JP2014236773A - 生体情報処理装置および生体情報処理方法 - Google Patents

生体情報処理装置および生体情報処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脈拍数および運動強度を測定し、脈拍数と運動強度との関係を蓄積していくことで、運動強度から脈拍数を推定する推定精度が向上する脈拍計を提供する。【解決手段】脈拍計1は、被検者の生体に関する測定脈拍数750を検出する脈拍数測定部110と、被検者の動作に関するピッチ情報を検出するピッチ演算部120と、所定基準に基づき測定脈拍数750の信頼性の高低を判定する信頼性判定部160と、脈拍数とピッチ情報との相関関係を被検者と関連付けて示すユーザー別脈拍推定テーブル780を記憶する記憶部700と、ユーザー別脈拍推定テーブル780を更新するテーブル更新部170と、を備え、テーブル更新部170は、信頼性判定部160が測定脈拍数750に対して信頼性が高いと判定した場合、測定脈拍数750とピッチ情報とに基づいてユーザー別脈拍推定テーブル780を更新する。【選択図】図4

Description

本発明は、生体情報処理装置および生体情報処理方法に関する。
従来から、被検者の運動管理や健康管理に供する生体情報処理装置として、被検者の身体の一部に装着し、被検者の脈拍数を測定する脈拍計が知られている。脈拍計は、装置を装着した被検者の血流量の変化を脈波センサーが検知して被検者の脈拍数を算出し、算出した脈拍数を測定結果として被検者に報知するものである。脈波センサーとしては、光を利用するものや、超音波を利用するもの、あるいは赤外線を利用するものなどが知られている。
このような脈拍計では血流量の変化を検知して脈拍数を算出するため、被検者の体動による血流の乱れや外気温に加えて、被検者の体質、着衣の状態等によっても脈拍数測定の正確性が低下することがある。
また、被検者が脈拍計を常時装着して生活する場面では、脈拍計の装着位置が変化することで、脈拍数の測定が困難になる場合がある。即ち、被検者が何らかの動作を実行することで、脈拍計の装着位置が理想的な装着位置から外れてしまい、脈拍数を正確に測定することが困難になる状況が生じ得る。
このように脈拍数を正確に測定できない問題を解決すべく、下記特許文献1に示すように、脈波センサーによる脈拍数の検出に加えて、被検者の体動から脈拍数を検出する装置が提案されている。この装置は、検出した体動情報から運動強度を算出し、多数の被検者のサンプルデータから予め決定した運動強度と脈拍数との関係に基づいて、算出した運動強度から脈拍数を推定する。そして、脈波センサーで脈拍数を正しく検出できない場合、推定した脈拍数を被検者に表示する。
特開2012−232010号公報
しかしながら、サンプルデータから決定した運動強度と脈拍数との関係には、運動能力などの個人差や、脈拍計が使用される使用環境等による変動が考慮されていないことに加え、運動強度と脈拍数との関係は予め決定されていて脈拍計の使用状況に応じて変更されないため、運動強度から脈拍数を推定する場合の推定精度を向上させることは困難であった。
そこで本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、運動強度から推定する脈拍数の精度向上を図るべく、脈拍数の測定に応じて運動強度と脈拍数の関係を改善することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例にかかる生体情報処理装置は、被検者に関する生体情報を検出する生体情報検出部と、前記被検者の動作に関する体動情報を検出する体動情報検出部と、所定基準に基づき前記生体情報の信頼性を判定する信頼性判定部と、前記体動情報と前記生体情報との相関関係を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記相関関係を更新する更新部と、を備え、前記生体情報は前記所定基準を満たすと前記信頼性判定部が判定した場合、前記更新部は、前記生体情報と前記体動情報とに基づいて前記相関関係を更新することを特徴とする。
このような構成によれば、生体情報と体動情報との相関関係は被検者と関連付けて記憶部に記憶され、検出された生体情報は所定基準を満たすと判定された場合、その生体情報と体動情報とに基づいて相関関係が更新される。従って、生体情報と体動情報との被検者毎の相関関係は、所定基準を満たした生体情報が得られた場合に順次更新されるため、相関関係に対する信頼性の向上を図ることができる。
[適用例2]
上記適用例にかかる生体情報処理装置において、前記記憶部に記憶された前記相関関係に基づいて、前記体動情報検出部が検出した前記体動情報から推定生体情報を出力する推定部と、前記信頼性判定部の判定結果に基づいて前記生体情報および前記推定生体情報の何れかを出力情報として決定する決定部と、前記決定部が決定した前記出力情報を出力する出力部と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、体動情報から推定生体情報を出力できると共に、生体情報検出部が検出した生体情報の信頼性に基づいて出力情報を決定するため、信頼性が高い情報を出力できる。
[適用例3]
上記適用例にかかる生体情報処理装置において、前記信頼性判定部は、前記生体情報に対して前記所定基準に基づいて信頼性を第1判定、第2判定および第3判定の何れかに判定し、前記決定部は、前記生体情報に対して前記第1判定が判定された場合、前記推定部が推定した前記推定生体情報を前記出力情報に決定し、前記生体情報に対して前記第2判定または前記第3判定が判定された場合、前記生体情報検出部が検出した前記生体情報を前記出力情報に決定し、前記更新部は、前記生体情報に対して前記第3判定が判定された場合、前記相関関係を更新することが好ましい。
このような構成によれば、生体情報検出部が検出した生体情報の信頼性が第1判定である場合は、推定部が推定した推定生体情報が出力され、他方で、生体情報の信頼性が第2判定または第3判定である場合は、生体情報検出部が検出した生体情報が出力され、更に、生体情報の信頼性が第3判定である場合は、相関関係が更新される。従って、生体情報の信頼性に応じて相関関係の信頼性をより向上させることができる。
