JP2014237626A - 生体防御用組成物及びその用途、並びにペプチド - Google Patents

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Abstract

【課題】稲由来の優れた抗菌活性及びエンドトキシンによる炎症抑制活性を有し、長期間処方しても安全性に優れる生体防御組成物及びその用途として口腔用抗菌剤等、並びにペプチドの提供。
【解決手段】稲種子に存在する、以下の(A)〜(C)のタンパク質及びペプチドのいずれかを有効成分として含有する生体防御用組成物などである。(A)特定のアミノ酸配列からなるタンパク質(B)特定のアミノ酸配列において1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、生体防御作用を有するタンパク質(C)前記(A)又は(B)のタンパク質の一部からなり、生体防御作用を有するペプチド
【選択図】なし

Description

本発明は、生体防御用組成物及びこれを含有する飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料、並びにペプチドに関する。
人は、加齢とともに発音、咀嚼、嚥下、唾液分泌などの口腔機能が低下する。なかでも唾液分泌が低下すると、歯周病や口内炎、齲蝕(虫歯)、口臭といった口腔疾患が増大する。また、皮膚の疾患や傷害によって皮膚のバリア機能や保湿機能が低下する。更に、乳幼児や高齢者の免疫機能は低いため、病原菌に感染しやすい。これらの機能の低下は、国民の健康の維持と増進にとって重大な課題である。
これまで、口腔ケア用品等に添加される抗菌成分又は殺菌成分としては、エタノール等の有機溶剤や抗生物質などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記有機溶剤を用いた口腔ケア用品は、体質的に受け入れられないという問題、乳幼児には使用できないという問題があり、前記抗生物質を用いた口腔ケア用品では、長期間使用により耐性菌が出現するという問題がある。
一方、動物、植物、昆虫、微生物等の様々な生物には、外界からの病原微生物の侵入に対して自己防御するための自己生体防御機構が本来備っており、多糖分解酵素や溶菌酵素などのタンパク質やアミノ酸が約10個〜約50個程度からなる抗菌ペプチドを生物自らが産生している。これらの抗菌成分は、前記抗生物質と比較して広範囲な抗菌活性を有し、耐性菌を生じさせにくいという特性を有することから、口腔用抗菌剤としての利用が期待されている。
生物由来の抗菌剤として、例えば、イネ由来の抗菌タンパク質であるオリザシスタチンが知られている。しかしながら、オリザシスタチンは、歯周病原因菌(Porphyromonas gingivalis等)のジンジパインを阻害することが知られているものの、その菌体に対して直接抗菌活性を示すものではない。
イネゲノム中にはディフェンシンなど既知の抗菌タンパク質のホモログが存在するが、イネの生体防御に対する寄与は不明である。
本発明者らは、イネ種子に由来し、歯周病の治療や予防に有効な、歯周病菌のプロテアーゼに対する阻害活性を有するペプチドを報告している(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、未だ、生物由来であって、菌体に対して強い抗菌作用を有し、且つ、エンドトキシンによる炎症作用を抑制する生体防御用組成物の開発が望まれているのが現状である。
特開2007−84471号公報 特許第4982908号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた抗菌活性及びエンドトキシンによる炎症抑制活性を有し、長期間処方しても安全性に優れる生体防御組成物及びその用途を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗菌活性及びエンドトキシンによる炎症抑制活性を有し、長期間処方しても安全性に優れるペプチドを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 以下の(A)〜(C)のタンパク質及びペプチドのいずれかを有効成分として含有することを特徴とする生体防御用組成物である。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、生体防御作用を有するタンパク質
(C)前記(A)又は(B)のタンパク質の一部からなり、生体防御作用を有するペプチド
<2> 配列番号1で表されるアミノ酸配列の第175位〜第192位、及び第356位〜第372位から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列を含むペプチド、又は前記ペプチドにおいて1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、生体防御作用を有する前記<1>に記載の生体防御用組成物である。
<3> 生体防御作用が、有効成分の抗菌活性に基づく前記<1>から<2>のいずれかに記載の生体防御用組成物である。
<4> 抗菌活性が、有効成分と、リポ多糖及びLipid A(以下、「リピドA」と称することがある)の少なくともいずれかとの結合に基づく前記<3>に記載の生体防御用組成物である。
<5> 生体防御作用が、有効成分の炎症抑制活性に基づく前記<1>から<2>のいずれかに記載の生体防御用組成物である。
<6> 炎症抑制活性が、エンドトキシン中和活性及び炎症性サイトカイン産生抑制活性の少なくともいずれかに基づく前記<5>に記載の生体防御用組成物である。
