JP2014530275A - 工業用リグニンベースの相互連結微小セル材料およびその調製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、相互連結微小セル材料、工業用リグニン等の紙産業から出る低価格な廃棄物を使用して当該材料を調製するための方法、および触媒、フィルターまたは吸収体等の製品を製造するための当該材料の使用に関する。

Description

本発明は、微小セル材料、紙産業から出る低価格な廃棄物より当該材料を調製するための方法、並びに触媒、フィルターまたは吸収体等の製品を製造するための当該材料の使用に関する。
本発明に係る微小セル材料は、センチメートル単位のサイズの多孔質モノリスであり、その気孔率は「セル」とも呼ばれる球状の空洞の存在により特徴づけられる。「セル」は、一般的には1〜100μmの間、特に約2μm〜約50μm、そして好ましくは約5μm〜約20μmの直径を有する。これらのセルは、一般的に全て相互連結しており、近隣のセルとの間にそのセル自身のサイズよりも小さい開口部または「窓」を有する。これらの相互連結する窓は、様々な寸法を有し、約0.5〜約10μm、特に約50nm〜約1000nm、そして好ましくは約250nm〜約500nmの直径を有する。
本発明に係る相互連結微小セル材料は、0.02〜0.2g.cm-3という特に低い密度を有する。
既存の相互連結微小セル材料は、一般的にpolyHIPE(Polymerization of a igh nternal hase mulsion)法により得られる。このような材料は、例えば、仏国特許出願FR2932184号に記載される。
polyHIPE法は、高濃度のエマルジョンを重合することからなり、当該エマルジョンは内部分散相より構成される。当該内部分散相の体積分率は外部分散相のものよりも大きい。内部分散相の体積分率は、理論的にエマルジョンの全体積に対し74%以上でなければならない。この74%という閾値は、均一で球状である内部分散相の液滴が占める最大体積でそれらが変形しないように配置した場合に相当する。74%を超えると、液滴は、互いに圧縮される。広範な液滴サイズ分布を示すエマルジョン(すなわち、多分散エマルジョン)の場合には、重合後に相互連結した多孔質構造を得るための閾値は、74%という理論値未満となる場合がある。
polyHIPE法の外部分散相は連続相を構成し、主に、溶媒の溶液中に重合可能なモノマーに加えて界面活性剤を含む。内部分散相は、主に、当該モノマーおよび/または当該連続相の溶媒と非混和性の溶媒で構成される。
重合および内部分散相からの溶媒除去後に、相互連結微小セル材料が得られる。
これらの構造および物理的特性を考慮すると、相互連結微小セル材料は、ますます高まる関心の対象である。使い捨て吸収体製品、断熱製品、防音製品、電気的または機械的に絶縁な製品、膜、フィルター、あるいは、インク、染料、および触媒の担体等の製造を含む多くの分野でこれらを使用することが提案されている。
しかしながら、今日までに説明されてきた相互連結微小セル材料は、主に油または合成物起源の重合性前駆体、すなわち、非植物性であり再生不能な原料から得られる。世界の石油埋蔵量の下落を考慮すると、それらに代わる再生可能材料を活用することが優先される。
従って、再生可能な原料から調製した相互連結微小セル材料、並びに再生可能な原料を用いた当該材料の調製方法、特にpolyHIPE法、を利用可能にする必要がある。また、ヒトまたは動物の食物等といった資源としての優先的使用にマイナスの影響を与えることなく、そして環境への影響を与えることなく、工業廃棄物を活用することによる持続的な開発アプローチを促進することも重要である。
本発明の目的は、従って、好ましくはpolyHIPE法に基づき、持続的な開発という関心に応えそして既存のpolyHIPE材料の有利な特性を維持しながら、相互連結微小セル材料を提供することである。
本発明は、従って、リグニンを原料として使用したこの相互連結微小セル材料を製造するための方法に関する。この原料は、リグノセルロース系バイオマス由来である。
リグノセルロース系バイオマスは、地球上で最も豊富な再生可能資源の一つを代表する。リグニンは、その豊富さゆえに特に重要であり、現在の木材および燃料としての用途以外に活用するという目的のための多くの研究対象となっている。
