JP2014505116A - 硬化性フォトクロミック組成物およびそれから調製される光学物品 - Google Patents

硬化性フォトクロミック組成物およびそれから調製される光学物品 Download PDF

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Abstract

本発明は、フォトクロミック量の少なくとも1種のフォトクロミック材料;ポリマーポリオールであって、その主鎖に沿ってカーボネート基を有し、かつ5000g/モルを超える数平均分子量を有するポリマーポリオール;および該ポリマーポリオール上のヒドロキシル基と反応することができる反応性官能基を有する硬化剤を含む、硬化性有機ポリマーフォトクロミック組成物を提供する。硬化後およびフォトクロミック性能試験後に、該組成物は、200秒未満のT1/2退色速度を示す。また、硬質基材および該基材の表面に塗布されたフォトクロミック有機ポリマーコーティングを備えるフォトクロミック物品も提供される。該フォトクロミック有機ポリマーコーティングは、上に記載された組成物を含む。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2010年11月23日に出願された米国仮特許出願第61/416,340号の優先権の利益を主張し、この書類のすべては、これにより本明細書において参照として援用される。
発明の分野
本発明は、硬化性有機ポリマーフォトクロミック組成物、およびフォトクロミックポリマー組成物がコーティングとして塗布される硬質基材を備えるフォトクロミック物品に関する。
発明の背景
入射光の眼への伝達を減少させる一方、良好な画像品質を与える光学物品は、様々な用途、例えば、サングラス、視力矯正用眼科用レンズ、平レンズおよびファッションレンズ、例えば、非処方および処方レンズ、スポーツマスク、顔面シールド、ゴーグル、バイザー、カメラレンズ、窓、自動車用フロントガラス、ならびに航空機および自動車用透明物、例えば、Tルーフ、側灯およびバックライトに必要とされている。この必要性に対応して、光学用途に用いられるフォトクロミックプラスチック物品は、かなり注目されてきている。特に、フォトクロミック眼科用プラスチックレンズは、ガラスレンズに対して、それらが提供する重さの利点のために、関心がもたれてきている。
フォトクロミックプラスチック物品は、表面インビビション技術によってフォトクロミック材料をプラスチック基材中に取り込むことによって調製されてきた。この方法では、フォトクロミック色素は、最初に1種または複数のフォトクロミック色素/化合物を、そのままのフォトクロミック色素/化合物として、またはポリマー担体もしくは有機溶媒担体に溶解させてのいずれかで、プラスチック物品の表面に塗布し、次いで、コーティングされた表面に熱を加えて、フォトクロミック色素/化合物(単数または複数)をプラスチック物品の表面下領域中に拡散させることによって(「インビビション」と一般に称されるプロセス)、プラスチック物品(例えば、レンズなど)の表面下領域に取り込ませる。このようなフォトクロミックプラスチック物品のプラスチック基材は、フォトクロミック化合物を無色形態から着色形態に変化させ、次いで、それらの元の無色形態に戻させるために、ポリマーマトリックス内に十分な自由容量を有すると考えられる。
しかし、商業的に受け入れられるフォトクロミック用途のための吸収された(または内部に取り込まれた)フォトクロミック材料のための基材としてのそれらの使用を可能にするのに十分に前述の電子環機構を生じさせるために十分な自由容量を有し得ないある種のポリマーマトリックスがある。このような基材の非限定的な例には、熱硬化性ポリマーマトリックス、例えば、アリルジグリコールカーボネートモノマー、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)と、そのコポリマーとから調製されるもの;一般に公知の熱可塑性ビスフェノールAベースポリカーボネート;および高度に架橋された光学ポリマーが含まれる。
フォトクロミック物品用のプラスチック基材としての熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリカーボネート、および高度に架橋された光学ポリマー材料の使用を可能にするために、このようなプラスチック基材の表面にフォトクロミックコーティングを塗布することが提案されてきた。消費者の要求に応えて、コーティング中に含有されるフォトクロミック材料を活性化および失活するために必要とされる時間の量を最小にすることが継続する課題になっている。
発明の簡単な要旨
本発明によれば、フォトクロミック量の少なくとも1種のフォトクロミック材料;ポリマーポリオールであって、その主鎖に沿ってカーボネート基を有し、かつ以下に本明細書で記載されるとおりにGPCで測定して5000g/モルを超える数平均分子量を有するポリマーポリオール;および該ポリマーポリオール上のヒドロキシル基と反応することができる反応性官能基を有する硬化剤を含む、硬化性有機ポリマーフォトクロミック組成物が提供される。硬化後およびフォトクロミック性能試験後、該組成物は、200秒未満のT1/2退色速度(fade rate)(以下に本明細書で詳細に記載されるとおりに測定される)を示す。
本発明によってまた、硬質基材および該基材の表面に塗布されたフォトクロミック有機ポリマーコーティングを備えるフォトクロミック物品も提供される。該フォトクロミック有機ポリマーコーティングは、上に記載された組成物を含む。
発明の詳細な説明
本明細書のために(操作実施例における以外)、特に断らない限り、成分、反応条件などの量および範囲を表す数字のすべて、例えば、以下の説明および特許請求の範囲で使用される屈折率および波長を表すものは、「約」という用語によってすべての場合に修飾されると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明の物品に求められる望ましい特性に依存して変わり得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に対して均等論の適用を制限する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、1つの指示物に明確かつ明白に限定されない限り、複数の指示物を含むことが意図される。
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。また、本明細書で列挙される数値範囲はいずれも、その中に包含される部分的範囲のすべてを含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1から10」という範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間の、およびそれらを含む部分的範囲のすべて;すなわち、1に等しいかまたはそれを超える最小値、および10に等しいかまたはそれ未満の最大値を有する範囲を含むことが意図される。開示された範囲は連続であるので、それらは、最小値と最大値の間のあらゆる値を含む。特に明確に断りのない限り、本出願で特定される様々な数値範囲は、述べたとおりに、近似値である。
以下の説明および特許請求の範囲で使用される場合、以下の用語は、示された意味を有する:
「アクリル」および「アクリレート」という用語は、特に明確に断りのない限り、同義的に使用され(そのようにすることが意図された意味を変更しない限り)、アクリル酸、低級アルキル置換アクリル酸、例えば、C〜C置換アクリル酸(例えば、メタクリル酸、エタクリル酸など)、およびこのようなアクリル酸の誘導体、例えば、それらのC〜Cアルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなど)を含む。「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」という用語は、示された物質、例えば、(メタ)アクリルモノマーのアクリル/アクリレートおよびメタクリル/メタクリレートの形態の両方に及ぶことが意図される。
「硬化する」、「硬化された」という用語、または同様の用語は、硬化または硬化性組成物、例えば、ある具体的な説明の「硬化組成物」と関連して使用される場合、硬化性組成物を形成する重合性および/または架橋性成分の少なくとも一部が、少なくとも部分的に重合および/または架橋されていることを意味することが意図される。非限定的な実施形態において、架橋度は、完全な架橋の5%から100%の範囲であり得る。代替の非限定的な実施形態において、架橋度は、完全な架橋の30%から95%、例えば、35%から95%、または50%から95%、または50%から85%の範囲であり得る。架橋度は、列挙された値を含めて、前述の値の任意の組合せの間の範囲であり得る。
「膜」という用語は、非伸張架橋ポリヒドロキシポリマーに関連して使用される場合、膜またはコーティングのいずれかで記載され得る層を意味しおよび含む。非伸張架橋ポリヒドロキシポリマーのコーティングまたは膜は、本明細書で特定された厚さの範囲内の厚さを有する。コーティングまたは膜は、本明細書でコーティング/膜とも称される。
「の上に」、「に付加された」、「に固着された」、「に結合された」、「に接着された」という用語、または同様の意味の用語は、対象のコーティング、膜または層が、対象となる面に直接結合されている(その上に置かれる、およびそれと直接接触している)か、または対象となる面に1つまたは複数の他のコーティング、膜もしくは層(これらは、対象となる面の上に重ね合わされている、およびそれと直接接触している)を介して対象面に間接的に結合されていることを意味する。
「眼科の」という用語は、眼および視覚に関連している要素および物品、例えば、限定されるものではないが、メガネ類用のレンズ、例えば、矯正および非矯正レンズ、ならびに拡大レンズを指す。
「硬質」という用語は、例えば、フォトクロミック物品用の基材と関連して使用される場合、特定された品目が自立性であることを意味する。
「光学の」、「光学的にクリアな」という用語、または同様の意味の用語は、特定された材料、例えば、基材、膜、コーティングなどが、少なくとも4パーセントの光透過率値を示し(入射光を透過し)、1パーセント未満のヘイズ値、例えば、0.5パーセント未満のヘイズ値(例えば、Haze Gard Plus Instrumentによって550ナノメートルで測定した場合)を示すことを意味する。
「偏光材料」という用語は、透過放射線の2つの直交する平面偏光成分の一方を他方よりも強く吸収する材料を意味する。偏光材料の非限定的な実施形態には、ヨウ素、ヨーデート(iodate)、二色性材料、例えば、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、アゾおよびポリ(アゾ)染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、(ポリ)アントラキノン、ならびにアントラピリミジノンが含まれる。
「基材」という用語は、例えば、硬質基材という用語に関連して使用される場合、フォトクロミックコーティング、例えば、フォトクロミックポリマーコーティングを受け入れることができる少なくとも1つの表面を有する物品を意味し;すなわち、基材は、フォトクロミックコーティングが塗布され得る表面を有する。基材の表面が有し得る形状の非限定的な実施形態には、眼科用レンズに使用される様々なベースカーブによって例示されるように、限定されるものではないが、凸および/または凹を含めて、丸い、平らな、円筒状の、球形の、平面の、実質的に平面の、平凹および/または平凸の、曲がった形状が含まれ得る。
「透明な」という用語は、例えば、基材、膜、材料および/またはコーティングと関連して使用される場合、示された基材、コーティング、膜および/または材料が、向こうにある対象物が明瞭に見られるように、認め得る散乱なしに光を透過する特性を有することを意味する。
本発明の硬化性組成物は、フォトクロミック量の少なくとも1種のフォトクロミック材料を含む。フォトクロミック組成物に用いられてもよい、フォトクロミック材料、例えば、色素/化合物またはこのような色素/化合物を含有する組成物は、無機および/もしくは有機フォトクロミック化合物、ならびに/または当業者にこれまでのところ公知であるかもしくはその後に発見されるような有機フォトクロミック化合物を含有する物質である。選択される特定のフォトクロミック材料(単数または複数)、例えば、化合物(単数または複数)は、フォトクロミック組成物の最終の用途およびその用途に望まれる色または色相に依存する。2種以上のフォトクロミック化合物が、組み合わせて用いられる場合、それらは、一般に所望の色または色相を生じるように互いを補完するように選択される。
