詳細な説明
本発明の組成物および方法を記載する前に、本明細書に記載される特定の工程、組成物、または方法論は、変動し得るため、本発明がこれらに限定されないことを理解すべきである。同じく、本明細書で使用される用語が、特定の形式または実施形態のみを説明することを目的とされており、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の実施形態を実践または試験するのに用いることができ、好ましい方法、デバイスおよび材料を、ここに記載する。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行の発明によってそのような開示に先行する資格がないことを承認するものと解釈されるべきはない。
本明細書で用いられる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確な断わりがない限り、複数形も包含する。つまり例えば「治療薬」の参照では、当業者に知られる1つ以上の治療薬およびその同等物などを指す。
本明細書で用いられる用語「約」は、用いられている数値の±10%を意味する。それゆえ約50%は、45%〜55%の範囲内を意味する。
治療薬と一緒に用いられる「投与すること」は、治療薬を標的組織内もしくは標的組織上に直接投与すること、または治療薬を患者に投与してそれにより治療薬が標的とされる組織に正の影響を及ぼすこと、を意味する。つまり本明細書で用いられる用語「投与すること」は、治療薬と一緒に用いられる場合、非限定的に、治療薬を標的組織内または標的組織上に提供すること;治療薬を例えば静脈注射により、患者の全身に提供して、治療薬が標的組織に達すること;治療薬をコード配列の形態で標的組織に提供すること(例えば、いわゆる遺伝子治療技術による)を含むことができる。組成物を「投与すること」は、経口投与、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、経皮拡散もしくは電気泳動、局所注射、生体内分解性もしくはリザーバー型植込み剤などの局所に植込まれる徐放性デバイスをはじめとする徐放性送達デバイス、遺伝子治療ベクターを介した蛋白質治療薬もしくは核酸治療薬として、外用投与、または他の公知技術を併せたこれらの方法のいずれかにより遂行されてもよい。そのような併用技術としては、非限定的に加熱、放射線および超音波が挙げられる。
本明細書で用いられる「薬剤」は、癌関連配列に特異的に結合する分子、または癌関連配列によりコードされた分子、または癌関連配列によりコードされた分子に結合する受容体を指す。薬剤の例としては、DNAなどの核酸分子、および抗体などの蛋白質が挙げられる。薬剤は、以後に記載される標識または検出可能な物質と結合されていてもよい。
本明細書で用いられる用語「増幅する」は、増幅産物を作製することを意味し、増幅産物は、例えば更なる標的分子、または試料中の標的分子の存在によって作製される標的様分子もしくは標的分子に相補的な分子を含み得る。標的が核酸である状況において、増幅産物は、DNAもしくはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、あるいはそれらの任意の組合せで酵素的に作製することができる。
本明細書で用いられる用語「動物」、「患者」または「対象」は、非限定的に、ヒト、ヒトでない霊長類、およびヒトでないセキツイ動物、例えば任意の哺乳類をはじめとする野生動物、飼育動物および家畜、例えばネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウサギ、マウスおよびラットなどのげっ歯類が挙げられる。
本明細書で用いられる「生物学的供給源」は、標的ポリヌクレオチドまたは蛋白質またはペプチドフラグメントが由来し得る供給源を指す。供給源は、非限定的に細胞、組織または流体をはじめとする先に記載された「試料」の任意の形態であってもよい。「異なる生物学的供給源」は、同じ個体の異なる細胞/組織/臓器、または同じ種の異なる個体の細胞/組織/臓器、または異なる種の細胞/組織/臓器を指すことができる。
用語「捕捉試薬」は、試料中で検出される標的分子または被分析物に結合し得る試薬、例えば抗体または抗原結合蛋白質を指す。
用語「遺伝子発現結果」は、遺伝子または遺伝子産物の発現に関係する定性的および/または定量的結果を指す。遺伝子発現結果は、遺伝子の量もしくはコピー数、遺伝子によりコードされたRNA、遺伝子によりコードされたmRNA、遺伝子によりコードされた蛋白質産物、またはその任意の組み合わせであってもよい。遺伝子発現結果は、標準化すること、または標準に対して比較することができる。遺伝子発現結果は、例えば、遺伝子が発現されるかどうか、過剰発現されるかどうか、または2つ以上の試料中で示差的に発現されるかどうかを決定するために、用いることができる。
本明細書で用いられる用語「相同性」は、相補性の程度を指す。部分的相同性または完全な相同性が存在し得る。言語「同一性」を、言語「相同性」の代わりに用いてもよい。標的核酸にハイブリダイズすることで同一配列を少なくとも部分的に阻害する部分的相補性核酸配列は、「実質的に相同的」と呼ばれる。標的配列に対して完全に相補的な核酸配列のハイブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェント性の条件下でハイブリダイゼーションアッセイ(サザンまたはノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションなど)を用いて検査することができる。実質的に相同的な配列またはハイブリダイゼーションプローブは、低ストリンジェント性の条件下で完全に相同的な配列への標的配列の結合において競合し、それを阻害する。低ストリンジェント性条件は、2つの配列の互いへの結合が特異的(即ち選択的)相互作用になることが求められるため、先のことは、低ストリンジェント性の条件により非特異的結合が許容されないようになると言っているのではない。非特異的結合の非存在は、部分的程度の相補性さえも欠く(例えば、約30%未満の相同性または同一性)第二の標的配列の使用により試験され得る。非特異的結合の非存在下において、実質的に相同的な配列またはプローブは、第二の非相補性標的配列にハイブリダイズしない。
本明細書で用いられる用語「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズすること」は、水素結合を指し、それは相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間のワトソン−クリック水素結合、フーグスティーン水素結合または逆フーグスティーン水素結合であってもよい。例えばアデニンおよびチミンは相補的な核塩基であり、水素結合を形成することを通じて対合する。核酸分子の参照において本明細書で用いられる「相補的な」は、2つのヌクレオチド間で正確に対合するための能力を指す。例えば、オリゴヌクレオチドの特定の位置のヌクレオチドが、DNAまたはRNA分子の同一の位置でヌクレオチドと水素結合することができる場合、オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは、その位置において互いに相補的であるとみなされる。オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは、それぞれの分子内の対応する位置の十分な数が、互いに水素結合し得るヌクレオチドにより占められている場合、互いに相補的である。つまり「特異的にハイブリダイズ可能な」および「相補的な」は、安定していて特異的な結合がオリゴヌクレオチドとDNAまたはRNA標的との間に生じるような、十分な程度の相補的または正確な対合を示すために使用される用語である。核酸配列が、標的核酸の配列と100%相補的である必要がないことは、当該技術分野において理解されている。特異的結合が望ましい条件下、即ちインビボアッセイまたは治療的処置の場合には生理学的条件下で、そしてインビトロアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下で、非標的配列への分子の非特異的結合を回避するために、標的への分子の結合が存在する場合、および十分な程度の相補性が存在する場合には、核酸化合物は特異的にハイブリダイズ可能である。
用語「阻害すること」は、症状の開始を防止して症状を軽減するため、または疾患、状態もしくは障害を排除するための、本開示の化合物の投与を含む。用語「阻害すること」は、癌関連配列をコードする遺伝子などの遺伝子の発現レベルを低下させることを指してもよい。RNAおよび/または蛋白質の発現レベルが、低下されてもよい。
用語「標識」は、アッセイ試料中に標的ポリヌクレオチドの存在を示す検出可能なシグナルを生じることが可能な組成物を指す。適切な標識としては、放射性同位体、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発光部分、磁性粒子、生物発光部分などが挙げられる。つまり標識は、非限定的に分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的な検出デバイスまたは任意の他の適切なデバイスなどのデバイスまたは方法により検出可能な任意の組成物である。幾つかの実施形態において、標識は、デバイスの助けを借りずに視覚的に検出可能であってもよい。用語「標識」は、基質から検出可能な生成物への変換を触媒する酵素など、検出可能な物理的性質を有する任意の化学基もしくは部分、または検出可能な物理的性質を示す化学基または部分を生じ得る任意の化合物を指す。用語「標識」は、特定の物理的性質の発現を示す化合物も包含する。標識が、結合対の要素と、検出可能な物理的性質を担うその他の要素とが存在する化合物であってもよい。
「マイクロアレイ」は、例えば別々の領域からなる、直線的または二次元のアレイであり、それぞれ固体支持体の表面上に形成されている画定された領域を有する。マイクロアレイ上の別々の領域の密度は、単一の固相支持体の表面上で検出される標的ポリヌクレオチドの総数によって、好ましくは少なくとも約50/cm2、より好ましくは少なくとも約100/cm2、更により好ましくは少なくとも約500/cm2、更により好ましくは少なくとも約1,000/cm2として、決定される。本明細書に使用される、DNAマイクロアレイは、標的ポリヌクレオチドを同定、増幅、検出、またはクローニングするために用いられるチップまたはその他の表面上に配置されたオリゴヌクレオチドプライマーのアレイである。アレイにおけるプライマーのそれぞれの特定の群の位置は、既知であるため、標的ポリヌクレオチドの同一性は、マイクロアレイにおける特定の位置への結合に基づいて決定することができる。
本明細書で用いられる用語「天然由来」は、通常、天然に見いだされる形態であってもよい配列または構造を指す。「天然由来」は、任意の動物において通常見いだされる形態の配列を含んでいてもよい。
本明細書における「核酸」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」またはその同等物の使用は、一緒に共有結合で連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、6、8、10、12、20、30の、または100以下のヌクレオチドのオリゴマーである。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも6、8、10、12、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、または500のヌクレオチドのオリゴマーである。「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、DNA、RNA、PNAまたはホスホジエステル結合および/もしくは任意の別の結合により連結されたヌクレオチドのポリマーを含み得る。
本明細書で用いられる用語「任意の」または「場合により」は、次に記載される構造、事象または状況が起こる場合、または起こらない場合があり、その記載が、事象が起こる例および事象が起こらない例を含む実施形態を指す。
語句「相同性率」、「%相同性」、「同一性率」、または「%同一性」は、2つ以上のアミノ酸または核酸配列の比較において見いだされる配列類似性の百分率を指す。同一性率は、例えばMEGALIGNプログラム(LASERGENEソフトウエアパッケージ、DNSTAR)を用いることにより、電子的に決定することができる。MEGALIGNプログラムは、異なる方法、例えばClustal法(Higgins,D.G. and Sharp,P.M.(1988)Gene 73:237−244)に従い2つ以上の配列の間のアライメントを作成することができる。Clustalアルゴリズムは、全てのペアの間の距離を検査することにより、配列をクラスターに分類する。クラスターは、ペアでアライメントされ、次に群においてアライメントされる。2つのアミノ酸配列、例えば、配列Aおよび配列Bの間の類似性の百分率は、(配列Aと配列Bの間で一致する残基の総数/配列Aの長さ−配列Aにおけるギャップ残基(gap residues)の数−配列Bにおけるギャップ残基の数)×100によって計算される。2つのアミノ酸配列の間にある低い相同性または非相同性のギャップは、類似性率の測定に含まれない。同じく核酸配列の間の同一性率は、Clustal法または当業者に周知の他の方法、例えばJotun Hein法(例えば、Hein,J.(1990)Methods in Enzymology 183:626−645参照)により計算することもできる。配列間の同一性は、当業者に周知の別の方法により、例えばハイブリダイゼーション条件を変動させることにより、決定することもできる。
「医薬的に許容し得る」は、担体、希釈剤または賦形剤が、配合剤の他の成分と適合性がなければならないこと、およびそのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
本明細書で用いられる「組換え蛋白質」は、組換え技術を用いて、例えば非限定的に先に示された組換え核酸の発現を通して、作製された蛋白質を意味する。組換え蛋白質は、少なくとも1種以上の特徴により天然由来の蛋白質と識別することができる。例えば該蛋白質は、通常は野生型宿主において結合された蛋白質および化合物の一部または全てから単離または精製されてもよく、つまり実質的に純粋であってもよい。例えば単離された蛋白質は、所与の試料において総蛋白質の少なくとも約0.5重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%を構成する、通常は天然状態で結合された材料の少なくとも一部を伴わない。実質的に純粋な蛋白質は、約50〜75%、約80%、または約90%を構成する。幾つかの実施形態において、実質的に純粋な蛋白質は、総蛋白質の約80〜99重量%、85〜99重量%、90〜99重量%、95〜99重量%、または97〜99重量%を構成する。組換え蛋白質は、異なる生物体(例えば、酵母、大腸菌(E.coli)など)または宿主細胞における1つの生物体(例えば、ヒト)からの癌関連蛋白質の産生を含むことができる。あるいは該蛋白質は、蛋白質が高濃度で作製されるように、誘導性プロモーターまたは高度発現プロモーターの使用により、通常見られるよりも有意に高い濃度で作製され得る。あるいは該蛋白質は、本明細書で議論されるエピトープタッグの付加、またはアミノ酸の置換、挿入および欠失と同様に、天然では通常見いだされない形態であってもよい。
本明細書で用いられる用語「試料」は、試薬、例えば非限定的に治療薬、薬物または候補薬で試験または処置されている組成物を指す。試料は、対象から得ることができる。幾つかの実施形態において、試料は、血液、血漿、血清またはその任意の組み合わせであってもよい。試料は、血液、血漿、血清またはその任意の組み合わせに由来してもよい。他の典型的な試料としては、非限定的に、哺乳動物対象から得られる任意の体液、組織生検、唾液、リンパ液、血液細胞(例えば、末梢血単核細胞)、組織、微細針生検試料、尿、腹水、初乳、母乳、羊水、糞便材料、涙液、肋膜液、またはそれらから得られる細胞が挙げられる。試料は、本明細書に記載された方法において用いられる前に幾つかの手法で、例えば以後に記載される方法のいずれかにより分析または試験される特定の成分に加工されてもよい。1種以上の分子が、試料から単離されてもよい。
用語「特異的結合」、「特異的に結合する」などは、2種以上の分子が、生理学的条件またはアッセイ条件下で測定可能であり選択的である複合体を形成する例を指す。抗体または抗原結合蛋白質または他の分子は、適正に選択された条件下でそのような結合が実質的に阻害されれば、蛋白質、抗原またはエピトープに「特異的に結合する」と言われ、同時に非特異的結合は、阻害される。特異的結合は、高いアフィニティーを特徴とし、化合物、蛋白質、エピトープ、または抗原に対して選択的である。非特異的結合は通常、低いアフィニティーを有する。
本明細書で用いられる、指定された配列「に由来する」ポリヌクレオチドは、指定されたヌクレオチド配列の領域に対応する、おおよそ少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチドの配列で構成されたポリヌクレオチド配列を指す。「対応する」は、指定された配列に相同的または相補的であることを意味する。好ましくは、ポリヌクレオチドが由来する領域の配列は、癌関連遺伝子に特有の配列に相同的または相補的である。
本明細書において用いられる用語「タッグ」、「配列タッグ」または「プライマータッグ配列」は、そのようなタッグを担うポリヌクレオチドのバッチを同定する働きがある特異的核酸配列を有するオリゴヌクレオチドを指す。同じ生物学的供給源からのポリヌクレオチドは、特異的配列と共有結合的にタッグをなしているため、次の被分析物におけるポリヌクレオチドは、元の供給源により同定することができる。配列タッグは、核酸増幅反応でのプライマーとしても働く。
用語「支持体」は、ビーズ、粒子、ディップスティック、繊維、フィルター、膜などの従来の支持体、およびスライドガラスなどのシランもしくはシリカート支持体を指す。
本明細書で用いられる用語「治療薬」または「治療剤」は、患者の不適当な状態または疾患処置、格闘、寛解、防止または改善するために用いられ得る薬剤を意味する。一部として本開示の実施形態は、癌の処置または細胞増殖の低下を対象とする。幾つかの実施形態において、用語「治療」または「治療薬」は、標的マーカー、その発現またはその機能に関連する、またはそれに影響を及ぼす任意の分子を指してもよい。様々な実施形態において、そのような治療は、標的マーカー、その発現またはその機能に関連する、またはそれに影響を及ぼす分子、例えば治療細胞、治療ペプチド、治療遺伝子、治療化合物などを含んでいてもよい。
組成物の「治療的有効量」または「有効量」は、所望の効果を実現する、即ち細胞の活性化、遊走、または増殖を阻害、遮断または逆行させるために計算された所定の量である。幾つかの実施形態において、有効量は、予防的量である。幾つかの実施形態において、有効量は、疾患または状態を医学的に処置するために用いられる量である。治療的および/または予防的効果を得るために本発明により投与される組成物の具体的用量は、もちろん、症例を取り巻く特定の状況、例えば投与される組成物、投与経路、および処置される状態などにより決定されよう。投与される有効量が、処置される状態、投与される組成物の選択、および選択された投与経路をはじめとする関連の状況に照らして医師により決定されることは理解されよう。本発明の組成物の治療的有効量は、典型的には生理学的に耐容される賦形剤組成物中で投与される場合に、効果的な全身濃度または標的組織での局所濃度を実現するのに十分となる量である。
本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置される」、または「処置すること」は、治療的処置または予防的もしくは防止的手段の両方を指すことができ、その目的は、不適切な生理学的状態、障害もしくは疾患を防止もしくは遅延(低下)させること、または有益なもしくは望ましい臨床結果を得ることである。幾つかの実施形態において、その用語は、処置および防止の両方を指してもよい。本開示の目的では、有益または所望の臨床結果としては、非限定的に、症状の軽減;状態、障害または疾患の程度の減弱;状態、障害または疾患の状況の安定化(即ち、増悪していないこと);状態、障害または疾患の開始の遅延または進行の緩徐化;状態、障害または疾患の寛解;および検出可能もしくは検出不能、または進行もしくは改善にかかわらない、状態、障害または疾患の軽快(部分的または全体的のいずれかにかかわらず)が挙げられる。処置は、過剰なレベルの副反応を有さずに臨床的に有意な応答を誘発させることを含む。処置は、処置を受けていない場合に予測される生存に比較して生存が長期化することも含む。
用語「組織」は、特定の機能の実践において統合される同様に特化された細胞の任意凝集体を指す。
癌関連配列
幾つかの実施形態において、本開示は、本明細書において「癌関連」配列または「CA」配列と呼ばれる癌に関連する核酸および蛋白質配列を提供する。幾つかの実施形態において、本開示は、大腸の癌または悪性腫瘍、例えば非限定的に腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその任意の組み合わせに関連する核酸および蛋白質配列を提供する。幾つかの実施形態において、本開示は、大腸の癌または悪性腫瘍、例えば非限定的に腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその任意の組み合わせに関連する核酸および蛋白質配列を提供する。幾つかの実施形態において、用語「癌関連配列」は、ヌクレオチドまたは蛋白質配列が、正常細胞と比較して癌において示差的に発現、活性化、不活性化または変化していることを示していてもよい。癌関連配列は、癌において、アップレギュレートされた(即ち、高レベルで発現された)もの、およびダウンレギュレートされた(即ち、低レベルで発現された)ものを含んでいてもよい。癌関連配列は、変化した配列(即ち、非限定的に点突然変異をはじめとし、転座、トランケート型配列、または置換、欠失、もしくは挿入を有する配列)を含むこともでき、同じ発現プロファイルまたは変化したプロファイルのいずれかを示すこともできる。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、ヒトのものであるが、当業者に理解される通り、他の生物体からの癌関連配列が、疾患および薬物評価の動物モデルにおいて有用となる場合があり、つまり癌関連配列、非限定的に哺乳類、げっ歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモットなど)、霊長類、および家畜(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマなどを含む)をはじめとするセキツイ動物の配列などが有用となる場合がある。他の生物体の癌関連配列は、本明細書に概説された技術を用いて得られてもよい。
