JP2014521724A - 一過性受容器電位イオンチャネルtrpa1の阻害 - Google Patents
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Abstract
本開示は、TRPA1イオンチャネルおよび/またはTRPA1に関連する医学的状態、例えば、疼痛または喘息を阻害するための新規な化合物および医薬組成物を記載する。
Description
優先権
本願は、2011年8月9日出願の米国特許仮出願番号61/521,705に対する優先権を主張し、同出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
本願は、2011年8月9日出願の米国特許仮出願番号61/521,705に対する優先権を主張し、同出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
技術分野
本開示は、例えば、一過性受容器電位A1イオンチャネル(TRPA1)を阻害することによって、疼痛を処置するための化合物および方法に関する。
本開示は、例えば、一過性受容器電位A1イオンチャネル(TRPA1)を阻害することによって、疼痛を処置するための化合物および方法に関する。
TRPA1は、ヒトにおける疼痛感覚に関連する非選択性陽イオンチャネルである。TRPA1は、感覚神経で見出され、疼痛に対する炎症に関連するシグナル伝達受容器として機能する。TRPA1の活性化は、侵害受容ニューロンの発火を誘導し、脊髄における中枢性感作を引き起こすことによって疼痛を生じ得る。また、TRPA1刺激は、感覚ニューロンの発火を増大し得、これが、炎症促進性のニューロペプチド、例えば、NK−A、サブスタンスPおよびCGRP(血管拡張を誘発し、免疫細胞の補充を補助する)を放出させ得る。炎症時に生成される種々の内因性の反応性化合物(リポソーム過酸化の間に放出される4−ヒドロキシノネナール;COX酵素によって合成されるシクロペンタンプロスタグランジン類;酸化的ストレスによって生成される過酸化水素など)が、TRPA1を活性化する。また、TRPA1は、種々の刺激、例としては、天然の生成物(例えば、アリルイソチオシアネート、またはAITC)、環境的刺激因子(例えば、アクロレイン)、両親媒性分子(例えば、トリニトロフェノールおよびクロルプロマジン)および薬剤によっても活性化され得る。また、TRPA1の活性化は、TRPA1を冷感に対して感作する。さらに、TRPA1における機能獲得変異は、家族性偶発性疼痛症候群を生じ、この病態に罹患している患者は、冷感によって誘発され得る偶発性疼痛を有する(Kremeyerら、Neuron.2010 Jun 10;66(5):671−80)。従って、TRPA1は、神経損傷、冷感異痛および炎症性疼痛に関連する疼痛を含む疼痛に役割を果たすと考えられる。
TRPA1インヒビター化合物は、疼痛を処置するために用いられ得る。TRPA1イオンチャネルを阻害する化合物は、TRPA1イオンチャネルの阻害によって改善か、排除、または予防される状態(例えば、疼痛を生じる医学的状態)を処置するのに例えば有用であり得る。TRPA1の阻害(例えば、遺伝子除去および化学的拮抗による)は、マウスおよびラットにおいて疼痛行動を軽減させることが示されている。機能的なTRPA1を欠いているノックアウトマウスは、TRPA1活性化因子(AITC、ホルマリン、アクロレイン、4−ヒドロキシノネナールなど)に対する侵害刺激反応が低下しており、さらに、炎症伝達物質ブラジキニンに対する応答における熱的および機械的な過敏性が大きく低下している(例えば、Kwan,K.Y.ら、Neuron 2006,50,277−289;Bautista,D.M.ら、Cell 2006,124,1269−1282)。動物の疼痛モデルにおいて、遺伝子特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによるTRPA1発現の下方制御は、炎症および神経損傷によって誘発される冷感痛覚過敏症を妨げて、逆転させた(例えば、Obata,K.ら、Journal of Clinical Investigation 2005,115,2393−2401;Jordt,S.E.ら、Nature 2004,427,260−265;Katsura,H.ら、Exploratory Neurology 2006,200,112−123)。また、TRPA1インヒビター化合物は、種々のげっ歯類疼痛モデルにおいても有効である。TRPA1インヒビターは、(ナイーブな動物における正常な冷感を変更することなく)完全フロイントアジュバントによって誘発される炎症後の機械的な過敏性および冷感異痛を低減し、ラットのモノヨード酢酸変形性関節症モデルにおいて機能を改善することが示された。(del Camino,D.ら、(2010)を参照のこと。TRPA1は、冷感過敏性に寄与する。J Neurosci 30,15165−15174;およびChen,J.ら、(2011)。TRPA1チャネルの選択的遮断は、侵害性冷感の変更または体温の調節なしに病理学的疼痛を軽減する。Pain 152,1165−72)。TRPA1インヒビター化合物は、AITC(マスタードオイル)、ホルマリン、桂皮アルデヒド、アクロレインおよび他のTRPA1活性化因子を注射されたげっ歯類での疼痛行動の軽減を示した。(Jordt,S.E.ら、Nature 2004,427,260−265;Chen,J.ら、(2011)を参照のこと。TRPA1チャネルの選択的な遮断は、侵害性冷感の変更も体温調節もなしに病理学的疼痛を軽減する。Pain 152,1165−72)。
近年、TRPA1阻害性化合物は、PCT特許出願PCT/US2009/069146(2010年7月1日に国際公開第2010/075353A1号として公開)に以下の化合物1として開示されている。
Kremeyerら、Neuron.2010 Jun 10;66(5):671−80
Kwan,K.Y.ら、Neuron 2006,50,277−289
Bautista,D.M.ら、Cell 2006,124,1269−1282
Obata,K.ら、Journal of Clinical Investigation 2005,115,2393−2401
Jordt,S.E.ら、Nature 2004,427,260−265
Katsura,H.ら、Exploratory Neurology 2006,200,112−123
del Camino,D.ら、(2010)TRPA1は、冷感過敏性に寄与する、J Neurosci 30,15165−15174
Jordt,S.E.ら、Nature 2004,427,260−265
しかし、TRPA1イオンチャネルを阻害する医薬組成物の必要性を含め、疼痛に関与するイオンチャネルを安全に調節する(例えば、阻害する)化合物を特定する必要性が残っている。具体的には、肝毒性の血清バイオマーカーなしにTRPA1を阻害する化合物を特定する必要性がある。このような化合物は、例えば、試験手段および治療剤として(例えば、疼痛の処置のために)としてのいずれにも有用である。
発明の要旨
式(I)の化合物は、ヒトおよび動物のTRPA1チャネルの新規なアンタゴニストである。
式(I)の化合物は、ヒトおよび動物のTRPA1チャネルの新規なアンタゴニストである。
式(Ia)の化合物は、実施例1に記載されるように、図1Aの合成によって合成され得る、式(I)の第一の立体異性体、および薬学的に許容される塩(例えば、実施例2に記載の塩酸塩)である。
式(Ia)の化合物は、インビトロおよびインビボの試験の両方におけるヒトTRPA1チャネルの新規な低分子アンタゴニストである。また、式(Ia)の化合物は、TRPA1の選択性が高いインビトロのインヒビターでもある。例えば、式(Ia)の化合物は、ラット、イヌおよびヒトのTRPA1において、TRPA1を通じた内向き流を遮断する(実施例3)。ヒトTRPA1(hTRPA1)に対する式(IIa)の化合物のアンタゴニスト効果は、全細胞パッチコンフィギュレーション(whole cell patch configuration)で測定した(実施例3)。さらに、式(Ia)の化合物は、公知のTRPチャネルおよび電位依存性イオンチャネルと比較して、TRPA1について選択性が高い(実施例3)。式(Ia)の化合物は、TRPA1を阻害する化合物を特定するためのアッセイで用いられ得る。また、式(I)の化合物は、TRPA1イオンチャネルを調整する方法でも用いられ得、この方法は、細胞と、式Iの構造を有する化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、またはその薬学的に許容される塩とを接触させる工程を含む。
式(Ia)の化合物は、ホルマリン注射によるTRPA1チャネルの直接活性化によって誘発される疼痛(実施例5)、慢性の完全フロイントアジュバント誘発性炎症後の冷感異痛(実施例6)、および後足の足底表面の切開を含有するげっ歯類の外科手術モデル(実施例7)を含有する、疼痛の複数のインビボのラットモデルにおいて活性な薬学的化合物である。
式(Ib)の化合物は、実施例1cによって合成され得る、式(I)の第二の立体異性体、および薬学的に許容される塩である。
式(Ib)の化合物は、式(I)の第二の立体異性体であり、かつインビトロの試験におけるヒトTRPA1チャネルの新規な低分子アンタゴニストである。式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬組成物は、疼痛の処置のための投与のために有用である。他の医薬組成物としては、式(Ia)および/または式(Ib)の化合物を含有する式(I)の化合物が挙げられる。式(I)の化合物(例えば、(例えば、式(Ia)および/または式(Ib)の化合物)を含有する医薬組成物は、疼痛を処置するための医薬組成物の製造に有用である。
また、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)および/または式(Ib))は、呼吸状態、好ましくはTRPA1インヒビターに応答する状態を処置するための医薬組成物の製造にも有用である。
医薬組成物は式(I)の化合物((例えば、式(Ia))医薬組成物、ならびにその薬学的に許容される塩および処方物(例えば、シクロデキストリンと組み合わせた、式(I)の化合物(例えば、式(Ia))を含有する医薬組成物)、例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはCaptisol(登録商標)の商品名で市販されているスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン化合物))を含有し、炎症性疼痛および術後疼痛を含む疼痛の処置に有用である。さらに、式(I)の化合物(例えば、式(Ia))を含有する医薬組成物は、式(I)(例えば、式(Ia))の薬学的に許容される塩を、シクロデキストリンを含まないその製剤に含んでもよい。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia))およびその薬学的に許容される塩は、試験手段として、例えば、TRPA1イオンチャネルの調整を含むアッセイにおいても有用である。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia))およびその薬学的に許容される塩は、試験手段として、例えば、TRPA1イオンチャネルの調整を含むアッセイにおいても有用である。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia))およびその薬学的に許容される塩は、医薬組成物でのTRPA1イオンチャネルの阻害、および試験手段に有用である。
式(I)の化合物およびその塩の合成
式(Ia)の化合物は、実施例1Aに記載されるように、図1Aに示される多段階合成プロセスによって作製され得る式(I)の立体異性体である。
式(Ia)の化合物は、実施例1Aに記載されるように、図1Aに示される多段階合成プロセスによって作製され得る式(I)の立体異性体である。
