JP2014500615A - 高い熱電性能のためのキャリア濃度の自己調整 - Google Patents

高い熱電性能のためのキャリア濃度の自己調整 Download PDF

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Abstract

本発明者らは、均質なAgをドープされたPbTe/AgTe複合物は、PbTe母材内のAgの温度依存性溶解度によって生じるドーピング濃度の勾配が誘発される固有温度と関連する高い熱電性能を示す(Laをドープされた複合物を約50%超える)ことを本明細書において実証する。この方法は、所与の材料系により与えられる一層高い熱電効率を達成する新たなメカニズムを提供し、他の熱電材料に一般に適用可能である。一実施例において、温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する過剰ドーパントを含む、複合物を提供する。
【選択図】図5

Description

(関連出願の相互参照)
この出願は、2010年10月19日に出願された米国仮特許出願第61/394、408号から優先権を主張するものであり、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
(政府の権利)
本発明は、陸軍研究事務所(Army Research Office)によって与えられたW911NF‐08‐C‐0058のもとに政府の支援でなされたものである。政府は、本発明におけるある権利を有する。
本発明は、高い熱電性能を有する熱電材料に関するものである。
熱電気におけるドーピングは、外因性ドーパントの温度非依存性活動の結果として生じるほぼ一定のキャリア密度に起因して、狭い温度範囲内にのみ最適化された性能を一般的にもたらす。ドーパントの組成勾配を伴う傾斜機能材料は、性能を改良することができるが、製造することが困難である。従って、所与の材料系によって与えられる一層高い熱電効率を達成するための新たなメカニズムが、当技術分野において必要である。
ある実施形態では、本発明は、温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する過剰ドーパントを含む複合物を教示する。
いくつかの実施形態では、複合物はPbTe/AgTeを含む。いくつかの実施形態では、過剰ドーパントはAgを含む。いくつかの実施形態では、Tの増加に伴って増加する溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある。いくつかの実施形態では、複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数(zT)を有する。ある実施形態では、複合物の材料内のそのドーパントの温度依存性溶解限度は、Tの増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす。
ある実施形態では、複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる。いくつかの実施形態では、複合物は、0.005≦x≦0.1である。いくつかの実施形態では、複合物は、PbTe/AgTe、PbTe/AgSe、PbTe/CuTe、PbTe/CuSe、PbSe/AgTe、PbSe/CuTe、PbSe/AgSe、PbSe/CuSe、PbTe/CdTe、PbTe/MnTe、PbSe/CdSe、PbSe/MnSe、CoSb/InSb、CoSb/GaSb、GeSi/B、GeSi/P、ZnSb/ZnSb、BiTe/InTe、BiTe/GaTe、SbTe/InTe、およびSbTe/GaTeからなる群から選択される。
ある実施形態では、ドーパントは、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、リン(P)、およびヒ素(As)からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本発明は、複合物を製造する方法であって、少なくとも第1の元素を含む第1の材料と少なくとも第2の元素を含む第2の材料とを加熱して、混合物を形成することと、混合物を冷却して、第2の元素を含むナノ含有物を析出することと、混合物をアニールすることと、温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する過剰ドーパントを混合物にドーピングすることとを含む方法を教示する。ある実施形態では、第1の材料の第1の元素はPbを含む。いくつかの実施形態では、第1の材料はTeを更に含む。いくつかの実施形態では、ナノ含有物の第2の元素はAgを含む。いくつかの実施形態では、ナノ含有物はTeを更に含む。ある実施形態では、Tの増加に伴って増加する溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある。いくつかの実施形態では、複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数(zT)を有する。いくつかの実施形態では、複合物の材料内のそのドーパントの温度依存性溶解限度は、Tの増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす。
ある実施形態では、複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる。いくつかの実施形態では、0.005≦x≦0.1である。
いくつかの実施形態では、本発明は、熱電素子に複合物を使用する方法であって、熱電素子は、過剰ドーパントを含む複合物を含み、そのドーパントは、高い熱電性能の温度範囲内で、温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する、方法を教示する。ある実施形態では、その方法は、熱電素子に温度勾配をつけることと、電気エネルギーを集めることとを更に含む。ある実施形態では、複合物はPbTe/AgTeを含む。ある実施形態では、そのドーパントはAgを含む。いくつかの実施形態では、Tの増加に伴って増加する溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある。いくつかの実施形態では、複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数(zT)を有する。いくつかの実施形態では、複合物の材料内のそのドーパントの温度依存性溶解限度は、温度(T)の増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす。ある実施形態では、複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる。ある実施形態では、0.005≦x≦0.1である。
ある実施形態では、複合物は、PbTe/AgTe、PbTe/AgSe、PbTe/CuTe、PbTe/CuSe、PbSe/AgTe、PbSe/CuTe、PbSe/AgSe、PbSe/CuSe、PbTe/CdTe、PbTe/MnTe、PbSe/CdSe、PbSe/MnSe、CoSb/InSb、CoSb/GaSb、GeSi/B、GeSi/P、ZnSb/ZnSb、BiTe/InTe、BiTe/GaTe、SbTe/InTeおよびSbTe/GaTeからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、ドーパントは、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)からなる群から選択される。
