JP2014237879A - 固溶体合金の製造方法、固溶体合金、電磁鋼板、及び電磁棒鋼 - Google Patents

固溶体合金の製造方法、固溶体合金、電磁鋼板、及び電磁棒鋼 Download PDF

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洋志 福富
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Abstract

【課題】加工時間をより短くして{001}集合組織の配向性をより高めた固溶体合金の製造方法を提供する。また、それにより得られる固溶体合金及び電磁鋼板を提供する。
【解決手段】{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法であって、体心立方構造を有する固溶体合金である被加工材を、単相固溶体となる温度域で、且つ、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う第一の工程と、前記第一の工程を施した前記被加工材を、前記第一の工程と同じ温度域で、且つ、前記第一の工程よりも遅く、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う第二の工程と、を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法及び固溶体合金に関する。また、その固溶体合金からなる電磁鋼板ならびに電磁棒鋼に関する。
従来、金属の多結晶材料中に存在する各結晶粒の結晶格子の向き(以下、結晶方位という)の分布状態(以下、集合組織という)を制御することで、材料特性を向上させる取り組みが行われている。この一例として、電気機器で幅広く使われている電磁鋼板が挙げられる。
例えば、図1に示すトランスのコア材11が挙げられる。このコア材11は電磁鋼板を積層して形成され、コア材11にはコイル12が巻かれている。図1において、点線は磁力線13を示している。このように、コア材11において磁界の向きが決まっている場合は、コア材11の材料として磁化することが容易な結晶方位(例えば{110}<001>方位や{100}<001>方位)に集合組織を制御した方向性電磁鋼板が用いられる。方向性電磁鋼板では、コア材11における鉄損(ヒステリシス損失)を低減するために、電磁鋼板の集合組織の<001>方向が磁力線と同じ方向となる配向性を備えるように制御されている。(例えば特許文献1、2)
また、モータのロータ22やステータ21には、特定の集合組織を持たず結晶方位がランダムに配向した電磁鋼板である無方向性電磁鋼板が用いられている。図2に示す単相SRM(Switched reluctance motor)は、ステータ21と、ステータ21と同心に配置されたロータ22と、ステータ21に巻かれたコイル23とで構成される。ステータ21は、ヨーク21aと複数のポール21bとからなる。ヨーク21aはリング型に形成される。ポール21bはヨーク21aからロータ22に向かって半径方向内方に突出しており、各ポール21bは、円周方向に沿ってスロット24を介して等間隔に離隔されて配置される。ここで、ステータ21は、極薄い電磁鋼板を打ち抜いてステータシートとし、このステータシートを積層することにより製造される。各ポール21bには、外部電源に接続されたコイル23が巻かれている。ロータ22は、ヨーク22aと複数のポール22bとからなる。ヨーク22aはリング型に形成される。ポール22bはヨーク22aからステータ21に向かって半径方向外方に突出しており、各ポール22bは、円周方向に沿って等間隔に離隔されて配置される。ロータ22もステータ21と同様に、打ち抜いた電磁鋼板を積層することにより製造される。
このようなモータでは、コイル23に通電すると、ロータ22が磁気抵抗を減らす方向に回転する。そして、ロータ22の回転を維持するために、ステータ21の磁界が回転する。また、ロータ22及びステータ21の各極は半径方向に沿って配置されている。このため、図1のトランスと異なり、モータ使用時に生じる磁力線の方向が電磁鋼板の板面上で一定でない。
鋼の場合、磁化することが容易な結晶の方向は<001>方向であり、この方向はヒステリシス損失が少ない。単相SRMの場合、ヒステリシス損失を減らしモータの効率を向上するためには、図3に示すように、この電磁鋼板を、電磁鋼板の板面31に沿って360°万遍なく<001>方向(図3の矢印32)が配向する、いわゆる理想的な無方向性電磁鋼板とすることが望まれる。すなわち、<001>方向と平行な{001}面(図3の符号33)が電磁鋼板の板面に平行に配列し、且つ板面に平行な<001>方向がランダムに(360°万遍なく)配向される、{001}繊維集合組織が形成されることが望ましい。なお、図3は電磁鋼板の板面上に形成された{001}繊維集合組織を説明するための模式図であり、符号34は結晶粒界を示し、結晶粒界34で囲まれた領域が結晶粒35を示す。図3中の立方体36は、各結晶粒35の体心立方構造の結晶格子の向きを示している。
