JP2014241371A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換効率が高く、光電変換層で生成した電子を負電極へ集電する効率を高めるバッファ層の機能を有し、且つ負電極用のバッファ層の形成が簡便である光電変換素子を、簡便な工程で作製できる製造方法を提供する。【解決手段】正電極2と負電極5との間に、光電変換層3及び有機リチウム錯体からなるカソードバッファ層4を有する光電変換素子10の製造方法は、光電変換層3上に、炭素数5以下のアルコール、炭素数5以下のケトン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種の溶媒で溶解させた有機リチウム錯体を、塗布乾燥して、カソードバッファ層4を形成する工程(A)と、カソードバッファ層4上に、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれる少なくとも1種の金属からなる負電極5を形成する工程(B)とを、含む方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、有機リチウム錯体からなるカソードバッファ層を有する光電変換素子の製造方法に関するものである。
太陽光発電は、再生可能エネルギーの中でも特に潜在的な利用可能量が多いことから、石油代替エネルギーの筆頭として注目されている。太陽光発電を担う素子として単結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系太陽電池、GaAs、CIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン含有化合物)、CdTeなどの無機化合物系薄膜太陽電池などがある。これらの太陽電池は比較的高い光電変換効率を有するが、他の発電コストと比較して高価格であることが問題である。コスト高の要因は、高真空且つ高温下で半導体薄膜を製造しなくてはならないプロセスにある。そこで近年特に製造プロセスの簡便化が期待される有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池が検討されている。
有機半導体薄膜は塗布法や印刷法により製膜できるため、製造プロセスを簡便化し、発電コストを低減できることが期待される。また、軽量且つフレキシブルな素子及びモジュールを作製できることから可搬性に優れ、電気的インフラの整備されていない地域においても利用できる可能性を秘めている。さらに、有機半導体は分子設計により光吸収帯域を制御できることから、様々な色調で意匠性に優れる太陽電池を提供することができる。しかし、これらの利点が期待できるものの、有機薄膜太陽電池の実用化に向けては、さらなる光電変換効率の向上が求められている。
有機薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させる一つの方法として、バッファ層の挿入が考案されている。バッファ層は、光電変換層で生成した電荷が逆の電極に流入することを遮蔽し、電荷再結合を抑制する働きや、光電変換層と電極との界面の電子エネルギー障壁を低減し、光電変換層で生成した電荷を集電する効率を向上させる働きがある。
例えば、正電極側のバッファ層(正孔輸送層)には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)が多用されている。また、重合可能な置換基を1つ以上有するポリマー又はオリゴマーを含む混合物から形成された正電極側バッファ層が開示されている(特許文献1)。これらのバッファ層は、溶媒に溶解させて塗布法により製膜することができ、真空中で基板に薄膜を形成する蒸着法と比較し、塗布法は材料の利用効率が高く大面積化に向いており、有機薄膜太陽電池を低コストで製造するのに有利である。
一方、負電極側のバッファ層には、フッ化リチウム、炭酸セシウム(非特許文献1)などの無機塩、カルシウム(非特許文献2)などの仕事関数が小さい金属が用いられているが、バッファ層を形成するのに蒸着法などの真空プロセスを必要とするため、低コストで製造するのに不利である。また、カルシウムなどの仕事関数が小さい金属は酸素や水と反応しやすいため、不活性雰囲気下で有機薄膜太陽電池を製造する必要がある。真空プロセスを必要としない材料としては、酸化チタン(非特許文献3)や酸化亜鉛などの酸化物半導体が提案されているが、酸化物半導体はバッファ層に求められる高い電子輸送性を得るために結晶構造を制御しなければならない。そのため、バッファ層を製造するプロセスが煩雑となり、低コストで製造するのに不利である。
特開2010−287767号公報
アプライド フィジックス レターズ(Applied Physics Letters)、2008年、第103巻、p.103721 アドバンスド ファンクショナル マテリアルズ(Advanced Functional Materials)、2009年、第19巻、p.1 アプライド フィジックス レターズ(Applied Physics Letters)、2006年、第89巻、p.233517
