JP2014509514A - 神経変性タウオパシーを治療するための方法 - Google Patents

神経変性タウオパシーを治療するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014509514A
JP2014509514A JP2013558087A JP2013558087A JP2014509514A JP 2014509514 A JP2014509514 A JP 2014509514A JP 2013558087 A JP2013558087 A JP 2013558087A JP 2013558087 A JP2013558087 A JP 2013558087A JP 2014509514 A JP2014509514 A JP 2014509514A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
disease
filamentous bacteriophage
alzheimer
filamentous
bacteriophage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013558087A
Other languages
English (en)
Inventor
ソロモン,ベカ
Original Assignee
ラモット アット テルアヴィブ ユニヴァーシティ リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ラモット アット テルアヴィブ ユニヴァーシティ リミテッド filed Critical ラモット アット テルアヴィブ ユニヴァーシティ リミテッド
Publication of JP2014509514A publication Critical patent/JP2014509514A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/66Microorganisms or materials therefrom
    • A61K35/76Viruses; Subviral particles; Bacteriophages
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/395Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P21/00Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
    • A61P21/02Muscle relaxants, e.g. for tetanus or cramps
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/14Drugs for disorders of the nervous system for treating abnormal movements, e.g. chorea, dyskinesia
    • A61P25/16Anti-Parkinson drugs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2795/00Bacteriophages
    • C12N2795/00011Details
    • C12N2795/14011Details ssDNA Bacteriophages
    • C12N2795/14111Inoviridae
    • C12N2795/14132Use of virus as therapeutic agent, other than vaccine, e.g. as cytolytic agent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2795/00Bacteriophages
    • C12N2795/00011Details
    • C12N2795/14011Details ssDNA Bacteriophages
    • C12N2795/14111Inoviridae
    • C12N2795/14171Demonstrated in vivo effect

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Psychology (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性の治療において使用するための線維状バクテリオファージ、及び神経変性タウオパシーに罹った患者におけるような、タウタンパク質の原線維の形成を減少させるか又はタウタンパク質の先に形成されている原線維を脱凝集させるためにバクテリオファージを使用する方法に関する。本発明に使用される線維状バクテリオファージは、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示していない。

Description

[0001]本発明は、神経変性タウオパシーの治療において使用するための治療学及び組成物の分野に関する。
[0002]タウオパシーは、脳における原線維/フィラメント/線維の形態の微小管結合タウタンパク質の異常な細胞内凝集物の病理学的特徴を伴う神経変性疾患の一群である。これらのタウオパシーは、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症/パーキンソン認知症症候群、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、プリオンタンパク質脳アミロイド血管障害、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症(Lee et al.,2001)のような疾病を含む。タウオパシーは、多様な表現型及び臨床的特徴を有するが、これらは、全て共通に原線維/フィラメント/線維の形態、例えば、捩れた、直線の又は対の螺旋状の不溶性の過剰リン酸化(hyperphosphosylated)タウの神経原線維変化(NFT)の存在を共有する。
[0003]タウタンパク質は、17番染色体中に位置するMAPT遺伝子によってコードされる微小管結合タンパク質であり、そしてこれは、ニューロン中で、微小管の重合を安定化し、そして促進することに関係する、可溶性のリン酸化された(phosphosylated)タンパク質として存在する。タウの異常な過剰リン酸化は、神経原線維変化において見られるように、タウタンパク質の微小管結合能力を減少させ、そして微小管構築を促進するその能力を阻害する。
[0004]タウオパシーに向けられた治療戦略は、Pritchard et al.(2011)によって総括されているように、(i)フェノチアジン化合物メチレンブルー及びN3ベンゾチアゾール誘導体のようなタウ凝集の小分子阻害剤、(ii)タキソール(パクリタキセル)のような微小管安定化剤、(iii)タウ免疫療法、(iv)不溶性及び病理学的タウ原線維の排除をもたらすラパマイシンのようなオートファジー活性化剤、及び(v)ビタミンC及びE、グルタチオン、ユビキノン、及びユビキノン誘導体MitoQのような抗酸化分子を含む。
[0005]線維状バクテリオファージは、環状一本鎖DNAゲノムを含有する構造的に関連するウイルスの一群である。線維状バクテリオファージは、溶菌性でも溶原性でもなく、そしてこれらは、増殖性感染中にその宿主を殺戮しない。F因子を含有するEscherichia coliに感染するファージは、Ffバクテリオファージと集合的に呼ばれる。これらのバクテリオファージは、哺乳動物細胞を含む真核(eukaryotice)細胞に感染しない。
[0006]線維状バクテリオファージは、長さ約1ないし2ミクロン(Ffバクテリオファージに関しては、長さ僅か約1ミクロン)の、そして直径6nmの、一本鎖の環状DNAのゲノムコアを包囲するタンパク質サブユニットの螺旋状の殻を有する可動性の杆状体である。Ffファミリーの線維状バクテリオファージ(F線毛によりE.coliに感染する線維状バクテリオファージ、M13、fd、及びf1)に関して、二つの主コートタンパク質、タンパク質pIII及び主要コートタンパク質pVIIIは、提示されたタンパク質のコピーの数において異なる。pIIIは、3−5コピーで提示されるが、pVIIIは、約3000コピーで見出される。概略50残基の主要コートタンパク質pVIIIサブユニットは、大部分はα螺旋状であり、そしてαヘリックスの軸は、ウイルス粒子の軸と小さい角を作る。タンパク質の殻は、三つの部分と考えることができる:サブユニットのN末端領域によって占有され、周囲の溶媒と相互作用する酸性残基に富み、そしてウイルス粒子に低い等電位点を与える、外部表面;タンパク質サブユニットが主として互いに相互作用する無極性側鎖の19残基の伸展を含む、殻の内部;及びサブユニットのC末端領域によって占有され、DNAコアと相互作用する塩基性残基に富む、内部表面。
