JP2014514701A - 固体酸化物型燃料電池の電極及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の第1の観点は、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)の電極の構成要素、特に燃料電池のアノード及び/またはカソードを構成するために適したセラミックまたはサーメット体を提供する。前記アノードは円筒型または平板型である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)の構成要素及びその製造方法に関する。特に、本発明は、固体酸化物型燃料電池に使用されるアノード及びカソードの製造方法に関する。
便利で信頼性が高く、かつクリーンであるエネルギーシステムの要望の増加に伴い、燃料電池の開発に注目されている。
燃料電池とは、燃料と空気中の酸化体とが化学反応を起こすことによって電力を生成する装置である。燃料は一般的に水素、天然ガス、石炭ガスまたはその他の炭化水素を基体とした燃料であり、酸化体は一般的に空気、酸素、またはその他の酸化物である。
一般的な燃料電池は、アノード、カソード、電解質及びインターコネクタからなる。電気を生成する電気化学反応は、燃料電池の内部で、制御された状態で段階的に行われる。例えばカソードにおいては、酸素は酸素イオンに変化し、酸素イオンのみが電解質に移動し、アノードでは燃料から電子が抽出されて触媒し、インターコネクタがアノードからカソードに電子を移動させることによって発電手順が完了し、生成された電流は電気が必要となる様々な用途に使用できる。
これまで、様々な種類の燃料電池が開示されてきた。それぞれの種類の基本的な構成要素及び性能は似ているが、機能の詳細及び構造に使用される材料は、著しく異なっている。本発明は、例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)など、固体の電解質を使用する燃料電池に用いられる。
一般的なSOFCは、酸素を導電する固体の電解質によって、燃料極(アノード)と空気極(カソード)とを分離する。作動時には電子が放射され、電気化学ポテンシャル反応によって電子が回路、好ましくは起動力が使用される外部回路、に電子が移動する。単体の燃料電池の最大電圧は比較的小さいため、商業的に利用される場合は、複数の燃料電池が電気的相互接続部によって直列または並列、またはその両方によって結合される。通常、燃料電池の組み合わせ(積層)はスタック(Stack)と呼ばれる。
昨今では、電解質の材料として、安定化ジルコニアが一般的に選ばれる。アノードは、一般的にはニッケル(Ni)及び安定化ジルコニアサーメットによって形成され、カソードはペロブスカイト(perovskite)の組成物によって形成される。
SOFCの形状は3種類に分類され、それは円筒型、平板型、モノリシック型である。それぞれの形状の基本的な構造(アノード、カソード、固体の電解質など)は類似している。(米国特許第7476461号)さらに、SOFCの基本的な構造は、様々な形態であってもよい。例えばSOFCは、厚い電極質が支持体として使用され、電解質の両側に電極が配置される、電解質を支持基体とするタイプであってもよい。例えば米国特許第5273837号(特許第3775436号)及び米国特許第6428920号(特許第5255173号)を参照。SOFCは、空気極が、密閉された電解質層と、アノード及びインターコネクトの膜とによってコーティングされた多孔質のランタンマンガナイトの基板を有する、空気極を支持基体とするタイプであってもよい。例えば米国特許第5108850号(特許第3090726号)及び米国特許第5989634号を参照。さらにSOFCは、アノードサーメットが支持基体であり、空気極の下層である電解質層が薄い膜である、燃料極を支持基体とするタイプであってもよい。米国特許第5998056号(特表平11−506562号)及び第6228521号を参照。
SOFCの出力パワーは、作動温度及び面積抵抗特性(ASR)としての機能による。燃料電池のASRは、電極及び/または電解質を組成する混合物の適切な形成、粒子の大きさ及び焼結の条件の調整によって最適化され、所望の形態となる。
例えば、前述したアノードのASRは、ニッケル(Ni)に影響されることがある。ニッケルの量が少ない場合は、一般的に安定した構造と熱膨張の改善に繋がる。しかし、良い導電性と低いASRを達成するために、ニッケルによって導電の「ネットワーク」を構築する必要があるが、これにはニッケルの比重の増加が求められる。特定のSOFCにおけるアノードの最適なデザインには、セル及びその導電性と、ASRの特性との安定性のバランスを取る必要がある。
さらに、電極のイオン導電性は、生成されるパワーに大きな影響を与える。燃料電池を駆動する電気化学反応は、例えば電解質がアノードに接近し、アノードが反応ガスと接触する領域である三相界面(TPB)において、またはその付近で頻繁に発生する。この領域は、電解質とアノードとの間の実際の界面層に発生すると考えられている。電気的特性を損なうことなく、アノードのイオン導電性を著しく上昇させることができれば、パワーの著しい上昇を達成することが可能となる。アノードを通して酸素イオンの導電性の上昇を達成することができれば、炭素蒸着の減少といったさらなる利点が望まれる。
スタートアップ時には、燃料電池は所定の温度に達するまで熱を加えられ、その時点で燃料電池は所定の温度が維持されるように制御される。電解質のイオン導電性は、温度によって達成される機能である。従って、燃料電池及びスタックの構成要素が可能な早さで所定の温度まで上昇することが重要である。
デザインを考慮するためにもう一つ重要な点は、作動温度である。SOFCは、一般的に摂氏600℃から1100℃の間で作動する。温度が高いと、例えばシールの種類への影響など、デザインに対して全体的な影響を複雑に及ぼす。しかし、電解質の導電性を上昇させ、空気極の偏波の減少を防ぐことにより、作動温度が上昇し、効率が上昇する。システムが水素によって作動する場合は、近年開発された、温度を低下させる機能を持つ電解質及び空気極を使用することが可能である。しかし、さらに効率がよく、温度が低い改質触媒が開発されない限り、炭化水素を基体とした燃料での使用は現実的ではない。