無機フォトクロミック材料は、典型的にはハロゲン化銀、ハロゲン化カドミウムおよび/またはハロゲン化銅の晶子を含有する。一般に、ハロゲン化材料は、塩化物および臭化物である。他の無機フォトクロミック材料は、ユウロピウム(II)および/またはセリウム(III)を鉱物ガラス、例えば、ソーダ−シリカガラスに加えることによって調製され得る。
フォトクロミックポリマー組成物に用いられてもよい有機フォトクロミック化合物の非限定的な例には、ベンゾピラン、ナフトピラン、例えば、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン、フェナントロピラン、キノピラン、およびインデノ縮合ナフトピラン、例えば、米国特許第5,645,767号、第1欄、第10行目から第12欄、第57行目において、および米国特許第5,658,501号、第1欄、第64行目から第13欄、第36行目において開示されたものが含まれ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。用いられてもよい有機フォトクロミック化合物のさらなる非限定的な例には、オキサジン、例えば、ベンゾオキサジン、ナフトオキサジン、およびスピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジンが含まれる。用いられてもよいフォトクロミック物質の他の非限定的な例は、フォトクロミック金属ジチゾネート、例えば、水銀ジチゾネート;フルギドおよびフルギミド、例えば、3−フリルフルギド、3−フリルフルギミド、3−チエニルフルギドおよび3−チエニルフルギミド(これらは、米国特許第4,931,220号、第20欄、第5行目から第21欄、第38行目に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる);ジアリールエテン(これは、米国特許出願公開第2003/0174560号、段落[0025]から[0086]に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる);ならびに前述のフォトクロミック材料/化合物の任意の混合物である。
有機フォトクロミック化合物、重合性フォトクロミック化合物および相補的なフォトクロミック化合物のさらなる非限定的な例は、以下の米国特許:
米国特許第5,166,345号、第3欄、第36行目から第14欄、第3行目;
米国特許第5,236,958号、第1欄、第45行目から第6欄、第65行目;
米国特許第5,252,742号、第1欄、第45行目から第6欄、第65行目;
米国特許第5,359,085号、第5欄、第25行目から第19欄、第55行目;
米国特許第5,488,119号、第1欄、第29行目から第7欄、第65行目;
米国特許第5,821,287号、第3欄、第5行目から第11欄、第39行目;
米国特許第6,113,814号、第2欄、第23行目から第23欄、第29行目;
米国特許第6,153,126号、第2欄、第18行目から第8欄、第60行目;
米国特許第6,296,785号、第2欄、第47行目から第31欄、第5行目;
米国特許第6,348,604号、第3欄、第26行目から第17欄、第15行目;および
米国特許第6,353,102号、第1欄、第62行目から第11欄、第64行目
に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
フォトクロミック組成物は、必要に応じて、1種のフォトクロミック化合物または2種以上のフォトクロミック化合物の混合物を含有し得る。フォトクロミック化合物の混合物は、ある種の活性化された色、例えば、ほぼ中間調のグレーまたはほぼ中間調のブラウンを達成するために用いることができる。例えば、中間調のグレーおよびブラウンの色を規定するパラメータが記載されている、米国特許第5,645,767号、第12欄、第66行目から第13欄、第19行目を参照されたい。このような開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で記載されるフォトクロミック材料(単数または複数)は、硬化性組成物に添加することによっておよび/またはそれを硬化性組成物に添加する前に溶媒に溶解させることによって、硬化性組成物に取り込まれ得る。
組成物中に存在するフォトクロミック材料の量は、硬化された組成物が、紫外(UV)線に曝露される場合に光学濃度の所望の変化(ΔOD)を示すのに十分である量、例えば、フォトクロミック量である。典型的には、活性化の際に肉眼に認識できるフォトクロミック効果を生じるために、十分な量が用いられる。一般に、このような量は、フォトクロミック量と記載され得る。用いられる特定の量は、その照射の際に望まれる色の強さおよびフォトクロミック材料を取り込むために使用される方法にしばしば依存する。取り込まれるフォトクロミック材料が多ければ多いほど、色の強さは一定の限界までより大きくなる。
典型的には、フォトクロミック組成物中に用いられる活性フォトクロミック材料の量は、組成物を生成させるために用いられる樹脂(単数または複数)の全重量に基づいて、0.5から40.0重量パーセントの範囲であり得る。用いられるフォトクロミック材料(単数または複数)の相対量は、変わることができ、フォトクロミック化合物(単数または複数)の活性化形態の色の相対強さ、望まれる最終の色、およびポリマー組成物中のフォトクロミック材料(単数または複数)の溶解性または分散性に部分的に依存する。ある種の実施形態において、フォトクロミック組成物内の活性フォトクロミック材料(単数または複数)の濃度は、(組成物中の樹脂固体の全重量に基づいて)1.0から30重量パーセント、例えば、3から20重量パーセント、または3から10重量パーセントの範囲であり得る。組成物中のフォトクロミック材料の量は、列挙された値を含めて、これらの値の任意の組合せの間の範囲であり得る。
本発明の硬化性組成物は、ポリマーポリオールであって、その主鎖に沿ってカーボネート基を有する、ポリマーポリオール、典型的にはジオールをさらに含む。組成物は、単一のこのようなポリマーポリオールまたは異なるポリマーポリオールの混合物であって、それらの主鎖に沿ってカーボネート基を有する単一のこのようなポリマーポリオールまたは異なるポリマーポリオールの混合物を含有し得る。例えば、エステル、アミド、エーテル、ウレタンなどの他の結合も、ポリマー主鎖に沿って生じていてもよく、これらの例は、以下に記載される。ポリマーポリオールは、通常5,000g/モルを超える数平均分子量を有する。典型的には、ポリマーポリオールは、5000g/モルを超える、通常6000g/モルを超える、または8,000g/モルを超える数平均分子量を有する。また、ポリマーポリオールは、典型的には20,000g/モル以下、例えば、10,000g/モル以下、8,000g/モル以下、または7,000g/モル以下の数平均分子量を有する。ポリマーポリオールの数平均分子量は、列挙された範囲の任意の間の範囲であり得る。本発明のために、明細書および特許請求の範囲において、ポリマーポリオールの数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィー(「GPS」)を用いて決定される。ある種の実施形態において、ポリマーポリオールはまた、2.0、または1.50未満もしくはそれらに等しい、しばしば1.40未満もしくはそれに等しい、または1.30未満もしくはそれに等しい多分散性指数も有する。ポリマーポリオールが、ポリマー主鎖に沿って他の官能性結合を有しないポリカーボネートジオールである場合、1.5未満の多分散性指数が特に有用である。
好適なポリカーボネート官能性ジオールは、例えば、高い多分散性指数を有するポリカーボネート官能性ジオールの混合物から比較的高い分子量のポリカーボネート官能性ジオールを単離することによって得ることができる。本発明のある種の実施形態において、ポリカーボネート官能性ジオールは、PC−1122(Stahl USA製)、ETERACOLL(商標)PH−200D、PH−200およびUH−200(すべてUbe Chemical製)、DURANOL(商標)T5652(AsahiKASEI製)、またはRAVECARB(商標)107(Enichem製)として市販されている脂肪族ポリカーボネートジオールの混合物から比較的高い分子量のポリカーボネート官能性ジオールを単離することによって得られる。ポリカーボネート官能性ジオールは、その混合物をメタノールまたは他の適切な溶媒で洗浄し、残存する試料の多分散性指数が1.50未満であるかまたはそれに等しくなるまで低分子量画分を除去することによって、精製される。
上に記載されたとおりに、ポリマーポリオールは、カーボネート基に加えて、ウレタン結合またはウレタン結合のブロックを含有し得る。これらのブロックコポリマーは、ABAポリオール(ここで、Aは、ポリカーボネートブロックを表し、Bは、ウレタンブロックを表す)と記載され得る。このようなブロックポリオールを生成させるために、ジオール(X)(例えば、1,6−ヘキサンジオールまたはTONE 0201(Union Carbideから入手できるポリカプロラクトンジオール)を、過剰のイソシアネート(Y)(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)と反応させて、イソシアネート官能性であるウレタンブロックを形成し得る。例えば、2モルのジオール(X)と3モルのジイソシアネート(Y)との反応生成物は、Y−X−Y−X−Yブロックと記載され得る。ジオールとジイソシアネートとは、NCO当量が一定になるまで反応させる。
次いで、最終のABAブロックポリオールは、モル過剰(Bブロックに対して)のポリカーボネートジオール(A)の添加によって形成される。例えば、2モルのポリカーボネートジオールが1モルのウレタンブロック(B)に添加される場合、平均の統計的構造は、ABAブロックコポリマーとして記載され得る。3モルのポリカーボネートジオール(A)を2モルのウレタンブロック(B)と反応させるとすると、その平均の統計的構造は、A−B−A−B−Aブロックコポリマーと記載され得る。ポリオールを含有するポリカーボネート中へのこのようなウレタンブロックの取込みは、退色スピードなどの他の重要な性能特性を犠牲にすることなく硬化光学コーティングの適合性の堅牢性プロファイル(ヘイズ減少)を改善することが見出された。
代表的なジオール(X)には、限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、エトキシ化ビスフェノールA、エステルジオール204、トリメチロールプロパン、およびペンタエリトリトールが含まれる。
代表的なジイソシアネート(Y)には、限定されるものではないが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、Desmodur W、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(dimerdiisocyanate)(DDI)が含まれる。
エステル結合は、ポリマーポリオールの主鎖に沿って付加され得る。ポリカーボネートのポリエステル官能基による伸長は、開環重合(ROP)によって、ルイス酸触媒(例えば、限定されるものではないが、スズ(II)エチルヘキサノエート、トリエチルアルミニウム、トリ−イソプロポキシドアルミニウム、Borchi Kat(登録商標)22、ジブチルスズ(IV)ジラウレートなど)またはアミン触媒(例えば、限定されるものではないが、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]−ピリミジンなど)を用いて行われてもよい。ポリカーボネートの分子量の伸長には、ポリカーボネートを、ジブチルスズ(IV)ジラウレートの存在下でROPを用いてラクトンと、および遊離のイソシアネートと同時に反応させることによるエステルおよびウレタンの使用が含まれる。
本発明の硬化性有機ポリマーフォトクロミック組成物は、ポリマーポリオール上のヒドロキシル基と反応することができる反応性官能基を有する硬化剤、または架橋剤をさらに含む。好適な硬化剤の例には、アミノプラスト、ポリイソシアネート、ポリ酸、無水物およびそれらの混合物が含まれる。
