JP2014532724A - 細胞増殖性障害を治療するためのpak阻害剤 - Google Patents

細胞増殖性障害を治療するためのpak阻害剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2014532724A
JP2014532724A JP2014540152A JP2014540152A JP2014532724A JP 2014532724 A JP2014532724 A JP 2014532724A JP 2014540152 A JP2014540152 A JP 2014540152A JP 2014540152 A JP2014540152 A JP 2014540152A JP 2014532724 A JP2014532724 A JP 2014532724A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substituted
unsubstituted
cancer
attached
diazolyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014540152A
Other languages
English (en)
Inventor
デーヴィッド キャンベル,
デーヴィッド キャンベル,
セルジオ ジー. デュロン,
セルジオ ジー. デュロン,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Afraxis Holdings Inc
Original Assignee
Afraxis Holdings Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Afraxis Holdings Inc filed Critical Afraxis Holdings Inc
Publication of JP2014532724A publication Critical patent/JP2014532724A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D471/00Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00
    • C07D471/02Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00 in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D471/04Ortho-condensed systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Abstract

本明細書では、細胞増殖性障害および/またはCNS障害を治療するための、PAK阻害剤およびPAK阻害剤を利用する方法が提供される。

Description

関連出願の相互参照
本願は、内容全体が本明細書に組み込まれる、2011年11月4日出願の米国仮出願第61/555,902号の優先権の利益を主張するものである。
悪性腫瘍とも呼ばれる癌は、細胞の異常増殖を特徴とする。癌には、乳癌、皮膚癌、肺癌、結腸癌、脳癌、前立腺癌、腎臓癌、卵巣癌、中枢神経系の癌、白血病およびリンパ腫を含めて100種類を超える癌がある。癌の症状は、癌のタイプに基づいて広く変わる。癌治療には、化学療法、放射線および外科手術が含まれる。
多くの癌は、p21活性化キナーゼの発現および/または活性化の変化に関連するとされており、これらのp21活性化キナーゼは、細胞増殖、細胞極性、浸潤およびアクチン細胞骨格組織化を制御する増殖因子シグナル伝達ネットワークおよび発癌過程の主役である。さらに、認知機能に影響を及ぼす癌などのいくつかの癌は、ニューロンの樹状突起軸から出ている膜性突起である樹状突起スパインの形態および/または密度の変化に関連するとされており、この樹状突起スパインは、シナプスの形成、維持および機能に合わせて非常に特殊化された構造として働く。
中枢神経系(CNS)障害は、様々な衰弱性の情緒および認知機能障害を特徴とする。例えば、アルツハイマー病の個体の臨床徴候は、進行性認知衰退である。世界的に、およそ2400万人が認知症を有しており、これらの症例の60%がアルツハイマー病に起因している。
癌およびCNS障害の作用は、これらに罹患している患者および患者の家族の生活の質に甚大な被害をもたらす。さらに、癌およびCNS障害は、社会に対しても膨大な健康管理上の負担を与える。
本明細書では、個体に、治療有効量の本明細書に記載のp21活性化キナーゼ(PAK)の阻害剤、例えばPAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK5またはPAK6の阻害剤を投与することによって細胞増殖性障害に罹患している個体を治療するための、化合物、組成物および方法が記載される。セリン/スレオニンキナーゼのp21活性化キナーゼ(PAK)ファミリーは、運動性、生存率、有糸分裂、転写および翻訳を含む生理的過程において、中心的役割を演じている。PAKは、進化的に保存され、様々な組織に広く発現しており、複数の癌型において異常に発現し、かつ/または活性化される。いくつかの実施形態では、I群のPAK(PAK1、PAK2および/またはPAK3)および/またはII群のPAK(PAK4、PAK5および/またはPAK6)の1つまたは複数の阻害剤を投与して、異常な細胞増殖を阻害する。
一態様では、式I、式IIまたは式IIIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、sは0〜4である]。
いくつかの実施形態では、式Iの構造を有する化合物が提供される。
一変形形態では、式Iの構造を有する化合物は、式Iaの構造を有する。
式Ia
別の変形形態では、式Iの化合物は、式Ibの構造を有する
式Ib
[式中、sは0〜3である]。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の環Tは、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。
いくつかの実施形態では、式IIの構造を有する化合物が提供される。いくつかの実施形態では、式IIIの構造を有する化合物が提供される。
一変形形態では、式IIIの構造を有する化合物は、式IIIaの構造を有する
式IIIa
[式中、sは0〜3である]。
別の変形形態では、式IIIの構造を有する化合物は、式IIIbの構造を有する
式IIIb
[式中、sは0〜2である]。
別の態様では、式IVの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式IV
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくは複素脂環式基で置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の6員の単環式ヘテロアリール環、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の二環式ヘテロアリール環、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
いくつかの実施形態では、式IVのRは、置換もしくは非置換のCに結合した6員の単環式ヘテロアリール環、または置換もしくは非置換のCに結合した二環式ヘテロアリール環である。一変形形態では、Rは、ピリジニル(pyridine)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニルまたはイミダゾピリジニルから選択される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである。一変形形態では、Rは、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、Cに結合したヘテロシクロアルキルである。一変形形態では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルから選択される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVの各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−OH、−OCF、−OCF、−OCFH、−CF、−SR、−N(R10、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換アルコキシから選択される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVの各Rは、独立に、ハロゲン、−N(R10、または置換もしくは非置換アルキルから選択される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのsは0である。いくつかの実施形態では、式I〜IVのsは1である。いくつかの実施形態では、式I〜IVのsは2である。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、Hである。いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換アルコキシ、または置換もしくは非置換アミノである。いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアルキルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである。一変形形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。別の変形形態では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。一変形形態では、アリールは、フェニルである。別の変形形態では、ヘテロアリールは、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、またはイミダゾピリジニルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換アリールアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、または置換もしくは非置換アラルコキシである。いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アミド、エステル、アルコイル(alkoyl)、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである。一変形形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。別の変形形態では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである。いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、スピロ−シクロアルキル(cycloakyl)−ヘテロシクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、−アルキレン−S(=O)Rまたは−アルキレン−S(=O)である。一変形形態では、−アルキレン−は、−CH−、−CHCH−または−CHCHCH−である。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、−S(=O)である。
いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、Hである。いくつかの実施形態では、式I〜IVのRは、置換または非置換アルキルである。
別の態様では、
から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される。
本明細書では、治療有効量の本明細書に記載の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシド、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
本明細書のいくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の式I〜IVの化合物、またはこのような化合物および薬学的に許容される担体を含む本明細書に記載の組成物を、それを必要としている個体に投与することを含む、細胞増殖性障害を治療する方法が提供される。
いくつかの実施形態では、細胞増殖性障害は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、結腸直腸癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、皮膚癌、中枢神経系の癌、肝臓癌、胃癌、消化管癌、卵巣癌、白血病またはリンパ腫から選択される。一変形形態では、脳癌は、膠芽腫である。別の変形形態では、肺癌は、中皮腫である。別の変形形態では、腎臓癌は、腎細胞癌腫である。別の変形形態では、中枢神経系の癌は、神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍である。さらなる一変形形態では、神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍は、神経線維腫、視神経膠腫、悪性末梢神経鞘腫、シュワン腫、上衣腫または髄膜腫である。
いくつかの実施形態では、癌は、再発性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、難治性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、悪性癌である。
先の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該方法は、細胞増殖性障害に関連する1つまたは複数の症状を軽減する第2の治療剤を投与することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、抗癌治療剤である。いくつかの実施形態では、抗癌治療剤は、アポトーシス促進剤、キナーゼ阻害剤または受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される。一変形形態では、アポトーシス促進剤は、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の拮抗薬である。さらなる一変形形態では、IAPタンパク質の拮抗薬は、BV6またはG−416である。別の変形形態では、キナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、U0126、ダサチニブ、ニロチニブ、Akt VIIIまたはイマチニブである。別の変形形態では、受容体阻害剤は、アファチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ラニビズマブ(ranibixumab)、バンデタニブまたはZD6474である。
本開示の化合物および組成物は、本明細書では式I〜IVと記載されているが、同時出願のPCT出願(整理番号36367−724.602)に記載の、Rがヒドロキシル、メトキシ、チオール、チオメトキシおよびハロゲンで置換されているアルキルである式I〜IVの化合物などの他の化合物も、本明細書に記載の増殖性障害を治療する方法に適している。これらの(同時出願のPCT出願に開示の)化合物は、化合物または組成物を対象とする本開示の一部ではないが、増殖性障害を治療する方法を対象とする本開示の一部とされる。
本明細書のいくつかの実施形態では、治療有効量の式A、式Bまたは式Cの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドを、それを必要としている個体に投与することを含む、細胞増殖性障害を治療する方法が提供される
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アラルコキシ、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、sは0〜4である]。
いくつかの実施形態では、細胞増殖性障害は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、結腸直腸癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、皮膚癌、中枢神経系の癌、肝臓癌、胃癌、消化管癌、卵巣癌、白血病またはリンパ腫から選択される。一変形形態では、脳癌は、膠芽腫である。別の変形形態では、肺癌は、中皮腫である。別の変形形態では、腎臓癌は、腎細胞癌腫である。別の変形形態では、中枢神経系の癌は、神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍である。さらなる一変形形態では、神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍は、神経線維腫、視神経膠腫、悪性末梢神経鞘腫、シュワン腫、上衣腫または髄膜腫である。
いくつかの実施形態では、癌は、再発性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、難治性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、悪性癌である。
先の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該方法は、細胞増殖性障害に関連する1つまたは複数の症状を軽減する第2の治療剤を投与することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、抗癌治療剤である。いくつかの実施形態では、抗癌治療剤は、アポトーシス促進剤、キナーゼ阻害剤または受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される。一変形形態では、アポトーシス促進剤は、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の拮抗薬である。さらなる一変形形態では、IAPタンパク質の拮抗薬は、BV6またはG−416である。別の変形形態では、キナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、U0126、ダサチニブ、ニロチニブ、Akt VIIIまたはイマチニブである。別の変形形態では、受容体阻害剤は、アファチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ラニビズマブ(ranibizumab)、バンデタニブまたはZD6474である。
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳説されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原則を利用する例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明および添付の図を参照することによって、より良好に理解されよう。
樹状突起スパインの例示的な形状を示す図である。 小分子PAK阻害剤による樹状突起スパイン頭部の直径の調節を示す図である。 小分子PAK阻害剤による樹状突起スパインの長さの調節を示す図である。
本明細書の特定の実施形態では、式Iの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式I
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、環Tがアリールである式Iの化合物が提供される。一変形形態では、アリールは、フェニルである。別の変形形態では、アリールは、ナフタレンである。
一実施形態では、環Tが、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される式Iの化合物が提供される。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、フラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チオフェニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、オキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、テトラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリダジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリミジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、トリアジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インドリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾピリジニルである。
さらなる一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである式Iの化合物が提供される。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである式Iの化合物が提供される。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
さらに別の実施形態では、Rが、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである式Iの化合物が提供される。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式Iaの構造を有する式Iの化合物が提供される
式Ia
[式中、環T、R、R、R、R、Rおよびsは、既に記載されている]。
別の実施形態では、式Ibの構造を有する式Iの化合物が提供される
式Ib
[式中、環T、R、R、R、R、Rは、既に記載されており、sは0〜3である]。
別の実施形態では、式Icの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式Ic
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、環Tがアリールである式Icの化合物が提供される。一変形形態では、アリールは、フェニルである。別の変形形態では、アリールは、ナフタレンである。
一実施形態では、環Tが、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される式Icの化合物が提供される。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、フラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チオフェニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、オキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、テトラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリダジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリミジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、トリアジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インドリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾピリジニルである。
さらなる一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである式Icの化合物が提供される。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである式Icの化合物が提供される。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
さらに別の実施形態では、Rが、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである式Icの化合物が提供される。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、Rが置換または非置換シクロアルキルであるIcの化合物が提供される。さらなる一実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルから選択される。さらなる一実施形態では、Rは、シクロペンチルである。別の実施形態では、Rは、シクロヘキシルである。
別の実施形態では、Rが置換または非置換アリールであるIcの化合物が提供される。別の実施形態では、Rが置換または非置換フェニルであるIcの化合物が提供される。
別の実施形態では、式IIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式II
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
さらなる一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである式IIの化合物が提供される。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである式IIの化合物が提供される。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
さらに別の実施形態では、Rが、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである式IIの化合物が提供される。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式IIIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式III
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
さらなる一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである式IIIの化合物が提供される。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである式IIIの化合物が提供される。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
さらに別の実施形態では、Rが、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである式IIIの化合物が提供される。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式IIIaの構造を有する式IIIの化合物が提供される
式IIIa
[式中、R、R、R、R、Rは、既に記載されており、sは0〜3である]。
別の実施形態では、式IIIbの構造を有する式IIIの化合物が提供される
式IIIb
[式中、R、R、R、Rは、既に記載されており、Rはハロゲンである]。この実施形態の変形形態では、ハロゲンは−Clである。
別の実施形態では、式IIIcの構造を有する式IIIの化合物が提供される
式IIIc
[式中、R、R、R、Rは、既に記載されており、Rは、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換または非置換ヘテロアリールである]。この実施形態の一変形形態では、Rは、置換または非置換ジアジニル、ピリジニルまたはオキサジアゾリルである。
別の実施形態では、式IIIdの構造を有する式IIIの化合物が提供される
式IIId
[式中、R、R、Rは、既に記載されており、Rは、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換または非置換ヘテロアリールであり、Rは、ハロゲンである]。この実施形態の一変形形態では、ハロゲンは−Clである。この実施形態の別の変形形態では、Rは、置換または非置換ジアジニル、ピリジニルまたはオキサジアゾリルである。この実施形態の別の変形形態では、ハロゲンは−Clであり、Rは、置換または非置換ジアジニル、ピリジニルまたはオキサジアゾリルである。
別の実施形態では、式IIIeの構造を有する式IIIの化合物が提供される
式IIIe
[式中、R、R、R、Rは、既に記載されている]。
別の実施形態では、式IIIfの構造を有する式IIIの化合物が提供される
式IIIf
[式中、R、R、R、R、Rは、既に記載されており、sは0〜2である]。
別の実施形態では、式IVの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式IV
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド(amido)、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド(amide)、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の6員の単環式ヘテロアリール環、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の二環式ヘテロアリール環、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
さらなる一実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである式IVの化合物が提供される。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
別の実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合した6員の単環式ヘテロアリール環である式IVの化合物が提供される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。
別の実施形態では、Rが置換または非置換のCに結合した二環式ヘテロアリール環である式IVの化合物が提供される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニルおよびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、Rが、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合した6員の単環式ヘテロアリール環である式IVの化合物が提供される。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
さらに別の実施形態では、Rが、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合した二環式ヘテロアリール環である式IVの化合物が提供される。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。さらなる一実施形態では、各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換アルコキシである。またさらなる一実施形態では、各Rは、独立に、ハロゲン、−N(R10、または置換もしくは非置換アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、Rは、フルオロである。いくつかの実施形態では、Rは、クロロである。いくつかの実施形態では、Rは、−N(R10である。いくつかの実施形態では、Rは、ジメチルアミノである。いくつかの実施形態では、Rは、置換または非置換アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。いくつかの実施形態では、Rは、エチルである。いくつかの実施形態では、Rは、プロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピルである。
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、sは0である。前述の実施形態のいずれかのさらなる一実施形態では、sは1である。前述の実施形態のいずれかのさらなる一実施形態では、sは2である。
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、Rは、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、Hである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アルコキシ、または置換もしくは非置換アミノである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アラルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、メチルである。さらなる一実施形態では、Rは、エチルである。さらなる一実施形態では、Rは、プロピルである。さらなる一実施形態では、Rは、イソプロピルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アルコキシである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換メトキシである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換エトキシである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アミノである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換ヘテロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換シクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換シクロアルキルアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アリールである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換フェニルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アラルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換ヘテロアリールである。さらなる一実施形態では、Rは、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、またはイミダゾピリジニルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換ヘテロアリールアルキルである。
前述の実施形態のいずれかのさらなる一実施形態では、Rは、非置換アルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アミノ、アミド、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ(alkoloxo)、アミド、エステル、アルコイル、シアノ、アリールまたはヘテロアリールで置換されているアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アルコキシ、または置換もしくは非置換アラルコキシである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アラルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、−アルキレン−S(=O)Rまたは−アルキレン−S(=O)である。さらなる一実施形態では、Rは、−アルキレン−S(=O)Rであり、アルキレンは、−CH−、−CHCH−または−CHCHCH−である。さらなる一実施形態では、Rは、−アルキレン−S(=O)であり、アルキレンは、−CH−、−CHCH−または−CHCHCH−である。さらなる一実施形態では、Rは、メチルである。さらなる一実施形態では、Rは、エチルである。さらなる一実施形態では、Rは、プロピルである。さらなる一実施形態では、Rは、イソプロピルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換シクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。さらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Rは、−S(=O)である。
前述の実施形態のいずれかのさらなる一実施形態では、Rは、Hである。前述の実施形態のいずれかのさらなる一実施形態では、Rは、置換または非置換アルキルである。さらなる一実施形態では、Rは、メチルである。さらなる一実施形態では、Rは、エチルである。さらなる一実施形態では、Rは、プロピルである。さらなる一実施形態では、Rは、イソプロピルである。
さらなる一態様では、以下の構造
を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される。
別の実施形態では、式Vの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式V
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、アルコキシ、アラルコキシ、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アルキルヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、−S(=O)R、(R)−S(=O)R、(S)−S(=O)Rまたは−S(=O)であり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
他の実施形態では、式VIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式VI
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アラルコキシ、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、−S(=O)R、(R)−S(=O)R、(S)−S(=O)R、−S(=O)、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
他の実施形態では、式VIIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式VII
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アラルコキシ、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、−S(=O)R、(R)−S(=O)R、(S)−S(=O)R、−S(=O)、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
他の実施形態では、式VIIIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式VIII
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アラルコキシ、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、−S(=O)R、(R)−S(=O)R、(S)−S(=O)R、−S(=O)、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
本開示の化合物および組成物は、本明細書では式I〜IVと記載されているが、同時出願のPCT出願(整理番号36367−724.602)に記載の、Rがヒドロキシル、メトキシ、チオール、チオメトキシおよびハロゲンで置換されているアルキルである式I〜IVの化合物などの他の化合物も、本明細書に記載の増殖性障害を治療する方法に適している。これらの(同時出願のPCT出願に開示の)化合物は、化合物または組成物を対象とする本開示の一部であることを企図されないが、増殖性障害を治療する方法を対象とする本開示の一部とされる。
本明細書のいくつかの実施形態では、治療有効量の式A、式Bもしくは式Cの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドを、それを必要としている個体に投与することを含む、細胞増殖性障害を治療する方法が提供される
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アラルコキシ、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、sは0〜4である]。
細胞増殖性障害を治療する方法のいくつかの実施形態では、式Aの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式A
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アラルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、環Tがアリールである式Aの化合物が提供される。一変形形態では、アリールは、フェニルである。別の変形形態では、アリールは、ナフタレンである。
一実施形態では、式Aの環Tが、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、フラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チオフェニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、オキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、テトラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリダジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリミジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、トリアジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インドリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式AのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
一実施形態では、式AのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式AのRは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式Aの化合物は、式A1の構造を有する
式A1
[式中、環T、R、R、R、R、Rおよびsは、既に記載されている]。
別の実施形態では、式Aの化合物は、式A2の構造を有する
式A2
[式中、環T、R、R、R、R、Rは、既に記載されており、sは0〜3である]。
別の実施形態では、式Aの化合物は、式A3の構造を有する
式A3
[式中、
環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アラルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tに結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、環Tがアリールである式A3の化合物が提供される。一変形形態では、アリールは、フェニルである。別の変形形態では、アリールは、ナフタレンである。
一実施形態では、式A3の環Tが、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、フラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チオフェニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、オキサゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、チアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、テトラゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリダジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピリミジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピラジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、トリアジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インドリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、インダゾリルである。いくつかの実施形態では、環Tは、ピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、環Tは、イミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式A3のRは、置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
別の実施形態では、式A3のRは、置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式A3のRは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式A3のRは、置換または非置換シクロアルキルである。さらなる一実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルから選択される。さらなる一実施形態では、Rは、シクロペンチルである。別の実施形態では、Rは、シクロヘキシルである。
別の実施形態では、式A3のRは、置換または非置換アリールである。別の実施形態では、式A3のRは、置換または非置換フェニルである。
細胞増殖性障害を治療する方法のいくつかの実施形態では、式Bの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式B
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アラルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、式BのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
別の実施形態では、式BのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式BのRは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
細胞増殖性障害を治療する方法のいくつかの実施形態では、式Cの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式C
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アラルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、式CのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
別の実施形態では、式CのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Rは、Cに結合したピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチオフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイソチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したチアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1,3,4−トリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−オキサ−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,3−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−2,5−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合した1−チア−3,4−ジアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したテトラゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式CのRは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合したヘテロアリールである。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式Cの化合物は、式C1の構造を有する
式C1
[式中、R、R、R、R、Rは、既に記載されており、sは0〜3である]。
別の実施形態では、式Cの化合物は、式C2の構造を有する
式C2
[式中、R、R、R、R、Rは、既に記載されており、sは0〜2である]。
細胞増殖性障害を治療する方法のいくつかの実施形態では、式Dの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドが提供される
式D
[式中、
は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アラルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の6員の単環式ヘテロアリール環、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の二環式ヘテロアリール環、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各Rは、独立に、HまたはRであり、
各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
sは0〜4である]。
一実施形態では、式DのRは、置換または非置換のCに結合したヘテロシクロアルキルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロチオピラニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、モルホリニルである。いくつかの実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、ピペラジニルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのC〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチルまたはn−プロピルである。
別の実施形態では、式DのRは、置換または非置換のCに結合した6員の単環式ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジン、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリダジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピリミジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピラジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したトリアジニルである。
別の実施形態では、式DのRは、置換または非置換のCに結合した二環式ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニルおよびイミダゾピリジニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンゾフラニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したベンズイミダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したインダゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したピロロピリジニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cに結合したイミダゾピリジニルである。
別の実施形態では、式DのRは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合した6員の単環式ヘテロアリール環である。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
別の実施形態では、式DのRは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、−OR10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルから選択される少なくとも1つの基で置換されているCに結合した二環式ヘテロアリール環である。一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、C〜Cアルキルで置換されている。別の実施形態では、C〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルである。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、メチルで置換されている。別の実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、エチルで置換されている。さらなる一実施形態では、Cに結合したヘテロアリールは、n−プロピルまたはイソ−プロピルで置換されている。
細胞増殖性障害を治療する方法のいくつかの実施形態では、式Aの構造を有する化合物は、
から選択される。
特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数のキラル中心を有する。したがって、すべての立体異性体が本明細書で想定される。様々な実施形態では、本明細書に記載の化合物は、光学的に活性な形態またはラセミ体で存在する。本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の治療上有用な特性を有するラセミ体、光学的に活性な形態、位置異性体および立体異性体、またはその組合せを包含することを理解されたい。光学的に活性な形態の調製は、非限定的な例として、再結晶化技術によるラセミ体の分割、光学的に活性な出発材料からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離を含む任意の適切な方式で達成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異性体の混合物は、本明細書に記載の治療化合物として利用される。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含有する。これらの化合物は、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物のエナンチオ選択性の合成および/または分離を含む任意の手段によって調製される。化合物およびその異性体の分割は、非限定的な例として、化学的過程、酵素的過程、分別結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等を含む任意の手段によって達成される。
様々な実施形態では、本明細書に記載の薬学的に許容される塩には、非限定的な例として、硝酸塩、塩化物、臭化物、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、スルホサリチル酸塩、マレイン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アムソン酸塩(amsonate)、パモ酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(tolunenesulfonate)、メシル酸塩等が含まれる。さらに、薬学的に許容される塩には、非限定的な例として、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム依存性またはカリウム)、アンモニウム塩等が含まれる。
本明細書に記載の化合物には、同位体標識化した化合物が含まれ、ここで1つまたは複数の原子は、同じ原子番号を有するが、原子質量または質量数が通常自然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子によって置き換えられている。本明細書に記載の化合物に含まれるのに適した同位体の例には、H、H、11C、13C、14C、36CI、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32P、35S等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、同位体標識化した化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。いくつかの実施形態では、重水素などのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高くなることにより(例えば、インビボ半減期が長くなり、または必要投与量が少なくなる)、特定の治療上の利点が得られる。いくつかの実施形態では、11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調査するための陽電子放射断層撮影(PET)研究で有用である。同位体標識化した化合物は、任意の適切な方法によって、または適切な同位体標識化した試薬を、それがなければ用いられる非標識化試薬の代わりに使用する過程によって調製される。
異なる置換基を有する本明細書に記載の化合物および他の関連化合物は、本明細書に記載の技術および材料を使用して、例えばFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、第1〜17巻(John Wiley and Sons、1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、第1〜5巻および補足(Elsevier Science Publishers、1989);Organic Reactions、第1〜40巻(John Wiley and Sons、1991)、Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989)、March、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 第4版(Wiley 1992);Carey and Sundberg、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第4版、AおよびB巻(Plenum 2000、2001)、ならびにGreen and Wuts、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第3版(Wiley 1999)(これらはすべて、このような開示を参照することによって組み込まれる)に記載の通り合成される。本明細書に記載の化合物を調製するための一般法は、本明細書で提示される式に見出される様々な部分を導入するために、適切な試薬および条件を使用することによって修正される。参考として以下の合成法が利用される。
本明細書に記載の化合物は、任意の適切な手順を使用して、市販の供給源から利用可能な、または本明細書に記載の手順を使用して調製される化合物から出発して合成される。
求核試薬と求電子試薬の反応による共有結合の形成
本明細書に記載の化合物は、新しい官能基または置換基を形成するために、様々な求電子試薬および/または求核試薬を使用して修飾される。「共有結合およびそれらの前駆体の例」と題する表Aは、共有結合および共有結合をもたらす前駆官能基の、非限定的に選択された例の一覧である。表Aは、共有結合を提供するのに利用可能な、求電子試薬と求核試薬の組合せの多様性の指針として使用される。前駆官能基は、求電子性基および求核性基として示される。
保護基の使用
記載した反応では、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基が最終生成物に存在することが必要な場合、反応への望ましくない関与を回避するためにこれらを保護する必要がある。保護基を使用して、反応性部分のいくらかまたはすべてをブロックし、このような基が、保護基が除去されるまで化学反応に関与しないように防止する。いくつかの実施形態では、各保護基は異なる手段によって除去可能であることが企図される。完全に別個の反応条件下で開裂される保護基は、異なる除去要件を満たす。
いくつかの実施形態では、保護基は、酸、塩基、還元条件(例えば水素化分解など)および/または酸化条件によって除去される。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびt−ブチルジメチルシリルなどの基は、酸に不安定であり、水素化分解によって除去可能なCbz基および塩基に不安定なFmoc基で保護されたアミノ基の存在下で、カルボキシおよびヒドロキシ反応性部分を保護するために使用される。カルボン酸およびヒドロキシ反応性部分は、t−ブチルカルバメートなどの酸に不安的な基で、または酸にも塩基にも安定であるが加水分解によって除去可能なカルバメートでブロックされたアミンの存在下で、非限定的に、メチル、エチルおよびアセチルなどの塩基に不安定な基でブロックされる。
いくつかの実施形態では、カルボン酸およびヒドロキシ反応性部分は、ベンジル基などの加水分解によって除去可能な保護基でブロックされ、酸と水素結合することができるアミン基は、Fmocなどの塩基に不安定な基でブロックされる。カルボン酸反応性部分は、アルキルエステルへの変換を含めて本明細書に例示した単純なエステル化合物に変換することによって保護されるか、または2,4−ジメトキシベンジルなどの酸化的に除去可能な保護基でブロックされ、共存するアミノ基は、フッ化物に不安定なシリルカルバメートでブロックされる。
アリルブロック基は、安定であり、金属触媒またはπ酸触媒によって後に除去されるので、酸保護基の存在下でも塩基保護基の存在下でも有用である。例えば、アリルでブロックされたカルボン酸は、酸に不安定なt−ブチルカルバメートまたは塩基に不安定なアセテートアミン保護基の存在下で、Pd触媒反応で脱保護される。保護基のさらに別の形態は、化合物または中間体が結合する樹脂である。残基が樹脂に結合している限り、官能基はブロックされ、反応しない。官能基は、樹脂から放出されると、反応に利用することができる。
典型的に、ブロック基/保護基は、
から選択される。
他の保護基と、保護基の作製およびそれらの除去に適用できる技術の詳細な説明は、Greene and Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley&Sons、New York、NY、1999およびKocienski、Protective Groups、Thieme Verlag、New York、NY、1994に記載されており、これらの文書は、このような開示を参照することによって本明細書に組み込まれる。
特定の定義
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」または「治療すること」は、治療上の利益および/または予防上の利益を達成することを含む。治療上の利益とは、治療を受ける根本的な障害または状態の根絶または寛解を含むことを意味する。例えば、ハンチントン病を有する個体では、治療上の利益には、その疾患の軽減、または疾患進行の部分的および/もしくは完全な停止、または疾患の部分的もしくは完全な逆転が含まれる。また、治療上の利益は、患者がまだ根本的な状態の影響を受けているにもかかわらず、その状態に関連する生理的または心理学的な症状の1つまたは複数が根絶または寛解され、その結果、患者に改善が観測されることによっても達成される。例えば、てんかんに罹患している個体では、治療上の利益には、発作の軽減または部分的および/もしくは完全な停止、または発作頻度の低減が含まれる。治療の予防上の利益には、状態の予防、状態の進行の遅延、または状態の発症可能性の低減が含まれる。本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」または「治療すること」は、予防を含む。
本明細書で使用される場合、句「異常なスパインの大きさ」は、同年齢の正常個体(例えば、マウス、ラットまたはヒト)の同じ脳領域(例えば、CA1領域、前頭前皮質)におけるスパインの体積または表面積に対して著しく逸脱している、CNS障害に関連する樹状突起スパインの体積または樹状突起スパインの表面積(例えば、スパイン頭部および/またはスパイン頸部の体積または表面積)を指し、このような異常は、例えば、組織試料、関連動物モデル、死後分析または他のモデル系を含む方法によって適宜決定される。
句「スパインの形態の欠損」または「異常なスパインの形態」または「スパインの形態の異常」は、同年齢の正常個体(例えば、マウス、ラットまたはヒト)の同じ脳領域において観測される樹状突起スパインの形状、体積、表面積、長さ、幅(例えば、頸部の直径)、スパインの密度、成熟したスパインと未成熟なスパインの比、スパインの体積とスパインの長さの比等に対して、CNS障害に関連する異常な樹状突起スパインの形状、体積、表面積、長さ、幅(例えば、頸部の直径)、スパイン頭部の直径、スパイン頭部の体積、スパイン頭部の表面積、スパインの密度、成熟したスパインと未成熟なスパインの比、スパインの体積とスパインの長さの比等を指し、このような異常または欠損は、例えば組織試料、関連動物モデル、死後分析または他のモデル系を含む方法によって適宜決定される。
句「異常なスパイン機能」または「スパイン機能の欠損」または「スパイン機能の異常」は、同年齢の正常個体の同じ脳領域における樹状突起スパインと比較される、CNS障害に関連する刺激依存性の形態学的または機能的変化を受けた(例えば、AMPAおよび/またはNMDA受容体の活性化、LTP、LTD等の後の)樹状突起スパインの欠損を指す。スパイン機能の「欠損」には、例えば、樹状突起スパインの可塑性の低下(例えば、樹状突起スパインの形態または樹状突起スパインのアクチン再構成の小さい異常変化)、または樹状突起の過剰な可塑性レベル(例えば、樹状突起スパインの形態または樹状突起スパインのアクチン再構成の大きい異常変化)が含まれる。このような異常または欠損は、例えば、組織試料、関連動物モデル、死後分析または他のモデル系を含む方法によって適宜決定される。
句「異常なスパイン運動性」は、同年齢の正常個体の同じ脳領域における樹状突起スパインと比較して、CNS障害に関連する樹状突起スパインの著しく弱いまたは大きい運動を指す。スパインの形態(例えば、スパインの長さ、密度等)またはシナプス可塑性またはシナプス機能(例えば、LTP、LTD等)またはスパイン運動性の任意の欠損は、例えば、前頭皮質、海馬、扁桃体、CA1領域、前頭前皮質等を含む脳の任意領域で生じる。このような異常または欠損は、例えば、組織試料、関連動物モデル、死後分析または他のモデル系を含む方法によって適宜決定される。
本明細書で使用される場合、句「生物学的に活性な」は、生物系および/または生物において活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生物に投与されるとその生物に対して生物学的作用を有する物質は、生物学的に活性であるとみなされる。タンパク質またはポリペプチドが生物学的に活性である特定の実施形態では、そのタンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を共有するタンパク質またはポリペプチドの一部は、典型的に「生物学的に活性な」部分と呼ばれる。
本明細書に記載の通り、CNS障害は、脊髄または脳に影響を及ぼし得る障害である。例として、CNS障害には、統合失調症、精神障害、統合失調性感情障害、統合失調症様障害、アルツハイマー病、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、閉経に関連する認知機能低下、パーキンソン病、ハンチントン病、物質乱用および物質依存症、レット症候群、アンジェルマン症候群、アスペルガー症候群、自閉症、自閉症スペクトラム障害、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、結節性硬化症、臨床的うつ病、双極性障害、躁病、てんかん、精神遅滞、ダウン症候群、ニーマン−ピック病、海綿状脳症、ラフォラ病、メープルシロップ尿症、母性フェニルケトン尿症、異型高フェニルアラニン血症、全般性不安障害、ターナー症候群、ロウ症候群、強迫性障害、パニック障害、恐怖症、外傷後ストレス障害、神経性食欲不振症、ならびに神経性過食症が含まれる。
本明細書で使用される場合、精神遅滞は、著しく損傷を受けた認知機能および適応行動の欠損を特徴とする障害である。例として、精神遅滞は、ダウン症候群、胎児性アルコール症候群、クラインフェルター症候群、先天性甲状腺機能低下症、ウイリアムズ症候群、スミス−レムリ−オピッツ症候群、プラダー−ウィリー症候群、フェラン−マクダーモット(Phelan-McDermid)症候群、モワット−ウィルソン症候群、繊毛関連疾患またはロウ症候群である。
本明細書で使用される場合、用語「皮質下認知症」は、ハンチントン病に関係する症状(例えば、計画、認知の柔軟性、抽象的思考、規則取得、適切な動作の開始、不適切な動作の抑制などの実行機能の欠損;記憶欠損、例えば短期記憶欠損、長期記憶障害、エピソード(生活の記憶)の欠損、手続き(身体活動の実施方法の記憶および作業記憶等)の欠損を指す。ある場合には、「認知症への進行」は、神経心理学的または行動学的な試験によって同定、モニタまたは診断される。他の場合には、「認知症への進行」は、神経画像処理または脳スキャンによって同定、モニタまたは診断される。
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、全身投与されたときに、有益なまたは所望の結果、例えば有益なもしくは所望の臨床結果、または認知、記憶、気分の亢進もしくは他の所望の効果をもたらすのに十分な量である。有効量はまた、予防効果をもたらす量、例えばCNS障害に関連する病理学的状態または望ましくない状態の出現を遅延、低減または排除する量である。有効量は、場合によって1回または複数回投与で投与される。治療に関して、本明細書に記載の組成物の「有効量」は、CNS障害、例えば、認知症への認知機能低下、精神遅滞等を、緩和、軽減、寛解、安定化、逆転し、またはその進行を緩徐するのに十分な量である。「有効量」は、単独で使用される任意のPAK阻害剤、または疾患もしくは障害を治療するために使用される1つもしくは複数の薬剤と併用される任意のPAK阻害剤を含む。本明細書に記載の治療剤の「有効量」は、患者の担当医または他の医療提供者によって決定される。治療有効量に影響を及ぼす因子には、PAK阻害剤の吸収特性(例えば、脳内への取込み速度)、疾患の発症からの経過時間、ならびに治療を受ける個体の年齢、身体状態、他の病状の存在および栄養状態が含まれる。さらに、患者が摂取している他の医薬品、例えば、PAK阻害剤と併用される抗うつ剤も、典型的に、投与される治療剤の治療有効量の決定に影響を及ぼすことになる。
本明細書で使用される場合、用語「阻害剤」は、標的分子、例えばp21活性化キナーゼの生物学的活性の1つまたは複数を阻害することができる(部分的阻害またはアロステリック阻害を含む)分子を指す。阻害剤は、例えば、標的分子の活性を低減もしくは抑制することによって、および/またはシグナル伝達を低減もしくは抑制することによって作用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、1つまたは複数のPAKの実質的に完全な阻害を引き起こす。いくつかの実施形態では、句「部分阻害剤」は、例えば、標的分子の活性を部分的に低減もしくは抑制することによって、および/またはシグナル伝達を部分的に低減もしくは抑制することによって部分的応答を誘導し得る分子を指す。ある場合には、部分阻害剤は、阻害剤の空間配置、電気特性、またはいくつかの他の物理化学的および/または生物学的な特性を模倣する。ある場合には、阻害剤が高レベルで存在すると、部分阻害剤は、その阻害剤と標的分子の占有を競合するが、阻害剤単独と比較して効率が低い。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、1つまたは複数のPAKの部分阻害剤である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PAKのアロステリックモジュレーターである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PAKのp21結合ドメインをブロックする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PAKのATP結合部位をブロックする。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、「II型」のキナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、不活性な立体構造のPAKを安定化する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKの「DFG−out」の立体構造を安定化する。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKと、その自然の結合パートナーの少なくとも1つ(例えば、Cdc42またはRac)との結合を低減し、無効にし、かつ/または除去する。ある場合には、PAKと、その自然の結合パートナーの少なくとも1つとの結合は、PAK阻害剤が存在する場合よりも、PAK阻害剤がない状態の方が強い(例えば、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%または20%強い)。あるいはまたはさらには、PAK阻害剤は、例えば触媒部位に直接結合することによって、または触媒部位が基質に近づきにくくなるようにPAKの立体構造を変えることによって、PAKのホスホトランスフェラーゼ活性を阻害する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKが、その標的基質の少なくとも1つ、例えばLIMキナーゼ1(LIMK1)、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)、コルタクチンまたはPAK自体をリン酸化する能力を阻害する。PAK阻害剤には、無機および/または有機化合物が含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの長さを増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの長さを低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起頸部の直径を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起頸部の直径を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパイン頭部の直径を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパイン頭部の直径を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパイン頭部の体積を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパイン頭部の体積を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの表面積を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの表面積を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの密度を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの密度を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、キノコ型のスパインの数を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、キノコ型のスパインの数を低減する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に適したPAK阻害剤は、直接PAK阻害剤である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に適したPAK阻害剤は、間接PAK阻害剤である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に適したPAK阻害剤は、PAK活性を、PAK活性の基礎レベルに対して約1.1倍から約100倍まで、例えば約1.2倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、2.0倍、3.0倍、5.0倍、6.0倍、7.0倍、8.5倍、9.7倍、10倍、12倍、14倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、90倍、95倍まで低減するか、または基礎PAK活性に対して約1.1倍から約100倍までの任意の他の量だけ低減する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、可逆的PAK阻害剤である。他の実施形態では、PAK阻害剤は、不可逆的PAK阻害剤である。直接PAK阻害剤は、場合によって、CNS障害を治療するための医薬品の製造に使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用されるPAK阻害剤は、PAK活性化に対して100μM未満(例えば、10μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、1μM未満、0.8μM未満、0.6μM未満、0.5μM未満、0.4μM未満、0.3μM未満、0.2μM未満、0.1μM未満、0.08μM未満、0.06μM未満、0.05μM未満、0.04μM未満、0.03μM未満、0.02μM未満、0.01μM未満、0.0099μM未満、0.0098μM未満、0.0097μM未満、0.0096μM未満、0.0095μM未満、0.0094μM未満、0.0093μM未満、0.00092μM未満、または0.0090μM未満)のインビトロED50を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用されるPAK阻害剤は、PAK活性化に対して100μM未満(例えば、10μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、1μM未満、0.8μM未満、0.6μM未満、0.5μM未満、0.4μM未満、0.3μM未満、0.2μM未満、0.1μM未満、0.08μM未満、0.06μM未満、0.05μM未満、0.04μM未満、0.03μM未満、0.02μM未満、0.01μM未満、0.0099μM未満、0.0098μM未満、0.0097μM未満、0.0096μM未満、0.0095μM未満、0.0094μM未満、0.0093μM未満、0.00092μM未満、または0.0090μM未満)のインビトロED50を有する。
本明細書で使用される場合、シナプス機能は、シナプス可塑性の安定化を含む、シナプス伝達および/またはシナプス可塑性を指す。本明細書で使用される場合、「シナプス可塑性の欠損」または「異常なシナプス可塑性」は、シナプスの刺激後の異常なシナプス可塑性を指す。いくつかの実施形態では、シナプス可塑性の欠損は、LTPの低減である。いくつかの実施形態では、シナプス可塑性の欠損は、LTDの増大である。いくつかの実施形態では、シナプス可塑性の欠損は、不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)シナプス可塑性である。ある場合には、シナプス可塑性の尺度は、LTPおよび/またはLTD(例えばシータバースト刺激、LTPの高周波刺激、LTDの低周波(例えば、1Hz)刺激によって誘導される)、ならびに安定化後のLTPおよび/またはLTDである。いくつかの実施形態では、LTPおよび/またはLTDの安定化は、前頭皮質、海馬、前頭前皮質、扁桃体またはその任意の組合せを含む脳の任意領域で生じる。
本明細書で使用される場合、「シナプス可塑性の安定化」は、誘導(例えば、シータバースト刺激、LTPの高周波刺激、LTDの低周波(例えば、1Hz)刺激による)後の安定なLTPまたはLTDを指す。
「シナプス伝達の異常な安定化」(例えば、LTPまたはLTDの異常な安定化)は、誘導パラダイム(例えば、シータバースト刺激、LTPの高周波刺激、LTDの低周波(例えば、1Hz)刺激による)後に、シナプス伝達の安定なベースラインが確立できないこと、または薬理学的もしくは電気生理学的手段による撹乱に対する長期にわたる脆弱性を指す。
本明細書で使用される場合、「シナプス伝達」または「ベースラインシナプス伝達」は、正常個体(例えば、CNS障害に罹患していない個体)のEPSPおよび/もしくはIPSPの振幅および頻度、ニューロンの興奮性もしくは集団スパイク閾値または正常個体の動物モデルで予測されるその値を指す。本明細書で使用される場合、「異常なシナプス伝達」または「シナプス伝達の欠損」は、正常個体のシナプス伝達または正常個体の動物モデルで予測されるシナプス伝達と比較される、シナプス伝達の任意の逸脱を指す。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患している個体は、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルで予測されるベースラインシナプス伝達と比較してベースラインシナプス伝達が低下しているという、ベースラインシナプス伝達の欠損を有している。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患している個体は、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルで予測されるベースラインシナプス伝達と比較してベースラインシナプス伝達が増大しているという、ベースラインシナプス伝達の欠損を有している。
本明細書で使用される場合、「感覚運動ゲーティング」は、例えば、プレパルス抑制(PPI)および/またはヒトの驚愕応答への馴化を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、感覚運動ゲーティングの欠損は、感覚運動ゲーティングの欠損である。いくつかの実施形態では、感覚運動ゲーティングの欠損は、感覚運動ゲーティングの亢進である。
本明細書で使用される場合、「異常なシナプス可塑性の正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス可塑性が、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性と実質的に同じシナプス可塑性レベルに変化することを指す。本明細書で使用される場合、実質的に同じとは、例えば、正常個体で測定されたシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性の約90%〜約110%を意味する。他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体で測定されたシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性の約80%〜約120%を意味する。さらなる他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性の約70%〜約130%を意味する。本明細書で使用される場合、「異常なシナプス可塑性の部分正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス可塑性から、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性に向かう傾向を示す任意の変化を指す。本明細書で使用される場合、「部分的に正常化されたシナプス可塑性」または「部分的に正常なシナプス可塑性」は、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性の、例えば±約25%、±約35%、±約45%、±約55%、±約65%または±約75%である。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス可塑性の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性よりも高い異常なシナプス可塑性が、低減することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス可塑性の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性よりも低い異常なシナプス可塑性が、増大することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体のシナプス可塑性の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性と比較して不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)シナプス可塑性が、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、変動が少ない)シナプス可塑性に変化することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体のシナプス可塑性の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス可塑性または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス可塑性と比較して不安定なシナプス可塑性が、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、部分的に安定な)シナプス可塑性に変化することである。
本明細書で使用される場合、「異常なベースラインシナプス伝達の正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なベースラインシナプス伝達が、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達と実質的に同じレベルのベースラインシナプス伝達に変化することを指す。本明細書で使用される場合、実質的に同じとは、例えば、正常個体の測定されたベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達の約90%〜約110%を意味する。他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体の測定されたベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達の約80%〜約120%を意味する。さらなる他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体の測定されたベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達の約70%〜約130%を意味する。本明細書で使用される場合、「異常なベースラインシナプス伝達の部分正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なベースラインシナプス伝達から、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達に向かう傾向を示す任意の変化を指す。本明細書で使用される場合、「部分的に正常化されたベースラインシナプス伝達」または「部分的に正常なベースラインシナプス伝達」は、例えば、正常個体の測定されたベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達の±約25%、±約35%、±約45%、±約55%、±約65%または±約75%である。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なベースラインシナプス伝達の正常化または部分正常化は、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達よりも高い異常なベースラインシナプス伝達が、低減することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なベースラインシナプス伝達の正常化または部分正常化は、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達よりも低い異常なベースラインシナプス伝達が、増大することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体のベースラインシナプス伝達の正常化または部分正常化は、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達と比較して不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)ベースラインシナプス伝達が、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、変動が少ない)ベースラインシナプス伝達に変化することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なベースラインシナプス伝達の正常化または部分正常化は、正常個体のベースラインシナプス伝達または正常個体の動物モデルから予測されるベースラインシナプス伝達と比較して不安定なベースラインシナプス伝達が、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、部分的に安定な)ベースラインシナプス伝達に変化することである。
本明細書で使用される場合、「異常なシナプス機能の正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス機能が、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能と実質的に同じレベルのシナプス機能に変化することを指す。本明細書で使用される場合、実質的に同じとは、例えば、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能の約90%〜約110%を意味する。他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能の約80%〜約120%を意味する。さらなる他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能の約70%〜約130%を意味する。本明細書で使用される場合、「異常なシナプス機能の部分正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス機能から、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能に向かう傾向を示す任意の変化を指す。本明細書で使用される場合、「部分的に正常化されたシナプス機能」または「部分的に正常なシナプス機能」は、例えば、正常個体の測定されたシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能の±約25%、±約35%、±約45%、±約55%、±約65%または±約75%である。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス機能の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能よりも高い異常なシナプス機能が、低減することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス機能の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能よりも低い異常なシナプス機能が、増大することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体のシナプス機能の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能と比較して不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)シナプス機能が、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、変動が少ない)シナプス機能に変化することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なシナプス機能の正常化または部分正常化は、正常個体のシナプス機能または正常個体の動物モデルから予測されるシナプス機能と比較して不安定なシナプス機能が、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、部分的に安定な)シナプス機能に変化することである。
本明細書で使用される場合、「異常な長期増強(LTP)の正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTPが、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPと実質的に同じレベルのLTPに変化することを指す。本明細書で使用される場合、実質的に同じとは、例えば、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPの約90%〜約110%を意味する。他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPの約80%〜約120%を意味する。さらなる他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPの約70%〜約130%を意味する。本明細書で使用される場合、「異常なLTPの部分正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTPから、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPに向かう傾向を示す任意の変化を指す。本明細書で使用される場合、「部分的に正常化されたLTP」または「部分的に正常なLTP」は、例えば、正常個体の測定されたLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPの±約25%、±約35%、±約45%、±約55%、±約65%または±約75%である。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTPの正常化または部分正常化は、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPよりも高い異常なLTPが、低減することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTPの正常化または部分正常化は、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPよりも低い異常なLTPが、増大することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体のLTPの正常化または部分正常化は、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPと比較して不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)LTPが、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、変動が少ない)LTPに変化することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTPの正常化または部分正常化は、正常個体のLTPまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTPと比較して不安定なLTPが、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、部分的に安定な)LTPに変化することである。
本明細書で使用される場合、「異常な長期抑圧(LTD)の正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTDが、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDと実質的に同じレベルのLTDに変化することを指す。本明細書で使用される場合、実質的に同じとは、例えば、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDの約90%〜約110%を意味する。他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDの約80%〜約120%を意味する。さらなる他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDの約70%〜約130%を意味する。本明細書で使用される場合、「異常なLTDの部分正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTDから、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDに向かう傾向を示す任意の変化を指す。本明細書で使用される場合、「部分的に正常化されたLTD」または「部分的に正常なLTD」は、例えば、正常個体の測定されたLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDの±約25%、±約35%、±約45%、±約55%、±約65%または±約75%である。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTDの正常化または部分正常化は、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDよりも高い異常なLTDが、低減することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTDの正常化または部分正常化は、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDよりも低い異常なLTDが、増大することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体のLTDの正常化または部分正常化は、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDと比較して不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)LTDが、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、変動が少ない)LTDに変化することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常なLTDの正常化または部分正常化は、正常個体のLTDまたは正常個体の動物モデルから予測されるLTDと比較して不安定なLTDが、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、部分的に安定な)LTDに変化することである。
本明細書で使用される場合、「異常な感覚運動ゲーティングの正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常な感覚運動ゲーティングが、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングと実質的に同じレベルの感覚運動ゲーティングに変化することを指す。本明細書で使用される場合、実質的に同じとは、例えば、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングの約90%〜約110%を意味する。他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングの約80%〜約120%を意味する。さらなる他の実施形態では、実質的に同じとは、例えば、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングの約70%〜約130%を意味する。本明細書で使用される場合、「異常な感覚運動ゲーティングの部分正常化」は、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常な感覚運動ゲーティングから、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングに向かう傾向を示す任意の変化を指す。本明細書で使用される場合、「部分的に正常化された感覚運動ゲーティング」または「部分的に正常な感覚運動ゲーティング」は、例えば、正常個体の測定された感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングの±約25%、±約35%、±約45%、±約55%、±約65%または±約75%である。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常な感覚運動ゲーティングの正常化または部分正常化は、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングよりも高い異常な感覚運動ゲーティングが、低減することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常な感覚運動ゲーティングの正常化または部分正常化は、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングよりも低い異常な感覚運動ゲーティングが、増大することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の感覚運動ゲーティングの正常化または部分正常化は、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングと比較して不規則な(例えば、変動し、無作為に増大し、または低減する)感覚運動ゲーティングが、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、変動が少ない)感覚運動ゲーティングに変化することである。いくつかの実施形態では、CNS障害に罹患しているか、CNS障害を有していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい個体の異常な感覚運動ゲーティングの正常化または部分正常化は、正常個体の感覚運動ゲーティングまたは正常個体の動物モデルから予測される感覚運動ゲーティングと比較して不安定な感覚運動ゲーティングが、正常な(例えば、安定な)または部分的に正常な(例えば、部分的に安定な)感覚運動ゲーティングに変化することである。
本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、以下の事象の1つまたは複数を指す。(1)DNA配列からのRNA鋳型の生成(例えば、転写による)、(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、エディティング、5’キャップ形成および/または3’末端形成による)、(3)RNAからポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
本明細書で使用される場合、用語「PAKポリペプチド」または「PAKタンパク質」または「PAK」は、p21活性化セリン/スレオニンタンパク質キナーゼのファミリーに属するタンパク質を指す。これらには、哺乳動物のPAKのイソ型、例えばPAK1、PAK2、PAK3を含むI群のPAKタンパク質(A群のPAKタンパク質と呼ばれることもある)、ならびにPAK4、PAK5および/またはPAK6を含むII群PAKタンパク質(B群のPAKタンパク質と呼ばれることもある)が含まれる。またPAKポリペプチドまたはPAKタンパク質として、低級真核生物のイソ型、例えば酵母Ste20(参照によって本明細書に組み込まれるLeberterら、1992、EMBO J.、11:4805)および/またはタマホコリカビ類(Dictyostelium)単頭ミオシンI重鎖キナーゼ(参照によって本明細書に組み込まれるWuら、1996、J.Biol.Chem.、271:31787)が含まれる。PAKアミノ酸配列の代表例には、ヒトPAK1(GenBank受入番号AAA65441)、ヒトPAK2(GenBank受入番号AAA65442)、ヒトPAK3(GenBank受入番号AAC36097)、ヒトPAK4(GenBank受入番号NP_005875およびCAA09820)、ヒトPAK5(GenBank受入番号CAC18720およびBAA94194)、ヒトPAK6(GenBank受入番号NP_064553およびAAF82800)、ヒトPAK7(GenBank受入番号Q9P286)、線虫(C.elegans)PAK(GenBank受入番号BAA11844)、キイロショウジョウバエ(D.melanogaster)PAK(GenBank受入番号AAC47094)、およびラットPAK1(GenBank受入番号AAB95646)が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、PAKポリペプチドは、GenBank受入番号AAA65441、AAA65442、AAC36097、NP_005875、CAA09820、CAC18720、BAA94194、NP_064553、AAF82800、Q9P286、BAA11844、AAC47094および/またはAAB95646の配列と少なくとも70%〜100%同一の、例えば少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%同一の、または約70%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、I群のPAKポリペプチドは、GenBank受入番号AAA65441、AAA65442および/またはAAC36097の配列と少なくとも70%〜100%同一の、例えば少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%同一の、または約70%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含む。
PAKタンパク質をコードするPAK遺伝子の代表例には、ヒトPAK1(GenBank受入番号U24152)、ヒトPAK2(GenBank受入番号U24153)、ヒトPAK3(GenBank受入番号AF068864)、ヒトPAK4(GenBank受入番号AJ011855)、ヒトPAK5(GenBank受入番号AB040812)、およびヒトPAK6(GenBank受入番号AF276893)が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、PAK遺伝子は、GenBank受入番号U24152、U24153、AF068864、AJ011855、AB040812および/またはAF276893の配列と少なくとも70%〜100%同一の、例えば少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%同一の、または約70%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、I群のPAK遺伝子は、GenBank受入番号U24152、U24153および/またはAF068864の配列と少なくとも70%〜100%同一の、例えば少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%同一の、または約70%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のヌクレオチド配列を含む。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の相同性(%)を決定するには、配列を、最適に比較する目的で配列する(例えば、第1のアミノ酸配列または核酸配列に、第2のアミノまたは核酸配列との最適なアライメントのためにギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって専有されている場合、それらの分子は、その位置で同一である。2つの配列間の相同性(%)は、それらの配列が共有している同一位置の数の関数である(すなわち、同一性(%)=同一位置の数/位置の合計数(例えば、重複している位置)×100)。一実施形態では、2つの配列は、同じ長さである。
2つの配列間の相同性(%)を決定するために、Karlin and Altschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264〜2268のアルゴリズムを、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5877で修正して使用する。このようなアルゴリズムは、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチドの検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長文字数=12で実施すると、本明細書に記載または開示の核酸分子に相同なヌクレオチド配列が得られる。BLASTタンパク質の検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長文字数=3で実施される。比較目的でギャップ付きアライメントを得るために、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389〜3402に記載の通り、Gapped BLASTを利用する。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用する。さらなる詳細については、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを参照されたい(wwwのncbi.nlm.nih.govで参照できる)。本明細書に記載の方法で使用するのに適したタンパク質には、本明細書に記載の任意のタンパク質PAK阻害剤のアミノ酸配列と比較して、1〜15個のアミノ酸が変化している、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸が、置換、欠失または付加されているタンパク質も含まれる。他の実施形態では、変化したアミノ酸配列は、本明細書に記載の任意のタンパク質PAK阻害剤のアミノ酸配列と、少なくとも75%同一であり、例えば77%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、98%、99%または100%同一である。このような配列変異体タンパク質は、変化したアミノ酸配列が、本明細書に記載の組成物および方法で機能的であるのに十分な生物活性を保持している限り、本明細書に記載の方法に適している。アミノ酸が置換される場合、その置換は、保存的アミノ酸置換であるべきである。一般的なアミノ酸の中でも、例えば「保存的アミノ酸置換」は、以下の群(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン、(3)セリンおよびスレオニン、(4)アスパラギン酸およびグルタミン酸、(5)グルタミンおよびアスパラギン、ならびに(6)リシン、アルギニンおよびヒスチジンのそれぞれに含まれるアミノ酸の中での置換によって例示される。BLOSUM62の表は、タンパク質配列セグメントの約2,000の局所的な複数アライメントから導出されるアミノ酸置換行列であり、500を超える群の関連タンパク質の高度に保存された領域を表すものである(Henikoffら(1992)、Proc.Natl Acad.Sci.USA、89:10915〜10919)。したがって、BLOSUM62置換頻度を使用して、本明細書に記載または開示のアミノ酸配列に導入することができる保存的アミノ酸置換を定義する。化学特性だけに基づいてアミノ酸置換を設計することが可能であるが(先に論じた通り)、「保存的アミノ酸置換」という用語は、好ましくは−1を超えるBLOSUM62値によって表される置換を指す。例えば、アミノ酸置換は、その置換が0、1、2または3のBLOSUM62値を特徴とする場合に、保存的である。このシステムによれば、好ましい保存アミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1、2または3)のBLOSUM62値を特徴とし、より好ましい保存アミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM62値を特徴とする。
本明細書で使用される場合、用語「PAK活性」には、別段特定されない限り、PAKタンパク質−タンパク質相互作用、PAKホスホトランスフェラーゼ活性(分子間または分子内)、1つまたは複数のPAKイソ型の転位等の少なくとも1つが含まれるが、それらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「PAK阻害剤」は、PAK活性を直接的または間接的に低減する任意の分子、化合物または組成物を指す。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKのmRNAおよび/もしくはタンパク質のレベル、またはPAKのmRNAおよび/もしくはタンパク質の半減期を阻害し、低減し、かつ/または無効にするので、このような阻害剤は、「浄化(clearance)剤」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKの活性を阻害し、低減し、かつ/または無効にするPAK拮抗薬である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤はまた、標準の方法を使用して測定して、PAKとその自然の結合パートナー(例えば、PAKキナーゼの基質、Racタンパク質、cdc42タンパク質、LIMキナーゼ)との間の相互作用、または病理学的状態においてPAKの結合パートナーになるタンパク質との間の相互作用を撹乱し、阻害し、または無効にする。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、例えば1つまたは複数のI群のPAKポリペプチド、例えばPAK1、PAK2および/またはPAK3を阻害する、I群のPAK阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK2阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK3阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1/PAK3混合阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、I群のPAKイソ型3つすべて(PAK1、PAK2およびPAK3)を、等しいまたは類似の効力により阻害する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、1つまたは複数のII群のPAKポリペプチド、例えばPAK4、PAK5および/またはPAK6を阻害するII群のPAK阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK4阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK5阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK6阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK7阻害剤である。本明細書で使用される場合、PAK5ポリペプチドは、PAK7ポリペプチドと実質的に相同である。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKと、その自然の結合パートナーの少なくとも1つ(例えば、Cdc42またはRac)との結合を低減し、無効にし、かつ/または除去する。ある場合には、PAKと、その自然の結合パートナーの少なくとも1つとの結合は、PAK阻害剤が存在する場合よりも、PAK阻害剤がない状態の方が強い(例えば、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%または20%強い)。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAKと、病状における細胞または組織を異常に蓄積または凝集させるタンパク質との結合を防止し、低減し、または無効にする。ある場合には、PAKと、細胞または組織を凝集または蓄積させるタンパク質の少なくとも1つとの結合は、阻害剤が存在する場合よりも、PAK阻害剤がない状態の方が強い(例えば、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%または20%強い)。
「個体」または「個人」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体は、動物、例えばラット、マウス、イヌまたはサルである。いくつかの実施形態では、個体は、ヒト患者である。いくつかの実施形態では、「個体」または「個人」は、ヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害に罹患していると疑われるか、またはCNS障害に罹りやすい。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤を含む薬理学的組成物は、「末梢に投与され」または「末梢投与」される。本明細書で使用される場合、これらの用語は、薬剤、例えば治療剤を個体のCNSに直接投与しない、すなわち薬剤を血液脳関門の脳側でない側と接触させる任意の投与形態を指す。「末梢投与」には、本明細書で使用される場合、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、経皮、吸入、口腔内頬側、鼻腔内、直腸、経口、非経口、舌下または経鼻が含まれる。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、脳内経路によって投与される。
用語「再発する癌」、「再発性癌」または「再発」は、本明細書では、治療後にある期間検出されなかったが再度生じた癌を指すのに交換可能に使用される。癌は、元の腫瘍と同じ場所で再度生じる場合があり、または身体の別の部分に広がる場合もある。
用語「難治性癌」は、本明細書で使用される場合、外科手術が無効であり、最初に化学療法、免疫療法、抗体療法もしくは放射線療法に応答しなかったか、または経時的に応答しなくなる癌を指す。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では、アミノ酸残基の高分子を指すのに交換可能に使用される。すなわち、ポリペプチドを対象とする説明は、タンパク質の説明に等しく適用され、またその逆も可能である。これらの用語は、自然に生じるアミノ酸高分子に適用され、1つまたは複数のアミノ酸残基が、自然に生じないアミノ酸、例えばアミノ酸類似体であるアミノ酸高分子にも適用される。本明細書で使用される場合、これらの用語は、アミノ酸残基がペプチド共有結合によって結合している、全長タンパク質(すなわち抗原)を含む任意の長さのアミノ酸鎖を包含する。
用語「アミノ酸」は、自然に生じるアミノ酸および自然に生じないアミノ酸、ならびに自然に生じるアミノ酸に類似の方式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物を指す。自然にコードされているアミノ酸は、20種類の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリン)、ならびにピロリシンおよびセレノシステインである。アミノ酸類似体は、自然に生じるアミノ酸と同じ基本的化学的構造を有する、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(ノルロイシンなど)または修飾ペプチド主鎖を有するが、自然に生じるアミノ酸と同じ基本的化学的構造を保持している。
アミノ酸は、本明細書では、一般に公知のそれらの3文字記号、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨されている1文字記号のいずれかで呼ぶことができる。同様にヌクレオチドは、一般に許容されている1文字表記で呼ぶことができる。
用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシドまたはリボヌクレオチド、および一本鎖または二本鎖形態のそれらの高分子を指す。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、自然に生じるヌクレオチドと類似の方式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含有する核酸を包含する。別段特に限定されない限り、この用語は、PNA(ペプチド核酸)を含むオリゴヌクレオチド類似体、アンチセンス技術で使用されるDNAの類似体(ホスホロチオエート、ホスホロアミデート等)も指す。特定の核酸配列は、別段指定されない限り、保存的に修飾されたその変異体(縮重コドン置換を含むが、それに限定されない)および相補的配列、ならびに明確に示された配列も、暗に包含している。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605〜2608(1985);およびCassolら(1992);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes、8:91〜98(1994))。
用語「単離された」および「精製された」は、自然環境から実質的または本質的に除去され、または濃縮されている材料を指す。例えば、単離された核酸は、普通は試料中で隣接している複数の核酸から、または試料中の他の核酸もしくは構成成分(タンパク質、脂質等)から分離された核酸である。別の例では、ポリペプチドは、その自然環境から実質的に除去され、または濃縮されるときに精製される。核酸およびタンパク質を精製および単離する方法は、既に文書化されている方法とする。
用語「抗体」は、天然であるか、または部分的もしくは全体的に合成によって産生されているかにかかわらず、免疫グロブリンを説明するものである。この用語は、抗原結合ドメインである結合ドメインまたは抗原結合ドメインと相同な結合ドメインを有する任意のポリペプチドまたはタンパク質も包含する。CDRグラフト化抗体も、この用語によって企図される。
また抗体という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持している、抗体の1つまたは複数のフラグメントを意味すると理解される(一般に、Holligerら、Nature Biotech.23(9)1126〜1129(2005)参照)。このような抗体の非限定的な例には、(i)Fabフラグメント、すなわちVL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメント、(ii)F(ab’)2フラグメント、すなわちヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって結合した2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメント、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)抗体の一本の腕のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら、(1989)Nature 341:544 546)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、組換え方法を使用することにより、VLおよびVH領域が対になって一価の分子を形成する単一タンパク鎖としてこれらのドメインを生成することができる合成リンカーによって、場合によって結合される(単鎖Fv(scFv)として公知。例えば、Birdら(1988)Science 242:423 426;およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879 5883;およびOsbournら(1998)Nat.Biotechnol.16:778参照)。このような単鎖抗体も、抗体という用語に包含されるものとする。特異的scFvの任意のVHおよびVL配列は、完全なIgG分子または他のアイソタイプをコードする発現ベクターを作製するために、ヒト免疫グロブリン定常領域のcDNAまたはゲノム配列に、場合によって結合される。またVHおよびVLは、場合によって、タンパク質化学または組換えDNA技術のいずれかを使用して、Fab、Fvまたは免疫グロブリンの他のフラグメントを作製するのに使用される。二重特異性抗体などの、単鎖抗体の他の形態も包含される。
「F(ab’)2」および「Fab’」部分は、場合によって、免疫グロブリン(モノクローナル抗体)を、ペプシンおよびパパインなどのプロテアーゼで処理することによって産生され、2つのH鎖のそれぞれのヒンジ領域間に存在するジスルフィド結合の近くで免疫グロブリンを消化することによって作製された抗体フラグメントを含む。例えばパパインは、2つのH鎖のそれぞれのヒンジ領域間に存在するジスルフィド結合のIgG上流側を切断して、VL(L鎖可変領域)およびCL(L鎖定常領域)から構成されるL鎖と、VH(H鎖可変領域)およびCHγ1(H鎖の定常領域におけるγ1領域)から構成されるH鎖フラグメントが、それらのC末端領域でジスルフィド結合を介してつながっている2つの相同な抗体フラグメントを作製する。これらの2つの相同な抗体フラグメントのそれぞれは、Fab’と呼ばれる。またペプシンは、2つのH鎖のそれぞれのヒンジ領域間に存在するジスルフィド結合のIgG下流側を切断して、2つの前述のFab’がヒンジ領域でつながっているフラグメントよりもわずかに長い抗体フラグメントを作製する。この抗体フラグメントは、F(ab’)2と呼ばれる。
またFabフラグメントは、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端にいくつかの残基が付加されているという点で、Fabフラグメントとは異なっている。Fab’−SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を担持しているFab’を示す。F(ab’)2抗体フラグメントは、元々、間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの一対として産生された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングは、既に文書化されている。
「Fv」は、完全な抗原認識性かつ抗原結合性部位を含有する最小の抗体フラグメントである。この領域は、非共有結合により密に結合している、1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この立体配置では、各可変ドメインの3つの高頻度可変領域が相互作用して、VH−VL二量体の表面上に、抗原結合部位を画定している。まとめると、6つの高頻度可変領域が、抗原結合特異性を抗体に付与している。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの高頻度可変領域だけを含むFvの半分)であっても、結合部位全体より親和性は低いものの、抗原を認識し結合する能力を有する。
「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVH、VL、またはVHとVLドメインの両方を含み、ここで両方のドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それによって、sFvは抗原結合に望ましい構造を形成することができる。sFvの概説については、例えば、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg and Moore編、Springer−Verlag、New York、269 315頁(1994)を参照されたい。
「キメラ」抗体は、異なる哺乳動物の組合せから導出された抗体を含む。哺乳動物は、例えば、ウサギ、マウス、ラット、ヤギまたはヒトである。異なる哺乳動物の組合せには、ヒトおよびマウス起源から導出されたフラグメントの組合せが含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載または記載の抗体は、モノクローナル抗体(MAb)、典型的にマウスモノクローナル抗体のヒト化から導出されたヒト−マウスキメラ抗体である。このような抗体は、例えば、抗原チャレンジに応答して特異的ヒト抗体を産生するように「遺伝子操作」された遺伝子導入マウスから得られる。この技術では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座の要素は、内在性の重鎖および軽鎖遺伝子座の標的破壊撹乱を含有する胚性幹細胞株から導出されたマウス株に導入される。いくつかの実施形態では、遺伝子導入マウスによってヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成し、そのマウスを使用して、ヒト抗体分泌性のハイブリドーマを産生する。
用語「場合によって置換されている」または「置換されている」は、参照の基が、1つまたは複数の追加の基で置換されていることを意味する。特定の実施形態では、1つまたは複数の追加の基は、個々に独立に、アミド、エステル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式基(heteroalicyclic)、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、エステル、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロゲン、アルコイル、アルコイルオキソ、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、ニトロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、フルオロアルキル、アミノ、アルキル−アミノ、ジアルキル−アミノ、アミドから選択される。
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基への言及には、「飽和アルキル」および/または「不飽和アルキル」が含まれる。アルキル基には、飽和であるか不飽和であるかにかかわらず、分岐、直鎖または環式基が含まれる。例として、アルキルには、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチルおよびヘキシルが含まれる。いくつかの実施形態では、アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれるが、それらに限定されない。「低級アルキル」は、C〜Cアルキルである。「ヘテロアルキル」基は、アルキル基の炭素のいずれか1つが、適切な数の水素原子が結合しているヘテロ原子で置換されたものである(例えば、CH基に対してNH基またはO基)。
「アルコキシ」基は、(アルキル)O−基を指し、ここでアルキルは本明細書で定義の通りである。
用語「アルキルアミン」は、−N(アルキル)基を指し、ここでアルキルは本明細書で定義の通りであり、xおよびyは、x=1、y=1およびx=2、y=0の群から選択される。x=2である場合、アルキル基は、それらが結合している窒素と一緒になって、場合によって環式環系を形成する。
「アミド」は、式−C(=O)NRR’の化学基であり、ここでRおよびR’は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環の炭素を介して結合している)および複素脂環式基(環の炭素を介して結合している)から選択され、またはRおよびR’は、それらが結合している窒素と一緒になって、複素脂環式基を形成する。
「アミド」は、RC(=O)NR’−を指し、ここでRおよびR’は、独立に、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素脂環式基からなる群から選択される。
用語「エステル」は、式−C(=O)ORの化学基を指し、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素脂環式基からなる群から選択される。
「アルコイルオキシ(alkoyloxy)」は、RC(=O)O−基を指し、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素脂環式基からなる群から選択される。
「アルコイル(alkoyl)」は、RC(=O)−基を指し、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素脂環式基からなる群から選択される。
「シアノ」基は、−CN基を指す。
「イソシアネート」基は、−NCO基を指す。
「チオシアネート」基は、−CNS基を指す。
「イソチオシアネート」基は、−NCS基を指す。
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、環を形成している原子のそれぞれが炭素原子である芳香族環を指す。本明細書に記載のアリール環には、5、6、7、8、9または10個を超える炭素原子を有する環が含まれる。アリール基は、場合によって置換されている。アリール基の例には、フェニルおよびナフタレニルが含まれるが、それらに限定されない。
用語「シクロアルキル」は、環を形成している原子(すなわち骨格原子)のそれぞれが炭素原子である単環式または多環式非芳香族基を指す。様々な実施形態では、シクロアルキルは、飽和しているか、または部分的に不飽和である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、芳香族環と縮合している。シクロアルキル基には、3個〜10個の環原子を有する基が含まれる。シクロアルキル基の例示的な例には、以下の部分


