JP2014515598A - 二重特異性三鎖抗体様分子 - Google Patents

二重特異性三鎖抗体様分子 Download PDF

Info

Publication number
JP2014515598A
JP2014515598A JP2013557928A JP2013557928A JP2014515598A JP 2014515598 A JP2014515598 A JP 2014515598A JP 2013557928 A JP2013557928 A JP 2013557928A JP 2013557928 A JP2013557928 A JP 2013557928A JP 2014515598 A JP2014515598 A JP 2014515598A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bispecific
tca
antibody
region
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2013557928A
Other languages
English (en)
Inventor
ローランド ビューロー,
スホーテン, ヴィン ファン
Original Assignee
エイチシーオー アンティボディ, インク.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エイチシーオー アンティボディ, インク. filed Critical エイチシーオー アンティボディ, インク.
Publication of JP2014515598A publication Critical patent/JP2014515598A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/46Hybrid immunoglobulins
    • C07K16/468Immunoglobulins having two or more different antigen binding sites, e.g. multifunctional antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P33/00Antiparasitic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/24Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin containing regions, domains or residues from different species, e.g. chimeric, humanized or veneered
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/52Constant or Fc region; Isotype
    • C07K2317/522CH1 domain
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • C07K2317/569Single domain, e.g. dAb, sdAb, VHH, VNAR or nanobody®