有用なアミノプラストは、例えば、ホルムアルデヒドとアミンまたはアミドとの縮合反応から得ることができる。アミンまたはアミドの例には、限定されるものではないが、メラミン、尿素およびベンゾグアナミンが含まれる。
アルコールおよびホルムアルデヒドと、メラミン、尿素またはベンゾグアナミンとの反応から得られる縮合生成物は、最も一般的であるが、他のアミンまたはアミドとの縮合物を用いることができる。ホルムアルデヒドは、最も一般的に用いられるアルデヒドであるが、他のアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒドも用いることができる。
アミノプラストは、イミノ基およびメチロール基を含有し得る。ある例において、メチロール基の少なくとも一部を、アルコールでエステル化して、硬化反応を改変し得る。メタノール、エタノール、n−ブチルアルコール、イソブタノール、およびヘキサノールのような任意の一価アルコールをこの目的に用いることができる。好適なアミノプラスト樹脂の例は、CYMEL(登録商標)という商標の下でCytec Industries,Inc.から、およびRESIMENE(登録商標)という商標の下でSolutia,Inc.から市販されている。特に有用なアミノプラストには、CYMEL(登録商標)385(水系組成物に適する)、CYMEL(登録商標)1158イミノ官能性メラミンホルムアルデヒド縮合物、およびCYMEL(登録商標)303が含まれる。
使用に適した他の架橋剤には、ポリイソシアネート架橋剤が含まれる。本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」という用語は、非ブロック化ポリイソシアネートのみならず、ブロック化(またはキャップ化)ポリイソシアネートを含むことが意図される。ポリイソシアネートは、脂肪族、芳香族、またはそれらの混合物であり得る。ジイソシアネートのイソシアヌレートなどのより高級なポリイソシアネートがしばしば用いられるが、ジイソシアネートを用いることもできる。イソシアネートプレポリマー、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物も用いることができる。ポリイソシアネート架橋剤の混合物を用いることができる。
架橋剤として用いられるポリイソシアネートは、種々のイソシアネート含有物質から調製され得る。好適なポリイソシアネートの例には、以下のジイソシアネート、すなわち、トルエンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの異性体混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートならびに4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネートから調製される三量体も含まれる。さらに、ポリエステルポリオールなどの種々のポリオールのブロック化ポリイソシアネートプレポリマーも用いることができる。
イソシアネート基は、必要に応じて、キャップ化されていても、キャップ化されていなくてもよい。ポリイソシアネートがブロック化またはキャップ化される場合、当業者に公知の任意の適切な脂肪族、脂環式、または芳香族アルキルモノアルコールまたはフェノール化合物を、ポリイソシアネートのキャッピング剤として用いることができる。好適なブロック剤の例には、高温でブロックを外す物質、例えば、低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、およびn−ブタノールを含む);脂環式アルコール(例えば、シクロヘキサノール);芳香族−アルキルアルコール(例えば、フェニルカルビノールおよびメチルフェニルカルビノール);およびフェノール化合物(例えば、フェノールそれ自体、ならびに置換基がコーティング作業に影響を与えない置換フェノール、例えば、クレゾールおよびニトロフェノール)が含まれる。グリコールエーテルも、キャッピング剤として用いられてもよい。好適なグリコールエーテルには、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルが含まれる。他の好適なキャッピング剤には、オキシム(例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトンオキシムおよびシクロヘキサノンオキシム)、ラクタム(例えば、ε−カプロラクタム)、ピラゾール(例えば、ジメチルピラゾール)、およびアミン(例えば、ジブチルアミン)が含まれる。
好適なポリカルボン酸の例には、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、およびドデカン二酸が含まれる。他の好適なポリ酸架橋剤には、少なくとも1個のカルボン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーと、カルボン酸基を含まない少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーとから調製される酸基含有アクリルポリマーが含まれる。このような酸官能性アクリルポリマーは、30から150の範囲の酸価を有し得る。酸官能基含有ポリエステルを同様に用いることができる。低分子量のポリエステルおよび酸の半エステル(half−acid esters)を用いることができ、これらは、脂肪族ポリオールと、脂肪族および/または芳香族のポリカルボン酸または無水物との縮合に基づく。好適な脂肪族ポリオールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリトリトールなどが含まれる。ポリカルボン酸および無水物には、とりわけ、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物などが含まれる。酸および/または無水物の混合物も用いられてもよい。上記ポリ酸架橋剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,681,811号、第6欄、第45行目から第9欄、第54行目にさらに詳細に記載されている。
本発明の硬化性組成物は、上記ポリマーポリオールと異なるおよびそれらに加えて他の樹脂を含有してもよい。前述のポリカーボネートポリオールに加えて本発明で用いられてもよい有機ポリオールの例には、(a)ポリエステルポリオール;(b)ポリエーテルポリオール;(c)アミド含有ポリオール;(d)ポリアクリルポリオール;(e)エポキシポリオール;(f)多価ポリビニルアルコール;(g)ウレタンポリオール;および(h)このようなポリオールの混合物が含まれる。企図された一実施形態において、さらなる有機ポリオールは、ポリアクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ウレタンポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。別の企図された実施形態において、さらなる有機ポリオールは、ポリアクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ウレタンポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
ポリエステルポリオールは、一般に公知であり、500から10,000の範囲の数平均分子量を有し得る。それらは、限定されるものではないが、ポリカーボネートポリオールの調製で用いられる、前に記載されたポリオールを含めて、当技術分野で公知の低分子量のジオール、トリオールおよび多価アルコールと(場合によって、一価アルコールと組み合わせて)、ポリカルボン酸とを用いる慣用の技術によって調製される。好適なポリカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、およびそれらの混合物が含まれる。上の酸の無水物も、それらが存在する場合、用いることができ、「ポリカルボン酸」という用語によって包含される。さらに、酸と同様な仕方で反応して、ポリエステルポリオールを形成するある種の物質も有用である。このような物質には、ラクトン(例えば、カプロラクトン、プロピオラクトンおよびブチロラクトン)、およびヒドロキシ酸(例えば、ヒドロキシカプロン酸およびジメチロールプロピオン酸)が含まれる。トリオールまたは多価アルコールが用いられる場合、酢酸および/または安息香酸などのモノカルボン酸が、ポリエステルポリオールの調製で用いられてもよく、一部の目的について、このようなポリエステルポリオールは望ましくあり得る。さらに、ポリエステルポリオールは、脂肪酸、または脂肪酸のグリセリド油で変性されたポリエステルポリオール(すなわち、このような変性を含む従来のアルキドポリオール)を含むことが本明細書で理解される。用いられてもよい別のポリエステルポリオールは、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)、およびベルサチン酸(versatic acid)のグリシジルエステルを、メタクリル酸と反応させて、対応するエステルを形成することによって調製されるものである。
ポリエーテルポリオールは、一般に公知であり、1モル当たり500から10,000グラムの範囲の数平均分子量を有し得る。ポリエーテルポリオールの例には、種々のポリオキシアルキレンポリオール、1モル当たり500グラムを超える分子量を有するポリアルコキシ化ポリオール、例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、およびそれらの混合物が含まれる。ポリオキシアルキレンポリオールは、周知の方法に従って、アルキレンオキシド、またはアルキレンオキシドの混合物を、多価開始剤または多価開始剤の混合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなど)とともに、酸また塩基により触媒される付加を用いて縮合させることによって調製され得る。例証的なアルキレンオキシドには、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、アラルキレンオキシド(例えば、スチレンオキシド)、およびハロゲン化アルキレンオキシド(例えば、トリクロロブチレンオキシド)などが含まれる。より好ましいアルキレンオキシドには、ランダムまたは段階的オキシアルキル化を用いる、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシド、またはそれらの混合物が含まれる。このようなポリオキシアルキレンポリオールの例には、ポリオキシエチレン、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン、すなわち、ポリプロピレングリコールが含まれる。ソフトセグメントとして用いられるこのようなポリオキシアルキレンポリオールの分子量は、好ましくは1モル当たり600グラムに等しいかまたはそれを超える、より好ましくは725グラムに等しいかまたはそれを超える、最も好ましくは1000グラムに等しいかまたはそれを超える。
1モル当たり500グラムを超える数平均分子量を有するポリアルコキシ化ポリオールは、以下の一般式I
H−(O−CHR−CH−O−A−O−(CH−CHR−O)−H
[式中、mおよびnは、それぞれ、正の数であり、mとnの合計は5から70であり、RおよびRは、それぞれ、水素、メチル、またはエチル、好ましくは水素またはメチルであり、Aは、直鎖または分岐鎖アルキレン(通常1から8個の炭素原子を含有する)、フェニレン、C〜Cアルキル置換フェニレン、および以下の一般式II
Figure 2014505116
(式中、RおよびRは、それぞれ、C〜Cアルキル、塩素または臭素であり、pおよびqは、それぞれ、0から4の整数であり、
Figure 2014505116
は、二価ベンゼン基または二価シクロヘキサン基を表し、
Figure 2014505116
が二価のベンゼン基である場合、Dは、O、S、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−、−C(CH)(C)−または
Figure 2014505116
であり、
Figure 2014505116
が二価のシクロヘキサン基である場合、Dは、O、S、−CH−、または−C(CH−である)で表される基から選択される二価の連結基である]