[適用例4]
上記適用例にかかる生体情報処理装置において、前記信頼性判定部は、生体情報検出部が検出する前記生体情報の安定性、および前記生体情報を示す信号に含まれるノイズ成分の比率を示すノイズ比率情報の少なくとも1つに基づいて前記生体情報の信頼性を判定しても良い。
[適用例5]
上記適用例にかかる生体情報処理装置において、前記更新部は、前記生体情報検出部による前記生体情報の検出開始時において前記記憶部に記憶されている第1の前記相関関係と、前記生体情報検出部による前記生体情報の検出時において第1の前記相関関係から更新された第2の前記相関関係と、に基づいて第3の前記相関関係を生成し、生成した第3の前記相関関係を前記記憶部に記憶することが好ましい。
このような構成によれば、生体情報の検出が終了した場合、記憶部に記憶する相関関係は、今回の検出が開始される前の相関関係と、今回の検出により更新された相関関係とに基づいて生成されるため、検出変動による相関関係への影響を抑制できる。
[適用例6]
上記適用例にかかる生体情報処理装置において、前記更新部は、第1の前記相関関係と第2の前記相関関係との差異が所定の範囲内である場合、第3の前記相関関係を前記記憶部に記憶することが好ましい。
このような構成によれば、今回の測定で更新した相関関係と、今までの相関関係との差異が所定範囲内である場合、相関関係を記憶するため、相関関係の信頼性低下を回避できる。
[適用例7]
上記適用例にかかる生体情報処理装置において、前記更新部は、前記生体情報および前記体動情報の関係が前記相関関係と大きく異なる場合、前記信頼性判定部の判定結果に依らず前記相関関係を非更新とすることが好ましい。
このような構成によれば、今回得られた生体情報および体動情報の関係が相関関係から大きく外れる場合、相関関係は非更新であるため、特異な測定結果を除外することで相関関係の信頼性低下を回避できる。
[適用例8]
本適用例にかかる生体情報処理方法は、被検者に関する生体情報を検出する生体情報検出工程と、前記被検者に関する体動情報を検出する体動情報検出工程と、所定基準に基づき前記生体情報の信頼性を判定する信頼性判定工程と、前記胎動情報と前記生体情報との相関関係を記憶する記憶工程と、前記信頼性判定工程で前記生体情報が前記所定基準を満たすと判定した場合、前記相関関係を前記生体情報と前記体動情報とに基づいて更新する更新工程と、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、生体情報と体動情報との相関関係は被検者と関連付けて記憶部に記憶され、検出された生体情報は所定基準を満たすと判定された場合、その生体情報と体動情報とに基づいて相関関係が更新される。従って、生体情報と体動情報との被検者毎の相関関係は、所定基準を満たした生体情報が得られた場合に順次更新されるため、相関関係に対する信頼性の向上を図ることができる。
本発明の実施形態に係る脈拍計の正面図。 (A)は脈拍計の背面図を示し、(B)は脈拍計の使用状態図を示す。 脈波センサーの動作を説明する図。 脈拍計の機能構成を示すブロック図。 メイン処理の流れを示すフローチャート。 第1信頼性判定処理の流れを示すフローチャート。 第2信頼性判定処理の流れを示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の生体情報処理装置を腕時計型の脈拍計に適用した実施形態である。なお、本発明を適用可能な形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
1.外観構成
図1は、本実施形態における脈拍計1の正面図である。脈拍計1は、リストバンド2を備え、ケース3には、時刻や脈拍計1の動作状態、各種生体に関する情報(脈拍数、運動強度等)を文字や数字、アイコン等によって表示するための液晶表示器4が配置されている。
また、ケース3の周部(側面)には脈拍計1を操作するための操作ボタン5が配設されている。脈拍計1は、例えば内蔵する二次電池を電源として動作する。ケース3の側面には、外部の充電器と接続されて、内蔵二次電池を充電するための充電端子6が配設されている。
図2(A)は脈拍計1の背面図であり、ケース3の背面から脈拍計1を見たときの外観図を示している。また、図2(B)は脈拍計1の使用状態図であり、被検者の手首WRに装着された状態の脈拍計1の側面図を示している。
ケース3の背面には、被検者の脈波を検出して脈波信号を出力する脈波センサー10が配設されている。脈波センサー10は被検者の手首WRにおいて脈波を検出する。本実施形態において、脈波センサー10は光電脈波センサーであり、脈波を光学的に検出するための機構を備えている。
図3は、脈波センサー10の動作を示す図であり、内部構造をケース3の側面から見たときの拡大図である。尚、図3における各部材は図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
脈波センサー10は、ケース3の背面側に形成された円形底面を有する半球状の収納空間内に設置されている。そして、この収納空間内に、LED(Light Emitting Diode)などの光源12と、フォトトランジスターなどの受光素子13とが内蔵されている。半球の内面は鏡面11であり、半球の底面側を下方とすると、受光素子13及び光源12は、それぞれ基板14の上面及び下面に実装されている。
光源12により、利用者の手首WRの皮膚SKに向けて光Leが照射されると、その照射光Leが皮下の血管BVに反射して半球内に反射光Lrとして戻ってくる。その反射光Lrは、半球状の鏡面11においてさらに反射して、受光素子13に上方から入射する。
この血管BVからの反射光Lrは、血液中のヘモグロビンの吸光作用により、血流の変動を反映してその強度が変動する。脈波センサー10は、拍動よりも早い周期で光源12を所定の周期で点滅させる。そして、受光素子13は、光源12の点灯機会毎に受光強度に応じた脈波信号を光電変換によって出力する。脈波センサー10は、例えば128Hzの周波数で光源12を点滅させる。