一般名称として、リグニンは、少なくとも3種類のフェノール系アルコール:p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、およびシナピルアルコールを酸化重合することにより得られる。しかしながら、その構造は、植物学的な由来、植物年齢、リグニンが見られる組織、細胞、および側壁層の種類に依存する。このように自然界における種類は非常に多岐にわたる上に分析方法も多様なため、リグニンの構造を表すことは困難である。
従って、リグニンという用語は、多様で複雑な組成および構造を持つ分子量の大きなポリフェノール系ポリマー群を指す総称である。
紙パルプを製造するための化学的な方法では、リグニンをセルロースから化学的方法により分離するが、このことによりリグニンの構造が非常に変わってしまう。従って、「工業用リグニン」と呼ばれる残留リグニンは、ヘミセルロースモノマーをも含みうる蒸解液中に溶解した形で存在する。これらの蒸解液は、クラフト工程中、または亜硫酸法の場合にはスルホン化誘導体を含む酸性溶液中のいずれかにおいて強塩基性である。
工業用リグニンは抽出可能であり、世界で年間50000トン以上というかなりの量の廃棄物になる副生成物となる。
いくつかの種類の工業用リグニンが利用可能であり、例えば、以下のリグニンが本発明の文脈において使用できる:
−同名の製紙工程由来であり、世界の紙生産の80%以上を占めるクラフトリグニン;
−亜硫酸法由来のリグノスルホネート;
−有機酸化剤を用いた抽出法から得られる有機溶解性リグニン;
−エタノール等のバイオ燃料を調製するための木材以外のバイオマス源を使用したバイオリファイナリー由来のリグニン。
特に、本発明による方法の原料は、現在大量に利用可能であるがあまり活用されていない紙産業の主な副産物の一つ、つまり「黒液」である。
クラフト黒液としても知られる黒液とは、クラフト工程による紙製造から得られる蒸解液のことである。これは主にクラフトリグニン残基および紙パルプから溶けたヘミセルロース、加えて溶解法で使用する他の無機化合物からなる強塩基水溶液の形態で存在する。黒液は、主に紙をすり潰すエネルギーを供給する液体燃料としてその場で利用される。
4質量%のTritonX−405ベースの相互連結微小セル材料Aについて得られた画像である。 4質量%のCremophorELベースの相互連結微小セル材料Cについて得られた画像である。
本発明は、従って、
−溶媒中に、界面活性剤および工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマーを含む溶液を含む外部分散相、並びに
−上記重合性モノマーおよび/または上記外部分散相の溶媒と非混和性の溶媒を含む内部分散相:
を含む濃縮エマルジョンを重合することにより相互連結微小セル材料を調製する方法に関する。
「工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマー」とは、先に定義した工業用リグニンに由来する重合性モノマーを意味する。
一旦、固形物が得られるまで濃縮エマルジョンの外部分散相を重合させたら、当該固形物に1またはそれ以上の洗浄および乾燥工程を施すことが好ましい。
また、本発明の対象は、上記のように濃縮エマルジョンを重合させることにより取得可能な相互連結微小セル材料に関する。
特に、濃縮エマルジョンの内部分散相の体積分率は、約55%以上である。よって、本発明に係る相互連結した多孔質構造を有する微小セル材料は、74%というpolyHIPEエマルジョンの理論閾値よりも低い体積分率を有する内部分散相を含む濃縮エマルジョンを重合することにより得られる。
本発明に係る濃縮エマルジョンは、好ましくは、「水中油」型のエマルジョンである、すなわち、外部分散相の水相および内部分散相の有機相を有する。
前述のように、外部分散相は、工業用リグニンに含有されるモノマーを含む溶液を含み、その後当該モノマーが重合する。この溶液は、蒸解液、特に黒液そのものであり得る。実際、クラフトリグニンは、黒液の主成分であるので、前処理をせずに本発明に係る水中油型の濃縮エマルジョンの外部分散相の主成分として好ましく使用可能である。工業用リグニンに含有されるモノマーを含む溶液が蒸解液、特に黒液である場合、外部分散相の溶媒は、当該液に由来する。
特に、本発明の文脈において使用される原料は、特に約20質量%〜約80質量%の乾燥物、好ましくは約40質量%〜約60質量%の乾燥物を含む黒液である。本発明に係る相互連結微小セル材料を得るための好ましい質量パーセントは、黒液中における乾燥物につき45質量%である。
