JP2014507480A - 円板状ループスに使用するための2,4置換ピリミジンジアミン - Google Patents

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Abstract

化合物IとII、および塩、ならびにそれらを含有する薬学的組成物は、皮膚ループス、例えば、急性皮膚エリテマトーデス、亜急性皮膚エリテマトーデス、または円板状エリテマトーデスなどの皮膚の疾病および/または疾患を治療するのに有用である。特定の実施形態において、当該化合物を局所組成物中に提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年3月10日に出願された米国仮特許出願第61/451,531号の利益を主張するものであり、この仮出願は、全体が本明細書に援用される。
分野
本開示は、化合物、プロドラッグ、その塩、およびそれらを含有する薬学的組成物、ならびに、これらの化合物、プロドラッグ、およびそれらの組成物を、皮膚膠原血管病、例えば、円板状エリテマトーデスなどの皮膚ループス疾患などの皮膚疾患の治療に使用する方法に関する。
背景
JAKキナーゼ(ヤヌス(JAnus)キナーゼ)は、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2を含む細胞質タンパク質チロシンキナーゼのファミリーである。JAKキナーゼのそれぞれが、特定のサイトカインの受容体に対して選択的であるが、複数のJAKキナーゼが、特定のサイトカインまたはシグナル伝達経路によって影響され得る。JAK3が、様々なサイトカイン受容体の共通γ(γc)鎖に会合することが研究により示唆されている。JAK3は、特に、受容体に選択的に結合し、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21のためのサイトカインシグナル伝達経路の一部である。JAK1は、特に、サイトカインIL−2、IL−4、IL−7、IL−9およびIL−21のための受容体と相互作用する一方、JAK2は、特に、IL−9およびTNF−αのための受容体と相互作用する。特定のサイトカインが、それらの受容体(例えば、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21)に結合すると、受容体のオリゴマー化が起こり、会合したJAKキナーゼの細胞質尾部が近接し、JAKキナーゼにおけるチロシン残基のトランス−リン酸化が促進される。このトランス−リン酸化により、JAKキナーゼが活性化される。
リン酸化JAKキナーゼは、様々なSTAT(シグナル伝達性転写活性化因子)タンパク質に結合する。チロシン残基のリン酸化によって活性化されたDNA結合タンパク質であるSTATタンパク質は、シグナル伝達分子および転写因子の両方として機能し、最終的に、サイトカイン−応答遺伝子のプロモーター中に存在する特異的なDNA配列に結合する。JAK/STATシグナル伝達は、アレルギー、喘息、自己免疫疾患(移植(同種移植)拒絶反応、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症など)、眼の疾患および疾病などの多くの異常免疫応答の媒介に、ならびに固形悪性腫瘍および造血器悪性腫瘍(白血病およびリンパ腫など)に関与している。
結合組織疾患は、幅広い器官に影響を与える疾病群であり、膠原血管病と呼ばれることがある。この種の疾病としては、脈管炎、円板状エリテマトーデス(DLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、進行性全身性硬化症、多発性筋炎/皮膚筋炎、リウマチ性多発筋痛、結節性多発動脈炎、およびウェゲナー肉芽腫などの多くの異なる炎症性疾患が挙げられる。これらは、診断、予後、および治療の目的について互いに臨床的に区別されている異なる疾病である。
エリテマトーデスは、全身性疾患および皮膚疾患の両方を含む疾病の一般的なカテゴリーである。この疾病の全身型には、皮膚症状ならびに全身症状があり得る。しかしながら、全身性病変を伴わず皮膚病変のみがあるこの疾病の型もある。例えば、SLEは、主に女性に発病する原因不明の炎症性疾患であり、関節症状、蝶形紅斑、再発性の胸膜炎、心膜炎、全身性リンパ節腫大、脾腫、ならびにCNSおよび進行性腎不全を特徴とする。ほとんどの患者(98%超)の血清は、抗DNA抗体を含む抗核抗体を含む。高力価の抗DNA抗体は、本質的にSLEに特有である。この疾病の従来の治療は、コルチコステロイドまたは免疫抑制剤の投与であった。
3つの型の皮膚ループス、すなわち、慢性皮膚ループス(円板状エリテマトーデスまたはDLEとしても知られている)、亜急性皮膚ループス、および急性皮膚ループスがある。DLEは、紅斑、毛孔性角栓、鱗屑、毛細血管拡張症および萎縮を示す境界の明瞭なしみおよび斑を伴って、主に皮膚を冒す外観を損なう慢性疾患である。この病態は、日光曝露によって生じることが多く、初期の病変は、直径が5〜10mmの、毛孔性角栓を示す紅斑性の円形の落屑性丘疹である。DLE病変は、頬、鼻、頭皮、および耳に最もよく発生するが、体幹上半部、四肢伸側、および口腔粘膜にわたって全身性であることもある。治療せずに放置すると、中心の病変が萎縮し、瘢痕を残す。SLEと異なり、二本鎖DNA(例えば、DNA結合試験)に対する抗体は、ほとんどと言っていいほどDLEには存在しない。
従来のDLE治療には、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルランドレノリド、吉草酸ベタメタゾン、またはジプロピオン酸ベタメタゾンなどの局所的なコルチコステロイド軟膏またはクリームが含まれていた。耐性のある班には、皮内コルチコステロイドが注入され得る。しかしながら、コルチコステロイド自体の長期間の使用は、皮膚の萎縮、線条、あざができやすく、皮膚が裂けやすくなること、皮膚炎、毛細血管拡張症、および、感染症への易罹患性増大などの深刻な副作用を起こし得る。他の可能性のあるDLE治療としては、ピメクロリムス(pimecrolimus)クリームまたはタクロリムス軟膏などのカルシニューリン阻害剤が挙げられる。特に耐性の高い症例は、ヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL)などの全身性の抗マラリア薬で治療され得る。しかしながら、この薬物には、牛眼状網膜症の場合、かなりの網膜毒性のリスクがある。この薬物を停止した後でさえ、視力障害が継続することがあり、網膜損傷を回復させる内科的治療は発見されていない。
DLEは、現在の治療法が不十分であることが分かっている外観を損なう疾病である。急性および亜急性型などの他の皮膚型のループスにも治療が必要とされている。
概要
JAK経路を調節する化合物、およびこれらの化合物を使用する方法が、円板状エリテマトーデス(DLE)などの皮膚型のエリテマトーデスに罹患した対象に治療効果を与えるのに使用され得ることがここで理解された。化合物は、全身投与されてもまたは局所投与されてもよいが、特定の例において、化合物は、例えば局所製剤中で、標的皮膚病変に直接適用される。特定の実施形態において、対象は、DLE、亜急性皮膚ループス、または急性皮膚ループスなどの皮膚エリテマトーデスに罹患している。他の例において、対象は、ループスの全身症状を伴わず、DLE、亜急性皮膚ループス、または急性皮膚ループスなどの皮膚エリテマトーデスのみに罹患している。さらに他の実施形態において、この薬物は、薬物誘発性エリテマトーデス(DILE)の皮膚症状を治療するのに使用される。
化合物、プロドラッグ、対応する塩形態、ならびにこれらの化合物、プロドラッグおよび塩形態を、DLEなどの慢性皮膚エリテマトーデス、またはDILEの皮膚症状などの皮膚エリテマトーデスの治療に使用する方法が開示される。
一実施形態は、化合物I:
Figure 2014507480
、ならびにその溶媒和物、プロドラッグおよび薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態は、化合物Iの特定のプロドラッグ、およびその薬学的に許容できる塩形態を提供し、これが化合物II:
Figure 2014507480
である。
一態様において、DLEなどの皮膚エリテマトーデスは、化合物Iおよび/またはIIならびにその塩形態および1つまたは複数の化合物の有効量を含む、薬学的組成物を用いて治療される。一実施形態は、この病態を治療するのに有効な量の化合物Iおよび/またはIIを対象に投与することによって、皮膚エリテマトーデスを治療する方法を提供する。特定の例において、薬学的組成物は、皮膚または粘膜(口腔粘膜など)における病変などの1つ以上の皮膚病変に直接、局所製剤中で投与される。特定の例において、局所製剤は、それを非患部皮膚にそれほど適用することなく、皮膚病変に直接適用される。
開示される方法の一態様において、本明細書に開示される2,4−ピリミジンジアミン化合物のうちの1つ以上の投与は、この疾病を特徴付ける病変の少なくとも部分的な退縮をもたらすのに有効である。いくつかの例において、対象が、SLEではなく、DLEなどの慢性皮膚エリテマトーデスに罹患していることがまず判明する。例えば、対象は、DLEの臨床的および病理組織学的特徴を示し、抗二本鎖DNA抗体を有しない。他の実施形態において、対象は、DLEおよびSLEの両方に罹患していることがある。
別の態様において、式Iおよび/もしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容できる塩形態は、単独で投与されるか、あるいは抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗ウイルス剤、皮膚軟化剤、もしくは鎮痛剤、例えば麻酔剤またはカプサイシノイドなどの局所鎮痛剤と組み合わせてまたは補助的に投与される。特定の例において、抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)またはコルチコステロイド(プレドニゾロンなど)、免疫抑制剤(シクロスポリンAなど)、反対刺激剤(カンファーなど)、または止痒剤(クロタミトンなど)であってもよく、これらは、全身的に(例えば、経口でまたは非経口で)あるいは局所的に(例えば、クリームまたは軟膏で、あるいはパッチまたはテープなどの接着性の局所アプリケータで)投与される。あるいは、式Iおよび/またはIIの化合物は、単独でまたは(DLEを悪化させることが多い紫外光への曝露を最小限に抑えるための)局所的日焼け止め剤中の別の生理活性物質とともに投与される。さらに他の併用治療は、関連する皮膚疾患の併用治療または補助的な治療、例えば、顔面紅斑を軽減するためのレーザーまたは光線治療の使用を含み得る。
通常、式Iおよび/またはIIの開示される化合物は、DLEなどの皮膚ループスを局所的に治療するのに使用される場合、少なくとも1日2回、3回または4回など、少なくとも1日1回投与され、または徐放性の形式(接着性のディスペンサ、例えばパッチなど)で皮膚に適用される。
別の実施形態において、本発明は、親形態または塩形態のいずれかにおける化合物Iおよび/またはIIと、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、防腐剤、安定剤、またはそれらの混合物とを含む薬学的製剤を提供する。
これらのおよび他の実施形態は、以下により詳細に説明される。
四肢に現れたDLEの外観を損なう病変のいくつかを示す写真である。 対象の後頭部における円板状の瘢痕および低色素沈着を示す写真である。 局所グルココルチコイドの使用によって誘発された皮膚萎縮の影響を示す写真である。 DLE皮膚病変の活動性および損傷を示す表であり、DLEの重症度をどのように評価するかを示す。このような評価は、疾患活動性を理解しかつ治療に対する反応を評価するのに有用である。
略語
ACLE:急性皮膚エリテマトーデス
CCLE:慢性皮膚エリテマトーデス
COX:シクロオキシゲナーゼ
DES:ドライアイ症候群
DILE:薬物誘発性エリテマトーデス
DLE:円板状エリテマトーデス
LE:エリテマトーデス
SCLE:亜急性皮膚エリテマトーデス
SLE:全身性エリテマトーデス
STAT:シグナル伝達性転写活性化因子
詳細な説明
定義
本明細書において使用される際、特に示されない限り、以下の定義が適用されるものとする。
「コルチコステロイド」は、副腎皮質において産生されるステロイドホルモンである。コルチコステロイドは、ストレス反応、免疫応答ならびに炎症、炭水化物代謝、タンパク異化、血中電解質レベル、および行動の調節などの幅広い生理学系に関与している。コルチコステロイドの例としては、コルチゾール、プレドニゾンおよびプレドニゾロンが挙げられる。コルチコステロイドは、経口か、非経口(例えば注射による)かまたは皮膚における病変への直接局所適用によって投与可能であり、複合製剤中で式Iおよび/またはIIの化合物と組み合わせられ得る。「局所コルチコステロイド」は、皮膚に直接局所的に適用されるが、局所コルチコステロイドの長期間の使用により、外観の悪い皮膚の萎縮が生じる。
「皮膚の」または「真皮の」は、脊椎動物体の外層を形成する組織である皮膚を指す。皮膚(「外皮系」と呼ばれることもある)は、粘膜(特に、口、鼻、口およびまぶたの膜)とともに、身体をその外部環境から保護するのに役立つ。皮膚は、2つの層(真皮および表皮)からなり、皮膚の最外部は、多くの動物(ヒトを含む)において少なくとも部分的に体毛によって覆われていることがある。皮膚の機能は、眼、鼻および口の粘膜とともに、主に保護および知覚である。
「皮膚ループス」または「皮膚エリテマトーデス」は、エリテマトーデス皮膚疾患のGilliam分類によるエリテマトーデスの皮膚症状を指す。Rothfield et al.,Clinics in Dermatology 24:348−362(2006)。このシステムは、ループス皮膚疾患を、独特の組織学的変化を示すエリテマトーデス特異的皮膚疾患とエリテマトーデス非特異的皮膚疾患に分類する。
「円板状エリテマトーデス」または「DLE」(慢性皮膚エリテマトーデスまたはCCLEとしても知られている)は、紅斑、毛孔性角栓、鱗屑、毛細血管拡張症および萎縮を示す境界の明瞭なしみおよび斑を伴う、主に皮膚を冒す外観を損なう慢性疾患であることが多い。この病態は、日光曝露によって生じることが多く、初期の病変は、直径が5〜10mmの、毛孔性角栓を示す紅斑性の円形の落屑性丘疹である。DLE病変は、頬、鼻、頭皮、および耳に最もよく発生するが、体幹上半部、四肢伸側、および口腔粘膜にわたって全身性であることもある。SLEと異なり、二本鎖DNA(例えば、DNA結合試験)に対する抗体は、DLEにはほとんどと言っていいほど存在しない。本明細書に開示される方法のある実施形態において、式IおよびIIの化合物は、二本鎖DNA(ds−DNA)陰性DLE対象を治療するのに使用される。
「慢性皮膚エリテマトーデス」(CCLE)は、一般に、典型的な円板状エリテマトーデス(DLE)、小児円板状エリテマトーデス、全身性円板状エリテマトーデス、限局性円板状エリテマトーデス、深在性エリテマトーデス、エリテマトーデス性脂肪織炎(深在性エリテマトーデス)、粘膜エリテマトーデス、腫脹性エリテマトーデス、凍瘡状エリテマトーデス、エリテマトーデス−扁平苔癬重複症候群、いぼ状エリテマトーデス(肥厚性エリテマトーデス)、および他の稀な形態にさらに分類される。典型的DLEは、CCLEの最も一般的な形態であり、典型的DLE病変を有するほとんどの患者は、全身性エリテマトーデスの特徴を生じない。典型的DLEは、表在性鱗屑を伴う丘疹の境界の明瞭な赤紫色の班として現れる。病変は、サイズが増大して、周囲の色素沈着を伴うコイン形、または円板状の斑になる。粘着性鱗屑は、拡張した毛包の中におよぶ。病変の中心は、瘢痕、脱色素、および毛細血管拡張症によって凹む。斑は、融合して、大きい外観を損なう病変になることがある。毛包は、厚い鱗屑で詰まることがあり、これがはぎ取られると、カーペット鋲状の兆候(carpet tack sign)とも呼ばれる角化性の棘が現れる。組織病理学的特徴には、過角化および毛孔性角栓、組織化された基底表皮の喪失および萎縮した棘層が含まれる。基底層は、浮腫、液化、基底膜肥厚、メラニン色素沈着の増大、および色素失調症も示すことがある。慢性病変における形質細胞がムチン沈着を生じるとともに、マクロファージおよびTリンパ球の単核細胞浸潤物が、真皮に見られる。
「薬物誘発性のエリテマトーデス」(DILE)は、特定の医薬の長期間の使用の副作用として発症する自己免疫疾患の一形態である。DILEの症状は、SLEの症状と類似しており、DILEの症状としては、疲労、微熱、食欲不振、筋肉痛、関節炎、口および鼻の潰瘍、顔面皮疹、日光に対する異常な感受性、胸膜炎、心膜炎、およびレイノー現象が挙げられる。潰瘍および皮疹は、DILEの皮膚症状の例である。これらの症状は、根本的な免疫系の機能不全を有しない患者では、原因となる薬物の使用中止後数日から数カ月以内になくなる。DILEを引き起こす最も一般的な薬物は、ヒドララジン、プロカインアミド、キニジン、イソニアジド、ジルチアゼム、およびミノサイクリンである。これらの薬物(プロカインアミド、クロルプロマジン、およびキニジンなど)のいくつかは、ヒストン二量体H2A−H2Bに対する抗核抗体の産生を引き起こす。ヒドララジンは、抗核抗体を、H1およびH3−H4複合体へと形成する。薬物の使用開始後数時間から数日以内に起こるSLEの発症と対照的に、DILEは、一般に、薬物の使用開始後数か月から数年後に発生する。
DILEの診断は、SLEの1つ以上の臨床症状(例えば、関節痛、リンパ節症、皮疹、発熱)を有し;抗核抗体が存在する患者に行われ;患者には、原因となる薬物を使用する前にSLEの病歴がなく;症状が現れる3週間から2年前のどこかの時点で疑いのある薬物が投与されており;薬物を中止したときの臨床的改善が速い一方、抗核抗体および他の血清学的マーカーは、より正常なレベルへとゆっくりと減少する。
「上皮表面」は、身体の表面を覆う上皮細胞から構成される組織を指す。上皮表面は、皮膚ならびに口および鼻の粘膜などの外面、ならびに身体内部表面の内張(lining)を含む。「外部」上皮表面は、身体の表面(皮膚、ならびに鼻および口の内張など)に露出されるものであり、器具(内視鏡または外科用メスなど)を使用せずに、表面へのクリームまたは軟膏の直接塗布を行いやすい。
「エリテマトーデス」(LE)は、一連の自己免疫疾患の総称である。LEの症状は、関節、皮膚、腎臓、血液細胞、心臓、および肺を含む多くの様々な体組織を冒し得る。LEは、全身性疾患(皮膚症状および他の症状の両方を有する)としてまたは単に皮膚疾患(皮膚のみを冒す)として発現し得る。全身型のLEは、全身性エリテマトーデス(SLE)として知られている。LEの皮膚型には、急性皮膚エリテマトーデス、亜急性皮膚エリテマトーデス、および慢性皮膚エリテマトーデス(上述される円板状ループス)がある。