幾つかの実施形態において、癌関連配列は、核酸配列およびアミノ酸配列の両方を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、開示された配列と少なくとも約60%の相同性を有する配列を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、開示された配列と少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、約99.8%の相同性を有していてもよい。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、「突然変異核酸」であってもよい。本明細書で用いられる「突然変異核酸」は、欠失突然変異、挿入、点突然変異、置換、転座を指す。
幾つかの実施形態において、癌関連配列は、組換え核酸であってもよい。本明細書における用語「組換え核酸」は、本来はインビトロで形成され、一般にはポリメラーゼまたはエンドヌクレアーゼによる核酸の操作により形成される、天然には通常見いだされない形態の核酸分子を指す。つまり組換え核酸は、直線形態の単離された核酸であっても、または通常連結されていないDNA分子をライゲートすることによりインビトロで形成されるベクターにクローニングされていてもよく、両者とも本発明の目的で組換え体と見なされる。組換え核酸が作製されて、宿主細胞または生物体に再導入されると、それはインビトロ操作というよりむしろ宿主細胞のインビボ細胞機構を利用して複製することができるが、そのような核酸は、組換え的に産生されると、次にインビボで複製されるが、依然として組換え体と見なされるか、または本発明の目的のために単離されることは理解されよう。本明細書で用いられる「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドのポリマー形態である。この用語は、二本鎖および一本鎖DNAおよびRNAを含む。それは、公知のタイプの修飾、例えば当該技術分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、天然由来ヌクレオチドの1つ以上の、類似体による置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非帯電結合(例えば、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアートなど)を有するもの、ペンダント部分を含有するもの、例えば蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、単一ペプチド、ポリ−L−リシンなどを含む)、インターカレーターを有するもの(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート化剤を含有するもの(例えば、金属、放射性金属など)、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を有するもの(例えば、αアノマー核酸など)、およびポリヌクレオチドの非修飾形態も含む。
幾つかの実施形態において、癌関連配列は、核酸である。当業者に理解され、本明細書に記載される通り、本明細書の実施形態の癌関連配列は、対照における核酸もしくは発現レベルを検出する診断適用、治療適用、またはその組み合わせをはじめとする様々な適用において有用となり得る。更に本明細書の実施形態の癌関連配列は、スクリーニング適用、例えば癌関連配列への核酸プローブを含むバイオチップの作製において用いられ得る。
本開示の核酸は、ホスホジエステル結合を含んでいてもよいが、幾つかの例では、以下に概説される通り(例えば、アンチセンス適用において、または核酸が候補原薬である場合)、核酸類似体が、例えばホスホルアミダート(Beaucage et al., Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびその参考資料; Letsinger, J. Org. Chem. 35:3800(1970);Sprinzl et al., Eur. J. Biochem. 81:579(1977);Letsinger et al., Nucl. Acids Res. 14:3487(1986);Sawai et al, Chem. Lett. 805(1984), Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470(1988);およびPauwels et al., Chemica Scripta 26:141 91986)、ホスホロチオアート(Mag et al., Nucleic Acids Res. 19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオアート(Briu et al., J. Am. Chem. Soc. 111:2321(1989)、O−メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Press参照)、ならびにペプチド核酸バックボーンおよび結合(Egholm, J. Am. Chem. Soc. 114:1895(1992);Meier et al., Chem. Int. Ed. Engl. 31:1008(1992); Nielsen, Nature, 365:566(1993); Carlsson et al., Nature 380:207(1996)参照) を含む他のバックボーンを有していてもよい。他の類似核酸としては、陽性のバックボーン(Denpcy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6097(1995); 非イオン性バックボーン (米国特許第5,386,023号、同第5,637,684号、同第5,602,240号、同第5,216,141号および同第4,469,863号; Kiedrowshi et al., Angew. Chem. Intl. Ed. English 30:423(1991); Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470(1988); Letsinger et al., Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);Chapters 2 および3、ASC Symposium Series 580,”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaeker et al., Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4:395(1994); Jeffs et al., J. Biomolecular NMR 34:17(1994);Tetrahedron Lett. 37:743(1996))、および米国特許第5,235,033号および同第5,034,506号、ならびにChapters 6および7、ASC Symposium Series 580, ”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cookに記載されたものをはじめとする非リボースバックボーンを有するものが挙げられる。1つ以上の炭素環糖を含む核酸も、核酸の1つの定義に含まれる(Jenkins et al., Chem. Soc. Rev.(1995) pp.169−176参照)。複数の核酸類似体が、Rawls, C & E News Jun. 2, 1997 p35に記載される。リボースリン酸塩バックボーンのこれらの修飾は、様々な理由で、例えばアンチセンス適用またはバイオチップ上でのプローブとしての使用のための生理学的環境でのそのような分子の安定性および半減期を上昇させるために実施されてもよい。
当業者に理解される通り、そのような核酸類似体は、本開示の幾つかの実施形態において使用されてもよい。加えて天然由来核酸と類似体との混合物を作製することができ、あるいは異なる核酸類似体の混合物、および天然由来核酸と類似体との混合物が、作製されてもよい。
幾つかの実施形態において、核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または二本鎖もしくは一本鎖配列の両方の部分を含んでいてもよい。当業者に理解される通り、一本鎖の表示は、他の鎖の配列も画定し、つまり本明細書に記載された配列は、配列の相補体を含む。核酸は、DNA、ゲノムDNAとcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであってもよく、核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、および塩基、例えばウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどの任意の組み合わせを含む。本明細書で用いられる用語「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドおよびヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体、ならびに修飾ヌクレオシド、例えばアミノ酸修飾ヌクレオシドを含む。加えて「ヌクレオシド」は、非天然由来類似体構造を含む。つまり例えば、それぞれが塩基を含むペプチド核酸の主部の単位は、本明細書ではヌクレオシドを呼ばれる。
本明細書の幾つかの実施形態は、大腸癌、例えば非限定的に腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその任意の組み合わせに関連する1つ以上の配列を対象とする。遺伝子発現のマイクロアレイ分析の使用により、大腸癌に関連する宿主配列の同定が可能になる。その後これらの配列が、診断、予後、モジュレータ(アゴニストおよびアンタゴニストの両方を含む)のスクリーニング、抗体作製(免疫療法および造影のため)などをはじめとする複数の異なる方法で用いられてもよい。しかし当業者に理解される通り、1つのタイプの癌において同定された配列が、他のタイプの癌に同様に含まれる確率が高くなる可能性がある。つまり本明細書に概説された配列は、最初、大腸癌と相関させて同定されたが、それらは他のタイプの癌にも同様に見いだされ得る。
本明細書に記載された幾つかの実施形態は、大腸癌の診断および処置のための癌関連配列の使用を対象とし得る。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、ホモサピエンスセリンペプチダーゼ阻害剤Kazak type4(SPINK4)、ホモサピエンスLINE−1 typeトランスポザーゼドメイン含有1(L1TD1)、ホモサピエンス溶質キャリアファミリー35メンバーD3(SLC35D3)、ホモサピエンスリンパ球抗原6複合体遺伝子座G6D(LY6G6D)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスアポリポ蛋白質B mRNA編集酵素触媒ポリペプチド1(APOBEC1)、ホモサピエンスdickkopf相同体4(キセノパス・ラエビス)(DKK4)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼ1(NOX1)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ11(ストロメリシン3)(MMP11)、ホモサピエンスリングフィンガー蛋白質43(RNF43)、AGENCOURT_10229596 NIH_MGC_141ホモサピエンスcDNAクローンIMAGE:6563923 5(BU536065)、ホモサピエンスKIAA1199(KIAA1199)、ホモサピエンス癌胎児性抗原関連接着分子5(CEACAM5)、ホモサピエンスアーケイトスクート複合体相同体2(ドロスフィラ)(ASCL2)、ホモサピエンスビリン1(VIL1)、ホモサピエンスネイキッドキューティクル相同体1(ドロスフィラ)(NKD1)、プレディクティッド:ホモサピエンスハイポセティカルLOC729669(LOC729669)、ホモサピエンスムチン17細胞表面結合型(MUC17)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスコラーゲンXI型α1(COL11A1)、ホモサピエンスデフェンシンα5パネル細胞特異型(DEFA5)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスホスホリパーゼ阻害剤(LOC646627)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼオーガナイザー1(NOXO1)、ホモサピエンスリポカリン15(LCN15)、ホモサピエンスケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、ホモサピエンスガストリン放出ペプチド(GRP)、ホモサピエンスプレグナンシー特異性β1糖蛋白質1(PSG1)、ホモサピエンスクラウディン2(CLDN2)、ホモサピエンスディフェンシンα6ぺネス細胞特異型(DEFA6)、ホモサピエンスニューロペプチドSレセプター1(NPSR1)、ホモサピエンスシスタチンSN(CST1)、ホモサピエンスケラチン23(ヒストンデアセチラーゼ誘導性)(KRT23)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、ウテリン)(MMP7)、ホモサピエンス膜貫通4−ドメインサブファミリーA膜12(MS4A12)、ホモサピエンスケラチン20(KRT20)、またはその組み合わせから選択されてもよい。幾つかの実施形態において、これらの癌関連配列は、非限定的に腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその任意の組み合わせをはじめとする大腸癌に関連し得る。
幾つかの実施形態において、癌関連配列は、先のmRNA、または先のmRNAもしくはその相同体により発現された癌関連蛋白質もしくは癌関連ポリペプチドをコードするDNA配列であってもよい。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、先に開示された配列の突然変異核酸であってもよい。幾つかの実施形態において、相同体は、開示されたポリペプチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%の同一性を有していてもよい。
幾つかの実施形態において、単離された核酸は、表1に開示された癌関連ポリヌクレオチド配列からなる群より選択される配列の少なくとも10、12、15、20または30の連続したヌクレオチドを含む。
幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチド、またはその相補体、またはそのフラグメントは、固体支持体に付着された検出可能な標識を更に含むか、少なくとも一部が化学合成により調製されるか、アンチセンスフラグメントであるか、一本鎖であるか、二本鎖であるか、またはマイクロアレイを含む。
幾つかの実施形態において、本発明は、表1に示されたポリヌクレオチド配列、またはその相補体から選択される癌関連配列のオープンリーディングフレーム内にコードされた単離されたポリペプチドを提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、表1に開示された配列からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、本発明は、癌関連ポリペプチドによりコードされたアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は更に、癌関連ポリペプチドのアミノ酸配列のエピトープのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供し、ここでポリペプチドおよびそのフラグメントは、固体支持体に付着されていてもよい。幾つかの実施形態において、本発明は、そのようなポリペプチドに結合する単離された抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)またはその抗原結合フラグメントを提供する。単離された抗体またはその抗原結合フラグメントは、固体支持体に付着され得るか、または検出可能な標識を更に含む。
幾つかの実施形態は、診断および/または治療抗体のための標的として様々な癌に関連する抗原(例えば、癌関連ポリペプチド)も提供する。これらの抗原は、創薬(例えば、小分子)、ならびに細胞調節、発育、および分化の更なる特徴づけにも有用となり得る。
大腸癌を検出および診断する方法
幾つかの実施形態において、大腸癌を検出または診断する方法は、必要とする対象の遺伝子発現をアッセイすることを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌関連配列のレベルを検出することが、非限定的にPCR、質量分析、マイクロアレイまたは本明細書に記載された他の検出技術などの技術を含んでいてもよい。受容体の発現に関係する情報は、アゴニストまたはアンタゴニストを用いて癌関連配列のシグナル伝達をアップレギュレートまたはダウンレギュレートすることを支援する治療の決定においても有用となり得る。
幾つかの実施形態において、大腸癌を診断する方法は、対象における癌関連蛋白質のレベルを検出することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌をスクリーニングする方法は、癌関連蛋白質のレベルを検出することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌関連蛋白質は、表1に開示された配列、その一部、またはその相補配列から選択されるヌクレオチド配列によりコードされる。幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、蛋白質に対する抗体を、必要とする対象に投与することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローなる抗体であってもよい。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体または組換え抗体であってもよい。公知の方法を用いてこの領域に特異的に結合する抗体を作製することができ、任意の方法が適している。幾つかの実施形態において、抗体は、以後に開示される1種以上の癌関連配列をコードする蛋白質またはペプチドなどの分子の1種以上に特異的に結合する。
幾つかの実施形態において、抗体は、表1に開示された配列内に開示されるヌクレオチド配列によりコードされた蛋白質からのエピトープに結合する。幾つかの実施形態において、エピトープは、以下に開示される癌関連配列のいずれかのヌクレオチド配列によりコードされる蛋白質配列のフラグメントである。幾つかの実施形態において、エピトープは、癌関連配列の約1〜10、1〜20、1〜30、3〜10、または3〜15の残基を含む。幾つかの実施形態において、エピトープは、直鎖状ではない。
幾つかの実施形態において、抗体は、本明細書に記載された領域、またはその領域と少なくとも90、95もしくは99%の相同性もしくは同一性を有するペプチドに結合する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載された領域のフラグメントは、5〜10残基の長さである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載された領域(例えば、エピトープ)のフラグメントは、3〜5残基の長さである。フラグメントは、示された長さに基づいて記載される。幾つかの実施形態において、エピトープは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または20残基の長さである。
幾つかの実施形態において、抗体が結合する配列は、核酸配列およびアミノ酸配列の両方を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、抗体が結合する配列は、開示された配列と少なくとも約60%の相同性を有する配列を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、抗体が結合する配列は、開示された配列と少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、約99.8%の相同性を有していてもよい。幾つかの実施形態において、該配列は、「突然変異核酸」または「突然変異核酸配列」であってもよい。
幾つかの実施形態において、対象は、表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することにより大腸癌を診断することができる。幾つかの実施形態において、大腸癌を有する対象を診断する方法は、表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することを含み、ここで癌関連配列の存在は、対象が大腸癌を有することを示す。幾つかの実施形態において、該方法は、表1に開示された配列から選択される癌関連配列の有無を検出することを含み、ここで癌関連配列の非存在は、大腸癌の非存在を示す。幾つかの実施形態において、該方法は、表1に開示された配列から選択される癌関連配列に結合して大腸癌の発達または進行を阻害する抗体で、大腸癌と診断された対象を処置することを更に含む。議論された通り、大腸癌は、非限定的に血清、血液、腫瘍などをはじめとする、任意のタイプの試料中で検出されてもよい。試料は、本明細書に記載された通りの任意のタイプの試料であってもよい。
幾つかの実施形態において、大腸癌を有する対象を診断する方法は、試料を得ること、および表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することを含み、ここで癌関連配列の存在は、対象が大腸癌を有することを示す。幾つかの実施形態において、表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することは、試料を、癌関連配列の蛋白質に特異的に結合する抗体または他のタイプの捕捉試薬と接触させること、および試料中の癌関連配列の蛋白質への結合の有無を検出すること、を含む。使用され得るアッセイの例としては、非限定的にELISAが挙げられる。
幾つかの実施形態において、本開示は、対象における大腸癌、癌、または新生物状態を診断する方法を提供し、該方法は、対象に由来する試料から表1に開示された配列から選択される癌関連配列の癌関連配列遺伝子発現を得ること;および癌関連配列遺伝子発現結果に基づいて対象の大腸癌または新生物状態を診断すること、を含み、ここで対象は、癌関連配列が過剰発現されていれば、大腸癌または新生物状態を有すると診断される。
幾つかの実施形態において、対象は、癌関連配列が過剰発現されていなければ、大腸癌、癌、または新生物状態を有さないと診断される。本明細書および全体を通して開示された方法の幾つかの実施形態において、癌関連配列遺伝子発現結果または癌関連配列もしくは蛋白質の有無に基づいて診断された癌は、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその任意の組み合わせから選択される癌である。