で表され得る。企図された一実施形態において、ポリアルコキシ化ポリオールは、mおよびnの合計が、15から40、例えば、25から35であり、RおよびRが、それぞれ水素であり、Aが、一般式II(式中、
Figure 2014505116
は、二価のベンゼン基を表し、pおよびqは、それぞれ0であり、Dは−C(CH−である)に従う二価の連結基であるものである。別の企図された実施形態において、mおよびnの合計は、25から35、例えば、30である。このような材料は、当技術分野で周知である方法によって調製され得る。このような一般的に使用される方法の一つは、ポリオール(例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール)を、オキシラン含有物質(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、α−ブチレンオキシドまたはβ−ブチレンオキシド)と反応させて、ヒドロキシ官能基を有するエトキシ化、プロポキシ化またはブトキシ化ポリオールと一般に称されるものを形成する工程を含む。
ポリアルコキシ化ポリオールを調製する際に用いられてもよいポリオールの例には、本明細書で記載されるポリカーボネートポリオールの調製で用いられるポリオール、例えば、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトール;フェニレンジオール、例えば、オルト、メタおよびパラジヒドロキシベンゼン;アルキル置換フェニレンジオール、例えば、2,6−ジヒドロキシトルエン、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、2−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、および4−ヒドロキシベンジルアルコール;ジヒドロキシビフェニル、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよび2,2’−ジヒドロキシビフェニル;ビスフェノール、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール;4,4’−オキシビスフェノール;4,4’−ジヒドロキシベンゼンフェノン;4,4’−チオビスフェノール;フェノールフタレイン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;4,4’−(1,2−エテンジイル)ビスフェノール;および4,4’−スルホニルビスフェノール;ハロゲン化ビスフェノール、例えば、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)(4,4’−isopropylidenebis(2,6−dic− hlorophenol))および4,4’−イソプロピリデンビス(2,3,5,6−テトラクロロフェノール);ならびにビスシクロヘキサノール(これは、対応するビスフェノールを水素化することによって調製され得る)、例えば、4,4’−イソプロピリデン−イソシクロヘキサノール(iscyclohexanol);4,4’−オキシビスシクロヘキサノール;4,4’−チオビスシクロヘキサノール;およびビス(4−ヒドロキシシクロヘキサノール)メタンが含まれる。
ポリエーテルポリオールにはまた、三フッ化ホウ素、塩化スズ(IV)および塩化スルホニルなどのルイス酸触媒の存在下でテトラヒドロフランの重合によって調製される一般に公知のポリ(オキシテトラメチレン)ジオールも含まれる。ソフトセグメントとして用いられるポリ(オキシテトラメチレン)ジオールの数平均分子量は、500から5000の範囲である。企図された一実施形態において、数平均分子量は、1モル当たり650から2900、別において1000から2000、さらに企図された実施形態において、1000グラムである。
企図された一実施形態において、ポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリアルコキシ化ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。別の企図された実施形態において、ポリエーテルポリオールは、1モル当たり1,000グラムに等しいかまたはそれを超える数平均分子量を有するポリオキシアルキレンポリオール、約30個のエトキシ基を有するエトキシ化ビスフェノールA、1モル当たり1000グラムの数平均分子量を有するポリ(オキシテトラメチレン)ジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
アミド含有ポリオールは、一般に公知であり、典型的には、二酸またはラクトン、および本明細書で記載されるポリカーボネートポリオールの調製で用いられるポリオールと、以下に記載されるとおりのジアミンまたはアミノアルコールとの反応から調製される。例えば、アミド含有ポリオールは、ネオペンチルグリコール、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンの反応によって調製され得る。アミド含有ポリオールはまた、例えば、カルボキシレート、カルボン酸、またはラクトンと、アミノアルコールとの反応によってアミノ分解を介して調製されてもよい。好適なジアミンおよびアミノアルコールの例には、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソホロンジアミンなどが含まれる。
エポキシポリオールは、一般に公知であり、例えば、ポリフェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのジグリシジルエーテル)と、ポリフェノール(例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)との反応によって調製され得る。様々な分子量および平均ヒドロキシル官能価のエポキシポリオールが、用いられる出発物質の比に依存して調製され得る。
多価ポリビニルアルコールは、一般に公知であり、例えば、適切な開始剤の存在下での酢酸ビニルの重合、続いてアセテート部分の少なくとも一部の加水分解によって調製され得る。加水分解過程において、ヒドロキシル基が形成され、これは、ポリマー主鎖に直接結合している。ホモポリマーに加えて、酢酸ビニルと塩化ビニルなどのモノマーとのコポリマーが、同様の方法で調製され、加水分解されて、多価ポリビニルアルコール−ポリ塩化ビニルコポリマーを形成し得る。
ウレタンポリオールは、一般に公知であり、例えば、ポリイソシアネートを過剰の有機ポリオールと反応させて、ヒドロキシル官能性生成物を形成することによって調製され得る。ウレタンポリオールの調製に有用なポリイソシアネートの例には、本明細書で記載されるものが含まれる。ウレタンポリオールの調製に有用な有機ポリオールの例には、本明細書で記載される他のポリオール、例えば、低分子量ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アミド含有ポリオール、ポリアクリルポリオール、エポキシポリオール、多価ポリビニルアルコールおよびそれらの混合物が含まれる。
ポリアクリルポリオールは、一般に公知であり、以下に記載されるモノマーのフリーラジカル付加重合技術によって調製され得る。企図された一実施形態において、ポリアクリルポリオールは、500から50,000の重量平均分子量および20から270のヒドロキシル価を有する。別の企図された実施形態において、重量平均分子量は、1000から30,000であり、ヒドロキシル価は、80から250である。さらに別の企図された実施形態において、重量平均分子量は、3,000から20,000であり、ヒドロキシル価は、100から225である。
ポリアクリルポリオールには、限定されるものではないが、公知のヒドロキシル官能性付加ポリマー、およびアクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー;それらのエステル誘導体(限定されるものではないが、それらのヒドロキシル官能性エステル誘導体を含む)が含まれる。ヒドロキシ官能性付加ポリマーの調製に用いられるヒドロキシル官能性エチレン性不飽和モノマーの例には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、すなわち、ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルエチルアクリレート、ヒドロキシメチルプロピルアクリレートならびにそれらの混合物が含まれる。
企図された一実施形態において、ポリアクリルポリオールは、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和(メタ)アクリルモノマーと、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレンおよびビニルトルエン);ビニル脂肪族モノマー(例えば、エチレン、プロピレンおよび1,3−ブタジエンなど);(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニルおよび塩化ビニリデン);ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル);アクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステル、すなわち、アルキル基中1から17個の炭素原子を有する、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレートを含む);エポキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど);カルボキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸など)ならびにこのようなエチレン性不飽和モノマーの混合物からなる群から選択される他のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーである。
ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和(メタ)アクリルモノマー(単数または複数)は、ポリアクリルポリオールコポリマーの最大95重量パーセントまでを構成し得る。企図された一実施形態において、それは、最大70重量パーセントまでを構成し、別において、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和(メタ)アクリルモノマー(単数または複数)は、全コポリマーの最大45重量パーセントまでを構成する。
本明細書で記載されるポリアクリルポリオールは、モノマー(単数または複数)のフリーラジカル開始付加重合によって、および有機溶液重合技術によって、調製され得る。モノマーは、典型的には有機溶媒、またはケトン(例えば、メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸ブチルなど)、プロピレングリコールのアセテート、および酢酸ヘキシル、アルコール(例えば、エタノールおよびブタノールなど)、エーテル(例えば、プロピレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチル−3−エトキシプロピオネートなど)、ならびに芳香族溶媒[例えば、キシレンおよびSOLVESSO100(Exxon Chemical Co.から入手できる高沸騰性炭化水素溶媒の混合物)]を含む、溶媒の混合物に溶解させる。溶媒を、最初に通常70から160℃に加熱還流させ、この還流溶媒にモノマーまたはモノマーとフリーラジカル開始剤との混合物を約1から7時間の期間にわたってゆっくり添加する。モノマーの速すぎる添加は、変換不良または高くかつ急速な発熱反応を引き起こし、これは、安全上の問題である。好適なフリーラジカル開始剤には、t−アミルパーオキシアセテート、ジ−t−アミルパーオキシアセテートおよび2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)が含まれる。フリーラジカル開始剤は、典型的には、モノマーの全重量に基づいて、1から10パーセントで反応混合物中に存在する。本明細書で記載される手順によって調製されるポリマーは、非ゲル状であり、好ましくは1モル当たり500から50,000グラムの分子量を有する。
