JP2014511378A - Pcsk9アンタゴニスト - Google Patents

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Abstract

本発明は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9a型(「PCSK9」)に対する抗体アンタゴニストおよびこのような抗体を使用する方法を提供する。

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、全目的のために参照により組み込んだ2011年2月11日出願の米国特許仮出願第61/442,126号の優先権の利益を主張する。
技術分野
本発明は、PCSK9に対する抗体アンタゴニストに関する。
発明の背景
低密度リポタンパク質受容体(LDL−R)は、血流中の低密度リポタンパク質(LDL)のクリアランスを介してアテローム性動脈硬化および高コレステロール血症を防止する。LDL−Rは、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9a型(「PCSK9」)により翻訳後のレベルが調節される。最近、PCSK9のノックアウトがマウスにおいて報告された。これらのマウスは、血漿コレステロールレベルにおいて約50%の低下を示し、血漿コレステロール低下においてスタチンに対する高い感受性を示した(Rashid Sら (2005) Proc Natl Acad Sci 102:5374-5379。ヒトの遺伝子データはまた、LDLホメオスタシスにおけるPCSK9の役割をサポートする。おそらくPCSK9の「機能損失」突然変異と考えられる2つの変異が最近同定された。これらの突然変異を有する個体は、LDL−Cの血漿レベルにおいて約40%の低下を有し、このことは冠動脈心疾患において約50〜90%の減少となることを意味している。考え合わせると、これらの試験は、PCSK9のインヒビターがLDL−Cの血漿濃度およびPCSK9により媒介される他の疾患状態を軽減するために有益であり、効率を高めるために、例えば、コレステロールを低下させるために有用である第2の薬剤と共投与することができることを示す。
発明の簡潔な概要
本発明は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)(例えば、配列番号43)に結合し、その機能をアンタゴナイズする抗体および、例えば、PCSK9により媒介される疾患状態を処置するためにこのような抗体を使用するための方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合する抗体および抗原結合分子を提供する。いくつかの態様において、抗体は、PCSK9と低比重リポタンパク質受容体(LDLR)との相互作用をブロックし、LDLRのPCSK9媒介分解を阻害し、
a)ヒト重鎖V−セグメント、重鎖相補性決定領域3(CDR3)および重鎖フレームワーク領域4(FR4)を含む重鎖可変領域;ならびに、
b)ヒト軽鎖V−セグメント、軽鎖CDR3および軽鎖FR4を含む軽鎖可変領域を含み、
i)重鎖CDR3可変領域がアミノ酸配列ITTEGGFAY(配列番号:17)を含み;そして、
ii)軽鎖CDR3可変領域がアミノ酸配列QQSNYWPLT(配列番号:24)を含む。
いくつかの態様において、抗体または抗原結合分子は、ヒトPCSK9に、約500pM以下の平衡解離定数(KD)で結合する。例えば、いくつかの態様において、抗体または抗原結合分子は、ヒトPCSK9に、約400pM、300pM、250pM、200pM、190pM、180pM、170pM、160pM、150pM、140pM以下の平衡解離定数(KD)で結合する。
いくつかの態様において、重鎖V−セグメントは、配列番号:27と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有し、軽鎖Vセグメントは、配列番号:28と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有する。
いくつかの態様において、重鎖V−セグメントは、配列番号:25および配列番号:26からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%,86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有し、軽鎖V−セグメントは、配列番号:28と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有する。
いくつかの態様において、重鎖FR4はヒト生殖細胞系列FR4である。いくつかの態様において、重鎖FR4は配列番号:35である。
いくつかの態様において、軽鎖FR4はヒト生殖細胞系列FR4である。いくつかの態様において、軽鎖FR4は配列番号:39である。
いくつかの態様において、重鎖V−セグメントおよび軽鎖V−セグメントはそれぞれ、相補性決定領域1(CDR1)および相補性決定領域2(CDR2)を含み、
i)重鎖V−セグメントのCDR1は、配列番号:15のアミノ酸配列を含み;
ii)重鎖V−セグメントのCDR2は、配列番号:16のアミノ酸配列を含み;
iii)軽鎖V−セグメントのCDR1は、配列番号:20のアミノ酸配列を含み;そして、
iv)軽鎖V−セグメントのCDR2は、配列番号:23のアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、
i)重鎖V−セグメントのCDR1は配列番号:14を含み;
ii)重鎖V−セグメントのCDR2は配列番号:16を含み;
iii)重鎖CDR3は配列番号:17を含み;
iv)軽鎖V−セグメントのCDR1は配列番号:19を含み;
v)軽鎖V−セグメントのCDR2は配列番号:22を含み;そして
vi)軽鎖CDR3は配列番号:24を含む。
いくつかの態様において、重鎖可変領域は、配列番号:40の可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%アミノ酸配列同一性を有し、軽鎖可変領域は、配列番号:41の可変領域と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%アミノ酸配列同一性を有する。
いくつかの態様において、抗体は、配列番号:40を含む重鎖および配列番号:41を含む軽鎖を含む。
いくつかの態様において、重鎖可変領域は、配列番号:5および配列番号:9からなる群から選択される可変領域と少なくとも85%,86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%アミノ酸配列同一性を有し、軽鎖可変領域は、配列番号:7および配列番号:11からなる群から選択される可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%アミノ酸配列同一性を有する。
いくつかの態様において、重鎖可変領域は配列番号:5および配列番号:9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号:7および配列番号:11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗体はIgGである。いくつかの態様において、抗体はIgG1である。
いくつかの態様において、抗体はFAb’フラグメントである。いくつかの態様において、抗体は一本鎖抗体(scFv)である。いくつかの態様において、抗体はヒト定常領域を含む。いくつかの態様において、抗体はヒトIgG1定常領域を含む。いくつかの態様において、ヒトIgG1定常領域は、細胞または補体のC1成分上のエフェクターリガンド、例えば、Fc受容体(FcR)、例えば、FcガンマR1に対する結合親和性が低下されるように突然変異される。例えば、米国特許第5,624,821号参照。いくつかの態様において、IgG1定常領域のアミノ酸残基L234およびL235が、Ala234およびAla235に置換させる。重鎖定常領域中の残基の番号付けは、EUインデックスの番号付けである(Kabatら (1983) “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” U.S. Dept. Health and Human Services参照)。
いくつかの態様において、抗体は、担体タンパク質、例えば、アルブミンに連結される。
いくつかの態様において、抗体はペグ化される。
さらなる局面において、本発明は、本明細書に記載されている抗体または抗原結合分子および生理学的に適合できる賦形剤を含む組成物を提供する。
いくつかの態様において、組成物は、個体において低比重リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベルを低下させる第2の薬剤をさらに含む。
いくつかの態様において、第2の薬剤はスタチンである。例えば、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択することができる。
いくつかの態様において、第2の薬剤は、フィブラート、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、甲状腺ホルモン模倣物、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸からなる群から選択される。
さらなる局面において、本発明は、必要とする個体におけるLDL−C、非HDL−Cおよび/または総コレステロールを低下する方法、本明細書に記載されている抗体または抗原結合分子を個体に治療有効量で投与することを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、個体は、スタチン治療に低応答性または耐性である。いくつかの態様において、個体はスタチン治療に不耐性である。いくつかの態様において、個体は、少なくとも約100mg/dL、例えば、少なくとも約110、120、130、140、150、160、170、180、190mg/dLまたはそれ以上のベースラインLDL−Cレベルを有する。いくつかの態様において、個体は、家族性高コレステロール血症を有する。いくつかの態様において、個体は、トリグリセリド血症を有する。いくつかの態様において、個体は、機能獲得型PCSK9遺伝子突然変異を有する。いくつかの態様において、個体は、薬剤誘導性脂質異常症を有する。
いくつかの態様において、総コレステロールは、LDL−Cと共に低下する。
いくつかの態様において、方法は、治療有効量のLDL−Cを低下することにおいて有効な第2の薬剤を個体に投与することをさらに含む。
いくつかの態様において、第2の薬剤はスタチンである。例えば、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択することができる。
いくつかの態様において、第2の薬剤は、フィブラート、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、甲状腺ホルモン模倣物、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸からなる群から選択される。
いくつかの態様において、抗体または抗原結合分子および第2の薬剤は、混合物として共投与される。
いくつかの態様において、抗体または抗原結合分子および第2の薬剤は、別々に共投与される。
いくつかの態様において、抗体は、静脈内に投与される。いくつかの態様において、抗体は皮下に投与される。
定義
「抗体」は、免疫グロブリンファミリーのポリペプチドまたは非共有的に、可逆的に、かつ特異的な様式で対応する抗原に結合することができる免疫グロブリンのフラグメントを含むポリペプチドを示す。典型的な抗体構造単位は、テトラマーを含む。それぞれのテトラマーは、2つの同一の対のポリペプチド鎖から構成され、それぞれの対は、ジスルフィド結合を介して接続される1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50−70kD)を有する。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δまたはεに分類され、これらは、順に、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する。それぞれの鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100から110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)なる用語は、それぞれ、軽鎖および重鎖のこれらの領域を示す。本出願において使用されるとき、「抗体」は、特に、例えば、PCSK9に対して、特定の結合性を有する抗体およびそのフラグメントの変種全てを包含する。したがって、全長抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体(ScFv)、Fab、Fab’および同じ結合特異性を有するこれらのフラグメントの多量体バージョン(例えば、F(ab’))は、この概念の範囲内である。
「相補性決定ドメイン」または「相補性決定領域(「CDR」)は」、互換的に、VおよびVの超可変領域を示す。CDRは、このような標的タンパク質に対する特異性を提供する抗体鎖の標的タンパク質結合部位である。ヒトVまたはVのそれぞれにおいて3つのCDR(CDR1−3、N−末端から連続して番号付けられる)が存在し、可変ドメインの約15−20%を構成する。CDRは、標的タンパク質のエピトープに対して構造的に相補的であり、したがって、結合特異性に直接関与する。VまたはVの残りの部分、いわゆるフレームワーク領域は、アミノ酸配列の変異が少ないことを示す(Kuby, Immunology, 4th ed., Chapter 4. W.H. Freeman & Co., New York, 2000)。
CDRおよびフレームワーク領域の位置は、当分野で種々のよく知られた定義、例えば、Kabat、Chothia、international ImMunoGeneTics データベース(IMGT)(ワールドワイドウェブ imgt.cines.fr/)、およびAbM(例えば、Johnsonら Nucleic Acids Res., 29:205-206 (2001); Chothia and Lesk, J. Mol. Biol., 196:901-917 (1987); Chothiaら Nature, 342:877-883 (1989); Chothiaら J. Mol. Biol., 227:799-817 (1992); Al-Lazikaniら J.Mol.Biol., 273:927-748 (1997)参照)を使用して決定される。抗原結合部位の定義はまた、以下に記載されている:Ruizら Nucleic Acids Res., 28:219-221 (2000);およびLefranc, M.P., Nucleic Acids Res., 29:207-209 (2001); MacCallumら J. Mol. Biol., 262:732-745 (1996);およびMartin ら Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9268-9272 (1989); Martinら Methods Enzymol., 203:121-153 (1991);およびReesら In Sternberg M.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction, Oxford University Press, Oxford, 141-172 (1996)。
「結合特異性決定因子」または「BSD」なる用語は、互換的に、抗体の結合特異性を決定するために必要である相補性決定領域内の最小の隣接しているか、または隣接していないアミノ酸配列を示す。最小の結合特異性決定因子は、1つ以上のCDR配列内であり得る。いくつかの態様において、最小の結合特異性決定因子は、抗体の重鎖および軽鎖のCDR3配列の一部または完全長内に存在する(すなわち、それによって単独で決定される)。
本明細書において使用される「抗体軽鎖」または「抗体重鎖」はそれぞれ、VまたはVを含むポリペプチドを示す。内因性Vは、遺伝子セグメントV(可変)およびJ(連結)によってコードされ、内因性Vは、V、D(多様性)およびJによってコードされる。VまたはVのそれぞれは、CDRならびにフレームワーク領域を含む。本願において、抗体軽鎖および/または抗体重鎖は、時々、集合的に「抗体鎖」を示し得る。これらの用語は、当業者が容易に理解するように、VまたはVの基本構造を破壊しない突然変異を含む抗体鎖を含む。
抗体は、無傷な免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼでの消化により生産される多くの良く特徴付けられたフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンはヒンジ領域のジスルフィド結合より下で抗体を消化し、ジスルフィド結合によりV−C1に連結された軽鎖であるFab’のダイマーであるF(ab)’を生産する。F(ab)’は、穏和な条件下で還元され、ヒンジ領域においてジスルフィド結合を破壊し、それによりF(ab)’ダイマーをFab’モノマーに変換され得る。Fab’モノマーは、本質的に、ヒンジ領域の一部を含むFabである。Paul, Fundamental Immunology 3d ed. (1993)。種々の抗体フラグメントが無傷な抗体の消化に関して定義されているが、当業者は、このようなフラグメントは、化学的に、または組換えDNA方法論を使用することにより、デノボ合成され得ることを理解している。したがって、本明細書において使用される「抗体」なる用語はまた、抗体全体の修飾により生成される抗体フラグメント、または組換えDNA方法論を使用してデノボ合成される抗体フラグメント(例えば、一本鎖Fv)またはファージディスプレイライブラリーを使用して同定される抗体フラグメントを含む(例えば、McCafferty ら Nature 348:552-554 (1990)参照)。
モノクローナルまたはポリクローナル抗体の製造のために、当分野で知られている任意の技術を使用することができる(例えば、Kohler & Milstein, Nature 256:495-497 (1975); Kozborら Immunology Today 4:72 (1983); Coleら Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, pp. 77-96. Alan R. Liss, Inc. 1985参照)。一本鎖抗体の生産のための技術(米国特許第4,946,778号)は、本発明のポリペプチドに対する抗体を生産するために採用することができる。また、トランスジェニックマウス、または他の生物体、例えば、他の哺乳動物を、ヒト化抗体を発現するために使用され得る。あるいは、ファージディスプレイ技術は、選択された抗原に特異的に結合する抗体および異種Fabフラグメントを同定するために使用することができる(例えば、McCaffertyら 上記; Marksら Biotechnology, 10:779-783, (1992)参照)。
非ヒト抗体をヒト化または霊長類化するための方法は、当分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、移入(import)残基と称され、一般的に移入可変ドメインから得られる。ヒト化は、齧歯動物CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列にて置換することにより、Winterおよび共同研究者らの方法(例えば、Jonesら Nature 321:522-525 (1986); Riechmannら Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyenら Science 239:1534-1536 (1988)およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)参照)にしたがって本質的に実施することができる。したがって、このようなヒト化抗体は、無傷なヒト可変ドメインよりも実質的に少ないものが、非ヒト種由来の対応する配列により置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際に、ヒト化抗体は、一般的に、いくつかの相補性決定領域(「CDR」)残基および恐らくいくつかのフレームワーク(「FR」)残基が、齧歯動物抗体のアナログ部位由来の残基により置換されているヒト抗体である。
本発明の抗体または抗原結合分子は、化学的に結合されているか、または他のタンパク質と融合タンパク質として発現される1つ以上の免疫グロブリン鎖をさらに含む。それはまた、二重特異性抗体を含む。二重特異性または二機能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。本発明の他の抗原結合フラグメントまたは抗体部分は、二価scFv(ダイアボディ)、抗体分子が2つの異なるエピトープを認識する二重特異性scFv抗体、単一の結合ドメイン(dAb)、およびミニボディ(minibodies)を含む。
本明細書に記載されている種々の抗体または抗原結合フラグメントは、無傷な抗体の酵素もしくは化学修飾により生産する、または組換えDNA方法(例えば、一本鎖Fv)を使用してデノボ合成する、またはファージディスプレイライブラリーを使用して同定することができる(例えば、McCaffertyら Nature 348:552-554, 1990参照)。例えば、ミニボディは、当分野で記載されている方法、例えば、Vaughan and Sollazzo, Comb Chem High Throughput Screen. 4:417-30 2001を使用して作製することができる。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの結合を含む種々の方法により生産することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321 (1990); Kostelnyら J. Immunol. 148, 1547-1553 (1992)参照。一本鎖抗体は、ファージディスプレイライブラリーまたはリボソームディスプレイライブラリー、遺伝子シャッフルライブラリーを使用して同定することができる。このようなライブラリーは、合成、半合成または天然および免疫応答性供給源から構築することができる。