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract


本発明は、新規の二重特異性三鎖抗原結合ポリペプチドおよびそれらの作製および様々な疾患の治療および/または診断における使用に関しており、免疫エフェクター細胞を活性化する能力を有する二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)、および様々な疾患の診断および/または治療における、それらの使用にもまた、関連する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、新規の二重特異性三鎖抗原結合ポリペプチドおよびそれらの作製および様々な疾患の治療および/または診断における使用に関する。本発明は特に、免疫エフェクター細胞を活性化する能力を有する二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)、および様々な疾患の診断および/または治療における、それらの使用に関連する。具体的には、本発明は、CD3抗原複合体に対する結合親和性を有する二重特異性三鎖ポリペプチド、それらの作製、および癌免疫療法におけるそれらの使用に関連する。
抗体による、免疫エフェクター細胞の活性化
身体の免疫システムは、感染、負傷および癌に対する防御としての役割を果たしている。二つの分離された、しかし相互に関連するシステム(液性免疫システムおよび細胞性免疫システム)が、共に機能し、身体を防御している。液性システムは、可溶性の因子(抗体と名付けられ、外来物であると身体に認識される産物を中和する)により媒介されている。対照的に、細胞性システムは、たとえばT細胞およびマクロファージ等の細胞(外来侵入物を除去および中和する)が関与している。
免疫応答の刺激にとって、T細胞の活性化は重要である。T細胞は免疫特異性を示し、細胞性免疫応答のほとんどを監督する。T細胞は抗体を分泌しないが、Bリンパ球による抗体分泌に必要とされる。T細胞活性化は、たとえばT細胞受容体複合体、およびCD4またはCD8分子等の、多くの細胞表面分子の関与を必要とする。抗原特異的T細胞受容体(TcR)は、ジスルフィド結合ヘテロ二量体、アルファ鎖およびベータ鎖(α鎖およびβ鎖)またはガンマ鎖およびデルタ鎖(γ鎖およびδ鎖)を有する膜糖タンパク質から構成される。TcRは、CD3と規定される不変タンパク質の複合体と非共有結合される。
TcRは、抗原特異性を与え、CD3の構造は、T細胞に活性化シグナルを導入する。CD3複合体は、4つのサブユニットを含有している。CD3複合体は、2つのゼータサブユニット、一つのエプシロンサブユニット、およびガンマまたはデルタサブユニットのいずれかを含有し得る。抗原結合は、TCR複合体の架橋結合および活性化をもたらす。T細胞受容体シグナル伝達は、T細胞活性化およびIL−2産生および複合体プロセスにおける他のサイトカインをもたらす。
TcRのリガンドは、たとえばウイルス感染細胞等の標的細胞の表面上にある、MHC−ペプチド複合体である。標的細胞上のMHC−ペプチドが認識された後、T細胞は、標的細胞に対して細胞傷害またはアポトーシス効果を有することができる。特に、細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)は、直接ウイルス感染細胞を除去することにより有利な効果を有することができる。この細胞性免疫応答の性能は、ウイルス感染と戦うこと、および腫瘍細胞を除去することにとって、特に好都合であり、重要である。
細胞傷害性T細胞の活性化は、TcRによるMHC−ペプチド複合体の認識無しに、CD3抗原との直接的な結合を介して、発生し得る。この代替的な活性化経路は、抗CD3抗体で得ることができる。非ヒトモノクローナル抗体は、マウス抗体OKT3、SP34、UCHT1または64.1などに例示されるように、CD3鎖(サブユニット)の一部に対して開発されている。(たとえば、June, et al., J. Immunol. 136:3945−3952(1986)、Yang, et al., J. Immunol. 137:1097−1100 (1986)、およびHayward, et al., Immunol. 64:87−92 (1988)を参照のこと)。
これら抗CD3抗体の多くはエプシロン鎖に結合し、高度に活性化されたT細胞の発生をもたらす。通常のモノクローナル抗体を用いる癌免疫療法では、Tリンパ球はFcガンマ受容体を有していないため、これらの細胞は活性化されない。その理由のため、二重特異性抗体(片腕はヒトCD3を認識し、他の腕は腫瘍抗原を認識する)は、in vitroおよび癌の動物モデルにおいて、高い細胞傷害性の可能性を有している。臨床試験において、BiTE抗体は、非ホジキンリンパ腫患者において、非常に低い用量で、有効であった(Bargou et al., Science 321, p974−977, 2008)。最も低い有効量は、約0.015mg/m/日(一日毎の、体表面平方メートルあたりの、ミリグラム)であり、通常の抗体よりも、数桁低い。
CD3抗体は、例えば、米国特許第5,585,097号、第5,929,212号、第5,968,509号、第6,706,265号、第6,750,325号、第7,381,803号、第7,728,114号において開示されている。CD3に特異的に結合する二重特異性抗体は、例えば、米国特許第7,262,276号、第7,635,472号および第7,862,813号において開示されている。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、癌の検出および治療に対して、単一特異性抗体を超えるかなりの利点を示している。費用対効果の良い作製方法が無いこと、二重特異性ポリペプチドは安定性に欠けること、およびヒトにおいて半減期が長くないことによって、二重特異性抗体が商業的に広く利用されることが阻害されてきた。この数10年間にわたって、二重特異性モノクローナル抗体(BsMAB)を作製するために、多種多様な方法が開発されてきた。
第一世代のBsMAbは、2つの重鎖および2つの軽鎖からなり、それぞれの1つが2つの異なる抗体からのものである。2つのFab領域は、2つの抗原に対して向けられている。Fc領域は2つの重鎖から作られ、免疫細胞上のFc受容体と第3の結合部位を形成し、このことから、三機能性抗体とも呼ばれる(H. Lindhofer et al., The Journal of Immunology, Vol 155, p 219−225, 1995)。1つの細胞株における2つの異なる抗体の導入は、上清中に、重鎖および軽鎖の様々な組み合わせからなる、10の異なるIgG分子の発現をもたらす。それゆえ、機能性のある二重特異性Abの産生量は低く、精製はしばしば複雑となる。この欠点を克服するために、異なる種からの抗体が1つの細胞株において発現され、正確に対をなしたAbの発生が増加したことにより、BsMAbの産生が促進される。たとえば、種拘束的な重鎖および軽鎖の対の優先的な形成のために、ラットおよびマウス抗体を発現する細胞株は、機能性のある二重特異性抗体を分泌する。これらのラット/マウスBsMAbの精製には、標準方法が用いられる。ラット/マウス混合BsMAb(レモバブ、カツマキソマブ)は、ヒトへの使用を許可されている。これらの非ヒト(化)BsMAb製品は、連続投与により、強力な免疫反応を引き起こし、その理由により、非慢性的な使用に対してのみ、使用が指示されている。カツマキソマブの活性機序は、一つのFabがEpCAM(腫瘍抗原)に対して向けられ、他がCD3(Tリンパ球抗原)に対して向けられるというものである。Fc領域はさらに、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞または樹状細胞等のような、Fc受容体を発現している細胞に結合する。つまり、腫瘍細胞は1つまたは2つの免疫系の細胞に結合され、次いで、破壊される。
二重特異性抗体の他のタイプは、ラット/マウス三機能性抗体の避けられない問題、例えば短い半減期、免疫原性およびサイトカイン放出による副作用等を克服するように設計されている。それらには化学的に結合されたFab(Fab領域のみからなる)が含まれる。2つの化学的に結合されたFabまたはFab2断片は、2つの異なる抗原に結合する人工抗体を形成し、それは二重特異性抗体の一種となっている。2つの異なるモノクローナル抗体の抗原結合断片(FabまたはFab2)は、チオエーテルのような化学的手段により産生および結合される(Glennie, MJ et al., Journal of immunology 139, p2367-75, 1987)。典型的には、Fabの一つが腫瘍抗原(たとえばCD30)に結合し、他が免疫細胞表面上のタンパク質(たとえばマクロファージ上のFc受容体、またはT細胞上のCD3)に結合する。このようにして、腫瘍細胞は免疫細胞に結合し、破壊される。化学的に結合されたFabを用いた臨床試験が癌治療に対して実施され、有望な結果が得られた(Peter Borchmann et al., Blood, Vol. 100, No. 9, p3101−3107, 2002)。この方法は生産コストが高いため、さらなる開発対象からは外されてしまった。
様々な多価人工抗体生産の他の方法が、2つの抗体の可変ドメインを組換え融合することにより開発されている。単鎖可変断片(scFv)は、10〜約25アミノ酸の短いリンカーペプチドにより結合された、イムノグロブリンの重鎖の可変領域(VH)および軽鎖の可変領域(VL)の融合タンパク質である。リンカーは通常、柔軟性を目的にグリシンに富み、また、可溶性を目的にセリンまたはスレオニンに富み、VHのN末端をVLのC末端と、またはVLのN末端をVHのC末端とのいずれかを結合することができる。二重特異性単鎖可変断片(di−scFv、bi−scFv)は、異なる特異性を有する2つのscFvを結合することにより、改変することができる。2つのVHおよび2つのVL領域を有する単鎖ペプチドが生産され、二価scFvを得る。これらの最も進んだ開発品として、二重特異性T細胞誘引物(bi−specific T−cell engagers)(BiTE)として知られる、二重特異性タンデムscFvがある。最初のBiTE抗体は、一つのscFvを介して、CD3受容体を介してT細胞へ結合し、他のscFvを介して、腫瘍特異的分子を介して腫瘍細胞へと結合する。たとえば、ブリナツモマブ(Blinatumomab)(MT103)は、非ホジキンリンパ腫および急性リンパ芽球性白血病の治療に対し開発中であり、CD19(B細胞上に発現している表面分子)およびCD3(T細胞上に発現している表面分子)を対象としている。同様にMT110は、胃腸および肺癌の治療に対し開発中であり、腫瘍細胞上のEpCAM抗原およびCD3を対象としている。同様の手法を使用して、メラノーマ(MCSP特異的BiTE)および急性骨髄性白血病(CD33特異的BiTE)が標的とされている。他の可能性には、2つの可変領域にとって共に折り重なるには短すぎ(約5アミノ酸)、scFvの二量体化を強制するリンカーペプチドを有する二重特異性scFvの創出がある。このタイプは二特異性抗体(diabody)として知られる(Adams et al., British journal of cancer 77, p1405-12, 1998)。さらに、これらのフォーマットは、2つの異なる抗原に対する特異性を有する様々な断片から構成され、この場合、これらは二重特異性の二特異性抗体のタイプである。これらすべての技術は、複数回投与後の免疫原性および短い半減期をもたらしうる非ヒト配列を有するタンパク質をもたらす。二重特異性の二特異性抗体およびBiTESは、それら自体では数時間から数日の短い有効期間を有する。対照的に、天然の抗体は、数週間の半減期を有する。
他の人工抗体プラットフォームは、Dual−Affinity Re−Targeting(DART)プラットフォーム技術(Macrogenics, Rockville, Maryland)である。この融合タンパク質技術は、約55キロダルトンの単鎖ペプチド上にある異なる抗体の2つの単鎖可変断片(scFv)を用いる。
SCORPION療法(Emergent Biosolutions, Inc., Seattle, WA)は、単鎖タンパク質中の2つの抗原結合ドメインを組み合わせるプラットフォーム技術である。一つの結合ドメインは、イムノグロブリンFc領域上のエフェクタードメイン塩基のC末端上にあり、二番目の結合ドメインはN末端上にある。
四価および二重特異性抗体様タンパク質は、2つのモノクローナル抗体から設計されるDVD−Igである(Wu, C. et al., Nature Biotechnology, 25, p1290−1297, 2007)。DVD−Ig分子を構築するために、2つのmAbのVドメインが、短いリンカー(TVAAP)により縦一列で、第一の抗体軽鎖の可変ドメイン(VL)とN末端で融合され、次いで、他の抗体のVLおよびCkによりDVD−Igタンパク質軽鎖が形成される。同様に、2つのmAbの重鎖の可変領域(VH)が、短いリンカー(ASTKGP)により縦一列で、第一の抗体とN末端で融合され、次いで、他の抗体および重鎖定常ドメインによりDVD−Igタンパク質重鎖が形成される(VH1/VL1)。すべての軽鎖および重鎖定常領域は、ジスルフィド結合された完全IgG様分子の形成に重要であるため、DVD−Ig構造中に保存される。哺乳類細胞とDVD−Ig軽鎖および重鎖をコードする発現ベクターのコトランスフェクションは、約200kDaの分子量を有する単一種のIgG様分子の分泌をもたらす。この分子は現時点で、4つの結合部位(各mAbから2つ)を有する。
一つの態様において、本発明は、
(a)第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、および少なくとも一つの重鎖定常領域配列を含む、抗体重鎖および軽鎖の対、またはそれらの機能性断片、および
(b)第二の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、ならびにCH1領域を欠く場合において、CH2、CH3および/またはCH4領域を含む、重鎖抗体、
を含む二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)に関する。
他の態様において、本発明は、薬学的に受容可能な成分との混合物において、そのような二重特異性TCAを含む医薬組成物に関する。
さらに他の態様において、本発明は、本発明の医薬組成物の二重特異性TCAを含有する容器、および当該二重特異性TCAまたは当該医薬組成物を使用するためのユーザー向けの指示書を含む、キットに関する。
さらなる態様において、本発明は、抗体重鎖および軽鎖の対ならびに重鎖抗体を、単一宿主細胞中で発現することを含む、本発明の二重特異性TCAを作製するための方法に関する。
様々な実施形態において、宿主細胞は原核細胞または哺乳類細胞等の真核細胞であり得る。
よりさらなる態様において、本発明は、癌の治療のための方法であって、上記癌と診断された対象に対し、本発明の二重特異性TCAの有効量を投与することを含む、方法に関する。
様々な実施形態において、癌は、卵巣癌、乳癌、胃腸癌、脳腫瘍、頭頸部癌、前立腺癌、大腸癌、肺癌、白血病、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経系細胞腫瘍、扁平上皮細胞癌、胚細胞腫瘍、転移、未分化腫瘍、精上皮腫、メラノーマ、ミエローマ、神経芽細胞腫、混合細胞腫瘍および感染体に起因する新生組織形成からなる群から選択される。
他の態様において、本発明は、本発明の二重特異性TCAの有効量を、必要としている対象に投与することを含む、自己免疫疾患または炎症性疾患の治療のための方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、本発明の二重特異性TCAの有効量を、必要としている対象に投与することを含む、細菌、ウイルスまたは寄生虫に起因する感染性疾患の治療のための方法に関する。
すべての態様において、二重特異性TCAが、様々な実施形態において存在しうる。
ゆえに、一つの実施形態において、二重特異性TCA中の抗体重鎖および軽鎖の対は、第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、ならびにCH1配列を含む。
他の実施形態において、二重特異性TCA中の抗体重鎖および軽鎖の対は、第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、ならびにCH1およびCH2配列を含む。
さらに他の実施形態において、二重特異性TCA中の抗体重鎖および軽鎖の対は、第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、ならびにCH1、CH2およびCH3配列を含む。
他の実施形態において、二重特異性TCA中の抗体重鎖および軽鎖の対は、ヒンジ領域をさらに含む。
さらなる実施形態において、二重特異性TCA中の抗体重鎖および軽鎖、またはそれらの機能性断片は、互いに共有結合している。
より特定の実施形態において、二重特異性TCA中の抗体重鎖および軽鎖、またはそれらの機能性断片は、ジスルフィド結合により結合している。
異なる実施形態において、二重特異性TCA中の重鎖抗体は、第二の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、およびCH1領域を欠く場合において、CH2領域を、含む。
他の実施形態において、二重特異性TCA中の重鎖抗体は、CH1領域を欠く場合において、CH3領域をさらに含む。
さらに他の実施形態において、二重特異性TCA中の重鎖抗体は、CH1領域を欠く場合において、CH4領域をさらに含む。
さらなる実施形態において、重鎖抗体は、ヒンジ領域をさらに含む。
さらなる複数の実施形態において、第一および第二の結合標的は、2つの異なる抗原、または同一抗原上の異なるエピトープでありうる。
よりさらなる実施形態において、本明細書の二重特異性TCAは、標的細胞により発現されている細胞表面抗原およびエフェクター細胞により発現されている抗原に結合し得る。
特定の実施形態において、第一および第二の結合標的の少なくとも一つは、CD3複合体の一部分、たとえばCD3エプシロンである。
すべての実施形態において、本明細書の二重特異性TCAは、ヒト化され得るまたはヒトであり得る。
ヒト重鎖ポリペプチド、ヒトIgG抗体およびヒト二重特異性3鎖ポリペプチドの概略図。宿主細胞株における重鎖ポリペプチドおよびヒト抗体の共発現により、上清中にすべての3つの分子を得る。個々のポリペプチドの精製は、親和性(プロテインA)、サイズ排除クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーのような標準的タンパク質精製技術を用いて達成される。
発明の詳細な説明
定義
他で定義されない限り、本明細書において使用される技術、表記および他の科学的な専門用語のすべての用語は、本発明が関係する分野における当業者により普遍的に理解される意味を有することが意図される。いくつかの場合において、普遍的に理解される意味を有する用語は、本明細書において、明確化および/または即時参考のために定義され、本明細書においてそのような定義の包含は、必ずしも、当分野において広く理解されるものに関して実体的な相違を表すとみなされるべきではない。本明細書において記述または参照される技術および手順は、一般に良く理解され、当分野の当業者により、慣習的な技法を用いて一般的に採用される。そのような技法には、たとえば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual第二版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Yに記載されている、広く用いられている分子クローニング技法がある。また、たとえば、Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 93,January 2011,John Wiley & Sons,Inc.がある。必要に応じて、市販されているキットおよび試薬の使用を含む手順が、特に断りの無い限り、メーカーの定義したプロトコールおよび/またはパラメータに従って、通常、行われる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形の「一つ」、「および」、および「その」は、他に文脈で明確に指定されない限り、複数の指示対象を含むことを留意しなければならない。
本明細書および特許請求の範囲を通じ、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる」といった変形は、規定された整数または整数の群を含むことを意味するが、他の任意の整数または整数の群の排除は意味しないことを理解されたい。
本明細書において商標名が使用された場合、出願人は、商標名の製剤、ジェネリック薬および商標名製品の活性薬剤成分(単数または複数)を個々に含むことを意図する。
本明細書で言及されるすべての公表文献および他の参考文献は、参照により本明細書に援用され、当該公表文献が引用される箇所に関連し、本方法および/または材料が開示および記載される。本明細書に引用される公表文献は、本出願の出願日より前に開示されたものに対して引用される。本明細書において、発明の日の前、または優先日より早いという理由は、その公表文献に先行する権利を発明者は有しないという承認として、みなされはしない。さらに、実際の公表の日付は、示されているものとは異なりうるし、独立した立証が要求される可能性がある。
他で述べられない限り、本明細書で使用される以下の用語およびフレーズは、以下の意味を有することが意図される。
「抗原」という用語は、実体またはその断片を指し、抗体に結合、または細胞免疫反応を惹起することができる。免疫原は、抗原を指し、生命体、具体的には動物、より具体的にはヒトを含む哺乳類における免疫反応を引き起こすことができる。抗原という用語は、抗原決定基またはエピトープとして知られる領域を含む。
本明細書において使用される「免疫原性の」という用語は、免疫原の抗原に対して向けられる抗体の産生ならびに/またはT細胞および/もしくは他の反応性免疫細胞の活性化を引き起こす物質を指す。
免疫反応は、投与された免疫原性組成物に反応して個体が十分な抗体、T細胞および他の反応性免疫細胞を産生する場合に、発生する。
本明細書において使用される免疫原性という用語は、レシピエントに投与された際の免疫反応(液性または細胞性の)を引き起こす抗原の能力の指標を指す。本発明は、対象となるヒトキメラ抗体またはヒト化抗体の免疫原性を減少させる方法に関連する。
本明細書において、「二重特異性」という用語は、2つの異なる抗原を認識する結合ポリペプチドを指すために用いられる。一つの実施形態において、「二重特異性」ポリペプチドは、三鎖であり、第一の抗原またはハプテンに対し特異的な第一の抗原結合部位を少なくとも一つ、および第二の抗原またはハプテンに対し特異的な第二の抗原結合部位を少なくとも一つ有することで、2つの異なる抗原を認識する抗原結合抗体様分子である。上記ポリペプチドは、組換えDNA法および/または化学合成により産生することができる。各抗原に対し2つ以上の認識部位を有する二重特異性ポリペプチドは、具体的に、この定義の中に含まれる。
本明細書において、「二重特異性三鎖抗体様分子」または「TCA」という用語は、抗体様分子を指すために用いられ、抗体様分子は、抗原結合領域および少なくとも一つのCHドメインを含む、3つのポリペプチドサブユニット(うち2つはモノクローナル抗体の一つの重鎖および一つの軽鎖、またはそのような抗体鎖の機能性抗原結合断片を含む、または基本的に構成される、または、からなる)からなる、または基本的に構成される、または含む。この重鎖/軽鎖の対は、第一の抗原に対する結合特異性を有する。三番目のポリペプチドサブユニットは、CH1ドメインを欠く場合において、CH2および/またはCH3および/またはCH4ドメイン、および第二の抗原のエピトープまたは第一の抗原の異なるエピトープと結合する抗原結合ドメイン(そのような結合ドメインは、抗体重鎖または軽鎖の可変領域から誘導される、または配列同一性を有する)を含むFc部分を含む重鎖のみの抗体を含む、または基本的に構成される、または、からなる。そのような可変領域の一部分は、Vおよび/またはV遺伝子セグメント、DおよびJ遺伝子セグメント、またはJ遺伝子セグメントによりコードされうる。可変領域は、再構成されたVDJ、VDJ、VまたはV遺伝子セグメントよりコードされうる。