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、光電変換効率が高く、光電変換層で生成した電子を負電極へ集電する効率を高めるバッファ層の機能を有し、且つ負電極用のバッファ層の形成が簡便である光電変換素子を、簡便な工程で作製できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究をした結果、特定のカソードバッファ層を光電変換層の上に塗布により形成し、さらに該カソードバッファ層の表面上にAl、Zr、Ti、Y、Sc及びSiから選ばれるいずれかの金属からなる負電極を形成させる工程を経ることにより、高い光電変換効率を発現する光電変換素子が得られることを見出し、本発明の製造方法を完成させるに至った。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載の光電変換素子の製造方法は、正電極と負電極との間に、光電変換層及び有機リチウム錯体からなるカソードバッファ層を有する光電変換素子の製造方法であって、前記光電変換層上に、炭素数5以下のアルコール、炭素数5以下のケトン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種の溶媒で溶解させた前記有機リチウム錯体を、塗布乾燥して、前記カソードバッファ層を形成する工程(A)と、前記カソードバッファ層上に、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれる少なくとも1種の金属からなる前記負電極を形成する工程(B)とを、含むことを特徴とする。
請求項2に記載の光電変換素子の製造方法は、請求項1に記載されたものであって、前記光電変換層が、電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体との混合物であることを特徴とする。
請求項3に記載の光電変換素子の製造方法は、請求項1又は2に記載されたものであって、前記有機リチウム錯体の配位子が、キノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、オキサゾール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、チアゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、オキサジアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、チアジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、β−ジケトン類、アゾメチン類、アセチルアセトナート、及びこれらの誘導体から選ばれるいずれかであることを特徴とする。
請求項4に記載の光電変換素子の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載されたものであって、前記溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチルメチルエーテル、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−エトキシエタノール、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
請求項5に記載の光電変換素子の製造方法は、請求項1〜4に記載されたものであって、前記溶媒が、メタノールとイソプロパノール、エタノールとイソプロパノール、エタノールと2−エトキシエタノール、エタノールとジメチルスルホキシド、n−ブタノールとアセトン、及びn−プロパノールとイソプロパノールから選ばれるいずれかの組合せの混合溶媒であることを特徴とする。
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、光電変換層上に、溶媒で溶解させた有機リチウム錯体を塗布することによりカソードバッファ層を形成することができるため、簡便な工程により高い光電変換効率を有する光電変換素子を提供することができる。
本発明を適用する光電変換素子の代表的な一実施例を示す模式断面図である。 本発明を適用する光電変換素子の別な実施例を示す模式断面図である。
本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明は、正電極と負電極との間に、光電変換層及びカソードバッファ層を有する光電変換素子の製造方法である。本明細書において「カソードバッファ層」とは、光電変換層で発生した電子を負電極側に効率的に取り出すためのバッファ層として機能するバッファ層を意味する。以下、光電変換素子を構成する各成分について説明する。
本発明の製造方法により作製される光電変換素子の好ましい一形態は、例えば、図1に示されるように、基板1上で、一対の正電極2及び負電極5の間に、光電変換層3を有し、さらにその光電変換層3と負電極5との間にカソードバッファ層4を有する。
光電変換素子10の動作機構は、光透過性を有する電極から入射した光エネルギーが光電変換層3で吸収され、正孔と電子の結合した励起子を生成する。光電変換層3は、例えば、電子供与性化合物と電子受容性化合物との混合物からなるものであり、それらの界面に励起子が達すると、界面でのそれぞれのLUMOエネルギー及びHOMOエネルギーの違いにより正孔と電子とが分離し、独立に動くことができる電荷(正孔と電子)が発生する。発生した正孔は正電極2へ移動し、電子は負電極5へ移動することにより、外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。正電極2から効率良く正孔を取り出すには、電子供与性化合物のHOMOエネルギーに近い仕事関数を有する導電性材料を正電極2に使用することが好ましく、負電極5から効率良く電子を取り出すには、電子受容性化合物のLUMOエネルギーに近い仕事関数を有する導電性材料を負電極5に使用することが好ましい。本発明の製造方法においては、正電極2が光透過性を有するものであることが特に好ましい。