<7> エンドトキシン中和活性及び炎症性サイトカイン産生抑制活性の少なくともいずれかが、有効成分と、リポ多糖及びLipid Aの少なくともいずれかとの結合に基づく前記<6>に記載の生体防御用組成物である。
<8> 生体防御作用が、有効成分の創傷治癒活性に基づく前記<1>から<2>のいずれかに記載の生体防御用組成物である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の生体防御用組成物を含有してなることを特徴とする飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料である。
<10> 以下の(a)及び(b)のいずれかのペプチドである。
(a)配列番号2及び3のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)前記(a)のペプチドに対して1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ生体防御作用を有するペプチド
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、優れた抗菌活性及びエンドトキシンによる炎症抑制活性を有し、長期間処方しても安全性に優れる生体防御組成物、及びその用途を提供することができる。
また、本発明によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、優れた抗菌活性及びエンドトキシンによる炎症抑制活性を有し、長期間処方しても安全性に優れるペプチドを提供することができる。
図1は、AmyI−1(175−192)ペプチドの、Smooth型のリポ多糖で刺激したマクロファージ細胞による一酸化窒素産生に対する抑制効果を示すグラフである。 図2は、AmyI−1(175−192)ペプチドの、Rc型のリポ多糖で刺激したマクロファージ細胞による一酸化窒素産生に対する抑制効果を示すグラフである。 図3は、AmyI−1(175−192)ペプチドの、Lipid Aで刺激したマクロファージ細胞による一酸化窒素産生に対する抑制効果を示すグラフである。 図4は、AmyI−1(175−192)ペプチドの、マクロファージ細胞に対する細胞毒性評価を示すグラフである。 図5は、AmyI−1(175−192)ペプチドの、ヒツジ赤血球に対する溶血活性評価を示すグラフである。 図6Aは、AmyI−1(175−192)ペプチドと、リポ多糖との親和性を解析した結果を示すグラフである。 図6Bは、AmyI−1(175−192)ペプチドと、Lipid Aとの親和性を解析した結果を示すグラフである。 図7Aは、実施例7における管腔構造をした細胞の長さを測定した結果を示すグラフである。 図7Bは、実施例7におけるコントロールの場合の顕微鏡撮影結果を示す図である。 図7Cは、実施例7におけるLL−37ペプチドを用いた場合の顕微鏡撮影結果を示す図である。 図7Dは、実施例7におけるAmyI−1(175−192)ペプチドを用いた場合の顕微鏡撮影結果を示す図である。
(生体防御用組成物)
本発明の生体防御用組成物は、以下の(A)〜(C)のタンパク質及びペプチドのいずれかを有効成分として含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、生体防御作用を有するタンパク質
(C)前記(A)又は(B)のタンパク質の一部からなり、生体防御作用を有するペプチド
<タンパク質、ペプチド>
前記タンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質に限定されず、生体防御作用を有する限り配列番号1で表されるアミノ酸配列において1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。
また、生体防御作用を有する限りこれらのタンパク質の一部からなるペプチドであってもよい。
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる前記タンパク質は、イネ(Oryza sativa)種子に存在し、抗菌活性を有するタンパク質として本発明者らが見出したタンパク質であり、ID:Os02g0765600としてRice Annotation Project Database(RAP−DB、http://rapdb.dna.affrc.go.jp/)に登録されている。
「1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加された」とは、部位特異的変異法等の公知の変異ペプチド作製法により欠失、置換又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、更に好ましくは5個以下)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されることを意味する。このような変異ポリペプチドは、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するタンパク質から単離精製したものであってもよい。タンパク質のアミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸が、当該タンパク質の構造又は機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、本技術分野において周知である。更に、人為的に改変させるだけでなく、天然のタンパク質において、当該タンパク質の構造又は機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。好ましい変異体は、保存性又は非保存性アミノ酸置換、欠失、若しくは付加を有する。より好ましくは、保存性置換、欠失、又は付加であり、特に好ましくは、保存性置換である。
