発生素子と前記第2の熱エネルギー発生素子とで、熱エネルギーを発生させる条件を変えることで、前記第1の熱エネルギー発生素子に対応する前記第2の保護層と前記第2の熱エネルギー発生素子に対応する前記第2の保護層との厚さを異ならせることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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