JP2001227368A - ピストン形内燃機関 - Google Patents

ピストン形内燃機関

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JP2001227368A JP2000038581A JP2000038581A JP2001227368A JP 2001227368 A JP2001227368 A JP 2001227368A JP 2000038581 A JP2000038581 A JP 2000038581A JP 2000038581 A JP2000038581 A JP 2000038581A JP 2001227368 A JP2001227368 A JP 2001227368A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のピストン形内燃機関のシリンダを圧縮
比と膨張比が異なる構造とすることにより熱効率を大幅
に向上させる。 【解決手段】 ピストン形内燃機関を吸入、圧縮行程を
行なう圧縮シリンダ11と、爆発(膨張)、排気行程を
行なう膨張シリンダ12とに分離して設け、圧縮シリン
ダ11と膨張シリンダ12のそれぞれのピストン13、
14の移動ストロークを同一とし、かつ圧縮シリンダ1
1は圧縮比を小さく抑え、膨張シリンダ12は圧縮比よ
り大きい所望の膨張比に設定して形成する。これにより
爆発(膨張)行程での作動時の熱効率を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃料の爆発力で
シリンダ内を直線移動するピストンの動きを回転運動に
変換するピストン形内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】ガソリン等の燃料をシリンダ内で爆発さ
せてシリンダ内を直線移動するピストンの動きを回転運
動に変換するピストン形内燃機関として古くよりガソリ
ンエンジンとディーゼルエンジンとが広く用いられてい
る。周知のように、ガソリンエンジンは気化した燃料と
空気を混合した混合気をシリンダへ送り、点火プラグに
より点火して爆発をシリンダ内に生じさせる形式であ
り、ディーゼルエンジンはシリンダ内で高い圧縮を受け
て温度の高くなった空気に燃料噴射ポンプにより高圧に
した燃料を噴射させて自然着火により爆発を起こさせる
形式のものである。
【0003】上記エンジンは、吸気、圧縮、爆発(膨
張)、排気の4つの行程を1サイクルとしてクランク軸
の2回転、即ちピストンの4行程で行なう4サイクルエ
ンジンが代表的であるが、このようなピストンエンジン
では上記4つの行程を1つのシリンダ内に摺動自在に嵌
合された1つのピストンで行なうことを前提としてい
る。このため、ピストンが移動する際の移動ストローク
に関して必然的に圧縮比と膨張比は同一である。又、ガ
ソリンエンジンの圧縮比は、一般に約7〜10程度であ
り、ディーゼルエンジンでは12〜22程度である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ガソリ
ンエンジンの圧縮比は前述した値に一般に設定され、こ
の値を大きくすれば理論上熱効率は向上するが、これを
12以上にするとノッキングを起して使用できないし、
又仮りに圧縮比をその範囲より大きく出来たとしても若
干の改善に止まり、熱効率を大きく向上させることは困
難である。ディーゼルエンジンは圧縮比を大きくするこ
とに起因してノッキングを起すことはなく、むしろノッ
キングを起さないようにするだけのことを考えれば高圧
縮比とするのが好ましい。
【0005】しかし、燃料の着火遅れに起因するディー
ゼルノックが生じることがあり、このため上述したよう
に燃焼温度が高く、有害なNOxの発生が多く、これを
完全に抑制することは困難であるなどの不利がある。上
記のような着火燃焼方式のそれぞれに伴う種々の問題は
吸入、圧縮、爆発(膨張)、排気の4つの行程を1つの
シリンダ内で行なっていることに起因する。特に、圧縮
と膨張の各行程はそれぞれ要求される性能が異なるにも
拘らず、1つのシリンダで行なうため圧縮比と膨張比が
必然的に同一となるからである。
【0006】一方、上述した従来のピストン形内燃機関
は、シリンダがピストンによる4つの行程に対し1つで
あるから、吸入される混合気又はエアーの給気を冷却す
