JP2014521020A - ダンピング機能付きガススプリング - Google Patents

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Abstract

本発明は、作動シリンダ(10)と、その内部に摺動可能に配置されたピストン(2)とを有し、作動ガスが、スプリンギング及びダンピングを行うために、作動シリンダ(10)とリザーバ(20)との間を任意に移行可能であり、リザーバ(20)がピストンロッド内に配置されていることを特徴とするガススプリングに関する。本発明のガススプリング又はエアスプリングは、両方向、つまり圧縮時及び伸長時のどちらも、セルフダンピング機能を有する。圧縮時にはダンピング機能付きエアスプリングとして機能し、伸長時にもダンピング機能付きエアスプリングとして機能し、この二つのダンピング効果は、ダンピングの大きさとして、互いに独立して制御することができる。

Description

本発明は、スプリンギング及び復元行程のダンピングを提供するために、作動ガスを作動シリンダとリザーバ(つまり移行シリンダ)との間で任意に移行可能な、ダンピング機能付きガススプリング(空気圧式スプリング)に関する。
従来技術、特に自動車産業界において、ダンピング機能付きガススプリングに関する様々な解決手段が知られている。
まずGB 1 520 028には、ロック可能な空気圧式(若しくはハイドロニューマティック)スプリングが開示されており、ここではピストン本体を通しての移行によってダンピングが行われている。しかしながら、移行先のチャンバはピストンロッド内にはない。ここでは中空のピストンロッドは、このようなスプリングを満たすためだけに使用されている。そのため、このスプリングは、簡潔でないばかりか、さらに重要なことには、スプリングの作動距離が顕著に短い。
US 3 059 916には、自動車の積載量に合わせて特性を変えることができるレギュレータ付きの、自動車用エアショックアブソーバ、つまりエアダンパが開示されている。この場合は、移行チャンバは外部にある。
別のガススプリングがGB 2 265 435に記載されている。ここでは、全ての移行が、スプリングの長さ(より詳細には吊り下げられているチェアの上昇高さ)を設定するためだけに考えられており、スプリングはダンピングされていない。US 2008 179795に記載されている解決手段も、これと同様に作動するものである。
DE 10 2009 005381には、追加量の媒体を含むチャンバを備えるスプリング及び/又はダンパ装置が開示されている。しかしながらこの装置は、非常に限られた用途のための、全く構造が異なる装置である。
WO 94/19619には、ピストンとピストンロッドとを有する作動シリンダーを備えるショックアブソーバ−ダンパが紹介されている。このピストン及びピストンロッドは、その軸と一直線上に貫通孔を有し、その貫通孔内には、調整パイプが回転可能に配置されており、この調整パイプ内には、制御ロッドが回転可能に配置されている。ピストンロッドの自由端では、調整パイプ及び制御ロッドが、ピストンロッドの内腔から軸方向に突出しており、角度付きセッティング用の手段が設けられている。ピストンには、ピストン上方の空間からピストン下方の空間へ、そしてその反対に媒体が流通するように、軸方向貫通口が設けられている。ピストンのピストンロッドとは反対側には、前述の軸方向貫通口に対向して、ピストン軸と同軸的にリング内に配置された軸方向貫通口を有する、軸方向に可動なダンピングディスクがある。このダンピングディスク間には、二つのディスクバルブが挿入され、このディスクバルブは、ダンピングディスクの対向する前面のうちの一方に交互に当接する。作動流体が一方向に流れる場合には、一方のディスクバルブが一方のダンピングディスクの軸方向口を通る流れを閉鎖し、もう一方のディスクバルブがもう一方のダンピングディスクから引き離され、その口を通る流れを解放する。回転可能に配置された調整ディスクは、ダンピングディスクの他方の前面に当接し、このような調整ディスクの周縁に設けた切欠きは、ダンピングディスクの軸方向貫通口に対して配置されている。調整ディスクを角度付きセッティングすることにより、ダンピングディスクの軸方向貫通口の開口部を覆うことができ、ダンピングディスク及びピストンを通る作動流体の流れを絞ることができる。一方の調整ディスクは調整パイプの端部に接続しており、もう一方の調整ディスクは制御ロッドの端部に接続している。調整ディスクの角度付きセッティング及びショックアブソーバ−ダンパの固さの調整は、ショックアブソーバ−ダンパを分解することなく、調整パイプ及び制御ロッドそれぞれの制御手段によって行うことができる。しかしながら、WO 94/19619に記載されているこのようなショックアブソーバ−ダンパは、非常に複雑で労力を要する。
