JP2014238012A - 圧縮機 - Google Patents

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裕文 吉田
Hirofumi Yoshida
裕文 吉田
啓晶 中井
Hiroaki Nakai
啓晶 中井
信吾 大八木
Shingo Oyagi
信吾 大八木
竜一 大野
Ryuichi Ono
竜一 大野
健 苅野
Takeshi Karino
健 苅野
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Abstract

【課題】リード弁の開き遅れを改善しながら、リード弁のねじり運動による破損を回避可能な、高効率と高信頼性を両立する圧縮機を提供すること。
【解決手段】吐出ポート14の中心軸または弁座22の中心軸の少なくともいずれか一方が、リード弁19の弁部19bの中心軸に対し、概ね先端側に偏心することにより、弁部19bのより先端側に圧力を作用させ、より小さい圧力差でリード弁19の長手方向の曲げ剛性に打ち勝つ曲げモーメントを発揮してリード弁19の開き遅れを改善して高効率化が可能であるとともに、弁座22に対してリード弁19が先端側から根元部19cに向かって順次リフトするため、弁部19bと弁座22との間に先端側から順次ガスまたは潤滑油が供給されて負圧が解消されてより小さい圧力差でリフトして開き遅れを改善して高効率化が可能である。
【選択図】図6

Description

本発明は、空調機、冷凍機、ブロワ、給湯機、冷蔵庫等に使用される圧縮機に関するものである。
従来の構成の一例として、図10から図13のロータリ圧縮機を参照しながら説明する。図10において、シリンダ101とローリングピストン102、図示されていないベーンを上軸受103と下軸受104で挟み込むことで吸入室と圧縮室105を形成し、駆動軸106の回転に伴ってローリングピストン102が回転することで圧縮動作を行う圧縮機構部107と、駆動軸106に回転力を伝える電動要素108とが密閉容器109内に収納されている。
図11および図12は図10の上軸受103の正面図とそのA−A断面図である。圧縮室105で圧縮された冷媒ガスは上軸受103に設けられた吐出ポート110を通って圧縮機構部107から密閉容器109内部空間へと吐出される。吐出ポート110には逆止弁としてリード弁111が、そのリフト量を規制するリテーナ112とともに上軸受103にリベット固定されている。
図13はリード弁111の正面図である。リード弁111はリテーナ112とともに上軸受103に密着固定される固定部111aと、吐出ポート110を開閉する弁部111bと、固定部111aと弁部111bとを連絡する根元部111cとで構成される。弁部111bは吐出ポート110を囲むように設けられた弁座113と接触することで吐出ポート110での逆流をシールしている。
リード弁111はその表裏の圧力差によってリフトを開始し、吐出ポート110が開口する。圧縮室105内の圧力が吐出ポート110下流側空間の圧力と同等となった瞬間から、圧縮室105内の圧力が吐出ポート110下流側空間の圧力よりもやや高くなり、その圧力差によるリード弁111長手方向の曲げモーメントがリード弁111の曲げ剛性に打ち勝ってリード弁111がリフトするまでの微小な時間遅れを一般的に「開き遅れ」と呼び、その開き遅れによって生じる圧縮室105内圧力の過圧縮現象によって圧縮機の効率が低下する。
リード弁111の開き遅れの要因として、リード弁111自体の曲げ剛性や、リード弁111の弁部111b表裏の受圧面の差のほか、弁座113周辺に溜まった潤滑油の粘性によるリード弁111の貼り付き等が主に考えられる。リード弁111の厚みを薄くしたり、根元部111cの幅を小さくして、リード弁111自体の曲げ剛性を低下させることで開き遅れは改善するが、リード弁111が破損しやすいという欠点があるため、必要最低限の曲げ剛性を確保しながら、他の方法によって開き遅れを改善する必要がある。
