JP2014508395A - 強化された性能指数を備えるハーフホイスラー合金および製造方法 - Google Patents

強化された性能指数を備えるハーフホイスラー合金および製造方法 Download PDF

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Abstract

1ミクロン未満のナノメートルの平均結晶粒サイズを有する熱電材料および熱電材料を製造する方法。本方法は、熱電材料の液体合金を形成するために熱電材料の構成元素を結合してアーク溶解する工程と、熱電材料の一体鋳物を形成するために熱電材料の液体合金を鋳造する工程と、を含む。本方法はさらに、熱電材料の一体鋳物をナノメートル規模の平均サイズ粒子にボールミル粉砕する工程と、ナノメートル規模の平均結晶粒サイズを有する熱電材料を形成するためにナノメートルサイズの粒子を焼結する工程と、を含む。

Description

本出願は、2010年12月20日に出願された米国仮特許出願第61/424,878号明細書の恩典を主張するものである。
本発明は、米国エネルギー省により授与された助成金番号第DOE DE−FG02−00ER45805(Z.F.R.)号の米国政府による支援を受けて実施された。よって米国政府は本発明に所定の権利を有する。
本発明は、熱電材料および詳細にはハーフホイスラー合金に関する。
ハーフホイスラー(HH)は、発電のための高温熱電材料として非常に有望な金属間化合物である。しかしHHの無次元熱電性能指数(ZT)は、ほとんどの最先端熱電材料の性能指数より低い。HHは、複合化合物:MCoSb(p型)およびMNiSn(n型)であり、MはTiまたはZrまたはHfまたはこれらの元素の2もしくは3つの組み合わせであってよい。それらはF4/3m(No.216)空間群を備える立方晶系構造に整列する。これらの相は1単位格子当たり18の価電子数(VEC)および狭いエネルギーギャップを備える半導体である。フェルミ準位は、価電子帯の上端をわずかに上回る。HH相は、中等度の導電率とともに相当に適正なゼーベック係数を有する。熱電材料の性能は、ZT=(Sσ/κ)T(式中、σは導電率、Sはゼーベック係数、κは熱伝導率、およびTは絶対温度である)によって規定されるZTに依存する。ハーフホイスラー化合物は、その高い出力因子(Sσ)に起因して優れた熱電材料であり得る。MNiSn相は並外れて高い出力因子を備える有望なn型熱電材料で、MCoSb相は有望なp型材料であると報告されている。近年、主として組成を最適化することによりハーフホイスラー化合物のZTを改良した様々なアプローチが報告されてきた。
しかし観察されたピークZTは、それらの相当に高い熱伝導率に起因して、p型についてはおよそ0.5およびn型については0.8に過ぎない。
一実施形態は、1ミクロン未満の平均結晶粒サイズを有する熱電材料を製造する方法に関する。本方法は、熱電材料の液体合金を形成するために熱電材料のアーク溶解構成元素を結合する工程と、該熱電材料の一体鋳物を形成するために該熱電材料の液体合金を鋳造する工程と、を含む。本方法はさらに、該熱電材料の該一体鋳物をナノメートル規模の平均サイズ粒子にボールミル粉砕する工程と、ナノメートル規模の平均結晶粒サイズを有する熱電材料を形成するために該ナノメートル規模のサイズの粒子を焼結する工程と、を含む。
また別の実施形態は、1ミクロン未満のメジアン結晶粒サイズおよび平均結晶粒サイズの少なくとも1つを有する結晶粒を含むハーフホイスラー熱電材料に関する。1つの態様では、本ハーフホイスラー材料は、式Hf1+δ−x−yZrTiNiSn1+δ−zSb(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0.1である)、例えば、Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、δ=0のとき0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0である)を有する。また別の態様では、本ハーフホイスラー材料は、式Hf1+δ−x−yZrTiCoSb1+δ−zSn(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0である)、例えばHf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、δ=0のとき0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0である)を有する。
(a)XRDパターン(下方の曲線:アーク溶解インゴット;中央の曲線:ボールミル粉砕粉末;上方の曲線:ホットプレスしたサンプル)、(b)アーク溶解インゴットのSEM画像、(c)差込み図のTEM画像を含むボールミル粉砕ナノ粉末、(d)ホットプレスしたHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルを示す図である。 ボールミル粉砕およびホットプレスによって作成されたナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの(a)低倍率および(b〜d)高倍率TEM画像を示す図である。b)の差込み図は、回転させた結晶粒1の結晶の性質を示す。d)の差込み図は、完全結晶構造としての結晶粒を示す。 以前報告された最良のn型ハーフホイスラー組成に適合するインゴットサンプル(白丸)と比較した、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプル(黒い四角形、三角形、および菱形)、ならびに800℃の空気中で12時間アニールしたサンプル(星形)(線は視認を誘導するためだけである)の(a)温度依存性導電率、(b)ゼーベック係数、(c)出力因子、(d)総熱伝導率、(e)格子熱伝導率、および(f)ZTを示す図である。 インゴットサンプル(白丸)と比較した、アーク溶解後ボールミル粉砕およびホットプレスしたHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプル(黒い四角形、三角形、および菱形)、ならびに800℃の空気中で12時間アニールしたサンプル(星形)の(a)温度依存性比熱容量および(b)熱拡散率を示す図である。 社内でアーク溶解およびボールミル粉砕した(点)および製造供給元でアーク溶解され、社内でボールミル粉砕した(線)、アーク溶解およびボールミル粉砕したHf0.75Zr0.25NiSn1−zSb(z=0.005、0.01、0.025)組成物の(図5a)温度依存性導電率、(図5b)ゼーベック係数、(図5c)出力因子、(図5d)熱伝導率、および(図5e)ZTを示す図である。 アーク溶解およびボールミル粉砕した(15時間、および1000℃でプレスした)Hf1−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0、0.25、0.5、0.65)の(図6a)温度依存性導電率、(図6b)ゼーベック係数、(図6c)熱伝導率、および(図6d)ZTを示す図である。 アーク溶解およびボールミル粉砕したHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01およびHf0.75Ti0.25NiSn0.99Sb0.01の(図7a)温度依存性導電率、(図7b)ゼーベック係数、(図7c)熱伝導率、および(図7d)ZTを示す図である。 ボールミル粉砕したHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2ナノ粉末の(a)低倍率および(b)中倍率TEM画像、(c)選択領域電子回折パターン、および(d)高倍率TEM画像を示す図である。(c)の選択領域電子回折パターンは、(b)の凝集クラスターの多結晶の性質を示す。 ホットプレスしたナノ構造化Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2サンプルのTEM画像を示す図である((a)低倍率、(b、c、d)高倍率)。(a)の差込み図は、個別結晶粒の単結晶の性質を示す選択領域電子回折パターンである。 Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2材料についてインゴットと比較した、ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの温度依存性(a)導電率、(b)ゼーベック係数、(c)出力因子、(d)総熱伝導率、(e)格子部熱伝導率、および(f)ZTを示す図である。 Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2材料についてインゴットと比較した、ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの(a)温度依存性比熱および(b)熱拡散率を示す図である。 ボールミル粉砕時間がボールミル粉砕およびホットプレスしたHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の温度依存性(a)導電率、(b)ゼーベック係数、(c)出力因子、(d)総熱伝導率、(e)格子部熱伝導率、および(f)ZTに及ぼす作用を示す図である。 Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0、0.25、0.5、および0.65)のサンプルのXRDパターンを示す図である。 Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01(図14aおよびb)ならびにHf0.5Ti0.25Zr0.25NiSn0.99Sb0.01(図14cおよびd)のTEM画像を示す図である。 