SOFCの利点の一つは、炭化水素を含む様々な燃料で作動する、本来的な能力である。これらの燃料は、アノードで直接改質される、またはスタックの中またはスタックの近くに配置された改質ユニットによって間接的に改質される。典型的には、改質は温度上昇に伴って達成されるため、スタック内部での改質ユニットの統合(例:内部で改質された固体酸化物燃料セル(IRSOFC))は、比較的に効率が良いシステムを提供する。例えば米国公開公報第2009/0023050号(特開2010−533957)参考。
燃料電池の発熱と改質による発熱の反応を組み合わせることによって性能の向上が達成され、システムのサイズを減少できるため、内部改質の方が、間接または外部改質よりも好まれる。しかし、開示されているアノード電極は、炭化水素を燃料として作動している場合は炭素沈着に弱い。
SOFCは多数の団体によって開発されており、様々な利点があるため商業的使用では大きく有望視されている。1つとしては、様々な燃料での作動、効率が良いエネルギー変換、公害の減少などの可能性が挙げられる。現在、水素が安易に入手できず、または近い将来でも安易に手に入ることはないことを考慮すると、様々な燃料で作動できることは非常に望ましい性質である。但し、商用的使用の成功には、SOFCが厳格なスペックによって製造され、SOFCの信頼性が高く、効率が良く、機械的及び温度的に安定し、長期的な作動において簡単な及び/または最低限のメンテナンスしか必要としないことが望まれる。
SOFCを商業的に使用するには、それぞれの差異を最小限に抑えた頑丈な製造が欠けている。商用では、様々なセラミックが使用されているが、いずれもSOFCのコストを下げ、かつ従来の性能を維持できるだけの十分なものではない。業界における現在の課題は、新しい原料及びデザインを使用して作動温度を低下させ、かつ従来の性能を維持し、さらに商用的な製造工程に対応することである。
従って、電力密度及び燃料の柔軟性を上昇させるSOFC、並びに製造方法が望まれている。
これまで、新たな材料を使って電力の密度を上げる試みを何度も行ってきた。イオンの導電性を上げる試みとして、ジルコニアを基体としていない電解質を使ったものである。例えば、米国特許第4,851,303号及び5,134,042号では、フッ化ランタン、フッ化鉛カリウム、フッ化鉛ビスマス、フッ化ランタンストロンチウム、フッ化ランタンストロンチウムリチウム、ウランカリシウム、フッ化セシウム、PbSnFg、Ksn、SrC12.KCl、LaOF、PbSnF.PbSnO、酸化フッ化ランタン、酸化物、フッ化カルシウム、SmNdFOなどの多結晶体または単結晶体構造を有する、ジルコニウムを含まない固体の電解質が開示されている。ジルコニウムを含まない電解質は、最適化されたSOFCシステムのデザインに大きな弊害をもたらし、ジルコニウムを含まない電解質による開発は、ジルコニウムを含む電解質による開発に比べると、開発の努力が比較的に進んでいない。さらに、ジルコニウムを含まない電解質の使用によって、電極とインターコネクトとの熱膨張のマッチングに影響を与えている。さらに、セリアをベースとした固体電解質など、ジルコニアを含まない電解質は、燃料雰囲気において導電するため、燃料の消費が激しい。
米国特許第5753385号及び6007683号(特開2001−355070)で開示された、蒸着法によるイットリア安定化ジルコニア(YttriaStabilized Zirconia、YSZ)電解質薄膜の使用は、イオンの電導性を増加させるためのアプローチの一つである。米国特許第6548424号では、原子層堆積(AtomicLayer Deposition、ALD)を使用してYSZ電解質薄膜を製造する方法が開示されており、構成材料の蒸気相パルスは交互に反応空間に供給され、基板の表面と接触する。薄膜は経路の長さを制限することによって電解質の抵抗を減少することには適しているが、構造の剛性に著しい障害を与えるため、燃料電池の信頼性に影響を与える可能性がある。薄膜の薄くなっている部分からガス漏れの発生は、性能の低下に繋がるため、考慮すべきもう一つの点である。さらに、蒸着の製造コストは、通常行われている粉末処理の方法に比べると著しく高くなる可能性がある。
米国特許第5993989号では、燃料の消費及び幅広い温度での作動を目的として、空気極と電解質との間に、界面層としてセリア安定化ジルコニアを配置する方法が開示されている。この様な界面層を配置することにより、空気極と電解質との間の相互が制御され、偏波損の軽減が達成されうる。米国特許第6207311号では、導電性が高いスカンジア安定化ジルコニア電解質が開示されており、電解質の材料は非常に薄い層である。上述の通り、これまで燃料の損失を防ぐ方法が発明されてきたが、中間層を配置することによって構造が複雑化し、よってコスト及び製造方法の上昇に繋がっている。さらに、薄い電極層は脆弱であり、信頼性の低い燃料電池の生産に繋がり得る。
従って、コストの上昇を抑え、電極を形成する様々な素材を使用できるSOFCの開発が求められている。
特開2007−165143
本発明の第1の観点は、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)の電極の構成要素、特に燃料電池のアノード及び/またはカソードを構成するために適したセラミックまたはサーメット体を提供する。
本発明の第2の観点は、水素、天然ガス、液体プロパン、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、灯油、JP5,JP8、ディーゼル、及びその他の炭化燃料など、様々な燃料で作動する、内部で改質された固体酸化物燃料セル(IRSOFC)を提供する。
本発明の第3の観点は、様々なアノード、電解質及びカソードの材料において、確実に安定してSOFCを安価に製造する方法である。
本発明の第4の観点は、本発明の他の観点は、複数の球状の気孔を含有するセラミックまたはサーメット体を有する電極によって達成される。
本発明の第5の観点は、SOFCの電極の構成要素として適切なセラミックまたはサーメット体を提供する方法である。本方法には:
a)(i)少なくとも1つのセラミック粉末と、(ii)少なくとも1つのバインダと、(iii)少なくとも1つの分散体と、(iv)少なくとも1つの溶剤と、を用いて、セラミックまたはサーメットの混合物を準備する工程と、
