JP2014237862A - 鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法 - Google Patents

鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コアードワイヤを用いて、鋳鉄溶湯に対する黒鉛球状化処理を行なうに際して、かかるコアードワイヤを鋳鉄溶湯内の所望の位置まで効果的に導いて、溶解せしめることにより、MgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることが出来る方法を提供する。
【解決手段】耐火性乃至は難溶性の材料からなり且つコアードワイヤ16の外径よりも大きな内径を有する導入パイプ52を、取鍋12内の鋳鉄溶湯14中に鉛直方向に所定深さ(d1 )差し込んだ状態下において、コアードワイヤ16を上方から導入パイプ52内に挿入せしめて、その下端から鋳鉄溶湯14内に導くことにより、かかるコアードワイヤを鋳鉄溶湯14内に供給して、溶解せしめる。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法に係り、特に、コアードワイヤを用いて鋳鉄溶湯に対する黒鉛球状化処理を行なうに際して、MgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることの出来る方法に関するものである。
従来から、鋳鉄溶湯に対して、Mg、Ca、Si、RE(希土類元素)等の黒鉛球状化元素を含む球状化剤を添加して、かかる溶湯中の黒鉛を球状化せしめて得られる球状黒鉛鋳鉄は、強度や靭性等の特性に優れているところから、鋳鉄管や自動車のエンジン、足回り材料等として、広く用いられてきている。また、そのような球状黒鉛鋳鉄の製造に際しては、置き注ぎ法乃至サンドイッチ法と称される手法やコアードワイヤ式と称される方式を採用して、鋳鉄溶湯に球状化剤を添加することにより、球状化剤と鋳鉄溶湯との反応を進めて、かかる球状化剤中の黒鉛球状化元素にて、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめるようになっている。
その中でも、近年、コアードワイヤ式による黒鉛球状化処理方法が、MgやRE等の黒鉛球状化元素を高い歩留まりで添加することが出来る方法として注目され、多く採用されるようになってきている。例えば、そのようなコアードワイヤ式の黒鉛球状化処理方法として、特開2006−316331号公報(特許文献1)においては、金属MgやMg合金を芯材とし、この芯材(球状化剤)を鋼板又は鋼管等からなる被覆材で被覆した鉄被覆Mgワイヤー(コアードワイヤ)を、取鍋内に収容された溶融鋳鉄中に供給して、被覆材が溶解した後に、芯材と溶融鋳鉄とを接触・反応させることにより、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめるという方式が、採用されている。
ところで、このようなコアードワイヤを用いた黒鉛球状化処理方法においては、球状化剤と鋳鉄溶湯とを鋳鉄溶湯内の最適な位置において接触・反応させるために、コアードワイヤを鋳鉄溶湯内の所望の位置まで挿入することが、大変重要であると考えられている。そこで、上記特許文献1においては、鉄被覆Mgワイヤーが、取鍋の上方に配置された直線状のガイドパイプを経由して、溶融鋳鉄内に供給されるようになっていると共に、Mgを高い歩留まりで溶融鋳鉄中に添加するために、被覆材の溶融鋳鉄中における溶解位置が溶融鋳鉄の浴深さの1/2以上の深さの位置になるように、溶融鋳鉄の浴深さ及び被覆材の厚みに応じて、鉄被覆Mgワイヤーの溶融鋳鉄中への供給速度を調整することが明らかにされている。