要するに、図1Aを参照して、式(Ia)の化合物は、(1)(S)−2−メチルピロリジン02と、5−ブロモ−2−クロロピリミジン01とを反応させて、中間化合物03を形成することと、(2)化合物03中間体と、化合物05(6−ブロモ−2−アミノピリジン)とを、1つ以上の反応によってカップリングさせて、中間化合物06を形成することと、(3)化合物06と化合物07とをカップリング反応で反応させて、式(Ia)の化合物を形成することとによって生成され得る。化合物03中間体と化合物05とのカップリングは、図1Aに示され、実施例1Aに記載されるように、中間化合物04を介して行われてもよいが、他の合成スキームも式(Ia)の化合物の調製に適切である。実施例1Aおよび図1Aに記載のように、中間化合物06は、化合物03とビス(ピナコラト)ジボロンおよび他の材料とを反応させて、中間化合物04を形成すること、続いて、中間化合物04と6−ブロモ−2−アミノピリジン(化合物05)とを反応させて、中間化合物06を形成することによって、形成され得る。各々の反応工程は、図1Aに示される生成物を得るために適切な反応条件で適切な試薬を用いて行われ得る。
必要に応じて、式(Ia)の化合物を合成するためのプロセスは、さらに、その後の反応を行う前に、中間化合物03および化合物06を単離するための工程を含み得る。さらに、式(Ia)の化合物は、必要に応じて薬学的に許容される塩に変換されてもよい。図1Aでは、式(I)の化合物の、式(Ia)の化合物の薬学的に許容されるHCl塩への変換は、実施例2によって示される。
式(Ib)の化合物は、式Iの第二の立体異性体である。
式(Ib)の化合物は、式(Ia)の化合物を作製するために上記されたのと同様の手順を用いて、式(Ia)の化合物の合成における出発材料としての(S)−2−メチルピロリジンの使用を(R)−2−メチルピロリジンで置き換えることによって(すなわち、図1Aの化合物02の(R)−2−メチルピロリジンでの置換)、合成され得る。また、式(I)のラセミ化合物は、例えば、図1Aの反応スキームにおいて化合物02の代わりにラセミ体の2−メチルピロリジンを用いることによって、または式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物とを合わせることによって調製され得る。式(Ib)を上回って、式(Ia)の化合物が95%を超える鏡像異性過剰である式(I)の組成物を、十分な鏡像異性純度(すなわち、95%を超える)を有する(S)−2−メチルピロリジン出発材料を選択することによって作製してもよい。同様に、式(Ia)を上回って、式(Ib)の化合物が95%を超える鏡像異性過剰である式(I)の組成物を、十分な鏡像異性純度(すなわち、95%を超える)を有する(R)−2−メチルピロリジン出発材料を選択することによって作製してもよい。式(Ia)および式(Ib)の両方の立体異性体の所望の量を有する式(I)の組成物は、各々が、2−メチルピロリジン出発材料を用いて、対応する立体化学によって作製された、所定の量の95%を超える鏡像異性体純度を有する式(Ia)の組成物と、95%を超える鏡像異性体純度を有する式(Ib)の組成物とを合わせることによって作製できる。0〜100の値の「鏡像異性体過剰」という用語は、ゼロはラセミ体であり、100は、純粋な単一の鏡像異性体である。かつて98%光学的に純粋と呼ばれた化合物は、今では、より正確に96%ee.と記載される。換言すれば、90%e.e.とは、該当の材料中のある鏡像異性体の95%の存在と、他の鏡像異性体の5%の存在を反映する。式(I)の化合物は、薬学的に許容される塩として得てもよい。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia))の「薬学的に許容される塩」という用語は、無機の酸および有機の酸を含有する薬学的に許容される非毒性の酸から調製される塩を指す。式(I)の化合物(例えば、式(Ia))の1つの特に好ましい塩型は、実施例2に開示される塩酸塩である。一般には、式(I)の薬学的に許容される塩(例えば、式(Ia))は、その化合物の安定性もしくは毒性学的な特性を改善し、溶解度、保湿性を増大もしくは減少するため、その化合物の薬物動態的な能力(例えば、CmaxまたはAUC測定値)を改善するため、あるいは医薬組成物の貯蔵特性を改善するため(例えば、吸湿性を減少するため)に調製され得る。
式(Ia)の化合物によるTRPA1の阻害
式(Ia)の化合物は、インビトロの試験によって示されるとおり、TRPA1チャネルの新規な低分子アンタゴニストである。式(Ia)の化合物は、ラット、イヌおよびヒトにおいてTRPA1を通じた内向き流を、約100ナノモルのIC50で遮断する(表1、実施例3によって得られるデータ)。全細胞パッチコンフィギュレーションにおけるhTRPA1に対する式(Ia)の化合物のアンタゴニスト効果を、実施例3の方法によって評価した。
式(Ia)の化合物は、インビトロの試験によって示されるとおり、TRPA1チャネルの新規な低分子アンタゴニストである。式(Ia)の化合物は、ラット、イヌおよびヒトにおいてTRPA1を通じた内向き流を、約100ナノモルのIC50で遮断する(表1、実施例3によって得られるデータ)。全細胞パッチコンフィギュレーションにおけるhTRPA1に対する式(Ia)の化合物のアンタゴニスト効果を、実施例3の方法によって評価した。
式(Ia)の化合物は、TRPチャネルおよび電位依存性イオンチャネルと比較して、hTRPA1に関して選択性が高い。例えば、ほとんどのイオンチャネルファミリーに相当する8つの異なるチャネルに対して試験した場合(表2、実施例3)、試験したチャネルのうちで、生理学的に関連する濃度(例えば、1、3.2、10、または32マイクロモル)で式(Ia)の化合物によって再現可能にブロックまたはアゴナイズされたものはなかった。用いた最高濃度(32マイクロモル)は、ほとんど効果が無かったので、ほとんどのこれらのチャネルに関する式(Ia)の化合物の実際のIC50は決定できない。しかし、式(Ia)の化合物は、他の試験した全てのチャネルよりもTRPA1のブロックに関して少なくとも100倍選択性がある(表2、実施例3)。
式(Ia)の化合物は、インビボの試験によって示されるとおり、ヒトTRPA1チャネルの新規な低分子アンタゴニストである。例えば、式(Ia)の化合物は、ホルマリン注射でTRPA1チャネルによって誘発されるインビボの疼痛のげっ歯類モデルで活性化された。
式(Ia)の化合物のインビボ活性を、式(II)、式(III)、および式(IV)の比較化合物の活性に対して比較してもよい。
式(II)の化合物は、公知のTRPA1インヒビター(例えば、米国特許第7,671,061号)であり、従って、正のコントロールとして用いられた。式(II)の化合物、ならびにこの化合物を作製および用いる方法は、米国特許第7,671,061号においてTRPA1インヒビター化合物200として開示される(2006年、12月22日出願、2010年3月2日発行)。
表3a、3bおよび3c、ならびに図2に示されるデータは、実施例5により種々の用量でホルマリン誘発性の疼痛持続期間にげっ歯類に対して式(Ia)の化合物を含有する医薬組成物を投与することによって得た。具体的には、表3a、3bおよび3c、ならびに図2のデータは、種々の濃度の式(Ia)の化合物を含有する組成物、言及した量の比較化合物を含有する比較の組成物(例えば、表3aの式(II)の比較化合物の150mg/kg)およびビヒクルを含有するコントロール組成物(例えば、式(Ia)の化合物も比較化合物もない)の腹腔内(i.p.)投与によって得た。表3a、3bおよび3cならびに図2に示されるように、式(Ia)、(II)、および(III)の化合物で処置した動物は、ビヒクルで処置した動物よりも疼痛行動を示す期間が短かった。このデータによって式(Ia)の化合物は、ホルマリンでのTRPA1活性によって生じる疼痛に対して鎮痛効果を有することが示される。
また、式(Ia)の化合物は、実施例6に記載されるように、慢性の完全フロイントアジュバント誘発性の炎症後の冷感異痛によって誘発されるインビボの疼痛のげっ歯類モデルでも活性である。表4および図3に示されるデータは、実施例6に記載される完全フロイントアジュバント(CFA)げっ歯類モデルにおいて漸増濃度の式(Ia)の化合物を用いた医薬組成物のi.p.投与後に観察された脚引っ込め潜時(Paw Withdrawal Latency)(PWL)スコアの増大を示す。このデータは、式(Ia)の化合物の濃度の関数としてのPWLスコアの変化、ならびに式(II)の比較化合物を含有する組成物およびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン化合物(CyDex Pharmaceuticals,Inc,Lenexa,KSから商品名Captisol(登録商標)で市販)を含有するビヒクルを含有するコントロールの投与の際に観察されるPWLスコアの変化を測定することによって得た。このデータによって、式(Ia)の化合物が冷感異痛に対して鎮痛効果を有することが示される。
また、式(Ia)の化合物は、実施例7に記載のような、後足の足底表面の切開によって誘発されるインビボの疼痛のげっ歯類モデル(すなわち、「Brennan Surgical Model」)でも活性である。図4は、式(Ia)の化合物の投与濃度の関数としての防御スコア、ならびにビヒクル単独および式(III)の比較化合物を含有する比較の医薬組成物またはケトプロフェンの投与の際に観察された防御スコアにおける変化を示す。図4および実施例7を参照、腹腔内に送達された式(Ia)の化合物の60mg/kg(術前および術直後の30mg/kgの2用量)は、ケトプロフェン(腹腔内に2mg/kgの2用量)よりも、術後最大4時間までの間、実施例7に記載されるげっ歯類切開性疼痛モデルにおいて自発性疼痛を低下する。腹腔内に送達された式(Ia)の化合物の三十(30)mg/kg(術前および術直後の15mg/kgの2用量)は、術後最大2時間まで自発性疼痛を低下する(図4)。
式(III)の比較のTRPA1インヒビターをまた、実施例7のBrennanげっ歯類モデルでも試験した(図4)。式(III)の比較化合物、ならびにこの化合物を作製および用いる方法は、PCT特許出願であるPCT/US 2009/069146(2010年7月1日に国際公開第2010/075353A1号として公開)においてTRPA1インヒビター化合物1として開示される。
式(IV)
の比較化合物のインビトロTRPA1活性を測定した。
式(IV)の比較化合物の化学構造を、核磁気共鳴NMRを用いて特定した。NMRサンプルは、50μLのNMR溶媒中に約1.85mgの式(Ia)の代謝物を溶解することによって調製した。このサンプルを槽内で1分間超音波処理して、適切な溶解を確立して、その後にこれをNMR管中にピペッティングした。この管をプラスチックボールでシールして、実験前に室温で保管した。NMR実験は、1.7nMのCryo−TCIプローブを装備した600MHz Brunker Avance III NMR分光計で行った。このサンプルを、SampleJetアクセサリーを用いて磁石に挿入した。この分子についての完全な結合性を得るために、標準の1H−NMRスペクトル、多重編集の1H−13C gHSQCスペクトル、および1H−13gHMBCスペクトルを記録した(図7)。式(IV)の比較化合物は、9.8μMのTrpA1 IC50、およびTrpV3>10μM、hERG>20μM、NaV1.2>20μM(表5)によって特徴づけられるインビトロ選択性を有する。このデータは、実施例3の手順と同じ手順を用いて収集した。