[0007]Ffファミリーの線維状バクテリオファージ(特にM13)は、ペプチドのための提示足場として、線維状バクテリオファージの二つの構造タンパク質、pIII(p3)タンパク質及びpVIIIタンパク質を使用するペプチドディスプレイ系として開発された。ペプチドエピトープは、活性な免疫化において使用するための線維状ファージ上に提示されている。
[0008]線維状バクテリオファージ、特にM13が、βアミロイドプラーク(WO2006/083795;米国特許第7,867,487号;及びWO2008/011503)及びαシヌクレイン凝集物(WO2010/060073)を脱凝集させることができることは先に示されている。脳に送達される抗体及び免疫複合体のための結合剤としてのタンパク質Aを提示する線維状バクテリオファージは、WO2007/095616中に開示されている。
[0009]本明細書中のいずれもの文書の引用は、このような文書が関連する従来の技術であることの承認を意図するか、或いは本出願のいずれもの請求項の特許性にとって重要であると考えるものではない。いずれもの文書の内容又は日付に関するいずれもの声明は、出願の時点で出願人にとって利用可能な情報に基づくものであり、そしてこのような声明の正確さに関する承認を構成するものではない。
WO2006/083795 米国特許第7,867,487号 WO2008/011503 WO2010/060073 WO2007/095616
Lee et al.,2001 Pritchard et al.(2011)
[0010]本発明は、神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性の治療において使用するための線維状バクテリオファージ、及びタウタンパク質の原線維の形成を減少させるか又はタウタンパク質の先に形成されている原線維を脱凝集させるための方法を提供する。この方法は、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体、を提示していない線維状バクテリオファージをそれを必要とする患者に投与することを含む。
[0011]本発明は、神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性の治療において使用するための線維状バクテリオファージを含有する医薬組成物も提供する。線維状バクテリオファージは、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル;(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体;或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示していない。
[0012]図1は、3XTgマウスにおける、海馬内のWT線維状バクテリオファージM13又はPBS対照の注射後の、タウプラークの免疫染色を示す。十字縫合から−3.6における3XTgマウスの脳の断面である。 [0013]図2は、海馬領域当たりのタウタングルの計算された数を示す、図1の結果のグラフである。 [0014]図3A−3Dは、皮質におけるチオフラビンS(ThS)染色タングル(図3A及び3B)及びPBS処置された大脳半球の海馬CA2(図3C及び3D)の、十字縫合から−3.6における定量的顕微鏡画像解析を示す。図3B及び3Dは、それぞれ図3A及び3Bの囲まれた領域の拡大図である。図3Eは、ThS染色タングルによって占有された面積の%として測定された、rTg4510+マウスにおけるThSタングル負荷を示すグラフである。 [0015]図4A及び4Bは、3XTgマウスにおけるThS染色プラークの定量的画像解析を示す。図4Aは、PBS処置された大脳半球であり、そして図4Bは、M13ファージ処置された大脳半球である。図4Cは、ThS染色プラーク負荷の面積の%を示すグラフである。 [0016]図5A及び5Bは、海馬の左(PBS処置)及び右(ファージ処置)のCA1領域におけるNeuN染色(マウスNeuN抗体で標識)の定量的画像解析を示す。図5Cは、マウスNeuN抗体で標識された面積の%を示すグラフである。 [0017]図6は、酢酸セルロース膜フィルター遅延アッセイによって決定される、M13ファージによるタウ原線維の脱凝集を示す。
定義
[0018]本明細書及び付属する特許請求の範囲の目的のために、以下の定義が適用される。
[0019]用語“患者”、“対象者”及び“受容者”は、互換的に使用される。これらは、療法的治療の目的であるヒト及び他の哺乳動物を含む。
[0020]用語“タウタンパク質抗原”は、タウタンパク質のアイソフォームの少なくとも一つを認識し、そしてそれに特異的に結合する抗体を誘導するために十分である、ヒト微小管結合タウタンパク質、例えば、タウタンパク質の6個の天然に存在するアイソフォームのいずれか(Lee et al.,2001を参照されたい)のいずれもの部分を指す。用語“タウタンパク質に対する抗体”は、タウタンパク質のアイソフォームの一つによって誘導される抗体の抗体結合部位を指す。
[0021]用語“神経変性タウオパシー”は、タウタンパク質の異常なフィラメント/原線維/線維の細胞内蓄積によって神経病理学的に特徴づけられる神経変性疾患又は障害を包含することを意図する。神経変性タウオパシーの非限定的例は、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症/パーキンソン認知症症候群、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、プリオンタンパク質脳アミロイド血管障害、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症を含む。
[0022]神経変性タウオパシーに関する用語“治療すること”は、タウタンパク質の原線維/フィラメント/線維の形成を減少させるか又は阻害する、或いはタウタンパク質の先に形成されている原線維/フィラメント/線維を脱凝集させる;神経変性タウオパシーの一つ又はそれより多い臨床徴候を実質的に改善する、或いは神経変性タウオパシーの臨床徴候の出現を実質的に防止することのような、神経変性タウオパシーの進行を、実質的に阻害するか、遅延させるか又は逆転することを意味することを意図する。
[0023]用語“抗体”は、本明細書中で使用される場合、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を伴う抗体組成物、二重特異性抗体、二特異性抗体、又は抗体の他の精製された調製物及び組換え抗体を含む。抗体は、例えばいずれものアイソタイプ(IgG、IgA、IgE、IgM、等)の全体の抗体、又は興味のある抗原を結合する抗体断片であることができる。
[0024]用語“哺乳動物細胞内部移行シグナル”は、細胞接着/細胞への付着の結果として内部移行を容易にする、哺乳動物配列から誘導されたいずれもの細胞接着配列(例えば、野生型線維状バクテリオファージ中に天然に存在しない)を指す。多くの哺乳動物細胞接着配列は既知であり、そしてArg−Gly−Asp(RGD)細胞接着配列、HIVからのTatペプチド及びArg−Glu−Asp(RED)の配列を含んでなるペプチド、Arg−Lys−Lys(RKK)、Leu−Asp−Val(LDV;Humphries,1992)、Leu−Leu−Gly(LLG;Koivunen et al.,2001)、Asp−Gly−Glu−Ala(DGEA;配列番号:1)、Ile−Arg−Val−Val−Met(IRVVM;配列番号:2;Kosfeld et al.,1993)、Pro−His−Ser−Arg−Asp(PHSRN;配列番号:3)及びRFYVVMWK(配列番号:4;Kosfeld et al.,1993)を含む。多くの細胞接着配列(細胞接着モチーフとしても知られる)は、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、トロンボスポンジン、等のような細胞接着分子中に存在することが知られている。
[0025]用語“βアミロイド抗原”は、βアミロイド抗体の形成を誘発するヒトアミロイド前駆体タンパク質から誘導される“βAP”、“βA”、“Aβ”又は“AβP”としても知られるプラーク形成“βアミロイドペプチド”のいずれもの部分を指す。“βアミロイド抗体”は、天然に存在するヒトAβ1−42ペプチド並びにその変種及び変異体を認識し、そしてそれに特異的に結合するものである。
[0026]本明細書中で使用する場合、“医薬組成物”は、一つ又はそれより多い本明細書中に記載される活性成分の、生理学的に適した担体及び賦形剤のような他の化学成分との調製物を指す。医薬組成物の目的は、患者への化合物の投与を容易にすることである。
[0027]互換的に使用することができる語句“生理学的に受容可能な担体”及び“医薬的に受容可能な担体”は、生物に対して有意な刺激を起こさず、そして投与される化合物の生物学的活性及び特性を抑制しない担体又は希釈剤を指す。
