JP2014521405A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、流体分注用マニホールドに関する。
バイオテクノロジーや医薬品業界による無菌液体製品の製造および処理においては、無菌液体製品を貯蔵容器から、その後の処理、試験またはその他の目的に使用される複数のより小さな容器(一般的には袋である)に同時に分注するために、マニホールドがしばしば使われる。従来のマニホールドは通常、T形およびその他のコネクタを用いて手作業で接続される複数の管区分材から製造される。その後、組み立てられた管に複数の袋が手作業で接続される。こうしたマニホールドによって、貯蔵容器と、より小さな容器と、の間での液体製品の移行はうまくできるものの、このようなシステムには、特に無菌液体の場合、多くの欠点がある。
まず、従来のマニホールドは組立に時間が掛り、労力を要する。管アセンブリはまた、不便で扱いにくいこともありえる。これに加えて、従来のマニホールドでは必要な接続箇所の数が多いため、接続が不良となり、すなわち漏れが発生して、処理中の無菌液体が汚染されるリスクが高まる。さらに、マニホールドは、管区分材を切断し、プレスによって一体化することにより製造されるため、切断や組立工程から生じる粒子状物質が管内に入り込む可能性がある。すると、この望ましくない粒子状物質は管内を移動する流体中に浮遊し、流体と共に袋の中へと運ばれる可能性がある。その結果、流体中に望ましくない微粒子が存在することになる。
粒子状物質の取り込みに加えて、管には空気等の気体も入る。流体が管を通って容器の中へと流れる際に、流体がこの気体を容器へと押し出す。この気体は、流体に使えるはずの空間を占拠することと、この気体が流体に悪影響を与えうることから、望ましくない。最後に、管の中にはかなり大きい通路が通っていることがあるため、容器が満杯になった後に管内に多量の流体が保持されている可能性がある。この流体は、管から取り出すことが困難でありえ、それ故、流体が無駄になるという望ましくない結果を招くことがある。
したがって、当業界では上記の欠点の1つまたはいくつかを克服する改良型の流体マニホールドシステムが求められている。
ここで、本発明の各種の実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。当然のことながら、これらの図面は本発明の代表的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定しないと考える。図中、同様の数字は同様の要素を指す。さらに、同じ要素の複数個の例は、各々がその要素の番号に別々の添え字を含む場合がある。例えば、特定の要素「20」の2個の例には、「20a」、「20b」の符号が付与されるかもしれない。この場合に、その要素の符号を、添え字を含めずに(例えば、「20」)用いることによって、その要素の個々の例をまとめて指すことがあり、またその要素の符号に添え字を含めれば(例えば、「20a」)、その要素の特定の例を指す。
明細書および付属の特許請求項の中で使用される場合、方向を示す用語、例えば「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、「近位」、「遠位」等は、ここでは相対的な方向を示すためだけに使用されており、それ以外に本発明や特許請求項の範囲を限定するとは意図されない。
本願は、無菌または非無菌流体、例えば液体、紛体、気体、もしくはその他の材料または材料の組み合わせがその中を流動できる流体マニホールドシステムに関する。「発明を実施するための形態」、「要約」および本願に付属する特許請求項の中で使用される場合、「流体接続」という用語またはこれと同等の語句は、流体がそこを通過できる接続を意味するが、これは「液体」に限定されない。例えば、本発明の各種の実施形態において、発明的なコネクタシステムは、液体、気体、紛体、その他の形態の固体、および/またはこれらの組み合わせを通過させようとする「流体接続」を形成できる。
流体マニホールドシステムは、多岐にわたる分野において様々な用途のために使用できる。例えば、ただしこれに限定されないが、流体マニホールドシステムは、バイオテクノロジー、医薬、医療、化学工業において、無菌または非無菌液体製品の製造、加工、処理、輸送、サンプリング、貯蔵および/または分注に使用できる。流体マニホールドシステムに使用可能な無菌液体製品の例としては、媒質、緩衝液、試薬、細胞および微生物培養物、ワクチン、化学薬品、血液、血液製剤、その他の生物学的および非生物学的流体がある。
クリーニングや保守を不要とするために、流体マニホールドシステムは使い捨ての設計とすることができる。あるいは、これらは再使用可能とすることもできる。本発明の流体マニホールドシステムは、無菌材料を移動させるための無菌接続の形成に使用できるが、当然のことながら、この流体マニホールドシステムはまた、非無菌またはある程度まで無菌の接続を行うためにも使用できる。
図1に、発明的なマニホールドシステムの1つの実施形態を使用できる例示的な分注システム100が示されている。分注システム100は、分注容器102と、これに流体連結されているマニホールドシステム104と、それらの間で流体を移動させるポンプ106と、を含む。分注システム100は、無菌または非無菌の生物学的またはその他の種類の流体の分注に使用できる。
分注容器102は、流体を貯蔵できるどのような種類の容器または構造であってもよい。例えば、分注容器102は、流体を格納するステンレススチール製容器等の剛性容器とすることも、または流体を格納する可撓性の袋とすることもでき、可撓性の袋は通常、支持用筐体の中に設置される。分注容器102はまた、機能的に異なる種類の容器システム、例えば混合容器、発酵槽、または細胞や微生物の育成に使用される生物反応器とすることもできる。使用可能な生物反応器の一例は、2009年2月10日に発行された特許文献1に開示されており、これを直接参照によって本願に援用する。当業者に知られているとおりの他のタイプの分注容器102もまた、使用することができる。
ポンプ106は、分注容器102と流体マニホールドシステム104との間の流体流動を制御するために使用される。ポンプ106を作動させると、流体が制御された方法で分注容器102から導管107を通って流体マニホールドシステム104の中へと流れる。ポンプ106は、当業者により知られている従来の分注システムで使用されるどのようなポンプでもよい。例えば、ポンプ106は一般に、導管107に関連して動作し、導体を通じて流体を送出する蠕動ポンプである。この実施形態において、導管107は通常、可撓管である。代替的実施形態では、ポンプ106は、流体が直接ポンプを通過する従来の流体ポンプとすることができる。
いくつかの実施形態において、ポンプ106は省略でき、流体マニホールドシステム104を分注容器102に直接流体接続することができる。例えば、ポンプ106は、重力を利用して流体を分注容器102から導管10を通って流体マニホールドシステム104へと流すような分注システムでは省略してもよい。
分注容器102と流体マニホールドシステム104の間の導管107は、可撓管、ホース、剛性パイプ、または当業界で知られている他の種類の導管とすることができる。希望に応じて、1つまたは複数のフィルタを導管107に流体連結し、その中を通過する流体を濾過および/または滅菌することができる。
流体マニホールドシステム104は、マニホールド108と、それに取り外し可能に流体連結された1つまたは複数の受容容器110を含む。図2を参照すると、当業界では充填袋とも呼ばれる各受容容器110は、近位端260から、間隔が空いている遠位端262へと延びる本体258を含む。本体258は通常、可撓性のポリマ材料の1枚または複数のシートからなる可撓性袋であるが、他の材料も使用できる。より具体的には、本体258は通常、平面的な枕状の袋であり、これは2枚のポリマシートを重ねて周囲をシーム接合し、流体区画を形成したものである。他の実施形態において、本体258は立体的な袋とすることができる。本体258は、後述のマニホールド108と同じ種類の材料で作製できる。1つの実施形態において、本体258はマニホールド108と同じ材料で作製される。
1つまたは複数の吊下げ穴264を、本体258のシーム接合された外周縁の、遠位端262またはその他の位置に開けることができる。吊下げ穴264は、当業界で知られているように、受容容器110への充填後に受容容器110を吊り下げるために使用される。
本体258は、内面268を有する外壁266を含み、これが区画270を形成する。流体入口272と流体出口274が外壁266を貫通して延び、区画270と流体連通する。流体入口272を通じて、流体がマニホールド108から区画270の中に流れ、流体出口274を通じて、受容容器110の充填後に流体が区画270から出る。図の実施形態において、流体入口272と流体出口274は本体258の、吊下げ穴264と反対の端(すなわち、近位端260)に配置されているが、そうする必要はない。さらに、流体入口272と流体出口274は相互に同じ端に設置されているように描かれているが、そうする必要はない。例えば、流体出口274を遠位端262から延ばすこともできる。
図7を参照すると、受容容器110はさらに、本体258の流体入口272および/または流体出口274に位置付けられた1つまたは複数のコネクタを備える。各コネクタは、ポート、管または、流体入口272または流体出口274を通じた区画270との流体接続を可能にするその他のコネクタとすることができる。例えば、図7に示される実施形態において、コネクタは管180とすることができ、これは第一の端178から、間隔が空いている第二の端182までの全範囲にわたって延びる内腔181を有する。第一の端178は流体入口272において受容容器110に連結される。第二の端182は、後述のようにマニホールド108と流体連結されるように構成される。管180は、溶接、接着、圧入、締着またはその他の方法で受容容器110に固定される。