本明細書に開示される化合物(例えば、式(I)または式(Ia)の化合物)は、TRPA1を阻害する化合物を特定するためのアッセイで用いられ得る。例えば、TRPA1インヒビターを特定する方法は、試験化合物とTRPA1イオンチャネルとを接触させる工程と、試験化合物によってTRPA1イオンチャネルの阻害を測定する工程(例えば、試験化合物について最初のIC50値を作成する工程)と、試験化合物によるTRPA1イオンチャネル阻害の測定を、式(I)の化合物との接触後、第二のTRPA1イオンチャネルの第二の測定と比較する工程(例えば、式(I)または式(Ia)の化合物についての第二のIC50を測定する工程)と、この試験化合物が、TRPA1イオンチャネル阻害の第一および第二の測定の比較によって、TRPA1インヒビターであるか否かを決定する工程と、を含んでもよい。式(I)の化合物(例えば、式(Ia))(または式(II)、(III)もしくは(IV)の化合物)によるTRPA1イオンチャネル阻害は、試験化合物に対する比較因子として用いられ得る。TRPA1イオンチャネル阻害の測定は、実施例3のアッセイを含む任意の適切なアッセイによって行われてもよい(例えば、パッチクランププロトコール)。一実施形態では、TRPA1イオンチャネルインヒビター化合物を特定するための方法は、細胞ベースのアッセイにおけるTRPA1タンパク質を、試験薬剤と接触させてTRPA1インヒビターとしての潜在的な活性について試験することと、この試験薬剤がTRPA1タンパク質の活性を増大させるか、または減少させるかを決定することと、TRPA1タンパク質の活性を減少する薬剤を選択することと、TRPA1タンパク質の活性を減少するこの薬剤のTRPA1阻害の程度を決定するここと、参照薬剤によって観察されるTRPA1阻害の程度に対してTRPA1タンパク質の活性を低下させるこの薬剤のTRPA1阻害の程度を、すなわち、参照薬剤によるTRPA1阻害の程度に関するこの薬剤のTRPA1阻害の程度の低下を比較し、それによってこの薬剤が、TRPA1インヒビターであると特定することと、を含む。この参照薬剤は、(例えば)、式(Ia)、(II)、(III)、または(IV)の化合物であってもよい。
式(Ib)の化合物は、式(I)の第二の立体異性体である。
(Ib)の化合物は、実施例1cによって、および薬学的に許容される塩として合成され得る。式(Ib)の化合物は、インビトロ試験におけるヒトTRPA1チャネルの新規な低分子アンタゴニストである。下に示される式(Ib)の化合物の、インビトロのTRPA1活性を測定したところ、下の表6に示されるように50〜100nMというhTRPA1に対するIC50を有していた。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩を、医薬組成物の製造に用いてもよい。医薬組成物は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、またはその薬学的に許容される塩を合わせることによって形成され得る。この医薬組成物は、薬物送達の所望の方法に従って、レシピエント対象(例えば、ヒト)に対する送達に適切な薬学的に許容される担体で処方されてもよい。医薬組成物、特に、経口送達のために処方される組成物は、好ましくは、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、または式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の塩を、意図する目的(例えば、疼痛またはTRPA1イオンチャネルの阻害もしくは拮抗に応答する他の状態の処置または予防)を達成するために十分な量で、および1つ以上の追加の担体、例えば、可溶化剤(例えば、シクロデキストリンおよび/またはシクロデキストリン誘導体)、緩衝化剤、防腐剤など(例えば、実施例10を参照のこと)を含有する。この医薬組成物中での式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の量および濃度、ならびに対象に投与される医薬組成物の量は、臨床的に関連する要因、例えば、対象の医学的に関連する特徴(例えば、年齢、体重、性別、他の医学的状態など)、医薬組成物中の化合物の溶解度、その化合物の力価および活性、ならびにその医薬組成物の投与方式に基づいて選択され得る。例えば、医薬組成物は、臨床的に耐容性を示すの量のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン中に溶解される式(I)の化合物(例えば、実施例10に示される式(Ia))の経口送達のために処方され得る。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩を、医薬組成物の製造に用いてもよい。医薬組成物は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、またはその薬学的に許容される塩を合わせることによって形成され得る。この医薬組成物は、薬物送達の所望の方法に従って、レシピエント対象(例えば、ヒト)に対する送達に適切な薬学的に許容される担体で処方されてもよい。医薬組成物、特に、経口送達のために処方される組成物は、好ましくは、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、または式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の塩を、意図する目的(例えば、疼痛またはTRPA1イオンチャネルの阻害もしくは拮抗に応答する他の状態の処置または予防)を達成するために十分な量で、および1つ以上の追加の担体、例えば、可溶化剤(例えば、シクロデキストリンおよび/またはシクロデキストリン誘導体)、緩衝化剤、防腐剤など(例えば、実施例10を参照のこと)を含有する。この医薬組成物中での式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の量および濃度、ならびに対象に投与される医薬組成物の量は、臨床的に関連する要因、例えば、対象の医学的に関連する特徴(例えば、年齢、体重、性別、他の医学的状態など)、医薬組成物中の化合物の溶解度、その化合物の力価および活性、ならびにその医薬組成物の投与方式に基づいて選択され得る。例えば、医薬組成物は、臨床的に耐容性を示すの量のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン中に溶解される式(I)の化合物(例えば、実施例10に示される式(Ia))の経口送達のために処方され得る。
医薬組成物は、本発明の化合物の有効な投薬量を患者に提供するための投与の適切な経路に処方され得る。例えば、経口投与が使用されてもよい(例えば、嚥下または吸入されてもよい)。剤形としては、錠剤、トローチ、散剤、懸濁剤、液剤、カプセル、パッチなどが挙げられる。式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する組成物の最も適切な処方物は、任意の所定の場合には、処置されている状態の重篤度に依存し得る。この組成物は、好都合には、単位剤形で与えられて、薬学の当該分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)はまた、制御された放出手段および/または送達デバイスによって投与されてもよい。
薬学的調製物は、TRPA1イオンチャネルを阻害する化合物の投与によって緩和されるか、取り除かれるか、予防されるか、そうでなければ処置される状態を処置するために選択された標準的な手順に従って調製されてもよい(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA and Goodman,and Gilman’s「The Pharmaceutical Basis of Therapeutics」、Pergamon Press,New York,NY(その内容は、ヒト治療のために種々の治療剤を投与するための方法の一般的説明のために、参照によって本明細書に援用される)を参照のこと)。例えば、医薬組成物は、経口投与のような所望の投与経路のために処方され得る。具体的には、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬は、慢性疼痛または急性疼痛のような、医学的状態の治療処置のために経口投与用に処方され得る。
経口投与型の組成物の調製において、任意の通常の薬学的媒体が、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などのような担体として(経口の液状製剤(例えば、懸濁剤、液剤およびエリキシル)、またはエアロゾルの場合には)使用されても、あるいは、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような担体が、経口の固形製剤、例えば、粉末、カプセルおよび錠剤などの場合には、液状製剤よりも好ましい固形の経口製剤とともに用いられてもよい。担体の例は、シクロデキストリン、例えば、商品名Captisol(登録商標)(CyDex Pharmaceuticals,Inc,Lenexa,KS)として入手可能なスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン化合物である。固体の経口製剤の例は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物を含有する錠剤またはカプセルである。必要に応じて、錠剤は、標準的な水性または非水性の技術によってコーティングされてもよい。
1つ以上の式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬組成物は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌されてもよく、これは、使用の直前に滅菌水または他の無菌の注射用媒体中に溶解されるかまたは分散され得る。
本明細書に記載される式(I)の化合物は、吸入によって投与されてもよい。式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、1マイクロモル以下というIC50を有するTRPA1媒介性電流を阻害する薬剤を含有する肺送達または鼻送達のためのエアロゾル医薬組成物を含有する定量のエアロゾルディスペンサー中で提供されてもよい。これは、例えば、定量噴霧式吸入器であっても、ドライパウダー吸入器であっても、またはエアジェットネブライザーであってもよい。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物はまた、使用のための組成物を調製するため、および吸入によって患者に投与することを補助するために、固体または液体の薬学的に許容される非毒性の担体、希釈剤およびアジュバント、例としては、適切なサーファクタントとともに混合されてもよい。このような薬学的な担体は、滅菌の液体、例えば、水およびオイル、例としては、石油、動物、植物または合成に由来するものであってもよい。水が好ましい担体である。生理食塩水溶液もまた、液体担体として使用されてもよい。例えば、式(I)の化合物の適切な投与量を、生理食塩水溶液中で所望の濃度で溶解して、吸入経路による投与に適切な医薬組成物を形成してもよい。サーファクタント、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル ポリオキシエチレンソルビタン酸エステル、またはグリセリルエステルが、例えば、使用されてもよい。他の適切な薬学的な担体は、E.W.Martinによる、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。約4.5〜5.5の範囲のpHが好ましい。pHは、従来の薬学的に許容される緩衝液で調節されてもよい。
式(I)の化合物を含有する吸入式の医薬組成物は、吸入経路のための薬学的な送達系によって患者に投与されてもよい。薬学的な送達系は、気管気管支樹の粘膜内層に対するイミダゾールの局所投与による呼吸器治療に適切な系である。例えば、本発明は、容器からイミダゾリンを発射するための圧縮ガスの力に依存するシステムを利用してもよい。Sciarraら、Theory and Practice of Industrial Pharmacy,1976:270−295(参照によって本明細書に依拠し、援用される)を参照のこと。エアロゾルまたは加圧パッケージを、この目的のために使用してもうよい。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物はまた、ガス中で実質的に均一な大きさの極めて微細な液体粒子を生成する装置である、ネブライザーで行ってもよい。好ましくは、イミダゾリンを含有する液体は、霧状の形態で直径が約5mm以下の液滴として分散される。この小さい液滴は、ネブライザーの外側チューブを通じた空気または酸素の流れによって運搬され得る。得られた霧(ミスト)は、患者の呼吸器官に浸透する。