ることが困難である。圧縮された給気は爆発(膨張)行
程で急激に温度上昇し、実際のシリンダの周囲には冷却
手段が取り付けられているとしても、その後この冷却手
段だけでは十分冷却されないまま同じシリンダに給気が
吸入されるため、必然的に給気も温度が高くなるからで
ある。
【0007】特にディーゼルエンジンでは圧縮比が高く
設定されるため、燃焼温度が高く、冷却損失が大きいた
め、給気冷却を有効に行なうことができず、給気冷却が
でき、かつNOxの発生を抑制できるピストンエンジン
が所望されている。この場合圧縮と膨張を異なるシリン
ダで行えば少なくとも給気冷却は従来より容易となり得
るが、給気冷却に見合うコスト上のメリットから異なる
シリンダで圧縮と膨張を行うピストン形内燃機関が試み
られた例は知られていない。
【0008】この発明は、上記従来のピストン形内燃機
関の熱効率を1つのシリンダで向上させるには限界があ
る点に留意し、エンジンを圧縮シリンダと膨張シリンダ
に分離し、かつ圧縮比と膨張比を異ならせて熱効率を大
きく向上させることができるピストン形内燃機関を提供
することを課題とする。
【0009】又、もう1つの発明は、エンジンを圧縮シ
リンダと膨張シリンダに分離することにより給気冷却を
有効に行なうことのできる、特にディーゼルエンジンに
好適なピストン形内燃機関を提供することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の第1
の課題を解決する手段として、シリンダ内に摺動自在に
嵌合されるピストンを燃料の爆発力で駆動して回転力を
出力するピストン形内燃機関のシリンダを圧縮シリンダ
と膨張シリンダとに分離して設け、両シリンダを連結管
により連結し、圧縮シリンダより膨張シリンダの体積を
大きく形成して圧縮比より膨張比を大とし、膨張シリン
ダのピストンにより出力軸を回転駆動するように構成し
て成るピストン形内燃機関としたのである。
【0011】上記構成の第1の発明では、膨張シリンダ
と圧縮シリンダが分離して設けられ、膨張比を圧縮比よ
り大きく設定するようにしたから、クランク軸の1回転
中に吸入、圧縮された混合気は爆発、膨張の際、圧縮比
より大きい膨張比で膨張する。その間に膨張比が大きけ
れば大きい程爆発によるエネルギは大きく動力に変換さ
れ、このため熱効率が著しく向上する。
【0012】第2の発明は上記第2の課題を解決する手
段として、シリンダ内に摺動自在に嵌合されるピストン
を燃料の爆発力で駆動して回転力を出力するピストン形
内燃機関のシリンダを圧縮シリンダとこれと同体積の膨
張シリンダとに分離して設け、両シリンダを連結管によ
り連結し、膨張シリンダのピストンにより出力軸を回転
駆動するように構成して成るピストン形内燃機関とした
のである。
【0013】上記第2の発明のピストン形内燃機関は、
エンジンの圧縮シリンダが膨張シリンダから分離して設
けられているから、膨張シリンダで燃料が爆発、膨張し
て膨張シリンダが高温となってもその加熱温度が圧縮シ
リンダへ移動することはなく、従って圧縮シリンダは膨
張シリンダからの熱の影響を受けることなく温度上昇が
抑制される。ディーゼルエンジンとして利用する場合、
圧縮シリンダで吸気を高圧縮比で圧縮することによる温
度上昇は冷却手段を圧縮シリンダに設けることにより有
効に抑制され、従って有害なNOxの発生も減少する。
なお、上記同体積とは実質的に同一体積とみなし得る範
囲の体積をいう。
【0014】なお、膨張シリンダを同体積の圧縮シリン
ダから分離して温度上昇を抑制することとしたが、膨張
シリンダを圧縮シリンダから分離すれば温度抑制される
から、第1の発明でも同様な温度抑制作用が得られるこ
とは言うまでもない。
【0015】
【実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参
照して説明する。図1は第1実施形態のピストン形内燃
機関の主要断面図である。図示のように、シリンダ及び
ピストンは圧縮シリンダ11と膨張シリンダ12、及び
各シリンダに摺動自在に嵌合するピストン13、14と
から成り、両シリンダはクランクケース29に一体に取
り付けられ、全体でエンジンを形成している。膨張シリ
ンダ12は、図示のように、圧縮シリンダ11とストロ
ークが同一であり、かつ圧縮シリンダ11の圧縮比より
大きい所望の膨張比(例えば圧縮比8.5に対して膨張
