JP2014515068A - 分割サイクルエンジンのための大きさのクロスオーバー通路 - Google Patents

分割サイクルエンジンのための大きさのクロスオーバー通路 Download PDF

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Abstract

分割サイクルエンジン及び空気ハイブリッド分割サイクルエンジンにおいて、クロスオーバー通路の寸法決めはエンジン効率にとって重大である。効率は、シリンダーの容積に対して、特に、圧縮シリンダーの容積に対して、クロスオーバー通路の容積を小さく寸法決めすることによって改善され得る。これはクロスオーバー通路から膨張シリンダーへの音速流れの継続期間を延長し、且つ燃焼圧力を上昇させる、クロスオーバー通路内のより高い圧力を可能にするという効果がある。ここに開示された方法、システム及び装置は、一般に、効率を改善するために、分割サイクルエンジン又は空気ハイブリッド分割サイクルエンジンのクロスオーバー通路、シリンダー、又は他の構成要素を寸法決めすることを含んでいる。

Description

この出願は、2010年9月29日に出願された米国仮特許出願第61/404,239号の優先権の利益を主張し、その全内容は参照によりここに取り込まれている。この出願はまた、2011年3月14日に出願された米国特許出願第13/046,840号の優先権の利益を主張し、その全内容は参照によりここに取り込まれている。
本発明は内燃機関に関する。より詳しくは、本発明は分割サイクルエンジンのための大きさのクロスオーバー通路に関する。
明確化の目的のために、本出願において用いられるとき、用語「従来のエンジン」とは、周知のオットーサイクルの4つのストロークの全て(すなわち、吸気、圧縮、膨張、及び排気のストローク)がエンジンのピストン/シリンダーの組み合わせの各々に包含されている内燃機関を意味している。各々のストロークは、クランクシャフトの1/2回転(180度クランク角(CA))を必要とし、従来のエンジンの各々のシリンダーにおいて全てのオットーサイクルを完了するためには、クランクシャフトの完全な2回転(720度CA)が必要である。
また、明確化の目的のために、先行技術に開示されたエンジンに適用され、及び本出願において言及されるように、用語「分割サイクルエンジン」について、以下の定義が提供されている。
分割サイクルエンジンは、概ね、
クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張(動力)ピストン、及び
圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、内部に配置された少なくともクロスオーバー膨張バルブ(XovrE)を含み、より好ましくは、両者間に圧力室を画成するクロスオーバー圧縮バルブ(XovrC)及びクロスオーバー膨張バルブ(XovrE)を含むクロスオーバー通路、を備えている。
分割サイクル空気ハイブリッドエンジンは、分割サイクルエンジンと空気貯留器(また、共通に空気タンクとも称される)及び種々の制御装置を組み合わせている。この組合せは、分割サイクル空気ハイブリッドエンジンが圧縮空気の形で空気貯留器内にエネルギーを蓄えることを可能にしている。空気貯留器内の圧縮空気は、後で、クランクシャフトに動力を与えるべく膨張シリンダーで用いられる。
一般に、ここに言及される分割サイクル空気ハイブリッドエンジンは、
クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張(動力)ピストン、
圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路(ポート)であって、内部に配置された少なくともクロスオーバー膨張(XovrE)バルブを含み、より好ましくは、両者間に圧力室を画成するクロスオーバー圧縮(XovrC)バルブ及びクロスオーバー膨張(XovrE)バルブを含むクロスオーバー通路、及び
クロスオーバー通路に作用可能に連結され、圧縮シリンダーからの圧縮空気を蓄え、及び圧縮空気を膨張シリンダーに配送すべく選択的に作動可能である空気貯留器、を備えている。
図1は、先行技術の分割サイクル空気ハイブリッドエンジンの1つの模範的実施形態を図解している。当該分割サイクルエンジン100は、従来のエンジンの2つの隣接するシリンダーを1つの圧縮シリンダー102と1つの膨張シリンダー104との組合せに置き換えている。当該圧縮シリンダー102及び当該膨張シリンダー104は、クランクシャフト106が回転可能に設けられているエンジンブロック内に形成されている。シリンダー102、104の上端部は、シリンダーヘッド130によって閉じられている。当該クランクシャフト106は、軸方向に変位され、且つ角度的にオフセットされた第1及び第2のクランクスロー126、128を含み、それらの間に位相角を有している。当該第1のクランクスロー126は、第1のコネクティングロッド138によって圧縮ピストン110に旋回可能に連結され、且つ第2のクランクスロー128は、第2のコネクティングロッド140によって膨張ピストン120に旋回可能に連結されており、クランクスローの角度的なオフセット及びシリンダー、クランク及びピストンの幾何学的な関係によって決定されるタイミング関係で、それらのそれぞれのシリンダー102、104内でピストン110、120を往復させる。もしも望まれるなら、ピストンの運動及びタイミングに関係する代替的な機構が用いられてもよい。クランクシャフトの回転方向、及び下死点(BDC)位置近傍でのピストンの相対的運動は、それらの対応する構成要素と共に、図面において関連する矢印によって指示されている。
オットーサイクルの4つのストロークは、かくて、当該圧縮シリンダー102が吸入及び圧縮ストロークを包含し、そして当該膨張シリンダー104が膨張及び排気ストロークを包含するように、2つのシリンダー102及び104に亘って「分割」されている。したがって、オットーサイクルはクランクシャフト106の1回転(360度CA)毎に、これら2つのシリンダー102,104で完了される。
当該吸入ストローク中、吸入空気が、当該圧縮シリンダー102内に内方に開く(シリンダー内にピストンに向かって開く)ポペット吸気バルブ108を介して吸引される。圧縮ストローク中、圧縮ピストン110は空気充填物を加圧し、そして膨張シリンダー104に対する吸気通路として作用するクロスオーバー通路112を介して、当該空気充填物を押し込む。エンジン100は1つ以上のクロスオーバー通路112を有してもよい。
分割サイクルエンジン100の圧縮シリンダー102の容積測定(すなわち、幾何学的な)圧縮比が、(分割サイクルエンジンについて一般に)ここで分割サイクルエンジンの「圧縮比」と呼ばれる。エンジン100の膨張シリンダー104の容積測定(すなわち、幾何学的な)圧縮比が、(及び分割サイクルエンジンについて一般に)ここで当該分割サイクルエンジンの「膨張比」と称される。シリンダーの容積測定の圧縮比は、前記ピストンがその上死点(TDC)位置にあるときに、シリンダー内に囲われた容積(すなわち、クリアランス容積)に対しての、そこを往復するピストンがその下死点位置にあるときに、(全ての凹みを含む)シリンダー内に囲われた(すなわち、捕捉された)容積の比として、当該技術分野では周知である。具体的に言うと、分割サイクルエンジンについては、ここに定義されるように、圧縮シリンダーの圧縮比は、XovrCバルブが閉じられているときに決定される。また、具体的に言うと、分割サイクルエンジンについては、ここに定義されるように、膨張シリンダーの膨張比は、XovrEバルブが閉じられるときに決定される。