US 2008 211149には、三つのエアチャンバを有する解決手段が開示されており、ここでは媒体は二つのチャンバ(当該文献のチャンバ17及び18)間を流れ、これらのチャンバは協働してダンピング機能を提供し、第三のエアチャンバ(チャンバ16)はエアクッションで、スプリング機能しか有していない。この解決手段では、エアスプリング(クッション)とエアダンパとを一つの装置に一体化して、比較的成功を収めている。一つのボディーの中に並べて(上下に)配置することにより、製造コストがある程度削減できるであろうことは予測できるが、実際には、まだ二つの独立したエアユニット、つまりエアスプリングとエアダンパとがあり、この二つは機能が全く異なるので、離しておいた方がよい。
US 4 768 758には、別のガススプリングが開示されている。このガススプリングは、本発明の解決手段の要件を満たしていない。
さらに、エアと油圧とを組み合わせた解決手段が知られている。このような解決手段は、例えばオランダのKONI社が製造する自動車業界用の高級ダンパに見られる。この会社の油圧ダンパは、ピストン上方の空間からピストン下方の空間へ液体媒体(オイル)を移行することによりダンピングを行う。よってこの解決手段は、全く異なる原理に基づいて作動するものである。さらに、このような移行システム及び調整システムは非常に複雑である。
油圧ダンパは、例えばUS 4 899 853に開示されている。さらにこの文献では、移行を外部で行って(つまり複雑で十分に堅固ではない方法で)おり、ここでも移行されるのは油圧液体である。
別の解決手段がUS 2009 189363に記載されている。ここでも、解決手段は構造の観点からみて非常に複雑であり、スチール製のつる巻きバネ若しくは他の別個のスプリングを必要とし、充分コンパクトではない。
さらに別の複雑な複合オイルスプリングがDE 101 22 729に記載されている。このオイルスプリングは自転車用に設計されたものである。
さらに複合化された解決手段が、例えばDE 100 37 026、US4 106 596、GB 1 121 154に記載されている。これらの解決手段も、本発明の解決手段の要件を満たすものではない。
イギリス特許公開第1520028号 米国特許第3059916号 イギリス特許公開第2265435号 米国特許公開第2008−179795号 ドイツ特許公開第102009005381号 国際公開第94/19619号 米国特許公開第2008−211149号 米国特許第4768758号 米国特許第4899853号 米国特許公開第2009−189363号 ドイツ特許公開第10122729号 ドイツ特許公開第10037026号 米国特許第4106596号 イギリス特許公開第1121154号
上述の従来技術による解決手段は全て、構造的観点からみて複雑であり、多くの個々の部品を必要とし、多くの場合、ガススプリング(一般的にはエアスプリング)若しくは鋼バネをオイルダンパと組み合わせるものである。よって、このような解決手段は製造が複雑で、製造コストが高い。
本発明は、従来技術の不備をなくし、ピストンの復元がダンピングされ、構造的観点からみてシンプルなガススプリングを提供することを目的とし、このガススプリングは、同じシンプルな要素を用いながら、圧縮時にはエアスプリングとして作動し、伸長時にはエアダンパとして作動する。本発明の別の目的は、シンプルな手段を用いて、ダンピングスプリングの作動条件下で連続的に、スプリング特性及びダンパ特性の外部調節を確保することにある。本発明はさらに、極端なショック(振動)を受けた場合に、作動シリンダと移行リザーバとの間の移行開口を速やかに閉鎖する、いわゆるスロットルダッシュポットの任意機能を提供することを目的とする。本発明のさらに別の目的は、信頼性が高く、構造がシンプルで、取付け/取外しが簡単な、上記分野におけるスプリング、非常に広範囲の寸法で製造可能なスプリングを提供することにある。
