JP2014500503A - 精神神経疾患の処置をモニタリングするためのバイオマーカー - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2010年12月6日付け米国特許仮出願第61/420,141号からの優先権の恩典を主張するものである。
本明細書は、精神神経疾患を有する対象における処置の有効性をモニタリングするための材料および方法に関する。
精神神経疾患には、大うつ病、統合失調症、躁病、心的外傷後ストレス障害、トゥレット障害、パーキンソン病、および強迫性障害が含まれる。これらの障害は身体を衰弱させることが多く、また、診断を下し、効果的に処置することが困難である。ほとんどの臨床上の障害は単一の生物学的変化が原因で発生することはなく、複数の要因の相互作用の結果として発生する。同じ臨床症状(例えば、大うつ病)を患う異なる個人は、一人一人に特有な変化に応じて、異なる範囲または程度の症状を呈することがある。
多くの精神神経疾患において、診断および処置のモニタリングの唯一の手段は、臨床的評価である。精神神経疾患の診断、ならびに処置の確立およびモニタリングに関して、臨床的評価および患者面接に対して従来依存してきたことは、患者の転帰が最適でないことに結びつく。精神神経状態を診断するため、疾患状態を評価するため、および処置に対する応答をモニタリングするための、信頼できる方法が必要である。さらに、精神神経疾患のための新たな療法の合理的な設計および適用は、生物学的プロセスまたは治療的介入に対する薬理学的応答の有益な指標の発見、検証、および実行を必要とする。本明細書は、一部には、疾患を示し、かつ治療的介入の影響を測定するために使用することができる、定量的バイオマーカーの同定に基づくものである。これらのバイオマーカーは、臨床医および他の精神保健専門家が精神神経障害を診断および評価するために、有用であり得る。
(a)プロラクチン(PRL)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、レジスチン(RES)、可溶性腫瘍壊死因子α受容体タイプII(sTNFαRII)、α-1アンチトリプシン(A1AT)、アポリポタンパク質CIII(ApoC3)、コルチゾール、上皮成長因子(EGF)、S100B、およびミエロペルオキシダーゼ(MPO)からなる群より選択される2種またはそれより多い分析物各々の第1の数値を提供する工程であって、各第1の数値が、前記対象由来の第1の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当する、工程;
(b)各分析物に特異的な様式で各第1の数値を個々に加重して、各分析物について第1の加重値を得る工程;
(c)各第1の加重値を含む方程式に基づいて、第1のMDDスコアを決定する工程;
(d)前記2種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程であって、各第2の数値が、前記対象由来の第2の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当し、該第2の生物学的サンプルが、うつ病性障害に対する処置後に得られたものである、工程;
(e)工程(b)における加重と類似の様式で加重を行うという条件で、各分析物に特異的な様式で各第2の数値を個々に加重して、各分析物について第2の加重値を得る工程;
(f)前記方程式を使用して、うつ病性障害に対する前記対象の処置後の第2のMDDスコアを決定する工程;ならびに
(g)第1のMDDスコアを、第2のMDDスコアと、および1人または複数の正常対象より決定された対照MDDスコアまたは対照MDDスコア範囲と比較して、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近い場合に前記処置を有効と分類し、または、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近くない場合に前記処置を有効でないと分類する工程。
(a)うつ病に対する対象の処置前に、該対象から第1の生物学的サンプルを得る工程;
(b)うつ病に対する該対象の処置後に、該対象から第2の生物学的サンプルを得る工程;
(c)第1および第2の生物学的サンプルを、異なるタンデム質量タグで標識する工程;
(d)標識されたサンプルを混合する工程;
(e)混合されたサンプルを酵素で断片化または消化する工程;
(f)タンデム質量タグで標識された断片を選択する工程;
(g)液体クロマトグラフィータンデム質量分析を用いて、異なるタンデム質量タグ由来のシグナルの強度を測定する工程;
(h)第1および第2の生物学的サンプル間のタンパク質発現の比を決定するために、前記シグナルの強度を比較する工程;ならびに
(i)工程(h)における比較に基づいて、差次的に発現されるバイオマーカーを同定する工程。