比16)の体積となるような径のシリンダとして形成さ
れている。
【0016】膨張シリンダ12の上部には燃焼室15が
設けられており、シリンダ11、12の上方に形成され
るシリンダ室30、31への気体の流入、送出を制御す
るための吸入弁16、送出弁17’(送出弁17’は省
略されることもある)、17、膨張弁18、排気弁19
が対応する各シリンダ11、12に対して設けられてい
る。20は点火プラグである。なお、この実施形態の内
燃機関はガソリンエンジンとして説明するが、ディーゼ
ルエンジンとして応用するときは点火プラグ20は燃料
噴射ノズル20’に代えるものとする。
【0017】燃焼室15と圧縮シリンダ11とは連結管
21により連結し、圧縮シリンダ11のシリンダ室30
で圧縮された混合気を燃焼室15へ導入するようにして
いる。又、圧縮シリンダ11の上端には混合気を供給す
る吸入管22が接続され、膨張シリンダ12の上端には
排気管23が接続されている。ディーゼルエンジンとし
て用いるときは吸入管22から混合気に代えてエアーが
供給される。各シリンダ11、12の下方にはクランク
ケース29内にクランク32、クランク軸28が取付け
られ、コンロッド24、25によりピストン13、14
とそれぞれ連結され、クランクケース29から突出する
ように出力軸27、外部にフライホイール26が設けら
れている。
【0018】上記の構成としたこの実施形態のエンジン
の作用は次の通りである。説明の都合上始動後の通常運
転に入り圧縮シリンダ11で圧縮が始まる直前から説明
する。圧縮が始まる前の行程で吸入弁16を開き混合気
がシリンダ室30に給気されているものとする。クラン
ク軸28が回転してピストン13、14が上昇する直前
に吸入弁16は閉じられ、送出弁17’、17は開とさ
れ、膨張弁18は閉、排気弁19は開とされる。
【0019】この状態からピストン13、14が上昇を
始めると、圧縮シリンダ11ではシリンダ室30の混合
気は圧縮されて圧力が上昇し燃焼室15へ圧入される。
一方、膨張シリンダ12では排気弁19が開いているた
めシリンダ12内の膨張後の排気はピストン14の上昇
により排気弁19を通り排気管23を経て外部へ排出さ
れる。
【0020】上記ピストン13、14の上昇によりそれ
ぞれが上死点に達した後下降に転じる際に、送出弁1
7’、17は閉、膨張弁18は開、排気弁19は閉とな
り、点火プラグ20の点火により燃焼室15内の混合気
が爆発してピストン14を押し下げる。ディーゼルエン
ジンの場合は燃料噴射ノズル20’の燃料噴射により燃
焼、膨張してピストン14を押し下げる。
【0021】このピストン14の下降に連動してピスト
ン13も下降し、その際吸入弁16が開かれて混合気が
吸入される。その後は上記1サイクルの動作が連続して
繰り返され、その駆動力はクランク32を介して回転力
に転換され出力軸27により出力される。なお、上記サ
イクルは圧縮と排気、爆発(膨張)と吸入の行程がクラ
ンク軸の1回転で行なわれるから、このエンジンは掃気
作用を要しない新形の2サイクルエンジンとなり、従来
型の同一出力の4サイクルの2シリンダエンジンとシリ
ンダの単位容積当りの出力は大差ない程度となる。
【0022】上記の作用でエンジンが動力を発生する際
の熱効率は高効率となるが、その理由について説明す
る。図3に従来形のガソリンエンジンとこの実施形態の
エンジン(以下DCエンジンという)の理論熱効率を計
算するためのPV線図を示す。(a)図は従来形、
(b)図はDCエンジンのものである。但し、理解し易
くするため、(b)図では膨張シリンダ12の内径を圧
縮シリンダ11と同一と仮定し、膨張比が圧縮比より大
きいことを膨張比に比例するシリンダストロークS2
シリンダに置き換えて示している。
【0023】(a)図において次のように記号を定め
る。
【0024】 Qi:熱入力 Qo:放熱 P1 :吸入圧力 T1 :吸入温度 P2 :圧縮圧力 T2 :圧縮温度 P3 :加熱後圧力 T3 :加熱後温度 P4 :放熱時圧力 T4 :放熱時温度 ε:圧縮比 κ:比熱比(=1.4) T:温度°K α:2→3の爆発による加熱温度°K 熱効率は次式で表わされる。
【0025】
【数1】
【0026】従来形の単シリンダのエンジンで圧縮比ε
=16とし、その他の条件を同じとすると効率ηは次の
ようになる。
【0027】
【数2】
【0028】これに対し、本実施形態のDCエンジンで