作動シリンダと、その内部に摺動可能に配置されたピストンとを有し、スプリンギング及び/又は任意にダンピング(つまりダンピングが要求される場合には)を行うために、作動ガスが作動シリンダとリザーバとの間で移行可能である空気圧スプリングによって従来技術の欠点が顕著に削減されると共に、本発明の目的が達成され、本発明によれば、リザーバはピストンロッド内に配置されている。特に有利なのは、一端がピストンによって閉鎖されているピストンロッドを構成する中空シリンダが、リザーバを構成する配置である。この配置は、特にコンパクト(最大伸長時)であり、構造的観点からみて非常にシンプルであり、製造コストが低いと共に非常に信頼性が高く、ほぼどのような寸法とすることもできる。
調整を行うために、好ましくはピストンには少なくとも一つの移行開口があり、この移行開口には、移行開口に対して(バルブ方向に)好ましくは軸方向に摺動可能である少なくとも一つのガス流制御エレメント(つまり実際には、作動シリンダとリザーバとの間の作動ガスの流れを制御するためのスロットルエレメント)を設け、このガス流制御エレメントは、例えば規制コーン若しくはリング、又はこの二つの組合せとすることができる。このように、シンプルな手段を用いることにより、一つのユニットにガスダンパを一体化したコンパクトなガススプリングを得ることができる。
この調整は、ガス流制御エレメント(単数若しくは複数)を軸方向に調節するための制御ロッドによって好ましくは外部から行うことができ、この制御ロッドの両側には、好ましくはガス流制御エレメントのためのバックストップが設けられている。つまり制御ロッドには、ガス流制御エレメントのための上方バックストップと、ガス流制御エレメントのための下方バックストップとが設けられている。特にシンプルな実施態様では、上方バックストップは、制御ロッドの肩部によって構成することができ、下方バックストップは、例えば制御ロッドに設けたいわゆるシーガー(Seeger)サークリップリングによって構成することができる。
好ましくは、ガス流制御エレメントの戻りのためのスプリンギング手段と、さらに、制御ロッドが貫通しているリザーバに対するシールを貫通制御ロッドに提供するためのシール手段とを、制御ロッドに設け、好ましくはこの二つの手段は一つの可撓性チューブ、例えばシリコンチューブによって構成し、そのスプリンギング機能により、チューブはガス流制御エレメントを解放位置へと復帰させ、それによりこの制御ロッドの通過に対してリザーバをシールする。
よってこのような配置により、シンプルで安価な手段によって、スプリンギング特性及びダンピング特性を、いつでも、本発明のガススプリングの作動条件下であっても、外部調節することができる。
好ましくは、少なくとも一方向に急激なストロークがあった場合に移行開口を閉鎖するために、少なくとも一つのいわゆるスロットルダッシュポットを配置し、このスロットルダッシュポットは、好ましくは懸吊されたコーン若しくは懸吊されたプレート(「プランシェット」)によって構成される。このようなシンプルなスロットルダッシュポットにより、本発明のガススプリングはさらに、極度のショック(振動)を与えられた場合に、作動シリンダと移行レザーバとの間の移行開口を瞬時に閉鎖(若しくは部分的に閉鎖)することができるという利点を有する。よってこのエレメントを「スロットルダッシュポット」と呼ぶ。
これらのエレメント、つまりガス流制御エレメント(例えば規制コーン及び/又はリング)、及び場合によりスロットルダッシュポットは、ピストンのどちらかの側に、若しくは両側であっても、配置することができるので有利である。このように、ピストンの両作動方向において、調節可能なダンピング及びカウンターショックに対する保護を提供し、それでいてシンプルでコンパクトな構成の利点を失わない。
作動シリンダに対するピストンのシールと、ピストンロッドを構成する中空シリンダが突き抜けている作動シリンダの上方カバーのシールとの間であって、この中空シリンダと作動シリンダのマントルとの間の空隙に、ガスが包含されており、ピストンの最大伸長時にピストンが作動シリンダの上方カバーに近付く場合に、可撓性クッションを構成する。ピストンの復元時には、この空隙内の圧力が上昇し、例えば、ガス流制御エレメント若しくはスロットダッシュポットのどちらかに関わらず移行開口を閉鎖していて、ダンピング機能がない場合に、ピストンが上方カバーに激突するのを防止する一種のガスサイレントブロックを提供する。