等が含まれるが、それらに限定されない。単環式シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれるが、それらに限定されない。二環式シクロアルキルには、テトラヒドロナフチル、インダニル、テトラヒドロペンタレン等が含まれるが、それらに限定されない。多環式シクロアルキルには、アダマンタン、ノルボルナン等が含まれる。用語シクロアルキルには、「不飽和非芳香族カルボシクリル」または「非芳香族不飽和カルボシクリル」基が含まれ、これらは両方、炭素と炭素の少なくとも1つの二重結合または炭素と炭素の1つの三重結合を含有している、本明細書で定義の非芳香族炭素環を指す。
用語「ヘテロシクロ」は、O、SおよびNからそれぞれ選択される、1〜4個の環ヘテロ原子を含有する複素芳香族および複素脂環式基を指す。特定の場合、各複素環式基は、その環系内に4〜10個の原子を有し、ただし前記基の環は、2つの隣接するOまたはS原子を含有していない。非芳香族複素環式基には、それらの環系中に3個の原子を有する基が含まれるが、芳香族複素環式基は、それらの環系中に少なくとも5個の原子を有していなければならない。複素環式基には、ベンゾ縮合環系が含まれる。3員の複素環式基の例は、アジリジニルである(アジリジンから導出される)。4員の複素環式基の例は、アゼチジニルである(アゼチジンから導出される)。5員の複素環式基の例は、チアゾリルである。6員の複素環式基の例は、ピリジルであり、10員の複素環式基の例は、キノリニルである。非芳香族複素環式基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリルおよびキノリジニルである。芳香族複素環式基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。
用語「ヘテロアリール」または「複素芳香族」は、窒素、酸素および硫黄から選択される1つまたは複数の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。Nを含有する「複素芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、場合によって置換されている。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、単環式または多環式である。単環式ヘテロアリール基の例には、
が含まれるが、それらに限定されない。
二環式ヘテロアリール基の例には、
等が含まれるが、それらに限定されない。
「複素脂環式」基または「ヘテロシクロアルキル」基は、少なくとも1つの骨格環原子が、窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子であるシクロアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、この基は、アリールまたはヘテロアリールと縮合している。飽和ヘテロシクロアルキル基の例には、
が含まれる。
部分的に不飽和のヘテロシクロアルキル基の例には、
が含まれる。
非芳香族複素環とも呼ばれるヘテロシクロアルキル基の他の例示的な例には、
等が含まれる。
また複素脂環式基という用語には、非限定的に、単糖、二糖およびオリゴ糖を含む炭水化物のあらゆる環形態が含まれる。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
用語「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」には、1つまたは複数のハロゲンで置換されているアルキルおよびアルコキシ構造が含まれる。基に2つ以上のハロゲンが含まれる実施形態では、ハロゲンは、同じであるか、または異なっている。用語「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」には、それぞれハロがフッ素であるハロアルキルおよびハロアルコキシ基が含まれる。
用語「ヘテロアルキル」には、炭素以外の原子、例えば酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはその組合せから選択される1つまたは複数の骨格鎖原子を有する、場合によって置換されているアルキル基が含まれる。ヘテロ原子(複数可)が酸素または硫黄である場合、ヘテロ原子(複数可)は、骨格鎖の末端にある炭素原子に隣接する位置以外の、任意の内部の位置にある。そうでなければ、ヘテロ原子(複数可)は、骨格鎖の任意の内部の位置にある。ヘテロアルキルの例には、−CH−O−CH−CH、−CH−CH−O−CH−CH、−CH−O−CH−CH−CH、−CH−CH−O−CH−CH−CH、−CH−NH−CH、−CH−CH−NH−CH−CH、−CH−N(CH)−CH−CH、−CH−CH−NH−CH−CH−CH、−CH−CH−N(CH、−CH−CH−CH−N(CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH−CH、−CH−CH−O−CH−CH−NH、−CH−CH−O−CH−CH−N(CH、−CH−CH−CH−O−CH−CH−CH−NH、−CH−CH−CH−O−CH−CH−CH−N(CH、および−Si(CHが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば−CH−NH−O−CH−CHおよび−CH−O−Si−CH−CHなどのように、最大2つのヘテロ原子が連続している。−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−S−CHおよび−CH−S−CHなどのように、ヘテロ原子(複数可)が酸素または硫黄であり、骨格鎖の末端にある炭素原子に隣接している場合、その基は、ヘテロアルキルとしては特徴付けられない。その代わりこのような基は、本開示ではメトキシまたはチオメトキシで置換されているアルキルとして特徴付けられる。
化合物の合成
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、スキーム1に記載の手順に従って合成される。
スキーム1
一般に、本明細書に記載の式Xの化合物は、Iを、そのエチルエステル誘導体IIに変換し、その後IIIのジクロロピリミジンを形成することによって合成される。塩素を、Rを含有するアミンで置換すると、置換化合物IVが形成される。アルコールVを還元し、その後アルデヒドに酸化すると基質VIが得られ、それを官能化T環VIIと縮合させ分子内環化すると、VIIIが形成される。最後に、塩素を適切なNRで置き換えると、標的分子Xが得られる。
細胞増殖疾患または障害
本明細書では、特定のp21活性化キナーゼの阻害剤を、それを必要としている個体に投与することによって、異常な細胞増殖を特徴とする1つまたは複数の疾患または障害を治療する方法が提供される。このようなキナーゼ阻害剤は、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK5またはPAK6キナーゼの1つまたは複数の阻害剤である。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖を特徴とする疾患または障害は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、悪性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍でる。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肉腫または癌腫である。いくつかの実施形態では、癌は、白血病またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、再発性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、難治性癌である。
癌は、細胞の異常増殖である(通常、単一細胞に由来する)。これらの細胞は、正常な制御機構を喪失しており、したがって連続的に拡大し、隣接組織に侵入し、身体の遠隔部位に移動し、その細胞が栄養分を得る新血管の増殖を促進させることができる。本明細書で使用される場合、癌は、悪性または良性であり得る。癌は、体内のどんな組織からも生じ得る。細胞が増殖し、増加するにつれて、腫瘍と呼ばれる組織塊を形成する。腫瘍という用語は、異常な増殖または塊を指す。腫瘍は、癌性(悪性)または非癌性(良性)であり得る。癌性腫瘍は、隣接組織に侵入し、体中に拡大するおそれがある(転移)。しかし、良性腫瘍は、隣接組織に侵入せず、体中に拡大することはない。癌は、血液および血液形成組織の癌(白血病およびリンパ腫)、ならびに「固形」腫瘍に分類することができる。「固形」腫瘍は、癌腫または肉腫であり得る。
いくつかの実施形態では、癌は、白血病またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、白血病である。白血病は、白血球細胞または白血球細胞に成長する細胞の癌である。白血球細胞は、骨髄の幹細胞から成長する。時としてその成長が失敗し、染色体のいくつかの小片が再配列する。生じた異常な染色体は、細胞分裂の正常な制御を妨害し、したがって影響を受けた細胞は、制御不能に増加し、癌性(悪性)になり、その結果白血病に至る。白血病細胞は、最終的に骨髄を占有し、正常な血液細胞に成長する細胞機能を置き換え、または抑制してしまう。こうして正常な骨髄細胞機能が妨害されると、赤血球の数が不適切になり(貧血を引き起こす)、白血球細胞の数が不適切になり(感染症の危険性を増大する)、血小板の数が不適切になる(出血の危険性を増大する)おそれがある。白血病細胞は、肝臓、脾臓、リンパ節、精巣および脳を含む他の器官に侵入する場合もある。白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の4つの主なタイプにグループ分けされる。これらのタイプは、進行がどれほど急速であるか、ならびに癌性になる白血球細胞のタイプおよび特徴に従って定義されている。急性白血病は急速に進行し、未成熟な細胞からなる。慢性白血病はゆっくり進行し、より成熟した細胞からなる。リンパ球性白血病は、リンパ球または普通はリンパ球を産生する細胞の癌性変化から生じる。骨髄性(骨髄球性)白血病は、普通は好中球、好塩基球、好酸球および単球を産生する細胞の癌性変化から生じる。白血病のさらなるタイプには、有毛細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病、および若年性骨髄単球性白血病が含まれる。
いくつかの実施形態では、癌は、リンパ腫である。リンパ腫は、リンパ系または血液形成器官に存在する、リンパ球の癌である。リンパ腫は、リンパ球として公知の特定のタイプの白血球細胞の癌である。これら白血球細胞は、感染症と戦う一助になる。リンパ腫は、BまたはTリンパ球から生じ得る。Tリンパ球は、免疫系を調節し、ウイルス感染症と戦うのに重要である。Bリンパ球は、抗体を産生する。リンパ球は、血流およびリンパ管と呼ばれる管状チャネル網を介して、身体のあらゆる部分に移動する。リンパ管網中に散在しているのがリンパ節であり、これはリンパ球の集まりを収容する。癌性(リンパ腫細胞)になるリンパ球は、単一リンパ節に限局したままになる場合があり、または骨髄、脾臓もしくは実質的に任意の他の器官に拡大する場合もある。既にホジキン病として公知のホジキンリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫の、2つの主なタイプのリンパ腫がある。非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫よりも一般的である。バーキットリンパ腫および菌状息肉症は、非ホジキンリンパ腫の亜類型である。ホジキンリンパ腫は、リード−シュテルンベル細胞の存在を特徴とする。非ホジキンリンパ腫とは、ホジキンリンパ腫ではないあらゆるリンパ腫のことである。非ホジキンリンパ腫は、インドレントリンパ腫および侵襲性リンパ腫にさらに分類することができる。非ホジキンリンパ腫には、びまん性大細胞B細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、小細胞リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔大細胞B細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)、脾臓周辺帯リンパ腫(SMZL)、節外周辺帯B細胞リンパ腫、血管内大細胞B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、およびリンパ腫様肉芽腫症が含まれるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肉腫または癌腫である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肉腫である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、または他の結合組織もしくは支持組織の癌である。肉腫には、骨癌、線維肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性シュワン細胞腫、骨肉腫、軟組織肉腫(例えば、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides)、皮膚線維肉腫、類腱腫、類上皮肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、血管周皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫および滑膜肉腫)が含まれるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、癌腫である。癌腫は、体表面を被覆し、ホルモンを産生し、腺を作り出す細胞である上皮細胞から始まる癌である。非限定的な例として、癌腫には、乳癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、腎臓癌、膀胱癌、胃癌、前立腺癌、肝臓癌、卵巣癌、脳癌、腟癌、外陰癌、子宮癌、口腔癌、陰茎癌、精巣癌、食道癌、皮膚癌、卵管癌、頭部および頸部癌、消化管間質癌、腺癌、皮膚黒色腫または眼球内黒色腫、肛門領域の癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、尿道癌、腎盂癌、尿管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、脳下垂体癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脳幹神経膠腫、ならびに脊髄軸の腫瘍が含まれる。
いくつかの実施形態では、癌は、皮膚癌である。
いくつかの実施形態では、癌は、肺癌である。肺癌は、枝分かれして肺に給気する気道(気管支)または肺の小気嚢(肺胞)で生じ得る。肺癌には、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、小細胞肺癌腫および中皮腫(mesotheliomia)が含まれる。NSCLCは、肺癌の約85〜87%を占める。NSCLCは、小細胞肺癌腫よりもゆっくり増殖する。それにもかかわらず、患者の約40%において、診断されるまでに胸部以外の他の身体部分に、既に癌が拡大している。NSCLCの例には、扁平上皮癌腫、腺癌および大細胞癌腫が含まれる。燕麦細胞癌腫とも呼ばれる小細胞肺癌腫は、すべての肺癌の約13〜15%を占める。この癌は、非常に侵襲性が高く、急速に拡大する。ほとんどの患者で、診断されるまでに身体の他の部分に、既に癌が転移している。悪性中皮腫は、肺および胸腔の内膜(胸膜)または腹部の内膜(腹膜)の一般的でない癌性腫瘍であり、これは典型的に、アスベストに長期間曝露されることに起因する。
いくつかの実施形態では、癌は、CNS腫瘍である。CNS腫瘍は、神経膠腫または非神経膠腫(nonglioma)に分類することができる。いくつかの実施形態では、癌は、非神経膠腫である。非神経膠腫には、髄膜腫、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫および髄芽細胞腫が含まれる。
いくつかの実施形態では、癌は、脳癌である。いくつかの実施形態では、脳癌は、膠芽腫である。
ある場合には、癌は、神経膠腫である。神経膠腫の例には、星状細胞腫、乏突起神経膠腫(または乏突起神経膠腫の要素と星状細胞腫(astocytoma)の要素の混合)および上衣腫が含まれる。いくつかの実施形態では、癌は、星状細胞腫である。星状細胞腫には、低悪性度の星状細胞腫、未分化星状細胞腫、多形神経膠芽腫、毛様細胞星状細胞腫、多形性黄色星状細胞腫および上衣下巨細胞性星細胞腫が含まれるが、それらに限定されない。多形神経膠芽腫は、最も一般的で、最も悪性の高い原発性脳腫瘍である。この腫瘍は、子どもを含むあらゆる年齢群で生じ得るが、診断が下される平均年齢は、55歳である。症状の発症は、突然であることが多く、最も一般的には質量効果および限局性神経症状に関係する。発作も、比較的共通している。患者の3%未満で、頭蓋内出血の症状が表れることもある。診断までの症状の期間は、数日から数週間と、通常は短い。
いくつかの実施形態では、癌は、乏突起神経膠腫である。乏突起神経膠腫には、低悪性度の乏突起神経膠腫(または乏突起星細胞腫)および未分化乏突起神経膠腫(oligodendriogliomas)が含まれる。
いくつかの実施形態では、CNSの癌は、神経線維腫症(NF)に関連する腫瘍である。いくつかの実施形態では、神経線維腫症は、1型NFまたは2型NFである。いくつかの実施形態では、神経線維腫症は、1型NFである。神経線維腫症I型は、皮膚の着色変化(色素沈着)、ならびに皮膚、脳および他の身体部分の神経に沿った腫瘍の増殖を特徴とする状態である。この状態の徴候および症状は、影響を受けているヒトによって広く異なる。
神経線維腫症1型を有する、幼児期に始まりほとんどすべてのヒトが、皮膚上に平坦なまだらになる、周辺領域よりも色が濃い複数のカフェオレ斑を有している。これらの斑点は、個体が成長するにつれて大きさも数も増大する。小児期後期には、典型的に、脇の下および鼠径部に染みが生じる。
神経線維腫症1型を有するほとんどの成人は、神経線維腫を発症するが、これは非癌性(良性)腫瘍であり、通常は皮膚上または皮膚直下にある。これらの腫瘍は、脊髄近くの神経または体内の他の部分の神経に沿っても発症し得る。神経線維腫症1型を有する一部のヒトは、神経に沿って増殖する癌性腫瘍を発症する。これらの腫瘍は、通常は青年期または成人期に発症し、悪性末梢神経鞘腫と呼ばれる。神経線維腫症1型を有するヒトは、脳腫瘍および血液形成組織の癌(白血病)を含む他の癌を発症する危険性も高い。いくつかの実施形態では、癌は、神経線維腫である。
小児期の間には、目の色がついている部分(虹彩)に虹彩小結節(Lisch nodules)と呼ばれる良性増殖が現れることが多い。虹彩小結節は、視力を妨害しない。その影響を受けている個体には、目から脳に至る神経(視神経)に沿って増殖する腫瘍が生じることもある。これらの腫瘍は視神経膠腫と呼ばれ、視力の低下または視力の完全な喪失に至るおそれがある。ある場合には、視神経膠腫は、視力に全く作用を及ぼさない。いくつかの実施形態では、癌は、視神経膠腫である。
いくつかの実施形態では、CNSの癌は、神経線維腫症に関連する腫瘍である。いくつかの実施形態では、神経線維腫症は、2型NFである。神経線維腫症2型は、神経系における非癌性腫瘍の増殖を特徴とする障害である。神経線維腫症2型に関連する腫瘍は、両側前庭神経鞘腫、聴神経腫瘍、上衣腫(ependyomoma)または髄膜腫と呼ばれる。これらの増殖は、脳内で、または内耳から脳に情報を伝える神経(聴神経)に沿って生じる。いくつかの実施形態では、癌は、両側前庭神経鞘腫、聴神経腫、上衣腫または髄膜腫である。
この状態の徴候および症状は、通常、青年期またはヒトの20代初期に現れるが、任意の年齢で発症し得る。両側前庭神経鞘腫の最も頻度の高い初期症状は、聴覚消失、耳鳴り(耳鳴症)および平衡の問題である。ほとんどの場合、これらの腫瘍は、30歳から両耳で生じる。腫瘍が、脳または脊髄の他の部分で生じる場合、その徴候および症状は、腫瘍の位置に従って変わる。腫瘍増殖の合併症には、視覚または感覚の変化、腕または脚のしびれ感または脱力感、脳内の水分蓄積、および著しい病的状態および死亡をもたらす神経圧迫が含まれ得る。神経線維腫症2型を有する一部のヒトには、しばしば小児期に始まる片目または両目の水晶体の曇り(白内障)も生じる。
本明細書で使用される場合、NFには、1型NFおよび2型NFが含まれる。ある場合には、1型NFは、遺伝性であり、またはニューロフィブロミンの自然変異から生じる。ある場合には、NF1型は、疾患の影響を受けている個体の学習障害に関連している。ある場合には、疾患は、部分欠神発作障害に関連する。ある場合には、NF1型は、言語不良、視覚的−空間的能力、学習障害(例えば、注意欠陥多動性障害)、頭痛、てんかん等に関連する。
2型NFは、遺伝性であり、マーリンの自然変異から生じる。ある場合には、NF2型は、聴力損失の症状、耳鳴症、頭痛、てんかん、白内障および/または網膜の異常、麻痺および/または学習障害を引き起こす。NF1およびNF2を有する患者は、神経系腫瘍を形成する危険性が高い。1型の患者のこの腫瘍には、皮膚および叢状神経線維腫、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)および他の悪性腫瘍が含まれ、2型の患者では、複数の頭蓋および脊髄の腫瘍が生じる場合がある。
ある場合には、NFに関連する発達障害および/または行動学的問題は、樹状突起スパインの形態の異常、および/または樹状突起スパインの密度の異常、および/またはシナプス機能の異常に関連する。ある場合には、樹状突起スパインの形態および/または樹状突起スパインの密度および/またはシナプス機能の異常は、p21活性化キナーゼ(PAK)の活性化に関連する。ある場合には、PAK活性の調節(例えば、PAKの阻害または部分阻害)は、樹状突起スパインの形態および/または樹状突起スパインの密度および/またはシナプス機能の異常を軽減、逆転または低減し、それによってNFに関連する発達障害および/または行動学的問題を逆転し、または部分的に逆転する。ある場合には、PAK活性の調節(例えば、PAKの阻害または部分阻害)は、樹状突起スパインの形態および/または樹状突起スパインの密度および/またはシナプス機能の異常を軽減、逆転または低減し、それによってNFと診断された個体の発作の発生を低減する。ある場合には、PAK活性の調節(例えば、PAKの阻害または部分阻害)は、樹状突起スパインの形態および/または樹状突起スパインの密度および/またはシナプス機能の異常を軽減、逆転または低減し、それによってNFに関連する学習障害を低減または逆転する。ある場合には、PAK活性の調節(例えば、PAKの阻害または部分阻害)は、NFに関連する認知障害を軽減、逆転または低減する。ある場合には、PAK活性の調節(例えば、PAKの阻害または部分阻害)は、NFに関連する学習障害および/またはてんかんおよび/または任意の他の症状を軽減、逆転または低減する。ある場合には、PAK活性の調節(例えば、PAKの阻害または部分阻害)は、NFに関連する腫瘍発達の発生を軽減、逆転または低減する。
樹状突起スパイン
樹状突起スパインは、シナプスの形成、維持および/または機能のための特定構造として働くニューロンの樹状突起から出ている小さい膜突起である。樹状突起スパインは、大きさおよび形状が異なる。ある場合には、スパインは、様々な形状の球根状頭部(スパイン頭部)、および樹状突起のスパイン頭部と軸をつなぐ細い頸部を有する。ある場合には、スパインの数および形状は、生理的および病理的事象によって調節される。ある場合には、樹状突起スパイン頭部が、シナプス接合部位である。ある場合には、樹状突起スパイン軸が、シナプス接合部位である。図1は、異なる形状の樹状突起スパインの例を示している。樹状突起スパインは、「可塑性」である。換言すれば、スパインは、非常に調節された過程で、形状、体積および数が動的かつ連続的に変化する。ある場合には、スパインは、形状、体積、長さ、厚さまたは数が数時間で変化する。ある場合には、スパインは、形状、体積、長さ、厚さまたは数が数分以内に変化する。ある場合には、スパインは、形状、体積、長さ、厚さまたは数が、シナプス伝達および/またはシナプス可塑性の誘導に応答して変化する。例えば、樹状突起スパインは、頭部がないもの(例えば図1aに示した糸状仮足)、細型(例えば、図1bに示した通り)、切株型(stubby)(例えば、図1cに示した通り)、キノコ型(例えば図1dに示した通り、太い頸部にドアノブ型の頭部を有する)、楕円型(例えば図1eに示した通り、細い頸部に扁長の球状頭部を有する)、扁平型(例えば図1fに示した通り、細い頸部に扁平な頭部を有する)または分岐型(例えば、図1gに示した通り)である。
ある場合には、成熟したスパインは、長さ0.1〜1μmの細い柄によって親である樹状突起につながっている、直径約0.5〜2μmの可変的に成形された球根状の先端または頭部を有する。ある場合には、未成熟な樹状突起スパインは、長さ1.5〜4μmの糸状仮足様であり、検出可能なスパイン頭部をもたない。ある場合には、スパインの密度は、樹状突起の長さ1マイクロメータ当たりスパイン1〜10個であり、スパインおよび/またはニューロン細胞の成熟段階によって変わる。ある場合には、樹状突起スパインの密度は、中程度の有棘ニューロン10マイクロメータ当たりスパイン1〜40個の範囲である。
ある場合には、樹状突起スパイン頭部の形状は、シナプス(synpatic)機能を決定付ける。樹状突起スパインの形態および/または機能の欠損は、神経疾患において説明されている。一例として、樹状突起スパインの密度は、統合失調症の患者の錐体ニューロンでは低下していることが示されている(Glanz and Lewis、Arch Gen Psychiatry、2000:57:65〜73)。多くの場合、ヒトの脳に由来する試料に見出された樹状突起スパインの欠損は、その疾患のげっ歯類モデルで再現されており、シナプス機能および/または可塑性の欠損と相関性があるとされている。ある場合には、スパイン頭部の直径がより大きい樹状突起スパインは、頭部直径がより小さい樹状突起スパインと比較して安定なシナプスを形成する。ある場合には、キノコ型スパイン頭部は、正常なまたは部分的に正常なシナプス機能に関連する。ある場合には、キノコ型スパインは、スパイン頭部の大きさ、スパイン頭部の体積および/またはスパイン頭部の直径が小さいスパインと比較して、より健康なスパインである(例えば、正常なまたは部分的に正常なシナプスを有する)。ある場合には、PAK活性の阻害または部分阻害は、スパイン頭部の直径および/もしくはスパイン頭部の体積を増大し、かつ/またはスパインの長さを低減し、それによってNFなどのCNSの癌に罹患しているか、または罹患していると疑われる個体のシナプス機能を正常化または部分的に正常化する。
p21活性化キナーゼ(PAK)
PAKは、「従来の」またはPAK1、PAK2およびPAK3を含むI群のPAK、ならびにPAK4、PAK5およびPAK6を含むII群のPAKから構成されるセリン−スレオニンキナーゼのファミリーを構成する。例えば、Zhaoら(2005)、Biochem J、386:201〜214参照。これらのキナーゼは、小GTPアーゼRacおよび/またはCdc42の下流で機能して、樹状突起の形態形成および維持(例えば、Ethellら(2005)、Prog in Neurobiol、75:161〜205;Penzesら(2003)、Neuron、37:263〜274参照)、運動性、形態形成、血管新生およびアポトーシス(例えば、Bokochら、2003、Annu.Rev.Biochem.、72:743;およびHofmannら、2004、J.Cell Sci.、117:4343参照)を含む、複数の細胞機能を調節する。GTP結合Racおよび/またはCdc42は、不活性PAKに結合し、PAK自己抑制ドメインによってもたらされた立体障害を解除し、かつ/またはPAKリン酸化および/もしくは活性化を可能にする。活性化PAKのマーカーとして働く数々のリン酸化部位が、既に識別されている。
ある場合には、PAKの上流エフェクターには、TrkB受容体;NMDA受容体;アデノシン受容体;エストロゲン受容体;インテグリン、EphB受容体;CDK5、FMRP;Cdc42、Rac(Rac1およびRac2が含まれるが、それらに限定されない)、Chp、TC10およびWrnch−1を含む、Rho−ファミリーGTPアーゼ;グアニンヌクレオチド交換因子(「GEF」)、例えば非限定的にGEFT、α−p−21活性化キナーゼ相互作用交換因子(αPIX)、Kalirin−7およびTiam1;Gタンパク質結合受容体キナーゼ−相互作用タンパク質1(GIT1)、ならびにスフィンゴシンが含まれるが、それらに限定されない。
ある場合には、PAKの下流エフェクターには、PAKキナーゼの基質、例えばミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)、制御的ミオシン軽鎖(R−MLC)、ミオシンI重鎖、ミオシンII重鎖、ミオシンVI、カルデスモン、デスミン、Op18/スタスミン、マーリン、フィラミンA、LIMキナーゼ(LIMK)、Ras、Raf、Mek、p47phox、BAD、カスパーゼ3、エストロゲンおよび/もしくはプロゲステロン受容体、RhoGEF、GEF−H1、NET1、Gαz、ホスホグリセリン酸ムターゼ−B、RhoGDI、プロラクチン、p41Arc、コルタクチン、ならびに/またはオーロラA(例えば、Bokochら、2003、Annu.Rev.Biochem.、72:743;およびHofmannら、2004、J.Cell Sci.、117:4343参照)が含まれるが、それらに限定されない。細胞内でPAKに結合する他の物質には、CIB;スフィンゴ脂質;リゾホスファチジン酸、Gタンパク質βおよび/またはγサブユニット;PIX/COOL;GIT/PKL;Nef;パキシリン;NESH;SH3含有タンパク質(例えば、Nckおよび/またはGrb2);キナーゼ(例えば、Akt、PDK1、PI3−キナーゼ/p85、Cdk5、Cdc2、Srcキナーゼ、Ablおよび/またはタンパク質キナーゼA(PKA));および/またはホスファターゼ(例えば、ホスファターゼPP2A、POPX1および/またはPOPX2)が含まれる。
PAK阻害剤
本明細書では、癌などの細胞増殖疾患または障害に関連する1つまたは複数の症状を治療するPAK阻害剤が記載される。また本明細書では、癌などの細胞増殖疾患および障害に関連する1つまたは複数の症状を逆転または低減するための、PAK阻害剤(例えば、本明細書に記載のPAK阻害剤化合物)を含む医薬組成物が記載される。また本明細書では、癌などの細胞増殖疾患および障害に関連する症状および/または陽性症状の進行を停止または遅延させるための、PAK阻害剤(例えば、本明細書に記載のPAK阻害剤化合物)を含む医薬組成物が記載される。本明細書では、癌などの細胞増殖疾患または障害の1つまたは複数の症状を治療する医薬品を製造するための、PAK阻害剤の使用が記載される。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、例えば1つまたは複数のI群のPAKポリペプチド、例えばPAK1、PAK2および/またはPAK3を阻害するI群のPAK阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害は、PAK2阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK3阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1/PAK3混合阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1/PAK2混合阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1/PAK4混合阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1/PAK2/PAK4混合阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK1/PAK2/PAK3/PAK4混合阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、I群のPAKイソ型3つすべて(PAK1、PAK2およびPAK3)を、等しいまたは類似の効力により阻害する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、1つまたは複数のII群のPAKポリペプチド、例えばPAK4、PAK5および/またはPAK6を阻害するII群のPAK阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK4阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK5阻害剤である。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、PAK6阻害剤である。
特定の実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PAK1、PAK2、PAK3および/またはPAK4の1つまたは複数の活性を低減または阻害するが、PAK5およびPAK6の活性には影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PAK1、PAK2および/またはPAK3の1つまたは複数の活性を低減または阻害するが、PAK4、PAK5および/またはPAK6の活性には影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PAK1、PAK2、PAK3の1つもしくは複数、ならびに/またはPAK4、PAK5および/もしくはPAK6の1つもしくは複数の活性を低減または阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、1つまたは複数のPAKの実質的に完全な阻害剤である。本明細書で使用される場合、「実質的に完全な阻害」は、例えば1つまたは複数の標的PAKの>95%阻害を意味する。他の実施形態では、「実質的に完全な阻害」は、例えば1つまたは複数の標的PAKの>90%阻害を意味する。いくつかの他の実施形態では、「実質的に完全な阻害」は、例えば1つまたは複数の標的PAKの>80%阻害を意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤は、1つまたは複数のPAKの部分阻害剤である。本明細書で使用される場合、「部分阻害」は、例えば1つまたは複数の標的PAKの約40%〜約60%阻害を意味する。他の実施形態では、「部分阻害」は、例えば1つまたは複数の標的PAKの約50%〜約70%阻害を意味する。本明細書で使用される場合、PAK阻害剤が、特定のPAKイソ型の活性を実質的に阻害または部分的に阻害するが、別のイソ型の活性には影響を及ぼさない場合とは、影響を受けないイソ型を、他の実質的に阻害されるまたは部分的に阻害されるイソ型の場合と同じ濃度のPAK阻害剤と接触させると、影響を受けないイソ型が、例えば約10%未満阻害されることを意味する。PAK阻害剤が、特定のPAKイソ型の活性を実質的に阻害または部分的に阻害するが、別のイソ型の活性には影響を及ぼさない他の場合とは、影響を受けないイソ型を、他の実質的に阻害されるまたは部分的に阻害されるイソ型の場合と同じ濃度のPAK阻害剤と接触させると、影響を受けないイソ型が、例えば約5%未満阻害されることを意味する。PAK阻害剤が、特定のPAKイソ型の活性を実質的に阻害または部分的に阻害するが、別のイソ型の活性には影響を及ぼさないさらに他の場合とは、影響を受けないイソ型を、他の実質的に阻害されるまたは部分的に阻害されるイソ型の場合と同じ濃度のPAK阻害剤と接触させると、影響を受けないイソ型が、例えば約1%未満阻害されることを意味する。
癌を治療する方法
本明細書では、治療有効量の式I〜IVおよびA〜Dの化合物を、それを必要としている対象に投与することを含む、対象の癌を治療する方法が記載される。本明細書で使用される場合、「癌」には、異常な制御の効かない細胞分裂によって引き起こされる任意の悪性増殖または腫瘍が含まれる。また「癌」には、固形腫瘍および非固形腫瘍が含まれる。癌の例には、膵臓癌、胃腸管の間質性腫瘍、肺癌、胃癌、脳癌、腎臓癌、乳癌、頭部および頸部癌、骨髄腫、白血病、リンパ腫、腺癌、黒色腫、CNSの癌等が含まれる。
一実施形態では、治療有効量の式Iの化合物を、それを必要としている対象に投与することを含む、対象の癌を治療する方法が提供され、ここで癌は、卵巣癌、乳癌、結腸癌、脳癌、神経線維腫症、CML、腎細胞癌腫、胃癌、白血病、NSCLC、CNS癌、黒色腫、前立腺癌、T細胞リンパ腫、肝細胞(heptocellular)癌、膀胱癌および膠芽腫から選択される。一実施形態では、乳癌は、タモキシフェン耐性または不耐性乳癌である。別の実施形態では、CMLは、イマチニブ耐性または不耐性CMLである。
一実施形態では、PAKの発現または活性化が変化するように、式I〜IVおよびA〜Dの化合物をp21活性化キナーゼと接触させることを含む、p21活性化キナーゼを調節する方法が提供される。PAKキナーゼは、癌細胞シグナル伝達ネットワークの非常に重要な制御因子と識別されており、必須の生物学的過程を調節する。これらの過程には、細胞骨格の動態、エネルギー恒常性、細胞生存、分化、足場非依存性増殖、有糸分裂およびホルモン依存性が含まれる。PAKの発現または活性化の変化によって、これらの過程が調節されなくなることは、数々のヒトの癌において記録されている。例えば、Kumar R、Gururaj AE、Barnes CJ、p21−activated kinases in cancer、Nat Rev Cancer、2006;6:459〜471参照。なおこの文書は、関連する程度まで参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVおよびA〜Dの化合物を、それを必要としている対象に投与することを含む、対象の癌を治療する方法が提供され、ここで癌は、膵臓癌、胃腸管の間質性腫瘍、肺癌、胃癌、脳癌、腎臓癌、乳癌、頭部および頸部癌、骨髄腫、白血病、リンパ腫、腺癌、骨癌、皮膚黒色腫もしくは眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸癌、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸の腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、自発性シュワン腫、髄膜腫、または先の癌の1つもしくは複数の組合せから選択される。
いくつかの実施形態では、癌は、卵巣癌、乳癌(タモキシフェン耐性である癌を含む)、結腸癌、脳癌、神経線維腫症、腎細胞癌腫、胃(gastric)癌、CNS癌、黒色腫、膠芽腫、膵臓癌、胃腸管の間質性腫瘍、肺癌、胃(stomach)癌、脳癌、腎臓癌、乳癌、頭部および頸部癌、皮膚黒色腫もしくは眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、胃癌、結腸癌、卵管の癌腫、食道癌、小腸癌、または腎細胞癌腫から選択される。
特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物および化合物を含む組成物は、予防的および/または療法的治療のために投与される。療法適用では、組成物は、疾患または状態の症状を治癒し、または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で、その疾患または状態に既に罹患している個体に投与される。様々な場合、この使用に有効な量は、疾患または状態の重症度および経過、過去の療法、個体の健康状態、体重および薬物への応答、ならびに担当医の判断に応じて決まる。
いくつかの実施形態では、治療有効量のPAK阻害剤を含有する組成物は、細胞増殖疾患または障害の症状が明白に表れていないが、細胞増殖疾患または障害を発症する危険性が高いと同定された個体に、予防的に投与される。予防適用では、本明細書に記載の化合物または化合物を含有する組成物は、特定の疾患、障害または状態に罹りやすいか、またはそれ以外ではそれらの危険性がある個体に投与される。この使用の特定の実施形態では、投与される化合物の正確な量は、個体の健康状態、体重等に応じて決まる。さらにある場合には、本明細書に記載の化合物または組成物が個体に投与される場合、この使用の有効量は、疾患、障害または状態の重症度および経過、過去の療法、個体の健康状態および薬物への応答、ならびに担当医の判断に応じて決まる。
本明細書に記載の化合物または組成物の選択された用量を投与した後、個体の状態が改善しない特定の場合には、個体の障害、疾患または状態の症状を寛解させ、またはその他の方法で制御もしくは制限するために、本明細書に記載の化合物または組成物は、医師の裁量により場合によって慢性的に、すなわち個体の生涯を含む長期間にわたって投与される。
特定の実施形態では、有効量の所与の薬剤は、特定の化合物、疾患または状態およびその重症度、治療を必要としている個体または宿主の独自性(例えば、体重)などの、いくつかの因子の1つまたは複数に応じて変わり、例えば投与される特定の薬剤、投与経路、治療を受ける状態、および治療を受ける個体または宿主を含む、症例の周りの特定の環境に従って決定される。いくつかの実施形態では、投与される用量には、最大耐容量までの用量が含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1日約0.02〜約5000mg、1日約1〜約1500mg、約1〜約100mg/日、約1〜約50mg/日、または約1〜約30mg/日、または約5〜約25mg/日で投与される。様々な実施形態では、所望の用量は、好都合には、単回用量で提示され、または同時に(または短期間の間に)もしくは適切な間隔で投与される分割用量で、例えば1日2回、3回、4回もしくは5回以上の服用量で提示される。
特定の場合、個々の治療計画に関して多数の変数が存在し、本明細書に記載の範囲内で、これらの推奨値からかなり広い可動域が考慮される。本明細書に記載の投与量は、場合によって非限定的な例として、使用される化合物の活性、治療を受ける疾患または状態、投与方法、個体の要件、治療を受ける疾患または状態の重症度、および担当医の判断などのいくつかの変数に応じて変わる。
このような治療計画の毒性および治療効率は、場合によって、限定されるものではないがLD50(集団の50%に対する致死量)およびED50(集団の50%における治療有効量)の決定を含み、細胞培養物または実験動物における調剤手順によって決定される。毒性作用と治療効果の用量比は、治療指数であり、LD50とED50の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。特定の実施形態では、細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用される範囲の投与量を製剤化するのに使用される。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物の投与量は、最小限の毒性で、ED50を含む血中濃度の範囲内にある。投与量は、場合によって、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変わる。
癌治療のための併用療法
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPAK阻害剤は、癌に罹患している個体を治療するための1つまたは複数の他の治療剤と併用される。PAK阻害剤と第2の治療剤(例えば、抗癌剤)の組合せによって、使用される両方の薬剤の用量を低減し、それによってより高用量の単剤療法に関連する副作用が生じる可能性を低減することができる。一実施形態では、併用療法において、第2の活性剤の用量は対応する単剤療法の用量に対して少なくとも50%低減されるが、PAK阻害剤の用量は、単剤療法の用量に対して低減されない。さらなる実施形態では、第2の活性剤の用量は、少なくとも75%低減され、またさらなる一実施形態では、第2の活性剤の用量は、少なくとも90%低減される。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、単剤療法の用量と同じ用量で投与され、PAK阻害剤を治療計画に加えることによって、第2の治療剤での単剤療法では治療されない癌の症状が軽減される。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤の組合せは、相乗的である(例えば、組合せの効果は、各薬剤単独の効果よりも良好である)。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤の組合せは、相加的である(例えば、活性剤の組合せの効果は、各薬剤単独の効果とほぼ同じである)。いくつかの実施形態では、相加効果は、PAK阻害剤に起因して生じ、第2の治療剤は、同じ制御経路を調節する。いくつかの実施形態では、相加効果は、PAK阻害剤に起因して生じ、第2の治療剤は、異なる制御経路を調節する。いくつかの実施形態では、相加効果は、PAK阻害剤に起因して生じ、第2の治療剤は、CNS障害の異なる症状群を治療する(例えば、PAK阻害剤は統合失調症の陰性症状を治療し、第2の治療剤は、陽性症状を治療する)。いくつかの実施形態では、第2の治療剤の投与により、同じもしくは異なる症状、またはPAK阻害剤単独の投与では治療されない症状群の残りを治療する。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤を組み合わせて投与することにより、第2の治療剤によって引き起こされる副作用(例えば、抗精神病薬または向知性薬によって引き起こされる副作用)を軽減する。いくつかの実施形態では、第2の治療剤の投与により、投与されたPAK阻害剤の代謝を阻害し(例えば、第2の治療剤は、PAK阻害剤を分解する肝酵素を妨害する)、それによってPAK阻害剤の効率を増大する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤(例えば、樹状突起スパインの形態を調節する第2の薬剤(例えば、ミノサイクリン(minocyline)))を組み合わせて投与することにより、PAK阻害剤の治療指数を改善する。
抗癌剤
いくつかの実施形態では、対象は、細胞増殖性障害(例えば癌)に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、I〜IVおよびA〜Dの化合物と1つまたは複数の他の抗癌剤の任意の組合せによって治療される。いくつかの実施形態では、抗癌剤の1つまたは複数は、アポトーシス促進剤である。アポトーシス促進剤には、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の拮抗薬(例えば、BV6、G−416)が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗癌剤の1つまたは複数は、キナーゼ阻害剤または受容体阻害剤である(例えば、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、またはHER2阻害剤)。キナーゼ阻害剤の例には、EGFRキナーゼ阻害剤(例えば、ゲフィチニブ)、BCR/Ablおよび/またはSrcキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ、ニロチニブ)、Akt阻害剤(例えば、Akt VIII)、MEK阻害剤(例えば、U0126)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、イマチニブ)が含まれるが、それらに限定されない。EGFR、VEGFおよび/またはHER2阻害剤の例には、アファチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ラニビズマブ、バンデタニブおよびZD6474が含まれるが、それらに限定されない。キナーゼ阻害剤および受容体阻害剤である抗癌剤のさらなる例には、トラスツズマブ、ソラフェニブ、ムブリチニブ、フォスタマチニブ、クリゾチニブおよびセツキシマブが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の抗癌剤は、化学療法である。化学療法の例には、アルキル化剤(例えば、アルトレタミン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、代謝拮抗物質、植物性アルカロイドおよびテルペノイド(例えば、ビンカアルカロイド、ビンブラスチン、ビンデシン、タキサン、ポドフィロトキシン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド)、および細胞傷害性抗生物質(antiobiotic)(例えば、ドキソルビシン、バルルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン)が含まれるが、それらに限定されない。抗癌剤のさらなる例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。ゴシポール(gossyphol)、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、オールトランス−レチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5−アザ−2’−デオキシシチジン、オールトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ゲルダナマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11−7082、PKC412またはPD184352、微小管形成を亢進し安定化することによって作用する抗癌薬物である、「パクリタキセル」とも呼ばれるTaxol(商標)、およびTaxol(商標)類似体、例えばTaxotere(商標)。共通の構造上の特徴として基本的なタキサン骨格を有する化合物は、微小管の安定化に起因してG2−M相にある細胞を停止させる能力を有することも示されており、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物と組み合わせて癌を治療するのに有用である。
式I〜IVおよびA〜Dの化合物と併用される抗癌剤のさらなる例には、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125およびBAY43−9006が含まれる。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤化合物と併用される他の抗癌剤には、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール(acodazole);アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビスアントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組換え型インターロイキンIIまたはrIL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンガンマ−1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメテレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン(mitocarcin);マイトクロミン(mitocromin);ミトギリン;マイトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;マイトスペル(mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン(riboprine);ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが含まれる。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物と併用される他の抗癌剤には以下が含まれる。20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TK拮抗薬;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;拮抗薬D;拮抗薬G;アンタレリクス;抗背側化形態形成性(anti-dorsalizing morphogenetic)タンパク質−1;抗アンドロゲン、前立腺癌腫;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス制御因子;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニン脱アミノ酵素;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリアポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン類(chlorln);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタンスラキノロン(cyclopentanthraquinone);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解性因子;シトスタチン;ダクリズマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;9−ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;ズオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン(eflomithine);エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド(fmasteride);フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin)塩酸塩;ホルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン類;イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン類;インターロイキン類;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン−N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメテレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン(maitansine);マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン(mitotoxin)線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+マイコバクテリア(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑制因子1系の療法;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペンテトラゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸塩;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質A系の免疫モジュレーター;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン類;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン(polyoxyethylerie)コンジュゲート;raf拮抗薬;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe186;リゾキシン;リボザイム;R11(R.sub.11)レチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣薬;セムスチン;老化細胞由来阻害剤(senescence derived 1);センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原−結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプト酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;過度活動性血管作動性腸管ペプチド拮抗薬;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン類;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣薬;チマルファシン;サイモポエチン受容体作動薬;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化(bichloride)チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来の成長抑制因子;ウロキナーゼ受容体拮抗薬;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール;ベラミン(veramine);ベルジン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;ならびにジノスタチンスチマラマー。
さらなる実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物と併用されるさらに他の抗癌剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産物、またはホルモン、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン(mechloroethamine)、シクロホスファミド、クロラムブシル等)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)等)、またはトリアゼン(デカルバジン等)が含まれる。代謝拮抗剤の例には、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート)、またはピリミジン類似体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれるが、それらに限定されない。
式I〜IVおよびA〜Dの化合物と組み合わせて有用な天然産物の例には、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、または生物反応修飾物質(例えば、インターフェロンα)が含まれるが、それらに限定されない。
さらなる実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物と併用されるアルキル化剤の例には、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン等)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン(hexamethlymelamine)、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン等)、またはトリアゼン(デカルバジン等)が含まれるが、それらに限定されない。代謝拮抗剤の例には、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート)、またはピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれるが、それらに限定されない。
式I〜IVおよびA〜Dの化合物と組み合わせて有用なホルモンおよび拮抗薬の例には、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(diethlystilbestrol)、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)が含まれるが、それらに限定されない。癌の治療または予防のために本明細書に記載の方法および組成物で使用できる他の薬剤には、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン(carboblatin))、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制薬(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)が含まれる。
他の実施形態では、微小管の安定化に起因してG2−M相にある細胞を停止させることによって作用し、式I〜IVおよびA〜Dの化合物と併用される抗癌剤の例には、以下の市販薬物および開発中の薬物が含まれるが、それらに限定されない。エルブロゾール(R−55104としても公知)、ドラスタチン10(DLS−10およびNSC−376128としても公知)、イセチオン酸ミボブリン(CI−980としても公知)、ビンクリスチン、NSC−639829、ディスコデルモリド(NVP−XX−A−296としても公知)、ABT−751(Abbott、E−7010としても公知)、アルトヒルチン(Altorhyrtins)(アルトヒルチンAおよびアルトヒルチンCなど)、スポンギスタチン(スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8およびスポンギスタチン9など)、塩酸セマドチン(LU−103793およびNSC−D−669356としても公知)、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デスオキシエポチロンAまたはdEpoAとしても公知)、エポチロンD(KOS−862、dEpoBおよびデスオキシエポチロンBとも呼ばれる)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N−オキシド、エポチロンA N−オキシド、16−アザ−エポチロンB、21−アミノエポチロンB(BMS−310705としても公知)、21−ヒドロキシエポチロンD(デスオキシエポチロンFおよびdEpoFとしても公知)、26−フルオロエポチロンなど)、アウリスタチンPE(NSC−654663としても公知)、ソブリドチン(TZT−1027としても公知)、LS−4559−P(Pharmacia、LS−4577としても公知)、LS−4578(Pharmacia、LS−477−Pとしても公知)、LS−4477(Pharmacia)、LS−4559(Pharmacia)、RPR−112378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ−3358(Daiichi)、FR−182877(フジサワ、WS−9885Bとしても公知)、GS−164(タケダ)、GS−198(タケダ)、KAR−2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF−223651(BASF、ILX−651およびLU−223651としても公知)、SAH−49960(Lilly/Novartis)、SDZ−268970(Lilly/Novartis)、AM−97(Armad/協和発酵)、AM−132(Armad)、AM−138(Armad/協和発酵)、IDN−5005(Indena)、クリプトフィシン52(LY−355703としても公知)、AC−7739(味の素、AVE−8063AおよびCS−39.HClとしても公知)、AC−7700(味の素、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCl、およびRPR−258062Aとしても公知)、ビチレブアミド(Vitilevuamide)、チューブリシン(Tubulysin)A、カナデンソール、センタウレイジン(Centaureidin)(NSC−106969としても公知)、T−138067(Tularik、T−67、TL−138067およびTI−138067としても公知)、COBRA−1(Parker Hughes Institute、DDE−261およびWHI−261としても公知)、H10(カンザス州立大学)、H16(カンザス州立大学)、オンコシジンA1(BTO−956およびDIMEとしても公知)、DDE−313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリド(Fijianolide)B、ラウリマリド、SPA−2(Parker Hughes Institute)、SPA−1(Parker Hughes Institute、SPIKET−Pとしても公知)、3−IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF−569としても公知)、ナルコチン(Narcosine)(NSC−5366としても公知)、ノスカピン(Nascapine)、D−24851(Asta Medica)、A−105972(Abbott)、ヘミアステリン、3−BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF−191としても公知)、TMPN(アリゾナ州立大学)、バナドセンアセチルアセトネート、T−138026(Tularik)、モンサトロール(Monsatrol)、イナノシン(Inanocine)(NSC−698666としても公知)、3−1AABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A−204197(Abbott)、T−607(Tuiarik、T−900607としても公知)、RPR−115781(Aventis)、エリュテロビン(デスメチルエロイテロビン、デスアセチルエロイテロビン(Desaetyleleutherobin)、イソエロイテロビンA、およびZ−エリュテロビンなど)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D−64131(Asta Medica)、D−68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A−293620(Abbott)、NPI−2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB−245(Aventis)、A−259754(Abbott)、ジオゾスタチン(Diozostatin)、(−)−フェニルアヒスチン(Phenylahistin)(NSCL−96F037としても公知)、D−68838(Asta Medica)、D−68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D−43411(Zentaris、D−81862としても公知)、A−289099(Abbott)、A−318315(Abbott)、HTI−286(SPA−110としても公知、トリフルオロ酢酸塩)(Wyeth)、D−82317(Zentaris)、D−82318(Zentaris)、SC−12983(NCI)、レスベラスタチン(Resverastatin)リン酸ナトリウム、BPR−OY−007(National Health Research Institutes)、ならびにSSR−250411(Sanofi)。
p21活性化キナーゼの上流制御因子
