JP4475166B2 - 溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造の過程で、溶融金属中に金属元素を高い歩留まりで添加し、鋳片内に均一に分散させることができる連続鋳造方法に関する。
溶融金属中に金属元素を添加するには、塊状の金属元素を溶融金属の湯面に投入するか、あるいは金属元素単味で作製したワイヤー、それらの金属元素をアルミニウムや鋼などで被覆したワイヤー、それらの金属元素を含有する合金で作製したワイヤーにより添加する方法などが採用されている。しかしながら、これらの方法を用いてマグネシウム、ビスマス、カルシウム、希土類元素、テルル、鉛などのように蒸気圧が高く、融点の低い金属元素を精度良く添加することは困難である。その理由は、蒸気圧が高い金属元素が溶融金属中に添加されると、溶融金属の湯面近傍において、金属元素が気化して大気中に放散されるため、溶融金属中への添加量を制御することが難しく、添加歩留まりも低下して、均一に添加することは困難だからである。
また、金属元素が気化する際の体積膨張が大きいことから、溶融金属の湯面近傍で気化した場合には、溶融金属の飛散が激しく、操業上の安全の確保が困難である。さらに、添加金属元素の融点が低い場合には、添加前に溶融金属の輻射熱により軟化あるいは溶融し、所定量を添加することが困難となる。溶融金属よりも密度の小さい金属元素を添加する場合には、添加された金属が溶融金属の表層部のみに偏在し、溶融金属の内部にまで侵入しない。密度の大きな金属元素を添加する場合には、添加位置から溶融金属内部に沈降するのみで溶融金属全体に均一に混合させることは困難である。
近年、製品の機械的特性の向上のために、結晶粒の微細化および析出物の微細化が積極的に進められている。結晶粒および析出物の微細化には微小な化合物の晶出および析出によるピン止あるいは不均質核生成が有効である。このためには金属元素を最適位置で、最適量だけ添加することが必要である。
特許文献1には、取鍋を出てタンディッシュ内溶鋼浴面へ移動中の溶鋼流にビスマスを添加する方法が開示されている。しかし、ビスマスは沸点が低く、溶鋼流と接触すると爆発的に反応し、蒸気となって雰囲気中に飛散するため、添加歩留まりが低く、また、溶鋼中に均一に添加できないので、連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。
特許文献2には、取鍋内の溶鋼にランスを用いてインジェクションにより鉛、ビスマス、鉛・ビスマス含有物質を添加するとともに、取鍋底部のポーラスプラグからガスを噴出させて攪拌する方法が開示されている。同文献で開示された方法においても、融点あるいは沸点の低い鉛およびビスマスを添加する場合には、これらの金属が溶鋼と接触すると爆発的な反応が生じ、溶鋼中への金属の添加が不均一になるとともに歩留まりが低く、金属が連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。また、溶鋼中に添加した鉛やビスマスの反応生成物を任意に調整することは難しい。
特開2001−1116号公報(特許請求の範囲および段落[0013]) 特開平9−13119号公報(特許請求の範囲および段落[0004]および[0005]) 特開2004−249315号公報(特許請求の範囲および段落[0011]〜[0015]) 特願2003−408822号公報(特許請求の範囲および段落[0012]〜[0015]) 特願2004−027514号公報(特許請求の範囲および段落[0014]〜[0017])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、低沸点および/または低融点の金属元素を溶融金属中に添加するに際して、連続鋳造鋳片内にその適正量を均一に分散させることが可能な連続鋳造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、低沸点および/または低融点の金属の適正量を溶融金属中に均一に添加する方法を検討し、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)蒸気圧が高い金属元素または融点が低い金属元素を溶融金属中に添加する場合には、それらの添加金属は、溶融金属との接触または溶融金属からの輻射熱を受けることにより、溶融または気化する。溶融金属中への添加以前、あるいは添加した瞬間に金属元素が溶融または気化すると、これらの金属元素を溶融金属中に高い歩留まりのもとに均一に添加することは困難となる。
(b)連続鋳造鋳片内に金属元素を均一に添加するには、連続鋳造鋳型に近いタンディッシュ内、または連続鋳造鋳型内の溶融金属に添加する方法が適している。したがって、タンディッシュ内あるいは連続鋳造鋳型内の溶融金属中に浸漬した浸漬ランスを通して、溶融金属中に添加する金属の蒸気および/または粒子をキャリアガスとともに吹き込み、この溶融金属を直ちに連続鋳造するのが最適である。