[0028]用語“賦形剤”は、活性成分の投与を更に容易にするために医薬組成物に加えられる不活性物質を指す。賦形剤の非限定的例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種の糖及び各種のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールを含む。
[0029]用語“野生型線維状バクテリオファージ”(又はM13のような具体的な線維状バクテリオファージに関しては“野生型”)は、本明細書中で使用する場合、典型的には天然にそれと結合している他の成分から離れて隔絶された、天然に存在する線維状バクテリオファージを意味する。この用語は、“野生型”と特徴づけられた商業的に入手可能な線維状ファージも含む。
[0030]用語“不活化野生型線維状バクテリオファージ”(又はM13のような具体的な線維状バクテリオファージに関しては“不活化野生型”)は、本明細書中で使用する場合、組換えDNAの手段によって遺伝子的に変更されていないが、しかしUV照射によるように、複製を不可能にさせられた野生型線維状バクテリオファージを意味する。ファージを複製不可能にするが、しかしバクテリオファージの線維状構造(嗅覚経路により脳に浸透するその能力を保持する)を妨害しないいずれもの機構が、本発明によって意図されている。
[0031]用語“WTファージ”(又はM13のような具体的な線維状バクテリオファージに関しては“WT”)は、野生型線維状バクテリオファージ及び不活化野生型線維状バクテリオファージの両方を指す。
治療において使用するための線維状バクテリオファージ及び治療の方法
[0032]一つの態様において、本発明は、神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性の治療において使用するための線維状バクテリオファージ、及び線維状バクテリオファージを患者に投与することによりタウタンパク質の原線維の形成を減少させるか、又はタウタンパク質の先に形成されている原線維を脱凝集させるための方法を提供し、ここで、このバクテリオファージは、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル、(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示していない。この態様のある側面において、線維状バクテリオファージは、その表面にいずれもの非線維状バクテリオファージポリペプチドを提示していない。
[0033]幾つかの態様において、治療される神経変性タウオパシーは、筋委縮性側索硬化症、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、プリオンタンパク質脳アミロイド血管障害、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症から選択される。更に具体的な側面において、タウオパシーは、筋委縮性側索硬化症、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症から選択される。
[0034]別の態様において、治療される神経変性タウオパシーは、パーキンソン病;早期発症型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、及び前駆症状性アルツハイマー病を含むアルツハイマー病;SAAアミロイドーシス;遺伝性アイスランド症候群;老衰;多発性骨髄腫;並びに例えばクールー病、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS)、及び致死性家族性不眠症のようなヒトに、そして例えばスクレイピー及びウシ海綿状脳症(BSE)のような動物に影響することが知られたプリオン病以外のものである。
[0035]なおもう一つの態様において、治療される神経変性タウオパシーは、パーキンソン病;アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS)、及び他のプリオン病以外のものである。
[0036]この態様の一つの側面において、バクテリオファージは、更に医薬的に受容可能な担体を含んでなる医薬的に受容可能な組成物の一部として患者に投与される。
[0037]この態様のもう一つの側面において、バクテリオファージは、WTファージである。この態様のなおもう一つの側面において、バクテリオファージは、野生型バクテリオファージである。
[0038]一つの態様において、線維状バクテリオファージは、鼻腔内に投与される。理論に束縛されるものではないが、出願人等は、鼻腔内投与が、これらのバクテリオファージが血液脳関門を通過することを可能にすると信じている。次いでファージは、ファージの細胞内分解によって、並びに末梢器官に対する不都合な影響を伴わず尿及び糞からの排除によって、脳及び身体から排除される。
[0039]もう一つの態様において、線維状バクテリオファージは、対象者の脳に直接投与される。“脳への直接”投与は、脳それ自体への注射又は注入、例えば頭蓋内投与、並びに脳脊髄液への注射又は注入を含む。この態様の一つの側面において、投与は、くも膜下腔内注射又は注入、脳室内注射又は注入、実質内注射又は注入、或いは側脳室内注射又は注入による。更に具体的な側面において、投与は、実質内注射;側脳室内注射;又は側脳室内注入による。
[0040]なおもう一つの態様において、本発明において使用される線維状バクテリオファージはWT M13である。更に具体的な態様において、本発明において使用される線維状バクテリオファージは、野生型M13である。
[0041]本明細書中に詳述される方法は、患者が特別な記述された治療を必要とすると特定される方法も含む。このような治療を必要とする患者を特定することは、患者又は医療専門家の判断であることができ、そして主観的(例えば、意見)又は客観的(例えば、試験又は診断法によって測定可能)であることができる。
医薬組成物
[0042]関連する態様において、本発明は、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル;(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示していない線維状バクテリオファージを活性成分として含んでなる、神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性を治療することにおいて使用するための医薬組成物(例えば、パイロジェンフリー)を提供する。この態様のある側面において、組成物中の線維状バクテリオファージは、その表面上にいずれもの非線維状バクテリオファージポリペプチドを提示していない。この態様の更に具体的な側面において、線維状バクテリオファージは、WT線維状バクテリオファージである。この態様のもう一つの更に具体的な側面において、線維状バクテリオファージは、野生型線維状バクテリオファージである。この態様のなおもう一つの具体的側面において、線維状バクテリオファージは、WT M13バクテリオファージである。この態様の更に具体的な側面において、線維状バクテリオファージは、野生型M13バクテリオファージである。
[0043]薬物の処方及び投与のための技術は、最新版の“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,PA中に見出すことができ、これは、本明細書中に参考文献として援用され、そして当技術において公知である。
[0044]投与の適した経路は、例えば、経鼻、又は筋肉内、皮下及び髄内注射含む非経口送達、並びに脳への直接投与、例えば、頭蓋内投与、並びに脳脊髄液への注射又は注入を含むことができる。この態様の一つの側面において、投与は、くも膜下腔内注射又は注入、脳室内注射又は注入、実質内注射又は注入、或いは側脳室内注射又は注入による。更に具体的な側面において、投与は、実質内注射;側脳室内注射;又は側脳室内注入による。
[0045]本発明の医薬組成物は、当技術において周知の方法によって、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、ドラジェ製造、ゲル化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥法によって製造することができる。
[0046]このような本発明による使用のための医薬組成物は、活性成分の、医薬的に使用することができる調製物への加工を容易にする賦形剤及び補助剤を含んでなる、一つ又はそれより多い生理学的に受容可能な担体を使用して、慣用的な様式で処方することができる。適切な処方は、選択される投与の経路による。
[0047]注射のために、本発明の活性成分は、水溶液中に、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理学的塩緩衝液のような生理学的に適合性の緩衝液中に処方することができる。経粘膜投与のために、透過される障害に対して適当な浸透剤が処方中に使用される。このような浸透剤は、一般的に当技術において既知である。