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なるかまたは変化したクラス、エフェクター機能および/または種の定常領域、またはキメラ抗体に新規特性を与える全く異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結できるように、定常領域またはその一部が変化、置換または交換されているか、または、(b)可変領域、またはその一部が、異なるかまたは変化した抗原特異性を有する可変領域で変化、置換または交換されている抗体分子である。例えば、以下の実施例に示されるとおり、マウス抗PCSK9抗体は、その定常領域をヒト免疫グロブリン由来の定常領域で置換することにより修飾することができる。ヒト定常領域との置換によって、キメラ抗体は、ヒトPCSK9を認識することにおいて特異性を保持することができるが、元のマウス抗体と比較してヒトにおける抗原性が低下する。
「抗体結合分子」または「非抗体リガンド」なる用語は、アドネクチン、アビマー、一本鎖ポリペプチド結合分子および抗体様結合ペプチド模倣物を含む、非免疫グロブリンタンパク質スカフォールドを使用する抗体模倣物を示す。
「可変領域」または「V−領域」なる用語は、互換的に、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4を含む重鎖または軽鎖を示す。図1参照。内因性可変領域は、免疫グロブリン重鎖V−D−J遺伝子または軽鎖V−J遺伝子によってコードされる。V−領域は、天然、組換えまたは合成であり得る。
本明細書において使用される「可変セグメント」または「V−セグメント」なる用語は、互換的に、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3を含む可変領域の部分配列を示す。図1参照。内因性V−セグメントは、免疫グロブリンV−遺伝子によってコードされる。V−セグメントは、天然、組換えまたは合成であり得る。
本明細書において使用される「Jセグメント」なる用語は、CDR3およびFR4のC−末端部分を含むコードされた可変領域の部分配列を示す。内因性J−セグメントは、免疫グロブリンJ−遺伝子によってコードされる。図1参照。J−セグメントは、天然、組換えまたは合成であり得る。
「ヒト化」抗体は、非ヒト抗体の反応性を保持するが、ヒトにおける免疫原性が少ない抗体である。これは、例えば、非ヒトCDR領域を保持し、抗体の残存する部分をヒト対応物と置換することによりなし遂げることができる。例えば、Morrisonら Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984); Morrison and Oi, Adv. Immunol., 44:65-92 (1988); Verhoeyenら Science, 239:1534-1536 (1988); Padlan, Molec. Immun., 28:489-498 (1991); Padlan, Molec. Immun., 31(3):169-217 (1994)参照。
「対応するヒト生殖細胞系列配列」なる用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン可変領域配列によってコードされる他の既知の可変領域アミノ酸配列全てと比較して、参照可変領域アミノ酸配列または部分配列と最も高い決定されたアミノ酸配列同一性を共有するヒト可変領域アミノ酸配列または部分配列をコードする核酸配列を示す。対応するヒト生殖細胞系列配列はまた、他の評価された可変領域アミノ酸配列全てと比較して、参照可変領域アミノ酸配列または部分配列と最も高いアミノ酸配列同一性を有するヒト可変領域アミノ酸配列または部分配列を示すことができる。対応するヒト生殖細胞系列配列は、フレームワーク領域のみ、相補性決定領域のみ、フレームワークおよび相補性決定領域、可変セグメント(上記定義)、または可変領域を含む配列もしくは部分配列の他の組み合わせであり得る。配列同一性は、本明細書に記載されている方法、例えば、BLAST、ALIGNまたは当分野で知られている別のアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列をアラインメントさせることにより、決定することができる。対応するヒト生殖細胞系列核酸またはアミノ酸配列は、参照可変領域核酸またはアミノ酸配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有することができる。対応するヒト生殖細胞系列配列は、例えば、公式に利用可能な国際的ImMunoGeneTicsデータベース(IMGT)(ワールドワイドウェブ imgt.cines.fr/)およびV−base(ワールドワイドウェブ vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk)を介して決定することができる。
抗原、例えば、タンパク質と抗体または抗体由来の結合剤との間の相互作用を記載する文脈において使用されるとき、「特異的に(または選択的に)結合する」なるフレーズは、タンパク質および他の生物学的物質の不均一な集団、例えば、生物学的サンプル、例えば、血液、血清、血漿または組織サンプルにおける抗原の存在を決定する結合反応を示す。したがって、示された免疫測定条件下で、特定の結合特異性を有する抗体または結合剤は、バックグラウンドの少なくとも2倍で特定の抗原に結合し、サンプル中に存在する他の抗原に有意な量で実質的に結合しない。このような条件下での抗体または結合剤への特異的結合は、該抗体または剤が特定のタンパク質に対する特異性にて選択されることが必要であり得る。所望であれば、または適当であれば、該選択は、例えば、他の種(例えば、マウス)由来のPCSK9分子または他のPCSKサブタイプと交差反応する抗体を引くことによりなし遂げられ得る。種々の免疫測定法フォーマットは、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために使用され得る。例えば、固相ELISA免疫測定法は、日常的に、タンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために使用される(免疫測定法フォーマットおよび特異的免疫反応を決定するために使用することができる条件の記載のために、例えば、Harlow & Lane, Using Antibodies, A Laboratory Manual (1998)参照)。一般的には、特異的または選択的結合反応は、バックグラウンドシグナルの少なくとも2倍、さらに一般的には、バックグラウンドの少なくとも10から100倍のシグナルを生成する。
「平衡解離定数(K、M)」なる用語は、会合速度定数(k、時−1、M−1)によって割った解離速度定数(k、時−1)を示す。平衡解離定数は、当分野で既知の任意の方法を使用して測定することができる。本発明の抗体は、一般的に、約10−7または10−8M未満の平衡解離定数を有する。
本明細書において使用される「抗原結合領域」なる用語は、分子とPCSK9との間の特異的結合に関与する本発明のPCSK9結合分子のドメインを示す。抗原結合領域は、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域および少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域を含む。少なくとも1つのこのような抗原結合領域が、本発明のそれぞれのPCSK9結合分子に存在し、抗原結合領域のそれぞれは、他のものと同一であるかまたは異なっていてもよい。いくつかの態様において、本発明のPCSK9結合分子の抗原結合領域の少なくとも1つは、PCSK9のアンタゴニストとして作用する。
本明細書において使用される「アンタゴニスト」なる用語は、標的分子に特異的に結合し、標的分子の活性を阻害することができる薬剤を示す。例えば、PCSK9のアンタゴニストは、PCSK9に特異的に結合し、LDLRのPCSK9媒介分解を完全に、または部分的に阻害する。本明細書において使用されるLDLRのPCSK9媒介分解を阻害することは、LDLRへのPCSK9結合を妨げる。いくつかの場合において、PCSK9アンタゴニストは、PCSK9に結合し、LDLRへのPCSK9の結合を阻害する能力により同定することができる。本発明のアンタゴニストに暴露されるとき、LDLRのPCSK9媒介分解が生じる阻害は、コントロールの存在下またはアンタゴニストの非存在下で、PCSK9媒介分解と比較して、少なくとも約10%未満、例えば、少なくとも約25%、50%、75%未満、または完全な阻害である。コントロールは、抗体または抗原結合分子に曝露されないか、別の抗原に特異的に結合する抗体または抗原結合分子、またはアンタゴニストとして機能しないことが知られている抗PCSK9抗体または抗原結合分子であり得る。「抗体アンタゴニスト」は、アンタゴニストが阻害抗体である状況を示す。
「PCSK9」または「プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9a型」なる用語は、互換的に、分泌サブチラーゼファミリーのプロテイナーゼKサブファミリーに属する天然ヒトプロタンパク質転換酵素を示す。PCSK9は、小胞体において自己触媒的分子内プロセシングを受ける可溶性酵素前駆体として合成され、プロタンパク質転換酵素として機能を果たすと考えられている。PCSK9は、コレステロールホメオスタシスにおいて役割を果たし、皮質ニューロンの分化において役割を担い得る。このPCSK9遺伝子における突然変異は、常染色体優性家族性高コレステロール血症の形態と関連づけられている。例えば、Burnett and Hooper, Clin Biochem Rev (2008) 29(1):11-26参照。PCSK9の核酸およびアミノ酸配列は知られており、GenBank受入番号NM_174936.2およびNP_777596.2とそれぞれ公開されている。本明細書において使用されるPCSK9ポリペプチドは、LDLRに機能的に結合し、LDLRの分解を促進する。構造的には、PCSK9アミノ酸配列は、GenBank受入番号NP_777596.2のアミノ酸配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。構造的には、PCSK9核酸配列は、GenBank受入番号NM_174936.2の核酸配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。
「PCSK9機能獲得型突然変異」なるフレーズは、例えば、LDLR分解の増加およびLDLRレベルの低下による、家族性高コレステロール血症表現型、加速性アテローム性動脈硬化症および若年性冠動脈性心臓疾患に関連した、および/または、これらの原因となるPCSK9遺伝子に生じる天然の突然変異を示す。PCSK9機能獲得型突然変異の対立遺伝子頻度は稀である。Burnett and Hooper, Clin Biochem Rev. (2008) 29(1):11-26参照。典型的なPCSK9機能獲得型突然変異は、D129N、D374H、N425SおよびR496Wを含む。Fasanoら Atherosclerosis (2009) 203(1):166-71参照。PCSK9機能獲得型突然変異は、例えば、Burnett and Hooper、上記; Fasanoら 上記; Abifadelら J Med Genet (2008) 45(12):780-6; Abifadelら Hum Mutat (2009) 30(4):520-9;およびLiら Recent Pat DNA Gene Seq (2009) Nov. 1 (PMID 19601924)に概説されている。
本発明のポリペプチドの「活性」は、天然の細胞または組織におけるポリペプチドの構造的、調節的または生化学的機能を示す。ポリペプチドの活性の例は、直接的活性および間接的活性の両方を含む。典型的なPCSK9の直接的活性は、LDLRへの結合およびLDLRのPCSK9媒介分解を含む、ポリペプチドとの直接的相互作用の結果である。PCSK9の文脈において典型的な間接的活性は、ポリペプチドの直接的活性に対する細胞、組織、臓器または対象における表現型の変化または応答、例えば、増加した肝臓LDLRの低下、血漿HDL−Cの低下、血漿コレステロールの減少、スタチンに対する感受性の増加として観察される。
核酸またはタンパク質に適用されるとき「単離」なる用語は、該核酸またはタンパク質が、天然の状態で関連している他の細胞成分を本質的に含まないことを示す。好ましくは均一な状態である。乾燥または水性溶液であり得る。純度および均質性は、一般的に、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを使用して決定する。調製物中に存在する優勢な種類であるタンパク質は、実質的に精製されている。特に、単離された遺伝子は、遺伝子に隣接し、興味ある遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離されている。「精製」なる用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1本のバンドを生じることを示す。特に、核酸またはタンパク質が少なくとも85%純粋、さらに好ましくは少なくとも95%純粋、より好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」なる用語は、一本鎖または二本鎖の形態のいずれかにおけるデオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA)およびそれらのポリマーを示す。具体的に限定されない限り、該用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然ヌクレオチドと同様の様式で代謝される天然ヌクレオチドの公知のアナログを含む核酸を含む。他に記載のない限り、特定の核酸配列はまた、保存的に修飾されたそれらの変異体(例えば、縮重コドン置換体)、対立遺伝子、オルソログ、SNPおよび相補的配列ならびに明白に示される配列を暗に含む。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択される(または全ての)コドンの第3の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによってなし遂げられ得る(Batzerら Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsukaら J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);およびRossoliniら Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる用語は、本明細書において互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを示す。該用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーおよび非天然アミノ酸ポリマーに適用する。
「アミノ酸」なる用語は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様の様式において機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物を示す。天然アミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸ならびに後で修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合しているα−炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを示す。このようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様の様式で機能する化合物を示す。
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を示す。遺伝子コードの縮重のため、多くの機能的に同一の核酸は、任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUの全てが、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置にて、該コドンは、コードされるポリペプチドを変化することなく記載されている任意の対応するコドンに変化させることができる。このような核酸の変異は、保存的に修飾された変異の1つの種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書の全ての核酸配列はまた、核酸の可能な全てのサイレント変異を示す。当業者は、核酸のそれぞれのコドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を、機能的に同一の分子を生じるために修飾することができることを認識している。したがって、ポリペプチドをコードする核酸のそれぞれのサイレント変異は、記載された配列のそれぞれにおいて暗に含まれる。
アミノ酸配列について、当業者は、コードされた配列における単一のアミノ酸またはごく少数のアミノ酸を変化、付加または欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列への個々の置換、欠失または付加は、変化が、化学的に同様のアミノ酸でのアミノ酸の置換をもたらす「保存的に修飾された変異体」であることを認識している。機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的置換の一覧は、当分野でよく知られている。このような保存的に修飾された変異体は、加えて、本発明の多型変異体、種間ホモログおよび対立遺伝子を排除しない。
以下の8つのグループはそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins (1984)参照)。
「配列同一性のパーセント」は、比較ウインドウにわたって2つの最適にアラインされた配列を比較することによって決定され、比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の一部が、2つの配列の最適なアラインメントのために、付加または欠失を含まない参照配列(例えば、本発明のポリペプチド)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセントは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列に生じる位置の数を測定して、一致した位置の数を出し、一致した位置の数を比較ウインドウの位置の全数によって割り、その結果に100をかけ、配列同一性のパーセントを出すことにより計算する。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において「同一の」またはパーセント「同一性」なる用語は、同じ配列である2つ以上の配列または部分配列を示す。以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または手動のアラインメントおよび目視検査により測定されるとき、比較ウインドウまたは設計された領域にわたって最大限対応するように比較し、アラインメントさせたとき、2つの配列は、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定のパーセントを有するとき(すなわち、特定の領域にわたって、または特定していないときは、参照配列の全配列にわたって、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性)、「実質的に同一」である。本発明は、本明細書に例示されるポリペプチドまたはポリヌクレオチド(例えば、配列番号:1、3、5、7、9、11および40−41のいずれか1つに例示された可変領域;配列番号:25−29のいずれか1つに例示された可変セグメント;配列番号:13−24のいずれか1つに例示されたCDR;配列番号:30−39のいずれか1つに例示されたFR;および配列番号:2、4、6、8、10、12および46−49のいずれか1つに例示された核酸配列)のそれぞれと実質的に同一であるポリペプチドまたはポリヌクレオチドを提供する。所望により、同一性は、少なくとも約15、25または50ヌクレオチド長である領域にわたって、またはさらに好ましくは100から500または1000以上のヌクレオチド長である領域にわたって、または、参照配列の全長にわたって存在する。アミノ酸配列に関して、同一性または実質的同一性は、少なくとも5、10、15または20アミノ酸長、所望により少なくとも約25、30、35、40、50、75または100アミノ酸長、所望により少なくとも約150、200または250アミノ酸長である領域にわたって、または、参照配列の全長にわたって存在し得る。より短いアミノ酸配列、例えば、20個以下のアミノ酸のアミノ酸配列に関して、1つまたは2つのアミノ酸残基が、本明細書に定義されている保存的置換にしたがって、保存的に置換されているとき、実質的同一性が存在する。
配列比較のため、1つの配列は、一般的に、試験配列と比較される参照配列となる。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列および参照配列をコンピューターに入力し、部分配列座標を指定し、必要なとき、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。デフォルトプログラムパラメーターを使用することができ、または代替パラメーターを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムにより、プログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