他の方法の一つとして、特許文献1の発明では、図14のとおり、吸入ポート210の一端に設けられた弁座の中心軸と、リード弁211の弁部211bの中心軸とが偏心している。前述の吐出ポート110と特許文献1の吸入ポート210は概ね同様の考え方が成り立ち、吸入ポート210および弁座の内側が吸入ポート210下流側空間、すなわち圧縮室の圧力よりもやや高くなることでリード弁211がリフトする。特許文献1の構成では、このやや高い圧力の範囲をリード弁211の弁部211bの中心からずらすことで、リード弁211の長手方向を軸としたねじり運動を生じさせている。一般的にリード弁211のねじり剛性は曲げ剛性よりも弱いため、リフトに必要な弁部211bの表裏圧力差
はねじりながらリフトする方が小さくなり、開き遅れが改善される。
さらに別の方法として、特許文献2の発明では、図15のとおり、リード弁311の長手方向において、弁部311b先端側端部が、ポート310を囲むように設けられた凹部314に臨まないようにしている。この構成により、リード弁311のリフト時に凹部314に溜まった潤滑油の粘性の影響を受けないため、リード弁311の貼り付きを解消し、開き遅れを改善することができる。
特開平6−323256号公報 特開2010−169077号公報
しかしながら、前記特許文献1の従来の構成では、曲げ剛性よりも比較的弱いねじり剛性を利用しているため、ねじり運動を繰り返すことによるリード弁の疲労破壊が生じやすいという欠点がある。また、リード弁のリフト終了後、リード弁が斜めになった状態で弁座に着座するため、一箇所に応力が集中してリード弁や弁座の偏磨耗が生じるだけでなく、応力集中によるリード弁の破断も生じやすい。
また、前記特許文献2の従来の構成では、リード弁の弁部と弁座との間に付着する潤滑油に対しては何ら効果を発揮しない。リード弁がリフト開始時に弁座周辺の潤滑油が負圧となってリード弁が弁座に吸い付く、いわゆる「潤滑油の粘性によるリード弁貼り付き」の解消には、深さが十分深く潤滑油が周辺からふんだんに供給されやすい凹部よりも、油膜がかなり薄く負圧になりやすい弁座での対策がより効果的であると考えられる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、リード弁の長手方向において弁部側を先端とすると、ポートの中心軸または弁座の中心軸をリード弁の弁部の中心軸よりも先端側に設定する。リード弁の弁部のより先端側に圧力を作用させ、より低い圧力でリード弁先端側から順次リフトを開始させることでリード弁の開き遅れを改善しながら、リード弁のねじり運動による破損を回避可能な、高効率と高信頼性を両立する圧縮機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機は、請求項1記載のとおり、ポートが設けられた隔壁によって第1室と第2室が隔離され、ポートの第2室側に設けたリード弁によってポートが開閉し、リード弁は常に隔壁に密着する固定部と、ポートの周囲に形成された円環状の弁座と当接することでポートを閉塞して逆止する弁部と、固定部と弁部を連絡する根元部とで構成された圧縮機であって、リード弁の長手方向において弁部側を先端とすると、ポートの中心軸または弁座の中心軸の少なくともいずれか一方が、弁部の中心軸に対し、概ね先端側に偏心していることを特徴とするものである。
圧縮室が所定圧力に到達してからリード弁がリフトし始めるまでの微小時間における圧力伝播を考えると、圧縮動作によってまず圧縮室の圧力が上昇し、その圧力がポート内を通過後に弁座内部の空間へと広がるように充満する。このとき、弁座内部の流路はポート内と比較してかなり小さく圧力損失が非常に大きいため、圧力波が弁座内部に充満する時間もリード弁の開き遅れに大きく影響を及ぼす。すなわち、リード弁の開き遅れを改善するためには、弁座内部の圧力を如何に効果的にリード弁の弁部に作用させるかがポイントとなる。