本発明の実施形態に従って、温度依存性のゼーベック係数(a)、電気伝導率(b)、ホール係数(c)および熱伝導率(d)を示す。(a)、(b)および(c)における実線(青色)は、2バンドモデルの解を示す。 本発明の実施形態に従って、Ag0.01PbTe/AgTeについての後方散乱画像を示す。暗く短いプレートは、AgTeであり、黒いスポットは遊離した(metallic)Agである。 本発明の実施形態に従って、(a)300K[19]および750KでのSPB(実線)ならびにSKB(点線)モデルによって取得されたピサレンコの関係(Pisarenko relationship)と比較したSに対するn、(b)温度依存性の有効質量(SPB)を示す。 本発明の実施形態に従って、2バンドモデルによって取得された温度依存性の輸送パラメータを示す。低減された化学ポテンシャルξ(a)、外因性電子密度n(b)、電子移動度μ(c)および格子/バイポーラ熱伝導率Κ(d)。 本発明の実施形態に従って、(a)異なる温度でのnに対して計算されたZT、および(b)Agをドープされた(PbTe)0.945(AgTe)0.05と2%Laをドープされた(PbTe)0.945(AgTe)0.05との間のzTの比較を示す。最適なzT曲線は、この系内の最良の傾斜機能材料を表わし、Agをドープされた複合物においてほぼ達成される。
本明細書に引用される全ての参照文献は、あたかも完全に記載されているかのごとく、それらの全体が参照によって組み込まれる。特に規定されない限り、本明細書に使用される技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
高効率の熱電(TE)発電機は、広い温度範囲にわたって持続する、高い材料レベルの性能指数、zT=SσT/(κ+κ)を必要とする[1]。ゼーベック係数(S)、電気伝導率(σ)および電子熱伝導率(κ)は、キャリア濃度(n)によって敏感に相互に依存し、従って、高い平均zTは、nを調整することによって得られることができる。フォノン散乱によってnを最適化することおよび格子熱伝導率(κ)を最小化することは、TE材料の分野における2つの恒久的な方策である[2、3]。
非等電子置換(ドーピング)は、TEに必要とされる比較的高い濃度で、典型的には1019〜1021/cmの間で、自由キャリアを導入するために通常使用される[4]。このアプローチは、一般的に、操作上の温度で、温度にほぼ依存しないn[5〜7]を導く。しかしながら、最適なキャリア密度noptは、一般的に、Tの増加に伴って増加し、結果としてzTは、固定されたドーパント濃度を有する所与の材料に対して限定されたT範囲にただ単に最適化される傾向がある。
より優れた性能は、冷接点と熱接点との間で(傾斜機能材料(functionally−graded material)として知られる)キャリア濃度を傾斜させることによって得られることができる[10、11]。均質な材料は、一定のnを典型的に有する一方で、慣例的なFGM材料は、位置によって変化する組成物を有する。500から750Kまでの温度範囲内で最もよく使用される熱電材料のうちの1つとして、n型PbTeは、600〜700Kで約1019/cmだけのnoptを有する[9、10]。従って、ドーパント制御は非常に挑戦的であり、ドーパント濃度のそのような狭い範囲内で傾斜組成物を製造することは、特に困難である。より大きなm*を伴うTE材料は、noptのより大きくより広い範囲(例えば、CoSb[13]La3−xTe[14]およびYb14MnSb11[15]において1020〜1021/cm)のために、制御することがより容易である。
熱電PbSeおよびPbTe系では、(PbSeにおける)遊離したCu、Ag[16、17]および(PbTeにおける)Pb[10]は、高いTE性能の温度範囲内でTの増加に伴って増加する(約1019cm−3程度の)溶解限度を有することが発見されている。より多くのドーパント元素(Cu、AgおよびPb)が溶解されると、より高い温度でより多くの電荷キャリアを解放することになる。
本発明者らは、均質なAgがドープされたPbTe/AgTe複合物は、PbTe母材内のAgの温度依存性溶解度によって生じるドーピング濃度の勾配が誘発される固有温度と関連する高い熱電性能を示す(Laをドープされた複合物を約50%超える)ことを実証する。この方法は、所与の材料系により与えられる一層高い熱電効率を達成する新たなメカニズムを提供し、他の熱電材料に一般的に適用可能であるべきである。
特に明記されない限り、キャリア密度およびキャリア濃度は、本開示において区別なく使用される。
特に明記されない限り、ナノ複合物、複合物の材料および製品は、本開示において区別なく使用される。本開示のいくつかの部分では、ナノ複合物、複合物の材料または製品はまた、サンプルとも呼ばれる。
いくつかの実施形態では、本出願のある実施形態を記載するおよび特許請求するために使用される、原料の量を表わしている数、分子量などの特性、反応条件などは、「約(about)」という用語によって、場合によっては修正されるものとして理解される。従って、いくつかの実施形態では、明細書の記載および添付の特許請求の範囲に規定された数値的なパラメータは、特定の実施形態によって得られることを求められた所望の特性に応じて変動し得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値的なパラメータは、報告された有効桁数を考慮して、かつ、通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。本出願のいくつかの実施形態の広範囲を規定している数値的な範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に規定された数値的な値は、実現可能な限り正確に報告される。
本開示のいくつかの実施形態は、母材およびナノ含有物を含む複合物の材料であって、ナノ含有物が母材内に一様に分散され、複合物の材料が、少なくとも1である熱電性能指数(zT)を有する、複合物の材料に関する。ある実施形態では、zTは、750Kで少なくとも約1.4である。ナノ含有物は、フォノンを効率的に散乱させ、低い格子熱伝導率κをもたらすことができる。複合物の材料はまた、キャリア密度を最適化するために少なくとも1つのドーパントの過剰分も含む。そのドーパントは、高い熱電性能の温度範囲内で、温度の増加に伴って増加する溶解限度を有する。複合物の材料内のそのドーパントの温度依存性溶解限度は、温度(T)の増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす。
