JP5136989B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造過程において、溶鋼中に金属元素を高い歩留りで添加し、金属元素を鋳片内に均一に、かつ安定して分散させることのできる連続鋳造方法に関する。
溶鋼中に金属元素を添加する方法としては、塊状の金属元素を溶鋼の湯面に投入するか、または、金属元素単味で作製したワイヤー、それらの金属元素をアルミニウムや鋼などにより被覆したワイヤー、金属元素を含有する合金で作製したワイヤーにより添加する方法などが採用されている。しかしながら、これらの方法を用いてマグネシウム(Mg)、ビスマス(Bi)、カルシウム(Ca)、希土類元素(REM)、テルル(Te)、鉛(Pb)などのように蒸気圧が高く、融点の低い金属元素を精度良く添加することは困難である。その理由は、蒸気圧が高い金属元素が溶鋼中に添加されると、溶鋼の湯面近傍において、金属元素が気化して大気中に放散されるため、溶鋼中への添加量を制御することが難しく、添加歩留りも低下して、均一に添加することは困難となるからである。
また、金属元素が気化する際の体積膨張が大きいことから、金属元素が溶鋼の湯面近傍で気化した場合には、溶鋼の飛散が激しく、操業上の安全の確保が困難となる。さらに、添加金属元素の融点が低い場合には、添加前に溶融金属の輻射熱により軟化あるいは溶融し、所定量を添加することが困難となる。溶鋼よりも密度の小さい金属元素を添加する場合には、添加された金属が溶鋼の表層部のみに偏在し、溶鋼の内部にまで侵入しない。密度の大きな金属元素を添加する場合には、添加位置から溶融金属内部に沈降するのみで、溶鋼全体に均一に混合させることは困難である。
近年、製品の機械的特性の向上を目的として、結晶粒の微細化および析出物の微細化が積極的に進められている。結晶粒および析出物の微細化には微小な化合物の晶出または析出による「ピン止め」あるいは「不均質核生成」を生起させるのが有効であり、このためには、金属元素の適正量を適正位置において添加する必要がる。また、快削鋼においては、製品の安全性および製造時の作業環境対策の観点から、Pbに替えてBiの添加が注目されており、今後とも使用の拡大が見込まれている。電磁鋼板においては、磁気的特性を向上させるために結晶粒界にBiなどを濃縮させることが必要である。これらの鋼材には、Biのように融点および沸点が低く、密度の大きな金属元素の添加が行われている。
例えば、特許文献1には、取鍋を出てタンディッシュ内溶鋼浴面へ移動中の溶鋼流にBiを添加する方法が開示されている。しかし、Biは沸点が低く、溶鋼流と接触すると爆発的に反応し、蒸気となって雰囲気中に飛散するため、添加歩留りが低く、溶鋼中に均一に添加することができない。その結果、Biが連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。
また、特許文献2には、取鍋内の溶鋼にランスを用いてインジェクションによりPb、Bi、PbおよびBi含有物質を添加するとともに、取鍋底部のポーラスプラグからガスを噴出させて攪拌する方法が開示されている。同文献で開示された方法においても、融点あるいは沸点の低いPbおよびBiを添加する場合には、これらの金属が溶鋼と接触すると爆発的な反応が生じ、溶鋼中への金属の添加が不均一になるとともに歩留りが低下し、添加金属が連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。また、溶鋼中に添加したPbやBiの反応生成物を任意に調整することは難しい。
さらに、特許文献3には、Bi含有合金を用いて、溶鋼中に添加する技術が開示されている。そして、同文献には、Biを合金化することにより、溶鋼中に添加した際に、溶鋼との溶解反応を促進し、蒸気圧を低減させてBi含有鋼の製造性を大幅に高められることが示されている。しかしながら、Biを合金化することにより、添加されるBiの含有率が低下するため、その分だけ溶鋼中へのBi含有合金の添加量を増加する必要がある。添加量が増加すると、Bi含有合金が冷材となり、取鍋内、タンディッシュ内、または鋳型内の溶鋼の温度が著しく低下することになり、連続鋳造に支障をきたすのみならず、鋳造操業自体が困難になる場合が生じる。添加量を抑制するにはBi含有合金中のBi含有率を高める必要があるが、同文献に開示された方法における合金中のBi含有率はそれほど高くはなく、Bi含有合金の添加量が多くなることが問題である。