スプリングの通常機能時に、移行開口が完全に閉鎖される(移行する作動ガスによって、若しくはガス流制御エレメントを復帰させるためのスプリンギング手段によって)のを防ぐために、ガス流制御エレメントと移行開口との間に、好ましくはスペーサを配置してもよい。しかしながら、このダンピングのスペーサは変形可能であって、よって必要に応じて移行開口を完全に閉鎖することもできることが好ましい。
各可撓性エレメントのそれぞれの剛性は、各エレメントの機能によって一義的に決められるその相対的比率によってのみ制限を受ける、つまり
− 一方では、可撓性チューブの剛性は、作動条件下において移行するガスが乗り越えられるものでなければならない。
− 他方では、ダンピングのスペーサの剛性は、可撓性チューブにも移行するガスにも乗り越えられるものであってはならないが、必要に応じて、例えば上述のように制御ロッドを締めることによって、圧縮可能であるべきである。
本発明のガススプリング内の作動ガスは、好ましくは空気である。エアガススプリングは、とりわけ経済的観点からみて有利である。
本発明のガススプリングは、どのような適切な方法で作動ガスを充填してもよく、例えば作動シリンダ底部に設けた充填バルブによって充填してもよい。
このようなガススプリングは、その用途に応じて、両チャンバ内、つまり作動シリンダ及びリザーバ内の作動ガスの圧力が周囲の圧力よりも高い圧縮スプリングとして構成しても、両チャンバ内が負圧である引張スプリングとして構成してもよいことは有利である。
このような正圧作動ガスを用いた圧縮スプリングはリザーバを有し、このリザーバは、スプリングの解放状態において、作動ガスの総容積の好ましくは約30〜50%、より好ましくは約40%を占める。
本発明の特に好ましい実施態様では、スプリングを圧縮/復元させるために、中空ピストンロッドを構成する中空シリンダと、作動シリンダのマントルとの間であってピストン上方の空隙に対して、加圧空気(若しくはガス)を充填/排出できるように、中空シリンダと作動シリンダのマントルとの間の上方シールに開口及び/又はバルブを配置する。よって、上述の開口若しくはバルブを通して、中空ピストンロッド周囲のピストン上方の空隙内へ、加圧空気(若しくはガス)を導入して、スプリングを圧縮することができる。圧縮空気(若しくはガス)を放出することにより、スプリングは復元する。このような解決手段は、様々なエアブレーキに特に適しているが、いわゆるエアシリンダ(ニューモータ(pneumotor))や、乗用車やトラック用等のリフティングジャッキとしても使用することができる。
本発明のエアスプリング若しくはガススプリングは、両方向、つまり圧縮時及び伸長時のどちらも、セルフダンピング機能を有する。圧縮時にはダンピング機能付きエアスプリングとして機能し、伸長時にもダンピング機能付きエアスプリングとして機能し、この二つのダンピング効果は、ダンピングの大きさとして、互いに独立して制御することができる。
図1aは、本発明のガススプリングの一実施態様を一部長手方向断面図で示す図である。 図1bは、本発明のガススプリングの別の実施態様を図1aと同様の表示で示す図である。 図2は、いわゆるハードスプリンギングモードにおける各部品の例示的配置を示す。 図3は、ピストンの復元をダンピングするスプリンギングモードにおける各部品の例示的配置を示す。 図4は、ピストンの復元をダンピングしないスプリンギングモードにおける各部品の例示的配置を示す。 図5は、スロットルダッシュポットの一実施態様を示す。 図6は、スロットルダッシュポットの他の実施態様を示す。 図7は、ダンピングのスペーサの例示的実施態様を示す。
本発明の実施態様を、図面に示す特定の例示的実施態様に基づいてより詳細に説明する。
図1の装置は、作動シリンダ10と、ピストンロッドを構成する貯蔵シリンダ21で構成されるリザーバ20(若しくは移行シリンダ)とからなり、ピストン2はピストンロッドの下端に配置され、このピストンは同時に貯蔵シリンダ21の下端を閉鎖している。上端では、リザーバ20はカバーで閉鎖されており、このカバーにより、サスペンションを設ける必要のある部品と連結するためのガススプリングの取付け具が接続される。反対側の取付け具は作動シリンダ10の下方カバーに設けられ、同時にこのカバーに充填バルブ80が確立される。よって作動シリンダは貯蔵シリンダの外部に配置され、この二つのシリンダ間には移行開口30が形成される。本明細書において使用される上方、下方、若しくは上、下等の全ての表現は、添付図面に示す例示的実施態様の表示のみをいうものであって、本発明のガススプリングの使用時の作動位置をいかなる意味でも限定するものではない。