b)前記混合物が液体である場合、圧力をかけた状態で前記混合物の内部の二酸化炭素を分散する工程と、
c)前記混合物が液体から半硬質に変化している段階において、前記混合物から溶解された二酸化炭素を放出し、放出された二酸化炭素によって前記混合物の球状の気孔を形成する工程と、
d)前記球状の気孔を含有する前記混合物が半硬質から固体に変化し、前記球体が固体に変化した混合物の内部に取り込まれる工程と、
e)前記球状の気孔が取り込まれた前記混合物を焼結する工程と、を含む。
上述のような方法、即ち、SOFCの製造時に球状の気孔を有する電極を形成する「炭化方法」を適用することによる利点は複数存在する。
従来では、SOFCの製造に使用するスラリー及びインクに開気孔を形成する材料を添加すると、粘度及び開気孔を形成する材料と材料が添加されるシステムとの間に相反する化学反応が発生し、SOFCの製造工程に不具合が生じることがあった。本発明の炭化方法によると、電極を形成する混合物から溶解された二酸化炭素が放出されることよって形成される気孔は、自然と球状になる。
これらの気孔は、優れた強度を有するため、完成した電極の作動時に有用である。高速及び/または頻繁に発生する熱サイクルによる応力を含め、負荷された応力は、球状の気孔の形状によって容易に分散される。頻繁な熱サイクルによる熱膨張の応力に対する耐久性は、装置の安定性及び耐久性の非常に重要なファクターとなるため、熱応力の分散はSOFCを形成するために使用される電極にとって非常に有用な性能である。
本発明の炭化方法によって形成される球状の気孔の体積を制御する能力は、本発明の炭化方法のもう一つの利点である。従来の製造方法では、微粒子と電極を形成するスラリーとが混合された後、熱分解または加熱によって気孔が形成されたが、完成した電極の内部では気孔にムラ及び/または不測の分散が起こることがあった。本発明では圧力及び温度条件を適切に選択することによって、電極の厚み全体において球状の気孔を予測通りに配置し、かつ再現可能であるように制御している。
表現「球状の気孔」は、前述の焼成時にバインダが加熱されることによって形成される、またはサーメット体の場合は金属酸化粒子の減少によって形成される、不規則な形状の「孔」とは区別される。
表現「球状の気孔」は、例えば個別の球状の気孔、及び例えば2つ以上の気泡から形成された球状の気孔の交差または接続によって形成された気孔を含むものとする。従って、表現「球状の気孔」は、その気孔のうちの一部の表面のみが、球状の形状に対応する形状を有している、結合された気孔を指すと意図している。表現「気孔」は、前述の球状の形状を有する「気孔」または「ガスが含まれた空間」を指すと理解される。
本教示の上述ならびに他の特徴および利点は、以下の図面、説明、および請求項から、より完全に理解されるであろう。
本発明の炭化方法によって製造された、球状の気孔が形成されたサーメットアノードを有する円筒型SOFCの等角投影図である。 本発明の炭化方法によって製造された、球状の気孔が形成されたサーメットアノードを有する平板型SOFCの等角投影図である。 本発明の炭化方法によって製造されたSOFCの断面図であり、作動時におけるコンポーネントの状態を表している。 本発明の炭化方法によってSOFCを製造する方法のフローを示したブロック図である。 本発明の炭化方法によって製造されたSOFCの球状の気孔を構成するアノードを製造するチャンバ/金型の図表である。 kgあたりの水に二酸化炭素が溶解する溶解度を表したグラフである。
本発明は特定の方法、材料及び記載された変形例に限られず、これらは変形可能である。さらに、使用される用語は特定の実施例を説明するためにのみ使用され、添付の請求の範囲によってのみ限定される発明の内容を限定するものではない。
別途明示されない限り、全ての技術的用語及び理科的用語は、本発明の分野における当業者が通常理解する意味を有している。当業者が理解する範囲において、本発明に記載されている方法、装置及び材料と同様または同等のものを用いてもよい。
明細書及び請求の範囲における、以下の用語及び表現は、次のような意味である:「従来」または「従来の大きさ」、及びその変化形は、乾燥した微粒子の固体の材料であり、微粒子のうち>75%は大きさが300nm以上であり、特定の表面積は50m/gよりも少なく、「ナノサイズ」及びその変化形は、乾燥した微粒子の固体の材料であり、微粒子のうち>75%は大きさが300nm以上であり、特定の表面積は50m/gよりも大きい。
引用された文献は、本発明に関連して使用される、例えば材料、構成及び方法論の説明または開示を目的として使用される。
図1Aは、サーメットを基体とし、本発明の炭化方法を用いて球状の気孔が形成されたアノード(例:燃料極)を有する、円筒型のSOFC10の概略図である。SOFC10は円筒型であり、内部サーメットアノード層12と、中間サーメット電解質層13と、外部カソード層14とによって構成される。内部サーメットアノード層12は、内側円筒型ボア15を形成する。
図1Bは本発明の炭化方法によって形成された平板型SOFC16の斜視図である。SOFC16は平板型であり、内部サーメットアノード層17と、サーメット電解質層18と、外部カソード層19と、を有している。
比較的に厚めのサーメットアノードは、機械的な安定性及び耐久性を有しており、比較的に薄めのサーメット電解質層は熱膨張の適合性及び高い電気化学性能を有している。SOFCの支持構造としてのアノードの使用は、性能及び加工の観点において最も有利である。0.2から1.0ミリの厚みのアノードを使用することにより、電気電導率の上昇及び過電圧(例:電気化学の電荷移動の反応による電圧の減少)の発生が減少し、高い出力密度を達成する。基板の厚みが薄いと支持が脆くなり、電導性が不十分になるため適していない。
サーメットの内部の電気化学的に有効な物質は、望ましくは金属である。アノードにおける金属材料の比率は、好ましくは、固体の全体の体積のうちの約30体積%から約80体積%の間である。金属材料の比率が30体積%よりも少ない場合、サーメットアノードの導電性は一般的に悪い。サーメットアノードの金属材料の比率が30体積%よりも大きい場合、金属の粒子の間の界面結合が良くなり、結果として導電性の向上に繋がる。