本発明の構成のうち、ポートの中心軸をリード弁の弁部の中心軸よりも先端方向に設定している構成では、最も早く圧力が上昇するポート付近の圧力をリード弁の弁部の先端側に作用させるため、ポートと弁部が同心の場合よりもより小さい圧力差でリード弁の曲げ剛性に打ち勝つ曲げモーメントを発生させることができ、より早くリード弁をリフト開始させて開き遅れを改善できる。
一方、弁座の中心軸をリード弁の弁部の中心軸よりも先端方向に設定している構成では、弁座全体の圧力を弁部の先端側に作用させるため、弁座と弁部が同心の場合よりも弁座内部がより小さい圧力差でリード弁の曲げ剛性に打ち勝つ曲げモーメントを発生させることができ、同様に開き遅れを改善できる。
加えて、リード弁の弁部と弁座との間に介在する潤滑油の粘性による貼り付きという課題に対し、上記両構成とも弁座に対してリード弁が先端側から根元部に向かって順次リフトするため、例えば結露したガラス窓に貼り付いた紙の端を持ってめくると容易に剥がしやすいのと同様に、弁部と弁座との間に先端側から順次ガスまたは潤滑油が供給されて負圧が解消されてより小さい圧力差でリフトして開き遅れを改善できる。
この構成によってリード弁長手方向の曲げモーメントを効果的に発揮できるため、リード弁のねじりによるリフト促進を積極的に行う必要がなく、リード弁の破損を回避できる高信頼性と開き遅れ改善による高効率を両立することが可能である。
本発明の圧縮機は、ポートの中心軸または弁座の中心軸をリード弁の弁部の中心軸よりも先端側に設定することにより、リード弁の弁部のより先端側に圧力を作用させ、より小さい圧力差でリード弁先端側から順次リフトを開始させることでリード弁の開き遅れを改善しながら、リード弁のねじり運動による破損を回避でき、高効率と高信頼性を両立することが可能である。
本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1における上軸受の正面図 本発明の実施の形態1における吐出逆止弁の断面図 本発明の実施の形態1におけるリード弁の正面図 本発明の実施の形態1における吐出逆止弁の吐出ポート付近の拡大断面図 本発明の実施の形態1におけるリード弁と、吐出ポートおよび弁座を隠れ線で表示した拡大正面図 本発明の実施の形態2におけるリード弁と、吐出ポートおよび弁座を隠れ線で表示した拡大正面図 本発明の実施の形態3におけるリード弁と、吐出ポートおよび弁座を隠れ線で表示した拡大正面図 本発明の実施の形態4におけるリード弁と、吐出ポートおよび弁座を隠れ線で表示した拡大正面図 従来の圧縮機における圧縮機の縦断面図 従来の圧縮機における上軸受の正面図 従来の圧縮機における上軸受の断面図 従来の圧縮機におけるリード弁の正面図 特許文献1の圧縮機における吸入逆止弁の分解斜視図 特許文献2の圧縮機における吐出逆止弁の要部拡大正面図
第1の発明は、ポートが設けられた隔壁によって第1室と第2室が隔離され、ポートの第2室側に設けたリード弁によってポートが開閉し、リード弁は常に隔壁に密着する固定部と、ポートの周囲に形成された円環状の弁座と当接することでポートを閉塞して逆止する弁部と、固定部と弁部を連絡する根元部とで構成された圧縮機であって、リード弁の長手方向において弁部側を先端とすると、ポートの中心軸または弁座の中心軸の少なくともいずれか一方が、弁部の中心軸に対し、概ね先端側に偏心することにより、リード弁の弁部のより先端側に圧力を作用させ、より小さい圧力差でリード弁の長手方向の曲げ剛性に打ち勝つ曲げモーメントを発揮してリード弁の開き遅れを改善して高効率化が可能である。
加えて、弁座に対してリード弁が先端側から根元部に向かって順次リフトするため、例えば結露したガラス窓に貼り付いた紙の端を持ってめくると容易に剥がしやすいのと同様に、弁部と弁座との間に先端側から順次ガスまたは潤滑油が供給されて負圧が解消されてより小さい圧力差でリフトして開き遅れを改善して高効率化が可能である。