本発明に係るエマルジョンの内部分散相は、任意の油、特に固形物の洗浄を容易にするための通常の溶媒中に可溶性かつ安価な油から生成することができる。他の種類の油を、本発明に係るエマルジョンの内部分散相として使用してもよい。よって、約10℃〜約40℃の間、好ましくは室温に近い融点を有する油を使用することもできる。
黒液を使用する場合、重合可能なモノマーは、クラフトリグニンおよびヘミセルロース由来である。
外部分散相に含有される重合性モノマーは、剛性固形物を得るために架橋することができる。濃縮エマルジョンの外部相は、その後さらに、例えば、エピクロロヒドリン及び塩化シアヌルのような架橋剤を含んでもよい。
架橋により、場合により存在するヘミセルロース鎖(脂肪族アルコールのみ)に加えリグニン鎖(脂肪族アルコール及びフェノール)上に存在する反応性化学官能基を用い、適温の水溶性の塩基性媒質において適温でポリマー鎖の間を共有結合させることが可能になる。これらの条件下で、好適な架橋剤はエピクロロヒドリンである。黒液のクラフトリグニンとエピクロルヒドリンとの反応は、強塩基性媒質において60℃という適温で触媒できるという利点を有している。
本発明によると、濃縮エマルジョンは、100℃未満、好ましくは約40℃〜約80℃の温度で重合することができる。
安定な水中油エマルジョンを生成するために、強い親水性を有する界面活性剤を好ましくは、外部分散相に添加する。よって、界面活性剤は、アニオン性で親水性の界面活性剤および非イオン性で親水性の界面活性剤より選択できる。
例えば、アニオン性界面活性剤を使用する。その親水性頭部は、カルボキシレート、サルフェート、またはスルホネート基で構成できる。非極性部分は、長い直鎖または分岐鎖でありそして単純なまたは官能基化されたアルキル鎖、あるいは長い直鎖または分岐鎖のアルキルベンゼン鎖で構成可能である。よって、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、トリエタノールアミンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、およびラウリル硫酸トリエタノールアミンを、例えば、本発明に係るエマルジョンを生成するために使用できる。
好ましくは、安価であり種々の製剤に広範に使用できるのでSDSを使用する。
本発明によれば、界面活性剤もまた、非イオン性界面活性剤より選択できる。HLB(親水性−親油性バランス)の高い多種多様な界面活性剤が挙げることができ、これには、アルキルポリエトキシレート、エトキシル化アルキルフェノール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのポリマー複合体、ポリエチレンオキシドオクチルフェノール、ポリエチレンオキシドノニルフェノール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドブロックのコポリマー、ソルビタン脂肪酸モノエステルおよびポリエステル、グリセロール脂肪酸モノエステルおよびポリエステル、並びにこれらの混合物が含まれる。
本発明に係る相互連結微小セル材料の多孔形態は、気孔率のみではなく、セルの平均直径の分布、相互連結した窓の平均直径、そして比表面積によっても特徴付けることができる。また、この多孔形態の分析は、内部分散相の特徴に起因する、または場合により外部分散相に含まれる水の脱離にも起因しうる気孔の要因を決定することも含む。
セルの直径分布の分散についての指標Uを、特に、この分布が多分散または単分散であるかどうかを決定するのに使用できる。このU因子は次式で定義される。
式中、niは直径がdiであるセルの数であり、d*はメジアン径、つまり、小さい側のサイズの体積分率が0.5と等しくなる直径である。Uが0.3以下であるとき、一般的に単分散分布が得られる(すなわち、セルの直径が均一である)と考えられる。
この多孔形態は、特に、界面活性剤の性質および量、または乳化時間の関数として調整できる。本発明に係る相互連結微小セル材料は、多分散または単分散分布を有する。
多孔形態に影響を与えるパラメータを決定するために、種々の分析技術が用いられる。走査電子顕微鏡(SEM)だと、顕微鏡写真から材料の平均セル径の統計的分析を確立することが可能になる。水銀圧入多孔度測定法だと、固体の気孔率、相互連結部の平均直径、加えて最終的な固体の見掛け密度を決定することが可能になる。最後に、相互連結微小セル材料の比表面積の測定を、窒素吸着およびBET(Brunauer−Emmet−Teller)法によるデータ処理によって実施する。