また、図2(A)に示すように、脈拍計1は、被検者の体動を検出するための体動センサー20を内蔵している。本実施形態では、体動センサー20は、少なくとも加速度センサーを有して構成される。加速度センサーは、図1に示すように、例えば、ケース3のカバーガラス面の法線方向であって表示面側を正とするZ軸、時計の12時に向かう方向を正とする上下方向をY軸、時計の3時に向かう方向を正とする左右方向をX軸とする3軸の加速度センサーである。脈拍計1を装着した状態において、X軸は、被検者の肘から手首に向かう方向と一致する。体動センサー20は、X軸,Y軸及びZ軸の3軸の加速度を検出し、その結果を体動信号として出力する。
2.原理
脈拍計1は、脈波センサー10によって検出される脈波信号に基づいて脈拍数を測定する。脈波信号は、被検者の拍動成分信号と体動ノイズ成分信号とが重畳された信号となる。そこで、脈拍計1は、体動センサー20から出力される体動信号に基づいて、脈波信号から体動ノイズ成分信号を除去し、拍動成分信号を抽出する。そして、抽出した拍動成分信号に基づいて脈拍数を測定する。
具体的には、例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルター等のデジタルフィルターを適応フィルターとして構成し、当該適応フィルターを用いて、脈波信号から体動ノイズ成分を除去する処理をデジタル信号処理として実行する。そして、抽出した拍動成分信号に対して周波数解析を行って拍動呈示スペクトルを特定し、その周波数(或いは周期)に基づいて脈拍数を測定する。周波数解析としては、例えば高速フーリエ変換FFT(Fast Fourier Transform)を適用することができる。
本実施形態では、上記の方法を用いた場合に脈拍数の測定が困難になる状況を想定し、体動センサー20による被検者の測定結果を用いて被検者の体動情報の1つである運動強度を演算する。そして、演算した運動強度を用いて被検者の脈拍数を推定する。
2−1.運動強度を用いた脈拍数の推定
本実施形態では、加速度センサーを用いて被検者の加速度を体動として検出する。また、加速度センサーで検出された加速度から被検者のピッチ(歩調)を算出することで、被検者の運動強度を演算する。ピッチの演算は、加速度センサーから出力される加速度信号に対して所定の周波数解析(例えばFFT)を行い、ピッチに相当する周波数成分を特定・抽出することで演算することができる。かかる演算方法の詳細については、例えば特開2004−81745号公報に開示されている。
次いで、予め定められたピッチと脈拍数との対応関係に基づいて、ピッチから脈拍数を推定する。本実施形態では、ピッチと脈拍数との相関関係を示すテーブルを参照し、ピッチに対応する脈拍数を推定する態様を想定する。このテーブルは、想定されるピッチの範囲が所定数のピッチ(例えば、数ピッチ)毎に分割され、それぞれのピッチ領域に対応する脈拍数が記載されている。本実施形態では、このようなテーブル(ユーザー別脈拍推定テーブル780(図4))が被検者毎に作成される。尚、本実施形態では、ピッチは1分当たりの腕振り回数を採用するが、1分当たりの歩数を採用しても良い。
3.機能構成
図4は、脈拍計1の機能構成の一例を示すブロック図である。脈拍計1は、脈波センサー10、体動センサー20、脈波信号増幅回路部30、脈波形整形回路部40、体動信号増幅回路部50、体動波形整形回路部60、A/D(Analog/Digital)変換部70、処理部100、操作部200、表示部300、報知部400、通信部500、時計部600および記憶部700を備える。
脈波センサー10は、脈拍計1が装着された被検者の脈波を計測するセンサーであり、例えば光電脈波センサーを有して構成される。脈波センサー10は、身体組織への血流の流入によって生じる容積変化を脈波信号として検出し、脈波信号増幅回路部30に出力する。
脈波信号増幅回路部30は、脈波センサー10から入力した脈波信号を所定のゲインで増幅する増幅回路である。脈波信号増幅回路部30は、増幅した脈波信号を脈波形整形回路部40及びA/D変換部70に出力する。
脈波形整形回路部40は、脈波信号増幅回路部30によって増幅された脈波信号を整形する回路部であり、高周波のノイズ成分を除去する回路やクリッピング回路等を有して構成される。処理部100は、脈波形整形回路部40によって整形された脈波形に基づいて、脈波の検出有無を判定する。
体動センサー20は、脈拍計1が装着された被検者の動きを捉えるためのセンサーであり、少なくとも加速度センサーを有して構成される。
体動信号増幅回路部50は、体動センサー20から入力した体動信号を所定のゲインで増幅する増幅回路である。体動信号増幅回路部50は、増幅した体動信号を体動波形整形回路部60及びA/D変換部70に出力する。
体動波形整形回路部60は、体動信号増幅回路部50によって増幅された体動信号を整形する回路部であり、高周波のノイズ成分を除去する回路や、重力加速度成分とそれ以外の成分とを判定する回路、クリッピング回路等を有して構成される。処理部100は、体動波形整形回路部60によって整形された体動波形に基づいて、体動の検出有無を判定する。
A/D変換部70は、脈波信号増幅回路部30によって増幅されたアナログ形式の脈波信号と、体動信号増幅回路部50によって増幅されたアナログ形式の体動信号とを、それぞれ所定のサンプリング時間間隔でサンプリング及び数値化して、デジタル信号に変換する。A/D変換部70は、変換したデジタル信号を処理部100に出力する。
処理部100は、記憶部700に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って脈拍計1の各部を統括的に制御する機能を有し、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを具備する。処理部100は、記憶部700に記憶されたメインプログラム710に従ってメイン処理を行い、脈拍計1が装着された被検者の脈拍数を測定/推定して表示部300に表示させる制御を行う。