この構成によれば、リード弁長手方向の曲げモーメントを効果的に発揮できるため、リード弁のねじりによるリフト促進を積極的に行う必要がなく、リード弁の破損を十分に回避できる高信頼性も実現することが可能である。
第2の発明は、特に、第1の発明の圧縮機において、ポートの中心軸および弁座の中心軸がリード弁の長手方向中心軸を通ることにより、リード弁の弁部に加わる圧力がリード弁長手方向の中心軸に対して線対称となって長手方向中心軸に関するモーメントが生じないため、リード弁がねじれ運動を起こすことがなく、リード弁のねじれによるせん断破壊を防止することが可能である。
また、リード弁のリフト終了後、リード弁が斜めになった状態で弁座に着座することがないため、リード弁と弁座の一箇所集中応力によるリード弁や弁座の偏磨耗やリード弁の破断が生じることもなく、高い信頼性を実現することができる。
第3の発明は、特に、第1または2の発明の圧縮機において、弁座の中心軸とリード弁の弁部の中心軸を同心とすることにより、リード弁の弁部形状を弁座の形状に対応させた最小限の大きさにすることができるため、リード弁の弁部の質量を最小化し、リード弁のリフトが終了して弁座に着座、衝突時の運動量および運動エネルギーを抑制して、衝突によるリード弁の破損や磨耗を防止することが可能である。
また、リード弁の弁部外縁の弁座からのはみ出し量を概ね一定に保つことができるため、着座時慣性力による弁部外縁の歪みがその周方向にわたって均一となり、歪みの偏りによる弁部外縁の破損を防止することも可能である。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の圧縮機において、隔壁を焼結材とすることにより、比較的精度良く金型成型できるため、例えば隔壁の成型時に予めポートを設けておき、その後の加工工程にて弁座の加工をするというように、ポートの加工と弁座の加工を別工程とすることができ、偏心したポートと弁座の構成をコストアップすることなく容易に実現することが可能である。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の圧縮機において、第1室が圧縮機構部の圧縮室であり、第2室が吐出室であり、圧縮機構部を収納する密閉容器の内部が概ね吐出圧力である。
密閉容器内が概ね吐出圧力の高圧型圧縮機は、圧縮機構部で圧縮された作動流体と圧縮機構部の潤滑とシールに供された潤滑油が混合されて吐出ポートから密閉容器内部空間へ吐出され、そこで作動流体と潤滑油を分離した後、密閉容器外部へと導かれる構造となっている。したがって、吐出ポートを通過する作動流体に含まれる潤滑油の比率は吸入ポートにおける比率よりも高く、吐出ポートにおける潤滑油の粘性によるリード弁貼り付きが発生しやすいため、本発明の構成を採用することによるリード弁の開き遅れ改善効果は大きい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。図1において、密閉容器1内に電動要素2が収納されている。電動要素2の鉛直方向の駆動軸3で圧縮機構部4が駆動されるようになっている。この圧縮機構部4はシリンダ5とローリングピストン6、ベーンを上軸受7と下軸受8で挟み込むことで圧縮室9を形成して圧縮動作を行うように構成されている。シリンダ5内には、駆動軸3と一体的に構成されたクランク軸偏心部10が収納されており、このクランク軸偏心部10にローリングピストン6が回転自在に装着されている。シリンダ5には、図示されていないベーンがローリングピストン6に当接して設けられ、圧縮室9と吸入室11とを仕切っている。シリンダ5には、吸入室11と連通する吸入ポート12が設けられ、吸入ポート12にはアキュームレータ13が接続されている。
電動要素2が付勢され、その駆動軸3が回転すると、クランク軸偏心部10がシリンダ5内において偏心回転し、ローリングピストン6が図示しないベーンに当接しながら回転運動し、冷媒ガスの吸入、圧縮が繰り返される。アキュームレータ13に吸入された低圧冷媒ガスは、アキュームレータ13により気液分離され、吸入ポート12を通って吸入室11へと吸入される。