本発明の生体防御用組成物の有効成分が前記(A)又は前記(B)のタンパク質の一部からなる前記(C)のペプチドである場合、前記ペプチドのサイズは特に限定されないが、総アミノ酸残基数が100残基以下であることが好ましく、80残基以下がより好ましく、50残基以下が更に好ましく、20残基以下が特に好ましい。前記ペプチドのサイズが小さいほど取り扱いが簡便であり、製造効率が向上し、抗原性等の副作用が軽減される点で有利である。
前記(c)のペプチドとしては、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第175位〜第192位のアミノ酸配列(以下、「AmyI−1(175−192)」と称することがある。)を含むペプチド、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第356位〜第372位のアミノ酸配列(以下、「AmyI−1(356−372)」と称することがある。)を含むペプチド、が挙げられる。また、感染防御作用を有する限り、当該ペプチドにおいて1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されていてもよい。具体的には、例えば以下の配列番号2(AmyI−1(175−192))、配列番号3(前記AmyI−1(356−372))のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記生体防御用組成物中の前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
前記生体防御用組成物の用途としては、特に制限はなく、各種用途が挙げられるが、例えば、抗菌剤、炎症抑制剤、創傷治癒剤、エンドトキシン中和剤、炎症性サイトカイン産生抑制剤、一酸化窒素産生抑制剤、リポ多糖及びLipid Aの少なくともいずれかとの結合剤などが好適に挙げられる。
(飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料)
本発明の飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料は、前記生体防御用組成物を含有してなる。
前記飲食品としては、特に制限はなく、例えば、各種の清涼飲料水、果汁飲料、和洋菓子、乳製品その他の畜産加工品、果実加工品、野菜加工品、穀物の加工品、水産加工品、調味料、ビタミンなどを主成分としたいわゆる各種の健康食品など数多くの飲食品が挙げられる。
前記医薬品、医薬部外品としては、特に制限はないが、歯周病治療剤、口内炎治療剤、薬用トローチ、薬用のど飴、洗口液、練歯磨き、などが好適に挙げられる。
前記化粧品又は飼料としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、以下の実施例において特に説明がない場合には、J.Sambrook,E.F.Fritsch&T.Maniatis(Ed.),Molecular cloning,a laboratory manual〔3rd edition〕,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(2001);F.M.Ausubel,R.Brent,R.E.Kingston,D.D.Moore,J.G.Seidman,J.A.Smith,K.Struhl〔Ed.〕,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、該方法を修飾、改変等した方法を用いて、実験を実施することができる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明がない場合、該方法を用いることができる。また、当業者であれば本明細書の記載及び前記した標準的なプロトコール集などの記載から容易に本発明を再現することができる。
(実施例1)
Os02g0765600由来ペプチドによる抗菌スペクトルの検討
(1)ペプチド
選択したタンパク質、前記Os02g0765600のアミノ酸配列(配列番号1)に基づいて、タンパク質表面にあり、α−へリックス構造を取り、疎水性残基と塩基性残基をともに含んでいる部分を検索した。
その結果、表1に記載の2種類のペプチドを合成して、抗菌スペクトルを検討した。各ペプチドは、ペプチド合成装置(PSSM−8、株式会社島津製作所製)を用いて合成し、カラム(Cadenza CD−C18、インタクト株式会社製)を装着したHPLC(10A system、株式会社島津製作所製)にて以下の精製条件で精製した。
<精製条件>
・溶媒A:0.1質量%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル
・溶媒B:0.1質量%トリフルオロ酢酸を含む水
・流速:1.0mL/分間
・波長:220nm
・インジェクション容量:20μL
・グラジエント条件:0.01分間(溶媒A 10体積%、溶媒B 90体積%)→25.0分間(溶媒A 35体積%、溶媒B 65体積%)→25.1分間(溶媒A 100体積%、溶媒B 0体積%)→30分間(停止)
(2)使用菌株
被験菌として、表2に示した疾病に関連する微生物を用いた。
(3)抗菌試験
濃度を変えて表1に記載の各ペプチドを培地に添加し、上記被験菌を培養した。