特開2001−1116号公報(特許請求の範囲、段落[0013]および[0014]) 特開平9−13119号公報(特許請求の範囲、段落[0004]および[0005]) 特開2002−363683号公報 「Binary Alloy Phase Diagrams (second edition)」 The Materials International Society、1990、USA、p.129、p.769、p.3362
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、鋼の連続鋳造過程において溶鋼中に金属元素の適正量を高い歩留りで添加し、鋳片内に均一に、かつ安定して分散させることが可能な連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋼の連続鋳造過程において溶鋼中に金属元素の適正量を高歩留りで添加し、鋳片内に均一に、かつ安定して分散させることが可能な連続鋳造方法について研究開発を進め、下記の知見を得た。
(1)添加金属の合金化による融点上昇および溶鋼温度低下抑制方法
蒸気圧が高い金属元素または融点が低い金属元素を溶鋼中に添加する場合には、それらの添加金属は、溶鋼と接触するかまたは溶融金属からの輻射熱を受けて、溶融または気化する。溶融金属中に添加する以前、あるいは添加した瞬間に金属元素が溶融または気化すると、これらの金属元素を溶鋼中に均一に歩留り良く添加することは困難である。
溶鋼中に添加する以前における金属元素の溶融、または添加した瞬間における溶融もしくは気化を抑制するには、添加する金属元素の融点または沸点を高めることが有効である。金属元素の融点または沸点を高めるには、融点を上昇させる金属との合金を形成させ、これを溶融金属中に添加すればよい。
このとき、形成された合金を溶鋼中に多量に添加すると、この合金を溶融させるための所要熱量が増大し、溶鋼の温度を著しく低下させることになる。溶鋼の温度を一定に保つには、合金を添加した際の温度低下分だけ溶鋼の温度を上昇させればよいが、溶鋼温度を上昇させるには多量の熱量を必要とするのみならず、温度を上昇させた分だけ合金添加時の合金の気化が助長され、合金の添加が難しくなる。この問題を解決するには、合金中の金属元素の含有率を高めればよい。
また、溶鋼に添加した際に発熱する例えばSiなどの金属を混合させることにより、金属の添加による溶鋼温度の低下を抑制できる。
(2)金属混合物の鉄被覆ワイヤー化およびワイヤー内金属混合物の溶融合金化
さらに、溶鋼に金属を添加する際に添加金属が固体状態であると、溶鋼から溶融潜熱を吸収して溶解することになり、その分だけ溶鋼温度が低下する。溶鋼温度の低下を抑制するには、溶鋼に添加する以前に添加金属を溶融させておけばよい。具体的には、添加金属の混合物を鉄製の被覆材により被覆してワイヤー形状とし、内部の添加金属のみを溶融させ、被覆材である鉄は、少なくとも溶鋼表面に到達するまで溶融しないようにすればよい。ここで、添加金属の混合物を鉄製の被覆材により被覆してワイヤー形状としたものを、「鉄被覆ワイヤー」とも記すことにする。
取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼は、液相線温度よりも高い温度に保持されているので、被覆材として融点が1536℃の純鉄を用いた場合であっても、被覆材は溶鋼からの輻射熱により溶融または軟化する。そのため、溶融した添加金属を溶鋼中に添加することは困難となる。