しかしながら、そのようなコアードワイヤを用いた従来の黒鉛球状化処理方法にあっては、鋳鉄溶湯の比重が非常に大きいのに対して、球状化剤の比重は比較的小さいものであるところから、鋳鉄溶湯とコアードワイヤとの単位体積あたりの重量差(比重差)が大きく、そのために、コアードワイヤの上方からの挿入時に、鋳鉄溶湯内において、かかるコアードワイヤが大きな浮力を受けることによって湾曲せしめられて、コアードワイヤを鋳鉄溶湯内の所望の位置に挿入することが出来ず、またコアードワイヤ自身の巻き癖(捻じれ)等のために、鋳鉄溶湯内に鉛直方向に挿入することが難しい場合も多く、それ故に、球状化剤と鋳鉄溶湯とを鋳鉄溶湯内の最適な場所において接触・反応させることが困難となる。このため、MgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりが低下してしまうという問題を惹起することとなるのである。また、コアードワイヤの供給速度を調整して、コアードワイヤを所望の位置付近にまで到達させようとすると、コアードワイヤを適正な供給速度より速い速度で供給しなければならなくなり、それによって、MgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりが低下してしまうという問題も内在する。なお、これらの問題が発生する傾向は、特に、大型の取鍋が用いられて、そこに収容される鋳鉄溶湯の深さが深くなる程、コアードワイヤの受ける浮力が大きくなるために、顕著となるのである。
特開2006−316331号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、コアードワイヤを用いて、鋳鉄溶湯に対する黒鉛球状化処理を行なうに際して、かかるコアードワイヤを鋳鉄溶湯内の所望の位置まで効果的に導いて、溶解せしめることにより、MgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることが出来る方法を提供することにある。
そして、本発明にあっては、かくの如き課題の解決のために、取鍋内に収容された鋳鉄溶湯内に、Mg系合金からなる黒鉛球状化剤の粉粒体がパイプ状鉄皮内に充填されてなるコアードワイヤを供給して、溶解せしめることにより、かかる鋳鉄溶湯中の黒鉛を該コアードワイヤ内の黒鉛球状化剤にて球状化処理する方法にして、耐火性乃至は難溶性の材料からなり且つ該コアードワイヤの外径よりも大きな内径を有する導入パイプを、前記取鍋内の鋳鉄溶湯中に鉛直方向に所定深さ差し込んだ状態下において、前記供給されるコアードワイヤを上方から該導入パイプ内に挿入せしめ、そして該導入パイプの下端から該鋳鉄溶湯内に導くことにより、該コアードワイヤが該鋳鉄溶湯に溶解せしめられるようにしたことを特徴とする鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法を、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従う鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法の好ましい態様の一つによれば、前記導入パイプの上部開口部が、上方に向かって拡径されたワイヤ案内部を有している。
また、かかる本発明に従う鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法の望ましい態様の他の一つによれば、前記取鍋の開口部に架設された支持部材にて、前記導入パイプが鉛直方向に延びるように固定、保持されて、該取鍋内の鋳鉄溶湯中に所定深さ差し込まれるようになっている。
このように、本発明にあっては、耐火性乃至は難溶性の材料からなる導入パイプを、取鍋内の鋳鉄溶湯中に鉛直方向に所定深さ差し込んだ状態下において、コアードワイヤを上方から導入パイプ内に挿入せしめて、かかる導入パイプの下端から鋳鉄溶湯内に導くことにより、コアードワイヤが、鋳鉄溶湯に溶解せしめられるようにされているところから、鋳鉄溶湯とコアードワイヤとの比重差により生じる浮力や、コアードワイヤの巻き癖(捻じれ)等に影響されることなく、従ってコアードワイヤが湾曲せしめられることなく、かかるコアードワイヤを、導入パイプの下端から突き出して、鋳鉄溶湯内の所望の位置まで挿入することが出来る利点を生じるのである。即ち、導入パイプの差込み深さを調整することにより、球状化剤と鋳鉄溶湯とを鋳鉄溶湯内の最適な場所において接触・反応させることが可能となるのであり、これによって、鋳鉄溶湯に対する黒鉛球状化処理時のMgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることが出来るのである。
しかも、このような本発明によれば、取鍋の大きさや鋳鉄溶湯の深さに関わらず、例えば、大型の取鍋が用いられて鋳鉄溶湯の深さが深くなる場合においても、換言すればコアードワイヤが受ける浮力が大きい場合であっても、かかるコアードワイヤを、鋳鉄溶湯内の所望の位置まで挿入することが容易に出来ることとなる。このため、コアードワイヤを適正な供給速度で供給することが可能となるのであり、これによっても、鋳鉄溶湯に対する黒鉛球状化処理時のMgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることが出来る特徴を発揮することとなる。