いくつかの実施形態では、母材は、鉛(Pb)、セレン(Se)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、ヒ素(As)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、および同等のもの、またはそれらの合金から選択される少なくとも1つの組成物を含む。例示的な実施形態では、母材はPbTeを含む。いくつかの実施形態では、母材は、PbSe、SnTe、SnSe、GeTe、BiTE、BiSe、SbTe、SbSe、GeSi、CoSb、ZrNiSn、TiCoSb、ZnSbおよび同等のもの、またはそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つの組成物を含む。いくつかの実施形態では、母材は狭ギャップ半導体を含む。いくつかの実施形態では、母材は、1マイクロメートルより小さい、または800ナノメートルより小さい、または600ナノメートルより小さい、または400ナノメートルより小さい、または200ナノメートルより小さい、または100ナノメートルより小さい、または80ナノメートルより小さい、または60ナノメートルより小さい、または40ナノメートルより小さい、または20ナノメートルより小さい、ナノスケールの特徴を有する。
いくつかの実施形態では、ナノ含有物は母材に対して同型構造ではない。例えば、ナノ含有物は、格子熱伝導率κを減らすことが可能なフォノン散乱を増大するように、ナノ含有物の寸法は、母材のナノスケールの特徴よりも大きい。いくつかの実施形態では、ナノ含有物は、(形状が等軸ではない場合、そのナノ含有物の短軸に沿って)20ナノメートルより大きい、または40ナノメートルより大きい、または50ナノメートルより大きい、または60ナノメートルより大きい、または80ナノメートルより大きい、または100ナノメートルより大きい、または120ナノメートルより大きい、または150ナノメートルより大きい、または180ナノメートルより大きい、または200ナノメートルより大きい、または250ナノメートルより大きい、または300ナノメートルより大きい、または400ナノメートルより大きい、または500ナノメートルより大きい寸法を有する。いくつかの実施形態では、ナノ含有物は、(形状が等軸ではない場合、そのナノ含有物の長軸に沿って)1マイクロメートルより小さい、または800ナノメートルより小さい、または600ナノメートルより小さい、または500ナノメートルより小さい、または400ナノメートルより小さい、または300ナノメートルより小さい、または250ナノメートルより小さい、または200ナノメートルより小さい、または150ナノメートルより小さい、または100ナノメートルより小さい、または80ナノメートルより小さい、または60ナノメートルより小さい、または50ナノメートルより小さい寸法を有する。いくつかの実施形態では、製品は、大きなナノ含有物に加えて、いくつかのより小さなナノ含有物を含む。ほんの一例として、ある製品は、20ナノメートルに近いまたは20ナノメートルより小さいナノスケールの特徴を有する母材、50ナノメートル〜200ナノメートルの大きなナノ含有物および50ナノメートルより小さい小さなナノ含有物を含む。ナノ含有物は、概略で、球体、棒、円柱、楕円体、プレート、および同等の形状を有することができる。本明細書に使用される際、「概略で」とは、ナノ含有物の形状が完全ではないかもしれないことを示す。いくつかの実施形態では、母材内のナノ含有物は、200ナノメートルより大きい、または400ナノメートルより大きい、または500ナノメートルより大きい、または600ナノメートルより大きい、または800ナノメートルより大きい少なくとも1つの寸法を持つ比較的大きなスケールを有する。いくつかの実施形態では、母材内のナノ含有物の少なくとも1つの寸法は、1マイクロメートルより大きい。比較的大きなスケールを有するナノ含有物は、フォノン散乱を増大するのに効果的であり、それによって、格子熱伝導率κを低くさせ、複合物の材料の熱電性能を改良させる。いくつかの実施形態では、ナノ含有物は、母材内に一様に分散される。いくつかの実施形態では、ナノ含有物は、いくつかの他のパターンで母材内に分散される。いくつかの実施形態では、ナノ含有物は、母材内に無作為に分散される。いくつかの実施形態では、母材内のナノ含有物の平均数密度は、1立方マイクロメートル当たり1から1立方マイクロメートル当たり約200まで、または1立方マイクロメートル当たり5から1立方マイクロメートル当たり150まで、または1立方マイクロメートル当たり10から1立方マイクロメートル当たり120まで、または1立方マイクロメートル当たり20から1立方マイクロメートル当たり100まで、または1立方マイクロメートル当たり30から1立方マイクロメートル当たり80まで、または1立方マイクロメートル当たり40から1立方マイクロメートル当たり60までである。いくつかの実施形態では、母材内のナノ含有物の平均数密度は、1立方マイクロメートル当たり1から1立方マイクロメートル当たり約10まで、または1立方マイクロメートル当たり10から1立方マイクロメートル当たり約20まで、または1立方マイクロメートル当たり20から1立方マイクロメートル当たり約40まで、または1立方マイクロメートル当たり40から1立方マイクロメートル当たり約60まで、または1立方マイクロメートル当たり60から1立方マイクロメートル当たり約80まで、または1立方マイクロメートル当たり80から1立方マイクロメートル当たり約100まで、または1立方マイクロメートル当たり100より大きいものである。いくつかの実施形態では、ナノ含有物間のスペースは、10ナノメートルから10マイクロメートルまで、または50ナノメートルから5マイクロメートルまで、または100ナノメートルから1マイクロメートルまで、または150ナノメートルから500ナノメートルまで、または200ナノメートルから300ナノメートルまでである。いくつかの実施形態では、ナノ含有物間のスペースは、10ナノメートルから50ナノメートルまで、または50ナノメートルから100ナノメートルまで、または100ナノメートルから200ナノメートルまで、または200ナノメートルから400ナノメートルまで、または400ナノメートルから600ナノメートルまで、または600ナノメートルから800ナノメートルまで、または800ナノメートルから1000ナノメートルまで、または1000ナノメートルより大きいものである。
いくつかの実施形態では、ナノ含有物(例えば、サイズ、形状、平均数密度)は、母材に多大な電子的ドーピング効果をもたらさないし、母材のキャリア密度に著しく影響を及ぼさない。このようにして、改良された熱電性能指数上のナノ含有物の効果は、低減された格子熱伝導率κに主として起因する。サイズ、スペース、および同等のものを含む、ナノ含有物のマイクロ構造またはナノ構造パラメータは、例えば、製品が形成されるもとでの条件を調整することによって、制御されまたは調整されることができる。ほんの一例として、アニールの時間および温度は、ナノ含有物のサイズ増加に比例する。
いくつかの実施形態では、ナノ含有物は、低減された格子熱伝導率κに加えて、キャリア密度が改良され、かつ熱電性能指数が改良されるような、電子的ドーピング効果を母材にもたらす。ナノ含有物は、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、アンチモン(Sb)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、コバルト(Co)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)、および同等のもの、またはそれらの合金を含むことができる。ほんの一例として、ナノ含有物は、銀(Ag)ならびに母材の構成組成物、例えば、セレン(Se)、テルル(Te)、および同等のものの合金を含む。いくつかの実施形態では、複合物の材料はPbTe/AgTeを含む。