式(I)の化合物を含有している粉末組成物(潤滑剤、担体、または噴霧剤は有無がある)を、治療の必要な患者に投与してもよい。この実施形態は、吸入によって粉末の医薬組成物を投与するための従来のデバイスで行ってもよい。
式(I)の化合物を含有する組成物の投与
式(I)の化合物を含有する医薬組成物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩は、対象(例えば、ヒトおよび動物)におけるTRPA1イオンチャネルの阻害に応答する医学的状態を処置または改善するために用いられ得る。例えば、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩は、周術期の鎮痛剤として、例えば、軽度から中度の急性の術後疼痛の管理において、および中度から重度の急性疼痛の管理において、オピオイド鎮痛薬に対する補助剤として有用である。例えば、式(Ia)の化合物は、疼痛の処置のための医薬の製造に用いられ得る。必要に応じて、この医薬はまた、オピオイド、非ステロイド性抗炎症剤、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)−アンタゴニストおよびステロイドからなる群より選択される第二の化合物と組み合わせた用途に関しても挙げられ、また指定され得る。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩は、対象(例えば、ヒトおよび動物)におけるTRPA1イオンチャネルの阻害に応答する医学的状態を処置または改善するために用いられ得る。例えば、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩は、周術期の鎮痛剤として、例えば、軽度から中度の急性の術後疼痛の管理において、および中度から重度の急性疼痛の管理において、オピオイド鎮痛薬に対する補助剤として有用である。例えば、式(Ia)の化合物は、疼痛の処置のための医薬の製造に用いられ得る。必要に応じて、この医薬はまた、オピオイド、非ステロイド性抗炎症剤、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)−アンタゴニストおよびステロイドからなる群より選択される第二の化合物と組み合わせた用途に関しても挙げられ、また指定され得る。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)はまた、オピオイド鎮痛薬の投与と組み合わせて用いられてもよい。例えば、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物は、オピオイド鎮痛薬と組み合わせて与えられる周術期の鎮痛剤として、例えば、軽度から中度の急性の術後疼痛の管理において、および中度から重度の急性疼痛の管理において、オピオイド鎮痛薬に対する補助剤として有用である。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の治療上有効な用量を含有する医薬組成物は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬組成物の1つ以上の別の投与を含む臨床上安全かつ有効な方式で疼痛の処置のために患者に投与され得る。例えば、医薬組成物は、対象に投与される場合、投与の3日後、約250mg/dL未満(例えば、約200mg/dL、150mg/dL、100mg/dLまたは50mg/dL)というアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)および/または吸引アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを生じる。
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、処置されている宿主、特定の投与方式に依存して変化する。単一剤形を生成するための担体材料と組み合され得る活性成分の量は一般には、治療効果を生じる化合物の量である。一般には、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約1パーセント〜約50パーセントにおよぶ。一実施形態では、この量は、1.6%(重量対重量)である。別の実施形態では、この量は40%(重量対体積)である。医薬組成物は、例えば、1〜50%の式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を薬学的に許容される担体と組み合わせて含んでもよい。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物を用いて、疼痛を処置または改善してもよい。対象(例えば、ヒトおよび動物)におけるTRPA1イオンチャネルの阻害に応答する医学的状態を処置する方法は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量の投与を含み得る。疼痛は慢性であっても急性であってもよい。処置の方法は、その必要な対象に対して、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を、処置の経過にまたがって1つ以上の用量で投与することを含み得る。式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の治療上有効な量を含有する医薬組成物は、疼痛の処置のために患者に、臨床上安全かつ有効な方式で投与されてもよく、この投与には、1つ以上の式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する医薬組成物の1つ以上の別々の投与を含有する。例えば、医薬組成物は、対象に投与される場合、投与の3日後に約250mg/dL未満(例えば、約200mg/dL,150mg/dL,100mg/dLまたは50mg/dL)というALTおよび/またはASTレベルを生じる。
さらなる態様によれば、本発明は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)、またはその薬学的に許容される塩を、疼痛の処置もしくは改善、または鎮痛を提供するために提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を医薬として提供する。
一実施例では、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)は、被験者に経口投与され得る。式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の一日総投与量は、1日に1〜4回(例えば、QD、BID、TID、またはQID)対象に経口投与される、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日(例えば、0.1mg/kg/日〜約50mg/kg/日)であってもよい。ヒトに投与される一日総用量は、また約1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、または約3mg/kg/日〜約10mg/kg/日であってもよい。投与される用量あたりの量または投与される総量は、疼痛の性質および重篤度、患者の年齢および総合的な健康状態、ならびにその化合物に対する患者の耐性のような要因に依存する。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を含有する薬品は、適切な処方プロセス、例えば、湿式造粒法(Remmington pharmaceutical sciencesを参照のこと)によって調製され得る。医薬組成物は、嚥下を容易にするための形状の単位用量(例えば、0または00サイズのカプセル)であってもよい。単位用量は、サイズ「00」のカプセル(例えば、100〜800mg)または同等のサイズの錠剤の中に100〜1600mgにおよぶ医薬組成物の量を有してもよい。500mgの活性/単位用量が達成されるならば、その技術の発達は、最高の達成可能な用量を目標とする。個々の単位剤形は、例えば、経口投与用に処方された、200mg、400mg、800mg、1200mgまたは1600mgの式(I)の化合物を含んでもよい。
例えば、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を含有する医薬組成物は、対象において疼痛を処置するために1日以上の処置経過にまたがって1日あたり複数回(例えば、BID)、その必要な対象に投与(例えば、経口的に)されてもよい。
式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物、式(Ib)の化合物および/または式(Ia)および(Ib)の化合物の組み合わせ)を含有する医薬組成物は、閉塞性疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(例えば、低温誘導性喘息、運動誘発性喘息、アレルギー誘発性喘息および職業性喘息)および咳のような呼吸器の状態の処置のための投与のために有用である。
動物またはヒトでの喘息を処置または改善するための方法であって、動物またはヒトに対して、式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を含有する医薬組成物を、吸入によって投与することを含む、方法。この方法の一実施例では、式(Ia)の化合物は、塩酸塩型である。喘息は、アレルギー性喘息であってもよい。この医薬組成物は、エアロゾルとして投与されてもよい。医薬組成物は、医療用ネブライザーを用いて投与される。式(Ia)の化合物は、塩酸塩型で投与され得る。この医薬組成物は、約0.5〜25mg/kgの用量で投与されてもよい。
下の特定の実施例によって、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)およびその薬学的に許容される塩の合成を例示する。さらに、この開示は、本開示に基づいて当業者によって理解される式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)生成するための本明細書に記載の種々の方法を包含する。
実施例1A:式(Ia)の化合物の合成
実施例1A:式(Ia)の化合物の合成
(S)−2−メチルピロリジン(化合物02)(44.2mL,465mmol)を充填した乾燥1L丸底フラスコを0℃まで冷却した。化合物01(60g、310mmol)を、2分間にわたって冷却したアミン化合物02に添加した(過度の発熱を観察)。添加の完了後、反応物を室温まで温めて、撹拌を1時間続けた。その後液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)および超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)を行った。
得られたオレンジの固体を(9:1のDCM:MeOH,200mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム150mLおよび水(3×100mL)で洗浄した。この合わせた水層を(9:1のDCM:MeOH)を用いて戻し抽出した。この合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、シリカ上で濃縮した。このカラムを、400gのシリカカラムを用い、(Hex:EtOAc)溶媒系(0%の4CV;0〜30%の6CV;30%の6CV)を用いて精製した。この生成物は、20〜30%のEtOAcで溶出した。生成物を含有する画分を、合わせて、真空下で乾燥し、得られた透明な油状物をヘキサンで処理して、撹拌し、次いでエバポレートした。微細な結晶形成が観察された。0℃で微細な結晶形成を可能にさせて、化合物03の白色結晶固体を支援した。