処理部100は、主要な機能部として、脈拍数測定部110、ピッチ演算部120、脈拍数推定部130、表示制御部140、安定度判定部150、信号状態取得部155、信頼性判定部160、テーブル更新部170およびユーザー設定部180を有する。
脈拍数測定部110は、A/D変換部70から入力した体動信号(体動データ)を用いて、脈波センサー10が検出した脈波信号(脈波データ)から体動ノイズ成分を除去し、抽出した拍動成分(拍動データ)を用いて生体情報の1つである脈拍数を算出する。算出した脈拍数は記憶部700に測定脈拍数750として記憶する。尚、脈拍数測定部110は生体情報を検出する生体情報検出部に相当する。
ピッチ演算部120は、A/D変換部70から入力した体動信号(体動データ)を用いて被検者の体動情報の1つであるピッチを演算する。尚、本実施形態では、ピッチ演算部120は被験者の動作に関する体動情報を検出する体動情報検出部に相当する。尚、体動情報検出部が検出する対象はピッチには限定されず、他のパラメーターを抽出する態様も想定できる。
脈拍数推定部130は、ピッチ演算部120によって演算されたピッチを用いて脈拍数(推定生体情報)を推定する。本実施形態では、脈拍数推定部130は、脈拍計1を使用する被検者に対応するユーザー別脈拍推定テーブル780を参照し、ピッチ演算部120で算出されたピッチに対応する脈拍数を取得する。このようにして取得された脈拍数は記憶部700に推定脈拍数755として記憶される。尚、脈拍数推定部130は推定部に相当する。
本実施形態では、ユーザー別脈拍推定テーブル780は、ピッチと脈拍数との相関関係を被検者と関連付けて示し、記憶部700に記憶されている。例えば、所定の被検者のピッチが98以上104以下の場合には脈拍数は93が対応付けられ、ピッチが105以上111以下の場合には脈拍数は96が対応付けられている。従って、脈拍数推定部130は、被検者に応じたユーザー別脈拍推定テーブル780を記憶部700から取得し、取得したユーザー別脈拍推定テーブル780を参照し、算出したピッチに対応付けられている脈拍数を取得できる。
また、脈拍数推定部130は、ピッチから推定脈拍数755を推定することに加え、ピッチから推定した脈拍数をターゲット脈拍数とし、ターゲット脈拍数に漸次近づく過渡状態における脈拍数の推定を行う態様も想定できる。ここで、過渡状態とは、ある状態から別の状態に遷移する途中段階の状態であり、本実施形態では、脈拍計1を装着した被検者が運動する状況を想定し、運動開始→運動中、および運動中→運動終了、の2通りの状態遷移を過渡状態として考えることができる。
運動開始→運動中においては、被検者が運動を開始すると、ピッチは急激に立ち上がる。それに伴い、脈拍数は比較的速やかに増加し、運動時の最大脈拍数に収束するように変化する。また、運動中→運動終了においては、被検者が運動を終了すると、ピッチは急激に低下する。それに伴い、脈拍数は緩やかに低下する。具体的には、運動を終了しても脈拍数は直ぐには下がらず、一定時間経過後に急激に低下し始める。その後、再び脈拍数の低下速度が鈍化し、最終的に安静時脈拍数よりもやや高い値に収束する。
このように、運動開始→運動中の状態と運動中→運動終了の状態とでは、脈拍数の時間変化の傾向が異なることがわかる。そこで、2つの場合をそれぞれ想定し、時刻の経過に応じて脈拍数およびピッチが遷移する脈拍数推定モデルを定義し、状態に応じたモデルを選択して過渡状態における脈拍数を推定できる。
尚、過渡状態における脈拍数の詳細な推定方法は、例えば、特開2012−232010号公報に開示されている。
表示制御部140は、信頼性判定部160の判定結果に基づいて脈拍数の測定/推定結果を表示部300に表示制御する。即ち、信頼性判定部160が脈拍数測定部110の測定結果に対して信頼性が高いと判定した場合は、出力情報としての測定脈拍数750を記憶部700から取得し、表示部300に表示させる。一方、信頼性判定部160が脈拍数測定部110の測定結果に対して信頼性が低いと判定した場合は、出力情報としての推定脈拍数755を記憶部700から取得し、表示部300に表示させる。尚、表示制御部140は、測定脈拍数750または推定脈拍数755の何れを表示させるかを決定する決定部に相当する。
安定度判定部150は、ピッチ演算部120によって演算されたピッチと、脈拍数測定部110によって測定された脈拍数とに基づき、ピッチ及び脈の安定度を判定する。
尚、ピッチの安定度はピッチから脈拍数推定の妥当性を判定するために使用され、安定条件は、例えば、今回測定したピッチと、前回測定したピッチとの差の絶対値が所定の閾値未満になる場合である。また、脈の安定度の安定条件は、例えば、今回測定した脈拍数と、前回測定した脈拍数との差の絶対値が所定の閾値未満になる場合である。
安定度判定部150の判定結果は信頼性判定部160に参照される。
信号状態取得部155は、脈波信号に対して周波数解析を行った結果に基づき、検出した脈波信号と、これらの信号に含まれるノイズ成分の比率を示すノイズ比率情報を取得する。本実施形態では、ノイズ比率情報として、脈波信号に含まれるノイズの比率(S/N)を示すSN値を採用する態様を想定するが、これには限定されず、例えば、脈波信号を高速フーリエ変換FFTした場合における脈波信号とノイズとの比率(MN比)を採用し、MN比の連続性や予測値との変動性に基づいて信頼性の高低を判定する態様も想定できる。信号状態取得部155が取得したSN値は信頼性判定部160に参照される。
SN値はPmax/N(但し、Pmaxは基線スペクトルPmaxの大きさを示し、Nは基線スペクトルNの大きさを示す。)で定義される。SN値の検出方法は、例えば、各信号に対して高速フーリエ変換FFTを行うことで得られる基線スペクトルにおいて、最大の基線スペクトルPmaxから数えて10番目の大きさを持つ基線スペクトルNをノイズ成分の基線スペクトルの代表とする。この基線スペクトルNをノイズ成分の基線スペクトルの代表とするのは、10番目の基線スペクトルがノイズである確率が実験に基づいて高いからである。また、SN値は、最大の基線スペクトルPmaxの大きさと基線スペクトルNの大きさとの比率の値を採用する。