急性皮膚エリテマトーデス(ACLE)は、限局性または全身性のいずれかであり得る。限局性ACLEは、顔の頬部隆起部および鼻筋にわたる紅斑(蝶形紅斑)を特徴とするが、鼻唇溝には通常生じない。ACLE皮疹は、微細な表面鱗屑を有し、浮腫を伴い得るが、特に重篤な症例では、小水疱水疱性の皮膚変化が生じ得る。組織病理学的変化としては、まばらな真皮細胞浸潤物、基底表皮の限局性液化変性、および真皮上層浮腫が挙げられる。表皮壊死は、最重症型で起こり得る。
亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)は、環状SCLEおよび丘疹落屑性SCLEという2つの形態学的な形態にさらに分類される。環状SCLEは、辺縁性ループス(lupus marginatus)、遠心性対称紅斑、自己免疫環状紅斑、および伸展性旋回性エリテマトーデスとも呼ばれている。SCLEは、後に丘疹落屑性または環状斑になる紅斑および丘疹を示す。ほとんどの患者は、主に1つのタイプの病変を生じる傾向があるが、患者によっては、両方の要素を同時に示す。SCLEは、非常に光感受性であり、病変は、首および上胸部、上背部、肩、腕および前腕の伸側面、ならびに手の甲(指関節には通常生じない)に最もよく見られる。顔および頭皮には、稀にしか生じない。病理組織学的特徴としては、過角化、基底細胞層の変性、ならびに真皮・上皮接合部および真皮における単核細胞浸潤が挙げられる。
「粘膜(mucous membrane)」(または「粘膜(mucosa)」)は、吸収および分泌に関与する内張に覆われた、大抵は内胚葉由来の内膜である。粘膜は、外部環境および内臓器官に曝される体腔を覆う。粘膜は、鼻孔、口、唇、まぶた、耳、生殖器部、および肛門などのいくつかの箇所で皮膚と連続している。
「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)」は、プロスタグランジンの産生を阻害することによって機能する抗炎症剤の一種である。NSAIDSには、抗炎症、鎮痛および解熱作用がある。NSAIDSの例としては、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、スリンダク、アスピリン、次サリチル酸コリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、サルサラート、トルメチンおよびサリチル酸マグネシウムが挙げられる。これらの剤は、経口で投与可能であるか、非経口(例えば注射による)で投与可能であるか、または炎症部位への直接局所適用によって投与可能であり、かつ、それらは、複合製剤中で式Iおよび/またはIIの化合物と組み合わせられ得る。
「薬学的に許容できる塩」は、薬物として使用され得る化合物の生物学的に適合した塩を指し、この塩は、当該技術分野において周知の様々な有機および無機対イオンから誘導される。
「薬学的に有効な量」または「治療的に有効な量」は、特定の疾患または疾病あるいはその症状の1つ以上を治療し、および/または疾病または疾患の発症を予防するのに十分な化合物の量を指す。「治療」は、疾病のさらなる進行を停止させること、ならびに疾患を改善すること、病変の退縮を引き起こすこと、またはある例では疾患を治癒することを含む。
本明細書において使用される際、「DLE病変を大幅に軽減する」という語句は、標準的な皮膚科学的な手法によって測定した際の、DLE病変の統計的に有意な(p<0.05など)減少を意味する。例えば、DLE病変の減少は、治療される病変の数の計数、または1つまたは複数の治療される病変の合計表面積によって評価され得る。
「対象」は、ヒトおよび非ヒト対象を指す。
「全身性エリテマトーデス」または「SLE」は、主に女性に発病する炎症性自己免疫障害であり、関節症状、蝶形紅斑、再発性の胸膜炎、心膜炎、全身性リンパ節腫大、脾腫、ならびにCNSおよび進行性腎不全によって様々に特徴付けられる。ほとんどの患者(98%超)の血清は、抗DNA抗体を含む抗核抗体を含む。高力価の抗DNA抗体は、本質的にSLEに特有である。
「局所」送達は、薬物の薬理作用を実質的に皮膚の表面にまたは皮膚内に向ける目的で、皮膚疾患または疾病の皮膚症状を直接治療するための、皮膚への薬物含有製剤の適用を指す。局所剤形は、通常、半固体系であるが、フォーム、スプレー、薬用の粉末、溶液および薬用の接着剤系などの様々な他の剤形を含み得る。局所送達は、患部を覆うように皮膚組織に塗られるか、噴霧されるか、または他の方法で分散される外用の局所剤、あるいは局所的活性のために、経口で、経膣的に、または直腸肛門組織上で粘膜に適用される内用局所剤を含む。本明細書に開示される局所薬物は、例えば、固体(粉末、エアゾールまたは硬膏剤);液体(ローション、リニメント剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール)あるいは半固体(軟膏、クリーム、ペースト、ゲル、ゼリーまたは坐薬)としての任意の局所剤形として投与され得る。
化合物
化合物、プロドラッグ、対応する塩形態、ならびにこれらの化合物、プロドラッグおよび塩形態を、DLEなどの皮膚LEの治療に使用する方法が開示される。
化合物IおよびII、ならびにその塩形態およびそれらを含有する薬学的組成物が、以下により詳細に説明される。化合物Iは、N2−(3−アミノスルホニル−4−メチルフェニル)−5−フルオロ−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンとも呼ばれる。化合物IIは、5−フルオロ−N2−(4−メチル−3−プロピオニルアミノスルホニルフェニル)−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンとも呼ばれる。
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説明を簡略にするために、化合物Iおよび化合物IIが具体的に言及される任意の実施形態について、実施形態は、用いられる塩形態ならびに/または化合物Iおよび/もしくは化合物IIを含有する薬学的組成物も含む。
当業者は、化合物IIが、化合物Iのプロドラッグであること、および化合物IIが、化合物Iに変換されるまで、必ずしも薬理学的に不活性である必要はないことを理解するであろう。プロピオニルプロ基(progroup)が代謝する機序は、重要ではなく、例えば、胃の酸性条件下における加水分解によって、および/または消化管および/または身体の組織または器官に存在する酵素、例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、リポラーゼ(lipolase)、ATPアーゼおよびキナーゼを含むホスファターゼ、肝臓のシトクロムP450などによって生じ得る。本明細書に記載される特定の実施形態において、化合物Iおよび/またはIIは、DLEなどの皮膚科的疾患または皮膚疾患を治療するのに使用され、したがって、皮膚に直接投与され得る。不活性プロドラッグが投与される場合、それは、皮膚中の酵素(エステラーゼなど)によって活性化され得るか、または薬物を活性化する別の剤(例えば、パッチ中の活性化物質のリザーバ(reservoir)、または局所適用の前にプロドラッグと混合されるさらなる剤)とともに局所投与される。ある実施形態において、投与は、局所投与のみではなく、注射など、例えば皮内注射または病巣内注射も含み得る。あるいは、これらの活性剤は、全身投与され得る。
当業者は、化合物IおよびIIが、互変異性、立体配座異性および/または幾何異性の現象を示し得ることを理解するであろう。本発明が、化合物の任意の互変異性体、配座異性体および/または幾何異性体、ならびにこれらの様々な異なる異性体の混合物を包含することを理解されたい。アトロプ異性体は、回転障壁が配座異性体の単離を可能にするほど十分に高い単結合の周りの回転障害から得られる立体異性体である(Eliel,E.L.;Wilen,S.H.Stereochemistry of Organic Compounds;Wiley & Sons:New York,1994;第14章)。アトロプ異性体は、立体性(stereogenic)原子の非存在下でキラル要素を導入するため、重要である。本発明は、例えば、2,4−ピリミジンジアミンのコア構造とそれに結合される基との間の結合の周り、または例えば、スルホンアミドとそれが結合されるフェニル環との間の結合の周りの回転が制限される場合、アトロプ異性体を包含することが意図される。化合物IおよびIIは、塩の形態であってもよい。このような塩には、薬学的用途に適した塩(「薬学的に許容できる塩」)、獣医学的用途に適した塩などが含まれる。このような塩は、当該技術分野において周知のような酸または塩基から誘導され得る。本明細書に記載される例示的な塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アルギニン塩、コリン塩、およびカルシウム塩であるが、一般的に、任意の薬学的に許容できる塩が、本明細書に記載される方法に使用され得る。化合物Iおよび化合物IIが、塩基性基、例えば、ピリミジン窒素、ならびに酸性基、例えば、スルホンアミドにおける酸性プロトンおよび/またはピリミジンジアミン系のN2およびN4における窒素の両方を含むため、これらの化合物は、薬学的に許容できる酸または塩基付加塩を形成し得る。
一実施形態において、塩は、薬学的に許容できる塩である。一般に、薬学的に許容できる塩は、親化合物の所望の薬理学的活性の1つ以上を実質的に保持し、ヒトへの投与に適した塩である。薬学的に許容できる塩には、無機酸または有機酸とともに形成される酸付加塩が含まれる。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適した無機酸としては、例として、限定はされないが、ハロゲン化水素酸(hydrohalide acid)(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適した有機酸としては、例として、限定はされないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸など)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などが挙げられる。
薬学的に許容できる塩には、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオン)によって置換される場合に、あるいは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アンモニアなど)と配位する場合に形成される塩も含まれる。
化合物IおよびII、ならびにその塩はまた、当該技術分野において周知であるように、溶媒和物、例えば水和物、およびN−オキシドの形態であってもよい。
方法
本発明は、皮膚および/または粘膜の疾病および/または疾患、特に、DLEによって引き起こされる病変を治療するのに使用するための、2,4−置換ピリミジンジアミン化合物IおよびII、それらのプロドラッグ、塩ならびに薬学的組成物を提供する。特に、化合物IおよびIIは、単独でまたは他の剤と組み合わせて投与される。記載されるように、化合物Iおよび/または化合物IIは、親形態および/または塩形態として、ならびにその薬学的製剤として投与可能であり、プロドラッグ化合物IIを化合物Iへと活性化するための活性化剤を含んでいてもよい。
本明細書において使用される際、および当該技術分野においてよく理解されているように、「治療」は、有益なまたは所望の結果(臨床結果を含む)を得るための方法である。本発明の趣旨では、有益なまたは所望の結果は、以下に限定はされないが、検出できるかまたは検出できないかにかかわらず、1つ以上の症状の緩和または改善、疾病を含む病態の程度の縮小、疾病を含む病態の安定化した(すなわち、悪化していない)状態、疾病の拡大の防止、疾病を含む病態の進行の遅延または緩徐化、疾病を含む病態の状態の改善または緩和、および寛解(部分的であるかまたは全体的であるかにかかわらず)の1つ以上を含み得る。化合物IおよびII(少なくとも化合物Iの供給源として)は強力であるため、非常に少ない用量で(例えば、皮膚または粘膜に局所的にまたは注射によって)局所投与され、それによって、全身的副作用が最小限に抑えられ得る。この治療は、より標準的な治療(コルチコステロイドなど)によって引き起こされる副作用も回避し、患部へのその直接適用のために非常に有効であると考えられる。
化合物IおよびIIは、JAKキナーゼ1、特に、T細胞およびB細胞で動作するJAK 1/3依存性サイトカインシグナル伝達ならびにマクロファージ、樹枝状細胞、およびB細胞におけるSyk依存性シグナル伝達の強力かつ選択的な阻害剤である。例えば、化合物Iは、それぞれ0.18μΜおよび0.14μΜの範囲のJAK3およびSykに対するヒト細胞に基づくアッセイ法における半数効果濃度(EC50)を有し、他のサイトカイン(IL−1βおよびTNFα)または受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナル伝達に対してほとんどまたは全く活性を有さず、細胞増殖の幅広い阻害剤ではない。化合物Iは、JAK3を含有するサイトカインシグナル伝達経路に特に選択的である。この活性の結果として、化合物は、様々なインビトロ、生体内および生体外の状況において、JAKキナーゼ活性、JAKキナーゼが役割を果たすシグナル伝達カスケード、およびこのようなシグナル伝達カスケードによって行われる生物学的応答を調節または阻害するのに使用され得る。例えば、一実施形態において、化合物は、インビトロまたは生体内のいずれかで、JAKキナーゼを発現する実質的にあらゆる細胞型(造血細胞など)において、JAKキナーゼを阻害するのに使用され得る。化合物はまた、JAKキナーゼ、特にJAK3が役割を果たすシグナル伝達カスケードを調節するのに使用され得る。このようなJAK依存性シグナル伝達カスケードとしては、以下に限定はされないが、例えば、IL−4、IL−7、IL−5、IL−9、IL−15およびIL−21、またはIL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21受容体シグナル伝達カスケードなどの、共通γ鎖を含むサイトカイン受容体のシグナル伝達カスケードが挙げられる。化合物はまた、インビトロまたは生体内で、このようなJAK依存性シグナル伝達カスケードによって影響される細胞応答または生物学的応答を調節、特に阻害するのに使用され得る。このような細胞応答または生物学的応答としては、以下に限定はされないが、IL−4/ラモスCD23上方制御、IL−2媒介性T細胞増殖などが挙げられる。重要なことには、化合物は、JAKキナーゼ活性によって全体的にまたは部分的に媒介される疾病の治療または予防に対する治療方法として生体内でJAKキナーゼを阻害するのに使用され得る。このような疾病は、「JAKキナーゼ媒介性疾病」と呼ばれる。
理論に制約されるのを望むものではないが、本明細書に記載される化合物が、少なくとも部分的に、そのJAK阻害活性のために、これらの皮膚疾患の有効な治療であると考えられる。本方法にしたがって治療または予防され得る、JAKキナーゼによって少なくとも部分的に媒介される疾病の例としては、以下に限定はされないが、皮膚および粘膜に存在するDLE、ACLE、SCLEまたはDILEなどの皮膚LEの病変を含む、皮膚または粘膜の疾病および疾患が挙げられる。しかしながら、上記の活性の結果として、本明細書に記載される方法は、皮膚および粘膜疾患の治療を対象とするが、化合物および/または製剤の投与は、他の治療効果、すなわち、身体の他の組織または器官に治療効果を有することがある。一実施形態は、皮膚または粘膜の疾患または疾病(DLE、ACLE、SCLEまたはDILEなど)を治療する方法であり、この方法では、二次的な効果も実現される。例えば、まぶたにおけるDLE病変への活性剤の適用は、ドライアイ、ドライアイ症候群、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、緑内障または(眼の)酒さの有効な治療としても働き得る。別名、乾性角結膜炎(KCS)、乾性角膜炎、乾燥症候群、または眼球乾燥症として知られているドライアイ症候群(DES)は、ヒトおよびいくつかの動物によく見られる涙液産生の減少または涙液膜蒸発の増加によって引き起こされる眼疾患である。ブドウ膜炎または虹彩毛様体炎は、眼の中間層(「ブドウ膜」)の炎症を指し、一般的な用法では、眼の内部に関わる何らかの炎症過程を指し得る。アレルギー性結膜炎は、アレルギーに起因する結膜(白目を覆う膜)の炎症である。緑内障は、視神経を冒す疾病群を指し、特徴的パターンでは網膜神経節細胞の喪失、すなわち、ある種の視神経障害を伴う。眼圧の上昇は、緑内障を発症する重要なリスク因子(22mmHg超または2.9kPa超)であり、炎症過程、例えば、ブドウ膜炎が、この眼圧の上昇を引き起こし得る。
DLE、ACLE、SCLEまたはDILEのための開示される治療は、眼および鼻(鼻瘤)も冒し得る顔面紅斑を特徴とする慢性の炎症性疾患である酒さの症状も治療することができる。
一実施形態において、化合物Iおよび/または化合物IIは、DLEの治療と組み合わせて、上記の眼の疾病および/または疾患のいずれかを治療するのに使用される。一実施形態において、化合物Iおよび/またはIIは、塩形態として用いられる。特定の実施形態において、化合物IIは、塩形態として使用される。一実施形態において、化合物IIの塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルギニン塩、およびコリン塩から選択される。
同時投与
皮膚および/または粘膜の病変を治療するのに使用される場合、化合物IおよびIIは、単独で、プロドラッグを活性化するかまたは皮膚の疾病および/または疾患を治療するのに有用な他の剤との混合物として、および/またはそれらと組み合わせて投与され得る。化合物IおよびIIは、いくつかを挙げると、ステロイド、膜安定剤、5−リポキシゲナーゼ(5LO)阻害剤、ロイコトリエン合成および受容体阻害剤、IgEアイソタイプ転換またはIgE合成、IgGアイソタイプ転換またはIgG合成の阻害剤、β作動薬、トリプターゼ阻害剤、アスピリン、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、メトトレキサート、抗TNF薬、リツキサン(rituxan)、PD4阻害剤、p38阻害剤、PDE4阻害剤、および抗ヒスタミン剤などの、他の疾患または病気を治療するのに有用な剤と混合してまたはそれらと組み合わせて投与され得る。化合物IおよびIIは、それ自体で、プロドラッグの形態で、あるいは活性化合物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物として投与され得る。