[0048]鼻腔吸入による投与のために、本発明による使用のための活性成分は、適した噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン又は二酸化炭素の使用を伴う、加圧パック或いは噴霧器からのエアゾール噴霧供給の形態で好都合には送達される。吸入噴霧におけるような加圧パック又は噴霧器を必要としない経鼻噴霧は、別の方法として鼻腔内投与のために使用することができる。加圧エアゾールの場合、投与量単位は、計量された量を送達するための弁を用意することによって決定することができる。ディスペンサーに使用するための、化合物の粉末混合物及びラクトース又はデンプンのような適した粉末基剤を含有する、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジを処方することができる。
[0049]本明細書中に記載される調製物は、非経口投与、又は例えば、ボーラス注射又は連続注入による脳への直接投与のために処方することができる。注射のための処方は、単位剤形、例えば、アンプル又は多数回投与容器で、所望により保存剤を加えて与えることができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳液であることができ、そして懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような処方剤を含有することができる。
[0050]非経口投与又は脳への直接投与のための医薬組成物は、水溶性の形態の活性調製物の水溶液を含む。更に、活性成分の懸濁液は、適当な油性又は水基剤注射懸濁液として調製することができる。適した親油性溶媒又はビヒクルは、ゴマ油のような脂肪油、又はオレイン酸エチルのような合成脂肪酸エステル、トリグリセリド或いはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランのような、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有することができる。所望により、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために、適した安定剤又は活性成分の溶解性を増加させる薬剤も含有することができる。
[0051]別の方法として、活性成分は、使用前に適したビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水基剤溶液による構成のための、粉末の形態であることができる。
[0052]本発明の方法の状況において使用するために適した医薬組成物は、活性成分(複数可)を意図する目的を達成するために有効な量で含有する組成物を含む。更に具体的には、有効な量は、神経変性タウオパシーを治療するために有効な活性成分(複数可)の量を意味する。
[0053]治療的に有効な量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
[0054]投与量及び間隔は、特定の神経変性タウオパシーを治療するために十分である線維状バクテリオファージの脳内レベル(最小有効濃度、MEC)を与えるために、個々に調節することができる。MECは、それぞれの調製物及びそれぞれの特定の神経変性タウオパシー、並びに疾病の重篤度に対して変化するものであるが、しかしin vitroのデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴に依存するものである。
[0055]幾つかの態様において、興味ある領域(例えば、病的タウ凝集物を含有する領域)におけるMECは、約10−1013個の線維状ファージ粒子/組織mlである。理論に束縛されるものではないが、出願人等は、このMECを達成するために必要な投与量は、投与当たり約1010−1015個のファージ粒子であると信じる。更に具体的な態様において、それぞれの投与におけるファージの投与量は、約1012−1015個のファージ粒子である。
[0056]投与間隔も、MEC値を使用して決定することができる。調製物は、治療の過程中の10−90%の時間、好ましくは30−90%間の時間、そして最も好ましくは50−90%間の時間、MECより上の脳内レベルを維持する投与計画を使用して投与されるべきである。投与の回数は、治療される疾病の種類及び重篤度によって変わるものである。幾つかの態様において、投与は、症状の改善が達成されるまで、少なくとも月一回であるものである。他の態様において、投与は、2ヶ月毎に一回、3ヶ月毎に一回、4ヶ月毎に一回、6ヶ月毎に一回又は年に一回であるものである。
[0057]患者における治療される神経変性タウオパシーの重篤度及び反応性によるが、投与は、一回、或いは数日から数週間又は神経変性タウオパシー状態の減少が達成されるまで継続される治療の過程で、複数回の投与であることができる。
[0058]投与される組成物の量は、勿論、治療される対象、苦痛の重篤度、担当医師の判断、等に依存するものである。
[0059]本発明の方法において使用される組成物は、所望する場合、活性成分を含有する一つ又はそれより多い単位剤形を含有することができるFDA認可キットのような、パック又はディスペンサー装置で与えられてもよい。パック又はディスペンサー装置は、投与のための説明書を伴うことができる。パック又はディスペンサーは、医薬物の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式で、容器に伴う通知によって便宜を図られることもでき、この通知は、組成物の形態、或いはヒト又は獣医学的投与の機関による認可を反映する。このような通知は、例えば、処方薬に対する米国食品医薬品局によって認可されたラベル又は認可された添付文書であることができる。適合性の医薬的担体中に処方された本発明の調製物を含んでなる組成物は、指示された症状の治療のために、上記で更に詳細に記述したように、調製し、適当な容器に入れ、そしてラベルを付けることもできる。
[0060]ここに本発明を一般的に記載してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することにより更に容易に理解されるものであり、これらは、例示として提供されるものであり、そして本発明を制約することを意図するものではない。
実施例1
遺伝子導入マウスにおけるタウ蓄積に対する線維状ファージ活性
材料及び方法
[0061]動物:これらの実験に、成獣のマウス3xTg−AD系統(Oddo et al.,2003)及びrTg4510マウス(Santacruz et al.,2005)を使用した。ホモ接合3xTgマウス及び野生型非遺伝子導入(NonTg)マウスのコロニーを、テルアビブ大学の動物飼育施設で確立した。三重の遺伝子導入ADマウスモデル(3xTg−AD)は、二つの家族性AD関連遺伝子変異、変異ヒトアミロイド前駆体タンパク質遺伝子/プレセニリンタンパク質1遺伝子(APPKM670/671NL/PS1M146V)、及びタウ遺伝子変異(TauP301L)を有する。モデルは、年齢依存様式の認知機能障害を伴うプラーク及びタングル病態の両方を発生する。オスの生後13ヶ月のrTg4510+のタウ遺伝子導入マウス(n=5)は、Ed Stern(バル−イラン大学、イスラエル)によって親切にも寄贈された。rTg4510遺伝子導入マウスは、FTDP−17に関連づけられた変異(P301L)ヒトタウタンパク質を、皮質、辺縁系、及び基底核に特異的に過剰発現する。モデルは、生後5.5ヶ月までに海馬の急速進行性ニューロン喪失を伴う、空間記憶欠損、及びタウの特徴的な64kDaの異常に過剰リン酸化された4R0Nアイソフォームの形成、並びに神経原線維変化(NFT)の増加によって特徴づけられる。全ての実験のプロトコルは、テルアビブ大学の実験動物委員会によって認可され、そして全ての動物実験法は、施設内動物実験倫理委員会の指針に従って行った。動物を、12/12時間の明/暗条件で、食料及び水は自由に利用可能な条件で、ケージ当たり5匹で飼育した。
[0062]実験方法:生後15ヶ月のAD 3XTgマウス(n=4)及び生後13ヶ月のrTg4510マウス(n=5)に、2μlの野生型ファージM13(1×1014個ビリオン/ml)を同側的に注射し、そして内部対照として0.01MのPBSを対側的に注射した。簡単には、マウスをケタミン(100mg/kg)/キシラジン(10mg/kg、腹腔内)で麻酔し、加温カーペット上の定位固定装置(Narishige,Scientific instrument Lab,SRS−5)上に置いた。マウスを固定した。鎮静作用を、穏やかなつま先挟み引き抜き反応を使用してモニターした。温度調節を、サーモスタット制御の加熱パッドにより提供し、そして腹部温度計でモニターした。頭部の下毛を剃り、ヨードで清浄にし、そして皮膚の切開(マウスに対し長さ1cm)を無菌のメスで行い、そして全ての軟組織を、頭蓋骨の表面から除去した。32g針を持つHamiltonシリンジを、十字縫合との関連で置いた。齧歯類手術のために設計された電池式ドリル(Fine Science Tools,Inc.)で頭蓋骨を通して孔をあけた。ドリルの歯が髄膜又は血管を貫通しないように注意を払った。
