JP2005066382A - マイクロリアクターおよびその利用法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に反応流路1aが形成された第1基板1と、基板表面に反応流路2aが形成された第2基板2とを備え、反応流路1aの内壁1bは、少なくとも1つの反応流体と親和性を有し、反応流路2aの内壁2bは、反応流路1aの内壁1bと親和性を有する反応流体以外の少なくとも1つの反応流体と親和性を有し、第1基板1と第2基板2とは、反応流路1a、2aが形成されている面が互いに対向するように接着されており、反応流路1aと反応流路2aとが、内壁1bと内壁2bとが一体となってマイクロチャネル20を形成するように接合されているマイクロリアクター10によれば、反応流体間の界面を安定に保ちつつ流通させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微量の試料により所定の化学反応を行わせるためのマイクロチャネルを有するマイクロリアクター、およびその利用法(例えば、化学反応、分離・分析)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機合成反応では、微小反応場になるほど反応収率が高まり、拡散律速反応であれば反応時間が短くて済むことが知られている。このため反応容積がナノオーダー(10−9)からマイクロオーダー(10−6)領域の化学反応が注目されており、このような微小反応を効率的に行うために、いわゆるマイクロリアクターが開発されている。
【0003】
マイクロリアクターは、例えば、特許文献1に記載されているように広く知られており、その一般的な構造は、ガラスやセラミックスなどの基板に、幅10μm〜10,000μm、長さ10μm〜1mのマイクロチャネル(微細流路)を形成し、そこに2つの反応流体を流して、2つの反応流体が接する界面領域で化学反応を起こす反応装置である。
【0004】
上記の一般的なマイクロリアクターによれば、流路は100μm程度のマイクロチャネルになり、理想的には、この流路に流れる反応流体は層流になると考えられる。この場合の分子拡散は、乱流拡散を伴わないため、層流方向の力学的ベクトルを除けば秩序性のある静準的状態(一見静止しているように見えるが、分子は動いている状態)の拡散となる。このときの拡散速度は速く、熱移動も速くなるため、反応制御が容易になり、ナノオーダーの反応制御も可能になり得る。
【0005】
すなわち、マイクロリアクターを利用することによって、マイクロチャネルを通過する反応流体の体積に対する表面積・界面積の比率を大きくすることができる。特に、界面を利用した化学反応や抽出・分離操作の効率化が期待でき、触媒反応を含む流体化学反応の制御性が向上し、反応生成物の収率と純度の向上が期待できる。さらには、光学活性化合物の不斉合成法として、無機触媒に比べ高価な有機金属錯体や酵素などの有機分子を触媒に用いるプロセス化をする上で、触媒分子の再利用が可能であり、コスト面でも有利とされている。このため、これまでに様々な液−液、あるいは気−液界面を利用して反応を行うマイクロリアクターが開発されている。
【0006】
具体的には、例えば、▲1▼左右に分けられた2つの入り口から2種の非相溶系反応流体をそれぞれ注入するマイクロリアクターや、▲2▼親水性を持つガラス基板と疎水化したガラス基板とを用いて、マイクロチャネルの上半分と下半分とをそれぞれ作製し、これらを貼り合わせて作製したマイクロリアクターなどが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特表2001−521816号公報(2001年11月13日公表)
【0008】
【非特許文献1】
A. Hibara, M. Nonaka, H. Hashimoto, K. Uchiyama, Y. Kikutani, M. Tokeshi and T. Kitamori, ”Stabilization of Liquid Interface and Control of Two−Phase Confluence and Separation in Glass Microchips by Utilizing Octadecylsilane Modification of Microchannels”, Anal. Chem., Vol. 74, pp. 1724−1728, 2002
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、上記▲1▼の従来のマイクロリアクターでは、反応流体の界面張力の存在により、流れは層流になりにくく、スラグ流状を呈することがある。これは、界面張力が界面積を最小にするように働くためであり、界面積が減少すると、それを介して起こる化学反応、抽出・分離の効率が落ちることとなるという問題がある。
【0010】
また、上記▲2▼の従来のマイクロリアクターでは、水−油の2層流体のような2種の非相溶系反応流体を上下の層に分けて流通させることができるため、上述の界面積減少の問題は改善されるが、ガラス基板どうしは接着できないため、ビス留めなどによって2つのガラス基板を固定するしか方法がない。この場合、上下のガラス基板を隙間なく完全に密閉するのは非常に困難である。このため、反応流体の流速を遅くせざるを得ない等の影響がでるうえ、装置自体の耐久性も低下するという問題がある。
【0011】
このように親水性、疎水性を呈する2つの材料どうしの接着は材料の性質上非常に困難な場合が多い。その一方、単一の材料によりマイクロリアクターを作製し、その内壁の一部を修飾する方法も考えられるが、これには高度な作製技術を要する。すなわち、現状では、マイクロリアクター基板材料の選定の困難さのために、流体性質の異なる2つの非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、かつ保つことができるマイクロリアクターの作製が難しい状況にある。
【0012】
このため、2つの非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、保つことができるマイクロリアクターの開発が強く望まれている。