前に示したように、本明細書に開示された複合物の熱電性能は、ドーピングによるキャリア濃度の注意深い制御によって改良されることができる。いくつかの実施形態では、複合物は、n型ドーパントでドーピングされる。有効電子ドナードーパント(n型ドーパント)は、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)、および同等のものを含む。ドーパント濃度は、異なる構成組成物を含む異なる複合物について最適化されることができる。好適な実施形態では、過剰ドーパントが使用される。例示的な実施形態では、そのドーパントは、母材材料中への溶解限度であって温度の増加に伴って増加する溶解限度を有する。いくつかの実施形態では、温度の増加に伴って増加する溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある。いくつかの実施形態では、複合物の材料内のそのドーパントの温度依存性溶解限度は、温度(T)の増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数を有する(zT)。ある実施形態では、複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる。いくつかの実施形態では、0.005≦x≦0.1である。
ある実施形態では、キャリア濃度(n)は、1立方センチメートル当たり少なくとも1018、または1立方センチメートル当たり少なくとも2×1018、または1立方センチメートル当たり少なくとも4×1018、または1立方センチメートル当たり少なくとも5×1018、または1立方センチメートル当たり少なくとも6×1018、または1立方センチメートル当たり少なくとも8×1018、または1立方センチメートル当たり少なくとも1019、または1立方センチメートル当たり少なくとも2×1019、または1立方センチメートル当たり少なくとも4×1019、または1立方センチメートル当たり少なくとも5×1019、または1立方センチメートル当たり少なくとも6×1019、または1立方センチメートル当たり少なくとも8×1019、または1立方センチメートル当たり少なくとも1020、または1立方センチメートル当たり少なくとも2×1020、または1立方センチメートル当たり少なくとも4×1020、または1立方センチメートル当たり少なくとも5×1020である。ほんの一例として、最適なキャリア濃度は、室温で1立方センチメートル当たり1018〜1019および700K以上で1立方センチメートル当たり1019〜1020である。
複合物の材料のいくつかの例示的な実施形態に関する以下の記載は、説明のためであり、本開示の範囲を限定するよう意図されるものではない。いくつかの例示的な実施形態では、複合物の材料は、PbTeを含む、母材と、AgTeを含む、ナノ含有物と、Agを含む、過剰ドーパントとを含む。母材は、20ナノメートルより小さい小さなナノスケールの特徴を有する。ナノ含有物は、比較的より大きなスケールのものである。ナノ含有物はプレート状である。いくつかのナノ含有物は、100〜200ナノメートルの長い寸法と50〜100ナノメートルの短い寸法を有する。いくつかのナノ含有物は、200ナノメートルよりも大きい長い寸法を有し、いくつかは、1マイクロメートルよりも大きい。
本開示のいくつかの実施形態は、複合物の材料を製造する方法であって、少なくとも第1の元素を含む第1の材料と少なくとも第2の元素を含む第2の材料とを加熱して、混合物を形成することと、混合物を冷却して、第2の元素を含むナノ含有物を析出することと、混合物をアニールすることと、温度の増加に伴って増加する溶解限度を有する過剰ドーパントを混合物にドーピングすることとを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、加熱は、均質な混合物を形成するようにまたは第1の温度で融解するように第1の材料および第2の材料を融解する。第1の温度は、第1の温度差で、第1の材料の融解温度および第2の材料の融解温度のうちのより高い方よりも高い。第1の温度差は、少なくとも1K、または少なくとも2K、または少なくとも5K、または少なくとも8K、または少なくとも10K、または少なくとも12K、または少なくとも15K、または少なくとも20K、または少なくとも25K、または少なくとも30K、または少なくとも35K、または少なくとも40K、または少なくとも45K、または少なくとも50Kであり得る。加熱は、本質的にある温度増加率で達成され得る。温度増加率は、少なくとも10K/時間、または少なくとも50K/時間、または少なくとも80K/時間、または少なくとも100K/時間、または少なくとも120K/時間、または少なくとも150K/時間、または少なくとも180K/時間、または少なくとも200K/時間、または少なくとも220K/時間、または少なくとも250K/時間、または少なくとも280K/時間、または少なくとも300K/時間、または少なくとも320K/時間、または少なくとも350K/時間、または少なくとも380K/時間、または少なくとも400K/時間、または少なくとも420K/時間、または少なくとも450K/時間、または少なくとも480K/時間、または少なくとも500K/時間、または少なくとも520K/時間、または少なくとも550K/時間、または少なくとも580K/時間、または少なくとも600K/時間、または少なくとも650K/時間、または少なくとも700K/時間、または少なくとも750K/時間、または少なくとも800K/時間であり得る。加熱は、可変の温度増加率で達成され得る。本質的に一定または可変の温度増加率は、例えば加熱プロセスに対するエネルギー入力の比率、を制御することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、加熱は、密室内で達成される。いくつかの実施形態では、加熱は、大気圧でまたはほぼ大気圧で達成される。いくつかの実施形態では、加熱は、真空下で達成される。ほんの一例として、室圧は10−5トル以下である。いくつかの実施形態では、加熱は、大気圧よりも高い室圧で達成される。いくつかの実施形態では、加熱は、少なくとも0.1時間、または少なくとも0.5時間、または少なくとも1時間、または少なくとも1.5時間、または少なくとも2時間、または少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも7時間、または少なくとも8時間、または少なくとも10時間、または少なくとも12時間、または少なくとも15時間、または少なくとも20時間、または少なくとも24時間、または少なくとも30時間、または少なくとも36時間、または少なくとも42時間、または少なくとも48時間続く。