圧縮シリンダー102内での極めて高い容積測定の圧縮比(例えば、20対1、30対1、40対1、又はそれ以上)のせいで、圧縮シリンダー102からクロスオーバー通路112への流れを制御するのに、クロスオーバー通路112の入口で外方に開く(シリンダー及びピストンから外方に離れて開く)ポペットクロスオーバー圧縮(XovrC)バルブ114が用いられている。膨張シリンダー104内での極めて高い容積測定の圧縮比(例えば、20対1、30対1、40対1、又はそれ以上)のせいで、クロスオーバー通路112から膨張シリンダー104への流れを制御するのに、クロスオーバー通路112の出口で外方に開くポペットクロスオーバー膨張(XovrE)バルブ116が用いられている。当該XovrCバルブ114及びXovrEバルブ116の作動割合及び位相付けは、クロスオーバー通路112内の圧力をオットーサイクルの4つのストローク全ての間に高い最低圧力(典型的には、全負荷で20bar以上)に維持するように、タイミング付けられている。
少なくとも1つのフュエルインジェクター118が、XovrEバルブ116の開きに連携して、クロスオーバー通路112の出口端部で加圧空気内に燃料を噴射する。代わりに、又は付加的に、燃料が当該膨張シリンダー104に直接に噴射されてもよい。燃料-空気充填物は、膨張ピストン120がそのTDC位置に到達後直ぐに、当該膨張シリンダー104内に十分に入る。膨張ピストン120がそのTDC位置からの下降を開始するとき、そしてXovrEバルブ116がまだ開いている間に、1つ以上の点火プラグ122が点火され、(典型的には、膨張ピストン120のTDC後の10乃至20度CAの間で)燃焼を開始させる。燃焼は、膨張ピストンがそのTDC位置通過後の1乃至30度CAの間にある間に開始されてもよい。より好ましくは、燃焼は、膨張ピストンがそのTDC位置通過後の5乃至25度CAの間にある間に開始されてもよい。最も好ましくは、燃焼は、膨張ピストンがそのTDC位置通過後の10乃至20度CAの間にある間に開始されてもよい。加えて、燃焼は、グロープラグ、マイクロウエーブ点火装置によるような、又は圧縮着火方法によるような他の点火装置及び/又は方法によって、開始されてもよい。
その後、XovrEバルブ116は、結果としての燃焼事象がクロスオーバー通路112に進入する前に閉じられる。当該燃焼事象は、動力ストロークにおいて膨張ピストン120を下方に駆動する。排気ガスは、内方に開くポペット排気バルブ124を介して排気ストローク中に当該膨張シリンダー104から排出される。
分割サイクルエンジンのコンセプトによれば、圧縮シリンダー102及び膨張シリンダー104の幾何学的なエンジンパラメータ(すなわち、ボア、ストローク、コネクティングロッド長さ、容積測定の圧縮比、その他)は概ね互いから独立である。例えば、圧縮シリンダー102及び膨張シリンダー104についてのクランクスロー126、128は、それぞれ、異なる半径を有してもよく、そして膨張ピストン120の上死点(TDC)が圧縮ピストン110のTDCの前に起こるように、互いから離れて位相付けられてもよい。この独立性は、分割サイクルエンジンが一般の4ストロークエンジンよりも、より高い効率レベル及びより大きなトルクを潜在的に達成すること可能にしている。
分割サイクルエンジン100におけるエンジンパラメータの幾何学的な独立性はまた、前に述べたように、クロスオーバー通路112内に圧力が維持され得る主な理由の一つである。詳しくは、膨張ピストン120はその上死点位置に、圧縮ピストンがその上死点位置に到達する僅かな位相角(典型的には10ないし30の間のクランク角度)だけ前に、到達する。この位相角は、XovrCバルブ114及びXovrEバルブ116の適切なタイミングと伴って、分割サイクルエンジン100がその圧力/容積サイクルの全4つのストロークの間に、クロスオーバー通路112内を高い最小圧力(典型的には、全負荷運転中に絶対圧で20bar以上)に維持することを可能にしている。すなわち、分割サイクルエンジン100は、XovrC及びXovrEバルブ114,116の両者が、膨張ピストン120がそのTDC位置からそのBDC位置に降下し、そして圧縮ピストン110が同時にそのBDC位置からそのTDC位置に向けて上昇する間のかなりの期間(すなわち、クランクシャフトの回転期間)開くように、XovrCバルブ114及びXovrEバルブ116をタイミング付けて作動可能である。クロスオーバーバルブ114、116の両者が開いている期間(すなわち、クランクシャフトの回転)中、(1)圧縮シリンダー102からクロスオーバー通路112へ、及び(2)クロスオーバー通路112から膨張シリンダー104へほぼ等しい空気質量(マス)が移送される。従って、この期間中、クロスオーバー通路内の圧力は所定の最小圧力(典型的には、全負荷運転中に絶対圧で20、30又は40bar)より低く低下するのが防がれる。さらに、エンジンサイクルの実質的な部分(典型的には、全エンジンサイクルの80%以上)の間、XovrCバルブ114及びXovrEバルブ116の両者は、クロスオーバー通路112内に捕捉されているガスの質量(マス)をほぼ一定のレベルに維持するために、閉じられている。結果として、クロスオーバー通路112内の圧力は、エンジンの圧力/容積サイクルの全4つのストロークの間、所定の最小圧力に維持される。
ここでの目的のため、ほぼ等しいガスの質量(マス)をクロスオーバー通路112へ、又はそれから同時に移送させるために、膨張ピストン120がTDCから降下し、そして圧縮ピストン110がTDCに向けて上昇している間にXovrCバルブ114及びXovrEバルブ116を開く方法が、ここでガス移送のプッシュプル方法と称される。分割サイクルエンジン100のクロスオーバー通路112内の圧力が、エンジンが全負荷で運転しているとき、エンジンのサイクルの全4つのストロークの間に、典型的には、20bar以上に維持されるのを可能にしているのがプッシュプル方法である。
クロスオーバーバルブ114、116は、1つ以上のカム(不図示)を含んでいるバルブトレインによって作動される。一般に、カムに駆動される機構は、機械的にクランクシャフトにリンクされているカムシャフトを含んでいる。1つ以上のカムがカムシャフトに設けられ、各々がバルブ事象(すなわち、バルブ作動中に生ずる事象)のバルブリフト曲線を制御する成形表面を有している。XovrCバルブ114及びXovrEバルブ116の各々は、それ自体のそれぞれのカム及び/又はそれ自体のそれぞれのカムシャフトを有してもよい。XovrC及びXovrEカムが回転すると、その偏心部分がロッカーアームに運動を伝え、それが順に運動をバルブに伝え、それによってバルブをそのバルブシートから離してリフトさせる(開く)。カムが回転を継続すると、偏心部分がロッカーアームを通過し、そしてバルブの閉じが許容される。
ここでの目的のために、バルブ事象(又はバルブ開き事象)とは、バルブリフトが起こる間のクランクシャフトの回転に対しての、そのバルブシートから離れた初期開きからそのバルブシートへ閉じて戻るまでのバルブリフトとして定義される。 また、ここでの目的のために、バルブ事象の継続期間は、所与のエンジンサイクル内で起こるべきバルブ事象のために要求される時間又は度CAの継続期間である。バルブ事象は、一般に、エンジン運転サイクルのトータルの継続期間(例えば、従来の4ストロークエンジンサイクルについては720度CA、及び分割サイクルエンジンについては360度CA)のただ一部であることに留意することが重要である。
当該分割サイクル空気ハイブリッドエンジン100はまた、空気貯留器タンクバルブ152を介してクロスオーバー通路112に作用可能に連結されている空気貯留器(タンク)142を含んでいる。2つ以上のクロスオーバー通路112を備える実施形態は、共通の空気貯留器142につながる各々のクロスオーバー通路112のためのタンクバルブ152を含んでもよく、全てのクロスオーバー通路112を共通の空気貯留器142に連結する単一のバルブを含んでもよく、又は各々のクロスオーバー通路112が別々の空気貯留器142に作用可能に連結してもよい。