本明細書に開示される薬学的組成物は、皮膚に適用される様々な他の治療剤、例えば抗菌剤(BACTROBANまたはCLEOCINなど);抗乾癬薬(Micanolなど);抗真菌薬(LAMISIL、LOTRIMIN、およびNIZORALなど);にきび治療剤(過酸化ベンゾイル局所調製物など);脂漏性皮膚炎のための治療剤(コールタールなど);コルチコステロイド;にきびを含む病態を治療するのに使用されるビタミンAから誘導されるゲルまたはクリームであるレチノイド(Retin−AおよびTazoracなど);およびいぼ治療剤(サリチル酸など)と(同時にまたは連続して)同時投与され得る。これらの剤のいずれも、例えば、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、石けん、シャンプー、またはパッチなどの接着性のアプリケータで、局所または化粧用製剤中に提供され得る。
本明細書に開示される薬学的組成物はまた、皮膚に適用されない様々な他の治療剤、例えば、例えば経口でまたは非経口で、全身投与される治療剤と(同時にまたは連続して)同時投与され得る。このような全身治療剤の例としては、他の抗ループス剤(ヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL)、コルチコステロイド(プレドニゾンなど)、抗生物質(エリスロマイシン、テトラサイクリン、およびジクロキサシリンなど)、抗真菌薬(ケトコナゾールおよびDIFLUCANなど)、抗ウイルス剤(VALTREX、アシクロビル、およびFAMVIRなど)、コルチコステロイド、免疫抑制剤(CYTOXAN、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートなど)、ならびに生物学的製剤(RITUXAN、ENBREL、HUMIRA、REMICADE、STELARA、およびAMEVIVEなど)が挙げられる。
化合物IおよびIIと組み合わせて使用され得る特定の免疫抑制治療剤としては、例えば、メルカプトプリン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンおよびプレドニゾロンなどのコルチコステロイド、シクロホスファミドなどのアルキル化剤、シクロスポリン、シロリムスおよびタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤、ミコフェノレート、ミコフェノール酸モフェチルおよびアザチオプリンなどのイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害剤、ならびに様々な抗体、例えば、抗リンパ球グロブリン(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、モノクローナル抗T細胞抗体(OKT3)および放射線を含む、レシピエントの液性免疫応答を完全なまま保ちながら、細胞性免疫を抑制するように設計された剤が挙げられる。これらの様々な剤は、市販の形態の薬物に添付の処方情報(the 2006 Edition of The Physician's Desk Referenceにおける処方情報も参照)(この開示内容は、参照により本明細書に援用される)に規定されるとおりに、それらの標準的なまたは一般的な投与量に準拠して使用され得る。アザチオプリンは、商標名AZASANでSalix Pharmaceuticals,Inc.から現在入手可能であり;メルカプトプリンは、商標名PURINETHOLでGate Pharmaceuticals,Inc.から現在入手可能であり;プレドニゾンおよびプレドニゾロンは、Roxane Laboratories,Inc.から現在入手可能であり;メチルプレドニゾロンは、Pfizerから現在入手可能であり;シロリムス(ラパマイシン)は、商標名RAPAMUNEでWyeth−Ayerstから現在入手可能であり;タクロリムスは、商標名PROGRAFで藤沢薬品工業(Fujisawa)から現在入手可能であり;シクロスポリンは、商標名SANDIMMUNEでNovartisからおよび商標名GENGRAFでAbbottから現在入手可能であり;ミコフェノール酸モフェチルおよびミコフェノール酸などのIMPDH阻害剤は、商標名CELLCEPTでRocheからおよび商標名MYFORTICでNovartisから現在入手可能であり;アザチオプリンは、商標名IMURANでGlaxo Smith Klineから現在入手可能であり;抗体は、商標名ORTHOCLONEでOrtho Biotechから、商標名SIMULECT(バシリキシマブ)でNovartisからおよび商標名ZENAPAX(ダクリズマブ)でRocheから現在入手可能である。
一実施形態において、式Iおよび/もしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容できる塩形態は、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗炎症剤、抗ウイルス剤もしくは緑内障薬などの薬物の眼科用製剤と組み合わせてまたはそれらと併用して投与される。このような複合調製物は、主に眼の周囲の皮膚(まぶたなど)を冒すDLEの症例を治療するのに特に有用であり、例えば、点眼剤または軟膏で眼にまたは眼の周囲に投与され得る。これらの複合製剤を調製する際、その薬学的に許容できる塩形態を含む式Iおよび/またはIIの化合物は、眼科用抗生物質(スルファセタミド、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、シプロフロキサシンまたはオフロキサシンなど);眼科用コルチコステロイド(プレドニゾロン、フルオロメトロンまたはデキサメタゾンなど;眼科用非ステロイド性抗炎症剤(イブプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラックまたはフルルビプロフェンなど);眼科用抗ヒスタミン剤(リボスチン(livostin)、パタノール(patanol)、クロモリン、アロミド(alomide)、またはフェニラミンなど);眼科用抗ウイルス性眼薬(トリフルオロチミジン、アデニン、アラビノシドまたはイドクスウリジンなど);眼科用緑内障薬剤(例えば、チモロール、メチプラノロール、カルテオロール、ベタキソロールまたはレボブノロールなどのβ遮断薬);眼科用プロスタグランジン類似体(ラタノプロストなど);眼科用コリン作動薬(ピロカルピンまたはカルバコールなど);ブロモニジン(bromonidine)またはアイオピジン(iopidine)などの眼科用α作動薬;眼科用炭酸脱水酵素阻害剤(ドルゾラミドなど);および眼科用アドレナリン作動薬(エピネフリンまたはジピベフリンなど)と組み合わせられてもよい。
薬学的組成物
本明細書に記載される化合物IおよびIIを含む薬学的組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣形成、研和、乳化、カプセル化、封入(entrapping)または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。組成物は、薬学的に、特に局部的または局所的に使用され得る調製物へと活性化合物を処理するのを補助する、1つ以上の生理学的に許容できる担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を用いて、従来の方法で製剤化され得る。
化合物IおよびIIは、本明細書に記載されるように、それ自体で、あるいは、水和物、溶媒和物、N−オキシドまたは薬学的に許容できる塩の形態で、薬学的組成物中で製剤化され得る。通常、このような塩は、対応する遊離酸および塩基より、水溶液に対する溶解性が高いが、対応する遊離酸および塩基より低い溶解性を有する塩も形成され得る。
一実施形態において、薬学的製剤は、化合物Iおよび/または化合物IIと、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、防腐剤、または安定剤、あるいはそれらの混合物とを含む。
一実施形態において、化合物は、前述される非毒性の薬学的に許容できる塩として提供される。本発明の化合物の好適な薬学的に許容できる塩としては、塩酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸とともに形成されるものなどの酸付加塩が挙げられる。アミン基の塩は、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキル部分などの好適な有機基を有する第四級アンモニウム塩も含み得る。さらに、本明細書に記載される化合物が、酸性部分を有する場合、その好適な薬学的に許容できる塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩;およびアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩またはマグネシウム塩などの金属塩を含み得る。
本明細書に記載される薬学的に許容できる塩は、遊離塩基形態の生成物を、塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中で、または真空下でまたは凍結乾燥によって除去される水などの溶媒中で、1つ以上の当量の適切な酸と反応させるか、あるいは既存の塩のアニオンを、好適なイオン交換樹脂における別のアニオンと交換することなどによる従来の手段によって形成され得る。
化合物IおよびIIは、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、脳室内(ICV)、嚢内注射または注入、皮下注射、またはインプラント)によって、吸入スプレー、経鼻、膣内、直腸、舌下、尿道(例えば、尿道坐薬)あるいは局所的な投与経路(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、エアゾールなど)によって投与されてもよく、各投与経路に適切な従来の非毒性の薬学的に許容できる担体、補助剤、賦形剤およびビヒクルを含有する好適な投与量単位の製剤中で、単独でまたは一緒に製剤化され得る。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えて、本明細書に記載される化合物は、ヒトに有効であり得る。
化合物IおよびIIの投与のための薬学的組成物は、投与量単位形態で好都合に提供されてもよく、製薬の技術分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。薬学的組成物は、例えば、活性成分を、液体担体または微粉化した固体担体あるいはその両方と均一におよび密接に合わせて、次に、必要に応じて、生成物を所望の製剤へと成形し、および/またはそれを適切な包装中に入れることによって調製され得る。開示される化合物の局所製剤において、製剤は、適切な容器(軟膏およびクリームを小出しするための蓋付きの絞り出し式チューブなど)に入れられる。あるいは、ディスペンサは、薬物の投与量単位を投薬するための器具(標的部位に制御された所定の投与量の薬物を投薬するボトルまたはスポイトなど)を含み得る。薬学的組成物において、有効な目的化合物が、所望の治療効果を生じるのに十分な量で含まれる。例えば、本明細書に記載される薬学的組成物は、例えば、局所、眼内、経口、口腔、全身、経鼻、注射、経皮、直腸、膣内などを含む実質的にあらゆる投与形態に適した形態、あるいは吸入または注入(insufflation)による投与に適した形態を取り得る。
局所投与の場合、JAK選択性化合物またはプロドラッグは、当該技術分野において周知のように、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして製剤化され得る。皮膚への投与に適していることに加えて、溶液、ゲル、軟膏、クリームおよび懸濁液は、眼に直接投与するのにもよく適している。一実施形態は、化合物Iおよび/または化合物IIを含む薬学的製剤であり、ここで、製剤は、溶液、ゲル、軟膏、クリームおよび懸濁液から選択される。一態様において、局所投与のために製剤化されるこのような製剤は、化合物Iおよび/または化合物IIの治療的に有効な量、あるいは、化合物Iの場合は塩酸塩またはベシル酸塩、および例として、化合物IIのリジン塩、コリン塩、またはアルギニン塩などの、その薬学的に許容できる塩の治療的に有効な量を含む。本明細書に記載される方法に使用するための製剤の特定の実施形態は、治療的に有効な量の、化合物、局所基剤、酸化防止剤、皮膚軟化剤、および乳化剤を含む。当業者は、治療的に有効な量の化合物は変化し得るが、通常、治療的に有効な量は0.1%〜10%(w/w)であることを理解するであろう。
局所基剤は、選択された分子量を有するポリエチレングリコールを含み得る。特定の実施形態は、局所基剤として、3000〜8000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
特定の実施形態において、製剤は、軟膏であり、200ダルトン〜600ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコールなどの水混和性溶媒をさらに含み得る。特定の実施形態において、水混和性溶媒は、PEG−400、さらにより特定的には、不純物を実質的に含まないPEG−400を含む。特定の実施形態において、不純物を実質的に含まないPEG−400は、65ppm未満のホルムアルデヒド、10ppm未満のホルムアルデヒド、または1ppmまたはそれ未満のホルムアルデヒドを含む。
本明細書に記載されるような使用のための局所製剤は、ジメチルイソソルビド、プロピレングリコール、またはそれらの組合せなどの浸透促進剤;水などの皮膚軟化剤;モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコールモノステアレート、D−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ステアリン酸グリコール/PEG32ステアレート/PEG6ステアレートを含む組成物などの界面活性剤、および界面活性剤の組合せ;ブチル化ヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、トコフェロール、およびそれらの組合せも含むことができ、特定の実施形態は、酸化防止剤としてのブチル化ヒドロキシトルエン;および0.05%〜0.25%(w/w)のカラメル色素などの任意選択の着色剤を含む。
特定の実施形態では、治療的に有効な量は、0.1%〜10%(w/w)であり、薬学的製剤は、4000〜5000ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコールなどの15%〜40%(w/w)の局所基剤;300〜500ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコールなどの25%〜50%(w/w)の水混和性溶媒;ジメチルイソソルビドなどの10%〜20%(w/w)の浸透促進剤;水などの3%〜15%(w/w)の皮膚軟化剤;ポリエチレングリコールモノステアレートなどの3%〜9%(w/w)の界面活性剤;および酸化防止剤としての0.5%〜1.5%(w/w)のブチル化ヒドロキシトルエンをさらに含む。
薬学的製剤の別の実施形態は、0.2%〜6%(w/w)の化合物Iまたはその薬学的に許容できる塩;4000〜5000ダルトンの平均分子量を有する30%〜40%(w/w)のポリエチレングリコール;300〜500ダルトンの平均分子量を有する30%〜40%(w/w)のポリエチレングリコール;15%(w/w)のジメチルイソソルビド;3〜5%(w/w)の水;5%(w/w)のポリエチレングリコールモノステアレート;1%(w/w)のブチル化ヒドロキシトルエン;および0.05%のカラメルを含む。
薬学的製剤のさらに別の実施形態は、1%(w/w)の化合物I;4500ダルトンの平均分子量を有する25%〜40%(w/w)のポリエチレングリコール;および400ダルトンの平均分子量を有する30%〜45%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
薬学的製剤のさらに別の実施形態は、3%(w/w)の化合物I;4500ダルトンの平均分子量を有する32%(w/w)のポリエチレングリコール;および400ダルトンの平均分子量を有する38%〜42%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
薬学的製剤のさらに別の実施形態は、6%(w/w)の化合物I;4500ダルトンの平均分子量を有する35%(w/w)のポリエチレングリコール;および400ダルトンの平均分子量を有する33%〜35%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
一実施形態において、製剤は溶液である。別の実施形態において、製剤はゲルである。別の実施形態において、製剤は懸濁液である。さらに別の実施形態において、製剤はクリームまたは軟膏である。一実施形態は、局所または局部投与のためのキットにおける上記の製剤のいずれかである。一実施形態において、製剤は、例えば、(例えば、実質的に、治療される皮膚の標的部位のみに液体を投薬するために、皮膚の標的部位に接触するアプリケータの先端から)液滴または液膜として製剤を投薬するボトルに入れられて販売されている均質な液体または懸濁液といった液体である。一実施形態において、製剤は、皮膚の標的部位に製剤を投薬するチューブに入れられて販売されているクリームまたは軟膏である。別の実施形態において、化合物は、皮膚に塗り込むかまたは眼に注入するための粘性液体(カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール、または油を含有する点眼剤など)に提供される。製剤は、防腐剤を有してもまたは防腐剤を含まなくてもよい(例えば使い捨ての容器中において)。