[0063] Franklin and Paxinos,1997(The Mouse Brain in Stereotaxic Coordinates,Academic Press)によって確立された定位座標は:十字縫合−2.5mm;ニューロン間(Interneural)2mm;背腹部2mmであった。予熱された0.9%食塩水の乳酸リンゲルのボーラス(3ml皮下)を、手術の終りに脱水状態を防止するために与えた。ブプレノルフィン(0.1−0.5mg/kg皮下)を一回投与した。随伴及び術後感染を防止し、そして回避するために抗生物質注射(テトラサイクリン5mg/kg腹腔内)を投与した。
[0064]手術後、動物をそのケージに収容し、食事及び水を自由に利用させた。1週間後、マウスをCOへの暴露によって殺し、そしてその脳を収集し、4%パラホルムアルデヒドへの浸漬によって固定し、続いて30%スクロースで凍結保護し、乾燥酸化窒素によって冷凍し、そしてクライオスタットによって体軸方向の冠状軸で25μmに切断し、そして0.1Mのリン酸緩衝液中の30%グリセリン、30%エチレングリコールからなる−20℃の溶液中で、組織学的免疫組織化学的検査のために加工されるまで保存した。
[0065]ThS染色:タウ病態に対するファージM13治療の効果を、改良チオフラビン−S(ThS)法(Sun et al.,2002)を使用して評価した。暗所における8分のインキュベーションのために切片を、ThS(50%エタノール中の0.01%)中に浸漬し、次いで80%エタノールに10秒間2回浸し、dHOで洗浄し、そしてマウントした。
[0066]免疫組織化学的検査:脳組織を、浮動性切片として加工し、そして抗NeuN及び抗タウAT8抗体で染色した。全ての抗体を、0.1%のTriton X−100、0.05%のTween20を含有するpH7のTBS(TBS)で希釈した。一次抗体も更に3%のロバ血清で補充した(TBS++)。使用した一次抗体は:マウスα−ニューロン特異的核タンパク質;(NeuN)(1:200;ZymedTM,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)であり;抗−PHF−タウ抗体クローンAT8は、Ser202及びThr205、セリン199及び202、並びにセリン205及び208で二重にリン酸化されたPHF−タウを検出することが示されていた(1:250,Innogenetics,Ghent,.Belgium)。広範囲なポリマー−HRP(既製品、Invitrogen,Carlsbad,CA)を、光学顕微鏡のための二次抗体として使用し、そして3,3−ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB kit,Vector Laboratories inc.Burlingame,CA)で現像した。
[0067]注射の部位並びに注射の部位に近位及び遠位のそれぞれ100μm増分からの浮動性切片を、それぞれ動物から採取した。切片を、リン酸緩衝液中で3×10分、そしてTris緩衝生理食塩水(TBS)中で3×10分間洗浄して、凍結保護剤を除去し、続いて無水メタノール中の3%のHで10分間、内因性ペルオキシダーゼ活性をクエンチした。90%ギ酸による抗原の回収(5分、室温)は、AT8抗体に対してのみ適用した。切片を、10分間UV Block(既製品、ThermoFisher,MI,USA)で、そして更に30分間PBS中の10%胎児ウシ血清で室温でブロッキングし、そして続いて一次抗体と共にオービタルシェーカーで、45RPMでo.n.インキュベーションした。写真プラスポリマー−HRP(Picture plus Polymer-HRP)を20分間適用し、そして次いでDABで現像した。
[0068]画像解析:顕微鏡評価を、ライカDMLB顕微鏡を×400の倍率で使用して行った。十字縫合から−2.8及び−3.5のレベルにおける明確に定義された二枚の冠状切片の画像は、それぞれ、CCDカラービデオカメラ(ProgRes C14,Jenoptic,Jena,Germany)により取得し、そしてImageJツールソフトウェア(NIH)で解析した。全タウ負荷を、切片の全面積のThSで染色された面積のパーセントとして測定し、そして表示した。結果を、二つの切片の平均タングル負荷として提示する。リン酸化タウ病態に対するファージM13注射の効果を、3xTgマウスの海馬領域当たりのAT8細胞を数えることによって評価した。海馬のCA1領域のNeuNニューロンの面積当たりの明示された物を、3xTgマウスについて推定した。
[0069]統計的解析:データは、本文中に平均±SEMとして提示してある。群間の統計的差は、群間(Tg対照対Tg処置)の計画された比較を伴う両側t検定によって決定した。三つ又はそれより多い変数の解析に対して、一元配置Anovaを使用し、続いて事後比較検定を行った。全ての解析において、P<0.05を有意と考えた。統計的解析は、SPSSソフトウェア(SPSS Inc.,Chicago,Illinois)を使用して行った。
結果
3xTgマウスにおけるリン酸化タウに対するファージM13の効果
[0070]脳のタウタングルに対する処置の効果を評価するために、脳を抗タウAT8抗体で免疫染色した(図1)。海馬領域当たりのタングルの数を計算し、そしてM13の注射を受けた3XTgマウスの海馬において、PBSで処置した大脳半球と比較して、有意に減少した(AT8陽性細胞)ことを示した(図2)。
rTg4510 マウスにおける脳のタングル負荷に対するファージM13の効果
[0071]全大脳半球面積当たりのThS染色タングル(図3A−3D)によって占められた面積の測定は、海馬領域におけるタングル負荷の減少に対する強い傾向(p=0.07)、及びファージM13で処置した大脳半球の皮質における、PBS処置に対して有意な減少(p=0.025)を示した(図3E)。
3xTgマウスにおけるThSプラーク負荷に対するファージM13の有益な効果。
[0072]3xTgマウスにおけるThS染色プラークの定量的画像解析は、ファージM13で処置した大脳半球におけるアミロイドプラーク負荷の、PBSで処置した大脳半球に対して26%の減少を示した(図4A−4C)。ThS染色プラーク負荷の減少は、ファージM13で処置された大脳半球に関して、海馬台において観察された。更に、処置した大脳半球におけるアミロイドプラークは、小さい大きさを有していた。
3xTgマウスにおけるNeuN標識化に対するファージM13の効果。
[0073]NeuN負荷の定量的画像解析は、ファージ処置(図5B)及びPBS処置(図5A)の大脳半球間で、殆ど同様なNeuN陽性ニューロン分布を示した。両方の大脳半球におけるNeuN負荷の面積の%を図5Cに示す。この結果は、ファージの海馬内注射が、PBSと同様にニューロンに対して毒性ではなかった証拠を提供する。
[0074]上記の実験の結果から、以下のように結論付けることができる:
1.ファージM13注射は、3xTgマウスにおけるAT8陽性細胞の数を有意に減少させる。
2.ファージM13注射は、rTg4510マウスの脳におけるタングル負荷に対して有意に有益な効果を有する。
3.ファージM13注射は、3xTgマウスにおけるアミロイドプラーク負荷の減少を起こした。
4.ファージM13注射は、3xTg遺伝子導入及び正常なC57/Bマウスの大脳半球間のNeuN標識化に対して影響を持たなかった。この発見は、残存するニューロンの数がPBSと同様であることから、ファージM13が毒性ではないことを示唆する。
5.ファージ及びPBS処置大脳半球間のNeuN染色の類似性は、効果が、タウ病態に対するファージの直接的影響から起こることを示唆する。
[0075]従って、ファージM13は、タウに対して直接的な有益な効果を有し、そしてタウTgマウスにおけるタングル負荷の減少は、in vivoのタウに対する直接的ファージ作用に対する証拠を提供する。
実施例2
線維状ファージで処置されたタウ原線維の脱凝集
[0076]酢酸セルロース膜フィルターは、タウの原線維コンフォーマーを選択的に保持する。アミロイド様タンパク質凝集体のフィルター遅延アッセイに対する本来のプロトコルの一つは、Wanker et al.(1999)である。
材料及び方法
[0077]タウ線維の調製:タウ線維を、Margittai and Langen(2006)中に記載されているように構築した。
[0078]タウ線維を、異なった濃度(1×1012及び1×1013ファージ/ml)の野生型M13バクテリオファージを含有するPBS(最終濃度2.5μM)中に希釈し、そして3日間37℃でインキュベートした。反応の終りに、タウ原線維の一連の希釈物を、クロスβシートアミロイドを選択的に保持する酢酸セルロース膜フィルターを通す濾過にかけ、続いて免疫ブロット(一次抗体を、供給者によって記載されているように、5%の脱脂乳中に1時間室温で希釈した;二次抗体:Sigma Fine Chemicals,St.Louisからの抗マウスIgGペルオキシダーゼ複合体を、5%の脱脂乳中に1:30000に1時間室温で希釈した)して、タウ線維の脱凝集を定量するためにフィルターに保持されたタウ線維の量を示した。免疫ブロットのために使用した抗体は、f−タウを検出するための抗タウ抗体EP2456Y(Millipore)であった。