特定の実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、PAKの上流のシグナル経路で作用する分子(PAKの上流制御因子)の活性に影響を及ぼす間接的PAKモジュレーター(例えば、間接的PAK阻害剤)と、場合によって組み合わせて投与される。PAKの上流エフェクターには、TrkB受容体;NMDA受容体;EphB受容体;アデノシン受容体;エストロゲン受容体;インテグリン類;FMRP;Cdc42、Rac(Rac1およびRac2が含まれるが、それらに限定されない)、CDK5、PI3キナーゼ、NCK、PDK1、EKT、GRB2、Chp、TC10、TclおよびWrch−1を含む、Rho−ファミリーGTPアーゼ;グアニンヌクレオチド交換因子(「GEF」)、例えば非限定的に、GEFT、GEFのDblファミリーのメンバー、p21活性化キナーゼ相互作用交換因子(PIX)、DEF6、Zizimin 1、Vav1、Vav2、Dbs、DOCK180ファミリーのメンバー、Kalirin−7およびTiam1;Gタンパク質結合受容体キナーゼ−相互作用タンパク質1(GIT1)、CIB1、フィラミンA、Etk/Bmx、ならびにスフィンゴシンが含まれるが、それらに限定されない。
NMDA受容体のモジュレーターには、1−アミノアダマンタン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、イボガイン、ケタミン、亜酸化窒素、フェンシクリジン、リルゾール、チレタミン、メマンチン、ネラメキサン、ジゾシルピン、アプチガネル、レマシミド(remacimide)、7−クロロキヌレネート、DCKA(5,7−ジクロロキヌレン酸)、キヌレン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸(ACPC)、AP7(2−アミノ−7−ホスホノヘプタン酸)、APV(R−2−アミノ−5−ホスホノペンタノエート)、CPPene(3−[(R)−2−カルボキシピペラジン−4−イル]−プロパ−2−エニル−1−ホスホン酸);(+)−(1S、2S)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−1−プロパノール;(1S、2S)−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−1−プロパノール;(3R、4S)−3−(4−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−イル−)−クロマン−4,7−ジオール;(1R、2R)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−プロパン−1−オール−メシレート;および/またはその組合せが含まれるが、それらに限定されない。
エストロゲン受容体のモジュレーターには、PPT(4,4’,4’’−(4−プロピル−[1H]−ピラゾール−1,3,5−トリイル)トリスフェノール);SKF−82958(6−クロロ−7,8−ジヒドロキシ−3−アリル−1−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン);エストロゲン;エストラジオール;非限定的に、17−βエストラジオール、エストロン、エストリオール、ERβ−131、フィトエストロゲン、MK101(bioNovo)を含む、エストラジオール誘導体;VG−1010(bioNovo);DPN(ジアリールプロピオニトリル(diarylpropiolitrile));ERB−041;WAY−202196;WAY−214156;ゲニステイン;エストロゲン;エストラジオール;非限定的に17−βエストラジオール、エストロン、エストリオール、ベンゾピラン類およびトリアゾロ−テトラヒドロフルオレノン類を含む、エストラジオール誘導体(各開示がそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,279,499号およびParkerら、Bioorg.&Med.Chem.Ltrs.16:4652〜4656(2006)に開示されている)が含まれるが、それらに限定されない。
TrkBのモジュレーターには、例えば、BDNFおよびGDNFを含む神経栄養(neutorophic)因子が含まれる。EphBのモジュレーターには、XL647(Exelixis)、EphBモジュレーター化合物(このような開示が参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第2006081418号および米国特許出願第20080300245号に記載されている)等が含まれる。
インテグリンのモジュレーターには、例えば、ATN−161、PF−04605412、MEDI−522、ボロシキシマブ、ナタリズマブ、ボロシキシマブ、Ro27−2771、Ro27−2441、エタラシズマブ、CNTO−95、JSM6427、シレンジタイド、R411(Roche)、EMD121974、インテグリン拮抗薬化合物(このような開示が参照によって本明細書に組み込まれる、J.Med.Chem.、2002、45(16)、3451〜3457頁に記載されている)等が含まれる。
アデノシン受容体モジュレーターには、例えば、テオフィリン、8−シクロペンチル−1,3−ジメチルキサンチン(CPX)、8−シクロペンチル−1,3−ジプロピルキサンチン(DPCPX)、8−フェニル−1,3−ジプロピルキサンチン、PSB36、イストラデフィリン、SCH−58261、SCH−442,416、ZM−241,385、CVT−6883、MRS−1706、MRS−1754、PSB−603、PSB−0788、PSB−1115、MRS−1191、MRS−1220、MRS−1334、MRS−1523、MRS−3777、MRE3008F20、PSB−10、PSB−11、VUF−5574、N6−シクロペンチルアデノシン、CCPA、2’−MeCCPA、GR79236、SDZ WAG99、ATL−146e、CGS−21680、レガデノソン、5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン、BAY60−6583、LUF−5835、LUF−5845、2−(1−ヘキシニル)−N−メチルアデノシン、CF−101(IB−MECA)、2−Cl−IB−MECA、CP−532,903、MRS−3558、ロスバスタチン、KW−3902、SLV320、メフロキン、レガデノソン等が含まれる。
いくつかの実施形態では、PAKレベルを低減する化合物は、PAKの転写もしくは翻訳を低減し、またはRNAもしくはタンパク質レベルを低減する。いくつかの実施形態では、PAKレベルを低減する化合物は、PAKの上流エフェクターである。いくつかの実施形態では、細胞におけるRhoファミリーGTPアーゼChpおよびcdc42の活性化形態の外因性発現によって、PAK活性化が増大すると同時に、PAKタンパク質の代謝回転が増大し、細胞におけるPAKタンパク質レベルが著しく低下する(Hubsmanら(2007)Biochem.J.404:487〜497)。PAK浄化剤には、1つもしくは複数のRhoファミリーGTPアーゼ、および/またはRhoファミリーGTPアーゼの活性を調節する1つもしくは複数のグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)の発現を増大する薬剤が含まれ、ここでRhoファミリーGTPアーゼおよび/またはGEFが過剰発現すると、細胞内のPAKタンパク質のレベルが低下する。またPAK浄化剤には、RhoファミリーGTPアーゼの作動薬、および非限定的に、RhoファミリーGTPアーゼを活性化するDblファミリーのGEFの作動薬などの、RhoファミリーGTPアーゼを活性化するGTP交換因子の作動薬が含まれる。
RhoファミリーGTPアーゼの過剰発現は、場合によって、核酸発現構築物を細胞に導入することによって、またはGTPアーゼをコードする内在性遺伝子の転写を誘導する化合物を投与することによって生じる。いくつかの実施形態では、RhoファミリーGTPアーゼは、Rac(例えば、Rac1、Rac2またはRac3)、cdc42、Chp、TC10、TclまたはWrnch−1である。例えば、RhoファミリーGTPアーゼには、Rac1、Rac2、Rac3またはcdc42が含まれる。RhoファミリーGTPアーゼをコードする、細胞に導入された遺伝子は、場合によって、その遺伝子の変異体形態、例えばより活性な形態をコードする(例えば、構成的に活性な形態、Hubsmanら(2007)Biochem.J.404:487〜497)。いくつかの実施形態では、PAK浄化剤は、例えば、RhoファミリーGTPアーゼをコードする核酸であり、ここでRhoファミリーGTPアーゼは、構成的または誘導性プロモーターから発現する。いくつかの実施形態では、PAKレベルは、RhoファミリーGTPアーゼをコードする内在性遺伝子の発現を、直接的または間接的に亢進する化合物によって低減される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAK浄化剤と組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAKの上流エフェクターの活性化または活性を直接的または間接的に低減する化合物と組み合わせて投与される。それによって、例えばいくつかの実施形態では、Racおよびcdc42などの小Rho−ファミリーGTPアーゼのGTPアーゼ活性を阻害する化合物は、PAKキナーゼの活性化を低減する。いくつかの実施形態では、PAK活性化を低減する化合物は、細胞内の膜およびGTPに結合するcdc42の活性化を阻害するセクラミン(secramine)によるものである(Pelishら(2005)Nat.Chem.Biol.2:39〜46)。いくつかの実施形態では、PAK活性化は、EHT1864によって低減され、このEHT1864は、下流エフェクターと関連および関与するグアニンヌクレオチドとの結合を防止することによってRac1、Rac1b、Rac2およびRac3の機能を阻害する小分子である(Shutesら(2007)J.Biol.Chem.49:35666〜35678)。いくつかの実施形態では、PAK活性化はまた、Rac1と直接結合し、その活性化をRacに特異的なRhoGEFによって防止する小分子であるNSC23766によって低減される(Gaoら(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:7618〜7623)。いくつかの実施形態では、PAK活性化また、様々な組織および細胞型においてマトリックスメタロプロテアーゼおよびカテプシンDによって23kDaのプロラクチンホルモンが切断されることによって生じる、16kD断片のプロラクチン(16kのPRL)によって低減される。16kのPRLは、創傷などの細胞刺激に応答してRac1活性化を低減することによって、Ras−Tiam1−Rac1−Pak1シグナル経路を下方制御する(Leeら(2007)Cancer Res 67:11045〜11053)。いくつかの実施形態では、PAK活性化は、NMDAおよび/またはAMPA受容体の阻害によって低減される。AMPA受容体のモジュレーターの例には、ケタミン、MK801、CNQX(6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン);NBQX(2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン);DNQX(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン);キヌレン酸;2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ−[f]キノキサリン;PCP等が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、PAK活性化は、TrkB活性化の阻害によって低減される。いくつかの実施形態では、PAK活性化は、TrkBのBDNF活性化の阻害によって低減される。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、BDNFに対する抗体と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、PAK活性化は、TrkB受容体;NMDA受容体;EphB受容体;アデノシン受容体;エストロゲン受容体;インテグリン;Cdc42、Rac(Rac1およびRac2を含むが、それらに限定されない)、CDK5、PI3キナーゼ、NCK、PDK1、EKT、GRB2、Chp、TC10、TclおよびWrch−1を含む、Rho−ファミリーGTPアーゼ;グアニンヌクレオチド交換因子(「GEF」)、例えば非限定的に、GEFT、GEFのDblファミリーのメンバー、p21活性化キナーゼ相互作用交換因子(PIX)、DEF6、Zizimin 1、Vav1、Vav2、Dbs、DOCK180ファミリーのメンバー、Kalirin−7およびTiam1;Gタンパク質結合受容体キナーゼ−相互作用タンパク質1(GIT1)、CIB1、フィラミンA、Etk/Bmx、ならびに/またはFMRPおよび/もしくはスフィンゴシンとの結合を阻害することによって低減される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、細胞内のPAKレベルを低減する化合物、例えばRhoファミリーGTPアーゼの活性状態を促進するグアニン交換因子(GEF)の活性を直接的または間接的に増大する化合物、例えば非限定的に、Racまたはcdc42などのRhoファミリーGTPアーゼを活性化するGEFの作動薬と組み合わせて投与される。GEFの活性化は、TrkB、NMDAまたはEphB受容体を活性化する化合物によっても生じる。
いくつかの実施形態では、PAK浄化剤は、RhoファミリーGTPアーゼを活性化するGEFをコードする核酸であり、ここでGEFは、構成的または誘導性プロモーターから発現する。いくつかの実施形態では、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、例えば非限定的に、RhoファミリーGTPアーゼを活性化するGEFは、細胞内で過剰発現すると、1つまたは複数のRhoファミリーGTPアーゼの活性化レベルを増大し、それによって細胞内のPAKレベルを低減する。GEFには、例えば、GTPアーゼのDblファミリーのメンバー、例えば非限定的に、GEFT、PIX(例えば、アルファPIX、ベータPIX)、DEF6、Zizimin 1、Vav1、Vav2、Dbs、DOCK180ファミリーのメンバー、hPEM−2、FLJ00018、kalirin、Tiam1、STEF、DOCK2、DOCK6、DOCK7、DOCK9、Asf、EhGEF3またはGEF−1が含まれる。いくつかの実施形態では、PAKレベルはまた、GEFをコードする内在性遺伝子の発現を直接的または間接的に亢進する化合物によって低減される。いくつかの実施形態では、細胞に導入された核酸構築物から発現したGEFは、変異体GEF、例えば野生型に対して亢進された活性を有する変異体である。
浄化剤は、場合によって、GEFとして作用してcdc42のヌクレオチド交換を促進する、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhinmurium)毒素SpoEなどの細菌毒素である(Buchwaldら(2002)EMBO J.21:3286〜3295;Schlumbergerら(2003)J.Biological Chem.278:27149〜27159)。SopEなどの毒素、その断片、またはその毒素の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、または少なくとも100個の隣接アミノ酸の配列と、少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を有するペプチドもしくはポリペプチドも、場合によって、PAK活性の下流制御因子として使用される。毒素は、場合によって、細胞に導入された核酸構築物から細胞内で産生される。
PAKの上流制御因子のモジュレーター
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAKの上流制御因子のモジュレーターと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、PAKの上流制御因子のモジュレーターは、PAKの間接的阻害剤である。特定の場合、PAKの上流制御因子のモジュレーターは、PDK1のモジュレーターである。ある場合には、PDK1のモジュレーターは、PDK1の活性を低減または阻害する。ある場合には、PDK1阻害剤は、アンチセンス化合物である(例えば、米国特許第6,124,272号に記載の任意のPDK1阻害剤であり、このPDK1阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる)。ある場合には、PDK1阻害剤は、例えば米国特許第7,344,870号および第7,041,687号に記載の化合物であり、このPDK1阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、PAKの間接的阻害剤は、PI3キナーゼのモジュレーターである。ある場合には、PI3キナーゼのモジュレーターは、PI3キナーゼ阻害剤である。ある場合には、PI3キナーゼ阻害剤は、アンチセンス化合物である(例えば、国際公開第2001/018023号に記載の任意のPI3キナーゼ阻害剤であり、このPI3キナーゼ阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる)。ある場合には、PI3キナーゼの阻害剤は、3−モルホリノ−5−フェニルナフタレン−1(4H)−オン(LY294002)、またはY294002のペプチド系共有結合コンジュゲートである(例えば、SF1126、Semaphore pharmaceuticals)。特定の実施形態では、PAKの間接的阻害剤は、Cdc42のモジュレーターである。特定の実施形態では、Cdc42のモジュレーターは、Cdc42の阻害剤である。特定の実施形態では、Cdc42阻害剤は、アンチセンス化合物である(例えば、米国特許第6,410,323号に記載の任意のCdc42阻害剤であり、このCdc42阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる)。ある場合には、PAKの間接的阻害剤は、GRB2のモジュレーターである。ある場合には、GRB2のモジュレーターは、GRB2の阻害剤である。ある場合には、GRB2阻害剤は、例えば米国特許第7,229,960号に記載のGRb2阻害剤であり、このGRB2阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、PAKの間接的阻害剤は、NCKのモジュレーターである。特定の実施形態では、PAKの間接的阻害剤は、ETKのモジュレーターである。ある場合には、ETKのモジュレーターは、ETKの阻害剤である。ある場合には、ETK阻害剤は、例えばα−シアノ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)チオシンナミド(AG879)化合物である。
いくつかの実施形態では、間接的PAK阻害剤は、PAKの転写および/または翻訳を低減することによって作用する。いくつかの実施形態では、間接的PAK阻害剤は、PAKの転写および/または翻訳を低減する。例えばいくつかの実施形態では、PAK転写または翻訳の調節は、PAK転写または翻訳の特異的または非特異的阻害剤を投与することによって生じる。いくつかの実施形態では、PAK遺伝子の上流領域またはPAKのmRNAの5’UTRに結合するタンパク質または非タンパク質因子は、転写および翻訳アッセイを使用して、転写または翻訳に対するそれらの影響についてアッセイされる(例えば、Bakerら(2003)J.Biol.Chem.278:17876〜17884;Jiangら(2006)J.Chromatography A 1133:83〜94;Novoaら(1997)Biochemistry 36:7802〜7809;Brandiら(2007)Methods Enzymol.431:229〜267参照)。PAK阻害剤には、転写もしくは翻訳レベルを低減するDNAもしくはRNA結合タンパク質もしくは因子、またはその修飾型が含まれる。他の実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAKの転写または翻訳を正に制御するタンパク質または他の化合物の修飾形態(例えば、変異体形態または化学修飾形態)である薬剤と組み合わせて投与され、ここでこの修飾形態は、PAKの転写または翻訳を低減する。さらなる他の実施形態では、転写または翻訳阻害剤は、PAKの転写もしくは翻訳を正に制御するタンパク質もしくは化合物の拮抗薬であり、または転写もしくは翻訳を抑圧するタンパク質の作動薬である。
転写開始部位の上流領域以外の遺伝子領域、および5’UTR以外のmRNAの領域(例えば非限定的に、遺伝子の領域3’もしくはmRNAの3’UTR、または遺伝子もしくはmRNAいずれかのイントロン配列内領域)は、転写、翻訳、mRNAプロセシング、mRNA輸送、およびmRNA安定化のエフェクターが結合している配列も含む。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、mRNAのプロセシング、輸送もしくは安定性に影響を及ぼすか、またはmRNAのプロセシング、輸送もしくは代謝回転に影響を及ぼす1つもしくは複数のタンパク質の拮抗薬もしくは作動薬である内在性タンパク質と相同性を有するポリペプチドを含む浄化剤と組み合わせて投与され、その結果、この阻害剤は、PAKのmRNA輸送もしくはプロセシングを妨害することによって、またはPAKのmRNAの半減期を低減することによって、PAKタンパク質の発現を低減する。いくつかの実施形態では、PAK浄化剤は、PAKのmRNAの輸送もしくはプロセシングを妨害し、またはPAKのmRNAの半減期を低減する。
例えばPAK浄化剤は、例えばmRNAおよび/またはタンパク質の安定性に直接影響を及ぼすことによって、PAKイソ型のRNAおよび/またはタンパク質の半減期を低減する。特定の実施形態では、PAK浄化剤は、PAKのmRNAおよび/またはタンパク質が、ヌクレアーゼ、プロテアーゼおよび/またはプロテアソームに到達しやすくし、かつ/またはそれらの影響を受けやすくなるようにする。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAKのmRNAプロセシングを低減し、それによってPAK活性を低減する薬剤と組み合わせて投与される。例えば、PAK浄化剤は、mRNA前駆体スプライシング、5’末端形成(例えば、キャッピング)、3’末端プロセシング(例えば、切断および/またはポリアデニル化)、核外移行、ならびに/または細胞質における翻訳機構および/もしくはリボソームとの会合のレベルで機能する。いくつかの実施形態では、PAK浄化剤は、PAKのmRNAおよび/またはタンパク質のレベル、PAKのmRNAおよび/またはタンパク質の半減期を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または実質的に100%低減する。
いくつかの実施形態では、浄化剤は、1つまたは複数のPAKイソ型RNAに対する1つまたは複数のRNAiまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、1つまたは複数のPAKイソ型RNAに対する1つまたは複数のリボザイムを含む薬剤と組み合わせて投与される。RNAi構築物、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムの設計、合成および使用は、例えば、Dykxhoornら(2003)Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.4:457〜467;Hannonら(2004)Nature 431:371〜378;Sarverら(1990)Science 247:1222〜1225;Beenら(1986)Cell 47:207〜216)に見出される。いくつかの実施形態では、三重らせん構造を誘導する核酸構築物を細胞に導入して、やはりPAK遺伝子の転写を阻害する(Helene(1991)Anticancer Drug Des.6:569〜584)。
例えばいくつかの実施形態では、浄化剤は、RNAi分子またはRNAi分子を産生する核酸構築物である。RNAi分子は、二本鎖構造の各末端上に2〜3個のヌクレオチド一本鎖突出を有する、少なくとも約17個の塩基からなる二本鎖RNAを含み、ここで二本鎖RNAの1本の鎖は、下方制御が望まれる標的PAKのRNA分子に実質的に相補的である。「実質的に相補的な」とは、二本鎖領域内の1つまたは複数のヌクレオチドが、逆鎖ヌクレオチド(複数可)に相補的でないことを意味する。ミスマッチ耐性は、場合によって、個々のRNAi構造に対して、標的RNAまたはタンパク質を下方制御するその能力に基づいて評価される。いくつかの実施形態では、RNAiは、1つもしくは複数の低分子ヘアピン型RNA(「shRNA」)として、または1つもしくは複数のshRNAを産生するように転写された1つもしくは複数のDNA構築物として細胞内に導入され、ここでshRNAは、細胞内でプロセシングを受けて、1つまたは複数のRNAi分子を産生する。
場合によって、三重らせん構造を生じさせるのに、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、リボザイムまたは核酸を発現するための核酸構築物が、RNA分子としてまたは組換え型DNA構築物として導入される。遺伝子発現を低減するためのDNA構築物は、場合によって、哺乳動物細胞において転写活性があるプロモーターから、例えばSV40プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMVプロモーター)、またはポリメラーゼIIIおよび/もしくはポリメラーゼIIプロモーターなどから所望のRNA分子が細胞内で発現するように、公知の方法を使用して設計される。ある目的では、ウイルスまたはプラスミドベースの核酸構築物を使用することが望ましい。ウイルス構築物には、レトロウイルス構築物、レンチウイルス構築物、またはポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルスもしくはアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく構築物が含まれるが、それらに限定されない。
他の実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAKの活性を低減するポリペプチドと組み合わせて投与される。PAKタンパク質およびペプチド阻害剤は、場合によって、PAKの天然基質、例えばミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)、制御的ミオシン軽鎖(R−MLC)、ミオシンI重鎖、ミオシンII重鎖、ミオシンVI、カルデスモン、デスミン、Op18/スタスミン、マーリン、フィラミンA、LIMキナーゼ(LIMK)、コルタクチン、コフィリン、Ras、Raf、Mek、p47(phox)、BAD、カスパーゼ3、エストロゲンおよび/もしくはプロゲステロン受容体、NET1、Gαz、ホスホグリセリン酸ムターゼ−B、RhoGDI、プロラクチン、p41Arc、コルタクチン、ならびに/またはオーロラAに基づく。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によってPAK自体の配列に基づく薬剤、例えばPAK分子がそのホモ二量体状態にあるときにパートナーPAK分子の触媒ドメインに結合するPAKタンパク質のN末端部分の自己抑制ドメインに基づく薬剤と組み合わせて投与される(Zhaoら(1998)Mol.Cell Biol.18:2153〜2163;Knausら(1998)J.Biol.Chem.273:21512〜21518;Hofmanら(2004)J.Cell Sci.117:4343〜4354)。いくつかの実施形態では、PAKのポリペプチド阻害剤は、ペプチドがPAKの自然の結合パートナーまたは基質に類似の結合特徴を有する、ペプチド模倣薬を含む。
本明細書のいくつかの実施形態では、PAKタンパク質レベルを下方制御する化合物が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、PAKの上流制御因子または下流標的を活性化し、またはその活性を増大する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、PAKタンパク質レベルを下方制御する。ある場合には、本明細書に記載の化合物は、細胞内のPAKの量を低減することによって、CNS障害に関係する症状の少なくとも1つを低減する。いくつかの実施形態では、細胞内のPAKタンパク質レベルを低減する化合物は、細胞内のPAKの活性も低減する。いくつかの実施形態では、PAKタンパク質レベルを低減する化合物は、細胞内のPAK活性に対しては実質的な影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、細胞内のPAK活性を増大する化合物が、細胞内のPAKタンパク質レベルを低減する。
いくつかの実施形態では、細胞内のPAKタンパク質の量を低減する化合物は、PAKの上流エフェクターまたは下流制御因子の活性を調節することによって、PAKの転写および/もしくは翻訳を低減し、またはPAKのmRNAもしくはタンパク質の代謝回転率を増大する。いくつかの実施形態では、PAK発現またはPAKレベルは、PAK自体の立体構造、化学修飾、結合状態または活性に基づいてフィードバック制御の影響を受ける。いくつかの実施形態では、PAK発現またはPAKレベルは、PAKシグナル経路によって直接または間接的に作用される分子の立体構造、化学修飾、結合状態または活性に基づいてフィードバック制御の影響を受ける。本明細書で使用される場合、「結合状態」は、PAK、PAKの上流制御因子、もしくはPAKの下流エフェクターがモノマー状態にあるか、もしくはそれ自体とのオリゴマー複合体にある、または他のポリペプチドもしくは分子と結合しているのいずれかまたはその組合せを指す。例えばいくつかの実施形態では、PAKの下流標的は、PAKによってリン酸化されると、PAK発現を直接的もしくは間接的に下方制御し、またはPAKのmRNAもしくはタンパク質の半減期を低減する。PAKの下流標的には、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)、制御的ミオシン軽鎖(R−MLC)、ミオシンI重鎖、ミオシンII重鎖、ミオシンVI、カルデスモン、デスミン、Op18/スタスミン、マーリン、フィラミンA、LIMキナーゼ(LIMK)、Ras、Raf、Mek、p47phox、BAD、カスパーゼ3、エストロゲンおよび/もしくはプロゲステロン受容体、NET1、Gαz、ホスホグリセリン酸ムターゼ−B、RhoGDI、プロラクチン、p41Arc、コルタクチン、ならびに/またはオーロラAが含まれるが、それらに限定されない。PAKレベルの下流制御因子には、リン酸化状態のPAKの下流標的またはその断片、および高リン酸化状態のPAKの下流標的またはその断片が含まれる。
PAKの下流標的の断片には、下流制御因子の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、または少なくとも100個の隣接アミノ酸の配列と、少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を有する任意の断片が含まれ、ここでPAKの下流標的の断片は、PAKのmRNAもしくはタンパク質の発現を下方制御し、またはPAKのmRNAもしくはタンパク質の代謝回転を増大することができる。いくつかの実施形態では、PAKの下流制御因子の断片は、PAKによって認識されるリン酸化部位を含む配列を含み、ここでその部位はリン酸化される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、PAKの下流標的の脱リン酸化を阻害し、したがって下流標的のリン酸化を、PAKレベルが下方制御されるレベルに維持するペプチド、ポリペプチドまたは小分子を含む、PAKレベルを低減する化合物と組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態では、PAK活性は、PAKの上流制御因子および/または下流標的の活性化および/または阻害によって低減または阻害される。いくつかの実施形態では、PAKタンパク質の発現が下方制御される。いくつかの実施形態では、細胞内のPAKの量が低減される。いくつかの実施形態では、細胞内のPAKタンパク質レベルを低減する化合物は、細胞内のPAKの活性も低減する。いくつかの実施形態では、PAKタンパク質レベルを低減する化合物は、細胞内のPAK活性を低減しない。いくつかの実施形態では、細胞内のPAK活性を増大する化合物が、細胞内のPAKタンパク質レベルを低減する。
栄養因子
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤またはその組成物は、例えば、グリア細胞由来神経因子(GDNF)、脳由来神経因子(BDNF)等を含む、栄養作用物質と組み合わせて投与される。
抗酸化剤
対象が癌に罹患しているか、または癌に罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、CNS障害を治療するための1つまたは複数の抗酸化剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、抗酸化剤を既に摂取しているか、または処方されている患者に投与される。本明細書に記載の方法および組成物において有用な抗酸化剤の例には、ユビキノン、熟成ニンニク抽出物、クルクミン、リポ酸、ベータ−カロテン、メラトニン、レスベラトロール、イチョウ抽出物、ビタミンC、ビタミンE等が含まれるが、それらに限定されない。
金属タンパク質減弱化合物
対象が癌に罹患しているか、または癌に罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、癌を治療するための1つまたは複数の金属タンパク質減弱作用物質または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、金属タンパク質減弱作用物質を既に処方されている患者に投与される。本明細書に記載の方法および組成物において有用な金属タンパク質減弱作用物質の例には、8−ヒドロキシキノリン、ヨードクロルヒドロキシキン等およびその誘導体が含まれるが、それらに限定されない。
ベータセクレターゼ阻害剤
対象が癌に罹患しているか、または癌に罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、癌を治療するための1つまたは複数のベータセクレターゼ阻害剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、ベータセクレターゼ阻害剤を既に処方されている患者に投与される。本明細書に記載の方法および組成物において有用なベータセクレターゼ阻害剤の例には、LY450139、J.Med.Chem.50(18):4261〜4264に記載の2−アミノキナゾリン化合物等が含まれるが、それらに限定されず、該文書に記載のベータセクレターゼ阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる。
ガンマセクレターゼ阻害剤
対象が癌に罹患しているか、または癌に罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、癌を治療するための1つまたは複数のガンマセクレターゼ阻害剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、ガンマセクレターゼ阻害剤を既に処方されている患者に投与される。本明細書に記載の方法および組成物において有用なガンマセクレターゼ阻害剤の例には、LY−411575、(2S)−2−ヒドロキシ−3−メチル−N−((1S)−1−メチル−2−{[(1S)−3−メチル−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−1−イル]アミノ}−2−オキソエチル)ブタンアミド(セマガセスタット)、(R)−2−(3−フルオロ−4−フェニルフェニル)プロパン酸(Tarenflurbil)等が含まれるが、それらに限定されない。
抗体
対象が癌に罹患しているか、または癌に罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、癌を治療するための1つまたは複数の抗体または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、Abeta抗体を既に処方されている患者に投与される。本明細書に記載の方法および組成物において有用な抗体の例には、Abeta抗体(例えば、バピネオズマブ)、PAK抗体(例えば、ABIN237914)等が含まれるが、それらに限定されない。
他の薬剤
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPAK阻害剤は、樹状突起スパインの形態またはシナプス機能を調節する1つまたは複数の薬剤と併用される。樹状突起スパインの形態を調節する薬剤の例には、ミノサイクリン、栄養因子(例えば、脳由来の神経栄養因子、グリア細胞由来の神経栄養因子)、またはスパイン運動性を調節する麻酔剤等が含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPAK阻害剤は、認知を調節する1つまたは複数の薬剤と併用される。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、認知を亢進する向知性薬である。向知性薬の例には、ピラセタム、プラミラセタム、オキシラセタムおよびアニラセタムが含まれるが、それらに限定されない。
血液脳関門促進因子
ある場合には、PAK阻害剤は、場合によって、血液脳関門促進因子と組み合わせて投与される。特定の実施形態では、PAK阻害剤の輸送を容易にする薬剤は、PAK阻害剤に共有結合により結合している。ある場合には、本明細書に記載のPAK阻害剤は、親油性担体に共有結合によって結合するか、または親油性担体と共に製剤化されることによって修飾される。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、例えばDHAまたは脂肪酸などの親油性担体に、共有結合によって結合している。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、人工低密度リポタンパク質粒子に共有結合によって結合している。ある場合には、担体系は、本明細書に記載のPAK阻害剤が、血液脳関門を横断するのを容易にし、この担体系には、血液脳関門を介して薬物種を送達するためのジヒドロピリジンピリジニウム塩担体の酸化還元系の使用が含まれるが、それに限定されない。ある場合には、本明細書に記載のPAK阻害剤は、親油性ホスホネート誘導体にカップリングしている。特定の場合、本明細書に記載のPAK阻害剤は、PEG−オリゴマー/ポリマーまたはアプロチニン誘導体および類似体にコンジュゲートしている。ある場合には、血液脳関門を介する本明細書に記載のPAK阻害剤の流入増大は、本明細書に記載のPAK阻害剤を修飾することによって(例えば、化合物上の帯電基の数を低減または増大することによって)、および血液脳関門輸送体との親和性を亢進することによって達成される。特定の場合、PAK阻害剤は、血液脳関門を介する流出を低減または阻害する薬剤、例えばP−糖タンパク質ポンプ(PGP)媒介性流出の阻害剤(例えば、シクロスポリン、SCH66336(ロナファーニブ、Schering))と併用投与される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、例えば米国特許第5,863,532号、第6,191,169号、第6,248,549号および第6,498,163;米国特許出願第200200045564号、第20020086390号、第20020106690号、第20020142325号、第20030124107号、第20030166623号、第20040091992号、第20040102623号、第20040208880号、第200500203114号、第20050037965号、第20050080002号、および第20050233965号、第20060088897号;欧州特許第1492871号;国際公開第WO9902701号;国際公開第WO2008/047307号;Kumarら(2006)、Nat.Rev.Cancer、6:459;ならびにEswaranら(2007)、Structure、15:201〜213に記載の化合物と組み合わせて投与され、これらの文書は、本明細書に記載のキナーゼ阻害剤および/またはPAK阻害剤の開示に関して、すべて参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、非限定的に、BMS−387032;SNS−032;CHI4−258;TKI−258;EKB−569;JNJ−7706621;PKC−412;スタウロスポリン;SU−14813;スニチニブ;N−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ)、VX−680;MK−0457;その組合せを含む化合物、またはその塩、プロドラッグと組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、以下のアミノ酸配列:
HTIHVGFDAVTGEFTGMPEQWARLLQTSNITKSEQKKNPQAVLDVLEFYNSKKTSNSQ KYMSFTDKS
と約80%〜約100%同一の、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドと組み合わせて投与される。
先の配列は、例えばZhaoら(1998)に記載の通り、PAK1ポリペプチドのPAK自己抑制的なドメイン(PAD)ポリペプチドアミノ酸83〜149に相当する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、前述のPADアミノ酸配列を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチド(例えば、N末端またはC末端)は、細胞透過を容易にするために、多塩基タンパク質伝達ドメイン(PTD)アミノ酸配列、例えばRKKRRQRR、YARAAARQARA、THRLPRRRRRRまたはGGRRARRRRRRをさらに含む。
いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、脳内への取込みを亢進するために、米国特許出願第11/245,546号に記載の通り、ヒトインスリン受容体抗体をさらに含む。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、例えばZhaoら(2006)、Nat Neurosci、9(2):234〜242に記載の通り、以下のアミノ酸配列、PPVIAPREHTKSVYTRSと少なくとも60%〜100%、例えば65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約60%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一の配列を含むペプチド阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ペプチド配列は、前述のPTDアミノ酸配列をさらに含む。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、FMRP1タンパク質(GenBank受入番号Q06787)と少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含む、PAK(例えば、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK5および/またはPAK6)と結合できるポリペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、FMRP1タンパク質(GenBank受入番号Q06787)と少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含む、例えばPAK1などのI群のPAKと結合できるポリペプチドと組み合わせて投与される(例えば、Hayashiら(2007)、Proc Natl Acad Sci USA、104(27):11489〜11494参照)。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、ヒトFMRP1タンパク質のアミノ酸207〜425の配列(すなわち、KH1およびKH2ドメインを含む)と少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含むヒトFMRP1タンパク質の断片を含む、PAK1に結合できるポリペプチドと組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、ハンチンチン(htt)タンパク質(GenBank受入番号NP002102、gi90903231)の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個の隣接アミノ酸と少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含む、群1のPAK(例えば、PAK1、PAK2および/またはPAK3)と結合できるポリペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、ハンチンチン(htt)タンパク質(GenBank受入番号NP002102、gi90903231)の少なくとも一部と少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を含む、PAK1に結合できるポリペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、htt遺伝子のエクソン1によってコードされた配列の外側にあるヒトハンチンチンタンパク質(すなわち、ポリグルタミン酸ドメインを含有していない断片)の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、または少なくとも100個の隣接アミノ酸の配列と、少なくとも80%〜100%、例えば85%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、または約80%〜約100%の任意の他のパーセントだけ同一のアミノ酸配列を有するヒトハンチンチンタンパク質の断片を含む、PAKと結合するポリペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、htt遺伝子のエクソン1によってコードされた配列の外側にあるヒトハンチンチンタンパク質(すなわち、ポリグルタミン酸ドメインを含有していない断片)の配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するヒトハンチンチンタンパク質の断片を含む、PAK1と結合するポリペプチドと組み合わせて投与される。
ある場合には、式I〜IVおよびA〜Dの化合物は、場合によって、ウイルス発現ベクター、例えばAAVベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはHSVベクターの投与によって個体の1つまたは複数の脳領域に送達されるポリペプチドと組み合わせて投与される。治療用タンパク質を送達するためのいくつかのウイルスベクターは、例えば米国特許第7,244,423号、第6,780,409号、第5,661,033号に記載されている。いくつかの実施形態では、発現するPAK阻害剤であるポリペプチドは、誘導性プロモーター(例えば、tetオペレーターを含有するプロモーター)の制御下にある。誘導性ウイルス発現ベクターには、例えば米国特許第6,953,575号に記載のものが含まれる。PAK阻害剤であるポリペプチドの誘導性発現によって、個体に投与される誘導剤(例えば、テトラサイクリン)の用量を変えることで、PAK阻害剤であるポリペプチドの発現を厳重な制御下で可逆的に増大することができる。
1つまたは複数のPAK阻害剤と第2の治療剤の任意の組合せは、本明細書に記載のどの方法とも適合性がある。また本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、治療される状態に対するそれらの組成物の治療的価値に合わせて選択される他の治療用試薬と併用される。一般に、併用療法が用いられる実施形態では、本明細書に記載の組成物と他の薬剤は、同じ薬剤組成物で投与される必要はなく、それは異なる物理的および化学的特徴によって、場合によって異なる経路によって投与されるからである。初回投与は、一般に、確立されたプロトコルに従って行われ、次に観測された効果に基づいて、後に投与量、投与方法および投与時間が修正される。
特定の場合、本明細書に記載の少なくとも1つのPAK阻害剤組成物を、別の治療剤と組み合わせて投与するのが適している。例として、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物の1つを投与すると患者が副作用を受け、その副作用の1つが嘔気である場合、制嘔吐剤を初期治療剤と組み合わせて投与するのが適している。あるいは例として、PAK阻害剤の治療有効性は、アジュバントを投与することによって亢進される(すなわち、アジュバントは、それ自体で最小の治療上の利益を有するが、別の治療剤と組み合わせると、患者に対する全体的な治療上の利益が亢進される)。あるいは例として、患者が得る利益は、PAK阻害剤を、やはり治療上の利益を有する別の治療剤(治療計画も含む)と共に投与することによって増大する。いずれの場合も、治療を受ける疾患、障害または状態にかかわらず、患者が得る全体的な利益は、単に2種類の治療剤の相加的利益になるか、または相乗的な利益になる。
治療上有効な投与量は、薬物が併用治療で使用されるときには変わる。薬物および他の薬物の治療上有効な投与量を実験的に決定する適切な方法には、例えば、メトロノミック投薬の使用、すなわち毒性副作用を最小限に抑えるために低用量をより頻繁に提供することが含まれる。併用治療には、様々な時間に開始し、停止して患者の臨床管理を援助する周期的治療がさらに含まれる。
いずれの場合も、複数の治療剤(その1つは、本明細書に記載のPAK阻害剤である)は、任意の順序で投与され、または同時にも投与される。同時に投与される場合、複数の治療剤は、場合によって単一の統一形態で、または複数形態で(例として、単一の丸剤として、または2つの別個の丸剤として)提供される。いくつかの実施形態では、治療剤の一方が複数回投与で与えられ、または治療剤の両方が複数回投与として与えられる。同時に投与されない場合、複数回投与の間のタイミングは、場合によって、0週を超え4週間未満の間で変わる。さらに、併用による方法、組成物および製剤は、2種類の薬剤だけを使用することに限定されず、複数の療法の組合せを使用することも企図される。
本明細書に開示の併用療法を構成する医薬品は、場合によって、実質的に同時投与を企図して組み合わされた剤形であるか、または別々の剤形である。また併用療法を構成する医薬品は、場合によって逐次的に投与され、いずれかの治療用化合物は、2ステップによる投与を必要とするレジメンによって投与される。2ステップによる投与レジメンでは、場合によって、複数活性剤の逐次的な投与が必要とされ、または別個の活性剤を間隔を設けて投与することが必要とされる。複数の投与ステップ間の時間は、各医薬品の特性、例えば医薬品の効力、可溶性、生体利用能、血漿内半減期および反応速度特性に応じて、数分から数時間にわたる。最適な投与間隔を決定するために、場合によって標的分子濃度の日内変動が使用される。
さらにPAK阻害剤は、場合によって、患者に相加的または相乗的な利益をもたらす手順と併用される。例として、患者は、PAK阻害剤の薬剤組成物および/または他の療法との組合せを、個体が特定の疾患または状態と相関する変異遺伝子のキャリアであるかどうかを決定するための遺伝的試験と組み合わせる本明細書に記載の方法によって、治療上および/または予防上の利益を得ると予測される。
PAK阻害剤および追加の治療(複数可)は、場合によって、疾患または状態の発生の前、最中または後に投与され、いくつかの実施形態では、PAK阻害剤を含有する組成物の投与のタイミングは変わる。したがって、例えばPAK阻害剤は、疾患または状態の発生を予防するための予防剤として使用され、状態または疾患を発症する傾向がある個体に連続的に投与される。PAK阻害剤および組成物は、場合によって症状の発症中に、または発症後、可能な限り急速に個体に投与される。化合物の投与は、場合によって、症状の発症の最初の48時間以内に開始され、好ましくは症状の発症の最初の48時間以内、より好ましくは症状の発症の最初の6時間以内、最も好ましくは症状の発症の最初の3時間以内に開始される。初回投与は、例えば静脈内注射、ボーラス注射、5分〜約5時間にわたる注入、丸剤、カプセル剤、経皮パッチ、口腔内頬側送達等、またはその組合せなどの任意の実用的経路によって行われる。PAK阻害剤は、場合によって、疾患または状態の発症が検出されたか、または疑われた後、実行可能な限り急速に、例えば約1カ月〜約3カ月などの疾患治療に必要な期間にわたって投与される。治療期間の長さは、場合によって各個体ごとに変わり、公知の基準を使用して決定される。例えば、PAK阻害剤またはPAK阻害剤を含有する製剤は、少なくとも2週間、好ましくは約1カ月〜約5年間、より好ましくは約1カ月〜約3年間投与される。
いくつかの実施形態では、化合物の特定の選択は、担当医の診断、および担当医による個体の状態の判断、および適切な治療プロトコルに応じて決まる。化合物は、場合によって、疾患、障害または状態の性質、個体の状態、および使用される化合物の実際の選択に応じて、同時に(例えば、同時に、本質的に同時に、または同じ治療プロトコル内で)または逐次的に投与される。特定の場合、治療プロトコル中の各治療剤の投与順および投与の反復回数の決定は、治療を受ける疾患および個体の状態の評価に基づいて行われる。
いくつかの実施形態では、治療上有効な投与量は、薬物が併用治療で使用されるときには変わる。併用治療計画で使用される薬物および他の薬剤の治療上有効な投与量を実験的に決定する方法は、文献に記載されている。
本明細書に記載の併用療法のいくつかの実施形態では、併用投与される化合物の投与量は、併用される薬物のタイプ、用いられる特定の薬物、治療を受ける疾患または状態等に応じて決まる。さらに、本明細書で提供される化合物は、1つまたは複数の生物学的に活性な薬剤と併用投与される場合、場合によって、生物学的に活性な薬剤(複数可)と同時に、または逐次的に投与される。特定の場合において逐次的に投与される場合、担当医は、本明細書に記載の治療化合物と追加の治療剤を組み合わせる適切な順序を決定することになる。
複数の治療剤(その少なくとも1つは、本明細書に記載の治療化合物である)は、場合によって任意の順序で投与され、または同時にも投与される。同時に投与される場合、複数の治療剤は、場合によって単一の統一形態で、または複数形態で(例として、単一の丸剤として、または2つの別個の丸剤として)提供される。特定の場合、治療剤の1つが、場合によって複数回投与で与えられる。他の場合には、治療剤の両方が、場合によって複数回投与として与えられる。同時に投与されない場合、複数回投与の間のタイミングは、例えば0週を超え4週間未満までの任意の適切なタイミングである。いくつかの実施形態では、追加の治療剤を利用して、癌の症状の逆転または寛解を達成し、その直後に本明細書に記載の治療剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dのいずれか1つの化合物)を投与する。さらに、併用による方法、組成物および製剤は、2種類の薬剤だけを使用することに限定されず、複数の療法の組合せを使用することも企図される(本明細書に記載の2つ以上の化合物を含む)。
特定の実施形態では、軽減が求められる状態(複数可)を治療、予防し、または寛解させるための投与レジメンは、様々な因子に従って修正される。これらの因子には、個体が罹患している障害、ならびに個体の年齢、体重、性別、食事および病状が含まれる。したがって様々な実施形態では、実際に用いられる投与レジメンは変わり、本明細書に記載の投与レジメンから逸脱する。
CNS障害
本明細書では、治療有効量のp21活性化キナーゼ阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体に投与することを含む、CNS障害を治療する方法が提供される。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、p21活性化キナーゼ阻害剤の投与により、CNS障害(例えば、統合失調症の陰性症状)の1つまたは複数の行動学的症状(例えば、引きこもり、離人症、食欲喪失、衛生喪失、妄想、幻覚、うつ病、感情鈍麻、意欲消失、無快感症、失語症、外部からの力によって制御されている感覚等)を軽減または逆転する。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、p21活性化キナーゼ阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)の投与により、CNS障害に関連する1つまたは複数の陰性症状および/または認知機能障害(例えば、統合失調症、アルツハイマー病、FXS、自閉症等に関連する、実行機能、理解、推測、意思決定、計画、学習または記憶の機能障害)を軽減または逆転する。
また本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、統合失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん等を罹患しているか、または有していると疑われる個体)に投与することを含む、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能を調節する方法が提供される。いくつかの実施形態では、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能の調節により、CNS障害に関連する陰性症状および/または認知機能障害を軽減または逆転する。いくつかの実施形態では、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能の調節により、CNS障害に関連する症状のさらなる悪化(例えば、認知機能障害および/または身体機能喪失の進行)を停止または遅延させる。いくつかの実施形態では、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能の調節により、疾患の症状を安定化または逆転する(例えば、てんかん発作の頻度を低減し、軽度認知障害を安定化し、初期認知症の進行を予防する)。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、p21活性化キナーゼ阻害剤の投与により、CNS障害(例えば、アルツハイマー病)に関連する記憶および/または認知の進行性喪失を停止または遅延させる。
本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、本明細書に記載の任意のCNS障害に罹患しているか、またはそのCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、シナプス機能またはシナプス可塑性を調節する方法が提供される。シナプス機能または可塑性の調節には、例えばLTP、LTDの欠損等の軽減または逆転が含まれる。
LTPの欠損には、例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体の脳の任意領域におけるLTPの増大またはLTPの低減が含まれる。LTDの欠損には、例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体の脳の任意領域(例えば、側頭葉、頭頂葉、前頭皮質、帯状回、前頭前皮質、皮質もしくは海馬、または脳内の任意の他の領域、またはその組合せ)におけるLTDの低減またはLTDの増大が含まれる。
本方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)の投与により、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体における長期増強(LTP)を増大することによって、シナプス機能(例えば、シナプス伝達および/または可塑性)を調節する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体に投与することにより、前頭前皮質もしくは皮質もしくは海馬、または脳内の任意の他の領域、またはその組合せにおける長期増強(LTP)を増大することによって、シナプス機能(例えば、シナプス伝達および/または可塑性)を調節する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体における長期抑圧(LTD)を低減することによって、シナプス機能(例えば、シナプス伝達および/または可塑性)を調節する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤を、それを必要としている個体に投与することにより、側頭葉、頭頂葉、前頭皮質、帯状回、前頭前皮質、皮質もしくは海馬、または脳内の任意の他の領域、またはその組合せにおける長期抑圧(LTD)を低減することによって、シナプス機能(例えば、シナプス伝達および/または可塑性)を調節する。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、可溶性Abeta二量体またはオリゴマーによって誘導されるシナプス機能(すなわち、シナプス伝達および/またはシナプス可塑性)の欠損を逆転する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、不溶性Abetaオリゴマーおよび/またはAbeta含有プラークによって誘導されるシナプス機能(すなわち、シナプス伝達および/またはシナプス可塑性)の欠損を逆転する。
本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、シナプス可塑性を安定化する方法が提供される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、誘導(例えば、シータバースト刺激、LTPの高周波刺激、LTDの低周波(例えば、1Hz)刺激による)後のLTPまたはLTDを安定化する。
本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、シナプス伝達を安定化する方法が提供される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、誘導(例えば、シータバースト刺激、LTPの高周波刺激、LTDの低周波(例えば、1Hz)刺激による)後のLTPまたはLTDを安定化する。
また本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、認知的作業を実施している間の前頭葉の機能低下(cortical hypofrontality)を軽減または逆転する方法が提供される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤を、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体に投与することにより、認知的作業(例えば、ウィスコンシンカード分類課題、ミニメンタルステート検査(MMSE)、MATRICS認知バッテリー、BACS尺度、アルツハイマー病評価スケール−認知サブスケール(ADAS−Cog)、アルツハイマー病評価スケール−行動学的サブスケール(ADAS−Behav)、ホプキンス言語学習テスト改訂版等)を実施している間の前頭皮質の欠損、例えば前頭皮質活性の欠損を軽減し、個体の認知尺度を改善する。
本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体に投与することを含む、高リスク型遺伝子の変異(例えば、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の変異、プレセニリン1および2、イプシロン4対立遺伝子、12qのテロメア領域の91bp対立遺伝子、アポリポタンパク質E−4(APOE4)遺伝子、SORL1遺伝子、リーリン遺伝子、DISC1遺伝子、または任意の他の高リスク型対立遺伝子の変異)によって引き起こされる樹状突起スパインの形態またはシナプス機能の異常を逆転する方法が提供される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤を、CNS障害を発症する危険性が高い個体(例えば、DISC1遺伝子の変異を有する個体は、統合失調症に罹りやすく、APOE4遺伝子の変異を有する個体は、アルツハイマー病に罹りやすい)に予防的に投与することにより、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能の異常を逆転し、CNS障害の発症を予防する。
本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、シナプスにおけるPAK活性化の増大によって引き起こされる樹状突起スパインの形態またはシナプス機能の異常を、安定化、低減または逆転する方法が提供される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、シナプスにおけるPAK活性化の増大は、Abetaによって引き起こされる。ある場合には、シナプスにおけるPAK活性化の増大は、サイトゾルからシナプスへのPAKの再分布によって引き起こされる。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することにより、ニューロンにおけるサイトゾルからシナプスへのPAKの再分布を低減または防止し、それによって、シナプスにおけるPAK活性化の増大によって引き起こされる樹状突起スパインの形態またはシナプス機能の異常を、安定化、低減または逆転する。
本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、NCに対する高リスク型対立遺伝子を有する個体)に投与することを含む、CNS障害の発症を遅延させる方法が提供される。本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に対する高リスク型対立遺伝子を有する個体)に投与することを含む、樹状突起スパインの密度の喪失を遅延させる方法が提供される。本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、スパインの密度、形状、スパインの長さ、スパイン頭部の体積またはスパイン頸部の直径等を調節する方法が提供される。本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、成熟した樹状突起スパインと未成熟な樹状突起スパインの比を調節する方法が提供される。本明細書では、治療有効量のPAK阻害剤(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を、それを必要としている個体(例えば、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体)に投与することを含む、樹状突起スパイン頭部の体積と樹状突起スパインの長さの比を調節する方法が提供される。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤(例えば、維持量のPAK阻害剤)の投与により、個体の1つまたは複数の症状または病理の再発(例えば、精神病エピソード、てんかん発作等の再発)の発生を低減する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、PAKの実質的に完全な阻害を引き起こし、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能を、正常なレベルに修復する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、PAKの部分阻害を引き起こし、樹状突起スパインの形態および/またはシナプス機能を、正常なレベルに修復する。