(c)マグネシウム、ビスマス、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、イッテルビウムおよびタリウムといった低沸点および/または低融点の金属元素を添加することによる結晶粒の粗大化抑制効果は、鋳片内における上記各金属元素についての全金属濃度が0.0001〜0.005質量%の範囲において発揮される。
(d)上記(b)に記載のキャリアガスとしては、アルゴンガスなどの不活性ガスならびに/または酸素ガス、水素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、炭化水素ガスおよび亜硫酸ガスのうちから選ばれた1種以上のガスを使用することができる。溶融金属中に金属化合物を添加する場合には、上記ガスのうちの反応性ガスを用いることが好ましい。
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す溶融金属の連続鋳造方法にある。
(1)タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶融金属または鋳型内の溶融金属に浸漬させた浸漬ランス内に、溶融金属に添加する金属元素のワイヤーを連続的に挿入して、浸漬ランス内で該金属元素を蒸発させ、溶融金属に添加する金属元素の蒸気および/または金属元素の粒子をキャリアガスとともに該溶融金属中に供給することにより、連続鋳造鋳片内における該添加金属元素の濃度を0.0001〜0.005質量%とすることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
(2)前記キャリアガスが不活性ガスならびに/または酸素ガス、水素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、炭化水素ガスおよび亜硫酸ガスのうちから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする前記(1)に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
(3)前記溶融金属が溶鋼であり、前記添加金属元素がマグネシウム、ビスマス、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、イッテルビウムおよびタリウムから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
本発明において、「金属蒸気および/または金属粒子」とは、金属蒸気および/または、蒸発が不十分なために液体または固体粒子として存在する金属粒子、もしくは金属蒸気が凝縮して形成される金属粒子を意味する。また、「金属」とは、純金属および金属の合金を含む。
「鋳片内における添加金属元素の濃度」とは、鋳片内の分析により得られる、例えば全Mg、全Bi、全Caなどの各添加金属元素についての全金属元素濃度を意味し、金属化合物が形成される場合は、金属化合物中に含有される添加金属元素を含む。
そして、「不活性ガス」とは、周期律表の18族元素のヘリウム、ネオン、アルゴンなどのガスを意味する。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法によれば、低沸点および/または低融点の金属元素の適正量を溶融金属中に添加でき、連続鋳造鋳片内に均一に分散させことができる。
前述のとおり、本発明は、タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶融金属または鋳型内の溶融金属に浸漬させた浸漬ランス内に、溶融金属に添加する金属元素のワイヤーを連続的に挿入して、浸漬ランス内で該金属元素を蒸発させ、添加金属元素の蒸気および/または粒子をキャリアガスを用いて溶融金属中に供給することにより、連続鋳片内における添加金属元素の濃度を0.0001〜0.005質量%とする溶融金属の連続鋳造方法である。
本発明において、キャリアガスを用いて金属元素の蒸気および/または金属元素の粒子を該溶融金属中に供給するための具体的方法としては、下記の1)および2)の方法がある。
1)溶融金属に浸漬させた浸漬ランスを通して、溶融金属に添加する金属元素を含有するワイヤーまたはロッドを供給する方法。ワイヤー中の添加金属元素は、溶融金属の浴面からの伝熱により高温状態となった浸漬ランス内の輻射熱により気化し、その金属蒸気がキャリアガスとともに溶融金属内に供給される。
2)金属元素の蒸気を発生させる金属蒸気発生装置を用いて、添加金属の金属蒸気および/または金属粒子を発生させ、これをキャリアガスとともに浸漬ランスを通して溶融金属内に供給する方法。
本発明者らは、前記特許文献3、特許文献4および特許文献5において、金属元素の蒸気あるいは金属元素の化合物をタンディッシュ内または連続鋳造鋳型内の溶融金属中に添加する方法を提案した。これらの方法により、金属元素または金属元素の化合物を溶融金属中に均一に、しかも良好な歩留まりのもとに添加することが可能になった。