本発明に従う鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法において用いられる装置の一例を示す部分断面説明図である。 図1におけるA−A断面に相当する拡大説明図であって、コアードワイヤの断面形態の一例を示すものである。 図1におけるB部拡大断面説明図であって、コアードワイヤが導入パイプに挿入されている状態を示している。 図1におけるC部拡大断面説明図であって、鋳鉄溶湯内における球状化剤と鋳鉄溶湯との接触・反応状態を模式的に示すものである。 図3に対応する断面説明図であって、コアードワイヤを導入パイプに挿入する際の状態を模式的に示すものである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法に用いられる装置の一例が、示されている。そこにおいて、黒鉛球状化処理装置10は、取鍋12内に収容された鋳鉄溶湯14内に、所定のコアードワイヤ16を供給して、かかる鋳鉄溶湯14に対して、目的とする黒鉛球状化処理を実施し得るようになっている。そして、ここでは、コアードワイヤ16は、取鍋12から所定距離離れた位置に、コイル状に巻かれた状態で載置されており、全長に亘って、図2に示されるように、Mg系合金からなる所定サイズの粉粒体状の黒鉛球状化剤18が、パイプ状の鉄皮20内に充填されてなる管状の断面形態を有し、そのコイルから所定のスピードで取り出されるようになっている。なお、ここで用いられるコアードワイヤ16は、従来から公知のものであり、また鉄皮20内に充填される黒鉛球状化剤にあっても、公知の各種サイズのMg系合金のものが用いられ、例えば、Mgを、Fe、Ni、Cu等と合金化してなる、Fe−Si−Mg系合金、Ni−Mg系合金、Cu−Mg系合金等の黒鉛球状化添加合金が用いられることとなる。
また、そのような黒鉛球状化処理装置10におけるコアードワイヤ16を供給するための骨組みが、鋼製の架台22によって構成されている。そして、その架台22上には、コアードワイヤ16を案内して、その供給経路を規定するためのガイド部材24が、二箇所に設置されている。更に、架台22上に固設されたフィーダ架台26には、コアードワイヤ16を取鍋12に向かって所定の速度で送出するための公知のフィーダ28が、取り付けられている。なお、そのようなフィーダ28としては、コアードワイヤ16のような長手の線状部材を予め設定された速度で送出し得る機能を持つものであれば、公知の各種構造の装置の何れもが、適宜に選定されて、用いられることとなる。また、フィーダ28は、図示しないコントローラに接続されることによって、コアードワイヤ16の送出速度の設定や確認が出来るようになっている。
さらに、かかるフィーダ28の鉛直方向下方には、所定距離を隔てて、円筒形状のガイドパイプ32が、その軸方向が鉛直方向となるように、固定的に配設されて、フィーダ28から送出されるコアードワイヤ16が、鉛直方向下方に案内されるようになっている。なお、ガイドパイプ32の上部開口部(フィーダ28側の開口部)は、上方に向かって拡径されたテーパ部34とされて、上方から供給されるコアードワイヤ16が容易に挿入せしめられ得るようになっている。
一方、フィーダ28及びガイドパイプ32の下方に配置された台座36上には、取鍋12が載置されて、その内部に、黒鉛球状化処理されるべき鋳鉄溶湯14が、収容されている。そして、取鍋12の上部開口部は、従来と同様な蓋部材40によって覆蓋されている。この蓋部材40の中央部には、底部が上方に突出した形態において、平底鍋状の凸部42が形成されており、更に、その凸部42の中央部には、コアードワイヤ16の外径より大きな内径を有する円孔形状の貫通孔44が、形成されている。