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体性質の異なる2つの非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、かつ保ちながら流通させることができるマイクロリアクターを作製するとともに、その利用法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、表面に微細流路を形成し当該流路表面に金属の被膜を施したシリコン基板と、表面に微細流路を形成したガラス基板とを、2つの基板表面に形成された微細流路がマイクロチャネルを形成するように上下に重ね合わせて陽極接合にて溶着させて製造したマイクロリアクターを用いることにより、例えば、気−液多層系、水−油多層系、極性−無極性多層系などの非相溶系反応流体を用いて高効率な化学反応が可能になるだけでなく、反応生成物や触媒の抽出・分離にも利用でき、さらに高性能な分析も可能になることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明に係るマイクロリアクターは、上記の課題を解決するために、少なくとも2種類の非相溶系反応流体を流通または反応させるためのマイクロチャネルを有するマイクロリアクターであって、基板表面に反応流路が形成されている第1基板と、基板表面に、上記第1基板表面の反応流路と略同一幅、略同一長さの流路であって、形状が上記第1基板表面の反応流路の全部、または一部に対する略鏡像形状の流路を含む反応流路が形成されている第2基板とを備えており、上記第1基板の反応流路内壁は、上記非相溶系反応流体のうち、少なくとも1つの反応流体と親和性を有するように形成されており、上記第2基板の反応流路内壁は、上記非相溶系反応流体のうち、第1基板の反応流路内壁と親和性を有する反応流体以外の少なくとも1つの反応流体と親和性を有するように形成されており、上記第1基板と第2基板とは、反応流路が形成されている面が互いに対向するように接着されているとともに、上記第1基板表面の反応流路と第2基板表面の反応流路とが、第1基板表面の反応流路内壁と第2基板表面の反応流路内壁とが一体となって閉じたマイクロチャネルを形成するように、互いの内壁を対向させて接合されていることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、2つの基板の表面に反応流路を形成し、これらの反応流路を、互いの内壁が向かい合うように重ね合わせることにより1本のマイクロチャネルを形成している。また、これらの反応流路内壁はそれぞれ、少なくとも2種類の非相溶系反応流体のうち、いずれかの反応流体と親和性を有するものである。このため、本発明に係るマイクロリアクターは、マイクロチャネルの内壁の一部分(例えば、上半分と下半分)の性質が変化したマイクロリアクターとなる。すなわち、マイクロチャネルの内壁において、第1基板側の内壁部分は一方の反応流体と、また第2基板側の内壁部分はもう一方の反応流体と親和性を有することになる。さらに、第1基板と第2基板とは溶着されているため、第1基板と第2基板とは確実に密着している。
【0017】
したがって、上記マイクロリアクターによれば、少なくとも2種の非相溶系反応流体を第1基板側と第2基板側の2層に分けたまま流通させることができるため、2つの非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、保つことができる。このため、反応流体の界面積が減少することを防止でき、それを介して起こる化学反応や、生成物等の抽出・分離の効率を高めることができる。さらに、上記マイクロリアクターの基板における第1基板と第2基板との密着性が高いため、反応流体の流速を遅くする必要もなく、マイクロリアクター自体の耐久性も向上する。
【0018】
なお、ここでいう「接着」とは、隙間なく密着するように接合されていることをいい、接着のなかには、例えば、接着剤による接着や溶着、または加熱による接着も含まれる。この「溶着」とは、2つの基板を溶解させて接着することを示し、具体的なものとして、例えば、陽極接合による溶着などが挙げられる。
【0019】
また、本発明に係るマイクロリアクターでは、上記第1基板表面と第2基板表面とには、それぞれ、反応流体をマイクロチャネルに供給するための供給用流路と、マイクロチャネル通過後の反応流体及び/又は反応生成物を排出するための排出用流路とが形成されていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、簡便かつ確実に反応流体をマイクロチャネル内に供給することができるし、また、マイクロチャネル流通後(反応後)の溶媒や生成物あるいは触媒などを簡便かつ確実に回収することができる。
【0021】
また、上記第1基板はシリコン基板、ガラス基板、石英基板、およびセラミックス基板から選ばれるいずれか1つの基板であり、上記第2基板はガラス基板、石英基板、およびセラミックス基板から選ばれるいずれかの1つの基板であることが好ましい。上記の構成のように、例えば、第1基板がシリコン基板であり、第2基板がガラス基板である場合、第1基板と第2基板とを陽極接合などにより、簡便かつ確実に溶着(接着)させることができるため、マイクロチャネルの密着性を高めることができる。
【0022】
また、上記第1基板の反応流路内壁は金属によって被膜されていることが好ましい。金属被膜は、弱疎水性を呈するため、上記の構成のように、反応流路内壁の一方に金属被膜が施されている場合、当該反応流路の内壁に対して、弱疎水性の反応流体と親和性を持たせることができる。このため、例えば、マイクロチャネル中で、弱い疎水性を呈する金属被覆部分には気体などの反応流体を、そして、それ以外の部分には水系液体を局在させることが可能であり、気−液界面を安定に保つことが可能となる。
【0023】
また、特に、上記第1基板の反応流路内壁に形成されている金属被膜は、金、白金、またはニッケルであることが好ましい。上記の構成によれば、確実に弱疎水性を呈する金属被膜を形成可能である。
【0024】
また、上記第1基板の反応流路内壁に形成されている金属被膜の表面には、疎水性を強めるための化学修飾処理がなされていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、金属被膜部分に疎水性を強めるための化学修飾が施されている。このため、例えば、マイクロチャネル中で、水−油系などの疎水性の強い反応流体を含む多種類の非相溶系反応流体を反応・流通させる場合、安定な界面を保たせながら流通させることが可能になる。すなわち、マイクロチャネル中における疎水性を強めた金属被膜部分には油系の反応流体を局在化させることができ、一方、それ以外の部分には水系の反応流体を局在化させることができ、水−油系などの多種の非相溶系反応流体界面を安定に保つことができる。さらに、金属被覆部分の化学修飾は、化学修飾のための反応液をマイクロチャネル内に流通させるという簡便な方法のみで行うことができ、大変容易である。
【0026】
なお、上記化学修飾処理とは、上記第1基板の反応流路に被膜された金属の表面に対する、チオール基の修飾であることが好ましい。上記の構成によれば、確実かつ簡便に金属被膜表面の疎水性を高めることができる。なお、「チオール基の修飾」とは、金属被膜の表面にチオール基を付着結合させることをいう。
【0027】
また、上記第2基板の反応流路内壁には、無極性化処理がなされていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、マイクロチャネル中における第2基板の流路内壁に無極性化処理がなされているため、マイクロチャネルの第2基板側の内壁部分に無極性反応流体を局在化させることができる。このため、例えば、マイクロチャネル内に気体とフッ素化溶媒流体とからなる非相溶系反応流体を反応・流通させる場合、安定な界面を保たせながら流通させることが可能になる。なお、第2基板の内壁の無極性化処理は、無極性化のための反応液をマイクロチャネル内に流通させるのみで済み、大変簡便である。
【0029】