本明細書において使用される「比較ウインドウ」は、2つの配列を最適にアラインさせた後、配列を隣接する位置の同数の参照配列と比較することができる20から600、通常、約50から約200、さらに通常、約100から約150からなる群から選択される隣接する位置の数のいずれか1つのセグメントに対する言及を含む。比較のための配列のアラインメントの方法は、当分野でよく知られている。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cの局所的相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman (1988) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)または手動のアラインメントおよび目視検査(例えば、Ausubelら Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)参照)により実施することができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために適当なアルゴリズムの2つの例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、それぞれAltschulら (1977) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402、およびAltschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センターを介して公式に利用可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列における同じ長さのワードとアラインさせたとき、ある正の値の閾値スコアTと一致するか、またはそれを満たす、クエリー配列における長さWの短いワードを同定することにより高スコア配列ペア(HSP)を同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschulら 上記)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すために検索を開始するためのシードとして作用する。ワードヒットは、累積アラインメントスコアを増加することができる限り、それぞれの配列に沿って両方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列において、パラメーターM(一対の一致残基に対するリワードスコア;常に>0)およびN(不一致残基に対するペナルティースコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列において、スコアリングマトリックスは、累積スコアを計算するために使用する。累積アラインメントスコアが最高到達値から数量Xだけ低下したとき;1つ以上の負のスコアを有する残基アラインメントの蓄積によって、累積スコアが0以下になるとき;またはいずれかの配列の末端に達したときは、それぞれの方向におけるワードヒットの伸長が停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列において)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列において、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長および10の期待値(E)を使用し、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)は、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を使用する。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの測定値は、最小合計確率(the smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に生じることによる可能性の指標を提供する。例えば、試験核酸と参照核酸との比較において最小合計確率が約0.2未満、さらに好ましくは約0.01未満、より好ましくは約0.001未満であるとき、核酸は、参照配列と類似であると考えられる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一である指標は、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、以下に記載される第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対する抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、一般的に、第2のポリペプチドと実質的に同一であり、例えば、2つのペプチドは保存的置換のみ異なる。2つの核酸配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子またはそれらの相補体が、以下に記載されるストリンジェント条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるさらに別の指標は、同じプライマーを配列を増幅するために使用することができることである。
「結合(link)」なる用語は、本発明のPCSK9結合分子内で抗原結合領域がどのように連結するかを記載する文脈において使用されるとき、領域を物理的に結合するための、全ての可能性のある手段を含む。多数の抗原結合領域は、化学的結合、例えば、共有結合(例えば、ペプチド結合またはジスルフィド結合)または非共有結合により頻繁に結合され、直接結合(すなわち、2つの抗原結合領域間にリンカーなし)または間接結合(すなわち、2つ以上の抗原結合領域間で少なくとも1つのリンカー分子の手助け)のいずれかであり得る。
「対象」、「患者」および「個体」なる用語は、互換的に、哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類哺乳動物を示す。哺乳動物はまた、実験哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターであり得る。いくつかの態様において、哺乳動物は、農業用哺乳動物(例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ラクダ)または家庭用哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ)であり得る。
「治療的に許容される量」または「治療有効用量」なる用語は、互換的に、所望の結果(すなわち、血漿非HDL−C、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心臓疾患における減少)をもたらす十分な量を示す。いくつかの態様において、治療的に許容される量は、望ましくない副作用を誘導しないか、または引き起こさない。治療的に許容される量は、最初に、低用量を投与し、次に、所望の効果がなし遂げられるまで用量を徐々に増加させることにより、決定することができる。本発明のPCSK9アンタゴナイズ抗体の「予防有効用量」および「治療有効用量」は、それぞれ、PCSK9の存在と関連する疾患症状(例えば、高コレステロール血症)の発症を防止するか、または該症状の重症度の低下をもたらすことができる。該用語はまた、それぞれ、疾患症状のない頻度および期間を延長または増加することができる。「予防有効用量」および「治療有効用量」はまた、それぞれ、PCSK9の活性から生じる障害および疾患による損傷または能力障害を予防または改善することができる。
「共投与」なる用語は、個体の血液において2つの活性剤の同時存在を示す。共投与される活性剤は、同時に、または連続して送達することができる。
「スタチン」なる用語は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼの競合的阻害剤である薬物の種類を示す。
図1は、親マウスモノクローナル抗体MAB1の重(配列番号:1)および軽(配列番号:3)鎖アミノ酸配列を示す。CDR1、CDR2およびCDR3の配列は、下線を引き、太字にしている。
図2は、HumaneeredTM抗体MAB2の重(配列番号:5)および軽(配列番号:7)鎖アミノ酸配列を示す。CDR1、CDR2およびCDR3の配列は、下線を引き、太字にしている。
図3は、HumaneeredTM抗体MAB3の重(配列番号:9)および軽(配列番号:11)鎖アミノ酸配列を示す。CDR1、CDR2およびCDR3の配列は、下線を引き、太字にしている。
図4A−Bは、いくつかの異なるヒトおよびマウス抗原に対する、MAB1と比較した(A)MAB2および(B)MAB3の結合のELISAアッセイ試験を示す。 図4A−Bは、いくつかの異なるヒトおよびマウス抗原に対する、MAB1と比較した(A)MAB2および(B)MAB3の結合のELISAアッセイ試験を示す。
図5A−Cは、(A)ヒトPcsk9および(B)cyno Pcsk9へのMAB2およびMAB3の結合を説明する。(C)データは、Piehlerら (1997) J Immunol Methods 201:189-206に記載されているモデルに合わせ、その合わせたものからK値を計算した。グラフは、少なくとも2つの独立した実験のものを示す。 図5A−Cは、(A)ヒトPCSK9および(B)cyno Pcsk9へのMAB2およびMAB3の結合を説明する。(C)データは、Piehlerら (1997) J Immunol Methods 201:189-206に記載されているモデルに合わせ、その合わせたものからK値を計算した。グラフは、少なくとも2つの独立した実験のものを示す。 図5A−Cは、(A)ヒトPCSK9および(B)cyno Pcsk9へのMAB2およびMAB3の結合を説明する。(C)データは、Piehlerら (1997) J Immunol Methods 201:189-206に記載されているモデルに合わせ、その合わせたものからK値を計算した。グラフは、少なくとも2つの独立した実験のものを示す。
図6は、親マウスモノクローナル抗体、MAB1が、重水素交換質量分析に基づいて、アミノ酸残基159−182(ERITPPRYRADEYQPPDGGSLVE;配列番号:42)内のエピトープに恐らく結合することを説明する。自動水素/重水素交換質量分析実験を、Chalmersら Anal Chem 2006, 78, 1005-1014に記載されているものと同様のセットアップおよび同様の様式で行った。簡潔には、LEAP Technologies Pal HTS液体ハンドラー(LEAP Technologies, Carrboro, NC)を、全ての液体処理操作に対して使用した。液体ハンドラーをLEAP Shellに記載されている自動スクリプトによりコントロールし、2℃に維持された冷蔵庫に置いた。6−ポート注射バルブおよび洗浄場所を液体ハンドラーレール上にマウントし、クロマトグラフィーシステムへのサンプル注射およびシリンジ洗浄を容易にした。オンライン消化のために、酵素カラム(ABI固定化ペプシン)を、注射バルブおよびトラッピングカラム間のラインに置いた。2つのさらなるバルブ(15kPSI Valco, Houston, TX)、4μLのEXP Halo C18逆相トラップカートリッジ(Optiize Technologies Inc., Oregon City, OR)および分析カラム(300μm ID, Halo 2.7μm C18, Michrom Bioresources Inc.)からなるクロマトグラフィーシステムを、LTQ−Orbitrap質量分析計(ThermoElectron Corp.)の供給源の前にマウントされた別々の冷蔵庫に置いた。クロマトグラフィーシステムを置く冷蔵庫の温度を、冷蔵庫の上にマウントしたペルチェ冷却器により0℃で維持した。PCSK9の分析のために、サンプル、希釈剤、還元剤およびクエンチ剤を含む4つの96−ウェルプレートを、液体ハンドラーに負荷し、それぞれの実験順序を開始した。それぞれの注射の前に、25μLのタンパク質溶液(〜2mg/mL)を25μLの50mM TEAバッファー(pH7.4)または〜21μgの13C10−FABを含む25μLの50mM TEAバッファー(pH7.4)のいずれかと混合し、30分間混合させた。交換反応を開始するために、150μLのDOバッファー(DO、150mMのNaCl)またはHOバッファー(150mMのNaCl)を加え、1分間で交換した。次に、200uLのreduxバッファー(1M TCEP、8M ウレア、pH4.0)を加え、混合物を1分間反応させた。次に、混合物を300uLのクエンチバッファー(5% TFA)でクエンチし、混合物をpH2.5に還元した。次に、500uLのサンプルを注射し、オンラインで消化し、得られたペプチドをトラップし、以下に記載されるLC−MSにより分析した。クロマトグラフィーシステムは、2つの別々のHPLCポンプを使用し、インライン消化を行い、消化されたペプチドをC18トラップカラム上にトラップし、トラップされたペプチドを分析カラムを介して溶離した。「負荷」ポンプは、125μL/分(0.05% TFA)の流速で作動し、サンプルをPAL注射バルブサンプルループ(500μL)からペプシンカラムを介して逆相トラップカートリッジに移した。負荷工程6分後、第1の15kPSIバルブを切り替え、液体を「勾配」ポンプから3分脱塩期間(25μL/分)トラップを介して流れるようにした。脱塩工程後、第2の15kPSIバルブを切り替え、トラップから質量分析計の分析カラムおよびイオン供給源へのペプチドの溶離を促進した。勾配ポンプ(Waters Nano Acquity)は、5μL/分で0から40%の移動相Bの勾配に送達し、次に、第2の勾配40から75%の移動相Bに送達した。勾配のための全時間は75分であった。勾配ポンプバッファー組成は、A:99.75:0.25%v/v(HO:ギ酸)およびB:99.75:0.25%v/v(アセトニトリル:ギ酸)であった。
質量分析のために、LC−ESI−MSをLTQ−Orbitrap(ThermoElectron, San Jose, CA)にて行った。タンパク質分解により生じたペプチドの配列を同定する目的のために、データ依存性MS/MS実験を行い、タンデム質量スペクトルを回収した。これらの獲得のために、MS/MSをLTQにおいて獲得し、MSスキャンをOrbitrapにおいて獲得した。重水素化レベル決定の目的のために行われた獲得を、Orbitrapにおいて60,000の分解能で獲得した(m/z 400−2000にわたって)。全ての実験に対して使用された装置パラメーターは、3.5kVのスプレーボルテージ、1000msの最大注射時間、50,000イオンのMSに関するLTQ AGCターゲットおよび1,000,000イオンのMSに関するFTMS AGCターゲットを含んだ。Orbitrap .RAWファイルを、社内プログラム(RawXtract)を使用する.mzXMLファイルに変換した。次に、.mzXMLファイルを.mzBINファイルに変換し、タンデムMS獲得をSEQUEST(ThermoElectron)を使用して検索した。ペプチド配列同定を使用して、社内作成プログラム(Deutoronomy)をそれぞれの同定された配列に対する自動抽出クロマトグラムのために使用し、平均スペクトルを作成した。次に、平均スペクトルを平滑化およびセントロイド(centroided)処理し、重水素摂取のレベルを決定した。最初の自動処理後、それぞれの平均スペクトルの質およびセントロイド(centroiding)を、Deutoronomyに組み込まれている相互作用データビューアーを使用して手動で確認または補正した。バイオレイヤー干渉法をベースにしたエピトープ競合アッセイを使用して、HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3は、MAB1と同じエピトープに対して競合することを見出した。
図7は、MAB2およびMAB3が、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)生化学的アッセイにおいて決定したとき、PCSK9およびLDL−Rの相互作用をブロックすることを示す。Pcsk9へのPCSK9アンタゴニスト抗体の結合は、Pcsk9がLDLrとの複合体を形成する能力を破壊し、したがって下方調節/分解からLDLrを保護し、LDL−摂取を増強し得る。これを試験するため、フルオロフォア(hPCSK9−AF)で標識されたヒトPCSK9を、アッセイバッファー(20mMのHEPES、pH7.2、150mMのNaCl、1mMのCaCl、0.1%のv/v Tween 20および0.1%のw/v BSA)中のMAB2またはMAB3と、室温で30分間インキュベートした。ユーロピウム標識LDL−R(hLDL−R−Eu)を添加し、室温で90分間さらにインキュベーションし、最終濃度が8nMのhPcsk9−AFおよび1nMのhLDL−R−Euとなった。TR FRETシグナル(330nm励起および665nm放射)をプレートリーダー(EnVision 2100, Perkin Elmer)で測定し、Pcsk9抗体の存在下での%阻害を計算した。IC50値は、Prism(GraphPad)でパーセント阻害値をプロットすることにより計算した。それぞれのデータ点は、平均±SD(点あたりn=4の反復)を示す。データは、少なくとも2回の独立した実験を示す。HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3はそれぞれ、20nMおよび28nMのIC50値で複合体を崩壊させることができ、親抗体MAB1に対して見出された77nMのIC50に匹敵する(データは示していない)。
図8は、HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3が、HepG2細胞による増加したLDL−RレベルおよびLDL−摂取について、マウス抗体MAB1と同等であることを示す。LDL−R測定のため、細胞をPCSK9結合抗体とインキュベートし、抗LDL−R抗体で標識した。LDL摂取のため、細胞をPCSK9結合抗体、PCSK9およびDiI−LDLとインキュベートした。LDL−R抗体およびDiI−LDL蛍光を、フローサイトメトリーにより測定した。反復測定に対する平均+SEMを、MAB2およびMAB3のグラフに対して示す。結果は、2回の独立した実験を示す。
LDL−取り込みアッセイのため、PCSK9結合抗体を、10%のウシ胎児リポタンパク質欠乏血清(Intracel)および200nMのヒトPCSK9(Hamptonら PNAS (2007)104:14604-14609)を含むDMEM中で室温で30分間インキュベートし、抗体/PCSK9/培地溶液を96−ウェルプレート中の細胞に加え、一晩インキュベートした。翌日、1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチル−インドカルボシアニン過塩素酸塩標識LDL(DiI-LDL, Biomedical Technologies)を、さらに2時間かけて添加した。次に、培地を吸引し、細胞をPBSで3回洗浄し、細胞を0.25%のトリプシン−EDTAで分離した。次に、細胞を、FACSバッファー(5%ウシ胎児血清、2mMのEDTAおよび0.2%のアジ化ナトリウムを含むPBS)に移し、1000×gで10分間遠心し、吸引し、1%パラホルムアルデヒドで固定した。LDL取り込みは、フローサイトメトリー(Becton Dickinson LSR II)を使用して、細胞性DiI蛍光(488nmで励起および575nmで放出)により測定した。表面LDL−Rアッセイのため、細胞を、抗体を含む血清非含有培地でインキュベートし、PBSで洗浄し、Versine(Biowhittaker, 17-771E)およびFACSバッファー中に回収した。細胞を新しいプレートに移し、1200rpmで5分間遠心し、正常ウサギIgG(MP biomedicals)でブロックした。細胞を、FACSバッファー中のウサギ−抗hLDL−R−Alexa 647 IgG(5μg/ml)標識抗体で標識し、遠心し、洗浄し、1%パラホルムアルデヒドで固定した。表面LDL−Rを、フローサイトメトリー(488nmの励起および633nmの放出)により測定した。EC50を、Prism(GraphPad)を使用して計算した。
図9は、本発明の抗体のコレステロール低下効果を決定するためのヒトPCSK9注入マウスモデルに対する試験設計の概要を提供する。MAB2およびMAB3は、マウスPCSK9へ検出不可能な結合であるが、hPCSK9に高親和性で結合するHumaneeredTM抗PCSK9抗体である。抗体が非HDLコレステロールのhPCSK9媒介上昇を阻害し、肝臓LDL−RのPCSK9媒介分解を防止することができるか否かを試験するために、hPCSK9を含む浸透圧ミニポンプ移植(連続的な注入のため)の3時間前に、抗体をそれぞれのマウスに注射した。血漿および肝臓組織回収を、hPCSK9注射24時間後に行った。
図10は、抗体MAB2およびMAB3での処理が、注入マウスモデルにおいて、ヒトPCSK9(「hPCSK9」)の蓄積を引き起こしたことを示す。血漿IgGおよびhPCSK9レベルの両方を、Meso Scale Discovery(MSD)アッセイにより定量した。IgG MSDアッセイにおいて、MSD標準96プレート(L11XA−3)を使用した。簡潔には、プレートを、PBS中の25から28μlの捕捉抗原、PCSK9−His、1μg/ml(25−28ng/ウェル)で4℃で一晩でコーティングした。コーティング溶液を除去し、プレートを、室温で1時間振盪しながら、150μl/ウェルの5%のMSD Blocker A(R93AA−2)でブロックした。PBS+0.05%のTween−20で300μlx3回プレートを洗浄後、25μlのIgG比較基準用の希釈物(10,000から0.0003ng/mlのMSD BLOCKER Aで10段階希釈物)、未知の血漿サンプル希釈物(MSD blocker Aで10,000X)または品質管理サンプルを加え、室温で1時間振盪しながらインキュベートした。洗浄後、25μl/ウェルの1μg/mlの検出抗体(1%のBSA/PBS/0.05%のTween 20で希釈されたMSDヤギ抗マウスSULFO−TAG標識検出抗体、R32AC−5)(MSDヤギ抗−ヒトSULFO−TAG標識検出抗体、R32AJ−5)を加え、室温で1時間振盪しながらインキュベートした。洗浄および150μl/ウェルの1XリードバッファーTの添加後、プレートをMSD SECTOR Imager 6000で即座に読んた。標準曲線および未知のサンプルのプロットを、MSDデータ分析ソフトウェアを使用して計算した。