結果
[0079]図6に示すように、M13は、タウの原線維を、濃度依存様式で、酢酸セルロース膜フィルターによって保持できない脱凝集された/分離された種に転換する。
[0080]ここに、本発明を完全に記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、そして過度の実験を伴わずに、広い範囲の等価なパラメーター、濃度、及び条件内で、本発明を行うことができることは当業者によって認識されるものである。
[0081]本発明は、その具体的な態様に関連して記載されてきたが、更なる改良が可能であることは理解されるものである。本出願は、一般的に本発明の原理に従う本発明のいずれもの変更、使用又は適合を包含し、そして本発明が属する当技術内の既知の又は通例の習慣となるような、そして付属する特許請求の範囲の範囲中に以下のように記載される、本明細書中の先の本質的特徴に適用することができるような本開示からの逸脱を含むことを意図している。
[0082]公開された学術論文又は要約、或いは対応する米国又は外国特許出願、米国又は外国で発行された特許、或いは他の参考文献を含む本明細書中に引用される全ての参考文献は、引用された参考文献中に提示された全てのデータ、表、図面、及び本文を含み本明細書中に参考文献として全体的に援用される。更に、本明細書中に引用される参考文献内に引用された参考文献の全体の内容も、更に参考文献として全体的に援用される。
[0083]既知の方法の工程、慣用的な方法の工程、既知の方法又は慣用的な方法に対する言及は、本発明のいずれもの側面、記載又は態様が、如何なる方法においても、関連する技術において開示され、教示され、又は示唆されていることの承認ではない。
[0084]具体的な態様の前記の説明は、他のものが、当業の知識を適用することによって(本明細書中に引用した参考文献の内容を含み)、このような具体的な態様を、過度の実験を伴わず、本発明の一般的概念から逸脱することなく、各種の適用のために容易に改変及び/又は適合することができるように、本発明の一般的特質を完全に明らかにするものである。従って、このような適合及び改変が、本明細書中に提示される教示及び指針に基づく開示された態様の等価物の意義及び範囲内であることは意図されている。本明細書中の用語又は術語は、本明細書の術語又は用語が、本明細書中に提示される教示及び指針に照らして、当業者の知識と組合せて当業者によって解釈されるように、説明の目的のためであり、そして制約の目的ではないことは理解されることである。
参考文献
Gendron et al.,Molecular Neurodegeneration,Molecular Nerodegneration,4:(13)1−19(2009)
Hanger et al.,Tau phosphorylation:the therapeutic challenge for neurodegenerative disease,Trends in Molecular Medicine,pages 1−8(2009)
Humphries,Peptide recognition motifs involved in the binding of integrins to their ligands,Kidney International,41:645−649(1992)
Koivunen et al.,“Inhibition of β integrin−mediated leukocyte cell adhesion by leucine−leucine−glycine motif−containing peptides, The Journal of Cell Biology,153(5):905−915(2001)
Kosfeld et al.,“Identification of a new cell adhesion motif in two homologous peptides from the COOH−terminal cell binding domain of human thrombospondin”The Journal of Biological Chemistry,268(12):8808−8814(1993)
Lee et al.,Neurodegenerative Tauopathies, Annu.Rev.Neurosci.,24:1121−1159(2001)
Lee,E N,Cho,H.J,Lee,C.H.,Lee,D,Chung,K.C,& Palk,S.R.Phthalocyanine tetrasulfonates affect the amyloid formation and cytotoxicity of alpha−synuclein.Biochemistry,43:3704−3715(2004)
Oddo et al.,Neuron,39(3):409−421(2003)
Pritchard et al.,The toxicity of tau in Alzheimer disease:turnover,targets and potential therapeutics,J.Cell.Mol.Med.,15(8):1621−1635(2011)
Wanker et al.,Methods Enzymol.309:375−386(1999)
Margittai and Langen,Meth.Enzymol.413:122−139(2006)
Santacruz et al.,Science,309(5733):476−481(2005)
Sun et al.,J.Histochem.Cytochem.,50(4):463−472(2002)。

Claims (25)

  1. 神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性の治療において使用するための線維状バクテリオファージであって、ここで、前記線維状バクテリオファージは、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル、(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示しておらず、但し、前記神経変性タウオパシーが、早期発症型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、及び前駆症状性アルツハイマー病を含むアルツハイマー病;クールー病;クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD);ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS);他のプリオン病、又はパーキンソン病ではないことを条件とする、前記線維状バクテリオファージ。
  2. 前記線維状バクテリオファージが、その表面にいずれもの非線維状バクテリオファージポリペプチドを提示していない、請求項1に記載の線維状バクテリオファージ。
  3. 野生型線維状バクテリオファージである、請求項1に記載の線維状バクテリオファージ。
  4. M13、f1、及びfdバクテリオファージ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される線維状バクテリオファージである、請求項1−3のいずれか1項に記載の線維状バクテリオファージ。
  5. 野生型M13バクテリオファージである、請求項1−4のいずれか1項に記載の線維状バクテリオファージ。
  6. 前記神経変性タウオパシーが、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症からなる群から選択される、請求項1−5のいずれか1項に記載の線維状バクテリオファージ。
  7. 脳への直接投与のための医薬中に処方される、請求項1−6のいずれか1項に記載の線維状バクテリオファージ。
  8. 実質内注射又は注入、側脳室内注射、くも膜下空間への注射、或いは側脳室内注入のための医薬中に処方される、請求項1−6のいずれか1項に記載の線維状バクテリオファージ。
  9. 神経変性タウオパシー又は神経変性タウオパシーに対する感受性の治療において使用するための医薬組成物であって、請求項1−8のいずれか1項に記載の線維状バクテリオファージ、及び医薬的に受容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を含み、但し、前記神経変性タウオパシーが、早期発症型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、及び前駆症状性アルツハイマー病を含むアルツハイマー病;遺伝性アイスランド症候群;クールー病;クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD);ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS);他のプリオン病、致死性家族性不眠症(FFI)又はパーキンソン病ではないことを条件とする、前記組成物。