SOFCの性能を向上させるためには、例えば球体状の気孔を全て合算した場合の球状の気孔のおおよその体積、焼結時に起こるバインダの燃焼による不測の孔、及び金属酸化物の構成要素の減少によって発生する不測の孔など、アノードの気孔の全体の体積を上昇させることによって、ガスの流れの抵抗の結果として起こる濃度分極の減少を最小限に抑えられる。本発明によると、気孔の体積の上昇は、溶解された二酸化炭素の気化によって、及び後述する、電極形成時における球体状の気孔の恒久的な混入によって形成される。任意として、焼結時に燃焼される、人工的な細孔形成剤(例えば、炭素粉末、スターチ、ポリマー球体)を使用して更に開気孔を形成してもよい。
サーメットアノードに含有される金属材料は、例えば約80体積%までであれば、一般的に導電性が十分に高く、かつ濃度分極を最小限に抑えるために十分な気孔の体積を維持できる。サーメットアノードに含まれる金属が多いと、コーティングされたサーメット電解質層との熱膨張の相違が生じ、生成時またはセル使用時のクラック発生に繋がる。サーメットアノードのセラミック材料は下記にて説明する。
アノードに含まれる金属材料が多すぎると、サーメットアノード支持体と一般的なセラミック電解質層(例:セラミック100%の電解質層)との間に熱膨張の大きなミスマッチが発生する。このような不具合は、アノードに含まれる金属の量を、例えば約50体積%に抑える(米国特許第6,436,565号明細書)、または品質の良いアノードを使用する(米国特許第6,228,521号明細書)ことによって回避できる。本発明では、アノードに含まれる金属を50体積%よりも多くできる。形成時の観点としては、1層のアノードによって支持されるSOFCの上に薄い電解質層を塗布することも有効である。
例えば電解質層に約0.1体積%から15.0体積%の範囲の比較的少量の金属を含むことによって、アノードと電解質層との間の熱膨張係数のミスマッチを大きく防ぐことが可能となる。従って、セルの構造を損なうことなく、導電性が高いアノード支持基体に薄いサーメット電解質の膜を加えることが可能となる。
電解質に含まれる金属の量が十分に少なく、セラミックのマトリックス内で金属相が十分に分散されていると、電解質による導電性は十分に低い状態が維持され、電気ショートが回避できる。SOFCを通常状態で作動する際、電解質に含まれる金属は燃料側で本来の(減少した)形態で存在し、カソード側における空気の存在によって金属が金属酸化物(酸化型)の状態を維持できる(図2参照)。これらの金属/セラミック層及び金属酸化物/セラミックのサブレイヤーの厚みは、燃料及び酸化物(空気)の分圧に依存する。金属酸化物/セラミック電解質のサブレイヤーは、燃料と酸化ガスとの混合を避けるため、密閉されていてガス漏れが無い状態である。
作動時において、減少された電解質のサブレイヤーに含有される金属は、アノード内において格上げされたアノード構造を形成することにより、アノード及び電解質の界面抵抗を制御し、レイヤー同士の密着を改善する。さらに、3相の境界面積の増加により、電気化学的な性能も向上する。酸化された電解質のサブレイヤーに存在する金属酸化物は、効率が高く温度を下げるために必要となる、非常に薄く密度が高い電解質を形成する。
この形態は、図2によってさらに明らかにされる。
図2では、球状の気孔を有する支持アノード(層20)、多孔性のサーメット電解質(層22)、密度が高いサーメット電解質(層24)及びカソード(層26)が図示されている。SOFCが作動している状態において、金属は密度が高いサーメット電解質(層24)の内部で、例えば酸化ニッケル(NiO)によって酸化され、金属は多孔性のサーメット電解質(層22)の内部で、例えばニッケル(Ni)に変化する。電気化学性能の向上は電解質のサブレイヤーの存在、特に金属/セラミック及び金属酸化物/セラミック層によって達成される。例えば多孔性のサーメット電解質(層22)など、減少された金属/セラミックのサブレイヤーは、効率的に電解質/アノードの界面層に変化する。この界面層には大量のセラミック材料が含まれるため、活性化分極は減少される。
3相の境界面積の増加によって、電気化学反応も向上する。燃料及び酸化物の分圧によっては、例えば密度が高いサーメット電解質(層24)などの金属酸化物/セラミックのサブレイヤーは、非常に薄く(10ミクロン以下)なることがある。金属酸化物相が十分に少なく(<15体積%)、かつセラミックのマトリックス内で十分に分散されていると考えた場合、密度が高く、ガス漏れを防いだ金属酸化物/セラミック構造を達成することが可能となる。サーメット電解質のイオン導電性は分散及び金属酸化相での電気化学活動に直接的な影響を与える。作動時に(燃料側の金属酸化物を減少し)密度が高いサーメット電解質(層24)の厚みを減らすことにより、電解質の電気抵抗が低下する。従って、(例えば金属酸化物などの)非イオン性または混合イオン性の導電第2相の存在によって密度が高いサーメット電解質(層24)を通したイオン導電性の減少が発生しても、電気抵抗の低下を減少することによって埋め合わせが可能となる。
図3は、本発明における炭化方法の1つによって、サーメットを基体としたアノード支持のSOFCを製造する方法の実施例を図示したブロック図である。前述の通り、製造時の様々な段階において、ニッケルを基体とした材料及び8体積%のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が使用されるが、一般的に知られている他の遷移金属及びセラミック材料を使用してもよい。
図3に図示されている製造方法は、金属及びセラミック化合物の微粒子を含有するアノード混合物を準備する手順である。微粒子のスラリーを組成するにあたり、スラリーを組成する量の溶剤、または水、有機液体または有機及び/または無機材料の水性の溶剤の混合物が使用される。コスト面、並びに有機溶剤の使用に伴う燃焼性及び毒性などの環境への影響を考慮すると、一般的には水が溶剤として使用される。微粒子はスラリーの内部で、例えばポリアクリル酸など、一般的に知られた分散剤または沈殿防止剤などによって浮遊する。成形時において混合物によって固形を構成し自己支持するように、アノードを形成する混合物には有機バインダが含まれる。有機バインダは、例えば水及び/または有機液体の膨張などの物理的要素によってゲル化される物質、または、例えばポリマー鎖の架橋などの化学的要素によってゲル化される物質、もしくは、物理的及び化学的にそれぞれゲル化されるバインダの組み合わせなどでもよい。