工程1の化合物03について、実施例1:単離収率:白色結晶固体として67.2g(89%)。(m/z M+=241);1H NMR(300 MHz,DMSO)δ9.01(s,1H)、8.42(s,2H)、4.20−4.06(m,1H)、3.56−3.34(m,2H)、2.12−1.81(m,3H)、1.68(s,1H)、1.16(d,J=6.3Hz,3H)。
2Lの三つ首丸底フラスコに、化合物03(45g、186mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(65.2g、257mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド(13.05g、18.59mmol)、酢酸カリウム(36.5g、372mmol)を充填し、無水1,4−ジオキサン(容積:929mL)中に懸濁した。このフラスコを、窒素でフラッシュして、固体を還流冷却器に入れて、90℃に一晩加熱した。
1,4−ジオキサンを、真空中で除去した。この粗材料を、DCM(200mL)に溶解し、水(3×100mL)で洗浄した。合わせた水層を、EtOAcで戻し抽出した。この合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、シリカ上で濃縮した。材料を2つのバッチに分けて、200gのシリカカラムを用い、Hex:EtOAc溶媒系(0%のCV;3%の8CV;5〜20%の10CV;20−50%の5CV)を用いてカラム精製した。出発材料を3%のEtOAcで溶出し、一方、所望の生成物は、5〜40%のEtOAcで溶出した。生成物を含有する画分を合わせて、溶媒を真空中で除いて、化合物04を得た。
工程2の化合物04について、実施例1:単離収率:オフホワイトの固体として23.0g(42%)。[(m/z=M+=289.20(m/z207.12で観察したボロン酸));1H NMR(300MHz,DMSO)δ8.45(s,2H)、4.31−4.17(m,1H)、3.62−3.38(m,2H)、2.12−1.81(m,3H)、1.73−1.61(m,1H)、1.27(s,12H)、1.17(d,J=6.3Hz,3H)。
1Lの丸底フラスコに化合物05(15.14g、87mmol)、化合物04(23.00g、80mmol)を充填し、窒素でパージし、続いてPd(PPh3)4(9.19g、7.95mmol)を添加した。この固体を無水1,4−ジオキサン(398ml)と2M炭酸ナトリウム水溶液(119mL、239mmol)との混合物中に懸濁した。反応物を95℃まで13時間加熱した。
2Lの丸底フラスコへの液相の移動によって、塩から有機物を分離した。塩を、1,4−ジオキサンでリンスして、以前に分離した1,4−ジオキサン溶液と合わせた。1,4−ジオキサンを減圧下で除去した。黄色い粗残渣を、DCM中に溶解して、水(3×100mL)、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、次いでシリカ上に濃縮した。そのカラムを、200gのシリカカラムを用い、DCM:EtOAc溶媒系(0%の20CV;20%の10CV;50〜80%の10CV;80%の5CV)を用いて精製した。所望の生成物は、50〜80%のEtOAcで溶出した。生成物を含有する画分を濃縮して化合物06を単離した。
工程3における化合物06について、実施例1:単離収率:淡黄色固体として13.7g(67%)。(m/z=M+=255.15);1H NMR(300MHz,DMSO)δ8.88(s,2H)、7.40(t,J=7.8Hz,1H)、6.95(d,J=7.1Hz,1H)、6.35(d,J=7.9Hz,1H)、5.96(s,2H)、4.31−4.19(m,1H)、3.66−3.41(m,2H)、2.13−1.84(m,3H)、1.75−1.65(m,1H)、1.22(d,J=6.3Hz,3H)。
乾燥した200mL丸底フラスコに、化合物07(12.17g、51.1mmol)、化合物06(13.7g、53.7mmol)、EDC(19.59g、102mmol)を充填し、窒素でフラッシュし、続いて無水ピリジン(128ml)を添加した(発熱は観察されず)。懸濁物を室温で1時間撹拌した。
反応混合物を、100mLの水で希釈した。オフホワイトの沈殿物を観察した。その懸濁物を、スターラーバーを入れた500mLのフラスコに移して、撹拌しながら150mLの0.1MのHClで希釈した。この沈殿物は、淡い赤色に変わり、非晶質の固体を形成する。水性製剤を、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層は、0.1MのHCl(3×50mL)、水、ブラインを用いて洗浄し、MgSO4上で乾燥し、次いでシリカ上で濃縮した。そのカラムをDCM:MeOH溶媒系(0%の5CV;0〜3%の10CV;3〜4%の4CV;4%の10CV)を用いて精製した。この生成物を、3〜4%のMeOHで溶出した。適切な画分をプールして、溶媒を真空中で除去し、高真空下において、式(Ia)の化合物を得た。
工程4における式(Ia)の化合物について、実施例1:単離収率:オフホワイトの固体として20.7g(85%)。式(I)の化合物(m/z=M+=475)、1H NMR(300MHz,DMSO)δ10.95(s,1H)、9.01(s,2H)、8.09(s,1H)、7.82(t,J=7.6Hz,2H)、7.61(d,J=8.4Hz,1H)、5.32(s,2H)、4.33−4.23(m,1H)、3.71−3.49(m,2H)、3.47(s,3H)、3.20(s,2H)、2.18−1.84(m,3H)、1.70(m,1H)、1.24(d,J=6.3Hz,3H)。
実施例1B:式(Ia)の重水素化化合物の合成
重水素化化合物(12)を、図1Bの示されるように調製した。化合物10は、以下の手順に従って、市販の出発材料化合物08から調製した。
重水素化化合物(12)を、図1Bの示されるように調製した。化合物10は、以下の手順に従って、市販の出発材料化合物08から調製した。
テオフィリン−d6(0.480g、2.58mmol)および炭酸カリウム(0.392g、2.84mmol)を、DMF(12.89mL)中に懸濁し、続いてエチル2−クロロアセテート(0.275mL,2.58mmol)を添加し、90℃まで1時間加熱した。この反応混合物を、室温まで冷却し、室温で15mLの撹拌水溶液中に希釈した。この水溶液に、10mLの水の中の水酸化リチウム(0.123g、5.16mmol)を添加して、室温で1時間撹拌を続けた。その溶液をpH4まで5MのHCl水溶液を用いて滴定した。得られた白色固体を、真空濾過を介して収集して、化合物10(0.510g、81%)ESI−MS(EI+,m/z)を得た:244.11。
重水素化された化合物12を、化合物06(0.150g、0.609mmol)、および化合物10(0.163g、0.640mmol)を用いて式(Ia)と同じ方式で合成した。得られた粗固体を、真空濾過を介して収集した。シリカゲルクロマトグラフィーによってカラム精製して、重水素化された化合物12を得た(0.135g、46%)ESI−MS(EI+,m/z):481.25.1H NMR(300MHz,DMSO)δ10.95(s,1H)、9.01(s,2H)、8.08(s,1H)、7.82(t,J=7.7Hz,2H)、7.61(d,J=8.5Hz,1H)、5.76(s,1H)、5.32(s,2H)、4.29(s,1H)、3.69−3.56(m,1H)、3.53(s,1H)、2.13−1.85(m,3H)、1.71(d,J=2.3Hz,1H)、1.24(d,J=6.3Hz,3H)。
化合物12に加えて、本明細書に記載される化合物はまた、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)の同位体を含んでもよい。例えば、式(I)の同位体(例えば、式(Ia)の化合物)は、式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を構成する原子のうち1つ以上で原子の同位体の置換によって形成された分子として形成されてもよい。例えば、式(I)の同位体は、放射性同位体で放射性標識されてもよい。式(I)の同位体(例えば、式(Ia)の化合物)としては、重水素(2H)、もしくはトリチウム(3H)による式(I)(例えば、式(Ia)の化合物)中の水素の置換、または炭素−13(13C)もしくは炭素−14(14C)での式(I)(例えば、式(Ia)の化合物)中の1つ以上の炭素原子の置換によって形成される化合物が挙げられる。式(I)(例えば、式(Ia)の化合物)の好ましい同位体は、ヒトまたは動物においてTRPA1を阻害する。本明細書に開示される化合物の全ての同位体変動は、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含されるものとする。例えば、重水素化された化合物または13Cを含有する化合物は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
実施例1C:式(Ib)の化合物(式(Ia)の鏡像異性体)の合成
式(Ib)の化合物(式Iaの鏡像異性体)は、上記と同一の手順を用いて合成され、1つの違いは、(S)−2−メチルピロリジン(図1Aの化合物02)の代わりに工程1で出発材料としての(R)−2−メチルピロリジンの使用である。最終工程での収率は、白色粉末として92%である。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ10.95(s,1H)、9.01(s,2H)、8.09(s,1H)、7.82(t,J=7.7Hz,2H)、7.61(d,J=8.5Hz,1H)、5.32(s,2H)、4.47−4.13(m,1H)、3.72−3.58(m,2H)、3.27(s,3H)、3.20(s,3H)、2.17−1.86(m,3H)、1.71(s,1H)、1.24(d,J=6.3Hz,3H)。LCMS(m/z=M+H=476)。
1%のRSAで測定したhTrpA1のIC50は、式(Ia)の化合物についての5.3μMと比較して式(Ib)について15.2uMであった。
実施例2:式(Ia)の化合物のHCl塩の形成
EtOHに含有される1MのHCl:500mLフラスコに、スターラーバー、および185mLの200プルーフのEtOHを0℃で入れた。次いで、塩化アセチル(14.20mL,200mmol)を添加して、0℃で5分間撹拌し、次いで室温で10分間撹拌した。
EtOHに含有される1MのHCl:500mLフラスコに、スターラーバー、および185mLの200プルーフのEtOHを0℃で入れた。次いで、塩化アセチル(14.20mL,200mmol)を添加して、0℃で5分間撹拌し、次いで室温で10分間撹拌した。
HCl塩沈殿物:1Lの丸底フラスコに、乾燥した式(I)の化合物(20.5g、43.1mmol)を充填し、200mLの1MのHClが含有されるEtOH(作製して間もない)を添加して、室温で1時間撹拌した。その懸濁物は、ほぼ均一な透明な黄色から白色固体懸濁物に淡黄色の溶媒中でなった。1時間後、固体をEtOHの補助によって真空濾過を介して収集し、次いでEtOH(3×100mL)でリンスして、高真空に一晩おいた。18時間後、高真空から材料を取り出して、アンバージャーに移した。
実施例2に関しては、HCl塩の単離収率は、オフホワイトの固体として22.6g(>100%)であった。(I)塩(m/z=M+=475)、1H NMR(300MHz,DMSO)δ10.95(s,1H)、9.01(s,2H)、8.09(s,1H)、7.82(t,J=7.6Hz,2H)、7.61(d,J=8.4Hz,1H)、5.32(s,2H)、4.33−4.23(m,1H)、3.71−3.49(m,2H)、3.47(s,3H)、3.20(s,2H)、2.18−1.84(m,3H)、1.70(m,1H)、1.24(d,J=6.3Hz,3H)。元素分析:C,50.54(cal.53.96);H,5.34(cal.5.12);CI,6.34(cal.6.92);N,22.69(cal.24.62);O,9.38。
実施例3:TRPA1のインビトロ阻害を測定する
