JP2014240065A - 流路構造体および流路構造体の製造方法 - Google Patents

流路構造体および流路構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、微小流路内に耐熱性を有さない材料を含む機能性材料部を容易に配置することができる流路構造体を提供する。
【解決手段】本発明の流路構造体は、第1基板と、第1基板に重ねて直接接合された第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられたナノ流路と、前記ナノ流路中に設けられた機能性材料部とを備え、第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなり、前記ナノ流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板に覆われる構造を有し、かつ、20nm以上5000nm以下の幅を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、流路構造体および流路構造体の製造方法に関する。
近年、化学物質、細胞、微小粒子などの分離、化学反応、分析などを行うための微小流路を備えた構造体が研究・開発されている。また、この微小流路に流す液体や液体に含まれる溶質などを制御するために微小流路内に機能性材料を配置することが研究されている。特に、数ミクロン以下の幅を有する微小流路を備えた構造体は、1分子を単離することができ一分子操作、一分子反応を実現することが可能であるため、医療応用や化学反応素過程の解明などにおいて1分子レベル研究のツールとして望まれている。
また、ガラスなどの優れた機械的強度・化学的強度を有する無機材料により微小流路を形成した構造体は、様々な化学物質について使用することができ、かつ、高い圧力をかけることができるため、注目されている。
無機材料により微小流路を形成する場合、通常、第1基板に微小流路となる溝を形成した後、第1基板に第2基板を接合することにより第1基板と第2基板との間に微小流路を形成する。第1基板と第2基板との接合は、通常、熱融着や無機接着剤を用いて接合される(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−139621号公報
しかし、第1基板と第2基板とを熱融着させて流路構造体を形成する場合、第1および第2基板を加熱する必要がある。このため、微小流路内に耐熱性を有さない機能性材料を配置する場合、第1基板と第2基板とを接合し微小流路を形成した後に機能性材料を微小流路内に設置する必要がある。微小流路内部は微小空間であるため、微小流路内に配置することができる機能性材料は制限される。特に、金属材料などを微小流路内に配置することは難しい。また、第1および第2基板を加熱することにより接合すると、基板の変形により微小流路が塞がれる場合があり、数ミクロン以下の微小流路を形成することは難しい。
また、第1基板と第2基板とを無機接着剤を用いて接合し流路構造体を形成する場合、無機接着剤が微小流路内に侵入し微小流路を塞ぐ場合があるため、数ミクロン以下の微小流路を形成することは難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、微小流路内に耐熱性を有さない材料を含む機能性材料部を容易に配置することができる流路構造体を提供する。
本発明は、第1基板と、第1基板に重ねて直接接合された第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられたナノ流路と、前記ナノ流路中に設けられた前記機能性材料部とを備え、第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなり、前記ナノ流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板に覆われる構造を有し、かつ、20nm以上5000nm以下の幅を有することを特徴とする流路構造体を提供する。
本発明によれば、第1基板と、第1基板に重ねて接合された第2基板と、第1基板と第2基板と間に設けられたナノ流路とを有し、前記ナノ流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板に覆われる構造を有するため、流路構造体がその内部に第1基板と第2基板が内壁を構成するナノ流路を有することができる。
本発明によれば、前記ナノ流路は、20nm以上5000nm以下の幅を有するため、微量の液体をナノ流路に流すことができ、流路構造体を一分子単離などの用途に用いることができる。
本発明によれば、第1および第2基板は重ねて直接接合されているため、第1および第2基板を接合する際に接着剤などがナノ流路内に流入しナノ流路が塞がれることはない。また、ナノ流路内に耐熱性を有さない材料を含む機能性材料部を容易に配置することが可能である。
本発明によれば、前記ナノ流路中に設けられた機能性材料部を備えるため、機能性材料部によりナノ流路を流れる液体を制御することやナノ流路を流れる液体中の化学物質を化学反応させることなどが可能になる。
本発明によれば、第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなるため、流路の内壁が優れた耐食性および強度を有することができる。また、流路に高圧をかけることも可能になる。
本発明の一実施形態の流路構造体の概略斜視図である。 本発明の一実施形態の流路構造体の製造方法の工程図である。 本発明の一実施形態の流路構造体の製造に用いるプラズマ処理装置の概略断面図である。 本発明の一実施形態の流路構造体の製造方法の工程図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)〜(e)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)〜(e)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)〜(e)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)〜(n)は、本発明の一実施形態の流路構造体に含まれる機能材料部の模式的な概略断面図である。 本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 図12の点線で囲んだ範囲Aの拡大図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)〜(f)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 (a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 ナノ流路を形成した石英ガラス基板の写真である。 本発明の一実施形態の流路構造体の概略斜視図である。 本発明の一実施形態の流路構造体に含まれる第1基板の概略斜視図である。 図19の破線で囲んだ範囲Bにおける第1基板の概略上面図である。 本発明の一実施形態の流路構造体に含まれる第2基板の概略斜視図である。 本発明の一実施形態の流路構造体に含まれるナノ流路の概略断面図である。 本発明の一実施形態の流路構造体の概略断面図である。 図23の破線C−Cにおける流路構造体の概略断面図である。 流動電流測定において製造した流路構造体の写真である。 流動電流測定において製造した流路構造体に含まれるナノ流路の端部のSEM写真である。 流動電流測定の測定結果を示すグラフである。 (a)はナノウェルアレイ作製実験において撮影したAFM画像であり、(b)は撮影したSEM画像である。 流体制御実験において用いた温度応答性ポリマーの合成方法を示す図である。 流体制御実験において測定した温度と透過率との関係を示すグラフである。