P. gingivalis ATCC 33277は、変法GAM培地(1L中、ペプトン5.0g、ダイズペプトン3.0g、プロテオーゼペプトン5.0g、消化血清末10.0g、酵母エキス末2.5g、肉エキス末2.2g、肝臓エキス末1.2g、ブドウ糖0.5g、溶性デンプン5.0g、L−トリプトファン0.2g、L−システイン塩酸塩0.3g、チオグリコール酸ナトリウム0.3g、L−アルギニン1.0g、ビタミンK10.005g、ヘミン0.01g、リン酸二水素カリウム2.5g、塩化ナトリウム3.0g、pH7.3)を用いて絶対嫌気条件下、37℃で48時間静置培養した。
E. coli K−12は、LB培地(1L中、トリプトン10.0g、酵母エキス5.0g、塩化ナトリウム10.0g、pH7.0)又はTSB培地(1L中、カゼイン製ペプトン17.0g、ダイズ製ペプトン3.0g、塩化ナトリウム5.0g、ブドウ糖2.5g、リン酸水素二カリウム2.5g、pH7.3)を用いて通性嫌気条件下、37℃で4時間静置培養した。
E. corrodens ATCC 23834は、前記TSB培地を用いて、絶対嫌気条件下、37℃で20時間静置培養した。
A. aggregatibacter 310aは、前記TSB培地を用いて、絶対嫌気条件下、37℃で15時間静置培養した。
F. nucleatum ATCC 25586は、前記TSB培地を用いて、絶対嫌気条件下、37℃で5時間静置培養した。
S. aureus NBRC 12732は、前記TSB培地を用いて、通性嫌気条件下、37℃で10時間静置培養した。
S. mutans JCM 5705は、BHI培地(1L中、豚脳エキス末4.0g、豚ハートエキス末4.0g、ペプトン17.5g、ブドウ糖2.0g、塩化ナトリウム5.0g、リン酸水素二ナトリウム2.5g、pH7.2)を用いて、通性嫌気条件下、37℃で6時間静置培養した。
P. acnes JCM 6473は、GAM培地(1L中、ペプトン10.0g、ダイズペプトン3.0g、プロテオーゼペプトン10.0g、消化血清末13.5g、酵母エキス5.0g、肉エキス2.2g、肝臓エキス1.2g、ブドウ糖3.0g、リン酸二水素カリウム2.5g、塩化ナトリウム3.0g、溶性デンプン5.0g、L−システイン塩酸塩0.3g、チオグリコール酸ナトリウム0.3g、pH7.1)を用いて、通性嫌気条件下、37℃で24時間静置培養した。
P. aeruginosa NBRC 13275は、YM培地(1L中、グルコース10.0g、ペプトン5.0g、酵母エキス3.0g、麦芽エキス1.0g、pH6.2)を用いて、好気条件下、30℃で10時間静置培養した。
C. albicans NBRC 1385の培地は、前記YM培地を用いて、通性嫌気条件下、25℃で24時間静置培養した。
上記被験菌に対する抗菌活性試験は、以下の手順で行った。
上記被験菌の培養に用いたのと同じ培地に、80μLの各被験菌の培養液を播種した後、所定の温度に設定したインキュベーターに入れて所定の時間培養した。その後、新たな培地に植え継いで、更に所定の時間培養した。得られた前培養液を段階希釈することでOD650=5.0×10−5の菌液を調製した。
次に、リザーバーを用意して、各レーンに300μLの1.33倍濃度の培地、100μLの各ペプチド溶液(ペプチドの濃度を様々に振った溶液)、100μLの前記菌液を添加してよく混合した。
コントロールとブランクには、ペプチド溶液の代わりに同量の滅菌水を添加し、更にブランクには菌液の代わりに1倍濃度の各培地を同量添加した。ペプチド溶液を添加したもの、コントロール及びブランクのそれぞれを96ウェル培養プレート(#3595、Corning社製)のウェルに100μLずつ分注し、前記各被験菌の培養条件と同じ条件で培養を行った。
−抗菌活性の評価方法−
各ペプチドの抗菌活性は、生菌に由来するATPを定量することによって評価した。
生菌に由来するATPの定量は、BacTiter・Glo(登録商標) Microbial Cell Viability Assay Kit(Promega社製)を用いたルシフェリン−ルシフェラーゼ発光法により行った。以下のように微生物からATPを抽出し、ATP量に応じた発光強度から微生物量を測定した。
具体的には、まず、培養プレートの各ウェルに分注した100μL被験菌培養液に対して10μLのルシフェールATP消去試薬(キッコーマン株式会社製)を添加し、10分間撹拌することによって生菌体外に存在するATPを分解消去させてサンプルとした。
次に、あらかじめ96穴プレート(OptiPlate−96、PerkinElmer社製)の各ウェルに分注した50μLのATP発光試薬に対して、前記サンプルを50μL添加した。各ウェルの生菌に由来するATP発光強度(発光波長560nm)を、マイクロプレートリーダー1420(Multilabel Counter Arvo(登録商標)MX、PerkinElmer社製)を用い、Relative Light Unit(RLU)として測定した。1サンプルについて3回測定を行い、測定は、各菌の対数増殖初期において行った。抗菌活性は、抗菌成分を含まないコントロールのRLUを100%とし、50%に低下させるペプチド濃度(50%増殖阻害濃度:IC50値)を用いて表した。結果を表3に示す。
表3において、「−」は抗菌試験を実施していないことを表す。
−結果−
表3から明らかなように、前記AmyI−1(175−192)及び前記AmyI−1(356−372)は、いずれもP. gingivalis ATCC 33277に対して抗菌活性を示した。