したがって、溶鋼からの輻射熱による被覆材の溶融または軟化を防止するには、前記鉄被覆ワイヤーが溶鋼表面に到達するまでは、鉄製被覆材は軟化せず、かつ、ワイヤー内に充填されている添加金属は溶融することが好ましい。そのためには、鉄被覆ワイヤーが少なくとも溶鋼表面近傍に至るまで、ワイヤーの過度の温度上昇を防止する断熱作用を有するガイドパイプを用いることが有効である。すなわち、鉄被覆ワイヤーを、断熱作用を有するガイドパイプの内部を通して溶鋼中に供給することにより、鉄被覆ワイヤーの過度の温度上昇を防止すればよい。また、鉄製被覆材の厚さを増大して、被覆材を軟化しにくくすればよく、さらには、上記の断熱ガイドパイプの使用および鉄製被覆材の厚さ増大の両方を併用してもよい。
溶鋼に添加する金属を合金化することにより、融点または沸点の低いBi、Sn、Teなどの金属の溶鋼中における活量を低下させて溶鋼との反応を抑制し、金属添加時における溶鋼の飛散や蒸発を抑えることができる。
添加合金を鉄製被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとする場合には、添加金属を予め合金化しておく必要がある。つまり、所定の配合率で混合した金属を雰囲気調整炉内で溶解し、鋳型に注湯後、得られた鋳塊を破砕し、これを鉄製被覆材により被覆する必要がある。したがって、この方法による場合には、合金の溶製費用および合金鋳塊の破砕費用を要する。また、合金の成分組成を変更する場合には、新たに成分調整を行って合金を溶製し直す必要があり、そのための費用および工数を要することになる。
これに対して、Bi、SnまたはTeといった添加金属と、これらの金属との合金を形成させる金属との混合物を鉄製被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとする方法は、下記の利点がある。すなわち、上記の鉄被覆ワイヤーを取鍋、タンディッシュまたは鋳型内の溶鋼に供給する過程において、溶鋼からの輻射熱により鉄被覆ワイヤー内の金属混合物を溶融させ、合金化させるので、前述のように合金を予め溶製および破砕する必要がない。さらに、金属混合物の配合割合を変更することにより、合金の成分組成を任意に変更することができる。
本発明者らは、さらに検討を進め、下記の(a)〜(d)に示す具体的知見を得た。
(a)溶鋼中に添加する金属元素を溶融金属の状態で溶鋼に添加するのが、添加歩留りの上昇および溶鋼の温度低下防止の両面で効果的である。そして、合金を形成させるための金属元素の混合物の作製に当たっては、例えば、非特許文献1などを参照し、平衡状態図における合金の液相線温度が添加金属元素単体の液相線温度よりも高くなるように金属元素の配合を行う。ただし、溶鋼中に添加する金属元素の合金の液相線温度が溶鋼の温度よりも高いと形成された合金は溶解しないので、金属元素を溶鋼中に溶融状態で添加することはできない。
したがって、金属元素を溶融金属の状態で添加するには、合金の融点が溶鋼の融点よりも低くなるように金属混合物中の添加金属元素の含有率を変化させて融点を調整すればよい。そのためには、合金の平衡状態図の液相線温度が添加金属元素の含有率により大きく変化する領域を選択する必要がある。
図1に、非特許文献1に記載されたAl−Bi系の平衡状態図を示す。同図によれば、Bi含有率が70質量%以上の領域において、Bi含有率により液相線温度を大幅に変化させることができ、Bi単独の場合の融点271℃を1030℃以上にまで高めることができる。
図2には、同文献に記載されたNi−Bi系の平衡状態図を示す。Bi含有率が70質量%以上の領域において、Bi含有率により液相線温度を大幅に変化させることができ、Bi単独の場合の融点271℃を1300℃程度にまで高めることができる。また、図3には、同文献に記載されたSi−Sn系の平衡状態図を示す。
上記の図1、図2および図3に示されるように、合金中のBiの含有率を70質量%以上とすることにより、合金の液相線温度を大きく変化させることができる。したがって、金属混合物中のBiの含有率を70質量%以上の高い値とすることにより、金属混合物、つまり合金の添加量を低減させることができる。その結果、合金の添加時にこの合金が冷材となって溶鋼の温度が低下するのを抑制することができる。