本明細書では、CNS障害に関連するニューロンの衰退および/または神経組織の委縮および/または神経組織の変性を、安定化、低減または逆転する方法が提供される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤を、CNS障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病等)に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体に投与することにより、側頭葉、頭頂葉、前頭皮質、帯状回等におけるニューロンの衰退および/または委縮および/または変性を、安定化、軽減または逆転する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤を、CNS障害に罹患しているか、またはCNS障害を有していると疑われる個体に投与することにより、記憶および/または認知および/または身体機能の制御の欠損を、安定化、低減または逆転する。
ある場合には、CNS障害は、樹状突起スパインの密度の低減に関連する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、樹状突起スパインの密度を増大する。ある場合には、CNS障害は、樹状突起スパインの長さの増大に関連する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、樹状突起スパインの長さを低減する。ある場合には、CNS障害は、樹状突起スパイン頸部の直径の低減に関連する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、樹状突起スパイン頸部の直径を増大する。ある場合には、CNS障害は、樹状突起スパイン頭部の直径および/または樹状突起スパイン頭部の表面積および/または樹状突起スパイン頭部の体積の低減に関連する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、樹状突起スパイン頭部の直径および/または樹状突起スパイン頭部の体積および/または樹状突起スパイン頭部の表面積が増大する。
ある場合には、CNS障害は、未成熟なスパインの増大および成熟したスパインの低減に関連する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、未成熟なスパインと成熟したスパインの比を調節する。ある場合には、CNS障害は、切株型スパインの増大およびキノコ型スパインの低減に関連する。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、切株型スパインとキノコ型スパインの比を調節する。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤の投与により、PAK阻害剤がない状態のスパイン:頭部の比と比較して、スパイン:頭部の比、例えばスパインの体積と頭部の体積の比、スパインの長さとスパイン頭部の直径の比、スパインの表面積とスパイン頭部の表面積の比等を調節する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に適したPAK阻害剤は、スパイン頭部の体積、スパイン頭部の幅、スパイン頭部の表面積、スパイン軸の長さ、スパイン軸の直径、またはその組合せを調節する。本明細書のいくつかの実施形態では、樹状突起スパインを含むニューロンを、有効量の本明細書に記載のPAK阻害剤と接触させることによって、スパイン頭部の体積、スパイン頭部の幅、スパイン頭部の表面積、スパイン軸の長さ、スパイン軸の直径、またはその組合せを調節する方法が提供される。特定の実施形態では、ニューロンは、PAK阻害剤とインビボで接触させられる。
CNS障害を治療するための併用療法
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPAK阻害剤は、CNS障害に罹患している個体を治療するための1つまたは複数の他の治療剤と併用投与される。PAK阻害剤と第2の治療剤(例えば、定型または非定型抗精神病薬、mGluR1拮抗薬、mGluR5拮抗薬、mGluR5増強剤、mGluR2作動薬、アルファ7ニコチン受容体作動薬または増強剤、抗酸化剤、神経保護剤、栄養因子、抗コリン作用薬、ベータセクレターゼ阻害剤、抗癌剤等)の組合せによって、使用される両方の薬剤の用量を低減し、それによってより高用量の単剤療法に関連する副作用が生じる可能性を低減することができる。一実施形態では、併用療法において、第2の活性剤の用量は対応する単剤療法の用量に対して少なくとも50%低減されるが、PAK阻害剤の用量は、単剤療法の用量に対して低減されない。さらなる実施形態では、第2の活性剤の用量は、少なくとも75%低減され、またさらなる一実施形態では、第2の活性剤の用量は、少なくとも90%低減される。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、単剤療法の用量と同じ用量で投与され、PAK阻害剤を治療計画に加えることによって、第2の治療剤での単剤療法では治療されないCNS障害の症状が軽減される。前述の状態のすべてに関する症状および診断基準は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版、American Psychiatric Association(2005)(DSM−IV)に詳説されている。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤の組合せは、相乗的である(例えば、組合せの効果は、各薬剤単独の効果よりも良好である)。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤の組合せは、相加的である(例えば、活性剤の組合せの効果は、各薬剤単独の効果とほぼ同じである)。いくつかの実施形態では、相加効果は、PAK阻害剤および同じ制御経路を調節する第2の治療剤に起因して生じる。いくつかの実施形態では、相加効果は、PAK阻害剤および異なる制御経路を調節する第2の治療剤に起因して生じる。いくつかの実施形態では、相加効果は、PAK阻害剤およびCNS障害の異なる症状群を治療する第2の治療剤に起因して生じる(例えば、PAK阻害剤は統合失調症の陰性症状を治療し、第2の治療剤は、陽性症状を治療する)。いくつかの実施形態では、第2の治療剤の投与により、PAK阻害剤単独の投与では治療されない、同じまたは異なる症状または症状群の残りを治療する。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤を組み合わせて投与することにより、第2の治療剤によって引き起こされる副作用(例えば、抗精神病薬または向知性薬によって引き起こされる副作用)を軽減する。いくつかの実施形態では、第2の治療剤の投与により、投与されたPAK阻害剤の代謝を阻害し(例えば、第2の治療剤は、PAK阻害剤を分解する肝酵素を妨害する)、それによってPAK阻害剤の効率を増大する。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と第2の治療剤(例えば、樹状突起スパインの形態を調節する第2の薬剤(例えば、ミノサイクリン))を組み合わせて投与することにより、PAK阻害剤の治療指数を改善する。
精神障害を治療するための薬剤
対象が精神障害(例えば、統合失調症)に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、精神障害を治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、精神障害を治療するための薬剤が既に処方されている患者に投与される。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤を抗精神病薬と組み合わせて投与することは、相乗効果を有し、抗精神病薬による単剤療法またはPAK阻害剤による単剤療法と比較して治療結果を改善する。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、抗精神病薬に応答しないか、または抗精神病薬では満足に治療できない患者に投与される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、5−HT2A拮抗活性を有する抗精神病薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、選択的5−HT2A拮抗薬と組み合わせて投与される。精神障害を治療するための治療剤/治療の例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。定型抗精神病薬、例えばクロルプロマジン(Largactil、Thorazine)、フルフェナジン(Prolixin)、ハロペリドール(Haldol、Serenace)、モリンドン、チオチキセン(Navane)、チオリダジン(Mellaril)、トリフロペラジン(Stelazine)、ロキサピン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン(Compazine、Buccastem、Stemetil)、ピモジド(Orap)、ズクロペンチキソール、ならびに非定型抗精神病薬、例えばLY2140023、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、パリペリドン、アセナピン、イロペリドン、セルチンドール、ゾテピン、アミスルプリド、ビフェプルノックスおよびメルペロン。
気分障害を治療するための薬剤
対象が気分障害(例えば、臨床的うつ病)に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、気分障害を治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、気分障害を治療するための薬剤が既に処方されている患者に投与される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、気分障害を治療するための薬剤に応答しないか、またはその薬剤では満足に治療できない患者に投与される。
気分障害を治療するための治療剤/治療の例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、例えばシタロプラム(Celexa)、エスシタロプラム(Lexapro、Esipram)、フルオキセチン(Prozac)、パロキセチン(Paxil、Seroxat)、セルトラリン(Zoloft)、フルボキサミン(Luvox);セロトニン−ノルエピネフリン再取込み阻害剤(SNRI)、例えばベンラファキシン(Effexor)、デスベンラファキシン、ネファゾドン、ミルナシプラン、デュロキセチン(Cymbalta)、ビシファジン;三環系抗うつ薬、例えばアミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン(impramine)、ロフェプラミン、ノルトリプチリン;モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、例えばイソカルボキサジド、リネゾリド、モクロベミド、ニアラミド、フェネルジン、セレギリン、トラニルシプロミン、トリミプラミン;ならびに他の薬剤、例えばミルタザピン、レボキセチン、ビロキサジン、マプロチリン(malprotiline)およびブプロピオン。
てんかんを治療するための薬剤
対象がてんかんに罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、てんかんを治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、てんかんを治療するための薬剤が既に処方されている患者に投与される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、てんかんを治療するための薬剤に難治性であるか、またはその薬剤では満足に治療できない患者に投与される。
てんかんを治療するための治療剤/治療の例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ホスフェニトイン、ギャバペンチン、ラモトリギン、レベチラセタム、オキシカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、バルプロ酸ナトリウム、チアガビン、トピラメート、バルプロ酸セミナトリウム、バルプロ酸、ビガバトリンおよびゾニサミド。
ハンチントン病を治療するための薬剤
対象がハンチントン病に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、ハンチントン病を治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、ハンチントン病を治療するための薬剤が既に処方されている患者に投与される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、ハンチントン病を治療するための薬剤に難治性であるか、またはその薬剤では満足に治療できない患者に投与される。
ハンチントン病を治療するための治療剤/治療の例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。オメガ−3脂肪酸、ミラキシオン(miraxion)、ハロペリドール、ドーパミン受容体遮断薬、クレアチン、シスタミン、システアミン、クロナゼパム、クロザピン、補酵素Q10、ミノサイクリン、抗酸化剤、抗うつ剤(特に、排他的でなく、選択的セロトニン再取込み阻害薬SSRI、例えばセルトラリン、フルオキセチンおよびパロキセチン)、選択されたドーパミン拮抗薬、例えばテトラベナジン;および変異ハンチンチン(mHtt)のRNAiノックダウン。
パーキンソン病を治療するための薬剤
対象がパーキンソン病に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、パーキンソン病を治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、パーキンソン病を治療するための薬剤が既に処方されている患者に投与される。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、パーキンソン病を治療するための薬剤に難治性であるか、またはその薬剤では満足に治療できない患者に投与される。
パーキンソン病を治療するための治療剤/治療の例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。Lドーパ、カルビドパ、ベンセラジド、トルカポン、エンタカポン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、カベルゴリン、アポモルヒネ、リスリド、セレギリンまたはラサギリン。
I群のmGluR拮抗薬
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPAK阻害剤は、CNS障害に罹患している個体を治療するための1つまたは複数のI群の代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)拮抗薬(例えば、mGluR5拮抗薬)と併用される。PAK阻害剤とI群のmGluR拮抗薬の組合せによって、使用される両方の薬剤の用量を低減し、それによってより高用量の単剤療法に関連する副作用が生じる可能性を低減することができる。
I群のmGluR拮抗薬の例には、以下のいずれかが含まれるが、それらに限定されない。(E)−6−メチル−2−スチリル−ピリジン(SIB1893)、6−メチル−2−(フェニルアゾ)−3−ピリジノール、アルファ−メチル−4−カルボキシフェニルグリシン(MCPG)、または2−メチル−6−(フェニルエチニル)−ピリジン(MPEP)。I群のmGluR拮抗薬の例には、例えば米国特許出願第10/076,618号、第10/211,523号および第10/766,948号に記載のものも含まれる。mGluR5選択的拮抗薬の例には、例えば米国特許第7,205,411号および米国特許出願第11/523,873号に記載のものが含まれるが、それらに限定されない。mGluR1選択的拮抗薬の例には、例えば米国特許第6,482,824号に記載のものが含まれるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態では、併用治療は、本明細書に記載の通り、治療有効量のPAK阻害剤およびI群のmGluR拮抗薬(例えば、mGluR5選択的拮抗薬)を含む薬理学的組成物である併用剤形を投与することを含む。いくつかの実施形態では、薬理学的組成物は、PAK阻害剤化合物、および米国特許第7,205,411号から選択されるmGluR5選択的拮抗薬を含む。
mGluR作動薬
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤と併用される第2の治療剤は、I群のmGluR1作動薬である。mGluR1作動薬および/またはmGluR1増強剤の例には、ACPT−I((1S,3R,4S)−1−アミノシクロペンタン−1,3,4−トリカルボン酸)、L−AP4(L−(+)−2−アミノ−4−ホスホノ酪酸)、(S)−3,4−DCPG((S)−3,4−ジカルボキシフェニルグリシン)、(RS)−3,4−DCPG((RS)−3,4−ジカルボキシフェニルグリシン)、(RS)−4−ホスホノフェニルグリシン((RS)PPG)、AMN082(N,N’−ビス(ジフェニルメチル)−1,2−エタンジアミンジヒドロクロリド)、DCG−IV((2S,2’R,3’R)−2−(2’,3’−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン)等が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、mGluR1作動薬は、AMN082である。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、mGluR2/3作動薬またはmGluR2/3増強剤である。mGluR2/3作動薬の例には、LY389795((−)−2−チア−4−アミノビシクロ−ヘキサン−4,6−ジカルボキシレート)、LY379268((−)−2−オキサ−4−アミノビシクロ−ヘキサン−4,6−ジカルボキシレート)、LY354740((+)−2−アミノビシクロ−ヘキサン−2,6ジカルボキシレート)、DCG−IV((2S,2’R,3’R)−2−(2’,3’−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン)、2R,4R−APDC(2R,4R−4−アミノピロリジン−2,4−ジカルボキシレート)、(S)−3C4HPG((S)−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルグリシン)、(S)−4C3HPG((S)−4−カルボキシ−3−ヒドロキシフェニルグリシン)、L−CCG−I((2S,1’S,2’S)−2−(カルボキシシクロプロピル)グリシン)、および/またはその組合せが含まれるが、それらに限定されない。mGluR2作動薬またはmGluR2増強剤の例には、ADX71149(Addex Partner)を含むmGluR2の陽性アロステリックモジュレーターが含まれるが、それらに限定されない。mGluR5作動薬またはmGluR5増強剤の例には、MPEP、(RS)−2−クロロ−5−ヒドロキシフェニルグリシン(CHPG)、1S,3R−1−アミノ−1,3−シクロペンタンジカルボキシレート(ACPD)等が含まれるが、それらに限定されない。
Apha7ニコチン受容体モジュレーター
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPAK阻害剤は、CNS障害に罹患している個体を治療するための1つまたは複数のアルファ7ニコチン受容体モジュレーターと併用される。アルファ7ニコチン受容体モジュレーターには、アルファ7ニコチン受容体作動薬、アルファ7ニコチン受容体拮抗薬、および/またはアルファ7ニコチン受容体モジュレーターである陽性アロステリック増強剤が含まれる。PAK阻害剤とアルファ7ニコチン受容体モジュレーターの組合せによって、使用される両方の薬剤の用量を低減し、それによってより高用量の単剤療法に関連する副作用が生じる可能性を低減することができる。
アルファ7ニコチン受容体作動薬の例には、(+)−N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾ[b]フラン−2−カルボキサミド、PHA−709829、PNU−282,987、A−582941、TC−1698、TC−5619、GTS−21、SSR180711、トロピセトロン等が含まれるが、それらに限定されない。アルファ7ニコチン受容体拮抗薬の例には、α−コノトキシン、キノリジジン等が含まれる。アルファ7ニコチン受容体のアロステリック増強剤には、PNU−120596、NS−1738、XY4083、A−867744、EVP−6124(Envivo)等が含まれる。
コリンエステラーゼ阻害剤
対象がアルツハイマー病に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、アルツハイマー病を治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が既に処方されている患者に投与される。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤をアセチルコリンエステラーゼ阻害剤と組み合わせて投与することは、相乗効果を有し、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤による単剤療法またはPAK阻害剤による単剤療法と比較して治療結果を改善する。あるいは、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に応答しないか、またはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤では満足に治療できない個体に投与される。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の例には、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(ラザダイン)、リバスチグミン(イクセロンおよびイクセロンパッチ)が含まれる。
ムスカリンモジュレーター
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、ムスカリン受容体モジュレーターと組み合わせて患者に投与される。いくつかの実施形態では、ムスカリン受容体モジュレーターは、M1ムスカリン受容体作動薬である。いくつかの実施形態では、ムスカリン受容体モジュレーターは、AF102B、AF150(S)、AF267B、N−{1−[3−(3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]オキサジン−4−イル)プロピル]ピペリジン−4−イル}−2−フェニルアセトアミド、BRL−55473、NXS−292、NXS−267、MCD−386、AZD−6088、N−デスメチルクロザピン、または類似の化合物である。いくつかの実施形態では、ムスカリン受容体モジュレーターは、M1ムスカリン受容体の陽性アロステリックモジュレーターである。陽性アロステリックM1ムスカリン受容体モジュレーターの例には、VU0119498、VU0027414、VU0090157、VU0029767、BQCA、TBPBまたは77−LH−28−1が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、ムスカリン受容体モジュレーターは、M4ムスカリン受容体作動薬である。いくつかの実施形態では、ムスカリン受容体モジュレーターは、4ムスカリン受容体の陽性アロステリックモジュレーターである。陽性アロステリックM4ムスカリン受容体モジュレーターの例には、VU0010010、VU0152099、VU0152100またはLY2033298が含まれるが、それらに限定されない。
NMDA受容体拮抗薬
対象がアルツハイマー病に罹患しているか、または罹患する危険性がある場合、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、場合によって、アルツハイマー病を治療するための1つまたは複数の薬剤または方法と一緒に、任意の組合せで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤組成物は、NMDA受容体拮抗薬が既に処方されている患者に投与される。本明細書に記載の方法および組成物に有用なNMDA受容体拮抗薬の例には、メマンチンが含まれるが、それに限定されない。
神経保護薬
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAK阻害剤またはその組成物は、例えばミノサイクリン、レスベラトロールなどの神経保護剤等と組み合わせて投与される。
さらに、本明細書に開示の癌治療の併用療法で使用される1つまたは複数の他の治療剤は、CNS障害治療の併用療法でも使用できる。
医薬組成物および投与方法の例
本明細書の特定の実施形態では、本明細書に記載の治療有効量の任意の化合物(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)を含む組成物が提供される。
医薬組成物は、活性な化合物を製剤上使用される調製物に処理するのを容易にする、賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理的に許容される担体を使用して製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に応じて決まる。医薬組成物の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版(Ea hston、Pa.:Mack Publishing Company、1995);Hoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania 1975;Liberman、H.A.and Lachman、L.編集、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版(Lippincott Williams&Wilkins、1999)に見出される。
本明細書では、1つまたは複数のPAK阻害剤、および薬学的に許容される希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)または担体(複数可)を含む医薬組成物が提供される。さらにPAK阻害剤は、併用療法などでは、場合によってPAK阻害剤を他の活性成分と混合して得られる医薬組成物として投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、他の薬剤または医薬品、担体、アジュバント、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を制御するための塩、および/または緩衝液を含む。さらに、医薬組成物はまた、他の治療上有益な物質を含有する。
医薬組成物は、本明細書で使用される場合、PAK阻害剤と、他の化学的構成成分、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘剤および/または賦形剤との混合物を指す。医薬組成物は、生物へのPAK阻害剤の投与を容易にする。本明細書で提供される治療方法または使用方法を実施する際、治療有効量のPAK阻害剤は、治療される状態、疾患または障害を有する哺乳動物に医薬組成物で投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療有効量は、状態の重症度および段階、個体の年齢および相対的健康状態、使用されるPAK阻害剤の効力、ならびに他の因子に応じて変わる。PAK阻害剤は、場合によって、単独で使用され、または混合物の構成成分としての1つもしくは複数の治療剤と併用される。
本明細書に記載の医薬製剤は、場合によって、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、口腔内頬側、局所、直腸または経皮投与経路を含む複数の投与経路によって個体に投与されるが、それらに限定されない。例として、実施例26aは非経口製剤を記載しており、実施例26fは直腸製剤を記載している。本明細書に記載の医薬製剤には、水性液体分散剤、自己乳化分散剤、固溶体、リポソーム分散剤、エアロゾル剤、固体剤形、散剤、即時放出製剤、制御放出製剤、急速溶融製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、拍動性放出製剤、複数微粒子(multiparticulate)製剤、ならびに即時放出および制御放出の混合製剤が含まれるが、それらに限定されない。
医薬組成物は、活性成分としての少なくとも1つのPAK阻害剤を、遊離酸もしくは遊離塩基形態で、または薬学的に許容される塩形態で含むことになる。さらに、本明細書に記載の方法および医薬組成物には、N−オキシド、結晶形(多形としても公知)、ならびに同じタイプの活性を有するこれらのPAK阻害剤の活性な代謝産物の使用が含まれる。ある状況では、PAK阻害剤は、互変異性体として存在する。あらゆる互変異性体が、本明細書に提示の化合物の範囲に含まれる。さらにPAK阻害剤は、非溶媒和形態でも、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒等との溶媒和形態でも存在する。本明細書に提示のPAK阻害剤の溶媒和形態も、本明細書に開示されるとみなされる。
「担体材料」には、薬剤学で一般に使用される任意の賦形剤が含まれ、担体材料は、PAK阻害剤などの本明細書に開示の化合物との適合性、および所望の剤形の放出特性に基づいて選択されるべきである。例示的な担体材料には、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤等が含まれる。
さらに、PAK阻害剤を含む本明細書に記載の医薬組成物は、治療される患者が経口摂取するための、水性経口分散剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤等、固体経口剤形、エアロゾル剤、制御放出製剤、急速溶融製剤、発泡性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、拍動性放出製剤、複数微粒子製剤、ならびに即時放出および制御放出の混合製剤を含む任意の適切な剤形に製剤化されるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤を含む製剤は、固体薬物分散剤である。固体分散剤は、溶融(または融合)法、溶媒法または溶融溶媒法によって調製された、固体状態の不活性な担体またはマトリックスに1つまたは複数の活性成分が分散したものである(Chiou and Riegelman、Journal of Pharmaceutical Sciences、60、1281(1971))。固体希釈剤への1つまたは複数の活性剤の分散は、機械的混合なしに達成される。固体分散剤は、固体状態の分散剤とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の化合物(例えば、式I〜IVおよびA〜Dの化合物)は、スプレー乾燥させた分散剤(SDD)として製剤化される。SDDは、ポリマーマトリックスに薬物の単相非晶質分子が分散したものである。SDDは、溶媒(例えば、アセトン、メタノール等)に薬物およびポリマーを溶解し、その溶液をスプレー乾燥させることによって調製された固溶体である。溶媒は、液滴から急速に蒸発し、それによって薬物を捕捉したポリマーと薬物の混合物が、非晶質分子の分散物として非晶質形態で急速に固化する。いくつかの実施形態では、このような非晶質分散剤は、カプセルに充填され、かつ/または再構成するための経口用散剤に構成される。薬物を含むSDDの可溶性は、薬物の結晶形または薬物の非SDD非晶質形態の可溶性よりも高い。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、本明細書に記載の適切な剤形に構成されたSDDとして投与される。
経口使用のための医薬調製物は、1つまたは複数の固体賦形剤をPAK阻害剤と混合し、得られた混合物を場合によって粉砕し、所望に応じて適切な助剤を添加した後に顆粒混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを生成することによって得られる。適切な賦形剤には、例えば充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど;またはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)もしくはリン酸カルシウムなどの他のものが含まれる。所望に応じて、崩壊剤、例えば架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが添加される。
糖衣錠コアには、適切なコーティングが提供される。この目的では、濃縮糖液が一般に使用され、この糖液は、場合によって、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有する。場合によっては、活性化合物の用量の異なる組合せを識別し、または特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに染料または顔料が添加される。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の固体剤形は、錠剤(懸濁錠剤、急速溶融錠剤、咬合すると崩壊する錠剤、急速崩壊錠剤、発泡性錠剤、またはカプレット剤を含む)、丸剤、散剤(無菌パッケージ散剤、分注可能な(dispensable)散剤、または発泡性散剤を含む)、カプセル剤(軟質もしくは硬質カプセル剤の両方、例えば動物由来ゼラチンもしくは植物由来HPMCから製造されたカプセル剤、または「振りかけ用(sprinkle)カプセル」剤を含む)、固体分散剤、固溶体、生体腐食性剤形、制御放出製剤、拍動性放出剤形、複数微粒子剤形、ペレット剤、顆粒剤、またはエアロゾル剤の形態である。例えば、実施例26bは、カプセル剤である固体投与製剤を記載している。他の実施形態では、医薬製剤は、散剤形態である。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、非限定的に、急速溶融錠剤を含む錠剤形態である。さらにPAK阻害剤の医薬製剤は、場合によって、単一カプセルまたは複数カプセルの剤形として投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、2つまたは3つまたは4つのカプセル剤または錠剤で投与される。
別の態様では、剤形には、マイクロカプセル化製剤が含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の他の適合性のある材料が、マイクロカプセル化材料中に存在する。例示的な材料には、pH調整剤、浸食促進因子、消泡剤、抗酸化剤、香味剤、ならびに担体材料、例えば結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、滑沢剤、湿潤剤および希釈剤が含まれるが、それらに限定されない。
PAK阻害剤を含む製剤の放出を遅延させるのに有用な例示的なマイクロカプセル化材料には、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、例えばKlucel(登録商標)またはNisso HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、例えばSeppifilm−LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)−E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824およびBenecel MP843、メチルセルロースポリマー、例えばMethocel(登録商標)−A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレートAqoat(HF−LS、HF−LG、HF−MS)およびMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)およびその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)、例えばOpadry AMB、ヒドロキシエチルセルロース、例えばNatrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)−CMC、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー、例えばKollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、加工食用デンプン、アクリル系ポリマーおよびアクリル系ポリマーとセルロースエーテルの混合物、例えばEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30DおよびEudragit(登録商標)NE 40D、酢酸フタル酸セルロース、セピフィルム(Sepifilm)、例えばHPMCとステアリン酸の混合物、シクロデキストリン、ならびにこれらの材料の混合物が含まれるが、それらに限定されない。
PAK阻害剤を含む本明細書に記載の製剤を含む医薬品用の固体経口剤形は、場合によって、PAK阻害剤を制御放出するようにさらに製剤化される。制御放出は、PAK阻害剤が、所望の特性に従って組み込まれた剤形から長期間にわたって放出されることを指す。制御放出特性には、例えば徐放、持続放出性、拍動性放出および遅延放出特性が含まれる。制御放出組成物は、即時放出組成物とは対照的に、所定の特性に従って、長期間にわたって個体に薬剤を送達させることができる。このような放出速度は、従来の急速放出剤形と比較して、副作用を最小限に抑えながら長期間にわたって薬剤の治療上有効なレベルをもたらし、それによってより長期的な薬理学的応答が得られる。このような長期的な応答によって、対応する短期作用型の即時放出調製物では達成されない多くの固有の利益が得られる。
他の実施形態では、PAK阻害剤を含む本明細書に記載の製剤は、拍動性剤形を使用して送達される。拍動性剤形は、制御された遅延時間が経過した後の所定の時点で、または特定部位で、1つまたは複数の即時放出パルスをもたらすことができる。PAK阻害剤を含む本明細書に記載の製剤を含む拍動性剤形は、場合によって、非限定的に、米国特許第5,011,692号、第5,017,381号、第5,229,135号および第5,840,329号に記載の製剤を含む様々な拍動性製剤を使用して投与される。本発明の製剤と併用するのに適した他の拍動性放出剤形には、例えば、米国特許第4,871,549号、第5,260,068号、第5,260,069号、第5,508,040号、第5,567,441号および第5,837,284号に記載の剤形が含まれるが、それらに限定されない。
経口投与のための液体製剤剤形は、場合によって、非限定的に、製剤上許容される水性経口分散剤、エマルション、溶液剤、エリキシル剤、ゲル剤およびシロップ剤を含む群から選択される水性懸濁剤である。例えば、Singhら、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、第2版、754〜757頁(2002)参照。液体剤形は、PAK阻害剤に加えて、場合によっては添加剤、例えば(a)崩壊剤、(b)分散化剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも1つの保存剤、(e)粘度亢進剤、(f)少なくとも1つの甘味剤、および(g)少なくとも1つの香味剤を含む。いくつかの実施形態では、水性分散液は、結晶形成阻害剤をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、自己乳化薬物送達系(SEDDS)である。エマルションは、1つの非混和相が別の非混和相に、通常は液滴の形態で分散したものである。一般に、エマルションは、激しい機械的分散によって生成される。SEDDSは、エマルションまたはマイクロエマルションとは反対に、外部の任意の機械的分散または撹拌を用いずに過剰の水に添加すると、自然にエマルションを形成する。SEDDSの利点は、液滴を溶液中に分布させるのに、穏やかに混合すれば済むということである。さらに、水または水相は、場合によって投与直前に添加され、それによって不安定なまたは疎水性の活性成分の安定を確保することができる。したがってSEDDSは、疎水性活性成分を経口および非経口送達するための有効な送達系を提供する。いくつかの実施形態では、SEDDSは、疎水性活性成分の生体利用能を改善する。自己乳化剤形を生成する方法には、例えば米国特許第5,858,401号、第6,667,048号および第6,960,563号に記載の方法が含まれるが、それらに限定されない。
適切な鼻腔内製剤には、例えば米国特許第4,476,116号、第5,116,817号および第6,391,452号に記載の製剤が含まれる。経鼻剤形は、一般に、活性成分に加えて多量の水を含有する。場合によっては、pH調整剤、乳化剤もしくは分散化剤、保存剤、界面活性剤、ゲル化剤、または緩衝剤ならびに他の安定剤および可溶化剤などの、少量の他の成分が存在する。
吸入投与では、PAK阻害剤は、場合によってエアロゾル、ミストまたは粉末としての形態である。本明細書に記載の医薬組成物は、好都合には、加圧パックもしくはネブライザーから提供されるエアロゾルスプレー形態で、適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用して送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、定量を送達するための弁を提供することによって決定される。吸入器または注入器で使用するために、PAK阻害剤および適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末ミックスを含有する、例えばゼラチン製などのカプセル剤およびカートリッジ剤が製剤化される。例えば、実施例26eは、吸入製剤を記載している。
PAK阻害剤を含む口腔内頬側製剤には、米国特許第4,229,447号、第4,596,795号、第4,755,386号および第5,739,136号に記載のものが含まれるが、それらに限定されない。さらに、本明細書に記載の口腔内頬側剤形は、場合によって、剤形を口腔内頬側粘膜に接着させるように働くこともできる生体腐食性(加水分解性)ポリマー担体をさらに含む。口腔内頬側剤形は、所定の期間にわたって徐々に腐食し、PAK阻害剤が本質的にその間ずっと送達されるように製造される。口腔内頬側薬物送達では、経口薬物投与で生じる不利益、例えば緩慢な吸収、胃腸管内に存在する流体による活性剤の分解、および/または肝臓内の初回通過不活化が回避される。生体腐食性(加水分解性)ポリマー担体は、一般に、口腔内頬側粘膜の湿潤表面に接着する親水性(水溶性および水膨潤性)ポリマーを含む。本明細書で有用なポリマー担体の例には、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、例えば「カルボマー」として公知のものが含まれる(B.F.Goodrichから得ることができるCarbopol(登録商標)は、このようなポリマーの一例である)。本明細書に記載の口腔内頬側剤形には、他の構成成分も組み込まれ、それには、崩壊剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、香味剤、着色剤、保存剤等が含まれるが、それらに限定されない。口腔内頬側または舌下投与では、組成物は、場合によって、従来の方式で製剤化される錠剤、ロゼンジ剤またはゲル剤の形態である。例えば、実施例26cおよび26dは、舌下製剤を記載している。
PAK阻害剤の経皮製剤は、例えば米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,710,795号、第3,731,683号、第3,742,951号、第3,814,097号、第3,921,636号、第3,972,995号、第3,993,072号、第3,993,073号、第3,996,934号、第4,031,894号、第4,060,084号、第4,069,307号、第4,077,407号、第4,201,211号、第4,230,105号、第4,292,299号、第4,292,303号、第5,336,168号、第5,665,378号、第5,837,280号、第5,869,090号、第6,923,983号、第6,929,801号および第6,946,144号に記載のものによって投与される。例えば実施例26gは、局所製剤を記載している。
本明細書に記載の経皮製剤は、少なくとも3つの構成成分、(1)PAK阻害剤の製剤、(2)浸透亢進剤、および(3)水性アジュバントを含む。さらに経皮製剤は、非限定的に、ゲル化剤、クリーム剤および軟膏基剤などの構成成分等を含む。いくつかの実施形態では、経皮製剤はさらに、経皮製剤の吸収を亢進し、皮膚から経皮製剤が除去されるのを防止するための、織布または不織布支持材料を含む。他の実施形態では、本明細書に記載の経皮製剤は、飽和または過飽和状態を維持して、皮膚への拡散を促進する。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤の経皮投与に適した製剤には、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチが用いられ、こうした製剤は、ポリマーまたは接着剤に溶解かつ/または分散した、親油性エマルションまたは緩衝水溶液である。このようなパッチは、場合によって、医薬品を連続的、拍動的または要求に応じて送達するように構築される。またさらに、PAK阻害剤の経皮送達は、場合によって、イオン泳動的パッチ等を用いて達成される。さらに経皮パッチは、PAK阻害剤を制御送達する。吸収速度は、場合によって律速膜を使用することによって、またはPAK阻害剤をポリマーマトリックスもしくはゲル内に捕捉することによって緩徐される。それとは逆に、吸収亢進剤を使用すると、吸収が増大する。吸収亢進剤または担体には、皮膚への通過を援助するための吸収可能な薬学的に許容される溶媒が含まれる。例えば経皮デバイスは、支持部材と、PAK阻害剤を場合によって担体と共に含有するリザーバーと、場合によって長期間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚にPAK阻害剤を送達するための律速バリアと、デバイスを皮膚に固定するための手段とを含む包帯の形態である。
筋肉内、皮下または静脈内注射に適した、PAK阻害剤を含む製剤は、生理的に許容される滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルションと、注射可能な滅菌溶液剤または分散剤に再構成するための滅菌粉末を含む。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン−グリコール、グリセロール、クレモフォール等)、適切なその混合物、植物油(オリーブ油など)および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを使用することによって、分散剤の場合には必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持される。皮下注射に適した製剤は、任意選択の添加剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散化剤も含有する。
静脈内注射では、PAK阻害剤は、場合によって水溶液中で、好ましくはハンクス液、リンゲル溶液または緩衝生理食塩水などの生理的に適合性のある緩衝液中で製剤化される。経粘膜投与では、バリアに浸透させるのに適した浸透剤が、製剤に使用される。他の非経口注射では、適切な製剤は、好ましくは生理的に適合性のある緩衝剤または賦形剤と共に水性または非水性溶液を含む。
非経口注射は、場合によってボーラス注射または持続注入を含む。注射製剤は、場合によって単位剤形で、例えばアンプルまたは複数回投与用の容器により、保存剤を加えて提示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の無菌懸濁液、溶液またはエマルションとして非経口注射に適した形態であり、懸濁化剤、安定剤および/または分散化剤などの製剤化作用剤を含有する。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態のPAK阻害剤の水溶液を含む。さらにPAK阻害剤の懸濁液は、場合によって、油性注射懸濁液に適宜調製される。
いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、局所投与され、溶液剤、懸濁剤、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬物適用スティック、バーム剤、クリーム剤または軟膏剤などの、様々な局所投与可能な組成物に製剤化される。このような医薬組成物は、場合によって、可溶化剤、安定剤、浸透圧亢進剤、緩衝液および保存剤を含有する。
PAK阻害剤はまた、場合によって、従来の坐剤用基剤、例えばカカオバターまたは他のグリセリド、ならびに合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、PEG等を含有する、浣腸、直腸ゲル剤、直腸用の発泡作用剤(foam)、直腸エアロゾル剤、坐剤、ゼリー坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物に製剤化される。組成物の坐剤形態では、非限定的に、脂肪酸グリセリドを、場合によってカカオバターと組み合わせた混合物などの、緩慢に溶融するワックスが最初に溶融する。
投薬方法および治療計画の例
PAK阻害剤は、場合によって、症状を寛解させることよって少なくとも部分的に利益をもたらすことができる、CNS障害の予防的および/または療法的治療のための医薬品を調製するのに使用される。さらに、本明細書に記載の疾患または状態のいずれかの治療を必要としている個体を治療する方法は、治療有効量の少なくとも1つの本明細書に記載のPAK阻害剤、または薬学的に許容されるその塩、製剤上許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、製剤上許容されるプロドラッグもしくは製剤上許容される溶媒和物を含有する医薬組成物を、前記個体に投与することを含む。
患者の状態が改善しない場合には、患者の疾患または状態の症状を寛解させ、またはその他の方法で制御もしくは制限するために、PAK阻害剤は、医師の裁量により場合によって慢性的に、すなわち患者の生涯を含む長期間にわたって投与される。
患者の状態が実際に改善する場合には、PAK阻害剤は、医師の裁量により場合によって連続的に投与され、あるいは、投与される薬物の用量は、一定期間にわたって一時的に低減されるか、または投与が一時的に停止される(すなわち「休薬期間」)。休薬期間の長さは、場合によって2日〜1年で変わり、それには例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日または365日が含まれる。休薬期間中の用量の低減は、10%〜100%を含み、それには例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が含まれる。
患者の状態が改善したら、必要に応じて維持量が投与される。その後、投与量もしくは投与頻度、またはその両方が、症状の関数として、疾患、障害または状態の改善が保持されるレベルまで低減される。いくつかの実施形態では、患者は、任意の症状が再発すると、長期間にわたって間欠的治療を必要とする。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、正確な投与量をそれぞれ投与するのに適した単位剤形である。単位剤形では、製剤は、適切な量の1つまたは複数のPAK阻害剤を含有する単位用量に分割される。いくつかの実施形態では、単位投与は、正確な量の製剤を含有するパッケージの形態である。非限定的な例は、パッケージされた錠剤またはカプセル剤、およびバイアルまたはアンプルに入った散剤である。いくつかの実施形態では、水性懸濁液組成物は、単回用量用の再密封できない容器でパッケージされる。あるいは、複数回用量用の再密封できる容器が使用され、この場合には、典型的に保存剤が組成物に含まれる。例として、非経口注射製剤は、非限定的にアンプルを含む単位剤形で、または複数回投与用の容器で、保存剤を添加して提示される。
PAK阻害剤に適した1日投与量は、約0.01〜約2.5mg/体重1kgである。限定されるものではないがヒトを含む大型哺乳動物に示される1日投与量は、約0.5mg〜約1000mgの範囲であり、これは好都合には、限定されるものではないが1日最大4回を含む分割用量で、または延長放出形態で投与される。経口投与に適した単位剤形は、活性成分を約1〜約500mg、活性成分を約1〜約250mg、または活性成分を約1〜約100mgを含む。個体の治療計画に関する変数の数は多いので、先の範囲は単に示唆的なものであり、これらの推奨値からかなり大きい可動域もあり得る。このような投与量は、場合によっていくつかの変数に応じて、非限定的に、使用されるPAK阻害剤の活性、治療を受ける疾患または状態、投与方法、個体の要件、治療を受ける疾患または状態の重症度、および担当医の判断に応じて変わる。
このような治療計画の毒性および治療効率は、場合によって、限定されるものではないがLD50(集団の50%に対する致死量)およびED50(集団の50%における治療有効量)の決定を含み、細胞培養物または実験動物で決定される。毒性作用と治療効果の用量比は、治療指数であり、LD50とED50の比として表される。高い治療指数を示すPAK阻害剤が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、場合によって、ヒトに使用される範囲の投与量を製剤化するのに使用される。このようなPAK阻害剤の投与量は、好ましくは、最小限の毒性で、ED50を含む血中濃度の範囲内にある。投与量は、場合によって、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変わる。
PAK阻害剤の同定および特性決定のためのアッセイ
小分子PAK阻害剤は、場合によって、例えばYuら(2001)、J Biochem(東京);129(2):243〜251;Rininslandら(2005)、BMC Biotechnol、5:16;およびAllenら(2006)、ACS Chem Biol;1(6):371〜376に記載の通り、ハイスループットインビトロアッセイまたは細胞アッセイで同定される。本明細書に記載の方法に適したPAK阻害剤は、自然(例えば、植物抽出物)および合成を含む様々な供給源から利用可能である。例えば、候補PAK阻害剤は、コンビナトリアルライブラリーから、すなわち化学的合成または生物学的合成のいずれかによって、いくつかの化学的「構成要素」を組み合わせることによって生成された多種多様な化合物の収集物から単離される。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの線形コンビナトリアル化学ライブラリーは、所与の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)に対して可能なあらゆる様式で、アミノ酸と呼ばれる化学的構成要素の一組を組み合わせることによって形成される。このような化学的構成要素を組み合わせて混合することによって、数百万種類の化合物を、所望に応じて合成することができる。理論的に、100種類の互換的な化学的構成要素の組合せの系統的混合によって、1億種類の四量体化合物または100億種類の五量体化合物が合成される。Gallopら(1994)、J.Med.Chem.37(9)、1233参照。ライブラリーの各メンバーは、単独の場合があり、かつ/または混合物の一部である場合がある(例えば「圧縮ライブラリー」)。ライブラリーは、精製化合物を含む場合があり、かつ/または「汚れている」(すなわち、大量の不純物を含有している)場合がある。コンビナトリアル化学ライブラリーの調製およびクリーニングは、既に文書化されている方法である。Cabilly編集、Methods in Molecular Biology、Humana Press、Totowa、NJ(1998)参照。コンビナトリアル化学ライブラリーには以下が含まれるが、それらに限定されない。例えば、Hobbsら(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90、6909に記載の、ダイバーソマー(diversomer)、例えばヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチド;Chenら(1994)、J.Amer.Chem.Soc.、116:2661に記載の、小化合物ライブラリーの類似の有機合成;Choら(1993)、Science 261、1303に記載の、オリゴカルバメート(Oligocarbamate);Campbellら(1994)、J.Org.Chem.、59:658に記載のペプチジルホスホネート;ならびに例えばチアゾリジノンおよびメタチアザノン(metathiazanone)(米国特許第5,549,974号)、ピロリジン(米国特許第5,525,735号および第5,519,134号)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)を含有する小有機分子ライブラリー。さらに、数々のコンビナトリアルライブラリーは、例えばComGenex(Princeton、NJ);Asinex(Moscow、Russia);Tripos、Inc.(St.Louis、MO);ChemStar、Ltd.(Moscow、Russia);3D Pharmaceuticals(Exton、PA);およびMartek Biosciences(Columbia、MD)から市販されている。
コンビナトリアルライブラリーを調製するためのデバイスは、市販されている(例えば、Advanced Chem Tech、Louisville、KY製の357MPS、390MPS;Rainin、Woburn、MA製のSymphony;Applied Biosystems、Foster City、CA製の433A;およびMillipore、Bedford、MA製の9050Plus参照)。液相化学では、いくつかのロボットシステムも開発されている。これらのシステムは、武田薬品工業株式会社(日本、大阪)によって開発された自動合成装置のような自動化ワークステーション、およびロボットアームを利用する多くのロボットシステム(Zymate II)を含む。PAK阻害剤の同定および特性決定のためのコンビナトリアルライブラリーを作製するために、本明細書に記載の方法に適した小分子PAK阻害剤によって実施される手動合成操作を模倣する、先のデバイスのいずれかが場合によって使用される。本明細書に開示の方法に適した小分子PAK阻害剤を同定し、特性決定するために、先にデバイスのいずれかが場合によって使用される。本明細書に開示の実施形態の多くにおいて、PAK阻害剤、PAK結合分子およびPAK浄化剤は、ポリペプチドまたはタンパク質として開示される(ポリペプチドは、2つ以上のアミノ酸を含む)。これらの実施形態では、本発明者らは、PAK阻害剤、結合分子および浄化剤が、ポリペプチドに基づくペプチド模倣薬を含むことも企図し、ここでペプチド模倣薬は、PAKまたはその制御因子の結合特性または基質相互作用特性を置き換えることによって、PAKまたはその上流もしくは下流制御因子と相互作用する。核酸アプタマーも、ペプチドまたは核酸以外の小分子などのように、PAK阻害剤、結合分子および浄化剤として企図される。例えば、いくつかの実施形態では、小分子PAK結合パートナー、阻害剤もしくは浄化剤、またはPAKモジュレーターもしくは標的の小分子作動薬もしくは拮抗薬は、PAKまたはそのモジュレーターまたは標的の構造分析、および相互作用分子との結合相互作用に基づいて、「合理的薬物設計」を使用して設計または選択される(例えば、Jacobsenら(2004)Molecular Interventions 4:337〜347;Shiら(2007)Bioorg.Med.Chem.Lett.17:6744〜6749参照)。
潜在的に可能なPAK阻害剤の識別は、例えば、候補阻害剤の存在下でPAKのインビトロキナーゼ活性をアッセイすることによって決定される。このようなアッセイでは、PAKおよび/または組換え手段によって産生された特徴的なPAK断片を、放射標識したリン酸を含有するリン酸ドナー(例えば、ATP)の存在下で基質と接触させ、PAK依存性の組込みを測定する。「基質」は、PAKによって触媒される反応において、ATPなどのドナー分子からγ−リン酸基を受け入れることができる適切なヒドロキシル部分を含有する任意の物質を含む。基質は、PAKの内在性基質、すなわち自然に生じるPAKによって非変性細胞中でリン酸化される自然に生じる物質、または普通は生理条件下ではPAKによってリン酸化されないが、使用条件下ではリン酸化され得る任意の他の物質であってよい。基質は、タンパク質またはペプチドであってよく、リン酸化反応は、基質のセリンおよび/またはスレオニン残基上で生じ得る。例えば、このようなアッセイで一般に用いられる特異的基質には、ヒストンタンパク質およびミエリン塩基性タンパク質が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、PAK阻害剤は、IMAP(登録商標)技術を使用して同定される。
基質のPAK依存性リン酸化の検出は、放射標識したリン酸の組込みを測定する以外のいくつかの手段によって定量することができる。例えば、リン酸基の組込みは、電気泳動移動度などの基質の生理学的特性、クロマトグラフ特性、吸光度、蛍光およびリン光に影響を及ぼし得る。あるいは、非リン酸化形態から基質のリン酸化形態を選択的に認識するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を作製し、それによって抗体をPAKキナーゼ活性の指標として機能させることができる。
ハイスループットPAKキナーゼアッセイは、例えばマイクロタイタープレート中、PAKキナーゼまたはその活性断片、各ウェルに共有結合により結合した基質、P32で放射標識したATP、および潜在的に可能なPAK阻害剤候補を含有する各ウェルで実施することができる。マイクロタイタープレートは、96ウェルを含有するか、またはコンビナトリアルライブラリー化合物の大規模スクリーニングでは1536ウェルを含有することができる。リン酸化反応が終了したら、プレートを洗浄して結合基質を残す。次に、オートラジオグラフィーまたは抗体検出によって、リン酸基の組込みについて検出する。候補PAK阻害剤は、PAKホスホトランスフェラーゼの能力単独と比較して、基質に対するPAKホスホトランスフェラーゼの能力量を低下させる候補PAK阻害剤の能力によって同定される。
潜在的に可能なPAK阻害剤の同定は、例えばATP結合部位および/または基質結合部位などのPAKの触媒部位に対して、インビトロ競合的結合アッセイによって決定することもできる。ATP結合部位に対する結合アッセイでは、ATP結合部位と高い親和性を有する、スタウロスポリンなどの公知のタンパク質キナーゼ阻害剤が使用される。スタウロスポリンは、固定化されており、蛍光標識化され、放射標識されていてよく、または検出できる任意の方式であってよい。標識したスタウロスポリンは、組換えによって発現されたPAKタンパク質またはそのフラグメントに、潜在的に可能なPAK阻害剤候補と共に導入される。この候補は、PAKタンパク質との結合を、固定化スタウロスポリンと濃度依存式に競合する能力について試験される。スタウロスポリンが結合したPAKの量は、PAKに対する候補阻害剤の親和性に反比例する。潜在的に可能な阻害剤であれば、スタウロスポリンとPAKとの定量化できる結合を低減する。例えば、Fabianら(2005)Nat.Biotech.、23:329参照。次に、PAKのATP結合部位に関するこの競合結合アッセイから同定された候補を、PAK特異性の他のキナーゼに対する選択性についてさらにスクリーニングすることができる。
潜在的に可能なPAK阻害剤の同定は、例えば、阻害剤候補の存在下で、PAK活性の細胞内(in cyto)アッセイによって決定することもできる。この目的で特異的に遺伝子操作された細胞を含む、様々な細胞株および組織を使用することができる。阻害剤候補の細胞内スクリーニングでは、PAK活性の下流効果をモニタすることによって、PAK活性をアッセイすることができる。このような効果には、末梢アクチンマイクロスパイクの形成、および/または関連するストレスファイバーの喪失、ならびに増殖、増殖停止、分化もしくはアポトーシスなどの他の細胞応答が含まれるが、それらに限定されない。例えば、Zhaoら(1998)Mol.Cell.Biol.18:2153参照。例えば、PAK酵母アッセイでは、酵母細胞は、普通はグルコース培地中で増殖する。しかしガラクトースに曝露すると、細胞内PAK発現が誘導され、酵母細胞が死滅する。PAK活性を阻害する候補化合物は、PAK活性化により酵母細胞が死滅するのを防止する能力によって同定される。
あるいは、PAKの下流標的のPAK媒介性リン酸化は、細胞系アッセイにおいて、最初に様々な細胞株または組織をPAK阻害剤候補で処理し、その後、細胞を溶解し、PAK媒介事象を検出することによって観測することができる。この実験で使用される細胞株には、この目的で特異的に遺伝子操作された細胞が含まれ得る。PAK媒介事象には、下流PAKメディエーターのPAK媒介リン酸化が含まれるが、それに限定されない。例えば、下流PAKメディエーターのリン酸化は、リン酸化PAKメディエーターを特異的に認識するが、非リン酸化形態は認識しない抗体を使用して検出することができる。これらの抗体は、文献に記載されており、キナーゼをスクリーニングする研究で広範に使用されている。ある場合には、EGFまたはスフィンゴシンで刺激を与えられたHeLa細胞の処理後に、ホスホLIMK抗体を使用して、下流PAKシグナル伝達事象を検出する。
潜在的に可能なPAK阻害剤の同定は、例えば、遺伝子導入動物を含む動物モデルを使用するインビボアッセイによって決定することもでき、これらの遺伝子導入動物は、特定の欠損を有するか、または生物内の様々な細胞に到達しかつ/もしくは影響を及ぼす候補物質の能力を測定するのに使用できるマーカーを担持するように遺伝子操作されている。例えば、DISC1ノックアウトマウスは、樹状突起スパインの数が増大し、長く未成熟なスパインが大量に存在していることによって、シナプス可塑性および挙動に欠損が生じている。したがって、PAK阻害剤の同定は、候補をDISC1ノックアウトマウスに投与し、PAK阻害の読み出し情報としてシナプス可塑性および挙動の欠損の逆転を観測することを含み得る。
例えば、アルツハイマー病に適した動物モデルは、APPの「スウェーデン」変異(APPswe)のトランスジーン、家族性/早期発症型ADに見出されるプレセニリン1およびプレセニリン2の変異体形態を発現するトランスジーンを含む、ヒト変異遺伝子のノックインまたはトランスジーンである。したがって、PAK阻害剤の同定は、候補をノックイン動物に投与し、PAK阻害の読み出し情報としてシナプス可塑性および挙動の欠損の逆転を観測することを含み得る。
動物への候補の投与は、限定されるものではないが経口、経鼻、口腔内頬側および/または局所投与を含む、任意の臨床的または非臨床的経路を介して行われる。さらにまたはあるいは、投与は、気管内への点滴、気管支への点滴、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、吸入および/または静脈内注射で行うことができる。