血漿IgGレベルを、Meso Scale Discovery(MSD)アッセイにより定量した。遊離抗体を、捕捉用のhPCSK9を使用して測定した。このアッセイは、「遊離」抗体を測定し、恐らく1:1のAb:PCSK9複合体を測定する。IgG MSDアッセイにおいて、MSD標準96プレート(L11XA−3)を使用した。簡潔には、プレートを、PBS中の25から28μlの捕捉抗原、PCSK9−His、1μg/ml(25−28ng/ウェル)で4℃で一晩でコーティングした。コーティング溶液を除去し、プレートを、室温で1時間振盪しながら、150μl/ウェルの5%のMSD Blocker A(R93AA−2)でブロックした。プレートをPBS+0.05%のTween−20 300μlで3回洗浄後、25μlのIgG 比較基準用の希釈物(10,000から0.0003ng/mlのMSD BLOCKER Aで10段階希釈物)、未知の血漿サンプル希釈物(MSD BLOCKER Aで10,000X)または品質管理サンプルを加え、室温で1時間振盪しながらインキュベートした。洗浄後、25μl/ウェルの1μg/mlの検出抗体(R32AC−5、1%のBSA/PBS/0.05%のTween 20で希釈されたMSDヤギ抗マウスSULFO−TAG標識検出抗体)を加え、室温で1時間振盪しながらインキュベートした。洗浄および150μl/ウェルの1XリードバッファーTの添加後、プレートをMSD SECTOR Imager 6000で即座に読んた。標準曲線および未知のサンプルのプロットを、MSDデータ分析ソフトウェアを使用して計算した。
MSD hPCSK9アッセイは、以下を除いて、IgGアッセイと同様である。プレートを、1μg/mlで25−28μlの捕捉抗体(7D16.C3:2.95mg/ml)でコーティングした。プレートをブロック後、25μlのhPCSK9比較基準用の希釈物(10,000から0.0003ng/mlの10点)および血漿サンプル希釈物(MSD BLOCKER Aで2,000X)を室温で1時間振盪しながらインキュベートし、一次検出抗体(ウサギ抗PCSK9ポリクローナル抗体、Ab4、施設内(in-house)ウサギ ID #RB11835)とインキュベートした。MSD SECTOR Imager 6000で読む前に、二次検出抗体(MSDヤギ抗ウサギSULFO−TAG標識検出抗体、R32AB−5)でのさらなるインキュベーション工程を加えた。
図11は、抗体MAB2およびMAB3が、hPCSK9注入マウスモデルにおいて血漿非HDL−コレステロールにおける低下を引き起こすことを示す。MAB2抗体の前注射は、非HDLコレステロールにおけるhPCSK9媒介上昇から52%保護をもたらした。MAB3の前注射は、非HDLコレステロールにおけるhPCSK9媒介上昇から同等の保護をもたらした。C57BL/6マウスを、ビヒクル単独、PCSK9単独、PCSK9+20mg/kgのMAB2またはPCSK9+20mg/kgのMAB3で処理した。個々の値を、水平バーとして定められた平均値で示す。血漿総コレステロールレベルを定量するために、Olympus臨床用分析器(Olympus America Inc.: Olympus AU400)を使用した。血漿サンプルをddH2Oで1:3に希釈し、40μlの希釈された血漿サンプルを、総コレステロールレベルについて、製造業者の指示にしたがって定量した。血漿HDLおよび非HDLを定量するため、リポタンパク質コレステロール画分を、Spife 3000 from Helena Laboratoriesを使用して得た。サンプル調製、ゲル調製、サンプル適用、ゲル電気泳動、染色、洗浄および乾燥を含む全ての手順は、オペレーターのマニュアルにおいて提供される指示し従った。次に、ゲルをQuick Scan 2000でSlit5を用いて走査し、リポタンパク質コレステロール画分の相対パーセントをHelena濃度計を使用して計算した。最後に、HDLおよび非HDLの絶対値は、それぞれの画分のパーセントおよび総コレステロールレベルの積により計算した。
図12は、「典型的」なIgG1(PK)プロフィールと比較した、抗体MAB2およびMAB3(ヒトIgG1−サイレント)に対するラット薬物動態学(PK)プロフィールを示す。標的媒介性体内動態(target mediated disposition(TMD)) の証拠はなく、抗体が齧歯動物PCSK9との交差反応性がないことを示した。それぞれの試験抗体において、3匹のオスLewisラットに10mg/kgで注射した。時=0、1、6、24時、2、4、8および16日に、250μlの血液をサンプリングし、清澄にされた血漿を希釈し、回収された全ヒト抗体を測定するために、捕捉ELISA(ヤギ抗ヒトIgG)において評価した。標準曲線もまた、それぞれの試験抗体に対して作成した。回収されたIgGの量は、ラットにおける典型的なヒトIgGの予測される回収に対してグラフにした。
詳細な説明
I.イントロダクション
本発明の抗体および抗原結合分子は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9a型(「PCSK9」)に特異的に結合する。本発明の抗PCSK9抗体および抗原結合分子は、PCSK9の触媒ドメインに結合し、PCSK9/低比重リポタンパク質受容体(LDL−R)複合体を破壊させ、それにより、細胞性LDL−RおよびLDLの更新(update)のPCSK9媒介下方調節を防止する。特に、抗PCSK9抗体および抗原結合分子は、PCSK9の触媒ドメインに位置するPCSK9の残基159−182内のエピトープ、例えば、アミノ酸配列ERITPPRYRADEYQPPDGGSLVE(配列番号:42)内のエピトープに結合する。本発明の抗PCSK9抗体および抗原結合分子は、PCSK9と低密度脂質受容体(LDLR)との相互作用を防止、低下および/または阻害し、LDL−RのPCSK9媒介分解を防止、低下および/または阻害し、それにより低比重リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の取り込み増加を促進する、PCSK9のアンタゴニストである。抗PCSK9抗体および抗原結合分子の、例えば、脂質異常症、高コレステロール血症、トリグリセリド血症および他のPCSK9媒介病的状態に罹患している対象の処置における使用が見出される。
II.改良された抗PCSK9抗体一般論
抗PCSK9抗体フラグメントは、当分野で知られている任意の手段、限定はしないが、例えば、組換え発現、化学合成および抗体テトラマーの酵素消化により生産することができ、完全長モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマまたは組換え生産により得ることができる。組換え発現は、当分野で知られている任意の適当な宿主細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞、細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、昆虫宿主細胞など由来である。存在するとき、抗PCSK9抗体の定常領域は、任意の型またはサブタイプであり得、適当なとき、本発明の方法により処置される対象の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類または他の哺乳動物、例えば、農業用哺乳動物(例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ラクダ)、家庭用哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ)または齧歯動物(例えば、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ)由来から選択され得る。いくつかの態様において、抗PCSK9抗体は、ヒト化またはHumaneeredTMされる。いくつかの態様において、定常領域アイソタイプは、IgG、例えば、IgG1である。いくつかの態様において、ヒトIgG1定常領域は、細胞または補体のC1成分上のFc受容体(FcR)、例えば、FcガンマR1のようなエフェクターリガンドに対する結合親和性を低下させるように変異される。例えば、米国特許第5,624,821号参照。このような突然変異を含む抗体は、抗体依存性細胞毒性(ADCC)または補体依存性細胞毒性(CDC)の低下または欠如をもたらす。いくつかの態様において、IgG1定常領域のアミノ酸残基L234およびL235は、Ala234およびAla235に置換される。重鎖定常領域における残基の番号付けは、EUインデックスの番号付けである(Kabatら (1983) “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” U.S. Dept. Health and Human Services参照)。例えば、Woodleら Transplantation (1999) 68(5):608-616; Xuら Cell Immunol (2000) 200(1):16-26;およびHezarehら J Virol 75(24):12161-8も参照。
本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子はまた、ラクダスカフォールドを有する単一ドメイン抗原結合単位を含む。ラクダ科の動物は、ラクダ、ラマおよびアルパカを含む。ラクダは、軽鎖を欠いている機能性抗体を生産する。重鎖可変(VH)ドメインは、自動的に折り畳まれ、抗原結合単位として独立して機能する。その結合表面は、古典的な抗原結合分子(Fab)または一本鎖可変フラグメント(scFv)における6つのCDRと比較して、3つのCDRのみ含む。ラクダ抗体は、慣用の抗体と同程度の結合親和性を達成することができる。本明細書に例示される抗PCSK9抗体の結合特異性を有するラクダスカフォールドをベースにした抗PCSK9分子は、当分野でよく知られている方法、例えば、Dumoulinら Nature Struct. Biol. 11:500-515, 2002; Ghahroudiら FEBS Letters 414:521-526, 1997;およびBondら J Mol Biol. 332:643-55, 2003を使用して生産することができる。
本発明の改良された抗PCSK9抗体は、参照抗体の特異性および親和性を保持するが、ヒト生殖細胞系列V−領域配列と実質的にアミノ酸配列同一性を有するV−領域配列を有する操作されたヒト抗体である。米国特許公開第2005/0255552号および米国特許公開第2006/0134098号(これら両方を出典明示により本明細書に包含させる)参照。改良のプロセスは、参照抗体の可変領域から抗原結合特異性を決定するために必要である最小の配列情報を同定し、その情報をヒトの部分的V−領域遺伝子配列のライブラリーに移し、ヒト抗体V領域のエピトープを焦点に当てたライブラリーを作製する。微生物をベースにした分泌系は、抗体Fabフラグメントとしてライブラリーのメンバーを発現するために使用することができ、例えば、コロニーリフト結合アッセイを使用して、該ライブラリーを抗原結合Fabについて.スクリーニングする。例えば、米国特許公開第2007/0020685号参照。陽性クローンはさらに、最も高い親和性を有するものを同定するために特徴付けることができる。得られた操作されたヒトFabは、親、参照抗PCSK9抗体の結合特異性を保持し、一般的に、親抗体と比較して抗原に対して同等またはより高い親和性を有し、ヒト生殖細胞系列抗体V−領域と比較して高い程度の配列同一性を有するV−領域を有する。
エピトープを焦点とするライブラリーを作製するために必要である最小の結合特異性決定因子(BSD)は、一般的に、重鎖CDR3(「CDRH3」)内の配列および軽鎖CDR3(「CDRL3」)内の配列により示される。BSDは、CDR3の一部または全長を含み得る。BSDは、隣接する、または隣接しないアミノ酸残基から構成され得る。いくつかの場合において、エピトープを焦点とするライブラリーは、BSDおよびヒト生殖細胞系列J−セグメント配列を含む参照抗体由来のユニークなCDR3−FR4領域に連結したヒトV−セグメント配列から構築する(米国特許公開第2005/0255552号参照)。あるいは、ヒトV−セグメントライブラリーは、参照抗体V−セグメントの一部のみが、最初に、ヒト配列のライブラリーにより置換される連続的カセット置換により作製することができる。次に、残った参照抗体アミノ酸配列の文脈において結合を支持する同定されたヒト「カセット」は、第2のライブラリースクリーンに再結合され、完全にヒトV−セグメントを作製する(米国特許公開第2006/0134098号参照)。
それぞれの場合において、参照抗体由来の特異性決定因子を含む対になった重鎖および軽鎖CDR3セグメント、CDR3−FR4セグメントまたはJ−セグメントは、ライブラリーから得られた抗原結合部が、参照抗体のエピトープ特異性を保持することができるように、結合特異性を拘束するために使用する。最適な結合速度を有する抗体を同定するために、さらなる成熟変化を、ライブラリー構築中に、それぞれの鎖のCDR3領域に導入することができる。得られる操作されたヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列ライブラリー由来のV−セグメント配列を有し、CDR3領域内の短いBSD配列を保持し、ヒト生殖細胞系列フレームワーク4(FR4)領域を有する。
したがって、いくつかの態様において、抗PCSK9抗体は、元の、または参照モノクローナル抗体由来の重鎖および軽鎖のCDR3内に最小の結合配列決定因子(BSD)を含む。重鎖および軽鎖可変領域(CDRおよびFR)の残存する配列、例えば、V−セグメントおよびJ−セグメントは、対応するヒト生殖細胞系列および親和性成熟アミノ酸配列由来である。V−セグメントは、ヒトV−セグメントライブラリーから選択することができる。さらなる配列の改善は、親和性成熟により成し遂げることができる。
別の態様において、抗PCSK9抗体の重鎖および軽鎖は、例えば、ヒトV−セグメントライブラリーから選択される、対応するヒト生殖細胞系列配列由来のヒトV−セグメント(FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3)および元のモノクローナル抗体由来のCDR3−FR4配列セグメントを含む。CDR3−FR4配列セグメントはさらに、配列セグメントを対応するヒト生殖細胞系列配列で置換することにより、および/または親和性成熟により改善することができる。例えば、FR4および/またはBSDを取り囲むCDR3配列は、対応するヒト生殖細胞系列配列で置換することができ、元のモノクローナル抗体のCDR3由来のBSDは保持される。
いくつかの態様において、重鎖V−セグメントに対する対応するヒト生殖細胞系列配列は、VH2 2−05である。いくつかの態様において、重鎖J−セグメントに対する対応するヒト生殖細胞系列配列は、JH1、JH4またはJH5である。可変領域遺伝子は、免疫グロブリン可変領域遺伝子に対する標準命名法にしたがって示す。現在の免疫グロブリン遺伝子情報は、例えば、ImMunoGeneTics(IMGT)のワールドワイドウェブ、V−baseおよびPubMedデータベースを介して利用可能である。Lefranc, Exp Clin Immunogenet. 2001;18(2):100-16; Lefranc, Exp Clin Immunogenet. 2001;18(3):161-74; Exp Clin Immunogenet. 2001;18(4):242-54;およびGiudicelliら Nucleic Acids Res. 2005 Jan 1;33(Database issue):D256-61も参照。
いくつかの態様において、軽鎖V−セグメントに対応するヒト生殖細胞系列配列は、VK1 O2またはVK1 O12である。いくつかの態様において、軽鎖J−セグメントに対応するヒト生殖細胞系列配列は、JK2である。
いくつかの態様において、重鎖V−セグメントは、アミノ酸配列Q(I/V)TLKESGPVLVKPT(E/Q)TLTLTCTVSGFSLSTSG(M/V)GVGWIRQPPGKALEWLADIWWDDNKYYNPSLKSRLTISKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAR(配列番号:27)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。いくつかの態様において、重鎖V−セグメントは、アミノ酸配列QITLKESGPVLVKPTETLTLTCTVSGFSLSTSGVGVGWIRQPPGKALEWLADIWWDDNKYYNPSLKSRLTISKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAR(配列番号:25)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。いくつかの態様において、重鎖V−セグメントは、アミノ酸配列QVTLKESGPTLVKPTQTLTLTCTVSGFSLSTSGVGVGWIRQSPGKALEWLADIWWDDNKYYNPSLKSRLTISKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAR配列(配列番号:26)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。
いくつかの態様において、軽鎖V−セグメントは、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRA(G/S)Q(R/S)I(N/S)(H/N)NLHWYQQKPDESPRLLINFASRLISGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:29)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、85%、89%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。いくつかの態様において、重鎖V−セグメントは、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRAGQRISHNLHWYQQKPDESPRLLINFASRLISGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:28)と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、85%、89%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有する。
いくつかの態様において、
i)重鎖CDR3は、アミノ酸配列ITTEGGFAY(配列番号:17)を含み;そして、
ii)軽鎖CDR3可変領域は、アミノ酸配列QQSNYWPLT(配列番号:24)を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗体は、アミノ酸配列TSG(M/V)GVG(配列番号:15)を含むCDR1;アミノ酸配列DIWWDDNKYYNPSLKS(配列番号:16)を含むCDR2;および、アミノ酸配列ITTEGGFAY(配列番号:17)を含むCDR3を含む重鎖可変領域を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗体は、アミノ酸配列RA(G/S)Q(R/S)I(N/S)(H/N)NLH(配列番号:20)を含むCDR1;アミノ酸配列FASR(L/S)IS(配列番号:23)を含むCDR2;および、アミノ酸配列QQSNYWPLT(配列番号:24)を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
いくつかの態様において、重鎖可変領域は、配列番号:32のアミノ酸配列を含むFR1;配列番号:33のアミノ酸配列を含むFR2;配列番号:34のアミノ酸配列を含むFR3;および配列番号:35のアミノ酸配列を含むFR4を含む。同定されたアミノ酸配列は、1つ以上の置換されたアミノ酸(例えば、親和性成熟由来)または1もしくは2つの保存的に置換されたアミノ酸を有し得る。
いくつかの態様において、軽鎖可変領域は、配列番号:36のアミノ酸配列を含むFR1;配列番号:37のアミノ酸配列を含むFR2;配列番号:38のアミノ酸配列を含むFR3;および配列番号:39のアミノ酸配列を含むFR4を含む。同定されたアミノ酸配列は、1つ以上の置換されたアミノ酸(例えば、親和性成熟由来)または1もしくは2つの保存的に置換されたアミノ酸を有し得る。
全長にわたって、本発明の抗PCSK9抗体の可変領域は、一般的に、対応するヒト生殖細胞系列可変領域アミノ酸配列と少なくとも約85%、例えば、少なくとも約89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の可変領域全体(例えば、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4)アミノ酸配列同一性を有する。例えば、抗PCSK9抗体の重鎖は、ヒト生殖細胞系列可変領域Vh2 2−05と少なくとも約85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有し得る。抗PCSK9抗体の軽鎖は、ヒト生殖細胞系列可変領域Vk1 O2と少なくとも約85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有し得る。いくつかの態様において、フレームワーク領域内のアミノ酸のみが付加、欠失または置換されている。いくつかの態様において、配列同一性の比較は、CD3を除外する。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体は、配列番号:40の重鎖可変領域と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号:41の軽鎖可変領域(すなわち、コンセンサス配列)と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体は、配列番号:1の重鎖可変領域と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号:3の軽鎖可変領域(すなわち、マウスMAB1)と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体は、配列番号:5の重鎖可変領域と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号:7の軽鎖可変領域(すなわち、MAB2)と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体は、配列番号:9の重鎖可変領域と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号:11の軽鎖可変領域(すなわち、MAB3)と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%アミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