いくつかの実施形態では、第1の材料は、複合物の材料の母材を形成する第1の元素を含む。第1の材料は、母材のより多くの構成組成物を含むことができる。母材は、鉛(Pb)、セレン(Se)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、ヒ素(As)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、および同等のもの、またはそれらの合金から選択される少なくとも1つの組成物を含む。いくつかの例示的な実施形態では、母材は、PbTe、PbSe、SnTe、SnSe、GeTe、BiTe、BiSe、SbTe、SbSe、GeSi、CoSb、ZrNiSn、TiCoSb、ZnSb、および同等のもの、またはそれらの合金からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、第2の材料は、複合物の材料のナノ含有物を形成する第2の元素を含む。ほんの一例として、第2の元素は、銀(Ag)、銅(Cu)、アンチモン(Sb)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、コバルト(Co)、ホウ素(B)、リン(P)、およびヒ素(As)からなる群から選択される。第2の材料は、製品の母材のより多くの構成組成物またはナノ含有物を含むことができる。
いくつかの実施形態では、複合物の材料を製造する方法は、混合物を冷却して、第2の元素を含むナノ含有物を析出することを含む。冷却は、混合物が第2の温度にあるように、冷却材を混合物と直接的にまたは間接的に接触させることによって行われる。冷却によって、第2の材料の第2の元素は、ナノ含有物を形成するように母材から析出する。ナノ含有物は、少なくとも第2の元素を含む。ナノ含有物は、複合物の材料の他の構成組成物を更に含むことができる。ほんの一例として、ナノ含有物は、第2の元素の合金を含む。本明細書に使用される際、「間接的に」とは、冷却材および混合物が、仕切り、例えば混合物を収容する容器の壁によって、互いに分離されることを意味する。冷却材は、液体(例えば、油、水、および同等のもの)、ならびに気体(空気、不活性気体、および同等のもの)から選択される少なくとも1つの媒介物であり得る。ほんの一例として、冷却は、冷水焼き入れによって達成される。第2の温度は、第2の温度差で、第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも1つの融解温度よりも低い。第2の温度差は、少なくとも1K、または少なくとも2K、または少なくとも5K、または少なくとも8K、または少なくとも10K、または少なくとも12K、または少なくとも15K、または少なくとも20K、または少なくとも25K、または少なくとも30K、または少なくとも35K、または少なくとも40K、または少なくとも45K、または少なくとも50K、または少なくとも80K、または少なくとも100K、または少なくとも150K、または少なくとも200K、または少なくとも250K、または少なくとも300K、または少なくとも350K、または少なくとも400K、または少なくとも450K、または少なくとも500K、または少なくとも550K、または少なくとも600Kであり得る。冷却は、本質的に一定の温度低下率で達成され得る。温度低下率は、少なくとも10K/時間、または少なくとも50K/時間、または少なくとも80K/時間、または少なくとも100K/時間、または少なくとも120K/時間、または少なくとも150K/時間、または少なくとも180K/時間、または少なくとも200K/時間、または少なくとも220K/時間、または少なくとも250K/時間、または少なくとも280K/時間、または少なくとも300K/時間、または少なくとも320K/時間、または少なくとも350K/時間、または少なくとも380K/時間、または少なくとも400K/時間、または少なくとも420K/時間、または少なくとも450K/時間、または少なくとも480K/時間、または少なくとも500K/時間、または少なくとも520K/時間、または少なくとも550K/時間、または少なくとも580K/時間、または少なくとも600K/時間、または少なくとも650K/時間、または少なくとも700K/時間、または少なくとも750K/時間、または少なくとも800K/時間であり得る。冷却は、可変の温度低下率で達成され得る。本質的に一定または可変の温度低下率は、例えば冷却材の流量率によって、制御され得る。
いくつかの実施形態では、複合物の材料を製造する方法は、混合物をアニールすることを含む。混合物は第3の温度でアニールされる。第3の温度は、第3の温度差で、第1の材料の融解温度および第2の材料の融解温度のうちのより低い方よりも低い。第3の温度差は、少なくとも1K、または少なくとも2K、または少なくとも5K、または少なくとも8K、または少なくとも10K、または少なくとも12K、または少なくとも15K、または少なくとも20K、または少なくとも25K、または少なくとも30K、または少なくとも35K、または少なくとも40K、または少なくとも45K、または少なくとも50K、または少なくとも80K、または少なくとも100K、または少なくとも150K、または少なくとも200K、または少なくとも250K、または少なくとも300K、または少なくとも350K、または少なくとも400K、または少なくとも450K、または少なくとも500K、または少なくとも550K、または少なくとも600Kであり得る。いくつかの実施形態では、アニールは、少なくとも0.1時間、または少なくとも0.5時間、または少なくとも1時間、または少なくとも1.5時間、または少なくとも2時間、または少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも7時間、または少なくとも8時間、または少なくとも10時間、または少なくとも12時間、または少なくとも15時間、または少なくとも20時間、または少なくとも24時間、または少なくとも30時間、または少なくとも36時間、または少なくとも42時間、または少なくとも48時間、または少なくとも54時間、または少なくとも60時間、または少なくとも66時間、または少なくとも72時間、または少なくとも78時間、または少なくとも84時間、または少なくとも90時間、または少なくとも96時間続く。
例えば、温度低下率(または冷却率)、アニール時間および温度、ならびに同等のもの、またはそれらの組み合わせ、を含む操作条件は、母材および/またはナノ含有物のマイクロ構造もしくはナノ構造を含む製品のマイクロ構造あるいはナノ構造に影響を及ぼし得る。ほんの一例として、アニール時間および温度は、ナノ含有物のサイズ増加に比例する。いくつかの実施形態では、アニール時間および温度は、母材および/またはナノ含有物のマイクロ構造もしくはナノ構造を含む製品の所望のマイクロ構造あるいはナノ構造を達成するために選択される。いくつかの実施形態では、アニールは、前のアニールプロセスと同じ条件で、または異なる条件で、製品のマイクロ構造あるいはナノ構造を更に改良するか調整するために(例えば、ナノ含有物のマイクロ構造上あるいはナノ構造上のパラメータを改良するか調整することによって)繰り返される。
いくつかの実施形態では、複合物の材料を製造する方法は、更に冷却することおよび/または更にアニールすることを含む。冷却は、前の冷却プロセスと同じ条件で、または異なる条件で、少なくとも一度繰り返され得る。アニールは、前のアニールプロセスと同じ条件で、または異なる条件で、繰り返され得る。
いくつかの実施形態では、複合物の材料を製造する方法は、その材料に過剰ドーパントをドーピングすることを含む。有効電子ドナードーパント(n型ドーパント)は、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)および同等のもの、を含む。ドーピングは、加熱後に実行され得る。いくつかの実施形態では、ドーピングは、冷却の前に実行される。いくつかの実施形態では、ドーピングは、アニール前に実行される。いくつかの実施形態では、ドーピングは、アニール後に実行される。