尚、上述の例では、最大の基線スペクトルPmaxから数えて10番目の大きさをもつ基線スペクトルNをノイズ成分の基線スペクトルの代表としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の基線スペクトル、例えば7番目の基線スペクトルをノイズ成分の代表としてもよい。
信頼性判定部160は、判定するための所定基準として、安定度判定部150が判定したピッチの安定度、脈の安定度および信号状態取得部155が取得した情報に基づいて、測定脈拍数750に対する信頼性の有無を判定するが、信頼性を判定するための情報はこれらに限定されるものではない。
また、本実施形態では、信頼性判定部160は、測定脈拍数750に対して2段階の信頼性判定処理を行うことにより、信頼性が低い方から、第1判定(「低い」)、第2判定(「高い」)および第3判定(「極めて高い」)の何れかを判定する。
即ち、第1信頼性判定処理では、測定脈拍数750が想定する範囲内に入っているか否かの判定や、信号状態取得部155で取得したSN値が所定の基準(第1基準)を超えるか否かの判定に基づいて、測定脈拍数750の信頼性が「高い」か「低い」かの判定を行う。つまり、測定脈拍数750が信頼性に関する所定条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、この第1信頼性判定処理の判定結果に基づいて、被検者の脈拍数として表示部300に表示する脈拍数を決定する。
また、第2信頼性判定処理では、第1信頼性判定処理で信頼性が「高い」と判定された測定脈拍数750に対して、SN値が第1基準よりも厳しい基準(第2基準)を超えるか否かの判定や、脈拍数およびピッチが安定しているか否かの判定に基づいて、測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」か、否かの判定を行う。判定結果はテーブル更新部170に送られる。
尚、本実施形態では、SN値の判定基準は、第1基準として「0.5」を採用し、第2基準として「2.0」を採用するが、これらの値に限定されるものでは無い。
また、第1信頼性判定処理および第2信頼性判定処理における各判定は記載した組み合わせに限定されるものではなく、各判定の組み合わせはMN比の判定も含めて種々の態様が想定できる。
テーブル更新部170は、信頼性判定部160の信頼性判定結果に基づいて、ユーザー別脈拍推定テーブル780を更新する。尚、テーブル更新部170は更新部に相当する。
本実施形態では、信頼性判定部160が測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」と判定した場合、ピッチ演算部120が算出した被検者のピッチと測定脈拍数750との関係をユーザー別脈拍推定テーブル780に追加する。この結果、ユーザー別脈拍推定テーブル780は、信頼性が「極めて高い」と判定されたピッチと測定脈拍数750との関係を順次学習する。
このように、被検者が脈拍計1を使い込むに従い、ユーザー別脈拍推定テーブル780が更新され、ユーザー別脈拍推定テーブル780には信頼性が極めて高いピッチと測定脈拍数750との関係が反映されていく。従って、ユーザー別脈拍推定テーブル780の信頼性は、被験者の脈拍を計測することで漸次向上すると共に、脈拍数推定部130の推定精度も漸次向上する。
また、テーブル更新部170は、以下のような機能を更に備えても良い。即ち、テーブル更新部170は、脈拍計1が起動されて脈拍の計測を開始する前のユーザー別脈拍推定テーブル780を記憶部700から取得して所定の場所に保持する。そして、信頼性が高い脈拍数を取得した場合に、更新されたユーザー別脈拍推定テーブル780と、所定の場所に保持したユーザー別脈拍推定テーブル780とを比較し、比較した結果に基づいてユーザー別脈拍推定テーブル780を更に更新し、更新したユーザー別脈拍推定テーブル780を記憶部700に記憶する。
例えば、計測開始前のユーザー別脈拍推定テーブル780と、計測終了時のユーザー別脈拍推定テーブル780のテーブル値の平均値をそれぞれ算出し、算出した平均値を各テーブル値としてユーザー別脈拍推定テーブル780を更新しても良い。ここで、それぞれのテーブル値における差異が所定の基準を超えた場合、テーブル値の変更幅を差異の25%程度に圧縮する態様や、ユーザー別脈拍推定テーブル780の更新を行わない態様が想定できる。
また、所定の回数を超えて脈拍を計測した場合や、所定の回数を超えてユーザー別脈拍推定テーブル780を更新した場合、ユーザー別脈拍推定テーブル780に追加しようとするピッチと測定脈拍数750が、既存のユーザー別脈拍推定テーブル780のテーブル値から大きくかい離している場合には、テーブル更新部170はユーザー別脈拍推定テーブル780の更新を行わない態様も想定できる。この結果、ユーザーが高山等の特殊な環境下で使用した場合、得られるデータをユーザー別脈拍推定テーブル780に組み入れることなく除外することで、脈拍推定処理の誤差要因を排除し、ユーザー別脈拍推定テーブル780の信頼性を更に向上させることができる。
ユーザー設定部180は、脈拍計1を装着する被検者の設定を行う。本実施形態では、初期設定時や、脈拍計1を装着する被検者が変更される場合、ユーザーが操作部200を操作して設定を行う。この場合、例えば、ユーザーは自身を識別可能な情報を操作部200から入力し、入力した情報に対応するユーザー別脈拍推定テーブル780が記憶部700に記憶されている場合、ユーザーは既存のユーザーとして認識され、脈拍数推定部130が脈拍を推定する場合、このユーザーに対応するユーザー別脈拍推定テーブル780が参照される。
一方、設定したユーザーに対応するユーザー別脈拍推定テーブル780が記憶部700に記憶されていない場合、ユーザーに対応するユーザー別脈拍推定テーブル780が新たに作成される。新たに作成されるユーザー別脈拍推定テーブル780は、多数の被検者から収集されたサンプルデータに基づいて決定したピッチと脈拍数の関係を示すデータテーブルであっても良い。また、ユーザー設定時に、被検者に対して所定の動作(例えば、平地において一定ピッチによる運動)を指示し、被検者による所定の動作結果に基づいてユーザー別脈拍推定テーブル780を作成しても良い。