本発明の流路構造体は、第1基板と、第1基板に重ねて直接接合された第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられたナノ流路と、前記ナノ流路中に設けられた前記機能性材料部とを備え、第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなり、前記ナノ流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板に覆われる構造を有し、かつ、20nm以上5000nm以下の幅を有することを特徴とする。
なお、前記ナノ流路は、50nm以上1000nm以下の幅を有することが好ましい。
本発明の流路構造体において、前記機能性材料部は、金属材料を含むことが好ましい。
このような構成によれば、様々な機能を有する機能性材料部を形成することが可能になる。
本発明の流路構造体において、第1および第2基板は、それぞれガラスからなることが好ましい。
このような構成によれば、流路構造体内部のナノ流路の内壁を化学的強度の強いガラスにすることができ、様々な種類の液体をナノ流路に流すことが可能になる。また、流路構造体の機械的強度を強くすることができ、ナノ流路に高圧をかけることが可能になる。さらに、ガラスは透光性を有するため、光を用いて機能性材料部を作製することや光を用いて機能性材料部を制御することやナノ流路内の状態を光学的手段により確認することなどが可能になる。
本発明の流路構造体において、前記ナノ流路は、液体を流す第1流路と、第1流路から分岐した第2流路とを含み、前記機能性材料部は、前記ナノ流路中に流す液体を塞き止める機能を有し、かつ、第2流路中に設けられ、第1および第2流路の分岐点と前記機能性材料部との間の第2流路の容積は、5×10-20L以上1×10-15L以下であることが好ましい。
このような構成によれば、ナノ流路中を液体で満たした後、第1および第2流路の分岐点と前記機能性材料部との間の第2流路中に液体を残した状態で第1流路中の液体を除去することができ、5×10-20L以上1×10-15L以下の定量体積を正確に量り取ることができる。このため、溶媒中に1分子の溶質が溶解した溶液を量り取ることが可能になる。
本発明の流路構造体において、前記機能性材料部は、金属膜と、前記金属膜の表面に形成された吸着分子層または自己組織化単分子膜とを含み、前記吸着分子層または前記自己組織化単分子膜は、親水性または疎水性を有することが好ましい。
ナノ流路に流す液体を水溶液とし吸着分子層または自己組織化単分子膜を疎水性とした場合、機能性材料部によりナノ流路に流す水溶液を塞き止めることができる。また、ナノ流路に流す液体を非水溶液とし吸着分子層または自己組織化単分子膜を親水性とした場合、機能性材料部によりナノ流路に流す水溶液を塞き止めることができる。
本発明の流路構造体において、前記吸着分子層または前記自己組織化単分子膜は、受光する光、温度あるいはナノ流路内の液体のpHまたはイオン強度により形状あるいは濡れ性が変化することが好ましい。
このような構成によれば、吸着分子層または自己組織化単分子膜の形状あるいは濡れ性を変化させることにより、ナノ流路の開閉が可能になり機能性材料部をバルブとして機能させることができる。
本発明の流路構造体において、機能性材料部は、第1基板上に設けられた第1及び第2ナノ電極を含み、第1及び第2ナノ電極は、ナノ流路中に電極間隔を置いて配置されたことが好ましい。
このような構成によれば、第1及び第2ナノ電極間の電位差の測定や第1及び第2ナノ電極間の電圧−電流特性の測定によりナノ流路中における液体や溶質の電気的特性又は電気化学的特性を調べることができる。
本発明の流路構造体において、第1基板上に設けられた第1及び第2接続部をさらに備え、第1ナノ電極は、第1接続部と電気的に接続し、第2ナノ電極は、第2接続部と電気的に接続することが好ましい。
このような構成によれば、第1及び第2接続部を介して、第1及び第2ナノ電極間の液体や溶質の電気的特性又は電気化学的特性を測定することができる。
本発明の流路構造体において、第1基板と第2基板との間に設けられた第1及び第2制御用流路をさらに備え、第1及び第2制御用流路は、それぞれ第2基板に設けられた溝が第1基板に覆われる構造を有し、第1制御用流路は、前記ナノ流路を介して第2制御用流路と連通することが好ましい。
このような構成によれば、第1及び第2制御用流路を介してナノ流路に流れる液体を制御することができる。
本発明の流路構造体において、前記ナノ流路は、底部に複数の凹部を有し、前記機能性材料部は、前記凹部の底に配置され、かつ、分子捕捉機能を有することが好ましい。
このような構成によれば、凹部内に検出分子を捕捉することができ、捕捉した検出分子がナノ流路中の液体の入れ替えなどにより拡散することを抑制することができる。この結果、ナノ流路内の微小空間に信号を局所化することができ、正確な検出を行うことができる。
また、本発明は、流路となる溝が設けられた第1基板の前記溝中に機能性材料部の一部または全部を形成する工程と、第1基板の表面と第2基板の表面とをプラズマ処理する工程と、プラズマ処理された第1基板の表面とプラズマ処理された第2基板の表面とを接触させることにより第1基板と第2基板とを直接接合し第1基板と第2基板との間に前記流路を形成する工程とを備え、第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなる流路構造体の製造方法も提供する。
本発明の流路構造体の製造方法によれば、流路となる溝が設けられた第1基板の前記溝中に機能性材料部を形成する工程を備えるため、電子ビームを用いるリソグラフィ技術、蒸着やスパッタリングなどのPVD、CVDなどにより溝内に機能性材料部を形成することができる。また、この工程は、第1基板と第2基板とを接合する前であるため、様々な材料を機能性材料部に用いることができる。
本発明の流路構造体の製造方法によれば、第1基板の表面と第2基板の表面とをプラズマ処理する工程と、プラズマ処理された第1基板の表面とプラズマ処理された第2基板の表面とを接触させることにより第1基板と第2基板とを直接接合する工程とを備えるため、溝内に形成された機能性材料部を高温にさらすことなく第1基板と第2基板とを接合することができる。このため、機能性材料部が損傷したり変質したりすることを抑制することができ、微小流路内に耐熱性を有さない材料を含む機能性材料部を容易に配置することが可能になる。また、接合時に第1基板と第2基板が変形することを抑制することができるため、接合時に流路が塞がれることを抑制することができる。さらに、第1基板と第2基板とを接着剤を用いることなく接合することができるため、接着剤が流路に流入し流路を塞ぐことがない。
本発明の流路構造体の製造方法によれば、第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなるため、流路の内壁が優れた耐食性および強度を有する流路構造体を製造することができる。また、製造した流路構造体では、流路に高圧をかけることも可能になる。
第1基板と第2基板とを直接接合する温度は、例えば、−20℃以上200℃以下とすることができ、−20℃以上100℃以下とすることが好ましく、−20℃以上60℃以下とすることがさらに好ましい。室温とすることが最も好ましい。
本発明の流路構造体の製造方法において、前記プラズマ処理する工程は、酸素ガスおよびフッ素含有ガスの混合ガス中に発生させたプラズマにより第1基板の表面と第2基板の表面とを処理する工程であることが好ましい。
このような構成によれば、第1基板と第2基板とを室温において接合することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
流路構造体の構成および製造方法
図1は本実施形態の流路構造体の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施形態の流路構造体の製造方法の概略工程図である。