本発明者らは、これらの結果を踏まえてさらに研究を重ね、添加される金属元素の鋳片内濃度に適正範囲が存在することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、マグネシウム、ビスマス、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、イッテルビウムおよびタリウムといった低沸点および/または低融点の金属元素を添加することによる結晶粒の粗大化抑制効果は、鋳片内における上記各金属元素についての全金属濃度が0.0001〜0.005質量%の範囲において発揮されることを見出した。
後述するとおり、連続鋳造鋳片から採取した試験片を用いて加熱試験を行い、オーステナイトの結晶粒径を測定し、結晶粒の粗大化抑制効果を検討した。試験片の加熱温度は1400℃、保持時間は5秒間とした。その結果、鋳片内の金属元素の濃度が0.0001質量%以上において結晶粒の粗大化抑制効果が認められた。しかしながら、金属元素の濃度が0.005質量%を超えて高くなると、粗大な介在物が生成し、製品欠陥が発生することが判明した。これらの理由から、上記添加金属元素の鋳片内における適正濃度を0.0001〜0.005質量%の範囲とした。
ここで、「鋳片内の金属元素の濃度」とは、前記のとおり、鋳片内の分析により得られる各添加金属元素についての全金属元素濃度を意味し、金属化合物が形成される場合は、金属化合物中に含有される添加金属元素を含む。
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、以下に示す連続鋳造試験を実施して、その結果を評価した。
〔実施例1〕
試験条件
溶融金属:初晶がδ相であり凝固過程でδ/γ変態しない炭素鋼(Fe−0.04質量%C)
溶融金属量:4トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウム、ビスマス、カルシウム
添加方法:直径3mmのワイヤーによる添加
添加位置:タンディッシュ内
キャリアガス:アルゴンガス10L/分
鋳片内の金属元素の濃度:0質量%、0.0001質量%、0.003質量%、0.005質量%、0.007質量%
図1は、浸漬ランスを通して金属ワイヤーをタンディッシュ内の溶融金属に供給しながら連続鋳造する方法を示す図である。

取鍋3からタンディッシュ2に供給された溶鋼1は、浸漬ノズル6を経て連続鋳造鋳型8内に注入され、さらに下方に引き抜かれながら凝固シェル7を形成して鋳片となる。添加される金属は、タンディッシュ2内の溶鋼1中に浸漬された浸漬ランス4を通して、金属の蒸気となってタンディッシュ2内の溶鋼1中に供給される。
浸漬ランス4の一端は、金属ワイヤー供給機5に接続されている。金属ワイヤー供給機5にはワイヤーリール51が装填されており、金属ワイヤー50は、ワイヤー繰出し速度制御装置53によりその繰出し速度を制御されたワイヤー繰出しロール52により、浸漬ランス4内に挿入される。金属ワイヤー供給機にはキャリアガス54が導入され、金属ワイヤーとともに浸漬ランス内に供給される。
一方、実施例1と比較するための従来法として、予め製造しておいたマグネシウム、ビスマスおよびカルシウムの微粉を容器に入れ、この容器内の微粉を不活性ガス(アルゴンガス)を用いて溶鋼中に浸漬したランスに供給し、溶鋼中に添加する試験を行った。しかしながら、容器内の微粉が凝集し、溶鋼中に微粉を均一に添加することができないばかりか、凝集して粗大な粒子を形成し、不活性ガスとともに供給配管まで送ることもできなかった。
金属ワイヤーを溶融金属に供給する方法により金属元素を添加して連続鋳造を行った鋳片の(1/4)厚さの位置から10個の試験片を採取してオーステナイトの結晶粒度を測定し、さらに1400℃に加熱して5秒間保持した後、再度、結晶粒度を測定して結晶粒の粗大化抑制効果の有無を調査した。なお、オーステナイト結晶粒度の測定は、JIS G 0551に規定された方法に準じて行った。そして、結晶粒径の増大が10%未満の場合を、「結晶粒粗大化抑制効果あり」と判断した。
また、粗大介在物生成の有無については、調査試料断面の1mm2当たりに8μm以上の介在物が10個以上生成した場合を「粗大介在物生成」と判断した。
さらに、連続鋳造鋳片内における金属元素の濃度変動は、鋳片幅中央部から1m間隔で10個の分析用試料を採取し、各位置の濃度(質量%)とこれらの試料の平均濃度(質量%)との偏差を平均濃度で除して相対変動量(%)を求め、その最大値を採用した。
表1に、金属ワイヤー供給法により金属元素を添加して連続鋳造を行った試験結果を示した。
Figure 0004475166
本発明で規定する条件を満足する本発明例の試験番号1−2〜1−4では、Mg、BiおよびCaのいずれの元素を添加した試験においても、オーステナイト結晶粒の粗大化抑制効果が得られた。
これらに対して、鋳片内における金属元素濃度が0質量%の比較例である試験番号1−1では、結晶粒が粗大化し、また、鋳片内における金属元素濃度が0.005質量%を超えて高すぎる比較例の試験番号1−5では、粗大介在物が生成し、製品欠陥が発生した。