以前報告された(Hf、Zr)系の最良のn型ハーフホイスラーHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01と比較した、ナノ構造化Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0.25、0.5、および0.65)の(a)温度依存性導電率、(b)ゼーベック係数、(c)熱拡散率、(d)比熱容量、(e)熱伝導率、および(f)ZTを示す図である。 室温でのナノ構造化Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0、0.25、0.5、および0.65)のキャリア濃度および移動度を示す図である。 プレスしたままのHf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3および0.5)サンプルの(a)XRDパターンおよび(b)XRDパターンから引き出された格子パラメーターを示す図である。 プレスしたままのHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2サンプルの(a)SEM画像および(b〜d)TEM画像を示す図である。 Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3および0.5)サンプルの温度依存性(a)導電率、(b)ゼーベック係数、(c)出力因子、(d)熱伝導率、(e)格子熱伝導率、および(f)ZTを示す図である。室温でのHf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3および0.5)サンプルの格子熱伝導率が図19eの差込み図におけるHf1−xTiCoSbに関する分子動力学(MD)計算と比較してプロットされている。 Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2およびHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の温度依存性(a)導電率、(b)ゼーベック係数、(c)出力因子、(d)熱伝導率、(e)格子熱伝導率、および(f)ZTを示す図である。p型SiGeのZTは、比較のために図20fにも含まれている。
ナノコンポジットアプローチを用いたn型ハーフホイスラー材料の無次元熱電性能指数(ZT)における強化は、達成されている。1.0のピークZTは、600〜700℃で達成されたが、これは以前報告された最高値より約25%高い。一実施形態では、サンプルは、組成Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01のインゴットをナノ粉末にボールミル粉砕する工程と、該粉末を高密度バルクサンプルにDCホットプレスする工程と、によって製造された。インゴットは、該元素をアーク溶解する工程によって形成される。ZT強化は、主として結晶粒境界および結晶欠陥での増加したフォノン散乱に起因する熱伝導率の低下およびアンチモンドーピングの最適化による。
ナノコンポジット・ハーフホイスラー材料を使用することによって、本発明者らは、400℃を超える温度でp型ハーフホイスラー化合物における0.5〜0.8の35%より高いZTの改善を達成した。さらに、本発明者らは、同一ナノコンポジットアプローチによりn型ハーフホイスラー化合物において400℃を超える温度で0.8〜1.0のピークZTにおける25%の改善を達成した。ZT強化は、熱伝導率の低下だけではなく出力因子の増加にも起因する。これらのナノ構造化サンプルは、例えば、最初はアーク溶解する工程によって作成されるインゴットからボールミル粉砕したナノ粉末をDCホットプレスする工程によって調製することができる。一実施形態では、ホットプレスした高密度バルクサンプルは、結晶粒の少なくとも90%がサイズ500nm未満である300nm未満の平均結晶粒サイズを有する結晶粒を用いてナノ構造化される。一実施形態では、結晶粒は、平均サイズ10〜300nmである。一実施形態では、結晶粒は、平均サイズおよそ200nmである。典型的には、結晶粒は、ランダム配向を有する。さらに、多数の結晶粒は、結晶粒内にサイズ10〜50nm(例、径または幅)のナノドット封入体を含むことができる。
ハーフホイスラー材料の実施形態は、本材料がn型またはp型であるかにより、様々な量のHf、Zr、Ti、Co、Ni、Sb、Snを含むことができる。他の合金化元素、例えばPbも加えることができる。典型的なp型材料には、Co含有およびSbリッチ/SnプアHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2、Hf0.3Zr0.7CoSb0.7Sn0.3、Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2+1% Pb、Hf0.5Ti0.5CoSb0.8Sn0.2、およびHf0.5Ti0.5CoSb0.6Sn0.4が含まれるがそれらに限定されない。典型的なn型材料には、Ni含有およびSnリッチ/SbプアHf0.75Zr0.25NiSn0.975Sb0.025、Hf0.25Zr0.25Ti0.5NiSn0.994Sb0.006、Hf0.25Zr0.25NiSn0.99Sb0.01(Ti0.30Hf0.35Zr0.35)Ni(Sn0.994Sb0.006)、Hf0.25Zr0.25Ti0.5NiSn0.99Sb0.01、Hf0.5Zr0.25Ti0.25NiSn0.99Sb0.01および(Hf,Zr)0.5Ti0.5NiSn0.998Sb0.002が含まれるがそれらに限定されない。
インゴットは、所望の熱電材料を形成するために適切な比率で熱電材料の個別元素をアーク溶解する工程によって製造することができる。好ましくは、これら個別元素の純度は、99.9%である。より好ましくは、これらの個別元素の純度は、99.99%である。また別の実施形態では、2つ以上の個別元素は、最初に合金もしくは化合物に結合させ、該合金もしくは化合物はアーク溶解工程における出発材料の1つとして使用することができる。一実施形態では、ボールミル粉砕工程は、粒子の少なくとも90%がサイズ250nm未満である100nm未満の平均サイズを有するナノメートルサイズの粒子を備えるナノ粉末を生じる。また別の実施形態では、ナノメートルサイズの粒子は、5〜100nmの平均粒子サイズを有する。
本発明者らは、熱電材料の結晶粒サイズが小さくなるにつれて熱電材料の性能指数が改善されることを見いだした。本方法の一実施形態では、ナノメートル規模(1ミクロン未満)の結晶粒を備える熱電材料が製造される、つまり結晶粒の95%、例えば100%が1ミクロン未満の結晶粒サイズを有する。好ましくは、ナノメートル規模の平均結晶粒サイズは、10〜300nmの範囲にある。本方法の実施形態は、あらゆる熱電材料を作成するために使用することができる。また別の実施形態では、本方法は、ナノメートル規模の結晶粒を備えるハーフホイスラー材料を作成する工程を含んでいる。本方法は、p型およびn型両方のハーフホイスラー材料を製造するために使用することができる。一実施形態では、本ハーフホイスラー材料は、n型であり、式Hf1+δ−x−yZrTiNiSn1+δ−zSb(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0.1である)(わずかに非化学量論的材料を許容するため)、例えば、Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、δ=0のとき0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0である)(即ち、化学量論的材料に対して)を有する。また別の実施形態では、本ハーフホイスラーは、p型材料であり、式Hf1+δ−x−yZrTiCoSb1+δ−zSn(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0である)(わずかに非化学量論的材料を許容するため)、例えば、Hf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、δ=0のとき0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0である)(即ち、化学量論的材料に対して)を有する。
以下は、本発明の方法および熱電材料の実施例である。これらの実施例は具体例であり、限定を意図していない。
<n型ハーフホイスラー材料>
n型ハーフホイスラー材料は、アーク溶解工程を使用して組成Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01にしたがってハフニウム(Hf)(99.99%、Alfa Aesar社)、ジルコニウム(Zr)(99.99%、Alfa Aesar社)塊、ニッケル(Ni)(99.99%、Alfa Aesars社)、スズ(Sn)(99.99%、Alfa Aesar社)、およびアンチモン(Sb)(99.99%、Alfa Aesar社)片を溶解する工程によって調製した。溶解インゴットを、次に市販のフライス盤(SPEX 800Mミキサー/ミル)を用いて1〜50時間ミル粉砕し所望のナノ粉末を得た。機械により調製したナノ粉末は、次に900〜1,200℃で、ナノ構造化バルクハーフホイスラーサンプルを得るために12.7mmの中央円筒開口径を備えるグラファイトダイ内でdcホットプレスを使用してプレスした。
サンプルは、ナノ粒子の結晶度、均質性、平均結晶粒サイズ、および結晶粒サイズ分布を試験するためのX線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)、および透過型電子顕微鏡(TEM)によって特徴付けた。これらのパラメーターは、最終の高密度バルクサンプルの熱電特性に影響を及ぼす。これらのサンプルの体積密度は、アルキメデスキットを使用して測定した。