吸入された低圧冷媒ガスは圧縮室9の容積が徐々に縮小されることによって圧縮され、上軸受7に設けられた図示されていない吐出ポート14を通り、上軸受7とバルブカバー15とで形成された吐出室16に吐出される。その後、バルブカバー15に設けられた図示されていない穴を通って密閉容器1の内部空間に放出され、密閉容器1上部の吐出管17から圧縮機外部へ吐出される。
図2は上軸受7の正面図であり、吐出ポート14には圧縮された高圧冷媒ガスが逆流しないように吐出逆止弁18が設けられている。図3は図2における吐出逆止弁18のB−B断面図である。吐出逆止弁18は吐出ポート14を開閉させる薄板のリード弁19と、リード弁19が開いているときのリフトを拘束するリテーナ20とから構成され、リベット21で上軸受7に固定されている。リード弁19はリテーナ20とともに上軸受7に密着固定される固定部19aと、吐出ポート14を開閉する弁部19bと、それらを連絡する根元部19cとで構成される。
図4はリード弁19の正面図である。リード弁19の長手方向の弁部19b側を先端側と定義する。図5は図3における吐出ポート14付近の拡大図である。吐出ポート14の周囲には断面が円弧状の弁座22が設けられ、リード弁19の弁部19bと弁座22とが当接することで吐出室16から吐出ポート14への逆流を防止している。図6は図2におけるリード弁19と、吐出ポート14および弁座22を隠れ線で表示した拡大図である。理解しやすくするため、リード弁19の長手方向を横方向としている。リード弁19の弁部19bと弁座22は同心であるが、吐出ポート14はリード弁19の長手方向中心軸2
3に沿って先端側へ偏心している。
以上のように構成されたロータリ圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。吐出逆止弁18は、圧縮室9の圧力が吐出室16の所定の吐出圧力に到達するまではその圧力差によってリード弁19が弁座22に押し付けられて逆流が防止され、所定の吐出圧力に到達するとリード弁19がリフトして圧縮室9から吐出室16へと冷媒ガスが吐出されるという機能を有している。
このリード弁19の開閉の過程では種々の損失が発生し、圧縮機の効率が低下する。それらの損失は主にリード弁19がリフトを開始して吐出ポート14が開口する時とリフトが終了して閉塞する時に発生する。閉塞時に発生する損失は、圧縮室9から吐出室16への吐出が終了してリード弁19が吐出ポート14を閉塞するまでの微小時間に生じる逆流に起因し、この「閉じ遅れ」が体積効率の低下を招く。開口時に発生する損失は、圧縮室9が所定圧力に到達してからリード弁19がリフトし始めるまでの微小時間に生じる圧縮室9内圧力のオーバーシュート、すなわち過圧縮が主に起因し、この「開き遅れ」が圧縮動力の増加を招き、圧縮効率が低下する。また、リード弁19の弁部19bと弁座22との間には潤滑油が付着しており、その粘性によってリード弁19が弁座22に貼り付くため、リード弁19のリフトに余分な圧力が必要となり、過圧縮が発生する。したがって、この貼り付きによっても開き遅れが生じて圧縮効率が低下する。本発明は、このリード弁19の開き遅れに着目したものである。
圧縮室9が所定圧力に到達してからリード弁19がリフトし始めるまでの微小時間における圧力伝播を考えると、圧縮動作によってまず圧縮室9の圧力が上昇し、その圧力がポート内を通過後に弁座22内部の空間へと広がるように充満する。このとき、弁座22内部の流路は吐出ポート14内と比較してかなり小さく圧力損失が非常に大きくなるため、圧力波が弁座22内部に充満する時間もリード弁19の開き遅れに大きく影響を及ぼす。すなわち、リード弁19の開き遅れを改善するためには、リード弁19の弁部19bに対して吐出ポート14および弁座22側からいかに効果的に圧力を作用させるかがポイントとなる。