よって、実験パラメータを調整することにより増減可能なセル径分布(単分散又は多分散)を有する本発明に係る相互連結微小セル材料を得ることが可能になる。
本発明はまた、上記方法により取得可能な相互連結微小セル材料に関する。
これらの相互連結微小セル材料は、特に約60%以上の気孔率を有してもよい。この気孔率の値だと、意図する用途に必要な機械的強度を維持しながら高い透磁率を有する材料を得るのに十分である。
本発明はまた、相互連結微小セル材料を調製するための、上記で定義した工業用リグニンに含有される少なくとも1つ重合性モノマーを含む濃縮エマルジョンの使用に関する。上述のように、工業リグニンは、特に蒸解液、とりわけ黒液中に存在し得る。
本発明はまた、上記で定義した微小セル材料を調製するために有用なエマルジョンに関する。このエマルジョンは、好ましくは単分散である。
本発明に係るエマルジョンは以下のものを含む:
−溶媒中に、界面活性剤および工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマーを含む溶液を含む外部分散相、並びに
−上記モノマーおよび/または上記外部分散相の溶媒と非混和性の溶媒を含む内部分散相。
また、本発明は、例えば、フィルター、断熱製品、防音製品、電気的または機械的に絶縁な製品、使い捨て吸収体製品、あるいは、インク、染料、および触媒の担体等を、上記相互連結微小セル材料の全部または一部で構成した任意の製品に関する。
本発明を、後述する実施例により説明するが、しかしこれらの実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1は、黒液ベースの濃縮エマルジョンの調製に関する。
実施例2は、実施例1で調製したエマルジョンの外部分散相を重合することにより相互連結微小セル材料を調製することについて記載する。
実施例3は、実施例2で得た微小セル材料の多孔形態を特に界面活性剤の性質および量の関数として分析することに関する。
実施例4は、実施例2で得た微小セル材料の多孔形態を乳化時間の関数として分析することに関する。
実施例1:黒液ベースの濃縮エマルジョンの調製
乳化は、直径の小さな(1mm)チャネルによって接続し、端を密閉ピストンで閉じた2つのチャンバーに分かれる直径10mmの金属管からなる系を使用して実施する。この管をベンチに固定する。通常の往復運動をピストンに加えると、管がモータ作動性のクランクおよび連結ロッドシステムにより閉じられる。乳化すべき混合物は、よって、小さな連結チャネルを介し1のチャンバーから他のチャンバーへと強制的に交互移動させられる。このことにより、乳化すべき混合物が高い剪断応力を受けることになり、単分散エマルジョンが得られる。
以下のものを乳化系の混合チャンバーを構成する金属管内に導入する:
−乾燥物の含量が既知の黒液(Smurfit Kappa Cellulose from Pine)、
−界面活性剤:Triton(登録商標)X−405(ポリオキソエチレン(35)−オクチルフェニルエーテル、HLB=17.0)(Sigma Aldrich)またはCremophor(登録商標)EL(ポリエトキシル化ヒマシ油(35)、HLB=16−18)(Sigma Aldrich)、
−架橋剤:エピクロロヒドリン(Acros Organics)、および
−内部分散相の溶媒としてのヒマシ油(Acros Organics)。
金属管を、2つのピストンによって閉じ、ネジでベンチに固定する。そして、乳化すべき混合物を、15rpmの一定速度で80分間、ピストンの往復運動によって撹拌する。
Φを、エマルジョン中の内部分散相のおよその体積分率と定義する。
4種類のエマルジョンを、このプロトコルを用いて製造する。結果を以下の表1に示す。
実施例2:微小セル材料の調製