当該タンクバルブ152は、典型的には、クロスオーバー通路112から空気タンク142まで延在している空気タンクポート154内に配置されている。当該空気タンクポート154は、第1の空気タンクポート区分156及び第2の空気タンクポート区分158に分けられている。当該第1の空気タンクポート区分156は当該空気タンクバルブ152をクロスオーバー通路112に連結し、そして第2の空気タンクポート区分158は当該空気タンクバルブ152を空気タンク142に連結している。当該第1の空気タンクポート区分156の容積は、当該空気タンクバルブ152が閉じられているとき、当該タンクバルブ152をクロスオーバー通路112に連結する全ての付加的な凹部の容積を含んでいる。好ましくは、当該第1の空気タンクポート区分156の容積は、第2の空気タンクポート区分158に比べて小さい。より好ましくは、当該第1の空気タンクポート区分156は実質的にはないに等しく、すなわち、当該タンクバルブ152は、最も好ましくは、クロスオーバー通路112の外壁に対して同一面となるように配置されている。
当該タンクバルブ152は、適切なバルブ装置又はシステムであってもよい。例えば、当該タンクバルブ152は、種々のバルブ作動装置(例えば、空圧、液圧、カム、電気式など)によって動作される能動バルブであってもよい。加えて、当該タンクバルブ152は、2つ以上の作動装置でもって動作される2つ以上のバルブを備えるタンクバルブシステムを備えてもよい。
空気タンク142は、圧縮空気の形でエネルギーを蓄え、そしてクランクシャフト16に動力を与えるためにその圧縮空気を後で用いるべく利用されている。この潜在的なエネルギーを蓄える機械式の手段は、現在の技術水準に対して多数の潜在的有利性を提供している。例えば、当該分割サイクルエンジン100は、ディーゼルエンジン及び電気ハイブリッドシステムのような市場における他の技術に対して、比較的低い製造及び廃棄物処理コストで、燃料効率利得及びNOxエミッション低減での多くの有利性を潜在的に提供することができる。
エンジン100は、典型的には、通常の運転すなわち点火燃焼(NF) モード(また、通例、エンジン点火燃焼(EF)モードと呼ばれている)と4つの基本的な空気ハイブリッドモードの1つ以上とで作動する。EFモードにおいて、エンジン100は、詳しく前述したように、普通に機能し、当該空気タンク142の使用なしで作動する。EFモードにおいて、空気タンクバルブ152は、空気タンク142を基本の分割サイクルエンジンから隔離すべく閉じられたままである。4つの空気ハイブリッドモードにおいては、エンジン100は当該空気タンク142の使用を伴って作動する。
当該4つの基本的な空気ハイブリッドモードは、
1)燃焼を伴わずに、空気タンク142からの圧縮空気エネルギーを用いることを含む空気膨張機(AE)モード、
2)燃焼を伴わずに、空気タンク142に圧縮空気エネルギーを蓄えることを含む空気圧縮機(AC)モード、
3)燃焼を伴って、空気タンク142からの圧縮空気エネルギーを用いることを含む空気膨張機及び点火燃焼(AEF)モード、及び
4)燃焼を伴って、空気タンク142に圧縮空気エネルギーを蓄えることを含む点火燃焼及び充填(FC)モード、を含んでいる。
分割サイクルエンジンのさらなる詳細は、分割4ストロークサイクル内燃機関という名称で2003年4月8日に発行された特許文献1(United States Patent No. 6,543,225)、及び分割サイクル4ストロークエンジンという名称で2005年10月11日に発行された特許文献2(United States Patent No. 6,952,923)に見いだされ、その各々は、参照によってここに組み入れられている。
さらに、空気ハイブリッドエンジンの詳細は、分割サイクル空気ハイブリッドエンジンという名称で2008年4月8日に発行された特許文献3(United States Patent No. 7,353,786)、分割サイクル空気ハイブリッドエンジンという名称で、2010年7月18日に出願された特許文献4(U.S. Patent Application No. 61/365,343)、及び分割サイクル空気ハイブリッドエンジンという名称で、2010年3月15日に出願された特許文献5(U.S. Patent Application No. 61/313,831)に記載されており、その各々は、参照によってここに組み入れられる。
米国特許第6,543,225号明細書 米国特許第6,952,923号明細書 米国特許第7,353,786号明細書 米国特許出願第61/365,343号 米国特許出願第61/313,831号 米国仮出願第61/436,735号
分割サイクルエンジン,及び空気ハイブリッド分割サイクルエンジンにおいて、クロスオーバー通路の寸法決めはエンジン効率にとって重大である。効率は、シリンダーの容積に対して、特に、圧縮シリンダーの容積に対して、クロスオーバー通路の容積を小さく寸法決めすることによって改善され得る。これはクロスオーバー通路から膨張シリンダーへの音速流れの継続期間を延長し、且つ燃焼圧力を上昇させる、クロスオーバー通路内のより高い圧力を可能にするという効果がある。ここに開示された方法、システム及び装置は、一般に、効率を改善するために、分割サイクルエンジン又は空気ハイブリッド分割サイクルエンジンのクロスオーバー通路、シリンダー、又は他の構成要素を寸法決めすることを含んでいる。
本発明の少なくとも1つの実施形態の1アスペクトにおいて、クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、及び当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、を含むエンジンが提供されている。当該エンジンはまた、圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、内部に配置された少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を含んでいる。当該圧縮シリンダーの最大容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも2倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも4倍大きい、少なくとも6倍大きい、及び/又は少なくとも8倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも9.5倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこでクロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなる。1つの実施形態において、複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の1アスペクトにおいて、クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、及び当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストンを含むエンジンが提供されている。当該エンジンはまた、圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を含んでいる。当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも2倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも4倍大きい、少なくとも6倍大きい、及び/又は少なくとも8倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも約8.7倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこでクロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなる。