JP2015000302A - 剪刀付き持針器 - Google Patents

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Kazuhiko Dannoue
和彦 檀之上
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力 岩立
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【課題】 顕微鏡下の作業など、小さな創を縫合するような場合でも、器具を視野から外すことなく持針器を保持したまま縫合針の挟持機能と剪刀の切断機能とを切り替えることができる剪刀付き持針器を提供すること。【解決手段】 2本の棒状部材が支点12において互いに枢着されることにより、支点12を挟んで把持部13と機能部15が形成されており、把持部13は弾性部材14により開き方向に付勢され、付勢力に抗して把持部13を閉じることにより機能部15を閉じて縫合針を挟持するように構成された持針器であって、機能部5が先端側で縫い針を挟持するための挟持部15aを備え、基端側で縫合針に取り付けられた縫合糸を切るための切断部15bを備える、剪刀付き持針器11を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、剪刀付き持針器に関し、より詳細には、眼科手術などの手術にあたり、縫合針による縫合と縫合糸の切断とを器具の持ち替えを必要とすることなく効率的に行うことができる剪刀付き持針器に関する。
眼科手術などの微細な施術を必要とする手術では、縫合糸を有する縫合針を把持するために持針器が汎用されている。このような持針器には、例えばバラッケ型やカストロビエホ型のような弾性部材により開き方向に付勢された把持部を握り、付勢力に逆らって把持部を閉じる方向に押圧することにより、機能部を閉じて縫い針を挟持するタイプの持針器(以下、「握り型持針器」という)が使用される(例えば特許文献1〜4)。このような握り型持針器は機能部の先端部分を細かく調整して正確に動かすのが容易であるため、細かい縫合作業に適している。
この種の縫合作業において、術者は必要に応じて縫合糸を切断する。従来、術者が縫合糸を切断する際には、持針器を手放して、縫合糸を切断するための剪刀に持ち替え、縫合糸に剪刀を近づけて切断するという煩雑な作業が必要である。また、このような切断を自ら行なわず、助手に任せることも考えられる。しかし、その場合、助手の確保かつ待機が必要となり、必ずしも効率的とはいい難い事情も存在する。
このように持針器から他の器具への持ち替えを必要とすることなく、縫合針による縫合と縫合糸の切断とを効率的に行うことのできる医療用器具の開発が所望されている。
特許第4693194号公報 特許第4619808号公報 実用新案登録第3087968号公報 特許第4734469号公報
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、顕微鏡下の作業など、小さな創を縫合するような場合でも、器具を視野から外すことなく持針器を保持したまま縫合針の把持機能と剪刀の切断機能とを切り替えることができる剪刀付き持針器を提供することにある。
本発明は、2本の棒状部材が支点において互いに枢着されることにより、支点を挟んで把持部と機能部とが形成されており、該把持部は弾性部材により開き方向に付勢され、付勢力に抗して該把持部を閉じる方向に押圧することにより該機能部を閉じて縫合針を挟持するように構成されてなる持針器であって、
該機能部が、先端側で該縫合針を挟持するための挟持部を備え、基端側で該縫合針に取り付けられた縫合糸を切断するための切断部を備える、剪刀付き持針器である。
1つの実施形態では、上記挟持部と上記切断部との間に、上記縫合針および/または上記縫合糸が不意に切断部に侵入するのを防止するための段差部が設けられている。
1つの実施形態では、上記挟持部の挟持面と上記段差部の斜面がなす角度、および/または該段差部の斜面と前記切断部の刃線がなす角度はそれぞれ平面視で90°〜110°である。
本発明によれば、1つの機能部内に、縫合針を挟持するための挟持部と、縫合糸を切断するための切断部を有するので、たとえ顕微鏡下で小さな創を縫合するような場合でも、機能部を顕微鏡の視野から外して、持針器を他の器具に持ち替えたり、あるいは同一の持針器の握り方を替えることなく、縫合針の挟持機能および剪刀として切断機能を容易に切り替えることができる。
また、挟持部と切断部の間に段差部を設ければ、縫合針を持ち替える際や、一時的に縫合糸を保持する際に、手元が狂って縫合針や縫合糸を深く機能部内に差し込んだ場合でも、縫合針や縫合糸が段差部と当たることにより、不意に切断部にまで侵入する可能性を低減させることができ、誤って縫合針を切断部で挟んで傷付ける、縫合途中で縫合糸を切断するような不都合を回避することができる。
挟持部の挟持面と段差部の斜面がなす角度、および段差部の斜面と切断部の刃線がなす角度をそれぞれ平面視で90°〜110°とすれば、段差部が縫い針を挟持する邪魔にならず、且つ、縫い針や縫合糸が不意に切断部に侵入するのを好適に防止できる。
