JP2014500503A - 精神神経疾患の処置をモニタリングするためのバイオマーカー - Google Patents

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Abstract

精神神経疾患の薬力学的バイオマーカーを同定および測定するための方法、ならびに処置に対する対象の応答をモニタリングするための方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2010年12月6日付け米国特許仮出願第61/420,141号からの優先権の恩典を主張するものである。
技術分野
本明細書は、精神神経疾患を有する対象における処置の有効性をモニタリングするための材料および方法に関する。
背景
精神神経疾患には、大うつ病、統合失調症、躁病、心的外傷後ストレス障害、トゥレット障害、パーキンソン病、および強迫性障害が含まれる。これらの障害は身体を衰弱させることが多く、また、診断を下し、効果的に処置することが困難である。ほとんどの臨床上の障害は単一の生物学的変化が原因で発生することはなく、複数の要因の相互作用の結果として発生する。同じ臨床症状(例えば、大うつ病)を患う異なる個人は、一人一人に特有な変化に応じて、異なる範囲または程度の症状を呈することがある。
概要
多くの精神神経疾患において、診断および処置のモニタリングの唯一の手段は、臨床的評価である。精神神経疾患の診断、ならびに処置の確立およびモニタリングに関して、臨床的評価および患者面接に対して従来依存してきたことは、患者の転帰が最適でないことに結びつく。精神神経状態を診断するため、疾患状態を評価するため、および処置に対する応答をモニタリングするための、信頼できる方法が必要である。さらに、精神神経疾患のための新たな療法の合理的な設計および適用は、生物学的プロセスまたは治療的介入に対する薬理学的応答の有益な指標の発見、検証、および実行を必要とする。本明細書は、一部には、疾患を示し、かつ治療的介入の影響を測定するために使用することができる、定量的バイオマーカーの同定に基づくものである。これらのバイオマーカーは、臨床医および他の精神保健専門家が精神神経障害を診断および評価するために、有用であり得る。
第1の局面において、本明細書は、うつ病性障害と診断された対象の処置をモニタリングするためのインビトロの方法を特徴とする。該方法は、以下の工程を含み得る:
(a)プロラクチン(PRL)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、レジスチン(RES)、可溶性腫瘍壊死因子α受容体タイプII(sTNFαRII)、α-1アンチトリプシン(A1AT)、アポリポタンパク質CIII(ApoC3)、コルチゾール、上皮成長因子(EGF)、S100B、およびミエロペルオキシダーゼ(MPO)からなる群より選択される2種またはそれより多い分析物各々の第1の数値を提供する工程であって、各第1の数値が、前記対象由来の第1の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当する、工程;
(b)各分析物に特異的な様式で各第1の数値を個々に加重して、各分析物について第1の加重値を得る工程;
(c)各第1の加重値を含む方程式に基づいて、第1のMDDスコアを決定する工程;
(d)前記2種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程であって、各第2の数値が、前記対象由来の第2の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当し、該第2の生物学的サンプルが、うつ病性障害に対する処置後に得られたものである、工程;
(e)工程(b)における加重と類似の様式で加重を行うという条件で、各分析物に特異的な様式で各第2の数値を個々に加重して、各分析物について第2の加重値を得る工程;
(f)前記方程式を使用して、うつ病性障害に対する前記対象の処置後の第2のMDDスコアを決定する工程;ならびに
(g)第1のMDDスコアを、第2のMDDスコアと、および1人または複数の正常対象より決定された対照MDDスコアまたは対照MDDスコア範囲と比較して、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近い場合に前記処置を有効と分類し、または、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近くない場合に前記処置を有効でないと分類する工程。
工程(a)は、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される3種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み得、かつ、工程(d)は、該3種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含み得る。工程(a)は、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される4種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み得、かつ、工程(d)は、該4種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含み得る。工程(a)は、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される5種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み得、かつ、工程(d)は、該5種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含み得る。2種またはそれより多い分析物は、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、およびA1ATであり得る。
精神神経疾患は、大うつ病性障害(MDD)であり得る。第1および第2の生物学的サンプルは、血液サンプルであり得る。処置は、行動療法、薬物療法、集団療法、対人関係療法、精神力動的療法、弛緩療法、および従来の心理療法のうちの任意の1種または複数を含み得る。
別の局面において、本明細書は、処置に関連するうつ病についてのバイオマーカーを同定するための方法を特徴とする。該方法は、以下の工程を含み得る:
(a)うつ病に対する対象の処置前に、該対象から第1の生物学的サンプルを得る工程;
(b)うつ病に対する該対象の処置後に、該対象から第2の生物学的サンプルを得る工程;
(c)第1および第2の生物学的サンプルを、異なるタンデム質量タグで標識する工程;
(d)標識されたサンプルを混合する工程;
(e)混合されたサンプルを酵素で断片化または消化する工程;
(f)タンデム質量タグで標識された断片を選択する工程;
(g)液体クロマトグラフィータンデム質量分析を用いて、異なるタンデム質量タグ由来のシグナルの強度を測定する工程;
(h)第1および第2の生物学的サンプル間のタンパク質発現の比を決定するために、前記シグナルの強度を比較する工程;ならびに
(i)工程(h)における比較に基づいて、差次的に発現されるバイオマーカーを同定する工程。