(a)精神神経疾患を有する対象について第1の診断疾患スコアを算出する工程であって、該第1の診断疾患スコアが、該対象において精神神経疾患の処置を施す前に算出される、工程;
(b)処置を施す前に前記対象から得られた第1の生物学的サンプルにおける1種または複数の分析物のレベルについて数値を提供する工程;
(c)処置を施した後に前記対象について第2の診断疾患スコアを算出する工程;
(d)処置を施した後に前記対象から得られた第2の生物学的サンプルにおける前記1種または複数の分析物のレベルについて数値を提供する工程;ならびに
(e)1種または複数の分析物を前記精神神経疾患についてのバイオマーカーであるとして同定する工程であって、該1種または複数の分析物が、第1および第2の生物学的サンプル間で差次的に発現される場合にバイオマーカーとして同定され、該1種または複数の分析物の差次的発現が、前記対象の診断スコアにおける正または負の変化に相関する、工程。
本明細書は、一部には、バイオマーカー発現を評価する(例えば、測定する)ことによって、うつ病の障害状態を診断するための方法および処置をモニタリングするための方法の同定に基づくものである。本明細書中に記載するように、本明細書は、処置後の対象における正または負の変化と関連した薬力学的バイオマーカーを同定して検証するための方法および材料を提供する。本明細書で提供する方法および材料は、精神神経疾患の患者を診断し、処置の選択肢を決定し、さらに処置の有効性の定量的測定を提供するために、使用することができる。
本明細書は、対象の診断スコアを決定するための方法および材料を提供する。本明細書で説明する方法の代表的な対象はヒトであるが、対象には、ヒト疾患のモデルとして用いられる動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、および非ヒト霊長類)も含めることができる。本明細書で提供する方法は、新しい治療レジメンを開始する前または既存の治療レジメンを継続する前に、ベースラインスコアを構築するために使用することができる。処置後に決定された診断スコアは、ベースラインに対する正または負の変化を観察するために、ベースラインスコアと比較される。ベースラインスコアおよび処置後の診断スコアは任意の好適な評価方法によって決定することができる。例えば、MDDでは、対象の症状と快適性(well-being)の臨床的評価が行われる。「ゴールドスタンダード」の診断方法は、構造化臨床面接である。いくつかの場合には、対象の診断スコアは、抑うつ気分、うつ病の自律神経症状と認知症状、および併存する不安症状を評価する、臨床的に実施されるHAM-D評価尺度の17項目の尺度を用いて決定される。HAM-Dを用いて、評価時点での抑うつ症状の重症度を定量化することができる。Michael Taylor & Max Fink, Melancholia: The Diagnosis, Pathophysiology, and Treatment of Depressive Illness, 91-92, Cambridge University Press (2006)を参照されたい。他の臨床的評価方法を採用することもできる。場合によっては、ベックうつ病項目尺度などの自己評価尺度を用いてもよい。精神神経疾患の多くの評価尺度は観察者に基づくものである。例えば、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度を用いて、対象のうつ病診断スコアを決定することができる。対象の全体的な社会的、職業的および心理的機能に基づいた診断スコアを決定するために、機能の全体的評定尺度を用いてもよい。
診断スコア = f (xl, x2, x3, x4, x5, . . . xn) (1)
診断スコアは診断または予後の結果となる値であり、「f」は任意の数学的関数であり、「n」は任意の整数(例えば、1から10,000までの整数)であり、そしてxl, x2, x3, x4, x5 . . . xnは「n」個のパラメータであって、例えば、医療機器により測定された測定値、臨床評価スコア、および/または生物学的サンプル(例えば、血液、血清、血漿、尿、または脳脊髄液などのヒト生物学的サンプル)の検査結果である。
診断スコア = al*xl + a2*x2 - a3*x3 + a4*x4 - a5*x5 (2)
ここで、xl、x2、x3、x4およびx5は医療機器により測定された測定値、臨床評価スコア、および/または生物学的サンプルの検査結果であり、そしてal、a2、a3、a4およびa5はそれぞれxl、x2、x3、x4およびx5のための重みを調整した係数である。
うつ病診断スコア = f (xl, x2, x3, x4, x5 . . . xn)