スパインの形態変化は、任意の適切な方法を使用して、例えば3Dおよび/または4Dリアルタイム双方向性画像化および可視化を使用することによって検出される。ある場合には、Imaris製品一式(Bitplane Scientific Solutionsから利用可能)によって、共焦点および広視野顕微鏡データから得た3Dおよび4D顕微鏡データセットの可視化、セグメンテーションおよび解釈のための機能を提供する。
以下の特定の実施例は、単に例示的であり、いかなる方式でも本開示の残りを限定しないと解釈されるべきである。
実施例では、別段の指定がない限り、すべての合成化学を標準の実験用ガラス製品で実施した。市販の試薬を、受け取ったまま使用した。
分析的LC/MS Aを、Agilent 1200システムにより、可変波長検出器およびAgilent 6110シングル四重極質量分析計、陽および陰イオンの交互スキャンで実施した。(AN/B)
分析的LC/MS Bを、Agilent 1200システムにより、可変波長検出器およびAgilent G1956Aシングル四重極質量分析計、陽または陰イオンスキャンで実施した。(N)
分析的LC/MS Cを、Agilent 1100システムにより、可変波長検出器およびAgilent G1946Dシングル四重極質量分析計、陽または陰イオンスキャンで実施した。(AY)
分析的LC/MS Dを、Agilent 1200システムにより、可変波長検出器およびAgilent 6110シングル四重極質量分析計、陽または陰イオンスキャンで実施した。(AS/F)
分析的LC/MS Eを、Agilent 1100システムにより、可変波長検出器およびAgilent G1946Aシングル四重極質量分析計、陽または陰イオンスキャンで実施した。(AX)
分析的LC/MS Fを、Agilent 1100システムにより、可変波長検出器およびAgilent G1946Aシングル四重極質量分析計、陽または陰イオンスキャンで実施した。(I/E/W)
分析的LC/MS Gを、SHIMADZU LC−20ABシステムにより、可変波長検出器およびSHIMADZU 2010EVシングル四重極質量分析計、正イオンスキャンで実施した。(R)
保持時間を、抽出220nmクロマトグラムから決定した。H NMRを、Bruker DRX−400で400MHzにおいて実施した。マイクロ波反応を、Biotage Initiatorで、加熱時間および圧力を制御する計器ソフトウェアを使用して実施した。シリカゲルクロマトグラフィーは、手作業で実施した。
分取HPLC方法A:分取HPLCを、Waters1525/2487により、220nmにおけるUV検出および手作業による収集で実施した。
HPLCカラム:ASB−C18 21.2×150mm。
HPLC勾配:25mL/分(0.01%HCL)水:アセトニトリル。勾配形状を個々の分離について最適化した。
分取HPLC方法B:
HPLCカラム:Phenomenex 21.2×150mm。
HPLC勾配:25mL/分(0.1%FA)水:アセトニトリル。勾配形状を個々の分離について最適化した。
実施例1:8−エチル−6−(2−メチル−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(9)の合成
ステップ1:メチル2−(2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセテート(2)の合成
化合物メチル2−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)アセテート1(6g、1当量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(8.16g、1.3当量)、KOAc(4.83g、2当量)およびPd(dppf)Cl(1.2g)の混合物を、N下乾燥ジオキサン100mL中で、18時間還流した。この混合物を濾過し、水(200mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、粗生成物2(7g)を得た。LCMS m/z 291(M+H)
ステップ2:メチル2−(2−メチル−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)アセテート(3)の合成
メチル2−(2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセテート2(6.8g、1当量)、KOAc(4.58g、2当量)、Pd(dppf)Cl(1g)および2−クロロ−3−メチルピラジン(3g、1当量)をトルエン/THF/HO(2:2:1、50ml)中で混合した。得られた混合物を、100℃で15時間撹拌した。得られた混合物をHO(30ml)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(2×20mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。次いで粗製物をSiOカラムクロマトグラフィー(PE:酢酸エチル=10:1〜5:1)により精製して、所望の生成物3(2.2g、収率37%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.42 (d, J= 2.4, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.37 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.31 (d, J= 4.8 Hz, 1H), 3.73-3.70 (m, 5H), 2.64 (s, 3H), 2.38 (s, 3H).
ステップ3:エチル2−クロロ−4−(エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキシレート(5)の合成
エチルアミン(10.2g、0.226mol)を、エチル2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボキシレート(50g、0.226mol)およびEtN(22.9g、0.226mol)のジクロロメタン(500mL)中溶液に、−78℃で滴下添加した。反応物を−78℃で3時間撹拌し、次いでエチル2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボキシレートが消費されるまで、−30℃に加温した。有機層を水で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮して、5を白色固体として得た(50g)。化合物を更には精製せずに次のステップに使用した。LCMS m/z 230(M+1)
ステップ4:(2−クロロ−4−(エチルアミノ)ピリミジン−5−イル)メタノール(6)の合成
LiAlH(12.39g、0.326mol)の無水THF(400mL)中懸濁液を0℃に冷却した。上記懸濁液に、温度を10℃未満に維持しながらエチル2−クロロ−4−(エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキシレート(50g)の無水THF(100mL)中溶液を滴下添加した。反応物を5〜10℃で2時間撹拌し、次いで水でクエンチした。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、6を白色固体として得た(35g)。化合物を更には精製せずに次のステップに使用した。LCMS m/z 188(M+1)
ステップ5:2−クロロ−4−(エチルアミノ)ピリミジン−5−カルバルデヒド(7)の合成
MnO(175g)を、(2−クロロ−4−(エチルアミノ)ピリミジン−5−イル)メタノール(35g)のTHF(400mL)中溶液に加えた。混合物を40℃で3時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、次いでシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(PE:酢酸エチル=10:1)により精製して、7(22g)を得た。LCMS m/z 186(M+1)
ステップ6:2−クロロ−8−エチル−6−(2−メチル−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(8)の合成
2−クロロ−4−(エチルアミノ)ピリミジン−5−カルバルデヒド7(300mg、1当量)、メチル2−(2−メチル−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)アセテート3(414mg、1当量)およびDBU(123mg、0.5当量)の混合物を、DMSO(5mL)中で終夜撹拌した。反応が完結するまで、反応をTLCにより監視した。この得られた混合物を0℃に冷却し、水で希釈し、濾過し、乾燥して、8(130mg)を淡黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.76 (s, 1H), 8.58-8.48 (m, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.48 (d, J= 8 Hz, 1H), 7.36 (d, J= 8 Hz, 1H), 4.56 (q, J=6.8 Hz, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 1.42 (t, J=6.8 Hz, 3H).
ステップ7:8−エチル−6−(2−メチル−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(9)の合成
化合物2−クロロ−8−エチル−6−(2−メチル−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(8)(140mg、1当量)およびテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(5当量)のイソプロパノール中混合物を、18時間還流状態で撹拌した。反応が完結するまで、反応をTLCにより監視した。この混合物を蒸発させて、粗生成物を得た。この粗製物を分取HPLCにより精製して、9(20mg)を得た。LCMS m/z 457.3 (M+H) +. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.70-8.64 (m, 1H), 8.56 (d, J= 2.8 Hz, 1H), 8.51 (d, J= 2.8 Hz, 1H), 7.95-7.91 (m, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.47 (d, J= 2 Hz, 1H), 7.31 (d, J=8 Hz, 1H), 4.339-4.323 (m, 2H), 4.15-3.95 (m, 1H),3.90-3.88(m, 2H), 3.50-3.42 (m, 2H), 2.60 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.95-1.78 (m, 2H), 1.58-1.55 (m, 2H), 1.24-1.22 (m, 3H).
フェニルアセテート中間体の合成:実施例1または以下に概説する手順に記載した条件を用いて、フェニルアセテートを合成した。
中間体A:メチル2−(2−クロロ−4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)アセテート(4A)の合成
ステップ1:メチル2−(2−クロロ−4−シアノフェニル)アセテート(2A)の合成
メチル2−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)アセテート1A(20g、75.90mmol)のジオキサン(250mL)中溶液に、窒素下Zn(CN)(6.68g、56.89mmol)およびPd(PPh(4.39g、3.80mmol)を加え、反応混合物を80℃で15時間撹拌した。反応物を濾過し、濾液を水で洗浄した。濾液をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた層をブライン(1×100mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。残留物を石油エーテル中0〜5%EtOAcで溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物2A(13g、82%)を得た。LCMS m/z 210(M+H)
ステップ2:メチル2−(2−クロロ−4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)フェニル)アセテート(3A)の合成
メチル2−(2−クロロ−4−シアノフェニル)アセテート2A(10g、47.70mmol)のMeOH(150mL)中溶液に、窒素下NHOH.HCl(6.63g、95.41mmol)およびNaHCO(12g、142.86mmol)を加え、反応混合物を80℃で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物を水で1回洗浄し、水溶液をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×50mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮して、所望の生成物3A(7g、60%)を得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。LCMS m/z 243 (M+H) +. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 9.81 (s, 1H), 8.662 (m, 1H), 8.388 (s, 1H), 3.13-3.05 (d, 3H).
ステップ3:メチル2−(2−クロロ−4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)アセテート(4A)の合成
メチル2−(2−クロロ−4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)フェニル)アセテート3A(7g、28.85mmol)のAcO(50mL)中溶液を、100℃で15時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物を水で1回洗浄した。そして水溶液をEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた層をブライン(1×50mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。残留物を石油エーテル中0〜10%EtOAcで溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物4A(5.7g、74%)を得た。LCMS m/z 267(M+H)
中間体B:メチル2−(2−クロロ−4−(2−メチルチアゾール−5−イル)フェニル)アセテート(5A)の合成
メチル2−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)アセテート1A(5g、18.98mmol)のDMA(50mL)中溶液に、窒素下2−メチルチアゾール(2.82g、28.44mmol)、AcOK(2.79g、28.43mmol)およびPd(PPh(1.10g、0.95mmol)を加えた。反応混合物を100℃で15時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を水で洗浄し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた層をブライン(5×30mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、5A(4.3g、80%)を得た。LCMS m/z 282(M+1)
中間体C:メチル2−(2−クロロ−4−(2−フルオロピリジン−3−イル)フェニル)アセテート(6A)の合成
メチル2−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)アセテート1A(4g、15.18mmol)のトルエン/THF/HO(50mL、容量/容量/容量=2/2/1)中溶液に、窒素下2−フルオロピリジン−3−イルボロン酸(2.14g、15.18mmol)、AcOK(2.23g、22.72mmol)およびPd(dppf)Cl(833mg、1.14mmol)を加え、反応混合物を90℃で15時間撹拌した。混合物を濾過した。濾液を水で洗浄し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物6A(3.3g、77%)を得た。LCMS m/z 280(M+1)
中間体D:メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)アセテート(15A)の合成
ステップ1:1−ブロモ−2−クロロ−5−メチル−4−ニトロベンゼン(8A)の合成
化合物2−ブロモ−1−クロロ−4−メチルベンゼン(50g、0.24mol、1当量)の濃HSO(400ml)中溶液を、氷−水−メタノール浴を用いて0〜5℃に冷却した。濃HSO(26ml)中の発煙硝酸(10.38ml、1.48g/ml、0.24mol)を混合物にゆっくり滴下添加し、次いで0℃で3時間撹拌した。溶液を氷500g/水中に注ぎ入れ、ジクロロメタン(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮して8A(58g)を得、これを更には精製せずに次のステップに直接使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.09 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 2.57 (s, 3H).
ステップ2:1−アリル−2−クロロ−5−メチル−4−ニトロベンゼン(9A)の合成
1−ブロモ−2−クロロ−5−メチル−4−ニトロベンゼン(58g、0.232mol、1当量)、アリルSnBu(99.83g、0.301mol、1.3当量)、Pd(PPh(34.47g、0.023mol、0.1当量)および乾燥ジオキサン(931ml)の溶液を、90℃で16時間撹拌した。反応物を濃縮し、シリカゲル(PE)により精製した。次いで物質を濃縮し、ジクロロメタンに溶解し、飽和CsF水溶液で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮して、標的物9A(36g、73.54%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.07-8.06 (d, 1H), 7.22 (s, 1H), 6.01-5.90 (m, 1H), 5.22-5.11 (m, 2H), 3.55-3.53 (d, 2H), 2.60-2.59 (d, 3H).
ステップ3:2−(2−クロロ−5−メチル−4−ニトロフェニル)酢酸(10A)の合成
1−アリル−2−クロロ−5−メチル−4−ニトロベンゼン(36g、0.17mol、1.0当量)、RuCl.HO(1.8g、8.02mmol、0.047当量)、BuNI(6.3g、17.06mmol、0.1当量)の酢酸エチル(936ml)中混合物を、氷−水浴を用いて0℃で撹拌した。この混合物にNaIO(182.56g、0.85mol、5.0当量)のHO(1.44L)中溶液を滴下添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を1N HClで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して10A(33g)を得、これを更には精製せずに次のステップに直接使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.06 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 3.84 (s, 2H), 2.58 (s, 3H).
ステップ4:メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−ニトロフェニル)アセテート(11A)の合成
化合物2−(2−クロロ−5−メチル−4−ニトロフェニル)酢酸(33g、0.144mol、1.0当量)のSOCl(638ml)中溶液を、100℃に4時間加熱した。反応混合物を濃縮し、次いで冷却したメタノール(473ml)に溶解し、15分間撹拌し、次いで濃縮した。粗製の混合物をシリカゲル(PE:酢酸エチル=30:1)により精製して、11A(22g)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.05 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 3.80 (s, 2H), 3.73 (s,3H), 2.58 (s, 3H).
ステップ5:メチル2−(4−アミノ−2−クロロ−5−メチルフェニル)アセテート(12A)の合成
メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−ニトロフェニル)アセテート(21g、86.42mmol、1.0当量)およびNiCl.6HO(41.13g、0.17mol、2.0当量)のMeOH(588ml)中溶液を、氷−水浴を用いて0℃に冷却した。NaBH(9.85g、0.26mol、3.0当量)をこの溶液に10分かけて少しずつ加え、次いで室温で30分間撹拌した。反応混合物を飽和NHCl水溶液で、続いてHO(3L)でクエンチした。反応混合物をジクロロメタン(500ml×4)で抽出し、有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲル(PE:酢酸エチル=10:1)により精製して、所望の生成物12A(18g)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 6.93 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.64 (s, 2H), 2.11(s, 3H).
ステップ6:メチル2−(4−ブロモ−2−クロロ−5−メチルフェニル)アセテート(13A)の合成
CuBr(10mg)を、メチル2−(4−アミノ−2−クロロ−5−メチルフェニル)アセテート(1.0g、4.68mmol、1.0当量)、t−BuONO(580mg、1.2当量)、p−TsOH(972mg、1.2当量)、TBAB(3.0g、2.0当量)のCHCN(50ml)中溶液に加え、室温で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、次いでジクロロメタン(30ml)に溶解し、飽和NaHCO水溶液(20ml×8)、HO(10ml×2)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して13A(1g)を得、これを更には精製せずに次のステップに直接使用した。
ステップ7:メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセテート(14A)の合成
メチル2−(4−ブロモ−2−クロロ−5−メチルフェニル)アセテート(2.7g、9.78mmol、1当量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(3.23g、12.72mmol、1.3当量)、KOAc(1.92g、19.56mmol、2当量)およびPd(dppf)Cl(500mg)の混合物を、N下トルエン/THF/HO(0.5ml/0.5ml/0.25ml)30mL中で18時間還流した。この混合物を濾過し、濾液を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL×3)で抽出した。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、14A(1.2g)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 7.74 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 3.73 (s, 2H), 3.69 (s,3H), 2.47 (s, 3H), 1.33-1.32 (dd, 12H).
ステップ8:メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)アセテート(15A)の合成
メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセテート(0.8g、2.46mmol、1当量)、2−クロロ−6−メチルピラジン(0.38g、2.95mmol、1.2当量)、KOAc(484mg、4.94mmol、2当量)およびPd(dppf)Cl(300mg)の混合物を、N下トルエン/THF/HO(3.2ml/3.2ml/1.6ml)中で18時間還流した。この混合物を濾過し、濾液を水(20mL)で希釈し、EtOAc(40mL×3)で抽出し、有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、15A(0.13g、18%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 8.497(s, 1H), 8.44 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.26-7.25 (s,1H),3.79 (s, 2H),3.73-3.72 (s, 3H), 2.63(s, 3H), 2.35(s, 3H).
中間体F:メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)アセテート(19A)の合成
ステップ1:メチル2−(2−クロロ−4−シアノ−5−メチルフェニル)アセテート(17A)の合成
メチル2−(4−ブロモ−2−クロロ−5−メチルフェニル)アセテート16A(4g、14.49mmol、1当量)、Zn(CN)(1.7g、14.49mmol、1当量)およびZn(94.2mg、1.45mmol、0.1当量)の無水DMF(40mL)中混合物に、N下でPd(dppf)Cl(500mg)およびPd(dba)(500mg)を加えた。混合物を120℃で1.5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、水(3×50mL)、ブライン(2×50mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(PE/酢酸エチル=10:1から3:1)により精製して、17A(0.4g、12%)を得た。
ステップ2:メチル2−(2−クロロ−4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−5−メチルフェニル)アセテート(18A)の合成
メチル2−(2−クロロ−4−シアノ−5−メチルフェニル)アセテート17A(0.2g、0.896mmol、1当量)およびNHOH.HCl(0.125mg、1.79mmol、2当量)のMeOH(5mL)中溶液に、NaHCO(0.15g、1.79mmol、2当量)を加えた。混合物を70℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却し、濃縮してMeOHを除去し、水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して18A(70mg)を得、これを更には精製せずに次のステップに直接使用した。
ステップ3:メチル2−(2−クロロ−5−メチル−4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)アセテート(19A)の合成
メチル2−(2−クロロ−4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−5−メチルフェニル)アセテート18A(70mg、0.27mmol、1当量)のAcO(5mL)中溶液を、16時間加熱還流した。混合物を濃縮してAcOを除去し、EtOAc(10mL)で希釈し、NaHCO(10mL×3)、ブライン(10mL×2)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して19A(30mg)を得、これを更には精製せずに直接使用した。
適切なフェニルアセテート、アルデヒドおよびアミンを用い、実施例1に記載した方法を用いて、表1中の化合物を合成した。通常、分取HPLCにより精製した後に、化合物を得た。
実施例18のテトラヒドロピランをm−CPBAを用いて酸化することにより、表2中の化合物を合成した。
実施例30に示したラセミ体混合物のキラルHPLC精製を用いて、表3中の化合物を単離した(条件:装置:Thar分取SFC80。カラム:ChiralPak AD−H、内径250×30mm。移動相:COとしてA、EtOHとしてB。濃度勾配:A:B=60:40。流量:65mL/分。化合物をMeOHに溶解して2mg/mlにした。注入:各注入3mL)。
実施例78:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−2−((1−メチルピロリジン−3−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(13)の合成
ステップ1:tert−ブチル3−((6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピロリジン−1−カルボキシレート(11)の合成
2−クロロ−6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン10(0.5g、1.21mmol)およびtert−ブチル3−アミノピロリジン−1−カルボキシレート(0.45g、2.42mmol)およびEtN(122mg、1.21mol)のイソプロパノール(5mL)中混合物を、18時間還流状態で撹拌した。反応が完結するまで、反応物をLCMSにより監視した。この混合物を蒸発させて、化合物11(0.4g)を黄色固体として得た。
ステップ2:tert−ブチル6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−2−(ピロリジン−3−イルアミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(12)の合成
11(0.4g、0.71mmol)のMeOH(10mL)中溶液に、HCl−MeOH溶液(10mL、4N)を温度が0℃で維持される速度で滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。この混合物を蒸発させ、分取HPLCにより精製して、12(250mg)を得た。LCMS m/z 462.17(M+H)
ステップ3:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−2−((1−メチルピロリジン−3−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(13)の合成
12(200mg、0.94mmol)のTHF(4mL)およびジクロロメタン(5mL)中溶液に、ホルムアルデヒド(114.37mg、1.41mmol、HO中37%)のTHF(1mL)中溶液を0℃で少しずつ滴下添加した。反応混合物を室温で20分間撹拌した。次いでNa(AcO)BH(2.98g、14.1mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応が完結するまで、反応物をLCMSにより監視した。この混合物を蒸発させ、次いで分取HPLCにより精製して、13(60mg)を得た。LCMS m/z 467.2 (M+H)+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.67 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.27-8.25 (m, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.67-7.65 (dd, 1H), 7.52-7.50 (dd , 1 H), 4.48-4.47 (br, 2H), 4.34-4.32 (m, 2H), 3.32 (m, 1H), 3.02-2.99 (m, 1H), 2.98-2.94 (m, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 2.47-2.42 (m , 1H), 1.97-1.87 (m, 1H), 1.24 (t, 3H).
適切なアルデヒド、アミンおよびフェニルアセテートを用い、実施例78に記載した方法を用いて、表4中の化合物を合成した。通常、分取HPLCにより精製した後に、化合物を得た。無水酢酸と二級または一級アミンとを反応させることにより、アセチル化化合物を合成した。
実施例84:6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−((trans−1,4)−4−((ジメチルアミノ)メチル)シクロヘキシルアミノ)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(19)の合成
ステップ1:中間体15の合成
(Boc)O(2.07g、9.5mmol)のジクロロメタン(25mL)中溶液を、ベンジル((trans−1,4)−4−(アミノメチル)シクロヘキシル)カルバメート14(2.5g、9.5mmol)およびEtN(4mL、28.5mmol)のジクロロメタン(75mL)中溶液中に0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いでジクロロメタン(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、化合物15(2.9g、85%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.35-7.32 (m, 5H), 5.04 (s, 2H), 2.87-2.86 (dd, 2H), 1.94-1.92 (m, 2H), 1.78-1.75 (m, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.21-1.17 (m, 2H), 1.01-0.98 (m, 2H).
ステップ2:tert−ブチル((trans−1,4)−4−アミノシクロヘキシル)メチル)カルバメート(16)の合成
化合物15(2.9g、8mmol)のメタノール(100mL)中溶液を、Ar下10%Pd/C(1.5g)に加えた。混合物をH(50psi)下室温で4時間撹拌した。反応が完結した後、溶液をセライトのパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮して、16(1.5g)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.88-2.87 (dd, 2H), 2.69 (m, 1H), 1.94-1.91 (m, 2H), 1.80-1.77 (m, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.19-1.16 (m, 2H), 1.01-0.97 (m, 2H).
ステップ3:tert−ブチル((trans−1,4)−4−(6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)シクロヘキシル)メチルカルバメート(17)の合成
2−クロロ−6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(0.5g、1.21mmol)および16(0.55g、2.42mmol)およびEtN(122mg、1.21mol)のイソプロパノール(5mL)中混合物を、18時間還流状態で撹拌した。反応が完結するまで、反応物をLCMSにより監視した。この混合物を蒸発させて、粗製の化合物17(0.4g)を黄色固体として得た。
ステップ4:2−(((trans−1,4)−4−(アミノメチル)シクロヘキシル)アミノ)−6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(18)の合成
17(0.3g、0.50mmol)のMeOH(10mL)中溶液に、温度が0℃で維持される速度でHCl−MeOH溶液(10mL、4N)を滴下添加し、次いで反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応が完結するまで、反応物をLCMSにより監視した。この混合物を蒸発させ、分取HPLCにより精製して、18(30mg)を得た。LCMS m/z 504.22 (M+H) +.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H),8.64 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.26-8.25 (s, 1H), 8.15-8.12 (dd, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.55-7.53 (dd , 1 H), 4.32-4.31 (m, 2H), 2.68-2.64 (m, 2H),2.58 (s, 3H), 2.48-2.47 (m, 2H),2.05 (m, 1H),1.89-1.82 (m, 2H), 1.56-1.53 (m, 1H), 1.32-1.29 (m , 2H), 1.24-1.21 (m, 3H),1.10-1.04 (m, 2H).
ステップ5:6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(((trans−1,4)−4−((ジメチルアミノ)メチル)シクロヘキシル)アミノ)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(19)の合成
18(200mg、0.40mmol)のTHF(4mL)およびジクロロメタン(5mL)中溶液に、ホルムアルデヒド(77.84mg、0.96mmol、HO中37%)のTHF(1mL)中溶液を0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で20分間撹拌した。Na(AcO)BH(1.27g、6mmol)を0℃で反応混合物に加え、室温で終夜撹拌した。溶液を蒸発させ、分取HPLCにより精製して、19(108mg)を得た。LCMS m/z 532.22 (M+H) +. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H),8.64 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.14-8.12 (dd, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.54-7.52 (dd , 1 H), 4.32-4.30 (m, 2H), 2.86 (br, 2H), 2.61 (s, 6H), 2.57 (s, 3H), 2.03-2.01 (m, 1H),2.05 (m, 1H),1.92-1.90 (m, 3H), 1.88 (br, 1H), 1.6-1.30 (m , 2H), 1.24-1.21 (m, 4H),1.18-1.06 (m, 2H).
適切なアルデヒド、アミンおよびフェニルアセテートを用い、実施例84に記載した方法を用いて、表5中の化合物を合成した。通常、分取HPLCにより精製した後に、化合物を得た。
実施例88:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−シクロペンチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(34)の合成
ステップ1:エチル−(シクロペンチルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシレート(21)の合成
化合物20(25.59g、110mmol)のTHF(500mL)中溶液に、シクロペンタンアミン(18.72g、220mmol)を室温で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、水(100mL)を加え、次いでEtOAc(200mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:10)により精製して、純粋な生成物21(25.3g)を得た。
ステップ2:(4−(シクロペンチルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−イル)メタノール(22)の合成
化合物21(25.23g、90mmol)のTHF(500mL)中溶液に、LiAlH(5.12g、135mmol)を−20℃〜−5℃で少しずつ加えた。混合物を−20℃〜−5℃で1時間撹拌した。水(5ml)、10%NaOH水溶液(5ml)および水(5mL)を−20℃〜−5℃で順次加えた。混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(3×100mL)で洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、蒸発させて、粗生成物22(21.54g)を得た。粗生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。
ステップ3:4−(シクロペンチルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒド(23)の合成
化合物22(21.54g、90mmol)、MnO(39.11g、450mmol)のジクロロメタン(500ml)中混合物を18時間還流した。混合物を濾過し、蒸発させ、次いでシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:10)により精製して、23(11.9g、収率56%)を得た。
ステップ4:(E)−メチル3−(4−(シクロペンチルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−イル)アクリレート(24)の合成
NaH(60%)(2.10g、55mmol)のTHF(100ml)中混合物に、THF(50mL)中のエチルエトキシ(エチルペルオキシメチル)ホスフィンカルボキシレート(12.33g、55mmol)を0℃〜5℃で加えた。混合物を0℃〜5℃で0.5時間撹拌した。この懸濁液にTHF(50mL)中の化合物23(11.87g、50mmol)を0℃〜5℃で加えた。混合物を室温で6時間撹拌した。水(100ml)を0℃〜5℃で滴下添加した。酢酸エチル(200mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)を加えた。2相を分離し、有機層を飽和KCO水溶液(100mL)および水(100mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:10)により精製して、純粋な生成物24(13.8g)を得た。
ステップ5:8−シクロペンチル−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(25)の合成
化合物24(13.83g、45mmol)、DBU(20.55g、135mmol)のNMP(100mL)中混合物を、120℃で4時間撹拌した。室温に冷却した後、水(1000mL)を加えた。混合物を濾過した。固体をHOで洗浄し、乾燥して、粗生成物を得た。粗製物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:10)により精製して、25(7.84g)を得た。
ステップ6:6−ブロモ−8−シクロペンチル−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(26)の合成
化合物25(7.84g、30mmol)、NBS(5.80g、33mmol)のDMF(60mL)中混合物を、室温で終夜撹拌した。水(600mL)を加えた。混合物を濾過した。固体をHOで洗浄し、乾燥して、粗生成物を得た。粗製物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:10)により精製して、26(6.80g)を得た。
ステップ7:2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン(28)の合成
化合物4−ブロモ−2−クロロアニリン27(28g、0.135mol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(44.76g、0.176mol)、KOAc(16.66g、0.17mol)およびPd(dppf)Cl(5.4g)の混合物を、N下乾燥ジオキサン300mL中で18時間還流した。この混合物を濾過し、濾液を水(500mL)で希釈し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、粗製物28(50g)を得、これを次のステップに直接使用した。LCMS m/z 254(M+H)
ステップ8:2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)アニリン(29)の合成
2−クロロ−3−メチルピラジン(5g、38.89mmol)、KOAc(7.62g、77.78mmol)、2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン(11.11g、50.56mmol)およびPd(dppf)Cl(1g、0.1当量)のトルエン/THF/HO(2:2:1、70mL)中混合物を、100℃で15時間撹拌した。反応混合物をHO(30mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。全ての有機層を合わせ、ブライン(2×20mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。粗製の混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:1)により精製して、所望の生成物11(3g)を得た。LCMS m/z 220(M+H)
ステップ9:2−(4−ブロモ−3−クロロフェニル)−3−メチルピラジン(30)の合成
2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)アニリン(3g、13.65mmol)のアセトニトリル(30mL)中溶液に、窒素下0℃で亜硝酸tert−ブチル(3.77mL、15.03mmol)を滴下添加した。添加後、臭化銅(II)(3.36g、15.03mmol)を窒素下、上記混合物に0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温に加温しながら終夜撹拌した。反応混合物を濃縮し、水を残留物に加え、次いで酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させて、粗製物を得た。この粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:酢酸エチル=1:1)により精製して、2−(4−ブロモ−3−クロロフェニル)−3−メチルピラジン30(1.2g)を得た。LCMS m/z 284(M+H)
ステップ10:2−(3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−3−メチルピラジン(31)の合成
化合物2−(4−ブロモ−3−クロロフェニル)−3−メチルピラジン(1g、3.52mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(1.16g、4.57mol)、KOAc(690mg、7.04mmol)およびPd(dppf)Cl(200mg)の混合物を、N下乾燥ジオキサン15mL中で18時間還流した。この混合物を濾過し、濾液を水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、粗製物31(1.2g)を得、これを次のステップに直接使用した。LCMS m/z 331(M+H)
ステップ11:6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−シクロペンチル−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(32)の合成
26(1.48g、4.35mmol)、KOAc(711mg、7.26mmol)、31(1.2g、3.63mmol)およびPd(dppf)Cl(300mg、0.1当量)のトルエン/THF/HO(2:2:1、20ml)中混合物を、100℃で15時間撹拌した。反応混合物をHO(30ml)で希釈し、ジクロロメタン(30ml×2)で抽出した。全ての有機層を合わせ、ブライン(2×20ml)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過した。この粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:酢酸エチル=1:1)により精製して、所望の生成物32(840mg)を得た。LCMS m/z 464(M+H)
ステップ12:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−シクロペンチル−2−(メチルスルフィニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(33)の合成
化合物32(300mg、0.64mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、3−クロロ過安息香酸(153mg、0.71mmol、80%)のジクロロメタン(2mL)中溶液を0〜5℃で滴下添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×10mL)および水(10mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させた。化合物33を黄色固体として得、精製せずに使用した(310mg、粗製物)。
ステップ13:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−シクロペンチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(34)の合成
33(310mg、0.65mmol)およびテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(197.1mg、1.95mmol)およびDIPEA(335.79mg、2.60mmol)のTHF(8mL)中混合物を、室温で18時間撹拌した。この混合物を蒸発させて、粗製の化合物を得、これを分取−HPLCにより精製して、生成物34(153mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δppm: 8.71 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 8.11 (br, 0.3H), 7.84 (s, 1H), 7.77 (m, 1H), 7.67-7.65 (dd, 1H), 7.51-7.49 (dd, 1H), 5.93-5.90 (br, 1H), 4.11-4.09 (m, 1H), 3.97-3.88 (m, 2H), 3.41-3.35 (t, 2H), 2.60 (s, 3H), 2.31-2.30 (m, 2H), 1.93-1.71 (m, 6H) , 1.62-1.55 (m, 4H).
ステップ8において適切なピラジンを用い、実施例88に記載した方法を用いて、表6中の化合物を合成した。
実施例90:2−(((trans−1,4)−4−アミノシクロヘキシル)アミノ)−6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(37)の合成
ステップ1:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−2−(メチルスルフィニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(36)の合成
35(9.29g、0.022mol)のジクロロメタン(80mL)中溶液に、3−クロロ過安息香酸(80%、4.74g、0.022mol)のジクロロメタン(20mL)中溶液を0〜5℃で滴下添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×20mL)および水(20mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させた。化合物36を黄色固体として得、更には精製せずに次のステップに使用した(10.0g、粗製物)。
ステップ2:2−(((trans−1,4)−4−アミノシクロヘキシル)アミノ)−6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(37)の合成
化合物36(1.0g、0.0023mol)、化合物3(0.77g、0.0069mol)およびDIPEA(1.187g、0.0092mol)のTHF(10mL)中混合物を、室温で18時間撹拌した。混合物を蒸発させ、粗生成物を分取−HPLCにより精製して、化合物37(24mg、2%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δppm: 8.68 (m, 1H), 8.56-8.55 (dd, 2H), 8.08 (s, 3H), 7.86 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.66-7.65 (dd, 1H), 7.52-7.50 (dd, 1H), 4.32-4.31 (m, 2H), 2.61 (s, 3H), 2.06-2.02 (m, 5H), 1.45-1.41 (m, 4H), 1.24-1.22 (m, 3H).
ステップ2において適切なアミンを用い、実施例90に記載した一般方法を用いて、表7中の化合物を合成した。通常、分取HPLCにより精製した後に、化合物を得た。
実施例95:6−(2−クロロ−4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)−2−(4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニルアミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(46)の合成
ステップ1:エチル4−((2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)アミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシレート(39)の合成
エチル4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシレート38(3.00g、13.04mmol)の乾燥THF(60mL)中溶液に、N下tert−ブチル(2−アミノエチル)カルバメート(2.50g、15.65mmol)およびトリエチルアミン(1.32g、13.04mmol)を室温で加えた。溶液を室温で終夜撹拌した。水(40mL)を加え、溶液をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させて、エチル4−((2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)アミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシレート39(4.60g)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) ppm: 8.63 (s, 1H), 8.39 (br, 1H), 4.93 (br, 1H), 4.34-4.29 (q, 2H), 3.67-3.60 (m, 2H), 3.40-3.37 (m, 2H), 2.53 (s, 3H), 1.43 (s, 9H), 1.38-1.34(t, 3H).
ステップ2:tert−ブチル(2−((5−(ヒドロキシメチル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)アミノ)エチル)カルバメート(40)の合成
39(4.6g、12.92mmol)のTHF(72mL)中溶液に、N下LiAlH(512mg、13.5mmol)を−20から−10℃で少しずつ加えた。混合物を−20から−10℃で2時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、続いてHO(0.5ml)および10%NaOH水溶液(0.5mL)を加えた。混合物をジクロロメタン(50ml×3)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:1→2:1)により精製して、tert−ブチル(2−((5−(ヒドロキシメチル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)アミノ)エチル)カルバメート40(2.26g)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) ppm: 7.69 (s, 1H), 6.33 (br, 1H), 5.18 (br, 1H), 4.49 (s, 2H), 3.62-3.59 (m, 2H), 3.38-3.34 (m, 2H), 2.50 (s, 3H), 1.42 (s, 9H).
ステップ3:tert−ブチル(2−((5−ホルミル−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)アミノ)エチル)カルバメート(41)の合成
40(2.26g、7.20mmol)、MnO(6.30g、72.0mmol)のジクロロメタン(80mL)中混合物を、N下終夜加熱還流した。混合物を室温に冷却し、濾過し、蒸発させて、tert−ブチル(2−((5−ホルミル−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)アミノ)エチル)カルバメート41(2.0g)を白色固体として得た。化合物を更には精製せずに、次のステップに直接使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) ppm: 9.73 (s, 1H), 8.76 (br, 1H), 8.34 (s, 1H), 4.89 (br 1H), 3.76-3.72 (m, 2H), 3.44-3.40 (m, 2H), 2.58 (s, 3H), 1.45 (s, 9H).
ステップ4:tert−ブチル(2−(6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルチオ)−7−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−8(7H)−イル)エチル)カルバメート(42)の合成
41(490g、1.57mmol)、メチル2−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)アセテート(436mg、1.57mmol)、KCO(650mg、4.71mmol)のDMF(10mL)中混合物を、N雰囲気下70℃で終夜加熱した。室温に冷却した後、氷を加えた。混合物を濾過し、濾過ケーキをジクロロメタンに溶解した。混合物を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、42(0.75g)を黄色固体として得た。化合物を更には精製せずに次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) ppm: 8.78 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.95-7.67 (m, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.46-7.44 (m, 1H), 7.20-7.19 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.66-4.63 (m, 1H), 3.58-3.44 (m, 2H), 2.60-2.59 (d, 6H), 1.30 (s, 9H).
ステップ5:tert−ブチル(2−(6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルスルフィニル)−7−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−8(7H)−イル)エチル)カルバメート(43)の合成
42(300mg、0.56mmol)のジクロロメタン(7.5mL)中混合物に、N下3−クロロベンゾペルオキソ酸(80%)(131mg、0.61mmol)のジクロロメタン(3.5mL)中溶液を−10〜0℃で20分かけて滴下添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。反応が完結した後、混合物を飽和NaHCO3溶液でクエンチした。混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させて、粗生成物350mgを得た。粗生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) ppm: 8.78 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.95-7.67 (m, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.46-7.44 (m, 1H), 7.20-7.19 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.66-4.63 (m, 1H), 3.58-3.44 (m, 2H), 2.60-2.59 (d, 6H), 1.30 (s, 9H).
ステップ6:tert−ブチル(2−(6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルスルフィニル)−7−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−8(7H)−イル)エチル)カルバメート(44)の合成
43(350mg、0.63mmol)、DIPEA(163mg、1.26mmol)および(R)−テトラヒドロフラン−3−アミン塩酸塩(117mg、0.95mmol)のTHF(20mL)中混合物を、N下室温で終夜撹拌した。混合物をHOでクエンチし、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させて、44(0.35g)を黄色固体として得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。
ステップ7:tert−ブチル(2−(6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルスルフィニル)−7−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−8(7H)−イル)エチル)カルバメート(45)の合成
44(0.35g、0.61mmol)のMeOH(7mL)中溶液に、温度が0℃で維持される速度でHCl−MeOH(20mL、4N)を滴下添加した。次いで反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取−HPLCにより精製して、45(80mg)を得た。LCMS m/z 478.1 (M+H)+ 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δppm: 9.15 (s,1H), ,8.67 (s, 1H),8.56 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.22-8.21 (m, 1H), 8.16-8.13 (m, 1H), 7.56-7.54 (m, 1H), 4.49-4.47 (m, 1H), 4.31-4.30 (m, 2H), 4.00-3.96 (m, 1H), 3.88-3.82 (m, 1H), 3.77-3.71 (m, 1H), 3.65-3.60 (m, 1H) , 2.85-2.81 (m, 2H) , 2.59 (s, 3H), 2.21-2.20 (m, 1H) , 1.98-1.94 (m, 1H).
ステップ8:tert−ブチル(2−(6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルスルフィニル)−7−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−8(7H)−イル)エチル)カルバメート(46)の合成
45(100mg、0.21mmol)のTHF/ジクロロメタン(2mL/2mL)中溶液を、氷−水浴を用いて0℃に冷却した。THF(1mL)中のHCHO(水中37%、40.8mg、0.503mmol)を混合物に滴下添加し、溶液を0℃で20分間撹拌した。NaBH(OAc)(666.7mg、3.14mmol)を混合物に0℃で滴下添加し、次いで混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。反応物を濃縮し、次いでジクロロメタン(5mL)に溶解し、飽和NaHCO水溶液(10mL×3)で洗浄した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濃縮し、分取−TLCにより精製して、46(17.65mg、16.81%)を得た、1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14-9.12 (dd,1H), ,8.68-8.66 (dd, 1H),8.56-8.54 (dd, 1H),8.26-8.21 (m, 2H), 8.15-8.12 (m, 1H),7.84-83 (dd, 1H),7.56-7.52 (m, 1H),4.47-4.39 (dd, 3H), 3.95-3.48 (m, 2H), 3.75-3.74 (m,1H), 3.72 (br, 1H) , 2.59-2.58 (dd,3H) , 2.49-2.48 (br, 2H), 2.23-2.21 (dd,7H) , 1.97-1.96 (br, 1H).
適切なアニリン、アルデヒドおよびフェニルアセテートを用い、実施例95における方法を用いて、表8中の化合物を合成した。通常、分取HPLCまたは分取TLCにより精製した後に、化合物を得た。塩の生成が好適な場合、最終の類縁体をMeOHに溶解し、HCl/EtOAc(4N)を室温で滴下添加した。溶液を濃縮してHCl塩を得た。
実施例122:(R)−6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−(ピリジン−3−イルメチル)−2−((テトラヒドロフラン−3−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(53)の合成