水によって膨張するバインダには、メチルセルロース、ポリビニールアルコール、アルギン酸、でん粉、加工でん粉、ゴム糊、寒天など、水に溶解及び/または分散する物質が含まれる。架橋性重合体ポリマーのバインダには、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート類などが含まれる。
十分に分散され、均一であり、最終的には自立型となる構成要素を確保するために、発動因子(initiators)、触媒、架橋剤(架橋性の高分子バインダが使用される場合)、可塑剤など、周知または従来の添加剤を、従来から認められた容量の範囲で添加してもよい。(参照:J. Pugh etal., “Surface and ColloidChemistry in Advanced Ceramics Processing”, Marcel Dekker, October 1993)アノードを形成する混合物の物理的特徴、例えば粘着性及び自立型に変形するまでの時間などは、混合物の構成要素及び/またはその量の選択によって制御できる。混合物は、本発明の炭化方法を使用し、複数の周知及び従来の成形方法によって完成体のSOFC電極を形成する。
燃料極(アノード)支持体及び電解質にて使用されるセラミック材料は、高温SOFC(摂氏700℃〜1000℃)にて使用される安定化ジルコニアであるとよい。これには、8体積%のイットリア安定化ジルコニア(ZrO0.92(Y0.08(「Y8SZ」)が含まれる。別の有用なセラミック材料は、中間温度SOFC(摂氏500℃〜700℃)にて使用されるドープセリアである。これには、ガドリニウムドープセリア(Ce0.90Gd0.10)o1.95(「CGO」)が含まれる。ただし、これらの材料は幅広い温度で使用されてもよい。さらに、SOFC電解質に適した他の材料を使用することも可能である。
サーメット燃料極(アノード)及びサーメット電解質で使用される金属相は、好ましくは、周期表における遷移金属群、及びその合金または物理的な混合物に属しているとよい。還元雰囲気における高い導電性及び費用効率を考慮すると、ニッケル(Ni)を使用することが好ましい。金属は、例えば金属粉末、金属酸化物粉末、及び(水性または非水性)金属塩など、当業者にとっては周知の異なる前駆体によって、支持体である燃料極及びサーメット電解質に導入されてもよい。費用効率及びセラミック加工における適合性などを考慮すると、緑色の酸化ニッケル(NiO)などの金属酸化物粉末が主に好まれる。SOFCの作動時に金属の酸化状態が維持されるため、洗練された金属酸化物粉末の使用が特に好ましい。
サーメットアノード内の金属相の含有量の範囲は、約30体積%から約80体積%である。サーメットアノードの焼結時の厚みは、燃料セルの全体的な構造に依存する。例えば、直径が小さい円筒状燃料セルのアノードの厚みは、約0.2mmから約1.0mmの範囲となる。
サーメット電解質内の金属相の含有量の範囲は、約0.1体積%から約15体積%である。焼結時におけるサーメット電解質の厚みは、好ましくは500ミクロンよりも少なく、最も好ましくは5〜30ミクロンの間である。実際の厚みは、燃料セルの大きさ及びデザインによる。
厚みがあるアノード支持体を使用することにより、非常に薄い電解質及びカソードのコーティングを形成することが可能となる。電解質のコーティングの厚みを減らすことにより、熱ショックに対する耐性及び電気化学性能の向上に繋がる。燃料セルの性能及び安定性が向上すると、燃料セルが低い温度で作動することが可能となる。これによって、費用効率が良い材料(例えばステンレススチール等)を、スタック(例えばマニフォールドされた燃料セル)の内部に使用することが可能となる。
前述の工程により、焼結サイクルの数に影響を及ぼすことなく、電極と電解質との構造の間に中間層を配置することが可能となる。アノードと電解質との間、電解質とカソードとの間、またはその両方に薄膜の中間層を配置することによって利点が発生する可能性が存在する。このような中間層を配置する目的は、例えば触媒材料の使用によって燃料セルの性能の向上、または焼結時に有害となる化学反応の制御である。これらの中間層は、図3に示される通り、本発明では任意である。中間層は、例えば前述のガドリニウムドープセリア(CGO)が約40体積%から約60体積%の範囲で使用され、ニッケル及びルテニウム(Ru)で調整された触媒が含まれていてもよい。その他、スカンジウム安定化ジルコニア(SSZ)がニッケル及びルテニウム(Ru)で調整された触媒によって構成されもよい。さらに中間層は、2,3の例をあげるとPt,Pd,Rhなどの、活性金属触媒でもよい。
アノード支持体の形状は両方に開口を有する円筒型、片方に開口を有する円筒型、平板型、またはその他公知の形状であってよい。特に、(両方または片方の開口において)、円筒型の形状の製造には、プラスチックを押し出し形成が好ましい。米国特許第6998187号(特開2007−501999号公報)には、円筒型のアノード支持を製造する複数の方法が開示されている。
平板型の電極は、注型技術(例えば液体処理)またはプレス成形技法(例えば乾式処理)などによって成形される。
注型キャスティング技術には、スリップ注型(Slip−casting)、遠心注型、ゲル注型などの方法を含む。これらの工程は、文献に文書化されている。(例えば、J.S.Reed「Principlesof Ceramic Processing,2ndEdition」,J.Wiley&Sons,1994年11月参照)
どのような形状であっても、アノードを形成する混合物は、押し出し加工によって成形されるプラスチックの塊であってよい。アノードを形成する混合物は、水性または非水性のスラリーであってよく、好ましくは、これはスリップ注型、遠心注型、ゲル注型、テープ注型などの注型技術によってキャスティングされる。
一般的なサーメット材料及び特に(例えばSOFC及びIRSOFCのアノード等の)電極の構成要素は、後述する本発明の複数の球状の気孔を形成するように形成されてよい。この工程の一般的な観点は、固体の電極、及びコーティングまたは「インク」として蒸着された場合に使用されてよい。