また、AmyI−1(175−192)は、試験したグラム陰性菌のE. corrodens ATCC 23834、E. coli K−12、P. aeruginosa NBRC 13275、A. aggregatibacter 310a、及びF. nucleatum ATCC 25586、グラム陽性菌のS. mutans JCM 5705、S. aureus NBRC 12732、及びP. acnes JCM 6473、並びに真菌のC. albicans NBRC 1385に対して、すべて抗菌活性を示した。
前記AmyI−1(175−192)は、特に代表的な歯周病であるP. gingivalis ATCC 33277、A. aggregatibacter 310a、及びF. nucleatum ATCC 25586に対して強い抗菌活性を示した。また、ニキビ原因菌であるP. acnes JCM 6473に対しても強い抗菌活性を示した。E. corrodens ATCC 23834及びE. coli K−12に対する抗菌活性は、他の病原性微生物に対する活性に比べて、低かった。
(実施例2)
前記Os02g0765600由来ペプチドのエンドトキシン中和活性
「エンドスペシーES−50Mセット」(生化学工業株式会社製)及び「エンドトキシン標準品CSE−Lセット」(生化学工業株式会社製)を用いてエンドトキシン中和活性を評価した。
ペプチドとして、表1に記載の前記AmyI−1(175−192)を用いた。96ウェルプレート(#3595 マルチプルウェルプレート(平底)、Corning社製)の各ウェルにエンドトキシン標準品(0.10EU/mL)25μL及びペプチド溶液(最終濃度1μM及び10μM)を加えて、37℃にて30分間又は35分間振盪しながらインキュベーションした。次に、50μLの前記セットに含まれていたLAL試薬を各ウェルに添加し、37℃で10分間振盪しながらインキュベーションした。その後、マイクロプレートリーダー(2030 Arvo X、PerkinElmer社製)を用いて、波長405nmの吸光度を測定した。ペプチド溶液の代わりに蒸留水(エンドトキシンフリー)を添加したものをコントロールとし、コントロール(0μM)の吸光度を100%とした時の相対値をエンドトキシン中和活性とした。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、前記AmyI−1(175−192)ペプチドは濃度依存的にエンドトキシンを中和することが示された。この中和活性は、医療用の抗菌薬であるポリミキシンB(P1004−1、Sigma社製)と同等の活性であった。
(実施例3)
前記Os02g0765600由来ペプチドの一酸化窒素産生抑制作用
マウスマクロファージRAW264細胞(RIKEN BRC CELL BANK)を用いて、AmyI−1(175−192)を添加したときの、エンドトキシン刺激による傷害性の一酸化窒素(NO)の産生量への影響を検討した。本発明では、エンドトキシンとして、Smooth型のリポ多糖であるE. coli O55:B5のLPS(#203、List Biological Laboratories社製)、Rc型のリポ多糖であるE. coli J5のLPS(0130、Glycobiotech社製)、及びLipid AとしてE. coli R515のLipid A(ALX−581−200、Enzo Life science社製)を、それぞれ用いて試験した。
10質量%FBS、10,000units/mLのペニシリン及び10,000μg/mLのストレプトマイシン(15140−148、Invitrogen社製)を含んだMEM培地(12430−054、Invitrogen社製)を用いて前記マウスマクロファージRAW264細胞を培養した後、Nunc細胞培養フラスコ(178905、Thermo scientific社製)内の上清液を除去し、新しいMEM培地を添加し、Cell screaper(#3010、Corning社製)で付着した細胞を剥がし、遠心チューブに移して、1,000rpmにて5分間遠心分離を行った。次に上清液を吸引除去し、10質量%FBSを含んだフェノールレッド不含のDMEM培地(12430−054、Invitrogen社製)を用いてRAW264細胞を懸濁した。細胞数の測定を行い、細胞濃度を2.0×10cells/mLになるように調整した細胞懸濁液とした。96穴プレート(#3595、Corning社製)に前記細胞懸濁液を100μLずつ添加し、COインキュベーター(MCO−18AIC、三洋電機株式会社製)内で一晩培養した。その後、DMEM培地を吸引除去し、各ウェルに80μLのDMEM培地と、10μLのリポ多糖(1μg/mL)、Lipid A(1μg/mL)、又は大塚蒸留水(1F80N、大塚製薬株式会社製)と、10μLのAmyI−1(175−192)ペプチド又は大塚蒸留水と、をそれぞれ添加した。37℃、5%COの条件下にて24時間培養した。あらかじめ20μLの生理的食塩を含むリン酸緩衝液(pH7.2)を添加した新しいプレートに、80μLの細胞培養液を添加した。各ウェルに、100μLのGriess試薬(NO/NOAssay Kit−C II(Griess Reagent Kit)、株式会社同仁化学研究所製)を添加した。反応15分後に、マイクロプレートリーダー(2030 Arvo X、PerkinElmer社製)を用いて560nmにおける吸光度を測定し、Griess Reagent Kitに附属のNaNO標準溶液を用いて作成した検量線と比較して、NOの産生量を二酸化窒素(NO)として定量した。一酸化窒素の産生量は、リポ多糖又はLipid Aのみを添加したときの産生量を100%とした相対値を用いて表した。