クリーム、軟膏、ゼリー、ゲル、溶液または懸濁液などの局所使用の場合、化合物IおよびIIは、局所投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するのに使用され得る。特定の実施形態において、化合物IおよびIIは、ポリエチレングリコール(PEG)とともに局所投与するために製剤化され得る。これらの製剤は、任意に、希釈剤、安定剤および/または補助剤などのさらなる薬学的に許容できる成分を含み得る。特定の実施形態において、局所製剤は、皮膚ループス、例えばDLEなどの慢性皮膚ループスなどの、皮膚の疾病および/または疾患の治療のために製剤化される。
全身用製剤には、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内または腹腔内注射による投与のために設計されたもの、ならびに経皮、経粘膜、経口または経肺投与のために設計されたものが含まれる。
有用な注射用調製物は、水性または油性ビヒクル中の活性化合物の滅菌懸濁液、溶液またはエマルジョンを含む。組成物は、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤(formulating agent)、あるいはプロドラッグを活性化するための活性化剤も含有し得る。注射用の製剤は、単位剤形で、例えば、アンプル中または多回投与用容器中に与えられてもよく、防腐剤が追加されていてもよい。注射用の製剤はまた、注射器、例えば、針を有する注射器中に、皮膚中への、例えば直接DLE病変中への薬物の注射によって提供され得る。
あるいは、注射用製剤は、使用前に、以下に限定はされないが、発熱性物質除去蒸留水、緩衝液、デキストロース溶液などを含む好適なビヒクルとの再構成のための粉末形態で提供され得る。粉末は、粉末がビヒクルに可溶化されるときにプロドラッグを活性化する、プロドラッグのための活性化剤を含み得る。このために、活性化合物は、凍結乾燥などの当該技術分野において公知の任意の技術によって乾燥され、使用前に再構成され得る。
経粘膜投与の場合、浸透されるべきバリアに適した浸透剤が、製剤に使用される。このような浸透剤は、当該技術分野において公知であり、浸透剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルイソソルビドが挙げられる。しかしながら、浸透剤は、皮膚への活性剤の送達を向上させるのに使用することもできる。
経口投与の場合、薬学的組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容できる賦形剤を用いた従来の手段によって調製される舐剤、錠剤またはカプセル剤の形態を取り得る。錠剤は、当該技術分野において周知の方法によって、例えば、糖、フィルムまたは腸溶コーティングでコーティングされ得る。さらに、経口使用に適した形態の活性成分またはそのプロドラッグとしての2,4−置換ピリミジンジアミンを含有する薬学的組成物は、例えば、トローチ、舐剤、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬カプセル剤または軟カプセル剤、あるいはシロップまたはエリキシル剤も含み得る。経口用の組成物は、薬学的組成物の製造のための技術分野において公知の任意の方法にしたがって調製されてもよく、このような組成物は、薬学的に上質で口当たりの良い調製物を提供するために、甘味料、着香剤、着色剤および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容できる賦形剤と混合して活性成分(プロドラッグを含む)を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤(例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア);および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)などの不活性希釈剤であり得る。錠剤は、コーティングされなくてもよいか、または錠剤は、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによって、より長い期間にわたって持続される作用を提供するための公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が用いられてもよい。錠剤は、制御放出のための浸透性の治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同4,166,452号;および同4,265,874号に記載される技術によってコーティングされてもよい。本明細書に記載される薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。
経口投与用の液体調製物は、例えば、エリキシル剤、溶液、シロップまたは懸濁液の形態を取り得るか、あるいは液体製剤は、使用前の、水または他の好適なビヒクルによる構成のために、乾燥した製品として提供され得る。このような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素添加された食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、cremophore(商標)または分画された植物油);および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤を用いた従来の手段によって調製され得る。調製物は、必要に応じて、緩衝塩、防腐剤、着香料、着色料および甘味料も含有してもよい。
経口投与用の調製物は、周知のとおりに、活性化合物またはプロドラッグの制御放出を与えるように好適に製剤化され得る。
口腔投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤または舐剤の形態を取り得る。
直腸および膣内の投与経路の場合、活性化合物は、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する、(停留かん腸用の)溶液、坐薬または軟膏として製剤化され得る。
活性化合物またはプロドラッグは、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フッ化炭素、二酸化炭素または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からのエアゾールスプレーの形態で好都合に送達され得る。プロドラッグを投与するとき、プロドラッグは、活性化剤と同時に送達され、それによって活性化剤と混合されて、例えば、活性化合物IIが化合物Iへと活性化され得る。加圧されたエアゾールの場合、投与量単位は、一定量を送達する弁を設けることによって決定され得る。化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有する、吸入器または注入器中で使用するためのカプセル剤およびカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセル剤およびカートリッジ)が、製剤化され得る。
薬学的組成物は、滅菌した注射用の水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上述された好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、公知の技術にしたがって製剤化され得る。滅菌した注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の滅菌した注射用溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る許容できるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液および生理食塩液がある。化合物IおよびIIはまた、薬物の直腸または尿道投与のための坐薬の形態で投与され得る。特定の実施形態において、化合物は、例えば、特に男性の生殖能機能病態(fertility condition)の治療に使用するための、例えば、精巣機能障害の治療のための尿道坐薬として製剤化され得る。
本発明によれば、2,4−置換ピリミジンジアミン化合物は、直腸または尿道投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するのに使用され得る。本発明は、坐薬を含む、尿道または直腸投与に適した形態の、2,4−置換ピリミジンジアミン化合物を含む組成物を製造するための方法にも関する。
化合物IおよびIIの特定の例を投与するのに使用され得る器具に含まれるのは、定量吸入器、液体噴霧器、乾燥粉末吸入器、噴霧器、発泡器(foamer)、熱気化器(thermal vaporizer)などの、当該技術分野において周知の器具である。特定の2,4−置換ピリミジンジアミン化合物の投与のための他の好適な技術は、電気流体力学的煙霧器(aerosolizer)を含む。スプレー、エアゾール、スポンジが先端に付いたアプリケータおよびフォームディスペンサが、化合物を、それ自体でまたは製剤中のいずれかで、皮膚に直接、またはDLE病変などの、LEの皮膚病変中への直接の皮内注射によって投与するのに使用され得る。
通常、皮膚投与用の製剤は、約0.0001重量%〜約1.0重量%以上(w/w)などの、本明細書に開示される薬学的に有効な量の2,4−ピリミジンジアミン化合物を含有する。特定の製剤において、薬学的に有効な量の化合物は、約0.003%〜約0.5%(w/w)、または約0.01%〜約0.03%(w/w)など、0.0003%〜約0.1%(w/w)である。他の例において、化合物は、少なくとも2%、3%または5%(w/w)で存在する。
特定の例において、眼内投与のための、本明細書に開示される2,4−ピリミジンジアミン化合物を含有する眼科用組成物は、等張化剤、緩衝液、またはその両方を含む。眼科用組成物の特定の例において、等張化剤は、単炭水化物または糖アルコールである。当業者に公知であるように、等張化剤は、組成物の張度を、好ましくは正常な涙液の張度に調整するために、本発明の組成物に使用され得る。好適な等張化剤の例としては、限定はされないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロース、フルクトース、ガラクトースなどの炭水化物、例として、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、マルチトールを含む糖アルコールなどのポリオールおよびそれらの組合せが挙げられる。緩衝液を含有する組成物は、いくつかの例において、ホスフェート、シトレート、またはその両方を含有する。
本明細書に記載される2,4−置換ピリミジンジアミン化合物もしくはプロドラッグ、またはそれらの組成物は、一般に、目的とする結果を得るのに有効な量、例えば、治療される特定の病態を治療または予防するのに有効な量で使用されるであろう。化合物は、治療効果を得るために治療的に投与されてもよいか、または予防効果を得るために予防的に投与されてもよい。治療効果とは、患者が基礎疾患をまだ患っていたとしても、患者が気分または状態の改善を報告するような、治療される基礎疾患の根絶または改善および/または基礎疾患に伴う症状の1つ以上の根絶または改善を意味する。例えば、DLEに苦しんでいる患者への化合物の投与は、皮膚の基礎病変が根絶または改善されるときだけでなく、患者がDLEに伴う症状の重症度または持続時間の減少を報告するときにも治療効果をもたらす。治療効果は、症状の改善が認識されるかどうかにかかわらず、疾病の進行の停止または緩徐化も含む。
予防的投与の場合、化合物は、前述された病態の1つを発症するリスクのある患者に投与され得る。例えば、患者に特定の薬物に対するアレルギーがあるかどうかが不明である場合、化合物は、薬物に対するアレルギー反応を回避または改善するために、薬物の投与の前に投与され得る。あるいは、予防的投与は、基礎疾患があると診断された患者の症状の発生を回避するために適用され得る。例えば、化合物は、アレルゲンへの予測される曝露の前にアレルギー患者に投与され得る。化合物はまた、疾患の発症を予防するために、上記の病気の1つに対する公知の作用物質に繰り返し曝される健常な個体に予防的に投与されてもよい。例えば、化合物は、個体がアレルギーを発現しないように、花粉などの、眼のアレルギー反応を誘発することが知られているアレルゲンに繰り返し曝される健常な個体に投与されてもよい。
投与される化合物の量は、例えば、治療される特定の病態、投与形態、治療される病態の重症度ならびに患者の年齢および体重、特定の活性化合物の生物学的利用能などを含む様々な要因に応じて決まるであろう。有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。当業者は、特定の個体の最適な用量を決定することができるであろう。有効な投与量は、最初にインビトロのアッセイ法から推定され得る。例えば、動物に使用するための初期投与量は、本明細書の実施例3および4に記載されるインビトロのアッセイ法などのインビトロのアッセイ法で測定される特定の化合物のIC50であるかまたはIC50を超える、活性化合物の循環血液または血清濃度を達成するように製剤化され得る。同様に、動物の全身使用のためのプロドラッグの初期投与量は、インビトロのアッセイ法における特定の化合物のIC50であるかまたはIC50を超える、代謝産物活性化合物の循環血液または血清濃度を達成するように製剤化され得る。特定の化合物の生物学的利用能を考慮に入れながら、このような循環血液または血清濃度を達成するための投与量を計算することは、十分に当業者の能力の範囲内である。参考として、読者は、Fingl & Woodbury,"General Principles,"In:Goodman and Oilman's the Pharmaceutical Basis of Therapeutics,第1章,pp.1−46(最新版),Pergamon Press、およびこの文献に引用される参照文献を参照されたい。
初期投与量は、実施例9に開示されるものなどの動物モデルを使用して、生体内データから推定することもできる。上記の様々な疾病を治療または予防するための化合物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当該技術分野において周知である。全身投与のための投与量は、通常、約0.0001または0.001または0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であるが、他の要因の中でも特に、化合物の活性、その生物学的利用能、投与形態および上述される様々な要因に応じて、より多くてもまたはより少なくてもよい。全身投与量および間隔は、治療または予防効果を維持するのに十分な化合物の血漿中濃度を提供するように個別に調整され得る。例えば、化合物は、中でも特に、投与形態、治療される特定の適応症および処方医師の判断に応じて、週1回、1週間に数回(例えば、1日おき)、1日1回または1日に複数回投与され得る。局部的な局所投与などの、局部投与または選択的摂取の場合、活性化合物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しないことがある。当業者は、過度の実験を行わずに有効な局部的投与量を最適化することができるであろう。皮膚への局所投与のはるかに高い治療指数を考慮して、投与量は、副作用および毒性のさらなる懸念をそれほど伴わずに一般的な全身投与量を超えて増加され得る。
2,4−置換ピリミジンジアミン化合物の投与量の要件に関する上記の開示は、投与されるプロドラッグの量も、例えば、特定のプロドラッグの生物学的利用能、選択された投与経路における活性な薬物化合物への変換速度および変換効率、活性化剤の同時投与などを含む様々な要因に応じて決まるという当業者に明らかな認識により、プロドラッグに必要な投与量に関する。特定の使用および投与形態のためのプロドラッグの有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
局所または眼内投与の場合、有効な投与量は、化合物の著しい体循環が皮膚または眼への投与から生じない投与量、例えば、局所製剤が皮膚病変に直接適用され、非常に局部的な投与が著しい体循環の前に用いられる投与量であり得る。
開示される方法における化合物IおよびIIの代わりに用いられ得るさらなる化合物が、本明細書において具体的に想定され、2009年2月17日に発行されたArgade et al.の米国特許第7,491,732号および2007年8月30日に公開された米国特許出願公開第2007/0203161号に記載されており、これらは両方とも、参照により本明細書に援用される。
化合物の合成
化合物IおよびII、ならびに塩III〜VIIが、以下に記載されるようにまたは以下に記載される合成との類似法によって合成される。代替的な合成が、当業者によって理解されるであろう。
実施例1
Figure 2014507480
I:N2−(3−アミノスルホニル−4−メチルフェニル)−5−フルオロ−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン
4−ニトロフェノール(1.00g、7.19mmol)、臭化プロパルギル(トルエン中80重量%;0.788mL、7.09mmol)、およびKCO(1.08g、7.84mmol)を組み合わせて、アセトン(16.0mL)中60℃で18時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、水(200mL)で希釈した。4−(プロパ−2−イニルオキシ)ニトロベンゼンを、吸引ろ過によって白色の固体として単離した(1.12g)。
Figure 2014507480
4−(プロパ−2−イニルオキシ)ニトロベンゼン(0.910g、5.13mmol)、鉄(1.42g、25.3mmol)、およびNHCl(0.719g、12.8mmol)を、EtOH/水(1:1、55mL)中70℃で15分間、激しく撹拌した。反応混合物を、珪藻土を通して高温のままろ過し、真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中10%の2Nのアンモニア性メタノール中で懸濁させ、超音波で分解し、珪藻土を通してろ過した。濃縮により、4−(プロパ−2−イニルオキシ)アニリンを油として得て、それをさらに精製せずに使用した。
Figure 2014507480