負電極5と正電極2は、少なくとも一方が光透過性を有するものであることが好ましい。光透過性を有する透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜などが挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、フッ素・スズ・オキサイド(FTO)、アンチモン・スズ・オキサイド、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)、ガリウム・亜鉛・オキサイド(GZO)、アルミニウム・亜鉛・オキサイド(AZO)、アンチモン・亜鉛・オキサイドからなる導電性材料を用いて作製された膜や、金、白金、銀、銅の極薄膜が用いられ、中でもITO、FTO、IZO、GZO、AZOなどが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などが挙げられる。また、透明な電極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体などの導電性高分子材料の膜や、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのナノカーボン材料の膜を用いてもよい。
光透過性を有する電極とは反対側の電極は、光透過性を有さなくてもよい。光透過性を有さない電極としては、公知の金属、導電性高分子などを用いることができる。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウムなどの金属あるいはそれらの合金などが挙げられる。
本発明の製造方法において、負電極5には、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれるいずれかの金属を用いる必要がある。負電極5はこれらの金属単独からなるものであってもよく、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれる金属のうちの一種又は複数種を含有する合金からなるものであってもよい。負電極5としてこれらの金属を用いることにより、該負電極金属の真空中での還元力を利用して、カソードバッファ層4を構成する有機リチウム錯体から還元されたリチウムを遊離させ、さらにその遊離リチウムで隣接する光電変換層3の電子輸送性有機物を還元することにより、電子注入障壁を小さくできるため、駆動電圧を低下させることができる。結果として、得られる光電変換素子10の光電変換効率が向上する。
光電変換層3は、通常、電子供与性化合物と電子受容性化合物との混合物からなり、本発明においては、電子供与性有機半導体(p型有機半導体)と電子受容性有機半導体(n型有機半導体)との混合物から形成されたものであることが好ましい。電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体との接合は、平面ヘテロ接合でもよく、バルクヘテロ接合でもよい。
光電変換層3に用いるp型有機半導体としては、低分子化合物であってもよく高分子化合物であってもよい。低分子化合物としては、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ポルフィリン、金属ポルフィリン、オリゴチオフェン、テトラセン、ペンタセン、ルブレンなどが挙げられる。高分子化合物としては、化学構造の一部にチオフェン、フルオレン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾゲルモール、ジケトピロロピロール、及びこれらの誘導体から選ばれる複素環骨格を少なくとも一つ有する単量体単位を含むπ電子共役重合体などが挙げられる。これらの中でも、少なくとも1つのチオフェン環を化学構造の一部に含む複素環骨格を有する単量体単位を含むπ電子共役重合体が光電変換効率の観点から好ましい。該複素環骨格としては例えば、シクロペンタジチオフェン、チエノピロール、ジチエノピロール、ジチエノシロール、ジチエノゲルモール、ベンゾジチオフェン、ナフトジチオフェン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、溶解性や極性を制御する目的で主鎖骨格に置換基を有してもよい。また、これらの高分子化合物は、単独重合体、ランダム又はブロック共重合体のいずれでもよく、その分子鎖は、直鎖状、分岐状、物理的又は化学的架橋状のいずれでもよい。これらの中でもp型有機半導体としては、塗布プロセスに適用するという観点から、高分子化合物が好ましく、少なくとも1つのチオフェン環を化学構造の一部に含む複素環骨格を有する単量体単位を含むπ電子共役重合体がより好ましい。
前記π電子共役重合体の重合度は特に限定されないが、欠陥のない均質な薄膜を得るという観点からは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用い、ポリスチレン標準物質により換算された数平均分子量が10,000以上であることが好ましい。また、高い光電変換効率の素子を得るという観点からは、数平均分子量が20,000以上であることがより好ましい。数平均分子量の上限は、特に限定されるものではないが、溶媒への溶解性の観点から、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。
光電変換層3に用いるn型有機半導体は、電子受容性を有する有機材料であれば特に限定されない。n型有機半導体として、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、C60又はC70フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。これらはそれぞれ単体で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、安定且つキャリア移動度に優れるn型半導体という観点からフラーレン誘導体が好ましく用いられる。