なお、試験番号1−2〜1−5のいずれの試験においても、鋳片内における金属元素濃度の変動量は上記相対変動量で4〜10%以内の低い値であり、金属元素は鋳片内に均一に分散していた。
〔実施例2〕
試験条件
溶融金属:初晶がδ相であり凝固過程でδ/γ変態する炭素鋼(Fe−0.14質量%C)
溶融金属量:4トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウム、ビスマス、カルシウム
添加方法:直径3mmのワイヤーによる添加
添加位置:タンディッシュ内
キャリアガス:アルゴンガス10L/分
鋳片内の金属元素の濃度:0質量%、0.0001質量%、0.003質量%、0.005質量%、0.007質量%
前記の実施例1に記載されたのと同様の方法により連続鋳造試験を実施し、その結果を調査した。
表2に、金属ワイヤー供給法により金属元素を添加して連続鋳造を行った試験結果を示した。
Figure 0004475166
本発明で規定する条件を満足する本発明例の試験番号2−2〜2−4では、Mg、BiおよびCaのいずれの元素を添加した試験においても、オーステナイト結晶粒の粗大化抑制効果が得られた。
これらに対して、鋳片内における金属元素濃度が0質量%の比較例である試験番号2−1では、結晶粒が粗大化し、また、鋳片内における金属元素濃度が0.005質量%を超えて高すぎる比較例である試験番号2−5では、粗大介在物が生成し、製品欠陥が発生した。
なお、試験番号2−2〜2−5のいずれの試験においても、鋳片内における金属元素濃度の変動量は上記相対変動量で5〜9%以内の低い値であり、金属元素は鋳片内に均一に分散していた。
〔実施例3〕
試験条件
溶融金属:初晶がγ相であり凝固過程でδ/γ変態しない炭素鋼(Fe−0.60質量%C)
溶融金属量:4トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウム、ビスマス、カルシウム
添加方法:直径3mmのワイヤーによる添加
添加位置:タンディッシュ内
キャリアガス:アルゴンガス10L/分
鋳片内の金属元素の濃度:0質量%、0.0001質量%、0.003質量%、0.005質量%、0.007質量%
前記の実施例1に記載されたのと同様の方法により連続鋳造試験を実施し、その結果を調査した。
表3に、金属ワイヤー供給法により金属元素を添加して連続鋳造を行った試験結果を示した。
Figure 0004475166
本発明で規定する条件を満足する本発明例の試験番号3−2〜3−4では、Mg、BiおよびCaのいずれの元素を添加した試験においても、オーステナイト結晶粒の粗大化抑制効果が得られた。
これらに対して、鋳片内における金属元素濃度が0質量%の比較例である試験番号3−1では、結晶粒が粗大化し、また、鋳片内における金属元素濃度が0.005質量%を超えて高すぎる比較例である試験番号3−5では、粗大介在物が生成し、製品欠陥が発生した。
なお、試験番号3−2〜3−5のいずれの試験においても、鋳片内における金属元素濃度の変動量は上記相対変動量で3〜10%以内の低い値であり、金属元素は鋳片内に均一に分布していた。
〔実施例4〕
試験条件
溶融金属:初晶がδ相であり凝固過程でδ/γ変態する炭素鋼(Fe−0.15質量%C)
溶融金属量:4トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウム、ビスマス、カルシウム
添加方法:直径3mmのワイヤーによる添加
添加位置:タンディッシュ内
キャリアガス:酸素ガス0.03L/分
鋳片内の金属元素の濃度:0質量%、0.0001質量%、0.003質量%、0.005質量%、0.007質量%
前記の実施例1に記載されたのと同様の方法により連続鋳造試験を実施し、その結果を調査した。
実施例4と比較するための従来法として、予め製造しておいたマグネシウム、ビスマスおよびカルシウムの微粉を容器に入れ、この容器内の微粉を反応性ガス(酸素ガス)を用いて溶鋼中に浸漬したランスに供給し、溶鋼中に添加する試験を行った。しかし、容器内の微粉が凝集し、溶鋼中に微粉を均一に添加することができないばかりか、凝集して粗大な粒子となり、キャリアガスとともに供給配管まで送ることすらできなかった。
表4に、金属ワイヤー供給法により金属元素を添加して連続鋳造を行った試験結果を示した。
Figure 0004475166
表4において鋳片内の金属濃度は、鋳片内の分析により得られた、添加金属および添加金属の化合物中に含有される金属を含めた全金属元素濃度を意味する。
本発明で規定する条件を満足する本発明例の試験番号4−2〜4−4では、Mg、BiおよびCaのいずれの元素を添加した試験においても、オーステナイト結晶粒の粗大化抑制効果が得られた。
これらに対して、鋳片内における金属元素濃度が0質量%の比較例である試験番号4−1では、結晶粒が粗大化し、また、鋳片内における金属元素濃度が0.005質量%を超えて高すぎる比較例である試験番号4−5では、粗大介在物が生成し、製品欠陥が発生した。