4−(プロパ−2−イニルオキシ)アニリン(0.750g、5.10mmol)および2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(1.27g、0.760mmol、Sigma−Aldrich(Milwaukee,Wisconsin,USA)から市販されている)を、MeOH/水(4:1、35mL)中で、室温で18時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc(200mL)で希釈し、1NのHCl(50mL)および塩水(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc:ヘキサン(1:10)まで勾配を付けたヘキサン)によって精製したところ、2−クロロ−5−フルオロ−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−4−ピリミジンアミンが、淡褐色の固体(0.514g)として得られた。
Figure 2014507480
2−クロロ−5−フルオロ−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−4−ピリミジンアミン(0.514g、1.85mmol)、3−(アミノスルホニル)−4−メチルアニリン(0.689g、3.70mmol、市販の2−メチル−5−ニトロベンゼンスルホンアミドの還元によって作製されるかまたは以下に記載されるように合成される)、およびトリフルオロ酢酸(0.186mL、2.41mmol)を、密閉バイアル中でiPrOH(6.0mL)と組み合わせて、100℃で3時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、1NのHCl(80mL)で希釈した。N2−(3−アミノスルホニル−4−メチルフェニル)−5−フルオロ−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン(I)を、吸引ろ過によって白色の固体として単離した(0.703g)。
Figure 2014507480
II:5−フルオロ−N2−(4−メチル−3−プロピオニルアミノスルホニルフェニル)−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン
N2−(3−アミノスルホニル−4−メチルフェニル)−5−フルオロ−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン、I、(0.200g、0.467mmol)、DMAP(40mg、0.33mmol))およびトリエチルアミン(0.118mL、0.847mmol)を、THF(6.0mL)中で撹拌した。プロピオン酸無水物(0.180mL、1.40mmol)を、溶液に滴下して加えた。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。溶液を、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(5×25mL)および塩水(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。残渣を、酢酸エチル(25mL)中で懸濁させ、超音波で分解し、固体をろ過によって収集したところ、5−フルオロ−N2−(4−メチル−3−プロピオニルアミノスルホニルフェニル)−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン、II、(0.20g)が得られた。
Figure 2014507480
III:5−フルオロ−N2−(4−メチル−3−プロピオニルアミノスルホニルフェニル)−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン一ナトリウム塩
5−フルオロ−N2−(4−メチル−3−プロピオニルアミノスルホニルフェニル)−N4−[4−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミン、II、(0.125g、0.258mmol)を、アセトニトリル(1.5mL)および水(1.5mL)中に懸濁させ、氷浴中で冷却した。1NのNaOH水溶液(0.260mL)を滴下して加えた。反応混合物を、透明になるまで撹拌し、グラスウールを通してろ過し、凍結乾燥したところ、IIのナトリウム塩が得られた。
Figure 2014507480
以下の化合物を、上記の方法と同様の方法で作製した。
IV:5−フルオロ−N2−[4−メチル−3−(N−プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]−N4−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンカリウム塩
Figure 2014507480
V:5−フルオロ−N2−[4−メチル−3−(N−プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]−N4−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンカルシウム塩
Figure 2014507480
VI:5−フルオロ−N2−[4−メチル−3−(N−プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]−N4−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンアルギニン塩
Figure 2014507480
VII:5−フルオロ−N2−[4−メチル−3−(N−プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]−N4−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンコリン塩
Figure 2014507480
実施例2
Figure 2014507480
5−アミノ−2−メチルベンゼンスルホンアミド
4−メチルニトロベンゼン(20mmol)を、0℃で、クロロスルホン酸(5.29mL、80mmol)で処理し、次に、均一な溶液を室温にした後、それを110℃で24時間撹拌した。次に、得られたスラリーを、氷水(100gm)上に注ぎ、ジエチルエーテル(3×75mL)で抽出し、有機相を水(75mL)で洗浄し、次に、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。次に、溶媒を減圧下で除去して、粗スルホニルクロリドを得て、それを、酢酸エチル中に取り込み、水酸化アンモニウムとともに室温で一晩撹拌した。酢酸エチル層を分離させ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を組み合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた油を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、次に、ヘキサン中10%、20%、最大で50%の酢酸エチルによって精製したところ、3−アミノスルホニル−4−メチルニトロベンゼン、LCMS:純度:95%;MS(m/e):217(MH+)が得られた。
ジクロロメタンおよびメタノール中の3−アミノスルホニル−4−メチルニトロベンゼンの溶液に、10%のPd/Cを加え、混合物を、水素雰囲気下で、50psiで15分間振とうした。混合物を、珪藻土を通してろ過し、ろ過ケーキをメタノールで洗浄した。組み合わされた有機溶媒を、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、それを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン1:1)によってさらに精製したところ、3−アミノスルホニル−4−メチルアニリン、LCMS:純度:87%;MS(m/e):187(MH+)が得られた。
実施例3
IL−4で刺激されたラモスB細胞株に関するアッセイ法
JAK阻害をアッセイする1つの手段は、下流の遺伝子産物の上方制御に対する化合物IおよびIIの効果の検出である。ラモス/IL4アッセイ法において、B細胞を、サイトカインインターロイキン−4(IL−4)で刺激して、JAKファミリーキナーゼ、JAK1およびJAK3のリン酸化を通してJAK/Stat経路の活性化をもたらし、これにより、次に、転写因子Stat−6をリン酸化し、活性化する。活性化されたStat−6によって上方制御される遺伝子の1つが、低親和性IgE受容体、CD23である。JAK1およびJAK3キナーゼに対する阻害剤(例えば、本明細書に記載される2,4−置換ピリミジンジアミン化合物)の効果を調べるために、ヒトラモスB細胞を、ヒトIL−4で刺激する。刺激してから20〜24時間後、CD23の上方制御を調べるために細胞を染色し、フローサイトメトリー(FACS)を用いて分析する。対照条件と比較した、存在するCD23の量の減少により、試験化合物がJAKキナーゼ経路を活発に阻害することが示される。このタイプの例示的なアッセイ法が、以下により詳細に記載される。
サイトカインインターロイキン−4(IL−4)で刺激されたB細胞は、JAKファミリーキナーゼ、JAK−1およびJAK−3のリン酸化を通してJAK/Stat経路を活性化し、これにより、次に、転写因子Stat−6をリン酸化し、活性化する。活性化されたStat−6によって上方制御される遺伝子の1つが、低親和性IgE受容体、CD23である。JAKファミリーキナーゼに対する阻害剤の効果を調べるために、ヒトラモスB細胞を、ヒトIL−4で刺激する。
ラモスB細胞株を、ATCC(ATCCカタログ番号CRL−1596)から入手した。この細胞を、ATCC増殖プロトコルにしたがって、熱で不活性化した10%のウシ胎仔血清(FBS)(JRH Biosciences,Inc,Lenexa,Kansas、カタログ番号12106−500M)を含むRPMI 1640(Cellgro,MediaTech,Inc.,Herndon,VA、カタログ番号10−040−CM)中で培養した。細胞を、3.5×10個の密度で維持した。実験の前日に、ラモスB細胞を、3.5×10個の細胞/mLに希釈して、それらが確実に対数増殖期にあるようにした。
細胞を遠心沈殿させ、5%の血清を含むRPMI中で懸濁させた。96ウェル組織培養プレート中で1箇所当たり5×10個の細胞を使用した。細胞を、化合物またはDMSO(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号D2650)ビヒクル対照とともに、37℃の培養器中で1時間プレインキュベートした。次に、細胞を、20〜24時間、最終濃度が50単位/mLのIL−4(Peprotech Inc.,Rocky Hill,NJ、カタログ番号200−04)で刺激した。次に、細胞を遠心沈殿させ、抗CD23−PE(BD Pharmingen,San Diego,CA、カタログ番号555711)で染色し、FACSによって分析した。Becton Dickinson Biosciences(San Jose,California)から購入されたBD LSR I System Flow Cytometerを用いて検出を行った。このアッセイ法の結果に基づいて計算されたIC50が、表1に示される。
実施例4
IL−2で刺激された初代ヒトT細胞増殖アッセイ法
本明細書に記載される化合物のJAK活性は、初代ヒトT細胞の増殖反応に対する本明細書に記載される化合物IおよびIIの効果をアッセイすることによってさらに特徴付けられ得る。このアッセイ法において、末梢血から得られ、T細胞受容体およびCD28の刺激によって予備活性化された初代ヒトT細胞は、サイトカインインターロイキン−2(IL−2)に応答して培養物中で増殖する。この増殖反応は、転写因子Stat−5をリン酸化し、活性化するJAK1およびJAK3チロシンキナーゼの活性化に依存する。初代ヒトT細胞を、72時間、IL−2の存在下で、化合物IおよびIIとともにインキュベートし、アッセイ法の終点で、細胞内ATP濃度を測定して、細胞の生存を評価する。対照条件と比較した、細胞増殖の減少は、JAKキナーゼ経路の阻害を示す。このタイプの例示的なアッセイ法が、以下により詳細に記載される。
末梢血から得られ、T細胞受容体およびCD28の刺激によって予備活性化された初代ヒトT細胞は、サイトカインインターロイキン−2(IL−2)に応答してインビトロで増殖する。この増殖反応は、転写因子Stat−5をリン酸化し、活性化するJAK−1およびJAK−3チロシンキナーゼの活性化に依存する。
ヒト初代T細胞を以下のように調製した。全血を、健常ボランティアから採取し、PBSと1:1で混合し、2:1の血液/PBS:フィコールの比率で、Ficoll Hypaque(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ、カタログ番号17−1440−03)上に層状に重ね、1750rpmで4℃において30分間遠心分離した。血清:フィコール界面におけるリンパ球を回収し、5倍容量のPBSで2回洗浄した。細胞を、40U/mLの組換えIL2(R and D Systems,Minneapolis,MN、カタログ番号202−IL(20μg))を含むYsselの培地(Gemini Bio−products,Woodland,CA、カタログ番号400−103)中で再懸濁させ、1μg/mLの抗CD3(BD Pharmingen,San Diego,CA、カタログ番号555336)および5μg/mLの抗CD28(Immunotech,Beckman Coulter of Brea California、カタログ番号IM1376)で予めコーティングされたフラスコ中に播種した。初代T細胞を、3〜4日間刺激し、次に、新鮮なフラスコに移し、10%のFBSおよび40U/mLのIL−2を含むRPMI中で維持した。
初代T細胞を、PBSで2回洗浄して、IL−2を除去し、2×10個の細胞/mLでYsselの培地中で再懸濁させた。80U/mLのIL−2を含む50μLの細胞懸濁液を、平底96ウェル黒色プレートの各ウェルに加えた。刺激されていない対照については、IL−2を、プレートの最終列から除いた。化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO、純度99.7%の、試験された細胞培養物、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号D2650)中、3倍希釈で5mMから連続して希釈し、次に、Ysselの培地中1:250で希釈した。1ウェル当たり2×化合物50μlを二通り加え、37℃で72時間増殖させた。
CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を用いて増殖を測定した。CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)は、代謝的に活性な細胞の指標として、存在するATPの定量化に基づいて培養物中の生存細胞の数を判定する。基質を融解し、室温に冷ました。Cell Titer−Glo試薬および希釈剤を一緒に混合した後、100μLを各ウェルに加えた。プレートを、回転式振とう機において2分間混合して、溶解を誘発し、室温でさらに10分間インキュベートして、シグナルを平衡化させた。Perkin Elmer(Shelton,CT)から購入されたWallac Victor2 1420マルチラベルカウンタ(multilabel counter)を用いて検出を行った。このアッセイ法の結果に基づいて計算されたIC50が、表1に示される。
実施例5
IFNγで刺激されたA549上皮細胞株
本明細書に記載される化合物のJAK活性はまた、A549肺上皮細胞およびU937細胞に対する本明細書に記載される化合物IおよびIIの効果をアッセイすることによって特徴付けられ得る。A549肺上皮細胞およびU937細胞は、様々な異なる刺激に応答してICAM−1(CD54)の表面発現を上方制御する。したがって、ICAM−1の発現を読み出しとして用いて、異なるシグナル伝達経路に対する試験化合物の効果を、同じ細胞型において評価することができる。IL−1β受容体を介したIL−1βによる刺激は、TRAF6/NFκB経路を活性化し、ICAM−1の上方制御をもたらす。IFNγは、JAK1/JAK2経路の活性化によってICAM−1の上方制御を誘導する。ICAM−1の上方制御を、化合物用量曲線にわたるフローサイトメトリーによって定量化することができ、EC50値を計算する。このタイプの例示的なアッセイ法が、以下におよび実施例6においてより詳細に記載される。
A549肺上皮細胞は、様々な異なる刺激に応答してICAM−1(CD54)の表面発現を上方制御する。したがって、ICAM−1の発現を読み出しとして用いて、異なるシグナル伝達経路に対する化合物の効果を、同じ細胞型において評価することができる。IFNγは、JAK/Stat経路の活性化によってICAM−1を上方制御する。この実施例において、IFNγによるICAM−1の上方制御を評価した。
A549肺上皮がん細胞株は、米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)から得た。日常的な培養は、10%のウシ胎仔血清、100 I.U.のペニシリンおよび100ng/mLのストレプトマイシンを含むF12K培地(Mediatech Inc.,Lenexa,KS、カタログ番号10−025−CV)(完全F12k培地)を用いたものであった。細胞を37℃で5%のCOの加湿雰囲気中でインキュベートした。アッセイ法に使用する前に、A549細胞をPBSで洗浄し、細胞のリフトのためにトリプシン処理した(Mediatech Inc.、カタログ番号25−052−CI)。トリプシン細胞懸濁液を、完全F12K培地により中和し、遠心分離して細胞をペレットにした。細胞ペレットを、2.0×10個/mLの濃度で、完全F12K培地中で再懸濁させた。細胞を、平底組織培養プレート中、1ウェル当たり20,000個、100μLの総容量で播種し、一晩接着させた。
2日目に、A549細胞を、1時間、2,4−置換ピリミジンジアミン試験化合物またはDMSO(対照)(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号D2650)とともにプレインキュベートした。次に、細胞を、IFNγ(75ng/mL)(Peprotech Inc.,Rocky Hill,NJ、カタログ番号300−02)で刺激し、24時間インキュベートさせた。最終的な試験化合物の用量範囲は、5%のFBS、0.3%のDMSOを含有する200μLのF12K培地中で30μΜ〜14nMであった。