従来、配向度の高い{001}繊維集合組織が形成された電磁鋼板を製造する技術がなかった。そこで、次善の策として、<111>方向が板面に平行に配向する量を低減するように集合組織を制御することが行われている。この<111>方向は、鋼において最も磁化が困難且つヒステリシス損失が大きい方向である。このように結晶配向分布が制御された電磁鋼板として、図4に示すような、ランダムな集合組織が形成された無方向性電磁鋼板がある。しかしながら、ランダムな集合組織では、板面に平行な<111>方向は多くなることはないが、板面に平行な<001>方向も少なくなるので、モータの効率向上には限界がある。なお、図4は、電磁鋼板の板面上に形成されたランダムな集合組織を説明するための、図3と同様の模式図である。
そこで、特許文献3では、{001}集合組織の配向性を十分に高めるために、Fe−Si合金を単相固溶体となる温度域で熱間圧縮加工を行っている。
特開平10−226854号公報 特開2000−104144号公報 国際公開公報WO2011/105609A1
特許文献3に記載の方法では、配向性の高い{001}集合組織を得ることができるが、より配向性の高い{001}集合組織を備えるものが電磁鋼板として望まれる。特許文献3の方法では、熱間圧縮加工におけるひずみ速度を遅くすることにより、ひずみ速度が比較的速い場合よりも配向性の高い{001}集合組織を得られる。しかしながら、ひずみ速度を遅くすると加工時間が長くなるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、加工時間をより短くして{001}集合組織の配向性をより高めた固溶体合金の製造方法を提供することにある。また、第二の目的は、それにより得られる固溶体合金、電磁鋼板及び電磁棒鋼を提供することにある。
特許文献3では、Fe−Si合金の熱間単軸圧縮変形を行うことにより、配向性の高い{001}繊維集合組織を得ている。以下、そのメカニズムを説明する。
Fe−Si合金の結晶構造は体心立方構造(BCC)であり、室温で単軸圧縮加工(圧縮軸方向のみ固定された状態で圧縮される加工)を行った場合には、すべり変形が起こり、圧縮軸に直交する圧縮面上に{001}結晶粒(圧縮面の面法線方向に<001>方位(または<001>方位近傍の方位)が配向される結晶粒、以下同様)と{111}結晶粒が多く含まれる集合組織が形成される。ここで、{001}結晶粒は{111}結晶粒及びその他の方位に配向された結晶粒、すなわち{111}等他方位のほとんどの結晶粒よりもTaylor因子が小さい。これは、変形により生じた格子欠陥である転位の量が、{001}結晶粒は{111}等他方位のほとんどの結晶粒よりも小さいこと、すなわち変形に伴い結晶粒に転位が蓄積されたことにより結晶粒に蓄積されるひずみエネルギーは、{001}結晶粒の方が{111}等他方位のほとんどの結晶粒よりも低いことを意味する。また{001}結晶粒は単軸圧縮変形に対して安定なため、他方位を消費して成長できる。
このため、Fe−Si合金が単相固溶体となる温度域で単軸圧縮加工を行った場合、すべり変形により{001}結晶粒と{111}結晶粒が多く含まれる集合組織が発達する({001}及び{111}への配向度が高くなる)と共に、ひずみエネルギーの低い{001}結晶粒の粒界が{111}等他方位の結晶粒のひずみエネルギーを消費して移動し、{001}結晶粒が成長して大きくなる。すなわち、単相固溶体となる温度域では、溶質原子雰囲気により転位の移動が制限されるため、転位が結晶粒内に無秩序に配置された状態となる。このため、転位が整列してサブグレインを形成してひずみエネルギーを下げることが難しい。この結果、すべての結晶粒のひずみエネルギーはひずみ量の増加に伴い増大すると共に、変形に対して安定でかつひずみエネルギーの低い{001}結晶粒が{111}等他方位の結晶粒を消費する。
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、上述の通り、より配向性の高い{001}集合組織を得るためには、加工時間を長くしなければならないという問題がある。そこで、本発明者らが検討したところ、以下の発明に至った。
本発明は、{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法であって、体心立方構造を有する固溶体合金である被加工材を、単相固溶体となる温度域で、且つ、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う第一の工程と、前記第一の工程を施した前記被加工材を、前記第一の工程と同じ温度域で、且つ、前記第一の工程よりも遅く、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う第二の工程と、を備える固溶体合金の製造方法を提供する。