別の局面において、本明細書は、精神神経疾患のバイオマーカーを同定するための方法を特徴とする。該方法は、以下の工程を含み得る:
(a)精神神経疾患を有する対象について第1の診断疾患スコアを算出する工程であって、該第1の診断疾患スコアが、該対象において精神神経疾患の処置を施す前に算出される、工程;
(b)処置を施す前に前記対象から得られた第1の生物学的サンプルにおける1種または複数の分析物のレベルについて数値を提供する工程;
(c)処置を施した後に前記対象について第2の診断疾患スコアを算出する工程;
(d)処置を施した後に前記対象から得られた第2の生物学的サンプルにおける前記1種または複数の分析物のレベルについて数値を提供する工程;ならびに
(e)1種または複数の分析物を前記精神神経疾患についてのバイオマーカーであるとして同定する工程であって、該1種または複数の分析物が、第1および第2の生物学的サンプル間で差次的に発現される場合にバイオマーカーとして同定され、該1種または複数の分析物の差次的発現が、前記対象の診断スコアにおける正または負の変化に相関する、工程。
精神神経疾患は、MDDであり得る。診断スコアは、臨床的評価により(例えば、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて)決定することができる。第1および第2の生物学的サンプルは、血液、血清、脳脊髄液、血漿、およびリンパ球からなる群より選択することができる。第2の生物学的サンプルは、処置を施してから数時間後、数日後、数週間後、または数か月後に、対象から採取することができる。工程(c)、(d)、および(e)は、対象に処置を施した後、時間間隔をおいて繰り返すことができる。
方法は、分析物のパネルを用いて対象をモニタリングする工程をさらに含み得、該パネルは、PRL、BDNF、RES、TNFαRII、A1AT、ASP、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される1種または複数の分析物を含む。例えば、パネルは、PRL、BDNF、RES、TNFαRII、およびA1ATを含み得る。方法は、分子イメージング技術を用いて対象をモニタリングする工程をさらに含み得る。方法はまた、治療的介入の1種または複数の追加的な形態(例えば、認知行動療法、薬物療法、行動療法、集団療法、対人関係療法、精神力動的療法、弛緩療法、および従来の心理療法の1種または複数)で対象を処置する工程もさらに含み得る。
特に他で定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術および科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本発明の実施または試験に際しては、本明細書に記載するものと同様または同等の方法および材料を用いることができるが、好適な方法および材料が以下に記載される。本明細書中に挙げたすべての刊行物、特許出願、特許および他の文献は、それらの全内容が参照により本明細書に援用される。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定することを意図したものではない。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
差次的タンパク質測定を用いて、処置に対して正または負の応答を示す薬力学的バイオマーカーのセットを構築するために利用できる工程を示すフロー図である。 薬物を使用していない韓国人MDD患者について、LEXAPRO(商標)での処置前および処置中の8週間にわたって、ハミルトンうつ病(HAM-D)評価尺度スコア(左のパネル)およびモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)スコア(右のパネル)をプロットしたグラフである。 韓国人MDD患者におけるLEXAPRO(商標)での処置前および処置後の、バイオマーカーである脳由来神経栄養因子(BDNF)のレベルをプロットしたグラフである。バイオマーカーの四角形のプロットは、定量的イムノアッセイによる、ベースラインでのレベルおよび2週または3週でのレベルの直接測定により得られた。四角形を横切る線は、中央値である。 韓国人MDD患者におけるLEXAPRO(商標)での処置前および処置後の、バイオマーカーであるコルチゾールのレベルをプロットしたグラフである。バイオマーカーの四角形のプロットは、定量的イムノアッセイによる、ベースラインでのレベルおよび2週または3週でのレベルの直接測定により得られた。四角形を横切る線は、中央値である。 韓国人MDD患者におけるLEXAPRO(商標)での処置前および処置後の、バイオマーカーであるプロラクチンのレベルをプロットしたグラフである。バイオマーカーの四角形のプロットは、定量的イムノアッセイによる、ベースラインでのレベルおよび2週または3週でのレベルの直接測定により得られた。四角形を横切る線は、中央値である。 韓国人MDD患者におけるLEXAPRO(商標)での処置前および処置後の、バイオマーカーであるレジスチンのレベルをプロットしたグラフである。バイオマーカーの四角形のプロットは、定量的イムノアッセイによる、ベースラインでのレベルおよび2週または3週でのレベルの直接測定により得られた。四角形を横切る線は、中央値である。 韓国人MDD患者におけるLEXAPRO(商標)での処置前および処置後の、バイオマーカーである可溶性腫瘍壊死因子α受容体II(sTNFαRII)のレベルをプロットしたグラフである。バイオマーカーの四角形のプロットは、定量的イムノアッセイによる、ベースラインでのレベルおよび2週または3週でのレベルの直接測定により得られた。四角形を横切る線は、中央値である。 処置の2週間後のバイオマーカー発現を用いた処置結果予測をプロットしたグラフである。
詳細な説明
本明細書は、一部には、バイオマーカー発現を評価する(例えば、測定する)ことによって、うつ病の障害状態を診断するための方法および処置をモニタリングするための方法の同定に基づくものである。本明細書中に記載するように、本明細書は、処置後の対象における正または負の変化と関連した薬力学的バイオマーカーを同定して検証するための方法および材料を提供する。本明細書で提供する方法および材料は、精神神経疾患の患者を診断し、処置の選択肢を決定し、さらに処置の有効性の定量的測定を提供するために、使用することができる。
診断スコア