操作部200は、ボタンスイッチ等を有して構成される入力装置であり、押下されたボタンの信号を処理部100に出力する。この操作部200の操作により、脈拍の測定指示等の各種指示入力がなされる。操作部200は、図1の操作ボタン5に相当する。
表示部300は、出力部の1つとしてLCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成され、処理部100から入力される表示信号に基づく各種表示を行う表示装置である。表示部300には、各種の生体に関する情報(脈拍数や運動強度等)が表示される。表示部300は、図1の液晶表示器4に相当する。
報知部400は、スピーカーや圧電振動子等を有して構成され、処理部100から入力される報知信号に基づく各種報知を行う報知装置である。例えば、アラーム音をスピーカーから出力させたり、圧電振動子を振動させたりすることで、被検者への各種報知を行う。
通信部500は、処理部100の制御に従って、装置内部で利用される情報をパソコン(PC(Personal Computer))等の外部の情報処理装置との間で送受するための通信装置である。この通信部500の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、近距離無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
尚、報知部400や通信部500を出力部として、各種の生体に関する情報を音声で出力する態様や、情報処理装置に対して送信する態様も想定できる。
時計部600は、水晶振動子及び発振回路でなる水晶発振器等を有して構成され、脈拍計1の時刻を計時する計時装置である。時計部600の計時時刻は、処理部100に随時出力される。
記憶部700は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置によって構成され、脈拍計1のシステムプログラムや、脈拍数測定/推定機能、運動強度測定機能といった各種機能を実現するための各種プログラム、データ等を記憶している。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
4.機能構成
図4に示すように、記憶部700には、メイン処理(図5)として実行されるメインプログラム710が記憶されている。メインプログラム710は、測定脈拍数750において信頼性を判定するための第1信頼性判定プログラム720および第2信頼性判定プログラム730をサブルーチンとして含む。
また、記憶部700には、測定脈拍数750、推定脈拍数755、ピッチ安定度760、脈安定度765およびユーザー別脈拍推定テーブル780がデータとして記憶される。
5.処理の流れ
図5は、記憶部700に記憶されているメインプログラム710が処理部100によって読み出されることで、脈拍計1において実行されるメイン処理(生体情報処理方法)の流れを示すフローチャートである。
最初に、処理部100は初期設定を行う(ステップS800)。具体的には、メイン処理で用いる各種の演算パラメーター(例えばピッチ安定度760や脈安定度765)や、記憶部700に記憶される測定脈拍数750および推定脈拍数755の値を初期化する。
次いで、処理部100は、この脈拍計1を使用するユーザー、即ち、ユーザー設定部180が設定した被検者に対応し、脈拍推定時に参照すべきユーザー別脈拍推定テーブル780を決定する(ステップS802)。
次いで、処理部100は、脈波センサー10及び体動センサー20の検出結果の取得する(ステップS804)。
次いで、処理部100は、体動センサー20の検出結果を用いて被検者のピッチを算出するピッチ演算処理を開始する(ステップS806)<体動情報検出工程>。
次いで、処理部100は、被検者に応じたユーザー別脈拍推定テーブル780を参照し、ピッチ演算部120が算出した被検者のピッチから脈拍数を推定し(ステップS808)、推定した脈拍数を推定脈拍数755として記憶部700に記憶させる。
次いで、処理部100は、脈波センサー10の脈波信号の検出結果及び体動センサー20の検出結果を用いて被検者の脈拍数を測定する脈拍数測定処理を開始し、測定結果から脈拍数を算出し、算出した脈拍数を測定脈拍数750として記憶部700に記憶させる(ステップS810)<生体情報検出工程>。
次いで、処理部100は、記憶部700に記憶されている第1信頼性判定プログラム720に従って測定脈拍数750の信頼性判定処理を行う(ステップS850)。
図6は、第1信頼性判定処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、信頼性判定部160は、所定の範囲内に測定脈拍数750が収まるか、否かを判定する(ステップS852)。尚、所定の範囲は、想定される脈拍数の範囲を示し、予め設定された範囲である。ここで、信頼性判定部160は、測定脈拍数750が所定の範囲内に収まると判定した場合(ステップS852でYes)、脈波信号のSN値を取得する(ステップS854)。
信頼性判定部160は、SN値が所定の第1基準を満足するか、否かを判定し(ステップS856)、SN値が所定の第1基準を満足すると判定した場合(ステップS856でYes)、信頼性判定部160は測定脈拍数750の信頼性が「高い」と判定し(ステップS858)、第1信頼性判定処理を終了する。
また、ステップS852において測定脈拍数750が所定の範囲内に収まらないと判定した場合(No)、または、ステップS856においてSN値が所定の第1基準を満足しないと判定した場合(No)、信頼性判定部160は測定脈拍数750の信頼性が「低い」と判定し(ステップS860)、第1信頼性判定処理を終了する。
図5に戻り、処理部100は、信頼性判定部160において測定脈拍数750の信頼性が「高い」と評価したか、否かを判定する(ステップS812)。
ここで、測定脈拍数750の信頼性が「低い」と評価した場合(ステップS812でNo)、処理部100は、被検者の脈拍数として推定脈拍数755を記憶部700から取得して表示部300に表示し(ステップS820)、ステップS822に進む。