また、本発明は、{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法であって、2質量%以上6質量%以下のSi(ケイ素)をFe(鉄)に固溶させたFe−Si固溶体合金からなる被加工材を、800℃以上1300℃以下の温度で、且つ1×10−4−1以上1×10−1−1以下のひずみ速度で熱間変形を行う第一の工程と、前記第一の工程を施した前記被加工材を、800℃以上1300℃以下の温度で、且つ前記第一の工程におけるひずみ速度の2分の1以下のひずみ速度で、熱間変形を行う第二の工程と、を備える固溶体合金の製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、前記第二の工程を施した後、前記被加工材の焼鈍を行う第三の工程を備えることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記第一の工程における真ひずみ量が0.5以上であり、前記第一の工程及び前記第二の工程における合計の真ひずみ量が3.0以下であることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記第三の工程における焼鈍温度が前記第一の工程及び前記第二の工程の温度と同じであることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記第三の工程における焼鈍時間が1分以上20分以下であることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記被加工材が、PまたはSbを0.05質量%以上0.2質量%以下含むFe−Si固溶体合金であることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記第一の工程及び前記第二の工程における前記熱間変形が単軸圧縮変形、押出加工、引抜加工または平面ひずみ圧縮変形であることが好ましい。
また、本発明は、{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金であって、加工時の荷重付加方向に対する垂直面における結晶粒のうち、前記荷重付加方向を基準として0°以上15°以下の範囲内に<001>方位が配向する結晶粒が体積率で50%以上含まれる固溶体合金を提供する。
本発明の固溶体合金は、2質量%以上6質量%以下のSiをFeに固溶させたFe−Si固溶体合金であることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の固溶体合金からなる電磁鋼板及び電磁棒鋼を提供する。
本発明によれば、加工時間をより短くして{001}集合組織の配向性をより高めた固溶体合金の製造方法が提供される。また、それにより得られる固溶体合金、電磁鋼板及び電磁棒鋼が提供される。
トランスのコア材を説明する模式図である。 単相SRMを説明する模式図である。 {001}繊維集合組織を説明する模式図である。 ランダムな集合組織を説明する模式図である。 単軸圧縮変形の手順を説明する模式図であり、(a)は圧縮前、(b)は圧縮後を示す。 押出加工または引抜加工に用いるダイスの断面の模式図である。 実施例および比較例に係る{001}結晶粒の体積率と焼鈍時間の関係を示すグラフである。 実施例に係る第一及び第二の工程における応力−ひずみ曲線である。
本発明に係る固溶体合金の製造方法は、{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法であって、体心立方構造を有する固溶体合金である被加工材に対して、熱間変形を行う第一の工程と、第一の工程よりも遅いひずみ速度で熱間変形を行う第二の工程とからなる。
かかる製造方法によれば、加工時間を短くして、従来よりも配向性の高い{001}集合組織を有する固溶体合金を得ることができる。また、加工後の転位密度を低減することができる。以下、各工程の詳細、及び作用効果について説明する。
第一の工程では、体心立方構造を有する固溶体合金である被加工材を、単相固溶体となる温度域で、且つ、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できる温度とひずみ速度で、熱間変形を行う。
以下、第一の工程における集合組織の発達挙動を、熱間変形が単軸圧縮変形である場合を例に挙げて説明する。このような第一の工程では、特許文献3の工程と同様に、単軸圧縮変形によるひずみ量の増加と共に、{001}結晶粒と{111}結晶粒が多く含まれる集合組織が形成され、その後{001}繊維集合組織が形成される。すなわち、変形初期では、単軸圧縮変形の荷重付加方向に対する垂直面において、{001}結晶粒と{111}結晶粒が多く含まれる集合組織が形成される。前述のように、{001}結晶粒に蓄積されたひずみエネルギーが、{111}等ほとんどの他方位の結晶粒に蓄積されたひずみエネルギーよりも低く、かつ{001}が変形に対して安定なため、{001}結晶粒の粒界が{111}等他方位の結晶粒のひずみエネルギーを消費して移動し、{001}結晶粒が成長する。これにより、変形後期では、{001}繊維集合組織の配向性が高くなる。この{001}繊維集合組織は、加工時の荷重付加方向またはその近傍に<001>方位が配向される{001}結晶粒が多く存在すると共に、加工軸(荷重付加方向)に垂直な方向に360°万遍なく<001>方向が配向している集合組織である。
ここで、集合組織の形成過程においてこのような挙動を発現させるためには、単軸圧縮変形を行う温度及びひずみ速度を適切にする必要がある。転位が結晶粒内を自由に移動できる加工条件では、転位が集合することによりサブグレインが形成され、結晶粒のひずみエネルギーが小さくなる。このため、結晶粒毎のひずみエネルギーの差が小さくなり、上記のように{001}結晶粒が{111}等他方位の結晶粒を消費して成長することができなくなる。