1つの実施形態において、複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の1アスペクトにおいて、クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、及び当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストンを含むエンジンが提供されている。当該エンジンはまた、圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を含んでいる。当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積より少なくとも10倍大きい、及び/又は少なくとも15倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積より少なくとも17.7倍大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、上述のようなエンジンを提供し、そこでクロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなる。1つの実施形態において、複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態の他のアスペクトにおいて、クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、及び当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストンを含むエンジンが提供されている。当該エンジンはまた、圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を含んでいる。当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の少なくとも8倍より大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の少なくとも10倍より大きい、及び/又は少なくとも15倍より大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の約18.9倍より大きい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば上述のようなエンジンを提供し、そこでクロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなる。1つの実施形態において、複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態の他のアスペクトにおいて、クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、及び当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストンを含むエンジンが提供される。当該エンジンはまた、圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を含んでいる。有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の4倍より小さい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば、上述のようなエンジンを提供し、そこで有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の3倍より小さい、及び/又は2倍より小さい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば、上述のようなエンジンを提供し、そこで有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の1.5倍より小さい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば、上述のようなエンジンを提供し、そこでクロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなる。1つの実施形態において、複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態の他のアスペクトにおいて、クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、及び当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストンを含むエンジンが提供される。当該エンジンはまた、圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を含んでいる。当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8倍大きく、そして、有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の4倍より小さい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも10倍大きく、そして、有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の3倍より小さい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば、上述のようなエンジンを提供し、そこで当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも15倍大きく、そして、有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の2倍より小さい。
本発明の少なくとも1つの実施形態の関連するアスペクトは、例えば、上述のようなエンジンを提供し、そこでクロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなる。1つの実施形態において、複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得る。
本発明はさらに、特許請求されたような、装置、システム、及び方法を提供する。
本発明は、添付の図面と共になされる以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
先行技術の分割サイクル空気ハイブリッドエンジンの概略構成図である。 効率を改善するためにシリンダー容積に対してクロスオーバー通路容積の大きさが定められた分割サイクル空気ハイブリッドエンジンの一模範的実施形態の概略構成図である。 複数のクロスオーバー通路を有する分割サイクルエンジンの一実施形態の概略構成図である。 複数のクロスオーバー通路を有する分割サイクルエンジンのもう1つの実施形態の概略構成図である。 分割サイクルエンジンの一模範的実施形態において、膨張ピストンの上死点後のクランク角度の関数としての、圧縮シリンダー容積、膨張圧縮シリンダー容積、クロスオーバー通路容積、及び全クロスオーバー通路とシリンダーとの容積のグラフ図である。