本実施形態の流路構造体10は、第1基板1と、第1基板1に重ねて直接接合された第2基板2と、第1基板1と第2基板2との間に設けられたナノ流路7と、ナノ流路7中に設けられた機能性材料部5とを備え、第1基板1および第2基板2は、それぞれ無機材料からなり、ナノ流路7は、第1基板1に設けられた溝14が第2基板2に覆われる構造を有し、かつ、20nm以上5000nm以下の幅d1を有することを特徴とする。
本実施形態の流路構造体10の製造方法は、流路7となる溝14が設けられた第1基板1の溝14中に機能性材料部5の一部または全部を形成する工程と、第1基板1の表面と第2基板2の表面とをプラズマ処理する工程と、プラズマ処理された第1基板1の表面とプラズマ処理された第2基板2の表面とを接触させることにより第1基板1と第2基板2とを直接接合し第1基板1と第2基板2との間に流路7を形成する工程とを備え、第1および第2基板1、2は、それぞれ無機材料からなる。
以下、本実施形態の流路構造体10および流路構造体10の製造方法について説明する。
1.流路構造体
流路構造体10は、微小な流路7(ナノ流路7又はマイクロ流路7’)が形成された構造体である。流路構造体10は、液相一分子操作デバイス、アトリットルインジェクター、分子ナノパターン、マイクロリアクター、検出素子などとしての機能を有することができる。
2.第1基板、第2基板
第1基板1と第2基板2は、重ねて直接接合されている。このことにより、第1基板1と第2基板2との間に接着剤などが介在しないため、接着剤などにより流路7が塞がれることがない。なお、流路7は、溝14が形成された第1基板1と第2基板2とを接合することにより形成される。また、第2基板2に溝14’を設け、第1基板1の溝14を設けた面と、第2基板2の溝14’を設けた面とが接触するように第1基板1と第2基板2とを接合してもよい。
第1基板1および第2基板2は、それぞれ無機材料からなる。第1基板1または第2基板2には、例えば、ガラス基板(石英ガラス基板など)、半導体基板(シリコン基板など)、セラミックス基板などである。特に第1基板1および第2基板2にガラス基板を用いることが好ましい。このことにより、流路7の内壁を化学的強度の強いガラスにすることができ、様々な種類の液体を流路7に流すことが可能になる。また、流路構造体10の機械的強度を強くすることができ、流路7に高圧をかけることが可能になる。さらに、ガラス基板は透光性を有するため、光を用いて機能性材料部5を作製することや光を用いて機能性材料部5を制御することや流路7内の状態を光学的手段により確認することなどが可能になる。
なお、第1基板1と第2基板2は、同種の材料からなることが好ましいが、異なる材料からなってもよい。
第1基板1および第2基板2の大きさや厚さは特に限定されないが、例えば、大きさが40mm×30mmで、厚さが0.70mmの第1および第2基板1、2を用いることができる。
また、第1基板1と第2基板2は、第1基板1のプラズマ処理された表面と第2基板2のプラズマ処理された表面とを接触させることにより接合されていてもよい。このことにより、基板接合時に第1基板1または第2基板2が変形することにより流路7の内壁が変形したり流路7が詰まったりすることを抑制することができる。また、流路7中に設けた機能性材料部7が基板接合時に変質したり損傷したりすることを抑制することができる。
図3は、第1基板1または第2基板2にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置23の概略断面図である。また、図4は、プラズマ処理した第1および第2基板1、2を接合する方法の概略工程図である。
第1基板1の表面または第2基板2の表面のプラズマ処理は、例えば、図3に示したようなプラズマ処理装置23によりプラズマ処理することができる。プラズマ処理装置23では、プラズマチャンバー18内に第1基板1または第2基板2を設置し、プラズマチャンバー18内を導入気体で満たした後電圧を印加することにより、第1基板1の表面または第2基板2の表面をプラズマ処理することができる。第1基板1および第2基板2は、同時にプラズマ処理してもよく、別々にプラズマ処理してもよい。また、プラズマチャンバー18内に発生させるプラズマは、RIEプラズマとすることができる。
なお、プラズマ処理する際に、溝14内に設けられた機能性材料部5をカバーで覆ってもよい。このことにより、プラズマ処理により機能性材料部5が損傷することを防止することができる。このカバーは、例えば、溝14内において機能性材料部5を覆うレジストなどであってもよく、プラズマ処理する際に機能性材料部5を物理的に覆うカバーであってもよい。
溝14内においてカバーが機能性材料部5を覆う場合、カバーは、第1基板1と第2基板2を接合した後、流路7に溶媒を流すことにより除去することができる。
プラズマ処理する工程は、例えば、酸素ガスおよびフッ素含有ガスの混合ガス中に発生させたプラズマにより第1基板1の表面と第2基板2の表面とを処理する工程とすることができる。このことにより、室温において第1基板1と第2基板2とを接合することが可能になる。フッ素含有ガスとしては、例えば、CF4ガスを用いることができる。また、酸素ガスとCF4ガスの混合比は、100:0.05〜100:0.25とすることができる。このことにより第1基板1と第2基板2との接合強度を強くすることができる。また、プラズマチャンバー18内の圧力は、例えば、50Paとすることができる。
プラズマ処理後、第1基板1と第2基板2は、例えば、図4のようにそれぞれのプラズマ処理した面を接触させることができる。この後、第1基板1と第2基板とを圧着させることにより第1基板1と第2基板2とを接合することができる。第1基板1と第2基板との圧着は、例えば、ローラー25により20kgfの力を加えることにより行うことができる。なお、図4では、第1、2基板1、2を2つのローラー25により挟み込むことにより第1基板1と第2基板2とを圧着しているが、第1、2基板1、2を平板上に設置し、上方から第1、2基板1、2をローラーにより押圧することにより、第1基板1と第2基板2とを圧着してもよい。
また、第1基板と第2基板とを直接接合する温度は、例えば、−20℃以上200℃以下とすることができ、−20℃以上100℃以下とすることが好ましく、−20℃以上60℃以下とすることがさらに好ましい。室温とすることが最も好ましい。
3.流路
流路7、7’は、第1基板1と第2基板2との間に設けられる。流路は、ナノ流路7およびマイクロ流路7’を含んでもよい。このような流路7は、溝14が設けられた第1基板1に第2基板2を重ねて接合することにより容易に形成することができる。また、溝14を設けた第1基板1と溝14’を設けた第2基板2とを重ねて接合することにより、ナノ流路7及びマイクロ流路7’を第1基板1と第2基板2との間に形成してもよい。なお、流路7、7’には液体や気体を流すことができる。
なお、流路7、7’に水溶液を流す場合、流路7、7’の内壁を構成する第1基板1および第2基板2は、親水性を有することができる。また、流路7、7’に非水溶液を流す場合、流路7、7’の内壁を構成する第1基板1および第2基板2は、疎水性を有することができる。
ナノ流路7は、20nm以上5000nm以下の幅d1を有する。このことにより、ナノ流路7に極微量の液体を流すことができ、ナノ流路7を液相一分子操作デバイス、アトリットルインジェクター、検出素子などの流路として利用することができる。また、ナノ流路7は、20nm以上5000nm以下の深さを有することができる。このことにより、ナノ流路7に極微量の液体を流すことができる。なお、このナノ流路7の幅は、第1基板1に形成した溝14の幅であり、ナノ流路7の深さは、溝14の深さである。また、ナノ流路7は、50nm以上1000nm以下の幅d1を有することが好ましい。
また、流路構造体10は、5000nm以上の幅のマイクロ流路(制御用流路)7’を有してもよい。また、この幅の広いマイクロ流路7’は、20nm以上5000nm以下の幅d1を有するナノ流路7と繋がっていてもよい。このことにより、幅の広いマイクロ流路7’を介して幅の狭いナノ流路7に液体を導入することができ、幅の狭いナノ流路7中の液体を容易に制御することができる。