本発明の硬化性組成物は、組成物に所望の特性または特徴を付与する、または基材の表面上のコーティングとしてフォトクロミックポリマー組成物を塗布および硬化させるために用いられるプロセスによって必要とされる、またはコーティングの性能を向上させるさらなる慣用の補助剤を含有してもよい。このような補助剤には、限定されるものではないが、紫外線吸収剤、光安定剤、例えば、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、非対称ジアリールオキサルアミド(オキサニリド)化合物、一重項酸素消光剤(例えば、有機リガンドとのニッケルイオン錯体)、酸化防止剤(例えば、ポリフェノール系酸化防止剤)、熱安定剤、レオロジー調節剤、レベリング剤(例えば、界面活性剤)、フリーラジカルスカベンジャー、着色剤(例えば、染料)、および接着促進剤(例えば、トリアルコキシシラン、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、および3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートを含む、1から4個の炭素原子のアルコキシ基を有するシラン)が含まれる。このようなフォトクロミック/コーティング性能向上補助材料の混合物が用いられてもよい。触媒も、硬化のための必要な化学反応をもたらすために、必要に応じて組成物中に取り込まれてもよい。
本発明の組成物の硬化および本明細書で記載されるフォトクロミック性能試験後に、この組成物は、200秒未満、または100秒未満、しばしば90秒未満のT1/2退色速度を示し、レンズなどのフォトクロミック物品におけるフォトクロミックコーティングとして、それを特に適切にさせた。本発明のために、T1/2退色速度を決定する応答試験は、以下に直ぐに記載されるとおりの光学台を用いておよび以下の実施例における本明細書でのより多くの特殊性によって決定した。
フォトクロミック性能試験:
フォトクロミック性能試験は、Essilor,Ltd.仏国により製造されたBench for Measuring Photochromics(「BMP」)光学台で行う。光学台は、試験中73.4°F(23℃)の一定温度で維持する。
光学台上での試験前に、コーティングされたレンズのそれぞれを、365ナノメートルの紫外線に約14センチメートルの距離で約10分間曝露し、フォトクロミック材料を活性化させる。レンズにおけるUVA(315から380nm)放射照度は、LICOR(登録商標)モデルLi−1800分光放射計で測定する。典型的な放射照度レベルは、1平方メートル当たり約22.2ワットである。レンズを500ワットの高強度ハロゲンランプ下に約36センチメートルの距離で約10分間置いて、フォトクロミック材料を脱色させる(不活性化させる)。レンズでの照度は、LICOR(登録商標)分光放射計で測定する。典型的な照度レベルは、約21.9キロルクスである。光学台上での試験前に、レンズを暗い環境に室温(約70から75°F、または21から24℃)で少なくとも1時間保つ。光学台測定前に、レンズを390ナノメートルでの紫外線吸光度について測定する。
BMP光学台に、互いに対して直角の2つの150ワットのORIEL(登録商標)モデル#66057キセノンアークランプが取り付けられている。ランプ1からの光路は、必要とされるUVおよび部分的可視光線の放射照度レベルに寄与する3mmのSCHOTT(登録商標)KG−2帯域通過型フィルターおよび適当な減光フィルターを通して方向づける。ランプ2からの光路は、補助的な可視光照度を提供するために、3mmのSCHOTT(登録商標)KG−2帯域通過型フィルター、SCHOTT(登録商標)狭帯域400nmカットオフフィルターおよび適当な減光フィルターを通して方向づける。2インチ×2インチの50%ポルカドットビームスプリッターをそれぞれのランプに対して45°で使用して、2つのビームを合わせる。減光フィルターとキセノンアークランプの電圧制御との組合せを用いて、放射照度の強さを調整する。独自のソフトウェア、すなわち、BMPSoftバージョン2.1eをBMP上で用いて、タイミング、放射照度、空気セルおよび試料温度、シャッターの開閉、フィルター選択ならびに応答測定を調節する。レンズを通して光を送達するための光ファイバーケーブルを備えたZEISS(登録商標)分光光度計、モデルMCS501を、応答および色の測定のために用いる。明所視応答の測定値は、それぞれのレンズで集める。
光学台の出力、すなわち、レンズが、典型的には試験の間に曝露される光の線量は、1平方メートル当たり6.7ワット(ワット/m)UVA(315〜380nmで累積された)および50キロルクス照度(380〜780nmで累積された)に調整される。この出力設定値の測定は、放射照度プローブおよび較正したZeiss分光光度計を用いて行われる。レンズ試料セルには、石英製窓およびセルフセンタリング試料ホルダーが取り付けられている。試料セル中の温度は、修正Facis、モデルFX−10環境シミュレータを有するソフトウェアによって、典型的には23℃に調節される。試料の動的フォトクロミック応答の測定および色の測定は、タングステンハロゲンランプから光を送達するための光ファイバーケーブルを備えた同じZeiss分光光度計を用い、試料を通して行われる。光ファイバーケーブルからの平行モニタリング光ビームは、試料を通過して、分光光度計に取り付けられた受信用光ファイバーケーブルアセンブリの中に方向づけられる一方、試験試料に対して垂直に維持される。試料セルにおける試料の配置の正確なポイントは、活性化キセノンアークビームとモニタリング光ビームとが交差して光の2つの同心円を形成する場所である。同じ配置ポイントにおけるキセノンアークビームの入射角は、垂直から約30°である。
応答測定値は、活性化されていないかまたは脱色された状態から活性化されたかまたは着色された状態への光学濃度(ΔOD)の変化に関して、初期の活性化されていない透過率を確立し、キセノンランプ(単数または複数)からのシャッターを開き、選択された時間間隔での活性化による透過率を測定することによって決定される。光学濃度の変化は、式:ΔOD=log(10)(%Tb/%Ta)(式中、%Tbは、脱色状態での透過率パーセントであり、%Taは、活性化状態での透過率パーセントである)に従って決定される。光学濃度の測定は、明所視光学濃度に基づき、ここで、飽和でのΔODは、活性化の15分後であり、退色半減期(「T1/2」)値は、コーティング中のフォトクロミック材料の活性化形態のΔODが、活性化光源の除去の後に、73.4°F(23℃)で15分のΔODの半分に達する時間間隔(秒)である。
本発明はさらに、硬質基材を備えるフォトクロミック物品およびその基材の表面に塗布されたフォトクロミック有機ポリマーコーティングを提供する。フォトクロミック有機ポリマーコーティングは、上に記載された組成物を含む。
フォトクロミックポリマーコーティングが塗布される硬質基材は、変わってもよく、フォトクロミックポリマーコーティングを支持する少なくとも1つの面を有する任意の硬質基材を含む。このような硬質基材の例には、紙、ガラス、セラミックス、木材、メーソンリー、テキスタイル、金属および有機ポリマー材料が含まれる。用いられる特定の基材は、硬質基材およびフォトクロミックコーティングの両方を必要とする特定の用途に依存し、このフォトクロミックコーティングは、フォトクロミックコーティングに隣接する架橋ポリヒドロキシポリマー膜の保護をさらに必要とする。硬質基材は、透明であってもよい。
本発明のフォトクロミック物品を調製する際に用いられてもよいポリマー基材には、有機ポリマー材料および無機材料(ガラスなど)が含まれる。本明細書で使用される場合、「ガラス」という用語は、ポリマー物質、例えば、ポリマーシリケートであると定義される。ガラス基材は、意図された目的に適したいずれの種類のものであってもよい。非限定的な実施形態において、ガラス基材は、クリアで薄く着色した透明ガラス、例えば、周知のシリカ型ガラス、特にソーダ−石灰−シリカガラスである。種々のシリカガラスの性質および組成は、当技術分野で周知である。ガラスは、熱的または化学的テンパリングによって強化されてもよい。
本発明のフォトクロミック物品の調製の際に用いられてもよいポリマー有機基材は、基材の表面上に重ね合わされた、例えば、塗布されたフォトクロミックポリマーコーティングと化学的に適合する現在公知の(またはその後に発見される)プラスチック材料のいずれかである。非限定的な実施形態において、ポリマー有機基材は、光学基材として有用であると当技術分野で認識されたポリマー、例えば、光学用途(例えば、眼科用レンズなど)のための光学的にクリアなキャスティングを調製するために用いられる有機光学樹脂から調製されてもよい。
ポリマー有機基材として用いることができる有機基材の例は、限定されるものではないが、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,658,501号の第15欄、第28行目から第16欄、第17行目に開示されたものなどのモノマー、およびモノマーの混合物から調製される基材を含めて、ポリマー、例えば、ホモポリマー、オリゴマーおよびコポリマーである。このような有機基材は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー基材、例えば、望ましくは1.48から1.74、例えば、1.50から1.67の範囲である屈折率を有する、透明な、より詳細には光学的にクリアな基材であってもよい。
このような開示されたモノマーおよびポリマーの非限定的な例には、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)などのアリルジグリコールカーボネート(このモノマーは、PPG Industries,Inc.によりCR−39という商標の下で販売されている);ポリ尿素−ポリウレタン(ポリ尿素ウレタン)ポリマー、例えば、米国特許第6,127,505号(第2欄、第26行目から第6欄、第5行目、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたポリマー(このようなポリ尿素−ウレタンポリマーは、例えば、ポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応によって調製され、このようなポリマーの一つについての組成物は、PPG Industries,Inc.によりTRIVEXという商標の下で販売されている);アクリル官能性モノマー(例えば、限定されるものではないが、ポリオール(メタ)アクリロイル末端化カーボネートモノマー);ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシ化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン(これらには、限定されるものではないが、Mitsui Chemicals製MR−6、MR−7およびMR−8光学樹脂などの材料が含まれる);熱可塑性ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAとホスゲンとから誘導されるカーボネート連結樹脂、このような材料の一つは、LEXANという商標の下で販売されている);ポリエステル(例えば、MYLARという商標の下で販売される材料);ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;ポリ(メチルメタクリレート)(例えば、PLEXIGLASという商標の下で販売される材料);ならびに多官能性イソシアネート(単数または複数)および/またはイソチオシアネート(単数または複数)を、ポリチオール(単数または複数)またはポリエピスルフィドモノマーと反応させることによって調製されるポリマー(ホモ重合された、またはポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび場合によってエチレン性不飽和モノマーもしくはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと共重合および/もしくは三元重合された)が含まれる。例えば、相互貫入網状組織生成物を形成する、このようなモノマーのコポリマー、ならびに記載されたポリマーおよびコポリマーと他のポリマーとのブレンドも企図される。有機ポリマー基材は、基材の表面に重ね合わされた、例えば、塗布されたフォトクロミックポリマーコーティングと化学的に適合するべきである。光学用途に関して、基材は透明であるべきである。