作動ガスは空気とすることができ、よってある実施態様では、ガススプリングはエアスプリングとすることができる。図示する実施態様では、スプリングは、作動ガスが大気圧よりも高い圧力下にある圧縮スプリングである。上述したように、本発明のスプリングは、作動ガスが大気圧よりも低い圧力下にある引張スプリングとして配置してもよい。
開口30を通る作動ガスの移行を制御するために、制御ロッド51が設けられ、この制御ロッドは、貯蔵シリンダ21の上方カバーを突き抜け、シリンダ21内にシリコンチューブ55によってシールされ、ピストン2内の移行開口30の領域で終止する。この制御ロッド51には、規制コーン42と、例えばシーガー(Seeger)サークリップリングとして構成可能なリング60が設けられる。貯蔵シリンダのカバーの上方において、制御ロッド51の上端には、ピストンの復元のダンピングを調節するため及び/又はスプリンギングのダンピングを調節するため、例えば手動で調節するための、外部からアクセス可能な調節エレメント50が設けられている。
規制コーン42(いわゆるバルブプラグと同様)は、制御ロッド51に対して相対的に且つ移行開口30に対して相対的に、移行開口に接触するまで下方へ、且つ可撓性シリコンチューブ55の効果に抗して、制御ロッド51の肩部によって構成されるいわゆる上方バックストップまで上方へ、軸方向に動かすことができる。
リング60(例えばシーガーサークリップリング)は、コーン42の下方で、制御ロッド51上に配置され、この実施態様では、リングが動かないように固定してある制御ロッド51と共に、移行開口30を閉鎖する上方位置と、移行開口30が最大限に開放され、よってガススプリングのダンピングが最小である第二位置との間で、移行開口30に対して相対的に動かすことができる。
エアスプリング−ダンパを圧縮すると、作動シリンダ内の圧力が上昇し、それによって規制コーン42(絞り調整バルブプラグ)が押しのけられ、媒体を貯蔵シリンダ20内へと移行することができるようになる。媒体は移行開口(単数又は複数)30を通り抜け、移行レザーバ20へと入る。規制コーン42は、伸長時に解放されると、媒体が高速で戻るのを防ぎ、よってエアスプリングが高速で復元するのも防ぐ(エアダンパの機能を果たす)。スプリングの復元(ダンピング)は、スプリンギング及びダンピングを調整する外部調節エレメント50、制御ロッド51(例えば調節ネジ)、及び上方バックストップ52により、外部から制御することができ、この制御はダンピングの要求レベルに従ってなされる。シリコンチューブ55が、貯蔵シリンダ21内でスペーサネジの周囲に配置されるが、このシリコンチューブ55は、シール及びスプリング機能を有する、つまりリザーバ20をシールすると共に規制コーン42を移行開口30に押し付ける。コーン42は、ピストン2をなす貯蔵シリンダ21の底部にある円錐状凹所に嵌合して、移行開口を閉鎖すると同時に、コーン自体が摺動可能に載置されている制御ロッドのセンタリングを確実にする。コーン42及び制御ロッド51は、スプリンギング及びダピング特性を外部制御する機能を有する。制御ロッドを最も締めた場合には、ロッドの肩部が移行開口の完全閉鎖を可能にするので、必要に応じて、ダンピング機能なしに、作動シリンダ内の圧力が急上昇する。スペーサネジを緩めると、圧力は急上昇せず、ダンピング機能が生じる。しかしながら、少量の媒体が流れるため、スプリンギングは非常に固い。中間位置では、ロッドの肩部(上方バックストップ)とシーガーサークリップリング(下方バックストップ)との間にスペースがあるため、規制コーンが自由に動くことができる。可撓性シリコンチューブ55が、規制コーンを押しつけるので、コーンは逆止弁として働く。スプリングは、圧縮時には、作動シリンダ10のスペースから貯蔵シリンダ21のスペースへと媒体を自由に移行させるが、スプリングが元の位置に復元する際には、コーン42が移行開口30を閉鎖して、貯蔵シリンダ21から作動シリンダ10へ戻ろうとする媒体の移行を防止する。理論上は、スプリングは圧縮されたままである。制御ロッド51のネジをさらに緩めたとしても、リング60(シーガーサークリップリング)がコーン42を押し上げ、媒体が再び作動シリンダ10内に入れるようにする。円錐状凹所からのコーン42の距離に比例して、媒体は多かれ少なかれ開口30を通って「出ようと」し、スプリングは復元行程において多かれ少なかれダンピングされる。