また、かかる取鍋12の上部開口部と蓋部材40との間には、支持部材46が、介在するようにして設けられている。この支持部材46は、全体として、取鍋12の上部の外径より僅かに大きな径を有する円板形状を呈しており、その周縁部から下方に向かって嵌合片部48が形成されて、取鍋12の上部開口部を覆うように嵌め込まれて、架設されている。また、支持部材46の中央部寄りの部位には、図3に示される如く、円孔形状の導入パイプ挿通孔50が形成されており、この導入パイプ挿通孔50の内径は、後述する導入パイプ(52)の外径より大きくされている。更に、支持部材46の下部には、円筒形状の補助ガイド部54が、導入パイプ挿通孔50と同軸的に位置して連通するように、一体的に設けられていると共に、補助ガイド部54の内径は、導入パイプ挿通孔50の内径と略同一とされている。
そして、それら支持部材46の導入パイプ挿通孔50及び補助ガイド部54には、図3に示されるように、導入パイプ52が挿通されているのである。そこにおいて、導入パイプ52は、鋳鉄溶湯に対して耐火性乃至は難溶性を有する公知の材料、ここでは、炭化ケイ素系のセラミックからなり、全体として、円筒形状を呈すると共に、その上部開口部が上方に向かって拡径されたワイヤ案内部56とされている。また、かかるワイヤ案内部56には、テーパ部56aとストレート部56bとが形成されており、更に導入パイプ52の内径は、コアードワイヤ16の外径よりも大きな径とされている。
ところで、上記の如き構造を有する黒鉛球状化処理装置10を用いて、鋳鉄溶湯14内の湯面から所定深さ(d)の位置にコアードワイヤ16を供給して、目的とする黒鉛球状化処理を行なう際には、例えば、以下のような手順に従って、その作業が進められることとなる。
具体的には、先ず、図1及び図3に示されるように、所定量の鋳鉄溶湯14が収容された取鍋12の上部開口部に支持部材46を架設して、かかる支持部材46の導入パイプ挿通孔50へ、上方から、導入パイプ52を挿入せしめ、そして、かかる導入パイプ52を、ワイヤ案内部56(テーパ部56a)の外周面において、導入パイプ挿通孔50の周縁部に当接させると共に、導入パイプ挿通孔50及び補助ガイド部54に挿通して、取鍋12内の鋳鉄溶湯14中に鉛直方向に所定深さ(d1 )で差し込んだ状態において、固定、保持する。また、取鍋12の上部開口部(支持部材46)上に蓋部材40を被せて、それを覆蓋する。このとき、支持部材46の導入パイプ挿通孔50の中心軸(導入パイプ挿通孔50の中心を通り且つ導入パイプ挿通孔50の形成された支持部材46面に垂直な軸)及び補助ガイド部54の軸心、並びに蓋部材40の貫通孔44の中心軸(貫通孔44の中心を通り且つ貫通孔44の形成された凸部42の底面に垂直な軸)を、ガイドパイプ32の軸心と略一致するようにして、それら軸心及び中心軸の軸方向が、何れも、鉛直方向(鋳鉄溶湯14の湯面に対して垂直)の一つの直線(図1における二点鎖線P)に略一致するようにする。
一方、コイル状に巻かれた状態で載置されているコアードワイヤ16は、二つのガイド部材24、24を介して、所定の経路によりフィーダ28へと導かれた後、フィーダ28から鉛直方向下方へ送出されて、ガイドパイプ32へ挿入せしめられることとなるが、その際、ガイドパイプ32の上部開口部がテーパー部34とされているところから、コアードワイヤ16を、有利にガイドパイプ32内に挿入することが出来るようになっている。なお、コアードワイヤ16の送出(供給)の開始や停止、及び送出速度(供給速度)の設定や確認は、ここでは、フィーダ28に接続されているコントローラ(図示せず)を操作して行なうようになっている。
そして、コアードワイヤ16は、ガイドパイプ32の下端から鉛直方向下方へと送出された後、蓋部材40の貫通孔44を経由して、取鍋12内に導入せしめられるのであるが、その際、図3に示されるように、導入パイプ52の上方から、ワイヤ案内部56を通じて挿入され、この導入パイプ52に案内されて、鋳鉄溶湯14内を鉛直方向下方に進入せしめられた後、導入パイプ52の下端から鋳鉄溶湯14内に導かれることとなる。
このように、コアードワイヤ16は、導入パイプ52の下端から突出せしめられて、鋳鉄溶湯14内に送り出され、その先端部において、鋳鉄溶湯14に溶解せしめられるようにされるのである。即ち、図4に示されるように、所定の深さ(d)位置において、コアードワイヤ16の鉄皮20が溶解したところで、充填されている球状化剤18が鋳鉄溶湯14内に分散、溶解せしめられて(図4における点線及び白抜き矢印参照)、球状化剤18と鋳鉄溶湯14との反応が進行させられる。これによって、球状化剤18中のMg等の黒鉛球状化元素にて、鋳鉄溶湯14中の黒鉛が球状化せしめられるのである。