式(Ia)の化合物のTRPA1のインビトロ阻害を、参照によって本明細書に援用され、かつ下に記載されるdel Caminoら、J.Neurosci.,30(45):15165〜15174に概説される手順を用いて試験した。TRPA1阻害およびTRPA1阻害の選択性についてのデータを、式(Ia)の化合物についてこの方法によって得て、これを表1および表2に示す。全ての電流は、全細胞コンフィギュレーションで、EPC−9およびEPC−10増幅器ならびにPatchmasterソフトウェア(HEKA)を用いて記録した。パッチピペットは、1.5〜3MΩの抵抗を有し、直列抵抗の60〜75%が代償された。標準的なピペット溶液は、140mMのCsAsp、10mMのEGTA、10mMのHEPES、2.27mMのMgCl2、1.91mMのCaCl2、4mMのMgATP、および0.1−0.3mMのNa2GTPからなり、pHはCsOHを用いて7.2に調節された。さらに、145mMのCsCl、10mMのHEPES、10mMのEGTAおよび1mMのMgCl2を含有する溶液(CsOHでpH7.2に調節した)を用いてもよい。標準的なバス溶液は、150mMのNaCl、10mMのHEPES、10mMのグルコース、4.5mMのKCl、1mMのEGTA、3mMのMgCl2を含み、pHは、NaOHで7.4に調節した。ある場合には、2mMのCaCl2をEGTAの代わりに添加して、MgCl2の濃度は、1mMに下げた。
式(Ia)の化合物のTRPA1のインビトロ阻害を、参照によって本明細書に援用され、かつ下に記載されるdel Caminoら、J.Neurosci.,30(45):15165〜15174に概説される手順を用いて試験した。TRPA1阻害およびTRPA1阻害の選択性についてのデータを、式(Ia)の化合物についてこの方法によって得て、これを表1および表2に示す。全ての電流は、全細胞コンフィギュレーションで、EPC−9およびEPC−10増幅器ならびにPatchmasterソフトウェア(HEKA)を用いて記録した。パッチピペットは、1.5〜3MΩの抵抗を有し、直列抵抗の60〜75%が代償された。標準的なピペット溶液は、140mMのCsAsp、10mMのEGTA、10mMのHEPES、2.27mMのMgCl2、1.91mMのCaCl2、4mMのMgATP、および0.1−0.3mMのNa2GTPからなり、pHはCsOHを用いて7.2に調節された。さらに、145mMのCsCl、10mMのHEPES、10mMのEGTAおよび1mMのMgCl2を含有する溶液(CsOHでpH7.2に調節した)を用いてもよい。標準的なバス溶液は、150mMのNaCl、10mMのHEPES、10mMのグルコース、4.5mMのKCl、1mMのEGTA、3mMのMgCl2を含み、pHは、NaOHで7.4に調節した。ある場合には、2mMのCaCl2をEGTAの代わりに添加して、MgCl2の濃度は、1mMに下げた。
データは、−60mVでの連続記録によって、または4秒ごとに0mVの保持電位から電圧傾斜を加えることによって収集した。連続記録を400Hzで収集して、提示のために10Hzで、オフラインで、デジタルフィルターした。電圧傾斜を、400msの経過にまたがって−100mV〜100mV加え、データを10kHzで収集して、2.9kHzでフィルターした。内向き流および外向き流を、それぞれ−80mVおよび80mVの傾斜から分析した。液間電位差補正は用いなかった。
溶液は、自重送りの連続局所かん流システムを用いて切り替えた。急速な温度変化を達成するために、2つの温度制御およびかん流システムを同時に使用した。22℃以上の温度については、Warner Instrumentsバイポーラ温度制御装置(TC−344B)およびインラインヒーター(SHM−8)を用いた。22℃未満の温度に関しては、Warner Instruments温度制御装置(CL−100)および熱冷却モジュール(TCM−1)を用いた。温度は、thermistor(Warner Instruments,TA−29)を用いて確認し、記録された細胞の温度は、報告された温度の+/−2℃内であると見積もられる。
化合物のIC50は、5マイクロモルおよび500ナノモルで各々の化合物について試験することによって見積もった。5マイクロモルの化合物がブロックを示さなかった場合、IC50は、10マイクロモルを超えると見積もった。5マイクロモルの化合物が50%以下のブロックを示した場合、IC50は大まかには5〜10マイクロモルという範囲内であろうと見積もられた。500ナノモル〜5マイクロモルの化合物についてのIC50が同様に見積もられた。500ナノモルで50%以上ブロックする化合物を、複数の濃度で再試験して、各々のブロック%は、5〜6ポイントの濃度/応答実験を用いてIC50を正確に決定する標準的な式にあてはまる。
実施例4:TRPA1インヒビター化合物のインビボ有効性の評価
式(Ia)の化合物を、インビボの活性について評価した。一部の実施例では、式(II)または式(III)の比較のTRPA1インヒビター化合物も、下の実施例に記載のとおり評価した。
式(Ia)の化合物を、インビボの活性について評価した。一部の実施例では、式(II)または式(III)の比較のTRPA1インヒビター化合物も、下の実施例に記載のとおり評価した。
式(II)の比較化合物、ならびにこの化合物を作成および用いる方法は、米国特許第7,671,061号(2006年、12月22日出願、2010年3月2日に発行)のTRPA1インヒビター化合物200として開示されており、その全体が参照によって本明細書に援用される。
式(III)の比較化合物、ならびにこの化合物を作成および用いる方法は、PCT特許出願PCT/US2009/069146(2010年7月1日に国際公開第2010/075353A1号として公開)において、式(I)のTRPA1インヒビター化合物として開示されており、その全体が参照によって本明細書に援用される。
(a)式(Ia)の化合物、および(b)式(III)の比較化合物の力価および薬物動態(PK)特性を評価した。バイオアベイラビリティを同様に測定した。薬物動態学的試験を行って、静脈内(IV)および経口(PO)投与の両方の後に薬物についての血漿薬物濃度対時間のプロットを得た。絶対的バイオアベイラビリティは、用量補正した非静脈内の曲線下面積(AUC)を静脈内のAUCで割っている。経口投与(PO)によって投与された薬物に関する循環中のFを算出する式は下に示す。
このバイオアベイラビリティは、下に示す式を用いて算出した。
%F=POのAUC×IVの用量/IVのAUC×POの用量
%F=POのAUC×IVの用量/IVのAUC×POの用量
ヒト血漿タンパク質結合
緩衝液中の化合物の量(遊離画分)および血漿画分と会合した化合物の量を、平衡透析によって決定する。結合した化合物の量は、パーセンテージとして表される。(Bankerら、Journal of Pharmaceutical Sciences(2003) 92(5):967−74)。
緩衝液中の化合物の量(遊離画分)および血漿画分と会合した化合物の量を、平衡透析によって決定する。結合した化合物の量は、パーセンテージとして表される。(Bankerら、Journal of Pharmaceutical Sciences(2003) 92(5):967−74)。
表6では、「A」は、25ナノモル未満というIC50を示し、「B」は、25ナノモルから50ナノモル未満までというIC50を示し、「C」は、50ナノモルから100ナノモル未満までというIC50を示し、「D」は、100ナノモル以上というIC50を示す。
式(III)の化合物は、インビトロでさらに強力であったが、式(Ia)の化合物は、式(III)の化合物を上回って有利なインビボの特性を有する。式(Ia)の化合物よりも式(III)の化合物についてより大きいタンパク質結合が観察された。式(Ia)の化合物についてのIC50は、hTRPA1に対して試験した場合、50〜100ナノモルであった。式(Ia)の化合物は、99%未満のタンパク質結合であって、給餌ラットのバイオアベイラビリティは、50%を超えた。式(III)の化合物についてのIC50は、hTRPA1に対して試験した場合、0〜25ナノモルであった。式(III)の化合物は、99%を超えるタンパク質結合であって、給餌ラットのバイオアベイラビリティは、1〜25%であった。
さらに、上の表6に示されるとおり、式(Ia)の化合物は、式(III)の化合物よりも給餌/絶食の影響が少ないことが示される。ヒトで給餌/絶食効果の低下した化合物は、患者のコンプライアンスを向上させ得る。さらに、式(Ia)の化合物は、式(III)の化合物よりもタンパク質結合が少ない。結果として、より多くの化合物が、投与の際に標的組織に送達されるように利用可能である。
実施例5:インビボのげっ歯類モデルにおけるホルマリン誘発性の疼痛行動
式(Ia)の化合物並びに式(II)および式(III)の比較化合物を、Dubuissonら、Pain 1977 Dec;4(2):161−74(その全体が参照によって本明細書に援用される)によって報告されるホルマリン誘発性の疼痛試験で試験した。Dubuissonら、(1977)は、ラットおよびネコで疼痛および鎮痛を評価するための方法を記載している。要するに、希ホルマリン(50μLの3%ホルマリン)を後ろ足の足底表面に注射する。その動物を、観察場所(標準的なPlexiglassラットケージ)に迅速に戻して、このポイントで、訓練を受けた観察者が、5分間にわたって、疼痛行動(尻込む、なめる、注射された足/脚を噛む)を示している時間と動物の経過を記録する。特定の試験において疼痛行動をカウントすることを担当する個人は、処置群について盲検である。
式(Ia)の化合物並びに式(II)および式(III)の比較化合物を、Dubuissonら、Pain 1977 Dec;4(2):161−74(その全体が参照によって本明細書に援用される)によって報告されるホルマリン誘発性の疼痛試験で試験した。Dubuissonら、(1977)は、ラットおよびネコで疼痛および鎮痛を評価するための方法を記載している。要するに、希ホルマリン(50μLの3%ホルマリン)を後ろ足の足底表面に注射する。その動物を、観察場所(標準的なPlexiglassラットケージ)に迅速に戻して、このポイントで、訓練を受けた観察者が、5分間にわたって、疼痛行動(尻込む、なめる、注射された足/脚を噛む)を示している時間と動物の経過を記録する。特定の試験において疼痛行動をカウントすることを担当する個人は、処置群について盲検である。
ラットを、化合物(Ia)のHCl塩を、種々の用量(3、10、30、および50mg/kg,IP)で用いて、またはビヒクル(IP)を用いて処置した。ビヒクルの動物は、平均で約88.6秒という疼痛行動(例えば、尻込む、足を拳げるおよびなめる)を示した。結果を図2および表3aに示す。式(Ia)で処理した動物は、5.9〜85.8秒の範囲の疼痛行動を呈することがわかった。結果を、図2および表3aに示す。ホルマリン誘発性応答に対する式(II)の影響の結果を、表3aおよび3cに示す。式(III)で処置した動物は、ビヒクルでの77.2秒と比較して44.3秒という疼痛行動を呈した。結果を表3bに示す。
実施例6:完全フロイントアジュバント(CFA)炎症性インビボげっ歯類モデル
式(Ia)の化合物、式(II)の比較化合物、およびケトプロフェンを、その全体が参照によって本明細書に援用される、del Caminoら、J.Neurosci.,30(45):15165〜15174に報告されるCFA誘発性の疼痛試験方法によって試験した。
式(Ia)の化合物、式(II)の比較化合物、およびケトプロフェンを、その全体が参照によって本明細書に援用される、del Caminoら、J.Neurosci.,30(45):15165〜15174に報告されるCFA誘発性の疼痛試験方法によって試験した。
