JP2014237806A - 熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐熱性を有するとともに、発泡倍率が高く、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体を提供する。【解決手段】重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包された熱膨張性マイクロカプセルであって、前記シェルは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)15〜30重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなる熱膨張性マイクロカプセル。【選択図】なし
Description
本発明は、発泡倍率が高く、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体に関する。
熱膨張性マイクロカプセルは、意匠性付与剤や軽量化剤として幅広い用途に使用されており、発泡インク、壁紙をはじめとした軽量化を目的とした塗料等にも利用されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られており、例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られており、例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
しかしながら、この方法によって得られた熱膨張性マイクロカプセルは、80〜130℃程度の比較的低温で熱膨張させることができるものの、高温又は長時間加熱すると、膨張したマイクロカプセルが破裂又は収縮してしまい発泡倍率が低下するため、発泡インクや壁紙等に用いた場合に外観に劣る事があった。
一方、特許文献2には、ニトリル系モノマー80〜97重量%、非ニトリル系モノマー20〜3重量%及び三官能性架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーをシェルとして用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
これらの方法によって得られる熱膨張性マイクロカプセルは、従来のマイクロカプセルに比べ耐熱性に優れ、140℃以下では発泡しないとされているが、実際には130〜140℃で1分程度加熱を続けると一部のマイクロカプセルが熱膨張してしまうものであり、最大発泡温度が180℃以上の優れた耐熱性を有する熱膨張性マイクロカプセルを得ることは困難であった。
更に、特許文献4には、最大発泡温度が180℃以上、好ましくは190℃以上である熱膨張性マイクロカプセルを得ることを目的として、85重量%以上のニトリル基をもつエチレン性不飽和モノマーの単独重合体又は共重合体からなるシェルポリマーと50重量%以上のイソオクタンを有する発泡剤からなる熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルでは、最大発泡温度が非常に高い値となっているものの、その後の膨張した状態を維持することができず、高温領域における長時間の使用は困難であった。
このような熱膨張性マイクロカプセルでは、最大発泡温度が非常に高い値となっているものの、その後の膨張した状態を維持することができず、高温領域における長時間の使用は困難であった。
更に、特許文献5〜9には、熱膨張性マイクロカプセルのシェルを構成するモノマーを規定することで、広範囲な発泡温度領域、特に高温領域(160℃以上)において良好な発泡性能を有し、耐熱性をより向上させた熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。しかしながら、熱膨張性マイクロカプセルの凝集に起因する白斑点が発泡成形体の表面に発生し、発泡成形体の外観を著しく損ねていた。
また、この熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度は高い値を示すものの、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工、特に射出成形に使用した場合、溶融混練工程において、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性や強度の問題から、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象が生じたり、潰れてしまうことがあった。また、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる工程においては、発泡倍率が低く、発泡倍率にバラツキがあることによって、熱膨張性マイクロカプセルが充分に発泡せず、得られる成形体は、外観や、軽量性等の機能性の面で劣るものとなっていた。
従って、優れた発泡倍率を有し、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルが必要とされていた。
また、この熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度は高い値を示すものの、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工、特に射出成形に使用した場合、溶融混練工程において、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性や強度の問題から、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象が生じたり、潰れてしまうことがあった。また、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる工程においては、発泡倍率が低く、発泡倍率にバラツキがあることによって、熱膨張性マイクロカプセルが充分に発泡せず、得られる成形体は、外観や、軽量性等の機能性の面で劣るものとなっていた。
従って、優れた発泡倍率を有し、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルが必要とされていた。
本発明は、発泡倍率が高く、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体を提供することを目的とする。
本発明は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包された熱膨張性マイクロカプセルであって、前記シェルは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)15〜30重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなる熱膨張性マイクロカプセルである。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討した結果、重合性モノマー(I)、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)、架橋モノマー(III)及び重合性モノマー(IV)を含有し、かつ、各モノマーの比率を所定の範囲内とした場合、高温度域において安定した発泡性能を実現することができ、発泡倍率が高く、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)15〜30重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなる。
上記重合性モノマー(I)は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる。
上記重合性モノマー(I)を添加することで、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
上記重合性モノマー(I)を添加することで、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
上記モノマー組成物中の重合性モノマー(I)の含有量の下限は44重量%、上限は63重量%である。44重量%未満であると、シェルのガスバリア性が低くなるため発泡倍率が低下することがある。63重量%を超えると、耐熱性が上がってこないことがある。好ましい下限は50重量%、好ましい上限は60重量%である。
上記カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)としては、例えば、イオン架橋させるための遊離カルボキシル基を分子当たり1個以上持つものを用いることができ、具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸やその無水物又はマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
上記モノマー組成物中における、上記カルボキシル基を有し、炭素数3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量の下限は15重量%、上限は30重量%である。15重量%未満であると、最大発泡温度が175℃未満となることがあり、30重量%を超えると、最大発泡温度は向上するものの、発泡倍率が低下する。好ましい下限は17重量%、好ましい上限は28重量%である。
上記モノマー組成物は、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)を含有する。上記架橋性モノマー(III)は、架橋剤としての役割を有する。上記架橋性モノマー(III)を含有することにより、シェルの強度を強化することができ、熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。