幾つかの実施形態において、本開示は、対象における癌または新生物状態を診断する方法を提供し、該方法は、以後に開示される癌関連配列の1つ以上から選択される癌関連配列の遺伝子発現結果を得ること、および遺伝子発現結果に基づいて対象の癌または新生物状態を診断すること、を含み、ここで対象は、遺伝子が過剰発現されていれば癌または新生物状態を有すると診断される。
幾つかの実施形態において、大腸癌を有する対象を診断する方法は、試料を得ること、および表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出すること、を含み、ここで癌関連配列の存在は、対象が大腸癌を有することを示す。幾つかの実施形態において、表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することは、試料を、癌関連配列の蛋白質に特異的に結合する抗体または他のタイプの捕捉試薬と接触させること、および試料中の癌関連配列の蛋白質への結合の有無を検出すること、を含む。幾つかの実施形態において、癌は、大腸癌である。幾つかの実施形態において、癌は、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその任意の組み合わせから選択される。
幾つかの実施形態は、癌関連蛋白質をコードする核酸セグメントを含むバイオチップを対象とする。幾つかの実施形態において、バイオチップは、癌関連蛋白質の少なくとも一部をコードする核酸分子を含む。幾つかの実施形態において、癌関連蛋白質は、表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される配列によりコードされる。幾つかの実施形態において、核酸分子は、表1に開示された配列から選択される核酸配列と特異的にハイブリダイズする。幾つかの実施形態において、バイオチップは、第一および第二の核酸分子を含み、ここで第一の核酸分子は、表1に開示された配列から選択される第一の配列と特異的にハイブリダイズし、第二の核酸分子は、表1に開示された配列から選択される第二の配列と特異的にハイブリダイズし、第一の配列と第二の配列は、同一の配列ではない。幾つかの実施形態において、本発明は、表1に開示された配列から選択される核酸配列の発現を検出することを含み、ここで試料が、表1に開示された配列から選択される配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される配列を含むバイオチップと接触される、癌、例えば大腸癌を検出または診断する方法を提供する。
同じく本明細書に提供されるのは、例えば試料中の以後に開示される癌関連配列の1つ以上の発現レベルを測定すること、および試料中の1つ以上の癌関連配列のレベルを、非癌性細胞中の同じ癌関連配列の発現レベルと比較すること、により癌への性向を診断または決定する方法である。非癌性細胞に比較して以後に開示される癌関連配列の1つ以上の発現レベルが高ければ、癌、例えば大腸癌を発症する性向が示される。
幾つかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのポリペプチド、例えば非限定的に癌関連蛋白質、またはそのフラグメントなどの発現レベルを検出することを含む、試験試料において癌関連配列をポリペプチドの発現により検出する方法を提供する。幾つかの実施形態において、該方法は、試験試料中のポリペプチドの発現レベルを、正常試料中のポリペプチドの発現レベルと比較することを含み、ここで正常試料中のポリペプチドの発現レベルに対して試験試料中のポリペプチドの発現レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示される。幾つかの実施形態において、ポリペプチドの発現は、癌試料と比較され、ここで発現レベルが癌と少なくとも同じであることが、試験試料中の癌の存在を示す。幾つかの実施形態において、試料は、細胞試料である。
幾つかの実施形態において、本発明は、試験血清試料中の抗体の存在を検出することにより癌を検出する方法を提供する。幾つかの実施形態において、抗体が、本明細書に開示されたポリペプチドまたはそのエピトープを認識する。幾つかの実施形態において、抗体は、本明細書に開示された核酸配列によりコードされたポリペプチドまたはそのエピトープを認識する。幾つかの実施形態において、該方法は、抗原性ポリペプチド、例えば非限定的に癌関連蛋白質またはその抗原性フラグメントに対する抗体レベルを検出することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、試験試料中の抗体レベルを、対照試料中の抗体レベルと比較することを含み、ここで対照試料中の抗体レベルに対して前記試験試料中の抗体レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示される。幾つかの実施形態において、対照試料は、正常試料または非癌性試料に由来する試料である。幾つかの実施形態において、対照は、癌試料に由来し、それゆえ幾つかの実施形態において、該方法は、試料中の抗体の結合レベルおよび/または量を比較することを含み、レベルまたは量が癌対照試料と同じであれば、試験試料中の癌の存在が示される。
幾つかの実施形態において、癌または新生物状態を診断する方法は、a)第一の個体の第一の試料タイプ(例えば、組織)中で、表1に記載されたヒトゲノムおよびmRNA配列からなる群より選択される核酸配列を含む1つ以上の遺伝子の発現を決定すること;ならびにb)前記第一の個体または第二の罹患していない個体からの第二の正常試料からの前記遺伝子(複数可)の前記発現を比較すること、を含み、ここで前記発現の差は、第一の個体が癌を有することを示す。幾つかの実施形態において、発現が、正常試料に比較して増加している。幾つかの実施形態において、発現が、正常試料に比較して減少している。
幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌細胞の有無を検出する方法も提供する。幾つかの実施形態において、該方法は、対照からの1つ以上の細胞を、本明細書に記載された抗体と接触させることを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、癌関連蛋白質と抗体との複合体を検出することを含み、ここで複合体の検出は、対象における癌細胞の存在を示す。幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌細胞の発達を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、該方法は、本明細書に記載された医薬組成物の有効量を、対象に投与することを含む。幾つかの実施形態において、本発明は、治療剤を対象における癌細胞に送達させる方法を提供し、該方法は、本発明による医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む。
幾つかの実施形態において、本開示は、対象における癌または新生物状態を診断する方法を提供し、該方法は、a)1つ以上の遺伝子または遺伝子産物またはその相同体の発現を決定すること;およびb)前記第一の対象または第二の罹患していない対象からの第二の正常試料からの1つ以上の核酸配列の前記発現を比較すること、を含み、ここで前記発現の差は、第一の対象が癌を有することを示し、遺伝子または遺伝子産物は、以後に開示される癌関連配列の1つ以上から選択される遺伝子と呼ばれる。
幾つかの実施形態において、本開示は、(i)遺伝子産物である少なくとも1種のポリペプチドの活性レベルを検出すること;および(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを、正常試料中のポリペプチドの活性レベルと比較すること、を含み、ここで正常試料中のポリペプチドの活性レベルに対して試験試料中のポリペプチドの活性レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示され、前記遺伝子産物は、以後に開示される癌関連配列の1つ以上から選択される遺伝子と呼ばれる、試験試料中の癌を検出する方法を提供する。
捕捉試薬および特異的結合パートナー
例えばIgG抗体における結合は、一般に少なくとも10−7M以上、例えば少なくとも10−8M以上、または少なくとも10−9M以上、または少なくとも10−10M以上、または少なくとも10−11M以上、または少なくとも10−12M以上のアフィニティーにより特徴づけられる。その用語は、例えば抗原結合ドメインが多数の抗原に含まれない特定のエピトープに特異的であり、その場合、抗原結合ドメインを含む抗体または抗原結合蛋白質は、一般に他の抗原に結合しないならば、適用可能である。幾つかの実施形態において、捕捉試薬は、結合パートナー(例えば、抗原)に対して10−9M以下、10−10M以下、または10−11M以下のKdを有する。幾つかの実施形態において、捕捉試薬は、結合パートナーに対して109M−1以上のKaを有する。捕捉試薬は、例えば抗体を指すこともできる。免疫グロブリンとしても公知のインタクト抗体は、典型的にはそれぞれがおよそ25kDaの軽(L)鎖2つおよびそれぞれがおよそ50kDの重(H)鎖2つで構成された四量体グリコシル化蛋白質である。ラムダおよびカッパと呼ばれる2つのタイプの軽鎖が、抗体内に存在する。重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、5つの主な分類:A、D、E、G、およびMに割り当てられ、これらのうちの複数は、サブクラス(イソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に更に分別することができる。各軽鎖は、N−末端可変(V)ドメイン(VL)および定常(C)ドメイン(CL)で構成される。各重鎖は、N−末端Vドメイン(VH)、3または4つのCドメイン(CH)、およびヒンジ領域で構成される。VHに最も近いCHドメインは、CH1と称される。VHおよびVLドメインは、フレームワーク領域と命名された相対的に保存された配列の4つの領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)からなり、超可変配列の3つの領域(相補性決定領域、CDR)のスカフォールドを形成する。CDRは、抗体または抗原結合蛋白質と抗原との特異的相互作用を担う残基のほとんどを含む。CDRは、CDR1、CDR2、およびCDR3と称される。したがって重鎖上のCDR構成要素は、H1、H2、およびH3と称され、軽鎖上のCDR構成要素は、L1、L2およびL3と称される。CDR3は、抗体または抗原結合蛋白質結合部位内の分子多様性の最も大きな供給源である。例えばH3は、2という短いアミノ酸残基または26を超えるアミノ酸であり得る。免疫グロブリンの異なる分類のサブユニット構造および3次元構成は、当該技術分野で周知である。抗体構造のレビューに関しては、Antibodiesten A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Eds. Harlow et al., 1988を参照されたい。当業者は、各サブユニット構造、例えばCH、VH、CL、VL、CDR、および/またはFR構造が、活性不ラフメントを含むことを認識している。例えば活性フラグメントは、抗原に結合するVH、VL、またはCDRサブユニットの一部、即ち抗原結合フラグメント、またはFc受容体および/もしくは相補体に結合し、および/もしくはそれを活性化するCHサブユニットの一部からなっていてもよい。
本明細書で用いられる用語「抗原特異性抗体」に包含される結合フラグメントの非限定的例としては、(i)Fabフラグメント、即ちVL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント、即ちヒンジ領域のジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の1つの腕のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント;ならびに(vi)単離されたCDR、が挙げられる。更にFvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは、別個の遺伝子によりコードされているが、それらは、合成リンカーにより組換え技術で連結されていて、VLおよびVHドメインが対合して一価分子を形成した単一の蛋白質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知)を生成していてもよい。最も一般的に用いられるリンカーは、15−残基(Gly4Ser)3ペプチドであるが、他のリンカーも、当該技術分野で公知である。単鎖抗体も、用語「抗体または抗原結合蛋白質」または抗体の「抗原結合フラグメント」に包含されるものとする。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、抗原結合フラグメント、Fcフラグメント、単鎖抗体、またはその任意の誘導体であってもよい。
抗体は、当業者に公知の従来技術を用いて得ることができ、フラグメントは、インタクト抗体と同じ手法で用途に合わせてスクリーニングされる。抗体多様性は、可変性ドメインをコードする多数の生殖細胞系遺伝子および様々な体細胞事象によりを生成される。体細胞事象は、可変遺伝子セグメントを多様性(D)遺伝子セグメントおよび連結(J)遺伝子セグメントで組換えて全長VHドメインを作製すること、ならびに可変遺伝子セグメントおよび連結遺伝子セグメントの組換えにより全長VLドメインを作製すること、を含む。その組換え工程そのものは、不正確であり、V(D)Jジャンクションでアミノ酸が喪失または付加される。多様性のこれらの機構は、抗原暴露の前にB細胞を発生する際に生じる。抗原刺激の後、B細胞内の発現された抗体遺伝子が、体細胞突然変異を受ける。生殖細胞系遺伝子セグメントの推定数、これらのセグメントの無作為な組換えおよび無作為なVH−VL対合に基づいて、1.6×107以下の異なる抗体を生成することができる(Fundamental Immunology, 3rd ed.(1993), ed. Paul, Raven Press, New York, N.Y.)。抗体多様性(体細胞性突然変異など)に寄与する他の工程を考慮した場合、1×1010以上の異なる抗体を生成され得ると思われる(Immunoglobulin Genes, 2nd ed.(1995), eds. Jonio et al., Academic Press, San Diego, Calif.)。抗体多様性の生成に関与する工程は多いため、同じ抗原特異性を有する独立して得られたモノクローナル抗体が、同一のアミノ酸配列を有するというのは、考えにくい。
本明細書に記載された抗原、エピトープ、または他の分子と特異的に相互作用することが可能な抗体または抗原結合蛋白質分子は、当業者に周知の方法により生成することができる。例えばモノクローナル抗体は、公知方法に従ってハイブリドーマの作製により生成させることができる。その後、この手法で形成されたハイブリドーマは、酵素免疫測定法(ELISA)およびBiacore分析などの標準法を用いてスクリーニングして、該当する分子または化合物と特異的に相互作用する抗体を生成する1種以上のハイブリドーマを同定することができる。モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代替法として、組換え体コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を本開示のポリペプチドでスクリーニングし、それによりそのポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することにより、本開示のポリペプチドへのモノクローナル抗体を同定および単離してもよい。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするための技術および市販のキットは、当業者に周知である。追加として、抗体または抗原結合蛋白質ディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングする際に特に使用し易い方法および試薬の例は、文献に見いだすことができる。
キメラ抗体の例としては、非限定的に、ヒト化抗体が挙げられる。本明細書に記載された抗体は、ヒト抗体であってもよい。幾つかの実施形態において、捕捉試薬は、検出試薬を含む。検出試薬は、特異的結合パートナーに結合する捕捉試薬の存在を検出するのに用いられ得る任意の試薬であってもよい。捕捉試薬は、検出試薬を直接含むことができ、または捕捉試薬は、検出試薬を含む粒子を含むことができる。幾つかの実施形態において、捕捉試薬および/または粒子は、着色剤、コロイド金、放射性タッグ、蛍光タッグ、または化学発光基質を含む。粒子は、例えばウイルス粒子、ラテックス粒子、脂質粒子、または蛍光粒子であってもよい。
本開示の捕捉試薬(例えば、抗体)は、抗−抗体、即ち別の抗体を認識するが抗原に特異的でない抗体、例えば非限定的に抗IgG、IgM、または抗IgE抗体を含むこともできる。この非特異的抗体は、抗原特異性抗体が試料中に存在するかどうかを検出するための陽性対照として用いることができる。
大腸癌の処置
幾つかの実施形態において、癌関連配列の1つを発現する大腸癌は、癌関連配列の活性に拮抗することにより処置されてもよい。幾つかの実施形態において、大腸癌を処置する方法は、非限定的に癌関連配列に結合するリガンドに拮抗する抗体、癌関連配列の発現または活性を阻害する小分子、癌関連配列に向かうsiRNAなどの治療薬を投与することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、ELISAなどの技術および本明細書に記載された他の検出技術を、大腸癌のスクリーニングに用いてもよい。
幾つかの実施形態において、癌(例えば、大腸癌または他のタイプの癌)を処置する方法は、癌関連配列の受容体の存在を検出することおよび癌の処置を施すこと、を含む。癌の処置は、任意の癌処置、または癌関連配列の作用を阻害するのに特異的であるものであってもよい。例えば様々な癌で、特異的分子が癌処置を付与する前に存在するかどうかを決定するために試験される。それゆえ幾つかの実施形態において、試料が患者から得られ、本明細書に記載された癌関連配列の存在または癌関連配列の過剰発現について試験される。幾つかの実施形態において、癌関連配列が、過剰発現されていることが見いだされれば、大腸癌の処置または治療薬が、対象に施される。大腸癌の処置は、従来の非特異的処置、例えば化学療法であってもよく、または処置は、癌関連配列の活性のみを標的とする特異的処置、もしくは癌関連配列が結合する受容体で構成されていてもよい。これらの処置は、例えば癌関連配列に特異的に結合してその活性を阻害する抗体であってもよい。
本明細書に記載された幾つかの実施形態は、癌関連配列に対する抗体を対象に投与することを含む、癌または新生物状態を処置する方法を記載する。幾つかの実施形態において、抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化されていても、または組換え体であってもよい。幾つかの実施形態において、抗体は、癌関連配列の受容体と結合および/または干渉することにより、癌関連配列の生物学的活性を中和してもよい。幾つかの実施形態において、抗体を投与することは、生体液または組織、例えば非限定的に血液、尿、血清、腫瘍組織などであってもよい。本明細書の幾つかの実施形態は、生物学的試料中の癌関連配列の存在を検出することを含む、癌についてスクリーニングする方法を対象とし得る。幾つかの実施形態において、試料は、対象からの任意の生体液または組織、例えば非限定的に血液、尿、血清、腫瘍組織などであってもよい。
幾つかの実施形態において、本開示は、対象における癌を処置する方法を提供し、以後に開示される癌関連配列の1つ以上から選択される癌関連配列の活性を阻害する薬剤を、癌を有する対象に投与することを含む。幾つかの実施形態において、該薬剤は、以後に開示される1つ以上の癌関連配列に特異的に結合する抗体を含む。
幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、癌関連蛋白質またはその受容体の合成、分泌、受容体結合または受容体シグナル伝達と干渉する薬剤を投与することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌は、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその組み合わせから選択されてもよい。
幾つかの実施形態において、癌細胞は、示差的に発現された遺伝子または遺伝子産物に基づく治療薬により特異的に標的とされてもよい。例えば幾つかの実施形態において、示差的に発現された遺伝子産物は、抗癌プロドラッグを活性形態に変換し得る酵素であってもよい。それゆえ正常細胞において、示差的に発現された遺伝子産物が、発現されないか、または有意に低レベルに発現されれば、プロドラッグは、活性化されないか、またはより少量に活性化される可能性があり、それゆえ正常細胞に対して毒性がより低くなり得る。それゆえ癌のプロドラッグは、幾つかの実施形態において、より高用量で与えられ得るため、癌細胞がプロドラッグを代謝して、それが例えば癌細胞を殺傷することができ、正常細胞がプロドラッグを代謝しないか、またはあまり代謝せず、それゆえ患者に対して毒性がより低くなる。これの例は、腫瘍細胞がメタロプロテアーゼを過剰発現することであり、それは、Atkinson et al., British Journal of Pharmacology(2008) 153, 1344−1352に記載される。癌細胞を標的とするのにプロテアーゼを使用することは、Carl et al., PNAS, Vol. 77, No.4, pp.2224−2228, April 1980にも記載される。例えばドキソルビシンまたは他のタイプの化学療法薬は、示差的に発現された遺伝子産物により特異的に切断または認識されるペプチド配列に結合させることができる。その後、ドキソルビシンまたは他のタイプの化学療法薬を、ペプチド配列から切断して活性化させることにより、癌細胞を殺傷するか、またはその発育を阻害することができるが、正常細胞において化学療法は細胞に内在化せず、または効率的に代謝されず、それゆえ毒性が低くなる。