図18は、ナノ流路7中に第1ナノ電極44及び第2ナノ電極45を設けた流路構造体(検出素子)10の概略斜視図である。図22は、第1ナノ電極44及び第2ナノ電極45を設けたナノ流路7の概略断面図である。図18、22に示した流路構造体10では、第1基板1の溝14が第2基板2に覆われた構造を有するナノ流路7と、第2基板2の溝14’が第1基板1に覆われた構造を有するマイクロ流路7’(制御用流路60、61)が設けられている。このような構成とすることにより、第1ナノ電極44又は第2ナノ電極45の外部接続配線と、制御用流路60、61とを分離することができ、第1及び第2ナノ電極44、45間の電位差、第1及び第2ナノ電極44、45間の電圧―電流特性などを正確に計測することができる。
図5(a)〜(c)はそれぞれナノ流路7の断面形状を示すための流路構造体10の一部の概略断面図である。図6(a)〜(e)はそれぞれナノ流路7のパターンを示すための流路構造体の概略断面図である。
ナノ流路7の断面形状は特に限定されないが、例えば、図5(a)のように底面と側面とが実質的に垂直な形状であってもよく、図5(b)のように両側面が傾斜した形状であってもよく、図5(c)のように底面が曲面である形状であってもよい。それぞれ断面形状を有するナノ流路7は、第1基板1に溝14を形成する際のエッチング方法を変えることにより形成することができる。
ナノ流路7のパターンは、流路構造体10の用途や機能により様々である。ナノ流路7のパターンは、図6(a)のように複数のナノ流路7が平行に設けられたパターンであってもよく、図6(b)のようにネットワーク構造を有するパターンであってもよく、図6(c)(d)のようにナノ流路7中にチャンバー27を有するパターンであってもよく、図6(e)のようにボトルネック部を有するパターンであってもよい。なお、チャンバー27中に機能性材料部5が設けられてもよい。
また、ナノ流路7は、底部に複数の凹部(ナノウェル)65を有してもよい。また、この凹部65の底に機能性材料部5を設けることができる。
図23は、本実施形態の流路構造体10の概略断面図であり、図24は、図23の破線C−Cにおける流路構造体10の概略断面図である。図23、24に示した流路構造体のように、ナノ流路7に複数の凹部65を設け、凹部65の底に機能性材料部5を設けることができる。
ナノ流路7は、第1基板1に溝14を設け、その後、第1基板1と第2基板2とを接合することにより形成することができる。例えば、図2(a)のように基板1の表面上にレジスト12を塗布した後、図2(b)のように、電子ビームによりレジスト12の一部を除去し、レジスト12にパターンを形成する。このレジスト12に形成したパターンが流路7のパターンとなるため、所望の流路7のパターンとなるようにレジスト12にパターンを形成する。また、電子ビームを用いることにより、レジスト12に5000nm以下のパターンを形成することができ、5000nm以下の幅を有するナノ流路7を形成することが可能になる。
この後、図2(c)のように、パターンが形成されたレジスト12をマスクとしてエッチングを行い第1基板1の一部を除去し溝14を形成する。エッチングは、ウェットエッチングであってもよく、ドライエッチングであってもよい。この後、図2(d)のように、レジスト12を除去することにより、溝14が設けられた第1基板1を得ることができる。この後、溝14内に機能性材料部5の一部を設けた後、第1基板1と第2基板2とを接合することにより、流路7を形成することができる。
なお、ナノ流路7の底部に複数の凹部65を形成する場合、第1基板1に溝14を形成した後、溝14の底部に複数の凹部を形成することができる。
4.機能性材料部および流路パターン
機能性材料部5は、ナノ流路7中に設けられる。このことにより、ナノ流路7を流れる液体の流れを制御したり、この液体に含まれる物質を分離したり化学反応させたり、ナノ流路7中の液体の電圧電流特性を計測したりすることができる。ナノ流路7の機能性材料部5が設けられた部分または機能性材料部5は、例えば、バルブとしての機能(流路中に流す液体を塞き止める機能)、触媒としての機能、流路中に流す液体に含まれる物質を分離する機能、電極としての機能などを有することができる。
また、機能性材料部5は、金属材料を含むことができる。このことにより、様々な機能を有する機能性材料部5を形成することが可能になる。例えば、機能性材料部5が金薄膜を有する場合、金薄膜の表面に吸着分子を吸着させることにより、流路中に吸着分子を固定することが可能になる。また、この吸着分子には所望の分子が結合されていてもよい。また、機能性材料部5が金属薄膜を有する場合、機能性材料部5を電極として機能させることが可能である。
さらに、機能性材料部5は、半導体材料、金属酸化物材料、フッ化物材料、複合化合物材料、セラミックス材料、カーボンナノチューブまたは絶縁体材料を含むことができる。また、機能性材料部5は、レジスト、ヒドロゲル、またはポリマーなどの有機物を含むことができる。このことにより、様々な機能を有する機能性材料部5を形成することが可能になる。
図7(a)〜(e)は、それぞれ機能性材料部5の形状を示すための流路構造体10の概略断面図である。図8(a)、(b)は、それぞれ機能性材料部5のアレイが形成された流路構造体10の概略断面図である。また、図9(a)〜(e)は、それぞれ機能性材料部5の構造を示すための流路構造体10の概略断面図である。図10(a)〜(n)は、それぞれ機能性材料部5が金属膜表面に所望の分子を固定した構造を有する場合の機能性材料部5の概略断面図である。
機能性材料部5の形状は、リソグラフィ技術、表面処理などにより形成することができれば特に限定されない。機能性材料部5の形状は、例えば、図7(a)のようにドット状であってもよく、図7(b)のように線状であってもよく、図7(c)のように帯状であってもよい。また、ナノ流路7に複数の機能性材料部5を設ける場合、複数の機能性材料部5は、例えば、図7(d)(e)のようにそれぞれ異なる形状を有していてもよく、図7(e)のように異なる間隔で設けられてもよい。
また、複数の機能性材料部5をナノ流路7中に設け、機能性材料部5のアレイを形成してもよい。この場合、機能性材料部5は、分子捕捉機能を有することができる。例えば、機能性材料部5が吸着性分子31を含むことにより機能性材料部5が分子捕捉機能を有することができる。機能性材料部5のアレイは、例えばDNA、タンパク質などの生体分子や、薬物分子などのスクリーニングためのアレイに利用することができる。例えば、分子捕捉機能を有する機能性材料部5をナノ流路7中に複数設け、ナノ流路7中に検出分子を含む液体を流すことにより、機能性材料部5により検出分子を捕捉することができる。この後、ナノ流路7中の液体を有機溶媒などに入れ替えた後、機能性材料部5により捕捉した分子の検出信号を測定することができる。
機能性材料部5のアレイは、例えば、図8(a)のように平行に設けられたナノ流路7内に等間隔で機能性材料部5を形成し機能性材料部5を格子点に並べてもよく、図8(b)のように流路7の同一空間中に機能性材料部5を格子点に並べてもよい。
機能性材料部5のアレイを形成する場合、図23、24に示した流路構造体10のように、各機能性材料部5を凹部65の底に配置することができる。このことにより、凹部65内に検出分子を捕捉することができ、捕捉した検出分子がナノ流路7中の液体の入れ替えなどにより拡散することを抑制することができる。この結果、ナノ流路7内の微小空間に信号を局所化することができ、正確な検出を行うことができる。
機能性材料部5は、例えば、図9(a)(d)のように単層構造を有してもよく、図9(b)(c)(e)のように積層構造を有してもよい。また、機能性材料部5が積層構造を有する場合、図9(b)のように上層は下層の上面の全体の上に設けられていてもよく、図9(c)のように上層は下層の上面の一部の上に設けられていてもよい。また、ナノ流路7内に複数の機能性材料部5を設ける場合、図9(a)(b)(c)のように同じ構造の機能性材料部5をナノ流路7内に設けてもよく、図9(d)(e)のように異なる構造の機能性材料部5をナノ流路7内に設けてもよい。なお、機能性材料部5が積層構造を有する場合、上層は、下層の上面上に吸着した吸着分子の層であってもよく、下層の上面上に形成された自己組織化単分子膜(Self-Asssembled Monolayer; SAM)であってもよい。