抗体(イムノグロブリンとも呼ばれる)は、通常、2つの等しい重鎖および2つの等しい軽鎖を含む。重鎖および軽鎖のそれぞれは、可変であるアミノ末端ドメイン、および定常であるカルボキシ末端を含む。一つの重鎖(V)由来の可変領域、および一つの軽鎖(V)由来の可変領域は、ともに抗体の抗原結合部位を形成する。ゆえに、天然の抗体は通常、2つの抗原結合部位を有する。典型的には、2つの重鎖は定常領域(C)でジスルフィド結合により互いに共有結合し、各重鎖は軽鎖(C)の一つの定常領域に共有結合する。本明細書において「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、具体的にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、マルチマー、多特異性抗体(たとえば、二重特異性抗体)および所望の生物活性を示す抗体断片に及ぶ(Miller et al (2003) Jour. of Immunology 170:4854−4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラまたは他種から誘導されたものであり得る。抗体は、具体的な抗原を認識および結合する能力のある免疫システムにより産生されるタンパク質である(Janeway, C., Travers, P., Walport, M., Shlomchik (2001)Immuno Biology,第5版,Garland Publishing,New York)。標的抗原は通常、複数の抗体上のCDRにより認識され、エピトープとも呼ばれる多くの結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は各々、異なる構造を有する。ゆえに、一つの抗原は、1つ以上の対応する抗体を有し得る。抗体は、全長イムノグロブリン分子または全長イムノグロブリン分子の免疫的に活性な部位(すなわち、対象標的またはその一部分の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子であり、そのような標的には、限定されないが、癌細胞または自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞が含まれる)を含む。本明細書において開示されるイムノグロブリンは、任意のタイプ(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはイムノグロブリン分子のサブクラスでありうる。イムノグロブリンは、任意の種から誘導することができる。しかし、一つの態様においては、イムノグロブリンはヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギまたは鶏由来のものである。「可変の」という用語は、可変ドメインのある部位は、抗体間で配列が著しく異なり、特定の抗原に対する特定の抗体のそれぞれの結合および特異性に用いられるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に等しくは分布していない。可変性は、軽鎖および重鎖可変ドメイン中の両方において、超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。より高度に保存されている可変ドメインの部位は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、4つのFRを含有し、ベータシートの構造を主に有し、3つの超可変領域により結合され、ループ結合、ある場合においては、ベータシート構造の一部分を形成する。各鎖における超可変領域は、FRのそばに近接して共に保持され、他の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.を参照のこと)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接には関与しないが、たとえば抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)における抗体の関与等の、様々なエフェクター機能を示す。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同一の抗体群(すなわち、群を構成する個々の抗体が、少量存在しうる可能性のある自然発生の変異を除き、同一である)から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる
異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体のそれぞれは、抗原上の単一の決定基に対して向けられている。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が混じることなく合成されうる点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同一の抗体群から得られた抗体の特徴を指し、いずれかの特定の方法による抗体産生が必要とされるとはみなされない。たとえば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(最初に、Kohler et al.、(1975)Nature 256:495により記載)、または組換えDNA法(たとえば、米国特許第4,816,567号、米国特許第5,807,715号を参照のこと)により作製されてもよい。モノクローナル抗体は、たとえば、Clackson et al.,(1991)Nature, 352:624−628、 Marks et al.,(1991)J. Mol.Biol.,222:581−597に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリから単離してもよい。
本明細書において、モノクローナル抗体は、「キメラ」抗体を明確に含み、キメラ抗体の重鎖および/または軽鎖の一部分は、特定の種から誘導された、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と一致または同一である一方で、鎖の残りの部分は、他の種から誘導された、または他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と一致または同一であり、そのような抗体の断片もまた、所望の生物活性を示す限りは、同様である(米国特許第4,816,567号、およびMorrison et al.,(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA,81:6851−6855)。本明細書において、対象のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(たとえば、旧世界ザル、類人猿等)から誘導された可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含有する、「霊長類化」抗体を含む。
本明細書において、「損なわれていない抗体」とは、分泌型IgGのVおよびVドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3を含有するものである。他のアイソタイプ(たとえば、IgMまたはIgA)は、異なるCHドメインを有し得る。定常ドメインは、天然の配列定常ドメイン(たとえば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であり得る。損なわれていない抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有し得、エフェクター機能とは、抗体のFc定常領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合、補体依存性細胞傷害活性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在細胞傷害(ADCC)、貪食、および細胞表面受容体のダウンレギュレーションが挙げられる。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、損なわれていない抗体は、異なる「クラス」を割り当てられうる。損なわれていないイムノグロブリン抗体には5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、さらに「サブクラス」(アイソタイプ)(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)に分類され得る。抗体の異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニットの構造および3次元構成は、良く知られている。Igの構造は、ヒンジ修飾またはヒンジの無い構造を含む(Roux et al.,(1998) J. Immunol.161:4083−4090、 Lund et al.,(2000)Eur.J.Biochem. 267:7246−7256、米国特許出願公開第2005/0048572号、米国特許出願公開第2004/0229310号)。任意の脊椎動物由来の抗体の軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、2つの明確に異なる型(κおよびλと呼ばれる)のうちの1つを割り当てられうる。
本明細書において使用される場合、「超可変領域」という用語は、抗原が結合する原因となる抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は通常、「相補的決定領域」もしくは「CDR」(たとえば、軽鎖可変ドメイン中の24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)残基、ならびに重鎖可変ドメイン中の31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3)残基、Kabat et al.,(上記参照))由来のアミノ酸残基および/または「超可変ループ」(たとえば、軽鎖可変ドメイン中の26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)残基、ならびに重鎖可変ドメイン中の26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)残基、Chothia and Lesk (1987)J. Mol. Biol., 196:901−917)由来のアミノ酸残基を含む。「フレームワーク領域」または「FR」残基は、本明細書において定義する超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一な抗原結合断片を産生し、各断片は、単一の抗原結合部位および、すぐに結晶化するというその能力を反映した名称である「Fc」断片残基を有している。ペプシン処理は、F(ab´)断片を産生し、その断片は2つの抗原結合部位を有し、架橋結合抗原の能力をいまだ有している。
「Fv」は、最小抗体断片であり、完全な抗原認識および抗原結合部位を含有している。この領域は、非共有結合性にぴったりと会合した1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。その二量体は、各可変ドメインの3つの超可変領域が、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を特徴づけるために相互作用するという構造になっている。トータルで、6つの超可変領域により抗体の抗原結合特異性がもたらされる。しかしながら、結合部位全体よりは親和性が低いが、単一の可変ドメイン(または抗原特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識、結合する能力を有している。
Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を含有している。Fab´断片は、Fab断片と異なり、重鎖CH1ドメイン(抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む)のカルボキシ末端で数残基の付加がある。Fab´‐SHは、本明細書において、定常ドメインのシステイン残基(単数または複数)が少なくとも一つの遊離チオール基を有するFab´という意味である。F(ab´)抗体断片は、元々、Fab´断片の対として産生されたものであり、それらの間にはヒンジシステインがある。抗体断片の他の化学的カップリングもまた知られている。
単鎖抗体を含む非ヒト(たとえばげっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、最小限の非ヒトイムノグロブリン由来の配列を含む、キメラ抗体(単鎖抗体を含む)である。ヒト化は、マウスの抗原結合情報を、非免疫原性のヒト抗体のアクセプターへと移す方法であり、治療に役立つ多くの薬剤をもたらしている。ヒト化の方法は、通常、マウス相補的決定領域(CDR)の6つすべてをヒト抗体フレームワーク上へと移すことから開始される(Jones et al.,(1986) Nature 321:522−525)。CDRが移植されたこれら抗体は、通常、元々の抗原結合親和性を維持しておらず、実際のところ、親和性は大抵の場合において大幅に損なわれてしまっている。CDRに加えて、選択した非ヒト抗体フレームワーク残基もまた、特有のCDR構造を維持するよう組み込まれなければならない(Chothia et al.,(1989)Nature342:877)。移植されたCDRの構造配置を支持するための、主要なマウスフレームワーク残基をヒトアクセプターに移転することで、抗原結合および親和性が復元することが示されている(Riechmann et al.,(1992)J.Mol.Biol.224,487−499、Foote and Winter,(1992)J. Mol. Biol. 224:487−499、Presta et al.,(1993)J.Immunol.151,2623−2632、Werther et al.,(1996)J.Immunol.Methods 157:4986−4995、およびPresta et al.,(2001) Thromb.Haemost.85:379−389)。ほとんどの部分で、ヒト化抗体はヒトイムノグロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域由来の残基を、所望の特異性、親和性および能力を有する、たとえばマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基と置換している。いくつかの例においては、ヒトイムノグロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基と置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中にはない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改善させる。一般に、ヒト化抗体は少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインを実質的にすべて含み、超可変ループのすべて、または実質的にすべては、非ヒトイムノグロブリンのそれらに相当し、FRのすべて、または実質的にすべては、ヒトイムノグロブリン配列のそれらである。ヒト化抗体はまた、任意で、イムノグロブリン定常領域(Fc)を少なくとも一部分で含み、典型的には、Fcはヒトイムノグロブリンのものである。さらなる詳細は、米国特許第5,225,539号、第6,548,640号、第6,982,321号、第5,585,089号、第5,693,761号、第6,407,213号、Jones et al.,(1986)Nature,321:522−525およびRiechmann et al.,(1988)Nature 332:323−329を参照のこと。
「機能性Fc領域」は、天然配列のFc領域の「エフェクター機能」を有する。「エフェクター機能」の例示として、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食、細胞表面受容体(たとえばB細胞受容体)のダウンレギュレーション等が挙げられる。そのようなエフェクター機能は通常、Fc領域が結合ドメイン(たとえば、抗体−可変ドメイン)と結合することが必要であり、たとえば本明細書の定義中に開示される様々な分析法を用いて評価することができる。
「天然配列Fc領域」は、自然にあるFc領域のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を含有する。天然配列ヒトFc領域として、天然配列ヒトIgG1Fc領域(非AおよびAアロタイプ)、天然配列ヒトIgG2Fc領域、天然配列ヒトIgG3Fc領域、および天然配列ヒトIgG4Fc領域ならびにそれらの自然発生変異体が挙げられる。
「Fc領域変異体」は、少なくとも一つのアミノ酸変異、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換により、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含有する。好ましくは、Fc領域変異体は、天然配列Fc領域または元のポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも一つのアミノ酸置換を有し、たとえば、天然配列Fc領域中または元のポリペプチドのFc領域中に、約1〜約10アミノ酸置換、好ましくは、約1〜約5アミノ酸置換を有する。本明細書においてFc領域変異体は、天然配列Fc領域および/または元のポリペプチドのFc領域と、好ましくは少なくとも約80%の相同性、最も好ましくは少なくとも約90%の相同性、より好ましくは約95%の相同性を有する。
2配列間の「相同性」は、配列同一性により決定される。もし、互いに比較される2つの配列の長さが異なる場合、配列同一性は、好ましくは、より長い配列のヌクレオチド残基と同一である、より短い配列の核酸残基の割合に関連する。配列同一性は、たとえばBestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Unix向けバージョン8,Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive Madison,Wis.53711)等のコンピュータープログラムを使用して、従来方式でに決定することができる。Bestfitは、Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics 2(1981),482−489の部分相同性アルゴリズムを使用し、2配列間で最も高い配列同一性を有するセグメントを見つけることができる。Bestfitまたは他の配列アライメントプログラムを用いて、特定の配列が、本発明の参照配列と例えば95%の同一性を有しているかどうかを決定する場合、パラメータは、好ましくは、同一性の割合が、参照配列の全長にわたり算出され、参照配列中のヌクレオチド総数の5%までの相同性ギャップが許可されるように調製される。Bestfitを使用した場合、いわゆる任意のパラメータは、好ましくは、事前にセットされた値(「デフォルト」)のままである。所与の配列および上述の本発明の配列間の比較において現れる偏差は、たとえば、付加、欠失、置換、挿入または組換えによるものであり得る。そのような配列比較はまた、好ましくは、「fasta20u66」プログラム(バージョン2.0u66、1998年9月、William R. Pearsonおよびthe University of Virginiaによる、W.R.Pearson(1990),Methods in Enzymology 183,63−98,と添付の実施例およびhttp://workbench.sdsc.edu/もまた参照のこと)を用いて実行することができる。この目的のために、「デフォルト」パラメータ設定を用いてもよい。
「Fc領域含有抗体」という用語は、Fc領域を含有する抗体を指す。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによると、447残基)は、たとえば抗体の精製の間に、または抗体をコードする核酸の組換え作業により、除去される可能性がある。従って、本発明によるFc領域を有する抗体は、K447を伴う、または伴わない抗体を含有しうる。
本明細書に使用される「単鎖抗体」とは、抗原エピトープの結合する抗原結合ドメインを1つ以上含有する単鎖ポリペプチドを意味し、そのようなドメインは、抗体重鎖または軽鎖の可変領域と同一な配列由来である、または抗体重鎖または軽鎖の可変領域と同一な配列を有する。そのような可変領域の一部分は、VもしくはV遺伝子セグメント、DおよびJ遺伝子セグメント、またはJ遺伝子セグメントによりコードされ得る。可変領域は、再構成されたVDJ、VDJ、VまたはV遺伝子セグメントによりコードされ得る。V−、D−、およびJ−遺伝子セグメントは、ヒトおよび様々な動物(鳥、魚、鮫、哺乳類、げっ歯類、非ヒト霊長類、ラクダ、ラマ、ウサギ等を含む)由来であり得る。
本明細書において使用される「重鎖のみ抗体」または「重鎖抗体」または「重鎖ポリペプチド」という用語は、重鎖CH2および/またはCH3および/またはCH4ドメインを含むがCH1ドメインは含まない単鎖抗体を意味する。一つの実施形態において、重鎖抗体は、抗原結合ドメイン、ヒンジ領域の少なくとも一部、ならびにCH2およびCH3ドメインから構成される。別の実施形態において、重鎖抗体は、抗原結合ドメイン、ヒンジ領域の少なくとも一部およびCH2ドメインから構成される。さらなる実施形態において、重鎖抗体は、抗原結合ドメイン、ヒンジ領域の少なくとも一部およびCH3ドメインから構成される。CH2および/またはCH3ドメインが切断されている重鎖抗体もまた、本明細書に含まれる。さらなる実施形態において、重鎖は、抗原結合ドメイン、および少なくとも一つのCH(CH1、CH2、CH3またはCH4)ドメインから構成されるが、ヒンジ領域はない。重鎖のみ抗体は、二量体の形態であることができ、2つの重鎖が、他方とジスルフィド結合、さもなければ共有結合または非共有結合で互いに結合している。重鎖抗体は、IgGサブクラスに属し得るが、他のサブクラスに属する抗体(たとえばIgM、IgA、IgDおよびIgEサブクラス)もまた本明細書に含まれる。特定の実施形態において、重鎖抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプであり、特にIgG1サブタイプである。
重鎖抗体は、ラクダ科の動物(たとえばラクダおよびラマ)により産生されるIgG抗体の約4分の1を構成する(Hamers−Casterman C.et al.,Nature.363,446−448(1993))。これらの抗体は、2つの重鎖により構成されるが、軽鎖を欠いている。その結果として、可変抗原結合部分はVHHドメインと呼ばれ、長さが約120アミノ酸のみである、天然で発生するもっとも小さく、損なわれていない抗原結合部位である(Desmyter,A.et al.,J.Biol.Chem.276,26285−26290(2001))。免疫化を通じて、高い特異性および親和性を有する重鎖抗体を、様々な抗原に対して作製することができ(van der Linden,R.H.et al.,Biochim.Biophys.Acta.1431,37−46(1999))、VHH部分は、容易にクローン化され、酵母中に発現される(Frenken,L.G.J.,et al.J.Biotechnol.78,11−21(2000))。それらの発現レベル、可溶性および安定性は、古典的なF(ab)またはFv断片よりも有意に高い(Ghahroudi, M. A. et al. FEBS Lett. 414, 521−526 (1997))。鮫もまた、VNARと呼ばれるその抗体中に、単一のVH様ドメインを有することが示されている(Nuttall et al.Eur.J.Biochem.270,3543−3554 (2003)、Nuttall et al.Function and Bioinformatics 55,187−197(2004)、Dooley et al.,Molecular Immunology 40,25−33(2003))。
本明細書において、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに、「特異的に結合する」または「特異的」である、重鎖のみ抗体および二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)を含む抗体および結合分子は、他のいずれのポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく、当該特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合するものである。
本明細書において、対象の抗原に「結合する」重鎖のみ抗体および二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)を含む、抗体または結合分子は、十分な親和性で抗原に結合するものであり、当該抗体または結合分子は、抗原を標的とする診断剤および/または治療剤として有用であり、他のタンパク質と有意に交差反応しないものである。そのような実施形態において、抗体または他の結合分子の非標的抗原への結合の程度は、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)分析または放射性免疫沈降法(RIA)により決定されるように、10%未満である。
「補体依存性細胞傷害活性」および「CDC」は、補体の存在中での、標的の溶解を指す。補体活性化の機序は、補体システムの第一成分(C1q)の、同種抗原と複合した分子(たとえば、抗体)への結合により開始される。
「結合親和性」は、通常、分子(たとえば、抗体または他の結合分子)の単一の結合部位と、その結合パートナー(たとえば、抗原または受容体)の間の非共有結合性の相互作用の強さの総計を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(Kd)により表すことができる。親和性は、当分野で普遍的な方法で計測することができ、本明細書に記載されるものを含む。低い親和性の抗体は、抗原(または受容体)に弱く結合し、容易に解離する傾向がある一方で、高い親和性の抗体は、抗原(または受容体)に、よりしっかりと結合し、結合した状態をより長く維持する。
「機能性」または「生物学的に活性な」抗体または結合分子(本明細書における重鎖のみ抗体および二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)を含む)は、構造的な、調節的な、生化学的な、または生物物理学的な事象において、自然の活性を一つ以上、発揮する能力を有するものである。たとえば、機能性抗体または他の結合分子(たとえば、TCA)は、抗原に特異的に結合する能力を有し得、その結合は、今度は、たとえばシグナル伝達または酵素活性等の、細胞性または分子的な事象を導く、または変化させ得る。機能性抗体または他の結合分子(たとえば、TCA)はまた、受容体のリガンド活性化を妨害、またはアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用し得る。抗体または他の結合分子(たとえば、TCA)の、自然の活性を一つ以上発揮する能力は、適切なフォールディングおよびポリペプチド鎖のアセンブリを含む、いくつかの要因に依存する。