当業者は、本開示を読んで、記載された複合物の材料を製造するために、冷却、アニールおよびドーピングのプロセスに関する順序ならびに条件をどのように調整するかを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、複合物の材料を使用する方法は、複合物の材料に温度勾配をつけることと、電気エネルギーを集めることとを含む。いくつかの実施形態では、複合物の材料を使用する方法は、電気エネルギーを複合物の材料に加えることと、第2の操作温度よりも低い第1の操作温度にある第1のスペースから第2の操作温度にある第2のスペースに熱を伝達することとを含む。
ほんの一例として、本明細書に開示された製品を含む熱電モジュールは、電気を生み出し、かつCO排出量を減らすために、自動車の排気ガス(500K〜800K)から廃熱を利用するように使用される。そのような熱電発電機の効率は、温度差、カルノーの限界の歩留まり(yielding)、および材料効率によって決定される。
当業者は、本発明の実施に使用され得る、本明細書に記載されたものと同様または同等の多くの方法および材料を理解するであろう。実際、本発明は、記載された方法および材料に決して限定されない。
以下の実施例は、例示をするためのものに過ぎず、決して、本開示または本開示の様々な実施形態の範囲を限定するよう意図されるものではない。
(実施例1)
一般
本発明者らは、過剰ドーパントの貯蔵部(reservoir)と平衡状態にある母材内のドーパント濃度の温度依存性を利用することによって、傾斜機能複合物材料のための新たなメカニズムを本明細書において実証する。この方法では、熱電特性は、ドーパント濃度の空間制御を必要とせずに温度によって直接的に制御される。PbTeにおけるAgTe(およびその他[18])ナノ析出は、ほぼアモルファス限界までκを減らし、Laドーピングを伴う775Kで約1.5のzTをもたらす非依存性ドーピング制御を可能にする[7]という、本発明者らのこれまで達成したものの組み合わせで、Agの過剰分は、PbTe/AgTe複合物内のキャリア密度を制御するために使用される。PbTe:Ag‐AgTe複合物の材料におけるAgの適切な温度依存性溶解限度は、Tの増加に伴うnの増加を可能にする。このことは、(いずれも750Kで約1.4のピークzTを有するけれども)自然に傾斜機能となる単一材料を可能にし、Laドーピングによる高温度における性能のために最適化された複合物よりも約50%高い平均zTを可能にする[7]。
(実施例2)
実験および結果
4つの(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055複合物(x=0.01、0.02、0.03および0.04)が合成され、比較のためにAg0.04PbTeであったが、実験の手順および特性測定の詳細は、他の所で見つけられ得る[7]。図1は、温度依存性のゼーベック係数(a)、電気伝導率(b)、ホール係数(c)、および熱伝導率(d)を示す。1から4%の銀含有量の変動は、輸送特性にはほとんど影響を及ぼさず、第2の相の形成によって付随されるものと思われるドーパント飽和度を示す。走査電子顕微鏡によって撮影された画像は、x=0.01に関して図2に示される。AgTeの予測されたナノ析出(暗く短いプレート)に加えて、全てのサンプルにおいてAgの溶解限度に達しているかもしれないという思いと一致する、遊離したAgもまた観察された(黒いスポット)。
Tの増加に伴うσの増加および|S|の減少は、熱電材料として典型的に使用される多量にドープされた半導体において観察される挙動と正反対である[3]。むしろ、それらの傾向は、その挙動がバンドギャップを越える電荷キャリアの熱活性化から起こる、真性半導体において観察されることが多い。しかしながら、これは、キャリア密度の増加が、温度の増加に伴う外因性nの増加に主として起因するというここでの事例ではなく、少数キャリアは、輸送にほとんど影響を及ぼさない。
室温のゼーベック係数(図3a)は、バルクPbTeに関してnに対するSという確立したピサレンコの関係[19]に適合する。実験データは、温度依存性の有効質量および音響上のフォノン散乱を伴う単一放物線バンド(SPB)モデルによって、(低いおよび高いTの両方で、図3a)十分に説明される。このことは、これらのドーピングレベルにある伝導帯が十分に放物線状であり[20、21]、特に弱く(weakly)縮退したPbTeにおいて、そのことは、いくつかの非放物線効果が高いドーピングレベルで予測されるにもかかわらず利用されるSPB近似値を許可する[19、22]ということを示す。比較のために、非放物線性を考慮に入れる、ケーンの単一バンド(single Kane band)モデル[19](SKB)もまた、図3に点線として示される。SKBは、ここで考慮されたn、T範囲においてSPBと区別がつかない。ホールキャリア密度(n=1/eR)は、オリジナルの文献と一致するように使用される。
Agは、侵入型Agの形成のために、PbTeを飽和させられたAg内のn型ドーパントである[23]。ピサレンコの関係との一致は、AgおよびLa[7]ドーパントの両方が、PbTeの伝導帯曲率を著しく修正しないことを示唆し、更に、放物線モデル[19]の使用を正当化する。
フェルミ分布を用いるSPBモデルは、ゼーベック係数およびキャリア密度(n)を
Figure 2014500615
としてそれぞれ表わし[3、5、19、24]、ここで、ξ、k、e、r、h、およびmは、低減された化学ポテンシャル、ボルツマン定数、電子電荷、キャリア散乱パラメータ、プランク定数および状態密度有効質量である。音響上の散乱の場合、r=−0.5である。
Figure 2014500615
は、次数j、およびξ=E/kTを用いるフェルミ積分であり、ここで、Eは、伝導帯の底部(BCB)から測定された化学ポテンシャルである。実験のゼーベック係数を用いると、1つ(one)は、rを仮定することにより数式1からξを得ることができる。測定されたホール係数と組み合わせると、キャリア濃度は、A=Aτといった数値的因子を用いてn=A/eRから得ることができ、ここで、バンド異方性に起因してAは約0.9であり[25]および縮退に起因して
Figure 2014500615
である[19]。既知のξおよびnを用いると、mは、数式2から計算されることができ、その結果は図3bに示される。観察されたmの温度依存性は、PbTeの文献[19、25]内のその温度依存性と一致する。
図1に示されるように、他の熱電PbTe材料と比較して普通ではない温度依存性は、混合伝導(電子および正孔)の可能性を示唆する。少数キャリアを考慮に入れる混合バンドモデルは、少数キャリアが輸送にどのような影響を及ぼすかを決定するために必要である。このモデルでは、σ、SおよびRが、
Figure 2014500615
として表わされ[19]、ここで、nおよびpは、それぞれ自由電子および正孔の濃度であり、下付きのnおよびpは、それぞれ電子および正孔に起因する部分的な寄与を意味する。
PbTeのバンドギャップ(Eg)およびキャリア有効質量は、熱膨張およびキャリアの格子振動との相互作用に起因して温度依存性が強い[19]。更に、第1の価電子帯(軽い正孔)端は、Tが約400Kで第2の価電子帯(重い正孔)を下回る[19]。Tsangら[26]は、PbTeに関してEgを、