機能性材料部5は、金属膜上または金属酸化膜上に吸着分子層または自己組織化単分子膜が形成された構造を有してもよい。この場合、吸着分子層または自己組織化単分子膜は、流路内に配置したい所望の分子32を含むことができる。所望の分子32とは、機能性材料部5の表面を疎水性にしたい場合は、疎水性を有する分子であり、機能性材料部5の表面を親水性にしたい場合は、親水性を有する分子である。
図10(a)〜(n)は、それぞれ機能性材料部5の模式的な断面図である。これらの図では、金属膜30の上面に吸着した、吸着分子層または自己組織化単分子膜を構成する吸着分子を示している。
吸着分子は、図10(a)(b)のように所望の分子32が金属膜30の上面に直接、物理吸着または化学吸着していてもよい。例えば、アルキル基を金属膜30の上面に吸着させたい場合、所望の分子32はアルカンチオールとすることができる。このことにより、アルカンチオールに含まれる硫黄原子と金属膜30に含まれる金属原子とが化学結合することにより、アルカンチオールを金属膜30の上面に化学吸着させることができる。
また、吸着分子は、図10(c)〜(f)のように吸着性分子31と所望の分子32が結合した構造を有してもよい。吸着性分子31は、金属膜30の上面に物理吸着または化学吸着していてもよい。また、所望の分子32は、吸着性分子31に物理的相互作用または化学的相互作用により結合していてもよく、吸着性分子31に生物的特異相互作用により結合してもよい。例えば、たんぱく質を金属膜30の上面上に配置したい場合、吸着性分子31には、末端官能基としてアミノ基を有するアルカンチオールを用いることができる。この場合、アルカンチオールに含まれる硫黄原子と金属膜30に含まれる金属原子とを化学結合させ、アルカンチオールの末端官能基であるアミノ基とたんぱく質に含まれるカルボキシル基とを化学結合させることにより、たんぱく質を金属膜30の上面上に配置することができる。
また、吸着分子は、図10(g)〜(n)のように吸着性分子31と第1の所望の分子32および第2の所望の分子32’が結合した構造を有してもよい。吸着性分子31は、金属膜30の上面に物理吸着または化学吸着していてもよい。また、第1の所望の分子32は、吸着性分子31に物理的相互作用または化学的相互作用により結合していてもよく、吸着性分子31に生物的特異相互作用により結合してもよい。さらに第2の所望の分子32’は、第1の所望の分子32に物理的相互作用または化学的相互作用により結合していてもよく、吸着性分子31に生物的特異相互作用により結合してもよい。
次に、機能性材料部5の形成方法について説明する。
機能性材料部5の一部または全部は、溝14が設けられた第1基板1の溝14中にリソグラフィ技術を用いて形成することができる。また、機能性材料部5の一部は、ナノ流路7を形成した後に、表面処理などにより形成されてもよい。
例えば、図2(e)のように、基板1に溝14を形成した後、第1基板1上にレジスト12’を塗布する。
この後、図2(f)のように、電子ビームによりレジスト12’の一部を除去し、レジスト12’にパターンを形成する。このレジスト12’に形成したパターンが機能性材料部5のパターンとなるため、所望の機能性材料部5のパターンとなるようにレジスト12’にパターンを形成する。また、電子ビームによりパターンを形成することにより、溝14中にパターンを形成することが可能になる。
この後、図2(g)のように、パターンを形成したレジスト12’上に、蒸着やスパッタリングなどPVD法、CVD法などにより薄膜16を形成する。また、機能性材料部5を積層構造とする場合、この薄膜16の上にさらに別の薄膜を形成することもできる。
この後、図2(h)のように、レジスト12’を除去することにより、溝14中に機能性材料部5の一部または全部を形成することができる。また、ナノ流路7中に異なる機能性材料部5を設ける場合、再びレジストを塗布し電子ビームによりパターンを形成した後、パターンを形成したレジスト上に別の材料の薄膜を形成することができる。このような工程を繰り返すことにより、複数種類の薄膜を溝14中に形成することができる。
その後、図2(i)のように第1基板1と第2基板2とを接合することによりナノ流路7を形成する。
その後、図2(j)のようにナノ流路7内に表面処理剤を流すことにより薄膜16上に吸着分子層または自己組織化単分子膜を形成することができる。
これらの工程によりナノ流路7内に機能性材料部5を形成することができる。
次に、ナノ流路7の機能性材料部5が設けられた部分がバルブとして機能する場合について説明する。
機能性材料部5は、図11のように金属膜5と金属膜5の上面上に設けられた自己組織化単分子膜(SAM)から構成される。SAMは、アルカンチオールの硫黄原子が金属膜5に含まれる金属原子に化学結合した吸着分子により構成される。アルカンチオールに含まれるアルキル基は疎水性を有するため、機能性材料部5の上面は疎水性を有している。
なお、SAMは、その表面が疎水性を有すれば、他の吸着分子により構成されてもよい。
ナノ流路7内は微小空間であるため、液相と気相との界面には大きな表面張力が生じる。このため、ナノ流路7に流す液体が水溶液でありナノ流路7の内壁が親水性の場合、界面において液相側から気相側へのラプラス圧が生じる。また、ナノ流路7に流す液体が水溶液でありナノ流路7の内壁が疎水性の場合、気相側から液相側へのラプラス圧が生じる。
ナノ流路7内の一部に機能性材料部5を設けその上面を疎水性とし、ナノ流路7に水溶液35を流す場合、水溶液35の圧力がナノ流路7の機能性材料部5を設けた部分を水溶液35が通過するために必要な圧力よりも低いと、ナノ流路7を流れる水溶液35はナノ流路7の機能性材料部5を設けた部分において塞き止められる(ラプラス圧=水溶液の圧力)。
一方、水溶液35の圧力がナノ流路7の機能性材料部5を設けた部分を水溶液35が通過するために必要な圧力よりも高いと、ナノ流路7を流れる水溶液35はナノ流路7の機能性材料部5を設けた部分を流れる(ラプラス圧<水溶液の圧力)。
このため、ナノ流路7内の圧力を調整することにより、ナノ流路7の機能性材料部5を設けた部分を水溶液35が流通するかしないかを制御することができる。このため、ナノ流路7の機能性材料部5が設けられた部分は、バルブとして機能を有することができる(以後、このバルブとして機能する部分を化学バルブという)。
なお、ナノ流路7に非水溶液を流通させる場合、ナノ流路7の内壁表面を疎水性とし、機能性材料部5の表面を親水性とすることにより、化学バルブを形成することができる。
次に、ナノ流路7に化学バルブを設けた流路構造体10により、溶液の微量体積を正確に量り取ることができる機構について説明する。このような機構を有する流路構造体10により、一分子イメージング、一分子同士間反応、一分子構造解析、一分子レベルクロマトグラフィなどを実現することが可能になる。
ここでは、流路構造体10が微量溶液インジェクターとしての機能を有する場合を用いて説明する。図12は、微量溶液インジェクターとしての機能を有する流路構造体10の概略断面図であり、図13は、図12の点線で囲んだ範囲Aの拡大図である。また、図14(a)〜(c)は、流路構造体10により溶液の微量体積を正確に量り取る方法の説明図である。
図12、13に示した流路構造体10では、Aで示した近辺に20nm以上5000nm以下の幅のナノ流路7が設けられ、その周辺部に10μm〜800μm程度の幅のマイクロ流路7’が設けられている。このナノ流路7及びマイクロ流路7’は、それぞれ第1基板1に設けられた溝14、14’が第2基板2により覆われる構造を有している。また、マイクロ流路7’は注入口/排出口40に接続されている。この注入口/排出口40は、第2基板2に設けられた貫通孔と第1基板1に設けられた溝14’とが重なった構造を有している。この注入口/排出口40から溶液や気体を注入することにより、マイクロ流路7’を介してナノ流路7に溶液または気体を導入することができる。