幾つかの実施形態において、大腸癌を処置する方法は、本明細書に記載された1つ以上の癌関連配列の遺伝子ノックダウンを含んでいてもよい。遺伝子ノックダウンは、遺伝子修飾(生物体の染色体の1つ、例えば非限定的に癌関連配列をコードする染色体におけるDNAの変化)、またはmRNA転写産物もしくは遺伝子のいずれかに相補的な配列を有する短いDNAもしくはRNAオリゴヌクレオチドなどの試薬での処置、のいずれかにより、生物体の遺伝子の1つ以上の発現を低減させる技術を指す。幾つかの実施形態において、用いられるオリゴヌクレオチドは、RNase−H拮抗アンチセンス、例えば非限定的にssDNAオリゴヌクレオチド、ssRNAオリゴヌクレオチド、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチド、もしくはキメラオリゴヌクレオチド;RNase非依存性アンチセンス、例えばモルホリノオリゴヌクレオチド、2’−O−メチルホスホロチオアートオリゴヌクレオチド、ロックド核酸オリゴヌクレオチド、もしくはペプチド核酸オリゴヌクレオチド;RNAiオリゴヌクレオチド、例えば非限定的にsiRNA二本鎖オリゴヌクレオチド、もしくはshRNAオリゴヌクレオチド;またはその任意の組み合わせから選択されてもよい。幾つかの実施形態において、アンチセンスRNA転写産物またはshRNA転写産物のいずれかを発現するプラスミドが、細胞に導入されてもよい。導入されたオリゴまたは発現された転写産物を、相補性塩基対合(センス−アンチセンス相互作用)により、標的mRNA(例えば、表1に開示された配列)と相互作用させてもよい。
サイレンシングの特異的機構は、オリゴの化学作用により変動させることができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたオリゴヌクレオチドの活性遺伝子またはその転写産物への結合は、転写の遮断、mRNA転写産物の分解(例えば、低分子干渉RNA(siRNA)またはRNase−H依存性アンチセンスによる)、またはmiRNAなどの他の機能的RNAの突然変異に用いられるmRNA翻訳、プレmRNAスプライシング部位、もしくはヌクレアーゼ切断部位のいずれかの遮断(例えば、モルホリノオリゴヌクレオチドまたは他のRNase−H非依存性アンチセンスによる)を通して、発現を減少させてもよい。例えば、RNA鎖を切断する酵素RNase−Hにより認識されるRNase−H拮抗アンチセンスオリゴヌクレオチド(およびアンチセンスRNA転写産物)は、RNAと共に二本鎖を形成し得る。別の例として、RNase依存性オリゴヌクレオチドを、mRNAと結合させて、翻訳工程を遮断することができる。幾つかの実施形態において、開始複合体は、5’−キャップから開始コドンに及ぶため、オリゴヌクレオチドを5’−UTR内に結合させ、開始複合体を停止させて、リボソーム集合を防止してもよい。RNAiオリゴヌクレオチドの一本鎖は、RISC複合体に加えられて、相補配列を触媒的に切断し、部分的に相補的な配列を含む幾つかのmRNAの翻訳を阻害してもよい。オリゴヌクレオチドは、非限定的に電気穿孔、顕微注入、例えばCaCl2ショックなどのソルトショック法;アニオン性オリゴの、例えばリポフェクタミンなどのカチオン性脂質によるトランスフェクション;非帯電オリゴヌクレオチドの、例えばEndo−Porterなどのエンドソーム放出剤(endosomal release agents)によるによるトランスフェクション;またはその任意の組み合わせをはじめとする任意の技術により、細胞内に導入してもよい。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ナノ粒子複合体、ウイルスを介したトランスフェクション、オクタグアニジニウムデンドリマー(モルホリノオリゴヌクレオチド)に結合されたオリゴヌクレオチド、またはその任意の組み合わせから選択される技術を用いて、血液から細胞質基質に送達されてもよい。
幾つかの実施形態において、大腸癌を処置する方法は、細胞を処置して、表1に開示されたmRNAをコードする遺伝子の発現をノックダウンまたは阻害することを含んでいてもよい。該方法は、hES細胞由来クローナル胚性前駆細胞株CM02およびEN13(表題「Methods to accelerate the isolation of novel cell strains from pluripotent stem cells and cells obtained thereby」の米国特許出願公開第2008/0070303号、および2009年7月16日出願であり表題「Methods to Accelerate the Isolation of Novel Cell Strains from Pluripotent Stem Cells and Cells Obtained Thereby」の米国特許出願第12/504,630号参照)を、癌関連配列に指向するサイレンシングRNAを発現するレトロウイルスと共に培養することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、該方法は、qPCRによりダウンレギュレーションを確認することを更に含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、該方法は、細胞を凍結保存することを更に含む。幾つかの実施形態において、該方法は、細胞を再プログラミングすることを更に含む。幾つかの実施形態において、該方法は、OCT4、MYC、KLF4およびSOX2の外因性投与(Takahashi and Yamanaka 2006 Aug 25;126(4):663−76;表題「Nuclear Reprogramming Factor」で米国特許出願公開第2009/0068742号 として発行された米国特許出願第12/086,479号参照)により、そして表題「Improved Methods of Reprogramming Animal Somatic Cells」でWO/2007/019398号として発行されたPCT/US06/30632号の方法により、細胞を2日以内の間凍結保存または再プログラミングすることを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、哺乳類の分化された細胞を、ES細胞の増殖を促進する条件下で培養することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、例えばES細胞を増殖させることが可能なオンフィーダー培地またはフィーダーフリー培地など、任意の簡便なES細胞増殖条件が、用いられてもよい。幾つかの実施形態において、該方法は、培養物中のESコロニーから細胞を同定することを含む。同定されたESコロニーからの細胞は、その後、ESマーカー、例えばOct4、TRA 1−60、TRA 1−81、SSEA4などについて評価されてもよく、ES細胞の表現型を有するものを増殖させてもよい。ノックダウンによりプレコンディショニングされていない対照系列を並行して再プログラミングして、プレコンディショニングの効果を実証してもよい。
本明細書の幾つかの実施形態は、対象における癌を処置する方法を対象とし、該方法は、表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される核酸配列を含む核酸によりコードされた癌関連蛋白質の活性をモジュレートする治療剤を、必要とする対象に投与することを含む。幾つかの実施形態において、治療剤は、癌関連蛋白質に結合する。幾つかの実施形態において、治療剤は、抗体である。幾つかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよい。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、表1に開示された配列の遺伝子の遺伝子ノックダウンを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、細胞を処置して、表1に開示されたmRNAをコードする遺伝子の発現をノックダウンまたは阻害することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌は、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその組み合わせから選択される。
幾つかの実施形態において、表1に開示された配列またはその遺伝子産物の活性または発現をモジュレートすることにより処置される癌は、部位または組織学的タイプにより分類される癌である。
幾つかの実施形態において、癌関連蛋白質の活性をモジュレートする治療剤を、必要とする対象に投与することを含み、ここで癌関連蛋白質は、表1におけるヒト核酸配列からなる群より選択される核酸配列を含む核酸によりコードされ、更に治療剤は、癌関連蛋白質に結合する。
幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、細胞表面で発現される癌関連蛋白質に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、組換え抗体、キメラ抗体など)を投与することを含む。幾つかの実施形態において、抗体は、癌関連蛋白質の細胞外ドメインに結合する。幾つかの実施形態において、抗体は、正常細胞表面、または幾つかの実施形態において少なくとも1種のヒト癌細胞株に対して、癌細胞表面で示差的に発現される癌関連蛋白質に結合する。幾つかの実施形態において、抗体は、治療剤に結合される。
幾つかの実施形態において、癌または新生物を処置する、その症状を低減する、またはそれを防止する免疫治療方策(例えば、ワクチン)の実践が、当業者に入手される多くの異なる技術を用いて実現されてもよい。
治療目的に沿った免疫療法または抗体の使用が、近年になり癌を処置するために用いられるようになった。受動免疫療法は、癌処置におけるモノクローナル抗体の使用を含む。例えばCancerten Principles and Practice of Oncology, 6 th Edition(2001) Chapt.20 pp.495−508を参照されたい。これらの抗体の本来の治療的生物学的活性は、腫瘍細胞の発育または生存の直接阻害、および身体の免疫系の自然な細胞殺傷活性を動員する能力を含む。これらの薬剤は、単独で、または放射線もしくは化学療法剤と併せて投与されてもよい。あるいは、抗体を毒性剤と結合させて、腫瘍に特異的に結合することによりその薬剤を腫瘍に向かわせる抗体コンジュゲートを作製するのに、抗体が使用されてもよい。
癌治療のためのスクリーニング
幾つかの実施形態において、抗癌剤を同定する方法が、提供され、該方法は、候補薬を試料に接触させること、および試料中の癌関連配列の活性を決定すること、を含む。幾つかの実施形態において、癌関連配列の活性が、接触後の試料中で低下していれば、候補薬は抗癌剤として同定される。幾つかの実施形態において、候補薬は、候補抗体である。幾つかの実施形態において、該方法は、癌関連配列に結合する候補抗体を試料と接触させること、および癌関連配列の活性についてアッセイすること、を含み、ここで癌関連配列の活性が、接触後の試料中で低下していれば、候補抗体は抗癌剤として同定される。癌関連配列の活性は、癌関連配列の任意の活性であってもよい。
幾つかの実施形態において、本開示は、抗癌(例えば、抗大腸癌)剤を同定する方法を提供し、該方法は、候補薬を細胞試料に接触させること;および細胞試料中の、ホモサピエンスセリンペプチダーゼ阻害剤Kazak type4(SPINK4)、ホモサピエンスLINE−1 typeトランスポザーゼドメイン含有1(L1TD1)、ホモサピエンス溶質キャリアファミリー35メンバーD3(SLC35D3)、ホモサピエンスリンパ球抗原6複合体遺伝子座G6D(LY6G6D)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスアポリポ蛋白質B mRNA編集酵素触媒ポリペプチド1(APOBEC1)、ホモサピエンスdickkopf相同体4(キセノパス・ラエビス)(DKK4)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼ1(NOX1)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ11(ストロメリシン3)(MMP11)、ホモサピエンスリングフィンガー蛋白質43(RNF43)、AGENCOURT_10229596 NIH_MGC_141ホモサピエンスcDNAクローンIMAGE:6563923 5(BU536065)、ホモサピエンスKIAA1199(KIAA1199)、ホモサピエンス癌胎児性抗原関連接着分子5(CEACAM5)、ホモサピエンスアーケイトスクート複合体相同体2(ドロスフィラ)(ASCL2)、ホモサピエンスビリン1(VIL1)、ホモサピエンスネイキッドキューティクル相同体1(ドロスフィラ)(NKD1)、プレディクティッド:ホモサピエンスハイポセティカルLOC729669(LOC729669)、ホモサピエンスムチン17細胞表面結合型(MUC17)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスコラーゲンXI型α1(COL11A1)、ホモサピエンスデフェンシンα5パネル細胞特異型(DEFA5)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスホスホリパーゼ阻害剤(LOC646627)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼオーガナイザー1(NOXO1)、ホモサピエンスリポカリン15(LCN15)、ホモサピエンスケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、ホモサピエンスガストリン放出ペプチド(GRP)、ホモサピエンスプレグナンシー特異性β1糖蛋白質1(PSG1)、ホモサピエンスクラウディン2(CLDN2)、ホモサピエンスディフェンシンα6ぺネス細胞特異型(DEFA6)、ホモサピエンスニューロペプチドSレセプター1(NPSR1)、ホモサピエンスシスタチンSN(CST1)、ホモサピエンスケラチン23(ヒストンデアセチラーゼ誘導性)(KRT23)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、ウテリン)(MMP7)、ホモサピエンス膜貫通4−ドメインサブファミリーA膜12(MS4A12)、ホモサピエンスケラチン20(KRT20)、またはその組み合わせから選択される癌関連配列の活性を決定すること、を含み、ここで癌関連配列の活性が、接触後の細胞試料中で低下していれば、候補薬は抗癌剤として同定される。幾つかの実施形態において、本開示は、抗癌剤を同定する方法を提供し、該方法は、ホモサピエンスセリンペプチダーゼ阻害剤Kazak type4(SPINK4)、ホモサピエンスLINE−1 typeトランスポザーゼドメイン含有1(L1TD1)、ホモサピエンス溶質キャリアファミリー35メンバーD3(SLC35D3)、ホモサピエンスリンパ球抗原6複合体遺伝子座G6D(LY6G6D)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスアポリポ蛋白質B mRNA編集酵素触媒ポリペプチド1(APOBEC1)、ホモサピエンスdickkopf相同体4(キセノパス・ラエビス)(DKK4)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼ1(NOX1)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ11(ストロメリシン3)(MMP11)、ホモサピエンスリングフィンガー蛋白質43(RNF43)、AGENCOURT_10229596 NIH_MGC_141ホモサピエンスcDNAクローンIMAGE:6563923 5(BU536065)、ホモサピエンスKIAA1199(KIAA1199)、ホモサピエンス癌胎児性抗原関連接着分子5(CEACAM5)、ホモサピエンスアーケイトスクート複合体相同体2(ドロスフィラ)(ASCL2)、ホモサピエンスビリン1(VIL1)、ホモサピエンスネイキッドキューティクル相同体1(ドロスフィラ)(NKD1)、プレディクティッド:ホモサピエンスハイポセティカルLOC729669(LOC729669)、ホモサピエンスムチン17細胞表面結合型(MUC17)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスコラーゲンXI型α1(COL11A1)、ホモサピエンスデフェンシンα5パネル細胞特異型(DEFA5)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスホスホリパーゼ阻害剤(LOC646627)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼオーガナイザー1(NOXO1)、ホモサピエンスリポカリン15(LCN15)、ホモサピエンスケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、ホモサピエンスガストリン放出ペプチド(GRP)、ホモサピエンスプレグナンシー特異性β1糖蛋白質1(PSG1)、ホモサピエンスクラウディン2(CLDN2)、ホモサピエンスディフェンシンα6ぺネス細胞特異型(DEFA6)、ホモサピエンスニューロペプチドSレセプター1(NPSR1)、ホモサピエンスシスタチンSN(CST1)、ホモサピエンスケラチン23(ヒストンデアセチラーゼ誘導性)(KRT23)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、ウテリン)(MMP7)、ホモサピエンス膜貫通4−ドメインサブファミリーA膜12(MS4A12)、ホモサピエンスケラチン20(KRT20)、またはその組み合わせから選択される癌関連配列に結合する候補抗体を、細胞試料と接触させること、および癌関連配列の活性についてアッセイすること、を含み、癌関連配列の活性が、接触後の試料中で低下していれば、候補抗体が抗癌剤として同定される。
幾つかの実施形態において、薬物候補をスクリーニングする方法は、薬物候補の非存在下での癌関連配列の発現レベルを、薬物候補の存在下の発現レベルに比較することを含む。
幾つかの実施形態は、癌関連配列に結合することが可能な治療剤(核酸または蛋白質)についてスクリーニングする方法を対象とし、該方法は、癌関連配列と候補治療剤とを一緒にすること、および候補剤の癌関連配列への結合を決定すること、を含む。
更に本明細書で提供されるのは、癌関連配列の活性をモジュレートすることが可能な治療剤についてスクリーニングする方法である。幾つかの実施形態において、該方法は、癌関連配列および候補治療剤を一緒にすること、および癌関連配列の生物活性に及ぼす候補剤の効果を決定すること、を含む。癌関連配列の生物活性をモジュレートする薬剤が、癌関連配列の活性をモジュレートすることが可能な治療薬として用いられてもよい。
(a)表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される癌関連配列を転写する癌関連遺伝子を発現する細胞を、抗癌剤候補と接触させること;(b)細胞中の癌関連ポリヌクレオチドの発現に及ぼす抗癌剤候補の影響を決定すること:および(c)薬物候補の非存在下での発現レベルを、薬物候補の存在下での発現レベルに比較すること、を含み、癌関連ポリヌクレオチドの発現に及ぼす影響により、候補物質が抗癌活性を有することが示される、抗癌活性についてスクリーニングする方法。
幾つかの実施形態において、候補抗癌剤の影響を評価する方法は、薬物を患者に投与すること、および患者の細胞試料を取り出すこと、を含んでいてもよい。その後、細胞の発現プロファイルが、決定される。幾つかの実施形態において、該方法は、患者の発現プロファイルを、健常な個体の発現プロファイルに比較することを更に含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、発現プロファイルは、本明細書に開示された配列の1つ以上の発現またはその任意の組み合わせを測定することを含む。本明細書に開示された配列の1つ以上またはその組み合わせの発現プロファイルが改良(増加または減少)された幾つかの実施形態において、候補抗癌剤が効果的であると言われる。
幾つかの実施形態において、本発明は、(a)表1に示された癌関連配列、またはそのフラグメントからなる群より選択される核酸配列をコードする癌関連遺伝子を発現する細胞を提供すること;(b)癌細胞に由来し得る細胞を抗癌剤候補と接触させること;(c)細胞試料中の癌関連配列の発現に及ぼす抗癌剤候補の影響をモニタリングすること;および場合により(d)前記薬物候補の非存在下での発現レベルを、薬物候補の存在下での発現レベルに比較すること、を含む、抗癌活性についてスクリーニングする方法を提供する。薬物候補は、転写の阻害剤、G−蛋白質共役受容体アンタゴニスト、成長因子アンタゴニスト、セリン−トレオニンキナーゼアンタゴニスト、チロシンキナーゼアンタゴニストであってもよい。候補物質が癌関連配列の発現をモジュレートする幾つかの実施形態において、候補物質は、抗癌活性を有すると言われる。幾つかの実施形態において、抗癌活性は、細胞の発育を測定することにより決定される。幾つかの実施形態において、候補物質は、細胞の成長を阻害するか、または遅延させ、抗癌活性を有すると言われている。幾つかの実施形態において、候補物質が細胞を死滅させ、このため候補物質は抗癌活性を有すると言われる。
幾つかの実施形態において、本発明は、大腸癌に対抗する活性についてスクリーニングする方法を提供する。幾つかの実施形態において、該方法は、表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される癌関連配列に相補的である癌関連遺伝子を過剰発現する細胞を、大腸癌薬物候補と接触させることを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、細胞における癌関連ポリヌクレオチドの発現に対する大腸癌剤候補物質の影響、または細胞の発育もしくは生存能力への影響を検出することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、薬物候補の非存在下での発現レベル、細胞成長、または生存能力を、薬物候補の存在下での発現レベル、細胞発育、または生存能力に比較することを含み、ここで癌関連ポリヌクレオチドの発現、細胞の発育、または生存能力への影響は、候補物質が、癌関連遺伝子を過剰発現する大腸癌細胞に対抗する活性を有することを示し、前記遺伝子は、表1に開示された配列、その相補体、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される配列を含む。幾つかの実施形態において、薬物候補は、転写の阻害剤、G−蛋白質共役受容体アンタゴニスト、成長因子アンタゴニスト、セリン−トレオニンキナーゼアンタゴニスト、またはチロシンキナーゼアンタゴニストから選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、表1に示されたポリヌクレオチド配列からなる群より選択される核酸配列を含む核酸によりコードされ得る癌関連配列の活性をモジュレートすることが可能な治療剤についてスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、a)前記癌関連配列および候補治療薬をひとまとめにすること;ならびにb)前記癌関連配列の生物活性に及ぼす候補薬物の影響を決定すること、を含む。幾つかの実施形態において、治療薬は、癌関連配列の発現に影響を及ぼし、癌関連配列の活性に影響を及ぼす。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、癌関連蛋白質である。幾つかの実施形態において、癌関連配列は、癌関連核酸分子である。