20未満アミノ酸長の同定されたアミノ酸配列において、1または2つの保存アミノ酸残基置換が許容され得るが、所望の特異的結合および/またはアンタゴニスト活性を保持している。
本発明の抗PCSK9抗体は、一般的に、約10−8Mまたは10−9M未満、例えば、約10−10Mまたは10−11M未満、いくつかの態様において、約10−12Mまたは10−13M未満の平衡解離定数(K)で、PCSK9に結合する。
抗PCSK9抗体は、所望により、多量体化し、本発明の方法にしたがって使用することができる。抗PCSK9抗体は、完全長テトラマー抗体(すなわち、2つの軽鎖および2つの重鎖を有する)、一本鎖抗体(例えば、scFv)または1つ以上の抗原結合部位を形成し、PCSK9−結合特異性を与える抗体フラグメント、例えば、重鎖および軽鎖可変領域(例えば、Fab’または他の同様のフラグメント)を含む分子であり得る。
本発明はさらに、本明細書に記載されている抗体をコードするポリヌクレオチド、例えば、重鎖または軽鎖可変領域または本明細書に記載されている相補性決定領域を含むセグメントをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド配列は、発現のために最適化され、例えば、哺乳動物発現のために最適化されるか、または特定の細胞型における発現のために最適化される。いくつかの態様において、重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:2、配列番号:6、配列番号:10、配列番号:46および配列番号:48からなる群から選択されるポリヌクレオチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。いくつかの態様において、軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:4、配列番号:8、配列番号:12、配列番号:47および配列番号:49からなる群から選択されるポリヌクレオチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。
いくつかの態様において、重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:2のポリヌクレオチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。いくつかの態様において、軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:4のポリヌクレオチド(すなわち、MAB1)と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。
いくつかの態様において、重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:6および配列番号:46からなる群から選択されるポリヌクレオチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。いくつかの態様において、軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:8および配列番号:47からなる群から選択されるポリヌクレオチド(すなわち、MAB2)と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。
いくつかの態様において、重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:10および配列番号:48からなる群から選択されるポリヌクレオチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。いくつかの態様において、軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:12および配列番号:49(すなわち、MAB3)からなる群から選択されるポリヌクレオチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%核酸配列同一性を有する。
III. 抗PCSK9抗体を同定するためのアッセイ
アンタゴニスト抗体は、抗PCSK9抗体を作製し、次に、PCSK9媒介事象、例えば、LDLRに結合すること、LDLRの分解を促進することを減少または阻害する能力について、それぞれの抗体を試験することにより同定することができる。アッセイは、インビトロまたはインビボで行うことができる。典型的な抗体は、PCSK9に結合し、PCSK9がLDLRと複合体を形成することを妨げ、LDLRのPCSK9媒介分解を減少または阻害する。
PCSK9への抗体または抗原結合分子の結合は、ELISA、Biacoreおよびウェスタンブロットを含む当分野で知られている任意の方法を使用して決定することができるが、これらに限定されない。
LDLRのPCSK9媒介分解はまた、当分野で知られている任意の方法を使用して測定することができる。1つの態様において、LDLR分解を阻害する抗PCSK9抗体または抗原結合分子の能力は、注入マウスモデルを使用して決定することができる。抗PCSK9抗体または抗原結合分子を、マウスへ静脈内に(例えば、3μg/時間)注入し、肝臓膜調製物中のLDLRのレベルを、コントロール抗体(例えば、無関連の抗原に結合する)の静脈内注入を受けたマウス由来の肝臓膜調製物中のLDLRのレベルと比較して決定する。アンタゴニスト抗PCSK9抗体を受けたマウスは、コントロール抗体を受けたマウスと比較して、検出可能なより高いレベル、例えば、少なくとも10%、20%、50%、80%、100%高いLDLRを有する。
抗PCSK9アンタゴニスト抗体はまた、LCL−C、非HDL−Cおよび/または総コレステロールの血漿レベルを低下することにおける治療効果について試験することができる。抗PCSK9抗体または抗原結合分子を、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、ヒト)へ静脈内に(例えば、3μg/時間)注入し、LCL−C、非HDL−Cおよび/または総コレステロールの血漿レベルを、処置前の同じ哺乳動物またはコントロール抗体(例えば、無関連の抗原に結合する)の静脈内注入を受けた哺乳動物由来のLCL−C、非HDL−Cおよび/または総コレステロールの血漿レベルと比較して決定する。アンタゴニスト抗PCSK9抗体を受けた哺乳動物は、処置前の哺乳動物またはコントロール抗体を受けた哺乳動物と比較して、検出可能なより低い、例えば、少なくとも10%、20%、50%、80%、100%低いLCL−C、非HDL−Cおよび/または総コレステロールの血漿レベルを有する。
IV.抗PCSK9抗体を含む組成物
本発明は、薬学的に許容される担体と共に製剤化された本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子を含む医薬組成物を提供する。組成物は、さらに、所定の障害を処理または予防するために適当である他の治療剤を含む。薬学的担体は、組成物を増強もしくは安定化するか、または組成物の調製を容易にする。薬学的に許容される担体は、生理学的に適合性である溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。
本発明の医薬組成物は、当分野で知られている種々の方法により投与することができる。投与経路および/または様式は、所望の結果に依存して変化する。静脈内、筋肉内、腹腔内または皮下に投与すること、または、標的部位の近位に投与することが好ましい。薬学的に許容される担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、鼻腔内、吸入、脊髄または表皮投与(例えば、注射または注入による)のために適当であるべきである。投与経路に依存して、活性化合物、すなわち、抗体、二重特異性および多特異性分子は、化合物を不活性化し得る酸の作用および他の天然条件から化合物を保護するために、物質でコーティングしてもよい。
抗体は、単独でまたは他の適当な成分と組み合わせて、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤(すなわち、「噴霧」することができる)を作ることができる。エアロゾル製剤は、許容される高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などに入れることができる。
いくつかの態様において、組成物は、滅菌されており、流体である。適切な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用、分散媒の場合において必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用により、維持することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール、および塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延する剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含むことにより、もたらすことができる。
本発明の医薬組成物は、当分野で知られて、日常的に実施されている方法にしたがって製造することができる。薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物、ならびに、組成物を投与するために使用される特定の方法により、ある程度決定される。したがって、本発明の医薬組成物の多種多様の適当な製剤が存在する。抗体を製剤化する、ならびに適当な用量およびスケジュールを決定するために適用できる方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., University of the Sciences in Philadelphia, Eds., Lippincott Williams & Wilkins (2005); and in Martindale: The Complete Drug Reference, Sweetman, 2005, London: Pharmaceutical Press., and in Martindale, Martindale: The Extra Pharmacopoeia, 31st Edition., 1996, Amer Pharmaceutical Assn, and Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978(これらそれぞれを出典明示により本明細書に包含させる)において見いだすことができる。医薬組成物は、好ましくは、GMP条件下で製造される。一般的に、治療有効用量または有効な用量の抗PCSK9抗体が、本発明の医薬組成物において使用される。抗PCSK9抗体は、当業者に知られている慣用の方法により、薬学的に許容される投与形態に製剤化される。投与レジメンは、所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調節される。治療または予防有効用量を決定することにおいて、低用量を投与し、次に、所望の応答が最小限の望ましくない副作用で、または望ましくない副作用なしでなし遂げるまで、徐々に増加することができる。例えば、単一のボーラスで投与されてもよく、複数回に分けた用量で時間とともに投与されてもよく、または用量を治療状況の緊急性により示されるとおりに、比例的に減少または増加させてもよい。投与の容易さおよび投薬の均一性のために、投与単位形態において非経口組成物を製剤化することがとりわけ有利な点である。本明細書において使用される投与単位形態は、処置される対象に対する単一用量として適合された物理的に別々の単位を示し;それぞれの単位は、必要な医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性化合物を含む。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に毒性でない、特定の患者、組成物および投与様式に対して所望の治療応答をなし遂げるために有効である活性成分の量を得るために変化させることができる。選択される用量レベルは、種々の薬物動態学因子、例えば、使用される本発明の特定の組成物またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出速度、処置期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態および病歴などの因子に依存する。
いくつかの態様において、薬理学的組成物は、抗PCSK9抗体または抗原結合分子および第2の薬物の混合物を含む。例えば、組成物は、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子およびコレステロール、例えば、LDL−C、非HDL−Cおよび総コレステロールを低下させる、および/またはHDL−Cを上昇させるために有益であると知られている薬剤を含み得る。
本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体または抗原結合分子と組み合わせて含むための典型的な第2の薬剤は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(すなわち、スタチン)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、ジェムフィブロジル、フェノフィブレート、シプロフィブラート、ベザフィブラート)、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、回腸胆汁酸輸送体(IBAT)阻害剤、甲状腺ホルモン模倣物(例えば、化合物KB2115)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、デュアルペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アルファおよびガンマアゴニスト、アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、Niemann Pick C1様1(NPC1−L1)阻害剤(例えば、エゼチミブ)、ATP結合カセット(ABC)タンパク質G5またはG8のアゴニスト、コレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸を含むが、これらに限定されない。脂質低下剤は、当分野で知られており、例えば、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Ed., Brunton, Lazo and Parker, Eds., McGraw-Hill (2006); 2009 Physicians’ Desk Reference (PDR)、例えば、63rd (2008) Eds., Thomson PDRに記載されている。
本発明の組成物において使用するさらなる脂質低下剤は、例えば、Changら Curr Opin Drug Disco Devel (2002) 5(4):562-70; Sudhopら Drugs (2002) 62(16):2333-47; Bays and Stein, Expert Opin Pharmacother (2003) 4(11):1901-38; Kastelein, Int J Clin Pract Suppl (2003) Mar(134):45-50; Tomoda and Omura, Pharmacol Ther (2007) 115(3):375-89; Tenenbaumら Adv Cardiol (2008) 45:127-53; Tomkin, Diabetes Care (2008) 31(2):S241-S248; Leeら J Microbiol Biotechnol (2008) 18(11):1785-8; Ohら Arch Pharm Res (2009) 32(1): 43-7; Birchら J Med Chem (2009) 52(6):1558-68;およびBaxter and Webb, Nature Reviews Drug Discovery (2009) 8:308-320に記載および/または概説されている。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、スタチンとの混合物として提供される。典型的なスタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンを含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、高コレステロール血症またはトリグリセリド血症を誘導する薬物との混合物として提供される。例えば、第2の薬物は、プロテアーゼ阻害剤、例えば、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、チプラナビル、ダルナビル、アバカビル−ラミブジン−ジドブジン(トリジビル)であり得る。いくつかの態様において、第2の薬物はタクロリムスである。
V.抗PCSK9抗体を使用する方法
A.抗PCSK9抗体での処置に対する対象状態
本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体および抗原結合分子は、PCSK9の活性または過剰活性が介在するあらゆる病的状態の処置における用途が見出される。
例えば、種々の理由または病因のために脂質異常症または高コレステロール血症を有するか、またはこれらを発症する危険性がある個体は、本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体および抗原結合分子の投与から利益を得る可能性がある。例えば、個体は、機能性LDL−Rが存在する家族的または遺伝的に伝達されたホモ接合体またはヘテロ接合体高コレステロール血症を有し得る。家族的または遺伝的に受け継がれた高コレステロール血症と関連する、および/または原因となる遺伝子突然変異は、例えば、Burnett and Hooper, Clin Biochem Rev (2008) 29(1):11-26に要約されている。個体はまた、脂質異常症または高コレステロール血症を発症する危険性に寄与するか、または該危険性を増加する他の病的状態を有するか、または行動をとっていてもよい。例えば、個体は肥満であってよく、または糖尿病もしくはメタボリック・シンドロームを有していてもよい。個体は、喫煙者であってもよく、ほとんど体を動かさないライフスタイルを送っていてもよく、またはコレステロールの高い食事をとっていてもよい。
PCSK9を標的とすることは、脂質異常症、高コレステロール血症および食後トリグリセリド血症の軽減、逆転、阻害または予防のために有用である。例えば、Le Mayら Arterioscler Thromb Vasc Biol (2009) 29(5):684-90; Seidah, Expert Opin Ther Targets (2009) 13(1):19-28;およびPoirierら J Biol Chem (2009) PMID 19635789参照。したがって、本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体および抗原結合分子の投与は、必要とする個体における脂質異常症、高コレステロール血症および食後トリグリセリド血症を軽減、逆転、阻害および予防することにおける用途が見出される。
本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体および抗原結合分子は、必要とする個体における低比重リポタンパク質コレステロール(LDL−C)を減少または低下することにおける用途が見出される。個体は、LDL−Cのレベルが持続的に上昇していてもよい。いくつかの態様において、個体は、一貫して、80mg/dLを超える、例えば、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190mg/dLまたはそれ以上を超えるLDL−C血漿レベルを有する。本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体および抗原結合分子はまた、必要とする個体における非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)または総コレステロールを減少または低下することにおける用途が見出される。
個体は、コレステロールを低下させるために別の薬物をすでに摂取していてもよく、該薬物に耐性もしくは不耐性であってもよい。例えば、個体は、LDL−C、非HDL−Cまたは総コレステロールを許容されるレベルにまで低下することにおいて、該個体において有効でないことが証明されている、スタチンの治療レジメン下にすでにあってもよい。個体はまた、スタチンの投与に不耐性であってもよい。本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体および抗原結合分子とLDL−Cまたは非HDL−Cを低下、および/またはHDL−Cを上昇することにおいて有用な第2の薬剤との組合せ投与は、例えば、投与される第2の薬剤の用量をより少なくすることを可能にすることにより、第2の薬剤の有効性および耐性を改善する。
いくつかの態様において、個体は、例えば、LDLRの分解において異常な増加を引き起こす、PCSK9遺伝子における機能獲得型突然変異を有する。