前記n型有機半導体として好適に用いられるフラーレン誘導体は、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニルC61ブチリックアシッドメチルエステル(PC61BM)、[5,6]−フェニルC61ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニルC61ブチリックアシッドn−ブチルエステル、[6,6]−フェニルC61ブチリックアシッドi−ブチルエステル、[6,6]−フェニルC61ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニルC61ブチリックアシッドドデシルエステル、[6,6]−ジフェニルC62ビス(ブチリックアシッドメチルエステル)(bis−PC62BM)、[6,6]−フェニルC71ブチリックアシッドメチルエステル(PC71BM)、[6,6]−ジフェニルC72ビス(ブチリックアシッドメチルエステル)(bis−PC72BM)、インデンC60−モノ付加体、インデンC60−ビス付加体、インデンC70−モノ付加体、インデンC70−ビス付加体をはじめとする置換誘導体などが挙げられる。これらの中でも、C60又はC70フラーレン誘導体が特に好ましく使用できる。
前記フラーレン誘導体は単独又はそれらの混合物として用いることができる。有機溶媒に対する溶解性の観点から、PC61BM、bis−PC62BM、PC71BM、bis−PC72BM、インデンC60−モノ付加体、インデンC70−ビス付加体、インデンC70−モノ付加体、インデンC70−ビス付加体が好適に用いられる。さらにこれらの中で、光吸収の観点からは、PC71BM、bis−PC72BM、インデンC70−モノ付加体、インデンC70−ビス付加体が、製造コストの観点からは、PC61BM、bis−PC62BM、インデンC60−ビス付加体がより好適に用いられる。
光電変換層3中のp型有機半導体及びn型有機半導体の含有量は、特に限定されない。また、p型有機半導体とn型有機半導体との組成比は、p型有機半導体:n型有機半導体=1〜99:99〜1の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜80:80〜20の範囲である。
光電変換層3の膜厚は、通常、1nm〜2000nmであり、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜300nmである。膜厚が薄すぎると光が十分に吸収されず、逆に厚すぎると抵抗損失によって電荷が電極へ到達し難くなる。
本発明の製造方法において、カソードバッファ層4は、有機リチウム錯体からなるものである。有機リチウム錯体中のリチウム金属は高い飽和蒸気圧を示し、酸化、還元反応の起こるような反応温度において、高融点金属で還元し遊離させることができる。遊離したリチウム金属が、隣接する光電変換層3の電子輸送性有機物を還元することにより、金属ドーピング層を形成し、光電変換層中の電子受容性材料のLUMO準位と負電極のLUMO準位との間のエネルギー障壁を低減することで、負電極5に移動する電子の電気抵抗を小さくする作用があると考えられる。
カソードバッファ層4に用いる有機リチウム錯体の配位子としては、例えば、キノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、オキサゾール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、チアゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、オキサジアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、チアジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、β-ジケトン類、アゾメチン類、アセチルアセトナート及びこれらの誘導体などを有する有機リチウム錯体が挙げられる。これらの中でも、8−キノリノール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、アセチルアセトナート、フェナントロリン及びこれらの誘導体であるリチウム配位子が、光電変換効率の観点から望ましい。
カソードバッファ層4の膜厚としては、特に限定されるものではないが、0.1〜50nmが好適である。膜厚が薄すぎる場合には、抵抗が増大して光電変換効率の低下の原因となる場合がある。膜厚が厚すぎる場合には、抵抗が増大して光電変換効率の低下の原因となる場合がある。より好ましくは0.1〜10nmであり、さらに好ましくは0.2nm〜2nmである。
本発明の光電変換素子の製造方法について説明する。本発明の製造方法としては、光電変換層3の表面上に、有機リチウム錯体を炭素数5以下のアルコール、炭素数5以下のケトン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種の溶媒に溶解させた溶液を、塗布し、乾燥して、有機リチウム錯体からなるカソードバッファ層4を形成する工程(A)と、該カソードバッファ層4の表面上に、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれるいずれかの金属からなる負電極5を形成する工程(B)とを、含む方法である。
前記工程(A)において、塗布方法は特に制限されず、液状の塗布材料を用いる従来から知られている塗布方法のいずれもが採用できる。例えば、浸漬コーティング法、スプレーコ−ティング法、インクジェット法、エアロゾルジェット法、スピンコ−ティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコ−ティング法、ブレードコーティング法、ローラーコ−ティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコ−ター法、マイクログラビア法、コンマコーター法などの塗布方法を採用することができ、塗膜厚さ制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。