図示の目的上、本発明における球状の気孔を形成する炭化方法は、図4のゲル注型工程40を適用してIRSOFCのアノード構成要素(燃料極)を製造する方法に関連して説明される。ゲル注型工程は、前述した方法によって準備及び処方された、水性のサーメットを基礎としたアノードを形成するスラリーを使用する。尚、SOFCのカソードを製造するにあたり、球状の気孔を形成する炭化方法について適切な変更を加えてもよい。
測定された量のアノードを形成する水性のスラリーは、弁43によって制御されたインレット42の内部を通って、スラリーを冷却する冷却装置45及び磁気撹拌プレート46を有する炭化チャンバ44に供給されるまで、ゲル注型システム40の貯蔵タンク41に保管される。これによって、スラリーの凝固を防ぎ、スラリーへの二酸化炭素の注入が容易となり、圧力調整弁47によって炭化チャンバ44からアウトレット48、温度ゲージ49及び圧力ゲージ50を通過して、ガスが排出される。調製弁43及び調製弁48を締めることによって炭化チャンバ44をシールすると、タンク51に貯蔵された二酸化炭素が調製弁53によって制御されたインレット52を通って、冷却されたスラリーが貯蔵された炭化チャンバ44に、二酸化炭素がスラリーに溶解するには十分な圧で分圧されて注入される。その後、調製弁53を閉じることにより、溶解された二酸化炭素ガスを含有する測定された量の冷却されたスラリーは、炭化チャンバ44から調整弁55によって制御されたインレット54を通過して、成形物の除去手段と、開口時には成形物の除去が可能となる気密成形リッド61とを有する成形ユニット56に移動する。成形ユニット56は、アウトレット58、温度ゲージ59、圧ゲージ60によって二酸化炭素ガスが排出される圧力調整弁57を有している。
ゲル注型システム40は、手動で作動してもよいが、既知及び従来のマイクロプロセッサ制御を使用して自動または半自動で作動してもよい。
ゲル注型システム40の成形ユニット56は1つ以上であってもよく、幾つかの工業的な応用においては、製造条件が最大限になるように、複数の成形ユニットが一度に作動するか、複数の成形ユニットが時間差で作動する。
ゲル注型システム40は、さらに、炭化チャンバ44が成形ユニットとしての機能を有してもよく、その場合は成形ユニット56等の成形ユニットが不要となる。炭化チャンバが成形ユニットの機能も有する場合、炭化チャンバ44は成形ユニット56の除去手段及び気密成形リッド61の機能を有する。
ゲル注型システム40及びその作動に戻ると、アノードを形成するスラリーがシールされた炭化チャンバ44に流入されると、例えば摂氏0℃以上10℃以下といった氷点より高い温度に冷却された後、例えば約0.5から約5atm、好ましくは1から3atmに分圧された二酸化炭素がスラリーに注入される。どの様な二酸化炭素の分圧が選択されたとしても、二酸化炭素がスラリーに分解されるために十分な量である必要がある。
圧を達成するために必要な二酸化炭素の量は、炭化チャンバ44の容積にもよる。炭化チャンバ44における二酸化炭素の容量と、スラリーの内部に含まれた二酸化炭素の濃度との関係性はヘンリーの法則(P=KC)によって表され、すなわち、pは溶液の上部の溶質の分圧であり、cは溶液中に含まれる溶質の濃度であり、Kはヘンリーの法則における比例定数であり、Kは溶質及び溶液の内容、及びシステムの温度に依存する。
本発明の炭化方法によると、溶質は二酸化炭素であり、溶液は二酸化炭素を含むアノードを形成する液体状のスラリーであり、比例定数Kは298Kで水に溶解された二酸化炭素においては29.4Latm/molである。比較すると、酸素の比例定数KHは769.2Latm/molであり、水素では1282.1Latm/molであり、いずれも二酸化炭素よりも水に溶解しやすい。二酸化炭素の溶解度は、図5に、水における二酸化炭素の溶解度と水温との比較によって図示される通り、スラリーの温度にも一部依存し、スラリーの温度が低下するにつれて溶解度が高くなる。
アノードを形成するスラリーと炭化チャンバ44の内部の二酸化炭素の分圧を調整することにより、二酸化炭素が溶解される量を制御することができる。これらの2つの要素は、スラリーが球状の気孔を形成するための二酸化炭素を供給する率及び範囲を制御する。二酸化炭素の変化の制御率は、高分子バインダー(加工助剤)のゲル化によるスラリーの粘度の変化と、その後のスラリーに含まれる水性または有機物である粒子の浮遊材の蒸発によるスラリーの乾燥とを伴う。浮遊材としてエタノールのみが含まれるスラリーに二酸化炭素が溶解される場合、スラリーに含まれる二酸化炭素の濃度は、浮遊材が水のみであるスラリーにおける二酸化炭素の濃度と比較すると、数十倍に上昇する。
アノードを形成するスラリーが最終コンポーネントの気孔の体積に相当する値まで炭化されると、全てまたは一部のスラリーが炭化チャンバから成形ユニット56に移動される。
インクの場合、炭化されたスラリーは炭化チャンバから取り出され、所定の基板に炭化されたスラリーを塗布した後、大気圧に相当する圧によって二酸化炭素が放出され、気泡のインクが基板に付着する。基板にインクが付着し、圧力が無くかつ温度の低下が発生しない場合、インクは二酸化炭素の放出を続ける。二酸化炭素の変化によって発生する球状の気孔は、インクの膜形成特性及び表面張力によって維持される。インクが乾燥すると、形成された泡状の構造は固化し、さらに乾燥が進むことによって気孔が表面に上昇する。
成形されたサーメット及びセラミック材料の場合、アノードを形成するスラリーから溶解された二酸化炭素を放出する最適の段階において、冷却状態であり圧力が付加されたスラリーは成形ユニット56に移動される。二酸化炭素を制御して放出を開始するタイミングは、ゲル注型において、高分子バインダのゲル化の原因である架橋反応が開始されるタイミングであり、実験によって検証された結果、放出された二酸化炭素は一部固化されたスラリーの内部に、気泡の形状である球状の気孔を形成する。ゲル化現象の結果として、気泡の形状がゲル化されたスラリーに形成されると、気泡の構造は電極形成が完了するまで維持される。
二酸化炭素が加圧された環境からスラリーを取り除き、且つコーティングを付着して気泡の構造を形成したまたは独立して気泡の構造を形成した後、材料は既知及び従来の焼結及び図3に図示された処理方法によって、サーメットを基礎とした電極として形成される。
SOFCの製造時に利用されるサーメット電解質について、上述の焼結されていない状態のアノード支持体(円筒型または平板型)に水性または非水性のサーメット電解質のスラリーが塗布される。アノード支持体は、オプションとして、電解質コーティングの前に一部焼結されてもよい。