うつ病診断スコアは個人のうつ病の状態または重症度を測定するために使用できる量的数字であり、「f」は任意の数学的関数であり、「n」は任意の整数(例えば、1から10,000までの整数)であり、そしてxl, x2, x3, x4, x5 . . . xnは、例えば、医療機器により測定された測定値、臨床評価スコア、および/または生物学的サンプル(例えば、ヒトの生物学的サンプル)の検査結果である「n」個のパラメータである。
診断スコアSm = Fm (xl, . . . xn) (3)
複数のスコアは、例えば、うつ病性障害および/または関連障害の特定のタイプおよびサブタイプを識別するのに有用である。いくつかの場合には、うつ病性障害は大うつ病性障害(MDD)である。複数のスコアはまた、患者の処置の進行状況または選択された処置の有効性を示すパラメータであり得る。うつ病性障害のサブタイプの診断スコアは、抗うつ薬や他の医薬の選択または最適化に役立つ可能性がある。
Cmi = Mib - Mia (4)
ここで、MibおよびMiaはそれぞれ処置前および処置後のバイオマーカーの発現レベルである。対象の診断スコアの変化は、式5の形式で表すことができる:
H = HAMDb - HAMDa (5)
ここで、HAMDbおよびHAMDaはそれぞれ処置前および処置後の診断スコアである。あらかじめ確立されたプロセスを用いて、最小カットオフ値(Eh=有効性カットオフ値)より大きいHAMDaスコアを有する対象のみを選択することができる。統計的有意性がp<0.05と定義される統計的評価に基づいて、0.05未満のp値を有するバイオマーカーが、治療応答性MDDと関連するバイオマーカーとして選択される。
本明細書は、処置応答性バイオマーカーを同定するための方法を提供する。本明細書中で用いる「バイオマーカー」とは、正常な生物学的プロセスもしくは病原性プロセスまたは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定しかつ評価することができる特性である。バイオマーカーは、例えば、タンパク質、核酸、代謝物、物理的測定値、またはそれらの組合せであり得る。
本明細書中で提供される方法および材料により同定される薬力学的バイオマーカーは、例えば、以前には知られていなかった因子、または精神神経疾患と関連することが公知である生体分子であり得る。生体分子は、精神神経疾患を有する対象において上方制御または下方制御され得、かつ、例えば、転写因子、成長因子、ホルモン、および他の生物学的分子を含み得る。MDDおよび他の精神神経疾患についてのバイオマーカーを定義するために使用されるパラメータは、例えば、炎症バイオマーカー、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸因子、代謝バイオマーカー、ならびに、ニューロトロフィン、グリア細胞株由来神経栄養因子ファミリーリガンド(GFL)、および神経新生サイトカインを含む神経栄養因子からなる機能的グループより選択され得る。いくつかの場合には、MDDについてのバイオマーカーは、α-2-マクログロブリン(A2M)、アシル化刺激タンパク質(ASP)、BDNF、C反応性タンパク質(CRP)、コルチゾール、上皮成長因子(EGF)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-18(IL-18)、レプチン、マクロファージ炎症性タンパク質1-α(MIP-1α)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、ニューロトロフィン3(NT-3)、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター-1(PAI-1)、プロラクチン(PRL)、RANTES、レジスチン(RES)、S100Bタンパク質、可溶性TNFα受容体II(sTNFαRII)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、α1アンチトリプシン(A1AT)、アポリポタンパク質CIII(ApoCIII)、およびそれらの任意の組合せを含む分析物のパネルより選択され得る。例えば、バイオマーカーパネルは、本明細書中で開示する分析物の任意の2種またはそれより多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれより多く)を含み得る。