ここに開示される方法、システム、及び装置の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解をもたらすべく、いくつかの模範的実施形態が、今、説明される。これらの実施形態の1つ以上の実施例が添付図面に図解されている。当業者は、ここに具体的に説明され、そして添付図面に図解されている方法、システム、及び装置は非限定の模範的実施形態であり、そして本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定められるということを理解しよう。一模範的実施形態に関連して図解ないしは説明されている特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。かかる修正及び変更は、本発明の範囲内に含まれるべく意図されている。
用語、「空気」とは、ここで、空気、及び空気と他の燃料又は排気生成物のような物質との混合物の両者を意味するべく用いられている。用語、「流体」とは、液体及び気体の両者を意味するべく用いられている。他の図において示された特徴と同じ又は類似の、特定の図において示された特徴は、同じ参照番号によって指示されている。
図2は、本発明による空気ハイブリッド分割サイクルエンジン200の一模範的実施形態を図解している。エンジン200の構造及び作動の詳細な説明は、簡潔さのために省略されており、エンジン200の構造及び作動は、図1のエンジン100のものとここに説明されるのを除き、同じであることが理解されよう。図2のエンジン200は、図1のエンジン100と、特に、種々のエンジン構成要素(例えば、エンジンシリンダーの容積に対するクロスオーバー通路の容積)に関して異なっている。
エンジン200は、圧縮ピストン210が往復動自在に配置されている圧縮シリンダー202及び 膨張ピストン220が往復動自在に配置されている膨張シリンダー204を含んでいる。シリンダー202,204の上端部は、シリンダーヘッド230によって閉じられている。吸入ストローク中、吸入空気が吸気バルブ208を通して圧縮シリンダー202内に引き込まれる。圧縮ストローク中、圧縮ピストン210は空気充填物を加圧し、そして、膨張シリンダー204のための吸気通路として作用するクロスオーバー通路212を通して、空気充填物を押し出す。エンジン200は、1つ以上のクロスオーバー通路212を有してもよい。外方に開くクロスオーバー圧縮バルブ214が、当該クロスオーバー通路212の入口において、当該圧縮シリンダー202から当該クロスオーバー通路212への流れを制御すべく用いられている。外方に開くクロスオーバー膨張バルブ216は、当該クロスオーバー通路212の出口において、当該クロスオーバー通路212から膨張シリンダー204内への流れを制御する。
少なくとも1つのフュエルインジェクター218が、当該クロスオーバー通路212の出口端部で、加圧空気に、及び/又は当該膨張シリンダー204に直接に燃料を噴射する。膨張ピストン220がそのTDC位置からその下降を始めるとき、1つ以上の点火プラグ222が、動力ストロークで膨張ピストン220を下方に駆動する燃焼を開始させるべく点火される。排気ガスは、排気ストローク中に、排気バルブ224を通して膨張シリンダー204から送り出される。
圧縮シリンダー202は、圧縮ピストン210の頂面、圧縮シリンダー202のシリンダー内側壁、及びシリンダーヘッド230のファイヤーリングデッキによって画成される容積VCを有している。圧縮シリンダーの容積VCはかくて、圧縮ピストン210の位置に依存して変化する。特に、容積VCは、圧縮ピストン210がそのTDC位置にあるときの最小値VCMINから、圧縮ピストン210がそのBDC位置にあるときの最大値VCMAXにまで亘る。ここでの目的のために、圧縮シリンダーの容積VCは、吸入バルブ208及びクロスオーバー圧縮バルブ214が、もちろん、これらのバルブはエンジンサイクルにおいて種々の時点で開き且つ閉じるけれども、あたかも常に閉じられた位置にあるかのようにして特定される。このように、容積VCは、当該クロスオーバー通路の容積を含まない。
膨張シリンダー204は、膨張ピストン220の頂面、膨張シリンダー204のシリンダー内側壁、及びシリンダーヘッド230のファイヤーリングデッキによって画成される容積VEを有している。膨張シリンダーの容積VEはかくて、膨張ピストン220の位置に依存して変化する。特に、容積VEは、膨張ピストン220がそのTDC位置にあるときの最小値VEMINから、膨張ピストン220がそのBDC位置にあるときの最大値VEMAXにまで亘る。ここでの目的のために、膨張シリンダーの容積VEは、排気バルブ224及びクロスオーバー膨張バルブ216が、もちろん、これらのバルブはエンジンサイクルにおいて種々の時点で開き且つ閉じるけれども、あたかも常に閉じられた位置にあるかのようにして特定される。このように、容積VEは当該クロスオーバー通路の容積を含まない。
図2のエンジン200において、クロスオーバー通路212は、その内側表面によって画成される固定された容積VXを有している。ここでの目的のために、クロスオーバー通路の当該容積VXは、クロスオーバー圧縮バルブ214、クロスオーバー膨張バルブ216、及び空気タンクバルブ252が、もちろん、これらのバルブはエンジンサイクルにおける種々の時点で開き且つ閉じるけれども、あたかも常に閉じられた位置にあるかのようにして特定される。図示された実施形態では、クロスオーバー通路の容積VXは固定されているけれども、クロスオーバー通路の容積VXはまた、可変であってもよいことが理解されよう。例えば、図3に示されるように、エンジン200’は、第1及び第2のクロスオーバー通路212A、212Bを含み、各々が全体のクロスオーバー通路容積を変えるために選択的に不作動化され得る、クロスオーバー通路を有することができる。クロスオーバー通路212Bを不活動化することによって(例えば、それに関係する1つ以上のバルブを不活動化することによって)、全体のクロスオーバー通路容積が50%だけ減少される。さらなる例として、図4に示されるように、エンジン200”は、第1、第2、及び第3のクロスオーバー通路212C、212D、212Eを含むクロスオーバー通路を有することができる。この実施形態において、クロスオーバー通路の各々は異なる容積を有し、そして、最小容積(例えば、クロスオーバー通路212Eのみが活動化されているとき)から最大容積(例えば、3つのクロスオーバー通路212C、212D,212Eが活動化されているとき)の間の容積の範囲に亘って、クロスオーバー通路の容積を変えるために、(例えば、それに関係する1つ以上のバルブを活動化又は不活動化することによって)選択的に活動化され又は不活動化され得る。
ここに開示された実施形態のいずれにおいても、個々のクロスオーバー通路の各々はまた、例えば、2010年10月21日に発刊された「分割サイクルエンジンの可変容積クロスオーバー通路」という名称の特許文献7(U.S. Publication No. 2010/0263646)、参照によってその全内容はここに組み込まれている、に記載されたような調節可能及び/又は可変の容積を有している。
図2を再度参照するに、圧縮シリンダー202の容積VC及び膨張シリンダー204の容積VEは、それらのそれぞれのピストン210,220の位置に基づいて変わるということが理解されよう。結果として、シリンダー容積の集合VCE = VC + VEは、クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCE = VC + VE + VXが変化するのと同じように、エンジンサイクルに亘って変化する。