第一の工程においては、温度を単相固溶体となる温度域としている。そして、ひずみ速度を、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し、且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度としている。このような条件下では、溶質原子により転位の運動が妨げられ、結晶粒内に転位が無秩序に存在することになるため、上記のように{001}結晶粒が{111}等他方位の結晶粒を消費して成長することができ、結果として配向性の高い{001}繊維集合組織が形成される。
以上のように、第一の工程により、蓄積エネルギーの低い結晶粒が蓄積エネルギーの高い結晶粒を消費して成長する。このため、蓄積エネルギーの低い結晶粒の方位に配向された集合組織が形成される。体心立方構造を有する固溶体合金においては、加工軸に対して垂直な面上に{001}面が配向する{001}結晶粒の蓄積エネルギーが低くかつ変形に対して安定であるため、{001}集合組織が形成される。
第二の工程では、第一の工程を施した前記被加工材を、第一の工程と同じ温度域で、且つ、第一の工程よりも遅く、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う。
以下、第二の工程における集合組織の発達挙動を、単軸圧縮変形を行う場合を再び例に挙げて説明する。第二の工程では、第一の工程と同じ温度域で熱間変形を行うので、溶質原子により転位の運動が妨げられる。ひずみ速度を第一の工程よりも遅くすることで、第二の工程中に転位密度を減ずることができる。加えて、変形を行う、すなわち負荷を与えることで転位密度が減ずる過程でも転位の動きを抑制することができる。これにより、第一の工程で結晶粒内に無秩序分布した転位の分布形態を大きく変えることなく蓄積されたひずみエネルギーを利用して、第二の工程により、{001}結晶粒が{111}等他方位の結晶粒を消費して成長する。この結果、{001}繊維集合組織への配向性が高められると共に、結晶粒内の転位(格子欠陥)密度を下げることができる。
以上のように、第二の工程により、体心立方構造を有する固溶体合金において、第一の工程により形成された集合組織の配向性を低下させることなく、転位密度を減ずることが可能となる。これにより、第二の工程における遅いひずみ速度で最初から変形した場合と比べて加工時間を大幅に短縮し、かつ{001}集合組織を発達させることができる。
上記の製造方法は、2質量%以上6質量%以下のSiをFeに固溶させたFe−Si固溶体合金に好適である。この場合、第一の工程及び第二の工程の温度域を800℃以上1300℃以下とし、第一の工程におけるひずみ速度を1×10−4−1以上1×10−1−1以下とし、第二の工程におけるひずみ速度を、第一の工程におけるひずみ速度の2分の1以下とする。
第一及び第二の工程における温度を800℃以上1300℃以下とすると、Fe−Si固溶体合金を単相固溶体とすることができるため、溶質原子により転位の運動が妨げられる。また、第一の工程におけるひずみ速度を1×10−4−1以上1×10−1−1以下とし、第二の工程におけるひずみ速度を、第一の工程におけるひずみ速度の2分の1以下とすることで、第一及び第二の工程の熱間変形を、溶質原子により転位の運動が妨げられ、結晶粒界の移動が可能な状態で行うことができる。このため、上述の挙動により、配向性の高い{001}集合組織を有するFe−Si固溶体合金を得られる。また、このFe−Si固溶体合金は、第二の工程により転位密度が低いものとなる。
なお、第二の工程におけるひずみ速度は、第一の工程におけるひずみ速度の10分の1以下とすることが好ましい。
このようなFe−Si固溶体合金において、熱間変形における荷重付加方向またはその近傍に<001>方位が配向する、すなわち、荷重付加方向に直交する面に平行に{001}面が配向した{001}結晶粒が多数存在する。このため、このFe−Si固溶体合金は、磁化が容易でありヒステリシス損失も少ないため、磁気特性が優れている。
また、第一及び第二の工程により、転位密度の低いFe−Si固溶体合金を得られる。ここで、材料中に存在する転位は、材料の磁化の障害となる。すなわち、磁化過程では、磁性材料の周囲に磁場を生じさせると磁性材料内の磁壁が移動する。これにより磁場方向を向いた磁区が大きくなり、磁性材料は磁化される。この磁壁は、転位によりその移動が妨げられるため、転位が多く存在する(転位密度が高い)状態では磁化し難い。しかしながら、上記製造方法で製造されたFe−Si固溶体合金は転位密度が低いので、磁化が容易である。
材料の磁化特性は、磁化容易方位に配向された結晶粒の体積率と転位密度の二つの因子の影響を大きく受ける。すなわち、磁化容易方位に配向された結晶粒の体積率が高く、転位密度が低いほど向上するため、上記の製造方法により製造されたFe−Si固溶体合金は、磁化特性が優れたものとなる。
上記製造方法において、前記第二の工程を施した後、前記被加工材の焼鈍を行う第三の工程を備えることが好ましい。