大腸癌マーカーを同定する方法
特定の生存細胞における遺伝子発現のパターンは、その時の状態に特徴的になり得る。細胞の状態またはタイプにおける差のほぼ全てが、1つ以上の遺伝子のRNAレベルの差に反映される。特徴づけられていない遺伝子の発現パターンを比較すると、それらの機能を知る手がかりが与えられる場合がある。何百または何千もの遺伝子の発現の高処理能力の分析は、(a)複雑な遺伝子疾患の同定、(b)組織と疾患状態の間で異なる、時間の経過に伴う遺伝子発現の分析、ならびに(c)創薬および毒性試験、を支援することが可能である。特定遺伝子の発現レベルの上昇または低下は、癌の生物学的作用と相関する。例えば発癌遺伝子は、腫瘍形成の正の調節物質であるが、腫瘍抑制遺伝子は、腫瘍形成の負の調節物質である。(Marshall, Cell, 64:313−326(1991); Weinberg, Science, 254:1138−1146(1991))。したがって本明細書の幾つかの実施形態は、癌および特に発癌遺伝子に関与するポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を提供する。
発癌遺伝子は、癌を誘因し得る遺伝子である。発癌現象は、発癌遺伝子を含むウイルスによる細胞の感染、宿主ゲノムにおける癌原遺伝子の活性化、ならびに癌原遺伝子および腫瘍抑制遺伝子の突然変異をはじめとし、非常に様々な機構により生じ得る。発癌現象は、基本的に体細胞の進化(即ち、成長の制御を進行的に喪失する突然変異、および変異体の自然な選択)により誘導される。これらの体細胞突然変異の標的として働く遺伝子は、それらの突然変異体表現型が優性であるか、または劣性であるかに応じて、それぞれ癌原遺伝子または腫瘍抑制遺伝子のいずれかとして分類される。
本発明の幾つかの実施形態は、癌関連配列(「標的マーカー」)を対象とする。幾つかの実施形態は、癌の診断および処置において有用となる新規な標的マーカーを同定する方法を対象とし、ここでmRNA、miRNA、蛋白質、または非限定的にリン酸化およびSUMO化をはじめとする蛋白質の翻訳後修飾の発現レベルを、細胞型の5つのカテゴリーの間で比較する:(1)不死化(immortal)人工多能性細胞(胚性幹(「ES」)細胞、人工多能性幹(「iPS」)細胞、および生殖細胞系細胞、例えば胚性癌腫(「EC」)細胞など)または生殖腺組織;(2)ES、iPSまたはEC由来クローナル胚性前駆(「EP」)細胞株;(3)非限定的にCD34+細胞およびCD133+細胞をはじめとする有核血液細胞;(4)皮膚線維芽細胞、血管内皮細胞、正常な非リンパ球および非癌性組織などをはじめとする正常な致死性体細胞成人由来組織および培養細胞、ならびに(5)培養癌細胞株またはヒト腫瘍組織をはじめとする悪性癌細胞。カテゴリー1、3および5において遺伝子発現される(または発現されない)、またはカテゴリー1および5において遺伝子発現されるがカテゴリー2および4において発現されない(または発現される)mRNA、miRNA、または蛋白質は、癌診断および治療の候補標的物質である。本明細書での幾つかの実施形態は、ヒト適用、ヒト以外の獣医学的適用、またはその組み合わせを対象とする。
幾つかの実施形態において、標的マーカーを同定する方法は、1)不死化人工多能性細胞(胚性幹(「ES」)細胞、人工多能性幹(「iPS」)細胞、および生殖細胞系細胞、例えば胚性癌腫(「ES」)細胞など)のmRNA、miRNA、蛋白質または蛋白質修飾;2)ES、iPSまたはEC由来クローナル胚性前駆(「EP」)細胞株、培養癌細胞株またはヒト腫瘍組織をはじめとする悪性癌細胞、の分子プロファイルを得るステップ、およびそれらの分子を、培養ヒト胚性前駆細胞、胎児もしくは成人供給源からの培養体細胞、または悪性腫瘍細胞の正常な組織相当物などの致死性体細胞型に存在分子と比較するステップ、を含む。hES細胞および悪性癌細胞などの多能性幹細胞の間で共有されるが体細胞型の大部分には存在しない標的マーカーが、候補的診断マーカーおよび治療ターゲットであってもよい。
本明細書の実施形態の癌関連配列は、例えば表1に開示される。これらの配列は、倍数変化およびフィルター分析(fold-change and filter analysis)のKC110729.5から抽出された。正常組織および大腸癌組織におけるこれらの癌関連配列の発現は、表2に開示される。発現が決定されると、遺伝子配列結果は、正常組織に対比させた癌細胞株の倍数変化;遺伝的特異性;分泌されたまたは分泌されていない癌細胞株内の発現レベル;および信号対ノイズ比を考慮することにより、更にフィルタリングされる。癌関連ポリヌクレオチド配列は、表1に示された配列またはその相同体を含む。幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、以後に開示される癌関連配列の1つ以上から選択されるmRNA配列であってもよい。
幾つかの実施形態において、該方法は、正常体組織に比較して大腸癌組織において異常レベルで発現されたマーカーを標的化することを含む。幾つかの実施形態において、マーカーは、表1に開示された配列またはその任意の組み合わせを含んでいてもよい。
発現データを得ること、および発現データの使用の様々な方法が存在することは、理解されよう。例えば癌の対象を検出または診断するために使用され得る発現データは、実験的に得ることができる。幾つかの実施形態において、発現データを得ることは、試料を得ること、および試料を処理して発現データを実験的に決定すること、を含む。発現データは、本明細書に記載された癌関連配列の1つ以上の発現データを含むことができる。発現データは、例えばマイクロアレイまたは定量的増幅法、例えば非限定的に本明細書に記載されたものを利用することにより、実験的に決定することができる。幾つかの実施形態において、試料に関連する発現データを得ることは、試料を処理した第三者から発現データを受領して、発現データを実験的に決定すること、を含む。
本明細書に記載された発現レベルの検出または類似のステップは、本明細書に記載された通り実験的に実施されるか、または第三者により提供されてもよい。それゆえ例えば「発現レベルを検出すること」は、データを実験的に測定すること、ならびに/または試料を処理して発現データのレベルを決定および検出した別の団体により提供されたデータを有すること、を指すことができる。幾つかの実施形態において、発現データは、実験的に検出されてもよく、そして第三者により提供されてもよい。
細胞型の多様なカテゴリー:(1)不死化人工多能性細胞(胚性幹(「ES」)細胞または生殖腺組織;(2)ES、iPSまたはEC由来クローナル胚性前駆(「EP」)細胞株、(3)非限定的にCD34+細胞およびCD133+細胞をはじめとする有核血液細胞;(4)皮膚線維芽細胞、血管内皮細胞、正常な非リンパ性および非癌性組織などをはじめとする正常な致死性体細胞成人由来組織および培養細胞、ならびに(5)培養癌細胞株または人腫瘍組織およびフィルターをはじめとする悪性癌細胞、から調製されたRNAプローブ配列(表1に示す)にハイブダイズされたIllumina遺伝子発現マイクロアレイを用いたmRNAレベルに対する遺伝子発現の比較が、カテゴリー1、3および5において遺伝子発現される(または発現されない)、またはカテゴリー1および5において遺伝子発現されるがカテゴリー2および4において発現されない(または発現される)遺伝子を検出するために実施された。この観察に基づくこれらの癌の治療は、癌においてアップレギュレートされた先に参照される転写産物の発現を低減すること、またはさもなければ遺伝子産物の発現を低減することに基づく。
遺伝子発現アッセイ:遺伝子発現レベルの測定は、当該技術分野における任意の公知方法、例えば非限定的に定量PCR、またはマイクロアレイ遺伝子発現分析、ビーズアレイ遺伝子発現分析およびノーザン分析により実施されてもよい。遺伝子発現レベルは、ADPRT(アクセション番号NM_001618.2)、GAPD(アクセション番号NM_002046.2)、または当該技術分野で公知の他のハウスキーピング遺伝子に対して標準化された相対的発現として表されてもよい。mRNA発現のマイクロアレイブローブの場合、遺伝子発現データは、中央値の中央値(median of medians)法により標準化されてもよい。この方法において、各アレイは、異なる全強度を与える。メディアン値を用いることは、実験における細胞株(アレイ)を比較するロバストな方法である。例として、メディアンを核細胞株について見いだし、その後、それらの中央値の中央値が、標準化用の値になった。各細胞株からのシグナルを、他の細胞株それぞれに対して生成させた。
RNA抽出:本開示の細胞を、0.05%トリプシンおよび0.5mM EDTAと共にインキューとした後、0.5%BSAを有するDMEM(メリーランド州ゲイザーズバーグ所在のGibco)中に採取してもよい。全RNAを、RNeasy Miniキット(ドイツヒルデン所在のQiagen)を用いて細胞から精製してもよい。
細胞からの全RNAおよびmiRNAの単離:全RNAまたは低分子RNA種が豊富な試料を、血清枯渇を受けた細胞培養物から単離した後、多くの成熟組織において観察されるおおよその細胞発育停止になるまでRNAを回収してもよい。細胞発育停止は、0.5%血清を含有する培地に5日間交換し、低血清培地の最初の添加後は2〜3日間に1回培地交換することにより実施されてもよい。RNAは、全RNAを単離するQuiagen RNEasy Kit、または低分子RNA種が豊富なRNAを単離するAmbion mirVanaキットの供給業者の使用説明書に従って採取してもよい。RNA濃度は、分光光度法により決定してもよく、RNAの品質は、28Sおよび18S RNAを視覚化するための変性アガロースゲル電気泳動により決定してもよい。はっきりと視覚化される28Sおよび18Sバンドを有し分解の兆候を有さない、およそ2:1、28S:18Sの比の試料を、次のmiRNA分析に用いてもよい。
ヒト細胞から単離された試料中のmiRNAについてのアッセイ:miRNAを、Applied Biosystems, IncのHuman Panel TaqMan MicroRNA Assayを用いて定量してもよい。これは、逆転写酵素(RT)のためのステムループプライマーを用い、その後、リアルタイムTaqMan(登録商標)を用いる2段階アッセイである。そのアッセイは、2段階、即ち逆転写(RT)および定量PCRを含む。リアルタイムPCRは、Applied Biosystems 7500 Real−Time PCR Systemで実施されてもよい。細胞あたりのコピー数は、合成mir−16 miRNAの標準曲線およびおよそ15pg/細胞という全RNA量の仮説に基づいて推定されてもよい。
逆転写反応は、最終容量5μl中の1×cDNA アーカイビングフバッファー(archiving buffer)、3.35単位 MMLV逆転写酵素、5mM 各dNTP、1.3単位 AB RNase阻害剤、2.5nM 330−プレックスリバースプライマー(RP)、3ng 細胞内RNAを用いて実施されてもよい。逆転写反応は、BioRadまたはMJのサーモサイクラーにより、20℃で30秒間;42℃で30秒間;50℃で1秒間を60サイクル、その後、85℃で5分間を1サイクルというサイクリングプロファイルで実施されてもよい。
リアルタイムPCR 1:400希釈されたプレPCR産物 2マイクロリットルを、20μl反応物に用いられてもよい。全ての反応は、二重測定であってもよい。その方法は、非常にロバストであるため、二重測定の試料で十分となり、miRNA発現レベルでの値を得るのに十分正確になる可能性がある。ABIのTaqMan Universal PCR Master Mixが、製造業者の提言に従って用いられてもよい。簡潔に述べると、1×TaqMan Universal PCR Master Mix(ABI)、1μM Forward Primer、1μ Universal Reverse Primerおよび0.2μM TaqMan Probeが、各リアルタイムPCRに用いられてもよい。用いられる条件は、以下のとおりであってもよい:95℃で10分間、その後95℃で15秒と60℃で1分間を40サイクル。反応は全て、ABI Prism 7000 Sequence Detection Systemで実行されてもよい。
マイクロアレイハイブリダイゼーションおよびデータ処理 cDNAおよび細胞内全RNA(8本の各試験管それぞれに5μg)が、インビトロ転写(IVT)(カリフォルニア州サンタクララ所在、Affymetrix)により、またはIllumina Total Prep RNA Labellingキットを用いて、ビオチン標識のためのOne−Cycle Target Labeling手順に供されてもよい。Affymetix遺伝子チップでの分析では、次にcRNAを、製造業者の使用説明書に従って断片化されてHuman Genome U133 Plus 2.0 Array(Affymetrix)にハイブリダイズしてもよい。マイクロアレイ画像データを、GeneChip Scanner 3000(Affymetrix)で処理してCELデータを作成してもよい。CELデータをその後、複数のデータセットを同時に標準化および処理するという利点を有するdChipソフトウエアでの分析に供してもよい。細胞からの非増幅対照8つ、希釈細胞内RNAからの独立して増幅された試料8つ、および単一細胞20個からの増幅cDNA試料から得られたデータを、プログラムのデフォルトセッティングに従って各群内で別個に標準化してもよい。モデルに基づく式インデックス(MBEI)で、シグナル強度のlog2変換および低い値をゼロに切り捨てることにより、PM/MM差モードを利用して計算してもよい。アブソルート・コール(プレゼント、マージナルおよびアブセント)を、dChipデフォルトセッティングを用いたAffymetrix Microarray Software 5.0(MAS 5.0)アルゴリズムにより計算してもよい。プレゼントのプローブのみの発現レベルを、以下に記載される定量分析全てで考慮してもよい。マイクロアレイデータのGEOアクセッション番号は、GSE4309である。Illumina Human HT−12 v4 Expression Bead Chipsでの分析では、標識されたcRNAを、製造業者の使用説明書に従ってハイブリダイズしてもよい。
適用範囲および精度の計算 真陽性が、非増幅対照8つのうち少なくとも6つで、プレゼントと呼ばれるプローブとして定義され、真発現レベルが、プレゼントプローブのlog平均発現レベルとして定義される。適用範囲の定義は、(増幅試料中で検出された真陽性のプローブの数)/(真陽性のプローブの数)である。精度の定義は、(増幅試料中で検出された真陽性のプローブの数)/(増幅試料中で検出されたプローブの数)である。増幅試料および非増幅試料の発現レベルは、20.5(20,20.5,21,21.5...)の分類区間により分別されてもよく、ここで精度および適用範囲が計算される。これらの発現レベルバイナリが、検出されたプローブの頻度分布を解析するのに用いられてもよい。
細胞の遺伝子発現プロファイルの分析 細胞からのマイクロアレイデータの教師なしクラスタリングおよびクラス近接分析を、GenePatternソフトウエア(http://www.broad.mit.edu/cancer/ software/genepattern/)を用いて実施してもよく、そのソフトウエアは、信号対ノイズ比解析/T検定を、方法論および/または生検などの任意の試料変動性の寄与を高い信頼度で排除する並べ替え検定と共に実施する。解析は、20の単一細胞のうち少なくとも6つがプレゼントコールを提供し、20の試料のうち少なくとも1つが細胞あたり20コピーを超える発現レベルを提供した、14,128のプローブで実施されてもよい。アブセント/マージナルコールのプローブで計算された発現レベルが、ゼロに切り捨てられてもよい。相対遺伝子発現レベルを計算するために、Q−PCR分析で得られたCt値が、全ヒトゲノム(BD Biosciences)または遺伝子フラグメントを含むプラスミドのいずれかで定量された個々のプライマー対の効率を用いて補正されてもよい。相対発現レベルは更に、反応混合物中に含まれるスパイクRNAを用いて計算された検定線(Log10[発現レベル]=1.05×log10[コピー数]+4.65)を用いてコピー数に変換されてもよい。独立性についてのカイ二乗検定が、遺伝子発現とGata4との関連性を評価するために実施されてもよいが、それは教師なしクラスタリングにより決定されたクラスター1とクラスター2との差を表し、後期のPEに制限される。Q−PCRで測定された各遺伝子の発現レベルが、3つのカテゴリー:高(細胞あたり100コピーを超える)、中(細胞あたり10〜100コピー)、および低(細胞あたり10コピー未満)に分類されてもよい。Gata4発現からの独立性についてのカイ二乗検定およびP値が、この分類に基づいて計算されてもよい。カイ二乗検定は、以下の通り定義される:χ2 =ΣΣ(n fij−fi fj)2/n fi fj(ここでiおよびjは、それぞれ参照(Gata4)および標的遺伝子の発現レベルカテゴリー(高、中または低)を表し、fi、fj、およびfijは、それぞれカテゴリーi、jおよびijの観察された頻度を表し、nは、試料数(n=24)を表す)。自由度は、(r−1)×(c−1)(ここでrおよびcは、それぞれGata4および標的遺伝子の発現レベルカテゴリーの利用可能な数を表す)として定義されてもよい。
大腸癌に対する免疫応答の生成
幾つかの実施形態において、抗原提示細胞(APC)を用いて、Tリンパ球をインビボまたはエクスビボで活性化して、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫応答を誘発してもよい。APCは、高度に特化された細胞であり、非限定的にマクロファージ、単球、および樹状細胞(DC)を包含し得る。APCは、抗原を処理して、細胞表面のペプチドフラグメントを、リンパ球活性化に必要となる分子と共に提示してもよい。幾つかの実施形態において、APCは、樹状細胞であってもよい。DCは、例えば濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、および表皮樹状細胞をはじめとする亜群に分類されてもよい。
幾つかの実施形態は、対象において、非限定的に癌細胞などの癌関連ポリペプチド配列を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するための癌関連配列、そのフラグメント、またはその突然変異体をコードする癌関連ポリペプチドおよびポリヌクレオチド、ならびに抗原提示細胞(非限定的に樹状細胞など)の使用を対象とする。幾つかの実施形態において、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する方法は、(1)造血幹細胞を単離すること、(2)該細胞を遺伝子修飾して癌関連配列を発現させること、(3)該細胞をDCに分化させること;および(4)DCを対象(例えば、ヒト患者)に投与すること、を含む。幾つかの実施形態において、免疫応答を誘発する方法は、(1)DCを単離すること(またはDC前駆細胞の単離および分化)、(2)細胞を癌関連配列でパルスすること、および(3)DCを対象に投与すること、を含む。これらのアプローチを、以後により詳細に議論する。幾つかの実施形態において、パルスされた、または発現するDCを用いて、Tリンパ球をエクスビボで活性化してもよい。これらの一般的技術およびその変形例は、当業者の熟練の範囲内となり得(例えば、WO97/29182号;同97/04802号;同97/22349号;同96/23060号;同98/01538号; Hsu et al., 1996, Nature Med. 2:52−58参照)、更に他の変形例は、将来発見される可能性がある。幾つかの実施形態において、癌関連配列が、対象と接触されて、免疫応答を刺激する。幾つかの実施形態において、免疫応答は、治療的免疫応答である。幾つかの実施形態において、免疫応答は、予防的免疫応答である。例えば癌関連配列は、免疫応答を刺激するのに効果的な条件下で対象と接触させることができる。癌関連配列が、例えばDNA分子(例えば、DNAワクチン)、RNA分子もしくはポリペプチド、またはその任意の組み合わせとして投与することができる。免疫応答を刺激する配列を投与することは、公知であるが、使用する配列の同一性は本開示以前は知られていない。本明細書に開示された任意の配列もしくは配列の組み合わせ、またはその相同体は、対象に投与されて免疫応答を刺激することができる。
幾つかの実施形態において、樹状細胞前駆細胞が、癌関連配列での形質導入のために単離され、樹状細胞に分化するように誘導されてもよい。遺伝子修飾DCは、癌関連配列を発現し、細胞表面でペプチドフラグメントを提示し得る。
幾つかの実施形態において、発現された癌関連配列は、天然由来の配列を含まない。既に記述された通り、天然由来蛋白質のフラグメントが用いられてもよく、加えて、少なくとも1つのペプチドエピトープがDCにより処理されてMHCクラスIおよびII表面分子上で提示され得る限り、天然由来ポリペプチドと比較して、発現されたポリペプチドが欠失、挿入、またはアミノ酸置換などの突然変異を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、例えばペプチドの抗原性を上昇させるため、またはペプチド発現レベルを上昇させるために、「野生型」以外の配列を使用することが望ましい場合がある。幾つかの実施形態において、導入された癌関連配列は、多形変異体(例えば、特にヒト患者により発現される変異体)または特定の癌(例えば、特定対象の癌)に特徴的な変異体などの変異体をコードしていてもよい。
幾つかの実施形態において、癌関連発現の配列は、トランスフェクション、組換えワクチンウイルス、アデノ随伴ウイルス(AVV)、レトロウイルスなどの任意の様々な標準法において、DCまたは幹細胞に導入(形質導入)されてもよい。
幾つかの実施形態において、本発明のトランスフォームされたDCは、DCが免疫応答に導入し得る対象(例えば、非限定的にヒト患者)に誘導されてもよい。典型的には免疫応答には、抗原性ペプチド(例えば、MHCクラスI/ペプチド複合体における)を担う標的細胞に対する細胞毒性T−リンパ球(CTL)応答がある。これらの標的細胞は、典型的には癌細胞である。
幾つかの実施形態において、DCが対象に投与される場合、DCは、好ましくはその対象から単離されてもよく、またはその対象の前駆細胞に由来してもよい(即ち、DCは、自家性の対象に投与されてもよい)。しかし細胞は、HLAが適合した同種異系対象またはHLAが適合しない同種異系対象に注入されてもよい。後者の場合、免疫抑制剤が、対象に投与されてもよい。
幾つかの実施形態において、細胞は、任意の適切な手法で投与されてもよい。幾つかの実施形態において、細胞は、薬学的に許容され得る担体(例えば、生理食塩水)と共に投与されてもよい。幾つかの実施形態において、細胞は、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、腹腔内または皮下経路により投与されてもよい。投与(即ち、免疫化)は、時間間隔を空けて繰り返し実施されてもよい。DCの注入が、DCの数および活性を保持する作用のあるサイトカイン(例えば、GM−CSF、IL−12)の投与と併用されてもよい。