は次のようになる。但し、1は圧縮シリンダ11の圧縮
始点(吸入終点)、4’、1’は膨張シリンダ12の膨
張終点、排気始点である。
【0029】
【数3】
【0030】以上の計算結果をまとめると次のようにな
る。
【0031】 圧縮比 熱効率 比 率 従来形 8.5 0.575 100% 従来形 16 0.670 117% 実施形態 8.5/16 0.731 127% 以上の結果から分かるように、実施形態のDCエンジン
は従来形に比して約27%効率アップとなり、極めて大
きく熱効率が改善されることを示している。これは、従
来形のエンジンに比較すると、図3の(b)図におい
て、1’→1→4→4’の面積に相当する出力エネルギ
ーを回収したこととなり、その分だけ熱効率の向上に寄
与するからである。但し、以上の計算は理論熱効率につ
いてのものであり、実際には発生した熱量の全てが軸馬
力として利用できる訳ではなく、平均有効圧力や正味平
均有効圧力を考慮した仕事量しか転換されないから、実
際の熱効率は上記より低くなるが、理論熱効率が大きい
ということは実際に有効に得られる動力もそれだけ大き
くなることを意味しており、熱効率が大きく改善される
という結果に変わりはない。
【0032】なお、上記説明では理論熱効率が向上する
作用を圧縮シリンダと同一径でストロークが長い膨張シ
リンダを用いて説明したが、図1の例では反対にピスト
ンのストロークが圧縮シリンダと膨張シリンダで同一で
あり、かつ膨張シリンダの径が所望の膨張比となるよう
に圧縮シリンダの径より大きいものとされており、作用
の説明は図示の実施形態のエンジンの構成とは異なる。
しかし、膨張シリンダの体積が圧縮シリンダより大きい
点では同じであり、理解し易く図示するためにストロー
クの長い例で作用の説明をした。
【0033】従って、膨張シリンダの体積が圧縮シリン
ダより大きい例として、第1実施形態とは反対に膨張シ
リンダと圧縮シリンダの径を同一とし、膨張シリンダの
ストロークを長くするようにしてもよい。あるいは、膨
張シリンダのストローク及びシリンダ径のいずれをも圧
縮シリンダより大きいものとして設定してもよい。
【0034】図4に第2実施形態のピストン形内燃機関
の主要断面図を示す。この実施形態のエンジンは、第1
実施形態のものに比して、独立した燃焼室15と膨張弁
18を省略した点が異なっている。独立の燃焼室15を
省略したため膨張シリンダ12のピストン14より上方
のシリンダ室31’が燃焼室として用いられる。又、独
立の燃焼室15がないため圧縮シリンダ11のシリンダ
室30を連結管21により直接膨張シリンダ12のシリ
ンダ室31’に連結している。
【0035】又、(a)図、(b)図に示すように、膨
張シリンダ12のピストン14のクランク軸28’が上
死点33の手前付近で位相角αの位置にあるとき、圧縮
シリンダ1のピストン13のクランク軸28は上死点3
3の手前で位相角2αの位置にくるようにクランク軸2
8と28’の取付角度を互いに角度αだけずらして、即
ちクランクの矢印fの回転方向に対してクランク軸2
8’を28より位相角度α進み角となるように取り付け
られている。その理由については後で説明する。その他
の構成については第1実施形態と同様であり、同一機能
部材については同一符号を付して詳細な説明を省略す
る。
【0036】上記構成のこの実施形態のエンジンの作用
も、基本的には第1実施形態と同様であり、従来形の単
一シリンダのエンジンに比して高効率な出力を得ること
ができるが、この実施形態ではさらに次のような有利な
作用が得られる。以下、その有利な作用について図5
A、図5Bを参照して説明する。
【0037】説明の都合上圧縮及び排気行程から説明す
る。図5Aの(a)図に示すように、クランク軸28、
28’の回転と共にピストン13、14が下方位置から
上昇して圧縮、排気行程が始まると、その行程の始まる
直前に吸入弁16は閉、送出弁17’、17も閉、排気
弁19は開とされ、ピストン13、14の上昇により圧
縮シリンダ11では圧縮、膨張シリンダ12では排気が
行なわれる。
【0038】上記圧縮、排気行程の終わる少し手前まで
ピストン13、14が上昇して、クランク軸28’が上
死点33の手前の位相角α、28が位相角2αの位置に
来たとき、(b)図に示すように、ピストン14の上端
が上死点よりXだけ手前の高さに、ピストン13の上端
が上死点よりYだけ手前の高さ位置にあるとする。この