本実施の形態1の構成では、図6のとおり、吐出ポート14の中心軸がリード弁19および弁座22の中心軸よりも先端側に位置することにより、最も早く圧力が上昇する吐出ポート14付近の圧力をリード弁19の弁部19bの中心軸よりも先端側に作用させるため、吐出ポート14と弁部19bが同心の場合よりもより小さい圧力差でリード弁19の曲げ剛性に打ち勝つ曲げモーメントを発生させることができ、より早くリード弁19をリフト開始させて開き遅れを改善できる。
加えて、リード弁19の弁部19bと弁座22との間に介在する潤滑油の粘性による貼り付きに関しても、弁座22に対してリード弁19が先端側から根元部19cに向かって順次リフトするため、例えば結露したガラス窓に貼り付いた紙の端を持ってめくると容易に剥がしやすいのと同様に、弁部19bと弁座22との間に先端側から順次ガスまたは潤滑油が供給されて負圧が解消されてより小さい圧力差でリフトして開き遅れを改善できる。
なお、本実施の形態1は、密閉容器1内が概ね吐出圧力の高圧型圧縮機における吐出ポート14における例として示しているが、吸入ポート12に設けた吸入逆止弁や低圧型圧縮機における吐出逆止弁18および吸入逆止弁でも同様の作用による効果が得られる。
ただし、高圧型圧縮機と低圧型圧縮機のいずれの場合でも、密閉容器1内部で冷媒ガスと潤滑油とが分離されて潤滑油の含有比率の低い吸入冷媒ガスが吸入ポート12から圧縮
室9へと吸入され、圧縮機構部4の各所の潤滑と圧縮室9のシールに供された潤滑油が圧縮室9内で冷媒ガスと混合された後、潤滑油の含有比率の高い吐出冷媒ガスとして吐出ポート14から吐出されるため、吸入ポート12と比較して吐出ポート14の方が潤滑油の粘性によるリード弁19貼り付きが発生しやすい。したがって、吐出ポート14に本発明の構成を採用することによるリード弁19の開き遅れ改善効果は大きい。
圧縮機構部4へと導かれる前の潤滑油は密閉容器1下部に貯留されており、高圧型圧縮機では貯留された潤滑油の圧力が高い。したがって、圧縮室9への潤滑油供給量は低圧型圧縮機と比較して多くなり、吐出冷媒ガスの潤滑油含有比率が比較的高くなるため、高圧型圧縮機におけるリード弁19の開き遅れ改善効果も大きい。
吐出ポート14がリード弁19の弁部19bから先端側へ偏心していることにより、更なる効果として吐出ポート14からの噴流によるリード弁19のリフト促進が挙げられる。リード弁19がリフトを開始すると吐出ポート14で流れが発生し、吐出ポート14出口で噴流が発生する。この噴流がリード弁19の弁部19bの中心よりも先端側に当ることでリード弁19に抗力が作用し、弁部19bの中心に当るときよりもリード弁19に加わる曲げモーメントが大きくなるため、リフト量が比較的大きくなり、リフトしたリード弁19と吐出ポート14との間の流路が拡大することで圧力損失低減によって圧縮機の効率が向上するというものである。
本発明の構成は、吐出ポート14の大きさと弁座22の大きさとの差が大きいほどその効果量は大きい。吐出ポート14の大きさが大きい場合と比較して小さい方が先端側への偏心量を大きくでき、リフトに必要な曲げモーメントをより小さい圧力で発生させることができるためである。この構成は、例えば冷媒として単位体積当りのエネルギーが比較的高く、圧力も比較的高いことが特徴のR32を使用した場合に適用でき、必ず圧縮室9へ逆流する吐出ポート14内、すなわちデッドボリュームの高圧冷媒ガスの容積をできるだけ小さくしながら、上軸受7の変形を抑えた吐出ポート14付近の最小肉厚や吐出ポート14の圧力損失を踏まえて吐出ポート14の通路面積を比較的小さく設計し、リード弁19に加わる圧力差による曲げモーメントをできるだけ大きくするために弁座22の大きさは比較的大きく設計するため、他の冷媒よりも比較的効果が大きい。
上述した開き遅れ改善による圧縮機の高効率化が最も大きな利点であるが、その他にも信頼性と生産性の観点でも利点がある。