本明細書において使用される「ベクター」という用語は、結合された他の核酸を運搬する能力を有する核酸分子を指すよう意図されている。ベクターの一種には「プラスミド」があり、追加のDNAセグメントが連結されうる環状の二重鎖DNAループを指す。ベクターの他のタイプには、ウイルスベクターがあり、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノム内へ連結され得る。あるベクターは、導入された宿主細胞中で、自己複製する能力を有する(たとえば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(たとえば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それによって、宿主のゲノムと一緒に複製される。さらに、あるベクターは、操作可能に結合された遺伝子の発現を指揮する能力を有する。そのようなベクターは、本明細書において、「組み換え発現ベクター」(または、シンプルに「組み換えベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが、もっとも普遍的に使用されるベクターの形態であるため、互換可能に用いてもよい。
本明細書において使用される、「宿主細胞」(または「組み換え宿主細胞」)という用語は、遺伝子的に変化した、または組換えプラスミドもしくはベクター等の外来ポリヌクレオチドの導入により、遺伝子的に変化させることができる細胞を指すことが意図される。そのような用語は、特定の対象細胞のみを指すのではなく、当該細胞の子孫細胞も指すことが意図されることを理解すべきである。突然変異または環境的な影響によって、若干の変異が次世代に発生する可能性があるため、当該子孫細胞は、実際には、元となる細胞と同一ではない可能性があるが、それでも、本明細書において使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
治療の目的上の「哺乳類」は、哺乳類として分類される任意の動物を指し、人類、非ヒト霊長類、家畜、ならびに動物園、スポーツまたはペットアニマル(たとえば、イヌ、馬、ネコ、ウシ等)が含まれる。定義内に具体的に含まれるのは、たとえばマウスおよびラット等のげっ歯類、ならびに遺伝子変換により抗体多様性を創出する動物である。
1.二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)
本発明は、新規の二重特異性抗体様分子(結合ポリペプチド)を開示し、たとえば、ヒトの疾患の治療および/または診断において有用性が見いだされる。新規二重特異性抗体様分子は、3つのポリペプチド鎖からなり、三鎖抗体(TCA)と呼ばれる。そのようなポリペプチド鎖のうちの2つは、抗原結合ドメインを形成するために必要な抗体重鎖および軽鎖の少なくとも一部分、および少なくとも一つの抗体重鎖定常領域配列、すなわち、CH1および/またはCH2および/またはCH3および/またはCH4領域配列を含む。ある実施形態において、重鎖配列はまた、ヒンジ領域を含んでもよい。一つの実施形態において、2つのポリペプチド鎖は、第一の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体の一つの重鎖および一つの軽鎖である。
3つ目のポリペプチド鎖は、CH1ドメインが欠落する場合において、CH2および/またはCH3および/またはCH4ドメインを含有するFc部分、および第二の抗原のエピトープに結合する抗原結合ドメイン(そのような抗原ドメインは、抗体重鎖または軽鎖の可変領域由来であるか、または抗体重鎖または軽鎖の可変領域と同一配列を有する)を含有する、重鎖のみ抗体である。そのような可変領域の一部分は、VもしくはV遺伝子セグメント、DおよびJ遺伝子セグメント、またはJ遺伝子セグメントによりコードされ得る。可変領域は、再構成されたVDJ、VDJ、VまたはV遺伝子セグメントによりコードされ得る。V−、D−、およびJ−遺伝子セグメントは、ヒトおよび様々な動物(鳥、魚を含むがこれらに限定されない)由来であり得る。第一および第二の抗原は、互いに異なり、すなわちTCAは二重特異性である。
ある実施形態において、残りの配列が全長CH領域の機能を維持するのに十分であれば、CH領域を切断することができる。
二重特異性TCAは、化学合成により調製することができるが、典型的には、それらは、たとえば、単一組換え宿主細胞中で分子を作り出す、三鎖の共発現、またはたとえば重鎖ポリペプチドおよびヒト抗体等の抗体の共発現等の、組換えDNA技法により作製される。さらに、抗体重鎖および軽鎖はまた、単一のポリシストロニックな発現ベクターを用いて発現させることができる。TCAの抗体の構成要素はまた、ファージディスプレイにより産生することができる。単一宿主細胞における重鎖ポリペプチドおよび抗体の共発現は、上清中に3つの分子(抗体、重鎖ポリペプチドおよびTCA)を産生する。個々のポリペプチドの精製は、たとえば親和性(プロテインA)クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または疎水性相互作用クロマトグラフィー等の標準的なタンパク質精製技術を用いて達成される。TCAは、サイズおよび疎水性において十分に異なるため、精製は標準方法を用いて行うことができる。
単一宿主細胞中で産生される抗体および重鎖ポリペプチドの量は、抗体の定常領域および重鎖の操作を通じて、最小化することができ、たとえば、自己互助作用により、ホモ二量体化がヘテロ二量体化よりも好まれる(たとえば、「突起を空洞へ」戦略(国際公開第96/27011号を参照のこと)等の可能性に対しては、国際公開第98/50431号を参照のこと)。ゆえに、本発明の他の態様は、組換え宿主におけるTCAを産生するための方法を提供することであり、当該方法には、組換え宿主細胞中で少なくとも抗体および重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を発現させる工程を含み、上記抗体および上記重鎖ポリペプチドは、定常領域が十分に異なるため、ホモ二量体の形成を減少または阻害するが、TCAの形成は増加させる。
任意の非ヒトアミノ酸配列の無いTCAが産生され得る。そのようなTCAは、非免疫原性であり、ヒトにおける天然抗体と同様、長い半減期を有する安定した分子である。
従来のモノクローナル抗体と比較し、TCAの可能性は増加している。
一つの実施形態において、本発明は、2つの細胞表面抗原に結合するTCAに関する。
本発明は、具体的には、ヒトCD3に結合するTCAに関する。たとえば、重鎖のみ抗体ポリペプチドは、重鎖および軽鎖またはそれらの機能性断片と組み合わされてもよく、少なくとも、モノクローナル抗体由来の抗原結合ドメインならびにCH1、CH2、CH3およびCH4ドメインのうちの少なくとも一つを含有する。重鎖のみ抗体は、ヒトCD3に特異的であり得、一方でTCAのモノクローナル抗体(mAb)部分は、癌細胞、たとえば、卵巣、乳房、胃腸、脳、頭および頚部、前立腺、大腸および肺癌等の細胞、ならびに、たとえば、白血病を含むB細胞腫瘍等の血液系腫瘍、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経系細胞腫瘍、扁平上皮細胞癌、胚細胞腫瘍、転移、未分化腫瘍、精上皮腫、メラノーマ、ミエローマ、神経芽細胞腫、混合細胞腫瘍、感染体に起因する新生組織形成、ならびに他の悪性腫瘍、病原体に感染した細胞、炎症および/または自己免疫を引き起こす自己反応性細胞等を含む標的細胞に特異的であり得る。ある実施形態において、TCAは、CD3および腫瘍抗原(たとえば、HER−2/Neu受容体、他の増殖因子受容体(たとえばEGFR、HER3、HER4、VEGFR1およびVEGFR2受容体)、B細胞マーカー(たとえばCD19、CD20、CD22、CD37、CD72等)、T細胞マーカー(たとえばCD25、CD11b)、他の白血球表面マーカー(たとえばCD33またはHLA−DR等)、サイトカイン(たとえばTNF、インターロイキン)、これらのサイトカインに対する受容体(たとえばTNF受容体ファミリー等のメンバー))に対する結合特異性を有する。
他の実施形態において、本明細書における二重特異性TCAは、ウイルス、細菌、寄生虫等の病原体により発現されるタンパク質に対する結合特異性を有し得る。さらなる実施形態において、二重特異性TCAは、ウイルスに感染した細胞または感染細胞の表面上に発現したウイルスタンパク質またはウイルス粒子に特異的に結合する。さらなる実施形態において、二重特異性TCAは、細胞内寄生虫を有する細胞の表面上に発現された寄生虫タンパク質に特異的に結合する。
本発明の二重特異性TCAに含まれうる例示的な抗CD3モノクローナル抗体には、OKT3(Otho)およびその変異体(非グリコシル化された変異体を含む)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体は完全なヒト抗体である。一般に、抗CD3抗体は、以下の特徴を一つ以上有している:抗体は、CD3陽性(CD3+)細胞には結合するが、CD3陰性(CD3−)細胞には結合しない;抗CD3抗体により、CD3もしくはT細胞受容体(TcR)の細胞表面の発現レベルまたは活性を変化(たとえば、減少)させることを含む抗原性の調節が誘導される。
たとえば、CD3特異的重鎖抗体は、たとえばリツキサン(登録商標)(B細胞腫瘍を含むB細胞上のCD20に特異的)、アバスチン(登録商標)(ベバシズマブ、抗VEGF抗体)、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2抗体)等のmAbの重鎖および軽鎖と組み合わせてもよい。CD3特異的単鎖ペプチドはまた、たとえばPMSA(前立腺特異的膜抗原)等の他の腫瘍抗原に特異的な抗体と組み合わせることができる。CD3特異的単鎖ペプチドはまた、インフルエンザウイルス、HIV、デングウイルスまたは他のウイルス感染細胞を認識する抗体と対になることができる。
本発明はまた、細胞表面抗原および可溶性抗原に結合するTCAを開示する。
本発明はまた、2つの可溶性抗原、または1つの抗原(たとえば1つの可溶性抗原)上の2つの異なるエピトープに結合するTCAに関する。ゆえに、たとえば、HER2抗原上またはCD3上の2つの異なるエピトープに結合するTCAは、具体的に本明細書に含まれる。
2つの可溶性抗原、または1つの可溶性抗原の2つのエピトープに結合するTCAは、上記抗原と架橋することができる可能性がある。動物またはヒトにおいて、そのようなTCAの投与は、循環系からの標的抗原の除去をもたらし得る。
2.TCAの組換え生産
上述のように、本明細書におけるTCAは、典型的には組換えDNA技術(たとえば、単一組換え宿主細胞中で分子を作り上げる、三鎖の共発現等)により生産される。
本明細書におけるTCAの組換え生産のために、三鎖をコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために、複製ベクターへ挿入される。所望の単鎖抗体をコードするDNAは、従来方法(たとえば、抗体変異体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力を有するオリゴヌクレオチドプローブを使用することによる)を用いて容易に単離および配列解析される。多くのベクターが利用可能である。ベクターの構成要素は、通常、以下の一つ以上を含むがこれらに限定されない:シグナル配列、複製起点、一つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列。
選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞により認識、および処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼにより開裂される)ものである。天然の抗体シグナル配列を認識、および処理しない原核宿主細胞に対しては、シグナル配列は、たとえばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱耐性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核細胞のシグナル配列により代用される。酵母分泌に対しては、天然のシグナル配列は、たとえば酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(サッカロミセスおよびクリベロミセスα因子リーダーを含む)、または酸ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンズ グルコアミラーゼリーダー、または国際公開第90/13646号に記載されるシグナルにより代用され得る。哺乳類細胞発現においては、哺乳類シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー(たとえば、単純ヘルペスgDシグナル)が利用できる。
上記の前駆体領域に対するDNAは、リーディングフレーム中で抗体をコードするDNAへ結合される。
発現およびクローニングベクターの両方とも、一つ以上の選択宿主細胞中でベクターを複製させるための核酸配列を含有する。通常、クローニングベクター中では、この配列は宿主染色体DNAとは無関係にベクターが複製できるものであり、複製起点または自律複製配列を含む。そのような配列は、様々な細菌、酵母およびウイルスで良く知られている。プラスミドpBR322由来の複製起点はほとんどのグラム陰性細菌に適しており、2μプラスミド起点は酵母に適しており、様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は、哺乳類細胞中のクローニングベクターに有用である。通常、複製起源の構成要素は、哺乳類の発現ベクターには必須ではない(SV40起点は、早期プロモーターを含有しているという理由だけで、主に利用され得る)。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択遺伝子(選択可能マーカーとも呼ばれる)を含み得る。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素(たとえば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリン)への抵抗性を与えるタンパク質、(b)栄養要求欠損体を補足するタンパク質、または(c)複合培地からは入手できない必須栄養素を供給するタンパク質(たとえば、桿菌に対し、D−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)をコードする。
選択スキームの一つの例は、宿主細胞の増殖を停止する薬剤を利用する。成功裏に異種遺伝子で形質転換されたそれら細胞は、薬剤抵抗性を与えるタンパク質を産生し、ゆえに、選択レジメンを生き残る。そのような優性選択の例は、ネオマイシン、ミコフェノール酸およびハイグロマイシンの薬剤を使用する。
哺乳類細胞に対する適切な選択可能マーカーの他の例として、抗体核酸を取り込むことができる細胞の識別を可能とするものがあり、たとえば、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインIおよびII(好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等がある。
たとえば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、メトトレキサート(Mtx)(DHFRの競合アンタゴニスト)を含有する培養培地中ですべての形質転換体を培養することにより、最初に識別される。野生型DHFRが使用された場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
もう一つの方法として、抗体、野生型DHFRタンパク質およびアミノグリコシド3´−ホスフォトランスフェラーゼ(APH)等の他の選択可能マーカーをコードするDNA配列で形質転換または共形質転換された宿主細胞(特に、内在性DHFRを含有する野生型宿主)は、たとえばアミノグリコシド系抗生物質(たとえばカナマイシン、ネオマイシンまたはG418)等の選択可能マーカーに対する選択剤を含有する培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4,965,199号を参照のこと。
酵母での使用に対する適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7(Stinchcomb et al., Nature, 282:39 (1979))中に存在するtrpl遺伝子である。trpl遺伝子は、たとえば、ATCC番号44076またはPEP4−1等の、トリプトファン中で増殖する能力を欠いた酵母の変異株に対する選択マーカーを提供する。Jones,Genetics,85:12(1977)。酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1損傷の存在により、次いで、トリプトファンの欠乏中での増殖による形質転換の検出に対する効果的な環境が提供される。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を担持する既知のプラスミドにより補完される。
さらに、1.6μmの環状プラスミドpKD1由来のベクターは、クリベロマイセス属の酵母の形質転換に用いることができる。あるいは、組換え仔牛キモシンの大規模生産のための発現システムとして、クリベロマイセス・ラクチスが報告された。Van den Berg,Bio/Technology,8:135(1990)。クリベロマイセスの工業用菌株による成熟組換えヒト血清アルブミン分泌に対する安定した多コピー発現ベクターもまた、記載される。Fleer et al.,Bio/Technology,9:968−975(1991)。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物体に認識され、抗体核酸に操作可能に連結されるプロモーターを含有する。原核細胞宿主での使用に適したプロモーターには、phoAプロモーター、ベータラクタマーゼ、およびラクトースプロモーターシステム、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、ならびにtacプロモーター等のハイブリッドプロモーターが挙げられる。しかし、他の既知の細菌プロモーターは適切である。細菌システムにおける使用に対するプロモーターはまた、抗体をコードするDNAに操作可能に連結されたShine−Dalgarno(S.D.)配列を含有する。
真核細胞のプロモーター配列は公知である。事実上、すべての真核細胞の遺伝子は、転写が開始される部位から約25塩基上流に位置する、ATリッチな領域を有する。多くの遺伝子の転写開始から70〜80塩基上流に見いだされる他の配列は、CNCAAT領域であり、Nは任意のヌクレオチドであり得る。ほとんどの真核生物の3´末端で、遺伝子はAATAAA配列であり、これはコーディング配列の3´末端へのポリAテールの付加シグナルでありうる。これら配列のすべては、適切に真核生物発現ベクターへ挿入される。
酵母宿主での使用に対する適切なプロモーター配列の例として、3−ホスフォグリセレートキナーゼ、またはたとえばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホ−フルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオ―スリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼ等の他の解糖系酵素に対するプロモーターが挙げられる。増殖条件により調節される転写の付加的利点を有する誘導プロモーターである、他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼおよびマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素に対するプロモーター領域である。酵母発現における使用に対するベクターおよびプロモーターは、欧州特許第73,657号においてさらに記述されている。酵母のエンハンサーはまた、酵母プロモーターとともに好都合に用いられる。
宿主細胞システムと適合しているプロモーターであれば、たとえば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(たとえばアデノウイルス2)ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましいのはサルウイルス40(SV40)等のウイルスゲノムから得られたプロモーターにより、たとえばアクチンプロモーターまたはイムノグロブリンプロモーター等の異種哺乳類プロモーターから得られたプロモーターにより、ヒートショックプロモーターから得られたプロモーターにより、哺乳類宿主細胞におけるベクターからの抗体の転写が調節される。
SV40ウイルスの早期および末期プロモーターは、SV40制限断片(ウイルスの複製起点もまた含んでいる)として都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIII E制限断片として都合よく得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして用いる哺乳類宿主におけるDNA発現のためのシステムは、米国特許第4,419,446号に開示されている。このシステムの改変は、米国特許第4,601,978号に記載されている。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復を、プロモーターとして用いることができる。
高等真核生物による本発明の抗体をコードするDNAの転写は、多くの場合、エンハンサー配列をベクター内へと挿入することにより増加される。現在では多くのエンハンサー配列が哺乳類遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ−フェトプロテインおよびインスリン)から知られている。しかし典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用する。例としては、複製起点(100〜270塩基対)の終末部位上のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の終末部位上のポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核生物プロモーター活性化のための強化要素については、Yaniv,Nature297:17−18(1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、抗体をコードする配列の5´または3´の位置でベクター内へ接合されてもよいが、プロモーターから5´の部位に位置することが好ましい。
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物体由来の有核細胞)において使用される発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含む。そのような配列は通常、真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAの5´、および時には3´、非翻訳領域から利用できる。これらの領域には、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分でポリアデニル化された断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結構成要素は、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号、およびその中に記述される発現ベクターを参照のこと。
たとえば、米国特許第4,713,339号に記載されるポリシストロニックな発現ベクターはまた、本明細書における二重特異性TCAのサブユニットの発現に使用することができる。ポリシストロニックな発現ベクターにおいて、サブユニットをコードしている配列は、適切な開裂部位により分離されていてもよい。
本明細書におけるベクター中のDNAクローニングまたはDNA発現のための適切な宿主細胞は、原核生物、酵母または上記に記載される高度真核細胞である。この目的に適切な原核生物には、たとえば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス等の大腸菌属、たとえばネズミチフス菌等のサルモネラ属、たとえば霊菌等のセラチア属、赤痢菌等の腸内細菌、ならびに枯草菌およびバチラス・リケニフォルミス(たとえば、1989年4月12日に発行された独国特許第266,710号に開示されたバチラス・リケニフォルミス41P)等の桿菌、たとえば緑膿菌等のシュードモナス属、および放線菌、等の、グラム陰性またはグラム陽性の生物体等の、真正細菌が挙げられる。大腸菌のクローニング宿主の好ましいものは、E.coli294株(ATCC 31,446)であるが、たとえばE.coli B株、E.coli X1776株(ATCC 31,537)およびE.coli W3110株(ATCC 27,325)等の他の株も適切である。これらの例は実例であり、制限は意図されない。
原核生物に加え、真核微生物(たとえば、糸状菌または酵母)も、抗体をコードするベクターに対するクローニング宿主または発現宿主として適切である。出芽酵母(または一般的なパン酵母)は、低度の真核生物の宿主微生物の中で、最も普遍的に用いられているものである。しかし、他の属、種および株の多く(たとえば、分裂酵母、たとえばクリベロマイセス・ラクチス、クリベロマイセス・フラジリス(K.fragilis)(ATCC 12,424)、クリベロマイセス・ブルガリクス(K.bulgaricus)(ATCC 16,045),クリベロマイセス・ウイケラミ(K.wickeramii)(ATCC 24,178)、クリベロマイセス・ワルチ(K.waltii)(ATCC 56,500)、クリベロマイセス・ドロソフィラルム(K.drosophilarum)(ATCC 36,906)、クリベロマイセス・サーモトレランス(K.thermotolerans)およびクリベロマイセス・マルキシアヌス(K.marxianus)等のクリベロマイセス宿主、ヤロウイア属(欧州特許第402,226号)、ピキア パストリス(Pichia pastoris)(欧州特許第183,070号)、カンジダ属、トリコデルマ リイジア(Trichoderma reesia)(欧州特許第244,234号)、アカパンカビ、たとえばシュワニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)等のシュワニオマイセス属、ならびにニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、トリポクラジウム(Tolypocladium)等の糸状菌、ならびに偽巣性コウジ菌および黒色麹菌等のアスペルギルス宿主等)も一般に利用可能であり、本明細書において有用である。