(b)溶鋼中への添加金属元素との合金を形成させるための金属としては、添加金属元素の含有率が70質量%以上の領域において合金の液相線温度を大きく変化させる金属を用いる必要がある。Bi、SnおよびTeのうちの1つの添加金属と混合する金属としては、Al、Ca、Si、Mg、Ti、Mn、Niおよび希土類元素のうちの1つの金属を用いるのが適切である。
(c)これらの金属混合物は、鉄製被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとなし、これを溶鋼中に供給するのが適切である。また、これらのワイヤーは、取鍋、タンディッシュまたは鋳型内の溶鋼中に添加するのが適切である。溶鋼中への鉄被覆ワイヤーの供給に際しては、ワイヤー供給装置を用いて連続的に供給することが好ましい。
(d)鉄被覆ワイヤーが、溶鋼に到達する以前に、溶鋼からの輻射熱により添加金属を鉄被覆ワイヤー内において溶融させ、かつ、鉄製被覆材の軟化を抑制するには、溶鋼表面近傍までの間に断熱作用を有するガイドパイプを設置し、この断熱ガイドパイプの内部を通して鉄被覆ワイヤーを供給することが好ましい。また、鉄製被覆材の厚さを適正化することにより、被覆材の軟化を抑制することが好ましい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および()に示す鋼の連続鋳造方法にある。
(1)取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼中に、Bi合金、Sn合金およびTe合金のうちの1種以上の合金を添加する連続鋳造方法であって、金属Bi、金属Snおよび金属Teのうちの1つの金属を、それぞれ、Al、Ca、Si、Mg、Ti、Mn、Niおよび希土類元素のうちの1つの金属と混合するとともに、金属混合物中のBi、SnまたはTeの含有率を70質量%以上とし、該金属混合物を鉄製の被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとなし、前記鉄被覆ワイヤーを取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼に添加する際に、取鍋、タンディッシュまたは鋳型に鉄被覆ワイヤーを供給するための断熱ガイドパイプを設置し、該断熱ガイドパイプ内を通して鉄被覆ワイヤーを供給することにより、鉄被覆ワイヤー内において前記金属混合物を溶融状態として
溶鋼中に添加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
)前記鉄被覆ワイヤーの被覆材の厚さを0.1〜3.0mmとし、鉄被覆ワイヤー内において前記金属混合物を溶融状態として溶鋼中に添加することを特徴とする前記()に記載の鋼の連続鋳造方法。
本明細書の以下の記載において、鋼の成分組成または合金の成分組成を表す「%」は「質量%」を表す。
本発明の連続鋳造方法によれば、鋼の連続鋳造過程において溶鋼中に金属元素の適正量を高い歩留りで添加し、鋳片内に均一に、かつ安定して分散させることができる。これにより、本発明の方法は、強度、靱性などの機械的特性ならびに電気的特性に優れた鋼製品を製造するための高品質鋳片の製造方法として、連続鋳造分野において広く貢献できる実用価値の高い技術である。
本発明の方法は、前記のとおり、取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼中に、Bi合金、Sn合金およびTe合金のうちの1種以上の合金を添加する連続鋳造方法であって、金属Bi、金属Snおよび金属Teのうちの1つの金属を、それぞれ、Al、Ca、Si、Mg、Ti、Mn、Niおよび希土類元素のうちの1つの金属と混合するとともに、金属混合物中のBi、SnまたはTeの含有率を70質量%以上とし、該金属混合物を鉄製の被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとなし、前記鉄被覆ワイヤーを取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼に添加する際に、取鍋、タンディッシュまたは鋳型に鉄被覆ワイヤーを供給するための断熱ガイドパイプを設置し、該断熱ガイドパイプ内を通して鉄被覆ワイヤーを供給することにより、鉄被覆ワイヤー内において前記金属混合物を溶融状態として溶鋼中に添加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。下記に、本発明の鋼の連続鋳造方法における好ましい態様およびその理由について説明を加える。