上述の第二の工程において、結晶粒内の転位密度を減じているので、転位を消滅させる程度の焼鈍に耐え得る安定した集合組織が形成される。このため、第三の工程により、焼鈍初期において{001}集合組織の配向性が高まる。そして、焼鈍後期において{001}集合組織の配向性が弱まることが抑制されて、この配向性は第二の工程を行った後の状態と同程度に留まる。これに対し、第二の工程を経ず、第一の工程の後に第三の工程を行った場合、{001}集合組織の配向性は焼鈍前の結晶粒内の転位密度が高いために、焼鈍後期において、{001}集合組織の配向性は急激に低下する。すなわち、本発明に係る製造方法のように、第一及び第二の工程を経た後に第三の工程を行うことで、結晶粒内の転位がより少なく、配向性の高い{001}集合組織を有する固溶体合金を得られる。
なお、第二の工程の後、被加工材を冷却してから第三の工程が行われても良い。冷却方法としては水冷のような冷却速度の速い方法が好ましい。このような方法で冷却した場合、第二の工程で形成された集合組織が保たれた状態で第三の工程を開始することができる。このような冷却は、第二の工程と異なる炉を用いて第三の工程が行われる場合や、第二の工程と第三の工程とが異なる温度で行われる場合に行われることが好ましい。
ここで、被加工材を冷却速度の速い方法で冷却した場合、第一の工程で結晶粒内に蓄積された転位は第二の工程で減じられてはいるが、結晶粒内に蓄積された転位が残留する。しかしながら、第三の工程を行うことにより、転位をさらに減少させることができ、転位密度を低くすることができる。
また、第二の工程の後、被加工材を冷却せずに第三の工程が行われても良い。これにより、第三の工程が第二の工程と同じ炉を用いて行われる場合や、第二の工程と第三の工程とが同じ温度で行われる場合には、被加工材の加熱のために必要なエネルギーが少なくなる。
上記製造方法において、第一の工程における真ひずみ量が0.5以上であり、第一の工程及び第二の工程における合計の真ひずみ量が3.0以下とすることが好ましい。ここで、本発明において「真ひずみ量」は真ひずみの絶対値を表す。
上記の真ひずみ量の範囲で第一及び第二の工程を行うことにより、配向性の高い{001}集合組織を備える固溶体合金及びFe−Si固溶体合金を得られる。
上記製造方法において、第三の工程における焼鈍温度は、第一の工程及び第二の工程の温度と同じであることが好ましい。
これにより、第二の工程で形成された{001}集合組織を保ちつつ、転位を消滅させることができる。
上記製造方法において、第三の工程における焼鈍時間は1分以上20分以下が好ましい。
これにより、第二の工程で形成された{001}集合組織を保ちつつ、転位を減少させることができる。また、第二の工程で残されたひずみエネルギーが駆動力となり、第三の工程の焼鈍中にも{001}結晶粒が成長し、配向性の高い{001}集合組織を得ることができる。
上記製造方法において、被加工材をFe−Si固溶体合金とする場合、この合金がP(リン)またはSb(アンチモン)を0.05質量%以上0.2質量%以下含むことが好ましい。これにより固溶体合金の強度が増加する。また、配向度も向上する。
上記製造方法において、第一の工程及び第二の工程における熱間変形として、単軸圧縮変形、押出加工、引抜加工及び平面ひずみ圧縮変形が挙げられる。これらの加工によれば、ひずみ速度を容易に制御できる。このため、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できる条件で、第一の工程及び第二の工程を行うことができる。
ここで、単軸圧縮変形、押出加工及び引抜加工は、いずれも単軸変形である。第一及び第二の工程における熱間変形として単軸変形を行った場合、被加工材に形成される集合組織を、荷重付加方向と直交する方向に360°万遍なく<001>方向が配向した{001}繊維集合組織とすることができる。
また、平面ひずみ圧縮変形は、荷重付加方向と直交する方向に被加工材を拘束した状態で行われる変形である。第一及び第二の工程における熱間変形として平面ひずみ圧縮変形を行った場合、被加工材に形成される集合組織を、荷重付加方向と直交する面上に{001}面が配向され、荷重付加方向及び前記拘束方向に直交する伸長方向に<110>方向が配向された{001}<110>集合組織とすることができる。
単軸圧縮変形を行うための装置の一例として、図5に示す装置が挙げられる。
図5は、単軸圧縮変形に用いる圧縮試験機50を示す模式図である。圧縮試験機50は、2つの圧縮治具51と、熱源としての加熱炉52とを備える。圧縮治具51は円柱形状であり、2つの圧縮治具51の間に略同心位置に被加工材1を配置する。この被加工材1を取り囲むように、加熱炉52が配置される。
このような圧縮試験装置50を用いて、第一及び第二の工程を以下の手順で行う。まず、加熱炉52により被加工材1を昇温し、被加工材1が所定の温度となった後、被加工材上の圧縮治具51を一定速度で圧下させ、単軸圧縮変形を行う。まず、第一の工程において所定の真ひずみ量となるまで単軸圧縮変形を行う。所定の真ひずみ量に達した後、速やかに圧縮治具の圧下速度を遅くして、第二の工程における単軸圧縮変形を行う。第一の工程及び第二の工程における合計の真ひずみ量が所定の値に達した後、圧縮治具の移動を停止する。このような加工を施した被加工材を第三の工程において焼鈍することにより、圧縮軸方向と垂直な面上に配向性の高い{001}繊維集合組織が形成された、体心立方構造の固溶体合金を得ることができる。