しばしば、硬質基材は、1.48から1.74の屈折率を有する熱硬化性または熱可塑性材料から選択される有機ポリマー基材である。このような特性を示す材料には、アリルジグリコールカーボネートモノマー(単数または複数)を含む重合性組成物、熱可塑性ポリカーボネート、ポリ尿素ウレタン、または多官能性イソシアネート(単数または複数)および/もしくはイソチオシアネート(単数または複数)とポリチオール(単数または複数)もしくはポリエピスルフィドモノマー(単数または複数)との反応生成物を含む組成物が含まれる。
本発明のフォトクロミック物品を調製するために用いられるポリマー有機基材は、その表面に保護コーティング、例えば、耐摩耗コーティングを有していてもよい。例えば、市販の熱可塑性ポリカーボネート光学レンズは、典型的には、表面が容易に引っかかれ、すり減らされまたはこすり落とされやすいので、その表面(単数または複数)に既に塗布された耐摩耗コーティング、例えば、ハードコーティングを有して販売される。このような物品の非限定的な例は、ポリカーボネートレンズであって、そのポリカーボネート表面に既に塗布されたハードコーティングを有して販売されているポリカーボネートレンズ(Gentex Opticsから入手できる)である。本開示および特許請求の範囲で使用される場合、このような基材の「ポリマー有機基材」(または同様な用語)または「表面」という用語は、ポリマー有機基材それ自体、またはその基材上にコーティング、例えば、保護コーティングおよび/もしくはプライマーを有するこのような基材を意味し、かつ含むことが意図される。したがって、本開示または特許請求の範囲において、基材の表面へのプライマーコーティングまたはフォトクロミックポリマーコーティングの塗布に対して言及がなされる場合、このような言及には、このようなコーティングを、ポリマー有機基材それ自体にまたはその基材の表面上のコーティング、例えば、耐摩耗コーティングに塗布することを含む。したがって、「基材」という用語は、その表面にコーティングを有する基材を含む。このコーティングは、任意の適切なコーティング(フォトクロミックコーティング以外の)であってもよく、耐摩耗コーティング(ハードコート)に限定されず、例えば、任意の保護コーティングまたは基材がその一部である物品に1つもしくは複数の追加的な機能特性を与える他のコーティングであってもよい。
被覆される基材の表面へのフォトクロミックポリマーコーティングの塗布前に、フォトクロミックコーティングの基材への接着を向上させるためにその表面を清浄にしおよび処理することが一般的である。清浄方法の例には、超音波洗浄、水性石鹸/清浄液による洗浄(または石鹸および水による洗浄)、続いてすすぎ洗い、および有機溶媒の水性混合物、例えば、イソプロパノール/水またはエタノール/水の50:50混合物による清浄を含む。さらなる処理の例には、UV処理、活性化ガス処理、例えば、低温プラズマまたはコロナ放電(アルゴンなどの不活性ガス、または酸素などの反応性ガスを用いる)による処理、および基材表面のヒドロキシル化をもたらす化学処理、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の水溶液(この溶液はフルオロ界面活性剤を含有することもできる)による表面のエッチングが含まれる。アルカリ金属水酸化物溶液は、希釈水溶液、例えば、5から40重量パーセントのアルカリ金属水酸化物であってもよい。アルカリ金属水酸化物溶液の濃度は、10から15重量パーセント、例えば、12重量パーセントの範囲であってもよい。例えば、ポリマー有機材料の表面処理について記載している、米国特許第3,971,872号、第3欄、第13行目から第25行目;米国特許第4,904,525号、第6欄、第10行目から第48行目;および米国特許第5,104,692号、第13欄、第10行目から第59行目を参照されたい。
ある種の実施形態において、プライマーコーティングは、フォトクロミックコーティングの塗布前にプラスチック表面基材に塗布される。プライマーは、フォトクロミックコーティングを塗布するために用いられる方法のいずれか、例えば、スプレー、スピン、スプレッド、カーテン、ロールまたはディップコーティングによって硬質基材に塗布されてもよく;清浄にされ、未処理の、または清浄にされ、処理された(例えば、化学的に処理された)基材の表面に塗布されることができる。プライマーコーティングは、当業者に周知である。プライマーコーティングの厚さは、1層から数層の単分子層まで変わり得る。プライマーコーティングの厚さは、0.1から10ミクロンまで、例えば、0.1から2または3ミクロンの範囲であり得る。プライマーコーティングの厚さは、列挙された値を含めて、上述の値の任意の組合せの間で変わり得る。プライマーコーティングの例には、有機官能性シラン、例えば、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含むコーティング、ならびに有機シロキサンを実質的に含まず、かつ少なくとも1つのエチレン性結合を有する有機無水物およびイソシアネート含有材料を含む組成物を含むコーティングが含まれる。
典型的には、硬質基材の表面に塗布されたフォトクロミックコーティングは、少なくとも3ミクロンの厚さを有する。代替の非限定的な実施形態において、フォトクロミックコーティングの厚さは、少なくとも5ミクロン、例えば、少なくとも10ミクロン、例えば、20または30ミクロンである。通常、塗布されたフォトクロミックコーティングは、200ミクロン以下、または100ミクロン以下、例えば、50ミクロン以下、例えば、40ミクロンの厚さを有する。フォトクロミックコーティングの厚さは、列挙された値を含めて、これらの値の任意の組合せの間の範囲であり得る。例えば、フォトクロミックコーティングの厚さは、10から50ミクロン、例えば、20から40ミクロンの範囲であり得る。塗布されたフォトクロミックコーティングは、好ましくは表面上の欠陥、例えば、引っかき傷、穴、斑点、亀裂、封入などを含まない。
コーティングの専門用語において、「コーティング」という用語は、4ミル以下(約100ミクロン)の厚さを有する層であるとみなされる。しかし、フォトクロミックコーティングに関連して本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「コーティング」という用語は、上に記載された厚さの範囲内の厚さを有するコーティングを意味するために本明細書で使用される。
さらに、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「ポリマー基材の表面」または同様の用語、例えば、フォトクロミックポリマーコーティングが塗布される表面は、基材の表面の一部のみがコーティングされる実施形態を含むことが意図される。したがって、フォトクロミックコーティング(およびこのフォトクロミックコーティングに塗布され得るさらなる有機ポリマー層)は、基材の少なくとも1つの表面の一部のみを被覆し得る。
硬化フォトクロミックポリマーコーティングは、そのコーティング上に傷、例えば、引っかき傷をもたらすことなく、物理的/機械的に取り扱われるために十分に硬い。コーティングまたは膜の硬度は、当業者に公知の試験、例えば、フィッシャー微小硬度、鉛筆硬度またはヌープ硬度によって定量化され得る。
フォトクロミックポリマーコーティング組成物は、硬質基材の表面に塗布され、次いで、当業者に周知の方法によって硬化される。このような塗布方法には、スピンコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングの、またはオーバーレイの調製の際に用いられる方法による、当技術分野で認識された方法を含む。このような方法は、米国特許第4,873,029号に記載されている。
フォトクロミックポリマーコーティング配合物は、プラスチック基材の表面に塗布された後、室温でまたは熱を加えることによって硬化される。用いられる具体的な硬化条件は、プラスチック基材、配合物中の官能性成分および用いられる触媒の種類に依存する。熱硬化は、室温から、最高でプラスチック基材またはフォトクロミック材料がこのような加熱のために損傷されない温度未満までの加熱を含み得る。最高で200℃までの温度が報告されている。このような硬化条件は、当技術分野で周知である。例えば、典型的な熱硬化サイクルは、配合物を室温(22℃)から、85から140℃まで2から90分の時間にわたって加熱することを含む。硬化条件が、物理的に取り扱うことができるが、完全に硬化されていないコーティングをもたらす場合、フォトクロミックコーティングを完全に硬化させるために、さらなる熱後硬化工程を用いることもできる。
本発明のフォトクロミック物品は、フォトクロミックポリマーコーティングの上面に塗布されるさらなる層を有していてもよい。このような層には、タイ層、耐摩耗ハードコート、反射防止コーティングなどが含まれる。反射防止コーティングの非限定的な例は、米国特許第6,175,450号および国際特許公開第WO00/33111号に記載されており、これらの反射防止コーティングの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のフォトクロミック物品は、様々な用途で使用され得る。代替の非限定的な実施形態において、フォトクロミック物品は、透明な、例えば、眼科用途が意図された光学プラスチック基材、例えば、平および視力矯正レンズ、サンレンズおよびゴーグル、商業用および住居用窓、自動車および航空機用透明物、ヘルメット、クリアフィルムなどでの使用のために設計され得る。さらに、本発明のフォトクロミック物品は、プラスチックフィルムおよびシート、光学デバイス、例えば、光学スイッチ、ディスプレイデバイスおよびメモリ保存デバイス(例えば、米国特許第6,589,452号に記載されたもの)、ならびにセキュリティ要素(例えば、光学的に読取り可能なデータ媒体、例えば、米国特許出願公開第2002/0142248号に記載されたもの)、スレッドまたはストリップの形態のセキュリティ要素(米国特許第6,474,695号に記載されたとおりの)、ならびにセキュリティ文書および製品の上に置かれ得る照合マークの形態のセキュリティ要素に関連して使用され得る。
本発明のある種の実施形態において、耐摩耗コーティングが、さらなる透明な有機ポリマー層の上に重ね合わされる、例えば、置かれる。このような実施形態において、後熱硬化(用いられる場合)は、耐摩耗コーティングの塗布後まで、製品のかなりの物理的取扱いがない場合、耐摩耗コーティングの塗布後まで、延期され得る。このような広範な取扱いが必要とされる場合、耐摩耗コーティングの塗布前に熱後硬化が行われてもよい。
ポリマー層の耐引っかき性は、当業者に公知の慣用のスチールウール引っかき試験により測定され得る。この試験は、非常に細かいスチールウールによって摩耗を受ける表面の平均ヘイズ増加を測定する。本発明の非限定的な実施形態によれば、耐引っかき性を与えるポリマー層の平均ヘイズ増加は、20未満であり得る。代替の非限定的な実施形態において、耐引っかき性を与えるポリマーの平均ヘイズ増加は、15未満、例えば、10未満、例えば、8未満であり得る。Eberbach Steel Wool Abrasion Testerが、表面の耐引っかき性を決定するために用いられてもよい。Bayer Abrasion Testerも表面耐摩耗性を決定するために用いられてもよい。
耐摩耗コーティング(ハードコート)は、フォトクロミックコーティングに関して記載された同じ塗布技術、例えば、スピンコーティングを用いて、透明ポリマータイ層に重ね合わされても、例えば、塗布されてもよい。耐摩耗膜の厚さは、0.5から10ミクロンの範囲であり得る。
本発明は、以下の実施例でより詳細に記載され、これらは、単に例証的なものとして意図されるが、その理由は、それらの中での多数の改変および変形が当業者に明らかであるからである。
本発明は、以下の実施例とともにさらに記載されるが、それらは、限定的というよりはむしろ例証的なものとして考えられるべきであり、かつ特に断りのない限り、それらの中ですべての部は、重量による部であり、すべてのパーセンテージは、組成物の全重量に基づいて、重量によるパーセンテージである。パート1において、ポリカーボネートポリオールのA、BおよびCの調製が記載される。パート2において、本発明の組成物および物品の調製ならびに比較例が記載される。パート3において、実施例1〜実施例3ならびに比較例1および比較例2の微小硬度およびフォトクロミック性能試験の結果が記載される。
パート1−ポリカーボネートポリオールの調製