幾つかの実施形態において、対象に投与される用量は、T細胞増殖、Tリンパ球細胞毒性を測定するアッセイにより検出される免疫応答を導入し、および/または時間の経過に伴う患者の有利な治療応答を実行するのに十分な用量、例えば、癌細胞の発育を阻害するのに、または癌細胞の数もしくは腫瘍のサイズを低減するのに十分な用量であってもよい。
幾つかの実施形態において、DCが得られ(患者から、または前駆細胞のインビトロ分化による)、癌関連配列を有する抗原性ペプチドでパルスされる。パルシングにより、細胞の表面MHC分子へのペプチドの提示が得られる。細胞表面で提示されたペプチド/MHC複合体は、癌関連ポリペプチドを発現する標的細胞(例えば、非限定的に癌細胞)に対するMHC制限細胞毒性Tリンパ球応答を誘導することが可能であってもよい。
幾つかの実施形態において、パルシングに用いられる癌関連配列は、少なくとも約6または8のアミノ酸、および約30未満のアミノ酸または約50未満のアミノ酸残基の長さを有していてもよい。幾つかの実施形態において、免疫原性ペプチド配列は、約8〜約12アミノ酸を有していてもよい。幾つかの実施形態において、ヒト蛋白質フラグメントの混合物が用いられてもよく、あるいは定義された配列の特定のペプチドが用いられてもよい。ペプチド抗原は、デノボペプチド合成、精製もしくは組換えヒトペプチドの酵素的設計、天然供給源(例えば、対象、または対象の腫瘍細胞)からのペプチド配列の精製、またはヒトペプチドフラグメントをコードする組換えポリヌクレオチドの発現により生成されてもよい。
幾つかの実施形態において、DCをパルスするのに用いられるペプチドの量は、ペプチドまたはポリペプチドの性質、サイズおよび純度に依存し得る。幾つかの実施形態において、約0.05μg/ml〜約1mg/ml、約0.05μg/ml〜約500μg/ml、約0.05μg/ml〜約250μg/ml、約0.5μg/ml〜約1mg/ml、約0.5μg/ml〜約500μg/ml、約0.5μg/ml〜約250μg/ml、または約1μg/ml〜約100μg/mlの量のペプチドが、用いられてもよい。培養されたDCにペプチド抗原を添加した後、細胞はその後、抗原を取り込んで処理し、クラスIまたはクラスIIのいずれかのMHCと会合した細胞表面で抗原ペプチドを発現するのに十分な時間、放置されてもよい。幾つかの実施形態において、抗原を取り込んで処置する時間は、約18〜約30時間、約20〜約30時間、または約24時間であってもよい。
異なるMHCクラスIおよびII分子についてのペプチド結合モチーフを予測するシステムおよび方法の数多くの例が、記載されている。そのような予測は、所望のMHCクラスIまたはII分子に結合するペプチドモチーフを予測するのに用いることができる。当業者がそのような目的で参考にし得るそのような方法、システムおよびデータベースの例としては:
1.Peptide Binding Motifs for MHC Class I and II Molecules; William E. Biddison, Roland Martin, Current Protocols in Immunology, Unit 1I(DOI: 10.1002/0471142735.ima01is36; Online Posting Date: May, 2001)
が挙げられる。
先の参考資料1は、ペプチド結合モチーフの使用の概要を提供して、特異的なMHCクラスIまたはII対立遺伝子との相互作用を予測し、T−細胞認識を予測するためのMHC結合モチーフの使用例を与える。
表3は、NIH Center for Information Technology website, BioInformatics and Molecular Analysis SectionでのHLAペプチドモチーフサーチの例示的結果を示す。
ペプチドに基づくワクチン接種の当業者は、どのペプチドがHLA遺伝子座に基づき個体において最良に働くかを決定することができる(例えば、「MHC制限」による)。異なるHLA遺伝子座は、特定のペプチドモチーフ(8〜10のうち通常は2または3の高度に保存された位置)と、理論的に予測され得る、または解離速度として測定され得る異なるエネルギーで結合する。つまり当業者は、ペプチドを、対象のHLAプロファイルに適合させることができる。
幾つかの実施形態において、本開示は、対象における免疫応答を誘発させるのに効果的な条件下で対象を癌関連配列と接触させることを含み、前記癌関連配列が、以後に示される癌関連配列の1つ以上から選択される遺伝子の配列またはそのフラグメントを含む、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫応答を誘発させる方法を提供する。
癌関連配列での細胞のトランスフェクト
細胞を、以後に開示される癌関連配列の1つ以上でトランスフェクトさせてもよい。トランスフェクトされた細胞は、スクリーニングアッセイ、診断および検出アッセイにおいて有用となり得る。本明細書に開示された1つ以上の癌関連配列を発現するトランスフェクトされた細胞を用いて、癌関連配列をコードする単離された核酸、および/または1つ以上の癌関連配列によりコードされている単離された蛋白質もしくはペプチドフラグメントを得てもよい。
電気穿孔は、本明細書に記載された癌関連核酸を哺乳類細胞(Neumann, E. et al.(1982) EMBO J. 1, 841−845)、植物および細菌細胞に導入するために用いられてもよく、蛋白質を導入するために用いられてもよい(Marrero, M.B. et al.(1995) J. Biol. Chem. 270, 15734−15738; Nolkrantz, K. et al.(2002) Anal. Chem. 74, 4300−4305; Rui, M. et al.(2002) Life Sci. 71, 1771−1778)。該当する精製蛋白質の緩衝溶液中に懸濁された細胞(本発明の細胞など)を、パルス電界に配置させる。簡潔に述べると、高電圧電気パルスにより、細胞膜内に小さな(ナノメーターサイズの)孔を形成させる。蛋白質は、これらの小孔を通って細胞に侵入し、または孔が閉じて細胞が正常な状態に戻れば、膜認識の工程で細胞に侵入する。送達の効率は、加えられた電場の強度、パルス長、温度、緩衝媒体の組成に依存する可能性がある。電気穿孔は、様々な細胞型で、そして他の送達法に抵抗性のある一部の細胞株でも成功しているが、全体的効率は、多くの場合かなり低い。一部の細胞株は、部分的に活性化されない限り、電気穿孔も依然として受けにくい。
顕微注入を用いて、フェモトリットル容量のDNAを細胞の核に直接導入してもよく(Capecchi, M.R.(1980) Cell 22, 470−488)、そこでDNAを宿主細胞ゲノムに直接組み込むことができ、こうして該当する配列を含む樹立された細胞株が作製される。抗体などの蛋白質(Abarzua, P. et al.(1995) Cancer Res. 55, 3490−3494; Theiss, C. and Meller, K.(2002) Exp. Cell Res. 281, 197−204)および突然変異蛋白質(Naryanan, A. et al.(2003) J. Cell Sci. 116, 177−186)は、顕微注入を介して細胞に直接送達され、細胞工程への影響を直接決定することができる。顕微注入は、巨大分子を細胞に直接導入し、それにより低pHエンドソームなどの潜在的に不適切な細胞内コンパートメントへの暴露を回避するという利点を有する。
複数の蛋白質および小ペプチドは、従来の受容体を介した経路またはエンドサイトーシスを介した経路とは独立して生体膜を通って形質導入または進行する能力を有する。これらの蛋白質の例としては、HIV−1 TAT蛋白質、単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)DNA結合蛋白質VP22、およびドロソフィラ・アンテナペディア(Drosophila Antennapedia)(Antp)ホメオティック転写因子が挙げられる。幾つかの実施形態において、これらの蛋白質からの蛋白質形質導入ドメイン(PTD)は、他の巨大分子、ペプチドまたは蛋白質、例えば非限定的に癌関連ポリペプチドに融合して、ポリペプチドを細胞内に有効に輸送することができる(Schwarze, S.R. et al.(2000) Trends Cell Biol. 10, 290−295)。これらの形質導入ドメインの融合を利用する例示的利点は、蛋白質侵入が急速で濃度依存性であり、異なる細胞型を取り扱えると思われることである(Fenton, M. et al.(1998) J. Immunol. Methods 212, 41−48)。
幾つかの実施形態において、リポソームは、ビヒクルとして用いられてオリゴヌクレオチド、DNA(遺伝子)構築物および小薬物分子を細胞に送達することができる(Zabner, J. et al.(1995) J. Biol. Chem. 270, 18997−19007; Felgner, P.L. et al.(1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 7413−7417)。特定の脂質は、水溶液に入れて音波処理すると、水性コンパートメントを取り囲む環状化された脂質二重層からなる閉鎖小胞体を形成する。本明細書の実施形態の小胞体またはリポソームは、送達される分子を含む溶液中に形成されてもよい。カチオン性リポソームは、DNAを水溶液にカプセル化することに加えて、脂質上の正に帯電した頭部基がDNAの負に帯電したバックボーンと相互作用するDNAとの複合体を、自然にかつ効率的に形成することができる。用いられるカチオン性脂質の厳密な組成および/または混合は、該当する巨大分子および用いられる細胞型に応じて変化し得る(Felgner, J.H. et al.(1994) J. Biol. Chem. 269, 2550−2561)。カチオン性リポソームの方策は、蛋白質送達にも有効に適用されてきた(Zelphati, O. et al.(2001) J. Biol. Chem. 276, 35103−35110)。蛋白質は、DNAよりも不均質であるため、蛋白質の物理的性質、例えば電荷および疎水性は、カチオン性脂質との相互作用の程度に影響を及ぼし得る。
医薬組成物および投与様式
治療剤の投与様式(単独、または他の医薬品との併用のいずれか)は、非限定的に舌下、注射式(短期作用型、デポ剤、植込み剤、および皮下または筋肉内に注射されるペレット形態)、または膣内クリーム、坐剤、ペッサリー、膣内リング、直腸坐剤、子宮内デバイス、ならびにパッチおよびクリームなどの経皮形態の使用によるものであってもよい。
具体的な投与様式は、適応症に依存する。具体的投与経路および用量レジメンの選択は、最適な臨床応答が得られるように、臨床医に知られる方法によって、臨床医により適合または用量設定されることになる。投与される治療薬の量は、治療的に有効な量である。投与される用量は、処置される対象の特徴、例えば処置される特定の動物、年齢、体重、健康状態、併用療法があればそのタイプ、および処置の頻度に依存し、当業者により(例えば臨床医により)容易に決定することができる。
本開示の治療剤および適切な担体を含む医薬配合剤は、非限定的に錠剤、カプセル、カシェ剤、ペレット、ピル、粉末、および顆粒をはじめとする固体投与剤型;非限定的に溶液、粉末、液体エマルジョン、液体懸濁液、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ゲル、およびゼリー、および発泡体をはじめとする外用投与剤型;ならびに非限定的に溶液、懸濁剤、懸濁液、エマルジョン、および乾燥粉末をはじめとする非経口投与剤型であってもよく、有効量の本開示のポリマーまたはコポリマーを含む。有効成分が、医薬的に許容され得る希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤などと共に、そのような配合剤に含有され得ることも、当該技術分野で公知である。投与の手段および方法は当該技術分野で公知であり、当業者は指針となる様々な薬理学的参考資料を参照することができる。例えば、Modern Pharmaceutics,Banker & Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979)、およびGoodman & Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co.,New York(1980)を参考にすることができる。
本開示の組成物は、例えば静脈内ボーラスまたは持続注入などの注射による非経口投与用に配合させることができる。該組成物は、約15分〜約24時間にわたる持続注入により皮下投与することができる。注射用配合剤は、防腐剤を加え、単位投与剤型、例えばアンプルまたは複数回投与用の容器で提供することができる。該組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンのような形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの配合剤を含むことができる。
経口投与では、治療剤を当該技術分野で周知の医薬的に許容し得る担体と組み合わせることにより、該組成物を即座に配合させることができる。そのような担体により、処置される患者が経口摂取できるように、本発明の治療剤を錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などに配合させることができる。経口用の医薬製剤は、固体賦形剤を添加し、場合により得られた混合物を粉砕し、所望なら適切な助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠の核を得ることにより得ることができる。適切な賦形剤としては、非限定的に充填剤、例えば非限定的にラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトールをはじめとする糖;非限定的にトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびポリビニルピロリドン(PVP)をはじめとするセルロース剤が挙げられる。所望なら、崩壊剤、例えば非限定的に架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩を添加することができる。
糖衣錠の核は、適切なコーティングと共に提供することができる。この目的で、濃縮糖溶液を使用することができ、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含むことができる。活性治療用量を特定する、またはその異なる組み合わせを特徴づけるため、染料または顔料を前記錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
経口で使用され得る医薬製剤としては、非限定的にゼラチン製プッシュフィットカプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどのゼラチンおよび流動化剤から作製された密閉軟カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、例えばラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および場合により安定剤との混合剤として有効成分を含むことができる。軟カプセルにおいて、活性治療剤が、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁されていてもよい。加えて安定剤が、添加されていてもよい。経口投与用の全ての配合剤は、そのような投与に適した投与量でなければならない。
口腔投与では、該医薬組成物は、例えば従来の方法で配合された錠剤またはトローチ剤などの形態とすることができる。
吸入による投与では、本開示に従って使用される治療剤は、適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などを使用し、加圧包装または噴霧器によるエアロゾルスプレー製剤の形態で簡便に送達される。加圧式エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するバルブを設けることにより決定することができる。吸入器またはガス注入器中で使用される例えばゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジは、該治療剤とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含むように配合させることができる。
本開示の組成物は、例えばカカオバターまたは他のグリセリドなど従来の坐剤の基剤を含む、坐剤または保持浣腸(retention enemas)などの直腸用組成物に配合させることも可能である。
既に記載された配合剤に加えて、本開示の治療剤は、デポ製剤としても配合させることができる。そのような長期作用型配合剤は、植込み(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与され得る。
デポ注射は約1〜約6ヶ月またはそれ以上の間隔で投与される。このため例えば該組成物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容し得る油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂と共に、または例えば難溶性塩などの難溶性誘導体として、配合させることができる。
経皮投与において、本開示の組成物は、例えば軟膏剤に応用することができるか、または結果として生物体に供給される経皮的治療システムによって適用することができる。
医薬組成物は、適切な固相またはゲル相担体または賦形剤を含むこともできる。そのような担体または賦形剤の例としては、非限定的に、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、および例えばポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
本開示の組成物は、例えばアジュバント、プロテアーゼ阻害剤、または他の適合性のある薬物もしくは化合物など、他の有効成分と併用して投与することもでき、そのような併用は本明細書に記載された方法の所望の作用を実現する上で望ましいか、または有利であることが分かっている。
幾つかの実施形態において、崩壊剤成分は、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、イオン交換樹脂、食品酸およびアルカリ炭酸塩成分に基づく発泡性システム、クレー、タルク、デンプン、α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロースフロック(cellulose floc)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、金属炭酸塩、重炭酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、またはリン酸カルシウムの1種以上を含む。
幾つかの実施形態において、希釈成分は、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、リン酸カルシウム、金属炭酸塩、金属酸化物、または金属アルミノケイ酸塩の1種以上を含んでいてもよい。
幾つかの実施形態において、存在する場合の任意の滑沢剤成分は、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、フマル酸ステアリルナトリウム、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ベヘン酸グリセリル、鉱物油、植物油、パラフィン、ロイシン、シリカ、ケイ酸、タルク、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレン−グリセロール脂肪エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリエトキシル化ステロール、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化植物油、または塩化ナトリウムの1種以上を含む。
同じく表題の発明により提供されるのは、先に記載された表題の方法を実践するためのキットおよびシステムであり、そのような成分は、対象における癌を診断するため、対象における癌を処置するため、または癌細胞(例えば、対象から直接得られるか、インビボもしくはエクスビボで発育されるか、または癌の動物モデルから得られる)で基本的検査実験を実施するために構成される。キットの様々な成分が、別個の容器に存在してもよく、または特定の適合性成分が、所望なら単一容器内で予め混入されていてもよい。
幾つかの実施形態において、本発明は、試験試料中の癌の存在を診断するキットを提供し、該キットは、表1に示された癌関連のポリヌクレオチド配列、またはその相補体に選択的にハイブリダイズする少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、本発明は、表1に示される、癌関連のポリヌクレオチド配列、癌関連のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントを含む電子図書館を提供する。
表題のシステムおよびキットは、表題の方法のいずれかを実施するための1種以上の他の試薬を含んでいてもよい。試薬は、1種以上の母材、溶媒、試料調製試薬、緩衝剤、脱塩試薬、酵素試薬、変性試薬、プローブ、ポリヌクレオチド、ベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)などを含んでいてもよく、ここでは陽性および陰性対照などの検量線作成用標準液が、同様に提供されてもよい。そのためキットは、バイアルまたは瓶などの1種以上の容器を含んでいてもよく、各容器が、試料の加工もしくは調製ステップを実施するため、および/または本開示により標準化された試料を製造するための1つ以上のステップを実施するために、別個の成分を含んでいてもよい。
上述の成分に加えて表題のキットは、典型的にはキットの成分を用いて表題の方法を実践する使用説明書を更に含む。表題の方法を実践するための使用説明書は、一般に適切な記録媒体に記録されている。例えば使用説明書は、紙またはプラスチックなどの基材上に印刷されていてもよい。そのため使用説明書は、包装内の挿入物としてキットの容器またはキットの構成要素(即ち、包装またはサブパッケージに付随した)などのラベル内に存在してもよい。他の実施形態において、使用説明書は、適切なコンピュータ可読保存媒体、例えばCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスクなどに存在する電子保存データファイルとして存在する。更に別の実施形態において、実際の使用説明書が、キット内に存在せず、例えばインターネットを介して、遠隔の提供元から使用説明書を得る手段が提供される。この実施形態の例は、使用説明書を見ることができ、および/または使用説明書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。使用説明書と同様に、使用説明書を得るためのこの手段は、適切な基材に記録されている。