本発明の剪刀付き持針器の一例を示す概略斜視図である。 本発明の剪刀付き持針器の一例を示す平面図である。 本発明の剪刀付き持針器の例を説明するための図であって、(a)は本発明の剪刀付き持針器の他の例を示す平面図であり、(b)は、本発明の剪刀付き持針器の別の例を示す平面図である。 図2に示す本発明の剪刀付き持針器の要部拡大図である。 図4に示す本発明の剪刀付き持針器における機能部の片側をさらに拡大した要部拡大図である。 本発明の剪刀付き持針器の例を説明するための図であって、(a)は図1に示す本発明の剪刀付き持針器の一例を示す側面図であり、(b)は本発明の剪刀付き持針器のさらに別の例を示す側面図である。
以下、本発明について図面を用いて詳述する。
図1は、本発明の剪刀付き持針器の一例を示す概略斜視図である。
本発明の剪刀付き持針器11は、例えば、眼科手術やその他の外科手術において、切開または裂傷等により生じた創を縫合する際に縫合針を挟持するために使用される。
図1に示すように、本発明の剪刀付き持針器11は、2本の棒状部材が支点12において互いに枢着されることにより、支点12を挟んで把持部13と機能部15が形成されており、把持部13は弾性部材14により開き方向に付勢され、付勢力に抗して把持部13を閉じる方向に押圧することにより機能部15を閉じて縫合針を挟持するように構成されている。機能部15の先端部は、施術の際、当該先端部で組織を損傷することがないように丸みを帯びた形状に加工されていることが好ましい。
さらに、本発明の剪刀付き持針器11は、図2に示すように、機能部15の先端側で縫合針を挟持するための挟持部15aが設けられており、基端側で縫合針に取り付けられた縫合糸を切るための切断部15bが設けられている。本発明では、機能部15における挟持部15aと切断部15bとが隣接して設けられていることが好ましい。
本発明の剪刀付き持針器11は、2本の棒状部材が支点12において互いに枢着されることにより、支点12を挟んで把持部13と機能部15が形成されるように構成されている。例えば、把持部13が弾性部材14により開き方向に付勢され、付勢力に抗して把持部13を握ることにより把持部13を閉じる方向に押圧し、これにより機能部15を閉じることができる。
本発明の剪刀付き持針器11において、支点12、把持部13、弾性部材14に関しては、通常の握り型持針器と同様の機能かつ形状を有するものが当業者によって設計され得る。具体的に言えば、図1および図2に示す例においては、支点12は2本の棒状部材に孔を穿設して連通させ、この孔に頭付ねじを挿通してから反対側をナットで止めた構造であるが、本発明は必ずしもこのような形態に限定されず、例えば、支点12、把持部13、弾性部材14に関しては、通常の握り型持針器で使用されている構造を好適に採用することができる。
図1および図2に示した例において、把持部13は、断面が半円形の棒状部材とされているがこれに限定されず、平板状など、一般的に用いられている形状であればどのような形状でも採用してもよい。また、図示したように、把持部3には滑り止めの加工を施されていることが好ましい。滑り止めとしては、図示したエンボス状の他、波形状などが挙げられる。なお、本発明において、機能部および把持部は一体的に成形されていることが好ましい。さらに把持部に施される滑り止め加工も他の部材を貼着するものではなく、機能部および把持部とともに一体的に成形されていることが好ましい。施術中における異物の離脱等の危険を回避するためである。
図1および図2に示す本発明の剪刀付き持針器11において、弾性部材14についても、把持部13の後端側に延設された板バネを後端側で交差させることにより、把持部13に開き方向の付勢力が付されているが、本発明は必ずしもこのような形態に限定されず、例えば、図3の(a)に示すようなねじりコイルバネ24や、図3の(b)に示すような、く字型に曲げられた板バネ24を、把持部23、33の間に設けてもよい。
図4は、図2に示す本発明の剪刀付き持針器の要部拡大図であって、図2において円で囲った部分の拡大図である。
図4に示すように、本発明の剪刀付き持針器11の特徴の1つは、機能部15の先端側が挟持部5aであり、かつ基端側が切断部5であるように設計されている点にある。図4において挟持部15aは縫合針を挟持するための部分である。その構造は、従来の持針器において縫合針を挟持する部分の先端側の形状と同様に、2本の棒状部材で縫合針を挟持するように構成されている。なお、本明細書において「先端」または「先端側」とは、機能部15のうち支点12から遠位にある部分をいい、「基端」または「基端側」とは機能部15のうち支点12から近位にある部分をいう。
図4において切断部15bは、縫合針に取り付けられた縫合糸を切断するための部分である。その構造は、従来の剪刀において縫合糸を切断する部分の基端側の形状と同様に、2枚の刃状部材をすり合わせ、その間で縫合糸を剪断することできるように構成されている。