塗布方法としてスピンコ−ティング法を採用する場合には、そのスピンコート回転数を調節することで、所望の膜厚を有するカソードバッファ層4を得ることができる。スピンコート条件は特に限定されるものではないが、1000〜8000rpmの回転数が好ましく、2000〜6000rpmの回転数がより好ましい。このとき、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で製膜することにより、材料の変性を抑制することができる。
有機リチウム錯体を溶解させる塗布溶剤としては、炭素数5以下のアルコール、炭素数5以下のケトン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いる。炭素数5以下のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチルメチルエーテル、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−エトキシエタノールなどが挙げられる。炭素数5以下のケトンとしては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノンなどが挙げられる。これらの溶媒の中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシエタノール、アセトン、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
混合溶媒を用いる場合、前記から選ばれる任意の組合せを用いることができるが、有機リチウム錯体の溶解性と、光電変換層3を溶解させないという観点から、メタノールとイソプロパノール、エタノールとイソプロパノール、エタノールと2−エトキシエタノール、エタノールとジメチルスルホキシド、n−ブタノールとアセトン、n−プロパノールとイソプロパノールのいずれかの組合せの混合溶媒を用いることが好ましい。
前記工程(B)において、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれるいずれかの金属からなる負電極5の形成方法は、下層の有機リチウム錯体からなるカソードバッファ層4を効率的に還元できる方法であれば特に限定されないが、真空下で形成することが好ましい。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。
本発明の製造方法によって得られる光電変換素子10は、図1に示すように、基板1上に形成することが好ましい。この基板1は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよい。基板1の材料としては、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、シリコンなどの無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂などの有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。透明な基板1を用いる場合には、基板1に接する方の電極が光透過性を有する電極にしてもよい。基板1上に正電極2又は負電極5を前記記載の方法などにより形成する。
光電変換層3は、電子供与性化合物と電子受容性化合物との混合物、より好ましくは電子供与性有機半導体(p型有機半導体)と電子受容性有機半導体(n型有機半導体)との混合物を溶媒に溶解させ、有機半導体組成物溶液とし、正電極2の上に塗布して製膜することで製造することができる。塗布方法は特に制限されず、前記の有機リチウム錯体からなるバッファ層の製膜方法として例示した方法のいずれも採用することができる。溶解溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、ブロモホルム、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、メトキシベンゼン、トリクロロベンゼン、ピリジンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いてもよいが、特にp型有機半導体及びn型有機半導体のそれぞれについて溶解度が高いo−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、クロロホルム、及びこれらの混合物が好ましい。より好ましくは、p型有機半導体及びn型有機半導体のそれぞれについて溶解度が最も高いo−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、及びこれらの混合物が用いられる。
有機半導体組成物溶液に含まれるp型有機半導体とn型有機半導体との質量の和は、溶解溶媒の質量の和100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜5.0質量部であることがより好ましい。有機半導体組成物溶液の固形分濃度としては、0.1〜9.1質量%の範囲が好ましく、0.5〜4.8質量%の範囲がより好ましい。
前記の工程において、有機半導体組成物溶液中にp型有機半導体及びn型有機半導体以外に高沸点化合物を添加物として含んでもよい。高沸点化合物を含有させることによって光電変換層3を製膜する過程において、p型有機半導体及びn型有機半導体の微細且つ連続した相分離構造が形成されるため、光電変換効率に優れる光電変換層3を得ることが可能となる。