また、流路構造体10では、横方向に並行に伸びるナノ流路7が3本設けられ、縦方向に伸びるナノ流路7が1本設けられている。また、縦方向のナノ流路7と3本の横方向のナノ流路7とは、それぞれ交差している。
なお、図12〜14に示した流路構造体10では、横方向に並行に伸びるナノ流路7を3本設けているが、このナノ流路7の本数は特に限定されず、例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、15、20本とすることができる。この本数は、量り取りたい微量体積の所望の数により決めることができる。
また、図12、13に示した流路構造体10では、ナノ流路7の交差点から20nm〜1000nm程度離れたナノ流路7中に機能性材料部5を有する化学バルブが設けられている。この交差点と化学バルブとの間の距離は、量り取りたい微量体積を決める要素となる。
なお、図17は、石英ガラス基板に交差する縦方向のナノ流路7と横方向のナノ流路7とを形成し、交差点から約200nm離れた位置に金薄膜16を形成した流路構造体の写真である。このようにナノ流路7中に金属膜を形成することにより化学バルブを設けることができる。
まず、注入口/排出口40c、40dからマイクロ流路7’内に水溶液35を注入する。このとき、ナノ流路7内の圧力は、注入した水溶液35が機能性材料部5を有する化学バルブを通過できない圧力となるように調整する。マイクロ流路7’に注入された水溶液35は、図14(a)のように、横方向のナノ流路7に流入した後、縦方向のナノ流路7およびマイクロ流路7’を流れ注入口/排出口40a、40b、40g、40hから排出される。なお、ナノ流路7を流れる水溶液35は、化学バルブにより塞き止められ注入口/排出口40e、40fへとは流れない。
この後、注入口/排出口40a、40b、40g、40hから流路7、7’に気体を注入し、注入口/排出口40c、40dから水溶液35を排出する。なお、この際、ナノ流路7内の水溶液35が化学バルブを通過できない圧力となるように注入気体の圧力を調整する。このような操作により、図14(b)のように、ナノ流路7の交差点と化学バルブとの間のナノ流路7内のみに水溶液35を残し、他のナノ流路7内の水溶液35を排出することができる。このように、ナノ流路7の交差点と化学バルブとの間のナノ流路7の体積と同じ体積の水溶液35を量り取ることができる。
この後、注入口/排出口40a、40b、40g、40hから流路7、7’に気体を注入し、ナノ流路7内の圧力を水溶液35が化学バルブを通過できる圧力に調整する。このことにより、ナノ流路7の交差点と化学バルブとの間に残った水溶液35を化学バルブを通過させることができ、図14(c)のように量り取った微量体積の水溶液35をナノ流路7中に射出することができる。
ナノ流路7中に射出した水溶液35は、分析対象、観察対象などとすることができる。
このように流路構造体10では、ナノ流路7の交差点と化学バルブとの間のナノ流路7の体積と同じ体積の水溶液35を量り取ることができるため、ナノ流路7の幅d1、ナノ流路7の深さd2、ナノ流路7の交差点と化学バルブとの間の距離d3とを調整すること量り取る微量体積を変更することができる。
ナノ流路7の幅d1は、例えば、20nm以上5000nm以下とすることができ、ナノ流路7の深さd2は、例えば、20nm以上5000nm以下とすることができ、ナノ流路7の交差点と化学バルブとの間の距離d3は、例えば、20nm以上1000nm以下とすることができる。また、流路構造体10により量り取る微量体積は、たとえば、5×10-20L以上1.0×10-15L以下とすることができる。
このような微量体積を量り取ることができる流路構造体10を用いると、たんぱく質などの化学物質の1分子のみ溶質として溶媒に溶解した溶液や1つ生体分子のみ含む単一細胞内容物溶液を得ることができる。細胞内容物としては、生体分子や細胞小器官などが挙げられる。この生体分子は無機物質であってもよく、有機物質であってもよい。具体的には、量り取る微量体積の溶液中に溶質の一分子が存在する濃度に、流路7に導入する溶液の濃度を調整し、この溶液を流路構造体10により量り取ることにより、化学物質などの1分子のみ溶質として溶媒に溶解した溶液を得ることができる。
例えば、d1を100nm、d2を100nm、d3を100nmとすると、1×10-18L(1aL)の微量体積を量り取ることができる。この場合、ナノ流路7に流す溶液の濃度を約2×10-6M(2μM)とすることにより、溶質の一分子が存在する溶液の微量体積を量り取ることができる。
このような溶質一分子のみが存在する溶液では、溶質分子間の相互作用がないため、溶質一分子のみの様々な特性を調べることができる。
次に、流路7に化学バルブを設けた流路構造体10により、溶液中の溶質一分子と他の溶液中の溶質一分子とを反応させることができる機構について説明する。
図15(a)は、この機構を有する流路構造体10の概略断面図である。この流路構造体10では、縦方向に伸びるナノ流路7a、7b、7cが3本平行に設けられ、この3本のナノ流路7とそれぞれ交差するナノ流路7dが1本設けられている。
この流路構造体10では、ナノ流路7aとナノ流路7dとの交差点からナノ流路7b側に20nm〜1000nm程度離れたナノ流路7d中に機能性材料部5aを有する化学バルブが設けられている。また、ナノ流路7cとナノ流路7dとの交差点からナノ流路7b側に20nm〜1000nm程度離れたナノ流路7d中に機能性材料部5bを有する化学バルブが設けられている。また、ナノ流路7bとナノ流路7dとの交差点の上側に隣接したナノ流路7b中に機能性材料部5dを有する化学バルブが設けられている。また、ナノ流路7bとナノ流路7dとの交差点から下側に40nm〜4000nm程度離れたナノ流路7b中に機能性材料部5cを有する化学バルブが設けられている。
例えば、ナノ流路7の幅d1を100nmとし、ナノ流路7の深さを100nmとし、ナノ流路7aとナノ流路7dとの交差点と機能性材料部5aとの間の距離を100nm、ナノ流路7cとナノ流路7dとの交差点と機能性材料部5bとの間の距離を100nm、ナノ流路7bとナノ流路7dとの交差点と機能性材料部5cとの間の距離を500nmとすることができる。
まず、図15(b)のようにナノ流路7aに第1溶質を含む第1溶液35を導入し、ナノ流路7cに第2溶質を含む第2溶液35’を流路7cに導入する。第1溶液35または第2溶液35’は、量り取る溶液が溶質一分子を含むように濃度が調整されている。なお、第1溶液35の溶媒と第2溶液35’の溶媒とは同種の溶媒を用いる。
この後、図15(c)のようにナノ流路7a中の第1溶液35およびナノ流路7c中の第2溶液35’を排出する。このことにより、ナノ流路7aとナノ流路7dとの交差点と機能性材料部5aを含む化学バルブとの間のナノ流路7d中に第1溶質一分子を含む第1溶液35を量り取ることができる。また、ナノ流路7cとナノ流路7dとの交差点と機能性材料部5bを含む化学バルブとの間のナノ流路7d中に第2溶質一分子を含む第2溶液35’を量り取ることができる。
この後、図15(d)〜(e)のように、ナノ流路7a、7cの圧力を調整することにより、量り取った第1溶液35と量り取った第2溶液35’とを、ナノ流路7bとナノ流路7dの交差点と機能性材料部5cを有する化学バルブとの間のナノ流路7b中に移動させ、第1溶液35と第2溶液35’とを合体させることができる。このことにより、溶液35’’中において第1溶液35に含まれる第1溶質一分子と第2溶液35’に含まれる第2溶質一分子とを化学反応させることができ、一分子間の化学反応特性を調べることができる。
第1溶質一分子と第2溶質一分子としては、例えば、ストレプトアビジンにより標識した分子と、ビオチンにより標識した分子とが挙げられる。これらの分子を用いると、ストレプトアビジンとビオチンは強く結合するため、これらの分子の化学反応特性を調べることができる。