ナノ構造化バルクサンプルは、次に市販の装置(Ulvac社、ZEM−3)上での導電率およびゼーベック係数測定のために2mm×2mm×12mmのバー、100〜700℃でのレーザーフラッシュシステム(Netzsch社、LFA 457)上での熱拡散率測定のために適切な厚さの12.7mm径のディスク、および室温〜600℃での示差走査比色計(200−F3、Netzsch Instruments社)(700℃のデータポイントを外挿した)上での比熱容量測定のために適切な厚さの6mm径のディスクに切断した。次に、熱伝導率は、サンプルの熱拡散率、比熱容量、体積密度の積として計算した。サンプル調製工程の再現性およびナノ結晶バルクサンプルの測定値の信頼性を確証するため、組成毎に同一実験条件で3〜6回繰り返した。熱電特性は、同一実験条件下では5%の範囲内で再現性があることが見いだされた。3つの測定したナノ構造化サンプル(ラン1、2および3)の体積密度は、各々9.73、9.70、および9.65gcm−3であった。
実施形態では、ナノ構造化アプローチは、最高出力因子に対して導電率を最適化するためのアンチモン濃度の最適化とともに格子熱伝導率の低下のために使用されてきた。Hf0.75Zr0.25NiSn0.975Sb0.025組成のインゴットは0.8のピークZTを備える以前報告された最良のn型HHであるので、組成Hf0.75Zr0.25NiSn1−zSb(z=0.005、0.01、および0.025)のナノ構造化サンプルを調製および測定した。最良のZT値は、Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01組成物を用いて得られることが観察された。これは、ナノ構造化工程およびアンチモン濃度の最適化に起因すると考えられる。
組成Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01のn型ハーフホイスラーサンプルの温度依存性熱電特性についての結果は、下記に記す。図1は、XRDパターン(図1a)(下方の曲線:インゴット;中央の曲線:ボールミル粉砕粉末;上方の曲線:ホットプレスしたサンプル)、アーク溶解インゴットの破面SEM画像(図1b)、差込み図としてTEM画像を含むボールミル粉砕粉末のSEM画像(図1c)、およびホットプレスしたサンプルの破面のSEM画像(図1d)を示している。XRDパターン(図1a)は、サンプルがアーク溶解後に完全に合金化されており、ピークはハーフホイスラー相のピークと良好に適合することを明示している。図1bは、このインゴットが10マイクロメートル以上の範囲にわたる大きな粒子を有することを明示している。これらの大きな粒子はボールミル粉砕によっておよそ50nmの結晶粒サイズ(図1cの差込み図)を備えるナノ粒子に容易に破砕され(図1c)、ホットプレス工程中には有意な結晶粒成長が発生する(図1d)。さらにTEMは、ホットプレスしたサンプルのミクロ構造を試験するために実施されてきた。図2は、ホットプレスしたHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの低倍率(図2a)および高倍率(図2b〜d)TEM画像を示している。TEM画像(図2a)はSEM画像によって観察されたおよそ200〜300nmの範囲内の結晶粒サイズ、明白な結晶粒境界の存在(図2b、この差込み図は結晶粒1が画像撮影時の異なる配向のために非晶質に見える場合でも結晶質であることも示している)、マトリックス内の一部の沈降物もしくは凝集体(図2c)、および矢印によって指示された不連続の重度に歪んだ結晶格子(図2d)を確証している。小さな結晶粒、沈降物および歪んだ格子は、フォノン散乱における増加の可能性に起因するより低い熱伝導率のために望ましい。
図3a〜3fは、Culpらによって以前報告されたHf0.75Zr0.25NiSn0.975Sb0.025の組成を備える最良n型ハーフホイスラーサンプルの参照サンプルと比較して、Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01の組成を備える3つのボールミル粉砕およびホットプレスしたナノ構造化サンプル(同一方法によって調製される、ラン1、2および3)の温度依存性(図3a)導電率、(図3b)ゼーベック係数、(図3c)出力因子、(図3d)熱伝導率、(図3e)格子熱伝導率、および(図3f)ZTを示している。これらのナノ構造化およびインゴットサンプルは、同一測定システムによって測定した。図3aは、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの導電率がインゴットサンプルの導電率よりはるかに低いことを明白に示しているが、これは熱伝導率への低い電子的寄与のために望ましい。ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルのゼーベック係数は、インゴットサンプルと比較して高い(図3b)。これは、より低いドーピング(アンチモン)濃度によると考えられる。その結果として、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの出力因子は、参照Hf0.75Zr0.25NiSn0.975Sb0.025サンプルの出力因子とほぼ同一である(図3c)。しかし、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの熱伝導率は、参照Hf0.75Zr0.25NiSn0.975Sb0.025サンプルの熱伝導率より有意に低い(図3d)。ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの低い熱伝導率は、低い導電率と低い格子熱伝導率を生じさせると予想されるより強い結晶粒境界散乱の両方に起因する(図3e)。格子熱伝導率(κlattice)は、総熱伝導率(κtotal)からキャリア(κcarrier)およびバイポーラ(κbipolar)寄与を減じることによって計算し、キャリア寄与は温度依存性ローレンツ数を使用してウィーデマン−フランツの法則から得られ、バイポーラ寄与はT−1に比例するKlatticeによって考慮に入れられる。インゴットおよびナノ構造化サンプルはどちらも重度にドーピングされているので(縮退した半導体)、ローレンツ数を計算するためには単一帯域近似が使用される。結果として、600〜700℃でおよそ1.0のピークZTが観察され、これはインゴットサンプルのピークZTより約25%高い。そこで、0.8より大きい、例えば700℃で0.8〜1のZTを備えるn型ハーフホイスラー材料は、典型的方法を使用して製造される。ボールミル粉砕およびホットプレスによるこのZTの強化は、主として導電率および熱伝導率の低下に起因する。図3は、ナノ構造化サンプルの結果が実験誤差の範囲内で再現性があることを示している。図3は、アニーリング後の熱電特性における有意な低下を全く示さないアニールしたナノ構造化サンプル(ラン−1)の結果も含んでいる。サンプルは、800℃の空気中で12時間アニールした。これは、適用温度が700℃未満であると予想されるので、加速条件である。
さらに、参照Hf0.75Zr0.25NiSn0.975Sb0.025インゴットサンプルと比較した、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの(図4a)温度依存性比熱容量および(図4b)熱拡散率が図示されている。図4は、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの比熱容量がインゴットサンプルとほぼ同一であり(図4a)、これらの数値は比熱容量のデュロン・プティー値(実線)と相当に一致していることを明白に示している。しかしナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの熱拡散率は、小さな結晶粒サイズ作用および低い電子的寄与に起因してインゴットサンプルの熱拡散率より有意に低い(図4b)。
ナノ粒子のサイズはより高いZT値を達成するための熱伝導率低下に有用であるので、結晶粒をいっそう小さくすることによってn型ハーフホイスラー化合物のZTをさらに増加させることができる。これらの実験では、200nm以上の結晶粒(図2a)を製造した。しかし、結晶粒成長阻害剤を用いてホットプレス中に結晶粒成長を防止することによって100nm未満の結晶粒サイズを達成することができる。典型的な結晶粒成長阻害剤には、酸化物(例、Al)、炭化物(例、SiC)、窒化物(例、AlN)および炭酸塩(例、NaCO)が含まれるがそれらに限定されない。
費用効果率の高いボールミル粉砕およびホットプレス技術は、ZTを改善するためにn型ハーフホイスラーに適用されてきた。700℃での1.0のピークZTは、ナノ構造化Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルにおいて観察されているが、これは以前報告されたあらゆるn型ハーフホイスラーの最良ピークZTより約25%高い。ZTにおけるこの強化は、主としてナノ構造の結晶粒境界での増加したフォノン散乱に起因する熱伝導性の低下、および、低い電子熱伝導率をもたらすキャリア寄与の最適化に加えて、増加した電子出力因子の寄与の一部による。さらなるZTの改善は、結晶粒が100nm未満に製造されれば可能である。
組成、アーク溶解およびボールミル粉砕が他のn型熱電材料の熱電特性に及ぼす作用を図5〜7に示した。図5は、社内でアーク溶解およびボールミル粉砕した(点)および製造供給元でアーク溶解され、社内でボールミル粉砕した(線)、アーク溶解およびボールミル粉砕したHf0.75Zr0.25NiSn1−xSb(x=0.005、0.01、0.025)組成物の(図5a)温度依存性導電率、(図5b)ゼーベック係数、(図5c)出力因子、(図5d)熱伝導率、および(図5e)ZTを示している。ボールミル粉砕後に社内でアーク溶解した材料と、製造供給元でアーク溶解した材料との良好な一致は、ボールミル粉砕において達成された小さな結晶粒サイズが優れた熱電特性、特に性能指数を達成する際の主要因子であることを示している。図5eは、さらに性能指数(ZT)における10%の改善が0.0075≦x≦0.015である組成を用いて達成可能なことを示している。