状態位置までピストン13、14が上昇する間に圧縮シ
リンダ11では所望の圧縮比に混合気は十分圧縮され、
排気も大部分は終わりに近づいている。
【0039】このとき送出弁17’、17を開放し、排
気弁19を閉じると、圧縮シリンダ11のシリンダ室3
0で圧縮された混合気は連結管21を介して膨張シリン
ダ12のシリンダ室31’(燃焼室)へ送り込まれる。
なお、吸入弁16は閉じたままとする。そして、さらに
ピストン13、14が上昇し、図5Bの(c)図に示す
ように、ピストン13の上端が上死点まで上昇すると、
その間に進み角に設けられているクランク軸28’に連
結されたピストン14は既に上死点を通過し、先の上死
点手前の距離Xと同じ距離だけ下降している。
【0040】このようにピストン13が上死点に達しか
つピストン14が距離Xだけ下降した時点で、送出弁1
7’、17を閉じ、点火プラグ20の点火により混合気
を爆発させると、その爆発による圧力の急激な上昇でピ
ストン14が押圧されて(d)図に示すように下降し、
シリンダ室31’(燃焼室)が体積膨張する。このピス
トン14の下降に連動してピストン13も下降するが、
その下降の始まる際に吸入弁16を開いて吸入管22か
ら混合気が吸入される。
【0041】以上から、この実施形態のエンジンの基本
作用は第1実施形態と同様に2サイクルエンジンとして
作用することが分かるが、この実施形態では図5Aの
(b)図から図5Bの(c)図において説明したよう
に、膨張シリンダ12のピストン14が上死点近くに上
昇し、圧縮シリンダ11のピストン13の上昇距離より
小さい範囲でさらに上昇して上死点からさらに下降側の
距離Xだけ下降する容積変動の少ない間に排気を充分行
なった残留排気の少ない状態で圧縮シリンダ11から圧
縮された混合気が送り込まれる。
【0042】このため、膨張シリンダ12のシリンダ室
31’(燃焼室)での混合気の爆発、燃焼が十分に行な
われる。又、図1の燃焼室15及び膨張弁18が設けら
れていないので製作が容易であり、かつ膨張シリンダ1
2の上部のシリンダ室31’は燃焼室を兼用しているた
めピストン14が最も上昇したとき上部に残る残留排気
が少なく、容積変動の少ない動作時間中に圧縮された混
合気を圧入することができ、このため、熱効率がさらに
向上するのである。
【0043】以上のように、各実施形態のエンジンをガ
ソリンエンジンとして利用した場合、圧縮比が従来例と
同様に低圧縮比とすることができるためノッキングを起
こさず、膨張比は大きく設定できるため、熱効率が高効
率となり、CO2 の削減及び燃費の節減となる。
【0044】ディーゼルエンジンとして利用する場合
は、圧縮シリンダが膨張シリンダと別になっているの
で、給気を高温の膨張シリンダを通すことなく単独に圧
縮シリンダで冷却できるので、給気冷却が容易であり、
給気冷却の結果燃焼温度が低下し、NOxの発生を抑制
することができる。又、燃焼による膨張シリンダの温度
上昇を低くすることにより燃料の約30%を占める冷却
損失を低減し、又膨張比を大きくすることにより排気の
エネルギーを回収し、熱効率の向上、即ち燃費の低減と
なる。
【0045】さらに、上記実施形態のいずれの形式のエ
ンジンも部品の大部分は従来型と略同形状であるから、
従来のものを利用できる部分が多く、製作し易いという
利点もある。又、従来形のエンジンでは膨張シリンダを
耐熱化しても給気が熱され、熱効率の向上の効果は少な
いが、上記実施形態では圧縮シリンダが膨張シリンダと
分離しているため直接吸気を加熱せず、従って耐熱化が
有効となり、従って冷却損失が減少し、熱効率の向上と
なる。
【0046】以上の各実施形態では、ピストン形内燃機
関の熱効率を向上させる例について説明したが、図6に
示すように、圧縮シリンダと膨張シリンダを異なるシリ
ンダとし、かつそれぞれのシリンダは同一径、同一スト
ローク(従って圧縮と膨張の体積が同じ)に設計して給
気冷却を容易にする第3実施形態のピストン形内燃機関
を採用することもできる。この第3実施形態は、特にデ
ィーゼルエンジンとして適用するのに好適である。膨張
シリンダ12の直径、ストロークが圧縮シリンダ11と
同じである点を除いて機能部材は全て図1の例と同じで
あるから、同一部材に同一符号を付して構造の説明は省
略する。
【0047】但し、圧縮シリンダ11は、その上端外周
部に給気冷却をさらに向上させるために冷却水を通過さ