また、上記無極性化処理とは、上記第2基板の反応流路内壁に対するシラン化であることが好ましい。上記の構成によれば、確実かつ簡便に、マイクロチャネル内の第2基板側の内壁を無極性化させることができる。なお、「反応流路内壁に対するシラン化」とは、反応流路の内壁にシラン基(シラン化合物)を付着結合させることをいう。
【0030】
さらに、上述のように、上記のマイクロリアクターにおけるマイクロチャネルの内壁には、2種類の非相溶系反応流体のそれぞれと親和性を有する部分が存在することになる。このため、2種類の非相溶系反応流体を流通させた場合、マイクロチャネル内部の反応流体は2次流れによる影響を受けにくくなる。したがって、上記マイクロリアクターを用いて、2種以上の非相溶系反応流体を反応させる場合、反応流体どうしの界面の変形が少なくなり、より安定な界面を作りだすことが可能になる。
【0031】
このため、上記マイクロリアクターを用いることにより、例えば、気−液多層系、水−油多層系、極性−無極性多層系などの非相溶系反応流体どうしの化学反応を高効率で実施することができるし、さらに、高性能な反応生成物の抽出・分離、分析が可能となる。
【0032】
すなわち、本発明には、上記いずれかのマイクロリアクターを用いて、少なくとも2種類の非相溶系反応流体を化学反応させる方法という、上記マイクロリアクターの利用方法が含まれる。
【0033】
また、マイクロリアクターの排出用流路の部分を流体の上層と下層が分離できるような構造に設計すれば、非相溶系の反応流体どうしを完全に分離することができる。すなわち、本発明には、上記いずれかのマイクロリアクターを用いて、マイクロチャネル内において、2種類の非相溶系反応流体の界面を安定に形成させ、さらに、当該2種類の非相溶系反応流体を完全に分離させる方法という、上記マイクロリアクターの利用方法が含まれる。
【0034】
なお、上記非相溶系反応流体が、水、緩衝液、有機溶媒、フッ素化溶媒、イオン性流体、超臨界流体、および気体から選択される反応流体であることが好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明は、2種以上の非相溶系反応流体を流通させ反応させる際に、非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、保つことができるマイクロリアクター、およびその利用法を提供するものである。上記マイクロリアクターを用いることにより、例えば、気−液多層系、水−油多層系、極性−無極性多層系などの非相溶系反応流体どうしの化学反応を高効率で実施することができ、さらに、高性能な反応生成物の抽出・分離、分析が可能となる。これは、有機・生化学分野、特に、食品や医薬品関連事業における有用物質の合成反応などに幅広く利用することができる技術であるため、本発明は非常に有用かつ社会的インパクトの強い発明であるといえる。
【0036】
このようなマイクロリアクターの作製のためには、反応流体の性質とマイクロリアクター基板材料(反応流路の内壁)の性質との相性、さらには第1基板と第2基板との材料どうしの性質の相性、そしてこれらの加工が問題であり、これらの問題を考慮した上での、適切な基板材料の選定・作製、流路の設計が必要となる。
【0037】
マイクロリアクターの基板材料(反応流路の内壁)の性質と反応流体の性質とを合わせるために、例えば、反応流路の内壁に対して、弱い疎水性を呈する金属による被膜、強い疎水性を呈するチオール基などによる化学修飾、強い親水性を呈するシラン化などの処理を適切に施して、マイクロリアクターを作製することができる。
【0038】
以下、本発明に係るマイクロリアクターについて説明し、次いで当該マイクロリアクターの利用法について説明することとする。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
【0039】
(1)マイクロリアクター
本発明に係るマイクロリアクターは、少なくとも2種類の非相溶系反応流体を流通または反応させるためのマイクロリアクターであって、基板表面に反応流路が形成されている第1基板と、基板表面に、上記第1基板表面の反応流路と略同一幅、略同一長、略同一深度の流路であって、形状が上記第1基板表面の反応流路の全部、または一部に対する略鏡像形状の流路を含む反応流路が形成されている第2基板とを備えており、上記第1基板の反応流路内壁は、上記非相溶系反応流体のうち、少なくとも1つの反応流体と親和性を有し、上記第2基板の反応流路内壁は、上記非相溶系反応流体のうち、少なくとも、第1基板の反応流路内壁と親和性を有する反応流体以外の1つの反応流体と親和性を有し、上記第1基板と第2基板とは、反応流路が形成されている面が互いに対向する(向かい合う)ように接着(例えば、溶着または加熱による接着)されているとともに、上記第1基板表面の反応流路と第2基板表面の反応流路とが、第1基板表面の反応流路内壁と第2基板表面の反応流路内壁とが一体となって閉じたマイクロチャネルを形成するように、互いの内壁を対向させて(向かい合わせて)接合されているマイクロリアクターであればよく、その他の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0040】
ここでいう「少なくとも2種類の非相溶系反応流体」とは、互いに相溶し難い反応流体の組み合わせをいい、例えば、気体と液体、水と油、極性溶媒と無極性溶媒などの非相溶系反応流体の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ここでいう反応流体としては、水、緩衝液、有機溶媒、フッ素化溶媒、イオン性流体、超臨界流体、および気体などが挙げられる。なお、反応流体の濃度、pH、温度といった反応条件は適宜設定可能であり、何ら限定されるものではない。また、マイクロチャネル内に同時に流通する非相溶系反応流体が2種以上であればよく、その他に、副生成物を洗浄・除去するための洗浄剤などを適宜追加する場合も本発明に含まれることはいうまでもない。
【0041】
また、「反応、及び/又は流通させるためのマイクロリアクター」とは、マイクロチャネル内において、2種以上の非相溶系反応流体を流通させて化学反応させるためのものであってもよいし、単に、2種以上の非相溶系反応流体をマイクロチャネル内に流通させるだけのものでもよいという意である。
【0042】
また、本発明でいう「マイクロチャネル」とは、2種以上の非相溶系反応流体を同時に流通させて、当該反応流体どうしを流通及び/又は化学反応させるための微小な筒状の経路のことである。また、「閉じたマイクロチャネル」とは、反応流体の入り口や出口を除いて、反応流体が外部へ流出することがない程度に空間が閉じているマイクロチャネルのことをいう。また、「反応流路」とは、2枚の基板の表面にそれぞれ1本ずつ形成された2本の流路が一体となって上記マイクロチャネルを形成するための流路のことをいい、単に、マイクロチャネル内に反応流体を供給するための供給用流路や、反応後の溶媒や生成物を回収するための排出用流路とは異なるものである。
【0043】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態に係るマイクロリアクターについて説明する。
【0044】