ここでの目的のために、エンジンの「有効TDC」とは、クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEが最小であるクランクシャフト位置である。図2のエンジン200において、有効TDCは、膨張ピストン220のTDCと圧縮ピストン210のTDCとの間のほぼ中間で起こる。換言すると、クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEは、図2のエンジン200において、圧縮ピストン210が上昇中でそのTDC位置に到達する直前で、そして膨張ピストン220が下降中でそのTDC位置に到達した直後であるときに、最小である。
また、ここでの目的のために、エンジンの「有効BDC」とは、クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEが最大のクランクシャフト位置である。図2のエンジン200において、有効BDCは、膨張ピストン220のBDCと圧縮ピストン210のBDCとの間のほぼ中間で起こる。換言すると、クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEは、図2のエンジン200において、圧縮ピストン210が下降中でそのBDC位置に到達する直前で、そして膨張220が上昇中でそのBDC位置に到達した直後であるときに、最大である。
また、ここでの目的のために、エンジンの有効圧縮比は、最小クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMINに対する最大クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAXの比(有効TDCでの全クロスオーバー通路及びシリンダー容積に対する有効BDCでの全クロスオーバー通路及びシリンダー容積)として定義される。一実施形態において、エンジンの有効圧縮比は約15:1である。
エンジン200の運転中、クロスオーバー膨張バルブ216は膨張ピストン220がそのTDC位置に到達する僅か前に開く。この時点で、膨張シリンダー204における圧力に対するクロスオーバー通路212における圧力の圧力比は、クロスオーバー通路212における最小圧力が、典型的には、20bar絶対圧以上であり、そして排気ストローク中の膨張シリンダー204における圧力が、典型的には、約1から2bar絶対圧であるという事実に起因して、高い。換言すると、クロスオーバー膨張バルブ216が開いたとき、クロスオーバー通路212における圧力は、膨張シリンダー204における圧力よりも大幅に高い(典型的には、20対1以上のオーダーである)。この高い圧力比は、空気及び/又は燃料充填物の初期の流れが、クロスオーバー通路212から膨張シリンダー204内に高い速度で流れるのを生じさせる。これらの高い流れ速度は音速に到達することができ、それは音速流れと称される。この音速流れは、エンジン200において特に有利である。というのも、急速で効率的な燃焼に繋がる良好な空気/燃料の混合を促進する強いタービュレンスに導くからである。
エンジン200の効率を最適化するためには、この音速流れの継続期間を最大化することが望ましい。膨張シリンダー204に入る空気の音速は、クロスオーバー膨張バルブ216が最初に開かれたとき、クロスオーバー通路212内の圧力を、排気ストローク中の膨張シリンダー204における圧力よりも高いレベルに維持することによって達成される。音速流れ比は、音速流れを達成するのに必要である、膨張シリンダー204における圧力に対するクロスオーバー通路212内の圧力の比として定義される。
エンジン200のAEF及びAEモードにおいて、クロスオーバー通路212内の高い圧力が、空気タンク242内の圧力を、5bar、好ましくは7bar、より好ましくは10bar以上に保つことによって、維持される。エンジン200のEF及びFCモードにおいては、クロスオーバー通路212内の高い圧力が、上述のプッシュプル式ガス移送法を用いることによって維持される。しかしながら、クロスオーバー通路212内の圧力は、エンジン200の種々の構成要素を適切に寸法決めすることによって、さらに上昇させることができる。
例えば、クロスオーバー通路容積VXは、最大圧縮シリンダー容積VCMAXに比べて小さく作られてもよい。好ましくは、圧縮シリンダー202の最大容積VCMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも2倍大きい。より好ましくは、圧縮シリンダー202の最大容積VCMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも4倍大きい。さらにより好ましくは、圧縮シリンダー202の最大容積VCMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも6倍大きい。さらにまた好ましくは、圧縮シリンダー202の最大容積VCMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも8倍大きい。圧縮シリンダー202の最大容積VCMAXがクロスオーバー通路容積VXに比べて大きいときは、吸入空気充填物が圧縮ストローク中により高い程度にまで圧縮され、それによってクロスオーバー通路212内の圧力を上昇させる。換言すると、有効圧縮比が高く、結果として、音速流れのより長い継続期間、及びエンジン効率における相応の改善をもたらす。
さらなる例として、クロスオーバー通路容積VXは、最大膨張シリンダー容積VEMAXに比べて小さく作られてもよい。好ましくは、膨張シリンダー204の最大容積VEMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも2倍大きい。より好ましくは、膨張シリンダー204の最大容積VEMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも4倍大きい。さらにより好ましくは、膨張シリンダー204の最大容積VEMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも6倍大きい。さらにまた好ましくは、膨張シリンダー204の最大容積VEMAXは、クロスオーバー通路212の容積VXよりも少なくとも8倍大きい。
もう1つの実施例として、クロスオーバー通路容積VXは、最大のシリンダー容積の集合VCEMAXに比べて小さく作られてもよい。好ましくは、最大のシリンダー容積の集合VCEMAXは、クロスオーバー通路の容積VXより少なくとも8倍大きい。より好ましくは、最大のシリンダー容積の集合VCEMAXは、クロスオーバー通路の容積VXより少なくとも10倍大きい。さらにより好ましくは、最大のシリンダー容積の集合VCEMAXは、クロスオーバー通路の容積VXより少なくとも15倍大きい。
さらなる例として、クロスオーバー通路容積VXは、最大のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAXに比べて、小さく作られてもよい。好ましくは、最大のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAXは、クロスオーバー通路の容積VXより少なくとも8倍大きい。より好ましくは、最大のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAXは、クロスオーバー通路の容積VXより少なくとも10倍大きい。さらにより好ましくは、最大のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAXは、クロスオーバー通路の容積VXより少なくとも15倍大きい。