次に、機能性材料部5が、受光する光、温度あるいは流路内の液体のpHまたはイオン強度により開閉できるスマートバルブを構成する場合について説明する。
図16(a)は、開状態におけるスマートバルブの概略断面図であり、図16(b)は、閉状態におけるスマートバルブの概略断面図である。
スマートバルブは、流路7と、流路7中に設けられた機能性材料部5とにより構成される。機能性材料部5は、金属膜と金属膜の上面上に形成された吸着分子層または自己組織化単分子膜から構成される。また、吸着分子層または自己組織化単分子膜は、受光する光、温度あるいは流路内の液体のpHまたはイオン強度により形状または濡れ性が変化する化学物質を有する。
形状が変化する化学物質としては、可逆的な体積相転移現象が生じる高分子ゲルが挙げられる。このような高分子ゲルを金属膜上に化学吸着させ、高分子ゲルを相転移させることにより、スマートバルブを開閉することができる。高分子ゲルを金属膜上に化学吸着させる方法としては、高分子ゲルを構成する高分子にチオール末端基を修飾し、チオール基に含まれる硫黄原子と金属膜の金属原子とを化学結合させる方法が挙げられる。
図16(a)に示した機能性材料部5に含まれる高分子ゲルは、収縮した状態で金属膜に結合している。この場合、機能性材料部5の上部の流路7には、溶液が流通することができる空間があり、流路7を流れる溶液はスマートバルブを通過することができる。
図16(b)に示した機能性材料部5に含まれる高分子ゲルは、膨張した状態で金属膜に結合している。この場合、機能性材料部5の上部の流路7には、溶液が流通することができる空間はなく、流路7を流れる溶液は、スマートバルブを通過することはできない。
このように機能性材料部5が可逆的な体積相転移現象が生じる高分子ゲルを含むことにより、受光する光、温度あるいは流路内の液体のpHまたはイオン強度により開閉できるスマートバルブを形成することができる。
機能性材料部5に含まれる高分子ゲルには、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)ゲルが挙げられる。PNIPAAmは、体積相転移現象を起こす温度感応性ゲルである。このため、機能性材料部5をPNIPAAmの下限臨界共溶温度(LCST)以下の温度とすることにより、PNIPAAmを膨張させることができ、スマートバルブを閉状態とすることができる。また、機能性材料部5をPNIPAAmのLCST以上の温度とすることにより、PNIPAAmを膨張させることができ、スマートバルブを開状態とすることができる。
このようなスマートバルブにより、アトリットルレベルの極微量の流体制御が可能になる。また、このようなスマートバルブは、アトリットル試料の精密制御が求められる単一細胞内容物の分析や単一分子を計測できるナノチャネル仕様の液体クロマトグラフィーの開発などに応用できる。
次に、図18、図22に示した流路構造体10ように、ナノ流路7中に電極間隔d4をおいて配置された第1ナノ電極44および第2ナノ電極45を含む電極対(機能性材料部5)を備えた流路構造体10について説明する。
図19は、図18に示した流路構造体10に含まれる第1基板1の概略斜視図であり、この第1基板1には、ナノ流路7となる溝14と、配線用溝14’’と、第1電極41と、第2電極42とを設けている。また、図20は、図19の破線で囲んだ範囲Bにおける第1基板1の概略上面図である。
第1電極41は、溝14中に設けられた第1ナノ電極44と、第1配線用溝14’’中に設けられた第1配線部50及び第1接続部47とを含んでいる。また、第1ナノ電極44と第1接続部47は、第1配線部50を介して電気的に接続している。
第2電極42は、溝14中に設けられた第2ナノ電極45と、第2配線用溝14’’中に設けられた第2配線部51及び第2接続部48とを含んでいる。また、第2ナノ電極45と第2接続部48は、第2配線部51を介して電気的に接続している。
第1配線用溝14’’と第2配線用溝14’’は、溝14を介して繋がっており、第1ナノ電極44と第2ナノ電極45は、溝14中において電極間隔d4を置いて配置されている。
このような構成により、第1ナノ電極44と第2ナノ電極45間のナノ流路7中の液体の電気的特性又は電気化学的特性を第1接続部47と第2接続部48を介して測定することができる。なお、電極間隔d4は、測定対象や測定する電気的特性などに応じて変更することができる。
図21は、図18に示した流路構造体10に含まれる第2基板2の概略斜視図であり、この第2基板2には、マイクロ流路7’(制御用流路60、61)となる溝14’と、注入口/排出口40と、接続部用孔57を設けている。注入口/排出口40は、溝14’に繋がっている。
図18に示した流路構造体10は、図19、20に示した第1基板1の溝14、14’’を設けた面と、図21に示した第2基板2の溝14’を設けた面とを接合することにより製造することができる。このとき、第1接続部47と接続部用孔57Aとが重なり、第2接続部48と接続部用孔57Bとが重なるように第1、2基板は接合される。また、第1基板1の溝14が第2基板2で覆われることにより図22に示したようなナノ流路7が形成され、第2基板2の溝14’が第1基板1で覆われることによりマイクロ流路7’(制御用流路60、61)が形成される。また、第1基板1の溝14又は溝14’’の一部と第2基板2の溝14’の一部とが重なるように第1、2基板は接合される。このことにより、第1制御用流路60と第2制御用流路61とがナノ流路7を介して連通することができる。
このような構成とすると、注入口/排出口40、第1制御用流路60及び第2制御用流路61を介してナノ流路7に流れる流体を制御することができる。また、ナノ流路7に流れる流体を制御しながら、第1ナノ電極44と第2ナノ電極45により、ナノ流路7中の液体又は溶質の電気的特性又は電気化学的特性を測定することができる。また、注入口/排出口40と、測定用の接続部用孔57を別々に設けることにより、測定手順を簡素化することができる。また、接続部47、48に液体が存在しない状態で測定することができるため、接続部47、48における接触抵抗が増加することを抑制することができる。また、ナノ流路7中に電極対を配置することができるため、ナノ流路7中の液体又は溶質の電気的特性又は電気化学的特性を正確に測定することができる。
ナノ流路における流動電流測定
図18に示したような流路構造体10を製造し、超純水をナノ流路7に流しながら流動電流を計測した。流動電流は、毛細管に液体を流した際に毛細管の両端の電極間の電位差により流れる電流である。
第1基板1、第2基板2には、石英ガラス基板を用いた。
まず、第1基板1をエッチングなどにより加工することにより溝14、14’’を形成し、蒸着などにより溝14、14’’中に第1電極41および第2電極42を形成した。ナノ流路7となる溝14の長さDは、600μmとし、溝14の幅は800nmとし、溝14の深さは300nmとした。第1ナノ電極44と第2ナノ電極45は、長さ(ナノ流路7内の長さ)50μm、幅600nm、厚さ80nmの金電極とし、電極間距離d4は、500μmとした。また、第2基板2をエッチングなどにより加工することにより溝14’、注入口/排出口40、接続部用孔51を形成した。溝14’の幅は500μmとし、溝14’の深さは3μmとした。
次に、第1基板1の溝14などを設けた面と第2基板2の溝14’を設けた面にプラズマ処理を施し、第1基板1と第2基板2とを接合することにより流路構造体10を製造した。
図25は、製造した流路構造体10の写真であり、図26は、製造した流路構造体10に含まれるナノ流路7の端部のSEM写真である。
製造した流路構造体10の第1接続部47及び第2接続部48に計測装置を接続し、第1制御用流路60と第2制御用流路61との超純水の圧力差ΔPを調整することによりナノ流路7に流れる超純水の流速を制御しながら第1ナノ電極44と第2ナノ電極45との間に流れる流動電流Istrを測定した。なお、接続部47、48に超純水が流入することを抑制するために、接続部用孔57を密閉した状態で測定を行った。また、圧力差は、第2制御用流路61を大気開放にし、第1制御用流路60の圧力を調整することにより制御した。