ポリカーボネートポリオールA(PP−A)を、以下のとおりに調製した:5リットルのフラスコ中に、1000グラム(g)のRAVECARB(登録商標)107ポリカーボネートポリオール(Enichemから入手できる)および2220gのメタノールを加え、窒素ブランケットを適用した。得られた混合物を61℃に達するまで撹拌および加熱し、この温度で15分間維持した。得られた混合物を分液漏斗中に移し、室温で15分間保った。分離後、底層を5リットルフラスコに収集した。この過程を、1900gのメタノールを毎回用いてさらに3回繰り返した。収集した最終の底層からメタノールを蒸留により除去し、590gの粘性液体を得た。回収物質中に残存するメタノールのレベルは、0.16%であり、ヒドロキシル価は、31.3mgKOH/gであった。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、6450g/モルであり、重量平均分子量は、8,590g/モルであった。多分散性指数は、1.33であった。
ポリカーボネートポリオールB(PP−B)を、1リットルフラスコ、250グラム(g)のETERNACOLL(登録商標)PH200Dポリカーボネートポリオール(UBE Americas Inc.から入手できる)および600mLのメタノールを用いた;600mLのメタノールを3回のさらなる分離のそれぞれに用い、回収した生成物の量は150gであったこと以外は、PP−Aを調製するために用いた手順に従って調製した。生成物は、0.03%未満のメタノールレベルを有し、ヒドロキシル価は、30.3mgKOH/gであった。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、6560g/モルであり、重量平均分子量は、9,760g/モルであった。多分散性指数は、1.49であった。
ポリカーボネートポリオールCを、ETERNACOLL(登録商標)PH200DポリカーボネートポリオールをRAVECARB(登録商標)107ポリカーボネートポリオールの代わりに用い、0.15%のメタノールレベルを有する605gの粘性液体を得て、ヒドロキシル価は、30.1mgKOH/gであったこと以外は、PP−Aを調製するために用いた手順に従って調製した。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、6,610g/モルであり、重量平均分子量は、8,690g/モルであった。多分散性指数は、1.32であった。
ポリカーボネートポリオールD(PP−D)を、以下のとおりに調製した:
工程1−2リットルのフラスコ中に、ETERNACOLL(登録商標)PH200Dポリカーボネートポリオール(400g)およびアセトニトリル(400mL)を加え、得られた混合物を均一になるまで撹拌した;メタノール(800mL)をゆっくりと添加し、この混合物を30分間撹拌した;混合物を分液漏斗に移し、30分後に約550gの底層を収集した。
工程2−工程1からの収集物質を、2リットルのフラスコ中に加え、アセトニトリル(350mL)およびメタノール(600mL)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌し、分液漏斗に移し、30分後に底層を収集した。
工程3−200mLのアセトニトリルおよび400mLのメタノールを用いた以外は、工程2の手順を、工程2からの収集物質を用いて繰り返した。
工程4−工程3の手順を工程3からの収集物質を用いて繰り返し、溶媒を除去後、所望の生成物として65gのクリアな粘性物質を回収した。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、10,100g/モルであり、重量平均分子量は、12,600g/モルであった。多分散性指数は、1.25であった。
ポリ(カーボネート−γ−ウレタン−γ−エステル)ポリオールE(PP−E)を、以下のとおりに調製した:滴下漏斗、機械式撹拌機および冷却管を備えた500ミリリットルのフラスコ中に、101.5グラム(g)のETERNACOLL(登録商標)PH200D、0.39gのスズ(II)エチルヘキサノエート、および16gのDOWANOL(登録商標)DPMAを加えた。窒素ブランケットを適用し、得られた混合物を撹拌し、117℃に加熱した。40.4gのカプロラクトン、13.5gのバレロラクトン、および5.15gのトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)の溶液を、滴下漏斗によって20分の間隔にわたって添加した。反応物を117℃で8時間加熱した。反応物をさらに精製することなく用いた。得られた物質中の固体のレベルは、DOWANOL(登録商標)DPMA中89.2%と測定され、ヒドロキシル価は、21.9mgKOH/gであった。本明細書で報告される固体レベルは、試料を量り、それを120℃で1時間加熱し、それを再び量り、加熱工程後に残存する固体パーセントを決定することによって決定した。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、9010g/モルであり、重量平均分子量は、14,600g/モルであった。多分散性指数は、1.62であった。
ポリ(カーボネート−エステル)ポリオールF(PP−F)を、以下のとおりに調製した:機械式撹拌機および冷却管を備えた1リットルのフラスコ中に、395グラム(g)のETERNACOLL(登録商標)PH200D、300.0gのカプロラクトン、および100gのバレロラクトンを加えた。窒素ブランケットを適用した。得られた混合物を撹拌し、117℃に加熱し、0.4gのスズ(II)エチルヘキサノエートを注射器により添加した。反応物を117℃で18時間加熱した。反応物をさらに精製することなく用いた。得られた物質中の固体のレベルは、99.2%と測定され、ヒドロキシル価は、33.6mgKOH/gであった。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、5430g/モルであり、重量平均分子量は、9,020g/モルであった。多分散性指数は、1.66であった。
ポリカーボネートウレタンブロックコポリマーポリオールG(PP−G)を、以下のとおりに調製した:100mlのフラスコ中に、8.2gの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3.1gの1,6−ヘキサンジオール、0.08gのジブチルスズジラウレート、0.04gのトリフェニルホスファイトおよび21gのDOWANOL(登録商標)DPMAを加えた。この混合物を80℃に加熱し、5時間保持した。次いで、混合物を冷却し、混合物に52.3gのETERNACOLL(登録商標)PH200Dおよび21gのDOWANOL(登録商標)DPMAを添加した。温度を80℃に上昇させ、イソシアネートが赤外分光法により観測されなくなるまで保持した。この反応混合物を冷却して、62%の固形分を有するクリアな粘性液体を得た。100%の樹脂固体に基づくヒドロキシル価は、28mgKOH/gであった。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、7170g/モルであり、重量平均分子量は、13930g/モルであった。多分散性指数は、1.94であった。この材料中のウレタンブロックは、理論的Mn約538を有した。
ポリカーボネートウレタンブロックコポリマーポリオールH(PP−H)を、以下のとおりに調製した:500mlのフラスコ中に、25.2gの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、31.8gのTONE 0201ポリオール(Dow製)、0.36gのジブチルスズジラウレート、0.18gのトリフェニルホスファイトおよび99.4gのDOWANOL(登録商標)DPMAを加えた。この混合物を80℃に加熱し、5時間保持した。次いで、混合物を冷却し、混合物に241.3gのETERNACOLL(登録商標)PH200Dおよび99gのDOWANOL(登録商標)DPMAを添加した。温度を80℃に上昇させ、イソシアネートがIRにより観測されなくなるまで保持した。この反応混合物を冷却し、60%の固形分を有するクリアな粘性液体を得た。100%樹脂固体に基づくヒドロキシル価は、26mgKOH/gであった。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、7470g/モルであり、重量平均分子量は、14300g/モルであった。多分散性指数は、1.91であった。この材料中のウレタンブロックは、理論的Mn約950を有した。
ポリカーボネートウレタンブロックコポリマーポリオールI(PP−I)を、以下のとおりに調製した:100mlのフラスコ中に、4.4gの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、7.4gのTONE 0201ポリオール、0.06gのジブチルスズジラウレート、0.03gのトリフェニルホスファイトおよび18gのDOWANOL(登録商標)DPMAを加えた。この混合物を80℃に加熱し、5時間保持した。次いで、混合物を冷却し、混合物に42gのETERNACOLL(登録商標)PH200Dおよび26gのDOWANOL(登録商標)DPMAを添加した。温度を80℃に上昇させ、イソシアネートがIRにより観測されなくなるまで保持した。この反応混合物を冷却して、50%の固形分を有するクリアな粘性液体を得た。100%樹脂固体に基づくヒドロキシル価は、20mgKOH/gであった。ポリスチレン標準品を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定した数平均分子量は、10400g/モルであり、重量平均分子量は、21300g/モルであった。多分散性指数は、2.05であった。この材料中のウレタンブロックは、理論的Mn約1690を有した。
パート2−実施例1〜3ならびに比較例1および2の調製
以下の実施例において、色素、ポリオール、触媒、界面活性剤などの材料(これらは、括弧内の小文字によって一例において識別される)は、同じ小文字の数字によってその後の比較例で用いられる。PC−1、PC−2、PC−3およびPC−4の組合せは、活性化されたグレー色をもたらした。
パート2−A コーティング配合物の調製
撹拌機を備えた適切な容器に記載された順序で、以下の材料を加えた。
Figure 2014505116
(1)ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートであると報告されるDOWANOL(登録商標)DPMA(Dowから入手できる)
(2)緑色着色フォトクロミックインデノナフトピラン
(3)紫色着色フォトクロミックインデノナフトピラン
(4)青色着色フォトクロミックインデノナフトピラン
(5)紫色着色フォトクロミックインデノナフトピラン
(6)IRGANOX(登録商標)245−酸化防止剤/安定剤(Ciba Speciality Chemicals Corp.から入手できる)
(7)TINUVIN(登録商標)−144は、CAS番号63843−89−0を有すると報告されたヒンダードアミンクラスの光安定剤であり、Ciba Specialty Chemicalsから入手できる。
Figure 2014505116
(8)SILQUEST(登録商標)A−187は、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランであり、これは、仏国、ParisのOsi Specitiesから入手できる。
(9)K−KAT(登録商標)348は、カルボン酸ビスマスであると報告されたウレタン触媒である(King Industries Inc.から入手できる)
(10)BYK(登録商標)333は、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンコポリマー(compolymer)であり、これは、Conneticut、WallingfordのBYK−Chemieから入手できる。
Figure 2014505116
(11)PMAP−仕込み2において、スチレンをメチルメタクリレートに置き換え、全モノマー重量に基づいて、0.5重量%のトリフェニルホスファイトを添加したことを除いて、その手順が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,187,444号の実施例1の組成物Dの手順に従うことによって生成されたポリ(メタ)アクリルポリオール。
(12)パート1で調製されたポリカーボネートポリオールまたは比較例で用いられた市販用の製品