高沸点化合物としては、オクタンジチオール(沸点:270℃)、ジブロモオクタン(沸点:272℃)、ジヨードオクタン(沸点:327℃)、ジヨードヘキサン(沸点:142℃[10mmHg])、ジヨードブタン(沸点:125℃[12mmHg])、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:162℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点:229℃)、1−又は2−クロロナフタレン(沸点:256℃)などが例示される。これらの中で、光電変換効率に優れる光電変換素子を得るという観点から、オクタンジチオール、ジブロモオクタン、ジヨードオクタン、1−又は2−クロロナフタレンが好ましく用いられる。
高沸点化合物の添加量は、p型有機半導体及びn型有機半導体が析出せず、均一な溶液を与えるものであれば特に限定されないが、溶媒に対して体積分率で0.1%〜20%であると好ましく、0.5%〜10%の範囲であるとより好ましい。添加量が0.1%〜20%の範囲内であることにより、微細且つ連続した相分離構造を有する光電変換層3を形成することができる。添加量が20%よりも多い場合は、溶媒及び添加物の乾燥速度が遅くなる傾向がある。
さらに、前記有機半導体組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、界面活性剤、バインダー樹脂、フィラーなどの他の添加物成分を含んでいてもよい。
光電変換層3を形成する際には、必要に応じて熱又は溶媒アニールを行ってもよい。アニール処理を施すことで、光電変換層3の材料の結晶性と、p型有機半導体とn型有機半導体との相分離構造を変化させ、光電変換特性に優れる素子を得ることができる。
前記の熱アニールは、前記光電変換層3を製膜した基板1を所望の温度で保持して行う。熱アニールは減圧下又は不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、好ましい温度は40℃〜150℃、より好ましくは70℃〜150℃である。温度が低いと十分な効果が得られず、温度が高すぎると光電変換層3が酸化及び/又は分解し、十分な光電変換特性を得ることができない。
前記の溶媒アニールは、前記光電変換層3を製膜した基板1を溶媒雰囲気下で所望の時間保持することで行う。このときのアニール溶媒は特に限定されないが、前記光電変換層3に対する良溶媒であることが好ましい。溶媒アニールは、光電変換層3を構成する有機半導体組成物を、基板1上に塗布して、当該組成物中に溶媒が残存した状態で行ってもよい。
光電変換素子10は、必要に応じてさらに正孔輸送層6を設けてもよい。正孔輸送層6を有する光電変換素子10の模式断面図を図2に示す。光電変換素子10は、基板1上に形成された一対の正電極2と負電極5との間に光電変換層3を有し、その光電変換層3と負電極5との間にカソードバッファ層4を有し、さらに光電変換層3と正電極2との間に正孔輸送層6を有する。基板1は負電極5に隣接する配置でもよく、正電極2に隣接する配置でもよい。
正孔輸送層6を形成する材料としては、p型半導体特性を有するものであれば特に限定されないが、ポリチオフェン系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体などの導電性高分子;フタロシアニン誘導体(HPc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物;酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウムなどの遷移金属酸化物が好ましく用いられる。特に、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)が好ましく用いられる。正孔輸送層6は、1nmから600nmの厚さが好ましく、20nmから300nmがより好ましい。
本発明のおける光電変換素子は、タンデム型光電変換素子として用いてもよい。タンデム型光電変換素子は、文献公知の方法、例えば、サイエンス,2007年,第317巻,p.222に記載の方法を用いて作製することができる。具体的には、電荷再結合層を、長波長側(〜1100nm)まで光吸収し光電変換可能な光電変換層(I)と紫外〜可視光領域(190〜700nm)の光電変換が可能な光電変換層(II)とで挟み込んだ構造が挙げられる。この光電変換層(I)と光電変換層(II)との接続順は逆であってもよい。
電荷再結合層とは、正電極側の光電変換層で生じた電子と、負電極側の光電変換層で生じた正孔とを再結合させる働きをする。各光電変換層で電荷分離して生じた正孔及び電子は、光電変換層中の内部電場によってそれぞれ正電極と負電極方向へと移動する。このとき、正電極側の光電変換層で生じた正孔及び負電極側の光電変換層で生じた電子はそれぞれ正電極及び負電極へ取り出され、正電極側の光電変換層で生じた電子及び負電極側の光電変換層で生じた正孔が再結合することによって、各光電変換層が電気的に直列に接続された電池として機能し開放電圧が増大する。
電荷再結合層は、複数の光電変換層が光吸収できるようにするため、光透過性を有することが好ましい。また、電荷再結合層は、十分に正孔と電子とが再結合するように設計されていればよいので、必ずしも膜である必要はなく、例えば、光電変換層上に一様に形成された金属クラスターであってもかまわない。従って、該電荷再結合層には、金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどからなる数nm以下程度の光透過性を有する非常に薄い金属膜や金属クラスター(合金を含む)、ITO、IZO、AZO、GZO、FTO、酸化チタンや酸化モリブデンなどの光透過性の高い金属酸化物膜及びクラスター、PSSが添加されたPEDOTなどの導電性有機材料膜、又はこれらの複合体などが用いられる。例えば、銀を、真空蒸着法を用いて水晶振動子膜厚モニター上で数nm以下となるように蒸着すれば、一様な銀クラスターが形成できる。その他にも、酸化チタン膜を形成するならば、例えば、アドバンスト マテリアルズ,2006年,第18巻,p.572に記載のゾルゲル法を用いればよい。ITO、IZOなどの複合金属酸化物であるならば、スパッタリング法を用いて製膜すればよい。これらの電荷再結合層の形成法や種類は、電荷再結合層形成時の光電変換層への非破壊性や、次に積層される光電変換層の形成法などを考慮して適当に選択すればよい。