3日目に、細胞培地を除去し、細胞を、200μLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した。細胞を解離させるために各ウェルをトリプシン処理し、次に、200μLの完全F12K培地の添加によって中和した。細胞をペレットにし、4℃で20分間、APC結合マウス抗ヒトICAM−1(CD54)(BD Pharmingen,San Diego,CA、カタログ番号559771)抗体で染色した。細胞を、氷冷FACS緩衝液(PBS+2%のFBS)で洗浄し、表面のICAM−1発現を、フローサイトメトリーによって分析した。BD Biosciences(San Jose,California)から購入されたBD LSR I System Flow Cytometerを用いて検出を行った。事象を、有効な散乱光(live scatter)に対してゲート設定し、幾何平均を計算した(Becton−Dickinson CellQuestソフトウェア第3.3版、Franklin Lakes,NJ)。幾何平均を化合物濃度に対してプロットして、用量反応曲線を作成した。このアッセイ法の結果に基づいて計算されたIC50が、表1に示される。
実施例6
U937 IFNγ ICAM1 FACSアッセイ法
U937ヒト単球細胞は、様々な異なる刺激に応答してICAM−1(CD54)の表面発現を上方制御する。したがって、ICAM−1の発現を読み出しとして用いて、異なるシグナル伝達経路に対する化合物の効果を、同じ細胞型において評価することができる。IFNγは、JAK/Stat経路の活性化によってICAM−1を上方制御する。この実施例において、IFNγによるICAM−1の上方制御を評価した。
U937ヒト単球細胞株を、Rockville MarylandのATCC、カタログ番号CRL−1593.2から入手し、10%(v/v)のFCSを含有するRPM 1−1640培地中で培養した。U937細胞を、10%のRPMI中で増殖させた。次に、細胞を、96ウェル平底プレート中、160μL当たり100,000個の細胞の濃度で平板培養した。次に、試験化合物を、以下のように希釈した。10mMの試験化合物を、DMSO中1:5で希釈し(12μLのDMSO中10mMの試験化合物3μL)、続いて、DMSO中で試験化合物の1:3連続希釈を行った(6μLの試験化合物を、12μLのDMSOへと連続的に希釈して、3倍希釈物を得た)。次に、4μLの試験化合物を、76μLの10%のRPMIに移して、10倍溶液(100μΜの試験化合物、5%のDMSO)を得た。対照ウェルについては、4μLのDMSOを、76μLの10%のRPMIへと希釈した。
アッセイ法は、8点(10μLからの3倍希釈濃度の8点)および刺激条件下のDMSOのみの4つのウェル(対照ウェル)および非刺激条件下のDMSOのみの4つのウェルによって二通り行った。
希釈された化合物のプレートを、マルチメック(multimek)(Beckman Coulter of Brea,California)を用いて2回混合し、次に、20μLの希釈された化合物を、160μLの細胞を含有する96ウェルプレートに移し、次に、それを、低速で2回再び混合した。次に、細胞および化合物を、5%のCOとともに37℃で30分間プレインキュベートした。
10%のRPMI中のヒトIFNγの100ng/mLの溶液を調製することによって、10倍刺激混合物を作製した。次に、細胞および化合物を、20μLのIFNγ刺激混合物で刺激して、10ng/mLのIFNγ、10μΜの試験化合物、および0.5%のDMSOの最終濃度を得た。細胞を、5%のCOとの37℃で18〜24時間の刺激の条件下で保持した。
細胞を、染色のために96ウェル丸底プレートに移し、次に、染色手順の間、氷上で保持した。細胞を、4℃で5分間、1000rpmで遠心沈殿させ、その後、上清を除去した。上清の除去の後、FACS緩衝液100μL当たり1μLのAPC結合マウス抗ヒトICAM−1抗体を加えた。次に、細胞を、30分間、暗所中で、氷上でインキュベートした。インキュベーションの後、150μLのFACS緩衝液を加え、細胞を、4℃で5分間、1000rpmで遠心分離し、その後、上清を除去した。上清の除去の後、200μLのFACS緩衝液を加え、細胞を再懸濁させた。懸濁後、細胞を、4℃で5分間、1000rpmで遠心分離した。次に、150μLのFACS緩衝液中で細胞の再懸濁の前に上清を除去した。
BD Biosciences(San Jose,California)から購入されたBD LSR I System Flow Cytometerを用いて検出を行った。生細胞を、有効な散乱光に対してゲート設定し、ICAM−APCの幾何平均を測定した(Becton−Dickinson CellQuestソフトウェア第3.3版、Franklin Lakes,NJ)。生細胞%およびICAM−1の発現の両方を分析した。試験化合物のアッセイ法を、公知の活性の対照化合物と並行して行った。対照化合物のEC50は、通常、40〜100nMである。このアッセイ法の結果に基づいて計算されたIC50が、表1に示される。
(表1)
Figure 2014507480
実施例7
薬学的製剤
この実施例には、化合物IまたはII(これはその塩も含むものと理解される)を含有する薬学的製剤が記載される。このような製剤は、当業者に公知であるとおりに調製され、さらなる製剤が、この実施例および本明細書におけるさらなる開示の考慮により当業者に容易に明らかになるであろう。
(表2)
Figure 2014507480
上記の製剤1〜7のそれぞれを、3つの投与量濃度:0.001%、0.003%および0.01%(w/w)の化合物IまたはIIで調製する。規定の量の等張化剤(マンニトール)をフラスコに加え、規定の緩衝液(リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)の最終容量の約半分の中で約50℃まで加熱することによって、各製剤を調製する。加熱後、適切な量の化合物IまたはIIを、表示のとおりにさらなる賦形剤(グリセリンおよび/またはPEG400)とともに加える。精製水を、十分な量で加える。混合物を均一になるまで撹拌し(約5分間)、次に、滅菌フィルタ膜を通して滅菌容器中へとろ過する。必要に応じて、1.0NのNaOHの添加によってpHを調整する。
任意に、より高い濃度の化合物IまたはII(例えば、0.03% w/w)を有する製剤は、界面活性剤および任意に安定化ポリマーを含み得る。製剤6および7に関して、好ましい界面活性剤は、Triton X114およびチロキサポールを含み、これらはそれぞれ、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)およびPressure Chemical Company(Pittsburgh,PA)から市販されている。好ましい安定化ポリマーは、カルボマーCarbopol 974p(Lubrizol(Wickliffe,OH)から市販されている)を含む。
製剤6および7は、まずカルボマーを、緩衝液を含有する界面活性剤中に、その最終濃度の10倍(例えば、2.5%のマンニトールおよび5%のCarbomer 974pを含むpH6.5の50mMのリン酸緩衝液中3%のチロキサポール)で分散させることによって調製される。次に、化合物Iまたは化合物IIのいずれかを、この予備濃縮物中に、同様にその最終濃度の10倍で分散させる。混合物が均質にされ、適合する緩衝液中におけるろ過された予備濃縮物の10倍希釈によって、最終的な製剤が得られる。
局所適用のための薬物を製剤化および試験する方法が、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(第21版)、872〜882ページ(2006)に記載されている。この薬物は、薬物の好ましくない全身吸収を避けながら、皮膚表面の所望の深さに薬物を送達するように製剤化される。アルコール、アルキルメチルスルホキシド、ピロリドン、ラウロカプラム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフルフリルアルコール、両親媒性物質、あるいはクロフィブリン酸アミド、ヘキサメチレンラウロアミド、タンパク質分解酵素、テルペンまたはセスキテルペンなどの他の様々な促進剤などの様々な浸透促進剤が.組成物に加えられ得る。浸透促進剤は、皮膚への薬物送達を向上させる。
製剤の1つの特定の例において、60:20:20のエタノール:プロピレン:グリコール:水の系が、0.5〜2%の活性化合物を維持するのに十分なプロピレングリコールとともに使用される。
局所製剤中の化合物を投与するのに使用され得る一般的な成分は、ビヒクル、例えば、炭化水素、流動ワセリン(鉱油、流動パラフィン、パラフィン油)、白色ワセリン(石油ゼリー、VASELINE)、黄色ワセリン(石油ゼリー)、スクアラン(ペルヒドロスクアレン(perhydrosqualene)、スピナカン(spinacane))、およびシリコーンなどの疎水性ビヒクル;液体ポリジメチルシロキサン(ジメチコン、シラスティック(silastic)、医療グレードのシリコーン油)などのシリコーン、ラウリルアルコール(1−ドデカノール、ドデシルアルコール)、ミリスチルアルコール(テトラデカノール、テトラデシルアルコール)、セチルアルコール(ヘキサデカノール、エタール(ethal)、パルミチルアルコール)、ステアリルアルコール(ステノール(stenol)、セトステリルアルコール(cetosteryl alcohol))、オレイルアルコール(オセノール(ocenol))などのアルコール;ステロールエステルなどのステロール;含水羊毛脂、ラヌム(lanum)などのラノリン;脱水ラノリン(羊毛脂、脱水ラヌム、アグニン(agnin)など);半合成ラノリン;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのカルボン酸;コレステロールエステル(ステアリン酸エステル)、エチレングリコールモノエステル、プロピレングリコールモノエステル、グリセリルモノエステル、モノステアリン酸グリセリル、ソルビトールモノエステル、ソルビタンモノエステル、ソルビトールジエステル、ソルビタンポリエステル(スパン(span)、アーラセル(arlacel))、トリステアリン酸グリセリル、ラード、アーモンド油、トウモロコシ油、ヒマシ油、綿実油、オリーブ油、大豆油、水素添加油、硫酸化油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステルおよびポリエステル;ポリエチレン−ポリプロピレングリコール(プルロニック(pluronic))などのエーテルおよびポリエーテルである。
共溶媒として使用され得る水混和性ビヒクルとしては、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン(グリセロール)、液体ポリエチレングリコール、固体ポリエチレングリコール(硬質マクロゴール(macrogol)、カルボワックス)、1,2−フェノール−ヘキサントリオール、ソルビトール溶液などのポリオールおよびポリグリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(ステアレート−トゥイーン(tween))およびポリオキシエチレンソルビタンポリエステル(トゥイーン)などのエステルおよびポリエステル;ポリエチレングリコールモノセチルエーテル(セトマクロゴール(cetomacrogol)1000)およびポリエチレン−ポリプロピレングリコール(プルロニック)などのエーテルおよびポリエーテルが挙げられる。
例えば、白色ワセリン(石油ゼリー、VASELINE)、黄色ワセリン(石油ゼリー)、パラフィン(パラフィンろう、固形パラフィン)、微結晶ろう、セレシン(鉱ろう、精製されたオゾケライト)などの炭化水素;ヒュームドシリカ(cab−O−sil)、ベントナイト(コロイド性ケイ酸アルミニウム)、およびヴィーガム(veegum)(コロイド性ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などのシリコーン;固体ポリエチレングリコール(硬質マクロゴール、カルボワックス)などのポリオールおよびポリグリコール;セチルアルコール(ヘキサデカノール、エタール、パルミチルアルコール)、ステアリルアルコール(ステノール、セトステリルアルコール)などのアルコール;コレステロール(コレステリン)、ラノリン、脱水ラノリン、および半合成ラノリンなどのステロールおよびステロールエステル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのカルボン酸;および蜜ろう、白色の蜜ろう(漂白された蜜ろう)、カルナウバろう、ミリシン、コレステロールエステル(ステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタン、ラードまたは水素添加油などのエステルまたはポリエステルといった、様々な構造マトリックス形成剤(structural matrix former)が、組成物に加えられ得る。
組成物は、懸濁剤、ゼリー化剤(jelling agent)または粘性誘導剤(viscosity inducing agent)、例えば、ヒュームドシリカ(cab−O−sil)、ベントナイト(コロイド状ケイ酸アルミニウム)、またはヴィーガム(コロイド状マグネシウムケイ酸アルミニウム)などのシリコーン;ポリカルボキシレート、ポリサルフェートまたは多糖類、例えば、寒天、アルギネート、カラゲン(carragen)、アカシア、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ゼラチン、ペクチン、キサンタン、ポリアクリル酸をさらに含み得る。
ある実施形態は、ステロールまたはステロールエステル、例えば、コレステロール(コレステリン)、ラノリン(含水羊毛脂、ラヌム)、脱水ラノリン(羊毛脂、脱水ラヌム、アグニン)、または半合成ラノリン;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のNa+、K+、エタノールアミン塩などのカルボン酸、あるいはポリエチレン−ポリプロピレングリコール(プルロニック)などのエーテルまたはポリエーテルなどの油中水型乳化剤を含み得る。水中油型(o/w)乳化剤が所望される場合、例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(ステアレート−トゥイーン)、ポリオキシエチレンエステル(ステアレート−ポリエチレングリコールモノエステル、Myrj)、ポリオキシエチレンソルビタンポリエステル(トゥイーン)などのエステルおよびポリエステル;ポリエチレングリコールモノセチルエーテル(セトマクロゴール1000)またはポリエチレン−ポリプロピレングリコール(プルロニック)などのエーテルおよびポリエーテル、ならびにラウリル硫酸ナトリウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、エタノールアミン、またはトリエタノールアミンなどのその他のものである。
製剤に使用するのに好適な界面活性剤としては、以下に限定はされないが、界面活性剤190(ジメチコンコポリオール)、ポリソルベート20(Tween 20)、ポリソルベート40(Tween 40)、ポリソルベート60(Tween 60)、ポリソルベート80(Tween 80)、ラウロアミドDEA、コカミドDEA、およびコカミドMEAのような非イオン性界面活性剤、オレイルベタインおよびコカミドプロピルベタイン(Velvetex BK−35)のような両性界面活性剤、ならびにリン脂質PTC(コカミドプロピルホスファチジルPG−ジモニウムクロリド(Cocamidopropyl phosphatidyl PG−dimonium chloride))のようなカチオン性界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤の適切な組合せまたは混合物も使用されてもよい。
本発明の製剤に使用するのに好適な保湿剤としては、以下に限定はされないが、乳酸および他のヒドロキシ酸ならびにその塩、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ナトリウムPCA、Carbowax 200、Carbowax 400、ならびに、Carbowax 800が挙げられる。本発明の製剤に使用するのに好適な皮膚軟化剤としては、以下に限定はされないが、PPG−15ステアリルエーテル、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、鉱油、ステアリン酸イソセチル、Ceraphyl 424(ミリスチン酸ミリスチル)、オクチルドデカノール、ジメチコン(Dow Corning 200−100cps)、フェニルトリメチコン(Dow Corning 556)、Dow Corning 1401(シクロメチコンおよびジメチコノール)、およびシクロメチコン(Dow Corning 344)、およびMiglyol 840(Hulsによって製造される;プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート)が挙げられる。さらに、これらの保湿剤および皮膚軟化剤のいずれかの適切な組合せおよび混合物が、本発明にしたがって使用され得る。
組成物は、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、イミダゾリジニル尿素、パラベンエステル、フェノール、フェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム、またはソルビン酸などの防腐剤および抗菌剤;α−トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;クエン酸またはエデト酸などのキレート剤;クエン酸およびクエン酸塩、リン酸およびリン酸塩、HPO/NaHPO、グリシン、酢酸、トリエタノールアミン、またはホウ酸などの緩衝液;グリセリン(グリセロール)、プロピレングリコール(E1520)、三酢酸グリセリル(E1518)、ソルビトール(E420)、キシリトールおよびマルチトール(E965)、ポリデキストロース(E1200)、キラヤ(quillaia)(E999)、乳酸、尿素または塩化リチウムなどの保湿剤;ならびに/あるいはクエン酸およびその塩、エチレンジアミン四酢酸(Versene、EDTA)などの金属封鎖(sequestering)酸化防止剤も含み得る。