ところで、球状化剤18が鋳鉄溶湯14内において供給される深さ、換言すれば鋳鉄溶湯14の湯面から鉄皮20が溶解するまでの深さ(d)は、コアードワイヤ16の供給速度と鉄皮20が溶解するまでの時間との積とすることが出来る。なお、鉄皮20が溶解するまでの時間は、主として、鉄皮20の厚み(t)及び鋳鉄溶湯14の温度から定まる。つまり、鋳鉄溶湯14内の所定の深さ(d)にて、球状化剤18を供給するために、鋳鉄溶湯14の温度及び鉄皮20の厚み(t)との関係によって、コアードワイヤ16の供給速度が、適宜に設定されることとなる。また、これらのパラメータに加えて、コアードワイヤ16の径、換言すればコアードワイヤ16の単位長さあたりの球状化剤18の充填量を適宜設定することで、球状化剤18の単位時間あたりの供給量を調整することも可能となる。
なお、コアードワイヤ16の供給速度が遅くなり過ぎると、コアードワイヤ16の鉄皮20が導入パイプ52内で溶解してしまうこととなり、球状化剤18が上手く鋳鉄溶湯14中に供給されなくなる恐れがある。これを回避するには、球状化剤18の供給深さ(d)を、導入パイプ52の差込み深さ(d1 )よりも深く設定する必要がある。また、供給速度が速くなり過ぎると、鉄皮20が溶解しないままコアードワイヤ16の先端が取鍋12の底部に衝突して、かかる底部を損傷する恐れがあると共に、正常なMgの反応は期待出来ない。
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、コアードワイヤ16が、取鍋12内の鋳鉄溶湯14中に鉛直方向に所定深さ(d1 )差し込まれた導入パイプ52によって案内されて、鋳鉄溶湯14内に供給されるようになっている。このため、コアードワイヤ16が、鋳鉄溶湯14内において、鋳鉄溶湯14とコアードワイヤ16との比重差により生じる浮力や、コアードワイヤの巻き癖(捻じれ)等によって湾曲せしめられてしまうことを阻止しつつ、コアードワイヤ16を、鋳鉄溶湯14内の所望の位置(d)まで挿入することが出来ることとなる。それ故に、球状化剤18と鋳鉄溶湯14とを、鋳鉄溶湯14内の最適な位置において接触・反応させることが可能となるのであり、以て、鋳鉄溶湯14に対する黒鉛球状化処理時のMgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることが出来るのである。
また、このような本実施形態によれば、取鍋12の大きさや鋳鉄溶湯14の深さに関わらず、例えば、大型の取鍋が用いられて鋳鉄溶湯の深さが深い場合、換言すればコアードワイヤ16が受ける浮力が大きい場合であっても、導入パイプ52の差込み深さ(d1 )を調節することによって、かかるコアードワイヤ16を鋳鉄溶湯14内の所望の位置(d)まで有利に挿入することが出来、このため、コアードワイヤ16の供給速度によって、そのような浮力による問題に対応する必要がなくなるところから、コアードワイヤ16を、球状化剤18の供給量等の他のパラメータとの関係において適正な供給速度で供給することが可能となるのであり、これによっても、鋳鉄溶湯14に対する黒鉛球状化処理時のMgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりを有利に向上させることが出来るのである。
なお、MgやRE等の黒鉛球状化元素の歩留まりは、使用するコアードワイヤのグレード等によっても異なるが、Mgを黒鉛球状化元素として含有する球状化剤が充填された、現在、日本で多く採用されているコアードワイヤを用いて、鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理を行なった例を挙げるならば、導入パイプを用いない従来の方法におけるMgの歩留まりが27〜45%であったのに対し、導入パイプを用いる本発明の方法におけるMgの歩留まりは、46〜55%となっており、本発明に従う方法を採用することにより、Mgの歩留まりが有利に向上せしめられ得ることが、認められている。
さらに、例示の実施形態においては、導入パイプ52の上部開口部に、上方に向かって開口するワイヤ案内部56が形成されているところから、図5に示されるように、取鍋12の載置位置が若干ずれる等して、導入パイプ52の軸心がずれてしまったり、コアードワイヤ16の先端が反れてしまったりした場合であっても、そのようなワイヤ案内部56に形成されているテーパ部56aによってコアードワイヤ16の先端が導かれるようになるため、コアードワイヤ16を有利に導入パイプ52内に挿入することが出来る利点がある。また、ワイヤ案内部56の上側部分にストレート部56bが形成されているところから、コアードワイヤ16がワイヤ案内部56外に飛び出してしまうような事態も、有利に阻止され得るようになっている。