本明細書は、対象の診断スコアを決定するための方法および材料を提供する。本明細書で説明する方法の代表的な対象はヒトであるが、対象には、ヒト疾患のモデルとして用いられる動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、および非ヒト霊長類)も含めることができる。本明細書で提供する方法は、新しい治療レジメンを開始する前または既存の治療レジメンを継続する前に、ベースラインスコアを構築するために使用することができる。処置後に決定された診断スコアは、ベースラインに対する正または負の変化を観察するために、ベースラインスコアと比較される。ベースラインスコアおよび処置後の診断スコアは任意の好適な評価方法によって決定することができる。例えば、MDDでは、対象の症状と快適性(well-being)の臨床的評価が行われる。「ゴールドスタンダード」の診断方法は、構造化臨床面接である。いくつかの場合には、対象の診断スコアは、抑うつ気分、うつ病の自律神経症状と認知症状、および併存する不安症状を評価する、臨床的に実施されるHAM-D評価尺度の17項目の尺度を用いて決定される。HAM-Dを用いて、評価時点での抑うつ症状の重症度を定量化することができる。Michael Taylor & Max Fink, Melancholia: The Diagnosis, Pathophysiology, and Treatment of Depressive Illness, 91-92, Cambridge University Press (2006)を参照されたい。他の臨床的評価方法を採用することもできる。場合によっては、ベックうつ病項目尺度などの自己評価尺度を用いてもよい。精神神経疾患の多くの評価尺度は観察者に基づくものである。例えば、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度を用いて、対象のうつ病診断スコアを決定することができる。対象の全体的な社会的、職業的および心理的機能に基づいた診断スコアを決定するために、機能の全体的評定尺度を用いてもよい。
いくつかの場合には、数学的アルゴリズムを用いて診断スコアを決定することができる。例えば、個々の疾患状態または処置への応答を判定するためのアルゴリズムは、あらゆる臨床症状について決定され得る。処置への応答を診断または評価するためのアルゴリズムは、例えば、処置前および/または処置後の特定の臨床症状と関連した測定基準(例えば、複数の分析物の血清レベル)を用いて決定される。本明細書中で用いる「分析物」とは、分析手法(イムノアッセイや質量分析などであるが、これらに限定されない)で客観的に測定および定量できる物質または化学成分のことである。本明細書で説明するアルゴリズムは、例えば、医療機器、臨床評価スコア、または生物学的サンプルの生物学的もしくは生理学的分析を用いて定量化できる、複数のパラメータを含む数学的関数であり得る。それぞれの数学的関数は、所定の臨床症状に関係があると決定されたパラメータのレベルの、重みを調整した式であり得る。アルゴリズムは一般に式1の形式で表される:
診断スコア = f (xl, x2, x3, x4, x5, . . . xn) (1)
診断スコアは診断または予後の結果となる値であり、「f」は任意の数学的関数であり、「n」は任意の整数(例えば、1から10,000までの整数)であり、そしてxl, x2, x3, x4, x5 . . . xnは「n」個のパラメータであって、例えば、医療機器により測定された測定値、臨床評価スコア、および/または生物学的サンプル(例えば、血液、血清、血漿、尿、または脳脊髄液などのヒト生物学的サンプル)の検査結果である。
アルゴリズムのパラメータは個々に加重することができる。そのようなアルゴリズムの例は式2で表される:
診断スコア = al*xl + a2*x2 - a3*x3 + a4*x4 - a5*x5 (2)
ここで、xl、x2、x3、x4およびx5は医療機器により測定された測定値、臨床評価スコア、および/または生物学的サンプルの検査結果であり、そしてal、a2、a3、a4およびa5はそれぞれxl、x2、x3、x4およびx5のための重みを調整した係数である。
診断スコアは、医学的症状もしくは疾患または処置効果を定量的に特定するために使用することができる。例えば、アルゴリズムを用いてうつ病などの疾患の診断スコアを決定することができる。そのような態様では、うつ病の程度が式1に基づき次の一般式を用いて定義される:
うつ病診断スコア = f (xl, x2, x3, x4, x5 . . . xn)
うつ病診断スコアは個人のうつ病の状態または重症度を測定するために使用できる量的数字であり、「f」は任意の数学的関数であり、「n」は任意の整数(例えば、1から10,000までの整数)であり、そしてxl, x2, x3, x4, x5 . . . xnは、例えば、医療機器により測定された測定値、臨床評価スコア、および/または生物学的サンプル(例えば、ヒトの生物学的サンプル)の検査結果である「n」個のパラメータである。
より一般的な形態では、複数の診断スコアSmが、式3に示すように、バイオマーカーの測定値の特定のグループに複数の式を適用することによって作成される:
診断スコアSm = Fm (xl, . . . xn) (3)
複数のスコアは、例えば、うつ病性障害および/または関連障害の特定のタイプおよびサブタイプを識別するのに有用である。いくつかの場合には、うつ病性障害は大うつ病性障害(MDD)である。複数のスコアはまた、患者の処置の進行状況または選択された処置の有効性を示すパラメータであり得る。うつ病性障害のサブタイプの診断スコアは、抗うつ薬や他の医薬の選択または最適化に役立つ可能性がある。
バイオマーカーの発現レベルの変化は、式4の形式で表すことができる:
Cmi = Mib - Mia (4)
ここで、MibおよびMiaはそれぞれ処置前および処置後のバイオマーカーの発現レベルである。対象の診断スコアの変化は、式5の形式で表すことができる:
H = HAMDb - HAMDa (5)
ここで、HAMDbおよびHAMDaはそれぞれ処置前および処置後の診断スコアである。あらかじめ確立されたプロセスを用いて、最小カットオフ値(Eh=有効性カットオフ値)より大きいHAMDaスコアを有する対象のみを選択することができる。統計的有意性がp<0.05と定義される統計的評価に基づいて、0.05未満のp値を有するバイオマーカーが、治療応答性MDDと関連するバイオマーカーとして選択される。
薬力学的バイオマーカーの同定
本明細書は、処置応答性バイオマーカーを同定するための方法を提供する。本明細書中で用いる「バイオマーカー」とは、正常な生物学的プロセスもしくは病原性プロセスまたは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定しかつ評価することができる特性である。バイオマーカーは、例えば、タンパク質、核酸、代謝物、物理的測定値、またはそれらの組合せであり得る。
本明細書中で用いる「薬力学的」バイオマーカーとは、疾患の経過、重症度、状態、兆候、または消散に対する処置または治療的介入の影響を定量的に評価する(例えば、測定する)ために使用することができるバイオマーカーである。いくつかの場合には、分析物の発現レベルを、処置前および処置後に対象から採取したサンプルにおいて測定することができる。いくつかの方法を用いて、処置特異的な分析物の発現を定量化することができる。例えば、対象の状態を評価するための1種もしくは複数の医療機器もしくは臨床評価スコアを用いて、または特定の分析物のレベルを決定するための生物学的サンプルの検査を用いて、測定値を得ることができる。本明細書中で用いる「生物学的サンプル」とは、細胞または細胞物質を含有するサンプルであり、そこから核酸、ポリペプチド、または他の分析物を得ることができる。行われる分析のタイプに応じて、生物学的サンプルは、標準的技術により単離された血清、血漿、または血液細胞であり得る。血清および血漿は例示的な生物学的サンプルであるが、他の生物学的サンプルを使用することができる。例えば、尿中の特定のモノアミンを測定することができ、うつ病患者のグループは、健常対照となる対象よりも多量のカテコールアミン(CA)および代謝物を尿中に排出することが分かっている。他の適切な生物学的サンプルの例は、非限定的に、脳脊髄液、胸膜液、気管支洗浄液、痰、腹水、膀胱洗浄液、分泌物(例えば、乳房分泌物)、口腔洗浄液、スワブ(例えば、口腔スワブ)、単離された細胞、組織サンプル、タッチプレップ、および細針吸引物を含む。いくつかの場合には、生物学的サンプルを直ちに検査する予定であればサンプルを室温で維持することができ;そうでなければ、アッセイの前にサンプルを冷蔵または冷凍(例えば、-80℃で)することができる。いくつかの場合には、サンプルを、抗うつ薬などの薬学的物質または精神活性物質での処置後に一定の間隔で、対象から採取する。いくつかの場合には、サンプルを、処置の数分後、数時間後、数日後、または数週間後に採取することができる。