局所治療の特定の実施形態は、皮膚または粘膜への外用のための半固体調製物である軟膏であり得る。特定の例において、軟膏は、ワセリンをベースにしている。軟膏は、室温で第2の相へと分離するのに十分な水を含有していない。水溶性の軟膏は、ポリエチレングリコールを用いて製剤化され得る。軟膏は、良好な皮膚浸透性および表面への付着性を有する理想的な皮膚軟化剤である。軟膏は、チューブまたは瓶などの好都合な容器に入れられる。
あるいは、局所剤形は、化合物が水で落とすことが可能な基剤または皮膚軟化基剤に溶解または懸濁されたクリームである。クリームは、油中水型または水中油型組成物のいずれかであり得る。非混和性化合物が、湿潤ゴム、乾燥ゴム、ボトル、およびビーカー法を用いて、機械的撹拌または熱によって組み合わされ得る。ある実施形態において、クリームは、水洗性で、より美容上および審美的に許容可能な長鎖脂肪酸またはアルコールの水中油型エマルジョンまたは水性微結晶性分散体である。
他の実施形態において、活性成分は、ペースト中での投与のために提供され、ペーストは、例えば50重量%もの高い割合の不溶性固体が加えられた軟膏とみなされ得る。ペーストは、固体の存在により、軟膏よりはるかに固く、これにより、既に存在する軟膏構造にわたっておよびその上に微粒子が形成される。デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、およびタルクなどの成分が、固相として使用される。ペーストは、皮膚への特に良好な保護バリアを与える。軟膏と同様に、ペーストは、皮膚表面への連続した比較的防水性の膜を形成し;軟膏と異なり、膜は、不透明であるため、有効なサンフィルタである。したがって、ペーストは、治療される病態(DLEなど)を悪化させ得る紫外線から皮膚を保護するのに特に有効である。
さらに他の実施形態において、活性剤は、ゲル、ゼリーまたはローション中に提供される。ゲルは、ゲル化剤の添加によってゼリー状になる水性液体ビヒクル中の小分子または大型分子の分散体からなる半固体系である。使用されるゲル化剤には、カルボマー934などの合成高分子、およびカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチル−セルロースなどのセルロース誘導体がある。ゲルは、多くの物質と相溶性であり、皮膚への送達を向上させるために浸透促進剤を含有し得る。ゲルは、分散される高分子と液体との間の明白な境界を有しない、高分子が液体を通して均一に分配された単相のゲルであっても、またはマグマと呼ばれることが多い、ゲルの塊が小さい個別の粒子の凝集からなる二重相のゲルであってもよい。ゼリーは、トラガカント、ペクチン、アルギネート、またはボログリセリンなどの天然ゴム、あるいはメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどの天然物質の合成誘導体から調製される水溶性基剤を含有する。ローションは、25〜50%のアルコールを含有する透明の溶液であり、この溶液は、殺菌剤、または皮膚軟化剤を任意に含有する。ローションに加えられ得る他の任意選択の成分は、ハマメリスの抽出物、メントール、グリセリン、ホウ酸、ミョウバン、またはカリウムオキシキノリンである。
別の実施形態において、化合物は、身体のより広い表面積を覆い、光分散を提供するように、単位重量当たり広い表面積を形成する微細な粒径を含む粉末中で適用される。あるいは、化合物は、溶液中で適用され、この溶液は、水、アルコール、またはプロピレングリコールなどの溶媒に溶解された可溶性の化学物質の液体調製物である。さらに他の例において、化合物は、エマルジョンであり、このエマルジョンは、1つの相(分散相または内相)が他方の相(連続相または外相)中に微細分散された二相調製物である。分散相は、疎水性基剤(水中油型)または水性基剤(油中水型)のいずれかを含み得る。近接した組合せの中に2つの不相溶の相があるため、エマルジョンは、通常、(イオン性または非イオン性)界面活性剤、ポリマー(非イオン性ポリマー、高分子電解質、または生体高分子)、あるいはそれらの混合物などの物理的安定化系を含有するであろう。
化合物が懸濁液中に提供される実施形態では、剤形は、2つの相を含有する。連続相または外相が、一般に、液体または半固体である一方、分散相または内相は、連続相に実質的に不溶性であるが、連続相全体にわたって分散された粒状物質から構成される。不溶物は、例えば外部コーティングによる生理的作用を対象とし得る。静置すると懸濁剤系が分離し得るが、沈降の速度は、少なくとも、容器を振とうした後に所要の用量を投与するのに必要な期間にわたって、十分に均一な組成物を保持するように配合を変更することによって低下され得る。
化合物はまた、エアゾール中で投与されてもよく、エアゾールは、容器から内容物を噴射するための圧縮または液化ガスの力に依存する。容器中の噴射剤は、容器内で適切な圧力を生じさせる役割を果たし、噴射剤は、弁が開放されると製品を噴射し、製品の霧化またはフォーム生成を助ける。局所薬剤エアゾールは、炭化水素(プロパン、ブタン、およびイソブテン)ならびに窒素、二酸化炭素、および亜酸化窒素などの圧縮ガスを用いる。
これらの剤形のいずれも、化合物I/IIおよび補助剤(化合物IIを活性化して、化合物Iを形成するための剤など)の別個のリザーバを含み得る。
実施例9
皮膚ループスのマウスモデル
この実施例には、治療、予防および併用治療のための計画の選択を含む、皮膚ループス(DLEなど)の治療についての選別を行うためのマウスモデルの使用が記載される。動物モデルを用いて、特許請求される化合物、ならびに本明細書に記載されるものなどの複合製剤を試験する。特定の例において、化合物Iおよび/またはIIを含有する局所製剤を、動物の皮膚に適用し、治療反応を評価する。製剤を動物に投与した後、皮膚病変の数または重症度の減少の兆候があるかどうか、皮膚を調べる。
DLEを理想的に模倣する動物によるモデルは1つも見られなかったが、MRL/lprマウス株は、研究手段として有益であった。これらの自己免疫マウスのトランスジェニックまたはノックアウト形態を用いて、皮膚ループスの発現を調べた。MRL/lprマウスにおいて、lpr突然変異により、Fes遺伝子の変化およびアポトーシスの欠陥が生じ、異常な機能および自己抗体産生とともに異常なリンパ球増殖が生じる。これらの動物は、若年期によく見られる自然発生ループス様皮膚病変を発症し、マウスの加齢とともに徐々により重症化する。Ghoreishi and Dutz,Lupus 19:1029−1035(2010)。
代替的なマウスモデルは、フルオロウラシルで処置され、皮膚ループス病変を誘導するように紫外線B波光を照射されたTCRα−/−マウスである。Furukawa and Yoshimasu,Autoimmunity Reviews 4:345−350(2005)。
しかしながら、現在開示されている治療の有効性を実証し、試験するための現在好ましいマウスモデルは、参照により援用される、Guiducci et al.,Journal of Experimental Medicine 207:2931−2942(2010)に開示されているようなループス易発性(NZB×NZW)Fマウスの使用である。これらのループス易発性マウスは、テープストリッピングの後、ヒト慢性エリテマトーデスに類似した慢性皮膚病変を発症する。
ループス易発性(NZB×NZW)Fマウスは、Jackson Laboratoryから入手可能であり、18〜22週齢で使用され得る。C57BL/6および129マウスは、対照として(例えばCharles Riverから)入手可能である。マウスの背部を3×3cmの面積だけ剃毛し、テープストリッピングを、粘着テープで10回行う。皮膚は、PDCおよび好中球の増加を示し、多くの細胞浸潤物が、IFN調節された炎症性遺伝子の発現の増加に伴う。テープストリッピングの約3週間後、マウスは、過角化を伴う著しい表皮過形成、ケラチンで満たされたクレーターまたは嚢胞、真皮線維性硬化症および皮下脂肪の変性変化を有する。これらの変化は、慢性エリテマトーデスに罹患したヒトに見られる変化と類似している。
このモデルでは、様々な経路、投与量および投与計画を用いて、マウスを試験剤に曝す。特定の例において、本明細書に開示される薬物を、テープストリッピングを行った部位またはテープストリッピングを行う予定の部位に局所適用する。あるいは、試験薬物を全身投与する。薬物を、テープストリッピングの前または後(例えば、テープストリッピングの後、または皮膚病変の発現の後、毎日)、一定の間隔で1回以上投与する。皮膚病変の数、表面積または外観などの疾病の兆候を測定することによって、薬物反応を評価することができる。病変の数または表面積が減少していない場合でさえ、病変の重症度(紅斑のレベルなど)は、試験治療に対する応答の評価の際に測定することができる。皮膚試料の組織学的分析も行い、以下の基準に基づいて1〜3の等級に分ける:(a)表皮厚さ;(b)潰瘍の程度;(c)上皮内炎症;(d)真皮炎症;および(e)組織層炎症。組織学的等級を、以下のように割り当てる:0、正常な皮膚構造、真皮白血球ほとんどなし、および通常の付属器;1:軽度の炎症、わずかな表皮過形成、および真皮線維芽細胞増殖の兆候;2:中等度の炎症、過角化を伴う顕著な表皮過形成(表皮厚さの2〜4倍の増加)、少ないマクロファージを伴う顕著な白血球/好中球−顆粒球真皮浸潤、真皮の中等度の線維性硬化症、付属器の数の減少、および皮下脂肪組織のわずかな変性変化;および3:重度の炎症、過角化を伴う顕著な表皮過形成(表皮厚さの4倍を超える増加)、ケラチンで満たされたクレーターおよび嚢胞の形成、表皮層の広範囲の不連続性(潰瘍)、豊富な好中球およびマクロファージを伴う広範囲の真皮浸潤、顕著な真皮線維性硬化症、付属器の消失、および皮下脂肪組織の明らかな変性変化。様々なパラメータを採点し、合計して、総合的な疾病スコアを得る。細胞浸潤物は、フローサイトメトリーを用いて処理され得る。
実施例10
治療の方法および複合製剤
特許請求される製剤で治療される対象が、DLE、ACLE、SCLEまたはDILEなどの皮膚エリテマトーデスの臨床所見に基づいて選抜される。この実施例は、DLEの治療に特に対処するが、同様の治療方法を、ACLE、SCLEまたはDILEなどの他の皮膚型のループスに使用することができる。特許請求される組成物は、一般に、皮膚のDLE病変に、例えば皮膚のDLE病変のみに局所適用されるが、より一般的には皮膚に適用されてもまたは全身投与されてもよい。治療は、少なくとも1週間、1ヶ月、または1年継続されてもよく、対象によっては、治療は、複数年、罹病期間、または対象の寿命におよぶことがある。
特定の場合、対象が、全身用PLAQUENILまたは局所コルチコステロイドなどの、他の薬学的または非薬学的な介入との併用治療に関して選抜される。他の場合、化合物Iおよび/またはIIは、全身用PLAQUENILまたは全身用もしくは局所コルチコステロイドなどの、LEまたはDLEのための他の治療を伴わずに投与される。他の実施形態において、本方法は、抗DNA抗体、例えば抗ds−DNA抗体を有しない、DLEに罹患した対象に治療剤を投与する工程を含む。
対象は、皮膚エリテマトーデス、例えば、DLEなどの慢性皮膚エリテマトーデスの診断を行うことによって選抜される。この特定の例において、SLEを罹患していない対象が選抜される(例えば、抗ds DNA抗体あるいは腎臓、肺、中枢神経系、または眼、鼻もしくは口の皮膚または粘膜以外の任意の器官の炎症などのSLEの全身症状を有しないことによって)。他の例において、対象は、身体の任意の他の器官の病変ではなく、身体の表面における疾病の皮膚症状のみを有する。治療的に有効な量の化合物は、局所用ワセリンゼリー製剤中に提供され、製剤は、体幹および四肢伸側および/または頭皮における落屑性丘疹などの皮膚エリテマトーデス病変に直接適用される。薬学的製剤は、2日以上、例えば少なくとも1週間にわたって毎日、例えば1日当たり2〜4回病変に適用される。病変への製剤の局所適用は、製剤が適用される病変が退縮または消失するか、あるいは病変の進行が遅延されるかまたは停止されるまで継続される。
他の例において、治療用化合物は、日焼け止め製剤中に有効量で提供され、皮膚ループス病変の発生の要因であることが多い紫外線への曝露から保護するために、紫外線への曝露の前に皮膚に適用される。日焼け止め製剤は、皮膚の紫外線への曝露を最小限に抑えるために、例えば、有効量のPABAまたは酸化亜鉛を含有し得る。
式Iおよび/またはIIの化合物(その塩を含む)を、皮膚ループスまたはドライアイに関連する病態などの別の病態を治療する別の剤と組み合わせた併用療法も提供される。皮膚ループス(DLEなど)の治療のための複合製剤は、グループI、II、III、IV、V、VIまたはVIIのコルチコステロイド、例えば以下のもののいずれかなどの局所コルチコステロイドを含む複合製剤を含む。
グループI(非常に強力であり、ヒドロコルチゾンより最大で600倍強力である)
・プロピオン酸クロベタゾール0.05%(Dermovate)
・ジプロピオン酸ベタメタゾン0.25%(Diprolene)
・プロピオン酸ハロベタゾール0.05%(Ultravate)
・二酢酸ジフロラゾン0.05%(Psorcon)
グループII
・フルオシノニド0.05%(Lidex)
・ハルシノニド0.05%(Halog)
・アムシノニド0.05%(Cyclocort)
・デスオキシメタゾン0.25%(Topicort)
グループIII
・トリアムシノロンアセトニド0.5%(Kenalog、Aristocortクリーム)
・フロ酸モメタゾン0.1%(Elocon軟膏)
・プロピオン酸フルチカゾン0.005%(Cutivate)
・ジプロピオン酸ベタメタゾン0.05%(Diprosone)
グループIV
・フルオシノロンアセトニド0.01〜0.2%(Synalar、Synemol、Fluonid)
・吉草酸ヒドロコルチゾン0.2%(Westcort)
・酪酸ヒドロコルチゾン0.1%(Locoid)
・フルランドレノリド0.05%(Cordran)
・トリアムシノロンアセトニド0.1%(Kenalog、Aristocort A軟膏)
・フロ酸モメタゾン0.1%(Eloconクリーム、ローション)
グループV
・トリアムシノロンアセトニド0.1%(Kenalog、Aristocortクリーム、ローション)
・プロピオン酸フルチカゾン0.05%(Cutivateクリーム)
・デソニド0.05%(Tridesilon、DesOwen軟膏)
・フルオシノロンアセトニド0.025%(Synalar、Synemolクリーム)
・吉草酸ヒドロコルチゾン0.2%(Westcortクリーム)
グループVI
・プレドニカルベート0.05%(Aclovateクリーム、軟膏)
・トリアムシノロンアセトニド0.025%(Aristocort Aクリーム、Kenalogローション)
・フルオシノロンアセトニド0.01%(Capexシャンプー、Dermasmooth)
・デソニド0.05%(DesOwenクリーム、ローション)
グループVII
・ヒドロコルチゾン2.5%(Hytoneクリーム、ローション、軟膏)
・ヒドロコルチゾン1%(多くの市販のブランド)
いくつかの例において、対象は、皮膚ループスに加えてある疾患と診断され、このさらなる疾患は、エリテマトーデスによって引き起こされないか、あるいはエリテマトーデスの症状でもないまたはエリテマトーデスに関連もしない。例えば、皮膚ループスのまぶた病変に罹患した対象が、ドライアイと診断されることもあり、併用療法が対象に施行される。1つの例において、対象は、酢酸プレドニゾロンの眼科用懸濁液1%などのコルチコステロイドの局所適用に応答するマイボーム腺炎に罹患していることが見つかる。式Iおよび/またはIIの化合物(その塩を含む)は、プレドニゾロン製剤中に懸濁され、1日に2〜4回、眼に注入または適用される。他の例において、ドライアイが、季節性アレルギーまたは他の炎症性疾患に関連する場合、点眼剤は、抗ヒスタミン剤(フェニラミン、エメダスチン、またはアゼラスチンなど)、充血除去剤(塩酸テトラヒドロゾリンまたはナファゾリンなど)、または非ステロイド性抗炎症剤(ネパフェナクまたはケトロラックなど)、コルチコステロイド(フルオロメトロンまたはロテプレドノールなど)、肥満細胞安定剤(アゼラスチン、クロマール、エメダスチン、ケトチフェン、ロドキサミン、ネドクロミル、オロパタジン、またはペミロラストなど)を含む製剤とともにまたはこれらの製剤中で投与される。ドライアイが、感染性細菌性疾患(マイボーム腺感染または角膜感染など)に関連する場合、点眼剤は、適切な抗生物質(シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、オフロキサシン、スルファセタミン、トブラマイシン、またはモノフロキサシン(monofloxacin)など)を含有し得る複合製剤とともにまたは複合製剤中で投与される。ドライアイが、ウイルス感染と関連する場合、点眼剤は、トリフルリジンまたはイドクスウリジンなどの抗ウイルス剤との複合製剤とともにまたは複合製剤中で投与される。
併用療法の別の例は、目のひりひり感および毛細血管拡張症を伴う顔面紅斑を呈した後に、顔および/または目の酒さにおける皮膚ループス病変と診断された対象である。対象は、式Iおよび/またはIIの化合物、または顔に適用される局所製剤を含有する点眼剤で治療され、また、対象は、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン抗生物質などの経口抗生物質で治療される。あるいは、DLEを治療するためのゲルなどの、皮膚LEを治療するための局所組成物は、メトロニダゾールゲルなどの、酒さを治療するための局所剤も含有する。
別の例において、対象は、皮膚ループスおよび別の既存の自己免疫障害を呈し、式Iおよび/またはIIの化合物を含有する局所製剤で治療される。対象はまた、漸減用量のプレドニゾロンなどの全身(例えば)経口コルチコステロイド療法で治療される。
実施例11
局所アプリケータおよび剤形
本発明の組成物は、皮膚の非標的部位に組成物を適用することなく皮膚の標的部位に組成物を適用することを可能にする適用器具中で使用され得る。例えば、組成物がまず指に付着することなく組成物を適用することを可能にする器具が用いられ得る。好適な器具としては、スパチュラ、綿棒、針を用いない注射器、および接着性のパッチが挙げられる。スパチュラまたは綿棒などの使用は、組成物を入れた容器に器具を挿入することを必要とし得る。注射器または接着性のパッチの使用は、注射器またはパッチに組成物を充填することによって行われ得る。次に、組成物は、スパチュラまたは綿棒によって局所的に塗られてもよいか、または注射器から人の皮膚に放出されてもよい。