無脊椎動物細胞の例として、植物および昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルス株および変異体ならびに対応する許容可能な昆虫宿主細胞(たとえば、ヨトウガ(毛虫)、ネッタイシマカ(蚊)、セスジヤブカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ミバエ)およびカイコ等の宿主由来)が識別されている。トランスフェクションのための様々なウイルス株が公に利用可能であり、たとえば、キンウワバ科NPVのL−1変異体およびカイコNPVのBm−5株等があり、そのようなウイルスは本明細書において、本発明に従い、特にヨトウガ細胞のトランスフェクションのためのウイルスとして使用してもよい。綿、穀物、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマトおよびタバコの植物細胞培養物もまた宿主として利用可能である。
植物における合成TCAは、様々な方法で製造可能である。タバコ植物において抗体産生の最初の報告があり、(Hiatt et al.,1989, Nature, 342:76−78)、蛾(概説として、Decker and Reski,2008,Bioprocess Biosyst.Eng.,31, 3−9を参照のこと)、藻類(概説として、Franklin and Mayfield, 2005, Expert Opin. Biol. Ther., 5, 225−235を参照のこと)および様々な双子葉および単子葉種(たとえば、タバコ、稲)において、抗体が発現されている。概説として、たとえばDe Muynck et al., 2010, Plant Biotechnology Journal, 8(5):529−563を参照のこと。抗体を産生するトランスジェニック植物またはトランスジェニック植物細胞がまた記載され(Hiatt et al., 1989, Nature, 342:76−78)、本目的に有用な植物には、穀物、トウモロコシ、タバコ、大豆、アルファルファ、稲等が挙げられる。たとえば植物細胞で使用可能な構造性プロモーターには、CaMV 35Sおよび19Sプロモーター、アルゴバクテリウム属のプロモーターnosおよびocsがある。他の有用なプロモーターには、たとえばrbcS等の軽めの誘導可能なプロモーターがある。組織特異性プロモーターは、たとえば種特異性であり、たとえばゼイン、ナピン(napin)、ベータファセオリン(betaphaseolin)、ユビキチン由来のプロモーター、または塊茎特異性、葉特異性(たとえば、タバコで有用)、根茎特異性等でありうる。相同組み換えによりプラスチド細胞小器官を形質転換し、植物でタンパク質を発現させることもまた可能である。組換え植物もしくはそれらの一部分、または組換え植物細胞培養物中でのタンパク質の発現のための方法および手段は当業者に公知であり、たとえばGiddings et aI,2000、国際公開第 01/64929号、国際公開第 97/42313号、米国特許第5888789号,第6080560号において記載され、実際的なガイドラインとして、Methods In Molecular Biology vol.49“Plant Gene Transfer And Expression Protocols”,Jones H,1995を参照のこと。
しかしながら、脊椎動物細胞におけるものが最も興味深く、培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は、ありふれた手段となっている。有用な哺乳類宿主細胞株の例には、SV40を形質転換されたサル腎CV1株(COS−7、ATCC CRL1651)、ヒト胚腎株(293または浮遊培養中で増殖サブクローニングされた293株、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977))、赤子ハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216(1980))、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod. 23:243−251 (1980))、サル腎細胞(CV1、ATCC CCL70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51)、TR1細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44−68 (1982))、MRC細胞、FS4細胞およびヒト肝細胞癌株(Hep G2)がある。
宿主細胞は、抗体産生のために上述の発現ベクターまたはクローニングベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選別、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に調製された標準栄養培地で培養される。
たとえば、Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地(MEM)(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)およびダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)(Sigma)等の市販培地が宿主細胞の培養に適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、または第5,122,469号、国際公開第 90/03430号、 87/00195号、または米国再発行特許第30,985号に記載される任意の培地を宿主細胞の培養培地として使用し得る。任意のこれらの培地は、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(たとえばインスリン、トランスフェリン、または上皮成長因子等)、塩(たとえばナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩等)、緩衝剤(たとえばHEPES等)、ヌクレオチド(たとえばアデノシンおよびチミジン等)、抗生物質(たとえばGENTAMYCIN(商標)薬剤等)、微量元素(通常、マイクロモルの範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)およびグルコースまたはエネルギー源相当物を補ってもよい。他の任意の必須補足物もまた、当業者に周知の適切な濃度で含まれてよい。たとえば、温度、pH等の培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に従前に使用されたものであり、当業者に対し明白である。
好ましい実施形態において、本発明の方法に従う宿主細胞は、ヒトイムノグロブリンを高度に発現する能力を有する。すなわち、上記宿主細胞中で単鎖をコードする核酸分子の増幅を必要とせずに、少なくとも1pg/細胞/日、好ましくは少なくとも10pg/細胞/日、およびさらにより好ましくは少なくとも20pg/細胞/日以上である。
好ましくは、本発明に従う宿主細胞は、発現される各組換え核酸を、1〜10コピーの間で、そのゲノム中に含有する。本分野において、たとえばCHO細胞中での対象タンパク質をコードする核酸配列のコピー数の増幅は、細胞による組換えタンパク質の発現レベルを増加するために用いることができる(Bendig M.M.(1988) Genet.Eng.7:91−127、Cockett et al,1990, Bio/technology 8:662−667、および米国特許第4,399,216号を参照のこと)。これは、今日、広く用いられている方法である。しかしながら、所望の高いコピー数および高度な発現レベルを有するクローンを樹立する前に、著しく時間を要する取組が必要とされ、さらに、発現カセットの高いコピー数(数百まで)を含むクローンは多くの場合、不安定である(Kim et al., 1998, Biotechnol. Bioeng. 58:73−84)。ゆえに、本発明の好ましい実施形態は、対象の二重特異性TCAの高度な発現のためにそのような増幅戦略を必要としない宿主細胞を使用することである。これは、本発明に従う単鎖抗体の混合物を一貫した方法で発現する宿主細胞の安定クローンの高速発生を可能とする。我々は、本発明に従う宿主細胞が得られ、サブクローニングされ、さらに、選択圧力無しに、本発明に従う単鎖抗体の混合物を一貫した方法で発現しながら、少なくとも約30回の細胞分裂(群は二倍増殖)で増殖された証拠を提示する。ゆえに、ある態様において、本発明の方法には、少なくとも20回、好ましくは25回、より好ましくは30回の群の二倍増殖で細胞を培養することが含まれ、他の態様において、本発明に従う宿主細胞は、少なくとも20回、好ましくは25回、さらに好ましくは30回の群の二倍増殖を経て、それでもなお本発明に従うTCAを発現する能力を有している。
本発明に従う細胞により発現されたTCAは、細胞から、または好ましくは細胞培養培地から、本分野の当業者に公知の一般的な方法により回収され得る。そのような方法には、沈殿、遠心、ろ過、ウイルスろ過、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、陽イオンおよび/または陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等のうち一つ以上が含まれる。
3.医薬組成物
本発明の他の態様は、適切な薬学的に受容可能な担体と混合した状態で、本発明の一つ以上のTCAを含有する医薬組成物を提供する。本明細書において使用される薬学的に受容可能な担体の例示として、アジュバント、固形担体、水、緩衝剤または治療組成物またはそれらの組み合わせを保持するために本分野で使用される他の担体があるが、これらに限定されない。
本発明に従って使用されるTCAの治療製剤は、保管のために、任意の薬学的に受容可能な担体、賦形剤または安定剤(Remington‘s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)を参照のこと)と、所望の精製度を有する二重特異性TCAを混合することにより、たとえば凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、調製される。受容可能な担体、賦形剤または安定剤は、用いる用量および濃度でレシピエントに対し非毒性であり、例えばリン酸、クエン酸および他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、保存剤(たとえばオクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシン、シクロヘキサノール、3−ペンタノールおよびm−クレゾール)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、たとえば血清アルブミン、ゼラチンまたはイムノグロブリン等のタンパク質、たとえばポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、たとえばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン等のアミノ酸、単糖類、二糖類およびグルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物、たとえばEDTA等のキレート剤、たとえばショ糖、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖類、たとえばナトリウム等の塩形成対イオン、金属錯体(たとえば、亜鉛−タンパク質錯体)ならびに/または、たとえばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
in vivo投与に用いられる製剤は滅菌されていなければならない。これは、滅菌フィルター膜を通過させるろ過により容易に達成される。
持続的放出製剤が調合されてもよい。持続的放出製剤の適切な例として、抗体を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性基質が挙げられ、基質は、たとえばフィルムまたはマイクロカプセル等の加工品の形態である。持続的放出基質の例には、ポリエステル、ハイドロゲル(たとえば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)等)、ポリラクチド、分解可能な乳酸−グリコール酸コポリマーおよびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸が挙げられる。
抗CD3抗体製剤は、たとえば、米国特許出願公開第20070065437号に開示されており、参照により本明細書に明示的に援用される。同様の製剤が本発明の二重特異性TCAに使用することができる。そのような製剤の主な構成成分は、3.0〜6.2の範囲で効果的なpH緩衝剤、塩、界面活性剤および抗CD3特異性を有するTCAの有効量である。
4.治療および診断
本発明の他の態様は、ヒトまたは動物対象の治療または診断における使用のためのTCAを提供する。ヒト対象(癌患者を含むがこれに限定されない)を本明細書の二重特異性TCAで治療する方法は、明確に本発明の範囲内である。他の態様において、本発明は、ヒトまたは動物対象における疾患または障害の治療または診断における使用のための薬剤調製にかかるTCAの使用を提供する。ある実施形態において、疾患または病気は、たとえば卵巣癌、乳癌、胃腸癌、脳腫瘍、頭頸部癌、前立腺癌、大腸癌、肺癌、たとえば白血病を含むB細胞腫瘍等の血液系腫瘍、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経系細胞腫瘍、扁平上皮細胞癌、胚細胞腫瘍、転移、未分化腫瘍、精上皮腫、メラノーマ、ミエローマ、神経芽細胞腫、混合細胞腫瘍、感染体に起因する新生組織形成および他の悪性腫瘍等の癌等の、腫瘍である。
癌免疫療法に加えて、本発明の二重特異性TCAは、たとえば、様々な自己免疫疾患および/または炎症性疾患(移植片拒絶およびI型糖尿病、または細菌、ウイルスもしくは寄生虫に起因する感染性疾患を含む)の治療における有用性を見出す。
自己免疫疾患として、たとえば、後天性免疫不全症候群(AIDS、自己免疫要素を伴うウイルス性疾患である)、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ球増殖性疾患(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、心筋症、セリアック病−ヘルペス状皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害(CIPD)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、CREST症候群、クローン病、ドゴー病、小児皮膚筋炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症‐線維筋炎、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病(I型糖尿病)、小児慢性関節炎(スティル病)、小児リウマチ性関節炎、メニエール病、混合型結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血(pemacious anemia)、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、強皮症(進行性全身性強皮症(PSS)、全身性強皮症(SS)としてもまた知られる)、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、白斑およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
炎症性疾患として、たとえば、慢性および急性炎症性疾患が挙げられる。炎症性疾患の例として、アルツハイマー病、喘息、アトピー性アレルギー、アレルギー、アテローム硬化症、気管支喘息、湿疹、糸球体腎炎、移植片対宿主疾患、溶血性貧血、骨関節炎、敗血症、脳卒中、組織および器官の移植、脈管炎、糖尿病性網膜症およびベンチレーター誘導肺損傷が挙げられる。
感染性疾患の例として、限定されないが、たとえばヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス(INV)、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、口内炎ウイルス(VSV)、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アフトウイルス、コクサッキーウイルス、風疹ウイルス、ロタウイルス、デングウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、伝染性気管支炎ウイルス、豚伝染性胃腸炎ウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、パピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘ウイルス、サイトメガロウイルス、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、スイポックスウイルスおよびコロナウイルス等のウイルスに起因する疾患が挙げられる。
感染性疾患のさらなる例として、限定されないが、たとえばアクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス、カルメット‐ゲラン桿菌、ブラストマイセス‐デルマチチジス、百日咳菌、カンピロバクター・コンサイサス、カンピロバクター・レクタ、カンジダ・アルビカンス、キャプノサイトファガ類、トラコーマクラミジア、アイケネラコローデンス、赤痢アメーバ、エンテロコッカス類、大腸菌、ユーバクテリウム類、ヘモフィルス・インフルエンザ、アシドフィルス菌、リーシュマニア類、リステリア菌、ミコバクテリウム・バッカエ、淋菌、髄膜炎菌、ノカルジア類、パスツレラ・ムルトシダ、マラリヤ原虫、ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテラ・インテルメディア、緑膿菌、ロチア・デントカリウス、腸チフス菌、ネズミチフス菌、霊菌、志賀赤痢菌、ストレプトコッカス・ミュータンス、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、トレポネーマ・デンティコラ、トリパノソーマ・クルージ、コレラ菌および腸炎エルシニア等の病原菌に起因する疾患が挙げられる。
本発明のさらなる詳細は、以下の非限定的実施例により例証される。
重鎖のみ抗体を発現する遺伝的操作ラットの作製
YACおよびBACでの改変ヒトIg遺伝子座の構築
ヒトIgH遺伝子座が構築され、ラットC領域遺伝子の改変および接合を経て、いくつかの部分に集められ、次いで、ヒトV6−D−J領域の下流に接合された。ヒトV遺伝子の別個のクラスターを伴う2つのBAC[BAC3およびBAC6]が、次いで、接合された(ヒトV6−D−JラットC)断片をコードするBACと共に注入された。
ラット定常領域に対して、3つのBACが識別された[N12、M5およびI8]。これらは個々に削られ、削ったM5の5´と一致する170bpの相同アームが、削ったN12の3´末端に付加され、削ったI8の5´末端と一致する100bpの相同アームが、削ったM5の3´末端に付加された。これらの改変BACは、組み立てられた場合、ラット定常(C)領域の大部分(E(エンハンサー)μ、s(スイッチ)μ、Cμ、Cδ、sγ2b、Cγ2b、sε、Cε、sα、Cαおよび3’Eを含む)を含有する。削ったN12およびI8にそれぞれ位置するラットCμおよびラットCγ2bのCH1領域は、除去された。改変N12およびM5は、次いで、連結され、BAC N12M5を作った。これらのBACの改変は、Red(登録商標)/ET 組換え技術を用いて実行された。
大腸菌における多様なBACの改変は、たとえばスイッチ配列およびエンハンサー等の繰り返し領域が頻繁に削除されたため、出芽酵母の重複末端と配列を環状YAC(cYAC)として編成する技術が開発され、その結果、上記cYACがBACに改造された。YACの利点は、その大きなサイズ、酵母宿主における同種変更の容易さ、および配列の安定性が挙げられるが、一方で大腸菌で増殖されるBACは、調製および大量生産の容易さという利点を示す。さらに、詳細な制限酵素マッピングおよび配列解析が、YACよりもBACにおいて、より良く達成できる。2つの自己複製する出芽酵母/大腸菌シャトルベクター(pBelo−CEN−URAおよびpBelo−CEN−HYG)が構築された。簡潔に述べると、出芽酵母CEN4は、pYAC−RCからAvrII断片として切り出され(Marchuk and Collins, 1988)、SpeI直線化pAP599に結合された。得られたプラスミドは、URA3とHygの間にクローン化されたCEN4を含有する。このプラスミドから、CEN4が後に続くURA3を含有するApaLI−BamHI断片、またはCEN4が後に続くHygを含有するPm1I−SphI断片が切り出され、ApaLIおよびBamHI、またはHpaIおよびSphIで消化されたpBACBelo11(New England Biolabs)に結合され、pBelo−CEN−URAおよびpBelo−CEN−HYGを得た。
改変I8の制限酵素分析により、このBACのsγ2b領域が予測よりも2.5〜3kb短いことが明らかとなった。CμならびにCγ2b(N12M5I8)でCH1を欠く約125kbのラットC領域を編成し、真の構成を維持するために、以下の精製断片を、等しいモルで混合した。改変N12M5由来の51kbのSwaI−NotI、改変I8中の短くなったsγ2b(従前にpBeloBAC11にクローン化)を置き換えるための真のsγ2b領域を包含する6.5kbのXbaI断片、改変I8由来の81kbのNruI断片、および相同アーム(65bp)を、N12のラットJHおよび、I8のラットC領域の3´末端(プライマーは321および322)のすぐ下流配列と対応する末端のいずれかを含むPCR増幅したpBelo−CEN−URA。各断片がその近隣断片と5´および3´末端で、65bp〜15kbで重複しているDNA混合物が、出芽酵母AB1380細胞に、標準的なスフェロプラスト形質転換手段を用いて形質転換され、URAクローンが選択された(Nelson and Brownstein、1994)。形質転換に関連した酵母での相同組み換えを通じて、予測構成どおりのN12M5I8を含有するcYACが編成された。得られたcYACの近隣断片の重複接合は、酵母ゲノムDNAをテンプレートとして用いるPCR分析により確認された。精製後、cYACは、大腸菌DH10コンピテント細胞(Invitrogen)へ、エレクトロポレーションを介して形質転換された。詳細な制限酵素マッピングおよび配列解析により、BAC N12M5I8が正確であることが同定された。
BAC1は、3工程で改変され、削ったBAC1(ヒトV6−D−J領域を含む)を得た。第一に、BAC1はPvuIで部分的に消化され、再連結されヒトV6−1の上流配列が除去された。第二に、先の工程で得た短くなったBAC1が、ヒトJsのすぐ下流にあるPacI部位ならびにベクター骨格中のAscI部位で消化され、41kbの断片が除去された。その後、ラットJsのすぐ下流に位置する2.5kbの断片がラットゲノムDNAから増幅され、両側にPacIおよびAscI部位を横付けた(プライマーは140および141)。改変N12の5´末端への重複を提供する、このPacI−AscI断片は、PacIおよびAscIの二つの消化酵素で短くされたBAC1と結合され、削ったBAC1を得た。
その後、BAC3−1N12M5I8が、cYAC/BAC戦略を介して構築された。このBACは、5’〜3’へ、以下の領域を含む。BAC3の3’末端から11.3kbの配列(ラットゲノムへ共に注入する場合の、BAC3への重複を提供する)、N12M5I8の全体が後に続く、削ったBAC1の全体。好都合なことに、BAC3の3’末端は、削ったBAC1の5’末端と5.5kb、重複している。3−1N12M5I8を編成するために、11.3kbのBAC3断片がPCRで増幅され、次いで、削ったBAC1由来のPvuI−AscI断片、N12M5I8の全体を包含するMluI断片、11.3kbのBAC3断片の5’末端およびI8の3’末端と対応する両末端で相同アームを備える増幅されたpBelo−CEN−URAと混合された。このDNA混合物を用いて、AB1380細胞へ形質転換された。形質転換で各断片が正しく結合されたことは、PCR分析により確認された。編成された3−1N12M5I8領域をBACへと転換した後、制限酵素マッピングにより徹底的にチェックされた。BAC3−1N12M5I8の重鎖遺伝子領域は、出芽酵母URA3遺伝子とともに、その3’末端で、NotI断片として、完全に切り出すことができる。ラットゲノムへと結合された際、この大きなDNA断片中のURA3の存在は、導入遺伝子の識別に役立つ。