添加金属の合金を形成する金属混合物を鉄製の被覆材を用いて被覆する理由は、前述のとおりである。そして、鉄製の被覆材による被覆厚さは0.1〜3.0mmとするのが好ましい。
その理由は、鉄製被覆材による被覆厚さが0.1mm未満の場合には、機械的衝撃や熱的影響などにより、被覆が破損し、添加金属が溶鋼中に供給される以前に蒸発散逸し、添加金属の適正量を溶鋼中へ供給することが困難となるおそれがあるからである。一方、鉄製被覆材による被覆厚さが3.0mmを超えて厚くなると、鉄被覆ワイヤー内での添加金属の溶融が遅れ、溶鋼の飛散が生じて添加金属を溶鋼中に歩留りよく溶解させ、均一に分散させることが難しくなる。
添加金属を鉄製被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとするには、鉄製の管の内部に添加金属を充填するか、または鉄製の板により添加金属を包み込めばよい。鉄被覆ワイヤーの径、すなわち、上記鉄製の管の外径または鉄製の板による添加金属被覆後の被覆体の外形は、2〜20mmの範囲とすることが好ましい。鉄被覆ワイヤーの径が2mm未満であると、ワイヤーが座屈して溶鋼中への供給が難しくなるため好ましくなく、一方、鉄被覆ワイヤーの径が20mmを超えて太くなると、ワイヤー供給装置が大型となり、設備費が増大して好ましくないからである。
鉄製の被覆材としては、純鉄、炭素含有率が0.002〜1.0%の範囲の炭素鋼、ステンレス、高合金鋼など、軟化しにくく、かつ、溶鋼成分組成に影響を与えにくい材料を使用することが好ましい。
断熱ガイドパイプは、その内径が鉄被覆ワイヤーの外径よりも2.0mm程度以上大きい管状体であって、溶鋼からの輻射熱を緩和し、鉄製被覆材の軟化を抑制する作用を有するものを使用すればよい。例えば、ジルコニア、グラファイト、マグネシア、アルミナ、サーメット系などの耐火物製ガイドパイプを用いることが好ましい。
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、以下に示す鋳造試験を実施して、その結果を評価した。
1.連続鋳造条件
溶 鋼:後述する表1に記載の成分組成を有する炭素鋼
溶鋼温度:1580℃
鋳造速度:1.0〜1.8m/分
鋳型サイズ:厚さ240mm×(幅900〜1800mm)
溶鋼量:250トン
添加金属:
Al粒+Bi粒80%の金属混合物、および、Al粒+Bi粒85%の金属混合物
(Al-80Bi、および、Al-85Biと記載)
Ni粒+Bi粒75%の金属混合物、および、Ni粒+Bi粒85%の金属混合物
(Ni-75Bi、および、Ni-85Biと記載)
Si粒+Sn粒90%の金属混合物(Si-90Snと記載)
Si粒+Te粒85%の金属混合物(Si-85Teと記載)
金属混合物の粒子径:0.1〜10.0mm
鉄被覆ワイヤーの外径:6.0〜15.0mm
添加位置:取鍋、タンディッシュ、または鋳型
添加方法:鉄被覆ワイヤー供給法、またはジルコニア・グラファイト製ガイドパイプ
を使用した鉄被覆ワイヤー供給法
ここで、比較例の試験では、添加金属元素を単体で塊状のまま、または、合金として
塊状のまま添加した。
表1および表2に、各試験についての鋼成分組成、添加金属の種類、金属の添加位置、鉄製被覆材の厚さなどの試験条件をまとめて示した。
Figure 0005136989
Figure 0005136989
上記の実施例に示すとおり、金属粒の混合物を鉄製被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとし、これを、取鍋、タンディッシュまたは鋳型内の各溶鋼に対して添加した。