シリンダー容積の集合VCE、及びクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEは重要である。というのも、プッシュプル法において、空気質量(マス)がクロスオーバー通路212を通って移送されるとき、クロスオーバー圧縮バルブ214及びクロスオーバー膨張バルブ216の両者が、開かれているからである。それ故に、圧縮シリンダー202及び膨張シリンダー204の両者の容積は、エンジンサイクルのプッシュプルの間、クロスオーバー通路212に同時に連通している。このプッシュプルの期間中、最大のシリンダー容積の集合VCEMAXに対して、及び/又は最大のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAXに対して小さい容積VXを有しているクロスオーバー通路212は、圧縮シリンダー202と膨張シリンダー204との間で、空気が膨張シリンダー204に入るときにその速度における劇的な上昇を発生させる、流れ制限として基本的には作用する。
もう1つの実施例として、当該最小のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMIN(例えば、有効TDCにおけるクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合)は、クロスオーバー通路容積VXを大きくは超えないように、最小化されてもよい。換言すると、クロスオーバー通路212内に高い圧力を維持するために、有効TDCにおける圧縮シリンダー202、膨張シリンダー204、及びクロスオーバー通路212の合計容積は、当該クロスオーバー通路の容積の4倍、好ましくは、当該クロスオーバー通路の容積の3倍、そしてより好ましくは、当該クロスオーバー通路の容積の2倍より小さくてもよい。一実施形態において、有効TDCにおけるクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMINは、当該クロスオーバー通路212の容積に近づいている。何故なら、圧縮及び膨張ピストン210、220の実際のTDCにおいては、圧縮及び膨張シリンダー202,204の容積は極めて小さいからである。換言すると、圧縮シリンダー202の幾何学的圧縮比は約95:1であり、及び膨張シリンダー204の幾何学的膨張比は約50:1であり、ピストンのそれぞれのTDC位置における圧縮及び膨張ピストン210、220とシリンダーヘッド230(特に、ヘッドのファイヤーデッキ)との間には、小さくて緊縮したクリアランスが存在することを意味している。当該それぞれのピストン210、220のTDCにおけるこれらの狭いクリアランス空間は、クロスオーバー通路容積VXを大幅には超えない、有効TDCにおけるクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMINに変わる。
上述のように、種々のエンジンの構成要素を寸法決めすることによって得られるクロスオーバー通路内の圧力の上昇は、膨張シリンダーに入る空気の質量(マス)の音速流れ期間の増大に帰し、それによってエンジンの効率を増大させることが理解されよう。
図5は、エンジンの運転サイクル(膨張ピストンの上死点後のクランク角度「deg ATDC-e」を単位として表されている)に亘ってプロットされた分割サイクルエンジンの1つの模範的実施形態(立法cm「cc」を単位として表されている)のそれぞれの構成要素の容積を示している。
図示されているように、圧縮シリンダーは、約160deg ATDC-eにおいて、約590ccの最大容積を有している。圧縮シリンダーは、約20deg ATDC-eにおいて、約6ccの最小容積を有している。膨張シリンダー(すなわち、「動力シリンダー」)は、約180deg ATDC-eにおいて、約540ccの最大容積を有している。膨張シリンダーは、約0deg ATDC-eにおいて、約11ccの最小容積を有している。クロスオーバー通路(又は「クロスオーバーポート」は、全エンジンサイクルに亘り約62ccの固定容積を有している。クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合は、約-170deg ATDC-e (有効BDC)において、約1170ccの最大値を有している。クロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合は、約10.8deg ATDC-e (有効TDC)において、約90ccの最小値を有している。
このように、図5のエンジンにおいては、最大圧縮シリンダー容積VCMAX は、クロスオーバー通路容積VXよりも、約9.5倍大きい。最大膨張シリンダー容積VEMAXは、クロスオーバー通路容積VXよりも、約8.7倍大きい。最大のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMAX は、クロスオーバー通路容積VXよりも、約18.9倍大きい。最小のクロスオーバー通路及びシリンダー容積の集合VXCEMIN は、クロスオーバー通路容積VXよりも、約1.5倍大きい。最大のシリンダー容積の集合VCEMAX は、当該クロスオーバー通路の容積よりも、約17.7倍大きい。これらの寸法決めパラメータを用いることで、図5のエンジンは、エンジンサイクルを通して、音速流れの期間を増大させ、且つ全般のエンジン効率の改善を生じさせる、高いクロスオーバー通路圧力を達成している。
本発明が特定の実施形態を参照して説明されたが、説明された発明のコンセプトの趣旨及び範囲内で多数の変更がなされ得ることが理解されるべきである。従って、本発明は説明された実施形態に限定されず、それは以下の請求項の語句によって定められる全部の範囲を有することが意図されている。

Claims (35)

  1. クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、及び
    圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を備え、
    当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8倍大きく、そして、有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の4倍より小さいことを特徴とするエンジン。
  2. 当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも10倍大きく、そして、有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の3倍より小さいことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  3. 当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも15倍大きく、そして、有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の2倍より小さいことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  4. クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、及び
    圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を備え、
    当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも2倍大きいことを特徴とするエンジン。