最後に、BAC3のヒトV遺伝子座の5’末端に位置している10.6kbの断片が、プライマー411、412を用いて増幅され、そしてBAC6へと結合され、BAC3との重複が提供された。この改変BACはBAC6(+3)と名付けられた。BAC6のヒトV遺伝子座の3’末端は、高度な繰り返し配列を含んでおり、この領域の組換えを介した操作を非常に難しくしている。ゆえに、我々は、BAC3断片をBAC6のベクター骨格へと結合することを選択した。これを達成するために、10.6kbのBAC3断片の3’末端、およびBAC6でヒトV遺伝子座の5’末端と重複している末端のいずれかに付加された65bpの相同アームを備えるpBelo−CEN+URAベクターを、それぞれ、プライマー427と414を使用して増幅した。10.6kbのBAC3断片、増幅したpBelo−CEN+URAおよび切断していないBAC6を等しいモルで含むDNA混合物を、出芽酵母AB1380のスフェロプラストへ形質転換し、URA形質転換体を選択した。PCR分析を用いて、BAC6のベクター骨格とBAC6ヒトV遺伝子座の5’末端の間に位置するpBelo−BAC+URAが後に続く、BAC3断片が含まれる正しい結合体を識別した。このcYACをBACへと改造した後、制限酵素マップで徹底的にチェックした。BAC6(+3)をAscIで消化すると、完全なBAC6ヒトV遺伝子座およびその3’末端で10.6kbのBAC3断片重複を含有する約220kbの断片が放出される。
DNA精製
消化後の直線状YAC、環状YACおよびBAC断片は、Elutrap(商標)を用いる電気溶出(Schleicher and Schuell)(Gu et al.,1992)により,従来法で泳動された0.8%アガロースゲル、またはパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)から切り出されたストリップから精製された。DNAの濃度は、大抵、約100μlの体積中で数ng/mlであった。約200kbの断片については、DNAは沈殿され、マイクロインジェクション緩衝液(10mM Tris−HCl pH7.5、100mM EDTA pH8および100mM NaCl。ただしスペルミン/スペルミジンは無い)中に、所望の濃度で再溶解された。
酵母からの環状YACの精製は、Nucleobond AX シリカベースの陰イオン交換レジン(Macherey−Nagel,Germany)を用いて実行された。簡潔に述べると、スフェロプラストが、ザイモリエースまたはリチカーゼ(lyticase)を用いて作製され、沈殿された(Davies et al.,1996)。次いで、細胞をアルカリ溶解させ、AX100カラムに結合させ、低コピープラスミドに対するNucleobond法に記載されているように溶出した。混入した酵母の染色体DNAは、Plamid‐Safe(商標)ATP−Dependent DNase (Epicentre Biotechnologies)を用いて加水分解され、次いでSureClean(Bioline)を用いて最終的に浄化した。次いで、DH10エレクトロコンピテント細胞(Invitrogen)の分注物を、環状YACで形質転換し、BACコロニーを得た。マイクロインジェクションのための挿入DNA(150〜200kb)のBACベクター(約10kb)からの分離のために、セファロース4B−CLを用いるろ過工程が使用された(Yang et al.,1997)。
ゲル分析
精製されたYACおよびBACのDNAは制限酵素および従来法の0.7%アガロースゲル分離により分析された(Sambrook and Russell, 2001)。50〜200kbのより大きな断片は、PFGE(Biorad Chef Mapper(商標))により、8℃で、0.5%TBE中の0.8%PFCアガロースを用いて、16時間、6V/cm、10mA、2〜20秒のスイッチタイムで分離された。精製により、得られた断片と配列分析から得られた予測サイズとの直接比較が可能となった。変化は、PCRおよび配列解析により分析された。
マイクロインジェクション
非近交系のSD/Hsd系動物は、標準的なマイクロアイソレーターケージ中で、動物施設の適切な動物保護プロトコール(実験動物保護に対する認証評価およびアセスメントに関する協会(AAALAC)により正式承認された)のもと、飼育された。ラットは、14〜10時間の明暗サイクルで、自由に食物と水を与えられて維持された。4〜5週齢のSD/Hsdのメスのラットに、20〜25IUのPMSG(Sigma−Aldrich)を注射し、48時間後、非近交系のSD/Hsdのオスとの交配の前に、20〜25IUのhCG(Sigma−Aldrich)を注射した。受精1細胞ステージの胚を、次のマイクロインジェクションのために回収した。操作された胚は、偽妊娠したSD/Hsdのメスのラットに移送され、出産がなされた。
組換えイムノグロブリン遺伝子座をコードする精製DNAが、マイクロインジェクション緩衝液(10mMスペルミンおよび10mMスペルミジンを含む)中に再懸濁された。DNAは、受精卵母細胞へ、0.5〜3ng/μlの様々な濃度で注入された。
ラットイムノグロブリン遺伝子に特異的なZFNをコードするプラスミドDNAまたはmRNAが、受精卵母細胞へ、0.5〜10ng/μlの様々な濃度で注入された。
Zing−fingerヌクレアーゼ(ZFN)
ラットイムノグロブリン遺伝子に特異的なZFNを作製した。
ラットCカッパに特異的なZFNは、以下の結合部位を有した。
ATGAGCAGCACCCTCtcgttgACCAAGGCTGACTATGAA(配列番号1)
ラットJ遺伝子座配列に特異的なZFNは、以下の結合部位を有した。
CAGGTGTGCCCATCCagctgaGTTAAGGTGGAG(配列番号2)および
CAGGACCAGGACACCTGCAgcagcTGGCAGGAAGCAGGT(配列番号3)
トランス遺伝子座を有するラット
非再構成構造中の人工重鎖イムノグロブリン遺伝子座を担持するトランスジェニックラットを作製した。含まれる定常領域遺伝子は、IgM,IgD、IgG2b、IgE、IgAおよび3’エンハンサーをコードする。トランスジェニックラットのRT−PCRおよび血清分析(ELISA)により、トランスジェニックイムノグロブリン遺伝子座の有効な再構成、および血清中の様々なアイソタイプの重鎖のみ抗体の発現が確認された。トランスジェニックラットの免疫化は、高い親和性の抗原特異的な重鎖のみ抗体の産生をもたらした。
新規Zing−fingerヌクレアーゼのノックアウト技術
トランスジェニックラットにおける重鎖のみ抗体の産生をさらに最適化するために、不活性な内在性ラットイムノグロブリン遺伝子座をノックアウトしたラットが作製された。
ラット重鎖イムノグロブリン重鎖の発現およびラット軽鎖の発現を不活性化するために、ZFNをラット胚の単一細胞へマイクロインジェクションした。その後、胚は偽妊娠のメスのラットへ移送され、出産がなされた。変異した重鎖および軽鎖遺伝子座を有する動物は、PCRにより識別された。そのような動物の分析により、変異動物中のラットイムノグロブリン重鎖および軽鎖の発現が不活性化されているのが実証された。
ラットにおける抗原特異的重鎖のみ抗体の産生
ラットにおける抗原特異的重鎖のみ抗体の産生のために、重鎖のみ抗体を発現する遺伝子操作ラットを様々な方法で免疫化した。
不活性化ウイルスでの免疫化
様々な異なるヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼ遺伝子を有するインフルエンザウイルスが、Immunology and Pathogenesis Branch,Influenza Division,CDC,Atlanta,GAより提供される。保管ウイルスを、10日齢の発育鶏卵の尿膜腔で増殖させ、超遠心法により10%〜50%のショ糖勾配を通して精製される。ウイルスはリン酸緩衝の生理食塩水中に再懸濁され、0.05%ホルマリンで4℃で、2週間処理され、不活性化される。不活性化されたウイルスおよびミョウバン溶液(Pierce)が3:1の比率で混合され、免疫化の前に、室温で1時間、インキュベートされる。重鎖のみ抗体を発現する遺伝子操作ラットが、全不活性で免疫化される。
タンパク質またはペプチドでの免疫化
免疫原(タンパク質またはペプチド)は、一般的に、滅菌生理食塩水で0.05〜0.15mlに希釈され、アジュバントと組み合わされ、最終体積は0.1〜0.3mlとなる。多くの適切なアジュバントが市販されている(すなわち、熱不活性化百日咳菌、水酸化アルミニウムゲル、QuilAもしくはサポニン、細菌リポ多糖または抗CD40)が、完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイトアジュバント(IFA)の活性を有するものはない。可溶性免疫原(たとえばタンパク質およびペプチド)の濃度は、最終調製物中で5μgおよび5mgの間で変化し得る。CFAでの免疫原の最初の免疫化(プライミング)は、腹腔内および/または皮下および/または筋肉内に投与される。もし損なわれていない細胞を免疫原として用いる場合、腹腔内および/または静脈内に注入するのが最も良い。細胞は生理食塩水で希釈され、1回の注射ごとに、100万〜2000万個の細胞が投与される。ラットの中で生き抜いた細胞は、最も良い免疫化の結果を生み出す。CFAでの免疫原での最初の免疫化の後、IFAでの二回目の免疫化(ブースター)が、通常は、4週間後に実行される。この順番により、高い親和性の抗体を産生するB細胞の発生がもたらされる。もし免疫原が弱いブースターである場合、強い液性応答が得られるまで2週間ごとに免疫化が施行される。免疫原の濃度は、ブースター免疫化におけるほうが低くすることができ、そして静脈内経路を用いることができる。2週間ごとにラットから血清を採取し、液性応答が測定される。
抗ヒトCD3e抗体の作製のために、遺伝子操作ラットがヒスチジンでタグ化された組換えヒトCD3e(Creative Biomart, Shirley, NY)で免疫化される。
細胞での免疫化
ヒトジャーカット細胞を組織培養中で増殖させる。ヒトCD3eの発現は、ジャーカット細胞とOKT3モノクローナル抗体とのインキュベーションにより分析される。その後、結合しなかったOKT3を、細胞洗浄により除去し、結合したOKT3を、蛍光結合抗マウスIgGおよびフローサイトメトリー分析で検出する。
Transy et al.,1989に記載されるように、エレクトロポレーションにより、ラットT細胞ハイブリドーマに、ヒトCD3をコードする真核細胞発現プラスミドをトランスフェクトする。ヒトCD3を発現するトランスフェクタントを、FACSにより濃縮し、組織培養中で増殖させる。
HCO抗体を発現する遺伝子操作ラットを、30×10(6)のジャーカット細胞を腹腔内投与することにより免疫化する。最初の免疫化後の4および8週で、ラットを、ヒトCD3を発現するラットT細胞で免疫化する。抗ヒトCD3e重鎖のみ抗体を発現する動物を、モノクローナル重鎖のみ抗CD3e抗体の単離に用いる。
DNAベースの免疫化プロトコール
遺伝子ワクチンまたは抗原をコードするDNAの免疫化のための使用は、ラットにおける強い抗体応答発生の代替方法を表す。
DNA接種の経路は、一般に、皮膚、筋肉および抗原のトランスフェクションおよび発現をサポートする他の経路である。たとえばインフルエンザウイルスヘマグルチニン糖タンパク質または他のヒトもしくはウイルス抗原等の抗原を発現するよう設計された精製プラスミドDNAが用いられる。DNA接種の経路には、以下が挙げられる。静脈内(尾静脈)、腹腔内、筋肉内(両側大腿四頭筋)、経鼻、皮内(たとえば足裏)、および皮下(たとえば襟首)。一般に、100μlの生理食塩水中、10〜100μgのDNAが、接種部位ごとに投与されるか、または、細胞の取り込みおよびトランスフェクションを促進する、たとえば金粒子もしくは信頼できる製剤(http://www.incellart.com/index.php?page=genetic−immunization&menu=3.3)等の適切な媒体と投与される。免疫化スキームは、上述のプロトコールに類似しており、最初の免疫化とそれに続くブースター免疫化がある。
重鎖のみ抗体の精製
抗体の精製のために、免疫化したラットから血液を採取し、血清または血漿を遠心により得て、凝集した細胞沈殿物を、血清抗体を含有する液体上相から分離する。血清または血漿からの抗体は、標準手段により精製される。そのような手段として、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、および/または親和性クロマトグラフィーが挙げられる。IgG精製のために、プロテインAまたはプロテインGを用いることができる(Bruggemann et al.,JI,142,3145,1989)。
抗体を発現するB細胞の、ラットからの単離
脾臓、リンパ節または末梢血からのB細胞の単離
単一細胞の懸濁液を、免疫化したラットの脾臓またはリンパ節から調製する。細胞は、赤血球の除去の後、またはB細胞およびメモリーB細胞、抗原特異的B細胞もしくはプラズマ細胞の単離の後で、さらなる濃縮を行うことなく使用することができる。濃縮はより良い結果をもたらし、最低限、赤血球の除去が推奨される。メモリーB細胞は、無用の細胞の除去および引き続くポジティブ選択により単離することができる。無用の細胞、たとえばT細胞、NK細胞、単球、樹状細胞、顆粒球、血小板および赤血球は、CD2,CD14、CD16、CD23、CD36、CD43およびCD235a(グリコホリンA)に対する抗体のカクテルを用いて除去される。IgGまたはCD19に特異的な抗体を用いたポジティブ選択は、より高度に濃縮されたB細胞をもたらす(50〜95%の間)。抗原特異的B細胞は、蛍光マーカーおよび/または磁性ビーズでタグ化された抗原に細胞を露出させることにより得られる。その後、蛍光色素および/または磁性ビーズでタグ化された細胞は、FACSソーター(フローサイトメトリー、または蛍光活性化セルソーター[FACS])および/またはマグネットを使用して分離される。プラズマ細胞は表面Igをほとんど発現していない可能性があるため、細胞内染色を適用してもよい。IgM陽性B細胞メモリー細胞が、IgMおよびCD27に特異的な抗体を用いて単離される。
蛍光活性化細胞ソーティングによるB細胞の単離
FACSをベースとした方法を用いて、細胞が、その個々の特性により分離される。細胞が、単一細胞の懸濁液中にあることが重要である。免疫化されたラットの末梢血、脾臓または他の免疫器官から調製された単一細胞の懸濁液は、蛍光色素でタグ化された、たとえばCD19、CD138およびCD27等のB細胞マーカーに対して特異的な抗体と混合される。代わりの方法としては、細胞は、蛍光色素でタグ化された抗原とインキュベートされる。細胞濃度は、たとえばPBS等の適切な緩衝液中で、100万〜2000万細胞/mlの間である。たとえば、メモリーB細胞は、CD27陽性およびCD45R陰性の細胞を選択することにより単離することができる。プラズマ細胞は、CD138陽性およびCD45R陰性の細胞を選択することにより単離することができる。細胞をFACS装置にロードし、ゲーティングされた細胞を、培地を含む96ウェルのプレート内または試験管内へと置く。必要に応じて、各蛍光色素に対する陽性対照を実験で用いることにより、バックグラウンドを除去し、コンペンセーションを算出することができる。
骨髄からのB細胞の単離
骨髄プラズマ細胞(BMPC)は、免疫化した動物から、Reddy et al.,2010に記載のように単離する。収集した脛骨および大腿骨から筋肉および脂肪組織を除去する。脛骨および大腿骨双方の末端を外科用鋏で切り、骨髄を26ゲージのインスリン注射器(Becton Dickinson、BD)でフラッシュアウトする。骨髄を、滅菌フィルターを通した緩衝液no.1(PBS、0.1%BSA、2mM EDTA)中に回収する。骨髄細胞は、セルストレイナー(BD)を介したろ過により、機械的な破砕で回収し、20mlのPBSで洗浄し、50mlの試験管内(Falcon,BD)に回収する。骨髄細胞を、335gで10分間、4℃で遠心する。上清をデカントし、細胞ペレットを3mlの赤血球溶解緩衝液(eBioscience)中に再懸濁し、25℃で5分間、緩やかに振盪する。細胞懸濁液は20mlのPBSで希釈し、4℃で10分間、335gで遠心する。上清をデカントし、細胞ペレットを1mlの緩衝液no.1中に再懸濁する。
骨髄細胞懸濁液を、ビオチニル化した抗CD45R抗体および抗CD49b抗体とインキュベートする。次いで、細胞懸濁液を、4℃で20分間、回転させる。次いで、930gで、6分間、4℃で遠心し、上清を除去し、細胞ペレットを1.5mlの緩衝液no.1に再懸濁する。ストレプトアビジンを結合したM28磁性ビーズ(Invitrogen)を、メーカーのプロトコールに従い洗浄および再懸濁する。磁性ビーズ(50μl)を、各細胞懸濁液に加え、混合物を4℃で20分間、回転させる。次いで、細胞懸濁液をDynabeadマグネット(Invitrogen)上に置き、上清(陰性分画、細胞がビーズに結合しなかった)を集め、ビーズに結合した細胞を捨てる。
前洗浄したストレプトアビジンM280磁性ビーズを、30分間、4℃で、磁性ビーズ混合物25μlあたり0.75μgの抗体で、ビオチニル化した抗CD138抗体とインキュベートする。次いで、ビーズをメーカーのプロトコールに従い洗浄し、緩衝液no.1に再懸濁する。上述のように回収した陰性細胞分画(CD45R+およびCD49b+を喪失した細胞)を、50μlのCD138結合マグネチックビーズとインキュベートし、懸濁液を4℃で30分間、回転する。CD138+結合細胞とビーズを、マグネットで単離し、緩衝液no.1で3回洗浄し、陰性(CD138−)のビーズ非結合の細胞を捨てる。陽性CD138+ビーズ結合細胞を集め、さらなる処理まで、4℃で保管する。
ハイブリドーマの作製
単離されたB細胞を、たとえばX63またはYB2/0細胞(Koler and Milstein,Nature,256,495,1975に記載)等のミエローマ細胞と融合することにより、不死化する。ハイブリドーマ細胞を選択培地中で培養し、抗体産生ハイブリドーマを限界希釈または単一細胞ソーティングにより作製する。
重鎖のみ抗体をコードするcDNAの単離
単離された細胞からcDNA配列を作製
単離された細胞を、930gで、4℃で5分間、遠心する。細胞をTRI試薬で溶解し、全RNAをRibopure RNA単離キット(Ambion)中で、メーカーのプロトコールに従い、単離する。mRNAを、dTレジンおよびpoly(A)puristキット(Ambion)で、メーカーのプロトコールに従い、全RNAから単離する。mRNAの濃度は、ND−1000分光光度計(Nanodrop)で測定する。
単離されたmRNAを、Maloneyマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT、Ambion)を用いた逆転写による、最初のcDNA鎖の合成のために用いる。cDNA合成は、Retroscript(Ambion)のメーカーのプロトコールに従い、50ngのmRNAテンプレートおよびオリゴdTプライマーを用いて、RT−PCRを開始することにより、行われる。cDNA構築の後、PCR増幅を行い、重鎖のみ抗体を増幅する。プライマーのリストを、表1に示す。
50μlのPCR反応は、0.2mMのフォワードおよびリバースプライマーの混合物、5μlのThermopol緩衝液(NEB)、2μlの非精製cDNA、1μlのTaqDNAポリメラーゼ(NEB)および39μlの再蒸留水からなる。PCRの温度サイクルのプログラムは、92℃で3分、そして92℃を1分、50℃を1分、72℃を1分の組み合わせで4サイクル、そして92℃で1分、55℃で1分、72℃で1分の組み合わせで4サイクル、そして92℃で1分、63℃で1分、72℃で1分の組み合わせで20サイクル、72℃で7分、4℃で保管である。PCR遺伝子産物は、ゲル精製され、DNA配列解析が行われる。
組換え重鎖のみ抗体のクローニングと発現
PCR作製物を、プラスミドベクターへサブクローニングする。真核細胞中での発現のために、重鎖のみ抗体をコードしているcDNAを発現ベクター(Tiller et al.,2008に記載)へクローニングする。
別の方法として、重鎖のみ抗体をコードする遺伝子を、プラスミドを産生するミニサークル(Kay et al.,2010に記載)にクローニングする。
別の方法として、重鎖のみ抗体をコードする遺伝子を、改変熱力学平衡完全核精製PCR(modified thermodynamically balanced inside−out nucleation PCR)(Gao et al.,2003)を用いて重複しているオリゴヌクレオチドから合成し、真核生物発現ベクターへとクローニングする。
別の方法として、重鎖のみ抗体をコードする遺伝子を合成し、プラスミドにクローニングする。
人工染色体中で様々な重鎖のみ抗体をコードする複合発現カセットの編成のために、複合発現カセットを互いに結合させ、次いで、BACベクター内へとクローニングし、細菌中で増殖させる。トランスフェクションのために、Invitrogenから購入したElectroMAX(商標)DH10B(商標)細胞が用いられる(http://tools.invitrogen.com/content/sfs/manuals/18290015.pdf)。別の方法として、結合された発現カセットをさらに酵母人工染色体腕と結合させ、酵母細胞中で増殖させる(Davies et al.,1996)。
プラスミド精製
約5ml、またはそれ以上の、一晩培養した細菌培養物からのプラスミドの単離のために、Sigma−Aldrichから購入したGenElute(商標)プラスミドミニプレップキットを用いる(http://www.sigmaaldrich.com/life−science/molecular−biology/dna−and−rna−purification/plasmid−miniprep−kit.html)。これには、遠心により細菌細胞を採取することを含み、その後、アルカリ溶解が行われる。DNAは、次いで、カラム結合し、洗浄および溶出され、消化または配列解析に用いられる。
BAC精製
Clontechから購入したNucleoBond(登録商標)BAC100は、BAC精製のために設計されたキットである(http://www.clontech.com/products/detail.asp?tabno=2&product_id=186802)。これのために、200ml培養物から細菌が回収され、改変アルカリ/SDS法を用いて溶解される。細菌溶解物は、ろ過により浄化され、平衡化されたカラムにロードされ、そのカラムにおいて、プラスミドDNAは陰イオン交換レジンへ結合する。引き続く洗浄工程の後、精製プラスミドDNAは、高塩濃度緩衝液中に溶出され、イソプロパノールで沈殿される。プラスミドDNAは、さらなる利用のために、TE緩衝液中で再構築される。
YAC精製
消化後の直線状YAC、環状YACおよびBAC断片は、Elutrap(商標)を用いる電気溶出(Schleicher and Schuell)(Gu et al.,1992)により,従来法で泳動された0.8%アガロースゲル、またはパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)から切り出されたストリップから精製される。精製されたDNAは沈殿し、所望の濃度で、緩衝液中に再溶解される。
酵母からの環状YACの精製は、Nucleobond AX シリカベースの陰イオン交換レジン(Macherey−Nagel,Germany)を用いて実行される。簡潔に述べると、スフェロプラストが、ザイモリエースまたはリチカーゼ(lyticase)を用いて作製、および沈殿される(Davies et al.,1996)。次いで、細胞をアルカリ溶解させ、AX100カラムに結合させ、低コピープラスミドに対するNucleobond法に記載されているように溶出される。混入した酵母の染色体DNAは、Plamid‐Safe(商標)ATP−Dependent DNase(Epicentre Biotechnologies)を用いて加水分解され、次いでSureClean(Bioline)を用いて最終的に浄化される。次いで、DH10エレクトロコンピテント細胞(Invitrogen)の分注物を、環状YACで形質転換し、BACコロニーを得る(上述を参照のこと)。BACベクターDNA(約10kb)からの挿入DNA(150〜200kb)の分離のために、セファロース4B−CLでのろ過工程が用いられる(Yang et al.,1997)
プラスミドまたはBAC DNAとの細胞のトランスフェクション
組換え重鎖のみ抗体の発現のために、Andreason and Evans,1989、Baker and Cotton,1997、http://www.millipore.com/cellbiology/cb3/mammaliancellに記載されるように、真核細胞がトランスフェクトされる。重鎖のみ抗体を発現する細胞を、様々な選別法を用いて単離する。限界希釈または細胞ソーティングは、単一細胞の単離に用いられる。クローンは重鎖のみ抗体の発現について分析される。
CD3エプシロンと反応する一本重鎖ポリペプチドの産生
HCOAラットを米国特許第7,728,114B2に記載のように免疫化する。
ラットの脾臓細胞をミエローマ細胞と融合し、B細胞ハイブリドーマを抗ヒトCD3e抗体の発現に対してスクリーニングする。
別の方法として、ラットB細胞を単離し、J Immunol Methods 1993, 160(1):117−127に記載されるように、培養する。培養上清を、抗ヒトCD3e抗体の存在についてスクリーニングし、そのような抗体をコードするcDNAを、単離されたRNAからRT−PCRにより作製する。
二重特異性TCAの産生
CHO細胞を抗体重鎖、抗体軽鎖および抗CD3重鎖のみ抗体をコードする3つの発現プラスミドとともにトランスフェクトする。TCAを発現するトランスフェクタントの選別に次いで、細胞をさらに組織培養培地中で増殖させる。培養上清から、プロテインAクロマトグラフィーによりTCAを精製し、次いで、イオン交換クロマトグラフィーおよび/またはサイズ排除クロマトグラフィーにより精製する。
精製された組換え重鎖のみ抗体の組成物は、Persson et al. 2010に記載の、分析陽イオン交換クロマトグラフィーおよび質量分析に基づく技術により、分析される。
実施例のための参照文献
Popov, A.V., Butzler, C., Frippiat, J.−P., Lefranc, M.P., and Bruggemann, M. (1996) Assembly and extension of yeast artificial chromosomes to build up a large locus. Gene, 177, 195−205