同様に、第一の端196から、間隔が空いている第二の端198までの全範囲にわたって延びる内腔194を有する管192を、流体出口274において受容容器110に連結することができる。管192は、管180と同様の方法で受容容器110に固定できる。管192は、区画270の充填後に区画270から流体を分注するために使用されるため、管192の第二の端198は、区画270に流体を充填する前にクランプまたはシールで閉じ、後に流体の分注が必要となった時に開放または開封することができる。管192を密閉するためには、当業界で知られているように、その第二の端198を溶接し、あるいはシーム接合により閉じることができる。管192を通じて流体を区画270から流出させたい時には、密閉された第二の端198を切り取ることによって内腔194を開放して、流体がそこを通れるようにすることができる。あるいは、コネクタを第二の端198に取り付けて管192を密閉してもよい。例えば、後述のものと同様の無菌コネクタを第二の端198に取り付けることもできる。
管180と192は、受容容器の充填要求と最終用途に基づいて、どのような所望の長さでもよく、一般に可撓性である。さらに、管180の長さは管192と同じでも違ってもよい。
図2に示されるように、マニホールド108は外周縁112を有し、これは近位縁114と、間隔が空いている遠位縁116と、第一と第二の側縁118、120と、を含む。流体入口122が近位縁114に配置され、分注容器102および/またはポンプ106から導管107を通じて流体を受ける。複数の流体出口124が片側または両側の側縁118、120に配置される。当然のことながら、流体入口122と流体出口124は、希望に応じて外周縁112のどの位置に配置することもできる。流体出口124の数は決まっていない。例えば、いくつかの実施形態においては、2〜8つの流体出口が一般的である。いくつかの実施形態においては、少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも6つ、または少なくとも8つの流体出口124が使用される。それ以外の数の流体出口も使用できる。
流体流路126がマニホールド108の中に形成され、流体入口122を各流体出口124に流体連結する。流体流路126には一次流路128が含まれ、これは流体入口122と連通し、近位縁114から遠位縁116まで延びる。また、間隔が空いている複数の二次流路130も含まれ、これはそれぞれ別の流体接合部132において一次流路128から分岐する。二次流路130の各々は、間隔が空いている複数の流体出口124のうちの、対応するものと連通する。そのため、二次流路130の数は通常、流路出口124の数と同じであるが、そうする必要はない。
流体流路126は、希望に応じて、全ての受容容器110が実質的に同じ速度で充填されるように設計できる。例えば、一次流路128を、図の実施形態のように、その長さに沿って先細にすることができる。一次流路128を先細にすることは、二次流路130の各々への流体圧力を実質的に一定に保つのに役立つ。これに加えて、二次流路130の各々を1カ所または複数カ所でつまむか閉じることによって、対応する受容容器110への流体の流れを制御し、同じ量の流体が二次流路130の各々を流れるようにすることができる。あるいは、二次流路130の各々を、対応する受容容器110が所望の量まで充填された後でのみつまむか閉じることもできる。このように、流体を各受容容器110の中に異なる速度で流してもよく、対応する二次流路130を、他より早く、または遅く閉じることができる。さらに、一次流路128と二次流路130は、受容容器110を1つずつ、または所定の組み合わせのいずれかで順番に充填できるように選択的に挟み、または閉じることができ、これについては後で詳しく説明する。
一次流路128の最大断面直径または膨張前の幅は、約0.2cm〜約10cmの範囲とすることができ、約0.2cm〜約5cmが一般的である。それ以外の範囲の最大断面直径または膨張前の幅もまた可能である。二次流路130の最大断面直径または膨張前の幅は一次流路128と同じか、それより小さくすることができ、一次流路128から垂直に延ばしても、または図の実施形態のように、それから斜めに延ばしてもよい。
図の実施形態では、マニホールド108は実質的に長方形である。他の形状もまた使用できる。例えば、マニホールド108は楕円形、円形、多角形とすることも、またはその他の規則的または不規則的な形状とすることもできる。例えば、図10Aはマニホールドが実質的に円形の実施形態を示している。
1つの実施形態において、マニホールド108は本体138を含み、これは対向する可撓性シートからなり、これらが相互に連結されて、間に流体流路126が形成される。例えば、図3に示されるように、本体138は第一の可撓性シート140aと第二の可撓性シート140bからなり、各々がそれぞれ内面142a、142bとその反対の外面144a、144bを有する。第一の可撓性シート140aは第二の可撓性シート140bの上に、両方の可撓性シートの内面142aと142bが直接相互に接するように設置される。後により詳しく説明するように、内面142aと142bはシーム線に沿って選択的に相互に固定され、それらの間に流体流路126が形成される。各シートに1つまたは複数の位置合わせ穴145を設けて、後述のように、マニホールドの製造中、その位置合わせに役立てることができる。
各シート140は、可撓性の流体および/または気体不透過性材料、例えば低密度ポリエチレンまたはその他のポリマシートで構成でき、厚さは約0.1mm〜約5mmで、約0.2mm〜約2mmが一般的である。他の厚さも使用できる。各シート140は、単層の材料で構成することも、2つまたはそれ以上の層を密着させるか分離させて二重壁構造を形成したもので構成することもできる。層を相互に密着させる場合、材料は積層または押出成形材料とすることができる。積層材料は、個別に形成された2つまたはそれ以上の層とすることができ、これらがその後、接着剤によって一体に固定される。
押出成形材料は1枚の一体シートとすることができ、これは接触層によって分離可能な異なる材料の2つ以上の層を含む。これらの層はすべて、同時に共押出することができる。本発明において使用可能な押出成形材料の一例は、ユタ州ローガンのHyClone Laboratories,Inc.から入手可能なHyQ CX3−9フィルムである。HyQ CX3−9フィルムは、cGMP適合施設で製造される3層の9ミリキャストフィルムである。外層は、超低密度ポリエチレン製品の接触層とともに共押出されるポリエステルエラストマである。本発明において使用可能な押出成形材料の他の例は、同じくHyClone Laboratories,Inc.から入手可能なHyQ CX5−14キャストフィルムである。HyQ CX5−14キャストフィルムは、ポリエステルエラストマの外層と、超低密度ポリエチレンの接触層と、それらの間に配置されるEVOHバリア層と、を含む。また別の例では、3枚の独立したインフレーションフィルムのウェブから製造される多層ウェブフィルムを使用できる。2枚の内側ウェブは各々、4ミリの単層ポリエチレンフィルム(HyCloneによりHyQ BM1フィルムと呼ばれる)であり、外側のバリアウェブは厚さ5.5ミリの6層共押出成形フィルム(HyCloneによりHyQ BX6フィルムと呼ばれる)である。
この材料は、生体細胞と直接接触することが承認され、溶液の無菌性を維持することができる。このような実施形態において、この材料はまた、電離放射線等によって滅菌可能である。異なる状況で使用可能な材料の例は、2000年7月4日に出願された特許文献2と、2003年4月24日に公開された特許文献3において開示されており、これらを直接参照によって本願に援用する。
当然のことながら、第一と第二の可撓性シート140aと140bは、あるいは、1枚のシートを2つに折り、2つの別々の部分を形成したものから形成することもできる。このような実施形態において、第一と第二の可撓性シート140aと140bは2つに折られてできた別々の部分の各々に対応する。当然のことながら、2枚よりも多くのシート140を使ってマニホールド108を形成することもできる(例えば、図11参照)。
1つの実施形態において、流体流路126は、可撓性シート140aと140bを選択的に相互に溶接することによって形成される。例えば、図3に示される実施形態では、第一と第二の可撓性シート140aと140bは、それらの間の流体流路126の外周の輪郭を描き、これを形成するシーム線に沿って溶接されている。可撓性シート140aと140bの溶接によるシーム線146の形成は、熱溶接、RFエネルギー、超音波、およびその他の従来の溶接法を使って実行できる。シーム線146の形成には、他の従来の方法、例えば接着剤、圧着またはその他の従来の接着もしくは締着方式、またはその他当業界で知られている方法を使用できる。
希望に応じて、シーム線147もまた、シート140aと140bの外周縁に沿って、および特に位置合わせ穴145の領域を通るように形成できる。当然のことながら、シート140aと140bの領域全体を、流路126の領域を除いて相互にシーム接合することができる。しかしながら、この範囲でシーム接合することは非効率的で不必要かもしれない。上記の工程を使って本体138を形成することにより、マニホールド108は、流路126がどのような所望の構成であっても、容易かつ安価に製造できる。