2.試験結果の評価方法
上記の鋳造条件で製造した連続鋳造鋳片内における添加金属元素の歩留り、添加金属元素の含有率分布の均一性を下記の方法により求め、鋳造操業および鋳片品質を評価した。
連続鋳造鋳片から切粉を採取し、添加金属元素の分析を行った。分析用の切粉の採取位置は、鋳片厚さ方向1/4の位置で、かつ鋳片幅方向1/2の位置、鋳片幅方向1/4の位置、および鋳片短辺から20mmの位置の3箇所とした。
添加金属元素の歩留りは、上記の3箇所の金属元素の平均含有率を求め、金属元素の平均含有率から求めた鋳片中の金属元素の質量を金属元素の添加質量により除して百分率(%)とすることにより求めた。
添加金属元素の含有率分布の均一性は、金属元素含有率の偏差を求めることにより評価した。金属元素含有率の偏差は、上記の3箇所における金属元素の含有率の最大値と最小値との差を求め、この値を上記3箇所の金属元素の平均含有率により除して百分率(%)とすることにより求めた。
3.試験結果
表2に、試験条件と併せて、添加金属元素の歩留りおよび添加金属の含有率の偏差を示した。試験番号H1〜H6は、本発明で規定する条件を満足する本発明例についての試験であり、また、試験番号C1〜C4は、本発明で規定する条件を満たさない比較例についての試験である。
試験番号H1〜H6の本発明例では、添加金属元素の歩留りは約70%以上と高く、金属元素の鋳片内における含有率分布の偏差も5%以下と小さい。これらの結果から、添加金属元素は溶鋼中に高い歩留りのもとに添加されており、かつ、鋳片内における均一分散が達成されていることが分かる。
これに対して、試験番号C1〜C4の比較例では、添加金属元素の歩留りが低く、金属元素の含有率分布の偏差も大きい。これは、融点または沸点の低い金属元素を鉄製被覆材により被覆することなく、かつ単体で溶鋼中に添加したか、または、合金として添加したものの、合金の融点が高く、溶鋼中に均一に添加し分散させることが困難であったことによる。
本発明の連続鋳造方法によれば、鋼の連続鋳造過程において溶鋼中に金属元素の適正量を高い歩留りで添加し、鋳片内に均一に、かつ安定して分散させることができる。これにより、本発明の連続鋳造方法は、強度および靱性などの機械的特性ならびに電気的特性に優れた鋼製品を製造するための高品質鋳片の製造方法として、連続鋳造工程において広範に適用することができる。
Al−Bi系の平衡状態図である(非特許文献1の129頁)。 Ni−Bi系の平衡状態図である(非特許文献1の769頁)。 Si−Sn系の平衡状態図である(非特許文献1の3362頁)。

Claims (2)

  1. 取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼中に、Bi合金、Sn合金およびTe合金のうちの1種以上の合金を添加する連続鋳造方法であって、
    金属Bi、金属Snおよび金属Teのうちの1つの金属を、それぞれ、Al、Ca、Si、Mg、Ti、Mn、Niおよび希土類元素のうちの1つの金属と混合するとともに、金属混合物中のBi、SnまたはTeの含有率を70質量%以上とし、
    該金属混合物を鉄製の被覆材により被覆して鉄被覆ワイヤーとなし、
    前記鉄被覆ワイヤーを取鍋内、タンディッシュ内または鋳型内の溶鋼に添加する際に、取鍋、タンディッシュまたは鋳型に鉄被覆ワイヤーを供給するための断熱ガイドパイプを設置し、
    該断熱ガイドパイプ内を通して鉄被覆ワイヤーを供給することにより、鉄被覆ワイヤー内において前記金属混合物を溶融状態として溶鋼中に添加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記鉄被覆ワイヤーの被覆材の厚さを0.1〜3.0mmとし、鉄被覆ワイヤー内において前記金属混合物を溶融状態として溶鋼中に添加することを特徴とする請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
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