尚、当業者にとって周知である一般的なスラリーのコーティング技術を使用してもよい。これには、スプレー、ディップコーティング、スクリーン印刷、パッド印刷、塗装、転写などが含まれるが、これに限られない。コーティング技術の適合性は、燃料極の基板の形状とコーティング層の形状による。最大限の性能及び最小限の抵抗損を発揮するために、均一で厚みが薄く、しっかりと結合された形状が必要である。
サーメット電解質コーティングを(焼結されていないアノード支持体に)形成する前に、オプションとして、薄い界面層(<20ミクロン)を塗布する際に同様の技術を使用してもよい。
一つの実施形態として、本発明におけるサーメットを基礎としたアノードを使用したアノード支持体SOFCを製造する方法は、従来のセラミック粉末、従来の金属及び/または金属酸化物粉末、及び金属塩などを含む金属化合物の使用に依拠する。サーメットアノード支持体とサーメット電解質コーティングとの間の熱膨張のミスマッチの差を縮小することにより、燃料電池の構造に破損を与えることなく、上記2層の焼結を(電解質層の焼締まりが完了するまで)行うことができる。これは、電解質層が塗布される前に電極基板の一部が焼結または予備焼結される、確立された燃料電池の方法と比較される(米国特許第6436565号を参照)。カソード層の焼成(<摂氏1200℃)によって、焼結サイクルは2回のみとなる。
製造時において、図3に図示されているような従来の粉末を使用すると、サーメット電極にコーティングされたアノードは、酸化雰囲気においてサーメット電解質コーティングを完全に焼締まりするために、約摂氏1200℃から1600℃の比較的高い温度で焼結される。
例えばカソード材料とセラミック電解質材料との混合物によるカソードのスラリーなどの「空気極スラリー」は、従来のスラリーコーティング技術を用いて、密閉されたサーメット電解質に塗布される。1相のカソード材料を含む第2空気極は、乾燥した第1カソードコーティングに塗布される。二重カソード構造の使用によって、電解質との熱膨張とのマッチングが上昇し、電気化学の特性が向上する。カソード材料は、好ましくは、LaSrMnO、LaSnFeO、(LaSr)(CoFe)o、LaCaMnO、及び(LaCa)(CoFe)oの群に属するペロブスカイトである。空気極のコーティングは、摂氏1200℃以下の比較的に低い温度で焼結される。温度が高くなると、殆どの場合はカソードと電解質との界面層の化学反応が高くなり、結果として耐久性が高い第2相の形成に繋がるため、焼結は低い温度で実施される。(P. J. Gellings et al., “The CRCHandbook of Solid State Electrochemistry”, CRC Press, December 1996)電解質と第1カソードとの間に中間層を配置することによって高い温度で焼結を行った場合に耐久性が高い相の発生を防ぐことができるが、中間層の実施例はオプションである。
本発明のもう一つの実施例は、例えば米国特許第7498095号に記載されている、ナノサイズのセラミック粉末、ナノサイズの金属及び/または酸化金属、及び金属塩などの金属混合物から入手したサーメット電解質を利用し、前述の炭化方法によってアノード支持のSOFCを製造する方法である。ナノサイズの粉末は表面積が大きいため、従来のセラミック粉末よりも比較的に低い焼結温度で密度が高くなる利点を有している。従って、ナノサイズのセラミック及び金属粉末を使用することによって、サーメット電解質の完全な焼締まり(densification)に必要な温度を下げることが可能となる。本実施例によると、焼結されていない電解質のコーティングにカソードを使用し、セル全体(例えば、アノード支持体、サーメット電解質、カソード)は1度のサイクルで、摂氏1200℃以下の温度で焼結できる。
図3で図示されている実施例では、アノード層、電解質層及びカソード層が焼結された後、SOFCの組立を完了するために電流コレクタを使用してもよい。
電流コレクタの構成要素として、導電性が高く、好ましくは銀を含有したインク又はペーストが使用される。
下記の例は本発明の説明及び図示に使用されるため、発明を限定する内容ではない。本発明の変形例、順番、及び本発明の特徴の組み合わせは、本発明の実施の範囲である。
(例1)
アノードを形成するスラリー混合物は、NiOの粉末とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の粉末との混合によって形成され、NiOの減少において、アノードにおけるNiの含有量や30〜80体積%となる。アノードを形成するスラリー混合物の粉末には、さらに、溶剤として水、分散剤としてポリアクリル酸、及びバインダとして架橋性重合体ポリマーが使用される。スラリー混合物は、70〜90重量%の固体(NiO+YSZ)、5〜25重量%の水、0.1から5重量%の分散剤、及び1〜15重量%のバインダによって形成される。混合物はシールされたチャンバに移動され、均質になるまで混合され、摂氏8〜10℃で冷却される。
シールされたチャンバ(炭化チャンバ)には、二酸化炭素が周囲の圧よりも1-2atm高い圧で分圧されて注入され、スラリーの内部で溶解される。冷却された炭化スラリーは、炭化チャンバから移動され、前述の圧によって成形される。スラリーが液体から半硬質に変化した後、この変化のタイミングは、例えば粘度計などの周知の装置、またはアノード形成混合物の実験などによって定義され、金型の内部の圧は制御された率で減圧されることにより、半硬質の混合物の内部に、ガスが注入された球状の気孔が形成される。半硬質の混合物は、金型から取り除かれた後もその形状を維持できる状態の剛性を有するまで金型に保持される。一般的には、炭化及び冷却されたスラリーが金型に移動されてから半硬質になるまでには15分から45分かかり、その後、圧が付加されてから圧が減縮されるまでには5分から20分かかり、その後、圧の減縮の終了から、球状の気孔が含有されたアノードを形成する混合物が形状を維持できる剛性を有し、金型から移動されるまでに約15分から45分かかる。