(13)ブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート(Lancashire、英国のBaxenden Chemical Co.から入手できる)。
仕込み1を混合しながら容器に加え、60℃に約30分間加熱して、固形物を溶解させた。この溶液に、仕込み2を添加し、得られた混合物を約5分間撹拌した。仕込み3の材料を別個の容器に列挙した順序で加え、それを仕込み1および仕込み2が入っている容器に添加する前に混合した。得られた混合物を120mLの容器に入れ、40のダイヤル設定で米国製石器ロール混合機に2時間置いた。
比較例1および比較例2を、仕込み1、仕込み2および仕込み3のそれぞれにおいて以下に列挙される材料を用いることを除いて、実施例1〜3について上に列挙された手順に従って調製した。
Figure 2014505116
パート2−B−コーティングされた物品の調製
Gentex Opticsから得られる70mmの直径を有するフィニッシュト単焦点ポリカーボネートレンズを用いた。500ワットおよび54kVAで作動するTantec EST−Electrical Service Treatment装置からのコロナ放電によって、試験レンズを45秒間処理した。実施例1〜実施例3ならびに比較例1および比較例2のコーティングをそれぞれ、コロナ処理したレンズに別個にスピンコーティングによって塗布し、125℃で60分間硬化させた。得られた硬化コーティングは、約20ミクロン厚であった。塗布されたコーティングを有する1組のレンズを、パート3−Aに記載したとおりの微小硬度試験にかけた。
20ヘルツおよび0.70キロワットで作動するTantec装置からのコロナ放電によって、コーティングされたレンズの別の組を9秒間処理した。その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,410,691号の実施例1および実施例2に記載されたタイプのアクリレートベース配合物を、スピンコーティングによって試験レンズに塗布し、硬化させて、約8ミクロン厚であったコーティングをもたらした。2種類のコーティングを有するレンズを、パート3−Bに記載したとおりにフォトクロミック性能について試験した。
パート3−A−微小硬度試験
パート2−Bで調製したコーティングされたレンズを、FISCHERSCOPE(登録商標)HCV、モデルH−100装置(Fischer Technology Inc.から入手できる)を用いて微小硬度試験にかけた。微小硬度は、ニュートン/mmの単位で測定する。それぞれのレンズを2回から5回測定し、得られたデータを平均した。硬度測定値は、100ニュートン荷重で15秒間後に2ミクロンの侵入度における硬度とした。試験したそれぞれのレンズの結果の算術平均を表1に列挙する。
Figure 2014505116
パート3−B−フォトクロミック性能試験
前述のコーティング組成物のそれぞれのフォトクロミック性能を以下のとおりに行った。Essilor,Ltd、仏国により製造されたBench for Measuring Photochromics(「BMP」)光学台上でのフォトクロミック性能試験において、上に調製したコーティングされたレンズを試験した。光学台は、試験中73.4°F(23℃)の一定温度で維持した。
光学台上での試験前に、コーティングされたレンズのそれぞれを、365ナノメートルの紫外線に約14センチメートルの距離で約10分間曝露し、フォトクロミック材料を活性化させた。レンズにおけるUVA(315から380nm)の放射照度を、LICOR(登録商標)モデルLi−1800分光放射計によって測定し、1平方メートル当たり22.2ワットであることがわかった。次いで、レンズを、500ワットの高強度ハロゲンランプ下に約36センチメートルの距離で10分間置いて、フォトクロミック材料を脱色させた(不活性化させた)。レンズでの照度をLICOR(登録商標)分光放射計によって測定し、21.9キロルクスであることがわかった。次いで、光学台上での試験前に、レンズを暗い環境に室温(約70から75°F、または21から24℃)で少なくとも1時間保った。光学台測定前に、レンズを390ナノメートルでの紫外線吸光度について測定した。
BMP光学台に、互いに対して直角の2つの150ワットのORIEL(登録商標)モデル#66057キセノンアークランプを取り付けた。ランプ1からの光路は、必要とされるUVおよび部分的可視光線の放射照度レベルに寄与する3mmのSCHOTT(登録商標)KG−2帯域通過型フィルターおよび適当な減光フィルターを通して方向づけた。ランプ2からの光路は、補助的な可視光照度を提供するために3mmのSCHOTT(登録商標)KG−2帯域通過型フィルター、SCHOTT(登録商標)狭帯域400nmカットオフフィルターおよび適当な減光フィルターを通して方向づけた。2インチ×2インチの50%ポルカドットビームスプリッターをそれぞれのランプに対して45°で使用して、2つのビームを合わせる。減光フィルターとキセノンアークランプの電圧制御との組合せを用いて、放射照度の強さを調整した。独自のソフトウェア、すなわち、BMPSoftバージョン2.1eをBMP上で用いて、タイミング、放射照度、空気セルおよび試料温度、シャッター開閉、フィルター選択ならびに応答測定を調節した。レンズを通して光を送達するための光ファイバーケーブルを備えたZEISS(登録商標)分光光度計、モデルMCS501を、応答および色の測定のために用いた。明所視応答の測定値を、それぞれのレンズで集めた。
光学台の出力、すなわち、レンズが曝露される光の線量を、1平方メートル当たり6.7ワット(W/m)UVA(315〜380nmで累積された)および50キロルクス照度(380〜780nmで累積された)に調整した。この出力設定値の測定を、放射照度プローブおよび較正したZeiss分光光度計を用いて行った。レンズ試料セルに、石英製窓およびセルフセンタリング試料ホルダーを取り付けた。試料セル中の温度を、修正Facis、モデルFX−10、環境シミュレータを有するソフトウェアによって23℃に調節した。試料の動的フォトクロミック応答の測定および色の測定を、タングステンハロゲンランプから光を送達するための光ファイバーケーブルを備えた、同じZeiss分光光度計を用い、試料を通して行った。光ファイバーケーブルからの平行モニタリング光ビームを、試料を通過して、分光光度計に取り付けた受信用光ファイバーケーブルアセンブリ中に方向づける一方、試験試料に対して垂直に維持した。試料セルにおける試料の配置の正確なポイントは、活性化キセノンアークビームとモニタリング光ビームとが交差して光の2つの同心円を形成する場所であった。同じ配置ポイントにおけるキセノンアークビームの入射角は、垂直から約30°であった。
応答測定値は、活性化されていないかまたは脱色された状態から活性化されたかまたは着色された状態への光学濃度(ΔOD)の変化に関して、初期の活性化されていない透過率を確立し、キセノンランプ(単数または複数)からのシャッターを開き、選択された時間間隔での活性化による透過率を測定することによって決定した。光学濃度の変化は、式:ΔOD=log(10)(%Tb/%Ta)(式中、%Tbは、脱色状態での透過率パーセントであり、%Taは、活性化状態での透過率パーセントである)に従って決定した。光学濃度の測定は、明所視光学濃度に基づいた。
この試験の結果を下記の表2に示し、飽和でのΔODは、活性化の15分後であり、退色半減期(「T1/2」)値は、コーティング中のフォトクロミック材料の活性化形態のΔODが、活性化光源の除去の後に、73.4°F(23℃)で15分のΔODの半分に達する時間間隔(秒)である。
Figure 2014505116
本発明は、その特定の実施形態の具体的な詳細に関して記載されてきたが、このような詳細は、それらが添付の特許請求の範囲に含まれる限りにおいてを除き、本発明の範囲の限定とみなされるべきでないことが意図される。
本発明は、その特定の実施形態の具体的な詳細に関して記載されてきたが、このような詳細は、それらが添付の特許請求の範囲に含まれる限りにおいてを除き、本発明の範囲の限定とみなされるべきでないことが意図される。

Claims (15)

  1. a)フォトクロミック量の少なくとも1種のフォトクロミック材料;
    b)ポリマーポリオールであって、その主鎖に沿ってカーボネート基を有し、かつ5000g/モルを超える数平均分子量を有するポリマーポリオール;および
    c)前記ポリマーポリオールb)上のヒドロキシル基と反応することができる反応性官能基を有する硬化剤
    を含む硬化性有機ポリマーフォトクロミック組成物であって、硬化およびフォトクロミック性能試験後に、200秒未満のT1/2退色速度を示す、組成物。
  2. 前記ポリマーポリオールが、6000g/モルを超え、最大で20,000g/モルまでの(および20,000g/モルを含む)数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ポリマーポリオールが、1.50未満またはそれに等しい多分散性指数を有する、請求項1に記載の組成物。
  4. 硬化後および前記フォトクロミック性能試験後に、90秒未満のT1/2退色速度を示す、請求項1に記載の組成物。
  5. (a)硬質基材、
    (b)前記基材の表面に塗布されたフォトクロミック有機ポリマーコーティング
    を備えるフォトクロミック物品であって、
    前記フォトクロミックコーティングは、
    i)フォトクロミック量の少なくとも1種のフォトクロミック材料;
    ii)ポリマーポリオールであって、その主鎖に沿ってカーボネート基を有し、かつ5000g/モルを超える数平均分子量を有するポリマーポリオール;および
    iii)前記ポリマーポリオールb)上のヒドロキシル基と反応することができる反応性官能基を有する硬化剤を含み、
    前記基材への前記コーティングの塗布後、硬化後、およびフォトクロミック性能試験後に、組成物は、200秒未満のT1/2退色速度を示す、
    物品。
  6. 前記ポリマーポリオールが、6000g/モルを超え、最大で20,000g/モルまでの(および20,000g/モルを含む)数平均分子量を有する、請求項5に記載の物品。
  7. 前記ポリマーポリオールが、1.50未満またはそれに等しい多分散性指数を有する、請求項5に記載の物品。
  8. 前記基材への前記コーティングの塗布後、硬化後、およびフォトクロミック性能試験後に、前記組成物が、90秒未満のT1/2退色速度を示す、請求項5に記載の物品。
  9. 前記硬質基材が、少なくとも1.48の屈折率を有する熱硬化性または熱可塑性材料から選択される有機ポリマー基材である、請求項5に記載の物品。
  10. 前記有機ポリマー基材が、アリルジグリコールカーボネートモノマー(単数または複数)を含む重合性組成物から調製された熱硬化性基材、熱可塑性ポリカーボネートから調製された基材、ポリ尿素ウレタンから調製された基材、または多官能性イソシアネート(単数または複数)および/もしくはイソチオイソシアネート(単数または複数)と、ポリチオール(単数または複数)もしくはポリエピスルフィドモノマー(単数または複数)との反応生成物を含む組成物から調製された基材を含む、請求項9に記載の物品。
  11. 前記熱硬化性基材が、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)である、請求項10に記載の物品。
  12. 前記フォトクロミック材料が、フォトクロミックスピロオキサジン、ベンゾピラン、ナフトピラン、フルギド、金属ジチゾネート、ジアリールエテンまたはこのようなフォトクロミック材料の混合物を含む有機フォトクロミック材料である、請求項5に記載の物品。
  13. 前記フォトクロミック材料が、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン、フェナントロピラン、キノピラン、および/またはインデノ縮合ナフトピランを含むナフトピランである、請求項12に記載の物品。
  14. 前記フォトクロミック材料が、ナフトオキサジンおよび/またはスピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジンを含むスピロオキサジンである、請求項12に記載の物品。
  15. レンズである、請求項5に記載の物品。
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