本明細書はまた、疾病関連バイオマーカーと薬力学的バイオマーカーの両方の適格性を確認するための材料および方法を提供する。規制当局が使用するためのバイオマーカーの承認と適格性確認のための定まった枠組みは、薬物と治療レジメンの開発におけるバイオマーカーの画期的で効率的な研究とその後の応用を促進することができる。累積データ(例えば複数の研究室からの累積データ、おそらくはバイオマーカーコンソーシアムモデル)が、バイオマーカーの研究の効率的な実行およびひいては特定の適用のためのバイオマーカーの規制当局による承認を推進し得る。本明細書で説明するように、MDDなどの精神神経障害を含む複雑な疾患の評価においては、よく特徴づけられた患者と対照者の研究がバイオマーカー適格性確認プロセスの一環として実施されている。バイオマーカーの適格性確認は、バイオマーカーを生物学と結びつけ、さらに臨床的エンドポイントと結びつける、段階的な、「目的に適合する(fit-for-purpose)」、裏付けのあるプロセスである。バイオマーカーパネルを用いた臨床経験が発展すれば、バイオマーカーの適格性確認およびひいてはバイオマーカーの規制当局による承認に関連した情報もまた、薬力学的・有効性マーカーのためだけでなく、特定の疾患への応用のために発展する。
どのバイオマーカーが様々な精神神経疾患と関連するかを判定するために、分析物のバイオマーカーライブラリーを開発することができる。ライブラリー由来の個々の分析物を、特定の臨床状態との相関について評価することができる。出発点として、ライブラリーは、炎症、細胞接着、免疫応答、または組織リモデリングを一般に示す分析物を含み得る。いくつかの態様において(例えば、最初のライブラリー開発中に)、ライブラリーは、1ダースもしくはそれより多いマーカー、100種のマーカー、または数百種のマーカーを含み得る。例えば、バイオマーカーライブラリーは、数百種のタンパク質分析物(例えば、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500種のタンパク質分析物)を含み得る。バイオマーカーライブラリーを構築する際に、新たに同定した薬力学的バイオマーカー(例えば、個々の疾患状態に特異的なマーカー、または特定の治療の作用に特異的なマーカー)を追加することができる。いくつかの場合には、バイオマーカーライブラリーを、創薬研究(例えば、同位体コード親和性タグ(ICAT)または質量分析法などのディファレンシャルディスプレイ技術を用いる)から得られた疾患関連タンパク質の追加により改良することができる。この様式で、ライブラリーは、特定の疾患状態にますます特異的になり得る。
図1は、MDDの薬力学的バイオマーカーを同定するためのプロセスを図示する。MDDと関連する可能性を有するバイオマーカーのコレクションを、以前の研究の結果に基づいて、文献検索から、生物学的経路のゲノム解析もしくはプロテオーム解析から、または分子イメージング研究から選択した。MDD患者のコホートを、面接に基づく臨床的評価の「ゴールドスタンダード」法を用いて特定した。プロトコルのIRB認可後に、韓国における3箇所の医療センターで、40人のうつ病成人対象を登録した。登録された対象は、18〜65歳であり、単極性大うつ病についてのDSM-IV基準を満たし、(単一または再発性であり)、17項目HAM-Dスコアが16を上回り、かつインフォームドコンセントを提供することができた。すべての対象は、研究開始時に少なくとも6か月間、精神活性薬物を使用しておらず、ベースラインでDSM-IVについての構造化臨床面接(SCID)を行った。血漿または血清サンプルを各患者から採取し、その後、患者をエスシタロプロム(例えば、LEXAPRO(商標), Forest Laboratories, New York, NY)での処置に供した。処置後の血漿または血清サンプルを、処置の2週間後および8週間後に各患者から採取した。さらに、HAM-DおよびMADRSを、ベースラインおよび後で評価した。匿名化された(de-identified)血漿および血清サンプルを、分析前に-80℃で冷凍した。
図1に示すように、処置関連バイオマーカーはタンデム質量分析を用いて同定される。生物学的サンプルを処置前および処置後に採取する。これらのサンプルを異なるタンデム質量タグ(TMT)で標識し、TMT-MS(商標)(Proteome Sciences社、英国)のために混合する。適切な酵素(例えば、トリプシン)を用いて断片化/消化を行った後、TMT標識断片を液体クロマトグラフィーMS/MSによる解析のために選択する。サンプル間のタンパク質発現の比率は、個々のレポーター基のシグナル強度を比較することによって、MS/MSにより示される。バイオインフォマティクス解析を用いて、差次的に発現されるタンパク質を同定する。次に、同定されたタンパク質を、処置後の一定期間にわたって(例えば、特異的抗体およびELISAを用いて)潜在的バイオマーカーとして検証して、薬力学的バイオマーカーのサブセットを構築する。対象の分析物発現レベルの変化の統計的分析を実施して、分析物を処置効果と相関させる。統計的有意性がp<0.05と定義される統計的評価において、p値が0.05未満のバイオマーカーを治療応答性MDDに関連するバイオマーカーとして選択する。
Claims (11)