押出加工または引抜加工を行うための装置の一例として、図6に示すダイスが挙げられる。
図6に示すダイスは、第一ダイス81及び第二ダイス82を備える。第一及び第二ダイス81、82は、断面円形の貫通孔である第一貫通孔81a及び第二貫通孔82aをそれぞれ備える。第一ダイス81において、第一貫通孔81aの一端は、円柱形状の被加工材1と同程度の径を有する大径の開口である第一入口81bとなっており、他端は第一入口81bよりも小径の開口である第一出口81cとなっている。第一入口81bと第一出口81cとはテーパ状の第一加工面81dにより接続され、第一入口81b、出口81c、加工面81dは互いに同軸上に配置される。第二ダイス82において、第二貫通孔82aの一端は、第一ダイス81の第一出口81cと同程度の径を有する開口である第二入口82bとなっており、他端は第二入口82bよりも小径の開口である第二出口82cとなっている。第二入口82bと第二出口82cとはテーパ状の第二加工面82dにより接続され、第二入口82b、出口82c、加工面82dは互いに同軸上に配置される。第一ダイス81の第一入口81b、出口81cと第二ダイス82の第二入口82b、出口82cが互いに同軸上に配置されるように、第一ダイス81と第二ダイス82は配置される。
このようなダイスを用いて、第一及び第二の工程を以下の手順で行う。第一ダイス81の第一入口81bから被加工材1を第一貫通孔81a内部に導入して、第一出口81cから被加工材1を出し、第一出口81cから出た被加工材1を第二入口82bから第二貫通孔82a内部に導入し、第二出口82cから被加工材1を出す。これにより、第一の工程及び第二の工程における押出加工または引抜加工を一度に行うことができる。そして、このような加工を施した被加工材を第三の工程において焼鈍することにより、押出方向(または引抜方向)と垂直な面上に配向性の高い{001}繊維集合組織が形成された、体心立方構造の固溶体合金の棒材を得ることができる。
ここで、第二加工面82dのテーパ面とテーパ面の中心軸とのなす角度は、第一加工面81dのものよりも小さくなっている。これにより、第二加工面82dで行われる加工のひずみ速度を第一加工面81dで行われる加工よりも遅くすることができる。なお、押出加工または引抜加工は、第一ダイス81と第二ダイス82とを別々に用いて、2回に分けて行っても問題ない。
以上説明した製造方法によれば、配向性の高い{001}集合組織を有し、転位密度が低い固溶体合金を、比較的短時間で製造することができる。
また、以上説明した製造方法によれば、配向性の高い{001}集合組織を有し、転位密度が低い電磁鋼板を、比較的短時間で製造することができる。このような電磁鋼板は、磁化が容易でありヒステリシス損失も少ないため、磁気特性が優れている。
また、上記の製造方法で製造された固溶体合金及び電磁鋼板においては、荷重付加方向に対する垂直面における結晶粒のうち、前記荷重付加方向を基準として0°以上15°以下の範囲内に<001>方位が配向する結晶粒が体積率で50%以上含まれる固溶体合金及び電磁鋼板を得ることができる。また、条件によっては、前記体積率を65%以上とすることができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[被加工材]
被加工材となる固溶体合金は、3.1質量%のSi(ケイ素)及び不可避の不純物を含むFe(鉄)の固溶体合金である。本実施例及び比較例では、被加工材として、この固溶体合金の棒材から切り出された直径12mm、高さ18mmの円柱形状の試料を用いた。
本実施例及び比較例では、この試料について、単軸圧縮変形及び焼鈍を施した。
[熱間変形]
図5に示す圧縮試験機50を用いて単軸圧縮変形を行った。第二の工程において所定の真ひずみ量に達した後、加熱炉から試料を取り出し、速やかに水冷した。
また、後述する比較例において、第一の工程のみ行う場合は、第一の工程において、所定の真ひずみ量に達した後、圧縮治具の移動を停止する。その後、加熱炉から試料を取り出し、速やかに水冷した。
[焼鈍]
熱間変形を施した試料を、マッフル炉を用いて大気中で所定時間焼鈍し、その後速やかに水冷した。
[集合組織測定]
上記工程を経た試料の高さ方向(単軸圧縮変形の圧縮軸方向)における中央位置で、単軸圧縮変形の圧縮軸に垂直な方向に試料を切断した。切断面に機械研磨及び電解研磨を施して鏡面にし、これを観察面とした。
観察面に対し、EBSD(Electron Backscatter Diffractin)法により、観察面の中央の3.5×1.8mmの領域について結晶方位を測定した。各測定点の間隔は4μmとした。EBSD法には、日本電子製JSM−5600にTSL社製OIMを搭載したシステムを使用した。