  10. 患者におけるタウタンパク質の原線維の形成を減少させるか又はタウタンパク質の先に形成されている原線維を脱凝集させるための方法であって、繊維状バクテリオファージを、タウタンパク質の原線維の形成を減少させるか又はタウタンパク質の先に形成されている原線維を脱凝集させることを必要とする前記患者に投与することを含み、ここで:
    前記患者は、早期発症型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、及び前駆症状性アルツハイマー病を含むアルツハイマー病;SAAアミロイドーシス;遺伝性アイスランド症候群;老衰;多発性骨髄腫;クールー病;クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD);ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS);他のプリオン病、致死性家族性不眠症(FFI)又はパーキンソン病に罹っておらず、そして
    前記線維状バクテリオファージは、(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル、(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示していない、前記方法。
  11. 前記線維状バクテリオファージが、その表面にいずれもの非線維状バクテリオファージポリペプチドを提示していない、請求項10に記載の方法。
  12. 前記線維状バクテリオファージが、野生型線維状バクテリオファージである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記線維状バクテリオファージが、M13、f1、及びfdバクテリオファージ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される線維状バクテリオファージである、請求項10−12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記線維状バクテリオファージが、野生型M13バクテリオファージである、請求項10−13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記患者が、神経変性タウオパシーに罹っているか、又は神経変性タウオパシーに対して感受性であり、前記タウオパシーが、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症からなる群から選択される、請求項10−14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記患者への投与が、脳に直接的である、請求項10−15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記患者への投与が、実質内注射又は注入、側脳室内注射、くも膜下空間への注射、及び側脳室内注入から選択される、請求項10−15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 患者におけるアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD);ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS);他のプリオン病、又はパーキンソン病以外の神経変性タウオパシーを治療するための方法であって、下記を含んでなる医薬的に受容可能な医薬組成物を、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD);ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病(GSS);他のプリオン病、又はパーキンソン病以外の神経変性タウオパシーの治療を必要とする前記患者に投与する段階を含んでなる、方法:
    (a)(i)哺乳動物細胞内部移行シグナル、(ii)βアミロイド抗原又はβアミロイドに対する抗体、或いは(iii)タウタンパク質抗原又はタウタンパク質に対する抗体を提示していない、線維状バクテリオファージ;及び
    (b)医薬的に受容可能な担体。
  19. 治療される神経変性タウオパシーが、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、ボクサー認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、ハラーフォルデン−シュパッツ病、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、進行性皮質下神経膠症、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記線維状バクテリオファージが、その表面にいずれもの非線維状バクテリオファージポリペプチドを提示していない、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 前記線維状バクテリオファージが、野生型線維状バクテリオファージである、請求項18又は19に記載の方法。
  22. 前記線維状バクテリオファージが、M13、f1、及びfdバクテリオファージ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される線維状バクテリオファージである、請求項18−21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記線維状バクテリオファージが、不活化線維状バクテリオファージである、請求項18−22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記患者への投与が、脳に直接的である、請求項18−23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記患者への投与が、実質内注射又は注入、側脳室内注射、くも膜下空間への注射、及び側脳室内注入から選択される、請求項18−23のいずれか1項に記載の方法。
JP2013558087A 2011-03-11 2012-03-12 神経変性タウオパシーを治療するための方法 Pending JP2014509514A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161451948P 2011-03-11 2011-03-11
US61/451,948 2011-03-11
US201161492059P 2011-06-01 2011-06-01
US61/492,059 2011-06-01
US201261583816P 2012-01-06 2012-01-06
US61/583,816 2012-01-06
PCT/US2012/028762 WO2012125555A1 (en) 2011-03-11 2012-03-12 Method for treating neurodegenerative tauopathy

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014509514A true JP2014509514A (ja) 2014-04-21

Family

ID=45876927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013558087A Pending JP2014509514A (ja) 2011-03-11 2012-03-12 神経変性タウオパシーを治療するための方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US8980547B2 (ja)
EP (1) EP2683391B1 (ja)
JP (1) JP2014509514A (ja)
KR (1) KR20140051840A (ja)
CN (1) CN103476420A (ja)
AU (1) AU2012229222A1 (ja)
BR (1) BR112013023040A2 (ja)
CA (1) CA2829223A1 (ja)
WO (1) WO2012125555A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104093414A (zh) 2011-11-29 2014-10-08 神经噬菌体制药股份有限公司 噬菌体的p3作为淀粉样蛋白结合剂的用途