このようなガススプリングは、ピストン復元時のダンピングを伴うスプリンギング(図3)(いわゆるソフトスプリンギング)だけでなく、ハードスプリンギング(図2)、及び最終的にはダンピングを伴わないスプリンギング、という機能の三つの基本的な型を可能にする。
図2には、いわゆるハードスプリンギング、つまり、制御ロッド51の上方バックストップ52によって(調整エレメント50の設定に基づいて)、コーン42が移行開口30内へ押し込まれ、よってこの移行開口30がブロックされるため、圧縮されたガスが作動動シリンダ10からレザーバ20へと移行しないスプリンギングを示す。従って、スプリングは、作動シリンダ10内の作動ガスの圧縮率によってのみスプリンギングする。
スプリンギング、つまり図3に示すような、ピストンの復元時にダンピングを伴う(本発明のガススプリングが主目的とする)ソフトスプリンギング(直上に説明したハードスプリンギングではない)時には、作動シリンダ10からレザーバ20への作動ガスの移行が生じる。コーン42は、上方バックストップ52と、この例示的実施態様においてリング60(例えばいわゆるシーガーサークリップリング)によって構成される下方バックストップとの間で、軸方向に可動である。スプリングを圧縮すると、移行開口30を通る作動ガスの流れが、可撓性チューブ55、例えばシリコンチューブ55の力を越えて、コーン42を上方バックストップから離れるように押しやり、上方バックストップに向かって上へと押し上げる。この位置において、移行開口は最大限に開放しており、この開放は上方バックストップの位置によってもたらされる。スプリングの復元時には、可撓性チューブ55がコーン42を下方へとリング60まで(つまり下方バックストップまで)押しやる。この下方バックストップの設定に基づいて、移行開口30を通る移行の最低レベルが設定され、よってスプリング復元時のダンピングのレベルも設定される。
スプリングの通常機能において、移行された作動ガス若しくはシリコンチューブ55の影響によって移行開口30が完全に閉鎖されるのを防止するために、図7に示すように、コーン42と移行開口30との間には、スペーサ100を配置してもよい。しかしながら、好ましくはこのスペーサ100は、変形可能であり(例えばシリコンセパレータとすることができる)、必要に応じて、図2に示すような非常に固いスプリンギングを得るために、移行開口30を完全に閉鎖する(例えば、リング60の位置によって妨げられない限り、制御手段、例えば制御ロッド51を、極限位置まで締めることによって)ことができる。
図4において、下方バックストップは、スプリング圧縮時並びにピストン復元時に作動ガスが移行開口30を通過できるように、リング60によって設定される。よって、ダンピングを伴わない(若しくは、スプリングを非常に強く激しく圧縮して、コーン42がさらに先まで押された場合には、ダンピングをほとんど伴わない)スプリンギングが生じる。
図5に示すように、好ましい一実施態様では、サスペンション911(例えばシリコンチューブからなる)を有する円錐形のスロットルダッシュポット91によって、装置全体を完成させることができる。このスロットルダッシュポット91は、圧力が急上昇する(例えば自動車に使用した場合に、予期しないこぶの上を走った場合)と閉じる。このスロットルダッシュポット91は、スプリング内の圧力を急上昇させ、ダンピングを不活性化するので、こぶを越えた後に減速することなく車輪が元に戻って、車両は横転しない。
さらに別の実施態様では、スチールプレート92、例えばつる巻きバネで懸吊されているスチールプレート92、若しくは他の適切なエレメントによって、スロットルダッシュポットを構成することもできる(図6参照)。
作動シリンダ10の上方カバーと貯蔵シリンダシリンダ21との間のシールと、ピストン2のシールとの間には、空隙70が存在し、コーン42若しくはスロットルダッシュポット91、92によって移行開口30が閉鎖されていて、若しくは場合によっては制御ロッド51を締めたことによって、ダンピングが全くない場合に、この空隙70内の圧力はピストン2の復元時に上昇し、一種のガスサイレントブロックとなり、ピストン2が上方カバーに激突するのを防止する。貯蔵(移行)シリンダ21があるため、ピストン下方の圧力上昇は、例えば通常のエアスプリングほど急激ではない。この実施態様において、貯蔵シリンダ21は、スプリングの(媒体の)全空洞容積の略40%を占める。この場合のスプリングの延びは約40%である。