図6は、アーク溶解およびボールミル粉砕した(15時間、および1,000℃でプレスした)Hf1−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0、0.25、0.5、0.65)の(図6a)温度依存性導電率、(図6b)ゼーベック係数、(図6c)熱伝導率、および(図6d)ZTにTiの添加が及ぼす作用を示している。Ti置換後、電気抵抗が最初に増加し、所定のTi濃度後には低下し始める。ゼーベック係数は、全Tiドーピングサンプルについて高温では低下する。これは、Ti置換後のキャリア濃度の低下を示している。Ti置換後、熱伝導率は低温では低下するが、高温では類似値に達する。これはキャリア濃度作用である。低Ti%(0.25)含有サンプルについてのピークZTは1.0であるが、より低い温度(500℃)へ変化する。ピークZTは、Tiの濃度が高くなるにつれて低下する。そこで、Ti無含有サンプルは、より高い温度(例、700℃)で最高ZT(ZT=1)を達成した。そこで、Ti≦0.5(例、0≦x≦0.3)を示すn型ハーフホイスラーサンプルは、より高い温度(例、700℃)で最高ZTを示す。
図7は、アーク溶解およびボールミル粉砕したHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01およびHf0.75Ti0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルの(図7a)温度依存性導電率、(図7b)ゼーベック係数、(図7c)熱伝導率、および(図7d)ZTを示している。ZrのTiとの置換により、電気抵抗率が増加する。しかしゼーベック係数は低温でのみ増加し、高温では低下する。キャリア濃度は、Ti置換により低下すると思われる。Zr含有サンプルの高温(600〜700℃)ZTは、Ti含有サンプルの高温ZTよりおよそ20%高い。
このため、図3、5、6、および7に示したように、n型熱電材料については、性能指数ZTは、400℃より高い温度では0.7超、好ましくは0.8超、例えば400〜700℃では0.7〜1である。例えば、ZTは、500℃以上の温度では0.8超、好ましくは0.9超、例えば500〜700℃では0.8〜1である。ZTは、600℃以上の温度では0.9超、例えば600〜700℃では0.9〜1である。ZTは、700℃では0.9以上(例、0.95〜1)である。
<p型ハーフホイスラー材料>
典型的な実験では、Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の組成を備えるアーク溶接合金インゴットを粉砕ボールを装備したジャー内に装填し、次に機械的ボールミル粉砕にかけた。様々なボールミル粉砕時間間隔で、少量のミル粉砕した粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)(JEOL社、2010)によるサイズ調査のために取り出した。これに対応して、ナノ粉末を直流誘導性ホットプレスによって径12.7mmのペレットに圧縮した。サンプルの結晶粒サイズを示すために走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL社、6340F)およびTEMによってプレスしたままのサンプルの新しく破砕された表面を観察した。
熱電特性を試験するために、約2×2×12mmの研磨されたバーならびに径12.7mm、厚さ2mmのディスクを製造した。バーサンプルを使用して導電率およびゼーベック係数を測定し、ディスクサンプルを使用して熱伝導率を測定した。4プローブ導電率およびゼーベック係数は、市販装置(ULVAC社、ZEM3)を使用して測定した。熱拡散率は、レーザーフラッシュシステム(LFA 457 Nanoflash、Netzsch Instruments社)を使用して測定した。比熱は、DSC機器(200−F3、Netzsch Instruments社)によって決定した。体積密度は、アルキメデス法によって測定した。熱伝導率は、熱拡散率、比熱、体積密度の積として計算した。不確実性は、導電率、熱拡散率および比熱については3%、ゼーベック係数については5%であり、これらはZTにおける11%の不確実性をもたらす。
実験は11回以上繰り返し、ピークZT値が5%の範囲内で再現性があることを確証し
た。
図8は、ボールミル粉砕したナノ粉末のTEM画像を示している。低倍率(図8a)および中倍率(図8b)TEM画像は、ナノ粉末の平均クラスターサイズが20nm〜500nmに及ぶことを示している。しかしこれらの大きなクラスターは、実際には多数のはるかに小さな結晶粉末粒子の凝集体であり、これは単一クラスター(図8b)の内側で得られた対応する選択領域電子回折(SAED)パターン(図8c)によって確証されている。高分解能TEM画像(図8d)は、小さな粉末粒子のサイズが5〜10nmの範囲にあることを示している。
図9は、ボールミル粉砕した粉末をプレスしたままのバルクサンプルのTEM画像を示している。低倍率TEM画像は図9aに提示されており、この図から結晶粒サイズが50〜300nmの範囲にあり、推定平均サイズは約100〜200nmであることが分かる。このため、ホットプレス工程中には有意な結晶粒成長が生じる。各個別結晶粒の選択領域電子回折(SAED)パターン(図9aの差込み図)は、個別結晶粒が単結晶であることを示している。高分解能TEM画像(図9b)は、各個別結晶粒の内側の良好な結晶性を証明している。図9cは、マトリックスの内側に包埋された1つのナノドット(即ち、小結晶封入体)を示しており、サイズ10〜50nm(例、幅または径)のそのようなドットは大多数の結晶粒において一般的に観察される。該ナノドットおよびその周囲領域両方の組成をエネルギー分散分光法(EDS)によって確認したところ、サンプルマトリックス(つまり、大きな結晶粒)に比較してナノドットについてのHFリッチおよびCo欠乏組成が証明された。サンプルに関するまた別の特徴は、EDSによって決定される周囲の大きな結晶粒と類似の組成を有する小結晶粒(約30nm)も一般的である(図9d)ことである。結晶粒サイズおよび組成両方における非一様性の全てが熱伝導率の低下に寄与すると考えられる。
インゴットと比較した、ホットプレスしたHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sb0.2バルクサンプルの温度依存性熱電(TE)特性は、図10にプロットした。試験したサンプル全て、導電率の温度依存性は半金属または縮退半導体挙動を示すことが見いだされた(図10a)。詳細には、全てのボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの導電率は、インゴットの導電率より低い。室温での移動度およびキャリア濃度は、各々3.86cm−1−1および1.6×1021cm−3と測定されている。移動度は以前報告された数値より低いが、キャリア濃度は高い。本発明者らのボールミル粉砕したサンプルの導電率は、より高い温度範囲では緩徐に低下する。ボールミル粉砕したサンプルのゼーベック係数(図10b)は、全温度範囲でインゴットのゼーベック係数より高い。これらの事実は、低エネルギー穴が優先的に結晶粒境界で散在している場合に結晶粒境界がサンプル内の穴の増加およびエネルギーフィルター処理効果をもたらすトラッピング電子であり得ることを強力に示している。ゼーベック係数における改善および導電率における僅かな低下の結果として、ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの出力因子(図10c)はインゴットの出力因子より高い。ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの総熱伝導率(図10d)は温度が500℃まで上昇するにつれて次第に低下するが、その後は大きく変化せず、これははるかに弱いバイポーラ作用を証明している。ボールミル粉砕およびホットプレスしたナノ構造化サンプルにおけるインゴットと比較した熱伝導率の低下は、主としてランダムナノ構造の多数の界面で増加したフォノン散乱に起因する。ボールミル粉砕およびホットプレスがフォノン輸送に及ぼす作用について定量的に検討するために、総熱伝導率(κ)から電子的寄与(κ)を減じることによって格子熱伝導率(κ)を推定した。熱伝導率(κ)への電子的寄与は、ウィーデマン−フランツの法則を使用して推定することができる。ローレンツ数は、室温でのゼーベック係数および2バンド理論から計算することができる低下したフェルミエネルギーから得られる。予想の範囲内で、格子熱伝導率(図10e)は温度に伴って低下する。インゴットサンプルについては、室温でκ=0.7Wm−1−1およびκ=4.01Wm−1−1が得られたが、ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルについては室温で低い導電率に起因してκ=0.54Wm−1−1およびκ=2.86Wm−1−1であった。室温でのボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの格子熱伝導率は、主としてナノ構造化サンプル内でのより強力な境界散乱に起因して、インゴットの格子熱伝導率より約29%低い。それでも格子部は、総熱伝導率の大部分であると思われる。ホットプレス中に100nm未満の平均結晶粒サイズが達成されると、熱伝導率はいっそう低下すると予想することができる。わずかに改善された出力因子は、有意に低下した熱伝導率と合わさって、ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルのZT(図10f)をインゴットのZTと比較して大きく改善する。全てのボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルのピークZTは700℃で0.8に到達したが、これはインゴットで得られたと定期刊行物に報告された最高値と考えられる0.5のZT値に比して60%改善しており、高温用途のためのp型材料として有望であることを証明している。そこで、高温(例、600〜700℃)で≧0.7、例えば0.7〜0.8のZTを備えるp型ハーフホイスラー材料が得られる。
ボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルの比熱(図11a)および熱拡散率(図11b)は、インゴットサンプルの比熱および熱拡散率に匹敵した。インゴットならびにボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプル両方の比熱(図11a)は、600℃(本発明者らのDSC測定機器の限度)まで温度に伴って着実に増加する。700℃での比熱値は、合理的外挿法によって得た。約3%の比熱差は、測定の実験誤差の範囲内である。全温度範囲でインゴットサンプルより一貫して低いボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルを用いた場合の熱拡散率(図11)の大きな低下が見られたが、これは結晶粒境界がフォノン散乱に及ぼす作用を示している確かな証拠である。
これらをまとめると、p型ハーフホイスラー合金のZTの強化が達成された。ホットプレスしたバルクサンプルの100〜200nmの平均結晶粒サイズは、ボールミル粉砕した前駆体ナノ粉末の粒径5〜10nmよりはるかに大きく、これは格子熱伝導率が依然として相当に高い理由である。最初のナノ粉末の結晶粒サイズが、例えば結晶粒成長阻害剤などを用いて維持されれば、より低い熱伝導率、ひいてははるかに高いZTを予想することができる。境界散乱の他に、微量のドーパント、例えばSb部位上の周期表第VIA族元素(例、S、Se、Te)もしくはSn部位上の第IVA族元素(例、C、Si、Ge、Pb)、または他の遷移金属元素(例、Fe、Cu)を用いたCoもしくはNiの合金化もしくは置換もまた、それらが電子特性を悪化させないことを条件に、合金散乱を強化するために導入することができる。ZT値は、類似条件下で製造された11以上のサンプル上での試験ラン毎に5%の範囲内で再現性が高い。
図12は、ボールミル粉砕およびホットプレスしたHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の温度依存性(a)導電率、(b)ゼーベック係数、(c)出力因子、(d)総熱伝導率、(e)格子熱伝導率、および(f)ZTにボールミル粉砕時間が及ぼす作用を示している。サンプルは、図12において各々、丸、菱形、四角、三角および記号「x」によって示した0.5、2、6、13および20時間ボールミル粉砕した。TEMおよびSEM分析は、ボールミル粉砕時間が増加するとより小さなサイズのナノ粒子およびZTの上昇を生じさせることを実証した。
このため、図10および12に示したように、p型熱電材料については、性能指数ZTは、400℃より高い温度では0.5超、例えば400〜700℃では0.5〜0.82である。例えば、ZTは、500℃以上の温度では0.6超、例えば500〜700℃では0.6〜0.82である。ZTは、600℃以上の温度では0.7超、例えば600〜700℃では0.7〜0.82である。ZTは、700℃の温度では0.8以上(例、0.8〜0.82)である。そこで、例えば700℃でのZTの改善は、60%超である(0.5〜0.8)。
〔好ましい実施形態〕
本発明者らは、n型ハーフホイスラー熱電材料においてHfをTiと置換すると熱伝導率が低下して性能指数が上昇することを見いだした。さらに、本発明者らは、p型ハーフホイスラー熱電材料においてZrをTiと置換するとこれらの材料の熱伝導率が低下して性能指数が上昇することを見いだした。以下は、これらの実施形態の方法および熱電材料の実施例である。これらの実施例は具体例であり、限定を意図していない。
<n型ハーフホイスラー材料>
ハフニウムおよびジルコニウムをベースとするn型ハーフホイスラーの熱電特性にチタンのハフニウムとの部分置換が及ぼす作用をナノコンポジットアプローチを使用して試験した。Hf0.5Zr0.25Ti0.25NiSn0.99Sb0.01の組成を備えるサンプルでは、500℃で1.0のピークZTが観察される。Hf0.5Zr0.25Ti0.25NiSn0.99Sb0.01のZT値はより低い温度ではHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01のZT値より有意に高く、これは例えば自動車排ガスシステムでの廃熱回収などの中域温度用途には極めて望ましい。
ZTの有意な改善は、より低い温度、例えば750℃未満、例えば300〜750℃、例えば400〜600℃で見られ、費用効果率の高い大量生産可能なナノコンポジットアプローチを使用して(Hf、Zr、Ti)をベースとするn型ナノ構造化HHにおいて500℃で1.0のZT値が得られた。より低い温度でのZTの改善およびピークZTの変化は、TiのHfとの部分置換によって惹起されるキャリア濃度の変化による恩恵である。
ピークZTは以前報告された結果と匹敵したままではあるが、ZT値のピークにおける低温に向かう変化(例えば、ZTピークは400〜600℃、例えば約500℃に位置し、この温度範囲内では0.9超である)は、中域温度用途、例えば自動車における廃熱回収において望ましい。これらのナノ構造化サンプルは、最初はアーク溶解法によって作成されるインゴットのボールミル粉砕したナノ粉末をdcホットプレスする工程によって調製する。これらのナノ構造化サンプルは、ランダム配向を備える200nm以上の範囲に及ぶサイズの多結晶粒を含んでいる。
〔実験〕
ナノ構造化ハーフホイスラー相は、アーク溶解法を使用して必要な組成(Hf、Ti、Zr)Ni(Sn、Sb)にしたがってハフニウム(Hf)(99.99%、Alfa Aesar社)、チタン(Ti)(99.99%、Alfa Aesar社)、およびジルコニウム(Zr)(99.99%、Alfa Aesar社)塊をニッケル(Ni)(99.99%、Alfa Aesar社)、スズ(Sn)(99.99%、Alfa Aesar社)、およびアンチモン(Sb)(99.99%、Alfa Aesar社)片とともに溶解する工程によって調製した。次に所望のナノ粉末を得るために溶解インゴットを5〜20時間ボールミル粉砕した。機械により調製したナノ粉末を次に1000〜1050℃で、バルクナノ構造化ハーフホイスラーサンプルを得るために中央円筒形開口径12.7mmのグラファイトダイ内でdcホットプレスによってプレスした。
サンプルは、ナノ粒子の結晶度、組成、均質性、平均結晶粒サイズ、および結晶粒サイズ分布を試験するためのX線回折(XRD)および透過型電子顕微鏡(TEM)によって特徴付けた。これらのパラメーターは、最終の高密度バルクサンプルの熱電特性に影響を及ぼす。これらのサンプルの体積密度は、アルキメデスキットを使用して測定した。
次にナノ構造化バルクサンプルは、導電率およびゼーベック係数測定のために2mm×2mm×12mmのバー、熱拡散率およびホール係数測定のために適切な厚さの径12.7mmのディスク、および比熱容量測定のために適切な厚さの径6mmのディスクに切断した。導電率およびゼーベック係数は市販の装置(ZEM−3、Ulvac社)によって測定し、熱拡散率はレーザーフラッシュシステム(LFA 457、Netzsch社)によって室温〜700℃で測定し、室温でのキャリア濃度および移動度はホール測定値より考査し、比熱容量は示差走査熱量計(200−F3、Netzsch Instruments社)上で測定した。熱伝導率は、サンプルの熱拡散率、比熱容量、体積密度の積として計算した。体積密度は、Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(式中、x=0、0.25、0.5、および0.65)について各々9.73、9.01、8.17、および7.74gcm−3である。
〔結果および分析〕
組成Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0、0.25、0.5、および0.65)のn型ハーフホイスラー相についての温度依存性熱電特性に関する結果は、図13〜16に示した。図13は、Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(式中、x=0、0.25、0.5、および0.65)組成物のアーク溶解およびボールミル粉砕したサンプルのXRDパターンを示している。全組成物のXRDパターンは、より優れた熱電特性のためのサンプルの優れた質を示しているハーフホイスラー相について得られたXRDパターンと類似しており且つ良好に一致している。
図14は、Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01(図14aおよび14b)ならびにHf0.5Ti0.25Zr0.25NiSn0.99Sb0.01(図14cおよび14d)組成物のアーク溶解およびボールミル粉砕したサンプルのTEM画像を示している。図14a〜14dは、Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01(図14a)およびHf0.5Ti0.25Zr0.25NiSn0.99Sb0.01組成物(図14c)両方のボールミル粉砕およびホットプレスしたサンプルがTi置換に起因する結晶粒サイズにおける差を示さないおよそ200〜300nmサイズの結晶粒を含有することを明白に示している。図14は、さらに両方のサンプルの結晶粒境界および結晶度が類似していることを示している(図14bおよび14d)。