DK2906235T3 (en) 2012-10-02 2017-09-25 Proclara Biosciences Inc USE OF P3 OF BACTERIOPHAGIC FUSION PROTEINS AS AMYLOID BINDING AGENTS
EA030389B1 (ru) 2013-05-28 2018-07-31 Проклара Байосайенсиз, Инк. ПОЛИПЕПТИДЫ, СОДЕРЖАЩИЕ ИЗМЕНЕННУЮ АМИНОКИСЛОТНУЮ ПОСЛЕДОВАТЕЛЬНОСТЬ g3p БАКТЕРИОФАГА С ПОНИЖЕННОЙ ИММУНОГЕННОСТЬЮ
EP3227313B1 (en) 2014-12-03 2022-02-09 Proclara Biosciences, Inc. Polypeptides comprising a modified bacteriophage g3p amino acid sequence lacking a glycosylation signal
CN111630064B (zh) 2017-10-16 2023-06-27 卫材R&D管理有限公司 抗Tau抗体及其用途
CA3131805C (en) * 2019-03-01 2023-11-21 Ac Immune Sa Novel compounds for the treatment, alleviation or prevention of disorders associated with tau aggregates
CN110638797A (zh) * 2019-09-17 2020-01-03 深圳大学 白皮杉醇在制备预防和治疗神经退行性疾病的药物方面的应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6026432B2 (ja) 1977-11-24 1985-06-24 三井東圧化学株式会社 塗料組成物
US20030148404A1 (en) * 2000-07-27 2003-08-07 Ramot University Authority For Applied Research & Industrial Development Ltd. Peptides and substances, methods and devices using same for diagnosing and treating neurodegenerative disorders
PT1853285E (pt) 2005-02-01 2011-06-06 Univ Ramot Método para tratamento de inflamação associada a depósitos de amilóide e inflamação cerebral envolvendo microglia activada
CA2642473A1 (en) 2006-02-15 2007-08-23 Ramot At Tel Aviv University Filamentous bacteriophage displaying protein as a binder of antibodies and immunocomplexes for delivery to the brain
CN101553567A (zh) * 2006-07-21 2009-10-07 台拉维夫大学拉莫特 抑制或治疗与细胞内形成蛋白纤维状内含体或聚集体相关的疾病的方法
US20110182948A1 (en) * 2008-05-22 2011-07-28 Beka Solomon Method for treating disease characterized by plaque
MX2011005430A (es) 2008-11-24 2011-10-28 Univ Ramot Metodo para el tratamiento de la enfermedad de parkinson usando bacetriofago filamentoso.

Also Published As

Publication number Publication date
CN103476420A (zh) 2013-12-25
US20140086880A1 (en) 2014-03-27
WO2012125555A1 (en) 2012-09-20
AU2012229222A1 (en) 2013-09-12
BR112013023040A2 (pt) 2018-10-23
EP2683391B1 (en) 2015-05-06
CA2829223A1 (en) 2012-09-20
EP2683391A1 (en) 2014-01-15
KR20140051840A (ko) 2014-05-02
US8980547B2 (en) 2015-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8980547B2 (en) Method for treating neurodegenerative tauopathy
CN111448308A (zh) 递送aav的组合物和方法
US20090324554A1 (en) Method for inhibiting or treating a disease associated with intracellular formation of protein fibrillar or aggregates
US20110182948A1 (en) Method for treating disease characterized by plaque
US20230044351A1 (en) Apoe gene therapy
US20210038589A1 (en) Uses, compositions and methods
MX2011005430A (es) Metodo para el tratamiento de la enfermedad de parkinson usando bacetriofago filamentoso.
US20130195866A1 (en) Methods to inhibit neurodegeneration
US10882890B2 (en) Bipartite molecules and uses thereof in treating diseases associated with abnormal protein aggregates
JP7366249B2 (ja) タウタンパク質の蓄積、凝集及びタングル形成抑制用組成物及びその抑制方法
US9376466B2 (en) Peptide inhibitors of caspase 2 activation
US20170145055A1 (en) Peptide inhibitors of caspase 2 activation
RU2818590C1 (ru) Композиция и способ ингибирования накопления, агрегации и образования клубков тау-белка
EP4252750A1 (en) Pharmaceutical preservation of creb activation in the treatment of alzheimer's disease
JP2020524132A (ja) アルツハイマー病を治療するための組成物および方法
Fang SSH1 Impedes p62/SQSTM1 Flux and Tau Clearance Independent of Cofilin Activation
Gulisano A renewed vision for Amyloid beta and tau in Alzheimer s disease pathophysiology
Uddin et al. Tau propagation and autophagy
Xia et al. 14-3-3ζ Captures SET in the Cytoplasm, Mediating Tau Pathology and Cognitive Impairments
WO2024050560A1 (en) Compositions and methods for treating neurodegeneration
Ravvin The Biochemical Foundations of Alzheimer’s Disease and Potential for Immune Therapies
Sherer Recombinant Production of Aβ1-42 Peptide and Analysis of Interactions Between Aβ1-42 and Peptide Inhibitor NanoParticles (PINPs) Developed as a Potential Novel Treatment for Alzheimer’s Disease