表題のデータベース、プログラミングおよび使用説明書に加えて、キットは、1つ以上の対照試料および試薬、例えばキットを試験する上で用いられる2つ以上の対照試料を含んでいてもよい。
発明の更なる実施形態
本開示の実施形態は、非限定的に大腸癌をはじめとする癌の診断、予後および処置の方法を対象とする。該方法は、大腸癌、例えば腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその組み合わせを診断および/または処置するために用いられ得る。
幾つかの実施形態において、該方法は、正常体細胞組織に比較して大腸癌腫瘍組織において異常レベルで発現されたマーカーを標的化することを含む。幾つかの実施形態において、マーカーは、表1に開示された配列、その相補体、またはその組み合わせを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌の処置のための方法、ならびに関連の医薬製剤およびキットが、提供される。幾つかの実施形態は、標的マーカーの発現、存在量または活性に影響を及ぼす治療薬を含む組成物を投与することを含む、大腸癌を処置する方法を対象とする。幾つかの実施形態において、標的マーカーは、表1に開示された配列またはその任意の組み合わせを含んでいてもよい。
幾つかの実施形態は、大腸癌に関連する標的マーカーのレベルを検出することを含む、大腸癌を検出する方法を対象とする。幾つかの実施形態において、標的マーカーは、表1に開示された配列、その相補体、またはその任意の組み合わせを含んでいてもよい。
本明細書の幾つかの実施形態は、大腸癌に関連する抗原(即ち、癌関連ポリペプチド)を診断および/または治療抗体の標的として提供する。幾つかの実施形態において、これらの抗原は、創薬(例えば、小分子)、ならびに細胞調節、発育、および分化の更なる特徴づけに有用となり得る。
幾つかの実施形態は、対象における大腸癌を診断する方法を記載し、該方法は、a)1つ以上の遺伝子または遺伝子産物またはその相同体の発現を決定すること;b)前記第一の対象または第二の罹患していない対象からの第二の正常試料の1つ以上の核酸配列の前記発現を比較すること、を含み、ここで発現の差は、第一の対象が大腸癌を有することを示し、遺伝子または遺伝子産物は、ホモサピエンスセリンペプチダーゼ阻害剤Kazak type4(SPINK4)、ホモサピエンスLINE−1 typeトランスポザーゼドメイン含有1(L1TD1)、ホモサピエンス溶質キャリアファミリー35メンバーD3(SLC35D3)、ホモサピエンスリンパ球抗原6複合体遺伝子座G6D(LY6G6D)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスアポリポ蛋白質B mRNA編集酵素触媒ポリペプチド1(APOBEC1)、ホモサピエンスdickkopf相同体4(キセノパス・ラエビス)(DKK4)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼ1(NOX1)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ11(ストロメリシン3)(MMP11)、ホモサピエンスリングフィンガー蛋白質43(RNF43)、AGENCOURT_10229596 NIH_MGC_141ホモサピエンスcDNAクローンIMAGE:6563923 5(BU536065)、ホモサピエンスKIAA1199(KIAA1199)、ホモサピエンス癌胎児性抗原関連接着分子5(CEACAM5)、ホモサピエンスアーケイトスクート複合体相同体2(ドロスフィラ)(ASCL2)、ホモサピエンスビリン1(VIL1)、ホモサピエンスネイキッドキューティクル相同体1(ドロスフィラ)(NKD1)、プレディクティッド:ホモサピエンスハイポセティカルLOC729669(LOC729669)、ホモサピエンスムチン17細胞表面結合型(MUC17)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスコラーゲンXI型α1(COL11A1)、ホモサピエンスデフェンシンα5パネル細胞特異型(DEFA5)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスホスホリパーゼ阻害剤(LOC646627)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼオーガナイザー1(NOXO1)、ホモサピエンスリポカリン15(LCN15)、ホモサピエンスケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、ホモサピエンスガストリン放出ペプチド(GRP)、ホモサピエンスプレグナンシー特異性β1糖蛋白質1(PSG1)、ホモサピエンスクラウディン2(CLDN2)、ホモサピエンスディフェンシンα6ぺネス細胞特異型(DEFA6)、ホモサピエンスニューロペプチドSレセプター1(NPSR1)、ホモサピエンスシスタチンSN(CST1)、ホモサピエンスケラチン23(ヒストンデアセチラーゼ誘導性)(KRT23)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、ウテリン)(MMP7)、ホモサピエンス膜貫通4−ドメインサブファミリーA膜12(MS4A12)、ホモサピエンスケラチン20(KRT20)、またはその組み合わせから選択される遺伝子と呼ばれる。
幾つかの実施形態は、対象における免疫応答を誘発するのに効果的な条件下で対象を癌関連配列と接触させることを含む、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する方法を記載し、ここで癌関連配列は、ホモサピエンスセリンペプチダーゼ阻害剤Kazak type4(SPINK4)、ホモサピエンスLINE−1 typeトランスポザーゼドメイン含有1(L1TD1)、ホモサピエンス溶質キャリアファミリー35メンバーD3(SLC35D3)、ホモサピエンスリンパ球抗原6複合体遺伝子座G6D(LY6G6D)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)(MMP12)、ホモサピエンスアポリポ蛋白質B mRNA編集酵素触媒ポリペプチド1(APOBEC1)、ホモサピエンスdickkopf相同体4(キセノパス・ラエビス)(DKK4)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼ1(NOX1)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ11(ストロメリシン3)(MMP11)、ホモサピエンスリングフィンガー蛋白質43(RNF43)、AGENCOURT_10229596 NIH_MGC_141ホモサピエンスcDNAクローンIMAGE:6563923 5(BU536065)、ホモサピエンスKIAA1199(KIAA1199)、ホモサピエンス癌胎児性抗原関連接着分子5(CEACAM5)、ホモサピエンスアーケイトスクート複合体相同体2(ドロスフィラ)(ASCL2)、ホモサピエンスビリン1(VIL1)、ホモサピエンスネイキッドキューティクル相同体1(ドロスフィラ)(NKD1)、プレディクティッド:ホモサピエンスハイポセティカルLOC729669(LOC729669)、ホモサピエンスムチン17細胞表面結合型(MUC17)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスコラーゲンXI型α1(COL11A1)、ホモサピエンスデフェンシンα5パネル細胞特異型(DEFA5)、ホモサピエンスnotumペクチンアセチルエステラーゼ相同体(ドロソフィラ)(NOTUM)、ホモサピエンスホスホリパーゼ阻害剤(LOC646627)、ホモサピエンスNADPHオキシダーゼオーガナイザー1(NOXO1)、ホモサピエンスリポカリン15(LCN15)、ホモサピエンスケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、ホモサピエンスガストリン放出ペプチド(GRP)、ホモサピエンスプレグナンシー特異性β1糖蛋白質1(PSG1)、ホモサピエンスクラウディン2(CLDN2)、ホモサピエンスディフェンシンα6ぺネス細胞特異型(DEFA6)、ホモサピエンスニューロペプチドSレセプター1(NPSR1)、ホモサピエンスシスタチンSN(CST1)、ホモサピエンスケラチン23(ヒストンデアセチラーゼ誘導性)(KRT23)、ホモサピエンスマトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、ウテリン)(MMP7)、ホモサピエンス膜貫通4−ドメインサブファミリーA膜12(MS4A12)、ホモサピエンスケラチン20(KRT20)、またはその組み合わせから選択される遺伝子の配列またはそのフラグメントを含む。
幾つかの実施形態は、(i)遺伝子産物である少なくとも1種のポリペプチドの活性レベルを検出すること;および(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを、正常試料中のポリペプチドの活性レベルと比較すること、を含み、ここで正常試料中のポリペプチドの活性レベルに対して試験試料中のポリペプチドの活性レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示され、該遺伝子産物が、以後に開示される1つ以上の癌関連配列から選択される遺伝子の産物である、試験試料中の大腸癌を検出する方法を記載する。
本明細書の幾つかの実施形態は、対象における癌を処置する方法を対象とし、該方法は、表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントから選択される核酸配列を含む核酸によりコードされた癌関連蛋白質の活性をモジュレートする治療剤を、必要とする対象に投与することを含む。幾つかの実施形態において、治療剤は、癌関連蛋白質に結合する。幾つかの実施形態において、治療剤は、抗体である。幾つかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローなる抗体であってもよい。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、表1に開示された遺伝子の遺伝子ノックダウンを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌を処置する方法は、細胞を処置して、表1に開示されたmRNAをコードする遺伝子の発現をノックダウンまたは阻害することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、癌は、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌様腫、印環細胞癌、膠様腺癌、消化管間質腫瘍、扁平上皮癌、またはその組み合わせから選択される。
幾つかの実施形態において、癌を有する対象を診断する方法は、試料を得ること、および表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することを含み、ここで癌関連配列の存在は、対象が大腸癌を有することを示す。幾つかの実施形態において、表1に開示された配列から選択される癌関連配列の存在を検出することは、試料を、癌関連配列の蛋白質に特異的に結合する抗体または他のタイプの捕捉試薬と接触させること、および試料中の癌関連配列の蛋白質への結合の有無を検出することを含む。
幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌を処置する方法を提供し、該方法は、表1に開示されたマーカーまたはその相同体の活性をモジュレートする治療剤を、必要とする対象に投与することを含み、ここで治療薬は、対象の癌を処置する。
幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌を診断する方法を提供し、該方法は、試料からの表1に開示されたマーカーの発現を決定すること;およびマーカーの発現に基づいて対象における癌を診断すること、を含み、ここでマーカーが過剰発現されていれば、対象が癌を有すると診断される。
幾つかの実施形態において、本発明は、試験試料中の癌を検出する方法を提供し、該方法は、(i)表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む核酸配列によりコードされた抗原性ポリペプチドに結合する抗体のレベルを検出すること;および(ii)試験試料中の抗体レベルを、対照試料中の抗体レベルと比較することを含み、ここで対照試料中の抗体レベルに対して試験試料中の抗体レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示される。
幾つかの実施形態において、本発明は、(i)表1に開示された核酸配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む核酸によりコードされた少なくとも1種のポリペプチドの活性レベルを検出すること;および(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを、正常試料中のポリペプチドの活性レベルと比較すること、を含み、ここで正常試料中のポリペプチドの活性レベルに対して試験試料中のポリペプチドの活性レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示される、試験試料中の癌を検出する方法を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、試験試料中の癌を検出する方法を提供し、該方法は、(i)表1に開示された核酸配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む核酸によりコードされた少なくとも1種のポリペプチドの発現レベルを検出すること;および(ii)試験試料中のポリペプチドの発現レベルを、正常試料中のポリペプチドの発現レベルと比較すること、を含み、ここで正常試料中のポリペプチドの発現レベルに対して試験試料中のポリペプチドの発現レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示される。
幾つかの実施形態において、本発明は、試験試料中の癌を検出する方法を提供し、該方法は、(i)表1に開示された配列、その相同体、その突然変異核酸、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む核酸配列の発現レベルを検出すること;および(ii)試験試料中の核酸配列の発現レベルを、正常試料中の核酸配列の発現レベルと比較すること、を含み、ここで正常試料中の核酸配列の発現レベルに対して試験試料中の核酸配列の発現レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示される。
幾つかの実施形態において、本発明は、癌に対抗する活性についてスクリーニングする方法を提供し、該方法は、(a)表1に開示された配列、その相補体、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む癌関連遺伝子を発現する細胞を、抗癌剤候補物質と接触させること;(b)細胞における癌関連ポリヌクレオチドの発現に対する抗癌剤候補物質の影響を検出すること;および(c)薬物候補の非存在下での発現レベルを、薬物候補の存在下での発現レベルと比較すること、を含み、ここで癌関連ポリヌクレオチドの発現への影響は、候補物質が癌に対抗する活性を有することを示す。
幾つかの実施形態において、本発明は、癌に対抗する活性についてスクリーニングする方法を提供し、該方法は、(a)表1に開示された配列、その相補体、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む癌関連遺伝子を過剰発現する細胞を、抗癌剤候補物質と接触させること;(b)細胞における癌関連ポリヌクレオチドの発現に対する抗癌剤候補物質の影響、または細胞発育もしくは生存能力に対する影響を検出すること;および(c)薬物候補の非存在下での発現レベル、細胞の発育、または生存能力を、薬物候補の存在下での発現レベル、細胞の発育、または生存能力と比較すること、を含み、ここで癌関連ポリヌクレオチドの発現、細胞の発育、または生存能力への影響は、候補物質が表1に開示された配列、その相補体、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む癌関連遺伝子を過剰発現する癌細胞に対抗する活性を有することを示す。
幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌を診断する方法を提供し、該方法は、a)第一の対象の第一の試料中の、表1に開示された配列、その相同体、その組み合わせ、またはそのフラグメントを含む1つ以上の核酸配列の発現を決定すること;b)前記第一の対象または第二の罹患していない対象からの第二の正常試料の1つ以上の核酸配列の発現を比較すること、を含み、ここで表1に開示された配列の発現の差は、第一の対象が癌を有することを示す。
幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌を診断する方法を提供し、該方法は、a)対象における1つ以上の遺伝子または遺伝子産物またはその相同体の発現を決定すること;およびb)対象における1つ以上の遺伝子または遺伝子産物またはその相同体の発現を、該対象の正常試料または罹患していない対象からの正常試料の1つ以上の遺伝子または遺伝子産物またはその相同体の発現と比較すること、を含み、ここで発現の差は、対象が大腸癌を有することを示し、1つ以上の遺伝子または遺伝子産物は、表1に開示された配列を含む。
幾つかの実施形態において、本発明は、(i)少なくとも1種のポリペプチドの活性レベルを検出すること;および(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを、正常試料中のポリペプチドの活性レベルと比較すること、を含み、ここで正常試料中のポリペプチドの活性レベルに対して試験試料中のポリペプチドの活性レベルが変化していれば、試験試料中の癌の存在が示され、ポリペプチドが、表1に開示された配列の遺伝子産物である、試験試料中の癌を検出する方法を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、対象における癌を診断する方法を提供し、該方法は、対象に由来する試料の表1に開示された配列を含む1つ以上の配列の1つ以上の遺伝子発現結果を得ること;および1つ以上の遺伝子発現結果に基づいて対象の癌を診断すること、を含み、ここで対象は、1つ以上の遺伝子が過剰発現されていれば癌を有すると診断される。
用いられた方法および材料を示す実施形態は、以下の非限定的実施例を参照することにより、更に理解されるであろう。
実施例1
SPINK4:SPINK4(アクセション番号NM_014471.1)は、セリンペプチダーゼ阻害剤Kazal type 4をコードする。驚くべきことに、SPINK4が大腸腫瘍の新規なマーカーであることが、本明細書に開示されている。図1に示された通り、SPINK4発現を、SPINK4に特異的なプローブであるIlluminaマイクロアレイによりアッセイし(プローブ配列GCGGCACTGATGGGCTCACATATACGAATGAATGCCAGCTCTGCTTGGCC;(SEQ ID NO:1) IlluminaプローブID ILMN_1681263)、結腸腫瘍浸潤性腺癌、大腸結腸腫瘍腺癌、結腸原発性腫瘍腺癌、大腸直腸腫瘍腺癌、および直腸原発性腫瘍において強い遺伝子発現(>100RFU)が検出された。これに対し、結腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、卵管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟部組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺、および唾液腺をはじめとする非常に様々な正常組織におけるSPINK4の発現は、概ね低かった(<60RFU)。図1に示された通り、SPINK4の発現は、大腸悪性腫瘍細胞株LS513においても832RFUと検出された。本明細書で示された大腸供給元の悪性腫瘍におけるSPINK4発現上昇の特異性から、SPINK4が、非限定的に結腸腫瘍浸潤性腺癌、大腸結腸腫瘍腺癌、結腸原発性腫瘍腺癌、大腸直腸腫瘍腺癌、および直腸原発性腫瘍をはじめとする大腸癌の診断用マーカーになること、ならびに大腸癌における治療的介入の標的になることが実証される。
SPINK4を標的とする治療薬を、本明細書に記載された方法を用いて同定することができ、SPINK4を標的とする治療薬は、非限定的に、SPINK4の活性をモジュレートする抗体を含む。抗体の製造および使用は、本明細書に記載される。
実施例2
L1TD1:L1TD1(アクセション番号NM_019079.2)は、「LINE−1 typeトランスポザーゼドメイン含有1」をコードする。驚くべきことに、L1TD1が大腸腫瘍の新規なマーカーであることが、本明細書に開示されている。図2に示された通り、L1TD1発現を、L1TD1に特異的なプローブであるIlluminaマイクロアレイによりアッセイし(プローブ配列CTTCTACCCAGAAGGATGGA CAGCTAATAGCGTACTTGGGGATGAGGAGC;(SEQ ID NO:2) IlluminaプローブID ILMN_1769839)、大腸結腸腫瘍腺癌、結腸原発性腫瘍腺癌、直腸腫瘍腺癌、および転移性結腸腺癌において強い遺伝子発現(>100RFU)が検出された。これに対し、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、卵管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟部組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺、および唾液腺をはじめとする非常に様々な正常組織におけるL1TD1の発現は、概ね低かった(<60RFU)。本明細書で示された大腸供給元の悪性腫瘍におけるL1TD1発現上昇の特異性から、L1TD1が、大腸癌(例えば非限定的に、大腸結腸腫瘍腺癌、結腸原発性腫瘍腺癌、直腸腫瘍腺癌、および転移性結腸腺癌を含む)の診断用マーカーになること、ならびに大腸癌における治療的介入の標的になることが実証される。