Figure 2014500615
として見積もっており、この式は、PbTeの輸送特性を計算するためにうまく使用されている[22、27]。記載された通りにフェルミ積分が使用されることを可能にするために、正孔に関して低減されたフェルミレベル、ξ=−ξn−E/kTが使用される。
多くの報告は、有効質量の温度係数、
Figure 2014500615
が、低キャリア密度(<1018〜1019cm−3)を有するn型PbTeについて300〜700Kで0.5〜0.6であることを示している[19]。最も重要なことには、LaをドープされたPbTe/AgTe[7]についての現在のおよび我々の以前の研究の両方が、n型PbTeについての文献値[19、25]とすばらしく一致して、0.5のΔおよび0.3mの室温m (図3b)を示す。従って、m (T)は、
Figure 2014500615
として書くことができる。
正孔についての有効質量は、より複雑であり、文献[25]に示唆されるように、0.8のΔが、T<400Kについて用いられ、バンド端について0.36mの室温m が使用される[19、28]。T>400Kの場合、重い正孔のバンドが優位を占めると考えられており、温度非依存性の2.0mの有効質量が使用される[8、20、29]。すなわち、
Figure 2014500615
である。この仮定は、正孔伝導はごく僅かであると考えられるので、結果に影響を比較的少ししか与えない。
数式6〜8の助けにより、n、p、SおよびSは、数式1および数式2に従って、単一変数(電子について低減されたフェルミレベルの関数として書くことができる。これらのパラメータを数式3〜5に代入すると、その場合、ξ、μ、およびμは、各温度で測定されたσ、SおよびRから解くことができる。最小二乗フィッティングが使用され、許容差t=(σcal/σmea−1)+(Scal/Smea−1)+(RHcal/RHmea−1)が最小化される。ここで、下付きのcalおよびmeaは、それぞれ計算および測定を意味する。示された結果は、1%よりも少ない許容差を有する。明瞭にするために、σ、SおよびRについて計算された結果(実線)の2組のみが、図1における生データに比較される。
正孔についての輸送パラメータの正確な仮定は、この研究の結果にほとんど影響を及ぼさず、それらの存在は、完全な、自己矛盾のないモデルを保証するためにのみ含まれる。実際、下記の結論もまた、単一バンド分析から得られることができる。定量化のために、部分的な正孔伝導率は、研究された全ての温度範囲にわたる総電気伝導率に対して<1%の寄与を有する。
結果として生じたξ(T)が、図4aに示される。外因性キャリア密度が温度非依存性である、典型的な熱電半導体の場合、(La0.02PbTe1.020.945(AgTe)0.055サンプル(La)[7]について見られるように、ξは、広がったフェルミ分布に起因して温度とともに減少する。Agをドープされた系は、温度の増加に伴って増加されたキャリア密度を強く示唆する、著しく異なる傾向を示す。ξの負の値は、フェルミレベルが、研究された全温度範囲についてバンドギャップ内に位置することを示唆し、このことは、ここでの材料が弱く縮退するだけであり、かつ、キャリアの電気的輸送が伝導帯端で優位を占められるという我々の上記理解と一致する。
LaサンプルとPbTe:Ag/AgTeサンプルとの間の差異は、外因性キャリア濃度を辿って突き止めることができる。少数正孔の全て、および等しい量の追加的な電子が、熱励起から生じると仮定すると、外因性電子濃度は、n=n−pである。図4bは、PbTe:Ag/AgTeサンプルにおいて300から750Kまで一桁を超える分だけ増加するnを明確に示す。このことは、追加的な外因性キャリアを導くPbTeにおけるAgの増加された溶解度によって説明され得る。温度に伴って増加されたドーパント溶解度に起因するそのような効果は、同様の材料(Cu、Ag)PbSe[16、17]およびPb1+xTe[10、30、31]において観察されている。Pb1+xTeでは、外因性電子密度nは、PbTe内に溶解される追加的なPbのために必要とされるエネルギーと考えられる[10]、0.55eVの活性化エネルギーとの実質的に指数関数的な関係で、1/Tを伴って増加する。
PbTe:Ag/AgTeサンプルは、450〜750Kの間で0.23eVの活性化エネルギーを伴って増加するnを示す。Pb[31]と比較してより低いAgの活性化エネルギーは、PbTeにおいてAg侵入型[7、23]を生じさせるためにより低いエネルギーとして理解されることができる。侵入型Agの高い溶解度および増加されたAg溶解度についての低い活性化エネルギーは、下記のように、最適なレベルに偶発的に近いキャリア密度をもたらす。
電子移動度の普通ではない急速な減少(図4c)は、温度依存性有効質量(図3b)から理解されることができる。音響上のフォノンによって散乱された非縮退電子を伴う材料において、キャリア移動度μとmとTとの間の関係は、およそ
Figure 2014500615
である[19]。電子に関する∂ln(m)/∂1nT=0.5(図3b)を用いて、μの論理上のT2.75依存性が、図4cに予測され、かつ示される。
SPBモデル[3、19]に従って、電子および正孔の両方について計算された部分的なローレンツ数(L)は、(音響上のフォノンによって散乱された)非縮退電荷キャリアについて予測された、1.5x10−8/K[3]に非常に近い。
=σσT(S−S/(σ+σ)から計算されたバイポーラ熱伝導率K(図4d)は、約700Kで最大約0.15W/m‐Kを有し、それは、格子構成要素の約30%であり、従って、考慮に入れるために重要な電子的寄与である。BiTe[24]と比較すると、総熱伝導率に対するKの寄与とそれの温度依存性の両方は、温度を伴うnの増加に起因してPbTe:Ag/AgTeにおいてかなり弱い。従って、PbTe:Ag/AgTeにおけるKは、高い温度でさえも全体の熱電性能を著しく低下させない。
大きなナノメートルサイズのAgTe析出の存在は、PbTeにおいて、効果的にフォノンを散乱させることが明らかにされている[7]。ここで報告されるLaをドープされた[7]およびAgをドープされた系は、T>600Kで約0.5W/m‐Kという低い格子熱伝導率を示す(図4d)。AgTe析出がない場合、TlをドープされたPbTe[32]と同様に、Ag0.04PbTeはより高いKを有する。
詳細な輸送モデル(数式1〜8)を使用して、異なるnでzTが、温度の関数として計算され得る(図5a)。この図は、最大zTのnがどのように温度に伴って増加するかを示す。この最適なzToptならびにそれの対応するnおよびξoptsは、図5a、図5bおよび図4aにおいて赤線として示される。自発的に調整されたキャリア密度を用いて、Agをドープされた系は、Laをドープされた系(La2)[7]内で最良の組成物よりも予測されたzToptにずっと近いzTを示す。ここで、
Figure 2014500615
が、実験データから見積もられたμおよびKを用いて、n[3、19]を用いて移動度変化をモデル化するために使用される。