なお、試験番号4−2〜4−5のいずれの試験においても、鋳片内における金属元素濃度の変動量は上記相対変動量で4〜9%以内の低い値であり、金属元素は鋳片内に均一に分散していた。
〔実施例5〕
試験条件
溶融金属:初晶がδ相であり凝固過程でδ/γ変態する炭素鋼(Fe−0.14質量%C)
溶融金属量:4トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウム、ビスマス、カルシウム
添加方法:直径3mmのワイヤーによる添加
添加位置:タンディッシュ内
キャリアガス:アルゴンガス10L/分+酸素ガス0.03L/分
鋳片内の金属元素の濃度:0質量%、0.0001質量%、0.003質量%、0.005質量%、0.007質量%
前記の実施例1に記載されたのと同様の方法により連続鋳造試験を実施し、その結果を調査した。
実施例5と比較するための従来法として、予め製造しておいたマグネシウム、ビスマスおよびカルシウムの微粉を容器に入れ、この容器内の微粉を不活性ガスと反応性ガスとの混合ガス(アルゴンガス+酸素ガス)を用いて溶鋼中に浸漬したランスに供給し、溶鋼中に添加する試験を行った。しかしながら、容器内の微粉が凝集し、溶鋼中に微粉を均一に添加することができなかったのはもちろんのこと、凝集して粗大粒子を形成し、キャリアガスにより供給配管まで送ることもできなかった。
表5に、金属ワイヤー供給法により金属元素を添加して連続鋳造を行った試験結果を示した。
Figure 0004475166
表5において鋳片内の金属濃度は、鋳片内の分析により得られた、添加金属および添加金属の化合物中に含有される金属を含めた全金属元素濃度を意味する。
本発明で規定する条件を満足する本発明例の試験番号5−2〜5−4では、Mg、BiおよびCaのいずれの元素を添加した試験においても、オーステナイト結晶粒の粗大化抑制効果が得られた。
これらに対して、鋳片内における金属元素濃度が0質量%の比較例である試験番号5−1では、結晶粒が粗大化し、また、鋳片内における金属元素濃度が0.005質量%を超えて高すぎる比較例である試験番号5−5では、粗大介在物が生成し、製品欠陥が発生した。
なお、試験番号5−2〜5−5のいずれの試験においても、鋳片内における金属元素濃度の変動量は上記相対変動量で3〜9%以内の低い値であり、金属元素は鋳片内に均一に分布していた。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法によれば、低沸点および/または低融点の金属元素または金属化合物の適正量を溶融金属中に添加でき、しかも鋳片内に均一に分散させことができる。よって、本発明の連続鋳造方法は、鋳片品質を均質化するとともに結晶粒の粗大化抑制効果を発揮させ、金属加工製品の品質向上をはかるための鋳片を製造できる連続鋳造方法として、広範に適用できる技術である。
金属ワイヤーを浸漬ランスを通してタンディッシュ内の溶融金属に供給しながら連続鋳造する方法を示す図である。
符号の説明
1:溶鋼、 2:タンディッシュ、 3:取鍋、 4:浸漬ランス、 5:金属ワイヤー供給機、 50:金属ワイヤー、 51:ワイヤーリール、 52:ワイヤー繰出しロール、 53:ワイヤー繰出し速度制御装置、 54:キャリアガス、 55:圧力計、
56:流量制御弁、 6:浸漬ノズル、 7:凝固シェル、 8:連続鋳造鋳型

Claims (3)

  1. タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶融金属または鋳型内の溶融金属に浸漬させた浸漬ランス内に、溶融金属に添加する金属元素のワイヤーを連続的に挿入して、浸漬ランス内で該金属元素を蒸発させ
    溶融金属に添加する金属元素の蒸気および/または金属元素の粒子をキャリアガスとともに該溶融金属中に供給することにより、
    連続鋳造鋳片内における該添加金属元素の濃度を0.0001〜0.005質量%とすることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  2. 前記キャリアガスが不活性ガスならびに/または酸素ガス、水素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、炭化水素ガスおよび亜硫酸ガスのうちから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 前記溶融金属が溶鋼であり、前記添加金属元素がマグネシウム、ビスマス、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、イッテルビウムおよびタリウムから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
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