可撓性シート140の各々は外側に撓むように構成され、それによって流体は流体流路126の中をより流れやすくなる。例えば、図4Aと4Bはそれぞれ、流路126が空の時と流体が流路126の中を流れている時の、流体流路126の一部を示している。図4Aに示される、流体の流れていない位置では、可撓性シート140a、140bの内面142a、142bが相互に接しており、流体流路126の中にはほとんど空間がない。そのため、流路126には気体または流体がほとんど流れていない。しかしながら、図4Bに示される、流体が流れている位置では、シート140a、140bの両方が外側に撓んでおり、内面142a、142bは相互に接触せず、それによって流体流路126が開き、その中を流体が自由に流れる。
使用前、流体流路126はまず、図4Aの、流体が流れていない位置にあり、それゆえ流路126の中にはほとんど気体がない。流体が分注容器102と受容容器110の間で流れると、流体流路126は図4に示される、流体が流れている位置へと移動する。流動する流体は流路126の中の気体を受容容器110の中へと押し出す。しかしながら、流路126の中には気体がほとんどないため、受容容器110の中へと押し出される気体もほとんどない。受容容器110の中の気体は最小限にすることが好ましく、これは、気体が液体のために使いたい空間を占拠する可能性があり、また液体に悪影響を与えうるからである。受容容器110が所望の量まで充填されたところで、受容容器110への流体の流れを止め、そのためには分注容器102からの流れを停止させるか、流路126を通る流れを圧着し、挟み、密閉するか、またはその他の方法で受容容器110への流れを密閉するが、これについては後述する。
希望に応じて、流体の流れを停止した後、マニホールド108の流体流路126の中に残っている流体は、受容容器110の中に、または他のいずれかの容器の中に容易に絞り出し、または掻き出すことができる。例えば、マニホールドの長さの少なくとも一部に沿って流体流路を徐々に潰すことによって、流体流路内の流体の一部を受容容器のうちの1つへと押し出す工程を使用することができる。これは、スクイージ、スクレーパ、ローラまたは、可撓性シート140aに押し付けて、流路126の全部または部分に沿って動かし、流体を流路の下流に、そして容器の中へと押し出すその他のツールを使って達成できる。これは流体の浪費を最小限にする。いくつかの実施形態においては、可撓性シート140に弾力性があり、それによって、流体流路126を通る流体の流れが終わると、流体流路126が図Aの、流体が流れていない位置に戻り、その結果、流体流路126の中に残っている流体がすべて容器へと流れることになる。
これに対して、従来のマニホールドは通常、管類から作製されるため、流体を従来のマニホールドから絞り出し、または掻き出すことは、特に、一般に剛性である接合部において、はるかに困難である可能性がある。同様に、管類は使用前に十分に膨張するため、管類の中に大量の望ましくない気体が含まれ、これが充填段階中に流体によって受容容器へと押し出される。
それ故、本発明は従来のマニホールドと比較して、流体の無駄が減り、受容容器の中へと押し出される気体も減少するため、有利である。多くの例において、マニホールドから移動される流体は高価であり、例えば1オンス(約28.3g)あたり数千ドル以上もする。このような場合、本発明の実施形態を利用すれば、大幅な金銭的節約が可能となる。
シート140は、それを液体や気体が透過するのを防止し、流路126をとその中を流れる流体を無菌状態に保つように設計することができる。そのために、可撓性シート140は、単層または、希望に応じて、各々を同じまたは異なる材料で構成して同じまたは異なる特性を持たせた複数の層で作製できる。各々が異なる特性を有する複数の層を選択することによって、マニホールド108は、そのマニホールドの作製目的である具体的な用途の個々のニーズを満たすように形成することができる。
図3を参照すると、マニホールド108は、本体138の流体入口122および/または流体出口124の中に設置される1つまたは複数のコネクタをさらに含む。各コネクタは、連結装置および/またはポートまたは、流体接続を確立できるその他のコネクタとすることができる。例えば、図の実施形態では、入口カプラ150が流体入口122の中に固定され、多数の出口カプラ152と153が個々の流体出口124の中に固定される。ポート155は、また別の流体出口124の中に固定される。図5は、流体入口122の中に固定された入口カプラ150の拡大図である。図6と7は、流体出口124の中に固定された、それぞれ出口カプラ152と153の拡大図を含む。
図5に示されるように、入口カプラ150は、第一の端156から、間隔が空いている第二の端158へと延びる管状本体154を含む。本体154は、その中に延びる通路160を形成する。第一の端156は、流体入口122において、シート140aと140bの間に、溶接、接着剤、圧入、ファスナまたは、当業界で知られているその他の固定方法によって固定される。入口カプラ150の第二の端158は、導管107の端162を受けるように構成され、導管の反対の端は、前述のように分注容器102またはポンプ106に流体連結される。導管107は、溶接、接着、締着、圧入またはその他の方法で入口カプラ150に固定できる。
そうする必要はないが、1つまたは複数の返し168またはその他の固定部材を入口カプラ150に設けて、導管107の入口カプラ150への固定に役立てることができる。この実施形態では、導管107を返し168に沿ってスライドさせ、その後、端162の周囲をタイで縛り、密閉された接続部を形成することができる。入口カプラ150は、ポリマ材料、金属、セラミックもしくはその他の材料またはその組み合わせから作製でき、通常は、それが受ける導管107より剛性である。当然のことながら、ルアロックまたは無菌コネクタ等、その他の従来の流体コネクタを使って、入口カプラ150と導管107とを流体連結することもできる。(例えば、図12の無菌コネクタ256を参照)。また別の実施形態では、導管107の端162は流体入口122において、シート140aと140bの間で直接密閉できる。
図6に示されるように、各出口カプラ152もまた、第一の端172から、間隔が空いている第二の端174まで延びる管状本体170を含んでいてよい。本体170は、その中に延びる通路176を形成する。第一の端172は、流体出口124において、溶接、接着剤、圧入、ファスナまたは、当業界で知られているその他の固定方法によって固定される。出口カプラ152の第二の端174は、受容容器110のうちの1つの流体入口272から延びるコネクタの端を受けるように構成される。例えば、図の実施形態において、出口カプラ152の第二の端174は、出口管180の第二の端182に接続され、その第一の端178は前述のように、流体入口272において受容容器110のうちの1つに流体連結される。出口管180は、出口カプラ152の中またはその上に溶接、接着剤、圧入またはその他の方法で固定することができる。他の固定方法もまた使用できる。入口カプラ150と同様に、各出口カプラ152にも1つまたは複数の返し184またはその他の固定部材を設け、出口カプラ152の出口管180への固定に役立てることができる。出口カプラ152は、上述の入口カプラ150と同じ種類の材料で作製できる。
図7を参照すると、代替的な出口カプラ153が、受容容器110とマニホールド108の間の流体連通の生成に使用されている。出口カプラ153は出口カプラ152と同様であるが、例外は、出口カプラ153がそこから半径方向に延びる返しを含んでいない点である。受容容器110をマニホールド108に取り付けるには、出口カプラ153の第一の端172をマニホールド108の流体出口124の中に設置し、出口カプラ153の第二の端174を受容容器110の出口管180中に設置する。次に、マニホールド108と管180を溶接、接着、締着またはその他の方法で出口カプラ153に固定できる。
入口カプラ150および出口カプラ152と153は、無菌または非無菌接続を確立するために使用できる。無菌流体接続のために、マニホールド108と受容容器110を含むマニホールドシステム104は、マニホールドシステム104と受容容器110を相互に流体固定したところで、単独のユニットとして滅菌できる。あるいは、マニホールド108と受容容器110は、別々に滅菌することもできる。その後、必要に応じて受容容器110を選択的にマニホールド108に連結できる。
例えば、図8に示されるように、無菌コネクタ186を使って、マニホールド108を受容容器110および/または分注容器102に取り付けることができる。無菌コネクタ186は通常、2つの嵌合部分188と190を含み、いったん滅菌された後は内側区画を無菌状態に保つことができるように各々がシールで密閉される。嵌合部分188と190はそれぞれ出口カプラ153と管180に固定される。受容容器110をマニホールド108に流体連結するには、嵌合部分188と190を相互に固定してからシールを嵌合部分から取り除き、両者間を流体連通させる。シールは、嵌合部分188と190を相互に固定してから取り外されるため、その内部区画は無菌状態に保たれる。
あくまでも例として、入口カプラ150もしくは出口カプラ152と153の代わりに、またはそれらと組み合わせて、PALL KLEENPACK(登録商標)コネクタを使って、マニホールド108と受容容器110および分注容器102との間を無菌接続できる。これによって、受容容器110をマニホールド108から外すことができ、しかもその中の流体を無菌状態に保持できる。PALLコネクタについては特許文献4に詳細に記載されており、その内容の全体を参照によって本願に援用する。