図1(a)は、本実施の形態に係るマイクロリアクターを構成する第1基板、第2基板の構造を模式的に示す平面図であり、(b)は、第1基板をX−X’方向に切断した断面、および第2基板をY−Y’方向に切断した断面の構造を模式的に示す断面図であり、(c)は、第1基板と第2基板とからなるマイクロリアクターの構造を模式的に示す平面図であり、(d)は、マイクロリアクターをZ−Z’方向に切断した断面の構造を模式的に示す断面図である。
【0045】
図1(a)(b)に示すように、第1基板1は、基板表面に反応流路1a、供給用流路3、排出用流路4が形成されている。また、第2基板2は、同じく基板表面に反応流路2a、供給用流路3、排出用流路4が形成されている。反応流路1aは内壁1bを有し、反応流路2aは内壁2bを有している。
【0046】
図1(c)(d)に示すように、マイクロリアクター10は、反応流路1a、2aが形成されている面が互いに向かい合うように第1基板1と第2基板2とを溶着させることにより作製されている。そして、反応流路1aと反応流路2aとは、内壁1b、2bが正確に向かい合い、内壁1bと内壁2bとが一体となってマイクロチャネル20を形成するように、重ねられ接合(溶着接合)されている。ここで、「内壁1bと内壁2bとが一体となって閉じたマイクロチャネル20を形成するように」とは、内壁1aと内壁1bとが向かい合って隙間なく重なり、1つの筒状の流路(マイクロチャネル)を形成するようにという意である。すなわち、本実施の形態に係るマイクロリアクター10では、第1基板1と第2基板2とが、反応流路1aの内壁1bと反応流路2aの内壁2bとが向かい合って隙間なく重なり、1つの筒状の流路を形成するように接合されていると換言できる。また、本実施の形態に係るマイクロリアクター10は、マイクロチャネルを長軸方向(長手方向)に対して、略平行に2分割した形状の反応流路を、第1基板1と第2基板2との表面にそれぞれ形成し、当該2つの基板上の反応流路が一体となってマイクロチャネルを形成するように、第1基板1と第2基板2とが溶着されているものと表現することもできる。
【0047】
第1基板1、第2基板2の基板材料は、特に限定されるものではないが、第1基板1と第2基板2とは接着によって貼り合わせることができる基板材料からなる必要がある。より好ましくは、第1基板1と第2基板2とは接着(溶着または加熱による接着など)によって貼り合わせることができる基板材料からなることが好ましい。
【0048】
例えば、第1基板としては、シリコン基板、ガラス基板、石英基板、またはセラミックス基板が好ましいが、本実施の形態では、第1基板1としてシリコン基板を用いているマイクロリアクターについて説明する。また、第2基板2としては、ガラス基板、石英基板、またはセラミックス基板が好ましい。本実施の形態では、第2基板2としてガラス基板を用いているマイクロリアクターについて説明する。
【0049】
ガラス基板、石英基板、またはセラミックス基板は、親水性を呈するものであり、シリコン基板と陽極接合により、容易に溶着させることができるためである。したがって、本実施の形態に係るマイクロリアクター10において、第1基板1と第2基板2とは陽極接合により溶着され、ほぼ完全に密閉したものとなっている。なお、例えば、第1基板1と第2基板2とが、ともにガラス基板である場合、加熱による接着することが可能である。
【0050】
また、ガラスや石英などの基板や、金属被膜したシリコン基板などは容易に化学修飾可能である。このため、マイクロチャネル内壁表面を修飾させて、内壁の性質(反応流体との親和性)が部分的に異なるマイクロリアクターを容易に作製することが可能になる。
【0051】
また、第1基板1の表面に形成されている反応流路1aは、図1(b)に示すように凹状の溝であってもよいが、その他半円柱状の溝であってもよく、反応流路の溝の具体的な形状は特に限定されない。また、反応流路1aの形状は、一般的には図1(a)に示すように直線状であるが、これに限定されるものではなく、例えば、緩やかな曲線形状の溝や、鋭角な折れ曲がり(ジグザグ)形状の溝であってもよい。また、反応流路1aの長さ、深さ、幅などは反応流体や基板材料の性質などに基づいて、適宜設定可能である。
【0052】
また、第2基板2の表面に形成されている反応流路2aは、第1基板1表面に形成されている反応流路1aと略同一の幅、略同一の長さの溝であって、形状が第1基板1の反応流路1aの形状の略鏡像形状の溝である。ここで、「反応流路の幅」とは、反応流路の短軸方向における溝の長さ(長軸方向(長手方向)に垂直な方向における溝の長さ)をいい、「反応流路の長さ」とは、反応流路の長軸方向(長手方向)における溝の長さをいう。また、反応流路1aと反応流路2aの溝の深さ(基板の厚み方向における溝の長さ)は略同一であることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、「第2基板2の反応流路2aの形状が略鏡像形状である」とは、第2基板2における反応流路2aの形状が、第1基板1の反応流路1aの形状を鏡に映した場合に現れる形状であることをいう。例えば、図1(a)に示すように、反応流路1aの形状が直線形状の溝である場合、反応流路2aの形状も直線形状の溝となる。なお、第1基板1の反応流路1aと第2基板2の反応流路2aとは、同一の幅、同一の長さ、および鏡像形状であることが好ましいが、実際の加工の際に、完全に同じ幅、同じ長さ、同じ形状の2つの流路を作製することは事実上困難であり、数ミクロン以上の誤差が生じることもある。そこで、第1基板1の反応流路1aと第2基板2の反応流路2aとは、溝の左右のずれなどが生じる場合であっても、反応流体の入り口・出口を除いて、第1基板1と第2基板2とを接着した後に、閉じたマイクロチャネル20が形成できる程度に、略同一の幅、略同一の長さ、略鏡像形状を有するものであればよい。すなわち、第2基板2に形成される反応流路2aは、第1基板1の反応流路1aと閉じたマイクロチャネルを形成できる程度であれば、わずかに幅、長さ、形状が異なっていてもかまわないといえる。
【0053】
反応流路1aと反応流路2aとがこのような形状を有する場合、マイクロチャネル20を形成するために、第1基板1と第2基板2とを溶着させた際に、反応流路1a、2aどうしが隙間なく一致し、隙間のない完全なマイクロチャネル20が形成されることになるためである。
【0054】
また、図1(a)に示すように、第1基板1と第2基板2とは、それぞれ供給用流路3と排出用流路4とを有し、図1(c)に示すように、マイクロリアクター10は、2つの供給用流路3・3と、2つの排出用流路4・4とを有する。
【0055】
供給用流路3は、外部からマイクロチャネル20に対して反応流体を供給するための供給口として機能する流路である。また、排出用流路4とは、マイクロチャネル20を流通した後の反応流体、溶媒、及び/又は反応生成物や副生成物などを外部へ排出するための排出口として機能する流路である。これら供給用流路3、および排出用流路4の形状、幅、長さ、深さ、個数などは、従来公知のマイクロリアクターに形成される場合と同一または類似のものを利用することができ、特に限定されるものではない。
【0056】