Smooth型のリポ多糖、Rc型のリポ多糖、及びLipid Aを用いて、RAW264細胞をそれぞれ刺激した結果を、図1〜図3に示した。いずれの場合もコントロールと比較してNO産生量が大幅に増加した。前記AmyI−1(175−192)ペプチドを添加することによって、添加した前記AmyI−1(175−192)ペプチドの濃度に依存してNO産生量は減少した。これらの値は、前記AmyI−1(175−192)ペプチドを添加しないときの値と比較して、統計的に有意な差があり、前記AmyI−1(175−192)ペプチドは抗炎症作用を有することがわかった。Lipid Aで刺激した場合のNO産生量を減少させるには、Smooth型のリポ多糖を用いて刺激した場合に比べて、より高濃度の前記AmyI−1(175−192)ペプチドを添加する必要があった。これは、Lipid Aがレセプター結合作用の中心部位であり、同じ濃度で添加した場合には、Smooth型のリポ多糖に比べてエンドトキシン作用が強いためであると考えられた。更に、前記AmyI−1(175−192)ペプチドのみを添加した場合、NO産生量は増加しなかったことから、前記AmyI−1(175−192)ペプチド自体はNO産生に影響しないことが分かった。図3に示すように、Lipid Aで刺激したときのNO産生量を、エンドトキシンの抑制作用が強いポリミキシンB(P1004−1、Sigma社製)を添加した場合と比較した結果、前記AmyI−1(175−192)ペプチドは1/4〜1/5の抑制作用があった。
(実施例4)
前記Os02g0765600由来ペプチドの細胞毒性の検討
マウスマクロファージRAW264細胞(RIKEN BRC CELL BANK)を用いて、前記AmyI−1(175−192)ペプチドを添加したときの生存率を測定することによって、細胞毒性を検討した。
96穴プレート(#3595、Corning社製)を用いて10質量%FBSを含んだフェノールレッド不含のDMEM培地(12430−054、Invitrogen社製)中で培養した後、培養液だけを吸引除去した。
DMEM培地と、水溶性のホルマザンを生成するテトラゾリウム塩WST−8を発色基質として含むCell Counting Kit−8(343−07623、株式会社同仁化学研究所製)を10:1で混合した混合液を作製した。前記混合液を、前記培養液を吸引除去した各ウェルに100μLずつ添加した後、COインキュベーター(MCO−18AIC、三洋電機株式会社製)内で5分間反応させた。マイクロプレートリーダー(2030 Arvo X、PerkinElmer社製)を用いて、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定し、前記AmyI−1(175−192)ペプチドを添加していないコントロールウェルの値と比較することによって、細胞生存率を測定し、細胞毒性を評価した。RAW264細胞に対する毒性を評価した結果を図4に示す。
一酸化窒素産生抑制の実験において用いた最大の濃度1,000μMよりも高い1,200μMを添加しても、前記AmyI−1(175−192)ペプチドは、RAW264細胞に対して毒性を示さなかった。
(実施例5)
前記Os02g0765600由来ペプチドの溶血活性の検討
緬羊脱繊維無菌血液(0102−1、株式会社日本バイオテスト研究所製、以下「赤血球」とも称する)を用いて、前記AmyI−1(175−192)ペプチドの溶血活性を試験した。
マイクロチューブ中にて、40μLの赤血球を960μLの生理的食塩を含むリン酸緩衝液(PBS: pH 7.2)に4体積%になるように懸濁して懸濁液とした。前記懸濁液を5,000rpmにて、5分間遠心分離した後、上清液を除き、新たに960μLのPBSを加えて赤血球を再懸濁した。この操作を3回繰り返した後、得られた赤血球をサンプルとして用いた。任意の濃度に希釈された前記AmyI−1(175−192)ペプチド溶液、又は0.1質量% TritonX−100(595−13135、和光純薬工業株式会社製)を96穴プレート(#3595、Corning社製)の各ウェルに50μLずつ分注した。次に、4体積%の赤血球懸濁液を各ウェルに50μLずつ分注した後、37℃にて1時間インキュベーションした。その後、4,000rpmにて10分間遠心分離を行った。遠心分離によって得られた50μLの上清液を、あらかじめ50μLのPBS又は水を分注しておいたウェルに添加した。マイクロプレートリーダー(2030 ArvoTM X、PerkinElmer社製)を用いて、各ウェルの405nmにおける吸光を測定した。前記AmyI−1(175−192)ペプチドを添加しないときの吸光度を0%、及び前記AmyI−1(175−192)ペプチドの代わりに0.1質量% TritonX−100を添加したときの吸光度を100%として、次の式を用いて溶血活性を評価した。
溶血活性(%)=(Apeptide−A)×100/(ATritonX−100−A
ここで、Aは無添加のときの吸光度、ApeptideはAmyI−1(175−192)ペプチドを添加したときの吸光度、及びATritonX−100は0.1質量% TritonX−100を添加したときの吸光度をそれぞれ示す。
溶血活性を測定した結果を図5に示す。
強い抗菌活性を有するが、同時に強い細胞毒性や溶血活性を持つハチ毒中の抗菌ペプチドであるMelittin(511−97531、Serva Electrophoresis社製)は、100μMにおいても非常に高い溶血活性を示した。一方、前記AmyI−1(175−192)ペプチドは、500μMの濃度までは溶血活性を示さなかったが、1,000μMの濃度で添加したときには、約20%の弱い溶血活性を示した。したがって、前記AmyI−1(175−192)ペプチドは、抗菌活性や抗炎症活性を示す濃度範囲において、溶血活性を示さないことがわかった。