他方で、測定脈拍数750の信頼性が「高い」と評価した場合(ステップS812でYes、)処理部100は、被検者の脈拍数として測定脈拍数750を記憶部700から取得して表示部300に表示する(ステップS814)。
次いで、処理部100は、記憶部700に記憶されている第2信頼性判定プログラム730に従って測定脈拍数750の信頼性判定処理を行う(ステップS880)。
図7は、第2信頼性判定処理(信頼性判定工程)の流れを示すフローチャートである。
最初に、信頼性判定部160は、SN値が第1基準よりも厳しい第2基準を満足するか、否かを判定する(ステップS882)。
ここで、SN値が第2基準を満足すると判定した場合(ステップS882でYes)、信頼性判定部160は、安定度判定部150が判定した脈安定度765を記憶部700から取得し、測定脈拍数750の安定性を判定する(ステップS884)。
ここで、測定脈拍数750は安定していると判定された場合(ステップS886でYes)、信頼性判定部160は、安定度判定部150が判定したピッチ安定度760を記憶部700から取得し、ピッチの安定性を判定する(ステップS888)。
ここで、ピッチは安定していると判定された場合(ステップS888でYes)、信頼性判定部160は測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」と判定し(ステップS892)、第2信頼性判定処理を終了する。
また、ステップS882においてSN値が第2基準を満足しないと判定した場合(No)、または、ステップS886において測定脈拍数750は安定していないと判定された場合(No)、または、ステップS890においてピッチは安定していないと判定された場合(No)、信頼性判定部160は測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」と判定することなく処理を終了する。この場合、測定脈拍数750の信頼性は「高い」という判定結果は維持される。
図5に戻り、処理部100は、信頼性判定部160において測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」と評価したか、否かを判定する(ステップS816)。
ここで、信頼性判定部160において測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」と評価された場合(ステップS816でYes)、ピッチと測定脈拍数750との関係に基づいてユーザー別脈拍推定テーブル780を更新し(ステップS818)<更新工程>、ステップS822に進む。
他方で、信頼性判定部160において測定脈拍数750の信頼性が「極めて高い」と評価されない場合(ステップS816でNo)、ステップS822に進む。
ステップS822では、処理部100はメイン処理を終了するか、否かを判定し、メイン処理を終了しない場合(ステップS822でNo)、ステップS804に戻る。
他方で、メイン処理を終了する場合(ステップS822でYes)、次回のメイン処理実行時に使用するユーザー別脈拍推定テーブル780と初期値を設定し(ステップS824)、メイン処理を終了する。
以上述べた実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)脈拍数の推定に使用するユーザー別脈拍推定テーブル780は、被検者毎に作成され、使用に応じて更新される。従って、ユーザー別脈拍推定テーブル780は、被検者が脈拍計1を使用するのに従って、被検者毎に異なる運動能力や使用状況を考慮した特徴を備えていく。この結果、ユーザー別脈拍推定テーブル780から推定する被検者毎の脈拍数の推定精度は、脈拍計1を使用するのに従って向上する。
(2)信頼性判定部160は、脈波センサー10が検出した脈波信号に基づいて算出した測定脈拍数750の信頼性を判定する。判定の結果、極めて信頼性を有すると判定された場合、テーブル更新部170は、被検者のピッチと測定脈拍数750との関係に基づいてユーザー別脈拍推定テーブル780を更新する。従って、測定脈拍数750が信頼できる場合に限って、ユーザー別脈拍推定テーブル780が更新されるため、ユーザー別脈拍推定テーブル780の更新に従ってテーブル値の信頼性が向上し、脈拍数の推定精度の向上を図ることができる。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、ユーザー別脈拍推定テーブル780からピッチに対応する脈拍数を推定する態様に限定されるものではなく、ユーザー別脈拍推定テーブル780には被検者毎のピッチと脈拍数のデータが記憶され、これらのデータからピッチと脈拍数の相関関係を示す脈拍推定式である次式(1)の近似式を算出し、算出した近似式に基づいて脈拍数を推定する態様も想定できる。
Figure 2014236773
但し、“p”はピッチであり、“HR(p)”はピッチ“p”から推定される脈拍数である。また、“A”,“B”,“C”は、それぞれ近似式の2次,1次,0次の係数である。
この場合、脈拍数推定部130は、ユーザー別脈拍推定テーブル780に保持されている被検者毎のデータに対して2次曲線のフィッティングを行うことで、式(1)における係数“A〜C”の値を算出し、係数“A〜C”が決定した式(1)にピッチ演算部120が算出したピッチを適用して脈拍数を算出し、算出した脈拍数を推定脈拍数755とする態様も想定できる。
また、推定脈拍数755から消費したカロリー量を算出し、算出したカロリー量に関する情報を表示部300に表示しても良い。また、被検者の脈拍数やカロリー量は表示部300に対する表示には限定されず、出力部として印刷装置、投射装置および通信装置等を想定し、これらの装置に対する出力も想定できる。
また、生体情報処理装置として腕時計型の脈拍計1を想定したが、指先に装着して脈拍を測定する指装着型の脈拍計に適用しても良い。また、脈波信号の検出方法は光を用いた検出方法には限定されず、超音波や赤外線を用いた検出方法でもよい。