測定値は、個々のパラメータについて別々に得ることができるか、または、多数のパラメータについて同時に得ることができる。任意の適切なプラットフォームを、パラメータ測定値を得るために使用することができる。イムノアッセイは、特に有用であり得る。イムノアッセイは、生体液または生体組織(例えば、血清、血漿、脳脊髄液、または尿)における物質の濃度を測定するために抗体のその抗原への特異的結合を利用する生化学的検査である。バイオマーカーの定量化のために選択される抗体は、典型的に、その抗原に対して高い親和性を有する。酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、血清および血漿におけるバイオマーカー量を決定するために使用することができる例示的なイムノアッセイである。「固相サンドイッチELISA」においては、未知量の特異的抗体(捕捉抗体)を、マルチウェルプレートの表面に付着させる。次に、未知のサンプルを捕捉抗体に吸着させ、第2の標識された特異的抗体を表面上に流し込み、抗原に結合できるようにする。この抗体は酵素に連結しており、最終工程において、該酵素をいくらかの検出可能なシグナルに変換することができる物質を添加する。蛍光ELISAの場合は、プレートリーダーを使用して、適切な波長の光がサンプル上に示される時に産生されるシグナルを測定する。アッセイエンドポイントの定量化は、マルチウェルプレート上の異なるウェルにおいて着色溶液の吸光度を読み取ることを伴う。着色溶液の正確な測定を可能にする分光光度計を組み込んだ様々なプレートリーダーが、利用可能である。BIOMEK(登録商標)1000(Beckman Instruments, Inc., Fullerton, CA)などのいくつかの自動システムは、内蔵検出システムも有する。一般に、未知のデータ点を実験的に導かれた濃度曲線に適合させるために、コンピュータを使用することができる。
いくつかの場合には、生物学的サンプルにおける分析物の発現レベルを、質量分析、または、RNAの発現を測定するために開発されたもの(例えば、TAQMAN(商標), Applied Biosystems, Foster City, CAなどの二重標識蛍光プローブを用いるPCRもしくは定量的リアルタイムPCR法)を含む他の適切な技術を用いて測定することができる。いくつかの場合には、遺伝子の発現パターンをゲノム規模で調べるために、DNAマイクロアレイを使用することができる。マイクロアレイにより、単一の実験内で何千ものメッセンジャーRNAのレベルにおける変化の同時測定が可能になり得る。マイクロアレイは、処置レジメンの前、間、および後にゲノムの大部分にわたる遺伝子発現をアッセイするために使用することができる。マイクロアレイおよびバイオインフォマティクスの組合せを、特定の処置レジメンに相関する、または処置に対する正または負の応答に相関する生体分子を同定するために使用することができる。いくつかの場合には、マイクロアレイを、プロテオーム解析と共に使用することができる。
複数のタンパク質パラメータを同時に定量化するために有用なプラットフォームは、例えば、米国仮特許出願第60/910,217号および第60/824,471号、米国特許出願第11/850,550号、ならびにPCT公開公報第WO2007/067819号に記載されているものを含み、これらのすべては、全体として参照により本明細書に組み入れられる。有用なプラットフォームの例は、Precision Human Biolaboratories, Inc.(現在Ridge Diagnostics, Inc., Research Triangle Park, N.C.)により開発されたMIMS無標識アッセイ技術を利用する。簡潔に述べると、薄膜の境界での局所的干渉が、光学的検出技術の原理であり得る。生体分子相互作用の分析のために、SiO2の干渉層を有するガラスチップを、センサーとして使用することができる。この層の表面で結合する分子が干渉薄膜の光学的厚さを増加させ、これを、例えば米国仮特許出願第60/910,217号および第60/824,471号に示されたように測定することができる。
多重化するために有用なプラットフォームの別の例は、FDAに認可されている、フローベースのLUMINEX(登録商標)アッセイシステム(xMAP(登録商標);Luminex Corporation, Austin, TX)である。この多重化技術は、フローサイトメトリーを使用して、抗体/ペプチド/オリゴヌクレオチドまたは受容体でタグ付加および標識されたミクロスフェアを検出する。さらに、LUMINEX(登録商標)技術により、単一のサンプル内で最大100種の独自のアッセイの多重化が可能になる。このシステムは構成がオープンであるため、LUMINEX(登録商標)を、特定の疾患パネルのホストとなるように容易に設定することができる。
新たなバイオマーカーの発見の可能性に関しては、タンパク質の分離のために従来の二次元ゲル電気泳動を実施し、続いてタンパク質の同定および特徴決定のために質量分析(例えば、MALDI-TOF、MALDI-ESI)およびバイオインフォマティクスを実施することができる。差次的タンパク質定量化の他の方法を、使用することができる。例えば、タンパク質およびペプチドの同一性および相対的存在量の両方を同時に決定するために、タンデム質量分析(MS/MS)を使用することができる。
本明細書はまた、分析物の発現レベルと、1種または複数の処置前のベースラインスコアに対する対象の診断スコア(例えば、HAM-Dスコア)における正または負の変化との間の相関に基づいて、薬力学的バイオマーカーを同定する工程を特徴とする。処置前のサンプルにおける分析物の発現レベルを、処置後のサンプルにおける分析物のレベルと比較することができる。処置前の診断スコアに対する処置後の診断スコアにおける改善により判定されるように、発現における変化が、正または負の臨床結果に対応する場合は、分析物を、MDDおよび他の精神神経疾患についての薬力学的バイオマーカーとして同定することができる。
精神神経疾患と関連する生体分子