(実施例6)
前記Os02g0765600由来ペプチドとエンドトキシンとの親和性解析
表面プラズモン共鳴を利用した生体分子間相互作用解析装置 Biacore(Biacore X: GE Healthcare Life Science社製)を用いて、前記Os02g0765600由来ペプチドであるAmyI−1(175−192)ペプチドとリポ多糖(E. coli O55:B5; #203, List Biological Laboratory社製)との親和性、及び前記Os02g0765600由来ペプチドであるAmyI−1(175−192)ペプチドとLipid A(E. coli R515, LX−581−200, Enzo Life Scinece社製)との親和性を解析した。
最初に、チオールカップリング法によってAmyI−1(175−192)ペプチドをセンサーチップCM5(BR−1000−12: GE Healthcare Life Sciences社製)に固定化した。具体的には、AmyI−1(175−192)ペプチドのアミノ末端にシステインを付加し、そのシステインとセンサーチップ表面のカルボキシメチルデキストランとをThiol Coupling Kit(BR−1005−57:GE Healthcare Life Sciences社製)を用いてジスルフィド結合を形成させることによって固定化した。
生理的食塩を含むリン酸緩衝液(PBS:pH 7.2)中のリポ多糖、又はLipid Aを分散させるために超音波で5分間処理した後に、それぞれ10μg/mL、30μg/mL、又は50μg/mLの濃度になるように希釈した。その後、流速を10μL/分間に設定して流路へ添加した。このときの結合時間は、240秒間に調節した。次に、解離するためにリン酸緩衝液だけを500秒間流した。センサーチップの再生には、1mM NaOHを用いた。
Biacore付属のデータ編集ソフトウェア BIAevaluationを用いて、各濃度のセンサーグラムを解析した。具体的には、BIAevaluationのGlobal fittingを用いてセンサーグラムの同時解析を行い、解離定数Kを算出した。リポ多糖及びLipid Aの分子量は、それぞれ20,500Da、1,798.8Daとした。
AmyI−1(175−192)ペプチドを固定化したセンサーチップに、10μg/mL、30μg/mL、又は50μg/mLのリポ多糖(LPS)をそれぞれ添加した結果を、図6Aに示した。同じようにLipid Aを添加した結果を図6Bに示した。リポ多糖を添加した後、240秒まで添加したリポ多糖の濃度に依存して、レスポンスが増加した。次に240秒目から解離状態に切り替えた結果、レスポンスは徐々に低下した。また、同じようにしてLipid Aを添加した結果、リポ多糖の場合と同様に、Lipid Aの濃度に依存してレスポンスは増加した。
Biacore付属のデータ編集ソフトウェア BIAevaluationを用いて、解離定数Kを算出した結果、AmyI−1(175−192)ペプチドとリポ多糖との間のKは4.28×10−10Mとなり、AmyI−1(175−192)ペプチドとLipid Aとの間のKは5.56×10−10Mとなり、それぞれ非常に高い親和性を示すことがわかった。
したがって、AmyI−1(175−192)ペプチドのグラム陰性菌に対する抗菌活性は、細胞表層に存在するリポ多糖やその構成成分であるLipid Aとの強い結合によって、細胞膜の機能を損傷することに起因していることがわかった。また、AmyI−1(175−192)ペプチドのエンドトキシン中和活性や一酸化窒素産生抑制作用は、AmyI−1(175−192)ペプチドがリポ多糖又はLipid Aに直接結合することによって発揮されることがわかった。また、AmyI−1(175−192)ペプチドとリポ多糖との間、及びAmyI−1(175−192)ペプチドとLipid Aとの間の親和性は、ほぼ同じであることからAmyI−1(175−192)ペプチドは、リポ多糖のLipid A部分に結合して作用を発揮していることもわかった。
(実施例7)
前記Os02g0765600由来ペプチドの創傷治癒作用
AmyI−1(175−192)ペプチドの創傷治癒作用を、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、倉敷紡績株式会社製、KE−4109)の管腔形成促進作用に基づいて評価した。
96穴プレート(#3595, Corning社製)を用いて、HUVECを3日間〜4日間コンフルエントな状態になるまで培養した後、HEPES緩衝液(倉敷紡績株式会社製、HK−3320)を用いて洗浄し、不純物を取り除いた。次に、トリプシン/EDTA(倉敷紡績株式会社製、HK−3120)で3分間処理し、剥がれてきたHUVECを回収し、トリプシン中和液(倉敷紡績株式会社製、HK−3220)に添加した。この細胞懸濁液を800rpmで5分間遠心分離した後、上澄み液を除去し、HuMedia−EG2(倉敷紡績株式会社製、KE−2150S)を加えて細胞濃度を2.0×10cells/mLに調整した。得られた細胞懸濁液とAmyI−1(175−192)ペプチドとを1:1の割合で混合した。