ステップ1:エチル2−(メチルチオ)−4−((ピリジン−3−イルメチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキシレート(48)の合成
47(2.3g、0.01mol)の乾燥THF(30mL)中溶液に、N下ピリジン−3−イルメタンアミン(2.16g、0.02mol)の溶液を室温で加えた。溶液を室温で終夜撹拌した。HO(40mL)を加え、溶液をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させて48(3.04g)を得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。
ステップ2:(2−(メチルチオ)−4−((ピリジン−3−イルメチル)アミノ)ピリミジン−5−イル)メタノール(49)の合成
48(2.0g、6.58mmol)のTHF(36ml)中溶液に、N下LiAlH(370mg、9.87mmol)を−20〜−10℃で少しずつ加えた。混合物を−20〜−10℃で2時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、HO(0.5mL)および10%NaOH水溶液(0.5mL)を加えた。混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:PE=1:1→2:1)により精製して、化合物49(1.63g)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) ppm: 8.43-8.38 (m, 2H), 7.64-7.59 (m, 2H), 7.18-7.16 (m, 1H), 6.46-6.45 (m, 1H), 4.66-4.65 (d, 2H), 4.48 (s, 2H), 2.36 (s, 3H).
ステップ3:2−(メチルチオ)−4−((ピリジン−3−イルメチル)アミノ)ピリミジン−5−カルバルデヒド(50)の合成
49(0.8g、3.05mmol)、MnO(2.66g、30.5mmol)のジクロロメタン(20mL)中混合物を、N下終夜加熱還流した。混合物を室温に冷却し、濾過し、蒸発させて、化合物50(0.42g)を白色固体として得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。
ステップ4:6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルチオ)−8−(ピリジン−3−イルメチル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(51)の合成
50(0.82g、3.15mmol)、メチル2−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)アセテート(870mg、3.15mmol)、KCO(1.31g、9.46mmol)のDMF(17mL)中混合物を、N雰囲気下70℃で終夜加熱した。室温に冷却した後、氷を加え、混合物を濾過した。濾過したケーキをジクロロメタンに溶解し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、51(1.33g)を黄色固体として得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。
ステップ5:tert−ブチル6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−(メチルスルフィニル)−8−(ピリジン−3−イルメチル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(52)の合成
51(200mg、0.41mmol)のジクロロメタン(5.0mL)中混合物に、N下3−クロロベンゾペルオキソ酸(80%)(87mg、0.41mmol)のジクロロメタン(2.5mL)中溶液を−10〜0℃で20分かけて滴下添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。反応が完結した後、混合物を飽和NaHCO3溶液でクエンチした。混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、蒸発させて52(200mg)を得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。
ステップ6:(R)−6−(2−クロロ−4−(3−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−(ピリジン−3−イルメチル)−2−((テトラヒドロフラン−3−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(53)の合成
52(200mg、0.40mmol)および(R)−テトラヒドロフラン−3−アミン塩酸塩(158mg、1.19mmol)のTHF(4ml)中混合物に、N下室温でDIPEA(206mg、1.69mmol)を加えた。溶液を室温で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を分取−HPLCにより精製して、化合物53(45mg)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 8.73-8.70 (m,1H), ,8.60-8.56 (m, 2H), 8.45-8.43 (m, 1H), 8.28-8.29 (m, 1H), 8.17-8.14 (m, 1H), 7.94-7.92 (m, 1H), 7.80 (m, 1H), 7.71-7.67 (m, 1H), 7.57-7.55 (m, 1H), 7.35-7.32 (m, 1H), 5.53-5.48 (m, 2H), 4.53-4.41 (m, 1H), 3.89-3.78 (m, 2H), 3.73-3.67 (m, 1H), 3.62-3.48 (m, 1H) , 2.62 (s, 3H), 2.14-2.10 (m, 1H) , 1.88-1.86 (m, 1H).
適切なアニリン、アルデヒドおよびフェニルアセテートを用い、実施例122における方法を用いて、表9中の化合物を合成した。通常、分取HPLCにより精製した後に、化合物を得た。
実施例127:6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)アミノ)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(62)の合成
ステップ1:tert−ブチル(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバメート(55)の合成
(Boc)O(31.17g、0.143mol)のジクロロメタン(150mL)中溶液を、ジクロロメタン(300mL)中の化合物2−(2−アミノエトキシ)エタノール54(15g、0.143mol)およびEtN(60mL、0.429mol)中に0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。合わせた反応混合物をブライン(2×100mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、tert−ブチル(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバメート55(30g)を得た。生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.66-3.64 (m, 2H), 3.53-3.48 (m, 4H), 3.23-3.21 (t, 2H), 1.43 (s, 9H).
ステップ2:2−(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)エチルメタンスルホネート(56)の合成
メタンスルホニルクロリド(18.32g、0.16mol)のジクロロメタン(100mL)中溶液を、ジクロロメタン(500mL)中の化合物tert−ブチル(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバメート55(30.0g、0.146mol)およびEtN(30mL、0.219mol)中に0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を水でクエンチし、ジクロロメタン(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、2−(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)エチルメタンスルホネート56(37g)を得た。生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 4.36-4.34 (m,2H), 3.73-3.71 (m, 2H), 3.54-3.51 (m, 2H), 3.30-3.22 (t, 2H), 3.08 (s, 3H),1.43 (s, 9H).
ステップ3:tert−ブチル(2−(2−アジドエトキシ)エチル)カルバメート(57)の合成
アジ化ナトリウム(1.76g、0.0272mol)を、化合物2−(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)エチルメタンスルホネート56(7.0g、0.0247mol)のDMF(150mL)中溶液に加えた。反応混合物を90℃で3時間撹拌した。反応混合物を周囲温度に冷却し、冷却水で希釈した。混合物をEtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、tert−ブチル(2−(2−アジドエトキシ)エチル)カルバメート57(5.0g)を油状物として得た。生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.65-3.62 (m, 2H), 3.53-3.50 (m, 2H), 3.38-3.36 (m, 2H), 3.30 (m, 2H), 3.24 (m, 2H), 1.43 (s, 9H).
ステップ4:tert−ブチル(2−(2−アミノエトキシ)エチル)カルバメート(58)の合成
tert−ブチル(2−(2−アジドエトキシ)エチル)カルバメート57(5.0g、0.0217mol)のメタノール(100mL)中溶液を、Ar下10%Pd/C(2.5g)に加えた。混合物をH(50psi)下室温で終夜撹拌した。セライトのパッドを通して濾過した後、有機層を減圧下で濃縮して、tert−ブチル(2−(2−アミノエトキシ)エチル)カルバメート58(3.0g)を得た。生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.48-3.45 (m, 4H) , 3.23-3.20 (t, 2H), 2.77-2.75 (m, 2H), 1.43 (s, 9H).
ステップ5:tert−ブチル(2−(2−((6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)エトキシ)エチル)カルバメート(60)の合成
58(1.0g、0.0023mol)およびtert−ブチル(2−(2−アミノエトキシ)エチル)カルバメート59(1.4g、0.0069mol)およびDIPEA(1.18g、0.0092mol)のTHF(15mL)中混合物を、室温で18時間撹拌した。混合物を蒸発させて、60(2.0g)を得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。LCMS m/z 580.08(M+H)
ステップ6:2−((2−(2−アミノエトキシ)エチル)アミノ)−6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(61)の合成
60(2.0g、3.4mol)のMeOH(20mL)中溶液を、温度が0℃未満で維持される速度でHCl−MeOH(20mL、4N)に滴下添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物を濃縮し、分取−HPLCにより精製して、61(178mg)を得た。LCMS m/z 480.18 (M+H) +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.26-8.25 (s, 1H), 8.15-8.13 (d, 1H), 7.84 (s, 4H), 7.55-7.53 (dd, 1H), 4.34-4.33 (m, 2H), 3.65 (m, 6H), 3.0-2.97 (m, 2H), 2.60 (s, 3H), 1.23-1.21 (m, 3H).
ステップ7:6−(2−クロロ−4−(6−メチルピラジン−2−イル)フェニル)−2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)アミノ)−8−エチルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(62)の合成
61(200mg、0.40mmol)のTHF(5mL)およびジクロロメタン(5mL)中溶液に、ホルムアルデヒド(77.84mg、0.96mmol、HO中37%)のTHF(1mL)中溶液を0℃で少しずつ滴下添加した。反応混合物を室温で20分間撹拌し、次いでNa(CHCOO)BH(1.27g、6mmol)を0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶液を蒸発させ、分取−HPLCにより精製して、62(108mg)を得た。LCMS m/z 508.21 (M+H) +. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.14 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.15-8.13 (d, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.55 (dd, 1H), 4.34-4.32 (br, 3H), 3.75 (m, 2H), 3.67 (m, 1H), 3.60 (m, 2H), 2.77-2.76 (m, 6H), 2.58 (s, 3H), 1.213-1.22 (m, 3H).
適切なアニリン、アルデヒドおよびフェニルアセテートを用い、実施例127における方法を用いて、表10中の化合物を合成した。通常、分取HPLCにより精製した後に、化合物を得た。塩の生成が好適な場合、最終の類縁体をMeOHに溶解し、HCl/EtOAc(4N)を室温で滴下添加した。溶液を濃縮して、HCl塩を得た。
生物学的実施例
実施例10:インビトロPAK阻害アッセイ
アッセイ条件
化合物を、ウェル中1%DMSO(最終)でスクリーニングする。10の滴定点ごとに、3倍連続希釈を実施する。すべてのペプチド/キナーゼ混合物を、適切なキナーゼ緩衝液で2×使用濃度に希釈する。
キナーゼ特異的アッセイの条件
PAK1
2×PAK1/Ser/Thr19混合物を、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中で調製する。最終的なキナーゼ反応物10μLは、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中、2.71〜30.8ngのPAK1および2μMのSer/Thr19からなる。キナーゼ反応物を1時間インキュベーションした後、発光試薬Aの1:128希釈物5μLを添加する。
PAK2(PAK65)
2×PAK2(PAK65)/Ser/Thr20混合物を、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中で調製する。最終的なキナーゼ反応物10μLは、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中、0.29〜6ngのPAK2(PAK65)および2μMのSer/Thr20からなる。キナーゼ反応物を1時間インキュベーションした後、発光試薬Aの1:256希釈物5μLを添加する。
PAK3
2×PAK3/Ser/Thr20混合物を、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中で調製する。最終的なキナーゼ反応物10μLは、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中、2.25〜22ngのPAK3および2μMのSer/Thr20からなる。キナーゼ反応物を1時間インキュベーションした後、発光試薬Aの1:256希釈物5μLを添加する。
PAK4
2×PAK4/Ser/Thr20混合物を、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中で調製する。最終的なキナーゼ反応物10μLは、50mMのHEPES、pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mMのMgCl、1mMのEGTA中、0.1〜0.75ngのPAK4および2μMのSer/Thr20からなる。キナーゼ反応物を1時間インキュベーションした後、発光試薬Aの1:256希釈物5μLを添加する。
アッセイ対照
以下の対照を、各個々のキナーゼに対して生成し、そのキナーゼと同じプレート上に置く。
0%リン酸化対照(100%阻害対照)
最大発光比を、ATPを含有しておらず、したがってキナーゼ活性を示さない0%リン酸化対照(100%阻害対照)によって確立する。この対照では、発光反応においてペプチドが100%切断される。
100%リン酸化対照
ペプチド基質と同じ配列の合成リン酸化ペプチドからなる100%リン酸化対照を設計して、リン酸化の割合(%)を算出できるようにする。
この対照では、発光反応において非常に少ない割合(%)のペプチドが切断される。
0%リン酸化対照および100%リン酸化対照によって、特異的な反応ウェル中で達成されたリン酸化の割合(%)を算出することができる。対照ウェルは、任意のキナーゼ阻害剤を含んでいない。
0%阻害対照
スクリーニングにおける最小発光比は、活性なキナーゼを含有する0%阻害対照によって確立される。この対照は、キナーゼ反応中に10〜50%のリン酸化ペプチドが生成されるように設計される。
公知の阻害剤
公知の阻害剤対照の10の滴定点による標準曲線を、各個々のキナーゼに対して、そのキナーゼと同じプレート上で得、既に決定されている予測IC50範囲内で、そのキナーゼが確実に阻害されるようにする。
以下の対照を、アッセイした試験化合物の各濃度ごとに調製する。
発光反応干渉
発光反応干渉を、ATPを含有していない試験化合物の対照ウェルと、0%リン酸化対照(試験化合物を含有していない)を比較することによって確立する。非干渉化合物の予測値は、100%になるはずである。90%〜110%以外の任意の値にフラグを設定する。
試験化合物の蛍光干渉
試験化合物の蛍光干渉は、キナーゼ/ペプチド混合物を含有していない試験化合物の対照ウェル(ゼロペプチド対照)と、0%阻害対照を比較することによって決定する。非蛍光化合物の予測値は、0%になるはずである。20%超の任意の値にフラグを設定する。
アッセイプロトコル
Corning製バーコード化少量NBS、黒色384ウェルプレート(Corningカタログ番号3676)
1.以下の溶液を384ウェルプレート中のウェルに添加する:
4×試験化合物2.5μLまたは(100×試験化合物100nLと、キナーゼ緩衝液2.4μL)
2×ペプチド/キナーゼ(PAK)混合物5μL
4×ATP溶液2.5μL
2.プレートを30秒間振とうする
3.PAKキナーゼ反応物を室温で60分間インキュベートする
4.発光試薬溶液5μLを各ウェルに添加する
5.プレートを30秒間振とうする
6.発光反応物を60分間インキュベートする
7.蛍光プレートリーダーを使用して蛍光を決定する
8.蛍光データを分析する
データ分析
以下の等式を、データ点の各組に対して使用する。
FI=蛍光強度
C100%=100%Phos.対照の平均クマリン発光シグナル
C0%=0%Phos.対照の平均クマリン発光シグナル
F100%=100%Phos.対照の平均フルオレセイン発光シグナル
F0%=0%Phos.対照の平均フルオレセイン発光シグナル
DRI=発光反応干渉
TCFI=試験化合物の蛍光干渉
グラフ化ソフトウェア
SelectScreen(登録商標)キナーゼプロファイリングサービスでは、IDBS製のXLfitを使用する。用量反応曲線は、モデル番号205(S字型用量反応モデル)に適合する曲線である。曲線の底部が−20%〜20%阻害の間に適合しない場合、0%阻害に設定する。曲線の最上部が70%〜130%阻害に適合しない場合、100%阻害に設定する。
キナーゼのATP Km、Binおよび阻害剤を検証する表
以下の表は、各キナーゼに関する明細とデータを示す。各キナーゼの公知の阻害剤による典型的なIC50値を、ATP Km appに最も近いATP binにおいて決定した。
表:PAK阻害IC50
A、IC50<50nM;B、50nM≦IC50≦500nM;C、0.5μM<IC50<5μM;D、IC50≧5μM
実施例11:追加のインビトロPAK阻害アッセイ
類似のインビトロPAK1およびPAK4阻害アッセイを、癌治療用の化合物により、10uMおよび1mMのATP濃度の下で実施する。結果を以下の表に一覧にする。
A、IC50<50nM;B、50nM≦IC50≦500nM;C、0.5μM<IC50<5μM;D、IC50≧5μM
実施例12:インビトロp−PAK1(S144)およびp−MEK1(S298)細胞アッセイ
癌治療用の化合物のいくつかを、p−PAK1(S144)およびp−MEK1(S298)のインビトロ細胞HTRFアッセイにかける。細胞株はRT4−D6P2Tである。HTRFアッセイキットは、Cisbio Bioassays、135 South Road、Bedford、MA 01730、USAから得られる。結果を以下の表に一覧にする。
A、IC50<50nM;B、50nM≦IC50≦500nM;C、0.5μM<IC50<5μM;D、IC50≧5μM
実施例13:式I〜IVおよびA〜Dの化合物による様々な癌細胞株における増殖阻害
方法:60種類の細胞株(CCRF−CEM、HL−60(TB)、K−562、MOLT−4、RPMI−8226、SR、A549、EKVX、HOP−62、HOP−92、NCI−H226、NCI−H23、NCI−H322M、NCI−H460、NCI− H522、COLO 205、HCC−2998、HCT−116、HCT−15、HT29、KM12、SW−620、SF−268、SF− 295、SF−539、SNB−19、SNB−75、U251、LOX IMV1、MALME−3M、M14、SK−MEL−2、SK− MEL−28、SK−MEL−5、UACC−257、UACC−62、IGR−OV 1、OVCAR−3、OVCAR−4、OVCAR− 5、OVCAR−8、SK−OV−3、786−0、A498、ACHN、CAKI−1、RXF 393、SN12C、TK−10、UO−31、PC−3、DU−145、MCF7、NCI/ADR−RES、MDA−MB−231、HS 578T、MDA−MB−435、MDA− MB−468、BT−549、およびT−47D)を、10%FBSを含むRPMI−1640培地で増殖させる。試験化合物の原液を、DMSO中で調製する。RPM−1640培地中、約0.001μM〜約20μMの濃度の各化合物を調製する。試験化合物を、50μLの細胞および培地を含有するウェルに添加する。CellTiter−Glo(CTG)アッセイを、0時間目のカウントを得るために0時間目のプレートで実施する。細胞を試験化合物に72時間曝露する。曝露期間が経過した後、CTGを使用してプレートをアッセイする。ルミネッセンスを、Synergyで記録する。
非限定的な例として、本明細書に記載の化合物30を、様々な癌細胞株に対する増殖阻害について試験した。それらの細胞株に対する化合物30のGI50および最大阻害を、以下の表にまとめる。
実施例14:神経線維腫症1型および進行性叢状神経線維腫を有する子ども、青年および若年成人におけるPAK阻害剤の臨床試験
目的
背景:
神経線維腫症1型(NF1)は、多種多様な臨床症状を特徴とする、常染色体優性の進行性遺伝的障害である。NF1を有する患者は、重症の病的状態および死亡可能性を引き起こすおそれがある良性神経鞘腫瘍である叢状神経線維腫を含む、中枢および末梢神経系の腫瘍を発症する危険性が高い。これらの腫瘍の組織病理は、線維芽細胞の形成に関連する事象が、分子の脆弱な点を構成し得ることを示唆している。遺伝子特性分析によって、NF1を有する患者の叢状神経線維腫における線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、および血小板由来の増殖因子の過剰発現が実証される。式I〜IVおよびA〜Dは、PAKを阻害する新規な薬剤である。
目的:
NF1および叢状神経線維腫の増殖を有している子どもおよび若年成人において、PAK阻害剤が疾患進行にかかる時間を引き延ばすかどうかを容積測定に基づいて決定すること。
NF1に関係する叢状神経線維腫における、PAK阻害剤に対する客観的応答速度を規定すること。
PAK阻害剤の毒性を説明し、規定すること。
適格性:
NF1、および実質的な病的状態を引き起こす潜在可能性を有する手術不能の測定可能な進行性叢状神経線維腫の臨床診断を受けている個体(3歳以上〜21歳以下)。
設計:
第II相用量を、単一段階による単一群の第II相試験で使用する。
状態と介入と相
神経線維腫症1
叢状神経線維腫
薬物:PAK阻害剤
第II相
研究タイプ:介入
研究設計:遮蔽化:非盲検
主目的:治療
公式表題:神経線維腫症1型および進行性叢状神経線維腫を有する子ども、青年および若年成人におけるPAK阻害剤の第II相試験
さらなる研究の詳細は、国立衛生研究所の臨床施設(CC)によって提供される通りである。
主要評価項目:
疾患進行にかかる時間[安全性の問題と指定:いいえ]
客観的応答速度[安全性の問題と指定:いいえ]
毒性[安全性の問題と指定:はい]
第2評価項目:
生活の質[安全性の問題と指定:いいえ]
登録者数:16名
介入詳細:
薬物:PAK阻害剤
目的:
NF1および叢状神経線維腫の増殖を有している子どもおよび若年成人において、PAK阻害剤が疾患進行にかかる時間を引き延ばすかどうかを容積測定に基づいて決定すること。
NF1に関係する叢状神経線維腫における、PAK阻害剤に対する客観的応答速度を規定すること。
PAK阻害剤の毒性を説明し、規定すること。
適格性:
NF1、および実質的な病的状態を引き起こす潜在可能性を有する手術不能の測定可能な進行性叢状神経線維腫の臨床診断を受けている個体(3歳以上〜21歳以下)。
設計:
第II相用量を、単一段階による単一群の第II相試験で使用する。叢状神経線維腫の増殖の自然歴は、未知である。この理由から、NF1および進行性叢状神経線維腫を有する子どもおよび若年成人に関するファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤R115777の、進行中のNCI POBプラセボ対照による二重盲検第II相交差試験のプラセボ群に対する疾患進行にかかる時間を、PAK阻害剤が疾患進行にかかる時間を引き延ばすかどうかを決定するための従来対照として使用する。腫瘍測定の適格性基準および方法は、両方の試験で同一とする。
PAK阻害剤は、小児科第I相試験の結果に基づいて、28日サイクルでサイクル間に休息期間を設けずに、カプセル剤として500mg/m(2)の用量で1日3回(q8h)経口投与する。
適格性:
研究に適格な年齢:3歳〜21歳
研究に適格な性別:両方
健康なボランティアの受入れ:なし
基準
選択基準:
年齢:3歳以上21歳以下。必要な体表面積(BSA):0.31m(2)以上。
診断:著しい病的状態を引き起こす潜在可能性を有するNF1および進行性叢状神経線維腫、例えば(非限定的に)気道または大血管を損なうおそれがある頭部および頸部の病変、神経圧迫および機能喪失を引き起こし得る上腕または腰神経叢病変、深刻な変形(例えば、眼窩の病変)または著しい化粧上の問題をもたらすおそれがある病変、脚の肥大または機能喪失を引き起こす四肢の病変、ならびに痛みを伴う病変を有する患者。腫瘍の組織学的確認は、臨床的知見およびX線撮影の知見が一致すれば必要ないが、叢状神経線維腫の悪性変性が臨床的に疑われる場合には、考慮すべきである。叢状神経線維腫(複数可)に加えて、すべての研究対象は、以下に一覧化したNF1の少なくとも1つの他の診断基準を有していなければならない(NIH Consensus Conference):
6つ以上のカフェオレ斑(思春期前の対象で0.5cm以上、または思春期後の対象で1.5cm以上)
腋窩または鼠径部の染み
視神経膠腫
2つ以上の虹彩小結節
特有の骨性病変(蝶形骨の異形成、または長骨皮質の異形成もしくは菲薄化)
NF1を有する第1度近親者
この研究では、叢状神経線維腫は、神経の長さに沿って増殖した神経線維腫と定義され、複数の束および分岐を含む場合がある。脊髄叢状神経線維腫は、2つ以上の脊髄レベルに関連してそれらに影響を及ぼすか、または神経に沿って側方に伸びる。
3.測定可能な疾患:患者は、測定可能な叢状神経線維腫(複数可)を有していなければならない。この研究の目的では、測定可能な病変とは、一寸法を測定すると少なくとも3cmある病変と定義される。MRIにより新しい叢状神経線維腫の大きさが増大しているか、または存在することによって実証された、再発性または進行性疾患の証拠が得られなくてはならない。研究登録時における進行は、以下の通りに定義される:
A.最後の2回の連続スキャン(MRIまたはCT)にわたる、またはこの研究の評価を行う前の約1年の期間にわたる、叢状神経線維腫の測定可能な増大(体積の20%以上の増大、または2つの最長垂直直径の積の13%以上の増大、または最長直径の6%以上の増大)。
B.進行性叢状神経線維腫の外科手術を受けた患者は、叢状神経線維腫が完全に切除されず、測定可能であるという条件で、術後に本研究に登録するのに適格とされる。
4.過去の治療:NFIを有する患者は、手術不能の叢状神経線維腫の再発または進行時に適格とする。患者は、腫瘍切除が完了できない場合、または外科的選択肢を有する患者が外科手術を拒絶している場合だけ、適格とされる。
NF1および進行性叢状神経線維腫を有する患者には、標準の有効な化学療法がないので、患者は、過去に医学的治療を受けずにこの試験で治療を受ける場合がある。
過去に叢状神経線維腫(複数可)の医学的治療を受けた患者は、この研究に登録する前に、あらゆる過去の治療の毒性作用から回復しているはずである。The Cancer Therapy Evaluation Program Common Terminology Criteria(CTCAE−3)Version 3.0が、毒性評価に使用される。CTCAE version 3.0のコピーは、CTEPのホームページ(http://ctep.cancer.gov)からダウンロードすることができる。回復とは、別段特定されない限り2未満の毒性度と定義される。
選択基準および除外基準
患者は、研究に登録する前に少なくとも6週間の最後の放射線療法および少なくとも4週間の最後の化学療法を受けているはずである。過去の化学療法サイクル後にG−CSFを受けた患者は、この研究に登録する前に少なくとも1週間、G−CSFを使用してはならない。
5.活動状態(performance status):患者は、少なくとも12カ月の平均余命を有しているべきである。10歳を超える患者は、Karnofsky活動レベルが50以上でなくてはならず、10歳以下の子どもは、Lansky活動レベルが50以上でなくてはならない。麻痺のために車椅子に束縛されている患者は、車椅子に乗っているときは外来とみなされるべきである。
6.血液機能:患者は、研究登録時に絶対顆粒球数が1,500/uL以上、ヘモグロビンが9.0gm/dl以上、および血小板数が150,000/マイクロリットル以上でなくてはならない(すべて輸血に依存しない)。
7.肝機能:患者は、ビリルビンが正常範囲内であり、SGPTが2×正常値の上限以下でなくてはならない。ジルベール症候群を有している患者は、正常なビリルビン要件から除外される(ジルベール症候群は、母集団の3〜10%に見出され、肝疾患または顕性溶血がなく、穏やかな慢性非抱合型高ビリルビン血症を特徴とする)。
8.腎機能:患者は、年齢調整正常血清クレアチニン(以下の表参照)、または70mL/分/1.73m(2)以上のクレアチニンクリアランスを有していなければならない。
最高年齢(歳) 血清クレアチニン(mg/dl)
5歳以下 0.8
5歳超〜10歳以下 1.0
10歳超〜15歳以下 1.2
15歳超 1.5
9.インフォームドコンセント:すべての患者または患者の法定後見人(患者が18歳未満の場合)は、患者の適格性を決定する研究を実施する前に、インフォームドコンセントのIRB承認文書(スクリーニングプロトコル)に署名しなくてはならない。患者の適格性を確認した後、すべての患者または患者の法定後見人は、任意のプロトコル関連研究(患者の適格性を決定するために実施した研究以外)が実施される前に、この研究の調査性質および危険性について理解したことを記録するために、プロトコルに特定のインフォームドコンセントに署名しなくてはならない。適切な場合、小児患者は、あらゆる議論に含まれる。7歳〜12歳の子どもおよび13歳〜17歳の子どもに合わせて、年齢に適した賛意形態が展開されており、適切な場合には賛意文書を得るために、小児患者が署名する。
10.永続的委任状(DPA):18歳以上のすべての患者は、普通に生活できないか、または認知障害がある場合には、別の人間が患者の医療について決定を行うことができるように、DPAが与えられる機会を得る。
11.患者は、口からPAK阻害剤を摂取できなくてはならない。小さい子どもには、カプセル剤を開け、内容物を食品と混合して消費しやすくしてもよい。
12.患者(男性および女性の両方)は、出産可能な年齢であれば、治療中および治療後2カ月間は受胎調節(禁欲を含む)する意思がなければならない。プロトコルの目的では、9歳を超えるすべての患者または思春期発達を示す患者は、出産可能な年齢と見なされる。
13.MRIを受けられること、および概説のMRIプロトコルに従うMRI試験に対する禁忌がないこと。
除外基準:
妊娠中または授乳中の女性は、胎児および新生児におけるPAK阻害剤の毒性作用および薬理が未知であるため、除外される。
実験責任者または共同責任者の判断で、PAK阻害剤への患者の耐性能力を損なうおそれがあるか、または研究手順もしくは結果を妨げる可能性が高い、臨床的に有意に関係しない全身疾病(重篤な感染症、または著しい心臓、肺、肝臓もしくは他の臓器機能障害)。
過去30日以内に治験薬を投与されている。
腫瘍を対象とした放射線療法、化学療法、ホルモン療法、免疫療法または生物学的療法が進行中である(例えば、インターフェロン)。
追跡調査のための外来訪問ができないか、または毒性および治療への応答を評価するのに必要な追跡調査研究を受けられない。
視神経膠腫、悪性神経膠腫、悪性末梢神経鞘腫、または化学療法もしくは放射線療法による治療を必要とする他の癌の証拠がある。
実施例15:神経線維腫症2型に関係する両側前庭神経鞘腫の治療における単剤療法としてのPAK阻害剤
目的
この研究の目的は、PAK阻害剤治療が、神経線維腫症2(NF2)患者の両側前庭神経鞘腫(複数可)の増殖を萎縮または緩徐するかどうかを決定することである。第2の目的は、PAK阻害剤治療が、NF2患者の聴力を改善するかどうかを決定することを含む。
状態と介入と相
神経線維腫症2型
聴覚神経腫
薬物:PAK阻害剤
第II相
研究タイプ:介入
研究設計:エンドポイント分類:効率研究
介入モデル:単群割付け
遮蔽化:非盲検
主目的:治療
公式表題:神経線維腫症2型に関係する両側前庭神経鞘腫の治療における単剤療法としてのPAK阻害剤の、単群、単一施設による第II相試験
主要評価項目:
両側前庭神経鞘腫の体積[時間枠:1年(12カ月)][安全性の問題と指定:いいえ]
両側前庭神経鞘腫の体積(mm)の変化に対するPAK阻害剤の効果の、ベースラインから1年までのMRIによる決定。
第2評価項目:
聴力[時間枠:1年(12カ月)][安全性の問題と指定:いいえ]
聴力変化に対するPAK阻害剤治療の効果の決定(両側前庭神経鞘腫増殖を有する耳で、ベースラインから1年まで)
有害事象の数[時間枠:1年と1カ月(13カ月)][安全性の問題と指定:はい]
重症度による有害事象を有する研究対象の数の決定
推定登録者数:10名
群と介入割付け
PAK阻害剤治療:実験
すべての対象は、PAK阻害剤を1年間(12カ月間)与えられる。
介入:薬物:PAK阻害剤
薬物:PAK阻害剤
成人:p.o.1日用量10mg、16〜17歳:1日当たりp.o.で3.0mg/m
詳細な説明:
このプロトコルは、NF2の患者におけるPAK阻害剤単剤の、第II相非盲検による効率および安全性の研究である。研究中、対象は、最長1年間または腫瘍が進行するまで、PAK阻害剤による経口治療を毎日連続的に受ける。
主目的:PAK阻害剤が、NF2の患者の前庭神経鞘腫増殖に対して、さらなる試験のための薬物を受けるのに十分な速度で効果を及ぼすかどうかを決定すること。
第2の目的:PAK阻害剤が、他の頭蓋内腫瘍の体積に対して効果を有するかどうかを決定すること、およびNF2の患者の聴力機能に対するPAK阻害剤の効果を評価すること(適用できる場合)。
適格性
研究に適格な年齢:16歳〜65歳
研究に適格な性別:両方
健康なボランティアの受入れ:なし
基準
選択基準:
国立衛生研究所(NIH)基準によるNF2の診断
年齢≧16年
過去12カ月間の進行性前庭神経鞘腫増殖
WHO活動状態>2または=2
適切な骨髄、肝臓および腎臓機能
出産可能な女性については、妊娠または授乳なし
スケジュール訪問、薬物投与計画、実験室試験、他の研究手順および研究制限に従う意思および能力
インフォームドコンセントを提供する意思
進行性/難治性固形腫瘍を有する参加者
除外基準:
定期的MRIスキャンまたはガドリニウム造影への不耐性
定期的聴覚試験への不耐性または言語認識試験に確立された点数化を伴う言語を理解できない。
少なくとも1つの標的病変を適切に容積測定できない。注記:蝸牛または聴覚脳幹移植片を有する患者は、標的病変を正確に評価し得るならば参加できる。
研究への参加前の60カ月に標的病変への放射線療法を受けている。
現在抗癌療法を受けているか、または治験薬投与開始前の4週間以内に抗癌療法を受けていた患者。
研究登録前の1週間以内、または研究期間中に弱毒化生ワクチンによる免疫化を受けた。
登録時に全身の抗真菌剤治療を必要とする真菌感染症がある。
適切に治療された子宮頸部の癌腫または皮膚の基底細胞もしくは扁平上皮癌腫を除き、過去3年以内に他の悪性腫瘍が存在していた。
任意の重症のおよび/または制御の効かない病状を有している患者。
エベロリムスまたはラパマイシンの他の種類またはその賦形剤に対して公知の過敏症を有する患者。
プロトコルに従う意思がないか、または従えない患者。
実施例16:標的キナーゼが疾患病態生理に関連する進行性の不治の固形腫瘍を有する患者におけるPAK阻害剤の安全性、薬物動態および薬力を評価するための研究
目的
PAK阻害剤は、PAK活性の選択的阻害剤である。この研究の主目的は、PAK阻害剤の標的キナーゼが疾患病態生理に関連する進行性の不治の固形腫瘍を有する患者における、経口投与されたPAK阻害剤の安全性および薬物動態を評価することである。これらの腫瘍には、急性骨髄性白血病、胃腸管の間質性腫瘍および神経線維腫症−1、ならびに神経膠腫、乳癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、黒色腫および骨肉腫が含まれるが、それらに限定されない。第2の目的は、PAK活性の血漿および尿バイオマーカーによって、PAK阻害剤の薬力学的活性を測定することである。
状態と介入と相
固形腫瘍
薬物:PAK阻害剤
第I相
研究タイプ:介入
研究設計:割付け:非ランダム化
介入モデル:単群割付け
遮蔽化:非盲検
主目的:治療
公式表題:標的キナーゼが疾患病態生理に関連する進行性の不治の固形腫瘍を有する患者におけるPAK阻害剤の安全性、薬物動態および薬力を評価するための第1相研究
主要評価項目:
安全性:対象の有害事象の発生率、第1サイクルにおけるDLT、ならびに生命徴候、ECGおよび臨床試験の臨床的に有意な変化[時間枠:1年][安全性の問題と指定:はい]
第2評価項目:
PK特性:非限定的に、最大観測濃度(Cmax)、血漿濃度−時間曲線下面積、および半減期を含むPAK阻害剤のPKパラメータ[時間枠:1年][安全性の問題と指定:いいえ]
推定登録者数:24名
群と介入割付け
介入:薬物:PAK阻害剤
薬物:PAK阻害剤
カプセル剤による1日1回または1日2回の連続投薬
適格性
研究に適格な年齢:18歳以上
研究に適格な性別:両方
健康なボランティアの受入れ:なし
基準
選択基準:
18歳以上
標準治療に難治性の固形腫瘍
ECOG活動状態0または1
平均余命>3カ月
適切な肝臓、腎臓および骨髄機能
除外基準:
研究開始前の3週間以内に特定の抗癌治療を受けていること
制御の効かない併発性疾病
難治性嘔気もしくは嘔吐、または吸収障害
平均QTc>450msec
実施例17:再発性膠芽腫に対するPAK阻害剤の研究
目的
主目的
PAK阻害剤の抗腫瘍活性を、再発性多形神経膠芽腫(GBM)の患者においてPAK阻害剤を単剤療法として投与した場合(コホートA)、およびベバシツマブと組み合わせて投与した場合(コホートB)で、6カ月の無増悪生存(PFS)確率によって測定して評価すること。
第2の目的
PAK阻害剤の安全性および耐用性を、再発性GBMの患者においてPAK阻害剤を単剤療法として投与した場合、およびベバシツマブと組み合わせて投与した場合で評価すること。PAK阻害剤を単剤療法として投与した場合、およびベバシツマブと組み合わせて投与した場合の、PAK阻害剤で治療した再発性膠芽腫の患者のX線撮影応答、無増悪生存率および全生存期間を評価すること。
これは、非盲検第II相研究である。2つのコホートが生じるので、逐次的に評価する。各コホートには、再発性GBMの患者が登録される。コホートAは、再発性GBM患者にPAK阻害剤を単剤療法で投与して評価し、コホートBは、再発性GBM患者にPAK阻害剤とベバシツマブを投与して評価するものである。各コホートの主要エンドポイントは、6カ月の無増悪生存率である。各コホートについて、PAK阻害剤15mg/kgを毎週静脈内投与する。ベバシツマブ用量は10mg/kgであり、それを隔週で静脈内投与する。推定される予定登録数(accrual)の割合は、1カ月当たり患者1〜2人である。予定登録数の達成が推定される日は、研究開始から5年である。推定される研究終了日は、研究の最後の患者が登録して約12カ月後である。
68人の対象が、この研究に能動的に参加する。能動的に参加する68人の対象を得るために、最大80人の対象が登録し得る。
PAK阻害剤およびベバシツマブは、Dukeの研究者の監視の下で適格な患者に投与される。Duke研究者は、すべての実験データを検証して、治療指示を出す。
研究目的では、治療サイクルは4週間である。治療は、進行性疾患の証拠、許容されない毒性、研究追跡調査への不順守、または承諾の撤回のいずれかがあるまで継続される。
状態と介入と相
多形神経膠芽腫
薬物:PAK阻害剤
薬物:ベバシツマブ
第II相
研究タイプ:介入
研究設計:割付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性/効率研究
介入モデル:並行群割付け
遮蔽化:非盲検
主目的:治療
公式表題:再発性膠芽腫に対するPAK阻害剤の第II相研究
さらなる研究の詳細はDuke大学によって提供される通りである。
主要評価項目:
放射線への(radiolgical)応答速度[時間枠:6カ月][安全性の問題と指定:いいえ]
主要評価尺度は、6カ月の無増悪生存率である。効率を評価するための第1の基盤は、疾患進行なしに6カ月生存している患者の割合である(PFS−6)。
第2評価項目:
X線撮影応答、および無増悪生存率中央値、および全生存期間[時間枠:6カ月][安全性の問題と指定:はい]
無増悪生存率中央値、および全生存期間。主要な安全性評価尺度は、データ表ですべてグレード2以上の治療関連毒性を含む。
推定登録者数:68名
群と介入割付け
PAK阻害剤:実験
コホートAは、再発性多形神経膠芽腫(GBM)患者に、PAK阻害剤を単剤療法で投与して評価するものである。各コホートについて、PAK阻害剤15mg/kgを毎週静脈内投与する。
介入:薬物:PAK阻害剤
薬物:PAK阻害剤
各コホートについて、PAK阻害剤15mg/kgを毎週静脈内投与する。
PAK阻害剤およびベバシツマブ:実験
コホートBは、再発性多形神経膠芽腫(GBM)患者にPAK阻害剤とベバシツマブを投与して評価するものである。各コホートについて、PAK阻害剤15mg/kgを毎週静脈内投与する。ベバシツマブ用量は10mg/kgであり、それを隔週で静脈内投与する。
介入:
薬物:PAK阻害剤
薬物:ベバシツマブ
各コホートについて、PAK阻害剤15mg/kgを毎週静脈内投与する。
薬物:PAK阻害剤
PAK阻害剤の用量は10mg/kgであり、それを隔週で静脈内投与する。
適格性
研究に適格な年齢:18歳以上
研究に適格な性別:両方
健康なボランティアの受入れ:なし
基準
選択基準:
患者は、過去の療法(すなわち化学療法、RT、他の治験)後に、組織学的に確認されたGBMの診断および再発または疾患進行のX線撮影による証拠(最大二次元強調像の25%超の増大、または新しい病変の強調のいずれかとして定義される)を有しているはずである。さらに、以下を満たさなくてはならない:
年齢>18年。
3つ以下の進行性疾患の過去のエピソード。
過去の外科的切除との間に少なくとも4週間、または定位生検から1週間の間隔がある。
過去の放射線療法の終了から少なくとも12週間の間隔がある。ただし、放射線場外で再発性腫瘍と一致する新しい亢進領域がある場合、または明白な腫瘍進行の組織学的確認がある場合を除く。
過去の化学療法から少なくとも4週間(ニトロソ尿素では6週間)または治験薬投与から少なくとも4週間の間隔がある。ただし患者が、その療法に関連する、予測されるあらゆる毒性から回復している場合を除く。
Karnofskyが少なくとも70%。
ヘマトクリット>29%、ANC>1,000個の細胞/ul、血小板>100,000個の細胞/ul。
血清クレアチニン<1.5mg/dl、血清SGOTおよびビリルビン<正常値の上限の2.5倍。
コッククロフト−ゴールト式に従って算出するか、または24時間の蓄尿によりクレアチニンクリアランス>40mL/分。
患者登録前に、治験審査委員会承認のインフォームドコンセントへの署名がある。
ベースラインMRIまたはCTでグレード1の出血以外の出血およびいずれかの術後出血の証拠がなく、または少なくとも2回の連続的なスキャンで安定である。
両側卵管卵巣摘出術を受けておらず、性的に活発な、潜在的に出産可能性がある対象は、治験薬の最終投与後6カ月にわたって、認容される有効な非ホルモン的避妊方法(すなわち、二重障壁法(例えば、コンドームとペッサリー))を使用することに、インフォームドコンセントに署名して同意しなければならない。
除外基準:
研究結果を妨げるおそれがある併用医薬品。例えばコルチコステロイド以外の免疫抑制剤
静脈内抗生物質を必要とする活性な感染症
ワルファリンによる抗凝固治療を必要とする
登録前の12カ月以内に動脈または深部静脈血栓塞栓症の病歴がある
登録前の6カ月以内に臨床的に有意な出血の病歴がある
現在または登録前の30日以内/シクロスポリンおよびタクロリムスなどの免疫モジュレーターによるランダム化治療
細菌産生タンパク質へのアレルギー反応の病歴
研究および/または追跡調査手順に従えない
支持療法または疫学的研究以外の実験薬物研究への関与が、現在あるか、最近あったか(この研究の第1の注入前の4週間以内)、または予定されている
重症の肝不全(進行中のグレード3以上の肝臓有害事象)または公知の慢性活動性肝炎
適切に制御が効かない高血圧(降圧医薬品で収縮期圧>150mmHgおよび/または拡張期圧>90mmHgと定義される)
高血圧クリーゼまたは高血圧脳症の任意の過去の病歴
登録(またはランダム化)前の12カ月間以内に、心筋梗塞、不安定狭心症、グレード2以上の末梢血管疾患、脳血管発作、一時的な虚血性発作、うっ血性心不全、または外来処方薬、経皮的、経管的な冠動脈血管形成術/ステントでは制御されない不整脈を含む、臨床的に有意な心血管疾患がある
ニューヨーク心臓病学会(NYHA)グレードII以上のうっ血性心不全(付録E参照)
研究登録前の6カ月以内に、心筋梗塞または不安定狭心症の病歴がある
研究登録前の6カ月以内に、脳卒中または一時的虚血性発作の病歴がある
著しい血管疾患(例えば、大動脈瘤、大動脈解離)
症候性末梢血管疾患
出血素因または凝固障害の証拠
研究過程中に大外科手技の必要がある研究に登録または参加する前28日以内に、大外科手技、直視下生検または著しい外傷性傷害を受けている
研究登録前の7日以内に、血管アクセスデバイスの配置を除くコア生検または他の大外科手技を受けている
研究登録前の6カ月以内に、腹瘻、胃腸穿孔または腹腔内膿瘍の病歴がある
重篤な非治癒性創傷、潰瘍または骨折
検尿による尿中タンパク質の定量値が<30mg/dL、または尿試験紙で<1+。ただし、24時間尿試料中の定量的タンパク質が<1000mgである場合を除く。
PAK阻害剤の任意の構成成分に対する公知の過敏症
妊娠中(妊娠試験陽性)または泌乳中。潜在的に出産可能性がある対象において、有効な避妊手段の使用を拒絶しているか、または使用できない(男性および女性)
実施例18:転移性または切除不能な肉腫様腎細胞癌腫を有する患者に対するPAK阻害剤とゲムシタビンの組合せの安全性および効率研究
目的
この臨床研究の目的は、2種類の薬物の組合せ(PAK阻害剤とゲムシタビン)が転移性または切除不能な腎細胞癌腫を制御する一助になり得るかどうかを知ることである。この薬物の組合せの安全性も試験する。
目的:
主目的:
肉腫様特徴を有する転移性または切除不能な腎細胞癌腫(RCC)におけるPAK阻害剤とゲムシタビンによる治療の無増悪生存率を評価すること。
第2の目的:
PAK阻害剤とゲムシタビンの組合せの安全性および耐用性を評価すること。
肉腫様特徴を有する転移性または切除不能なRCCにおけるPAK阻害剤とゲムシタビンによる応答速度および全生存期間を評価すること。
腎臓の肉腫様癌腫からの組織およびDNA試料の前向きな保存記録を展開すること。
状態と介入と相
腎細胞癌腫
腎臓癌
薬物:PAK阻害剤
薬物:ゲムシタビン
第II相
研究タイプ:介入
研究設計:割付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性/効率研究
介入モデル:単群割付け
遮蔽化:非盲検
主目的:治療
公式表題:転移性または切除不能な肉腫様腎細胞癌腫を有する患者に対するPAK阻害剤とゲムシタビンの組合せの第II相による安全性および効率研究
主要評価項目:
無再発生存期間を有する患者の数[時間枠:ベースラインと各4週間のサイクルまたは疾患が進行するまで][安全性の問題と指定:はい]
応答評価は、固形腫瘍の応答評価基準(RECIST)に従う。
推定登録者数:40名
群と介入割付け
PAK阻害剤+ゲムシタビン:実験
介入:
薬物:PAK阻害剤
薬物:ゲムシタビン
1日目および15日目に30分かけて静脈により900mg/m
他の名称:
ジェムザール
塩酸ゲムシタビン
詳細な説明:
PAK阻害剤およびゲムシタビンは、癌細胞の増殖を撹乱し、それによって癌細胞の死滅を開始させ得るように設計される。この研究への参加に適格であることが見出される場合、28日サイクルでPAK阻害剤およびゲムシタビンを投与される。PAK阻害剤は、1〜28日目に1日1回経口投与される。ゲムシタビンは、1日目および15日目に30分かけて群の参加者に静脈穿刺により投与される。各サイクルの1日目に、血液(小さじ約2)および尿を、治療前に定期試験で収集する。15日目に定期試験で採血する(小さじ約2)。
8週ごとに、胸部、腹部および骨盤のCTスキャンと、胸部X線を取る。現在摂取している任意の薬物について質問し、完全な身体検査を行う。最終訪問以降に受けたと思われる任意の副作用について質問し、毎日の活動能力について評価する。担当医が必要とする場合には、骨スキャンおよび脳MRIを反復する場合がある。
最大12カ月間、治療を継続する。しかし治療利益を得られない場合には、研究から外れることができる。疾患が悪化する場合、副作用に耐えられない場合、または治療を受ける妨げになる別の疾病を発症した場合には、研究から外される。
この研究は治験である。ゲムシタビンは、FDAに承認されており、市販されている。最大40人の参加者が、この研究に参加することができる。すべてMD Andersonに登録される。
適格性
研究に適格な性別:両方
健康なボランティアの受入れ:なし
基準
選択基準:
以下の通り定義される、組織学的に実証された腎臓の転移性または切除不能な肉腫様癌腫:腫瘍生検(原発または転移)が、RCCの少なくとも1つの病巣(認識されているタイプの1つ)を示さなくてはならないこと、および腫瘍生検(原発または転移)が、肉腫様組織像を示す少なくとも10%の試料を有していなければならないこと。針生検(原発または転移)で任意の割合の肉腫様脱分化が存在し、CTスキャンによる原発腫瘍のX線撮影外観がRCCの典型である場合、定位置に原発腫瘍を有する患者は適格とされる。これらの患者については、腫瘍試料が小さいので、形態的特徴および免疫染色特徴がRCCと一致する限り、典型的なRCC組織学的検査領域を同定する必要はない。
測定可能な疾患の少なくとも1つの部位(原発腫瘍を含み得る)。
過去に細胞傷害性化学療法を受けていない。過去の任意の免疫療法は許容される。
Zubrod活動状態が2以上。
適切な器官および骨髄機能:ANC>/=1,500、血小板>/=100,000、総ビリルビン</=1.5mg/dl、ASTおよびALT</=3×正常上限、クレアチニンクリアランス>50cc/分(測定またはコッククロフト式によって算出:クレアチニンクリアランス=[(140−年齢)×wt(kg)]/[72×クレアチニン(mg/dl)]、女性では×0.85。クレアチニンクリアランスが30〜50mL/分の患者は、カペシタビンの初期用量が(−1)用量レベルに低減されれば適格とされる。
潜在的に出産可能性がある女性患者(最終月経<2年)は、治療開始前7日以内の血液妊娠試験で陰性でなくてはならない。
すべての患者は、性的に活発な場合には、試験期間中および治験薬の中断後2カ月間は適切な避妊を行うことに同意しなければならない。
インフォームドコンセントへの記入。
除外基準:
過去12カ月以内に心筋梗塞、一時的虚血発作(TIA)、脳卒中、肺塞栓症の病歴、または深部静脈血栓症の病歴がある患者。
活性な脳転移などの出血の危険性が高い患者。脳転移が制御されているか、または少ない患者は、実際の出血危険性の臨床的評価に基づいて適格とされる。
過去28日以内に任意の大外科手技歴がある患者。
ベースライン血圧>/=140収縮期圧または>/=90拡張期圧の患者。
ネフローゼ症候群の患者(24時間あたりタンパク尿>2グラム)。
他の悪性腫瘍の病歴。ただし、研究登録前の2年間に臨床的に切迫していない場合(非黒色腫皮膚癌など)、または制御されている場合は除く。
過去にゲムシタビン、カペシタビンまたは任意のフルオロピリミジンによる治療を受けた。
過去にフルオロピリミジン療法に対する予期しない重症の反応または5−FUに対する公知の過敏症があった。
任意の併用化学療法または放射線療法。
上部胃腸管の身体的完全性の欠損、錠剤の嚥下不能、または吸収不良症候群を有する患者。
症候性冠動脈疾患、うっ血性心不全および心不整脈などの、医薬品では十分に制御されない臨床的に有意な心臓疾患。
重篤な同時感染症または制御の効かない糖尿病を含む他の重篤な病状。
任意の重篤な非治癒性創傷、潰瘍または酷い骨折。
任意の併用クマリン(coumadin)療法。既にクマリン維持療法を受けていた患者は、アスピリンまたは低分子量ヘパリンに切り替えることができる。
臓器同種移植を受けた患者。
インフォームドコンセントへの記入の意思がない。
実施例19:本明細書に開示のPAK阻害剤化合物で処置した二重遺伝子導入GFP−M/DN−DISC1マウスにおける樹状突起スパインの可塑性のインビボモニタリング
以下の実験では、樹状突起スパインの可塑性を、本明細書に開示の化合物またはプラセボで処置した二重遺伝子導入GFP−M/DN−DISC1マウスにおいて、二光子レーザー走査顕微鏡(TPLSM)によってインビボで直接モニタする。皮層ニューロン5つのサブセットにおいてGFPを発現するマウス(C57BL/6)(Fengら、2000、Neuron 28:41〜51に記載の遺伝子導入株GFP−M)を、DN−DISC1 C57BL/6DN−DISC1マウスと交配させて(Hikidaら(2007)、Proc Natl Acad Sci USA、104(36):14501〜14506)、ヘテロ接合性遺伝子導入マウスを得、それを次に交配させて、この研究で使用するホモ接合性二重遺伝子導入GFPM/DN−DISC1マウスを得る。
日齢28〜61日のGFP−M/DN−DISC1動物を、アベルチン(16μl/体重1g;Sigma、St.Louis、MO)を使用して麻酔する。頭蓋骨を曝露し、こすり洗い、エタノールで清浄にする。一次視覚野、体性感覚野、聴覚野および運動皮質野を、定位座標に基づいて同定し、それらの位置をトレーサ注射で確認する(以下参照)。
長期間画像化実験をP40で開始する。Grutzendlerら(2002)、Nature、420:812〜816に記載の通り、頭蓋骨を画像化領域にわたって薄くする。小さい金属棒を頭蓋骨に固定する。次に、画像化中に安定にするために、顕微鏡ステージに直接結合したプレートに、その金属棒を差し込む。様々な画像化セッション中、その金属棒によって頭部の角度および位置を維持することもできる。画像化セッションが終了したら、動物を縫合し、ケージに戻す。次に、P40で既に画像化した動物30匹を、1%糖液を投与される対照群(1日1回強制経口投与)と、0.1%DMSO中、本明細書に開示の化合物を投与される治療群(1日1回強制経口投与、1mg/kg)に分ける。その後の画像化セッション中(P45、P50、P55またはP70において)、動物を再び麻酔し、頭蓋骨を再度薄くする。同じ画像化領域を、血管パターンおよび肉眼的樹状突起パターンに基づいて同定すると、この期間にわたって一般に安定なままである。
最終画像化セッションの最後に、Alexa Fluor 594に結合したコレラ毒素サブユニットBを、画像化領域近くに注射して、固定後の画像化細胞および皮質領域の同定を容易にする。マウスに、パラホルムアルデヒドを経心的に灌流させ固定し、冠状切断して、画像化細胞の位置を検証する。次に、切片を緩衝液と共にのせ、カバーガラスをのせ、密封する。画像を、Fluoview共焦点顕微鏡(Olympus Optical、Melville、NY)を使用して収集する。
インビボ二光子画像化では、二光子レーザー走査型顕微鏡を、Majewskaら(2000)、Pflugers Arch、441:398〜408に記載の通り使用する。顕微鏡は、改変型Fluoview共焦点走査ヘッド(Olympus Optical)および10W固体レーザー供給源(Millenia;Spectra−Physics)から80MHzで波長920nmの100fsパルスを出力するチタン/硫黄レーザー(Tsunami;Spectra−Physics、Menlo Park、CA)からなっている。蛍光を、光電子増倍管(HC125−02;日本、静岡県浜松)を全野検出モードで使用して検出する。最初に、視覚野上の開頭部を全野蛍光照明の下で特定し、表在性樹状突起がある領域を、20×0.95開口数レンズ(IR2;Olympus Optical)を使用して特定する。さらに、有棘樹状突起を、デジタルズーム(7〜10×)下で二光子画像化を使用して同定し、軟膜表面の50〜200μm下のスパインを研究する。画像の取得は、Fluoviewソフトウェアを使用して行う。運動性の測定では、0.5〜1μm離してZスタックを撮り、5分ごとに2時間かけて取得する。シナプス代謝回転実験では、樹状突起および軸索のZスタックをP40で取得し、次にP50またはP70で再度取得する。層1〜3に位置する樹状突起および軸索を研究する。この研究で使用したマウスの層5および層6の両方のニューロンが標識されているが、軟膜表面に近い層5のニューロンだけで、鮮明な尖端樹状突起画像が得られる。したがってデータは、表皮層における層5のニューロンおよび軸索の尖端房状分枝(apical tuft)上のスパインから得られるものである。
画像を、Matlab(MathWorks、Natick、MA)に送信し、それによって画質向上および時系列のアライメントのための特注アルゴリズムを使用して処理する。運動性測定(Majewskaら(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100:16024〜16029参照)では、スパインを、5〜30の個々の画像を含む二次元投影で分析する。したがってz軸次元の運動は分析されない。スパイン運動性は、単位時間当たりの長さの平均変化(1分当たりのマイクロメータ)と定義される。突出の起点からその先端までの長さを測定する。スパインの位置を、異なる日に画像化して比較する。スパインの元の位置から側方に0.5μm超離れているスパインは、異なるスパインとみなされる。安定なスパインの値は、画像化の2日目に存在している元のスパイン集団の割合(%)と定義される。すべての画像化セッションにおいて高い信号対ノイズ比を示す領域だけが、分析できるとみなされる。動物の年齢および皮質感覚野に関して、盲検法で分析を実施する。次に、スパインの運動性(例えば、スパイン代謝回転)、形態および密度を、対照群と治療群で比較する。本明細書に開示の化合物による治療は、未処置の対照動物で観測されるよりも、スパインの形態の欠損を修復すると予測される。
実施例20:動物モデルにおける本明細書に開示のPAK阻害剤化合物の投与による統合失調症の治療
統合失調症(すなわち、それらの症状のマウス類似体)の行動学的および解剖学的症状を寛解させるPAK阻害剤の能力を、統合失調症のドミナントネガティブDISC1マウスモデルで試験する(Hikidaら(2007)、Proc Natl Acad Sci USA、104(36):14501〜14506)。
C57BL6系統のバックグラウンドのDISC1マウス(月齢5〜8カ月)40匹を、治療群(本明細書に開示の化合物1mg/kg、強制経口投与)と、プラセボ群(生理食塩水溶液中0.1%DMSO)に分け、オープンフィールドにおける行動学的差異の試験、プレパルス抑制の試験、および隠した食餌に対する行動試験について、各タイプの試験の間に約1週間の間隔を設けて分析する。オープンフィールド試験では、各マウスを新規オープンフィールドボックスに2時間入れる(40cm×40cm;San Diego Instruments、San Diego、CA)。周辺領域および中心領域における水平および垂直の自発運動活動を、赤外活性モニター(San Diego Instruments)によって自動的に記録する。それぞれの休止回数を「計数」として記録する。この行動試験では、プラセボ群に対して治療群の全体的活動が有意に低減し、これによって治療効果が得られる可能性があることが示される。
食餌を隠す試験では、マウスを24時間絶食させる。新しいケージに5分間馴化させた後、食餌ペレットをケージ床敷の下に隠す。マウスが食餌ペレットを見つけるのにかかる時間を、最大10分経過するまで測定する。この行動試験では、治療群が食餌ペレットを見つけるのにかかる時間が、プラセボ群に対して有意に低減し、したがって有効な治療効果が示される。
プレパルス抑制試験では、聴覚性驚愕およびプレパルス抑制応答を、驚愕チャンバ(San Diego Instruments)内で測定する。各マウスを、パルス単独試験、プレスパルス−パルス試験、および刺激なしの試験の、疑似無作為的に分配される7つのトレイル(trail)タイプの6組に分ける。使用するパルスは120dBであり、プレパルスは74dBである。治療群では、プラセボ群に対してプレパルス抑制応答が有意に増大し、したがって有効な治療効果が示される。
強制水泳試験では、室温の水を半分まで充填した大型プラスチックシリンダーに、各マウスを入れる。試験時間は6分間であり、その間の水泳/不動時間を記録する。この行動試験では、治療群の不動がプラセボ群に対して有意に低減し、したがって有効な治療効果が示される。
本明細書に開示の化合物が脳の形態を変える能力を評価するために、DISC1−DNマウスのプラセボ処置群および治療群でMRI研究を実施する。インビボMRI実験は、11.7T Bruker Biospec小動物画像化システムで実施する。ツインナビゲーションエコーを備える三次元高速スピンエコー拡散強調(DW)画像化シーケンスを使用して、側脳室の体積と脳全体の体積の比を評価する。治療群におけるこの比は、プラセボ群で観測される比に対して小さく、したがって有効な治療効果が示される。
統計的分析。統計的分析は、ANOVAまたは反復ANOVAで実施する。群間の差異は、p<0.05で有意とみなされる。
実施例21:動物モデルにおける本明細書に開示のPAK阻害剤化合物の投与による臨床的うつ病の治療
臨床的うつ病のラット嗅球摘出(OBX)モデル(例えば、van Riezenら(1990)、Pharmacol Ther、47(1):21〜34;およびJarosikら(2007)、Exp Neurol、204(1):20〜28参照)を使用して、本明細書に開示の化合物による臨床的うつ病の治療を評価する。樹状突起スパインの密度および形態を、下記の通り治療群および未処置群の動物で比較する。PAK阻害剤でOBX動物を治療すると、未処置OBX動物で観測されるスパインの密度と比較して、スパインの密度が増大すると予測される。
すべての実験を、実験動物の使用に関するNIH標準に厳密に従って実施する。この研究では、前述のvan Riezenらの論文に示されている通り、成体雄性Sprague−Dawleyラット(230〜280g)48匹を使用して、食餌および水を自由に利用できる制御された環境下で各群4匹(シャム2匹およびOBX2匹)の動物として飼育する。実験動物の半数(n=24)に両側嗅球摘除(OBX)を行い、他の半数(n=24)にはシャム手術を行う。外科手術が終了したら、行動試験まで2週間かけて動物を回復させる。このことは、1)術後に低減する動物の体重を回復させ、2)外科手術表面部位を完全に治癒させるのに必要であり、また3)術後最初の2週間に「嗅球摘出症候群」が生じることから必要である。
外科手術から2週間後に、OBXおよびシャム操作動物を、4つの実験条件の1つに細分する。OBX動物の1群には、生理食塩水溶液(各外科手術条件当たりn=6)または本明細書に開示の化合物(1mg/kg、強制経口投与)(各外科手術条件当たりn=6)を、毎日注射投与する。これらの群は、嗅球摘出動物への本明細書に開示の化合物(PAK阻害剤)の慢性投与の効果を調査するために含まれる(術後回復に2週間+PAK阻害剤治療に2週間)。薬物または対照溶液の投与は、毎日同じ時間に各動物のホームケージ内で行う。別のOBXおよびシャム操作動物の群は、この2週間の間に治療を受けず、未処理対照として働く。これらの群は、樹状突起スパインの密度に対して観測されるOBXの作用が持続することを調査するのに必要である(術後4週間)。術後に薬物治療を受けた動物を、最終注射の24時間後に屠殺する。
実験手順の終了時に、動物を、ナトリウムペントバルビタール(60mg/kg)による深麻酔状態で4%ホルムアルデヒド(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中、pH=7.4)を経心的に灌流させる。固定化した後、脳を除去し、4%ホルムアルデヒド(パラ−ホルムアルデヒドから新しく脱重合した)に一晩入れて置く。次に、脳をビブラトームで100μmの薄片にし、既に説明されている方法から採用したプロトコル(Izzoら、1987)を使用して、ゴルジ含浸のために準備する。手短には、組織切片を1%OsOで30分間かけて後固定し、次に0.1Mリン酸緩衝液で洗浄する(3×15分)。切片を3.5%KCr溶液中に90分間浮遊させ、2枚の顕微鏡スライドの間に挟んで「サンドイッチ」状態にし、1%AgNO溶液に急速に浸す。翌日、切片をddHOですすぎ、70%および100%エタノールで脱水し、Histoclear(商標)で清浄にし、DPXと共に顕微鏡スライド上にのせる。
樹状突起で占有された各焦点面において観測可能なすべてのスパインを含む1250×カメラルシダ画像で、樹状突起スパインを計数する。細胞にゴルジが完全に含浸し(CA1:網状分子層に伸びる一次尖端樹状突起および多形細胞層に伸びる基底樹状突起;CA3:網状分子層に伸びる一次尖端樹状突起および多形細胞層に伸びる基底樹状突起;歯状回:分子層内で一次樹状突起から伸びる二次樹状突起)、細胞が無傷であり、血管、沈殿物および/または他の不完全がない切片領域に生じている場合だけ、それらの細胞を分析する。樹状突起スパインを、領域CA1およびCA3の放射状層内の一次尖端樹状突起から伸びる斜方の二次樹状突起の全長(50〜100μm)に沿って計数する。CA1およびCA3において、二次樹状突起は、三次分岐(娘)を除いて、一次尖端樹状突起から直接伸びる分岐と定義される。さらに、効果がCA1およびCA3に限定されるかどうかを決定するために、歯状回における顆粒細胞の二次樹状突起の長さに沿ってスパインを計数する。歯状回については、二次樹状突起を、分子層の外側3分の2にあるグルタミン酸作動性嗅内入力帯域において分析する。各海馬の小領域(CA1、CA3および歯状回)の約20の樹状突起セグメント(各大脳半球で10;長さ50〜100μm)を、各実験動物について試験する。細胞の同定、スパインの計数、樹状突起の長さの分析、およびその後のデータ分析のすべての過程を通して、治療状態をコード化する。分散分析およびTukey事後対比較を使用して、実験群の間の差異を評価する。
樹状突起スパインの密度の有意な変化が観測される場合には、カメラルシダ画像およびZeiss CLSM測定プログラムを使用して、二次樹状突起の数および長さを定量化する。この分析は、樹状突起スパインの密度の見かけの変化が、樹状突起の長さの増大または低減から生じ、スパイン自体の形成または喪失から生じていない場合があるので必要である。顕微鏡写真は、ヘリウム−ネオン633レーザーおよびZeiss410共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いて得る。
実施例22:動物モデルにおける本明細書に開示のPAK阻害剤化合物の投与によるてんかんの治療
ラットの破傷風毒素てんかんモデルを使用して、本明細書に開示の化合物によるてんかんの治療を評価する。
日齢10日の子どものWistarラット(Harlan Sprague Dawley、Indianapolis、IN)に、ケタミンおよびキシラジン(それぞれ33mg/kgおよび1.5mg/kg)を腹腔内注射して麻酔する。必要な場合には、メトキシフルラン(Metofane)の吸入を補う。注射される破傷風毒素溶液は、破傷風毒素2.5ngまたは5ngを滅菌生理食塩水溶液20nlまたは40nlに溶解することによって生成する。その後、破傷風毒素溶液を、本明細書に開示の化合物の溶液と共に、右海馬に注射する。
破傷風毒素および本明細書に開示の化合物を注射するために、子ラットを、幼少ラット用の定位頭部ホルダーに置き、正中切開を行い、頭蓋骨に小さい穴を開ける。注射のための定位座標は、前後方向に−2.1mm、十字縫合から内外方向に3.0mm、硬膜表面から背腹方向に−2.95mmである。毒素および本明細書に開示の化合物を、4nl/分でゆっくり注射する。注射後、針をその場に15分間置いて、針の刺入経路への逆流を抑える。注射中、子ラットの体温を、温めた金属プレート(電気制御される)によって維持する。滅菌生理食塩水を定位注射した同腹子または未処置ラットを、対照とする。
破傷風毒素/試験化合物注射を行った後、行動学的発作の頻度を、1日1時間、10日連続でモニタする。発作のタイプおよび期間を点数化する。暴れ回る発作は、最も容易に同定される。
10日目に発作を点数化した後、動物を経心的に灌流させ、CA3領域の樹状突起スパインを計数し、前述の通り分析する。
治療ラットと未処置ラットの発作回数を比較し、実験ラットおよび対照ラットの樹状突起および軸索分枝を比較するのに、2つの独立な手段を比較するためのt試験を使用する。データが正常に分布しない場合、Mann−Whitney U試験を使用する。Sigma Statを使用して、すべての統計試験を実施する。本明細書に開示の化合物による治療は、発作の頻度および重症度を低減すると予測される。
実施例23:動物モデルにおけるPAK阻害剤の投与による軽度認知障害の治療
式I〜IVおよびA〜Dの化合物が、軽度認知障害(すなわち、それらのマウス類似体)の症状の進行を遅延または停止させる能力を、軽度認知障害のTg2576マウスモデルで試験する(Youngら(2009)、Neurobiology of Aging、30:1430〜1443)。
Tg2576雄性マウス(月齢3〜4カ月)32匹およびそれらの野生型同腹子(n=8)を、治療群(1mg/kg、強制経口投与)、プラセボ群(生理食塩水溶液中0.1%DMSO)および野生型に分け、マウス用匂いスパンタスク(odor span task)装置を使用して嗅覚識別および匂い認識記憶の行動学的差異について分析する(Youngら(2007)、Neuropharmacology 52:3634〜645)。
各マウスの匂いスパンタスク試験では、位置を特定するものとして数字を使用して、上昇させた木製プラットフォーム(61cm×61cm)上にマウスを置く。1〜24の数字を使用し、各角を1、7、13および19とし、それぞれの間の5つの数字を、角と角の間に均一に割り振る。以下の匂いを使用する。オールスパイス、五香粉、シナモン、ナツメグ、コリアンダー、コロハ、ショウガ、パプリカ、タイム、パセリ、ディル、オレガノ、セージ、ミント、ローズマリー、タマネギ粉末、キャラウェイ種子、セロリ塩、ココア、コーヒー粉末(Maxwell House(登録商標))およびイングリッシュブレックファーストティー(Twinnings(登録商標))。特定の匂い3gを、木材チップ100gおよび粉砕した食餌ペレット18個(Noyes Precision Pellets、Lancaster、UK)に添加して、すべての香り付け混合物を生成する。これらの混合物を、白色磁器ボウル(直径5.5cm、高さ3.5cm;Fisher Loughborough、UK)に入れ、匂いを特定するアルファベット文字(A〜v)を付す。
マウスをそれぞれの匂いに導入した後、匂いスパンタスク試験の試験プロトコルにマウスを馴化させる。馴化は、以下の通り実施する。スパン0:ボウルに餌を入れ、プラットフォーム上の選択された位置に置き、マウスを導入し(常に実験者の左に面している;位置16)、タイマーを開始させる。食餌ペレット(報酬)のボウルを嗅ぎつけて食べ始めたらタイマーを停止し、マウスにそのボウルの匂いを記憶させる。報酬を消費した後、マウスをプラットフォームの下に置いた透明Perspexケージに移しておき、新しいボウルおよび位置を選択し、ボウルに餌を入れ、適切に置く。最初のボウル(もう餌は入っていない)を、新しい位置に移動する。スパン1:マウスをプラットフォーム上に戻し、タイマーを再スタートさせる。マウスに、新しいボウルだけを嗅ぎつけるようにさせる。いずれかのボウルを嗅ぎつけたらタイマーを停止し、選択が正しければ、マウスに報酬を得る時間を与えた後、透明ケージに戻す。不一致の法則が得られるごとに、このスパンの精度を記録し、これによって単純な2種類の匂いを区別するマウスの能力の指標を得た。スパン2:第3の(食餌を入れた)ボウルを、プラットフォーム上の指定の位置に置き、既にサンプルとした2つのボウルを、必要に応じて再配置する。応答が不正確であれば(既にサンプルにしたボウルを嗅ぎつけたら)、3つのボウルを無作為に再配置し、正確に応答するまでスパンを反復する。次に、スパン21(ボウル22個)が終了するか、またはマウスがプラットフォーム上で10分間が経過するまで、正確な応答があるごとにスパンの数を増やす。任意の不正確な応答があった場合には、すべてのボウルを無作為に再配置してそのスパンを反復する。
エラーする前にマウスが記憶する匂い(ボウル)の数を、そのセッションのマウスのスパン長とみなす。また完了したスパンの総数を、セッション当たりのエラーおよび精度(%)[(完了したスパン/完了したスパン+エラー)×100]として記録する。各対象の平均スパン待ち時間(訂正待ち時間の合計/完了したスパン)も算出し、最初の試料にかかる時間(スパン0を完了するまでの待ち時間)を記録して、マウスがタスクを行うのに同等の時間を確保する。ボウルを、スパン3つごとに無作為に選択し(スパン2、5、8および11)、同一であるがまだサンプルとしていない匂い充填ボウルで置き換え、マウスの任意の匂い付け戦略を暴く。さらに、セッションとセッションの間で、テーブルをエタノールで拭き取る。安定な成績レベルに達するまで、マウスを連続的に訓練し、次に4日連続で成績を評価する。
匂いスパンタスク試験を、4カ月目、8カ月目および12カ月目に実施して、Tg2576マウスの軽度認知障害の進行を評価する。この試験では、試験化合物群において、プラセボ群と比較して(および/または野生型群と比較して)、実験期間にわたってスパン長が有意に増大し、精度(%)が有意に増大し、またはセッションごとのエラーが有意に減少し(例えば、4カ月対8カ月の結果、4カ月対12カ月の結果)、したがって有効な治療効果が示される。
統計的分析。統計的分析は、ANOVAまたは反復ANOVAで実施する。群間の差異は、p<0.05で有意とみなされる。
実施例24:動物モデルにおけるPAK阻害剤の投与による自閉症の治療
本明細書に記載の式I〜IVおよびA〜Dの化合物(PAK阻害剤)が、自閉症(すなわち、それらのマウス類似体)の症状を軽減し、その重症度を低減し、またはその進行を阻害する能力を、FMR1 KOマウスモデルで試験する。
FMR1 KO雄性マウス(月齢2カ月)24匹を、群1(n=6)および群2(n=6)の治療群(本明細書に記載の式I〜IVおよびA〜Dの化合物1mg/kg、強制経口投与)、プラセボ群(群3)(n=6)(生理食塩水溶液中0.1%DMSO)、ならびに野生型(群4)(n=6)に分け、オープンフィールド試験を使用して行動学的差異について分析する。
オープンフィールド試験。群1〜4のマウスで、標準の手順に従ってオープンフィールド試験を行う。マウスそれぞれを、VersaMax活動モニターチャンバ(Accuscan Instruments)で60分間走行させた。オープンフィールド活動は、光ビーム(photobeam)を遮ることによって検出され、VersaMaxソフトウェアによって分析する。マウスが同一ビーム(またはビームの1組)を繰り返し遮ると、それを常同として記録する。常同の計数は、常同活動期間中にビームを遮る回数とする。
FMR1 KOマウスは、野生型マウスと比較して以下の3つの異常な行動を示すことが知られている(Peierら、2000、Hum.Mol.Genet.、9:1145)。(i)活動亢進−野生型よりも長距離移動し、長時間動き回る。(ii)常同−野生型よりも反復行動の数が多い。および(iii)低不安−野生型よりも長時間、フィールドの中央に留まり、フィールドの角には短時間しか留まらない。
オープンフィールド試験では、治療群1および治療群2のFMR1マウスは、(i)活動亢進、(ii)常同、および(iii)低不安に関して野生型対照(群4)と同等に活動するが、群3のFMR1マウスは、異常な行動を示すと予測される。このことは、FMR1 KOマウスを、本明細書に記載の式I〜IVおよびA〜Dの化合物のPAK阻害剤で治療することにより、活動、反復性行動および不安が、野生型レベルにまで修復されることを示している。
統計的分析。統計的分析は、ANOVAまたは反復ANOVAで実施する。群間の差異は、p<0.05で有意とみなされる。
実施例25:医薬組成物
実施例25a:非経口組成物
注射投与に適した非経口薬剤組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物の水溶性塩100mgを、DMSOに溶解し、次に0.9%滅菌生理食塩水10mLと混合する。混合物を、注射投与に適した単位剤形に組み込む。
実施例25b:経口組成物
経口送達のための医薬組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物100mgを、デンプン750mgと混合する。混合物を、経口投与に適した、例えば硬質ゼラチンカプセルの経口投与単位に組み込む。
実施例25c:舌下(硬質ロゼンジ剤)組成物
硬質ロゼンジ剤などの口腔内頬側送達のための医薬組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物100mgを粉糖420mgと混合し、トウモロコシシロップ1.6mL、蒸留水2.4mL、およびミント抽出物0.42mLと混合する。混合物を穏やかにブレンドし、鋳型に注いで、口腔内頬側投与に適したロゼンジ剤を形成する。
実施例25d:急速崩壊舌下錠
急速崩壊舌下錠を、48.5重量%の式I〜IVおよびA〜Dの化合物、44.5重量%の微結晶性セルロース(KG−802)、5重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース(50μm)、および2重量%のステアリン酸マグネシウムを混合することによって調製する。錠剤を、直接圧縮によって調製する(AAPS PharmSciTech.2006;7(2):E41)。圧縮錠剤の総重量は、150mgに維持される。先の量の式I〜IVおよびA〜Dの化合物を、全量の微結晶性セルロース(MCC)、および先の量の3分の2の低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)と、三次元手動ミキサー(Inversina(登録商標)、Bioengineering AG、スイス)によって4.5分間混合することによって、製剤を調製する。ステアリン酸マグネシウム(MS)のすべておよび先の量の残りの3分の1のL−HPCを、混合が終了する30秒前に添加する。
実施例25e:吸入組成物
吸入送達のための医薬組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物20mgを、無水クエン酸50mgおよび0.9%塩化ナトリウム溶液100mLと混合する。混合物を、吸入投与に適したネブライザーなどの吸入送達装置に組み込む。
実施例25f:直腸ゲル組成物
直腸送達のための医薬組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物100mgを、メチルセルロース(1500mPa)2.5g、メチルパラベン(methylparapen)100mg、グリセリン5gおよび精製水100mLと混合する。次に、得られたゲル混合物を、直腸投与に適したシリンジなどの直腸送達装置に組み込む。
実施例25g:局所ゲル組成物
医薬品用の局所ゲル組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物100mgを、ヒドロキシプロピルセルロース1.75g、プロピレングリコール10mL、ミリスチン酸イソプロピル10mLおよび精製アルコールUSP100mLと混合する。次に、得られたゲル混合物を、局所投与に適したチューブなどの容器に組み込む。
実施例25h:点眼用溶液組成物
医薬品用の点眼用溶液組成物を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物100mgを、精製水100mL中NaCl0.9gと混合し、0.2ミクロンフィルターを使用してろ過する。次に、得られた等張溶液を、点眼投与に適した点眼容器などの点眼用送達装置に組み込む。
実施例25i:鼻腔用スプレー溶液
医薬品用の鼻腔用スプレー溶液を調製するために、式I〜IVおよびA〜Dの化合物10gを、0.05Mリン酸緩衝溶液(pH4.4)30mLと混合する。溶液を、各適用ごとにスプレー100μlを送達するように設計された経鼻投与装置に入れる。
本開示のいくつかの実施形態を、本明細書に示し記載してきたが、このような実施形態は、例示のためだけに提供される。以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲に含まれる方法および構造ならびにそれらの等価物も包含するものとする。