本明細書中で提供される方法および材料により同定される薬力学的バイオマーカーは、例えば、以前には知られていなかった因子、または精神神経疾患と関連することが公知である生体分子であり得る。生体分子は、精神神経疾患を有する対象において上方制御または下方制御され得、かつ、例えば、転写因子、成長因子、ホルモン、および他の生物学的分子を含み得る。MDDおよび他の精神神経疾患についてのバイオマーカーを定義するために使用されるパラメータは、例えば、炎症バイオマーカー、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸因子、代謝バイオマーカー、ならびに、ニューロトロフィン、グリア細胞株由来神経栄養因子ファミリーリガンド(GFL)、および神経新生サイトカインを含む神経栄養因子からなる機能的グループより選択され得る。いくつかの場合には、MDDについてのバイオマーカーは、α-2-マクログロブリン(A2M)、アシル化刺激タンパク質(ASP)、BDNF、C反応性タンパク質(CRP)、コルチゾール、上皮成長因子(EGF)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-18(IL-18)、レプチン、マクロファージ炎症性タンパク質1-α(MIP-1α)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、ニューロトロフィン3(NT-3)、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター-1(PAI-1)、プロラクチン(PRL)、RANTES、レジスチン(RES)、S100Bタンパク質、可溶性TNFα受容体II(sTNFαRII)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、α1アンチトリプシン(A1AT)、アポリポタンパク質CIII(ApoCIII)、およびそれらの任意の組合せを含む分析物のパネルより選択され得る。例えば、バイオマーカーパネルは、本明細書中で開示する分析物の任意の2種またはそれより多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれより多く)を含み得る。
精神神経疾患のバイオマーカーは例えば炎症反応に関与する因子であり得る。多種多様なタンパク質が炎症に関与しており、そのうちのいずれかは、そのタンパク質の正常な発現と機能を損なうか破壊する遺伝的変異を受けやすい。炎症はまた、高い全身レベルの急性期タンパク質を誘導する。これらのタンパク質には、C反応性タンパク質、血清アミロイドA、血清アミロイドP、バソプレシン、およびグルココルチコイドが含まれ、これらは様々な全身作用を引き起こす。炎症はまた、炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの放出を伴う。いくつかの研究は、炎症反応系の機能の異常が免疫系のフィードバック調節を乱し、それによって精神神経障害や免疫障害の発症をもたらすことを実証している。慢性的な炎症反応を特徴とするいくつかの疾患(例えば、関節リウマチ)は、うつ病を伴うことが報告されている。炎症性サイトカインのレベル上昇がうつ病と悪液質の両方に結びつけられており、また、いくつかの実験はサイトカインの導入がヒトとげっ歯類の双方にうつ病と悪液質の症状を引き起こすことを示して、分子レベルで共通の病因が存在する可能性を示唆している。
表1は、炎症バイオマーカーの例示的なリストを提供する。
いくつかの場合には、精神神経疾患バイオマーカーは神経栄養因子であり得る。ほとんどの神経栄養因子は次の3つのファミリーのうちの1つに属する:(1)ニューロトロフィン、(2)グリア細胞株由来神経栄養因子ファミリーリガンド(GFL)、および(3)神経新生サイトカイン。各ファミリーはそれぞれ独自のシグナル伝達ファミリーをもつが、誘発される細胞応答はしばしば重複する。BDNFとその受容体TrkBなどの神経栄養因子は、発生中のニューロンの成長と生存および成熟ニューロンの維持に関与しているタンパク質である。神経栄養因子はCNSおよびPNSにおいてニューロンの初期成長と発達を促進するだけでなく、損傷したニューロンの再成長をインビトロおよびインビボで促進することができる。神経栄養因子は、発生中の軸索の成長を導くために、標的組織によって放出されることが多い。神経栄養因子合成の欠陥は、海馬と前頭前野皮質におけるアポトーシスの増加(うつ病で表される認知機能障害に関連づけられる)の原因であり得る。
表2は、神経栄養バイオマーカーの例示的なリストを提供する。
いくつかの場合には、精神神経バイオマーカーはHPA系の因子であり得る。HPA系は大脳辺縁-視床下部-下垂体-副腎系(LHPA系)としても知られ、視床下部(脳の中空の漏斗状部分)と下垂体(視床下部の下にある豆状構造)と副腎(腎上体)(腎臓の上の小さな円錐形器官)の間の直接的影響とフィードバック相互作用の複雑な系である。これらの器官同士の相互作用が神経内分泌系(身体のストレス反応を制御し、かつ消化、免疫系、気分、およびエネルギーの貯蔵と消費を調節する)の主要部であるHPA系を構成している。HPA系バイオマーカーの例としては、ACTHとコルチゾールが挙げられる。コルチゾールはコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の分泌を阻害して、ACTH分泌のフィードバック阻害をもたらす。この通常のフィードバックループは、ヒトが慢性的なストレスにさらされると破壊されて、うつ病の根本原因になる可能性がある。
表3は、HPA系バイオマーカーの例示的なリストを提供する。
いくつかの場合には、代謝因子は精神神経疾患の有用なバイオマーカーであり得る。代謝バイオマーカーは健康および疾病状態での代謝過程を理解する上で手掛かりとなるバイオマーカーのセットである。ヒトの疾患は、複数の生化学的経路に影響を及ぼして、複雑な下流効果として現れる。例えば、うつ病や他の精神神経疾患は糖尿病などの代謝障害と関連していることが多い。その結果、種々の代謝物、ならびに代謝過程を調節しているタンパク質およびホルモンは、MDDなどのうつ病性障害を診断したり、疾患の重症度を分類したり、うつ病性障害の処置に対する対象の応答をモニタリングするために使用することができる。
表4は、代謝バイオマーカーの例示的なリストを提供する。
(表1)例示的な炎症バイオマーカー
Figure 2014500503
(表2)例示的な神経栄養バイオマーカー
Figure 2014500503
(表3)例示的なHPA系バイオマーカー
Figure 2014500503
(表4)例示的な代謝バイオマーカー
Figure 2014500503
精神神経疾患バイオマーカーの適格性確認
本明細書はまた、疾病関連バイオマーカーと薬力学的バイオマーカーの両方の適格性を確認するための材料および方法を提供する。規制当局が使用するためのバイオマーカーの承認と適格性確認のための定まった枠組みは、薬物と治療レジメンの開発におけるバイオマーカーの画期的で効率的な研究とその後の応用を促進することができる。累積データ(例えば複数の研究室からの累積データ、おそらくはバイオマーカーコンソーシアムモデル)が、バイオマーカーの研究の効率的な実行およびひいては特定の適用のためのバイオマーカーの規制当局による承認を推進し得る。本明細書で説明するように、MDDなどの精神神経障害を含む複雑な疾患の評価においては、よく特徴づけられた患者と対照者の研究がバイオマーカー適格性確認プロセスの一環として実施されている。バイオマーカーの適格性確認は、バイオマーカーを生物学と結びつけ、さらに臨床的エンドポイントと結びつける、段階的な、「目的に適合する(fit-for-purpose)」、裏付けのあるプロセスである。バイオマーカーパネルを用いた臨床経験が発展すれば、バイオマーカーの適格性確認およびひいてはバイオマーカーの規制当局による承認に関連した情報もまた、薬力学的・有効性マーカーのためだけでなく、特定の疾患への応用のために発展する。