本実験では、ヒト由来の創傷治癒作用を有する生体防御ペプチドとして知られているLL−37(Leu−Leu−Gly−Asp−Phe−Phe−Arg−Lys−Ser−Lys−Glu−Lys−Ile−Gly−Lys−Glu−Phe−Lys−Arg−Ile−Val−Gln−Arg−Ile−Lys−Asp−Phe−Leu−Arg−Asn−Leu−Val−Pro−Arg−Thr−Glu−Ser:配列番号4;株式会社ペプチド研究所製、4445−s)をポジティブコントロールとして用いて、AmyI−1(175−192)ペプチドの管腔形成促進作用と比較した。なお、LL−37がヒト由来の創傷治癒作用を有する生体防御ペプチドであることは、例えば、1) M. Carretero, M. J. Escamez, M. Garcia, B. Duarte, A. Holguin, L. Retamosa, J. L. Jorcano, M. del Rio, and F. Larcher: In vitro and in vivo wound healing promoting activity of human cathelicidin LL−37. Journal of Investigative Dermatology, (2008) Vol.128, pp.233−236.、2) R. Ramos, J. P. Silva, A. C. Rodrigues, R Costa, L. Guardao, F. Schmitt, R. Soares, M. Vilanova, L. Domingues, and M. Gama: Wound healing activity of the human antimicrobial peptide LL37. Peptides, (2011) Vol.32, pp.1469−1476.などに記載されている。
マトリゲル(Becton Deckinson and Company、354234)は常温では固まり、4℃で液体状態になるため、はじめに40μLのマトリゲルを氷上で96穴プレート(#3595, Corinig社製)に添加した。添加したマトリゲルを37℃で30分間インキュベートした後、予め準備しておいた細胞懸濁液とAmyI−1(175−192)ペプチド、又はLL−37との混合液(100μL)を添加し、15時間培養した。
マトリゲル内でHUVECが形成した管腔構造を、顕微鏡を用いて40倍の倍率で観察し、写真撮影を行った。また、得られた画像から300×400pixelの範囲を抽出し、形成された管腔構造をした細胞の長さの合計値を測定し、AmyI−1(175−192)ペプチドの創傷治癒作用を評価した。
AmyI−1(175−192)ペプチド及びLL−37のHUVECに対する管腔形成促進作用を図7A〜7Dに示した。AmyI−1(175−192)ペプチドは、LL−37と同じ濃度範囲で管腔形成促進作用を示し、その作用は濃度に依存していた。また、顕微鏡観察した結果から、1μMのAmyI−1(175−192)ペプチドを添加したときに、1μMのLL−37を添加したときと同じように、無添加の場合に比べて細胞の増殖が促進され、管腔構造をした細胞の長さが増加していることがわかった。したがって、AmyI−1(175−192)ペプチドは、LL−37と同じようにHUVECの管腔形成促進作用を有することから、創傷治癒作用があることがわかった。

Claims (10)

  1. 以下の(A)〜(C)のタンパク質及びペプチドのいずれかを有効成分として含有することを特徴とする生体防御用組成物。
    (A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、生体防御作用を有するタンパク質
    (C)前記(A)又は(B)のタンパク質の一部からなり、生体防御作用を有するペプチド
  2. 配列番号1で表されるアミノ酸配列の第175位〜第192位、及び第356位〜第372位から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列を含むペプチド、又は前記ペプチドにおいて1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、生体防御作用を有する請求項1に記載の生体防御用組成物。
  3. 生体防御作用が、有効成分の抗菌活性に基づく請求項1から2のいずれかに記載の生体防御用組成物。
  4. 抗菌活性が、有効成分と、リポ多糖及びLipid Aの少なくともいずれかとの結合に基づく請求項3に記載の生体防御用組成物。
  5. 生体防御作用が、有効成分の炎症抑制活性に基づく請求項1から2のいずれかに記載の生体防御用組成物。
  6. 炎症抑制活性が、エンドトキシン中和活性及び炎症性サイトカイン産生抑制活性の少なくともいずれかに基づく請求項5に記載の生体防御用組成物。
  7. エンドトキシン中和活性及び炎症性サイトカイン産生抑制活性の少なくともいずれかが、有効成分と、リポ多糖及びLipid Aの少なくともいずれかとの結合に基づく請求項6に記載の生体防御用組成物。
  8. 生体防御作用が、有効成分の創傷治癒活性に基づく請求項1から2のいずれかに記載の生体防御用組成物。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の生体防御用組成物を含有してなることを特徴とする飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料。
  10. 以下の(a)及び(b)のいずれかのペプチド。
    (a)配列番号2及び3のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチド
    (b)前記(a)のペプチドに対して1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ生体防御作用を有するペプチド
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