要約すると、左の後足に0.1mLの完全フロイントアジュバント(CFA)を投与することによって、後足を冷温に感作させる(異痛症)。2〜3日後、動物がそのCFA注射された足を挙げている時間を、その未注射の正常な右後足に比較して記録する。動物を冷たいプレート(1℃)の表面において、動物がそのプレートから足を引っ込めるか持ち上げることで不快感を示したらオペレーターが直ちに試験を停止する(足引っ込め潜時(paw withdrawal latency)、すなわちPWL)。組織の損傷を回避するために、最大カットオフ時間は5分である。異痛症の動物(CFA注射した後足について150秒未満の最初の3つの疼痛行動に対する平均PWL:正常な足とCFA注射足との間で50%以上の相違)が、この試験に含まれ、引き続き処置群にまたがって無作為化される。翌日、動物を盲検条件のもとで投与する。1〜2時間の予備処理時間の後、投与後のPWLを再度読み取る。薬物処理の有効性は、薬物処理動物におけるPWLと、ビヒクルを投与された動物のPWLとを比較することによって評価される。
実施例7:外科的切開疼痛行動のインビボげっ歯類モデル(図4)
式(Ia)の化合物、式(III)の比較化合物、およびケトプロフェンを、その全体が参照によって本明細書に援用される、Brennanら、Pain,1996 Mar;64(3):493〜501に報告される切開性疼痛試験によって試験した。要するに、麻酔下のラットでは、皮膚および下層の筋肉を通じた1cmの切開を、片側の後足底に作製する。切開を縫合閉鎖し、動物をその飼育ケージ中で意識を覚醒させた後に、特別なメッシュのラックに入れた。盲検の観察者が主観的に評価して、1時間にわたって5分ごとに各々の動物の疼痛スコアを記録する。疼痛スコアを、0のスコア=注射された足を、ラック上に平坦に保持し、荷重させる(=注射していない足)、1=注射した足はラックからわずかに上げられるが、ある程度の荷重がされている、2=注射された足は平らであるが、荷重はなく、またはかかとはラックから高く上げられ、つま先のみが接している、として割り当てる。各時間の終わりには、疼痛スコアを加算して、最終スコアを記録する(最大スコア=39)。典型的な試験では、薬物処置の有効性は、ビヒクルを受けた動物の累積防御スコアに対して、外科的損傷の1〜2および3〜4時間後に累積防御スコアを比較することによって決定する。
式(Ia)の化合物、式(III)の比較化合物、およびケトプロフェンを、その全体が参照によって本明細書に援用される、Brennanら、Pain,1996 Mar;64(3):493〜501に報告される切開性疼痛試験によって試験した。要するに、麻酔下のラットでは、皮膚および下層の筋肉を通じた1cmの切開を、片側の後足底に作製する。切開を縫合閉鎖し、動物をその飼育ケージ中で意識を覚醒させた後に、特別なメッシュのラックに入れた。盲検の観察者が主観的に評価して、1時間にわたって5分ごとに各々の動物の疼痛スコアを記録する。疼痛スコアを、0のスコア=注射された足を、ラック上に平坦に保持し、荷重させる(=注射していない足)、1=注射した足はラックからわずかに上げられるが、ある程度の荷重がされている、2=注射された足は平らであるが、荷重はなく、またはかかとはラックから高く上げられ、つま先のみが接している、として割り当てる。各時間の終わりには、疼痛スコアを加算して、最終スコアを記録する(最大スコア=39)。典型的な試験では、薬物処置の有効性は、ビヒクルを受けた動物の累積防御スコアに対して、外科的損傷の1〜2および3〜4時間後に累積防御スコアを比較することによって決定する。
腹腔内に送達された六十(60)mg/kg(術前および術直後の30mg/kgの2用量)は、ケトプロフェン(腹腔内に2mg/kgの2用量)と等しく、術後最大4時間の間、自発性疼痛を低下した。三十(30)mg/kgの腹腔内の式(Ia)の化合物(手術の前および直後の15mg/kgの2用量)は、術後最大2時間まで自発性疼痛を低下しただけであった。
実施例8:式(I)の化合物および式(III)の比較化合物の肝毒性血清バイオマーカー試験
式(Ia)の化合物は、肝毒性または胆管損傷の血清化学バイオマーカーを介して測定した、安全性の評価のためのビヒクルとして30%のスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンを用いて、5、15または50mg/kgの用量レベルで雌イヌに対して経口投与し、図5Aは、各用量レベルでイヌにおけるアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ[AST]、アルカリホスファターゼ[ALP]およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ[GGT]の測定を示している(各々のバーは、この試験における1匹のイヌからの測定値を意味する)。図5Aのデータは、式(Ia)の化合物が、50mg/kgPO(経口)で投与した場合、肝毒性の血清バイオマーカーも、急性期の応答も上昇しなかったことを示す。
式(Ia)の化合物は、肝毒性または胆管損傷の血清化学バイオマーカーを介して測定した、安全性の評価のためのビヒクルとして30%のスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンを用いて、5、15または50mg/kgの用量レベルで雌イヌに対して経口投与し、図5Aは、各用量レベルでイヌにおけるアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ[AST]、アルカリホスファターゼ[ALP]およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ[GGT]の測定を示している(各々のバーは、この試験における1匹のイヌからの測定値を意味する)。図5Aのデータは、式(Ia)の化合物が、50mg/kgPO(経口)で投与した場合、肝毒性の血清バイオマーカーも、急性期の応答も上昇しなかったことを示す。
これに対し、図5Bのデータは、式(III)の比較化合物が、肝毒性の血清バイオマーカーを上昇させたことを示す。例えば、ALTレベルは、50mg/kgの単回PO投与後、雄イヌでは最大約60倍まで、および雌のビーグル犬では最大約130倍まで上昇した。
実施例9:げっ歯類反復投与毒性試験、腹腔内(i.p.)
式(Ia)の化合物は、雌性ラットにおける7日反復投与スクリーニング毒性試験で評価した。全身的な暴露を最大化するために、ラットに、式(Ia)の化合物を、i.p.(腹腔内)50mg/kg/日で7日連続して投与し、図6に示される結果を得た。臨床化学パラメーターを、3日目および8日目に評価した。組織病理学を、肝臓、腎臓、脾臓および肺を含む選択臓器で行った。式(Ia)の化合物の50mg/kg(IP)用量での投与後、有害な臨床兆候も、体重の変化も、臨床化学パラメーターの変化も記録されなかった。式(Ia)の化合物の投与後に、肝臓、腎臓、脾臓または肺における組織病理学的知見は観察されなかった。
式(Ia)の化合物は、雌性ラットにおける7日反復投与スクリーニング毒性試験で評価した。全身的な暴露を最大化するために、ラットに、式(Ia)の化合物を、i.p.(腹腔内)50mg/kg/日で7日連続して投与し、図6に示される結果を得た。臨床化学パラメーターを、3日目および8日目に評価した。組織病理学を、肝臓、腎臓、脾臓および肺を含む選択臓器で行った。式(Ia)の化合物の50mg/kg(IP)用量での投与後、有害な臨床兆候も、体重の変化も、臨床化学パラメーターの変化も記録されなかった。式(Ia)の化合物の投与後に、肝臓、腎臓、脾臓または肺における組織病理学的知見は観察されなかった。
病理学者の報告によれば、式(Ia)の化合物に関連する有害な影響は、試験3日目および8日目に回収された肝臓の部分でも、または試験8日目に回収された膵臓、腎臓および肺の部分でも確認されなかった。
これに対し、式(III)の化合物についての図6のデータでは、式(III)の比較化合物は、7日連続して、50mg/kg/日の7日反復投与後に式(Ia)と比較して肝毒性の血清バイオマーカーの上昇が示された。
実施例10:式(Ia)の化合物を含有する医薬組成物
薬学的に許容される処方物の成分は、式(Ia)の化合物を活性成分として、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)を可溶化剤および安定化剤として、ならびにHClをpH調節因子として含んでもよい。処方された投与溶液は、10mg/mLの式(Ia)の化合物および25%(w/v)のHPBCD(0.1Nの塩酸(HCl)、pH2.0に溶解)を含んでもよい。この処方物は、臨床部位での投与の前に再構成用の凍結乾燥剤形に変換されてもよい。
薬学的に許容される処方物の成分は、式(Ia)の化合物を活性成分として、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)を可溶化剤および安定化剤として、ならびにHClをpH調節因子として含んでもよい。処方された投与溶液は、10mg/mLの式(Ia)の化合物および25%(w/v)のHPBCD(0.1Nの塩酸(HCl)、pH2.0に溶解)を含んでもよい。この処方物は、臨床部位での投与の前に再構成用の凍結乾燥剤形に変換されてもよい。
式(Ia)の化合物を含有する製剤は、式(Ia)の化合物を、薬物(drug substance)(DS)として25%(w/v)のHPBCD中に、0.1MのHCl溶液中でpH2(±0.5)という最終標的で溶解することによって調製され得る。この配合された溶液は、その後の凍結乾燥のためにバイアルに充填されてもよい。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、必要に応じてナノ懸濁物、共結晶、噴霧乾燥分散剤および熱溶解押出として形成され得る。これらの技術は、それらの利用に基づいて選択されて、BCS薬物クラスIIの薬物化合物について成功を示し得る。選択された薬物送達技術の実現性評価は、実施例2の式(Ia)の化合物のHCl塩型を用いて行われ得る。
医薬組成物は、サイズ「00」のカプセルまたは等価な錠剤のサイズ中で、200〜500mgにおよぶ単位用量であってもよい。500mgの活性/単位用量が達成されれば、その技術の開発は、獲得可能な最高の用量を目的とされる。
好ましくは、式(Ia)の化合物を含有する医薬組成物は、術後疼痛を軽減させる(例えば、プラシーボと比較して術後疼痛の管理を、術後最初の24時間内のオピエート使用で、約50〜100%の軽減を達成する)ように処方され得る。式(Ia)の化合物を含有する医薬組成物は、経口投与された鎮痛剤としての使用、および/または炎症によって生じる疼痛の処置のため(例えば、急性疼痛をブロックするため、または損傷部位での炎症を予防または低減し、中枢感作を妨げるため)の処方される組成物における使用を含む、疼痛の処置のための使用について指定され得る。一実施形態では、式(Ia)の化合物を含有する医薬組成物は、適切な期間(例えば、7〜14日)BID投与されてもよく、投与の約30分以内に鎮痛効果を提供する。好ましくは、式(Ia)の化合物を含有する医薬組成物は、呼吸の抑制および/または薬物誘発性のCNSの影響なしに、疼痛スコアの臨床的に測定可能な減少を提供し得る。
実施例11:単一の漸増用量の第1A相試験
式(Ia)の化合物の6つの漸増用量の、無作為化二重盲検プラシーボコントロールクロスオーバー単一用量の安全性、耐容性、および薬物動態の試験を、健常男性ボランティアの2つのコホートで行った。全部で18例の好適な健常男性ボランティアを、交互のパネルデザインを利用して採用した。9例の対象の第一のコホート(コホート1)を、引き続き、6つの投薬期間のうち3つに登録した(投与レベル1、3および5)。9例の対象の残りのコホート(コホート2)を、他の3つの投薬期間に登録した(投与レベル2、4および6)。各々の投薬期間内に、対象は、式(I)の化合物(n=6)またはプラシーボ(n=3)に対して2:1に無作為に割り当てた。各々の対象は、1用量のプラシーボ、および2つの異なる用量の式(I)の化合物を、全ての3つの投薬期間において、それらの参加の過程にまたがって投与された。対象は、可能性のある3つの順序のうちの1つに均等に無作為化された、すなわち、1)プラシーボ、活性、活性、2)活性、プラシーボ、活性、および3)活性、活性、プラシーボ。