L1TD1は、非限定的に精巣、食道および皮膚をはじめとする複数の他の悪性腫瘍タイプの治療的介入の診断マーカーおよび標的として用いることもできる。図2に示された通り、L1TD1のロバストな発現が、精巣の精上皮腫(原発性および転移性の両方)、胃食道接合部の転移性腺癌、および皮膚腫瘍線維肉腫において観察されたが(>400RFU)、正常な精巣、食道および皮膚での発現は、低かった(<60RFU)。
L1TD1を標的とする治療薬を、本明細書に記載された方法を用いて同定することができ、L1TD1を標的とする治療薬は、非限定的に、L1TD1の活性をモジュレートする抗体を含む。抗体の製造および使用は、本明細書に記載される。
実施例3
LY6G6D:LY6G6D(アクセション番号NM_021246.2)は、「リンパ球抗原6複合体遺伝子座G6D」をコードする。驚くべきことに、LY6G6Dが大腸腫瘍の新規なマーカーであることが、本明細書に開示されている。図3に示された通り、LY6G6D発現を、LY6G6Dに特異的なプローブであるIlluminaマイクロアレイによりアッセイし(プローブ配列TGCAGCAGCTACCGCCCTGACCTGTCTCTTGCCAGGACTGTGGAGCGGAT;(SEQ ID NO: 3)IlluminaプローブID ILMN_1696295)、大腸結腸腫瘍腺癌、結腸原発性腫瘍腺癌、直腸腫瘍腺癌、転移性結腸腫瘍および転移性直腸腫瘍において強い遺伝子発現(>100RFU)が検出された。これに対し、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、卵管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟部組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺、および唾液腺をはじめとする非常に様々な正常組織におけるLY6G6Dの発現は、概ね低かった(<90RFU)。
図3に示された通り、LY6G6Dの発現は、大腸腺癌腫瘍細胞株SW480においても185RFUで検出された。本明細書で示された大腸供給元の悪性腫瘍におけるLY6G6D発現上昇の特異性から、LY6G6Dが、大腸癌(例えば非限定的に、この実施例に記載された癌を含む)の診断用マーカーになること、および大腸癌における治療的介入の標的になることが実証される。
LY6G6Dは、非限定的に肝臓腫瘍をはじめとする複数の他の悪性腫瘍タイプの治療的介入の診断マーカーおよび標的として用いることもできる。図3に示された通り、LY6G6Dのロバストな発現が、肝臓腫瘍転移性腺癌において観察されたが(285RFU)、正常な肝臓での発現は、低かった(<49RFU)。
LY6G6Dを標的とする治療薬を、本明細書に記載された方法を用いて同定することができ、LY6G6Dを標的とする治療薬は、非限定的にLY6G6Dの活性をモジュレートする抗体を含む。抗体の製造および使用は、本明細書に記載される。
実施例4
APOBEC1:APOBEC1(アクセション番号NM_001644.3)は、「アポリポ蛋白質B mRNA編集酵素」をコードする。驚くべきことに、APOBEC1が大腸腫瘍の新規なマーカーであることが、本明細書に開示されている。図4に示された通り、APOBEC1 mRNA発現を、APOBEC1に特異的なプローブであるIlluminaマイクロアレイによりアッセイし(プローブ配列GCTGGAGGAATTTTGTCAACTACCCACCTGGGGATGAAGCTCACTGGCCA;(SEQ ID NO: 4) Illumina プローブID ILMN_1813881)、大腸結腸腫瘍腺癌、結腸原発性腫瘍腺癌、直腸腫瘍腺癌、および転移性結腸腺癌において強い遺伝子発現(>100RFU)が検出された。これに対し、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、卵管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟部組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺、および唾液腺をはじめとする非常に様々な正常組織におけるAPOBEC1の発現は、概ね低かった(<80RFU)。
図4に示された通り、APOBEC1の発現は、大腸腺癌腫瘍細胞株LS513においても779RFUとして検出された。本明細書で示された大腸供給元の悪性腫瘍におけるAPOBEC1発現上昇の特異性から、APOBEC1が、大腸癌(例えば非限定的に、この実施例に記載された癌を含む)の診断用マーカーになること、および大腸癌における治療的介入の標的になることが実証される。
APOBEC1は、非限定的に子宮頸部、胃および肝臓をはじめとする複数の他の悪性腫瘍タイプの治療的介入の診断マーカーおよび標的として用いることもできる。図4に示された通り、APOBEC1のロバストな発現が、子宮頸部腫瘍腺癌、食道腫瘍腺癌、胃腫瘍腺癌および肝臓腫瘍転移性腺癌において検出および測定されたが(>100RFU)、正常な子宮頸部、食道、胃および肝臓での発現は、低かった(<60RFU)。
APOBEC1を標的とする治療薬を、本明細書に記載された方法を用いて同定することができ、APOBEC1を標的とする治療薬は、非限定的にAPOBEC1の活性をモジュレートする抗体を含む。抗体の製造および使用は、本明細書に記載される。APOBEC1は、シチジンデアミナーゼ活性を介してmRNAを編集する働きがあるが、DNA突然変異誘発遺伝子の作用を有することも示されていて、細菌および酵母において過剰発現されると、突然変異の速度を上昇させる(Lada, et al. PMID 21568845)。したがってAPOBEC1の酵素活性の阻害または腫瘍におけるAPOBEC1の発現レベルの低下により、突然変異速度が低下し、こうして腫瘍の進展および進行の経過が遅延するはずである。
実施例5
LOC729669:LOC729669(アクセション番号XM_001130489.1)は、特徴づけられていない遺伝子をコードする。驚くべきことに、LOC729669が大腸腫瘍の新規なマーカーであることが、本明細書に開示されている。図5に示された通り、LOC729669mRNA発現を、LOC729669に特異的なプローブであるIlluminaマイクロアレイによりアッセイし(プローブ配列GGGAGAAGGTAGC TGTCGGGCATTCCCCTGGCGCTGAAGGGCAGATTGCT;(SEQ ID NO:5) Illumina プローブID ILMN_3301763)、結腸腫瘍、結腸原発性腫瘍腺癌、直腸腫瘍腺癌、および転移性結腸腺癌において強い遺伝子発現(>100RFU)が検出された。これに対し、結腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、卵管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟部組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺、および唾液腺をはじめとする非常に様々な正常組織におけるLOC729669の発現は、概ね低かった(<72RFU)。
図5に示された通り、LOC729669の発現は、大腸腺癌腫瘍細胞株SW480においても125RFUとして検出された。本明細書で示された大腸供給元の悪性腫瘍におけるLOC729669発現上昇の特異性から、LOC729669が、大腸癌(例えば非限定的に、この実施例に記載された癌を含む)の診断用マーカーになること、および大腸癌における治療的介入の標的になることが実証される。
LOC729669は、非限定的に食道、胃および肝臓をはじめとする複数の他の悪性腫瘍タイプの治療的介入の診断マーカーおよび標的として用いることもできる。図5に示された通り、LOC729669のロバストな発現が、食道腫瘍腺癌、胃腫瘍腺癌、胃原発性腫瘍、胃転移性腫瘍および肝臓腫瘍転移性腺癌において観察されたが(>100RFU)、正常な食道、胃および肝臓での発現は、低かった(<70RFU)。
LOC729669を標的とする治療薬を、本明細書に記載された方法を用いて同定することができ、LOC729669を標的とする治療薬は、非限定的にLOC729669の活性をモジュレートする抗体を含む。抗体の製造および使用は、本明細書に記載される。
実施例6
NOTUM:NOTUM(アクセション番号NM_178493.3)は、肝臓の幹細胞悪性腫瘍において過剰発現されることが示されたNOTUMペクチンアセチルエステラーゼ相同体をコードする(Torisu Y., et al, PMID 18429952)。驚くべきことに、NOTUMが大腸、乳房、胃および子宮内膜の腫瘍の新規なマーカーであることも、本明細書に開示されている。図6に示された通り、NOTUM mRNA発現を、NOTUMに特異的なプローブであるIlluminaマイクロアレイによりアッセイし(プローブ配列AGTGAGCTGCTGGGGATGCTGAGCAACGGAAGC TAGGCAGACTGTCTGGA;(SEQ ID NO: 6)IlluminaプローブID ILMN_2166275)、結腸原発性腫瘍腺癌および直腸腫瘍腺癌において強い遺伝子発現(>140RFU)が検出された。これに対し、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、卵管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟部組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺、および唾液腺をはじめとする非常に様々な正常組織におけるNOTUMの発現は、概ね低かった(<140RFU)。
図6に示された通り、NOTUMの発現は、大腸腺癌腫瘍細胞株SW480においても490RFUで検出された。本明細書で示された大腸供給元の悪性腫瘍におけるNOTUM発現上昇の特異性から、NOTUMが、大腸癌(例えば非限定的に、この実施例に記載された癌を含む)の診断用マーカーになること、および大腸癌における治療的介入の標的になることが実証される。
NOTUMは、非限定的に乳房、子宮内膜および胃をはじめとする複数の他の悪性腫瘍タイプの治療的介入の有用な診断マーカーおよび標的でもある。図6に示された通り、NOTUMのロバストな発現が、胃腫瘍腺癌、胃原発性腫瘍、胃転移性腫瘍および肝臓肝細胞癌において観察されたが(>140RFU)、正常な子宮内膜、乳房、胃および肝臓での発現は、低い(<140RFU)。
NOTUMを標的とする治療薬を、本明細書に記載された方法を用いて同定することができ、NOTUMを標的とする治療薬は、非限定的にNOTUMの活性をモジュレートする抗体を含む。抗体の製造および使用は、本明細書に記載される。
実施例7
遺伝子:GRP、KRT20、MUC17、NOTUM、COL11A、MMP11、MMP12、MMP7、DKK4によりコードされた以下の蛋白質のレベルを、USCN ELISAキット(USCN)を用い、製造業者の使用説明書に従って血清中でアッセイした。試料は、癌患者および癌でない患者(正常血清)から得た。簡潔に述べると、専用の希釈液を含むブランク、標準および試料100μLを、96ウェルプレートの適切なウェルに添加した後、37℃で2時間インキュベートした。液体を除去した後、Detection Reagent A 100μLを各ウェルに添加して、37℃で1時間インキュベートした。Reagent Aを除去した後、各ウェルを洗浄溶液350μLで3回洗浄した。Reagent B 100μLを各ウェルに添加して、37℃で30分間インキュベートした。Reagent Bを除去した後、各ウェルを洗浄溶液350μLで5回洗浄した。Substrate Solution 90μLを各ウェルに添加して、37℃で15〜25分間インキュベートした。Stop Solution 50μLを各ウェルに添加した。プレートを、Molecular Devices SpectraMax250またはBioTek Synergy H1のいずれかのプレートリーダーで450nmで読み取った。標準曲線を、キット内に供給された標準物質から得て、試料の値をこの曲線から外挿した。
分析されたマーカーのそれぞれで、癌のない対象から得られた正常試料に比較した、大腸癌患者の血清中での増加が見いだされることが、図7〜15に示された結果から示された。
実施例8
定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)を、大腸癌患者から得られた腫瘍試料で実施した。正常対照は、腫瘍に隣接する非癌性組織、または非癌患者から得られた正常組織のいずれかのものであった。以下の遺伝子の発現を分析した:LY6G6D、SPINK4、L1TD1、DKK4、およびNOTUM。フォワードプライマーを、以下の表4に示す。リバースプライマーを、表5に示す。
全RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen)で抽出し、cDNAを、単独のランダムヘキサマープライマーまたはoligo−dTプライマーも一緒に、SuperScript III逆転写酵素を用いて作製した(逆転写の成分は全てInvitrogen/Life Technologies製)。PCRは、SYBR(登録商標) Green I(Applied Biosystems/Life Technologies)またはTaqMan chemistriesを用いて、7900HT Sequence Detection Systemまたは7500 Real Time PCR System(Applied Biosystems/Life Technologies)により実施した。TaqMan PCRは、Universal Probe Library(UPL)(Roche)のプローブを、相応に設計されたプライマーと共に用いて実施した。バックグラント:UPL Systemは、ヒトmRNAトランスクリプトームの広範囲の割合をカバーする比較的少数の短い加水分解プローブを含有する。UPLプローブは、プローブの融点を上昇させるロックド核酸(LNA)を含有する。これにより、プローブおよびより長い非修飾プライマーを同じ温度でアニーリングさせることができる。
結果が図16〜20に示されるが、それは遺伝子LY6G6D、SPINK4、L1TD1、DKK4およびNOTUMの発現が、非腫瘍正常組織に比較して大腸腫瘍組織で増加していることを示している。
実施例9
qPCRを利用して、様々な癌、良性腫瘍および正常組織における以下の遺伝子:AMH_1038;ASCL1_1095;C12orf56;C2orf70_1010;COL10A;DSCR6_1066;DSCR8_1036;LHX8_1283;MMP11;MMP12;NMU;SLC35Dの発現レベルを検討した。
PCRプライマーを、Standard Nucleotide BLAST program(NCBI)を用いて該当する遺伝子転写産物に特異的になるように、そして少なくとも1つのエクソン接合部に架かるように設計した。プライマーは、Breslauer式での計算でTm58〜63℃、デルタG値>25Kcal/molを有するよう選択され、Oligo Calcソフトウエアを用いて自己相補性を示さなかった。プライマーは、製造業者(Eurofins MWG)により精製された規定の無塩物であった。
RNAは、商業的供給業者(Asterand; OriGene)から得られ、cDNAは、SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR(Invitrogen Cat. No.18080−051)を用い、ランダムヘキサマープロトコルに従って調製した。プライマーの初期バリデーションにより、3つの主要な基準:ロバスト性、直線性および特異性を評価した。絶対値のロバスト性に関する許容基準は、ハウスキーピング遺伝子(GAPDHおよびGUSB)Ct値を引いた後の最終的な2^delta Ct値が1を超えていることであった。良性または正常試料の分化疾患に関するロバスト性は、マイクロアレイ分析(Illumina)により過去に決定された通り、公知陰性試料とそれを上回る公知陽性試料の差が2Ctを超えている必要があった。直線性を評価するために、プライマーを用いてcDNAの10倍希釈物を増幅させた。予測された3.3Ctまたはその付近で提示するプライマーのみが、更なる試験のために処理されたテンプレートの10倍希釈の際にシフトした。特異性は、ゲル電気泳動、および機器での融解曲線分析により作成された単一のTmの観察の両方から決定した。PCR産物を、2%アガロースゲルで測定し、予測されたサイズの単一バンドを作成するもののみがバリデーションを通過した。
初期プライマーバリデーションのプロトコルは、主に容量およびcDNAターゲットに関するOriGene TissueScan qPCRアレイで実施された外部バリデーションとは異なった。
COL10Aのフォワードプライマーは、GGGCCTCAATGGACCCACCG(SEQ ID NO:)、リバースプライマーは、CTGGGCCTTTGGCCTGCCTT(SEQ ID NO: 16)であった。SLC35Dのフォワードプライマーは、GCTATTTTGAAAATATGAGTTCTTAGC(SEQ ID NO:)、リバースプライマーは、CTTTACAGGTGGTCCCTCTTC(SEQ ID NO: 17)であった。
初期バリデーション実験を、商業的供給業者(Asterand, Detroit, MI; OriGene, Rockville, MD)から得られたRNAを用いて実施し、SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR(カリフォルニア州カールスバッド所在、Life Technologies)を用い、ランダムヘキサマープロトコルに従ってcDNAに調製した。試料は、定量的逆転写酵素PCR(qRT−PCR)反応において、フォワードおよびリバースプライマー(アラバマ州ハンツビル所在、Eurofins MWG)のそれぞれの最終濃度1μMで、Power SYBR Green Master Mix Kit(カリフォルニア州カールスバッド所在、Life Technologies)を用い、製造業者の使用説明書に従って増幅させた。試料の投入量は、最終反応容量20μL中にcDNA 3〜10ngであった。用いられたリアルタイムPCR機器は、ABI 7500 Real Time PCR SystemまたはABI 7900HT Sequence Detection Systemであり、サーモプログラムセットは50℃で2分間、その後、95℃で10分間、続いて95℃で15秒と60℃で1分間とを40サイクルとした。解離分析を、95℃で15秒間、60℃で15秒間および95℃で15秒間を利用して直ちに実施した。
癌への良好な相関および特異性を示し、ならびにロバスト性および試料投入量への直線的用量反応を示したプライマーが、更なる試験に進められた。TissueScan qPCR arrays(OriGene, Rockville, MD)を用いて、多数のcDNA試料を試験した。アレイの各ウェルにおける凍結乾燥されたcDNAを、最終反応容量30μL中で、Power SYBR Green Master Mix Kit(カリフォルニア州カールスバッド所在、Life Technologies)を用いたフォワードプライマーおよびリバースプライマーのそれぞれの最終濃度 1μMと混合した。用いられたリアルタイムPCR機器は、ABI 7500 Real Time PCR Systemであり、サーモプログラムセットは50℃で2分間、その後、95℃で10分間、続いて95℃で15秒と60℃で1分間とを40サイクルとした。解離分析を、95℃で15秒間、60℃で15秒間および95℃で15秒間を利用して直ちに実施した。
結果を図21〜22に示すが、それらはCOL10A、SLC35D3マーカーの大腸癌における増加を示している。
実施例10
COLX(遺伝子COL10Aをコードする蛋白質)の発現を、結腸癌組織および正常な結腸組織で免疫細胞化学検査を実施することにより検討した。
真に正常な結腸(腫瘍に隣接する組織ではない)および結腸癌の凍結組織断片を、Asterandから得た。それらの断片をホルマリンで固定して、洗浄後に染色した。IHC−Tek抗体希釈緩衝液(IHC World #IW−1001)中に1:100希釈されたポリクローナルウサギ抗ヒトColX抗体(Abcam #Ab58632)と共に4Cで一晩インキュベートすることにより、免疫染色を実施した。スライドをIHC−Tek洗浄緩衝液(IHC World #IW−1201)中で30分間インキュベートし、緩衝液を10分ごとに交換することにより、抗体を洗い流した。続いてスライドを、抗体希釈緩衝液中で1:200に希釈されたAlexa Fluor 594ヤギ抗ウサギIgG(Life sciences #21207)と共に1時間インキュベートした。このインキュベート時間の後、スライドを先に記載された通り洗浄して、DAPIを含むVectashield封入液(Vector Laboratories #H−1200)を用いて、染色された試料を保存した。倍率10,000のNikon Eclipse TE2000−UおよびX−Cite 120 Fluorescence Illumination System(Lumen Dynamics)を用いて露出時間200ミリ秒で、画像を撮影した。
結果を図23に示すが、それはCOLXが結腸癌組織において発現されるが正常結腸組織では発現されないことを実証している。
実施例11
MMP11の発現を、結腸癌組織および正常結腸組織で免疫細胞化学検査を実施することにより検討した
真に正常な結腸(腫瘍に隣接する組織ではない)および結腸癌のパラフィン包埋組織断片を、Asterandから得た。それらの断片をキシレンで脱ロウ処理して、エタノールで数回(100%、95%、70%)再水和した後、蒸留水で洗浄した。IHC−Steamer Set(IHC World #IW−1102)を用いてスライドを95℃で40分間インキュベートすることにより、抗原回復をエピトープ回復緩衝液(IHC World #IW−1100)中で実施した。IHC−Tek抗体希釈緩衝液(IHC World #IW−1001)中に1:100希釈されたモノクローナルウサギ抗ヒトMMP11抗体(Abcam #Ab52904)と共に4Cで一晩インキュベートすることにより、免疫染色を実施した。スライドをIHC−Tek洗浄緩衝液(IHC World #IW−1201)中で30分間インキュベートし、緩衝液を10分ごとに交換することにより抗体を洗い流した。続いてスライドを、抗体希釈緩衝液中で1:200に希釈されたAlexa Fluor 594 ヤギ抗ウサギIgG(Life sciences #21207)と共に1時間インキュベートした。このインキュベート時間の後、スライドを先に記載された通り洗浄して、DAPIを含むVectashield封入液(Vector Laboratories #H−1200)を用いて、染色された試料を保存した。倍率10,000のNikon Eclipse TE2000−UおよびX−Cite 120 Fluorescence Illumination System(Lumen Dynamics)を用いて露出時間200ミリ秒で、画像を撮影した。
結果を図24に示すが、それはMMP11が結腸癌組織において発現されるが正常結腸組織では発現されないことを実証している。