上記架橋性モノマー(III)としては、ラジカル重合性二重結合を2つ以上有するモノマーが挙げられ、具体例には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、重量平均分子量が200〜600であるポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能性のものや、ポリエチレングリコール等の2官能性の(メタ)アクリレートが、アクリロニトリルを主体としたシェルには比較的均一に架橋が施され、200℃を超える高温領域でも熱膨張したマイクロカプセルが収縮しにくく、膨張した状態を維持しやすいため、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象を抑制することができ、好適に用いられる。
上記モノマー組成物中における、上記架橋性モノマー(III)の含有量の下限は0.1重量%、上限は3.0重量%である。上記架橋性モノマー(III)の含有量が0.1重量%未満であると、架橋剤としての効果が発揮されないことがあり、上記架橋性モノマー(III)3.0重量%を超えて添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの発泡倍率が低下する。上記架橋性モノマー(III)の含有量の好ましい下限は0.15重量%、好ましい上限は2.0重量%である。
上記モノマー組成物は、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)を含有する。上記重合性モノマー(IV)を含有することで、熱膨張性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂の混和性が良好となり、該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体が優れた外観を有する。
なかでも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
上記モノマー組成物中における、上記重合性モノマー(IV)の含有量の下限は21重量%、上限は40重量%である。上記重合性モノマー(IV)の含有量が21重量%未満であると、熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体の外観が低下し、40重量%を超えると、セル壁のガスバリア性が低下し、熱膨張性が悪化しやすくなる。上記重合性モノマー(IV)の含有量の好ましい下限は21.5重量%、より好ましい下限は22重量%、好ましい上限は30重量%、より好ましい上限は25重量%である。
上記モノマー組成物は、金属カチオン塩を含有することが好ましい。
上記金属カチオン塩を含有することで、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)のカルボキシル基との間でイオン架橋が起こることから、架橋効率が上がり、耐熱性を高くすることが可能となる。その結果、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセルとすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの破裂、収縮が起こることがない。
また、共有結合でなくイオン架橋が起こることによって、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が真球に近くなり、歪みが生じにくくなる。これは、イオン結合による架橋が、共有結合による架橋に比べて結合力が弱いため、重合中のモノマーからポリマーへ転化時において、熱膨張性マイクロカプセルの体積が収縮する際に均一に収縮が生じることが原因と考えられる。
上記金属カチオン塩を含有することで、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)のカルボキシル基との間でイオン架橋が起こることから、架橋効率が上がり、耐熱性を高くすることが可能となる。その結果、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセルとすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの破裂、収縮が起こることがない。
また、共有結合でなくイオン架橋が起こることによって、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が真球に近くなり、歪みが生じにくくなる。これは、イオン結合による架橋が、共有結合による架橋に比べて結合力が弱いため、重合中のモノマーからポリマーへ転化時において、熱膨張性マイクロカプセルの体積が収縮する際に均一に収縮が生じることが原因と考えられる。
上記金属カチオン塩の金属カチオンとしては、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)と反応してイオン架橋させる金属カチオンであれば、特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Zn、Mg、Ca、Ba、Sr、Mn、Al、Ti、Ru、Fe、Ni、Cu、Cs、Sn、Cr、Pb等のイオンが挙げられる。これらのなかでは、2〜3価の金属カチオンであるCa、Zn、Alのイオンが好ましく、特にZnのイオンが好適である。これらの金属カチオン塩は、単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
なお、上記金属カチオン塩を2種以上用いる場合の組み合わせとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンと上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属以外の金属カチオンとを組み合わせて用いることが好ましい。上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンを有することにより、カルボキシル基等の官能基が活性化され、上記アルカリ金属以外の金属カチオンと上記カルボキシル基等との反応を促進させることができる。上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、Na、K、Li、Ca、Ba、Sr等が挙げられ、なかでも塩基性の強いNa、K等を用いることが好ましい。
上記金属カチオン塩の含有量の好ましい下限は、モノマーの合計量に対して0.1重量%、好ましい上限が10重量%である。0.1重量%未満であると、耐熱性に効果が得られないことがあり、10重量%を超えると、発泡倍率が著しく悪くなることがある。より好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は5重量%である。
上記モノマー組成物中には、上記モノマーを重合させるため、重合開始剤を含有させる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
上記シェルを構成する重合体の重量平均分子量の好ましい下限は10万、好ましい上限は200万である。10万未満であると、シェルの強度が低下することがあり、200万を超えると、シェルの強度が高くなりすぎ、発泡倍率が低下することがある。
上記シェルは、更に必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を含有していてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上記シェルにコア剤として揮発性膨張剤が内包されている。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル、イソオクタン、オクタン、デカン、イソドデカン、ドデカン、ヘキサンデカン等の低分子量炭化水素;CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、イソオクタン、イソドデカン及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル、イソオクタン、オクタン、デカン、イソドデカン、ドデカン、ヘキサンデカン等の低分子量炭化水素;CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、イソオクタン、イソドデカン及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルでは、上述した揮発性膨張剤のなかでも、炭素数が5以下の低沸点炭化水素を用いることが好ましい。このような炭化水素を用いることにより、発泡倍率が高く、速やかに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度(Tmax)の好ましい下限が175℃である。175℃未満であると、耐熱性が低くなることから、高温領域や成形加工時において、熱膨張性マイクロカプセルが破裂、収縮する。また、マスターバッチペレット製造時に剪断により発泡してしまい、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造することができない。より好ましい下限は180℃、より好ましい上限は240℃である。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