- (a)プロラクチン(PRL)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、レジスチン(RES)、可溶性腫瘍壊死因子α受容体タイプII(sTNFαRII)、α-1アンチトリプシン(A1AT)、アポリポタンパク質CIII(ApoC3)、コルチゾール、上皮成長因子(EGF)、S100B、およびミエロペルオキシダーゼ(MPO)からなる群より選択される2種またはそれより多い分析物各々の第1の数値を提供する工程であって、各第1の数値が、対象由来の第1の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当する、工程;
(b)各分析物に特異的な様式で各第1の数値を個々に加重して、各分析物について第1の加重値を得る工程;
(c)各第1の加重値を含む方程式に基づいて、第1のMDDスコアを決定する工程;
(d)前記2種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程であって、各第2の数値が、前記対象由来の第2の生物学的サンプルにおける分析物のレベルに相当し、該第2の生物学的サンプルが、うつ病性障害に対する処置後に得られたものである、工程;
(e)工程(b)における加重と類似の様式で加重を行うという条件で、各分析物に特異的な様式で各第2の数値を個々に加重して、各分析物について第2の加重値を得る工程;
(f)前記方程式を使用して、うつ病性障害に対する前記対象の処置後の第2のMDDスコアを決定する工程;ならびに
(g)第1のMDDスコアを、第2のMDDスコアと、および1人または複数の正常対象より決定された対照MDDスコアまたは対照MDDスコア範囲と比較して、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近い場合に前記処置を有効と分類する、または、第2のMDDスコアが対照MDDスコアに対して第1のMDDスコアよりも近くない場合に前記処置を有効でないと分類する工程
を含む、うつ病性障害と診断された対象の処置をモニタリングするためのインビトロの方法。 - 工程(a)が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される3種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み、かつ、工程(d)が、該3種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含む、請求項1記載の方法。
- 工程(a)が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される4種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み、かつ、工程(d)が、該4種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含む、請求項1記載の方法。
- 工程(a)が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、A1AT、ApoC3、コルチゾール、EGF、S100B、およびMPOからなる群より選択される5種またはそれより多い分析物について第1の数値を提供する工程を含み、かつ、工程(d)が、該5種またはそれより多い分析物各々について第2の数値を提供する工程を含む、請求項1記載の方法。
- 前記2種またはそれより多い分析物が、PRL、BDNF、RES、sTNFαRII、およびA1ATである、請求項1記載の方法。
- 精神神経疾患が、大うつ病性障害(MDD)である、請求項1記載の方法。
- 第1および第2の生物学的サンプルが、血液サンプルである、請求項1記載の方法。
- 前記処置が行動療法である、請求項1記載の方法。
- 前記処置が薬物療法を含む、請求項1記載の方法。
- 前記処置が、集団療法、対人関係療法、精神力動的療法、弛緩療法、または従来の心理療法を含む、請求項1記載の方法。
- (a)うつ病に対する対象の処置前に、該対象から第1の生物学的サンプルを得る工程;
(b)うつ病に対する該対象の処置後に、該対象から第2の生物学的サンプルを得る工程;
(c)第1および第2の生物学的サンプルを、異なるタンデム質量タグで標識する工程;
(d)標識されたサンプルを混合する工程;
(e)混合されたサンプルを酵素で断片化または消化する工程;
(f)タンデム質量タグで標識された断片を選択する工程;
(g)液体クロマトグラフィータンデム質量分析を用いて、異なるタンデム質量タグ由来のシグナルの強度を測定する工程;
(h)第1および第2の生物学的サンプル間のタンパク質発現の比を決定するために、前記シグナルの強度を比較する工程;ならびに
(i)工程(h)における比較に基づいて、差次的に発現されるバイオマーカーを同定する工程
を含む、処置に関連するうつ病についてのバイオマーカーを同定するための方法。
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