本発明における光電変換素子は、光電変換効率に優れ、太陽電池をはじめとして各種光センサなどへ応用が可能である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の評価は以下のようにして行った。
[光電変換層の膜厚測定]
実施例及び比較例の光電変換層の膜厚は、接触式段差計(DEKTAK8:Veeco社製)を用いて、触針圧:3mg、測定レンジ:50kÅの条件で測定した。
[光電変換効率の測定]
実施例及び比較例で作製した光電変換素子の光電変換効率は、ソーラーシミュレーター(OTENTO−SUNII:分光計器社製)及びソースメーター(KEITHLEY2400:KEITHLEY社製)を用い、照射スペクトルはAM1.5、照射強度は100mW/cmで測定した。測定時の照射強度は、フォトダイオード(BS−520、分光計器社製)を用い、太陽電池評価基準となるように調節した。
(実施例1)
155nmのインジウム・スズ・オキサイドが0.7mmのガラス上に製膜された基板(ジオマテック社製、以下ITO基板)を、セミコクリーン(フルウチ化学社製)、超純水、アセトン及びイソプロパノールで10分間超音波洗浄し、乾燥した後、UV−O3クリーナー(フィルジェン社製)を用いて30分間オゾンクリーニングした。
洗浄したITO基板の上に、PEDOT:PSS分散水溶液(Clevios PH500)を6000rpmで60秒間スピンコートした。得られたPEDOT:PSSの膜厚は32nmであった。PEDOT:PSS分散水溶液を塗布したITO基板を窒素で満たされたグローブボックス中に導入し、窒素雰囲気下にて、ホットプレートを用いて150℃で10分間熱処理を行い、PEDOT:PSSからなる正孔輸送層を形成した。
続いて、電子供与性半導体として1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン及び2,6−ビス(トリメチルチン)−4,8−ビス(2−エチルヘキシロキシ)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェンを重合して得られる下記化学式(1)で表されるπ電子共役重合体(数平均分子量:58,000)と、電子受容性半導体として[6,6]−フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル(フロンティアカ−ボン社製)とを重量比60:40で混合し、窒素雰囲気下にてクロロベンゼン溶液を加えて固形分濃度を2.8質量%に調製し、添加剤としてジヨードオクタン2.5%を加えた。80℃で3時間攪拌した後、0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルターでろ過して均一な有機半導体組成物溶液を得た。調製した溶液を窒素雰囲気下にて、PEDOT:PSSを塗布したITO基板の上に24020rpmで30秒間スピンコートし、3時間真空乾燥して光電変換層を形成した。得られた光電変換層の膜厚は90nmであった。
Figure 2014241371
続いて、市販の(8−ヒドロキシキノリン)リチウム(ケミプロ化成社製)に2−エトキシエタノールを加えて0.2質量%の濃度に調製し、窒素雰囲気下にて室温で攪拌した後、0.45μmのポリフッ化ビニリデン製のフィルターでろ過して均一な溶液を得た。調製した溶液を窒素雰囲気下にて、光電変換層の塗布した基板の上に4000rpmで30秒間スピンコートし、2時間真空乾燥してカソードバッファ層を形成した。得られたカソードバッファ層の膜厚は0.8nmであった。
続いて、該基板を抵抗加熱式真空蒸着装置に導入し、5.0×10−5Paの減圧条件下にて80nmのアルミニウム(Al)(純度99.999%)を真空蒸着して負電極を形成することで、光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の発電面積は0.25cmであった。続いて、ガラス製の封止キャップにUV硬化樹脂を塗布し、作製した光電変換素子と貼り合わせた後、UVランプを照射することで光電変換素子を封止した。作製した光電変換素子の光電変換効率を測定した結果、光電変換効率は5.86%であった。
(実施例2)
(8−ヒドロキシキノリン)リチウムの調製溶媒をエタノール:イソプロパノール=4:1の混合溶媒に変更し、6000rpmで30秒間スピンコートした以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製した。得られたカソードバッファ層の膜厚は0.5nmであった。作製した光電変換素子の光電変換効率を測定した結果、光電変換効率は6.21%であった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で製膜した光電変換層の上に、7.0×10−5Paの減圧条件下にて0.5nmのフッ化リチウム(フルウチ化学社製)を真空蒸着してカソードバッファ層を形成した。得られたカソードバッファ層の膜厚を、水晶振動子を用いて確認したところ0.5nmであった。(8−ヒドロキシキノリン)リチウムの代わりにフッ化リチウムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の光電変換効率を測定した結果、光電変換効率は5.72%であった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で製膜した(8−ヒドロキシキノリン)リチウムの上に、5.0×10−5Paの減圧条件下にて80nmの銀(Ag)(純度99.999%)を真空蒸着して負電極を形成した。アルミニウムの代わりに銀を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の光電変換効率を測定した結果、光電変換効率は1.92%であった。