実施例1のエマルジョンを、2.80cm×4.3cmの寸法を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の鋳型に密閉して60℃の温度で48時間加熱し成形する。この工程後に得られた硬質固形物を、それらの鋳型に入れたまま室温で24時間エタノール浴を行う。この間に、エマルジョンの分散相を構成するヒマシ油の一部および外部分散相の水の一部が、エタノールによって飛ばされる。この結果、当該固形物はわずかに収縮し、それによりこの固形物を損傷するリスクなく鋳型から簡単に外せるようになる。鋳型から外したら、固形物をソックスレー抽出器に入れ、固形物中に残っているヒマシ油を完全に除去するために、4日間エタノールで連続抽出する。一回洗浄してから、固形物中に含まれるより揮発性の高い溶媒をエタノールに交換するために固形物に対し室温で24時間エタノール浴を行う。最後に、固形物を室内で4日間乾燥する。
実施例3:微小セル材料の多孔形態についての分析
実施例2に従って得た相互連結微小セル材料について水銀圧入多孔度測定法による分析を行う。結果を下記の表2に示す。この分析により、得られる材料の気孔率、加えて相互連結部または「窓」の平均直径を決定することが可能である。
調製した材料のSEM画像を形成する。そこで、図1は、4質量%のTritonX−405ベースの相互連結微小セル材料Aについて得られた画像である。図2は、4質量%のCremophorELベースの相互連結微小セル材料Cについて得られた画像である。
実施例2に従って得た相互連結微小セル材料の画像解析も実施した。実施例2は、(100と150の間の数の)セルという多くの試料の統計分析により補完した。本研究では、平均セル径、加えてこれらの直径の分散係数Uを決定することが可能である。結果を下記表2に示す。
窒素吸着による分析そしてそれに続くBET法によるデータ処理により、調製後の微小セル材料の比表面積が得ることが可能である。結果を以下の表2に示す。
結果は、界面活性剤の性質およびその量が測定気孔率にほとんど影響を与えないことを示している。測定気孔率は、すべての試料について、分散相の体積分率Φ=55%より大きい。この現象は、エマルジョンの水溶性外部分散相の成分である黒液中に水が存在することによるものである可能性がある。相互連結微小セル材料の処理中にこの水を除去すると、気孔率に影響する。よって、試料の気孔率の10〜15%は、初期段階におけるこの水の存在によるものである可能性がある。
界面活性剤の性質は、相互連結部の平均直径に影響を有する。Triton(登録商標)X−405を使用した微小セル材料AおよびBでは300nmであり、Cremophor(登録商標)ELを使用した微小セル材料CおよびDでは800nmである。
界面活性剤の性質および割合もまた、セルの平均直径およびこれらの直径値の分散に影響を有する。4%のTriton(登録商標)X−405だとセルの平均直径が6μmの単分散分布であり、8%のTriton(登録商標)X−405だと11μmの多分散分布となる。同様に、4%のCremophor(登録商標)ELだとセルの平均直径が9μmの単分散分布であり、8%のCremophor(登録商標)ELだと16μmの多分散分布となる。
実施例4:乳化時間の影響
さらに二つのエマルジョンEおよびFを、乳化時間を変えて実施例1のエマルジョンCと同じ処方により調製した。
結果は以下の通りである。
結果は、乳化時間が、得られる微小セル材料の形態に大きな影響を有することを示す。
同じ界面活性剤Cremophor(登録商標)ELを4%という同じ割合で使用しても、乳化時間が減少すると、セルの平均直径が減少し、これらの値の分散がより大きくなる(U値が増加する)。

Claims (23)

  1. −溶媒中に、界面活性剤および工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマーを含む溶液を含む外部分散相、並びに
    −前記重合性モノマーおよび/または前記外部分散相の溶媒と非混和性の溶媒を含む内部分散相:
    を含む濃縮エマルジョンを重合することにより相互連結微小セル材料を調製する方法。
  2. 前記濃縮エマルジョンの内部分散相の体積分率が約55%以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分散相は水相であり、前記非混和性の溶媒は約10℃〜約40℃の間、好ましくは室温に近い融点を有する油である、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記工業用リグニンは、クラフトリグニン、リグノスルホネート、有機溶解性リグニン、およびバイオリファイナリー由来のリグニンからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