吐出ポート14の中心軸および弁座22の中心軸はリード弁19の長手方向中心軸23上にあるため、リード弁19の弁部19bに加わる圧力がリード弁19長手方向中心軸23に対して線対称となり、長手方向中心軸23に関するモーメントが生じない。したがって、リード弁19がねじれながらリフトを繰り返す「ねじれ運動」を起こすことがない。ねじれ運動が発生すると、リード弁19のねじれによるせん断破壊の可能性が生じることに加え、リード弁19のリフト終了後、リード弁19が斜めになった状態で弁座22に着座して一箇所に応力集中し、リード弁19や弁座22の偏磨耗やリード弁19の破断の可能性もあるが、本構成ではねじれ運動が発生しないため、高い信頼性を実現することが可能である。
また、弁座22の中心軸とリード弁19の弁部19bの中心軸を同心とすることにより、リード弁19の弁部19b形状を弁座22の形状に対応させた最小限の大きさにすることができる。これにより、リード弁19の弁部19bの質量を最小化し、リード弁19のリフトが終了して弁座22に着座、衝突時の運動量および運動エネルギーを抑制して、衝突によるリード弁19の破損や磨耗を防止することが可能である。また、リード弁19の弁部19b外縁の弁座22からのはみ出し量を概ね一定に保つことができるため、着座時
慣性力による弁部19b外縁の歪みがその周方向にわたって均一となり、歪みの偏りによる弁部19b外縁の破損を防止することも可能となり、信頼性の高い圧縮機を提供可能である。
一方、生産性の観点では、吐出ポート14が設けられた上軸受7を焼結材とすることにより、比較的精度良く金型成型できるため、例えば上軸受7の成型時に予め吐出ポート14を設けておき、その後の加工工程にて弁座22の加工をするというように、吐出ポート14の加工と弁座22の加工を別工程とすることができ、偏心した吐出ポート14と弁座22の構成を生産性を悪化させず、すなわちコストアップすることなく容易に実現することが可能である。
なお、本実施の形態1では吐出ポート14を上軸受7に設けているが、下軸受8に設けた場合でも、ここまでに述べた高効率化、高信頼性化、高生産性化の効果が同様に得られることは当然である。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2におけるリード弁19と、吐出ポート14および弁座22を隠れ線で表示した拡大図である。リード弁19の弁部19bと吐出ポート14は同心であるが、弁座22はリード弁19の長手方向中心軸23に沿って先端側へ偏心している。この構成により、リード弁19がリフトする瞬間において、吐出室16の圧力よりもやや高い弁座22内部の圧力がリード弁19の弁部19bの中心より先端側へ作用するため、実施の形態1と同様、リード弁19の開き遅れ改善による高効率化の効果が得られる。
また、実施の形態1と同様、長手方向中心軸23に関するねじれのモーメントが生じないため、ねじれ運動を起こすことがなく、高い信頼性を確保することが可能であるし、上軸受7を焼結材とすることによる高い生産性も実現可能である。
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3におけるリード弁19と、吐出ポート14および弁座22を隠れ線で表示した拡大図である。同心の吐出ポート14と弁座22がリード弁19の弁部19bに対してリード弁19の長手方向中心軸23に沿って先端側へ偏心している。この構成により、リード弁19の開き遅れ改善による高効率化とねじれ回避による高信頼性化が可能である。
吐出ポート14と弁座22が同心である本構成は、吐出ポート14と弁座22の加工を一工程で行えるため、上軸受7に金型成型の精度が比較的悪い鋳鉄材等を用いる場合に適している。また、吐出ポート14や弁座22の大きさに比べてリード弁19の弁部19bが大きく、しかも根元部19c側に形状的余裕があるため、強度が高く破損に対する安全率の高いリード弁19により高い信頼性を実現することができる。
(実施の形態4)
図9は、実施の形態4におけるリード弁19と、吐出ポート14および弁座22を隠れ線で表示した拡大図である。