具体的には、例えば、供給用流路3・3として、第1基板1および第2基板2における反応流路1a、2aが形成されている面の裏面と、マイクロチャネル20の始点(2種の非相溶系反応流体が最初に接する箇所)とをつなぎ、マイクロリアクターの外部からマイクロチャネル20内に反応流体を供給することができるように形成されている供給用流路3・3を挙げることができる。また、排出用流路4・4として、第1基板および第2基板における反応流路が形成されている面の裏面と、マイクロチャネル20の終点(2種の非相溶系反応流体が最後に流れ着く箇所)とをつなぎ、マイクロチャネル20内からマイクロリアクターの外部へ反応流体や反応生成物を排出することができるように形成されている排出用流路4・4を挙げることができる。
【0057】
また、マイクロリアクター10は、2つの供給用流路3・3を有するため、少なくとも2種以上の反応流体を供給することができる。また、2つの排出用流路4・4を有するため、単に反応生成物を回収するだけでなく、マイクロチャネル20を通過した2種の非相溶系反応流体をほぼ完全に分離させて回収することもできる。
【0058】
本実施の形態に係るマイクロリアクター10では、供給用流路3と排出用流路4はそれぞれ2つずつ形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、化学反応により生じた副産物を洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給用流路や、洗浄液排出用流路といったように、その他の供給用流路や排出用流路が設けられていてもよい。
【0059】
第1基板1表面、第2基板1表面に反応流路1a、2aを形成する方法や供給用流路3、排出用流路4を形成する方法としては、従来公知の方法を利用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、後述する実施例に示すように、微細機械加工装置によって機械的に流路を形成してもよいし、また、ケミカルエッチングなどを利用して化学的に流路を形成してもよい。
【0060】
また、第2基板2の反応流路2aは、図8に示すように、第1基板1の反応流路1aの一部分に対して略鏡像形状を示す反応流路2a’と、第1基板1の反応流路1aに対して略鏡像形状を示さない反応流路2a’’とを含むものであってもよい。このような反応流路1a、2aから構成されるマイクロチャネルを有するマイクロリアクターによれば、2つの反応流体が接触する箇所と接触しない箇所が生じることになる。すなわち、上記マイクロリアクターによれば、反応流体の流通中に、一旦、2つの反応流体の接触が途絶えることになる。この場合、マイクロリアクターのマイクロチャネル内では、2つの反応流体の界面が繰り返し離合することになり、その結果、2つの反応流体の界面の安定性をより一層高めることができる。
【0061】
また、第1基板1の反応流路1aの内壁1bは、上記非相溶系反応流体のうち、少なくとも1つの反応流体と親和性を有するように形成されている。ここで、「反応流路の内壁が反応流体と親和性を有するように形成されている」とは、反応流体との接触角が小さく、反発し合わない性質で反応流路内壁が形成されていることをいう。このような反応流路1aの内壁1bを形成するための手段として、例えば、基板の材質自体が反応流体と親和性を有する第1基板1の表面に反応流路1aを直接形成する方法や、あるいは反応流路1aの内壁1bに対して、反応流体との親和性が生ずるように何らかの処理を施す方法が挙げられる。
【0062】
また、第2基板2の反応流路2aの内壁2bは、上記非相溶系反応流体のうち、少なくとも、第1基板1の反応流路1aの内壁1bと親和性を有する反応流体以外の1つの反応流体と親和性を有するように形成されている。すなわち、第2基板2の反応流路2aの内壁2bは、第1基板の内壁1bと親和性を有しない反応流体と親和性を有するように形成されている。このような反応流路2aの内壁2bを形成するための手段としては、上記の反応流路1aの内壁1bを形成する場合と同様の手段を利用することができる。
【0063】
このように、反応流路1aの内壁1bと反応流路2aの内壁2bとを形成することにより、マイクロチャネル20を流れる2種の非相溶系反応流体は、第1基板1側の内壁1bと、第2基板2側の内壁2bとに局在化した状態で分離したまま流通することになる。このため、2種の非相溶系反応流体間の界面を安定に保ちながら、マイクロチャネル20内を流通させることができる。
【0064】
また、反応流路1aの内壁1bに対して、反応流体との親和性が生ずるように何らかの処理を施す方法の一例として、例えば、図2(f)に示すように、第1基板1の反応流路1aの内壁1bに対して、金属被膜30を施す方法が挙げられる。金属被膜30は弱疎水性を呈するため、金属被膜30を施された第1基板1の反応流路内壁1bは、例えば、気体などの反応流体と親和性を有することになる。したがって、上記のように、内壁1bに金属被膜30が施されたマイクロリアクター10によれば、気体のように弱い疎水性を有する反応流体と水系液体流体からなる、いわゆる気−液系の非相溶系反応流体をマイクロチャネル20内に流通させた場合、第1基板1側の内壁1bに当該疎水的な反応流体(気体)を局在化させることができ、第2基板2側の内壁2bに水系液体の反応流体を局在化させることができる。このため、マイクロチャネル内20において、2種の反応流体を分離させたまま流通させることができ、気−液界面を安定に保つことができる。
【0065】
上記金属被膜30としては、例えば、金、白金、ニッケルなどを用いることが好ましい。また、第1基板1の反応流路1aの内壁1bに金属被膜30を形成する方法としては、従来公知の方法を利用することができ、特に限定されないが、例えば、後述する実施例に示すように、スパッタリングなどにより蒸着させる方法が挙げられる。以下、反応流路1aの内壁1bに金属被膜30を形成する具体的な方法の一例について図2(a)〜(f)に従って説明する。
【0066】
まず、図2(a)(b)に示すように、第1基板1の片面にフォトレジストでマスキング7を施す。次に、図2(c)で示すように、マスキング7を施した第1基板1表面を掘削して反応流路1aを形成する。続いて、図2(d)に示すように、形成した反応流路1aの内壁1bに金属を蒸着させ金属被膜を形成する。そして、図2(e)で示したように、マスキング7を除去した後、図2(f)に示すように、第2基板2に形成された反応流路2aと向かい合うように、第1基板1と第2基板2とを陽極接合により溶着接合させる。これにより、第1基板1に形成された反応流路1aの内壁1bにのみ、金属による被膜処理を施したマイクロリアクター10を作製できる。
【0067】
また、第1基板1の反応流路1aの内壁1bに形成されている金属被膜30の表面が、疎水性を強めるために化学修飾処理(例えば、疎水極性化の化学処理)されていてもよい。これにより、反応流路1aの内壁1bは、強い疎水性を有する反応流体、例えば、油系の反応流体と親和性を有することになる。
【0068】
上記化学修飾処理として、例えば、図3に示すように、第1基板1の反応流路1aに形成された金属被膜30の表面に、チオール基11を修飾させることが好ましい。チオール基の修飾によって、金属被膜30表面は、疎水極性化されることになる。なお、金属被膜30の表面にチオール基11を修飾させる方法としては、従来公知の方法を利用でき、特に限定されるものではないが、例えば、チオール化合物を含む溶液をマイクロチャネル20内に流通させるという単純な方法で金属被膜30の表面をチオール化することができる。