この測定結果に基づき、測定領域内の{001}結晶粒及び{111}結晶粒の存在率(体積率)を計算することにより、集合組織を評価した。体積率はCuKα線を用いたSchulzの反射法により{001}、{110}、{211}、及び{310}極点図を実験的に測定し、これらの極点図をもとに結晶方位分布関数を定めて評価した。なお、荷重付加方向(圧縮方向)に対する垂直面における結晶粒のうち、荷重付加方向を基準として0°以上15°以下の範囲内に<001>方位が配向する結晶粒を{001}結晶粒として計算した。
[試験例]
表1に示す条件で試験を行った実施例1〜4及び比較例1〜3の試験片を作製し、集合組織測定を行った。
Figure 2014237879
表1に示すように、実施例1〜4では、第一の工程及び第二の工程を同じ条件で行った。そして実施例4には第三の工程を施さず、実施例1〜3については焼鈍時間を変えて第三の工程を行った。
比較例1〜3では、第一の工程を実施例1〜4と同じ条件で行い、第二の工程を行っていない。比較例1では第三の工程は行っておらず、比較例2、3では焼鈍時間を変えて第三の工程を行った。
このような条件で試験を行った試験片について、集合組織測定を行い、{001}結晶粒の体積率を求めた。その結果を図7に示す。
図7は、実施例1〜4及び比較例1〜3における{001}結晶粒の体積率と焼鈍時間との関係をプロットしたグラフである。図7において、縦軸が体積率を示し、横軸が焼鈍時間を示している。また、各プロットについて、第二の工程を行った実施例1〜4を実線で結び、第二の工程を行わなかった比較例1〜3を点線で結んだ。
図7に示すように、第三の工程を施していない状態の実施例4及び比較例1において、{001}結晶粒の体積率はほぼ同程度であった。第三の工程において10分間焼鈍を行った実施例1及び比較例2では、実施例4及び比較例1とそれぞれ比較して、{001}結晶粒の体積率が高かった。第三の工程において33分間焼鈍を行った実施例2及び比較例3では、実施例1及び比較例2と比較して、{001}結晶粒の体積率が低かった。また、実施例2では比較例3よりも{001}結晶粒の体積率の変化量が小さい。第三の工程において20分間焼鈍を行った実施例3では、{001}結晶粒の体積率が第三の工程を施していない実施例4と同程度となっていた。
表2は実施例1、2、4及び比較例1〜3における{001}結晶粒の体積率を示す。実施例1〜4における{001}結晶粒の体積率の変化量は、比較例1〜3よりも小さいことが、表2からも確認できる。
Figure 2014237879
図8は、実施例1〜4における第一の工程及び第二の工程における応力−ひずみ曲線の一例を示している。図8において、縦軸が真応力を示し、横軸が真ひずみ量である。図8において、真ひずみ量が0以上2以下の領域が第一の工程、2以上の領域が第二の工程を示している。
下記の式(1)は、ベイリー・ハーシュの式と呼ばれるものであり、σは変形応力、αは定数、μは剛性率、bはバーガースベクトルの大きさ、ρは転位密度を示している。
σ=αμb(ρ)0.5 (1)
この式は、変形応力が転位密度の0.5乗に比例することを示している。図8に示す通り、第一の工程における真応力と比較して、第二の工程における真応力が大幅に小さくなった。このことから、第一の工程における転位密度と比較して、第二の工程における転位密度が大幅に小さくなっていることがわかる。すなわち、第三の工程を施す前の状態において、第一の工程のみを施した比較例1〜3と比較して、第二の工程を施した実施例1〜4の方が、転位密度が低いと言える。
上述の通り、第二の工程を施すと、{001}集合組織の配向性を、第一の工程を施した後と同程度に保ちつつ、転位密度を下げることができる。
また、第二の工程を施すと、第三の工程において、焼鈍時間がある長さに達するまで{001}結晶粒の体積率が増加する。そして、その体積率の変化量は第二の工程を施さない場合よりも大きい。すなわち、焼鈍時間がある長さに達するまで{001}集合組織の配向性が高まり、その変化は第二の工程を施さない場合よりも大きくなる。
また、焼鈍時間がある長さを超えると、{001}結晶粒の体積率が減少することがわかる。そして、その体積率の変化量は第二の工程を施さない場合よりも小さいことがわかる。すなわち、焼鈍時間がある長さを超えると、{001}集合組織の配向性が低くなるが、その変化は第二の工程を施さない場合よりも小さく、第三の工程を施さない場合と比較して同程度に保たれる。すなわち、第一及び第二の工程を経た後に第三の工程を行うことで、焼鈍時間の厳密な制御を要することなく、{001}集合組織の高い配向性が維持される。
本発明の製造方法によれば、配向性の高い{001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金を得ることができる。例えば、本発明の製造方法における熱間変形を単軸圧縮変形、押出加工または引抜加工とした場合、配向性の高い{001}繊維集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金を得ることができる。また、本発明の製造方法における熱間変形を平面ひずみ圧縮変形とした場合、配向性の高い{001}<110>集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金を得ることができる。