リード弁19の弁部19bに対し、吐出ポート14と弁座22はリード弁19の先端側へ偏心していることに加え、長手方向中心軸23に対して吐出ポート14が紙面下側に、弁座22が紙面上側に偏心している。この構成により、リード弁19の開き遅れ改善による高効率化が可能であることと、上軸受7を焼結材とすることによる高い生産性が実現できることは実施の形態1と同様であるが、それに加えて、リード弁19と吐出ポート14、弁座22をある程度自由に配置することが可能となるため、設計自由度の向上により開
発工数を削減することができる。
また、吐出ポート14と弁座22の中心をリード弁19の長手方向中心軸23に対して逆向きに偏心させることにより、リード弁19の弁部19bに吐出ポート14から直接作用する圧力および噴流による抗力が発生させるねじりモーメントと、弁座22全体から作用する圧力が発生させる逆方向のねじりモーメントがバランスし、リード弁19がねじり運動を起こしにくくなるため、リード弁19のねじり運動による破損を防止して高い信頼性を確保することが可能である。
なお、上記全ての実施の形態において、リード弁19の弁部19bおよび吐出ポート14、弁座22の形状は円弧または真円であり、各部強度や生産性の面で最も適した形状であるが、楕円や多角形でも同様の効果は得られる。また、弁座22の断面形状を円弧状としたが、台形や矩形の弁座22も一般的に用いられており、同様の効果は得られる。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、リード弁の弁部のより先端側に圧力を作用させ、より小さい圧力差でリード弁先端側から順次リフトを開始させている。これにより、リード弁の開き遅れを改善しながら、リード弁のねじり運動による破損を回避でき、高効率と高信頼性を両立することが可能である。HFC系冷媒やHCFC系冷媒、HFO系冷媒、二酸化炭素等の自然冷媒を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機、冷蔵庫などの用途にも適用できる。
1 密閉容器
7 上軸受
9 圧縮室
14 吐出ポート
16 吐出室
19 リード弁
19a 固定部
19b 弁部
19c 根元部
22 弁座
23 長手方向中心軸

Claims (5)

  1. ポートが設けられた隔壁によって第1室と第2室が隔離され、前記ポートの前記第2室側に設けたリード弁によって前記ポートが開閉し、前記リード弁は常に前記隔壁に密着する固定部と、前記ポートの周囲に形成された円環状の弁座と当接することで前記ポートを閉塞して逆止する弁部と、前記固定部と前記弁部を連絡する根元部とで構成された圧縮機であって、
    前記リード弁の長手方向において前記弁部側を先端とすると、前記ポートの中心軸または前記弁座の中心軸の少なくともいずれか一方が、前記弁部の中心軸に対し、先端側に偏心していることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記ポートの中心軸および前記弁座の中心軸が前記リード弁の長手方向中心軸を通る請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記弁座の中心軸と前記リード弁の前記弁部の中心軸が同心である請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記隔壁が焼結材である請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 前記第1室が圧縮機構部の圧縮室であり、前記第2室が吐出室であり、前記圧縮機構部を収納する密閉容器の内部が概ね吐出圧力である請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧縮機。
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