実施例1,2及び比較例1,2の比較より、本発明の構成要件を満たす製造方法によって得られた実施例1,2の光電変換素子は、カソードバッファ層を真空蒸着法により形成した比較例1及び電極としてAgを用いた比較例2で得られた光電変換素子に比べ、光電変換効率が高く、光電変換素子の製造方法として優れていることは明らかである。
(実施例3)
電子供与性半導体として市販のポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)(アルドリッチ社製)と電子受容性半導体として[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル(フロンティアカ−ボン社製)とを重量比60:40で混合し、窒素雰囲気下にてクロロベンゼン溶液を加えて、固形分濃度を2.7質量%に調製し、40℃で3時間攪拌した後、0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルターでろ過して均一な有機半導体組成物溶液を得た。調製した溶液を窒素雰囲気下にて、PEDOT:PSSを塗布したITO基板の上に2500rpmで30秒間スピンコートした。3時間真空乾燥後、150℃で30分間熱アニールして光電変換層を形成した。得られた光電変換層の膜厚は90nmであった。光電変換層の材料を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、(8−ヒドロキシキノリン)リチウムからなるカソードバッファ層を有する光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の光電変換効率を測定した結果、光電変換効率は2.48%であった。
(比較例3)
実施例3と同様の方法で製膜した(8−ヒドロキシキノリン)リチウム層の上に、5.0×10−5Paの減圧条件下にて80nmの銀(Ag)(純度99.999%)を真空蒸着して負電極を形成した。アルミニウムの代わりに銀を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の光電変換効率を測定した結果、光電変換効率は0.93%であった。
実施例3及び比較例3の比較より、光電変換層を変更した場合においても、本発明の構成要件を満たす製造方法によって得られた実施例3の光電変換素子は、電極としてAgを用いた比較例3で得られた光電変換素子に比べ、光電変換効率が高いことから、多種多様な光電変換層に適用可能であることは明らかである。
本発明の製造方法によって得られる光電変換素子は、光電変換効率に優れ、太陽電池をはじめとし各種光センサなどへ応用可能である。
1は基板、2は正電極、3は光電変換層、4はカソードバッファ層、5は負電極、6は正孔輸送層、10は光電変換素子。

Claims (5)

  1. 正電極と負電極との間に、光電変換層及び有機リチウム錯体からなるカソードバッファ層を有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記光電変換層上に、炭素数5以下のアルコール、炭素数5以下のケトン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種の溶媒で溶解させた前記有機リチウム錯体を、塗布乾燥して、前記カソードバッファ層を形成する工程(A)と、
    前記カソードバッファ層上に、Al、Zr、Ti、Y、Sc、及びSiから選ばれる少なくとも1種の金属からなる前記負電極を形成する工程(B)とを、含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 前記光電変換層が、電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 前記有機リチウム錯体の配位子が、キノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、オキサゾール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、チアゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、オキサジアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、チアジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、β−ジケトン類、アゾメチン類、アセチルアセトナート、及びこれらの誘導体から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子の製造方法。
  4. 前記溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチルメチルエーテル、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−エトキシエタノール、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 前記溶媒が、メタノールとイソプロパノール、エタノールとイソプロパノール、エタノールと2−エトキシエタノール、エタノールとジメチルスルホキシド、n−ブタノールとアセトン、及びn−プロパノールとイソプロパノールから選ばれるいずれかの組合せの混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜4に記載の光電変換素子の製造方法。
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