また、体動センサー20は加速度センサーを含む態様には限定されず、速度センサーのような他のセンサーにより体動を検出する態様も想定できる。また、体動センサー20は加速度センサーおよび速度センサーの両方を有し、2つのセンサーから出力される信号に基づいて被検者の体動を検出しても良い。
また、ユーザーが高山等の特殊な環境下で使用する場合、脈拍数推定部130は、参照するテーブルをユーザー別脈拍推定テーブル780に替えて、予め作成した特殊な環境に対応する脈拍推定テーブルとする態様も想定できる。この場合、脈拍数推定部130は、2つのテーブルの連続性を検証し、テーブル間の遷移は連続性が損なわれないタイミングで実行されることが好ましい。
また、以上のような手法を実施する装置は、単独の装置によって実現される場合もあれば、複数の装置を組み合わせることによって実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態では限定されるものではなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
1…脈拍計、2…リストバンド、3…ケース、4…液晶表示器、5…操作ボタン、6…充電端子、10…脈波センサー、11…鏡面、12…光源、13…受光素子、14…基板、20…体動センサー、30…脈波信号増幅回路部、40…脈波形整形回路部、50…体動信号増幅回路部、60…体動波形整形回路部、70…A/D変換部、100…処理部、110…脈拍数測定部、120…ピッチ演算部、130…脈拍数推定部、140…表示制御部、150…安定度判定部、155…信号状態取得部、160…信頼性判定部、170…テーブル更新部、180…ユーザー設定部、200…操作部、300…表示部、400…報知部、500…通信部、600…時計部、700…記憶部、710…メインプログラム、720…第1信頼性判定プログラム、730…第2信頼性判定プログラム、750…測定脈拍数、755…推定脈拍数、760…ピッチ安定度、765…脈安定度、780…ユーザー別脈拍推定テーブル。

Claims (8)

  1. 被検者に関する生体情報を検出する生体情報検出部と、
    前記被検者の動作に関する体動情報を検出する体動情報検出部と、
    所定基準に基づき前記生体情報の信頼性を判定する信頼性判定部と、
    前記体動情報と前記生体情報との相関関係を記憶する記憶部と、
    前記記憶部が記憶する前記相関関係を更新する更新部と、を備え、
    前記生体情報は前記所定基準を満たすと前記信頼性判定部が判定した場合、前記更新部は、前記生体情報と前記体動情報とに基づいて前記相関関係を更新することを特徴とする生体情報処理装置。
  2. 請求項1に記載の生体情報処理装置において、
    前記記憶部に記憶された前記相関関係に基づいて、前記体動情報検出部が検出した前記体動情報から推定生体情報を出力する推定部と、
    前記信頼性判定部の判定結果に基づいて前記生体情報および前記推定生体情報の何れかを出力情報として決定する決定部と、
    前記決定部が決定した前記出力情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする生体情報処理装置。
  3. 請求項2に記載の生体情報処理装置において、
    前記信頼性判定部は、前記生体情報に対して前記所定基準に基づいて信頼性を第1判定、第2判定および第3判定の何れかに判定し、
    前記決定部は、前記生体情報に対して前記第1判定が判定された場合、前記推定部が推定した前記推定生体情報を前記出力情報に決定し、前記生体情報に対して前記第2判定または前記第3判定が判定された場合、前記生体情報検出部が検出した前記生体情報を前記出力情報に決定し、
    前記更新部は、前記生体情報に対して前記第3判定が判定された場合、前記相関関係を更新することを特徴とする生体情報処理装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体情報処理装置において、
    前記信頼性判定部は、生体情報検出部が検出する前記生体情報の安定性、および前記生体情報を示す信号に含まれるノイズ成分の比率を示すノイズ比率情報の少なくとも1つに基づいて前記生体情報の信頼性を判定することを特徴とする生体情報処理装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体情報処理装置において、
    前記更新部は、前記生体情報検出部による前記生体情報の検出開始時において前記記憶部に記憶されている第1の前記相関関係と、前記生体情報検出部による前記生体情報の検出時において第1の前記相関関係から更新された第2の前記相関関係と、に基づいて第3の前記相関関係を生成し、生成した第3の前記相関関係を前記記憶部に記憶することを特徴とする生体情報処理装置。
  6. 請求項5に記載の生体情報処理装置において、
    前記更新部は、第1の前記相関関係と第2の前記相関関係との差異が所定の範囲内である場合、第3の前記相関関係を前記記憶部に記憶することを特徴とする生体情報処理装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の生体情報処理装置において、
    前記更新部は、前記生体情報および前記体動情報の関係が前記相関関係と大きく異なる場合、前記信頼性判定部の判定結果に依らず前記相関関係を非更新とすることを特徴とする生体情報処理装置。
  8. 被検者に関する生体情報を検出する生体情報検出工程と、
    前記被検者に関する体動情報を検出する体動情報検出工程と、
    所定基準に基づき前記生体情報の信頼性を判定する信頼性判定工程と、
    前記胎動情報と前記生体情報との相関関係を記憶する記憶工程と、
    前記信頼性判定工程で前記生体情報が前記所定基準を満たすと判定した場合、前記相関関係を前記生体情報と前記体動情報とに基づいて更新する更新工程と、を有することを特徴とする生体情報処理方法。
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