記外部分散相がさらに少なくとも1つのヘミセルロースモノマーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマーを含む溶液は、蒸解液、好ましくは黒液である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記黒液は、約20質量%〜約80質量%の乾燥物、好ましくは約40質量%〜約60質量%の乾燥物を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記外部分散相がさらに架橋剤、好ましくはエピクロロヒドリンまたは塩化シアヌルを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記エマルジョンを、100℃未満、好ましくは約40℃〜約80℃の温度で重合する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記界面活性剤は、アニオン性で親水性の界面活性剤および非イオン性で親水性の界面活性剤から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記アニオン性で親水性の界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、およびラウリル硫酸トリエタノールアミンからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記非イオン性で親水性の界面活性剤は、アルキルポリエトキシレート、エトキシル化アルキルフェノール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのポリマー複合体、ポリエチレンオキシドオクチルフェノール、ポリエチレンオキシドノニルフェノール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドブロックのコポリマー、ソルビタン脂肪酸モノエステルおよびポリエステル、グリセロール脂肪酸モノエステルおよびポリエステル、並びにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
  13. 得られた固形物を洗浄および乾燥する少なくとも1つの工程をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法により取得可能な相互連結微小セル材料。
  15. 約60%以上の気孔率を有する、請求項14に記載の相互連結微小セル材料。
  16. 微小セル材料のセルが、約2μm〜約50μm,好ましくは約5μm〜約20μmの直径を有する、請求項14または15のいずれかに記載の相互連結微小セル材料。
  17. 微小セル材料の相互連結する窓が、約50nm〜約1000nm、好ましくは約250nm〜約500nmの直径を有する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の相互連結微小セル材料。
  18. 相互連結微小セル材料を調製するための、工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマーを含む濃縮エマルジョンの使用。
  19. 前記工業用リグニンは、クラフトリグニン、リグノスルホネート、有機溶解性リグニン、およびバイオリファイナリー由来のリグニンからなる群より選択される、請求項18に記載の使用。
  20. 前記工業用リグニンは、蒸解液、好ましくは黒液中に存在する、請求項18または19のいずれかに記載の使用。
  21. −溶媒中に、界面活性剤および工業用リグニンに含有される少なくとも1つの重合性モノマーを含む溶液を含む外部分散相、並びに
    −前記重合性モノマーおよび/または前記外部分散相の溶媒と非混和性の溶媒を含む内部分散相:
    を含む、相互連結微小セル材料の調製に有用なエマルジョン。
  22. 請求項14または17のいずれかに記載の相互連結微小セル材料の全部または一部により構成される製品。
  23. フィルター、断熱製品、防音製品、電気的または機械的に絶縁な製品、使い捨て吸収体製品、あるいは、インク、染料、および触媒の担体である、請求項22に記載の製品。
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