ポートは、どの流体入口または出口にも、単独で、またはカプラと一緒に設置できる。例えば、図3、9、10は、それぞれ上側シート140aに設けられたマニホールド出口124、容器入口272、および上側シート204に設けられたマニホールド入口214に設置されたポート155、276、202を示している。ポート155、276、202は、受容容器110とマニホールド108に接続するための代替的実施形態である。
図9を参照すると、ポート276は受容容器110の流体入口272に設置され、出口管180はポート276に取り付けられる。ポート276は、第一の端222から、間隔が空いている第二の端224に延びる管状本体220を含む。本体220は、その中に延びる通路226を形成する。フランジ228は、第一の端222において管状本体220から半径方向に外側に延びる。ポート276は、流体入口272の中に設置され、それによって管状本体220の第二の端224は受容容器110から外側に延び、フランジ228は、流体入口272が形成されている外壁266の内面268に固定される。フランジ228は、熱溶接、RFエネルギー、超音波およびその他の従来の溶接法によって、あるいは接着剤または、当業界で知られているあらゆるその他の従来の取付または固定方式を使って内面268に固定することができる。1つまたは複数の返し230またはその他の固定部材を入口ポート202の第二の端224に、またはその付近に設けて、管180またはカプラのポート276への固定に役立てることができる。ポート276は、ポリマ材料、金属、セラミックもしくはその他の材料、またはその組み合わせで作製できる。
ポート155は、ポート276と同様の構造を有し、同じ種類の材料で作製することができる。ポート155は、図3に示されるように、カプラ152と153の代わりに使用できる。ポート202は、図10Aと10Bに示されるように、入口カプラ150の代わりに使用できる。
図10Aと10Bは、代替的実施形態のマニホールド200を示している。マニホールド108と同様に、マニホールド200は一対の可撓性シート204aと204bを有し、その内面206aと206bが対面している。また、マニホールド108と同様に、マニホールド200は、その間に流体流路208が形成され、これは一次流路210と、流体入口214と複数の流体出口216の間に延びる複数の二次流路212を含む。流路208と210は、前述のようにシーム線146によって形成され、これらは可撓性シート204aと204bを相互に溶接またはその他の方法で固定することによって形成される。マニホールド200はまた、外周縁218を有していてもよいが、長方形の形状の代わりに、マニホールド200は実質的に円形である。さらに、流体入口214は、外周縁218の上に設置される代わりにマニホールド200の上の中央に設置され、シート204の一方のみに形成される。流体出口216は、外周縁218の周囲に設置され、それによって二次流路212は実質的にスポーク様のパターンを成し、流体入口214がこのスポークのハブに設置される。
前述のように、入口ポート202は流体入口214の中に設置され、それによって管状本体220の第二の端224がマニホールド200から外側に延び、フランジ228はシート204の、流体入口214が形成されている内面206に固定される。フランジ228は、ポート276のフランジ228を受容容器110に固定することに関して上述した方法と同様に、シート204の内面206に固定することができる。1つまたは複数の返し230またはその他の固定部材も入口ポート202の第二の端224に、またはその付近に設けて、入口管またはカプラの入口ポート202への固定に役立てることができる。
前述のように、本発明の実施形態によるマニホールドは、2枚よりも多いシートから構成することもできる。例えば、図11は、第一と第二のシート140aと140bの間に設置され、外周縁112に沿って密閉状態に固定された第三と第四のシート140cと140dを含むマニホールド240を示している。希望に応じて、追加のシート140cまたは140dのいずれかの部分を第一と第二のシート140aと140bの間で除去して、シート140aと140bの内面142aと142b(図3)の間にスペースを設けることができる。例えば、追加のシート140cと140dは、これらがシート140aと140bの間の、外周縁の周囲および/または流路の周囲またはその付近のみに設置されるような形状とすることができる。したがって、図7に示されるように、流体出口124とそれに関連する流体流路を、完全に、または部分的に4枚すべてのシートによって形成することができる。第三と第四のシート140cと140dは三角形とすることも、希望に応じてその他のどの形状とすることもできる。さらに、図の実施形態では2枚の追加のシートが示されているが、当然のことながら、1枚のみの追加のシートまたは3枚またはそれ以上の追加のシートも使用できる。前述のように、それぞれのシートの特性は所望の目的に応じて同じでも違ってもよい。例えば、シート140cと140dは気体バリア層とすることができる。
図12は、複数のマニホールドを直列で使用することが望ましい場合に使用可能な代替的実施形態のマニホールド250を示している。マニホールド250は、数点を除き、マニホールド108と同様である。一次流路128が先細となっているマニホールド108とは異なり、マニホールド250の一次流路128はその長さ全体に沿って断面積が実質的に一定に保たれているが、そうでなくてもよい。これに加えて、マニホールド250においては、一次流路128が遠位縁116にある延長用出口252まで延びる。その結果、コネクタを延長用出口252の中に固定して、マニホールドを相互に流体接続することができる。コネクタは、上述のカプラとポートのいずれかと同様の、カプラ254等のカプラまたはポートを備えることができる。
カプラまたはポートは、管によって他のマニホールドの流体入口122に流体接続することができる。あるいは、図12に示されるように、上述のものと同様の無菌コネクタ256の対向する部分を使って、マニホールド250と108を接続することができる。無菌コネクタ256の部分は、入口122と延長用出口252を通って延びるカプラまたはポートに接続することができ、それによってこれらの部分が接続された時に密閉接続が保たれる。無菌コネクタ256を使用することによって、各マニホールド250を必要に応じて個別に滅菌し、使用することが可能となる。その結果、追加のマニホールド250を直列に足していくことは、それらの間に無菌コネクタ256を接続することによってマニホールド250を単純にデイジーチェーン方式でつなぐという簡単な方法とすることができる。無菌コネクタ256の使用により、システムを無菌状態に保てる。
マニホールドを直列で使用することによって、受容容器の数を増やすことができる。例えば、2つのマニホールドを連結すれば、受容容器110の数を2倍にできる。2つのマニホールド108と250だけを相互に接続したものが示されているが、当然のことながら、単純に延長用出口252を有するマニホールドを希望の数だけ接続することにより、3つまたはそれ以上のマニホールドを接続することも可能である。前述のように、各マニホールドの無菌性は、無菌コネクタを使ってマニホールドを流体連結することで保持できる。マニホールドはまた、並列に接続してもよく、その場合、2つまたはそれ以上のマニホールドが1つのマニホールドの出口に直接取り付けられる。その他の組み合わせも使用できる。直列に連結可能なマニホールドの数は、理論上、無限である。しかしながら、流体圧力損失、受容容器の数、流体の量等の現実的な検討項目から、実際上、望ましい限度が決まるであろう。
上述の流体マニホールドシステムの実施形態においては、マニホールドが選択的に相互に溶接された少なくとも一対のシートで構成され、マニホールドがコネクタを使って受容容器に流体接続される。代替的実施形態において、受容容器またはその少なくとも可撓性本体は、コネクタで別々にマニホールドまたはその可撓性本体に取り付けるのではなく、それと単独構造として一体に形成でできる。例えば、図13は、選択的な溶接またはその他によって同一のシートに形成されたマニホールド302と受容容器304を有する流体マニホールドシステム300を示す。
前述のマニホールドの実施形態と同様に、マニホールド302は可撓性本体303を有し、これは一対の可撓性シート306aと306bからなり、これらは相互に対面する内面308aと308bおよびそれと反対の外面309aと309bを有する。流体流路310は、前述のようには可撓性シート306aと306bを相互に溶接またはその他の方法で固定することによって形成されるシーム線146によってマニホールド302の中に形成される。流体流路310は、流体入口313から延びる主要流路312と、そこから延びる複数の二次流路314を含む。本体303は、流体入口313に固定された入口カプラ150(図3)を有することができる。しかしながら、二次流路314がシートの外周縁316の全体に延びる代わりに、二次流路314は同じシート306aと306bから形成される受容容器304へと延びる。図13に示されるように、主要流路312を前述のように延長用出口317まで延ばして、マニホールド302を他のマニホールドに直列に接続できるようにしてもよい。あるいは、延長用出口317を密閉するか、省略して、そこを流体が流れないようにすることもできる。
受容容器304は、マニホールド302と同じシートから形成されることによって、可撓性であり、フレキシブルバッグとも呼ぶことができる。各受容容器304は、前述とマニホールドが形成される方法と同様に形成できる。すなわち、各受容容器304は、可撓性シート306aと306bを選択的に溶接し、受容容器304の外周の輪郭を描くシーム線318を形成することによって形成できる。