従来の累積臨床研究(例えば、生物学的サンプルのアッセイ、臨床測定、画像解析)を適格性確認プロセスにおいて用いることができる。いくつかの場合には、バイオマーカーの発現が抗うつ剤またはプラセボで処置した患者のコホート(統計的検出力があるコホート)において測定される。患者のコホートの年齢と性別は、一般集団中でのMDD患者の分布に適合するように調整される。この種の研究は治療におけるプラセボ効果の可能性と性質を明らかにすることができる。MDDの場合では、抗うつ薬、電気痙攣療法(ECT)、または認知行動療法(CBT)で処置されている患者において観察された正の変化を有するバイオマーカーと、プラセボまたは精神活性物質(例えば、リチウム)に対して陽性反応を有するバイオマーカーとの間で比較を行うことができる。
バイオマーカー情報の利用方法
どのバイオマーカーが様々な精神神経疾患と関連するかを判定するために、分析物のバイオマーカーライブラリーを開発することができる。ライブラリー由来の個々の分析物を、特定の臨床状態との相関について評価することができる。出発点として、ライブラリーは、炎症、細胞接着、免疫応答、または組織リモデリングを一般に示す分析物を含み得る。いくつかの態様において(例えば、最初のライブラリー開発中に)、ライブラリーは、1ダースもしくはそれより多いマーカー、100種のマーカー、または数百種のマーカーを含み得る。例えば、バイオマーカーライブラリーは、数百種のタンパク質分析物(例えば、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500種のタンパク質分析物)を含み得る。バイオマーカーライブラリーを構築する際に、新たに同定した薬力学的バイオマーカー(例えば、個々の疾患状態に特異的なマーカー、または特定の治療の作用に特異的なマーカー)を追加することができる。いくつかの場合には、バイオマーカーライブラリーを、創薬研究(例えば、同位体コード親和性タグ(ICAT)または質量分析法などのディファレンシャルディスプレイ技術を用いる)から得られた疾患関連タンパク質の追加により改良することができる。この様式で、ライブラリーは、特定の疾患状態にますます特異的になり得る。
診断スコアと薬力学的バイオマーカーは、限定するものではないが、処置のモニタリングのために使用することができる。例えば、診断スコアおよび/またはバイオマーカーのレベルは、対象の処置過程の構築または変更に使用するために臨床医に提供される。処置が選択されて、処置が開始されると、対象は定期的にモニタリングされ、そのモニタリングは、2回以上の間隔をおいて生物学的サンプルを採取し、処置前および処置後の所定の時間間隔に対応する診断スコアを決定し、そして診断スコアを経時的に比較することによって行うことができる。これらのスコアに基づいて、また、診断スコアの増加、減少もしくは安定化または薬力学的バイオマーカーのレベルの変化に関連して観察された何らかの傾向に基づいて、臨床医、療法士または他の医療専門家は、処置をそのまま継続するか、処置を中断するか、または経時的に改善をみることを目標にして処置計画を調整するか、を選択することができる。例えば、精神神経疾患の特定の処置レジメンに対する陽性反応と相関する薬力学的バイオマーカーのレベルの増加は、処置への患者の肯定的な応答を示し得る。そのような薬力学的バイオマーカーのレベルの減少は、処置に対して肯定的に応答できなかったこと、および/または現在の処置計画を見直す必要があることを示し得る。バイオマーカーの発現レベルおよび診断スコアの静止状態は、精神神経疾患の症状の静止状態に対応し得る。バイオマーカーのパターンは、他のレジメンに加えて、抗うつ薬を服用している患者や、他の型の治療(例えば、CBTまたはECT)を受けている患者では異なることがあり、診断スコアが通常の患者の診断スコアに向かって変化していることは、効果的な治療の組合せを示している可能性がある。治療についての累積経験が増えるにつれて、特定の抗うつ薬などによる治療と組み合わせたCBT、ECT、またはTMSへの応答をモニタリングするために、特定のバイオマーカーのパネルを導き出すことが可能である。
患者の診断スコアが報告された後に、医療専門家は患者のケアに影響を与える1つ以上の行動をとることができる。例えば、医療専門家は患者の医療記録に診断スコアおよびバイオマーカーの発現レベルを記録する。いくつかの場合には、医療専門家は精神神経疾患の診断を記録するか、そうでなければ、患者の病状を反映するように医療記録を変更する。いくつかの場合には、医療専門家は患者の医療記録を検討して判断し、患者の症状の臨床的介入のための複数の処置戦略を評価することができる。
MDDおよび他の気分障害の場合には、処置のモニタリングは、臨床医が処置用量および処置持続期間を調整するのに役立つ可能性がある。正常なホメオスタシスによく似ている個々のバイオマーカーレベルの変化のサブセットを示すことは、レジメンの有効性を評価する上で臨床医の助けとなり得る。医療専門家は、患者の診断スコアに関する情報を受け取った後で、うつ病や他の精神神経疾患の症状の処置を開始したり、変更したりすることができる。いくつかの場合には、診断スコアおよび/またはバイオマーカーレベルの先の記録が、新たに伝えられた診断スコアおよび/または疾病状態と比較される。そうした比較に基づいて、医療専門家は治療の変更を勧めてもよい。いくつかの場合には、医療専門家はMDD症状の新規な臨床的介入のための臨床試験に患者を登録することができる。いくつかの場合には、医療専門家は、患者の症状が臨床的介入を必要とするまで、治療開始の待機を選んでもよい。
医療専門家は、診断スコアおよび/またはバイオマーカーレベルを患者や患者の家族に伝えることができる。いくつかの場合には、医療専門家は、処置の選択肢、予後、および専門医(例えば、神経科医および/またはカウンセラー)への紹介を含めて、MDDに関する情報を患者および/またはその家族に提供することができる。場合によっては、医療専門家は、診断スコアおよび/または疾病状態を専門医に伝えるために、患者の医療記録のコピーを提供することもできる。
研究専門家は、MDDの調査研究を前進させるために、対象の診断スコアおよび/またはバイオマーカーレベルに関する情報を利用することができる。例えば、研究者は、効果的な処置を特定するために、診断スコアのデータを、うつ症状または他の精神神経疾患の症状の処置用の薬物の有効性に関する情報と共にコンパイルすることができる。場合によっては、研究専門家は、対象の診断スコアおよび/またはバイオマーカーレベルを入手して、調査研究または臨床試験への対象の登録または参加の継続を判断することができる。いくつかの場合には、研究専門家は、対象の診断スコアおよび/またはバイオマーカーレベルを医療専門家に伝えることができ、そして/または対象の精神神経疾患の臨床評価および処置について医療専門家に問い合わせることができる。