図15は、以前報告されたアーク溶解およびボールミル粉砕法によって調製された(Hf、Zr)をベースとする最良のn型ハーフホイスラー組成物(Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01)と比較した、ナノ構造化Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0.25、0.5、および0.65)組成物の(図15a)温度依存性導電率、(図15b)ゼーベック係数、(図15c)熱拡散率、(図15d)比熱容量、(図15e)熱伝導率、および(図15f)ZTを示している。図15aおよび15bは、電気抵抗およびゼーベック係数がわずかに増加し、その後Ti濃度の増加に伴って低下することを明白に示している。しかし、Ti置換サンプル[Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0.25、0.5、および0.65)]の熱拡散率はHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01組成物の熱拡散率(図15c)より有意に低く、これは合金散乱作用を示している。比熱容量は低原子量に起因してTi含量の増加に伴って増加するので(図15d)、Ti置換サンプルの熱伝導率はより低い温度ではHf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01サンプルに比較して低下する(図15e)。結果として、ZT値は、以前報告された(Hf、Zr)をベースとする最良のn型ハーフホイスラー組成物(Hf0.75Zr0.25NiSn0.99Sb0.01)と比較して低温で改善され、Hf0.5Ti0.25Zr0.25NiSn0.99Sb0.01組成物のピークZTは500℃で1.0となる(図2f)。低温でのZTの改善は、中域温度用途、例えば自動車の廃熱回収に有益であると思われる。
図16は、ナノ構造化Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0.25、0.5、および0.65)組成物の室温でのキャリア濃度および移動度を示している。図16は、Hf0.75−xTiZr0.25NiSn0.99Sb0.01(x=0.25、0.5、および0.65)組成物における導電率(図15a)およびゼーベック係数(図15b)の挙動がTi濃度に伴うキャリア濃度の増加および移動度の低下に起因することを明白に示している。Ti濃度に伴うキャリア濃度の増加(図16)は、おそらくTi置換後のバンドギャップの低下に起因すると考えられる。(2〜3)×1020cm−3の範囲内のキャリア濃度が高過ぎることは明白である。本組成物のさらなる最適化は、ZTを1よりはるかに高く改善することができる。このため、本実施形態の好ましい組成物は、式Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、好ましくは、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.2)を有するハーフホイスラー材料である。
チタン、ジルコニウム、ハフニウム(Ti、Zr、Hf)をベースとするn型ハーフホイスラーの熱電特性は、費用効果率の高いナノコンポジットアプローチを使用して試験し、1.0のピークZTは、ナノ構造化Hf0.5Zr0.25Ti0.25NiSn0.99Sb0.01組成物において500℃で観察されている。ナノ構造化サンプルは、最初にアーク溶解したサンプルのボールミル粉砕およびホットプレスによって調製する。ピークZT値は増加しなかったが、ZT値はより低温では改善される。低温で改善されたZTは、中域温度用途、例えば廃熱回収に有意であると思われる。
<p型ハーフホイスラー材料>
高格子熱伝導率は、ハーフホイスラー(HH)Hf1−xZrCoSb0.8Sn0.2の熱電性能指数(ZT)の更なる改善にとって障害であった。理論的には、高格子熱伝導率は、原子量および結晶構造におけるサイズにおけるより大きな差を調査することによって低下させることができる。この実施形態は、p型HHにおいてこれまでに報告された熱伝導率より低い熱伝導率は、Zrと置換するために実際にTiが、つまりHf1−xTiCoSb0.8Sn0.2が使用された場合に、原子量およびサイズにおけるHfおよびTiとHfおよびZrとのより大きな差に起因して実際に達成可能であることを証明している。系Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(0.1≦x≦0.5;x=0.1、0.2、0.3、および0.5)における約1.1の最高ピークZTは、800℃にてx=0.2で達成された。
Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(0.1≦x≦0.5;x=0.1、0.2、0.3、および0.5)の熱電特性の調査は、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2が出力因子に過度に大きなペナルティを伴わずに、強力なフォノン散乱に起因して1超、例えば800℃で約1.1の最高ZTを生じさせる最低熱伝導率約2.7Wm−1−1を実際に有することを証明している。
〔方法〕
組成物Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3、および0.5)を備える合金インゴットは、最初に化学量論にしたがって適切な量の個別元素の混合物をアーク溶解する工程によって形成した。次にインゴットをアルゴン充填グローブボックス内に粉砕ボールを備えるボールミル粉砕ジャー内に装填し、機械的ボールミル粉砕法にかけナノ粉末を製造した。最後にバルクサンプルは、直流誘導性ホットプレス法を使用して、径12.7mmのペレットにナノ粉末を固める工程によって得た。波長0.154nm(Cu Kα)を用いたX線回折(XRD)(PANalytical社、X’Pert Pro)分析は、様々なHf/Ti比を備えるプレスしたままのサンプル上で実施した。プレスしたままのHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2サンプルの新しく破砕された表面は、走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL)および透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した。
バルクサンプルの熱電特性を測定するために、約2×2×12mmのバーならびに径12.7mm厚さ2mmのディスクを作成した。バーサンプルは、市販の装置(ULVAC社、ZEM3)上の導電率およびゼーベック係数を測定するために使用した。ディスクサンプルは、熱拡散率、比熱、体積密度の積として計算される熱伝導率を得るために使用した。体積密度は、アルキメデスキットを使用して測定した。比熱は、高温DSC機器(404C、Netzsch Instruments社)によって決定した。熱拡散率は、レーザーフラッシュシステム(LFA 457 Nanoflash、Netzsch Instruments社)を使用して測定した。不確実性は、導電率、熱拡散率、比熱については3%、ゼーベック係数については5%であり、これらはZTにおける11%の不確実性をもたらす。
実験は数回繰り返し、ピークZT値は実験誤差の範囲内で再現性があることが確証された。さらに、同一サンプルを初回測定後に再び800℃まで測定したところ、個々の特性およびZT両方に低下は見られなかった。
〔結果および考察〕
図17aは、プレスしたままのHf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3、および0.5)サンプルのXRDパターンを示している。全サンプルの回折ピークは、ハーフホイスラー相の回折ピークと明確に一致している。顕著な不純物相は観察されない。精密な調査は、XRDピークがTiの増加に伴ってより高角度に向かって変化することを明らかにしており、これはTiがHfに置換して合金を形成することを示唆している。全サンプルの格子パラメーターaは、様々なHf/Ti比を用いて推定し、図17bにおけるTi分画xに関する結果をプロットした。予想通り、格子パラメーターは、ベガードの法則にしたがって、Tiの増加に伴って直線的に低下する。
プレスしたままのHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2サンプルのSEM画像を図18aに示したが、このとき結晶粒サイズは50〜300nmの範囲にあり、推定平均サイズは約100〜200nmである。TEM画像(図18b)は、約200nm以下のSEM画像から観察された平均結晶粒サイズを確証している。図18cは、結晶粒境界上に存在する2つのナノドットを示している。これらのナノドットは、一般にサンプル内部で観察される。サンプルに関係する1つの特徴は、図18dに示したように、転位もまた一般的であることである。転位の起源は、今も調査中である。強化されたフォノン散乱に起因する低い格子熱伝導率にとって、小さな結晶粒、ナノドット、転位の全てが好都合である。
図19は、Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3、および0.5)サンプルの温度依存性熱電(TE)特性を示している。これらのサンプル全ては、同一のボールミル粉砕時間およびホットプレス条件を使用してアーク溶解したままのインゴットをボールミル粉砕する工程によって製造されている。導電率は図19aにプロットしたが、このとき導電率は全温度範囲にわたってTiが増加するにつれて低下する。さらに、バイポーラ作用はTiが0.1から0.5へ変化した時点で低温にて発生し始める。ゼーベック係数は、大まかには導電率の傾向とは反対に、Tiの増加に伴って増加する傾向に従う(図19b)。一方、様々な組成間のゼーベック係数における差は高温では減少する。図19cは、温度依存性出力因子を示している。Hf0.9Ti0.1CoSb0.8Sn0.2は最高出力因子を有するが、Hf0.8Ti0.5CoSb0.8Sn0.2は全温度範囲にわたって最低出力因子を有する。より弱いバイポーラ作用からの恩恵を受けて、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の出力因子は、温度に関して着実に増加し、800℃で28.5×10−4Wm−1−2という高さに達する。