いくつかの態様において、個体は、脂質異常症または高コレステロール血症を誘導する薬物を受けている、すなわち、個体は、薬剤誘導性脂質異常症または高コレステロール血症を有する。例えば、個体は、例えば、HIV感染の処置のための、プロテアーゼ阻害剤の治療レジメンを受けていてもよい。血漿トリグリセリドのレベルを上昇させることが知られている別の薬物は、移植患者に投与される免疫抑制剤であるタクロリムスである。シクロスポリンは、LDLを有意に増加させることが示されている。例えば、Ballantyneら (1996) 78(5):532-5参照。第2世代抗精神病薬(例えば、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドン)はまた、脂質異常症と関連している。例えば、Henderson, J Clin Psychiatry (2008) 69(2):e04 and Brooksら Curr Psychiatry Rep (2009) 11(1):33-40参照。
B.抗PCSK9抗体の投与
医師または獣医は、医薬組成物において使用される本発明の抗体の投与を、所望の治療効果をなし遂げるために必要であるレベルよりも少ないレベルで開始し、所望の効果がなし遂げられるまで用量を徐々に増加させることができる。一般的に、本発明の組成物の有効用量は、多数の異なる因子、例えば、処置される特定の疾患または状態、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトまたは動物であるか、他の投与される薬物、および処置が予防または治療であるかに依存して変化する。処置用量は、安全性および有効性を最適化するように用量設定する必要がある。抗体での投与において、用量は、約0.0001から100mg/kg、さらに通常、0.01から5mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、投与は、1mg/kg体重または10mg/kg体重、または1−10mg/kgの範囲内であり得る。投与は、毎日、毎週、2週間毎、毎月または、必要なとき、または望ましいとき、それより多く、または少なくであり得る。典型的な処置レジメンは、週1回、2週間に1回または月1回または3から6ヵ月に1回の投与を必要とする。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子をコードするポリヌクレオチドが投与される。薬物が核酸である態様において、典型的な用量は、約0.1mg/kg体重から約100mg/kg体重、例えば、約1mg/kg体重から約50mg/kg体重の範囲であり得る。いくつかの態様において、約1、2、3、4、5、10、15、20、30、40または50mg/kg体重である。
抗体は、単回または複数回投与において投与することができる。抗体は、通常、何度も投与される。1回の投与間の間隔は、必要または所望により、1週間、2週間、1月または1年であり得る。間隔はまた、患者における抗PCSK9抗体の血液レベルを測定することにより示されるとき、不規則であり得る。いくつかの方法において、用量は、1−1000μg/mlの血漿抗体濃度をなし遂げるように調整され、いくつかの方法において、25−300μg/mlの血漿抗体濃度をなし遂げるように調整される。あるいは、より少ない頻度の投与を必要とする場合、抗体は、持続放出製剤として投与することができる。用量および頻度は、患者における抗体の半減期に依存して変化する。一般的に、ヒト化抗体は、キメラ抗体および非ヒト抗体よりも長い半減期を示す。投与の用量および頻度は、処置が予防であるか、または治療であるかに依存して変化し得る。予防適用において、比較的低い用量が、長期間にわたって比較的少ない頻度で投与される。患者によっては、残りの人生において処置を受け続ける。治療的適応において、比較的短い間隔で比較的高い用量が、ときどき、疾患の進行が低下または終了するまで、好ましくは、患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、必要とされる。その後、患者は、予防レジメンを受けることができる。いくつかの態様において、抗PCSK9抗体または抗原結合剤は、患者における血漿LDL−Cレベルが、予め決定された閾値レベル、例えば、少なくとも約80mg/dL、例えば、少なくとも約90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190mg/dLまたはそれ以上、を超えるときに投与される。
C.第2の薬剤との共投与
PCSK9抗体アンタゴニストは、コレステロール、例えば、LDL−C、非HDL−Cおよび総コレステロールを低下させる、および/またはHDL−Cを上昇させるために有益であることが知られている薬剤と組み合わせて使用することができる。
活性剤は、抗PCSK9アンタゴニスト抗体との混合物において一緒に投与することができ、またはそれぞれの薬剤を別々に投与することができる。抗体薬剤および他の活性剤は、同時に投与することができるが、同時に投与する必要はない。
本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体または抗原結合分子との共投与における使用のための典型的な第2の薬剤は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(すなわち、スタチン)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、ジェムフィブロジル、フェノフィブレート、シプロフィブラート、ベザフィブラート)、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、回腸胆汁酸輸送体(IBAT)阻害剤、甲状腺ホルモン模倣物(例えば、化合物KB2115)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、デュアルペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アルファおよびガンマアゴニスト、アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、Niemann Pick C1−様1(NPC1−L1)阻害剤(例えば、エゼチミブ)、ATP結合カセット(ABC)タンパク質G5またはG8のアゴニスト、コレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸を含むが、これらに限定されない。
使用されるさらなる脂質低下剤は、例えば、Changら Curr Opin Drug Disco Devel (2002) 5(4):562-70; Sudhopら Drugs (2002) 62(16):2333-47; Bays and Stein, Expert Opin Pharmacother (2003) 4(11):1901-38; Kastelein, Int J Clin Pract Suppl (2003) Mar(134):45-50; Tomoda and Omura, Pharmacol Ther (2007) 115(3):375-89; Tenenbaumら Adv Cardiol (2008) 45:127-53; Tomkin, Diabetes Care (2008) 31(2):S241-S248; Leeら J Microbiol Biotechnol (2008) 18(11):1785-8; Ohら Arch Pharm Res (2009) 32(1): 43-7; Birchら J Med Chem (2009) 52(6):1558-68;およびBaxter and Webb, Nature Reviews Drug Discovery (2009) 8:308-320に記載および/または概説されている。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、スタチンと共投与される。典型的なスタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンを含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、高コレステロール血症またはトリグリセリド血症を誘導する薬物と共投与される。例えば、第2の薬物は、プロテアーゼ阻害剤、例えば、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、チプラナビル、ダルナビル、アバカビル−ラミブジン−ジドブジン(トリジビル)であり得る。いくつかの態様において、第2の薬物はタクロリムスである。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、PCSK9またはapoB100を特異的に標的とする阻害性核酸(例えば、siRNA、miRNA、アンチセンス配列、リボザイム)と共投与される。
VI.キット
本発明の医薬組成物は、キットにおいて提供することができる。1つの態様において、本発明のキットは、本明細書に記載されている本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体または抗原結合分子を含む。抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、一定のまたは様々な用量において提供することができる。
いくつかの態様において、キットは、本明細書に記載されている1つ以上の第2の薬物を含む。第2の薬物は、同じ製剤において、または抗PCSK9抗体または抗原結合分子と別々の製剤において提供することができる。第1および第2の薬剤の用量は、独立して一定または様々であり得る。
いくつかの態様において、キットは、PCSK9抗体アンタゴニストならびにコレステロール、例えば、LDL−C、非HDL−Cおよび総コレステロールを低下させる、および/またはHDL−Cを上昇させるために有益であることが知られている1つ以上の薬剤を含む。
本発明の抗PCSK9アンタゴニスト抗体または抗原結合分子と共にキットに含まれる典型的な第2の薬剤は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(すなわち、スタチン)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、ジェムフィブロジル、フェノフィブレート、シプロフィブラート、ベザフィブラート)、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、回腸胆汁酸輸送体(IBAT)阻害剤、甲状腺ホルモン模倣物(例えば、化合物KB2115)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、デュアルペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アルファおよびガンマアゴニスト、アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、Niemann Pick C1−様1(NPC1−L1)阻害剤(例えば、エゼチミブ)、ATP結合カセット(ABC)タンパク質G5またはG8のアゴニスト、コレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸を含むが、これらに限定されない。
キットにおいて使用するためのさらなる脂質低下剤は、例えば、Changら Curr Opin Drug Disco Devel (2002) 5(4):562-70; Sudhopら Drugs (2002) 62(16):2333-47; Bays and Stein, Expert Opin Pharmacother (2003) 4(11):1901-38; Kastelein, Int J Clin Pract Suppl (2003) Mar(134):45-50; Tomoda and Omura, Pharmacol Ther (2007) 115(3):375-89; Tenenbaumら Adv Cardiol (2008) 45:127-53; Tomkin, Diabetes Care (2008) 31(2):S241-S248; Leeら J Microbiol Biotechnol (2008) 18(11):1785-8; Ohら Arch Pharm Res (2009) 32(1): 43-7; Birchら J Med Chem (2009) 52(6):1558-68;およびBaxter and Webb, Nature Reviews Drug Discovery (2009) 8:308-320に記載および/または概説されている。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、スタチンと共にキットに提供される。典型的なスタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンを含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、本発明の抗PCSK9抗体または抗原結合分子は、高コレステロール血症またはトリグリセリド血症を誘導する薬物と共にキットに提供される。例えば、第2の薬物は、プロテアーゼ阻害剤、例えば、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、チプラナビル、ダルナビル、アバカビル−ラミブジン−ジドブジン(トリジビル)であり得る。いくつかの態様において、第2の薬物はタクロリムスである。
実施例
以下の実施例は、説明するために提供するが、本発明を限定しない。
実施例1:PCSK9アンタゴニストMAB1の作製および同定
要約
PCSK9に対する機能性抗体アンタゴニストを作製するために試験を行った。タンパク質のHisタグ型に結合することができる抗体を分泌する多数のハイブリドーマを同定した。ハイブリドーマからの抗体を、これらの細胞のLDLコレステロールを取り込む増加した能力をもたらすHepG2細胞上のLDL受容体のPCSK9媒介分解を阻害する能力により測定される機能性アンタゴニスト活性について評価した。強力な機能性マウス抗ヒトPCSK9 IgG1−カッパモノクローナル抗体を同定し、MAB1と称した。
方法
抗原および他のタンパク質
ヒトPCSK9タンパク質を分泌する安定な発現細胞系を、HEK293 FreestyleTM細胞(Invitrogen, Carlsbad, Ca)のトランスフェクションにより産生した。簡潔には、BioCoatフラスコ(Becton Dickinson)上に接着様式において、FreestyleTM培地(Invitrogen)プラス10%のウシ胎仔血清中で培養された細胞を、リポフェクタミン 2000TMトランスフェクション試薬およびメリチン(mellittin)シグナル配列を特徴とする組換えプラスミド、成熟Pcsk9 cDNA(aa31−692)および配列のC−末端のhis6タグ(E.Hampton、GNF、NPL 010051によってクローニング)を使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、陽性トランスフェクタントの選択を、100μg/mLのZeocinを培養培地に添加することにより開始した。4週間後、Pcsk9−生産細胞の4つの安定な細胞プールが現れた。最も産生が多いプール4を、FreestyleTM培地中で無血清懸濁条件に適応させ、次に、10−20L生産容量の規模でWaveTMバイオリアクターを使用して大規模生産のためにスケールアップした。
数回、時間をかけて行い、12から30mg/L間の割合で生産された組換えタンパク質を得た。細胞上清を収集し、クロスフロー濾過により濃縮した。得られる濃縮物を、25mLのNiNTA His−Bind Superflow カラム(50mMのTris/300mMのNaCl/1mMのCaCl2/2mMのβ−メルカプトエタノール、pH7.4で平衡化)に0.5mL/分で付した。50mMのTris/300mMのNaCl/20mMのイミダゾール、pH7.4での基本洗浄後、結合した物質を、50mMのTris/300mMのNaCl/250mMのイミダゾール、pH7.4で溶離した。得られる溶出液を、PBS、pH7.3に対して透析し、滅菌濾過し、アリコートした。オリゴマー形成の決定のために、サンプルを分析用サイズ排除クロマトグラフィーにより分析した。精製されたタンパク質から得られたHPLCクロマトグラムは、2本のピークを示し、主要な1つのピークは85%を占める。全長タンパク質のHPLC−ESI MS分析は、全てのシステイン残基が酸化したメリチン−hsPcsk9 aa31−692−Hisから予測された質量に一致する58176.0Daの質量を示す。サンプルの一部は、さらにN−グリコシル化されている。約13kDの質量の夾雑タンパク質は、恐らく、タンパク質の遊離プロドメインのようである。マウス、ラットおよびカニクイザルと対応するPcsk9のホモログを、Freestyle培地において無血清懸濁液において培養されたHEK293 Freestyle細胞を再び使用して、大規模一時的発現アプローチにおいて生産した。組換えプラスミド、天然のリーダー配列およびC−末端のhis6−タグを特徴とするマウス/ラットPcsk9 cDNA、およびCD33リーダー配列およびC−末端 his6 タグを特徴とするcyno Pcsk9を、プラスミドDNAの担体としてポリエチレンイミンを1:3(μg/mL:μg/mL DNA:PEI)の比率で使用して、Freestyle細胞にトランスフェクトした。生産工程は、WaveTMバイオリアクターにおいて10リットル規模で行った;タンパク質精製および特性化は、ヒトPCSK9タンパク質に対する上記プロトコールに準じて行った。
PCSK9に対する機能性抗体を分泌するハイブリドーマのスクリーニング
ハイブリドーマを作製し、融合後10日間、ハイブリドーマプレートをPcsk9特異的抗体の存在についてスクリーニングした。ELISAスクリーニングのため、Maxisorp 384−ウェルプレート(Nunc #464718)を、50μLのPcsk9(PBSで15ng/ウェルに希釈)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。残存するタンパク質を吸引し、ウェルをPBS中の1%のBSAでブロックした。室温で30分間インキュベーション後、ウェルをPBS+0.05% Tween(PBST)で4回洗浄した。15μLのハイブリドーマ上清をELISAプレートに移した。PLNを取り出す時に得た15μLのマウス血清を、PBSで1:1000希釈し、陽性コントロールとして加えた。PBST。50μLの二次抗体(ヤギ抗マウスIgG−HRP(Jackson Immuno Research #115-035-071)、PBSで1:5000希釈)を、ELISAプレート上の全てのウェルに加えた。室温で1時間インキュベーション後、プレートをPBSTで8回洗浄した。25μLのTMB(KPL #50−76−05)を加え、室温で30分インキュベーション後、プレートを605nmの吸光度で読んだ。陽性ウェルからの細胞を、24−ウェルプレートにHT培地(DMEM+20%のFBS、Pen/Strep/Glu、1xNEAA、1xHT、0.5xHFCS)中で拡大した。
抗体精製
MAB1を含む上清を、プロテインG(Upstate # 16-266 (Billerica, MA))を使用して精製した。上清を負荷する前に、樹脂を10カラム容量のPBSで平衡化した。サンプルの結合後、カラムを10カラム容量のPBSで洗浄し、次に、抗体を5カラム容量の0.1Mのグリシン、pH2.0で溶離した。カラム画分を、1/10の容量のTris HCl、pH9.0で即座に中和した。OD280の画分を測定し、陽性画分をプールし、PBS、pH7.2対して一晩透析した。
溶液平衡滴定による親和性決定
Pcsk9の連続希釈物を作製し、抗体をそれぞれの抗原濃度に加え、100pMの抗体定常濃度に達した。100μL/ウェルのそれぞれの希釈物混合物を、96−ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート(Greiner)にデュプリケートで分配した。該プレートを密閉し、室温で一晩インキュベートした。96−ウェル標準結合マイクロタイタープレート(Meso Scale Discovery)を、PBSで希釈された25μLの1μg/mLのPcsk9でコーティングした。該プレートを密閉し、4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、抗原被覆標準結合マイクロタイタープレートを、ウェルあたり200μLのPBS/0.05%(w/v)Tween 20で3回洗浄した。次に、プレートを150μL/ウェルのPBS/5%(w/v)BSAでブロックし、室温で1時間震盪しながらインキュベートした。洗浄工程を繰り返し、ポリプロピレンマイクロタイタープレートからの25μL/ウェルの抗体−抗原調製物を、抗原被覆標準結合プレートに移した。標準結合プレートを、室温で60分間震盪しながらインキュベートした。3回さらなる洗浄工程後、PBS/1%(w/v)BSA/0.05%(w/v)Tween20バッファーにおいて希釈された25μLの1μg/mLのSulfo−タグ−標識ヤギ抗マウス検出抗体(R32AC-5, Meso Scale Discovery)を、それぞれのウェルに加え、室温で1時間震盪しながらインキュベートした。プレートを3回洗浄後、150μLの2X Read Buffer(R92TC-1, Meso Scale Discovery)をそれぞれのウェルに移した。電気化学発光シグナルを発生させ、Sector Imager 6000(Meso Scale Discovery)により検出した。電気化学発光データを、プリズムソフトウェア(prism software)および以下の式を使用して、エクスポートおよび処理した:
TR−FRETアッセイ
TR−FRETアッセイを、浅い384−ウェル白色プレート(Perkin Elmer, 6008280)において実施した。hPcsk9−AF(10.7nM)を、15μLのアッセイバッファー(20mMのHEPES、pH7.2、150mMのNaCl、1mMのCaCl2、0.1% v/v Tween 20および0.1% w/v BSA)中で、標識していないhPcsk9タンパク質およびMAB1、MAB2またはMAB3抗体の連続希釈物と、室温で30分間インキュベートした。次に、hPcsk9および予めインキュベートした抗体複合体へのアッセイバッファー中の5μLのhLDL−R−Eu(4nM)の添加、ならびに室温で90分間インキュベートした。これらの標識タンパク質の最終濃度は、8nMのhPcsk9−AFおよび1nMのhLDL−R−Euであった。TR−FRETシグナルを、330nm励起および665nm放出にてEnVision 2100 マルチラベルリーダー(Perkin Elmer)で測定した。データを、以下の式:[(665nm値x10,000)/(615nm値)]を使用して正規化値に変換した。パーセント阻害は、以下の式:100−[(処理サンプルの正規化値/未処理サンプルの平均正規化値)x100]で計算した。パーセント阻害用量応答曲線は、Prism version 5を使用して、式、Y=最小(Bottom)+(最大(Top)−最小(Bottom))/(1+10^((LogIC50−X)*HillSlope))でプロットした(GraphPad Prism Software)。