Claims (82)

  1. 式I、式IIもしくは式III:
    [式中、
    環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
    は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
    は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
    は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
    は、Rの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
    各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
    各Rは、独立に、HまたはRであり、
    各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
    各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
    sは0〜4である]
    の構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシド。
  2. 式Iの構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  3. 式Ia:
    式Ia
    の構造を有する、請求項2に記載の化合物。
  4. 式Ib:
    式Ib
    [式中、sは0〜3である]
    の構造を有する、請求項2に記載の化合物。
  5. 環Tが、フェニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される、請求項1に記載の化合物。
  6. 式IIの構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  7. 式IIIの構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  8. 式IIIa:
    式IIIa
    [式中、sは0〜3である]
    の構造を有する、請求項7に記載の化合物。
  9. 式IIIf:
    式IIIf
    [式中、sは0〜2である]
    の構造を有する、請求項7に記載の化合物。
  10. 式IV:
    式IV
    [式中、
    は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
    は、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド、ニトロ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アリールオキシ、アルコキソ、アミド、エステル、アルコイル、シアノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくは複素脂環式基で置換されているアルキル;置換もしくは非置換アルコキシ;置換もしくは非置換アラルコキシ;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル;スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル;−アルキレン−S(=O)R;−アルキレン−S(=O);または−S(=O)であり、
    は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
    は、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の6員の単環式ヘテロアリール環、Rの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換の二環式ヘテロアリール環、またはRの炭素原子を介してフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
    各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
    各Rは、独立に、HまたはRであり、
    各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
    各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、
    sは0〜4である]
    の構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシド。
  11. が、置換もしくは非置換のCに結合した6員の単環式ヘテロアリール環、または置換もしくは非置換のCに結合した二環式ヘテロアリール環である、請求項10に記載の化合物。
  12. が、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニルまたはイミダゾピリジニルである、請求項11に記載の化合物。
  13. が、置換または非置換のCに結合したヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  14. が、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、およびイミダゾピリジニルから選択される、請求項13に記載の化合物。
  15. が、Cに結合したヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  16. ヘテロシクロアルキルが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである、請求項15に記載の化合物。
  17. 各Rが、独立に、ハロゲン、−CN、−OH、−OCF、−OCF、−OCFH、−CF、−SR、−N(R10、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
  18. 各Rが、独立に、ハロゲン、−N(R10、または置換もしくは非置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
  19. sが0である、請求項1に記載の化合物。
  20. sが1である、請求項1に記載の化合物。
  21. sが2である、請求項1に記載の化合物。
  22. がHである、請求項1に記載の化合物。
  23. が、置換もしくは非置換アルコキシ、または置換もしくは非置換アミノである、請求項1に記載の化合物。
  24. が、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  25. が、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  26. シクロアルキルが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである、請求項25に記載の化合物。
  27. ヘテロシクロアルキルが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである、請求項25に記載の化合物。
  28. が、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  29. が、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  30. アリールがフェニルである、請求項29に記載の化合物。
  31. ヘテロアリールが、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、またはイミダゾピリジニルである、請求項29に記載の化合物。
  32. が、置換もしくは非置換アリールアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  33. が、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、または置換もしくは非置換アラルコキシである、請求項1に記載の化合物。
  34. が、非置換アルキルであるか、または置換もしくは非置換アミノ、アミド、ニトロ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アミド、エステル、アルコイル、シアノ、アリールもしくはヘテロアリールで置換されているアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  35. が、置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  36. シクロアルキルが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである、請求項35に記載の化合物。
  37. ヘテロシクロアルキルが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである、請求項35に記載の化合物。
  38. が、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  39. が、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  40. が、−アルキレン−S(=O)Rまたは−アルキレン−S(=O)である、請求項1に記載の化合物。
  41. −アルキレン−が、−CH−、−CHCH−または−CHCHCH−である、請求項40に記載の化合物。
  42. が、−S(=O)である、請求項1に記載の化合物。
  43. が、Hである、請求項1に記載の化合物。
  44. が、置換または非置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
  45. から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシド。
  46. 請求項1に記載の化合物、および薬学的に許容されるその賦形剤、担体または結合剤を含む、医薬組成物。
  47. 対象に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、それを必要としている個体の細胞増殖性障害を治療する方法。
  48. 細胞増殖性障害が、癌である、請求項47に記載の方法。
  49. 癌が、乳癌、結腸直腸癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、皮膚癌、中枢神経系の癌、肝臓癌、胃癌、消化管癌、卵巣癌、白血病またはリンパ腫である、請求項48に記載の方法。
  50. 脳癌が、膠芽腫である、請求項49に記載の方法。
  51. 肺癌が、中皮腫である、請求項49に記載の方法。
  52. 中枢神経系の癌が、神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍である、請求項49に記載の方法。
  53. 神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍が、神経線維腫、視神経膠腫、悪性末梢神経鞘腫、シュワン腫、上衣腫または髄膜腫である、請求項52に記載の方法。
  54. 腎臓癌が、腎細胞癌腫である、請求項49に記載の方法。
  55. 癌が、再発性癌である、請求項48に記載の方法。
  56. 癌が、難治性癌である、請求項48に記載の方法。
  57. 癌が、悪性癌である、請求項48に記載の方法。
  58. 第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
  59. 第2の治療剤が、抗癌剤である、請求項58に記載の方法。
  60. 抗癌剤が、アポトーシス促進剤、キナーゼ阻害剤または受容体チロシンキナーゼ阻害剤である、請求項59に記載の方法。
  61. アポトーシス促進剤が、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の拮抗薬である、請求項60に記載の方法。
  62. IAPタンパク質の拮抗薬が、BV6またはG−416である、請求項61に記載の方法。
  63. キナーゼ阻害剤が、ゲフィチニブ、U0126、ダサチニブ、ニロチニブ、Akt VIIIまたはイマチニブである、請求項60に記載の方法。
  64. 受容体阻害剤が、アファチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ラニビズマブ、バンデタニブまたはZD6474である、請求項60に記載の方法。
  65. 治療有効量の式I、式IIまたは式III:
    [式中、
    環Tは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
    は、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
    は、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アラルコキシ、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、スピロ−シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル、−アルキレン−S(=O)R、−アルキレン−S(=O)、−S(=O)であり、
    は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルであり、
    は、Rの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロアリール、またはRの炭素原子を介して環Tもしくはフェニル環に結合している置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、
    各Rは、独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OCF、−OCHF、−OCFH、−CF、−SR、−NR10S(=O)、−S(=O)N(R10、−S(=O)R、−S(=O)、−C(=O)R、−OC(=O)R、−CO10、−N(R10、−C(=O)N(R10、−NR10C(=O)R10、−NR10C(=O)OR10、−NR10C(=O)N(R10、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキル、または置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
    各Rは、独立に、HまたはRであり、
    各Rは、独立に、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
    各R10は、独立に、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであるか、あるいは2つのR10は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環を形成し、かつsは0〜4である]
    の構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはN−オキシドを対象に投与することを含む、それを必要としている個体の細胞増殖性障害を治療する方法。
  66. 細胞増殖性障害が、癌である、請求項65に記載の方法。
  67. 癌が、乳癌、結腸直腸癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、皮膚癌、中枢神経系の癌、肝臓癌、胃癌、消化管癌、卵巣癌、白血病またはリンパ腫である、請求項66に記載の方法。
  68. 脳癌が、膠芽腫である、請求項67に記載の方法。
  69. 肺癌が、中皮腫である、請求項67に記載の方法。
  70. 中枢神経系の癌が、神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍である、請求項67に記載の方法。
  71. 神経線維腫症1型または神経線維腫症2型に関連する腫瘍が、神経線維腫、視神経膠腫、悪性末梢神経鞘腫、シュワン腫、上衣腫または髄膜腫である、請求項70に記載の方法。
  72. 腎臓癌が、腎細胞癌腫である、請求項67に記載の方法。
  73. 癌が、再発性癌である、請求項67に記載の方法。
  74. 癌が、難治性癌である、請求項67に記載の方法。
  75. 癌が、悪性癌である、請求項67に記載の方法。
  76. 第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項67に記載の方法。
  77. 第2の治療剤が、抗癌剤である、請求項76に記載の方法。
  78. 抗癌剤が、アポトーシス促進剤、キナーゼ阻害剤または受容体チロシンキナーゼ阻害剤である、請求項77に記載の方法。
  79. アポトーシス促進剤が、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の拮抗薬である、請求項78に記載の方法。
  80. IAPタンパク質の拮抗薬が、BV6またはG−416である、請求項79に記載の方法。
  81. キナーゼ阻害剤が、ゲフィチニブ、U0126、ダサチニブ、ニロチニブ、Akt VIIIまたはイマチニブである、請求項78に記載の方法。
  82. 受容体阻害剤が、アファチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ラニビズマブ、バンデタニブまたはZD6474である、請求項78に記載の方法。
JP2014540152A 2011-11-04 2012-11-02 細胞増殖性障害を治療するためのpak阻害剤 Pending JP2014532724A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161555902P 2011-11-04 2011-11-04
US61/555,902 2011-11-04
PCT/US2012/063413 WO2013067423A1 (en) 2011-11-04 2012-11-02 Pak inhibitors for the treatment of cell proliferative disorders