また、上記体心立方構造の固溶体合金がFe−Si固溶体合金である場合、この合金は磁気特性に優れているため、電磁鋼板ならびに電磁棒鋼、特に電気機器、特にモータのロータまたはステータに用いられる電磁鋼板ならびに電磁棒鋼に適している。例えば、本発明の製造方法における熱間変形を単軸圧縮変形とした場合、配向性の高い{001}繊維集合組織を板面上に有する、図3に示される、いわゆる理想的な無方向性電磁鋼板を得ることができる。また、本発明の製造方法における熱間変形を押出加工または引抜加工とした場合、配向性の高い{001}繊維集合組織を有する電磁棒鋼を得ることができる。さらに、本発明の製造方法における熱間変形を平面ひずみ圧縮変形とした場合、配向性の高い{001}<110>集合組織を板面上に有し、<110>方向から<001>まわりに45°回転した方向に切り出すことによって二方向性電磁鋼板を得ることができる電磁鋼板を作製することができる。
1・・・被加工材、11・・・コア、12・・・コイル、13・・・磁力線、21・・・ステータ、22・・・ロータ、23・・・コイル、31・・・電磁鋼板の板面、32・・・<001>方位、33・・・{001}面、34・・・結晶粒界、35・・・結晶粒、50・・・圧縮試験機、51・・・圧縮治具、52・・・加熱炉、81・・・第一ダイス、82・・・第二ダイス

Claims (14)

  1. {001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法であって、
    体心立方構造を有する固溶体合金である被加工材を、単相固溶体となる温度域で、且つ、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う第一の工程と、
    前記第一の工程を施した前記被加工材を、前記第一の工程と同じ温度域で、且つ、前記第一の工程よりも遅く、溶質原子雰囲気が転位の運動を支配し且つ結晶粒のひずみエネルギーを駆動力として結晶粒界が移動できるひずみ速度で、熱間変形を行う第二の工程と、
    を備える固溶体合金の製造方法。
  2. {001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金の製造方法であって、
    2質量%以上6質量%以下のSiをFeに固溶させたFe−Si固溶体合金からなる被加工材を、800℃以上1300℃以下の温度で、且つ1×10−4−1以上1×10−1−1以下のひずみ速度で熱間変形を行う第一の工程と、
    前記第一の工程を施した前記被加工材を、800℃以上1300℃以下の温度で、且つ前記第一の工程におけるひずみ速度の2分の1以下のひずみ速度で、熱間変形を行う第二の工程と、
    を備える固溶体合金の製造方法。
  3. 前記第二の工程を施した後、前記被加工材の焼鈍を行う第三の工程を備える請求項1または2に記載の固溶体合金の製造方法。
  4. 前記第一の工程における真ひずみ量が0.5以上であり、
    前記第一の工程及び前記第二の工程における合計の真ひずみ量が3.0以下である請求項1〜3のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  5. 前記第三の工程における焼鈍温度が前記第一の工程及び前記第二の工程の温度と同じである請求項1〜4のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  6. 前記第三の工程における焼鈍時間が1分以上20分以下である請求項1〜5のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  7. 前記被加工材が、PまたはSbを0.05質量%以上0.2質量%以下含むFe−Si固溶体合金である請求項1〜6のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  8. 前記第一の工程及び前記第二の工程における前記熱間変形が単軸圧縮変形である請求項1〜7のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  9. 前記第一の工程及び前記第二の工程における前記熱間変形が押出加工または引抜加工である請求項1〜8のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  10. 前記第一の工程及び前記第二の工程における前記熱間変形が平面ひずみ圧縮変形である請求項1〜9のいずれかに記載の固溶体合金の製造方法。
  11. {001}集合組織を有する体心立方構造の固溶体合金であって、
    加工時の荷重付加方向に対する垂直面における結晶粒のうち、前記荷重付加方向を基準として0°以上15°以下の範囲内に<001>方位が配向する結晶粒が体積率で50%以上含まれる固溶体合金。
  12. 前記固溶体合金が、2質量%以上6質量%以下のSiをFeに固溶させたFe−Si固溶体合金である請求項11に記載の固溶体合金。
  13. 請求項11または12に記載の固溶体合金からなる電磁鋼板。
  14. 請求項11または12に記載の固溶体合金からなる電磁棒鋼。
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