本発明の一実施形態において、化合物および促進剤を含有する組成物は、接着性のパッチ中に提供される。接着性のパッチのいくつかの例が周知である。例えば、米国意匠特許第296,006号;同第6,010,715号;同第5,591,767号明細書;同第5,008,110号;同第5,683,712号;同第5,948,433号;および同第5,965,154号を参照されたい。このようなパッチは、一般に、人の皮膚に適用される接着剤層、薬剤を保持するための貯蔵部(depot)またはリザーバ、および貯蔵部からの薬剤の漏れを防止する外面を有する。パッチの外面は、通常、非接着性である。
本発明によれば、皮膚ループスを治療するための化合物は、化合物が長期間安定性を保つようにパッチに組み込まれる。化合物は、ポリマーマトリクスに組み込まれてもよく、ポリマーマトリクスは、化合物を安定させ、化合物を、マトリクスおよびパッチから拡散させる。化合物はまた、パッチが皮膚に適用されると、化合物が皮膚上にまたはさらには皮膚の中にもしくは皮膚を通して拡散し得るように、パッチの接着剤層に組み込まれてもよい。このような実施形態によれば、接着剤は、好ましくは、本明細書に開示されるように、促進剤を含む。一実施形態において、接着剤層は、加熱によって活性化されてもよく、それによって、約37℃の温度により、化合物がパッチから出て、皮膚上に、皮膚の中に、または皮膚を通して拡散するように、接着剤がゆっくりと液化される。接着剤は、37℃未満で貯蔵される場合には粘着性を保つことができ、皮膚に適用されると、接着剤は、それが液化するにつれて粘着性を失う。化合物の投与は、パッチが皮膚に付着しなくなったら完了する。
あるいは、化合物は、皮膚と接触することになるパッチの表面の近くに配置された1つ以上のウェル中またはポケット中に提供され得る。一実施形態において、化合物は、乾燥状態、または凍結乾燥状態でウェル中に貯蔵される。このようなパッチを冷却雰囲気(例えば、約4℃)中で貯蔵すると、化合物の安定性が維持される。パッチは、必要とされる際に冷却雰囲気から取り出され、人の皮膚に適用されてもよく、人の皮膚において、化合物は、水または生理食塩水などの流体と混合すると可溶化され得る。流体は、別個にまたはパッチの成分として提供され得る。乾燥した化合物を含有するパッチが流体と相互作用する際に、化合物が流体に曝されて、可溶化されるように、例えば、流体が人の皮膚上に提供され得る。その後、可溶化された化合物は、皮膚によって吸収可能になり得る。別の例として、パッチは、パッチ中に流体を保持するための1つ以上のウェルまたはポケットを含み得る。流体は、流体が乾燥した化合物と混合されるようにウェルまたはポケットから押し出され得る。例えば、流体は、パッチのポケット中に提供されてもよく、ある実施形態において、化合物を強化または活性化するための剤を含有する。パッチにかかる圧力により、ポケットが破裂し、流体が放出され、それによって、流体は、乾燥した化合物と混合される。この際、化合物を含有する組成物は、パッチから出て拡散し得る。別の例において、水を含有するゲルまたはクリームなどの流体が、皮膚の標的部位に塗布され得る。その際、乾燥した化合物を含有するパッチは、皮膚に適用され、皮膚において、流体は化合物と混合され、組成物は、パッチから出て皮膚上へと移動する。
乾燥した化合物のウェルを含むパッチにおいて、ウェルは、化合物が、投与されるまでウェル中に保持されるように密封される。したがって、ウェルは、膜またはフィルムで密封され、膜またはフィルムは、化合物の乾燥状態では化合物がウェルから拡散するのを防止するが、化合物が可溶化されると化合物がウェルから拡散するのを可能にする。膜は、多孔質または非多孔質のいずれであってもよい。一実施形態において、膜は、セルロースまたはデンプンを含み、より特定的には、膜は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し得る。膜は、薄く(厚さが約1μm〜約1mmの範囲である)、液体と接触すると溶解する。したがって、人の皮膚に置かれたゲルまたはクリームあるいはパッチ中のポケットから送られた流体は、セルロース膜と接触し、膜を溶解させ得る。溶解の後、流体は、乾燥した化合物と混合され、化合物を可溶化する。その後、組成物は、パッチから出て、対象の皮膚上へと拡散する。
さらに、経皮パッチは、複数の小さい針を含んでいてもよく、この針は、角質層を通って伸びるが、真皮の中までおよんで血管を破裂させることはない。針は、パッチの真皮表面から伸びているときの長さが20μm〜1mmである。したがって、針は、角質層を通って伸びるが、毛細血管床が位置する真皮の前で終端する。針は、中実であってもまたは中空であってもよい。中空針は、組成物がパッチの貯蔵部から表皮における針の末端まで通過し得るように、針の長さに沿って延在するルーメンを有し得る。中実針は、組成物を針の外面に沿って表皮中へと拡散させるのに使用され得る。
使用の際、局所アプリケータは、1つ以上の皮膚ループス病変がある皮膚の標的部位に接着によって適用され、アプリケータは、パッチ中の化合物が皮膚病変に投与されるまで所定の位置に置かれる。局所アプリケータ(パッチなど)は、数時間、あるいは少なくとも1日以上などの長期間にわたって薬物の持続放出を提供する。
実施例12
他の剤形および添加剤
局所製剤は、様々な形態で調製され得る。固体は、一般に、堅固で、携帯できず、一般的に、棒状物またはスティックとして、あるいは微粒子形態で製剤化され;固体は、不透明であってもまたは透明であってもよく、任意に、溶媒(水およびアルコールを含む)、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤および活性成分を含有し得る。クリームおよびローションは、多くの場合、互いに類似しており、主に、その粘度が異なり(クリームは、通常、ローションより粘度が高く、より粘性である);ローションおよびクリームは両方とも、不透明であっても、半透明であってもまたは透明であってもよく、多くの場合、乳化剤、溶媒(水およびアルコールを含む)および粘度調整剤を含有し得る。ローションおよびクリームは、任意に、保湿剤および皮膚軟化剤(特に、スキンケア製品の場合)、ならびに香料、染料/着色剤、防腐剤および活性成分も含有し得る。ゲル/セラムは、濃い(高粘度の)ないし薄い(低粘度の)ある範囲の粘度で調製されてもよく、かつ、主に、通常、ゲル/セラムが不透明ではなく透明である点で、ローションおよびクリームと異なる。ローションおよびクリームと同様に、ゲル/セラムは、乳化剤、溶媒(水およびアルコールを含む)および粘度調整剤を含有することが多く、保湿剤および皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤および活性成分も含有し得る。水性液体は、クリーム、ローションまたはゲルより薄く、一般に、透明であり;液体は、通常、乳化剤を含有しない。液体局所製品は、水(アルコールを含む)に加えて他の溶媒を含有することが多く、粘度調整剤、保湿剤および皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤/顔料、防腐剤および活性成分も含有し得る。
製剤に使用するのに好適な乳化剤としては、以下に限定はされないが、Incroquat Behenyl TMS(ベヘントリモニウムメトサルフェート、セテアリルアルコール)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、PEG−40ステアレート、セテアレス−12(例えば、Henkelによって製造されるEumulgin B−1)、セテアレス−20(例えば、Henkelによって製造されるEumulgin B−2)、セテアレス−30、Lanette O(Henkelによって製造される;セテアレスアルコール)、ステアリン酸グリセリル(例えば、Henkelによって製造されるCutina GMS)、PEG−100ステアレート、Arlacel 165(ステアリン酸グリセリルおよびPEG−100ステアレート)、ステアレス−2およびステアレス−20、またはそれらの組合せ/混合物のような非イオン性乳化剤、ならびにステアラミドプロピルジメチルアミンおよびベヘントリモニウムメトサルフェート、またはそれらの組合せ/混合物のようなカチオン性乳化剤が挙げられる。さらに、カチオン性乳化剤は、高ストロンチウム塩濃度を含む安定したエマルジョン製品形態を形成するために、非イオン性乳化剤と組み合わされるかまたは混合されるのが好ましい。
製剤に使用するのに好適な二次的活性成分としては、以下に限定はされないが、αヒドロキシ酸、日焼け止め、制汗剤、抗にきび薬、ビタミン(特に、ビタミンAおよびC)およびミネラル、ならびに様々な処方薬および市販の医薬が挙げられる。本明細書に開示される組成物は、同じ局所製剤中に複数の活性成分を有することができ、上に挙げられるものなどの活性成分の組合せが、治療される1つまたは複数の病態に、必要に応じて使用され得る。
赤色40号(FD&C Red No.40)および食用黄色4号(FD&C Yellow No.5)などの好適な香料および着色料が、本発明の製剤に使用され得る。局所製品に使用するのに適した香料および着色料の他の例は、当該技術分野において公知である。
製剤に含まれ得る他の好適なさらなる補助成分としては、以下に限定はされないが、研磨剤、吸収剤、凝固防止剤、消泡剤、静電気防止剤、収斂剤(例えば、ハマメリス、アルコール、およびカモミール抽出物などのハーブ抽出物)、結合剤/賦形剤、緩衝剤、キレート剤(例えば、Versene EDTA)、塗膜形成剤、調整剤、乳白剤、pH調整剤(例えば、クエン酸および水酸化ナトリウム)、および保護剤が挙げられる。局所製品製剤中のこれらの成分のそれぞれの例、ならびに他の好適な成分の例が、米国化粧品工業会(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)(CTFA)による刊行物に見られる。例えば、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,2nd edition,eds.John A.Wenninger and G.N.McEwen,Jr.(CTFA,1992)を参照されたい。
また、化粧品を含む様々な製品タイプが、上記の形態(すなわち、固体、クリーム、ローション、ゲル、および液体)のそれぞれで製剤化され得る。例えば、洗浄剤(顔および身体用)、シャンプー/コンディショナー、ヘアトリートメント/染料/パーマ液/縮毛矯正剤、制汗剤/デオドラント、メイクアップ化粧品、ならびに他の顔、手および身体用の製品が、固体、クリーム、ローション、ゲル、または液体の5つの主な製品形態のいずれかで製剤化され得る。一般的な固体形態の製品としては、リップスティック、頬紅および口紅、メイクアップ製品、制汗剤およびデオドラントスティックなどの化粧品、ならびに棒状石けんおよび粉石けんなどの洗浄剤が挙げられる。固体形態の製品の他の例としては、(口または肛門などの)粘膜の皮膚ループス病変の治療のための、舐剤および坐薬が挙げられる。一般的なクリームおよびローション形態の製品としては、α−ヒドロキシ酸(AHA)製品、保湿剤製品および日焼け止め、シャンプー/コンディショナーおよび他のヘアケア製品、ならびにコンシーラーおよびフェースパウダーのような化粧品が挙げられる。一般的なゲル製品としては、シェービングジェルおよびアフターシェーブ剤が挙げられる。一般的な液体形態の製品としては、抗にきび溶液、アフターシェーブ剤、うがい薬/洗口剤、および化粧水/引き締め剤(bracer)/スキンコンディショナーが挙げられる。
様々な形態の製剤を調製するための他の方法および材料は、Anthony L.L.Hunting(ed.),"A Formulary of Cosmetic Preparations(Vol.2)−−Creams,Lotions and Milks,"Micelle Press(England,N.J.1993)にも記載されている。例えば、第7章、pp.5−14(油およびゲル);第8章、pp.15−98(基剤およびエマルジョン);第9章、pp.101−120(「多目的製品」);第10章、pp.121−184(クレンジングマスク、クリーム、ローション);第11章、pp.185−208(ファンデーション、バニシングクリームおよびデイクリーム);第12章、pp.209−254(皮膚軟化剤);第13章、pp.297−324(フェイシャルトリートメント製品);第14章、pp.325−380(手用製品);第15章、pp.381−460(身体および肌用クリームおよびローション);および第16章、pp.461−484(ベビー用品)を参照されたい。これらの内容は、参照により本明細書に援用される。
実施例12
例示的な局所製剤
局所製剤は、本明細書に記載されるように、様々な強度で、様々な賦形剤濃度を用いて調製され得る。表2は、この実施例に使用される賦形剤のリスト、および、いかなる特定の理論にも制約されないが、各賦形剤の機能である。
(表3)賦形剤およびそれらの機能のリスト
Figure 2014507480
表3を参照すると、実施例に用いられるPEG400は、Croda Inc.(Edison NJ)から市販されているスーパーリファインド(Super Refined)ポリエチレングリコール400であった。同様に、やはりCroda Inc.から入手可能なスーパーリファインドジメチルイソソルビド(DMI)を、通常、これらの実施例に使用した。
製剤を調製するために、賦形剤および化合物Iを、ガラス容器に加え、65℃〜70℃で加熱するかおよび/または超音波で分解して、APIを完全に溶解させた。次に、試料を室温に冷ます。この方法によって調製される2つの例示的な製剤の成分が、表4および5中に以下に記載される。
(表4)
Figure 2014507480
Figure 2014507480

Claims (25)

  1. 皮膚ループスを治療する方法であって、式Iおよび/もしくはII
    Figure 2014507480
    の化合物またはその薬学的に許容できる塩形態の有効量を、皮膚ループスに罹患している対象に局所投与する工程を含む、方法。
  2. 前記対象が、皮膚ループス病変に罹患しており、かつ、前記化合物が、該皮膚ループス病変に局所的に適用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象が、急性皮膚エリテマトーデス、亜急性エリテマトーデス、慢性皮膚エリテマトーデス、または薬物誘発性エリテマトーデスに罹患している、請求項2に記載の方法。
  4. 前記対象が、急性皮膚エリテマトーデスまたは亜急性エリテマトーデスに罹患している、請求項3に記載の方法。
  5. 前記対象が、慢性皮膚ループス疾患に罹患している、請求項3に記載の方法。
  6. 前記慢性皮膚ループス疾患が、円板状エリテマトーデス、凍瘡状エリテマトーデス、エリテマトーデス−扁平苔癬重複症候群、エリテマトーデス性脂肪織炎、腫脹性エリテマトーデス、またはいぼ状エリテマトーデスである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記円板状エリテマトーデスが、小児円板状エリテマトーデス、全身性円板状エリテマトーデス、または限局性円板状エリテマトーデスである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記皮膚ループスが、薬物誘発性エリテマトーデスに伴う皮膚病変を含む、請求項2に記載の方法。
  9. 前記皮膚ループスを治療するために前記対象への前記化合物の全身投与も行う、請求項2に記載の方法。
  10. 前記その薬学的に許容できる塩形態が化合物IIの塩である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記化合物IIの塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルギニン塩、およびコリン塩から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記式Iおよび/もしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容できる塩形態が、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、もしくは抗ウイルス剤と組み合わせてまたは併用して投与される、請求項1に記載の方法。
  13. 化合物Iおよび/または化合物IIを含み、局所剤形である、製剤。
  14. 前記局所剤形が、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、または懸濁液を含む、請求項13に記載の薬学的製剤。
  15. 前記局所剤形が接着性のアプリケータを含む、請求項13に記載の薬学的製剤:
    Figure 2014507480
  16. 慢性皮膚エリテマトーデスに罹患している対象を治療する方法であって、式Iおよび/もしくはII
    Figure 2014507480
    の化合物またはその薬学的に許容できる塩形態の有効量を該対象に投与する工程を含む、方法。
  17. 前記対象が、急性皮膚エリテマトーデス、亜急性エリテマトーデス、または慢性皮膚エリテマトーデスに罹患している、請求項16に記載の方法。
  18. 前記対象が、急性皮膚エリテマトーデス、または亜急性エリテマトーデスに罹患している、請求項17に記載の方法。
  19. 前記対象が、慢性皮膚ループス疾患に罹患している、請求項17に記載の方法。
  20. 前記慢性皮膚ループス疾患が、円板状エリテマトーデス、凍瘡状エリテマトーデス、エリテマトーデス−扁平苔癬重複症候群、エリテマトーデス性脂肪織炎、腫脹性エリテマトーデス、またはいぼ状エリテマトーデスである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記慢性皮膚ループス疾患が円板状エリテマトーデスである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記対象が、全身性エリテマトーデスに罹患しておらず、かつ、抗DNA抗体を有しない、請求項21に記載の方法。
  23. 前記対象が抗ds−DNA抗体を有しない、請求項22に記載の方法。
  24. 薬学的製剤を含み、該薬学的製剤が、化合物Iおよび/もしくは化合物II
    Figure 2014507480
    またはその薬学的に許容できる塩形態を含む、皮膚に該薬学的製剤を投与するためのキット。
  25. 化合物Iおよび/もしくは化合物II
    Figure 2014507480
    またはその薬学的に許容できる塩形態の、皮膚ループスの局所治療のための使用。
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