  5. 当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも4倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  6. 当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも6倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  7. 当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  8. 当該圧縮シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも9.5倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  9. クロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなることを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  10. 複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得ることを特徴とする請求項9に記載のエンジン。
  11. クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、及び
    圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を備え、
    当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも2倍大きいことを特徴とするエンジン。
  12. 当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも4倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  13. 当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも6倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  14. 当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  15. 当該膨張シリンダーの最大の容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8.7倍大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  16. クロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなることを特徴とする請求項11に記載のエンジン。
  17. 複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得ることを特徴とする請求項16に記載のエンジン。
  18. クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、及び
    圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を備え、
    当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積よりも少なくとも8倍大きいことを特徴とするエンジン。
  19. 当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積より少なくとも10倍大きいことを特徴とする請求項18に記載のエンジン。
  20. 当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積より少なくとも15倍大きいことを特徴とする請求項18に記載のエンジン
  21. 当該圧縮シリンダー及び当該膨張シリンダーの最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積より少なくとも17.7倍大きいことを特徴とする請求項18に記載のエンジン。
  22. クロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなることを特徴とする請求項18に記載のエンジン。
  23. 複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得ることを特徴とする請求項21に記載のエンジン。
  24. クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、及び
    圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を備え、
    当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の少なくとも8倍より大きいことを特徴とするエンジン。
  25. 当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の少なくとも10倍より大きいことを特徴とする請求項24に記載のエンジン。
  26. 当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の少なくとも15倍より大きいことを特徴とする請求項24に記載のエンジン。
  27. 当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の最大の集合容積は、当該クロスオーバー通路の容積の約18.9倍より大きいことを特徴とする請求項24に記載のエンジン。
  28. クロスオーバー通路は、複数のクロスオーバー通路からなることを特徴とする請求項24に記載のエンジン。
  29. 複数のクロスオーバー通路の各々は、当該クロスオーバー通路の全体の容積を減らすべく選択的に不作動化され得ることを特徴とする請求項28に記載のエンジン。
  30. クランクシャフト軸回りに回転可能なクランクシャフト、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の吸入ストローク及び圧縮ストロークを通して往復するように圧縮シリンダー内に摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された圧縮ピストン、
    当該クランクシャフトの単一の回転中の膨張ストローク及び排気ストロークを通して往復するように膨張シリンダーに摺動可能に収容されると共に、当該クランクシャフトに作用可能に連結された膨張ピストン、及び
    圧縮シリンダー及び膨張シリンダーを相互に連結するクロスオーバー通路であって、少なくとも1つのバルブを含むクロスオーバー通路を備え、
    有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の4倍より小さいことを特徴とするエンジン。
  31. 有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の3倍より小さいことを特徴とする請求項30に記載のエンジン。
  32. 有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の2倍より小さいことを特徴とする請求項30に記載のエンジン。
  33. 有効上死点における当該圧縮シリンダー、当該膨張シリンダー及び当該クロスオーバー通路の組み合わされた容積は、当該クロスオーバー通路の容積の1.5倍より小さいことを特徴とする請求項30に記載のエンジン。
  34. クロスオーバー通路は、第1のクロスオーバー通路及び第2のクロスオーバー通路を備えることを特徴とする請求項30に記載のエンジン。
  35. 当該第1及び第2のクロスオーバー通路は各々、当該クロスオーバー通路の容積を減らすべく選択的に不作動化され得ることを特徴とする請求項34に記載のエンジン。
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