図19dは、Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3、および0.5)サンプルの温度依存性総熱伝導率を示している。全温度範囲にわたって、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2、Hf0.7Ti0.3CoSb0.8Sn0.2、およびHf0.5Ti0.5CoSb0.8Sn0.2サンプルの熱伝導率は相互に類似しており、Hf0.9Ti0.1CoSb0.8Sn0.2の熱伝導率よりはるかに低い。Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の熱伝導率は温度の上昇に伴う変化は極僅かで、最小値は2.7Wm−1−1であり、最低値はp型ハーフホイスラー系で達成された。Hf/Ti比が格子熱輸送にどのように影響を及ぼすか明確な見通しを得るために、格子熱伝導率(κ)は、電子的寄与(κ)とバイポーラ寄与(κbipolar)とを総熱伝導率(κ)から減じることによって推定したが、κはウィーデマン・フランツ法則を用いて得た。ローレンツ数は、室温でのゼーベック係数および2バンド理論から推定した低下したフェルミエネルギーから計算した。総熱伝導率と同様に、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2、Hf0.7Ti0.3CoSb0.8Sn0.2、およびHf0.5Ti0.5CoSb0.8Sn0.2サンプルの格子熱伝導率は相互に類似しており、Hf0.9Ti0.1CoSb0.8Sn0.2の格子熱伝導率よりはるかに低い(図19e)。精密な調査は、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の格子熱伝導率が400℃超では最低であり、これは高温ではHf0.7Ti0.3CoSb0.8Sn0.2およびHf0.5Ti0.5CoSb0.8Sn0.2の両方についてのバイポーラ熱伝導率の一部の過小評価に起因する可能性がある。Tiが徐々にHfCoSb0.8Sn0.2系に導入されるにつれて、格子熱伝導率は、x=0.1からx=0.2への鋭い抑制、次にx=0.2上方でのほぼ飽和となる。最初の原理計算から得られた調和力および立方力原子間定数による分子力学(MD)シミュレーションを用いたHf1−xTiCoSbの理論的計算は、そうした熱伝導率低下を予測した。室温でのHf1−xTiCoSb0.8Sn0.2(x=0.1、0.2、0.3、および0.5)サンプルの格子熱伝導率は、計算と比較して図19eの差込み図にプロットした。極めて有望なことに、本発明者らの実験データおよび理論計算は極めて良好に一致することが明らかである。
HfをTiで部分的に置換することによって達成された低い熱伝導率および高い出力因子のために、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2のZTは、p型ハーフホイスラーについてこれまでに報告された最高値である800℃で1.1および700℃で0.9に達し(図19f)、これは高温用途における1つの選選択肢としてp型材料が大いに有望であることを証明している。初めて、p型ハーフホイスラー材料は、現実の用途の最小ZTであると考えられる1を超えるZTを有する。
原子量およびサイズにおける大きな差が個々のTE特性ならびにZTにどのような影響を及ぼすのか直感的見識を得るために、X. Yan et al., Nano Lett. 11, 556-560(2011)に記載されたHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の温度依存性TE特性と比較してナノ構造化バルクサンプルHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の温度依存性TE特性を図20にプロットした。どちらのサンプルも、輸送特性にサイズが及ぼす作用を最小限に抑えるために、同一のボールミル粉砕およびホットプレスサンプル条件を受けている。Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の導電率は、全温度範囲にわたってHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の導電率より高く、温度の上昇に伴って差が小さくなる(図20a)。これとは対照的に、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2のゼーベック係数は、全温度でHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2のゼーベック係数とほぼ同一である(図20b)。低下した導電率の結果として、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の出力因子は、100℃〜700℃ではHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の出力因子より低い(図20c)。しかし、この低下した出力因子は、特により高温ではZTが強化される(図20f)はるかに低下した熱伝導率によって補償される(図20d)。
Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の総熱伝導率はHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の総熱伝導率より約17%低く(図20d)、これはHfおよびTiの組み合わせがHfおよびZrの組み合わせより熱伝導率の低下により効果的であることを示している。Hf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2と比較してHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2において達成された熱伝導率低下の起源は2つの部(電子部および格子部)から生じる。詳細にはHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2のκはHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2のκより約6%〜26%低い。Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2の格子熱伝導率はHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2の格子熱伝導率より約8〜21%低く(図20e)、これはn型ハーフホイスラー系におけるHfおよびTiの組み合わせによる大きな熱伝導率低下の作用と一致している。これらの実験結果は、熱伝導率が、HfおよびTiの組み合わせの場合における原子量およびサイズにおける大きな差に起因して、HfおよびTiの組み合わせでは最も効果的に低下することを明白に示している。しかし、依然として格子部が総熱伝導率を支配している。いっそう小さな結晶粒によってより多くの合金散乱および/またはより多くの境界散乱を達成することができれば、熱伝導率はさらにいっそう低下すると予測される。図20fは、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2のZTが低温ではHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2のZTに匹敵し、500℃超の温度ではHf0.5Zr0.5CoSb0.8Sn0.2のZTを超えることを明白に示しており(図20f)、これは高温用途にとって大いに有望であることを明示している。G. Joshi et al., Nano Lett. 8, 4670(2008)の高温用途にとってまた別の有望なp型材料であるp型シリコンゲルマニウム(SiGe)に関するデータも比較のために含まれている(図20f)。Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2はさらに、Geのコストが極めて高いためにSiGeに比してコストの点で有利である。
二元Hf1−xTiCoSb0.8Sn0.2組成物はHf/Ti比を調整することにより最適化されており、熱伝導率低下およびZT強化の実現性を証明しているが、それでもいっそうの改善の余地が多く残されている。第一に、Ti、Zr、およびHfのM部位での三元組み合わせは、n型MNiSn系におけるより高いZTを生じさせてきた。しかしTi、Zr、およびHfの三元組み合わせがp型ハーフホイスラーの輸送特性に及ぼす影響についてはほとんど理解が進んでおらず、詳細な調査が必要である。第二に、境界散乱は、ホットプレス中の前駆体ナノ粉末のナノサイズを維持することによってより強化することができる。強化された合金散乱を強化された境界散乱と結び付けると、熱伝導率はよりいっそう低下すると予想され、ZTはいっそう高値に達する可能性が高い。
そこで、この実施形態では、本ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、好ましくは、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5)を有する。熱電材料は、好ましくは800℃未満の温度で3Wm−1−1未満の熱伝導率を有し、最小熱伝導率は2.8Wm−1−1未満である。この材料の性能指数ZTは、好ましくは700℃で0.85以上および800℃で1超である。