LDL−R代謝回転(turnover)アッセイ
HepG2細胞をトリプシン処理し、1% v/v コラーゲンで予めコーティングされた平底96−ウェルプレート(Corning, 3595)において100μLの培養培地にウェルあたり6x10個の細胞で播種し、次に、37℃で5% CO2で24時間インキュベートした。一般的に、細胞を、hPcsk9タンパク質およびMAB1、MAB2またはMAB3抗体のいずれかを含む100μLの無血清培地で処理した。処理後、培地を捨て、細胞を100μLのPBSで洗浄した。細胞を回収するために、100μLのVersine(Biowhittaker, 17-771E)を加え、37℃で5% CO2で1時間インキュベートし、次に、100μLのFACSバッファーを加えた。細胞を、V−底96−ウェルプレート(Corning, 3894)に移し、1200rpmで5分間遠心し、細胞をペレットにした。細胞上の非特異的結合部位をブロックするために、FACSバッファー中の50μLの100μg/mLの正常ウサギIgG(MP biomedicals, 55944)およびマウスIgG(Sigma, I5381)をそれぞれのウェルに加え、氷中で30分間インキュベートした。細胞を1200rpmで5分間遠心し、プレートをたたくことにより、バッファーを除去した。細胞を標識するために、FACSバッファー中の10μLのウサギ抗−hLDL−R−Alexa 647 IgG(5μg/mL)および10μLのマウス抗−トランスフェリン−R−フィコエリトリン(PE)IgG(2μg/mL)(CD71, Becton Dickinson Biosciences, 624048)標識抗体をそれぞれのウェルに加え、氷中で60分間インキュベートした。細胞を1200rpmで5分間遠心し、プレートをたたくことにより、バッファーを除去した。結合していない抗体を、ウェルあたり200μLのFACSバッファーで細胞を2回洗浄することにより、除去した。細胞を、PBS中の1%パラホルムアルデヒドで固定し、生存細胞をゲーティングし(5000)、BD LSR IIフローサイトメーターおよびFACSDIVAソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。PE蛍光の中央値は、488nmの励起および575nmの放出で測定した。Alexa647蛍光の中央値は、488nmの励起および633nmの放出で測定した。特注のウサギ抗hLDL−RポリクローナルIgG583を、HepG2細胞上の表面hLDL−RのFACS検出のために、Covance(Denver, PA, USA)により特別生産した。ウサギ抗hLDL−R IgG583は、正常ウサギIgGと比較して、HepG2細胞の表面上のhLDL−Rの検出について約7倍のウインドウを示した。HepG2細胞の表面上のLDL−Rに対する抗hLDL−R IgG583の特異性を決定するために、該IgGの結合に対する競合相手としてhLDL−Rタンパク質を使用して実験を行った。HepG2細胞に対する抗hLDL−R IgG583の平均培地蛍光における用量依存的増加が、hLDL−Rタンパク質の濃度増加につれて観察した。これは、FACSにより測定されるとき、抗hLDL−R IgG 583がHepG2細胞の表面上のLDL−Rを特異的に認識することを証明する。HepG2細胞の表面上のLDL−RのFACS定量化のために、その後の試験は、直接標識した抗hLDL−R−583−Alexa 647 IgGを使用した。
LDL−C取り込み
HepG2細胞をトリプシン処理し、平底96−ウェルプレート(Corning、3595、1%のv/v コラーゲンで予めコーティングされている)において100μLの培養培地中でウェルあたり6x10個の細胞で播種し、次に、37℃で5%CO2で24時間インキュベートした。特に記載がない限り、細胞を、hPcsk9タンパク質およびMAB1、MAB2またはMAB3抗体を含む100μLの無血清培地で処理した。処理後、それぞれのウェルに、無血清培地中の20μLの30μg/mLの3,3’−ジオクタデシルインドカルボシアニン−標識低密度リポタンパク質(DiI−LDL)(Intracell、RP−077−175)を与え、37℃で5%CO2で2時間インキュベートした。プレートをたたくことにより培地を除去し、細胞を100μLのリン酸緩衝生理食塩水(カルシウムまたはマグネシウムなしのPBS、Invitrogen、14190−144)で洗浄した。プレートをたたくことによりPBSを除去し、100μLの0.25%トリプシン−EDTAをそれぞれのウェルに加え、37℃で5%CO2で5分間インキュベートした。100μLのFACSバッファー(5%のFBS、2mMのEDTAおよび0.2%のアジ化ナトリウムを含むPBS)をそれぞれのウェルに加え、細胞を1200rpmで5分間遠心分離によりペレット化した。プレートをたたくことにより培地を廃棄し、ウェルあたりPBS中の50μLの1%パラホルムアルデヒド(Elwctron Microscopy Sciences, 15710)の添加により細胞を固定した。生存細胞をゲーティングし、BD LSR IIフローサイトメーターおよびFACSDIVAソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。DiI−LDL蛍光の中央値を488nmの励起および575nmの放出で測定し、5000個の細胞を分析した。棒グラフを、Microsoft Excel 2002(Microsoft Corporation)を使用して作成した。活性化のパーセントは以下のとおりに計算した、%活性化=[1−(X÷A)]x100、式中、X=サンプルウェルから読んだ培地蛍光、およびA=hPcsk9処理のみでのウェルから読んだ培地蛍光。
活性化のパーセントを処理に対してプロットし、式Y=最小(Bottom)+(最大(Top)−最小(Bottom))/(1+10^((LogEC50−X)xHillSlope))およびGraphPad Prism 5(GraphPad Software)を使用して作成した用量応答曲線からEC50を決定した。
結果
抗ヒトPCSK9モノクローナル抗体の作製
B細胞を、Pcsk9タンパク質で免疫化した動物の一次リンパ節から回収した。ハイブリドーマを、標準PEG媒介融合を使用して作製した。得られた融合物をELISAによりアッセイし、ヒトPCSK9に陽性結合物を同定し、増殖させ、上清を作製した。強力な機能性マウス抗ヒトPCSK9 IgG1−カッパモノクローナル抗体を同定し、MAB1と称した。
Pcsk9への特異的結合に対するMAB1のスクリーニング
MAB1特異性を、一連の他のタンパク質への結合をELISAにおいて評価することにより試験した。6つの他のタンパク質へのMAB1の結合を、Pcsk9−HISへの結合と比較した。これは、Pcsk9への結合が特異的であり、該抗体がHISタグに結合しないことを示す。
カニクイザルPcsk9への結合に対するMAB1の評価
Pcsk9のカニクイザルホモログへのMAB1の結合を決定した。このアッセイにおいて、カニクイザルHIS−タグ付きPcsk9を発現する細胞由来の上清を、Ni捕捉プレートと共に利用し、材料を精製する必要性を回避した。ヒトPCSK9を希釈し、また、そのHIS−タグを介して捕捉した。MAB1は、ヒトおよびカニクイザルPcsk9の両方に結合することができる。
MAB1の結合速度
ヒトPCSK9タンパク質を認識するマウス抗体MAB1を、溶液平衡滴定(SET)を使用することにより、その結合親和性について分析した。MAB1は、組換えヒトPCSK9にナノモル以下の親和性(K=270pM)で高親和性で結合することが見出された。
Pcsk9 LDL−R相互作用のブロックに対するMAB1のスクリーニング
TR−FRETアッセイを、抗−hPcsk9抗体MAB1がhPcsk9−AFおよびhLDL−R−Eu標識タンパク質間の相互作用を破壊させることができるか否かを決定するために使用した。アッセイがhLDL−R−EuおよびhPcsk9−AF標識タンパク質の相互作用により産生されるTR−FRETシグナルの破壊を検出することができることを証明するために、非標識hPcsk9タンパク質またはEGF−Aペプチドを評価した。非標識hPcsk9の濃度を増加させると、hLDL−R−Euへの結合に対してhPcsk9−AFと競合し、TR−FRETシグナルの減少を引き起こした。EGF−Aペプチドは、2.5μMのIC50で、hLDL−R−EuおよびhPcsk9−AF間の相互作用を破壊した。MAB1は、IC50=77nMで、hPcsk9−EuおよびhLDL−R−AF間のTR−FRETシグナルを破壊した。
LDL−RのPCSK9媒介分解の阻害に対するMAB1のスクリーニング
LDL−RへのPcsk9結合は、LDL−R分解を引き起こすことが示されており、これを、HepG2細胞および組換えヒトPCSK9を使用して確認した。MAB1がPcsk9に結合し、該効果をブロックする能力を決定した。MAB1は、外因性hPcsk9で処理したHepG2細胞における該効果を阻害し、細胞表面LDL−Rの増加を引き起こした。
Pcsk9阻害およびLDL取り込み回復に対するMAB1のスクリーニング
LDL−RのPcsk9分解の阻害は、HepG2細胞がLDL−Cを内在化する能力を回復させる。MAB1は、外因性hPcsk9で処理されたHepG2細胞でのPCSK9媒介LDL−R分解を防止し、194nMのEC50でDiI−LDL−摂取取り込みを増加させた。
実施例2:PCSK9アンタゴニスト抗体MAB2およびMAB3の作製
要約
本実施例は、ヒト生殖細胞系列抗体とより良い配列相同性を有するように、マウスモノクローナルPCSK9アンタゴニスト抗体MAB1を操作することによるヒト抗体MAB2およびMAB3の作製を示す。MAB2およびMAB3は、親マウス抗体のエピトープ特異性、親和性およびカニクイザルマカクザルPCSK9交差反応性を保持する。MAB2およびMAB3は、元のマウス抗体よりもヒト生殖細胞系列配列とより高い相同性を有し、したがって、ヒト免疫系によりより良い耐性であるはずである。
マウスモノクローナル抗体MAB1を、ヒト生殖細胞系列配列とより近いタンパク質配列を持ち、免疫原性を減少させるように、HumaneeredTMした。HumaneeringTM技術は、South San FranciscoのKaloBiosを介して利用できる(ワールドワイドウェブkalobios.com)。抗体HumaneeringTMは、ヒト生殖細胞系列配列と高い相同性を有し、親または参照抗体の特異性および親和性を保持するV−領域配列を有する操作されたヒト抗体を作製する(米国特許公開第2005/0255552および2006/0134098号)。該プロセスは、最初に、参照Fabの重鎖および軽鎖可変領域における最小の抗原結合特異性決定因子(BSD)(一般的には、重鎖CDR3および軽鎖CDR3内の配列)を同定する。これらの重鎖および軽鎖BSDがHumaneeringTMプロセス中に構築された全てのライブラリーにおいて維持されるため、それぞれのライブラリーがエピトープに注目され、最終的な完全なHumaneeredTM抗体は、元のマウス抗体のエピトープ特異性を保持する。
次に、完全長ライブラリー(軽鎖または重鎖可変領域全体が、ヒト配列のライブラリーで置換されている)および/またはカセットライブラリー(マウスFabの重鎖または軽鎖可変領域の一部が、ヒト配列のライブラリーで置換されている)を作製する。細菌分泌系を、抗体Fabフラグメントとしてライブラリーのメンバーを発現させるために使用し、ライブラリーを、コロニーリフト結合アッセイ(CLBA)を使用して、抗原に結合するFabに対してスクリーニングする。最も高い親和性を有するものを同定するために、陽性クローンをさらに特徴付ける。次に、残存するマウス配列における結合をサポートする同定されたヒトカセットを、最終ライブラリースクリーンにおいて混合し、完全ヒトV−領域を作製する。
得られたHumaneeredTMFabは、ヒトライブラリー由来のV−セグメント配列を有し、CDR3領域内で同定された短いBSD配列を保持し、ヒト生殖細胞系列フレームワーク4領域を有する。これらのFabは、重鎖および軽鎖の可変領域をIgG発現ベクターにクローニングすることにより、完全IgGに変換される。該プロセスにおいて作製された完全HumaneeredTM抗体は、親マウス抗体の結合特異性を保持し、一般的に親抗体よりも抗原に対して同等のまたはより高い親和性を有し、タンパク質レベルでヒト生殖細胞系列抗体遺伝子と比較して高い程度の配列同一性を有するV−領域を有する。
方法
マウスV−領域のクローニング
マウスモノクローナルMAB1のV−領域DNAを、標準方法を使用して、ハイブリドーマ細胞系から単離されたRNAからRT−PCRにより増幅した。ハイブリドーマcDNA由来の重鎖可変領域のPCR増幅のために成功裏に使用されたプライマーは、V8(5’−GTCCCTGCATATGTCYT−3’;配列番号:50)(Chardes Tら 1999)およびHC定常部(5’−GCGTCTAGAAYCTCCACACACAGGRRCCAGTGGATAGAC−3’;配列番号:51)であった。ハイブリドーマcDNA由来の軽(カッパ)鎖可変領域のPCR増幅のために成功裏に使用されたプライマーは、Vκ23(5’−CTGGAYTYCAGCCTCCAGA−3’;配列番号:52)(Chardes Tら 1999)およびLC定常部(5’−GCGTCTAGAACTGGATGGTGGGAAGATGG−3’;配列番号:53)であった。増幅された重鎖および軽鎖可変領域をシーケンシングした。次に、PCRを使用して、V−遺伝子を増幅し、クローニングのために制限酵素部位をKaloBiosベクターに組み込んだ:NcoI(5’)およびNheI(3’)でVhをKB1292−Hisに(C−末端フレキシブルな(flexible)リンカーおよびCH1上のアミノ酸配列AAGASHHHHHH(配列番号:54)の6−His(配列番号:45)タグをコードするKB1292の修飾バージョン);NcoI(5’)およびBsiWI(3’)でVkをKB1296に。次に、BssHIIおよびClaIでの制限消化およびライゲーションにより、これらの別々の重鎖および軽鎖ベクターを、単一の二シストロン性KaloBios Fab 発現ベクターに混合した。Fabフラグメントを、該ベクターから大腸菌において発現させた。該FabをPCSK9−抗原結合について試験し、参照Fab SR101−B1と称した。
Fab精製
Fabフラグメントを、KaloBios発現ベクターを使用して大腸菌からの分泌により発現させた。細胞を、2xYT培地で〜0.6のOD600にまで増殖させた。IPTGを100μMまで加え、33℃で4時間振盪することにより、発現を誘導した。アセンブルされたFabを、浸透圧溶解によるペリプラズム画分および標準方法にしたがうNi−NTAカラム(HisTrap HP columns; GE Healthcare catalog #17-5247-01)を使用するアフィニティークロマトグラフィーによる精製から得た。Fabを500mMのイミダゾールを含むバッファーに溶離し、カルシウムおよびマグネシウムを含まないPBS pH7.4で徹底的に透析した。
ライブラリー構築
ライブラリーを、KaloBiosヒトライブラリー配列、親マウス配列およびBSDを含むユニークなCDR3−FR4領域を結合させることにより構築した。BSDを含むヒト生殖細胞系列J−セグメント配列および最適化された参照Fab EJS005由来のCDR3を、重複PCRを使用してヒトV−セグメントライブラリーに結合させた。KaloBiosヒトカセットライブラリーは、CDR領域における元のマウスVhおよびVk’に最も近いヒト生殖細胞系列配列に基づいた。元のマウスMAB1 Vhは、ヒト生殖細胞系列配列Vh2−70に最も近く、Vh2サブグループメンバー(KB1412)を含むKaloBiosライブラリーを、Vhカセットライブラリーを作製することにおいて使用した。同様に、MAB1 VkがVk1 O2ヒト生殖細胞系列配列に最も近いため、Vk1サブグループメンバー(KB1419およびKB1420)を含む2つのKaloBios ヒトV−セグメントライブラリーの混合物を、Vkカセットライブラリーを作製することにおいて使用した。これらのカセットライブラリーを、重複PCRによって、親マウス可変領域から完全V−セグメントへの配列に結合させた。2つの型のカセットをブリッジPCRにより構築した:FR1、CDR1およびFR2の最初の部分においてヒト配列を含むフロントエンドカセットを、鋳型として上記Vh2ライブラリーの混合物(KB1412)またはVk1ライブラリーの混合物(KB1419およびKB1420)から増幅した。FR2の最後の部分、CDR2およびFR3においてヒト配列を含むミドルカセットを、上記完全ヒトVhまたはVk領域ライブラリーを鋳型として使用して増幅した。Vhカセットは、アミノ酸位置45−49(Kabat番号付け)でFR2において重複する共通配列を有し;Vkカセットは、アミノ酸残基42−47(Kabat番号付け)でFR2において重複する共通配列を有した。このようにして、フロントエンドおよびミドルヒトカセットライブラリーを、ヒトV−重鎖2およびV−カッパ1アイソタイプに対するPCRにより構築した。それぞれのVhカセットライブラリーを、NcoI(5’)およびKpnI(3’)で、ベクターKB1292−Hisにクローニングし;それぞれのVkカセットライブラリーを、NcoI(5’)およびHindIII(3’)で、ベクターKB1296−B(FR4に加えられたサイレントHindIII部位を有するKaloBiosベクターKB1296の修飾されたバージョン)にクローニングした。次に、得られたVhまたはVkプラスミドライブラリーを、BssHIIおよびClaIでの消化、次にライゲーションにより、参照Fab JG024由来の相補的鎖と混合し(例えば、Vhフロントエンドライブラリーを、最適化された参照Vkベクターと混合し)、完全Fabを発現するジシストロニック(dicistronic)ベクターのライブラリーを作製した。
一般的なELISA
組換えヒトまたはカニクイザルマカクザルPCSK9−His6抗原を、全てのELISAアッセイにおいて使用した。一般的に、PBS pH7.4にて希釈されたPCSK9−His6抗原を、4℃で一晩インキュベーションにより300ng/ウェルで、96−ウェルマイクロタイタープレートに結合させた。プレートを、PBS中で3%のBSAの溶液で37℃で1時間ブロックし、次に、PBSTで1回濯いだ。次に、Fabを含有する誘導細胞培地または希釈された精製Fab(50μL)を、それぞれのウェルに加えた。37℃で1時間インキュベート後、プレートをPBSTで3回濯いだ。PBS(50μL)にて1:5000希釈された抗−ヒト−カッパ鎖HRP抱合体(Sigma #A7164)をそれぞれのウェルに加え、プレートを室温で45分間インキュベートした。プレートをPBSTで3回洗浄し、次に、100μLのSureBlue TMB基質(KPL #52−00−03)をそれぞれのウェルに加え、プレートを室温で〜10分間インキュベートした。プレートを分光光度計にて650nmで読んだ。
精製されたヒトおよびマウスIgGに対する特異性ELISAにおいて、384−ウェルプレートを、ウェルあたり88ngで精製されたヒトまたはマウス抗原の一群でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを上記のとおりにブロックし、洗浄し、次に、PBSにて2μg/mLに希釈された22μLの精製されたマウスまたはヒト抗PCSK9抗体を、それぞれのウェルに加えた。プレートを37℃で1時間インキュベートし、次に、PBSTで洗浄した。HRPに結合させた抗マウスFc抗体(Jackson ImmunoResearch Labs #115-035-071)または抗ヒトカッパ抗体(Sigma #A7164)を、PBS(25μL)にて1:5000で希釈し、それぞれのウェルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、次に、上記のとおりに洗浄し、進行させた。
コロニーリフト結合アッセイ(CLBA)
Fabフラグメントのhumaneeredライブラリーのスクリーニングを、1μg/mLでPCSK9−Hisでコーティングされているニトロセルロースフィルターを使用して、本質的に(米国特許公開第2005/0255552および2006/0134098号)記載されているとおりに実施した。抗原コーティングフィルターに結合したFabを、PBSTにて1:5000に希釈したアルカリホスファターゼ結合抗ヒトカッパ軽鎖抗体(Sigma #A3813)を使用して検出し、ブロットを、アルカリホスファターゼに対するDuoLux化学発光基質(Vector Laboratories #SK-6605)発色させた。
ビオチン化組換えPCSK9の作製および親和性測定
C−末端にAvi−(部位特異的ビオチン化のため)およびHis6−タグを有するPCSK9(PCSK9−Avi−His6)を、pRS5a/PCSK9プラスミドC−末端His6(配列番号:45)タグを有するPCSK9 Uniprot Accession Q8NBP7のアミノ酸31−692を発現する)におけるPCSK9およびHis6タグをコードする遺伝子間に、EcoRI制限酵素認識部位を挿入することにより作製した。Aviタグ(アミノ酸配列:GGGLNDIFEAQKIEWHE;配列番号:55)をコードし、EcoRIオーバーハングが隣接するオリゴヌクレオチドを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Invitrogen)でリン酸化し、アニーリングし、次に、新たに挿入されたEcoRI部位を使用してpRS5a/PCSK9にライゲートした。Aviタグを含むクローンを、配列分析により確認した。PCSK9−Avi−His6の発現を293 Freestyle Expression System(Invitrogen)で行い、分泌された組換えタンパク質をNi−NTA樹脂(QIAGEN)を使用して精製した。精製後、PCSK9−Avi−His6タンパク質を、10mMのTris pH8.0、50mMのNaClに対して透析した。タンパク質を、製造業者のプロトコールにしたがって、ビオチン−タンパク質リガーゼ(Avidity)でインビトロにてビオチン化した。完了後、反応物をPBS pH7.2に対して透析し、ビオチン化を、HRP結合ストレプトアビジンでプローブするウェスタンブロットにより確認した。