加えて、ここでは、導入パイプ52が、取鍋12の上部開口部に架設された支持部材46に形成された導入パイプ挿通孔50及び補助ガイド部54によって、鉛直方向に延びるように固定、保持されて、取鍋12内の鋳鉄溶湯14中に所定深さ(d1 )差し込まれるようになっている。これによって、導入パイプ52が傾斜することが効果的に阻止されるため、コアードワイヤ16を所望の位置(d)まで有利に挿入することが出来ることとなる。更に、導入パイプ52が鉛直方向に延びるように固定、保持されると共に、コアードワイヤ16が鉛直方向に送出されるため、コアードワイヤ16の外周面と導入パイプ52の内周面とが摺動する部分が有利に少なくされ、それらの摩擦による抵抗が有利に低減せしめられ得る。更にまた、コアードワイヤ16が鋳鉄溶湯14内に鉛直に挿入されるため、浮力による曲げ応力や挿入抵抗を受け難いという利点もある。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、導入パイプ52は、取鍋12内の鋳鉄溶湯14中に鉛直方向に所定深さ(d1 )まで差し込まれた状態とされて、コアードワイヤ16の先端を所定の深さ(d)まで導くことが出来るようにされておれば、導入パイプ52の軸心が鉛直方向に対して或る程度の角度で傾斜せしめられていても、何等差支えない。
また、本発明において用いられる導入パイプ52の材質については、特に上記のものに限定されず、公知の耐火性乃至は難溶性の各種材料を適宜に選択することが出来、例えばアルミナ等の材質とすることも出来る。そのような導入パイプ52には、鋳鉄溶湯14の黒鉛球状化処理中に溶解しないことが要求されるからであり、また、そのために、かかる導入パイプ52の表面に耐火物を塗布することも有利に採用されるところである。
さらに、上述の実施形態において、支持部材46の補助ガイド部54は円筒形態とされているが、何等これに限定されるものではなく、公知のガイド構造の何れもが採用され得るものである。また、導入パイプ52のワイヤ案内部56にあっても、テーパ部56aのみから形成されているものであっても、何等差支えない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10 黒鉛球状化処理装置 12 取鍋
14 鋳鉄溶湯 16 コアードワイヤ
18 球状化剤 20 鉄皮
28 フィーダ 32 ガイドパイプ
40 蓋部材 44 貫通孔
46 支持部材 50 導入パイプ挿通孔
52 導入パイプ 54 補助ガイド部
56 ワイヤ案内部

Claims (3)

  1. 取鍋内に収容された鋳鉄溶湯内に、Mg系合金からなる黒鉛球状化剤の粉粒体がパイプ状鉄皮内に充填されてなるコアードワイヤを供給して、溶解せしめることにより、かかる鋳鉄溶湯中の黒鉛を該コアードワイヤ内の黒鉛球状化剤にて球状化処理する方法にして、
    耐火性乃至は難溶性の材料からなり且つ該コアードワイヤの外径よりも大きな内径を有する導入パイプを、前記取鍋内の鋳鉄溶湯中に鉛直方向に所定深さ差し込んだ状態下において、前記供給されるコアードワイヤを上方から該導入パイプ内に挿入せしめ、そして該導入パイプの下端から該鋳鉄溶湯内に導くことにより、該コアードワイヤが該鋳鉄溶湯に溶解せしめられるようにしたことを特徴とする鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法。
  2. 前記導入パイプの上部開口部が、上方に向かって拡径されたワイヤ案内部を有している請求項1に記載の鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法。
  3. 前記取鍋の開口部に架設された支持部材にて、前記導入パイプが鉛直方向に延びるように固定、保持されて、該取鍋内の鋳鉄溶湯中に所定深さ差し込まれるようになっている請求項1又は請求項2に記載の鋳鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法。
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