受容容器110と同様に、各受容容器304は、近位端332から、間隔が空いている遠位端324まで延び、外壁326を有する本体320を含み、外壁の内面328が閉鎖区画330を形成する。流体入口332と流体出口334はそれぞれ、外壁326の近位端と遠位端322と324を通って延び、区画330と流体連通する。区画330と連通し、流体入口332からマニホールド302に向かって延びる流体流路335もまた形成される。受容容器110と同様に、1つまたは複数の吊下げ穴336も主要本体320に開けることができる。
受容容器304がマニホールド302と同じシート306から形成されるため、二次流路314の各々は、カプラを用いずに、流体流路335を通って対応する流体入口332へと継ぎ目なく流れるように形成することができる。すなわち、二次流路314の各々は、流体流路335およびその対応する流体入口332と一体に形成できる。それ故、マニホールド302の可撓性本体はシート306aと306bの第一の部分から形成でき、受容容器304の可撓性本体はシート306aと306bの連続する第二の部分から形成できる。
受容容器110と同様に、1つまたは複数のコネクタを受容容器304の本体320の流体出口334に溶接またはその他の方法で流体接続することにより、区画330の充填後に区画330から外に流体が流れるようにすることができる。各コネクタは、前述の他のコネクタと同様に、ポート、管、またはその他とすることができる。例えば、図の実施形態において、コネクタは受容容器304の流体出口334の中に固定される一対の管338を含む。管338は、前述の他の管と同様に、流体出口334において受容容器304に溶接、接着、締着またはその他の方法で固定できる。
希望に応じて、マニホールドシステム300は、容器の充填後にマニホールド302から受容容器304を簡単に切り離すための手段を含むことができる。例えば、各受容容器304に関して、複数のミシン目340が両方のシート306aと306bを貫通してもよく、これは可撓性シート306の外周縁316から、対応する受容容器304の周囲を通り、再び外周縁316に至る線状である。例外として、ミシン目340は流体流路310を横切っては形成されない。その結果、各受容容器304は、受容容器304aについて行われたように、その受容容器304に対応するミシン目340に沿って単純に破くことによって、マニホールド302から切り離すことができる。図の実施形態に示されるように、ミシン目340の部分は、複数の受容容器304により共有されてもよい。
ミシン目340を使用するか否かを問わず、受容容器304をマニホールド302から切り離す前に、受容容器304の流体入口332とマニホールド302の二次流路314を、流体流路335に沿ったいずれかの箇所で相互に分離し、密閉するべきである。流体入口332と二次流路314の両方が密閉されていないと、分離された時に受容容器304および/またはマニホールド302から流体が漏れるかもしれず、汚染物質がその中に進入するかもしれない。1つの実施形態において、流体入口332と二次流路314は、選択的溶接によって密閉される。これは、流体がマニホールド302から受容容器304へと通過した後に、シート306aと306bの、流体流路335に沿ったある位置に対応する部分を溶接することによって達成できる。例えば、図13では、受容容器304bに対応する流体流路335bが、溶接シーム342において溶接で閉じられている。図のように、溶接は受容容器304に対応するミシン目340と同位置とするべきである。このようにすることで、受容容器304aの場合と同様に、ミシン目340に沿って破くことによって受容容器304をマニホールド302から切り離した時に、切断線が溶接シーム342を通るため、その結果、シーム342の一部342aがマニホールド302と共に残り、シーム342の分離された部分342bは受容容器303と共にそこから離れる。これによって受容容器304とマニホールド302の両方が、分離後も密閉された状態となる。切断は、溶接工程の一部として行っても、またはその後行ってもよい。
前述のように、本明細書に記載のマニホールドは、2枚またはそれ以上のシートを相互に選択的に溶接することによって形成できる。前述のように、いくつかの実施形態において、受容容器は同じシート内で選択的に溶接することによって形成できる。1つの実施形態において、当業界で知られているように、溶接板を使ってシートを相互に溶接できる。図14は、図13に示されるマニホールドシステム300の形成に使用可能な一例としての溶接板350を示す。溶接板350は、上面354を有する板352を含む。多数の立ち上がり部分356が板352の上面354から外面358へと延びる。
図15に示されるように、溶接板350は、マニホールドシステム300の製造中にその立ち上がり部分356の外面358が一番上のシート306aと接触し、熱をシート306aと306bに伝える。その結果、溶接シームがシート306aと306bの間の、溶接板350の外面358が一番上のシート306aに接触した部分のみに形成される。そのため、溶接板350の外面358は、シート306aと306bの上の溶接シームの所望の位置に対応する。溶接板360は一般には金属で作製されるが、熱を伝達できるその他の材料もまた使用できる。
いくつかの実施形態においては、複数のマニホールドシステムを同時に製造できる。例えば、図16は、溶接板350を使って同時に形成可能な一対のマニホールドシステム300aと300bを示している。前述のように、各マニホールドシステム300aと300bは、内面308と外面309を有する一対のシート306aと306bを含む。図のように、マニホールドシステム300aと300bは相互に積み重ねられ、それによってマニホールドシステム300bの下側シート306bがマニホールドシステム300aの上側シート306aのすぐ上に位置付けられる。この実施形態において、内面308は溶接を可能にする材料で被覆されるか、またはそれにより作製され、外面309はシートを相互に溶接できなくする材料で被覆されるか、またはそれにより作製される。その結果、溶接板350をマニホールドシステム300bに押し付けると、溶接板350からの熱が両方のマニホールドシステム300aと300bの両方を通過するが、内面308だけが相互に溶接される。その結果、溶接板350が取り外されると、マニホールドシステム300aの上側シート306aの外面309とマニホールドシステム300bの下側シート306bが分離でき、それによってマニホールドシステム300aと300bを分離することができる。2つのマニホールドシステム300aと300bだけが示されているが、当然のことながら、同様の方法によって3つ以上のマニホールドシステムも同時に形成できる。
これに加えて、希望に応じて、同時に形成されたマニホールドシステムの間に1つまたは複数のポートを形成することができる。例えば、図17に示される実施形態では、マニホールドシステム300aの上側シート306aの一部と、隣接するマニホールドシステム300bの下側シート306bの一部を除去して、相互に同位置となる穴400と402を各シートに形成している。その後、両方のシート306aと306bの外面309の、開口部400と402を取り囲む部分を、溶接を可能とする材料で被覆し、その後、被覆された外面309を穴400と402の周囲で相互に溶接する。外面309のこのような溶接は、溶接板350を使ったマニホールドシステムの形成と同時に行うことも、あるいは、その後のいずれかの時点で行うこともできる。これが同時に行われる場合、穴400と402は、マニホールドシステムの形成前に形成される。穴400と402を相互に溶接することにより、マニホールドシステム300aと300bの間の流体連通が可能となる。この実施形態と後述の実施形態において、穴400と402は通常、マニホールドシステムのマニホールド302の一部(図13)に形成される。そのため、流体を異なるマニホールド302に逐次的に供給でき、その後これを別の受容容器に運ぶことができる。
図18に示される代替的実施形態において、連結材料406がマニホールドシステム300aと300bの間に設置され、それによって両方のシート306aと306bの穴400と402が覆われる。連結材料406はまた、それを貫通する穴408も形成している。連結材料406は円形であっても、穴400と402を取り囲むことのできるどのようなその他の形状であってもよい。連結材料406は、上側および下側シート306aと306bの両方の外面309に溶接されてもよく、または溶接可能なコーティングで被覆される。連結材料406は、穴408が上側および下側シート306aと306bの穴400および402と同位置になるように位置付けられ、その後、従来の方法で両方のシートに溶接される。前述の実施形態と同様に、この溶接は、溶接板350を使ってマニホールドシステムの形成と同時に行うことも、その後のいずか時点で行うこともできる。
図19A〜Cに示される他の実施形態において、剛性または実質的に剛性のコネクタ410を使って、隣接するマニホールドシステム300aと300bを、穴400と402を通じて一体に取り付けることができる。コネクタ410は、図19Aに示されるような1つの一体ユニットとすることも、または図19Bと19Cに示されるように、相互に取り付けられる複数の部分412と414で構成することもできる。図19Aに示されるように、コネクタ410は中空軸416を含み、これは軸416から半径方向に外側に延びる環状のフランジ418と420の間に延びる。通路422は、軸416の全体にわたって、2つのフランジ318と420の間に延びる。各フランジ418、420は、隣接するマニホールドシステム300aと300bの上側および下側シート306aと306bの内面308に当たって、軸416が穴400と402を通ってマニホールドシステムの間に延びるように設置される。