また、発泡開始温度(Ts)の好ましい上限は175℃である。175℃を超えると特に射出成形の場合、金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック発泡成形においては、コアバック発泡過程で樹脂温度が冷えてしまい発泡倍率が上がらないことがある。好ましい下限は130℃、より好ましい上限は160℃である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径の好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。5μm未満であると、得られる成形体の気泡が小さすぎるため、成形体の軽量化が不充分となることがあり、100μmを超えると、得られる成形体の気泡が大きくなりすぎるため、強度等の面で問題となることがある。より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は45μmである。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、水性媒体を調製する工程、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)15〜30重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程、及び、上記モノマーを重合させる工程を行うことにより製造することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合、最初に水性媒体を調製する工程を行う。具体例には例えば、重合反応容器に、水と分散安定剤、必要に応じて補助安定剤を加えることにより、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、必要に応じて、亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を添加してもよい。
上記分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記分散安定剤の添加量は特に限定されず、分散安定剤の種類、マイクロカプセルの粒子径等により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。
上記補助安定剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
また、上記分散安定剤と補助安定剤との組み合わせとしては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組み合わせ、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が挙げられる。これらの中では、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせが好ましい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
上記水溶性窒素含有化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
上記コロイダルシリカの添加量は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、ビニル系モノマー100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部である。更に好ましい下限は2重量部、更に好ましい上限は10重量部である。また、上記縮合生成物又は水溶性窒素含有化合物の量についても熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記分散安定剤及び補助安定剤に加えて、更に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。無機塩を添加することで、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得ることができる。上記無機塩の添加量は、通常、モノマー100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。
上記分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調製され、この際の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカ等のシリカを使用する場合は、酸性媒体で重合がおこなわれ、水性媒体を酸性にするには、必要に応じて塩酸等の酸を加えて系のpHが3〜4に調製される。一方、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性媒体の中で重合させる。
次いで、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法では、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)15〜30重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程を行う。この工程では、モノマー組成物及び揮発性膨張剤を別々に水性分散媒体に添加して、水性分散媒体中で油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合し油性混合液としてから、水性分散媒体に添加する。この際、油性混合液と水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加しても良い。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記油性混合液を水性分散媒体中に所定の粒子径で乳化分散させる方法としては、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法や、ラインミキサーやエレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上述した工程を経て得られた分散液を、例えば、加熱することによりモノマーを重合させる工程を行うことにより、製造することができる。このような方法により製造された熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度が高く、耐熱性に優れ、高温領域や成形加工時においても破裂、収縮することがない。また、耐熱性が高いので、マスターバッチペレット製造時に剪断によって発泡することが無く、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルに、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を加えた樹脂組成物又はマスターバッチペレットを、射出成形等の成形方法を用いて成形し、成形時の加熱により、上記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させることにより、発泡成形体を製造することができる。このような発泡成形体もまた本発明の1つである。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、高外観品質が得られ、独立気泡が均一に形成されており、軽量性、断熱性、耐衝撃性、剛性等に優れるものとなり、住宅用建材、自動車用部材、靴底等の用途に好適に用いることができる。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、高外観品質が得られ、独立気泡が均一に形成されており、軽量性、断熱性、耐衝撃性、剛性等に優れるものとなり、住宅用建材、自動車用部材、靴底等の用途に好適に用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン等の一般的な熱可塑性樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。また、エチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等の熱可塑性エラストマーを使用してもよく、これらの樹脂を併用して使用してもよい。
上記熱可塑性樹脂100重量部に対する熱膨張性マイクロカプセルの添加量は0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部が適量である。また、炭酸水素ナトリウム(重曹)やADCA(アゾ系)等の化学発泡剤と併用することもできる。また、溶融させた熱可塑性樹脂に物理ガス(水蒸気、窒素、炭酸ガス等)又は超臨界流体(炭酸ガス、窒素等)を注入して発泡させる場合にも、熱膨張性マイクロカプセルを併用することもできる。
上記マスターバッチペレットを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂、各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、本発明の熱膨張マイクロカプセル等の発泡剤を添加した後、更に混練することにより得られる混練物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチペレットとする方法等が挙げられる。このとき、耐熱性の低い熱膨張性マイクロカプセルを用いた場合は、混練による剪断により発泡してしまう問題があった。この時点で微発泡してしまえば、その後の発泡成形で所望の発泡倍率が得難く、バラツキも大きくなる。