Popov, A.V., Zou, X., Xian, J., Nicholson, I.C. and Bruggemann, M. (1999) A human immunoglobulin□locus is similarly well expressed in mice and humans. J. Exp. Med., 189, 1611−1619

Marchuk. D. and Collins, F.S. (1988) pYAC−RC, a yeast artificial chromosome vector for cloning DNA cut with infrequently cutting restriction endonucleases. Nucl. Acids Res., 16, 7743.

Ma, B., Pan, S.J., Zupancic, M.L. and Cormack, B.P. (2007) Assimilation of NAD precursors in Candida glabrata. Mol. Microbiol., 66, 14−25.

Gietz D and Woods RA (1998) Transformation of yeast by the lithium acetate single−stranded carrier DNA/PEG method. Methods in Microbiology 26 53−66.

Peterson KR (2007) Preparation of intact yeast artificial chromosome DNA for transgenesis of mice. Nature Protocols 2 (11) 3009−3015.

Beverly SM (1988) Characterization of the ‘unusual’ mobility of large circular DNAs in pulsed field−gradient electrophoresis. Nucleic Acids Research 16(3) 925−939.

Kawasaki K, Minoshima S, Nakato E, Shibuya K, Shintani A, Asakawa S, Sasaki T, Klobeck HG, Combriato G, Zachau HG, Shimizu N. Evolutionary dynamics of the human immunoglobulin□locus and the germline repertoire of the V□genes. (2001) Eur J Immunol. 31, 1017−1028.

Wagner, S.D., Gross, G., Cook, G.P., Davies, S.L. and Neuberger, M.S. (1996) Antibody expression from the core region of the human IgH locus reconstructed in transgenic mice using bacteriophage P1 clones. Genomics, 35, 405−414.

Nelson, D.J. and Brownstein, B.H. (1994) YAC libararies, a user‘s guide. Freeman and Compny NY

Gu H, Wilson D and Inselburg J (1992) Recovery of DNA from agarose gels using a modified ElutrapTM. Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24, 45−50.

Davies, N.P., Popov, A.V., Zou, X. and Bruggemann, M. (1996) Human antibody repertoires in transgenic mice: Manipulation and transfer of YACs. Antibody Engineering: A Practical Approach, eds. J. McCafferty, H.R. Hoogenboom and D.J. Chiswell, pp. 59−76, IRL, Oxford.

Yang XW, Model P and Heintz N (1997) Homologous recombination based modification in Esherichia coli and germline transmission in transgenic mice of a bacterial artificial chromosome. Nature Biotechnology 15, 859−865.

Sambrook, J. andf Russell, D.W. Molecular Cloning: a laboratory manual. Cold Spring Harbor, NY, 2001.

Reddy, S.T., Ge, X., Miklos, A.E., Hughes, R.A., Kang, S.H. Hoi, K.H., Chrysostomou, C., Hunicke−Smith, S.P., Iverson, B.L. and Tucker, P.W., 2010. Monoclonal antibodies isolated without screening by analyzing the variable−gene repertoire of plasma cells. Nature biotechnology 28(9):965−969

Gao, X., Yo, P., Keith, A., Ragan, T.J., and Harris, T.K., 2003. Thermodynamically balanced inside−out (TBIO) PCR−based gene synthesis: a novel method of primer design for high−fidelity assembly of longer gene sequences. Nucleic Acid Research 31, e143.

Tiller, T., Meffre, E., Yurasov, S., Tsuiji, M., Nussenzweig, M.C., and Wardemann, H., 2008. Efficient generation of monoclonal antibodies from single human B cells by single cell RT−PCR and expression vector cloning. J Immunol. Methods 329: 112−124

Kay, M.A., He, C−Y., Chen Z−Y., 2010. A robust system for production of minicircle DNA vectors. Nature biotechnology 28(12): 1287−1289

Persson, P., Engstrom, A., Rassmussen, L.K., Holmberg, E., and Frandsen, T.P., 2010. Development of mass spectrometry based techniques for the identification and determination of compositional variability in recombinant polyclonal antibody products. Anal. Chem 82: 7274−7282

Popov, A.V., Butzler, C., Frippiat, J.−P., Lefranc, M.P., and Bruggemann, M. (1996) Assembly and extension of yeast artificial chromosomes to build up a large locus. Gene, 177, 195−205

Popov, A.V., Zou, X., Xian, J., Nicholson, I.C. and Bruggemann, M. (1999) A human immunoglobulin□locus is similarly well expressed in mice and humans. J. Exp. Med., 189, 1611−1619

Marchuk. D. and Collins, F.S. (1988) pYAC−RC, a yeast artificial chromosome vector for cloning DNA cut with infrequently cutting restriction endonucleases. Nucl. Acids Res., 16, 7743.

Ma, B., Pan, S.J., Zupancic, M.L. and Cormack, B.P. (2007) Assimilation of NAD precursors in Candida glabrata. Mol. Microbiol., 66, 14−25.

Gietz D and Woods RA (1998) Transformation of yeast by the lithium acetate single−stranded carrier DNA/PEG method. Methods in Microbiology 26 53−66.

Peterson KR (2007) Preparation of intact yeast artificial chromosome DNA for transgenesis of mice. Nature Protocols 2 (11) 3009−3015.

Beverly SM (1988) Characterization of the ‘unusual’ mobility of large circular DNAs in pulsed field−gradient electrophoresis. Nucleic Acids Research 16(3) 925−939.

Kawasaki K, Minoshima S, Nakato E, Shibuya K, Shintani A, Asakawa S, Sasaki T, Klobeck HG, Combriato G, Zachau HG, Shimizu N. Evolutionary dynamics of the human immunoglobulin□locus and the germline repertoire of the V□genes. (2001) Eur J Immunol. 31, 1017−1028.

Wagner, S.D., Gross, G., Cook, G.P., Davies, S.L. and Neuberger, M.S. (1996) Antibody expression from the core region of the human IgH locus reconstructed in transgenic mice using bacteriophage P1 clones. Genomics, 35, 405−414.

Nelson, D.J. and Brownstein, B.H. (1994) YAC libararies, a user‘s guide. Freeman and Compny NY

Gu H, Wilson D and Inselburg J (1992) Recovery of DNA from agarose gels using a modified ElutrapTM. Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24, 45−50.

Davies, N.P., Popov, A.V., Zou, X. and Bruggemann, M. (1996) Human antibody repertoires in transgenic mice: Manipulation and transfer of YACs. Antibody Engineering: A Practical Approach, eds. J. McCafferty, H.R. Hoogenboom and D.J. Chiswell, pp. 59−76, IRL, Oxford.

Yang XW, Model P and Heintz N (1997) Homologous recombination based modification in Esherichia coli and germline transmission in transgenic mice of a bacterial artificial chromosome. Nature Biotechnology 15, 859−865.

Sambrook, J. and Russell, D.W. Molecular Cloning: a laboratory manual. Cold Spring Harbor, NY, 2001.