情報を他者(例えば、専門家)に伝えるために、適切であれば任意の方法を使用することができ、また、情報は直接伝えることも間接的に伝えることも可能である。例えば、検査技師は診断スコアおよび/または個々の分析物のレベルをコンピュータベースの記録に入力することができる。いくつかの場合には、情報が医療記録または調査記録に物理的変更を加えることによって伝えられる。例えば、医療専門家は、医療記録を見る他の医療専門家に診断を伝えるために、医療記録に恒久的な表記を加えたりフラグを付けたりすることができる。あらゆるタイプの伝達手段(例えば、郵便、電子メール、電話、ファクシミリおよび対面やりとり)が使用可能である。情報はまた、その情報を(例えば、安全な方法で)専門家が電子的に利用可能にすることによって、専門家に伝えることも可能である。例えば、情報をコンピュータのデータベースに入れて、医療専門家がその情報にアクセスできるようにしてもよい。さらに、病院、診療所、または専門家の代理を務める調査施設に情報を伝えることが可能である。いくつかの態様において、オープンネットワーク(例えば、インターネットまたは電子メール)を介して転送される情報は暗号化されてもよい。クローズドシステムまたはクローズドネットワークが使用されている場合には、既存のアクセス制御で十分であり得る。
以下の実施例は、上記の様々な特徴に関するさらなる情報を提供するものである。
実施例1−MDDに関連した薬力学的バイオマーカーの同定
図1は、MDDの薬力学的バイオマーカーを同定するためのプロセスを図示する。MDDと関連する可能性を有するバイオマーカーのコレクションを、以前の研究の結果に基づいて、文献検索から、生物学的経路のゲノム解析もしくはプロテオーム解析から、または分子イメージング研究から選択した。MDD患者のコホートを、面接に基づく臨床的評価の「ゴールドスタンダード」法を用いて特定した。プロトコルのIRB認可後に、韓国における3箇所の医療センターで、40人のうつ病成人対象を登録した。登録された対象は、18〜65歳であり、単極性大うつ病についてのDSM-IV基準を満たし、(単一または再発性であり)、17項目HAM-Dスコアが16を上回り、かつインフォームドコンセントを提供することができた。すべての対象は、研究開始時に少なくとも6か月間、精神活性薬物を使用しておらず、ベースラインでDSM-IVについての構造化臨床面接(SCID)を行った。血漿または血清サンプルを各患者から採取し、その後、患者をエスシタロプロム(例えば、LEXAPRO(商標), Forest Laboratories, New York, NY)での処置に供した。処置後の血漿または血清サンプルを、処置の2週間後および8週間後に各患者から採取した。さらに、HAM-DおよびMADRSを、ベースラインおよび後で評価した。匿名化された(de-identified)血漿および血清サンプルを、分析前に-80℃で冷凍した。
バイオマーカーレベルを、イムノアッセイ法を用いて検査した。例えば、末梢血中のA1AT、ApoCIII、ASP、BDNF、コルチゾール、EGF、MPO、PRL、RES、S100B、およびsTNFαRIIの血清または血漿レベルを、ELISAを用いて製造業者の指示に従って測定した。A1ATは、ヒトA1ATイムノアッセイ(BioVendor, Candler, NC)を用いて測定し;ApoCIIIは、ヒトApoCIIIイムノアッセイ(AssayPro, St. Charles, MO)を用いて測定し;BDNF、sTNFαRII、およびEGFレベルは、R&D Systems(Minneapolis, MN)由来のQuantikineヒトELISAキットを用いて決定し;MPOは、ALPCO Immunoassays(Salem, NH)から得たヒト血清ELISAキットを用いて測定し;血清中のPRLは、Monobind(Lake Forest, CA)由来のヒト血清ELISAを用いて測定し;かつ血清中のコルチゾールレベルは、IBL-America(Minneapolis, MN)由来の競合ELISAを用いて決定した。S100BおよびASPは、Ridge Diagnosticsで開発された、研究室で開発された検査(laboratory developed test)(LDT)であった。バイオマーカーうつ病スコア(MDDScore(商標)、1〜9の範囲であり、うつ病の低い可能性から高い可能性を示す)を決定した(例えば、全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/753,022号を参照されたい)。
パネルを、123人の対象(うつ病80人および正常43人)の研究において検証した。パネルは、MDDを有する患者を正常対照から識別し(p=5.8e-19)、かつ87%の臨床的感度および95%の特異性を示した。処置結果を予測するパネルの能力を調べるために、このパネル、および、成功した処置で変化する可能性が最も高かったマーカーを含むように設計した第2の6バイオマーカーのパネルを、うつ病患者の別々のコホートにおいてさらに調べた。
追加的な構造化臨床面接を行い、かつ処置後の診断スコアを割り当てることにより判定した、処置に対する患者の応答を記録した。処置前のベースラインスコアに対して改善された(より低い)処置後の診断スコアとして定義された、処置に対する正の臨床応答を示す患者を特定した。2種の臨床評価ツール(HAM-DおよびMADRS)を適用して、上述の集団を調べた。血清サンプルを、ベースラインで、ならびに処置の2週間後および8週間後に得た。治療に対する正の応答に関連して期待されたように、両方のツールにおける患者のスコアは、処置の過程にわたって減少した(図2)。
その発現が正の臨床結果と相関した分析物を、MDDについての薬力学的バイオマーカーとして同定した。
96種の潜在的マーカーを評価した後に、神経栄養マーカー、代謝マーカー、炎症マーカー、およびHPA軸マーカーを含むマーカーの最終的な「モニタリング」パネルを選択した。検査は、A1AT、ApoC3、BDNF、コルチゾール、EGF、MPO、PRL、RES、およびsTNFαRIIからなった。BDNF、コルチゾール、PRL、RES、およびsTNFαRIIのレベルを、それぞれ図3A〜3Eにプロットした。ベースラインおよび2週目の、複合の「モニタリングパネル」(PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、およびA1AT)についての結果を、ベースラインから8週目までのHAM-Dスコアにおける変化に伴う回帰分析により評価した(図4)。この分析は、相関係数が0.88であり、2週目のバイオマーカーパネル値のモニタリングが、8週目における治療結果を予測する可能性を有し得ることを示唆した。
うつ病患者の小さなコホートにおける本研究は、抗うつ薬治療に対する患者応答の予測のための、複数の分析物のバイオマーカーパネルの有用性を示唆する。これは、患者の処置結果の予測に対する独特のアプローチであり、抗うつ薬に対する患者の処置応答の標準的な測定単位と良好に相関するように見られる、血清に基づく客観的な結果を提供する利点を有する。しかしながら、これらの知見は、小さなサンプルサイズによって限定されており、これらの初期の観察を検証するために、明確なうつ病患者集団におけるより大きな研究が必要とされるであろう。
実施例2−複数のバイオマーカーを解析するためのプロテオミクスの使用