HumaneeringTMプロセス中に生じたIgGおよびFabフラグメントの結合速度は、製造業者の指示にしたがって、ForteBio Octet QKシステムを使用して分析した。ビオチン化PCSK9−Avi−His抗原を、Streptavidin High Binding Biosensors(ForteBio #18-0006)に結合させた。抗原へのFab結合を、バイオレイヤー干渉法分析および製造業者により提供されるソフトウェアを使用して、リアルタイムにおいてモニタリングした。親和性を、決定された結合および解離定数から計算した。最後に選択された候補物の結合速度を、溶液平衡滴定(「SET」)アッセイを使用して分析した。簡潔には、ヒト、cyno、マウスまたはラットPcsk9の連続希釈物を作製し、抗PCSK9 Abをそれぞれの抗原濃度に加え、100pMの抗体定常濃度に達した。100μL/ウェルのそれぞれの希釈物混合物を、96−ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート(Greiner)にデュプリケートで分配した。該プレートを密閉し、室温で一晩インキュベートした。96−ウェル標準結合マイクロタイタープレート(Meso Scale Discovery)を、PBSで希釈された25μLの1μg/mLのPcsk9でコーティングした。該プレートを密閉し、4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、抗原被覆標準結合マイクロタイタープレートを、ウェルあたり200μLのPBS/0.05%(w/v)Tween 20で3回洗浄した。次に、プレートを150μL/ウェルのPBS/5%(w/v)BSAでブロックし、室温で1時間震盪しながらインキュベートした。洗浄工程を繰り返し、ポリプロピレンマイクロタイタープレートからの25μL/ウェルの抗体−抗原調製物を、抗原被覆標準結合プレートに移した。標準結合プレートを、室温で60分間震盪しながらインキュベートした。3回さらなる洗浄工程後、PBS/1%(w/v)BSA/0.05%(w/v)Tween20バッファーにおいて希釈された25μLの1μg/mLのSulfo−タグ−標識ヤギ抗ヒト−検出抗体(R32AJ−5、Meso Scale Discovery)を、それぞれのウェルに加え、室温で1時間震盪しながらインキュベートした。プレートを3回洗浄後、150μLの2X Read Buffer(R92TC-1, Meso Scale Discovery)をそれぞれのウェルに移した。電気化学発光シグナルを発生させ、Sector Imager 6000(Meso Scale Discovery)により検出した。データを、Piehlerら (1997) J Immunol Methods 201:189-206に記載されている抗体に適用可能な適当なモデルを使用して、excelアドインXLfit 4.3.2(ID Business Solutions)で処理した。高親和性結合が、溶液中のヒトおよびcynoPCSK9と抗体MAB2およびMAB3間で観察された。
抗体生産および精製
Fully HumaneeredTMMAB2およびMAB3抗体(サイレントIgG1カッパ)を、製造業者のプロトコールにしたがって293fectinトランスフェクション試薬(Invitrogen #51-0031)を使用して、293 Freestyle細胞へのベクターpJG04(重鎖)およびpJG10(軽鎖)の共トランスフェクションにより生産した。抗体を、5mLのHiTrap Protein A HPカラム(GE Healthcare #17-0403-03)を使用して、293 Freestyle細胞上清から精製された。抗体をIgG溶離バッファー(Pierce #21004)を使用して溶離し、透析によりPBSにバッファー交換した。Protein A アフィニティークロマトグラフィーを、AKTAFPLC液体クロマトグラフィー系(GE Healthcare)にて行った。
エピトープ競合アッセイ
PCSK9上のエピトープ結合に対する元のマウス抗体MAB1とそのHumaneeredTM誘導体MAB2およびMAB3間の競合は、ForteBio Octet QK系およびビオチン化PCSK9−Avi−His6でコーティングされたStreptavidin High Binding Biosensorsを使用してアッセイした。次に、4つの異なる抗体、マウスMAB1、完全ヒトMAB2、完全ヒトMAB3またはhumaneered抗−PCSK−9抗体NVP−LGT209(MAB1と異なるエピトープを有することが知られている)を、飽和になるまで、別々のPCSK9被覆センサーに結合させた。次に、第1の抗体がMAB1結合をブロックすることができるか否かを決定するために、全てのセンサーをMAB1マウス抗体を含むウェルに浸漬した。
結果
マウスおよび参照V−領域アミノ酸配列
MAB1を発現するハイブリドーマ細胞からのRT−PCR産物をシーケンシングし、該配列は、ThermoElectron LTQ−Orbitrap Mass Spectrometerを使用して、タンパク質レベルでほとんど(95%以上)確認された。次に、MAB1の重鎖および軽鎖可変領域をKaloBiosベクターにクローニングし、参照Fab SR101−B1を作製した。参照Fab(SR101−B1)に加えて、最適化された参照Fab、JG024を構築した。SR101−B1におけるいくつかのフレームワークアミノ酸残基を、JG024におけるヒト生殖細胞系列に変化させた。
参照および最適化された参照Fab親和性分析
FR1およびFR3中の最適化された参照Fab J EJS005に組み込まれたヒト生殖細胞系列残基は、ヒトV−セグメントレパートリーを増幅するために使用されたPCRプライマーにより特定されたものであり、したがって、humaneeredV−領域ライブラリーの全てのメンバーに存在する。最適化された参照Fabを、ヒト生殖細胞系列への変化のいずれかがFab結合の特性を変化させるか否かを評価するために構築した。精製されたFabを使用する希釈ELISAにより、組換えPCSK9抗原に対するSR101B−1およびEJS005の親和性は、実験ノイズ内であると思われ、EJS005におけるアミノ酸変化は耐性があることを示す。
ライブラリー構築および完全HumaneeredTMFabの選択
Vh2またはVk1サブグループに限定された重鎖および軽鎖フロントエンドおよびミドルカセットライブラリーを作製し、CLBAによりスクリーニングした。Vhにおいて、PCSK9抗原への結合を支持するフロントエンドカセットはコロニーリフト結合アッセイにより同定されたが、Vhミドルカセットは同定されなかった。Vkにおいても、フロントエンドカセットのみがコロニーリフトにより同定された。それぞれのフロントエンドライブラリーからの多数の結合物が、Fab含有細胞上清におけるELISAアッセイで再確認され、濃度標準化親和性ELISAによりさらに順位付けされた。
PCSK9結合を支持するV−重鎖ミドルカセットが同定されなかったため、Fr−3ライブラリーを、最適化された参照Fabから増幅されたCDR−2に結合したフロントエンドスクリーンにおいて同定されたカセットおよびKaloBios Vh2ライブラリーから増幅されたFr−3ライブラリーを使用して、構築した。したがって、Fr−3ヒトカセットライブラリーを、抗原結合フロントエンドカセットにおいて構築し、スクリーニングし、抗原結合クローンを同定した。
Vkミドルは、異なる経路(path)にしたがった。Vkミドルにおいて、Fr−2からCDR−2に及ぶ、親マウス残基または最も近いヒト生殖細胞系列残基のいずれかをコードする突然変異ライブラリーを構築した。これを、Vk1 Fr−3ライブラリーに結合させた。得られるライブラリーは、Fr−3ライブラリーに結合したFr−2およびCdr−2突然変異ライブラリーに結合した抗原結合Feカセットを有した。
上記ライブラリーから、PCSK9抗原への結合を支持するフロントエンドおよびミドルヒトカセットを、CLBAにより重鎖および軽鎖の両方に対して成功裏に同定した。CLBA陽性クローンがHumaneeredTM Fabを完全に含むことができるように、これらのライブラリーをスクリーニングした。CLBA陽性クローンを、標準化親和性ELISAにより全て確認し、ランク付けした(rank-ordered)。最も高い親和性および最も高い生殖細胞系列同一性を示す配列を有する6つのFabを精製し、より正確な親和性測定をForteBio Octetシステムを使用して行った。
ForteBio Octet分析を使用するPCSK9抗原に対する完全HumaneeredTM Fabの親和性試験
次に、6つのヒトFabの結合速度を、ForteBio Octetシステムを使用して、参照Fab JG024の速度と比較した(数値データは表1に要約した)。
表1.PCSK9に対する完全HumaneeredTMFabの親和性
これらのFabに対するタンパク質濃度決定は困難であった;そのため、解離速度(k)データは、結合速度(k)およびKデータよりもずっと信頼性が高い(解離速度のみが濃度依存的である)。試験されたHumaneeredTM Fabは1つをのぞき全て、参照Fabよりも大体良い(すなわち、遅い)解離速度を有するようであった。信頼性が低いが、全6つのFabに対するK測定値は、参照Fabと同程度であるか、またはそれよりも良好(速い)であった。
抗原結合HumaneeredTM Fabの該選択から、最も高い親和性を有するヒト鎖を選択し、完全IgG抗体を作製した。したがって、MAB2の可変領域は、クローン44由来の重鎖を含み、クローン45由来の軽鎖を含む。MAB3の可変領域は、Vh2 Fr3ライブラリースクリーンからのクローン37の重鎖を含み、完全軽鎖ライブラリーからのクローン45の軽鎖を含む。重鎖および軽鎖の組合せが同じスクリーンから同定されなかったため、それらを発現ベクターにクローニングし、発現させ、親和性をForteBio Octetにより測定した。候補Fabの親和性が参照Fabの親和性を満たすか、または超えることを確認後、それを完全IgGベクターにクローニングした。
溶液平衡滴定(SET)システムを使用するMAB2およびMAB3の結合速度の分析
SETアッセイを使用して、ヒトPCSK9に対するMAB2およびMAB3抗体の結合親和性はそれぞれ、表2に示されているとおり、260および300pMであると決定された。これは、溶液中の抗体およびPCSK9間の高親和性相互作用を示唆する。
表2.MAB2およびMAB3の結合速度
ELISAによるMAB2およびMAB3の抗原特異性の分析
親マウス抗体MAB1の抗原特異性が最終HumaneeredTMIgGs、MAB2およびMAB3において保持されているか否かを試験するために、ヒトおよびマウス抗原(ならびにヒトPCSK9)の一群に対する抗体の結合を、ELISAアッセイにおいて試験した。このアッセイの結果(図4A−B)は、MAB2およびMAB3が、マウス抗体MAB1と同様に、PCSK9に対する高い特異性を保持することを示す。
ELISAにおけるヒトおよびカニクイザルマカクザルPcsk9タンパク質への抗体結合
MAB2およびMAB3を、ヒトおよびカニクイザルマカクザル(cyno)Pcsk9に対する特異的結合について評価した。ELISAアッセイは、親マウス抗体MAB1のように、HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3が、同様の様式で、ヒトおよびcynoPcsk9の両方に結合することができることを示す(図5A−C)。
バイオレイヤー干渉法をベースにしたエピトープ競合アッセイ
親マウス抗体MAB1のエピトープ特異性が最終HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3において保持されているか否かを試験するために、ForteBio Octetシステムを使用する競合アッセイを開発した。HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3が親マウス抗体MAB1の結合をブロックし、HumaneeredTM抗体が元のマウス抗体のエピトープ特異性を保持することを示す。抗体の負荷の順番を交換し、すなわち、MAB1を最初に、次にHumaneeredTM抗体を結合させたとき、同様の結果を得た。
HumaneeredTM抗体MAB2およびMAB3のアミノ酸配列ならびにヒト生殖細胞系列配列に対する同一性パーセント
最終HumaneeredTMIgG MAB2およびMAB3の可変領域アミノ酸配列をそれぞれ、図2および3に示す;CDRは下線を引かれ、太字である。ヌクレオチド配列は配列表に含まれている。
ヒト生殖細胞系列配列とMAB2およびMAB3との同一性パーセントは、単一のヒト生殖細胞系列配列に対するVhおよびVkアミノ酸配列をアラインすることにより決定した(Vh2 2−05 およびVk1 O2、それぞれ;表3)。CDRH3およびCDRL3における残基を、それぞれの鎖に対する計算から除外した。
表3.ヒト生殖細胞系列配列に対するMAB2およびMAB3の同一性パーセント
humaneered抗体の機能的特性化に関するさらなる情報は、図7−12において示されている。
本明細書に記載されている実施例および態様は説明の目的のためのみであり、それらの認識における種々の修飾または変化は、当業者に示唆されており、本出願の精神および範囲ならびに特許請求の範囲内に含まれると理解される。本明細書に引用されている全ての刊行物、特許、特許出願および配列受入登録を、全ての目的のためにそれら全体において出典明示により本明細書に包含させる。

Claims (44)

  1. プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合する抗体であって、PCSK9と低比重リポタンパク質受容体(LDLR)との相互作用をブロックし、LDLRのPCSK9媒介分解を阻害し、
    a)ヒト重鎖V−セグメント、重鎖相補性決定領域3(CDR3)および重鎖フレームワーク領域4(FR4)を含む重鎖可変領域;ならびに
    b)ヒト軽鎖Vセグメント、軽鎖CDR3および軽鎖FR4を含む軽鎖可変領域を含み、
    i)重鎖CDR3可変領域がアミノ酸配列ITTEGGFAY(配列番号:17)を含み;そして
    ii)軽鎖CDR3可変領域がアミノ酸配列QQSNYWPLT(配列番号:24)を含む、
    抗体。
  2. 約500pM以下の平衡解離定数(K)でヒトPCSK9に結合する、請求項1に記載の抗体。
  3. 重鎖V−セグメントが配列番号:27と少なくとも85%配列同一性を有し、軽鎖V−セグメントが配列番号:28と少なくとも85%配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体。
  4. 重鎖V−セグメントが配列番号:25および配列番号:26からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%配列同一性を有し、軽鎖V−セグメントが配列番号:28と少なくとも85%配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体。
  5. 重鎖FR4がヒト生殖細胞系列FR4である、請求項1に記載の抗体。
  6. 重鎖FR4が配列番号:35である、請求項5に記載の抗体。
  7. 軽鎖FR4がヒト生殖細胞系列FR4である、請求項1に記載の抗体。
  8. 軽鎖FR4が配列番号:39である、請求項7に記載の抗体。
  9. 重鎖V−セグメントおよび軽鎖V−セグメントがそれぞれ、相補性決定領域1(CDR1)および相補性決定領域2(CDR2)を含み、
    i)重鎖V−セグメントのCDR1が配列番号:15のアミノ酸配列を含み;
    ii)重鎖V−セグメントのCDR2が配列番号:16のアミノ酸配列を含み;
    iii)軽鎖V−セグメントのCDR1が配列番号:20のアミノ酸配列を含み;そして
    iv)軽鎖V−セグメントのCDR2が配列番号:23のアミノ酸配列を含む、
    請求項1に記載の抗体。
  10. i)重鎖V−セグメントのCDR1が配列番号:14を含み;
    ii)重鎖V−セグメントのCDR2が配列番号:16を含み;
    iii)重鎖CDR3が配列番号:17のアミノ酸配列を含み;
    iv)軽鎖V−セグメントのCDR1が配列番号:19を含み;
    v)軽鎖V−セグメントのCDR2が配列番号:22を含み;そして
    vi)軽鎖CDR3が配列番号:24を含む、
    請求項9に記載の抗体。
  11. 重鎖可変領域が配列番号:40の可変領域と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有し、軽鎖可変領域が配列番号:41の可変領域と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体。
  12. 重鎖可変領域が配列番号:40の可変領域と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有し、軽鎖可変領域が配列番号:41の可変領域と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体。
  13. 配列番号:40を含む重鎖および配列番号:41を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
  14. 重鎖可変領域が配列番号:5および配列番号:9からなる群から選択される可変領域と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有し、軽鎖可変領域が配列番号:7および配列番号:11からなる群から選択される可変領域と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体。
  15. 重鎖可変領域が配列番号:5および配列番号:9からなる群から選択される可変領域と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有し、軽鎖可変領域が配列番号:7および配列番号:11からなる群から選択される可変領域と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体。
  16. 重鎖可変領域が配列番号:5および配列番号:9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号:7および配列番号:11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体。
  17. FAb’フラグメントである、請求項1に記載の抗体。
  18. IgGである、請求項1に記載の抗体。
  19. 一本鎖抗体(scFv)である、請求項1に記載の抗体。
  20. ヒト定常領域を含む、請求項1に記載の抗体。
  21. 担体タンパク質に連結している、請求項1に記載の抗体。
  22. PEG化されている、請求項1に記載の抗体。
  23. 請求項1−22のいずれかに記載の抗体および生理学的に適合できる賦形剤を含む組成物。
  24. 個体における低比重リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベルを低下させる第2の薬剤をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
  25. 第2の薬剤がスタチンである、請求項24に記載の組成物。
  26. スタチンが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
  27. 第2の薬剤が、フィブラート、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、甲状腺ホルモン模倣物、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸からなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
  28. 必要とする個体におけるLDL−Cを低下させる方法であって、治療有効量の請求項1に記載の抗体を個体に投与し、それにより、個体におけるLDL−Cを低下させることを含む方法。
  29. 個体がスタチン治療に対して低応答性または耐性である、請求項28に記載の方法。
  30. 個体がスタチン治療に不耐性である、請求項28に記載の方法。
  31. 個体が少なくとも約100mg/dLのベースラインLDL−Cレベルを有する、請求項28に記載の方法。
  32. 個体が家族性高コレステロール血症を有する、請求項28に記載の方法。
  33. 総コレステロールをLDL−Cと共に低下させる、請求項28に記載の方法。
  34. 個体がトリグリセリド血症を有する、請求項28に記載の方法。
  35. 個体が機能獲得型PCSK9遺伝子突然変異を有する、請求項28に記載の方法。
  36. 個体が薬剤誘導性脂質異常症を有する、請求項28に記載の方法。
  37. LDL−Cを低下させることにおいて有効な治療有効量の第2の薬剤を個体に投与することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  38. 第2の薬剤がスタチンである、請求項37に記載の方法。
  39. スタチンが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
  40. 第2の薬剤が、フィブラート、ナイアシンおよびそのアナログ、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、甲状腺ホルモン模倣物、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤、PCSK9を標的とする阻害性核酸およびapoB100を標的とする阻害性核酸からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
  41. 抗体および第2の薬剤を混合物として共投与する、請求項37に記載の方法。
  42. 抗体および第2の薬剤を別々に共投与する、請求項37に記載の方法。
  43. 抗体を静脈内に投与する、請求項28に記載の方法。
  44. 抗体を皮下に投与する、請求項28に記載の方法。
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