LaおよびAgサンプルが類似のピークzTを有するにもかかわらず、Agサンプルは、興味のある全ての温度範囲にわたるそれのより高い平均zTに関連するより高いTE効率を有することになる(図5b)。正確なTE材料効率[12]をTc=300KおよびTh=750Kを用いて計算すると、(La0.02PbTe1.020.945(AgTe)0.005[7]について6.5%から(Ag0.02PbTe)0.945(AgTe)0.055について9.7%まで、nの自己最適化に起因して、約50%の改良が分かる。また、500〜750Kの温度範囲でNASAによって現在使用されているTE発電機に使用されるn型PbTe(文献[1]によるテレダイン(Teledyne)社のn型PbTe)について、約25%の著しい改良もある。
(実施例3)
結論
要約すれば、熱電性能の著しい向上が、過剰Agを有するPbTe/AgTeに認められ、温度の増加に伴うキャリア密度の増加を提供する遊離したAgの温度依存性溶解限度によって説明される。nに関するTE効率依存性、およびドーパントの温度依存性溶解度のいずれも、熱電分野における一般的な現象であり、このアプローチを他の系に一般に適用可能な傾斜機能熱電材料にもたらす。
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[32] J. Heremans el al, Science 321, 554 (2008).

Claims (31)

  1. 温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する過剰ドーパントを含む、複合物。
  2. PbTe/AgTeを含む、請求項1に記載の複合物。
  3. 前記過剰ドーパントはAgを含む、請求項1に記載の複合物。
  4. Tの増加に伴って増加する前記溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある、請求項1に記載の複合物。
  5. 前記複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数(zT)を有する、請求項1に記載の複合物。
  6. 前記複合物の材料内の前記ドーパントの前記温度依存性溶解限度は、Tの増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす、請求項1に記載の複合物。
  7. 前記複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる、請求項1に記載の複合物。
  8. 0.005≦x≦0.1である、請求項7に記載の複合物。
  9. 前記複合物は、PbTe/AgTe、PbTe/AgSe、PbTe/CuTe、PbTe/CuSe、PbSe/AgTe、PbSe/CuTe、PbSe/AgSe、PbSe/CuSe、PbTe/CdTe、PbTe/MnTe、PbSe/CdSe、PbSe/MnSe、CoSb/InSb、CoSb/GaSb、GeSi/B、GeSi/P、ZnSb/ZnSb、BiTe/InTe、BiTe/GaTe、SbTe/InTe、およびSbTe/GaTeからなる群から選択される、請求項1に記載の複合物。
  10. 前記ドーパントは、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、リン(P)、およびヒ素(As)からなる群から選択される、請求項1に記載の複合物。
  11. 複合物を製造する方法であって、
    少なくとも第1の元素を含む第1の材料と少なくとも第2の元素を含む第2の材料とを加熱して、混合物を形成することと、
    前記混合物を冷却して、前記第2の元素を含むナノ含有物を析出することと、
    前記混合物をアニールすることと、
    温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する過剰ドーパントを前記混合物にドーピングすることと、
    を含む、方法。
  12. 前記第1の材料の前記第1の元素はPbを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記第1の材料はTeを更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ナノ含有物の前記第2の元素はAgを含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記ナノ含有物はTeを更に含む、請求項14に記載の方法。
  16. Tの増加に伴って増加する前記溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある、請求項11に記載の方法。
  17. 前記複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数(zT)を有する、請求項11に記載の方法。
  18. 前記複合物の材料内の前記ドーパントの前記温度依存性溶解限度は、Tの増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす、請求項11に記載の方法。
  19. 前記複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる、請求項11に記載の方法。
  20. 0.005≦x≦0.1である、請求項19に記載の方法。
  21. 熱電素子に複合物を使用する方法であって、前記熱電素子は、過剰ドーパントを含む複合物を含み、前記ドーパントは、高い熱電性能の温度範囲内で、温度(T)の増加に伴って増加する溶解限度を有する、方法。
  22. 前記熱電素子に温度勾配をつけることと、
    電気エネルギーを集めることと、
    を更に含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記複合物はPbTe/AgTeを含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記ドーパントはAgを含む、請求項21に記載の方法。
  25. Tの増加に伴って増加する前記溶解限度は、高い熱電性能の温度範囲内にある、請求項21に記載の方法。
  26. 前記複合物は、750Kで1.4以上の無次元性能指数(zT)を有する、請求項21に記載の方法。
  27. 前記複合物の材料内の前記ドーパントの前記温度依存性溶解限度は、温度(T)の増加に伴うキャリア濃度(n)の増加をもたらす、請求項21に記載の方法。
  28. 前記複合物は、式(AgPbTe)0.945(AgTe)0.055によって表わされる、請求項21に記載の方法。
  29. 0.005≦x≦0.1である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記複合物は、PbTe/AgTe、PbTe/AgSe、PbTe/CuTe、PbTe/CuSe、PbSe/AgTe、PbSe/CuTe、PbSe/AgSe、PbSe/CuSe、PbTe/CdTe、PbTe/MnTe、PbSe/CdSe、PbSe/MnSe、CoSb/InSb、CoSb/GaSb、GeSi/B、GeSi/P、ZnSb/ZnSb、BiTe/InTe、BiTe/GaTe、SbTe/InTeおよびSbTe/GaTeからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  31. 前記ドーパントは、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
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