図1に示すように、処置関連バイオマーカーはタンデム質量分析を用いて同定される。生物学的サンプルを処置前および処置後に採取する。これらのサンプルを異なるタンデム質量タグ(TMT)で標識し、TMT-MS(商標)(Proteome Sciences社、英国)のために混合する。適切な酵素(例えば、トリプシン)を用いて断片化/消化を行った後、TMT標識断片を液体クロマトグラフィーMS/MSによる解析のために選択する。サンプル間のタンパク質発現の比率は、個々のレポーター基のシグナル強度を比較することによって、MS/MSにより示される。バイオインフォマティクス解析を用いて、差次的に発現されるタンパク質を同定する。次に、同定されたタンパク質を、処置後の一定期間にわたって(例えば、特異的抗体およびELISAを用いて)潜在的バイオマーカーとして検証して、薬力学的バイオマーカーのサブセットを構築する。対象の分析物発現レベルの変化の統計的分析を実施して、分析物を処置効果と相関させる。統計的有意性がp<0.05と定義される統計的評価において、p値が0.05未満のバイオマーカーを治療応答性MDDに関連するバイオマーカーとして選択する。
本明細書には多くの詳細事項が含まれるが、これらは、本発明の範囲または特許請求の範囲への限定として解釈されるべきでなく、むしろ本発明の特定の態様に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。個別の態様として本明細書に記載されるいくつかの特徴は、単一の態様において組み合わせて実施することもできる。反対に、単一の態様として記載される様々な特徴は、複数の態様で別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴が特定の組合せで作用するとして上述されており、主にそのようなものとして特許請求されることもあるが、特許請求されている組合せからの1つ以上の特徴はいくつかの場合にはその組合せから切り離すことができ、また、特許請求されている組合せはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形へと導くことができる。
開示されているのはごく少数の態様にすぎない。上記の態様および他の態様の変更および改善は、本明細書に記載および説明したものに基づいて行うことができる。

Claims (11)

  1. (a)プロラクチン(PRL)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、レジスチン(RES)、可溶性腫瘍壊死因子α受容体タイプII(sTNFαRII)、α-1アンチトリプシン(A1AT)、アポリポタンパク質CIII(ApoC3)、コルチゾール、上皮成長因子(EGF)、S100B、およびミエロペルオキシダーゼ(MPO)からなる群より選択される2種またはそれより多い分析物各々の第1の数値を提供する工程であって、各第1の数値が、対象由来の第1の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当する、工程;
    (b)各分析物に特異的な様式で各第1の数値を個々に加重して、各分析物について第1の加重値を得る工程;
    (c)各第1の加重値を含む方程式に基づいて、第1のMDDスコアを決定する工程;
    (d)前記2種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程であって、各第2の数値が、前記対象由来の第2の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当し、該第2の生物学的サンプルが、うつ病性障害に対する処置後に得られたものである、工程;
    (e)工程(b)における加重と類似の様式で加重を行うという条件で、各分析物に特異的な様式で各第2の数値を個々に加重して、各分析物について第2の加重値を得る工程;
    (f)前記方程式を使用して、うつ病性障害に対する前記対象の処置後の第2のMDDスコアを決定する工程;ならびに
    (g)第1のMDDスコアを、第2のMDDスコアと、および1人または複数の正常対象より決定された対照MDDスコアまたは対照MDDスコア範囲と比較して、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近い場合に前記処置を有効と分類する、または、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近くない場合に前記処置を有効でないと分類する工程
    を含む、うつ病性障害と診断された対象の処置をモニタリングするためのインビトロの方法。
  2. 工程(a)が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される3種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み、かつ、工程(d)が、該3種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. 工程(a)が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される4種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み、かつ、工程(d)が、該4種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含む、請求項1記載の方法。
  4. 工程(a)が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される5種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み、かつ、工程(d)が、該5種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含む、請求項1記載の方法。
  5. 前記2種またはそれより多い分析物が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、およびA1ATである、請求項1記載の方法。
  6. 精神神経疾患が、大うつ病性障害(MDD)である、請求項1記載の方法。
  7. 第1および第2の生物学的サンプルが、血液サンプルである、請求項1記載の方法。
  8. 前記処置が行動療法である、請求項1記載の方法。
  9. 前記処置が薬物療法を含む、請求項1記載の方法。
  10. 前記処置が、集団療法、対人関係療法、精神力動的療法、弛緩療法、または従来の心理療法を含む、請求項1記載の方法。
  11. (a)うつ病に対する対象の処置前に、該対象から第1の生物学的サンプルを得る工程;
    (b)うつ病に対する該対象の処置後に、該対象から第2の生物学的サンプルを得る工程;
    (c)第1および第2の生物学的サンプルを、異なるタンデム質量タグで標識する工程;
    (d)標識されたサンプルを混合する工程;
    (e)混合されたサンプルを酵素で断片化または消化する工程;
    (f)タンデム質量タグで標識された断片を選択する工程;
    (g)液体クロマトグラフィータンデム質量分析を用いて、異なるタンデム質量タグ由来のシグナルの強度を測定する工程;
    (h)第1および第2の生物学的サンプル間のタンパク質発現の比を決定するために、前記シグナルの強度を比較する工程;ならびに
    (i)工程(h)における比較に基づいて、差次的に発現されるバイオマーカーを同定する工程
    を含む、処置に関連するうつ病についてのバイオマーカーを同定するための方法。
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