別の実施態様では、シリコンチューブをつる巻きバネに代えることもできる。しかしながら、この場合には、コーンと制御ロッドとの間、及び制御ロッドと貯蔵シリンダのカバーとの間を、他の手段(例えばOリングシールやガスケット)によってシールする必要がある。この実施態様では、特にコーンの摩擦の高さ及び動きの不安定さが欠点となる。
絞りリング、ブレット、若しくは他のシールエレメントをコーンの代わりに使用してもよい。
さらに別の実施態様では、図1bに示すように、調節エレメント50を、サーボ機構、例えば可変サーボモータで調節を行うためのピニオン50’で構成してもよい。この場合、ダンピング及び/又はスプリンギングの調整は、自動的、特に電気的に制御することができる可能性がある。
図1bには、充填バルブ80とは異なり、ガススプリングを一回の動作で充填する役割を果たすだけでなく、スプリング内圧力を連続的に調節する装置(例えばコンプレッサによって)に接続することもできる別の充填開口80’も示されている。このように、ガスの総量を調節して、本発明のガススプリング内の呼び圧力を変更することができる。
上述の二つの実施態様は、どちらもダンピング及び/スプリンギングを調節することができ、若しくはスプリング内の圧力を調整することができるので、走行条件、特に負荷や路面によって可変の、例えば車両のサスペンションに好ましく使用することができる。
本発明の主な利点は以下の通りである。
− 一つの統合した機構として、圧縮時にはガススプリング、伸長時にはガスダンパとして機能する。
− 圧縮時にリザーバ(移行シリンダ)が緩やかな圧力上昇(コンフォートダンパ)を提供するという利点がある。
− 急激な跳ね返りのない緩やかな伸長(コンフォートダンピング)。
− ガススプリングのスプリンギング特性を外部制御することができる。
− ガスダンパのダンピング特性を外部制御することができる。
− 任意のスロットルダッシュポット。
− 本発明の空気圧式スプリングは、シンプルで製造容易な標準設計のパーツで構成されており、構造的観点からも非常にシンプルであり、取付け/取外しが容易である。本発明の空気圧式スプリングはまた、標準構成パーツの使用により非常に信頼性が高く、ダンパの分野において良好な結果を提供する。本発明の空気圧式スプリングは、作動シリンダの直径が数センチメートルから1メートルを超える大きさまでと、非常に広範囲に亘る寸法で製造・使用可能である。本発明の空気圧式スプリングは、材質的に疲労することなく、ダンピングエレメントは特に摩耗がなく、作動シリンダ内の初期圧力を設定することにより、スプリンギングの固さを広範囲にわたって調節可能である。空気圧式ダンピングスプリングの圧縮率は、初期長の最大60%である。本発明の空気圧式スプリングの重量は軽く、アルミニウム軽合金やプラスチック材料から製造することができ、既知の空気圧式スプリングやスチール製つる巻きバネよりも製造コストが非常に低い。
本発明のガススプリングは、特に靴(紳士用、婦人用、運動用)の緩衝装置、バイク、乗用車、トラック、及び列車用のダンピング機能付きスプリング、橋梁構造物及び建築物の緩衝装置、機械を安定化する防振装置、ドアの閉鎖装置、その他多くの用途に好ましく使用することができる。
スプリングを圧縮/復元させるために、中空ピストンロッドを構成する中空シリンダ21と作動シリンダ10のマントルとの間のピストン上方の空隙70に対して、加圧空気を充填/排出することができるように、中空シリンダ21と作動シリンダ10のマントルとの間の上方シールに開口及び/又はバルブ111を有する実施態様は、様々なエアブレーキ、いわゆるエアシリンダ(ニューモータ(pneumotor))、若しくは乗用車やトラック用のリフティングジャッキに好ましく使用することができる。
本発明のエアスプリング若しくはガススプリングは、両方向、つまり圧縮時及び伸長時のどちらも、セルフダンピング機能を有する。圧縮時にはダンピング機能付きエアスプリングとして機能し、伸長時にもダンピング機能付きエアスプリングとして機能し、この二つのダンピング効果は、ダンピングの大きさとして、互いに独立して制御することができる。