Andreason, G. L. and Glen Evans, G. A. Analytical Biochemistry, 180, 269, 1989

Baker, A. and Cotton, M. NAR 25, 1950, 1997

Transy C, Moingeon P, Stebbins C, and Reinherz EL (1989) Deletion of the cytoplasmic region of the CD3e subunit does not prevent assembly of a functional T−cell receptor. Proc. Natl.Acad.Sci. USA 86,7108−7112

Claims (28)

  1. (a)第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、および少なくとも一つの重鎖定常領域配列を含む、抗体重鎖および軽鎖の対、またはそれらの機能性断片、および
    (b)第二の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、ならびにCH1領域を欠く場合において、CH2、CH3および/またはCH3領域を含む、重鎖抗体、
    を含む、二重特異性三鎖抗体様分子(TCA)。
  2. 前記抗体重鎖および軽鎖の対が、第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域およびCH1配列を含む、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  3. 前記抗体重鎖および軽鎖の対が、第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、ならびにCH1およびCH2配列を含む、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  4. 前記抗体重鎖および軽鎖の対が、第一の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域ならびにCH1、CH2およびCH3配列を含む、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  5. 前記抗体重鎖および軽鎖の対が、ヒンジ領域をさらに含む、請求項1、2、3または4に記載の二重特異性TCA。
  6. 前記抗体重鎖および軽鎖またはそれらの機能性断片が、互いに共有結合している、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  7. 前記抗体重鎖および軽鎖またはそれらの機能性断片が、ジスルフィド結合により結合している、請求項6に記載の二重特異性TCA。
  8. 前記重鎖抗体が、第二の結合標的に特異的に結合する抗原結合領域、およびCH1領域を欠く場合において、CH2領域を含む、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  9. 前記重鎖抗体が、CH1領域を欠く場合において、CH3領域を含む、請求項8に記載の二重特異性TCA。
  10. 前記重鎖抗体が、CH1領域を欠く場合において、CH4領域を含む、請求項9に記載の二重特異性TCA。
  11. 前記重鎖抗体が、ヒンジ領域を含む、請求項8、9または10に記載の二重特異性TCA。
  12. 前記第一および第二の結合標的が、2つの異なる抗原である、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  13. 前記第一の抗原が、標的細胞により発現されている細胞表面抗原であり、前記第二の抗原が、エフェクター細胞により発現されている、請求項12に記載の二重特異性TCA。
  14. 前記第一および第二の結合標的が、同一抗原の異なるエピトープである、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  15. 前記第一および第二の結合標的のうち少なくとも一つは、CD3複合体の一部分である、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  16. 前記第一および第二の結合標的のうち少なくとも一つは、CD3抗原である、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  17. 前記CD3抗原は、CD3エプシロンである、請求項16に記載の二重特異性TCA。
  18. ヒト化されている、またはヒトである、請求項1に記載の二重特異性TCA。
  19. 請求項1の二重特異性TCA、または請求項12〜18のいずれか一つを含む、医薬組成物。
  20. 請求項1の二重特異性TCAを含有する容器、または請求項19の医薬組成物および前記組成物を使用するためのユーザー向けの指示書、を含むキット。
  21. 前記抗体重鎖および軽鎖の対ならびに前記重鎖抗体を、単一宿主細胞中で発現することを含む、請求項1に記載の二重特異性TCAを作製するための方法。
  22. 前記宿主細胞が、原核細胞である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記宿主細胞が、真核細胞である、請求項21に記載の方法。
  24. 前記真核細胞が、哺乳類細胞である、請求項23に記載の方法。
  25. 癌の治療のための方法であって、前記癌と診断された対象に、請求項1の二重特異性TCAの有効量を投与することを含む、方法。
  26. 前記癌が、卵巣癌、乳癌、胃腸癌、脳腫瘍、頭頸部癌、前立腺癌、大腸癌、肺癌、白血病、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経系細胞腫瘍、扁平上皮細胞癌、胚細胞腫瘍、転移、未分化腫瘍、精上皮腫、メラノーマ、ミエローマ、神経芽細胞腫、混合細胞腫瘍および感染体に起因する新生組織形成からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 請求項1の二重特異性TCAの有効量を、必要としている対象に投与することを含む、自己免疫疾患または炎症性疾患の治療のための方法。
  28. 請求項1の二重特異性TCAの有効量を、必要としている対象に投与することを含む、細菌、ウイルスまたは寄生虫に起因する感染性疾患の治療のための方法。
JP2013557928A 2011-03-10 2012-03-09 二重特異性三鎖抗体様分子 Ceased JP2014515598A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161451474P 2011-03-10 2011-03-10
US61/451,474 2011-03-10
US201161469541P 2011-03-30 2011-03-30
US61/469,541 2011-03-30
PCT/US2012/028607 WO2012122528A1 (en) 2011-03-10 2012-03-09 Bispecific three-chain antibody-like molecules

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014515598A true JP2014515598A (ja) 2014-07-03

Family

ID=45876918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013557928A Ceased JP2014515598A (ja) 2011-03-10 2012-03-09 二重特異性三鎖抗体様分子

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20140056897A1 (ja)
EP (1) EP2683735A1 (ja)
JP (1) JP2014515598A (ja)
CN (1) CN103619876A (ja)
CA (1) CA2828347A1 (ja)
WO (1) WO2012122528A1 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021507720A (ja) * 2017-12-27 2021-02-25 イノベント バイオロジックス (スウツォウ) カンパニー,リミテッド 三本鎖抗体、その調製方法及びその使用
JP2022501357A (ja) * 2018-09-21 2022-01-06 テネオバイオ, インコーポレイテッド ヘテロ二量体多重特異性抗体を精製するための方法
US11505606B2 (en) 2016-09-14 2022-11-22 Teneobio, Inc. CD3 binding antibodies
US11613572B2 (en) 2016-06-21 2023-03-28 Teneobio, Inc. CD3 binding antibodies
US11873336B2 (en) 2017-12-22 2024-01-16 Teneobio, Inc. Heavy chain antibodies binding to CD22
US11905326B2 (en) 2019-06-14 2024-02-20 Teneobio, Inc. Multispecific heavy chain antibodies binding to CD22 and CD3

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2012245260B2 (en) 2011-04-22 2016-09-08 Aptevo Research And Development Llc Prostate-specific membrane antigen binding proteins and related compositions and methods
AU2015283704A1 (en) 2014-07-01 2016-12-15 Pfizer Inc. Bispecific heterodimeric diabodies and uses thereof
US9212225B1 (en) 2014-07-01 2015-12-15 Amphivena Therapeutics, Inc. Bispecific CD33 and CD3 binding proteins
JP2018516248A (ja) 2015-05-29 2018-06-21 アンフィヴェナ セラピューティクス,インク. 二重特異性のcd33およびcd3結合タンパク質を使用する方法
WO2017035241A1 (en) * 2015-08-24 2017-03-02 Trianni, Inc. Enhanced production of immunoglobulins
US11352426B2 (en) 2015-09-21 2022-06-07 Aptevo Research And Development Llc CD3 binding polypeptides
AU2017214692B2 (en) 2016-02-06 2021-11-04 Epimab Biotherapeutics, Inc. Fabs-in-tandem immunoglobulin and uses thereof

Family Cites Families (50)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
USRE30985E (en) 1978-01-01 1982-06-29 Serum-free cell culture media
US4399216A (en) 1980-02-25 1983-08-16 The Trustees Of Columbia University Processes for inserting DNA into eucaryotic cells and for producing proteinaceous materials
US4419446A (en) 1980-12-31 1983-12-06 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Recombinant DNA process utilizing a papilloma virus DNA as a vector
NZ201705A (en) 1981-08-31 1986-03-14 Genentech Inc Recombinant dna method for production of hepatitis b surface antigen in yeast
US4601978A (en) 1982-11-24 1986-07-22 The Regents Of The University Of California Mammalian metallothionein promoter system
US4560655A (en) 1982-12-16 1985-12-24 Immunex Corporation Serum-free cell culture medium and process for making same
US4657866A (en) 1982-12-21 1987-04-14 Sudhir Kumar Serum-free, synthetic, completely chemically defined tissue culture media
US4713339A (en) 1983-01-19 1987-12-15 Genentech, Inc. Polycistronic expression vector construction
US4816567A (en) 1983-04-08 1989-03-28 Genentech, Inc. Recombinant immunoglobin preparations
DD266710A3 (de) 1983-06-06 1989-04-12 Ve Forschungszentrum Biotechnologie Verfahren zur biotechnischen Herstellung van alkalischer Phosphatase
US4767704A (en) 1983-10-07 1988-08-30 Columbia University In The City Of New York Protein-free culture medium
US4965199A (en) 1984-04-20 1990-10-23 Genentech, Inc. Preparation of functional human factor VIII in mammalian cells using methotrexate based selection
US5807715A (en) 1984-08-27 1998-09-15 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Methods and transformed mammalian lymphocyte cells for producing functional antigen-binding protein including chimeric immunoglobulin
US4879231A (en) 1984-10-30 1989-11-07 Phillips Petroleum Company Transformation of yeasts of the genus pichia
GB8516415D0 (en) 1985-06-28 1985-07-31 Celltech Ltd Culture of animal cells
US5225539A (en) 1986-03-27 1993-07-06 Medical Research Council Recombinant altered antibodies and methods of making altered antibodies
US6548640B1 (en) 1986-03-27 2003-04-15 Btg International Limited Altered antibodies
US4927762A (en) 1986-04-01 1990-05-22 Cell Enterprises, Inc. Cell culture medium with antioxidant
GB8610600D0 (en) 1986-04-30 1986-06-04 Novo Industri As Transformation of trichoderma
DE68925971T2 (de) 1988-09-23 1996-09-05 Cetus Oncology Corp Zellenzuchtmedium für erhöhtes zellenwachstum, zur erhöhung der langlebigkeit und expression der produkte
US5530101A (en) 1988-12-28 1996-06-25 Protein Design Labs, Inc. Humanized immunoglobulins
FR2646437B1 (fr) 1989-04-28 1991-08-30 Transgene Sa Nouvelles sequences d'adn, leur application en tant que sequence codant pour un peptide signal pour la secretion de proteines matures par des levures recombinantes, cassettes d'expression, levures transformees et procede de preparation de proteines correspondant
EP0402226A1 (en) 1989-06-06 1990-12-12 Institut National De La Recherche Agronomique Transformation vectors for yeast yarrowia
US5959177A (en) 1989-10-27 1999-09-28 The Scripps Research Institute Transgenic plants expressing assembled secretory antibodies
GB8928874D0 (en) 1989-12-21 1990-02-28 Celltech Ltd Humanised antibodies
US6750325B1 (en) 1989-12-21 2004-06-15 Celltech R&D Limited CD3 specific recombinant antibody
US5122469A (en) 1990-10-03 1992-06-16 Genentech, Inc. Method for culturing Chinese hamster ovary cells to improve production of recombinant proteins
US5968509A (en) 1990-10-05 1999-10-19 Btp International Limited Antibodies with binding affinity for the CD3 antigen
EP1400536A1 (en) 1991-06-14 2004-03-24 Genentech Inc. Method for making humanized antibodies
GB9206422D0 (en) 1992-03-24 1992-05-06 Bolt Sarah L Antibody preparation
US7381803B1 (en) 1992-03-27 2008-06-03 Pdl Biopharma, Inc. Humanized antibodies against CD3
EP0752248B1 (en) 1992-11-13 2000-09-27 Idec Pharmaceuticals Corporation Therapeutic application of chimeric and radiolabeled antibodies to human B lymphocyte restricted differentiation antigen for treatment of B cell lymphoma
US5693506A (en) 1993-11-16 1997-12-02 The Regents Of The University Of California Process for protein production in plants
US6080560A (en) 1994-07-25 2000-06-27 Monsanto Company Method for producing antibodies in plant cells
US5731168A (en) 1995-03-01 1998-03-24 Genentech, Inc. Method for making heteromultimeric polypeptides
ES2246069T3 (es) 1997-05-02 2006-02-01 Genentech, Inc. Procedimiento de preparacion de anticuerpos multiespecificos que tienen componentes comunes y multimericos.
CA2401965A1 (en) 2000-02-29 2001-09-07 Auburn University Production of antibodies in transgenic plastids
CN1195779C (zh) 2001-05-24 2005-04-06 中国科学院遗传与发育生物学研究所 抗人卵巢癌抗人cd3双特异性抗体
MXPA05004677A (es) 2002-10-31 2005-11-17 Genentech Inc Metodos y composiciones para aumentar la produccion de anticuerpos.
WO2004065417A2 (en) 2003-01-23 2004-08-05 Genentech, Inc. Methods for producing humanized antibodies and improving yield of antibodies or antigen binding fragments in cell culture
AU2004242846A1 (en) 2003-05-31 2004-12-09 Micromet Ag Pharmaceutical compositions comprising bispecific anti-CD3, anti-CD19 antibody constructs for the treatment of B-cell related disorders
US7235641B2 (en) * 2003-12-22 2007-06-26 Micromet Ag Bispecific antibodies
MXPA06014075A (es) 2004-06-03 2007-03-15 Novimmune Sa Anticuerpos anti-cd3 y metodos de uso de los mismos.
BRPI0615745A2 (pt) 2005-09-12 2011-05-24 Novimmune Sa formulação de anticorpo anti-cd3
EP2079483A4 (en) 2006-07-29 2010-10-20 Robert Lamar Bjork Jr BISPECIFIC MONOCLONAL ANTIBODIES (SPECIFIC FOR CD3 AND CD11B) THERAPEUTIC MEDICAMENTS
WO2009013620A2 (en) * 2007-06-11 2009-01-29 Erasmus University Medical Center Rotterdam Homologous recombination
US20100092470A1 (en) * 2008-09-22 2010-04-15 Icb International, Inc. Antibodies, analogs and uses thereof
US10407513B2 (en) * 2008-09-26 2019-09-10 Ucb Biopharma Sprl Biological products
CA2753287A1 (en) * 2009-02-24 2010-09-02 Glaxo Group Limited Antigen-binding constructs
LT2954779T (lt) * 2009-12-10 2019-05-27 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Pelės, gaminančios sunkiosios grandinės antikūnus

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11613572B2 (en) 2016-06-21 2023-03-28 Teneobio, Inc. CD3 binding antibodies
US11505606B2 (en) 2016-09-14 2022-11-22 Teneobio, Inc. CD3 binding antibodies
US11873336B2 (en) 2017-12-22 2024-01-16 Teneobio, Inc. Heavy chain antibodies binding to CD22
JP2021507720A (ja) * 2017-12-27 2021-02-25 イノベント バイオロジックス (スウツォウ) カンパニー,リミテッド 三本鎖抗体、その調製方法及びその使用
JP2022501357A (ja) * 2018-09-21 2022-01-06 テネオバイオ, インコーポレイテッド ヘテロ二量体多重特異性抗体を精製するための方法
US11905326B2 (en) 2019-06-14 2024-02-20 Teneobio, Inc. Multispecific heavy chain antibodies binding to CD22 and CD3

Also Published As

Publication number Publication date
CN103619876A (zh) 2014-03-05
WO2012122528A1 (en) 2012-09-13
US20140056897A1 (en) 2014-02-27
EP2683735A1 (en) 2014-01-15
CA2828347A1 (en) 2012-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014515598A (ja) 二重特異性三鎖抗体様分子
JP6599911B2 (ja) 抗αβTCR抗体
US20230279111A1 (en) Modified j-chain
US20230340114A1 (en) Novel anti-lilrb4 antibodies and derivative products
JP2015524821A (ja) システイン変異及びμ尾部を介して多量体化した抗体又は融合タンパク質
TWI804572B (zh) 雙特異性抗體
WO2012122512A1 (en) Recombinant production of mixtures of single chain antibodies
CN114127111A (zh) 与nkp30结合的抗体分子及其用途
EP4228693A1 (en) Bioengineered t cell mediated immunity, materials and other methods for modulating cluster of differentiation iv &/or viii
WO2022222910A1 (zh) 靶向gprc5d的抗体及其用途
EP4237003A1 (en) Compositions and methods for modulating delta gamma chain mediated immunity
JP2023516595A (ja) Cd20を結合する二量体抗原受容体(dar)
TW202027788A (zh) 雙特異性抗體構建體之下游加工
NZ623656B2 (en) Anti-??tcr antibody
NZ717726B2 (en) Anti-??tcr antibody

Legal Events

Date Code Title Description
A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A043

Effective date: 20150120