図19Cに示されるように、組み立てた状態のマニホールドシステム300aと300bは、通路422を通じて相互に流体連結される。フランジ418と420は、溶接板350によるマニホールドシステムの形成中か、またはその後のいずれかの時点で、周知の溶接方法を使って内面308に溶接される。図の実施形態において、コネクタ410は、図19Bに示されるように、2つの別々の部分412と414からなり、これらはまず穴00と402から挿入され、その後、接着、溶接、またはその他の取付方法によって図19Cに示されように相互に取り付けられる。単独の、一体のコネクタ410は、マニホールドの上側および下側シート306aと306bが可撓性および/または拡張可能であれば使用できる。
図17〜19に関して上述したマニホールドシステムの相互連結方法の各々は、穴400と402を通じた1カ所での連結に関しているが、当然のことながら、マニホールドシステム間で複数の穴を連結できる。例えば、希望に応じて、1つのマニホールドシステム300の各受容容器304を、上記の方法により、隣接するマニホールドシステムの中の対応する受容容器304に接続できる。当然のことながら、希望に応じて、各々の連結に別の方法を使用することもできる。
溶接板350はマニホールドシステム300に対応しているが、当然のことながら、受容容器がマニホールドと一緒に形成されないものを含め、本明細書に記載の他のマニホールドシステムのいずれかに対応する他の溶接板を使用することもできる。
図20Aは、本発明の1つの実施形態によるマニホールドシステム300に使用可能なテーブル370を示す。テーブル370はマニホールドシステム300に使用するように設計されているが、当然のことながら、テーブル370は本明細書に記載されているか、または想定されるいずれのマニホールドシステムに使用するようになされてもよい。
テーブル370は1つまたは複数の脚374の上に支持される上側部材372を含む。あるいは、上側部材372は、希望に応じて、脚374を一切用いずに使用することもできる。上側部材372は、2つの側縁378、380と2つの端382、384の間に延びる上面376を有する。1つまたは複数のマニホールド位置決め支援手段を使って、マニホールドシステムの位置決めに役立てることができる。マニホールドシステム300を構成するシート306の可撓性が非常に高いかもしれないため、マニホールド位置決め支援手段を設けることは、シート306を平らにし、マニホールドシステム300をテーブル370の上に最適に位置決めするのに役立つ。例えば、図の実施形態において、4つの位置合わせポスト386が上面376から上に向かって延び、マニホールドシステム300をテーブル370の上にセットする時、マニホールドシステム300の位置合わせ穴145が位置合わせポスト386と整合するように位置付けられる。他の種類のマニホールド位置決め支援手段、例えばクランプ、接着剤、コネクタまたはその他もマニホールド位置決め支援手段として使用できる。
希望に応じて、1つまたは複数の測定器をテーブル370に含め、どれだけの量の流体が各受容容器の中に注入されたかを測定できる。例えば、テーブル370には、複数のロードセル388を含めて、これらをテーブル370の上に、マニホールドシステム300に形成された、対応する受容容器と同位置になるように配置する。各ロードセル388は、受容容器304の充填時に、対応する受容容器304の重量を測定するためのスケールの役割を果たすことができる。そのため、各受容容器304に注入される流体の量は、所定の重量に達し次第、受容容器への流体の流れを止めることによって、所定の量に限定できる。代替的実施形態においては、流量計またはその他の測定器を使用できる。
図20Aに示されるように、マニホールドシステム300をテーブル370の上面376まで下げ、図20Bに示されるように、位置合わせポスト386が位置合わせ穴145の中に受けられるようにすることができる。マニホールドシステム300がそのように設置されると、ロードセル388が受容容器304の直下に位置付けられる。前述のように、他の位置決め支援手段、例えばクランプ、接着剤、コネクタまたはその他を使用して、テーブル370にマニホールドシステム300を設置することもできる。
マニホールドシステム300がテーブル370の上に設置されると、流体がマニホールド302を通り、受容容器304に入ることができる。例えばロードセル388等の測定器が使用されていれば、いずれかの受容容器304への流体の流れは、その受容容器304の測定値が所定の量に達した時に止めることができる。流体の停止は、図20Bに示されるように、1つまたは複数のピンチオフ390等の制限器具を使って実現できる。各ピンチオフ390は遠位端392まで延び、これは流体流路335の上方に位置付けることができる。測定器の測定値が停止点に達したら、ピンチオフ390を作動させ、ピンチオフ390が流体流路335をつまむのに十分な力でマニホールドシステム300まで下がるようにすることができ、それによって対応する受容容器304への流体の流れが停止される。
各受容容器304への流速が異なる可能性があることから、停止点に到達するまでにかかる時間は受容容器ごとに異なるかもしれない。これを考慮すると、別々のピンチオフ390を各受容容器304に対応する流路335の上に配置し、異なるタイミングで作動させることができる。当然のことながら、ピンチオフ390に可変圧力を加えることにより、希望に応じて、流れを完全に止めるのではなく、流体の流れを低速化することもできる。ピンチオフ390はまた、受容容器304の中のいくつかだけに充填したい場合にも使用できる。例えば、マニホールドシステム300の6つの受容容器304のうちの4つだけに充填すればよい場合、受容容器304のうちの2つに対応するピンチオフ390を作動させて、その特定の受容容器304の中には流体が一切流れないようにすることができる。これに加えて、ピンチオフ390はまた、受容容器がマニホールドと一体に形成されていないマニホールドシステムにも使用できる。
図21A〜21Dは、本発明の1つの実施形態によるマニホールドシステム300を使用して流体を分注する方法を開示する。この方法はマニホールドシステム300に関係しているが、当然のことながら、この方法はまた、本明細書に記載の、または想定されるマニホールドシステムのいずれにも適用できる。
マニホールドシステム300はまず、希望の通りに位置付けてよい。例えば、マニホールドシステムは、図20Bに示されるようにテーブル370の上に位置付けることができ、その際、マニホール位置決め支援ポス手段、例えば位置合わせポスト386は使用してもしなくてもよい。図21Aを参照すると、流体源、例えば分注容器102が導管107を通じて、前述のように対向する可撓性シート306で形成されたマニホールドシステム300に流体連結されている。前述のように、マニホールドシステム300への流体の流れを制御したい場合は、ポンプを使用してもよい。同じく前述のように、マニホールドシステムは、マニホールド302と、可撓性シート306の内部に形成された複数の受容容器または袋304と、を有する。流体流路310は流体入口313から可撓性の袋304各々の区画またはチャンバ330へと延びる。流体流路310が延長用出口、例えば延長出口317まで延びている場合、マニホールドシステム300は他のマニホールドに直列に接続できる。あるいは、延長用出口317は、前述のように密閉することができる。例えば、図の実施形態においては、栓344が延長用出口317の中に位置付けられている。
図21Bを参照すると、分注容器102がマニホールドシステム300と流体連結されると、流体が流体源102から流体流路310を通り、流体流路310から可撓性の袋304のチャンバ330の中に流れる。これは、所望の量の流体が各チャンバ330へと通過し終わるまで続く。前述のように、制限装置を使って、可撓性の袋304のいずれかへの流れを停止または低速化することができる。例えば、前述のように、1つまたは複数のピンチ部材、例えばピンチオフ390(図20B)を使って、流れを低速化させたい可撓性の袋304に対応する二次流路314をつまむことができる。
図21Cを参照すると、チャンバ330に流体が所望の量まで充填されたところで、可撓性の袋340の各々に対応する二次流路314が交差部342において密閉され、それによって各チャンバ330が密閉される。前述のように、これは、図21Cに示されるように溶接によって、または当業界で知られているどのようなその他の密閉方式によっても行うことができる。受容容器がマニホールドと一体に形成されていない実施形態では、受容容器とマニホールドの間に延びる管、例えば図6に示される管180は、溶接により閉じることができる。外部コネクタ、例えば図8に示される無菌コネクタが使用されていれば、追加のシーリングは不要とすることができる。
図21Dを参照すると、各チャンバ330が充填され、密閉された後、可撓性の袋304の各々が次に、マニホールド302から取り外される。前述のように、これは、ミシン目340(図21C)において可撓性シート306aと306bを破くことによって実行できる。他の分離方法も使用可能である。例えば、はさみまたはその他の鋭利な器具を使って、シート306aと306bを切り、可撓性の袋304をマニホールドから分離することができる。受容容器がマニホールドと一体形成されている実施形態では、はさみは、管180を、管180の密閉部分で切断するためにも使用できる。外部コネクタが使用されている場合は、切ったり破いたりすることなく、コネクタを分離できる。