MCoSbタイプのp型ハーフホイスラーのM部位での原子量およびサイズにおけるHfおよびTiとHfおよびZrとのより大きな差は、より強力なフォノン散乱による格子熱伝導率の低下に有効であることが証明され、これは本発明者らがあらゆるp型HHにおいて最初に達成されたHf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2における2.7Wm−1−1のこれまでで最低と考える熱伝導率をもたらす。その結果、Hf0.8Ti0.2CoSb0.8Sn0.2のピークZTは800℃で1.1に達し、これは本発明者らが考えるあらゆるp型ハーフホイスラーにおいてこれまで報告された最高値であり、発電用途のためのその現実の実際的用途を検討する道を開く。
上記は特に好ましい実施形態に関するが、本発明はそのように限定されないと理解されたい。当業者であれば、本明細書に開示した実施形態に様々な修飾を加えることができ、そのような修飾は本発明の範囲内に含まれると意図されると気付くであろう。本明細書で言及した刊行物、特許出願および特許は、その開示内容全体が参考として本明細書で援用される。

Claims (41)

  1. 1ミクロン未満の平均結晶粒サイズを有する熱電材料を製造する方法であって、
    前記熱電材料の液体合金を形成するために前記熱電材料の構成元素を結合してアーク溶解する工程と、
    前記熱電材料の一体鋳物を形成するために前記熱電材料の前記液体合金を鋳造する工程と、
    前記熱電材料の前記一体鋳物をナノメートル規模の平均サイズの粒子にボールミル粉砕する工程と、
    前記ナノメートル規模の平均結晶粒サイズを有する前記熱電材料を形成するために前記ナノメートル規模のサイズの粒子を焼結する工程と、を含む方法。
  2. 前記ナノメートル規模の平均サイズの粒子が100nm未満の平均サイズを有し、前記粒子の90%は250nm未満のサイズである請求項1に記載の方法。
  3. 前記ナノメートル規模の平均サイズの粒子は、5〜100nmの範囲の平均サイズを有する請求項2に記載の方法。
  4. 前記ナノメートル規模の結晶粒サイズは300nm未満の平均結晶粒サイズであり、前記粒子の90%は500nm未満のサイズである請求項1に記載の方法。
  5. 前記ナノメートル規模の平均結晶粒サイズは、10〜300nmの範囲の平均結晶粒サイズである請求項4に記載の方法。
  6. 前記構成元素は、少なくとも99.9%純粋である請求項1に記載の方法。
  7. 前記構成元素は、少なくとも99.99%純粋である請求項6に記載の方法。
  8. 前記熱電材料は、ハーフホイスラー材料を含み、前記構成元素はTi、Zr、Hfの少なくとも1つ、NiおよびCoの少なくとも1つ、ならびにSnおよびSbの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
  9. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1+δ−x−yZrTiNiSn1+δ−zSb(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0.1)を有する請求項8に記載の方法。
  10. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0)を有する請求項9に記載の方法。
  11. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.2)を有する請求項10に記載の方法。
  12. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1+δ−x−yZrTiCoSb1+δ−zSn(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0)を有する請求項8に記載の方法。
  13. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0)を有する請求項12に記載の方法。
  14. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、および0≦z≦0.5)を有する請求項13に記載の方法。
  15. 前記熱電材料の性能指数ZTは、1ミクロン以上の結晶粒サイズを備える同一熱電材料の性能指数ZTより20%以上高い請求項1に記載の方法。
  16. 前記熱電材料の性能指数ZTは、1ミクロン以上の結晶粒サイズを備える同一熱電材料の性能指数ZTより50%以上高い請求項15に記載の方法。
  17. 前記熱電材料はn型であり、性能指数ZTは600℃超の温度では0.8超である請求項1に記載の方法。
  18. 前記熱電材料はp型であり、性能指数ZTは600℃超温度では0.5超である請求項1に記載の方法。
  19. 前記焼結する工程は、直流ホットプレスによって実施される請求項1に記載の方法。
  20. 1ミクロン未満のメジアン結晶粒サイズおよび平均結晶粒サイズの少なくとも1つを有する結晶粒を含むハーフホイスラー熱電材料。
  21. 前記熱電材料の性能指数ZTは、1ミクロン以上の結晶粒サイズを備える同一熱電材料の性能指数ZTより20%以上高い請求項20に記載の熱電材料。
  22. 前記熱電材料の性能指数ZTは、1ミクロン以上の結晶粒サイズを備える同一熱電材料の性能指数ZTより50%以上高い請求項21に記載の熱電材料。
  23. 前記熱電材料はn型であり、性能指数ZTは400℃以上の温度では0.8超である請求項20に記載の熱電材料。
  24. 前記熱電材料はn型であり、性能指数ZTは500℃以上の温度では0.9超である請求項23に記載の熱電材料。
  25. 前記熱電材料はn型であり、性能指数ZTは600℃以上の温度では0.9超である請求項24に記載の熱電材料。
  26. 前記ZTは、700℃の温度では0.9超である請求項23に記載の熱電材料。
  27. 前記熱電材料はp型であり、性能指数ZTは400℃超の温度では0.5超である請求項20に記載の熱電材料。
  28. 前記熱電材料はp型であり、性能指数ZTは500℃以上の温度では0.6超である請求項27に記載の熱電材料。
  29. 前記熱電材料はp型であり、性能指数ZTは600℃以上の温度では0.7超である請求項28に記載の熱電材料。
  30. 前記ZTは、700℃の温度では0.8超である請求項27に記載の熱電材料。
  31. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1+δ−x−yZrTiNiSn1+δ−zSb(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0.1)を有する請求項20に記載の熱電材料。
  32. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0)を有する請求項31に記載の熱電材料。
  33. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiNiSn1−zSb(式中、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.2)を有する請求項32に記載の熱電材料。
  34. 前記熱電材料は、0.9超のZTおよび400〜600℃でZTピークを有する請求項32に記載の熱電材料。
  35. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1+δ−x−yZrTiCoSb1+δ−zSn(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0、および−0.1≦δ≦0)を有する請求項20に記載の熱電材料。
  36. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、0≦x≦1.0、0≦y≦1.0、および0≦z≦1.0)を有する請求項35に記載の熱電材料。
  37. 前記ハーフホイスラー材料は、式Hf1−x−yZrTiCoSb1−zSn(式中、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、および0≦z≦0.5)を有する請求項36に記載の熱電材料。
  38. 前記熱電材料は、2.8Wm−1−1未満の最低熱伝導率とともに800℃未満の温度で3Wm−1−1未満の熱伝導率を有し、
    0.15≦x≦0.25、
    Sb対Snの原子比率は70〜90:30〜10である、
    700℃ではZT≧0.85、
    800℃ではZT>1.0である請求項36に記載の熱電材料。
  39. 前記熱電材料は300nm未満の平均結晶粒サイズまたはメジアン結晶粒サイズを有し、前記粒子の90%は500nm未満のサイズである請求項21に記載の熱電材料。
  40. 前記熱電材料は、10〜300nmの範囲の平均結晶粒サイズまたはメジアン結晶粒サイズを有する、請求項39に記載の熱電材料。
  41. 1つ以上の結晶粒に比してHFリッチでCoまたはNiプアのいずれかである1つ以上の結晶粒内に、10〜50nmのサイズを有する少なくとも1つのナノドットをさらに含む、請求項20に記載の熱電材料。
JP2013546283A 2010-12-20 2011-12-19 強化された性能指数を備えるハーフホイスラー合金および製造方法 Pending JP2014508395A (ja)

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