測定中において、第1制御用流路60と第2制御用流路61との超純水の圧力差ΔPは、(i)まず350kPaとし徐々に圧力差を小さくしていき0kPaまで低下させ、(ii)0kPaから圧力差を徐々に圧力差を大きくしていき350kPaまで上昇させ、(iii)350kPaから徐々に圧力差を小さくしいき0kPaまで低下させた。
流動電流測定の結果を図27に示す。流動電流測定では、圧力差ΔPを徐々に小さくすると、流動電流が徐々に小さくなることが測定され、圧力差ΔPを徐々に大きくすると流動電流徐々に大きくなることが測定された。このことから、製造した流路構造体10は、ナノ流路7における流速変化を正確に測定できることがわかった。従って、製造した流路構造体10によれば、ナノ流路7中の液体の電気的特性を正確に測定できると考えられる。
ナノウェルアレイ作製実験
エッチング加工などにより石英ガラス基板に幅800nm、深さ300nmの溝14を形成し、さらに溝14の底部に700nm×700nmのサイズで深さ200nmのナノウェル65(凹部)を複数形成した。形成した溝14及びナノウェル65を原子間力顕微鏡を用いて観察した。撮影したAFM画像を図28(a)に示す。このAFM画像により溝14の底部にナノウェル65が形成できたことが確認された。
次に、溝14及びナノウェル65を形成した石英ガラス基板のナノウェル65の底に600nm×600nmの金薄膜を蒸着などにより形成した。この金薄膜をFE−SEMを用いて観察した。撮影したSEM画像を図28(b)に示す。このSEM画像からナノウェル65の底に金薄膜が形成できたことが確認された。
これらの結果から、ナノウェル65の底に捕捉機能を有する機能性材料部5を配置したアレイを作製できることがわかった。このようなアレイでは、ナノ流路7内の微小空間に信号を局所化することができ、正確な検出を行うことができる。
自己組織化分子膜を用いた流体制御実験
第1石英ガラス基板に幅800nm、深さ300nmの溝14を形成し、溝14中に700nm×700nmの金薄膜を形成した。その後、第1石英ガラス基板および第2石英ガラス基板にプラズマ処理を施し、第2石英ガラス基板が溝14を覆いナノ流路7が形成されるように第1および第2石英ガラス基板を接合させた。その後、形成されたナノ流路7を用いて金薄膜の表面上に温度応答性ポリマーを化学吸着させ、温度応答性のバルブ機能を有する機能性材料部5を備えた流路構造体10を作製した。温度応答性ポリマーには、図29に示したように合成したPNIPAAm-SHを用いた。PNIPAAm-SHは、金薄膜に化学吸着すると自己組織化分子膜を形成する。また、この自己組織化分子膜は、温度によりその形状が変化する。
作製した流路構造体10を用いて、流体制御実験を行った。流体制御実験では、ナノ流路7の一方の側から圧力をかけた超純水を供給し、機能性材料部5を設けたナノ流路7における超純水の透過率を測定した。また、流路構造体10の温度を15℃から45℃まで3時間、6時間、9時間で変化させながら測定した。流路制御実験の測定結果を図30に示す。15℃〜30℃では透過率が実質的に100%であったが、30℃を超えると、透過率は実質的に0%になった。これは温度応答性ポリマーの形状が温度により変化したためと考えられる。従って、温度応答性のバルブ機能を有する機能性材料部5をナノ流路7中に形成できたことが確認された。
1: 第1基板 2:第2基板 5:機能性材料部 7:ナノ流路(流路) 7’:マイクロ流路(流路) 10:流路構造体 12:レジスト 14:ナノ流路となる溝 14’マイクロ流路(制御用流路)となる溝 14’’:配線用溝 16:薄膜 18:プラズマチャンバー 19:試料台(電極) 20:筐体 21:イオントラッピングプレート 22:ガラス板 23:プラズマ処理装置 25:ローラー 27:チャンバー 30:金属膜 31:吸着性分子 32:所望の分子 35:溶液 36:気体 40、40a〜40h、40A〜40D:注入口/排出口 41:第1電極 42:第2電極 44:第1ナノ電極 45:第2ナノ電極 47:第1接続部 48:第2接続部 50:第1配線部 51:第2配線部 57、57A、57B:接続部用孔 60:第1制御用流路 61:第2制御用流路 65:凹部(ナノウェル)

Claims (12)

  1. 第1基板と、第1基板に重ねて直接接合された第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられたナノ流路と、前記ナノ流路中に設けられた機能性材料部とを備え、
    第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなり、
    前記ナノ流路は、第1基板に設けられた溝が第2基板に覆われる構造を有し、かつ、20nm以上5000nm以下の幅を有することを特徴とする流路構造体。
  2. 前記機能性材料部は、金属材料を含む請求項1に記載の流路構造体。
  3. 第1および第2基板は、それぞれガラスからなる請求項1または2に記載の流路構造体。
  4. 前記ナノ流路は、液体を流す第1流路と、第1流路から分岐した第2流路とを含み、
    前記機能性材料部は、第2流路中に設けられ、
    第2流路の前記機能性材料部が設けられた部分は、前記ナノ流路中に流す液体を塞き止める機能を有し、
    第1および第2流路の分岐点と前記機能性材料部との間の第2流路の容積は、5×10-20L以上1×10-15L以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の流路構造体。
  5. 前記機能性材料部は、金属膜と、前記金属膜の表面に形成された吸着分子層または自己組織化単分子膜とを含み、
    前記吸着分子層または前記自己組織化単分子膜は、親水性または疎水性を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の流路構造体。
  6. 前記吸着分子層または前記自己組織化単分子膜は、受光する光、温度あるいはナノ流路内の液体のpHまたはイオン強度により形状または濡れ性が変化する請求項5に記載の流路構造体。
  7. 前記機能性材料部は、第1基板上に設けられた第1及び第2ナノ電極を含み、
    第1及び第2ナノ電極は、前記ナノ流路中に電極間隔を置いて配置された請求項1〜3のいずれか1つに記載の流路構造体。
  8. 第1基板上に設けられた第1及び第2接続部をさらに備え、
    第1ナノ電極は、第1接続部と電気的に接続し、
    第2ナノ電極は、第2接続部と電気的に接続する請求項7に記載の流路構造体。
  9. 第1基板と第2基板との間に設けられた第1及び第2制御用流路をさらに備え、
    第1及び第2制御用流路は、それぞれ第2基板に設けられた溝が第1基板に覆われる構造を有し、
    第1制御用流路は、前記ナノ流路を介して第2制御用流路と連通する請求項7又は8に記載の流路構造体。
  10. 前記ナノ流路は、底部に複数の凹部を有し、
    前記機能性材料部は、前記凹部の底に配置され、かつ、分子捕捉機能を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の流路構造体。
  11. 流路となる溝が設けられた第1基板の前記溝中に機能性材料部の一部または全部を形成する工程と、
    第1基板の表面と第2基板の表面とをプラズマ処理する工程と、
    プラズマ処理された第1基板の表面とプラズマ処理された第2基板の表面とを接触させることにより第1基板と第2基板とを直接接合し第1基板と第2基板との間に前記流路を形成する工程とを備え、
    第1および第2基板は、それぞれ無機材料からなる流路構造体の製造方法。
  12. 前記プラズマ処理する工程は、酸素ガスおよびフッ素含有ガスの混合ガス中に発生させたプラズマにより第1基板の表面と第2基板の表面とを処理する工程である請求項11に記載の製造方法。
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