式(Ia)の化合物の6つの漸増用量の、無作為化二重盲検プラシーボコントロールクロスオーバー単一用量の安全性、耐容性、および薬物動態の試験を、健常男性ボランティアの2つのコホートで行った。全部で18例の好適な健常男性ボランティアを、交互のパネルデザインを利用して採用した。9例の対象の第一のコホート(コホート1)を、引き続き、6つの投薬期間のうち3つに登録した(投与レベル1、3および5)。9例の対象の残りのコホート(コホート2)を、他の3つの投薬期間に登録した(投与レベル2、4および6)。各々の投薬期間内に、対象は、式(I)の化合物(n=6)またはプラシーボ(n=3)に対して2:1に無作為に割り当てた。各々の対象は、1用量のプラシーボ、および2つの異なる用量の式(I)の化合物を、全ての3つの投薬期間において、それらの参加の過程にまたがって投与された。対象は、可能性のある3つの順序のうちの1つに均等に無作為化された、すなわち、1)プラシーボ、活性、活性、2)活性、プラシーボ、活性、および3)活性、活性、プラシーボ。
単一の漸増用量の第1A相試験は、式(Ia)の化合物に起因した安全性のシグナルなしで首尾よく完了した。
実施例12:アレルギーの喘息モデルにおける式(Ia)の化合物の有効性の評価
材料および方法
動物の準備:化合物を、その全体が参照によって本明細書に援用される、Abraham WM,Asthma & Rhinitis,2000:1205〜1227に報告される実験的喘息のヒツジモデルで試験した。全ての動物は、Ascaris suum抗原による吸入チャレンジに対する早期および後期の両方の気道応答を有することが示された。
材料および方法
動物の準備:化合物を、その全体が参照によって本明細書に援用される、Abraham WM,Asthma & Rhinitis,2000:1205〜1227に報告される実験的喘息のヒツジモデルで試験した。全ての動物は、Ascaris suum抗原による吸入チャレンジに対する早期および後期の両方の気道応答を有することが示された。
気道構造の測定:非鎮静状態のヒツジを、頭部を固定して腹臥位でカート中に拘束した。2%のリドカイン溶液を用いた鼻腔の局所麻酔後、バルーンカテーテルを片側の鼻孔を通して食道下部まで進めた。そのヒツジに、もう一方の鼻孔を通してカフ付きの気管内チューブを挿管した。胸腔内圧を食道バルーンカテーテルで見積もった。気管の側圧を、気管内チューブを通して進行して、その先端に対して遠位に配置した横穴付きカテーテル(内径、2.5mm)で測定した。肺内外圧差(気管圧と胸腔内圧との間の差)を、差圧変換器カテーテルシステムで測定した。肺抵抗(RL)の測定のために、気管内チューブの近位端を、呼吸気流計に接続した。気流および肺圧差のシグナルを、肺内外圧差、気道容積(デジタル積分によって得た)および気流からRLのオンライン算出のためにコンピューターに送った。5〜10回の呼吸の分析をL×cm H20/L/SにおけるRLの決定のために用いた。
エアロゾル送達システム:Ascaris suum抽出物のエアロゾル(リン酸緩衝化生理食塩水で20:1に希釈;82,000PNU/ml)を、使い捨ての医療用ネブライザー(RaindropR,Puritan Bennett)を用いて作成した。このネブライザーからの出力を、プラスチックt−ピースに向け、その1つを、Harvard人工呼吸器の吸気口に接続した。エアロゾル送達をさらによく制御するために、電磁弁および圧縮空気源(20 psi)からなる薬量計を、1秒間のHarvard人工呼吸器システムの吸入周期の初期に活性化した。エアロゾルを500mlの一回呼吸量および1分間に20呼吸の速度で送達した。カルバコールエアロゾルをまた、上記のネブライザーシシテムで生成した。
肺抵抗応答のデータ:式(Ia)の化合物についての肺抵抗データを、図8に示されるフローチャートによって収集した。エアロゾルカルバコールに対するベースライン濃度応答曲線は、薬物/ビヒクルでの処置の開始の1〜3日前に得た。図8を参照、ヒツジ(n=3/群)に、4日連続して、3、5、または10mg/kg経口(PO)の式(Ia)の化合物または5mL/kg(PO)のビヒクルを毎日投与した。ヒツジを、翌朝の投与の前は毎晩絶食させた。投与の連続4日目であるチャレンジの日に、ヒツジを、抗原チャレンジの2時間前に、経口的に式(Ia)の化合物またはビヒクルで処置した。肺抵抗(RL)のベースライン値は、処置の30分内に得て、次に抗原チャレンジの30分前に再測定した。RLの測定は、ヒツジをAscaris suum抗原でチャレンジした直後、チャレンジ後の1〜6時間は毎時間、そしてチャレンジ後61/2〜8時間は30分ごとに行った。チャレンジ後24時間の濃度応答曲線の決定を行った。
図9Aは、時間(時間)の関数として肺抵抗(RL)の測定から算出したデータを示す。図9Bは、図9Aにみられる式(Ia)の化合物に対する後期応答の定量を示す。図9Aを参照、Ascaris suum抗原投与直後に肺抵抗はピークになり、次に、RLは4時間まで低下した。ベースラインおよびビヒクルの両方での抗原チャレンジ4時間後に開始して、RLの後期の増大が観察された。同様の効果がまた、式(Ia)の化合物の3mg/kgの用量でも見られた。しかし、5および10mg/kgの用量は、時間経過における後期の肺抵抗の低下で有効であった。式(Ia)の化合物の5mg/kgの用量では、5mg/kgの投薬量は、約45%の阻害を示したが、10mg/kgの用量では、阻害%は、約75%と定量された(図9B)。
気道反応性亢進(PC 400 )データ:RLの測定は、緩衝液の吸入の直後、およびカルバコール溶液の漸増濃度(0.25%,0.5%、1.0%、2.0%および4.0%(w/v))の10呼吸毎の投与の直後に繰り返した。気道反応性を評価するために、緩衝後値(すなわちPC400)を超えてRL400%を増大した呼吸単位(breath units)(BU)の累積カルバコール用量を、用量反応曲線から算出した(図10)。1呼吸単位は、1%(w/v)のカルバコール溶液の1呼吸と規定される。図10を参照、式(Ia)の化合物の5mg/kgおよび10mg/kgの用量は、ベースラインの100%増大を示し、このことは、RLが抗原チャレンジの前のレベルまで戻ったことを示している。
参照による援用
本明細書で言及される全ての刊行物および特許は、あたかも個々の刊行物または特許が、参照によって詳細にかつ個々に援用されると示されるかのように、その全体が参照によって援用される。
本明細書で言及される全ての刊行物および特許は、あたかも個々の刊行物または特許が、参照によって詳細にかつ個々に援用されると示されるかのように、その全体が参照によって援用される。
同等物
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの同等物を認識するか、単なる慣用的な実験を用いて確認できる。このような同等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの同等物を認識するか、単なる慣用的な実験を用いて確認できる。このような同等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
Claims (41)
- 式(I)
- 塩酸塩型の請求項1に記載の化合物。
- 式(Ia)
- 式(Ia)の化合物の薬学的に許容される塩を含有する、請求項3に記載の医薬組成物。
- 式(Ia)の化合物の塩酸塩を含有する、請求項3に記載の組成物。
- 薬学的に許容される担体をさらに含有する、請求項3に記載の組成物。
- 前記担体が、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン化合物を含有する、請求項6に記載の組成物。
- 経口投与のために処方される、請求項6に記載の組成物。
- 動物またはヒトにおける疼痛の処置もしくは改善、または鎮痛を提供するための医薬の製造における、式(Ia)
- 式(Ia)の前記化合物が塩酸塩型である、請求項9に記載の使用。
- 前記疼痛が急性疼痛である、請求項9または10に記載の使用。
- 前記疼痛が慢性疼痛である、請求項9または10に記載の使用。
- 前記疼痛が術後疼痛である、請求項9または10に記載の使用。
- 前記疼痛が炎症性疼痛である、請求項9〜13のいずれかに記載の使用。
- 前記化合物または組成物が経口投与される、請求項9に記載の使用。
- 動物またはヒトにおける喘息の処置もしくは改善のための医薬の製造における、式(Ia)の化合物
- 式(Ia)の前記化合物が塩酸塩型である、請求項16に記載の使用。
- ヒトにおいて喘息を処置または改善することを含む、請求項16に記載の使用。
- 前記化合物または組成物が経口投与される、請求項16に記載の使用。
- 前記組成物が吸入による経口送達のために処方される、請求項16に記載の使用。
- 疼痛の処置もしくは改善または鎮痛を提供するための、式(Ia)
- 前記疼痛が、急性疼痛、慢性疼痛、術後疼痛または炎症性疼痛である、請求項21に記載の化合物。
- 喘息の処置または改善のための、式(Ia)
- ヒトにおいて喘息を処置または改善することを含む、請求項23に記載の化合物。
- 医薬としての使用のための、式(Ia)
- 塩酸塩型の請求項21、22、23、24または25に記載の化合物。
- 式(Ia)の化合物を製造する方法であって、
a)(S)−2−メチルピロリジンと5−ブロモ−2−クロロピリミジンとを反応させて中間化合物03を形成する工程と、
b)該化合物03中間体と化合物05(6−ブロモ−2−アミノピリジン)とを、1つ以上の反応によってカップリングさせて、中間化合物06を形成する工程と、
c)化合物06と化合物07とを、カップリング反応において反応させて、式(I)の化合物を形成する工程と、
を含む、方法。 - 式(Ia)の生成物であって、
a)(S)−2−メチルピロリジンと5−ブロモ−2−クロロピリミジンとを反応させて中間化合物03を形成する工程と、
b)該化合物03中間体と化合物05(6−ブロモ−2−アミノピリジン)とを、1つ以上の反応によってカップリングさせて、中間化合物06を形成する工程と、
c)化合物06と化合物07とを、カップリング反応において反応させて、式(I)の化合物を形成する工程と、
を含むプロセスによって得られる生成物。 - TRPA1を阻害または拮抗するための方法であって、式(Ia)の化合物を含有する組成物とTRPA1イオンチャネルとを接触させることを含む、方法。
- TRPA1イオンチャネルインヒビター化合物を特定するための方法であって、
(a)TRPA1に対して試験した場合、式(I)、(II)、(III)、および(IV)の化合物からなる群より選択される参照剤についての標準のIC50値を得ることと、
(b)TRPA1に対して試験した場合、試験化合物についてのIC50値を得ることと、
(c)標準のIC50値に対してIC50値を比較することと、
を含み、
標準のIC50値以下のIC50値を有する試験化合物を、TRPA1イオンチャネルインヒビター化合物として特定する、方法。 - TRPA1がhTRPA1である、請求項30に記載の方法。
- 前記参照剤が、TRPA1に特異的なイオン流入を阻害すると評価される、請求項30に記載の方法。
- 前記参照剤が、TRPA1に特異的なイオン電流を阻害すると評価される、請求項30に記載の方法。
- 式(I)の前記化合物が、式(Ia)
- 式(Ia)の生成物であって、
b)該化合物03中間体と化合物05(6−ブロモ−2−アミノピリジン)とを、1つ以上の反応によってカップリングさせて、中間化合物06を形成する工程と、
c)化合物06と化合物07とを、カップリング反応において反応させて、式(I)の化合物を形成する工程と、
を含むプロセスによって得られる生成物。 - 式(Ib)の生成物であって、
b)該化合物03中間体と化合物05(6−ブロモ−2−アミノピリジン)とを、1つ以上の反応によってカップリングさせて、中間化合物06を形成する工程と、
c)化合物06と化合物07とを、カップリング反応において反応させて、式(Ib)の化合物を形成する工程と、
を含むプロセスによって得られる生成物。 - TRPA1を阻害または拮抗するための方法であって、式(I)
- 式(I)の前記化合物が、式(Ia)
- 疼痛の処置もしくは改善、または鎮痛を提供するための、式(Ib)
- 喘息の処置もしくは改善のための、式(Ib)
- 塩酸塩型である、請求項39または40に記載の化合物。
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