図22には、本発明の特徴を取り入れた流体マニホールドシステムの他の代替的実施形態450が示されている。マニホールドシステム450は、マニホールド452と、間隔が空いた位置のマニホールド452に流体連結される複数の受容容器アセンブリ454a〜454fと、を備える。所望の数の受容容器アセンブリをマニホールド450に取り付けることができる。前述のマニホールドと同様に、マニホールド452は可撓性本体455を含み、これは第二の可撓性シート456bと重複する第一の可撓性シート456aからなる。シート456aとbが相互に溶接されてシーム線458が形成され、それによって本体455の長さに沿って延びる一次流体通路460が形成される。
図23に示されるように、マニホールド452はさらに、本体455の第一の端463に形成された流体入口462と、本体455の側縁に沿った位置に間隔をあけて形成された、間隔が空いている複数の流体出口464a〜fをさらに含む。各入口462と出口464は、シート456aとbの間に形成され、一次流体通路460と連通する。管状の入口コネクタ466が流体入口462の中に受けられ、管状の出口コネクタ468a〜fがそれに対応する流体出口464a〜fの中に受けられる。入口コネクタ466と出口コネクタ468は溶接またはその他の方法でシート456aとbの間に固定することができ、一次流体通路460と流体連通する。1つの実施形態において、入口コネクタ466は剛性の、返しの付いた軸部材であり、出口コネクタ468は可撓性の管であり、すべて本体455から外側に突出する。他の実施形態においては、別のコネクタも使用できる。
図22に戻ると、各受容容器アセンブリ454は柔軟な本体469を含み、これは一対の重複する可撓性シート470aと470bを含み、これらは相互に溶接され、シーム線472が形成されている。シーム線472は4つの別々の受容容器474a〜dを形成し、その各々が区画476を形成する。希望に応じていくつの受容容器474も形成できる。シーム線472はまた、各受容容器474に関して、区画476と連通する流体入口478と、同様に区画476と連通する流体出口480も形成する。区画476から流体を分注するために、管482、流体ラインまたはその他のコネクタが流体出口480の中に固定される。
シーム線472はまた、二次流体通路484を形成し、これは本体469の上縁に沿って延び、各受容容器474の各流体入口478と連通する。図23に描かれているように、流体入口486は、本体469の側縁を通じて二次流体通路484と連通する。管状入口コネクタ488は流体入口486の中に固定される。図の実施形態において、入口コネクタ488は、マニホールド452の出口コネクタ468より剛性の棒状軸部材である。その結果、組立中、対応する受容容器アセンブリ454に連結された各入口コネクタ488をマニホールド452の、それに対応する出口コネクタ468に押し込み、それらの間に密閉流体接続部を形成することができる。
図22に示されるように、間隔が空いている複数の開口部490a〜dが横方向に、各受容容器アセンブリ454の本体469の上縁を通る。開口部490によって、受容容器アセンブリ454をラック上に間隔をあけて整列させた状態で取り付けることができ、それによって、受容容器アセンブリ454は図22に示されるような向きで縦に吊り下げことができ、マニホールド452は水平に位置付けることができる。この向きとラックの使用によって、受容容器474の体系付け、充填、密閉、取り外し、その他の処理が容易となる。ラックは、別々の受容容器アセンブリ454の同位置にある開口部490に横方向に通されるロッドを含むことができ、また各開口部490の中に受けられる捕捉手段、例えばフックを有するロッドを含むことができる。他のラック構成も使用できる。補強用ロッドを各本体69の上縁の中の、開口部490より上の位置に埋め込むことによって、受容容器474に流体が充填される時に開口部490が破けないようにすることができる。
いったん流体マニホールドシステム450が図22に示されるように完全に組み立てられ、滅菌されると、マニホールド452をラックで支持することができ、マニホールド452の流体入口462を分注容器102(図1)と流体連結することができる。1つの充填方法において、一次流体通路460は出口コネクタ468aとbの間においてクランプで閉じることができ、受容容器アセンブリ454aの二次流体通路484は流体入口478aと467bの間においてクランプで閉じることができる。すると、流体は分注容器102からマニホールド452の中と、受容容器アセンブリ454aの二次流体通路484の中と、最後に受容容器474aのチャンバ476の中へと移動する。受容容器474aに所望の量の流体が充填されると、流体入口478aは、シーム線を形成するか、または流体入口478aを形成するシート470aとbを相互に溶接することによって密閉される。次に、二次流体通路484は、流体入口478aと478bの間では開放され、流体入口478bと478cの間では閉じられる。その結果、今度は流体がマニホールド452から第二の受容容器474bのチャンバ476へと流れる。この工程を繰り返し、第一の受容容器アセンブリ454aの受容容器474a〜dの全部に所望の量の充填が行われ、流体入口478a〜dの全部が密閉されるようにする。
次に、マニホールド452のクランプを流体出口468bとcの間で移動させることができる。この状態で前述のものと同じ工程を使い、第二の受容容器アセンブリ474bの受容容器474a〜dの各々への充填を順番に行うことができる。その後、上記の工程を使って、後続の受容容器アセンブリ454の各々の受容容器474a〜dの各々への充填を順番に行うことができる。最後の受容容器474への充填の前に、一次流体通路460および/または二次流体通路484の中の流体を最後の受容容器474の中に押し出すことができ、これは前述のように、スクイーザ、ローラまたはその他の工具を一次流体通路460および/または二次流体通路484に当てて通過させ、流体を最後の受容容器474の中へと強制的に流すことによって行われる。その結果、充填工程が完了した時に、一次流体通路460および/または二次流体通路484の中に未使用の流体はほとんど残らない。受容容器474が充填され、密閉されると、密閉された入口開口部478を横切るように切断し、別の受容容器474間のシーム線472間および二次流体通路484と受容容器474の間に位置するミシン目494に沿って破くことによって、その受容容器を他の受容容器から分離できる。
図24に、本発明の特徴を取り入れた流体マニホールドシステムの代替的実施形態450Aが示されている。流体マニホールドシステム450と450Aの間の同様の要素は、同様の参照記号で示されている。流体マニホールドシステム450Aは、マニホールド502と、マニホールド502と流体連結される複数の受容容器アセンブリ504a〜fと、を含む。マニホールド452と同様に、マニホールド502は、一次流体通路460を形成するシーム線458を有する可撓性本体455を含む。しかしながら、可撓性シート456aとbの間に溶接された出口コネクタ468を有するのではなく、マニホールド502は出口コネクタ506を含み、これは図25に示されているように、その端から半径方向に外側に突出するフランジ510を有する返し付の軸部材508を含む。フランジ510は、シート456Aの内面に溶接またはその他の方法で固定され、したがって軸部材508は一次流体通路460と連通する流体出口512を通って延びる。
今度は、受容容器アセンブリ504の各々は、前述のような可撓性本体469を含む。しかしながら、剛性の管状軸部材の形態である入口コネクタ488を使用するのではなく、受容容器アセンブリ504は可撓性の管を含む入口コネクタ514を含む。入口コネクタ514は、流体入口486の中に溶接される。コネクタ514より剛性の返しの付いた軸部材508が次に、コネクタ514の反対の端に押し込まれて、それらの間に液密閉鎖状態が形成される。また別の代替的実施形態においては、当然のことながら、いくつの異なる管、カプラおよびその他の種類の接続手段でも、マニホールド502と受容容器アセンブリ504の間に液密流体接続の形成に使用できる。
図26に、流体マニホールドシステム450bが示されている。流体マニホールドシステム450と450bの間の同様の要素には、同様の参照記号で示されている。流体マニホールドシステム450bは、前述のようにマニホールド452を含む。しかしながら、受容容器アセンブリ454を使用するのではなく、マニホールドシステム450bはマニホールド452に流体連結される1つの受容容器524a〜fを含む。各受容容器524は、重ねられたシート528aと528bからなる可撓性本体526を含む。シート528aとbは、相互に溶接されてシーム線530形成され、これにより区画532が形成される。区画532は、シート528aとbの間に形成された流体入口534と、本体526の反対の端に配置された流体出口536と、を有する。入口コネクタ488は、溶接またはその他の方法で本体524に固定され、流体入口534と連通する。入口コネクタ488は選択的に出口コネクタ468と連結され、マニホールド452と受容容器524の間が密閉された流体連通状態となる。受容容器524に流体が所望のレベルまで充填されると、流体入口534は、シート528aとbを相互に、流体入口534を通過するように溶接することによって密閉される。受容容器524は次に、密閉された流体入口534を横切るように切断することによって、マニホールド452から分離することができる。その後、各受容容器524a〜fは、流体マニホールドシステム450bに関して前述したものと実質的に同じ工程を順番に使用して充填することができ、すなわち、個々の受容容器への充填を、マニホールド452の長さに沿ってクランプを移動させることによって行うことができる。上の説明は、流体マニホールドシステムの多様な実施形態を開示している。また別の実施形態では、当然のことながら、異なるマニホールド、コネクタ、受容容器、およびその他の部品を混在させ、組み合わせることができる。これに加えて、異なるコネクタを使って、マニホールドと受容容器の間を流体連通させることができる。