また、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂や熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂や熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明の発泡成形体の成形方法としては、特に限定されず、例えば、混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等が挙げられる。射出成形の場合、工法は特に限定されず、金型に樹脂材料を一部入れて発泡させるショートショート法や金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック法等が挙げられる。
本発明によれば、優れた耐熱性が得られることから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等にも好適に使用可能な熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。また、発泡倍率が高く、所望の発泡特性を有する発泡成形体が得られる。更に、得られる発泡成形体の外観に優れるものとすることができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
固形分20重量%のコロイダルシリカ130重量部、ポリビニルピロリドン6重量部、塩化ナトリウム640重量部をイオン交換水2,000重量部に加え混合した後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル238重量部、メタクリロニトリル113重量部、メタクリル酸113重量部、メタクリル酸メチル287重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3重量部を混合して均一溶液のモノマー組成物とした。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)10g、ノルマルペンタン238重量部を添加してオートクレーブ中に仕込み混合した。
その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、10分間1,000rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で15時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は200rpmで行った。得られた重合スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱水した後に乾燥させて、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
固形分20重量%のコロイダルシリカ130重量部、ポリビニルピロリドン6重量部、塩化ナトリウム640重量部をイオン交換水2,000重量部に加え混合した後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル238重量部、メタクリロニトリル113重量部、メタクリル酸113重量部、メタクリル酸メチル287重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3重量部を混合して均一溶液のモノマー組成物とした。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)10g、ノルマルペンタン238重量部を添加してオートクレーブ中に仕込み混合した。
その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、10分間1,000rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で15時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は200rpmで行った。得られた重合スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱水した後に乾燥させて、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(発泡成形体の作製)
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に可塑剤としてフタル酸ジオクチル70重量部、黒顔料としてカーボンブラック3重量部、実施例1で得られた熱膨張性マイクロカプセル3重量部を混合した。続いて型締力約350トン、スクリュー径60mmを有する射出成形機を用いて、射出圧力約1860kg/cm2、シリンダー温度190℃にて射出成形を行い、直径250mm×厚み3mmの円盤状の発泡成形体を得た。
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に可塑剤としてフタル酸ジオクチル70重量部、黒顔料としてカーボンブラック3重量部、実施例1で得られた熱膨張性マイクロカプセル3重量部を混合した。続いて型締力約350トン、スクリュー径60mmを有する射出成形機を用いて、射出圧力約1860kg/cm2、シリンダー温度190℃にて射出成形を行い、直径250mm×厚み3mmの円盤状の発泡成形体を得た。
(実施例2〜7、比較例1〜4)
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す組成で混合し、モノマー組成物とした以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体を得た。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す組成で混合し、モノマー組成物とした以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体を得た。
(実施例8)
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す組成で混合してモノマー組成物とし、更に金属カチオン塩である水酸化亜鉛を3.8重量部添加した以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体を得た。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す組成で混合してモノマー組成物とし、更に金属カチオン塩である水酸化亜鉛を3.8重量部添加した以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体を得た。
(評価方法)
得られた熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体の性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
得られた熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体の性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
(1)熱膨張性マイクロカプセルの評価
(1−1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−950、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(1−1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−950、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(1−2)発泡開始温度、最大発泡温度
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度とした。また、発泡倍率を測定し、発泡倍率が最大となる温度を最大発泡温度とした。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度とした。また、発泡倍率を測定し、発泡倍率が最大となる温度を最大発泡温度とした。
(2)成形体の評価
(2−1)密度の測定
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
(2−1)密度の測定
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
(2−2)外観(成形品表面)
成形品表面の白斑点の個数を目視にて計数した。
成形品表面の白斑点の個数を目視にて計数した。
本発明によれば、発泡倍率が高く、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体を提供することができる。
Claims (4)
- 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包された熱膨張性マイクロカプセルであって、
前記シェルは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)15〜30重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなる
ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。 - モノマー組成物は、金属カチオン塩を含有し、前記金属カチオン塩の含有量がモノマーの合計量に対して、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- 最大発泡温度が175℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- 請求項1、2又は3記載の熱膨張性マイクロカプセルを用いてなることを特徴とする発泡成形体。
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