【0069】
上記のように、金属被膜30表面に対して疎水性を高める化学処理がなされたマイクロリアクター10によれば、油のように疎水性の強い反応流体と水系の反応流体からなる、いわゆる水−油系の非相溶系反応流体をマイクロチャネル20内に流通させた場合、第1基板1側の内壁1bに当該疎水的な反応流体を局在化させることができ、また、第2基板2側の内壁2bには水系液体の反応流体を局在化させることができる。このため、マイクロチャネル内20において、2種の反応流体を分離させた状態で流通させることができ、水−油系の非相溶系反応流体間の界面を安定に保つことができる。
【0070】
また、反応流路2aの内壁2bに対して、反応流体との親和性が生ずるように何らかの処理を施す方法として、例えば、第2基板2の反応流路内壁2bに対して、無極性化処理を施す方法が挙げられる。これにより、第2基板2の反応流路内壁2bは、例えば、フッ素化溶媒流体のような無極性の反応流体と親和性を有することになる。
【0071】
また、上記無極性化処理として、例えば、図4に示すように、第1基板1の反応流路内壁1bには金属被膜30が形成されており、第2基板2の反応流路2aの内壁2bに対して、シラン化処理(シランコーティング13)を行うことが好ましい。なお、第2基板2の反応流路2aの内壁2bをシラン化処理する方法としては、従来公知の方法を利用でき、特に限定されるものではないが、例えば、シラン化処理用の反応液(例えば、シラン化合物を含む溶液など)をマイクロチャネル20内に流通させるという単純な方法で第2基板2の反応流路2aの内壁2bをシラン化することができる。
【0072】
上記のように、第1基板1の反応流路内壁1bには金属被膜30が形成されており、内壁2bに対して無極性化処理がなされたマイクロリアクター10によれば、フッ素化溶媒反応流体と気体からなる、いわゆる極性溶媒−気体系の非相溶系反応流体をマイクロチャネル20内に流通させた場合、第2基板2側の内壁2bに当該無極性の反応流体を局在化させることができ、また、第1基板1側の内壁1bに気体を局在化させることができる。このため、マイクロチャネル内20において、2種の反応流体を分離させたまま流通させることができ、極性溶媒−気体系の非相溶系反応流体間の界面を安定に保つことができる。
【0073】
また、例えば、図5に示すように、上述した第1基板1の反応流路内壁1bに金属被膜30を施し、当該金属被膜30の表面にチオール基11を修飾させるとともに、第2基板2の反応流路内壁2bに対して、シラン化処理を施したマイクロリアクター10を作製することもできる。
【0074】
この場合、第1基板1側の内壁1bは、強い疎水性を有する反応流体、例えば、極性を有する疎水性溶媒からなる反応流体と親和性を有することになる。さらに、第2基板2側の内壁2bは、例えば、フッ素化溶媒流体のような無極性の反応流体と親和性を有することになる。
【0075】
このため、上記のように、第1基板1の反応流路1aの内壁1bにおける金属被膜30に対して疎水性を高める化学処理(チオール化処理)がなされ、かつ第2基板2の反応流路2aの内壁2bに対してシラン化処理されたマイクロリアクター10によれば、無極性溶媒と疎水性の極性溶媒からなる系の非相溶系反応流体をマイクロチャネル20内に流通させた場合、第1基板1側の内壁1bに疎水性の極性溶媒からなる反応流体を局在化させることができ、また、第2基板2側の内壁2bに無極性溶媒からなる反応流体を局在化させることができる。このため、マイクロチャネル内20において、2種の反応流体を分離させたまま流通させることができ、非相溶系反応流体間の界面を安定に保つことができる。
【0076】
なお、上記のようにマイクロチャネル20の内壁部分を修飾する方法としては、従来公知の方法を利用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、マイクロチャネル20内にシラン化反応液と、チオール化合物を含む溶液とを順に流通させるという方法を挙げることができる。
【0077】
(2)マイクロリアクターの利用法
上述のように、本発明に係るマイクロリアクターによれば、2種の非相溶系反応流体を第1基板側と第2基板側とに分離させたまま流通させることができるため、2つの非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、保つことができる。このため、反応流体の界面積が減少することを防止でき、それを介して起こる化学反応の効率を高めることができ、さらに生成物等の抽出・分離の効率も高めることができる。
【0078】
このため、上記のマイクロリアクターを用いて、少なくとも2種類の非相溶系反応流体を化学反応させる方法、および上記のマイクロリアクターを用いて、少なくとも2種類の非相溶系反応流体を化学反応させ、生成した反応生成物を分離・分析する方法も本発明に含まれる。
【0079】
上記方法は、本発明に係るマイクロリアクターを用いていればよく、その他の具体的な工程、条件などは、特に限定されるものではない。なお、上記化学反応としては、マイクロリアクターにおけるマイクロチャネル内で2種以上の非相溶系反応流体を、反応流体間の界面を介して反応させる反応であればよく、その他の条件等は特に限定されるものではない。すなわち、反応流体の濃度、pH、温度といった反応条件などは適宜設定可能であり、何ら限定されるものではない。
【0080】
また、上記のマイクロリアクターを用いて、マイクロチャネル内において、2種類の非相溶系反応流体の界面を安定に形成させ、さらに、当該2種類の非相溶系反応流体を完全に分離させる方法も本発明に含まれる。
【0081】
上記のマイクロリアクターを用いることにより、2種の非相溶系反応流体間の界面が安定に形成され、2種の非相溶系反応流体はそれぞれ第1基板の反応流路内壁側と第2基板の反応流路内壁側とに分離した状態で局在化したまま流通することになる。このため、マイクロリアクターの出口部分である排出用流路を、マイクロチャネル内において分離した状態で流通している非相溶系反応流体を、分離できるような構造に設計すれば、2種の非相溶系反応流体をほぼ完全に分離させることができる。
【0082】
排出用流路の構造としては、例えば、図6に示すようなものが挙げられる。図6は、マイクロリアクターにおける排出用流路の形状を模式的に示す部分断面図である。同図に示すように、本マイクロリアクター10は、2つの排出用流路4・4を備えており、その他の構成は、上記(1)欄で説明したマイクロリアクターと同様の構造を有するため、説明を省略する。
【0083】
排出用流路4・4は、第1基板1と第2基板2とにそれぞれ1本ずつ形成されている。第1基板1に形成されている排出用流路4は、第1基板1の反応流路内壁1bと、反応流路内壁1bが形成されている面の裏面とをつなぐように形成されており、マイクロチャネル20内を流通した後の反応流体を外部へ排出するように形成されている。すなわち、第1基板1に形成されている排出用流路4は、マイクロチャネル20と、反応流路1a(の内壁1b)が形成されている面の裏面とをつなぐように形成されているといえる。さらに、第1基板1に形成されている排出用流路4は、マイクロチャネル20の流通方向に傾きを有するように形成されている。