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014532724A true JP2014532724A (ja) 2014-12-08

Family

ID=48192852

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014540152A Pending JP2014532724A (ja) 2011-11-04 2012-11-02 細胞増殖性障害を治療するためのpak阻害剤
JP2014540157A Pending JP2015501786A (ja) 2011-11-04 2012-11-02 脆弱x症候群を治療するためのpak阻害剤

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014540157A Pending JP2015501786A (ja) 2011-11-04 2012-11-02 脆弱x症候群を治療するためのpak阻害剤

Country Status (20)

Country Link
US (2) US20150031693A1 (ja)
EP (2) EP2773642A1 (ja)
JP (2) JP2014532724A (ja)
KR (2) KR20140096098A (ja)
CN (2) CN104093717A (ja)
AR (1) AR089175A1 (ja)
AU (2) AU2012327183A1 (ja)
BR (2) BR112014010420A2 (ja)
CA (2) CA2854462A1 (ja)
CL (2) CL2014001131A1 (ja)
CO (1) CO7030960A2 (ja)
CR (2) CR20140251A (ja)
EA (2) EA201490925A1 (ja)
IL (2) IL232154A0 (ja)
MA (2) MA35660B1 (ja)
MX (2) MX2014005292A (ja)
PH (1) PH12014500995A1 (ja)
SG (2) SG11201401996TA (ja)
TW (1) TW201326169A (ja)
WO (2) WO2013067423A1 (ja)

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130252967A1 (en) * 2010-06-10 2013-09-26 Afraxis, Inc. 8-(sulfonylbenzyl)pyrido[2,3-d]pyrimidin-7(8h)-ones for the treatment of cns disorders
MY169267A (en) 2011-11-04 2019-03-20 Hoffmann La Roche New aryl-quinoline derivatives
AR095464A1 (es) 2013-03-15 2015-10-21 Celgene Avilomics Res Inc Compuestos de heteroarilo y usos de los mismos
UA120248C2 (uk) 2013-03-15 2019-11-11 Селджен Кар Ллс Гетероарильні сполуки та їх застосування
KR102219695B1 (ko) 2013-03-15 2021-02-25 셀젠 카르 엘엘씨 헤테로아릴 화합물 및 이의 용도
WO2015011252A1 (en) * 2013-07-26 2015-01-29 F. Hoffmann-La Roche Ag Pyrimidine-pyridinone serine/threonine kinase inhibitors
BR112016017137B1 (pt) * 2014-02-07 2022-10-11 Principia Biopharma, Inc Composto e/ou sal farmaceuticamente aceitável do mesmo e composições farmacêuticas
EP3172214B1 (en) 2014-07-26 2020-05-13 Sunshine Lake Pharma Co., Ltd. 2-amino-pyrido[2,3-d]pyrimidin-7(8h)-one derivatives as cdk inhibitors and uses thereof
US20170042806A1 (en) 2015-04-29 2017-02-16 Dexcel Pharma Technologies Ltd. Orally disintegrating compositions
WO2017139895A1 (en) * 2016-02-17 2017-08-24 Nuralogix Corporation System and method for detecting physiological state
US10076494B2 (en) 2016-06-16 2018-09-18 Dexcel Pharma Technologies Ltd. Stable orally disintegrating pharmaceutical compositions
JP7090037B2 (ja) * 2016-06-23 2022-06-23 エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー 新規な[1,2,3]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン誘導体
US11685954B2 (en) * 2016-07-15 2023-06-27 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Biomarkers predictive of endocrine resistance in breast cancer
CN106818805A (zh) * 2016-12-27 2017-06-13 东莞市联洲知识产权运营管理有限公司 一种天然乙酰胆碱酯酶抑制剂及其杀虫应用
CN107083428B (zh) * 2017-04-10 2020-09-25 徐州医科大学 Pak5在癌症诊断预后治疗及药物筛选中的应用
US20220002429A1 (en) * 2018-10-24 2022-01-06 Northwestern University Tumor cell aggregation inhibitors' for treating cancer
TWI748317B (zh) * 2019-01-03 2021-12-01 美商建南德克公司 吡啶并-嘧啶酮與喋啶酮化合物及使用方法
CN112213400B (zh) * 2019-07-09 2022-06-07 四川弘合生物科技有限公司 一种β-榄香烯及其有关物质的检测方法
CN110496128B (zh) * 2019-09-23 2022-09-30 吉林大学 利培酮或帕潘立酮在制备治疗弥漫性大b细胞淋巴瘤的药物中的应用
KR20230121758A (ko) 2020-11-18 2023-08-21 데시페라 파마슈티칼스, 엘엘씨. Gcn2 및 perk 키나제 억제제 및 그의 사용 방법
CN117858879A (zh) * 2021-01-15 2024-04-09 南京再明医药有限公司 Cdk2/4/6抑制剂及其制备方法和应用
CN113046323A (zh) * 2021-04-02 2021-06-29 四川农业大学 一种基于miR-532-5p及其靶基因调控卵巢颗粒细胞的方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1201765A3 (en) * 2000-10-16 2003-08-27 Axxima Pharmaceuticals Aktiengesellschaft Cellular kinases involved in cytomegalovirus infection and their inhibition
EP2094698A1 (en) * 2006-11-09 2009-09-02 F. Hoffmann-Roche AG Substituted 6-phenyl-pyrido [2,3-d]pyrimidin-7-one derivatives as kinase inhibitors and methods for using the same
EP2112150B1 (en) * 2008-04-22 2013-10-16 Forma Therapeutics, Inc. Improved raf inhibitors
US8674095B2 (en) * 2008-12-19 2014-03-18 Afraxis Holdings, Inc. Compounds for treating neuropsychiatric conditions
JP2013507395A (ja) * 2009-10-09 2013-03-04 アフラクシス・インコーポレイテッド Cns障害治療用の8−エチル−6−(アリール)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8h)−オン
US8912203B2 (en) * 2010-06-09 2014-12-16 Afraxis Holdings, Inc. 6-(sulfonylaryl)pyrido[2,3-D]pyrimidin-7(8H)-ones for the treatment of CNS disorders
US20130252967A1 (en) * 2010-06-10 2013-09-26 Afraxis, Inc. 8-(sulfonylbenzyl)pyrido[2,3-d]pyrimidin-7(8h)-ones for the treatment of cns disorders

Also Published As

Publication number Publication date
MX2014005292A (es) 2014-09-11
AR089175A1 (es) 2014-08-06
MA35660B1 (fr) 2014-11-01
WO2013067423A1 (en) 2013-05-10
AU2012327183A8 (en) 2013-07-18
CN104093717A (zh) 2014-10-08
MX2014005296A (es) 2014-08-27
CR20140251A (es) 2014-08-20
IL232154A0 (en) 2014-05-28
AU2012327183A1 (en) 2013-05-30
JP2015501786A (ja) 2015-01-19
WO2013067434A1 (en) 2013-05-10
AU2012327187A1 (en) 2013-05-23
SG11201401996TA (en) 2014-05-29
KR20140105451A (ko) 2014-09-01
CA2854471A1 (en) 2013-05-10
EP2773642A1 (en) 2014-09-10
US20130116263A1 (en) 2013-05-09
EP2773643A4 (en) 2015-07-29
SG11201401914WA (en) 2014-05-29
CR20140250A (es) 2014-08-20
BR112014010420A2 (pt) 2017-04-25
CN104039786A (zh) 2014-09-10
US20150031693A1 (en) 2015-01-29
CA2854462A1 (en) 2013-05-10
KR20140096098A (ko) 2014-08-04
CL2014001131A1 (es) 2014-08-22
BR112014010631A2 (pt) 2017-04-25
EA201490927A1 (ru) 2014-10-30
PH12014500995A1 (en) 2014-08-04
IL232215A0 (en) 2014-06-30
EP2773643A1 (en) 2014-09-10
AU2012327187A8 (en) 2013-07-25
EA201490925A1 (ru) 2014-09-30
MA35661B1 (fr) 2014-11-01
CO7030960A2 (es) 2014-08-21
CL2014001132A1 (es) 2014-08-22
TW201326169A (zh) 2013-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014532724A (ja) 細胞増殖性障害を治療するためのpak阻害剤
US8372970B2 (en) 8-ethyl-6-(aryl)pyrido[2,3-D]pyrimidin-7(8H)-ones for the treatment of CNS disorders
JP6985433B2 (ja) チロシンキナーゼ阻害剤
US20140163026A1 (en) 8-ethyl-6-(aryl)pyrido[2,3-d]pyrimidin-7(8h)-ones for the treatment of nervous system disorders and cancer
JP6580760B2 (ja) ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の阻害剤の使用
JP5718890B2 (ja) ブルートンチロシンキナーゼ阻害剤
US20130158043A1 (en) Pak inhibitors for the treatment of cancer