せる冷却手段を設けるのが好ましいが、かかる冷却手段
を設ける構成については公知であり、詳細に説明するま
でもないと思われるため図示を省略している。
【0048】又、作用の説明として圧縮シリンダ11と
膨張シリンダ12を分離して設けたことにより、膨張シ
リンダ12での爆発による温度上昇は圧縮シリンダ11
へ直接的に伝達されることはなく、従って給気の冷却効
果があることも詳しく説明するまでもなく明らかであ
る。但し、ディーゼルエンジンとして利用する場合は、
一般に圧縮比が高く設定されるため圧縮による給気の温
度上昇はその高い圧縮比に対応して大きいが、給気の圧
縮始まり温度は、圧縮シリンダ11に設ける冷却手段に
より従来より相当低く設定できることも説明するまでも
ない。
【0049】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、この発明
のピストン形内燃機関はシリンダを圧縮シリンダと膨張
シリンダとに分離して設け、膨張比を圧縮比より大きい
所望の値に設定したものとしたから、従来形ではシリン
ダが1つであるため、圧縮比を大きくすると必然的に膨
張比も大きくなり、熱効率は向上するが圧縮比を所定以
上に大きくするとガソリンエンジンではノッキングを起
こし、ディーゼルエンジンでは燃焼温度が高くなり有害
NOX の発生が多くなり、冷却損失が大きくなるなどの
不都合を避けることができないのに対して、本発明では
圧縮比を小さくすることにより上記不都合を抑制し、一
方膨張比は大きく設定することにより熱効率を大きく向
上させることができるという画期的な効果を達成でき
る。
【0050】第2の発明のピストン形内燃機関は、エン
ジンを圧縮シリンダとこれと同体積の膨張シリンダに分
離することにより膨張シリンダの爆発膨張時の熱影響を
圧縮シリンダへ及ばないようにしたから、ディーゼルエ
ンジンに利用した場合圧縮シリンダでの温度上昇が抑制
されて吸気冷却が容易となり、有害なNOxの発生を大
きく有効に抑制できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のピストン形内燃機関の主要断面
【図2】同上の内燃機関の作用の説明図
【図3】同上の内燃機関と従来形の内燃機関のPV線図
【図4】第2実施形態のピストン形内燃機関の主要断面
【図5A】同上の内燃機関の作用の説明図
【図5B】同上の内燃機関の作用の説明図
【図6】第3実施形態のピストン形内燃機関の主要断面
【符号の説明】
11 圧縮シリンダ 12 膨張入り 13、14 ピストン 15 燃焼室 16 吸入弁 17’、17 送出弁 18 膨張弁 19 排気弁 20 点火プラグ 21 連結管 22 吸入管 23 排気管 24、25 コンロッド 26 フライホイール 27 出力軸 28、28’ クランク軸 29 クランクケース 30、31 シリンダ室 31’ シリンダ室 32 クランク

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内に摺動自在に嵌合されるピス
    トンを燃料の爆発力で駆動して回転力を出力するピスト
    ン形内燃機関のシリンダを圧縮シリンダと膨張シリンダ
    とに分離して設け、両シリンダを連結管により連結し、
    圧縮シリンダより膨張シリンダの体積を大きく形成して
    圧縮比より膨張比を大とし、膨張シリンダのピストンに
    より出力軸を回転駆動するように構成して成るピストン
    形内燃機関。
  2. 【請求項2】 前記膨張シリンダのピストンを圧縮シリ
    ンダのピストンより所定距離進み位置となるようそれぞ
    れのピストンロッドが連結されるクランク軸を回転方向
    に対し膨張シリンダ側で進み位相角に設けたことを特徴
    とする請求項1に記載のピストン形内燃機関。
  3. 【請求項3】 シリンダ内に摺動自在に嵌合されるピス
    トンを燃料の爆発力で駆動して回転力を出力するピスト
    ン形内燃機関のシリンダを圧縮シリンダとこれと同体積
    の膨張シリンダとに分離して設け、両シリンダを連結管
    により連結し、膨張シリンダのピストンにより出力軸を
    回転駆動するように構成して成るピストン形内燃機関。
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