【0084】
また、第2基板2に形成されている排出用流路4は、第2基板2の反応流路内壁2bと、反応流路内壁2bが形成されている面の裏面とをつなぐように形成されており、マイクロチャネル20内を流通した後の反応流体を外部へ排出するように形成されている。すなわち、第2基板2に形成されている排出用流路4は、マイクロチャネル20と、反応流路2a(の内壁2b)が形成されている面の裏面とをつなぐように形成されているといえる。さらに、第2基板2に形成されている排出用流路4は、マイクロチャネル20の流通方向に傾きを有するように形成されている。
【0085】
排出用流路4・4の幅は、マイクロチャネル20と同一の幅であることが好ましい。なお、排出用流路4・4のマイクロチャネル流通方向への傾きの角度や、流路の長さは特に限定されるものではない。
【0086】
このような排出用流路4・4を有するマイクロリアクター10によれば、その構造上、マイクロチャネル20内を反応流路1a側に沿って(局在化して)流通してきた反応流体は、第1基板1に形成された排出用流路4に流入し、また、マイクロチャネル20内を反応流路2a側に沿って(局在化して)流通してきた反応流体は、第2基板2に形成された排出用流路4に流入することになる。このため、マイクロチャネル20内に流通させた2種の非相溶系反応流体をほぼ完全に分離させることができる。
【0087】
また、上記非相溶系反応流体は、水、緩衝液、有機溶媒、フッ素化溶媒、イオン性流体、超臨界流体、および気体から選択される反応流体であることが好ましい。これらの具体的な構成、温度、濃度などの条件は、限定されないことはいうまでもない。
【0088】
以上のように、本発明に係るマイクロリアクターを用いることにより、界面を利用した各種化学反応をはじめとして、反応生成物の抽出・分離操作、および分析の効率化・高性能化が期待できる。例えば、本発明に係るマイクロリアクターを用いて、液−液界面を高度に制御して化学反応を実施することにより、高価な触媒である有機金属錯体や酵素などの有機分子を効率良く分離・回収することができ、これら有機分子の再利用が可能になる。また、気−液、液−液、水−油界面が重要な役割を果たしていると考えられる不斉合成反応およびラセミ体の光学分割操作を、本発明のマイクロリアクターを使用することにより効率よく行うことも可能である。
【0089】
これらの反応、操作は、有機・生化学分野、特に医薬品、食品関連の物質合成において極めて重要なプロセスであるため、かかる反応を高効率で行うことを可能とする本発明は、産業界に大きな影響を与えるものといえる。さらに、このような用途のそれぞれを満たすマイクロリアクターの開発事業そのものも産業として成立可能である。
【0090】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
例えば、本発明には、シリコンなどの基板上にマイクロチャネルを作製し、その流路を金属で被覆したものと、ガラスや石英などの基板にマイクロチャネルを作製したものとを溶着してマイクロリアクターを製造する方法も含まれる。
【0092】
さらに、上記のマイクロリアクター製造方法によって製造されるマイクロリアクターにおいて、流路に金、白金、ニッケルなどの金属を蒸着させたマイクロチャネル構造を有するマイクロリアクターであってもよい。
【0093】
また、上記マイクロリアクターにおいて、金属表面を化学修飾し、マイクロチャネル内の表面の性質を部分的に変化させたマイクロリアクターであってもよい。
【0094】
また、上記マイクロリアクターにおいて、マイクロチャネル内の金属で被覆していない部分をシラン化試薬等で処理し、表面の性質を部分的に変化させたマイクロリアクターであってもよい。
【0095】
また、上記マイクロリアクターにおいて、マイクロチャネル内の金属で被覆している部分を化学修飾すると同時に、マイクロチャネル内の金属で被覆していない部分をシラン化試薬等で処理し、表面の性質を部分的に変化させたマイクロリアクターであってもよい。
【0096】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
【実施例】
本実施例では、図1に示すマイクロリアクターを作製した。具体的には、まず、第1基板として、3cm×7cm、厚さ0.7mmのシリコン基板1、第2基板として同一の大きさのガラス基板2を用意した。
【0098】
次いで、シリコン基板1を加工した。具体的には、図2(a)(b)に示すように、シリコン基板1の片面にフォトレジストでマスキングを施した(マスク7)。次に、図2(c)に示すように、微細機械加工装置にて径200ミクロンのドリルで反応流路1aを掘削した。このとき反応流路1aの深さは100ミクロンとした。次いで、図2(d)に示すように、この反応流路1aの内壁1bに金をスパッタリングしたのち、図2(e)に示すように、有機溶媒にてマスク7を除去することで反応流路1aの内壁1bのみに金を蒸着させた(金被膜30)。
【0099】
また、同様に、ガラス基板2表面に、微細機械加工装置にて径200ミクロンのドリルで反応流路2aを掘削した。このとき反応流路2aの深さは、シリコン基板1に形成した反応流路1aと同じく100ミクロンとした。最後に、図2(f)に示すように、金被覆シリコン基板1とガラス基板2とを上下に重ね合わせ、陽極接合にて両基板を溶着させた。これによって、内壁1bと2bとが一体となって、幅、深さともに200ミクロンのマイクロチャネル20が形成される。
【0100】
また、図1(c)に示すように、マイクロリアクター10では、マイクロチャネル20への入り口として供給用流路3、および出口として排出用流路4を形成しているが、この供給用流路3、排出用流路4は、シリコン基板1、ガラス基板2それぞれに1つずつ形成した。これは2種の非相溶系反応流体をシリコン基板1側とガラス基板2側から上下層に注入した場合、当該2種の反応流体が上下層に分離させたまま流通するか否かを調べるためである。なお、排出用流路4の詳細な構造は、図6に模式的に示す。
【0101】
次に、このマイクロリアクター10を用いて、マイクロチャネル20内に1−ドデカンチオールの10%(Vol.)トルエン溶液を24時間流通させた後、除去することにより、金被膜30部分にのみチオール処理を施した。こうして、マイクロチャネル20の上半分(ガラス基板2側)は親水性を示し、チオール化した金被膜30部分が存在する下半分(シリコン基板1側)は疎水性を有するマイクロリアクター10が完成した。
【0102】
このマイクロリアクター10におけるマイクロチャネル20の2つの供給用流路3・3から、それぞれ水とクロロホルムをそれぞれ流速 100μL/min.で注入した。より詳細には、ガラス基板2側の供給用流路3から水を、シリコン基板1側の供給用流路3からクロロホルムを注入した。
【0103】