挟持部15aおよび切断部15bの大きさは特に限定されず、挟持部15aにおいて縫合針を好適に挟持することができ、切断部15bで縫合糸を好適に切断できるかぎりにおいて特に限定されないが、挟持部15aの長さ(a)に対する切断部15bの長さ(b)の比((b)/(a))が好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5であれば、挟持部5a及び切断部5bを両方ともバランスよく使用することができ、いずれか一方が使いにくいというような不都合が解消され得る。
図4に示すように、本発明においては、挟持部15aと切断部15bとの間には段差部15cを設けることが好ましい。段差部15cとは、挟持部15aの挟持面(内表面)の内端と切断部15bの刃線の外端を繋ぐ斜面のうち、アール処理や面取り処理等が施されていない部分のことをいう。縫合時に本発明の剪刀付き持針器11を大きく動かしすぎた場合には、この段差部15cに縫合針や縫合糸が衝突し、切断部15bに縫合針や縫合糸が導かれるのを防ぐことにより、誤って縫合針を傷付けたり、縫合糸を誤って切断したりする事故を未然に防止することができる。なお、切断部15bの高さは特に限定されないが、自然状態(弾性部材14による付勢力に抗する押圧が働いていない状態)において、対向する段差部15cの内側同士の間隔が外側同士の間隔の例えば1/3〜1/2となる長さに設定されていることが好ましい。内側同士の間隔が外側同士の間隔の1/2を超えると、縫合針や縫合糸が意図しないタイミングで切断部内に導かれてしまう可能性があり、1/3よりも小さいと、切断したいタイミングで縫合糸を切断部5b内に導くのが困難になる可能性がある。
さらに本発明においては、図5に示すように、本発明の剪刀付き持針器11における段差部15cでは、先端側が切り立った形状とすることが好ましい。具体的には、挟持部の挟持面と段差部の斜面がなす角度αと段差部の斜面と切断部の刃線がなす角度βの両方が90°〜110°になるようにすれば、本発明の剪刀付き持針器11が一層使いやすくなるとともに、縫合針や縫合糸が意図しないタイミングで切断部内に導かれる可能性をより低減することができる。角度αおよび角度βがともに90°よりも小さい角度である場合、挟持部15aと切断部15bとの間に縫合針の挟持および縫合糸の切断のいずれもができない隙間が生じ使用しにくい状態となるおそれがある。110°を超えると縫合針や縫合糸が段差部5cの斜面を滑りやすくなり、意図せず切断部5b内に縫い針や縫合糸が導かれ易くなるおそれがある。
なお、本発明の剪刀付き持針器において、機能部の側面視の形状については特に限定されない。すなわち、図1に示す剪刀付き持針器11では、機能部15が図6の(a)に示すように緩やかに反っているが、本発明は必ずしもこの形状に限定されず、例えば、図6の(b)に示すように機能部45が持針器43の軸方向に対してより屈折した形状を有するものであってもよい。
本発明の剪刀付き持針器の材質は、通常の持針器に使用されている材質を全て好適に使用することができる。材質の例としては、金属および合成樹脂が挙げられる。破損し難く十分な硬度を有する点で金属製が好ましい。生体に対するアレルギー性が低いステンレスやチタン合金が好ましい。
本発明の剪刀付き持針器は、機能部の先端側が縫合針を挟持するための挟持部とされ、基端側が縫い針に取り付けられた縫合糸を切るための切断部とされているため、顕微鏡下の作業など、小さな創を縫合するような場合でも、器具を視野から外すことなく持針器としての縫合針の挟持機能と剪刀の切断機能とを器具の持ち替えと特に行うことなく自由に切り替えることができる。したがって、眼科手術などの、特に細かい作業が必要な医療分野における手術に使用する持針器として特に有用である。
11,21,31,41 剪刀付き持針器
12,22,32,42 支点
13,23,33,43 把持部
14,24,34,44 弾性部材
15,25,35,45 機能部
15a 挟持部
15b 切断部
15c 段差部
α 挟持部の挟持面と段差部の斜面がなす角度
β 段差部の斜面と切断部の刃線がなす角度

Claims (3)

  1. 2本の棒状部材が支点において互いに枢着されることにより、支点を挟んで把持部と機能部とが形成されており、該把持部は弾性部材により開き方向に付勢され、付勢力に抗して該把持部を閉じる方向に押圧することにより該機能部を閉じて縫合針を挟持するように構成されてなる持針器であって、
    該機能部が、先端側で該縫合針を挟持するための挟持部を備え、基端側で該縫合針に取り付けられた縫合糸を切断するための切断部を備える、剪刀付き持針器。
  2. 前記挟持部と前記切断部との間に、前記縫合針および/または前記縫合糸が不意に切断部に侵入するのを防止するための段差部が設けられている、請求項1に記載の剪刀付き持針器。
  3. 前記挟持部の挟持面と前記段差部の斜面がなす角度、および該段差部の斜面と前記切断部の刃線がなす角度がそれぞれ平面視で90°〜110°である、請求項2に記載の剪刀付き持針器。
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