本明細書で開示される発明性のある流体マニホールドシステムには、先行技術と比較して、多数の固有の利点がある。例えば、ただしこれに限定されないが、受容容器および/またはマニホールドは重ねられたポリマシートを相互に溶接したものから形成できるため、マニホールドシステムは容易に所望の仕様に従って製造できる。このマニホールドシステムではまた、必要な別々の接続手段の数が少なくて済み、その結果、漏れや汚染のリスクが低減する一方で、組立時間も短縮される。前述のように、このマニホールドシステムはまた、マニホールドから受容容器の中に押し出される気体の量が最小限であり、その一方で、マニホールド内に残っている流体のすべてを受容容器の中へと完全に取り去ることが容易である。
この発明性のあるマニホールドシステムの別の利点は、これらを、より少ない数の異なる流体接触面で製造できることである。従来のマニホールドシステムでは、受容容器を管とコネクタからなるマニホールドから分離するのに、受容容器から延びる管をヒートシールにより密閉し、切断する。しかしながら、管の有効なヒートシールには通常、管を受容容器と異なる材料で作製することが必要となる。これに対して、本発明の受容容器は、受容容器の重なったシートを密閉し、切断することによってマニホールドから分離される。この構成では、管類または管状コネクタがヒートシールされないため、マニホールドシステムのマニホールド、コネクタ、および受容容器は同じ流体接触面で作製できるため、処理中の流体中への材料の望ましくない浸出が最小限となる。
さらに、この発明性のあるマニホールドシステムによって、使用される切断管区分材の数が少なくなるため、切断される管類からの微粒子が流体内に入り込むリスクが低減される。同様に、この発明性のあるマニホールドシステムは、従来のシステムと比較して、この発明性のあるシステムを支持ラックに取り付け、または体系付け、他の表面に固定するように構成できるという点で、より簡単管理される。
本発明は、他の具体的な形態で実施してもよく、これもその主旨と本質的特徴から逸脱しない。前述の実施形態は、すべての点において、限定ではなく、単に例示とみなされる。したがって、本発明の範囲は上記の説明によってではなく、付属の特許請求項によって示される。特許請求項の均等物の意味と範囲内の全ての変更が、その範囲内に包含されるものとする。
Claims (18)
- 流体マニホールドシステムにおいて、
対向する可撓性シートの少なくとも部分であって、それらの間に流体流路を形成するように互に溶接されている部分を含む第一のマニホールドであって、流体入口が前記流体流路と連通する第一のマニホールドと、
前記第一のマニホールドの前記流体流路と流体連通しており、各々の受容容器が区画を形成している複数の受容容器であって、前記第一のマニホールドから分離した複数の可撓性の袋を備える複数の受容容器と、
間隔が空けられた位置で前記複数の受容容器が前記第一のマニホールドと流体結合するように、前記流体流路から流体連通状態で前記可撓性の袋のうちの対応する1つへと延びている複数の管状コネクタと
を備えることを特徴とする流体マニホールドシステム。 - 前記流体流路は、
前記第一のマニホールドの前記流体入口と連通する一次流路と、
前記一次流路から分岐し、各々が前記複数の受容容器のうちの対応する1つと流体連通する、間隔が空けられた複数の二次流路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。 - 前記対向する可撓性シートは、
内面を有する第一の可撓性シートと、
内面を有する第二の可撓性シートと、
を含み、
前記第二の可撓性シートの前記内面は、前記第一の可撓性シートの前記内面と直接接触した状態にあり、前記内面が一体に固定されて、それらの間に前記流体流路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。 - 前記第一の可撓性シートの外面の上に載り、これに固定された第三の可撓性シートと、
前記第二の可撓性シートの外面の上に載り、これに固定された第四の可撓性シートと、
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の流体マニホールドシステム。 - 前記対向する可撓性シートは、1枚の可撓性シートを折り畳んでできた一対の部分からなることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。
- 各受容容器は、可撓性の袋からなることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。
- 各管状コネクタは、前記流体流路と流体連通する前記第一のマニホールドに固定された管状の出口カプラと、前記対応する可撓性の袋に固定された管状の入口カプラと、を備え、
前記出口カプラは、前記入口カプラに固定されることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。 - 可撓性の袋の各々は、流体出口を有することを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。
- 前記第一のマニホールドと前記複数の受容容器は、密閉されて滅菌されることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。
- 前記流体流路と流体連通する流体出口を有する前記第一のマニホールドと、
相互に溶接されて、これらの間に流体流路が形成される、対向する可撓性シートの少なくとも部分からなる第二のマニホールドと、
をさらに備え、
前記第二のマニホールドは、前記第一のマニホールドの前記流体出口に連結された流体入口を有することを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。 - 各受容容器は別の受容容器アセンブリの一部を含み、各受容容器アセンブリは一対の対向する可撓性シートを含み、これらは前記第一のマニホールドから分離され、かつ相互に溶接されて、各々が前記対向する可撓性シートの間にそれぞれの区画を有する別の複数の受容容器を形成し、各受容容器アセンブリは、前記複数の受容容器の各々と連通する流体流路を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。
- 流体を分注する方法において、
マニホールドを流体源に連結するステップであって、前記マニホールドが、対向する可撓性シートの相互に溶接されている少なくとも部分からなり、それらの間に流体流路を形成し、該流体流路が、前記マニホールドの流体入口と連通している一次流路、および、前記一次流路から分岐した、間隔が空けられた複数の二次流路であって、各々の第二の流路が複数の可撓性の袋のうちの対応する1つと連通している、複数の二次流路を含んでいる、ステップと、
前記流体源からの流体を、前記マニホールドの前記流体流路を通じて、前記マニホールドに連結された前記複数の可撓性の袋の中へ通すステップと、
前記可撓性の袋の各々を密閉するステップであって、前記可撓性の袋の各々は、区画を形成するように相互に溶接された一対の対向する可撓性シートを含み、本ステップが、各々の可撓性の袋への流体流路を密閉するように各々の可撓性の袋の前記対向するシートを相互に溶接することを含むステップと、
密閉された各袋を前記マニホールドから取り外すステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 前記マニホールドの長さの少なくとも一部に沿って前記流体流路を徐々に潰し、前記流体流路内の前記流体の一部を前記可撓性の袋のうちの1つへと押し出すステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 前記取り外すステップは、前記対向する可撓性シートを、前記対向する可撓性シートを貫通するミシン目に沿って破くステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 前記マニホールドの前記流体流路を、第一の位置においてつまんで閉じて、前記流体を前記可撓性の袋のうちの第一のものへと流すステップと、
前記マニホールドの前記流体流路を、前記第一の位置から離れた第二の位置においてつまんで閉じて、前記流体を前記可撓性の袋のうちの第二のものへと流すステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。 - 流体を分注するためのマニホールドの製造方法において、
第一の可撓性シートを第二の可撓性シートの上に位置付けるステップと、
前記第一の可撓性シートを前記第二の可撓性シートに溶接して、それらの間に流体流路を形成するステップであって、前記流体流路が、流体入口と連通する一次流路と、前記一次流路から分岐した、間隔が空けられた複数の二次流路とを含む、ステップと、
複数の受容容器を、各受容容器が前記二次流路のうちの対応する1つと流体連通するように、前記第一の可撓性シートおよび前記第二の可撓性シートに固定するステップと
を含むことを特徴とする方法。 - 各受容容器は、各々の前記区画に連通する管状容器をさらに含み、各管状容器は、前記流体流路から間隔があけられていることを特徴とする請求項1に記載の流体マニホールドシステム。
- 各管状容器は、ポートまたは管を含むことを特徴とする請求項17に記載の流体マニホールドシステム。
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