その結果を図7に示す。図7は、マイクロチャネル20の排出用流路4近傍における、水と着色したクロロホルムの分離状態をCCDカメラにて撮影した結果を示す図である。同図に示すように、マイクロチャネル20内において、水と着色したクロロホルムは、その界面を水平面に保ったまま流れ、排出用流路4・4にて、上下層に分かれ完全に分離して回収されることが確認された。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るマイクロリアクターによれば、2種の非相溶系反応流体を第1基板側と第2基板側とに分離させたまま流通させることができるため、2つの非相溶系反応流体間の界面を安定に形成し、保つことができる。このため、反応流体の界面積が減少することを防止でき、界面を介して起こる化学反応の効率を高めることができ、さらに生成物等の抽出・分離の効率も高めることができるという効果を奏する。
【0105】
それゆえ、本発明に係るマイクロリアクターを用いることにより、高価な触媒である有機金属錯体や酵素などの有機分子を効率良く分離・回収することができ、その再利用が可能になるという効果を奏する。
【0106】
また、本発明に係るマイクロリアクターを用いることにより、有機・生化学分野、特に医薬品、食品関連の物質合成において、重要な化学反応を高い効率で行うことができ、産業界に大きな影響を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本実施の形態に係るマイクロリアクターを構成する第1基板、第2基板の構造を模式的に示す平面図であり、(b)は、第1基板をX−X’方向に切断した断面、および第2基板をY−Y’方向に切断した断面の構造を模式的に示す断面図であり、(c)は、第1基板と第2基板とからなるマイクロリアクターの構造を模式的に示す平面図であり、(d)は、マイクロリアクターをZ−Z’方向に切断した断面の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】図2(a)〜(e)は、第1基板を加工する手順の一例を示す断面図であり、(f)は、(a)〜(e)の手順により加工した第1基板と別途加工した第2基板とを溶着させて、第1基板の反応流路内壁に金属被膜を施したマイクロリアクターを製造する手順を示す断面図である。
【図3】第1基板の反応流路内壁の金属被膜にチオール化修飾を施したマイクロリアクターの製造工程を模式的に示す断面図である。
【図4】第2基板の反応流路内壁にシラン化修飾を施したマイクロリアクターの製造工程を模式的に示す断面図である。
【図5】第1基板の反応流路内壁の金属被膜にチオール化修飾を施し、かつ第2基板の反応流路内壁にシラン化修飾を施したマイクロリアクターの製造工程を模式的に示す断面図である。
【図6】マイクロリアクターにおける排出用流路の構造の一例を模式的に示す断面図である。
【図7】本実施例で示した、マイクロチャネルの排出用流路近傍における、水と着色したクロロホルムの分離状態をCCDカメラにて撮影した結果を示す図である。
【図8】本実施の形態に係るマイクロリアクターを構成する第1基板、第2基板の構造のその他の一例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
1 第1基板(シリコン基板)
2 第2基板(ガラス基板)
3 供給用流路
4 排出用流路
10 マイクロリアクター
1a 反応流路
1b 内壁(反応流路内壁)
2a 反応流路
2b 内壁(反応流路内壁)
20 マイクロチャネル
30 金属被膜(金被膜)
Claims (12)
- 少なくとも2種類の非相溶系反応流体を流通または反応させるためのマイクロチャネルを有するマイクロリアクターであって、
基板表面に反応流路が形成されている第1基板と、
基板表面に、上記第1基板表面の反応流路と略同一幅、略同一長さの流路であって、形状が上記第1基板表面の反応流路の全部、または一部に対する略鏡像形状の流路を含む反応流路が形成されている第2基板とを備えており、
上記第1基板の反応流路内壁は、上記非相溶系反応流体のうち、少なくとも1つの反応流体と親和性を有するように形成されており、
上記第2基板の反応流路内壁は、上記非相溶系反応流体のうち、第1基板の反応流路内壁と親和性を有する反応流体以外の少なくとも1つの反応流体と親和性を有するように形成されており、
上記第1基板と第2基板とは、反応流路が形成されている面が互いに対向するように接着されているとともに、
上記第1基板表面の反応流路と第2基板表面の反応流路とが、第1基板表面の反応流路内壁と第2基板表面の反応流路内壁とが一体となって閉じたマイクロチャネルを形成するように、互いの内壁を対向させて接合されていることを特徴とするマイクロリアクター。 - 上記第1基板表面と第2基板表面とには、それぞれ、反応流体をマイクロチャネルに供給するための供給用流路と、マイクロチャネル通過後の反応流体及び/又は反応生成物を排出するための排出用流路とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクター。
- 上記第1基板はシリコン基板、ガラス基板、石英基板、およびセラミックス基板から選ばれるいずれか1つの基板であり、上記第2基板はガラス基板、石英基板、およびセラミックス基板から選ばれるいずれかの1つの基板であることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロリアクター。
- 上記第1基板の反応流路内壁は金属によって被膜されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロリアクター。
- 上記第1基板の反応流路内壁に形成されている金属被膜は、金、白金、またはニッケルであることを特徴とする請求項4に記載のマイクロリアクター。
- 上記第1基板の反応流路内壁に形成されている金属被膜の表面には、疎水性を強めるための化学修飾処理がなされていることを特徴とする請求項4または5に記載のマイクロリアクター。
- 上記化学修飾処理とは、上記第1基板の反応流路に被膜された金属の表面に対する、チオール基の修飾であることを特徴とする請求項6に記載のマイクロリアクター。
- 上記第2基板の反応流路内壁には、無極性化処理がなされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロリアクター。
- 上記無極性化処理とは、上記第2基板の反応流路内壁に対するシラン化であることを特徴とする請求項8に記載のマイクロリアクター。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロリアクターを用いて、少なくとも2種類の非相溶系反応流体を化学反応させる方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロリアクターを用いて、マイクロチャネル内において、2種類の非相溶系反応流体の界面を安定に形成させ、さらに、当該2種類の非相溶系反応流体を完全に分離させる方法。
- 上記非相溶系反応流体が、水、緩衝液、有機溶媒、フッ素化溶媒、イオン性流体、超臨界流体、および気体から選択される反応流体であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
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