Claims (10)

  1. 作動シリンダ(10)と、その内部に摺動可能に配置されたピストン(2)とを有する圧縮ガススプリングであって、作動ガスが、スプリンギング及びダンピングを行うために、作動シリンダ(10)とリザーバ(20)との間を移行可能であり、
    リザーバ(20)が、一端がピストン(2)によって閉鎖されているピストンロッドを構成する中空シリンダ(21)からなる、圧縮ガススプリングにおいて、
    少なくとも一つのガス流制御エレメントを備える少なくとも一つの移行開口(30)がピストン(2)に設けられていることを特徴とする、圧縮ガススプリング。
  2. 前記ガス流制御エレメントが、移行開口(30)に対して軸方向に摺動可能であり、好ましくは規制コーン(42)、若しくはリング(60)、若しくはこれらの組合せであることを特徴とする、請求項1に記載のガススプリング。
  3. 制御ロッド(51)が、ガス流制御エレメントを軸方向に調節するために、ピストンロッドを貫通しており、前記制御ロッド(51)は、両端部に好ましくはガス流制御エレメントのためのバックストップを有することを特徴とする、請求項2に記載のガススプリング。
  4. 制御ロッド(51)には、ガス流制御エレメントを復帰させるためのスプリング手段と、貫通する制御ロッド(51)をリザーバ(20)に対してシールするためのシール手段とが配置されており、ガス流制御エレメントを復帰させるための前記手段と、貫通する制御ロッドをシールするための前記手段とが同時に、好ましくは単一の可撓性チューブ(55)、例えばシリコンチューブ(55)によって構成されることを特徴とする、請求項3に記載のガススプリング。
  5. 少なくとも一方向に急激なストロークがあった場合に移行開口(30)を閉鎖するために、少なくとも一つのスロットルダッシュポット(91、92)が配置され、該スロットルダッシュポットは、好ましくは懸吊コーン(91)若しくは懸吊プレート(92)によって構成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のガススプリング。
  6. 作動シリンダ(10)に対するピストン(2)のシールと、ピストンロッドを構成する中空シリンダ(21)が突き抜けている作動シリンダ(10)の上方カバーのシールとの間であって、中空シリンダ(21)と作動シリンダ(10)のマントルとの間の空隙(70)内に、ガスが包含されており、ピストン(2)の最大伸長時にピストン(2)が作動シリンダの上方カバーに近付く場合に、クションを構成することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のガススプリング。
  7. スプリングの通常機能時に、移行開口(30)が完全に閉鎖されるのを防ぐために、ガス流制御エレメントと移行開口(30)との間にスペーサ(100)が配置され、好ましくはダンピングの該スペーサ(100)は、変形可能であって、必要に応じて移行開口を完全に閉鎖することができることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載のガススプリング。
  8. スプリングの解放状態において、リザーバ(20)は、作動ガスの総容積の約30〜50%、好ましくは約40%を占めることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のガススプリング。
  9. 作動ガスが空気であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のガススプリング。
  10. スプリングを圧縮/復元させるために、中空ピストンロッドを構成する中空シリンダ(21)と、作動シリンダ(10)のマントルとの間であってピストン上方の空隙(70)に対して、加圧空気を充填/排出することができるように、中空シリンダ(21)と作動シリンダ(10)のマントルとの間の上方シールに開口及び/又はバルブ(111)が配置されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のガススプリング。
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