成形されたアノード形成体は、常温で乾燥される。湿度がコントロールされ、温度が上昇された温度/湿度チャンバを使用することにより、乾燥時間を短縮することも可能である。湿度は、例えば90〜100%RHの高い相体湿度(RH)に設定し、成形されたアノード形成体が完全に乾燥するまでの間に徐々に減らしてもよい。その後、アノード形成体は、バインダ等の揮発性有機物質を除去し、完成体のアノードを形成するまで、摂氏500〜1200℃の状態で、30分から240分ほど加熱される。
(例2)
カソードの材料として例えばLaSrMnO等のペロブスカイトの混合物と、電解質の材料として例えばYSZなどが、それぞれ35〜60重量%で用意され、さらに例1と同じく、溶剤、分散剤、バインダが用意され、インクを形成するスラリーが準備される。インクを形成するスラリー混合物として、約35〜60重量%の固体物(カソード+電解質、またはカソード100%のみ)、30〜60重量%の溶剤、及びそれぞれ1〜10重量%の分散剤及びバインダを有してもよい。このスラリーの構成要素は、シールされたチャンバ(炭化チャンバ)に移動され、均質になるまで混合され、摂氏8〜10℃まで冷却される。冷却されたスラリーには、二酸化炭素が周囲の圧よりも1−2atm高い圧で分圧されて注入され、スラリーの内部に溶解される。
インクを形成する半流体状態のスラリーは炭化チャンバから取り出された後すぐに、例えば焼結された電解質にコーティングされたアノードなどの適切な基板に、殆ど同じ圧力でコーティングされる。
コーティングの段階、及びその後の段階でインクの剛性が達成されるまで、インクの膜から二酸化炭素が放出され、球状の気孔が形成される。インクが乾燥すると、コーティングが固化し、基板に気泡の形状が形成される。インクが固化して乾燥した後、コーティングされた基板は、例1と同様に、バインダ等の揮発性有機物質を除去するために加熱及び焼結され、有機物質を燃焼してセラミックのコーティングが形成される。
図示を目的として本発明を詳細に説明したが、詳細の説明の目的は図示のみであり、本発明を逸脱しない範囲で様々な態用で実施しうる。

Claims (20)

  1. 複数の球状の気孔を含有し、セラミックまたはサーメット体によって形成された電極。
  2. 前記複数の球状の気孔は気泡から形成される、請求項1に記載の電極。
  3. 前記電極は、固体酸化物型燃料電池のアノード及び/またはカソードである、請求項1に記載の電極。
  4. 前記電極は、円筒型または平板型である、請求項3に記載の電極。
  5. a)(i)セラミックの微粒子またはサーメットの微粒子のうちの少なくとも1つと、(ii)少なくとも1つのバインダと、(iii)少なくとも1つの分散剤と、(iv)少なくとも1つの溶剤と、によって、セラミックまたはサーメット混合物を準備する工程と、
    b)前記混合物が液体である状態において、加圧状態で前記混合物に二酸化炭素を溶解する工程と、
    c)前記混合物が液体から半硬質に変化している段階において、溶解された二酸化炭素を前記混合物から放出し、放出された二酸化炭素によって複数の球状の気孔を形成する工程と、
    d)前記複数の球状の気孔を含有する前記混合物が半硬質から固体に変化し、変化した後の固体の前記混合物に前記複数の球状の気孔が含有される工程と、
    e)前記複数の球状の気孔が含有された混合物を焼成する工程と、を含む、セラミックまたはサーメット体を形成する方法。
  6. 前記混合物が金型の内部に入れられている状態において、溶解された二酸化炭素が前記混合物から放出される、請求項5に記載の方法。
  7. 減圧状態で前記混合物が基板にコーティングされた状態において、溶解された二酸化炭素が前記混合物から放出される、請求項5に記載の方法。
  8. セラミックまたはサーメット体を組成する前記混合物は、二酸化炭素が加えられる前に摂氏約−10℃から摂氏約12℃の間で冷却され、前記二酸化炭素は、前記冷却された混合物に、約0.5atmから約5atmで分圧して溶解される、請求項5に記載の方法。
  9. 前記セラミックまたはサーメット体に含有される複数の球状の気孔は気泡から形成される、請求項5に記載の方法。
  10. さらに電極を形成する、請求項5に記載の方法。
  11. さらにサーメットアノードまたはセラミックカソードを形成する、請求項5に記載の方法。
  12. さらに気泡から形成される球状の気孔を含むサーメットアノードまたは気泡から形成される球状の気孔を含むセラミックカソードを形成する、請求項5に記載の方法。
  13. 半硬質の状態の前記セラミックアノードは、減圧状態で基板にコーティングとして塗布され、前記カソードが二酸化炭素を放出する、請求項11に記載の方法。
  14. a)混合物によって成形される形状に対応する形状を有するキャビティが形成され、加圧できる金型と;
    b)液体状から半硬質に変化した後に、硬質に変化する混合物であり、前記金型の前記キャビティの内部とは流体連通され、微粒子を含有する混合物と;
    c)前記金型の前記キャビティに注入される前、及び/または注入後に、前記微粒子を含有する前記混合物を冷却する冷却手段と;
    d)冷却された前記微粒子を含有する混合物に加圧され、前記冷却された混合物とは流体連通される加圧ガスと;
    e)前記加圧ガスの放出を制御する少なくとも一つの弁と、を有する、金型装置。
  15. さらに、前記微粒子を含有する前記混合物が、前記金型の前記キャビティに注入される前に、前記混合物に含有された微粒子の沈殿を防止する防止剤を有する、請求項14に記載の金型装置。
  16. 前記冷却手段は、前記微粒子を含有する前記混合物の一部である、請求項14に記載の金型装置。
  17. 前記弁は、前記圧力金型の一部であり、及び/または、前記微粒子を含有する前記混合物の一部である、請求項16に記載の金型装置。
  18. 前記防止剤は、前記微粒子を含有する前記混合物の一部である、請求項15に記載の金型装置。
  19. 前記加圧ガスは、前記微粒子を含有する前記混合物に含まれており、前記冷却手段を有する前記微粒子を含有する前記混合物と流体連通される、請求項14に記載の金型装置。
  20. 前記冷却手段及び前記弁は前記金型の一部であり、前記加圧ガスは、前記冷却された微粒子を含有する混合物と流体連通される、請求項14に記載の金型装置。
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